JP2021097197A - 微小レーザー光源、これを用いた微小レーザー検出装置及び状態量測定装置 - Google Patents

微小レーザー光源、これを用いた微小レーザー検出装置及び状態量測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2021097197A
JP2021097197A JP2019230129A JP2019230129A JP2021097197A JP 2021097197 A JP2021097197 A JP 2021097197A JP 2019230129 A JP2019230129 A JP 2019230129A JP 2019230129 A JP2019230129 A JP 2019230129A JP 2021097197 A JP2021097197 A JP 2021097197A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light source
microlaser
nanoparticles
wavelength
state quantity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019230129A
Other languages
English (en)
Inventor
ロドリーゴ サトウ
Sato Rodrigo
ロドリーゴ サトウ
ジョール ヘンジー
Henzie Joel
ジョール ヘンジー
武田 良彦
Yoshihiko Takeda
良彦 武田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute for Materials Science
Original Assignee
National Institute for Materials Science
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute for Materials Science filed Critical National Institute for Materials Science
Publication of JP2021097197A publication Critical patent/JP2021097197A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Temperature Or Quantity Of Heat (AREA)
  • Lasers (AREA)
  • Measuring Fluid Pressure (AREA)

Abstract

【課題】 WGM共振器の内外での光の自由空間結合を可能にする微小レーザー光源を提供すること。【解決手段】 本発明の微小レーザー光源は、可視光又は近赤外線の波長を有する定在波が存在できる円周領域を有する、透光性の液滴10と、液滴10の中に位置すると共に、前記定在波モードと結合できるナノ粒子20であって、ナノ粒子20は、金、銀、アルミニューム、銅、プラチナ、並びに遷移金属の窒化物の少なくとも何れか一つよりなり、前記可視光又は近赤外線の波長が含まれる帯域の蛍光性色素であって、液滴10に溶けている蛍光性色素とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、WGM(whispering gallery mode)共振器を用いた微小レーザー光源に関する。
また、本発明は、微小レーザー光源を用いた微小レーザー検出装置及び状態量測定装置に関する。
『WGM』とは、ささやきの回廊モード(whispering gallery mode)の略語で、凹面の周りを移動できる波の一種である。もともとセントポール大聖堂のささやきのギャラリーで音波について発見されたものであるが、光やその他の波についても存在し、非破壊検査、レーザー発振、冷却、検知、天文学などの重要な用途に使用できる。ささやき回廊の共振器の光学モードは、量子トンネリングに似たメカニズムにより本質的に損失がある。その結果、ささやき回廊モード内の光は、理論的に理想的な条件であってもある程度の放射損失がある。このような損失チャネルは、光導波路理論の研究からも知られており、光ファイバーの分野ではトンネル光線減衰と呼ばれている。Q値は、波の減衰時間に比例し、ギャラリーを構成する媒体での表面散乱率と波の吸収の両方に反比例する。
WGM(ささやきの回廊モード)共振器は、小さな体積で高いQ値(quality factor)を備えた光学マイクロキャビティで、フォトニック集積回路およびバイオ/化学検出アプリケーションで広く活用されている。外部光カプラーを使用せずに、体積モードのプラズモニックナノ粒子でWGMをサポートする微細構造には、いくつかの利点がある。つまり、強力なフォトニックプラズモニック相互作用と多様な材料とリソースの節約である。
非特許文献1では、有機結晶を使用することにより、13から40μmの範囲のマイクロリングが設計されたことが開示されている。有機結晶をジクロロメタンとエタノールに溶解した。溶液がドロップキャスティングの後に蒸発すると、マイクロリングは表面張力によって自己組織化された。典型的なマイクロリングは、発振閾値は14.2μJ/cm2で、Q値は103から104の範囲を示した。
非特許文献2では、CdZnS/ZnSコアシェルを使用することにより、34から78μmの範囲のマイクロバブルが設計されたことが開示されている。量子ドットとPMMAがトルエンに溶解した。トルエンが蒸発すると、マイクロバブルは自然に自己組織化された。典型的なマイクロバブルは、発振閾値は45.5μJ/cm2で、Q値が2.5x103を示した。
非特許文献3では、液滴で作られた微小共振器で、自由空間結合を持つWGM液滴を示した。ただし、共振器は0.5〜1.5mmの範囲で、ナノ物性分野を基準とするとはるかに大きく、可視光から近赤外光(NIR:near-infrared)の範囲のアプリケーションにはあまり適していない。可視光から近赤外光の範囲で単一またはいくつかのキャビティモードを実現するには、必要なキャビティサイズは数μmの範囲である。
特許文献1では、(a)光導波路、(b)光導波路内の光が赤道領域(またはモード体積)で微小共振器内に共振モードを誘導するように、光導波路と光学的に結合された微小共振器、(c)赤道領域内の微小共振器の表面積に吸着された少なくとも1つのプラズモンナノ粒子を備え、媒体中の標的実体の存在または濃度を決定するためのセンサが説明されている。
特許文献2では、有機マイクロディスク構造体の製造方法が開示されている。有機マイクロディスク構造体に代表されるマイクロキャビティは、界面で全反射を繰り返すことにより、高効率で光を閉じ込めることができ、超低しきい値で発振できる微小レーザーやバイオセンサ等の高感度センサ等への応用が期待されている。
特許文献3では、WGM共振器について説明されている。
US 8493560B2 WO2016/039259号公報 US2016/0167052A1
非特許文献1、2では、WGM微小共振器が固体構造で行われている。Q値が高いにもかかわらず、液体中の分子を簡単にプローブして検出したり、ハイブリッドメタマテリアルのプラズモンナノ粒子と統合したりするのには適していない。固体共振器では、保存された光の大部分は共振器内に閉じ込められ、微弱なエバネッセント光のみが周囲(分子およびプラズモニックナノ粒子)と相互作用できる。これに関連して、WGMと分子またはナノ粒子との結合は弱く、非効率的で非実用的なデバイスになる。一方、非特許文献3では、液体共振器を使用しているが、共振器のサイズが大きいため、可視光および近赤外光範囲のキャビティ増強には適していない。
本発明はこのような課題を解決したもので、WGM共振器の内外での光の自由空間結合を可能にする微小レーザー光源を提供することを目的とする。
[1]本発明の微小レーザー光源は、例えば図1に示すように、可視光又は近赤外線の波長を有する定在波が存在できる円周領域を有する、透光性の液滴10と、液滴10の中に位置すると共に、前記定在波モードと結合できるナノ粒子20であって、ナノ粒子20は、金、銀、アルミニューム、銅、プラチナ、並びに遷移金属元素の窒化物の少なくとも何れか一つよりなり、前記可視光又は近赤外線の波長が含まれる帯域の蛍光性色素であって、液滴10に溶けている前記蛍光性色素とを備える。
[2]本発明の微小レーザー光源において、好ましくは、液滴10は半球状の領域又は円柱状の領域を有すると共に、液滴10の円周領域の直径は2〜20μmであるとよい。
[3]本発明の微小レーザー光源において、好ましくは、液滴10は、アルコール類、有機溶媒、水の少なくとも1種類を含むとよい。
[4]本発明の微小レーザー光源において、好ましくは、ナノ粒子20は液滴10の円周領域の境界面から、前記定在波の波長の5倍以内の範囲にあるとよい。
[5]本発明の微小レーザー光源において、好ましくは、遷移金属元素の窒化物は、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ランタノイド、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、アクチノイドの群から含まれる少なくとも1種類よりなる遷移金属の窒化物であるとよい。
[6]本発明の微小レーザー光源において、好ましくは、ナノ粒子20の代表長さが1〜1000nmであるとよい。
[7]本発明の微小レーザー光源において、好ましくは、さらに、液滴10を保持する基板又は容器を有するとよい。
[8]本発明の微小レーザー検出装置は、例えば図1に示すように、[1]〜[7]に記載の微小レーザー光源と、液滴10に、前記可視光又は近赤外線の波長が含まれる光線を放射する光源60と、液滴10を透過又は反射したレーザー光を分光する光検出器70とを有することを特徴とする。
[8]本発明の状態量測定装置は、例えば図1に示すように、[6]に記載の微小レーザー検出装置と、光検出器70で分光したレーザー光の波長が、液滴10の円周領域の前記定在波の波長に対して、変化した波長の長さを検出する発振波長遷移検出部80と、前記レーザー光波長の変化した波長の長さと、検知する状態量との関係を記憶する状態量マッピング部82と、状態量マッピング部82を参照して、前記レーザー光波長の変化した波長に対応する状態量を求める状態量算出部84とを備える。
[9]本発明の状態量測定装置において、好ましくは、前記状態量は、温度、圧力、検出物質の濃度の何れかであるとよい。
[10]本発明の微小レーザー光源の製造方法は、例えば図2に示すように、色素を溶解させた溶媒を透光性容器に入れる工程と(S104)、前記透光性容器のキュベット表面にナノ粒子を置く工程と(S106)、集束レーザービームによりナノ粒子を捕捉する工程と(S108)、レーザー誘起キャビテーションによりナノ粒子20周辺での気泡を生成する工程と(S110)、前記生成した気泡を合体させる工程と(S112)、キュベット表面直下での前記気泡を成長させる工程と(S114)、気泡によって隔離されたナノ粒子を含む液滴を形成する工程と(S116)を備える。
本発明の微小レーザー光源は、溶液に分散したプラズモニックナノ粒子を用いているので、共振器外の自由空間から共振器内に光線を結合し、自由空間に戻す構造なので、簡単な構造であると共に、キャビティモードとの強い相互作用が必要なバイオセンサ、光変調器等の用途に好適な、数μmの範囲と自由空間結合を含む液体WGM共振器に適用できる。ここで、プラズモニックナノ粒子は、液滴の中に位置すると共に、前記定在波モードと結合できるナノ粒子であって、金、銀、アルミニューム、銅、プラチナ、並びにこれら金属の窒化物の少なくとも何れか一つよりなる。
本発明の一実施例を示す溶液中での微小レーザー光源及びこれを用いた微小レーザー検出装置及び状態量測定装置の概略図である。 本発明の一実施例を示す微小レーザー光源の製造方法のフローチャートを示している。 本発明の一実施例を示すエタノール中の20nmAuナノ粒子/クマリン500の発光スペクトルを示すスペクトル図である。 キャビティの直径Dが約5μmのWGMキャビティ画像を示している。 WGMモデルから得られたモード数のプロットを示すもので、ここでは定在波のモードが35番目から37番目の場合と、対応する波長を表している。 WGM共振器の有限差分時間領域(FDTD)でシミュレートされた電界分布図である。 図5に示すシミュレートされたキャビティからの発光スペクトル図である。
本明細書で使用する物理学上の技術用語について説明する。
『プラズモン』とは、プラズマ振動の量子である。光(光振動)が光子で構成されているように、プラズマ振動はプラズモンで構成されている。プラズモンは自由電子ガス密度の集団的(離散数)振動である。
『エバネッセント光』とは、エバネッセント場から放出(反射)される電磁波をいい、近接場光とも呼ばれる。エバネッセント場とは、電磁波(光)が全反射して、金属など反射性の媒質内部であって、界面から波長程度の範囲に誘起する電磁場の変動をいう。
『表面プラズモン』とは、金属の表面に生じる電荷の粗密波をいう。表面プラズモンでは、面に垂直な電界があり、光の入射の仕方を工夫すれば、光と相互作用して、プラズモン・ポラリトンの状態になる。表面の近傍にはエバネッセント場があり、これを用いて微小物体の観察が行える。
『メタマテリアル』とは、自然に発生する材料には見られない特性を持つように設計された材料である。メタマテリアルは、金属やプラスチックなどの複合材料から作られた複数の要素のアセンブリから作られている。通常、材料は、影響を与える現象の波長よりも小さいスケールで、繰り返しパターンで配置される。メタマテリアルでは、その特性をベース材料の特性からではなく、新しく設計された構造、例えば正確な形状、形状、サイズ、方向、配置等、から導き出す。電磁波を遮断、吸収、増強、または曲げることにより、電磁波を操作できるスマートな特性が得られ、従来の材料で可能なものを超える利点を実現できる。
『エアリー関数』とは、エアリー方程式あるいはストークス方程式と呼ばれる次の微分方程式;
Figure 2021097197
の線型独立な解である。これは転回点(turning point:方程式の解が振動型から指数型へ変わる特徴点)を持つ最も単純な二階線型微分方程式である。また、エアリー関数は、三角ポテンシャル井戸に留め置かれた粒子に対する、あるいは一次元定力場における粒子に対するシュレディンガー方程式の解でもある。同じ理由により、ポテンシャルが位置の線型函数で局所近似されるときの、転回点の周りでのWKB近似として、エアリー函数は一様半古典近似を与えるのに利用できる。三角ポテンシャル井戸解は、多くの半導体デバイスを理解することに直接的に関係がある。
ここで、『WKB近似』とは、シュレディンガー方程式の半古典論的な近似解法の一つである。プランク定数h(または
Figure 2021097197
は、量子力学を特徴付けるパラメーターであり、hバー→0とする極限では、量子力学は古典力学に移行することが期待される。WKB近似では、量子力学の基本方程式であるシュレディンガー方程式について、その解を
Figure 2021097197
の形で仮定し、Sをhバーの摂動級数として展開する。このとき、hバーの1次の項までをとる近似を行うことから、半古典近似もしくは準古典近似とも呼ばれる。WKB近似により、古典論的に粒子が到達可能な領域での近似解と、古典論的に粒子が到達不可能ではあるが、量子論的なトンネル効果によって存在可能となる領域での近似解が得られる。
本発明の微小レーザー光源では、体積モード内にプラズモニックナノ粒子を含むWGM微小液滴について説明する。2〜20μmの範囲のWGMキャビティを製造することにより、このキャビティにより、可視領域と近赤外領域で単一またはいくつかのレーザーモードが可能になる。さらに、微小流体システムを使用せずに、微小液滴は空気で囲まれ、高い屈折率のコントラストを提供する。したがって、光の強い全反射が維持される。WGMは、レーザーモードを維持するために、内部全反射に依存することに注意する。
液体共振器として、プラズモニックナノ粒子は体積モード内に簡単に配置できるため、WGMとプラズモニックモードの強い結合が実現する。液滴は、水やアルコールなど、屈折率の異なるさまざまな透明な溶液で作成できる。対照的に、固体共振器では、プラズモニックナノ粒子は一般に、エバネッセント場の体積モードの外側に配置される。したがって、弱い結合が発生する。
さらに、本発明の微小レーザー光源は、WGM共振器の内外での光の自由空間結合を可能にする。体積モードで分散されたプラズモニックナノ粒子は、プリズム、テーパー型光ファイバー、または他の結合コンポーネントを使用せずに、自由空間から共振器に光線を結合し、自由空間に戻す。プラズモニックナノ粒子を二酸化ケイ素ナノ粒子で置き換えた場合、レーザー発光は観察されなかったことに注意する。
以下、図面を用いて本発明を説明する。
図1は、本発明の一実施例を示す溶液中での微小レーザー光源及びこれを用いた微小レーザー検出装置及び状態量測定装置の概略図である。
図において、本発明の微小レーザー光源は、液滴10、ナノ粒子20、蛍光性色素、気泡30、キュベット表面40、透光性容器42、溶媒50を備えている。
液滴10は、可視光又は近赤外線の波長を有する定在波が存在できる円周領域を有する、透光性の液滴である。可視光の波長は、780nmから380nmまでの波長範囲をいう。近赤外線の波長は、2500nmから780nmまでの波長範囲をいう。液滴10の円周領域の直径は2〜20μmであるとよい。液滴は、アルコール類、有機溶媒、水の少なくとも1種類を含むとよい。
ナノ粒子20は、液滴10の中に位置するものであればよく、定在波モードと結合(カップリング)するものであるとよい。
ナノ粒子20は、プラズモニック粒子としての機能を有するものである。本発明でのプラズモニック粒子の機能は、次の二つである。
(i)レーザー誘起キャビテーションによる(プラズモニック粒子の電場増強効果により)ナノ粒子周辺での気泡生成をさせる。
(ii)(レーザー発振の)結合器として働く。
そこで、ナノ粒子20は、液滴10の円周領域の境界面からの好ましい範囲は、定在波の波長の5倍以内、さらに好ましい範囲は定在波の波長の3倍以内、最適範囲は定在波の波長の2倍以内にあるとよい。定在波の波長の5倍を超えると定在波モードと実質的に結合せず、定在波の波長の3倍を超えると定在波モードとの結合が弱い。例えば、定在波の波長が800nmであれば、ナノ粒子20が、液滴10の円周領域の境界面から好ましくは4μmの範囲内、さらに好ましい範囲は2.4μmの範囲内、最適範囲は1.6μmの範囲内にあるとよい。
また、ナノ粒子20は、金、銀、アルミニューム、銅、プラチナ、並びに遷移金属の窒化物の少なくとも何れか一つよりなる。遷移金属の窒化物には、ナノ粒子の代表長さは、好ましくは1〜1000nmであるとよい。ナノ粒子の代表長さとは、ナノ粒子が球状の場合は外径、楕円体の場合は長径の長さをいう。遷移金属の窒化物には、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ランタノイド、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、アクチノイドの群から含まれる少なくとも1種類よりなる遷移金属の窒化物であるとよい。
ここで、ランタノイドは、希土類元素のうち、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)の15元素である。
また、アクチノイドは、アクチニウム(Ac)、トリウム(Th)、プロトアクチニウム(Pa)、ウラン(U)、ネプツニウム(Np)、プルトニウム(Pu)、アメリシウム(Am)、キュリウム(Cm)、バークリウム(Bk)、カリホルニウム(Cf)、アインスタイニウム(Es)、フェルミウム(Fm)、メンデレビウム(Md)、ノーベリウム(No)、ローレンシウム(Lr)の15元素である。
色素は、可視光又は近赤外線の波長が含まれる帯域の蛍光性色素であって、液滴10に溶けている。色素には、蛍光性色素を用いるとよく、例えば、臭化エチジウム、ナイルブルー、ルシフェリン、ルマジンタンパク質、フルオレセイン、サイバーグリーン、シアニン、メロシアニン、ピラニン、ペリレン、ウンベリフェロン、スチルベン、クマリン、緑色蛍光タンパク質、ルブレン、DAPIを用いる。
気泡30は、液滴10を囲うように形成されたもので、液滴10の円周領域の境界面が形成可能になる。
キュベット表面40は、液滴10が付着しているキュベットの管壁をいう。ここで、キュベットとは、ガラス製又はプラスチック製の、一方が密封された正方形の管状透光性容器であり、分光器での実験の際にこのチューブにサンプルを入れて測定を行う。透光性容器42は、キュベットの管壁のうち、液滴10が付着していない管壁をいう。
溶媒50は、液滴10と同じ液体でもよく、また異なる液体でもよいが、気泡30によって液滴10と光学的に分離可能な液体が好ましい。
図1において、本発明の微小レーザー検出装置は、上記の微小レーザー光源に加えて、光源60、光検出器70を備えている。
光源60は、液滴10に可視光又は近赤外線の波長が含まれる光線を放射するもので、例えばレーザー光源が使用される。光検出器70は、液滴10を透過又は反射したレーザー光を分光するもので、例えば回折格子やフォトダイオードを備えている。
図1において、本発明の状態量測定装置は、上記の微小レーザー検出装置に加えて、発振波長遷移検出部80、状態量マッピング部82、状態量算出部84を備えている。
発振波長遷移検出部80は、光検出器70で分光したレーザー光の波長が、液滴10の円周領域の定在波の波長に対して、変化した波長の長さを検出するもので、予め記憶した基準状態の液滴10の円周領域の定在波の波長と、光検出器70で分光したレーザー光の波長とを比較して、発振波長遷移量を求める。
状態量マッピング部82は、レーザー光波長の変化した波長の長さと、検知する状態量との関係を記憶する。検知する状態量には、温度、圧力、検出物質の濃度等がある。
状態量算出部84は、状態量マッピング部82を参照して、レーザー光波長の変化した波長に対応する状態量を求めるもので、例えばマイクロコンピュータのような演算装置が用いられる。
次に、このように構成される本発明の微小レーザー光源である自己組織化プラズモニックWGMの製造工程について説明する。図2は、本発明の一実施例を示す微小レーザー光源の製造方法のフローチャートを示している。
まず、溶媒50中に色素を溶解させる(S102)。次に、色素を溶解させた溶媒50を透光性容器42に入れる(S104)。次に、色素を溶解させた溶媒50にナノ粒子20を混ぜる(S106)。
次に、集束レーザービームによるプラズモニックナノ粒子の捕捉を行う(S108)。そして、レーザー誘起キャビテーションによるナノ粒子周辺での気泡生成をさせる(S110)。さらに集束レーザービームを継続して、ナノ粒子周辺で生成した気泡を合体させる(S112)。すると、キュベット表面直下で気泡が成長する(S114)。そして、気泡によって隔離されたナノ粒子を含む液滴が形成される(S116)。ナノ粒子20を置く位置は、プラズモニックナノ粒子となるように、液滴10の円周領域の境界面から定在波の波長の5倍以内とするのがよい。例えば、定在波の波長が近赤外光のうち最も可視光に近い波長の800nmであれば、液滴10の円周領域の境界面から4μmの範囲内とするのがよい。このようにして、ナノ粒子を含む液滴がWGM共振器を用いた微小レーザー光源として作用できる。
図3Aは、クマリン500とエタノールに分散したAuナノ粒子を含む液滴構造からの室温でのフォトルミネッセンス(PL)発光スペクトルを示している。レーザー励起下では、スペクトルは鋭い発光ピークと広帯域の自然放出で構成されていることがわかる。スペクトルは、発振機構がWGMであることを示唆している。図3Bは、キャビティの代表長さである直径Dが約5μmのWGMキャビティ画像を示している。
キャビティの屈折率ncav=1.36およびキャビティの直径D=4.8μmを考慮すると、理論的な自由スペクトル領域(FSR:Free Spectral Range)は12nmであり、これは実験結果とよく一致している。支配的な狭いピーク発光は、0.9の半値全幅(FWHM;full-width at half-maximum)、したがって545のQ値を示す。これらのパラメーターは、分光計の分解能(約0.4nm)によって制限され、結果としてある程度過小評価されている。
キャビティの共振波長は、次式で表される。
Figure 2021097197
ここで、mはモード数、rは放射状モード数、u=(m+1/2)、Ar=2.338はエアリー関数の根、nr=ncav/nenv、および横方向電気(TE)モードの場合はN=nrであり、横方向磁気(TM)モードの場合はN=1/nrである。今、ncav=1.36、D=4.8μm、nenv=1.00であり、r=1およびm=lの基本モードを考慮する。
観測された放射ピークは、図4に示すように定在波モードが35番目乃至37番目の横方向磁気モードによく適合している。定在波モードが35番目の場合は、WGMモードの定在波の波長は478.7nmになっている。同様して、定在波モードが36番目の場合は、波長は490.8nmになっている。定在波モードが37番目の場合は、波長は503.6nmになっている。そこで、自由スペクトル領域は12nmとなっている。
図5は、有限差分時間領域(FDTD:Finite-difference time-domain method)によって計算されたWGMキャビティの電界分布を示している。
図6は、図5に示すシミュレートされたキャビティからの発光スペクトルを示す図で、キャビティの共振周波数に対応する定在波モードの波長で、ピーク値を示している。例えば定在波モードが35番目の場合は、WGMモードの定在波の波長は479nmになっており、隣接する定在波の数での振幅値と比較して、極大値10.7を示している。
なお、本発明の実施例として図1、図2に示す実施例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、当業者に自明な範囲での設計変更も本発明の範囲に含まれる。
例えば、液滴は単独で存在できれば足り、必ずしも気泡30に覆われた状態で溶媒50内に位置する必要はない。
本発明の微小レーザー光源は、バイオセンサ、光変調器などとして機能する。
10:液滴(WGMキャビティ)
20:ナノ粒子(プラズモニックナノ粒子)
30:気泡(バブル)
40:キュベット表面
42:透光性容器(キュベット)
50:溶媒
60:光源
70:光検出器
80:発振波長遷移検出部
82:状態量マッピング部
84:状態量算出部

Claims (11)

  1. 可視光又は近赤外線の波長を有する定在波が存在できる円周領域を有する、透光性の液滴と、
    前記液滴の中に位置すると共に、前記定在波モードと結合できるナノ粒子であって、前記ナノ粒子は、金、銀、アルミニューム、銅、プラチナ、並びに遷移金属元素の窒化物の少なくとも何れか一つよりなり、
    前記可視光又は近赤外線の波長が含まれる帯域の蛍光性色素であって、前記液滴に溶けている前記蛍光性色素と、
    を備える微小レーザー光源。
  2. 前記液滴は半球状の領域又は円柱状の領域を有すると共に、
    前記液滴の円周領域の直径は2〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載の微小レーザー光源。
  3. 前記液滴は、アルコール類、有機溶媒、水の少なくとも1種類を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の微小レーザー光源。
  4. 前記ナノ粒子は、前記液滴の円周領域の境界面から、前記定在波の波長の5倍以内の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至3に記載の微小レーザー光源。
  5. 前記遷移金属元素の窒化物は、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ランタノイド、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、アクチノイドの群から含まれる少なくとも1種類よりなる遷移金属元素の窒化物であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の微小レーザー光源。
  6. 前記ナノ粒子の代表長さが1〜1000nmであることを特徴とする請求項1乃至5に記載の微小レーザー光源。
  7. さらに、前記液滴を保持する基板又は容器を有することを特徴とする請求項1乃至6に記載の微小レーザー光源。
  8. 請求項1乃至7の何れか1項に記載の微小レーザー光源と、
    前記液滴に、前記可視光又は近赤外線の波長が含まれる光線を放射する光源と、
    前記液滴を透過又は反射したレーザー光を分光する光検出器と、
    を有することを特徴とする微小レーザー検出装置。
  9. 請求項8に記載の微小レーザー検出装置と、
    前記光検出器で分光したレーザー光の波長が、前記液滴の円周領域の前記定在波の波長に対して、変化した波長の長さを検出する発振波長遷移検出部と、
    前記レーザー光波長の変化した波長の長さと、検知する状態量との関係を記憶する状態量マッピング部と、
    前記状態量マッピング部を参照して、前記レーザー光波長の変化した波長に対応する状態量を求める状態量算出部と、
    を備える状態量測定装置。
  10. 前記状態量は、温度、圧力、検出物質の濃度の何れかであることを特徴とする請求項9に記載の状態量測定装置。
  11. 色素を溶解させた溶媒を透光性容器に入れる工程と、
    前記透光性容器のキュベット表面にナノ粒子を置く工程と、
    集束レーザービームによりナノ粒子を捕捉する工程と、
    レーザー誘起キャビテーションにより前記ナノ粒子周辺で気泡を生成する工程と、
    前記生成した気泡を合体させる工程と、
    前記液滴の接するキュベット表面で前記気泡を成長させる工程と、
    気泡によって隔離されたナノ粒子を含む液滴を形成する工程と、
    を備える微小レーザー光源の製造方法。
JP2019230129A 2019-12-16 2019-12-20 微小レーザー光源、これを用いた微小レーザー検出装置及び状態量測定装置 Pending JP2021097197A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019226333 2019-12-16
JP2019226333 2019-12-16

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021097197A true JP2021097197A (ja) 2021-06-24

Family

ID=76431614

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019230129A Pending JP2021097197A (ja) 2019-12-16 2019-12-20 微小レーザー光源、これを用いた微小レーザー検出装置及び状態量測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021097197A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114654116A (zh) * 2022-04-22 2022-06-24 武汉大学 一种光驱纳米颗粒的纳米孔洞定点加工装置及方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114654116A (zh) * 2022-04-22 2022-06-24 武汉大学 一种光驱纳米颗粒的纳米孔洞定点加工装置及方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Reynolds et al. Fluorescent and lasing whispering gallery mode microresonators for sensing applications
White et al. SERS-based detection in an optofluidic ring resonator platform
EP1817571B1 (en) Metal nano-void photonic crystal for enhanced raman spectroscopy
EP3907490B1 (en) Sensing of a chemical sample using a microcavity
JP2008519254A (ja) 増強ラマン分光法のための金属ナノ空隙フォトニック結晶
Yan et al. Self-assembled dielectric microsphere array enhanced Raman scattering for large-area and ultra-long working distance confocal detection
François et al. Enhancing the radiation efficiency of dye doped whispering gallery mode microresonators
Zhang et al. Azimuthally polarized radial emission from a quantum dot fiber laser
Becucci et al. Silver nanowires as infrared-active materials for surface-enhanced Raman scattering
Daraei et al. Thin cylindrical slot in an optical microdisk cavity for sensing biomaterials
Miri et al. Optical sensing using microspheres with different size and material
Lin et al. Radial profiling of microdroplets using cavity-enhanced Raman spectroscopy
Dragan et al. Excitation volumetric effects (EVE) in metal-enhanced fluorescence
JP2021097197A (ja) 微小レーザー光源、これを用いた微小レーザー検出装置及び状態量測定装置
Bashiri et al. Color routing of the emission from magnetic and electric dipole transitions of Eu3+ by broken-symmetry TiO2 metasurfaces
Serpengüzel et al. Microdroplet identification and size measurement in sprays with lasing images
Manzo et al. A novel microlaser-based plasmonic-polymer hybrid resonator for multiplexed biosensing applications
Gökbulut et al. Hybrid photonic-plasmonic mode-coupling induced enhancement of the spontaneous emission rate of CdS/CdSe quantum emitters
Zhao et al. Exciting Hybrid Optical Modes with Fano Lineshapes in Core–Shell CsPbBr3 Microspheres for Optical Sensing
Hao et al. Whispering gallery mode optical resonators for biological and chemical detection: current practices, future perspectives, and challenges
Chen et al. An optofluidic FRET laser using quantum dots as donor
Manzo Au nanoparticle concentration study in hybrid plasmonic microlasers
Rakovich et al. The fabrication, fluorescence dynamics, and whispering gallery modes of aluminosilicate microtube resonators
Pirnat et al. Remote and autonomous temperature measurement based on 3D liquid-crystal microlasers
CN117030676A (zh) 一种低成本表面增强拉曼光谱检测方法、系统及存储介质