本開示をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の充放電装置1を含む充放電システム200の概要図である。充放電システム200は、家庭に配置されている負荷21、発電装置23、及び、充放電装置1を含む。電力系統Eからの供給電力は電力線PLにより、分電盤28で負荷21、発電装置23、及び充放電装置1を介して接続される車両Vへ分岐される。充放電装置1は、分電盤28と信号線SLによって接続されている。
充放電システム200は他の一例では、公共施設である駐車場に設置された蓄電装置22、発電装置23、及び、充放電装置1を含む。この一例においても電力系統Eからの供給電力は電力線PLにより、分電盤28で、蓄電装置22、発電装置23及び複数の充放電装置1を介して接続される車両Vへ分岐される。充放電システム200は、その他、燃料電池を含んでもよい。
図2は、第1の実施形態の充放電装置1及び車両Vの接続構成を示すブロック図である。車両Vは、電気自動車(EV:Electric Vehicle)、ハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、又は燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle )である。車両Vは、その駆動に用いることが可能な大容量の蓄電装置30を備える。車両Vは、蓄電装置30に接続される電力線VPLへのコネクタ35と、蓄電装置30における充放電を制御する車載充放電制御装置32とを備える。電力線VPLには、車両V側の充放電回路に含まれるDCリレー33が介装されており、車載充放電制御装置32がDCリレー33のON及びOFFを制御する。コネクタ35には車載充放電制御装置32と通信接続するための通信端子が含まれている。
充放電装置1は、充放電回路10、制御部11、通信部12、電源部13及び操作部14を備える。充放電回路10は、双方向インバータ、各種リレー等の多様な回路素子を含む。充放電回路10は、車両Vと接続するコネクタ15と接続されるDCリレー10aと、電力系統Eと接続される電力線PLに介装された解列リレー10bとを含む。充放電回路10は、DCリレー10aを介してコネクタ15と電力線PLによって接続されている。
制御部11は、充放電回路10に含まれる回路素子を制御し、車両Vの蓄電装置30に対する充放電の切り替え、電流量、及び電圧量を制御する。制御部11はCPU(Central Processing Unit)及び不揮発性メモリを含み、CPUは不揮発性メモリに記憶されたコンピュータプログラム1Pに基づく制御処理を実行して充放電回路10を制御する。不揮発性メモリには、後述する設定値が書き換え可能に記憶されている(図3参照)。
制御部11の不揮発性メモリに記憶されているコンピュータプログラム1Pは、コンピュータから読み取り可能な記憶媒体9に記憶されていたコンピュータプログラム9PをCPUが読み出してメモリに記憶したものであってもよい。
通信部12は、コネクタ15及びコネクタ35を介して車載充放電制御装置32と通信接続が可能である。通信部12の通信接続のプロトコルは車両V、コネクタ15,35に対応する充放電方式に準拠していればよく、異なる充放電方式に適用するように複数のプロトコルに対応していずれかを選択的に実行できてもよい。第1の実施形態では通信部12は、CAN(Controller Area Network)によって車載充放電制御装置32と通信する。
PLCによって通信が実現されてもよい。
電源部13は、UPS(Uninterruptible Power Systems)回路及び起動用蓄電池を含み、制御部11へ電力を供給する。電源部13は、停電時には起動用蓄電池から充放電装置1の起動に必要な電力を供給する。電源部13は、電力系統E、発電装置23又は車両Vからの電力を起動用蓄電池に充電してもよい。
操作部14は、ディスプレイ、ディスプレイ内蔵タッチパネル、及び物理ボタンを含み、充放電装置1の外装に露出してユーザからのSTART(起動)及びSTOP(終了)を含む操作を受け付ける。制御部11は、操作部14にて受け付けられた操作に基づいて充放電回路10を制御してもよい。
充放電装置1の制御部11は、分電盤28における電力系統Eからの供給電力を算出するための電流を測定する電流センサSと信号線SLを介して接続されている。制御部11は、電力系統Eからの負荷21群、及び、蓄電装置22、発電装置23等の連系機器への供給電力を電流センサSから取得できる。
上述のように構成される充放電装置1の充放電回路10は、図1及び図2に示すように、コネクタ15が車両Vのコネクタ35と接続された状態において、DCリレー10a及び車両V側のDCリレー33を介して車両Vの蓄電装置30と電力線PLにより接続されている。充放電回路10は、図1及び図2に示すように、解列リレー10b及び分電盤28を介して電力系統E、負荷21群、及び連系機器(蓄電装置22、発電装置23等)と電力線PLによって接続されている。充放電装置1は、電力系統Eと、車両Vの蓄電装置30、負荷21群、連系機器との間の電力の授受を制御する。充放電回路10は、解列リレー10b、DCリレー10a、及びDCリレー33が全てONの状態の場合に、電力線PLを介して蓄電装置30の負荷21群への放電、又は電力系統Eからの充電を実施できる。
充放電装置1は、蓄電装置30を蓄電池として活用しつつ、商用電源である電力系統Eからの負荷21群、又は連系機器への供給電力が、第1の範囲内に維持されるように制御する。第1の範囲は、設定値として、制御部11内蔵の不揮発性メモリに記憶される。設定値は、操作部14によってユーザによって設定されてもよい。更に充放電装置1は、蓄電装置30の充電率を、第2の範囲内に維持されるように制御する。第2の範囲も、設定値として、制御部11内蔵の不揮発性メモリに記憶される。第2の範囲については、上限値、下限値、これらの値に対する準上限値、準下限値、基準値に対する割合が記憶される。図3は、設定値の内容例を示す図である。図3に示すように、第1の実施形態では、供給電力に対する第1の範囲は例えば、「1.00±0.05」(kW)として設定されている。図3に示すように、複数のパターンの第1の範囲が設定されていて、時間帯に応じていずれのパターンの範囲で制御するかが選択可能としてもよい。
第2の範囲も上限値が例えば「90」(%)、下限値が「40」(%)と設定されている。設定値は、準下限値を定める第1の設定値「5」(%、ポイント)、放電基準値を定める第2の設定値「10」を含む。設定値は、上限値に対する準上限値を定める第3の設定値「5」、上限値に対して充電が十分に可能な充電基準値を定める第4の設定値が「10」と設定されている。第2の範囲についても、複数のパターンが設定されていて、いずれかが選択可能としてもよい。
設定値には、充電率が準上限値を超過した場合の充電電流値の、最高充電電流値に対する割合「50」(%)、充電率が準下限値をきった場合の放電電流値の、最高放電電流値に対する割合「50」(%)が含まれる。これらの最高充電電流値又は最高放電電流値に対する制限値の割合についても、複数のパターンが設定されていて、いずれかが選択可能としてもよい。
図4から図6は、充放電装置1の制御部11による制御処理手順の一例を示すフローチャートである。図4から図6のフローチャートに示す処理手順は、車両Vが充放電装置1とコネクタ15及びコネクタ35を介して接続されている状態で、操作部14からのON操作、又は、スケジュールに基づく電源部13からの電力供給開始を受けて起動した場合に実行される。
制御部11は、所定の接続シーケンスを実行してコネクタ15及びコネクタ35のロックをONとし(ステップS101)、通信部12によって車載充放電制御装置32との通信接続を確立させる(ステップS102)。
通信接続が確立された状態において制御部11は、車載充放電制御装置32及び蓄電装置30との接続シーケンスを実行し、充放電回路10の解列リレー10b、DCリレー10a及びDCリレー33車両V側のDCリレー33をONとさせ(ステップS103)、接続はされているが充放電はしていない待機状態に遷移する(ステップS104)。
制御部11は、待機状態に遷移した後、STOP操作が行なわれたか否かを判断する(ステップS119)。STOP操作が行なわれないと判断した場合(S119:NO)、制御部11は、処理をステップS105へ進める。
制御部11は、ステップS119でSTOP操作が行なわれたと判断した場合(S119:YES)、切断シーケンスを実行する。制御部11は、切断シーケンスにおいて、充放電回路10の解列リレー10b、DCリレー10a及びDCリレー33車両V側のDCリレー33をOFFとし(ステップS191)、通信部12による車載充放電制御装置32との通信接続を切断する(ステップS192)。制御部11は、コネクタ15及びコネクタ35のロックをOFFとし(ステップS193)、処理を終了する。
制御部11は、ステップS105において、車載充放電制御装置32から、車両Vの蓄電装置30の充電容量及び充電率(SOC:State Of Charge )を取得する(ステップS105)。ステップS105において制御部11は、車載充放電制御装置32から直接的に充電率を取得せずともよい。制御部11はステップS105において、車載充放電制御装置32から得られる電池容量に関するデータを用いた演算によって、充電率を取得してもよい。
制御部11は、電流センサSから、供給電力を取得する(ステップS106)。制御部11は、内蔵メモリに記憶してある設定値を参照し、供給電力が第1の範囲内であるか否かを判断する(ステップS107)。
供給電力は第1の範囲内であると判断された場合(S107:YES)、所定の待機時間を経て処理をステップS119へ戻す。この場合、供給電力が第1の範囲内である間は、操作部14にてSTOPボタン等が操作されない限り、間欠的に電流センサSにおける測定値(供給電力)及び充電率を参照する処理が繰り返される。
供給電力が第1の範囲外であると判断された場合(S107:NO)、制御部11は、供給電力が第1の範囲の上限(例えば1.00+0.05kW)超であるか否かを判断する(ステップS108)。
ステップS108で上限超であると判断された場合(S108:YES)、制御部11は、電力需要過大であるから、負荷21群へ向けて放電を実行する。このため制御部11は、放電電流値の設定が最高放電電流値であり、且つ、ステップS105で取得した充電率が、第2の範囲の下限値よりも第1の設定値分高い準下限値以上であるか否かを判断する(ステップS109)。
ステップS109で、放電電流値の設定が最高放電電流値であり、且つ、充電率が第2の範囲の準下限値以上であると判断された場合(S109:YES)、充分に放電可能であるから、制御部11は、放電を開始(継続)する(ステップS110)。ステップS110において、充放電回路10にて放電中である場合には、制御部11は放電を継続する。制御部11は処理をステップ119へ戻す。
ステップS109で、放電電流値の設定が最高放電電流値でないか、又は、充電率が準下限値未満であると判断された場合(S109:NO)、制御部11は、放電電流値の設定が最高放電電流値であるか否かを判断する(ステップS111)。
ステップS111において最高放電電流値であると判断された場合(S111:YES)、それまでは放電が十分に可能であったが、充電率が下降中で、準下限値未満であると判断されている。制御部11は、ステップS103で取得した充電率が、下限値未満であるか否かを判断する(ステップS112)。充電率が下限値未満であると判断された場合(S112:YES)、放電電流値を、制限値の中でも最低放電電流値に設定し(ステップS113)、処理をステップS110へ進めて放電を開始(継続)する(S110)。この場合、微量の放電が継続される。制御部11は、処理をステップS119へ戻す。
ステップS112において、充電率が下限値以上であると判断された場合(S112:NO)、放電電流値を、設定されている割合の制限値に設定し(ステップS114)、処理をステップS110へ進めて放電を開始(継続)する(S110)。制御部11は、処理をステップS119へ戻す。
ステップS111において、放電電流値が最高放電電流値でないと判断された場合(S111:NO)、充電電流値が制限値に設定されている。制御部11は、ステップS103で取得した充電率が、下限値に対し、第2の設定値分、即ち10ポイント高い放電基準値以上であるか否かを判断する(ステップS115)。放電基準値以上であると判断された場合(S115:YES)、制御部11は、充電率が高く回復していて充分に放電が可能であるから、放電電流値を、最高放電電流値に設定し(ステップS116)、処理をステップS110へ進めて放電を開始(継続)する(S110)。制御部11は、処理をステップS119へ戻す。
ステップS115において、充電率が放電基準値未満であると判断された場合(S115:NO)、制御部11はそのまま処理をステップS110へ進めて放電を開始(継続)する(S110)。制御部11は、処理をステップS119へ戻す。
ステップS108で上限超でないと判断された場合(S108:NO)、電力供給量が第1の範囲の下限(例えば1.00−0.05kW)未満であって、需要不足であるから、充電を実行する。このため制御部11は、充電電流値の設定が最高充電電流値であり、且つ、ステップS103で取得した充電率が、第2の範囲の上限値よりも第3の設定値分低い、準上限値以下であるか否かを判断する(ステップS121)。
ステップS121で、充電電流値の設定が最高充電電流値であり、且つ、充電率が第2の範囲の準上限値以下であると判断された場合(S121:YES)、充分に充電可能であるから、制御部11は、充電を開始(継続)する(ステップS128)。ステップS128において、充放電回路10にて充電中である場合には、制御部11は充電を継続する。制御部11は、処理をステップS119へ戻す。
ステップS121で、充電電流値の設定が最高充電電流値でないか、又は、充電率が準上限値超過であると判断された場合(S121:NO)、制御部11は、充電電流値の設定が最高充電電流値であるか否かを判断する(ステップS122)。
ステップS122において最高充電電流値であると判断された場合(S123:YES)、それまでは充電が充分に可能であったが、充電率が上昇中で、準上限値超過であると判断されている。制御部11は、ステップS105で取得した充電率が、上限値超過であるか否かを判断する(ステップS123)。充電率が上限値超過であると判断された場合(S123:YES)、充電電流値を、制限値の中でも最低充電電流値に設定し(ステップS124)、充電を開始(継続)する(S128)。この場合、微量の充電が継続される。制御部11は、処理をステップS119へ戻す。
ステップS123において、充電率が上限値以下であると判断された場合(S123:NO)、充電電流値を、設定されている割合の制限値に設定し(ステップS125)、充電を開始(継続)する(ステップS128)。制御部11は、処理をステップS119へ戻す。
ステップS122において、電流値が最高充電電流値でないと判断された場合(S122:NO)、充電電流値が制限値に設定されている。制御部11は、ステップS105で取得した充電率が、上限値に対し、第4の設定値分、即ち10ポイント高い充電基準値以下であるか否かを判断する(ステップS126)。充電基準値以下であると判断された場合(S126:YES)、制御部11は、充電率が低下していて充分に充電が可能であるから、充電電流値を、最高充電電流値に設定し(ステップS127)、充電を開始(継続)する(S128)。制御部11は、処理をステップS119へ戻す。
ステップS126において、充電率が充電基準値超であると判断された場合(S126:NO)、制御部11は、そのまま充電を開始(継続)する(S128)。この場合、制御部11は、処理をステップS119へ戻す。
図4から図6のフローチャートに示した処理は、ステップS119においてSTOP操作が行なわれてステップS191−193の切断シーケンスで終了した。制御部11は、待機状態に遷移したまま、所定の期間(例えば24時間、48時間)以上、充放電が実行されない状態となった場合に、切断シーケンスを実行して終了してもよい。
図7は、制御部11による充電率に応じた制御の概要図である。図7は、充電率と、充電率に応じた充電電流値又は放電電流値の設定との対応を示している。図7では、蓄電装置30の充電率を、0%から100%まで示す。図7の例では、図3に例示した第1のパターンの設定値と対応して、充電率に対する第2の範囲は、下限値が「40」%であって上限値が「90」%である。準下限値は、第1の設定値「5」ポイント分だけ高い45%であり、準上限値は、第3の設定値「5」ポイント分だけ低い85%である。充電率が準上限値から準上限値の中間にある期間は、電流センサSから得られる電流値によって算出される電力供給量が、需要過多を示している場合には、最高放電電流値(例えば、放電規格の100%)で放電が実行される。同期間で需要不足を示している場合には、最高充電電流値(例えば100%)充電が実行される。
充電率が下降して準下限値をきった後は、需要過多であっても制限値(例えば、充放電規格の50%)で放電される。同期間に、需要不足となった場合には、最高充電電流値で充電されてよく、充電率が放電基準値(50%)に回復した場合には、放電電流値も最高放電電流値に設定し直される。
充電率が、準下限値を切った後に制限値で放電され、下限値をきった場合には、放電電流値は最低放電電流値(例えば、充放電規格の0%)に制限される。負荷21群及び連系機器等の動作に迅速に適応するため、DCリレー10a、解列リレー10b及び車両VのDCリレー33をONのまま接続維持するように、通信部12によって車載充放電制御装置32には、充放電中であることを示すメッセージが送信され続けるとよい。
充電率が下限値をきった後に、電流センサSから得られる電流値によって算出される供給電力が需要不足となった場合には、最高充電電流値で充電されてよい。充電率が放電基準値(50%)に回復するまでは、充電中に充電率が下限値以上となったとしても、需要過多となって放電が必要となった場合には、放電電流値は最低放電電流値に設定されたままである。充電率が放電基準値(50%)に回復した場合には、放電電流値も最高放電電流値に設定し直される。
逆に、充電率が上昇して準上限値を超過した後は、需要不足であっても制限値(例えば、充放電規格の50%)で充電される。同期間に、需要過多となった場合には、最高放電電流値で放電されてよく、充電率が充電基準値(50%)に回復した場合には、充電電流値も最高充電電流値に設定し直される。
充電率が、準上限値を超過した後に制限値で充電され、更に上限値を超過した場合には、充電電流値は最低充電電流値(例えば、充放電規格の0%)に制限される。負荷21群及び連系機器等の動作に迅速に適応するため、DCリレー10a、解列リレー10b、及び車両VのDCリレー33をONのまま接続維持するように、通信部12によって車載充放電制御装置32には、充放電中であることを示すメッセージが送信され続けるとよい。
充電率が上限値を超過した後に、電流センサSから得られる電流値によって算出される供給電力が需要過多となった場合には、最高放電電流値で放電されてよい。充電率が充電基準値(50%)に回復するまでは、放電中に充電率が上限値以下となったとしても、需要不足となって充電が必要となった場合には、充電電流値は最低充電電流値に設定されたままである。充電率が充電基準値(50%)に回復した場合には、充電電流値も最高充電電流値に設定し直される。
図7を参照して説明したように、図4から図6のフローチャートに示し処理手順は、設定値に基づいて充放電を制御する処理を含む。設定値は、操作部14における操作画面で設定されてよい。図8は、操作部14における操作画面の一例を示す図である。図8に示すように、操作部14が含むディスプレイには、設定値受付画面140が表示されてよい。図8の例における設定値受付画面140は、充電率の第2の範囲の上限値及び下限値の上昇又は下降を受け付けるオブジェクト141と、決定インタフェース142を含む。また、準上限値又は準下限値、第1から第4の設定値の上昇又は下降を受け付けるオブジェクト143が含まれている。
決定インタフェース142が選択されたことを操作部14にて検知すると、制御部11が、内蔵する不揮発性メモリに設定された設定値を記憶する。このように、第1から第4の設定値は、設定値受付画面140にて設定を受け付けることが可能である。
(変形例1)
上述の第1の実施形態では、充電率に対する第2の範囲は、予め設定されるか、ユーザの操作部14における操作によって記憶された値であった。しかしながら、車両Vの蓄電装置30の特性、及び車載充放電制御装置32の制御特性によって、蓄電装置30の充電上限値及び放電下限値は変化する。つまり、車種によって充放電の制御のふるまいは異なる。
図9は、変形例1において車種によって異なる第1から第4の設定値を特定する処理手順の一例を示すフローチャートである。図9のフローチャートに示す処理手順は、図4から図6のフローチャートに示した処理手順の内、ステップS102とステップS103との間で実行される。
充放電装置1の制御部11は、充放電回路10及び車載充放電制御装置32との間での信号の授受、又は、通信部12を介した通信によるデータの送受信の特性を示すデータを取得する(ステップS201)。
制御部11は、取得したデータに基づいて車両Vの車種を推定する(ステップS202)。ステップS202の車種の推定は、取得したデータが示す値が、車両Vの車種によって異なる充電上限値、放電上限値のいずれに対応するか、を判別する処理に対応する。具体的にはステップS202において制御部11は、予め車種に応じて記憶してあるデータの信号の授受又はデータの送受信の特性を参照し、いずれの車種の特性と合致するかで推定するとよい。
制御部11は、ステップS202で推定した車種に基づいて、ステップS201で取得したデータに基づき、その車種の充電率の上限値及び下限値を特定する(ステップS203)。
制御部11は、特定した上限値及び下限値に基づいて、第1から第4の設定値を作成し(ステップS204)、内蔵の不揮発性メモリに記憶し(ステップS205)、車種に応じた設定値の設定を終了する。ステップS204において制御部11は例えば、上限値及び下限値の中間値を特定し、第3の設定値を上限値と中間値との間の差分の半分の値として作成し、第4の設定値を第3の設定値の更に半分として作成する。制御部11は、上限値及び下限値との差分に応じて、離散的に設定されている3,5,10といった数値から選択してもよい。
変形例1では、車種に応じた充電率の第2の範囲を適切に設定することにより、車載蓄電池の充電率を一定の範囲に保つための設定値を適切に設定することができる。
(変形例2)
第1の実施形態において制御部11は、図7に示したように、充電率が、上限値よりも少し(例えば5%)低い準上限値以上となった場合には、充電電流値を50%に制限し、充電率が上限値以上となって初めて、充電電流値を最低充電電流値(0%)とした。制御部11は、充電率が、下限値よりも少し(例えば5%)高い準下限値以下となった場合には、放電電流値を50%に制限し、充電率が下限値未満となって初めて、放電電流値を最低放電電流値(0%)とした。変形例2では制御部11は、制限値を50%ではなく、最低放電電流値又は最低充電電流値(0%)とする。
図10から図12は、変形例2における制御処理手順の一例を示すフローチャートである。図10から図12のフローチャートに示す処理手順の内、図4から図6のフローチャートに示した手順と共通する手順については同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
需要過多で(S108:YES)、放電電流値の設定が最高放電電流値であり且つ充電率が準下限値未満であると判断された場合(S109:NO、S111:YES)、接続されている車両Vの蓄電装置30の充電率が下降中で、準下限値未満に突入した状態である。負荷21群からの需要が過多であるからといって電力系統Eからの供給を増やさないために車両Vの蓄電装置30から放電を続けると、充電率が低下し過ぎてしまう。変形例2の制御部11は、充電率が下限値まで到達する前に、放電電流値を、制限値の中でも最低放電電流値、即ち出力ゼロに設定し(S113)、処理をステップS110へ進めて放電を開始(継続)する(S110)。制御部11は、その後充電率が放電基準値以上へ回復するまでは、出力ゼロで放電するか、若しくは、需要過多を助長させない程度に制限値での充電を実行する。
準下限値は、第1の実施形態同様に、例えば5%である。これにより、充電率が下限値よりも5%高い準下限値以下となった時点で最低限での放電に抑制される。充放電装置1は、最低放電電流値であっても出力を維持し、DCリレー10a、解列リレー10b及び車両VのDCリレー33をONのまま接続を維持することができる。ただし、充電率が下限値まで到達してしまった場合、制御部11は、車両側DCリレー33、充放電装置1のDCリレー10a及び解列リレー10bをOFFとし、車両Vの車載充放電制御装置32との接続を切断し、コネクタロックはONのまま待機してもよい。
また、ステップS108で供給電力が上限超過でないと判断された場合(S108:NO)、電力系統Eからの供給量が第1の範囲の下限未満であって需要不足であることから、制御部11は充電を試みる。充電電流値の設定が最高充電電流値であり、充電率が準上限値超過であると判断された場合(S121:NO、S122:YES)、車両Vの蓄電装置30の充電率は、上昇中で準上限値を超過した状態に突入しており、これ以上充電を継続することは困難である。そこで変形例2における制御部11は、充電率が上限値に到達する前に、充電電流値を、最低充電電流値、即ち出力ゼロに設定し(S124)、充電を開始(継続)する(S128)。制御部11は、その後充電率が充電基準値以下となるまで出力ゼロで充電するか、若しくは、需要不足を助長させない程度に制限値での放電を実行する。
準上限値は、第1の実施形態同様に、例えば5%である。これにより、充電率が上限値よりも少し(例えば5%)低い準上限値超過となった時点で最低限での充電に抑制される。充放電装置1は、最低充電電流値であっても出力を維持し、DCリレー10a、解列リレー10b及び車両VのDCリレー33をONのまま接続を維持することができる。なお、一定期間(例えば24時間)以上、接続が維持されたまま待機している場合、充放電装置1の制御部11は、一旦車両Vの車載充放電制御装置32との通信接続を切断するとよい。車両V側で一定期間毎に制御データ等をリフレッシュする必要がある場合に、接続が長期間維持され続けて車両V内の制御ができなくなることを回避するためである。この長期間の通信接続状態のリセットについては、上述の実施形態及び下記に説明する他の実施形態でも同様である。
(変形例3)
変形例3では、電力系統Eからの電力供給を第1の範囲内に保つ制御を開始するに際し、まず蓄電装置30を放電が可能な状態にする。図13は、変形例3における制御処理手順の一例を示すフローチャートである。図13のフローチャートに示す処理手順は、第1の実施形態の図4のフローチャートに代替されるものであり、他の処理手順は図5及び図6のフローチャートに示した手順と同一である。変形例2の図10のフローチャートに代替されてもよい。
制御部11は、待機状態に遷移すると(S104)、準備処理を実行してから(S130)、STOP操作が行なわれるまで(S119:YES)、充電率を上限と下限の間の値に維持しつつ、電力系統Eからの供給電力が第1の範囲内に収まるように制御する。
図14は、準備処理の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。図14のフローチャートに示す処理手順は、図13のフローチャートにおけるステップS130の詳細に対応する。
制御部11は、充電率を取得し(ステップS301)、充電率が下限値以下であるか否かを判断する(ステップS302)。ステップS302において制御部11は、下限値ではなく第1の設定値分だけ高い準下限値以下であるか否かを判断してもよい。
充電率が下限値を超過していると判断された場合(S302:NO)、制御部11は、準備処理を終了し、処理を図13のフローチャートのステップS191へ処理を進める。
充電率が下限値以下であると判断された場合(S302:YES)、制御部11は、放電不可を出力する(ステップS303)。
ステップS303において制御部11は、操作部14のディスプレイにメッセージを出力してもよい。制御部11は例えば、放電及び充電が可能な程度までに充電すべき旨のメッセージを出力するとよい(図15参照)。制御部11は、操作部14のディスプレイの最前面にアラート画面を出力し、放電不可の状態を示す画像及び/又はテキストを表示させてもよい。制御部11は、メッセージ、画像、テキストを点滅させるか、又は、色調を反転させて強調するとよい。制御部11は、充電率及び放電が可能となる下限値(放電基準値)を表示させてもよい。制御部11は、電力系統Eからの供給電力に対する現状の過剰分(過不足)を表示させてもよい。制御部11は、供給電力の目標(第1の範囲)を併せて表示させてもよい。
制御部11は、充電が可能な状態であるか否かを判断する(ステップS304)。ステップS304において制御部11は、電流センサSから供給電力を取得し、供給電力に基づいて需要過多であると判断される場合、充電が可能な状態ではないと判断する。制御部11は、供給電力が第1の範囲の上限よりも高い場合に需要過多であると判断してもよいし、供給電力が第1の範囲の上限(1.05kW)よりも高い、例えば更に0.05kW高い、1.1kW以内である場合は需要過多でないと判断してもよい。
充電が可能な状態でないと判断された場合(S304:NO)、制御部11は、充放電不可を出力し(ステップS305)、図13のフローチャートのステップS191へ処理を進め、車両Vとの間の通信接続を切断して処理を終了する。充電率が下限値以下であって、蓄電装置30が放電できない状態であるため、最低限充電したい状態であるが、需要が過多であるために充電も放電もできない。このような場合、制御部11は充電も放電もできない事態であるとして車両Vとの通信接続を切断し、STOPボタンが押下されるまではコネクタロックはONとして待機する。
充電が可能な状態であると判断された場合(S304:YES)、制御部11は、車両Vの蓄電装置30への充電を開始(継続)する(ステップS306)。ステップS306において制御部11は、需要過多としないため、充電電流値を制限値(例えば50%)とするとよい。需要過多とならない場合、制御部11は、最高充電電流値(定格最大)としてもよい。
制御部11は、充電の結果、充電率が放電基準値以上、又は目標充電率以上(例えば、放電基準値及び充電基準値の中間値)に達したか否か判断する(ステップS307)。充電率が放電基準値以上又は目標充電率以上に達していないと判断された場合(S307:NO)、制御部11は処理をステップS306へ戻して充電を継続する。
充電率が放電基準値以上又は目標充電率以上に達したと判断された場合(S307:YES)、制御部11は、準備処理を終了し、図13のフローチャートのステップS119へ処理を戻す。
これにより、電力系統Eからの供給電力が第1の範囲内に収まるようにする充放電装置1による自律的制御を、そもそも開始できないという状態を回避できる。
図15は、放電不可の出力例を示す。図15は、操作部14のディスプレイに、「充放電ができない」旨のテキストを出力した例を示す。図15の例では、第1の範囲内に収まる程度まで充電をしてから充放電装置1の運転をするように促すメッセージがテキストで出力されている。テキストは、通常白地に黒色(又は青)のテキストを表示させている場合、地の色と文字の色とを反転させたり、またこれを点滅させたりしてもよい。図15の例では、放電ができない理由として充電率が下限値以下であることを併せて表示させている。これにより、ユーザは、放電ができない、つまり自律制御ができない状態であることを認識することができる。逆に、充電ができない場合に同様にして「充電ができない」旨のテキストが出力されることにより、ユーザは状態を把握することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態の充放電装置1は、接続される車両Vが、放電が不可能な充電専用車両であっても対応可能とする。第2の実施形態における充放電システム200の構成は、以下に示す充放電装置1の制御処理手順以外は、第1の実施形態の構成と同様であるから、共通する構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図16及び図17は、第2の実施形態における充放電装置1の制御処理手順の一例を示すフローチャートである。図16及び図17のフローチャートに示す処理手順は、第1の実施形態の図4のフローチャートに示した処理手順に代替されるものである。変形例2の図10のフローチャートに代替されてもよい。
制御部11は、車両Vとの通信接続を確立し(S102)、待機状態へ遷移した後(S104)、車両Vの車種を特定し(ステップS141)、充電専用車であるか否かを判断する(ステップS142)。充電専用車でないと判断された場合(S142:NO)、ステップS119以降の処理を実行する。
ステップS141及びS142において制御部11は、車種の特定及び充電専用車であるか否かを、車両Vの車載充放電制御装置32から、通信部12を介して受信するデータに含まれる情報から判断できる。制御部11はステップS141において、車両Vとの間の接続手順の経過における特性から判断してもよい。
充電専用車であると判断された場合(S142:YES)、制御部11は、ステップS401(図17のフローチャート)へ進めて充電専用車である場合の処理を実行する。なお、充電専用車であると判断された場合(S142:YES)、充放電装置1の運転対象ではないとメッセージを出力し、処理をステップS191以降へ進めて切断してもよい。
制御部11は、STOP操作が行なわれたか否かを判断する(ステップS401)。
STOP操作が行なわれたと判断された場合(S401:YES)、制御部11は、充電専用処理を終了し、図16のフローチャートのステップS191以降へ、処理を戻す。
STOP操作が行なわれていないと判断された場合(S401:NO)、制御部11は、充電率を取得し(ステップS402)、供給電力を取得する(ステップS403)。
制御部11は、電力系統Eからの供給電力が第1の範囲の下限以下であるか否かを判断する(ステップS404)。
下限以下でないと判断された場合(S404:NO)、供給電力は、第1の範囲内であるか需要過多な状態である。充電を実行すると場合によっては需要過多を助長させるので、制御部11は充電を実行中は充電を停止し(ステップS405)、処理をステップS401へ戻す。供給電力が、第1の範囲の上限を超過して需要過多の状況であっても、車両Vは充電専用車であるから、蓄電装置30から負荷21群への電力供給はできない。
下限以下であると判断された場合(S404:YES)、需要不足であるから制御部11は充電を実行する。制御部11は、充電電流値が最高充電電流値に設定されており、且つ充電率が準上限値以下の状態であるか否かを判断する(ステップS406)。
ステップS406で、充電電流値が最高充電電流値であって、且つ充電率が準上限値以下の状態であると判断された場合(S406:YES)、蓄電装置30への充電を継続できる。制御部11は、最高充電電流値のまま充電を開始する(ステップS407)。既に充電中である場合、制御部11は充電を継続し(S407)、処理をステップS401へ戻す。
ステップS406で、充電電流値が最高充電電流値であって且つ充電率が準上限値以下でないと判断された場合(S406:NO)、制御部11は、充電電流値が最高充電電流値であるか否かを判断する(ステップS408)。
ステップS408で最高充電電流値であると判断された場合(S408:YES)、最高充電電流値での充電中に充電率が上昇して準上限値を超過した状態である。制御部11は、充電率が更に上限値を超過しているか否かを判断する(ステップS409)。
ステップS409で超過していると判断された場合(S409:YES)、制御部11は、充電電流値を最低充電電流値(例えば出力ゼロ)に設定し(ステップS410)、処理をステップS407へ進めて充電を継続する。
ステップS409で充電率が上限値を超過していないと判断された場合(S409:NO)、制御部11は、充電電流値を所定の割合の制限値に設定し(ステップS411)、処理をステップS407へ進めて充電を継続する。
ステップS408で最高充電電流値でないと判断された場合(S408:NO)、既に出力ゼロ又は制限値で充電を継続している状態である。制御部11は、充電率が充電基準値以下となったか否かを判断する(ステップS412)。ステップS412で充電率が充電基準値以下となっていないと判断された場合(S412:NO)、制御部11は、処理をステップS407へ進めて出力ゼロ、又は制限値での充電を継続する。
ステップS412で充電率が充電基準値以下となったと判断された場合(S412:YES)、充電電流値を最高充電電流値へ戻して(ステップS413)、処理をステップS407へ進めて充電を継続する。
このように、充電専用車である車両Vに対しても、電力系統Eからの電力供給の範囲を第1の範囲内に自律的に収めるような処理が可能である。
(変形例)
車両Vが充電専用車である場合、以下のような処理でもよい。図18は、車両Vが充電専用車である場合の制御処理手順の他の一例を示すフローチャートである。図18のフローチャートに示す処理手順は、図17のフローチャートに示した処理手順に代替される。図18のフローチャートに示す処理手順の内、図17のフローチャートと共通する手順については同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
制御部11は、車両Vの車載充放電制御装置32から送信される充電電流指令値を取得し(ステップS421)、STOP操作がされたか否かを判断する(S401)。
STOP操作が行なわれていないと判断された場合(S401:NO)、制御部11は、充電率を取得し(S402)、供給電力を取得する(S403)。制御部11は、電力系統Eからの供給電力が第1の範囲の下限以下であるか否かを判断する(S404)。
下限以下でないと判断された場合(S404:NO)、充電を行なわず(S405)、処理をステップS401へ戻す。この場合、処理を図16のフローチャートにおけるステップS119へ進め、車両Vとの間の通信接続を切断してもよい。
下限以下であると判断された場合(S404:YES)、需要不足であるから制御部11は充電を実行する。制御部11は、ステップS403で取得した供給電力に基づき、充電電流指令値で充電が可能か否かを判断する(ステップS422)。ステップS422で制御部11は例えば、供給電力と第1の範囲の中央値又は上限値との差分が所定の電力量以上か否かを判断する。第1の範囲を超えないのであれば、充電電流指令値で充電すべきである。
ステップS422で充電可能と判断された場合(S422:YES)、制御部11は、充電電流値を充電電流指令値に設定し(ステップS423)、充電を開始する(ステップS424)。ステップS424において既に充電中である場合、制御部11は充電を継続し、処理をステップS401へ戻す。
ステップS422で充電不可と判断された場合(S422:NO)、制御部11は、ステップS403で取得した供給電力に基づき、充電電流指令値から所定値分だけ低い電流値で充電が可能か否かを判断する(ステップS425)。ステップS425で制御部11は例えば、供給電力と第1の範囲の中央値又は上限値との差分を考慮して判断する。充電電流指令値から所定値分だけ低い電流値で充電した場合に、電力供給が第1の範囲の上限値を超過してしまう場合、制御部11は充電不可と判断する。
ステップS425で充電可能と判断された場合(S425:YES)、制御部11は、充電電流値を充電電流指令値から所定値分だけ低い電流値(充電電流指令値−α)に設定し(ステップS426)、充電を開始する(S424)。
ステップS425で充電不可と判断された場合(S425:NO)、制御部11は、処理をステップS405へ進め(ステップS405)、処理をステップS401へ戻す。
このように充電電流指令値を送信する充電専用車である車両Vに対しても、電力系統Eからの電力供給の範囲を第1の範囲内に自律的に収めるような処理が可能である。
(第3の実施形態)
蓄電装置30はあくまで車両Vの駆動用の蓄電池であるため、車両Vの蓄電装置30の充電率を充分な高さに維持することが望ましい。蓄電装置30に対し、上限下限の間の大きな幅で充放電を繰り返すと劣化を助長する可能性があるから、できるだけ、目標となる充電率付近を維持することが好ましい。第3の実施形態では、充放電装置1は、電力系統Eからの供給電力を第1の範囲に収まるようにしつつ、蓄電装置30の充電率が目標値付近で推移するように制御する。
第3の実施形態における充放電システム200の構成は、以下に示す充放電装置1の制御処理手順以外は、第1の実施形態の構成と同様であるから、共通する構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
充電率の目標値は、充電率に対する第2の範囲における中央値である。図3に示した設定値の例を挙げれば、第1のパターンであっても第2のパターンであっても、目標値は65%である。
図19は、第3の実施形態における制御処理手順の一例を示すフローチャートである。図19に示す処理手順の内、第1の実施形態における図4のフローチャートに示した処理手順と共通する手順については同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
ステップS107で電力系統Eからの供給電力が第1の範囲内でないと判断され(S107:NO)、且つ、供給電力が上限超過していると判断された場合(S108:YES)、制御部11は、電力系統Eからの供給電力を下げるべく、蓄電装置30からの放電制御を実行する(ステップS151)。
ステップS107で電力系統Eからの供給電力が第1の範囲内でないと判断され(S107:NO)、且つ、供給電力が上限超過していないと判断された場合(S108:NO)、制御部11は、電力系統Eからの供給電力を上げるべく、蓄電装置30への充電制御を実行する(ステップS161)。
制御部11は、放電制御を実行した後(S151)、又は、充電制御を実行した後(S161)、処理をステップS119へ戻し、STOP操作がされるまで継続する。
図20は、放電制御処理手順の一例を示すフローチャートである。図20のフローチャートは、図19のフローチャートにおけるステップS151の詳細に対応する。制御部11は、電力系統Eからの供給電力が過大な状態(負荷21群からの需要が過多)である場合に以下の処理を実行する。
制御部11は、放電しようとしているにも関わらず、充電率が下限値未満であるか否かを判断する(ステップS501)。充電率が下限値未満であると判断された場合(S501:YES)、放電はできないので、制御部11は、放電電流値を最低放電電流値、即ち出力ゼロに設定する(ステップS502)。この場合、充放電装置1は車両Vとの間で、放電中であるとして接続した状態を維持し、供給電力が過大でない期間になると速やかに充電ができるようにするとよい。ステップS502において制御部11は、充電率が下限値未満であって放電が不可の状態であることを出力するようにしてもよい。
制御部11は、設定した放電電流値によって放電を開始し(ステップS503)、処理を図19のフローチャートのステップS119へ戻す。既に放電中である場合、制御部11はステップS503において放電を継続する。
ステップS501で充電率が下限値以上であると判断された場合(S501:NO)、制御部11は、充電率が目標充電率以上であるか否かを判断する(ステップS504)。
充電率が目標充電率以上であると判断された場合(S504:YES)、制御部11は、放電電流値を最高放電電流値に設定し(ステップS505)、処理をステップS503へ進めて放電を開始、又は継続する。
充電率が目標充電率未満であると判断された場合(S504:NO)、制御部11は、充電率に応じて放電電流値を設定し(ステップS506)、処理をステップS503へ進めて放電を開始、又は継続する。ステップS506において制御部11は、充電率に対して線形に放電電流値を決定する。充電率が目標充電率に近いほど放電電流値を高く設定し、充電率が下限値に近いほど放電電流値を低く設定する。充電率が下限値である場合を0%、充電率が目標充電率である場合を100%とし、下限値と目標充電率との間の中間値に対して線形に、あるいは非線形に割り振った比率を最高放電電流値に掛けて設定してもよい。例えば下限値が図3に示した第1のパターンに従って40%、目標充電率が65%である場合、充電率が60%であれば、制御部11は放電電流値を最高放電電流値の80%と設定し、充電率が50%であれば、制御部11は放電電流値を最高放電電流値の40%と設定する。制御部11は、充電率と目標充電率との差分に対応する割合分だけ、最高放電電流値から差し引いて放電電流値を設定してもよい。差分が5%である場合、放電電流値を最高放電電流値の95%に設定し、差分が20%である場合、放電電流値を最高放電電流値の80%に設定する。
図21は、充電制御処理手順の一例を示すフローチャートである。図21のフローチャートは、図19のフローチャートにおけるステップS161の詳細に対応する。制御部11は、電力系統Eへの需要が不足している場合(負荷21群からの需要が不足)に以下の処理を実行する。
制御部11は、充電しようとしているにも関わらず、充電率が上限値超過であるか否かを判断する(ステップS601)。充電率が上限値超過であると判断された場合(S601:YES)、充電はできないので、制御部11は、充電電流値を最低充電電流値、即ち出力ゼロに設定する(ステップS602)。この場合、充放電装置1は車両Vとの間で充電中の状態を維持し、他の負荷からの需要が増えると速やかに放電ができるようにするとよい。
制御部11は、設定した充電電流値によって充電を開始し(ステップS603)、処理を図19のフローチャートのステップS119へ戻す。既に充電中である場合、制御部11はステップS603において充電を継続する。
ステップS601で充電率が上限値以下であると判断された場合(S601:NO)、制御部11は、充電率が目標充電率以下であるか否かを判断する(ステップS604)。
充電率が目標充電率以下であると判断された場合(S604:YES)、制御部11は、充電電流値を最高充電電流値に設定し(ステップS605)、処理をステップS603へ進めて充電を開始、又は継続する。
充電率が目標充電率超であると判断された場合(S604:NO)、制御部11は、充電率に応じて充電電流値を設定し(ステップS606)、処理をステップS603へ進めて充電を開始、又は継続する。ステップS606において制御部11は、充電率に対して線形に充電電流値を決定する。充電率が目標充電率に近いほど充電電流値を高く設定し、充電率が下限値に近いほど放電電流値を低く設定する。充電率が下限値である場合を0%、充電率が目標充電率である場合を100%とし、下限値と目標充電率との間の中間値に対して線形に、あるいは非線形に割り振った比率を最高放電電流値に掛けて設定してもよい。下限値が図3に示した第1のパターンに従って40%、目標充電率が65%である場合、充電率が60%であれば、制御部11は放電電流値を最高放電電流値の80%と設定し、充電率が50%であれば、制御部11は放電電流値を最高放電電流値の40%と設定する。制御部11は、充電率と目標充電率との差分に対応する割合分だけ、最高放電電流値から差し引いて放電電流値を設定してもよい。差分が5%である場合、放電電流値を最高放電電流値の95%に設定し、差分が20%である場合、放電電流値を最高放電電流値の80%に設定する。
第3の実施形態における充放電制御により、車両Vの蓄電装置30の充電率は、車両Vの本来の目的である走行に支障がない範囲に維持されながら、電力系統Eからの電力をできる限り一定とするように充放電がされる。
(第4の実施形態)
図22は、第4の実施形態の充放電装置1を含む充放電システム200の概要図である。第4の実施形態の充放電システム200は、家庭に配置されている負荷21、発電装置23、上位装置24、及び、充放電装置1を含む。上位装置24が追加されている点が、第1から第3の実施形態と異なる。上位装置24は、充放電装置1の筐体内部に設けられていてもよい。
上位装置24は、所謂EMSであって、電力系統Eからの負荷21への電力の授受、及び発電装置23からの負荷21群への電力授受を制御する。上位装置24は、充放電装置1と通信線CLにより接続されている。上位装置24と充放電装置1との間の通信は通信線CLに限らず、無線通信であってもよいし、電力線通信で実現されてもよい。上位装置24は、通信線CL又は信号線により、分電盤28と接続されている(図示を省略)。上位装置24は、分電盤28を介して負荷21群への配電を制御することができる。上位装置24は、発電装置23の制御部と接続され、発電量を制御してもよい。
充放電システム200は他の一例では、公共施設である駐車場に設置された蓄電装置22、発電装置23、上位装置24、及び、充放電装置1を含む。この一例においても電力系統Eからの供給電力、発電装置23で発電された電力は電力線PLにより、分電盤28を介して蓄電装置22と、充放電装置1を介して接続される車両Vとへ分岐される。
図23は、第4の実施形態の充放電装置1及び車両Vの接続構成を示すブロック図である。第4の実施形態における充放電装置1の構成は、上位装置24と接続される上位通信部16が備えられている点を除いて、第1の実施形態での構成と同様である。共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
上位通信部16は、上位装置24と通信線CLを介して通信を実現する。上位通信部16は例えば、Ethernet(登録商標)に準拠した通信線CLに対応する通信モジュールであってもよいし、ECHONET /ECHONETLite (登録商標)対応の通信線CLに対応する通信モジュールであってもよい。上位通信部16は、PLCにより通信を実現してもよい。
図24から図26は、第4の実施形態における充放電装置1の制御処理の一例を示すフローチャートである。図24から図26のフローチャートに示す処理手順の内、図4から図6のフローチャートに示した処理手順と共通する手順については、同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
第4の実施形態において、電力系統Eからの供給電力が第1の範囲の上限を超過しており(S108:YES)、充電率が準下限値未満であると判断された場合(S109:NO)、需要過多であるから放電したくとも蓄電装置30の充電率が不足している状態である。そこで制御部11は、充電率が下限値未満である場合(S112:YES)、放電電流値を最低放電電流値に設定しなければならないので、上位装置24に対し、需要減のリクエストを通知する(ステップS701)。制御部11は、電力系統Eからの供給電力と第1の範囲の上限との差分量を共に通知してもよい。
ステップS112において充電率が下限値未満でないと判断された場合であっても(S112:NO)、放電電流値を制限値に設定しなければならないので、上位装置24に対し、需要減のリクエストを通知する(ステップS702)。ステップS702におけるリクエストは、ステップS701よりも必要度を低減させてもよい。
需要減のリクエストが上位装置24へ通知されると、上位装置24は、充放電装置1によって車両Vの蓄電装置30を用いて電力系統Eからの供給電力を第1の範囲内に収めることができないことを認識し、過多となった需要を低減させる制御を実行する。上位装置24は、負荷21群の消費電力をセーブする。上位装置24は、発電装置23による発電量を抑制している場合、増加させて負荷21群へ供給して電力系統Eからの電力を低減させてもよい。上位装置24は同様に、蓄電装置22から負荷21群へ電力を供給して電力系統Eからの電力を低減させてもよい。
第4の実施形態において、電力系統Eからの供給電力が第1の範囲外であって上限を超過しておらず(S107:NO、S108:NO)、充電率が準上限値を超過している場合(S121:NO)、需要不足であるから充電したくとも蓄電装置30の充電率が高すぎる状態である。そこで制御部11は、充電率が上限値超過である場合(S123:YES)、充電電流値を最低充電電流値に設定しなければならないので、上位装置24に対し、需要増のリクエストを通知する(ステップS801)。制御部11は、電力系統Eからの供給電力と第1の範囲の下限との差分量を共に通知してもよい。
ステップS123において充電率が上限値超過でないと判断された場合であっても(S123:NO)、充電電流値を制限値に設定しなければならないので、上位装置24に対し、需要増のリクエストを通知する(ステップS802)。ステップS802におけるリクエストは、ステップS801よりも必要度を低減させてもよい。
需要増のリクエストが上位装置24へ通知されると、上位装置24は、充放電装置1によって車両Vの蓄電装置30を用いて電力系統Eからの供給電力を第1の範囲内に収めることができないことを認識し、不足している需要を増加させる制御を実行する。上位装置24は、負荷21群の消費電力を上昇させる。上位装置24は、発電装置23による発電量を抑制してもよい。上位装置24は同様に、蓄電装置22の充電電力を増加させてもよい。
第4の実施形態ではこのように、上位装置24に充放電制御を任せずに、充放電装置1が、電力供給量の自律制御による電力の過不足分を上位装置24へ通知し、上位装置24による制御を補助的に利用する。上位装置24で全体を制御する構成よりも、充放電装置1で充放電を制御しつつ過不足分を通知する方が、電力需要に対する応答性がよい。
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、公共の駐車場に設置される例において充放電システム200が複数の充放電装置1を含み、複数の充放電装置1夫々に車両Vが接続される場合、複数の充放電装置1で互いに、充放電制御を調整して電力系統Eからの供給電力を第1の範囲内に保つ。
第5の実施形態における充放電システム200の構成は、充放電装置1の制御処理の詳細な手順以外は、第1〜第4の実施形態の構成と同様であるから、共通する構成については共通する符号を付して詳細な説明を省略する。
第5の実施形態では、複数の充放電装置1が互いに通信するので、充放電装置1は夫々、第4の実施形態同様に、上位通信部16を備える。充放電装置1の制御部11は、上位通信部16を介して互いにデータの送受信が可能である。
第5の実施形態において複数の充放電装置1の内、1つの充放電装置1がマスタに設定されており、他の充放電装置1はスレーブに設定されている。マスタであるか、スレーブであるかは、各制御部11のメモリに予め記憶される。スレーブに設定される充放電装置1の制御部11は、供給電力を算出するための電流を測定する電流センサSと接続されていなくともよく、電力系統Eからの供給電力を取得しない。
図27は、第5の実施形態における制御処理手順の一例を示すフローチャートである。第5の実施形態におけるマスタの充放電装置1が、図27のフローチャートに示す処理手順を実行し、適宜、スレーブの充放電装置1へ指示する。図27のフローチャートに示す処理手順の内、第3の実施形態の図19のフローチャートに示した処理手順と共通する手順については同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
マスタの充放電装置1の制御部11は、STOP操作がされていないと判断された場合(S119:NO)、充電率を取得する処理をスキップして電流センサSから電力系統Eからの供給電力を取得する(S106)。制御部11は、取得した電力供給が第1の範囲内であるか否かを判断する(S107)。マスタの充放電装置1の制御部11は、電力供給が第1の範囲外であって(S107:NO)、上限超過であると判断された場合には(S108:YES)、放電制御を実行する(ステップS152)。上限超過でなく、即ち、下限未満であると判断された場合には(S108:NO)、充電制御を実行する(ステップS162)。そしてマスタの充放電装置1は、複数の充放電装置1で協調して充電制御及び放電制御を夫々実行する。以下、充電制御処理と放電制御処理とに分けて説明する。
図28は、第5の実施形態における放電制御処理の一例を示すフローチャートである。図28のフローチャートに示す処理手順は、図27のフローチャートにおけるステップS152の処理手順に対応する。
マスタの充放電装置1の制御部11は、自身に接続している車両Vの車載充放電制御装置32から、車両Vの蓄電装置30の充電容量及び充電率(SOC)を取得する(ステップS511)。制御部11は、スレーブの充放電装置1に対し、各々に接続している車両Vの蓄電装置30の充電容量及び充電率(SOC)を上位通信部16から問い合わせる(ステップS512)。
スレーブの充放電装置1は、マスタの充放電装置1からの充電容量及び充電率の問い合わせを上位通信部16から受けると、自身に接続している車両Vの車載充放電制御装置32から、車両Vの蓄電装置30の充電容量及び充電率(SOC)を取得する。スレーブの充放電装置1の制御部11は、取得した充電容量及び充電率をマスタの充放電装置1へ応答する。
制御部11は、問い合わせに対して他の充放電装置1から他の車両Vの蓄電装置30の充電容量及び充電率(SOC)を取得する(ステップS513)。
制御部11は、自身を含む複数の充放電装置1に対し、下限SOCを各算定する(ステップS514)。ステップS514において制御部11は、車両V及び充放電装置1の組み合わせ毎に、車両Vで設定されている放電下限充電率と、充放電装置1で設定されている放電終了容量と比較し、大きい方を下限SOCとして算定する。
制御部11は、複数の充放電装置1夫々の、放電可能電池残容量を算出する(ステップS515)。ステップS515において制御部11は、複数の充放電装置1夫々について、現在の対応する車両Vの蓄電装置30の充電率(SOC)から、ステップS514で算定した下限SOCを差し引く。ここで現在の充電率と下限SOCとの差分が0(ゼロ)以下になる場合、制御部11は放電可能電池残容量を0(ゼロ)と算出する。制御部11は、各充放電装置1について対応する車両Vの電池総容量に、差分を乗算する。放電可能電池残容量は例えば以下のように算出される。放電可能電池残容量=電池総容量×{現在の充電率(%)−下限SOC(%)}/100
ステップS515の放電可能電池残容量の算出に代替して制御部11は、複数の充放電装置1夫々の放電可能電池残率を算出してもよい。放電可能電池残率は、現在の充電率から、下限SOCを差し引いた差分である。放電可能電池残率は例えば以下のように算出される。放電可能電池残率=現在の充電率(%)−下限SOC(%)
制御部11は、複数の充放電装置1夫々について算出した放電可能電池残容量の互いの比を算出する(ステップS516)。充放電装置1が2つである場合、制御部11は、[第1の充放電装置1の放電可能電池残容量]:[第2の充放電装置1の放電可能電池残容量]を算出する。
制御部11は、算出された比で、複数の充放電装置1の放電電流値を設定する(ステップS517)。これにより、放電余力がある蓄電装置30程に、その蓄電装置30に対する放電電流値が高くなるように設定される。
制御部11は、設定した放電電流値を、対応する充放電装置1夫々へ通知し(ステップS518)、自身に接続されている車両Vの蓄電装置30への放電電流値を設定し(ステップS519)、放電を開始する(ステップS520)。ステップS520において制御部11は、充放電回路10にて放電中である場合には放電を継続する。制御部11は処理を図27のフローチャートにおけるステップ119へ戻す。
図29は、第5の実施形態における充電制御処理の一例を示すフローチャートである。図29のフローチャートに示す処理手順は、図27のフローチャートにおけるステップS162の処理手順に対応する。
マスタの充放電装置1の制御部11は、自身に接続している車両Vの車載充放電制御装置32から、車両Vの蓄電装置30の充電容量及び充電率(SOC)を取得する(ステップS611)。制御部11は、スレーブの充放電装置1に対し、各々に接続している車両Vの蓄電装置30の充電容量及び充電率(SOC)を上位通信部16から問い合わせる(ステップS612)。
スレーブの充放電装置1は、マスタの充放電装置1からの充電容量及び充電率の問い合わせを上位通信部16から受けると、自身に接続している車両Vの車載充放電制御装置32から、車両Vの蓄電装置30の充電容量及び充電率(SOC)を取得する。スレーブの充放電装置1の制御部11は、取得した充電容量及び充電率をマスタの充放電装置1へ応答する。
制御部11は、問い合わせに対して他の充放電装置1から他の車両Vの蓄電装置30の充電容量及び充電率(SOC)を取得する(ステップS613)。
制御部11は、自身を含む複数の充放電装置1に対しそれぞれについて、上限SOCを算定する(ステップS614)。ステップS614において制御部11は、車両V及び充放電装置1の組み合わせ毎に、車両Vで設定されている充電上限充電率と、充放電装置1で設定されている充電終了容量と比較し、小さい方を上限SOCとして算定する。
制御部11は、複数の充放電装置1夫々の、充電可能電池残容量を算出する(ステップS615)。ステップS615において制御部11は、複数の充放電装置1夫々について、ステップS614で算定した上限SOCから、現在の対応する車両Vの蓄電装置30の充電率(SOC)を差し引く。ここで上限SOCと現在の充電率との差分が0(ゼロ)以下になる場合、制御部11は充電可能電池残容量を0(ゼロ)と算出する。制御部11は、各充放電装置1について対応する車両Vの電池総容量に、差分を乗算する。充電可能電池残容量は例えば以下のように算出される。充電可能電池残容量=電池総容量×{上限SOC(%)−現在の充電率(%)}/100
ステップS615の放電可能電池残容量の算出に代替して制御部11は、複数の充放電装置1夫々の充電可能電池残率を算出してもよい。充電可能電池残率は、上限SOCから現在の充電率を差し引いた差分である。充電可能電池残率は例えば以下のように算出される。充電可能電池残率=上限SOC(%)−現在の充電率(%)
制御部11は、複数の充放電装置1夫々について算出した充電可能電池残容量の互いの比を算出する(ステップS616)。充放電装置1が2つである場合、制御部11は、[第1の充放電装置1の充電可能電池残容量]:[第2の充放電装置1の充電可能電池残容量]を算出する。
制御部11は、算出された比で、複数の充放電装置1の充電電流値を設定する(ステップS617)。これにより、充電余力がある蓄電装置30程に、この蓄電装置30への充電電流値が高く設定される。
制御部11は、設定した充電電流値を、対応する充放電装置1夫々へ通知し(ステップS618)、自身に接続されている車両Vの蓄電装置30への充電電流値を設定し(ステップS619)、充電を開始する(ステップS620)。ステップS620において制御部11は、充放電回路10にて充電中である場合には充電を継続する。制御部11は処理を図27のフローチャートにおけるステップ119へ戻す。
第5の実施形態において充放電装置1は、上述したように互いの過不足分を補うように
した。しかしながら、マスタの充放電装置1が、第4の実施形態にて示した処理を実行し、過不足分に応じたリクエストを、上位装置24ではなく、スレーブの充放電装置1へ通知するようにしてもよい。マスタの充放電装置1が電力供給量の過不足分を算出し、接続されている車両Vの台数で過不足分を割って自身及びスレーブの充放電装置1へ通知し、各々の充放電装置1で、台数で除算した過不足分を補うように、且つ、車両Vの充電率が目標充電率付近で推移するように自律的に充放電してもよい。
マスタの充放電装置1は、スレーブの充放電装置1を介して各々に接続されている車両Vの充電率を取得し、電力系統Eからの供給電力の第1の範囲に対する過不足と、各々の車両Vの蓄電装置30の充電率に応じて、充放電を指示するようにしてもよい。この場合、マスタの充放電装置1は、車両Vの蓄電装置30の充電率及び目標充電率との差異の大きさに応じて、充放電電流値を設定する。充電が必要な状況では、マスタの充放電装置1は、充電率が目標充電率よりも低い車両Vの蓄電装置30に対する充電電流値を、目標充電率からの差異が大きい程に電流値を大きく設定して充電する。マスタの充放電装置1は、充電率が目標充電率よりも高い車両Vの蓄電装置30に対しては充電電流値をゼロに近い数値に設定して充電する。放電が必要な状況では、マスタの充放電装置1は、充電率が目標充電率よりも高い車両Vの蓄電装置30に対する放電電流値を、目標充電率からの差異が大きい程に電流値を大きく設定して放電する。
上述の実施形態では、複数の充放電装置1の内の1つがマスタとなってスレーブの充放電装置1における充放電に係る出力電力を決定した。しかしながら、マスタ及びスレーブの関係なしに、複数の充放電装置1夫々が独立に、電流センサSから供給電力を取得し、取得した供給電力が第1の範囲内に収まるように、接続されている車両Vの蓄電装置30の充電率に応じて充放電制御を行なってよい。
第1〜第5の実施形態では、電力系統EからのAC電力を負荷2群、蓄電装置、充放電装置1に接続する構成とした。しかしながら、DCバスに負荷、発電装置、蓄電装置を接続する構成としてもよい。図30は、DCバスで接続される充放電システム200の構成を示す概要図である。
図30に示すように、電力系統Eと分電盤28との間にAC/DCコンバータ25が設けられている。この場合電力線PLは、DCバスである。AC/DCコンバータ25と分電盤28との間に、電流センサSが設けられ、充放電装置1の制御部11が、電流センサSから供給電力を取得することができればよい。これにより充放電装置1の制御部11は、第1から第5の実施形態で説明した制御のいずれか、又は任意の組み合わせを実行し、電力系統Eからの供給電力の維持を実現できる。
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。