JP2021097122A - 吸湿呼吸器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 容器本体の容積を十分に生かし、容器本体内のすべてのシリカゲルを無駄なく有効に使用することができる吸湿呼吸器を提供する。【解決手段】 シリカゲル13を収容するガラス筒2内に、筒状の内筒8をガラス筒2の垂直中心とほぼ同心に配設し、この内筒8とガラス筒2との間(外周部)及び内筒8内(中心部)にシリカゲル13をそれぞれ収容し、外周部に収容したシリカゲル13を排出する第1の排出口4aと、中心部に収容したシリカゲル13を排出する第2の排出呼応4bと、を設ける。外周部のシリカゲル13の劣化状態を目視し排出したときに、中心部のシリカゲル13の劣化状態を確認し、排出の要否を判断できる。この結果、すべてのシリカゲル13が無駄なく有効に使用される。【選択図】 図1
Description
本発明は、変圧器などの機器の呼吸作用によって流入する大気中の湿気を吸収するための吸湿呼吸器(ブリーザ)に関する。
例えば、変圧器の呼吸作用によって大気中の湿気が器内に侵入し、その水分が油に溶けて変圧器の絶縁耐力を低下させる、という事象がある。このため、侵入した湿気を吸湿剤(脱水剤)によって吸収するための吸湿呼吸器が、変圧器などに付設されている。この吸湿呼吸器は、例えば、透明ガラス製で円筒状の容器本体が垂直に配置され、この容器本体の上側に変圧器側などに接続される呼吸管が設けられ、容器本体の下側には油壷が設けられている。また、容器本体内にはシリカゲルなどの吸湿剤が収容(封入)され、油壷には油が収容されている。そして、大気(外気)が容器本体の下側から流入して、油壷内の油および容器本体内の吸湿剤を通過する(通り抜ける。)。これにより、大気中の湿気が吸湿剤によって吸収され、吸気管から変圧器側などに流入する。一方、変圧器側などからの排気が吸気管から流入し、容器本体内および油壷内を通過して、大気中に排出されるものである(例えば、特許文献1参照。)。
また、このような吸湿呼吸器には、容器本体の上側に吸湿剤投入口が設けられ、下側には吸湿剤排出口が設けられている。そして、吸湿剤投入口から吸湿剤を容器本体内に投入するとともに、容器本体内の吸湿剤を吸湿剤排出口から排出するようにしている。
さらに、容器本体にこれと同心上に内筒を設け、内筒内には吸湿剤を収容しないようにしたものもある(特許文献2参照。)。
ところで、変圧器などの呼吸作用によって、吸湿剤が大気中の湿気を繰り返し吸収することで、湿気を十分に吸収し、吸湿剤の吸湿効果が低下(劣化)していく。例えば、吸湿剤がシリカゲルの場合、当初青色のシリカゲルが、赤色からピンク色に変わり、湿気を十分に吸収した状態では透明(白色)に変色する。そして、吸湿剤の吸湿効果が低下した場合には、吸湿剤を新たな吸湿剤に取り替える必要がある。この際、容器本体の外側から吸湿剤の変色状態を目視で確認し、劣化を示す色(透明など)に変色している場合には、交換時期であると判断する。そして、容器本体内のすべての吸湿剤を吸湿剤排出口から排出させ、新たな吸湿剤を吸湿剤投入口から容器本体内に投入していた。
このように、容器本体の外側から吸湿剤の変色状態を目視で確認し、交換時期を判断していた。すなわち、容器本体内の外周部に位置する吸湿剤が劣化を示す色に変色している場合には、容器本体内のすべての吸湿剤が劣化していると判断していた。しかしながら、本発明者は研究を重ね、容器本体内のすべての吸湿剤が均等に劣化するものではないことを確認した。すなわち、容器本体内の外周部に位置する吸湿剤が、容器本体内の中心部に位置する吸湿剤に比べて、早く劣化することを確認した。さらには、長期間が経過しても、容器本体内の中心部に位置する吸湿剤は吸湿しづらい、すなわち劣化しづらいことを確認した。要は、容器本体内の同一平面上において吸湿剤の劣化状態が異なってしまっていたということである。そして、これらのことから、容器本体内の外周部に、より多くの大気が通過することを確認するに至った。
従って、容器本体内の外周部に位置する吸湿剤が劣化しても、中心部に位置する吸湿剤は劣化していないことが多い。このため、容器本体内の外周部に位置する吸湿剤が劣化した時点で、すべての吸湿剤を取り替えると、中心部に位置する劣化していない吸湿剤をも取り替えることになり、中心部に位置する吸湿剤を無駄にしていた。すなわち、容器本体内のすべての吸湿剤を有効に使用するに至らず、吸湿剤の収容量に応じた十分な吸湿機能を果たしていなかった。
そのため、特許文献2のように、容器本体内に内筒を設けて、内筒内には吸湿剤を収容しないことで、外側部のみの吸湿剤で吸湿を行うようにしたものもあるが、容器本体の容積を十分に生かしきれず、全体としての吸湿効果が劣ってしまっているという問題もあった。
そこで本発明は、容器本体の容積を十分生かし、その容器本体内のすべての吸湿剤を有効に使用することができる吸湿呼吸器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、吸湿剤を収容する筒状の容器本体がほぼ垂直に配設され、前記容器本体の上側に、変圧器などの機器側に接続される呼吸管が設けられ、大気が前記容器本体の下側から流入して前記吸湿剤を通過し、前記呼吸管から前記機器側に向う吸湿呼吸器において、前記容器本体内に、筒状の内筒が前記容器本体の垂直中心とほぼ同心に配設され、前記内筒と前記容器本体との間及び前記内筒内に前記吸湿剤をそれぞれ収容するとともに、前記内筒と前記容器本体との間に収容した前記吸湿剤を排出する第1の排出手段と、前記内筒内に収容した前記吸湿剤を排出する第2の排出手段と、を設けた、ことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸湿呼吸器において、前記第1の排出手段は、前記内筒と前記容器本体との間の下部に設けた第1の吸湿剤排出口であり、前記第2の排出手段は、前記内筒の下部に設けた第2の吸湿剤排出口である、ことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の吸湿呼吸器において、前記第1の排出手段は、前記内筒と前記容器本体との間の下部に設けた第1の吸湿剤排出口であり、前記第2の排出手段は、前記内筒を引き上げる内筒引上機構と、前記第1の吸湿剤排出口である、
ことを特徴とする。
ことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、内筒と容器本体との間(外周部)及び内筒内(中心部)に吸湿剤がそれぞれ収容されているため、容器本体の容積を十分生かして吸湿剤を収容でき、容器本体の外周部の吸湿剤と中心部の吸湿剤とを各別の排出できる第1の排出手段と第2の排出手段を設けたので、収容した吸湿剤を無駄なく使用することできる。
請求項2に記載の発明によれば、前記第1の排出手段を容器本体の外周部に収容した吸湿剤の第1の吸湿剤排出口とし、前記第2の排出手段を容器本体の中心部に収容した吸湿剤の第2の吸湿剤排出口としたので、劣化の早い外周部の吸湿剤の劣化状態を目視して排出した後、中心部の吸湿剤の劣化状態を確認して排出の要否判断を行うことができ、吸湿剤の交換時期の適正化を図ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、第1の排出手段を、内筒と前記容器本体との間(外周部)の下部に設けた第1の吸湿剤排出口とし、前記第2の排出手段を、内筒を引き上げる内筒引上機構と前記第1の吸湿剤排出口としたので、既存の吸湿呼吸器(1つの排出口を備えたもの)に本吸湿呼吸器用内筒と内筒引上機構を設けること、すなわち、既存の吸湿呼吸器を簡単な改良を加えることで、本吸湿呼吸器と同等の構成とし、同等の効果を得ることができる。
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係る吸湿呼吸器1を示すもので、図1(a)は正面図(一部断面図)、(b)は要部の平面図、図2は吸湿呼吸器の内筒の一部を示す断面図である。この吸湿呼吸器1は主として、ガラス筒2(容器本体)、上蓋金具3、底蓋金具4、呼吸管5、油壷6、排気管7および、内筒8を備えている。
図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係る吸湿呼吸器1を示すもので、図1(a)は正面図(一部断面図)、(b)は要部の平面図、図2は吸湿呼吸器の内筒の一部を示す断面図である。この吸湿呼吸器1は主として、ガラス筒2(容器本体)、上蓋金具3、底蓋金具4、呼吸管5、油壷6、排気管7および、内筒8を備えている。
ガラス筒2は透明ガラス製の円筒状で、その上端部にガスケット(図示せず)を介して上蓋金具3が取り付けられ、下端部にガスケット(図示せず)を介して底蓋金具4が取り付けられている。すなわち、ガラス筒2の上下端部を上蓋金具3と底蓋金具4とによって挟持した状態で、上蓋金具3と底蓋金具4とが長尺ボルト9によって締め付けられている。そして、このように密閉されたガラス筒2の中に、後述するようにして、シリカゲル13(吸湿剤)が封入(収容)されるようになっている。このようなガラス筒2は垂直又はほぼ垂直に設置されている。なお、図1では、説明のために、シリカゲル13は二点鎖線で示している。
上蓋金具3の中心からずれた位置(外周部)には吸湿剤投入口3aが設けられ、この吸湿剤投入口3aには投入キャップ10が取り付けられている。また、吸湿剤投入口3aと対向する上蓋金具3の外周部には、呼吸管5がフランジ部5aを介してボルト11によって取り付けられている。この呼吸管5は、変圧器側のコンサベータ(図示せず)に接続され、変圧器側へ大気を送り、また、変圧器側からの排気を受けるための通気管である。
底蓋金具4には2つの吸湿剤排出口4a、4bとが設けられている。一方の吸湿剤排出口4aは底蓋金具4の外周部(吸湿剤投入口3aのほぼ真下)に、他方の吸湿剤排出口4bは吸湿剤排出口4aよりも中心に寄った位置に設けられ、これら吸湿剤排出口4a、4bにはそれぞれ排出キャップ12a、12bが取り付けられている。
外周部吸湿剤排出口4aは、ガラス筒2と内筒8との間に収納されたシリカゲル13を排出するもので、また、中心部吸湿剤排出口4bは、内筒8内に収納されたシリカゲル13を排出するものである。なお、この実施の形態1に係る吸湿呼吸器1においては、上記外周部吸湿剤排出口4aが内筒8と前記容器本体2との間(外周部)に収容したシリカゲル13を排出する第1の排出手段として、また、上記中心部吸湿剤排出口4bが内筒8内(中心部)に収容したシリカゲル13を排出する第2の排出手段として機能する。
底蓋金具4の下面側には、円筒状の吸気筒4cと排気筒4dとが形成され、排気筒4dが、底蓋金具4の中心すなわちガラス筒2の垂直中心に位置するように配設されている。そして、この吸気筒4cと排気筒4dとを覆うように、油14を収容する(蓄える)油壷6が取り付けられている。
この油壷6は底を有する円筒状で、上端のフランジ部6aが底蓋金具4の取付部4eに装着された状態で取り付けられている。また、この油壷6内には仕切板6bが設けられ、この仕切板6bによって吸気室6cと排気室6dとに分室されている。そして、吸気室6c内に底蓋金具4の吸気筒4cが収容され、排気室6d内に排気筒4dが収容されるようになっている。さらに、フランジ部6aの下側には、大気が流入するための吸気口6eが吸気室6c側に設けられ、大気へ排気するための排気口6fが排気室6d側に設けられている。
また、底蓋金具4の中心部には、排気筒4dと連通する貫通孔4fが形成され、この貫通孔4fに排気管7が挿入(圧入)されている。これにより、排気管7がガラス筒2の垂直中心(中心軸)に位置し、排気管7と排気筒4dとを介して油壷6(排気室6d)と呼吸管5とが連通するようになっている。さらに、底蓋金具4には、油壷6の吸気口6eから流入した大気を、吸気室6cからガラス筒2内に流入させるための空気孔(図示せず)が設けられている。
内筒8は、金網を円筒状に形成した内筒本体81と、該内筒本体81をガラス筒2のほぼ中心に位置するようにサポートする複数のサポート具82とから構成されている。すなわち、図1(b)に示すように、サポート具82は針金状の棒片で、先端がガラス筒2の内面に当接するように基端が内筒本体81の外周部に固定され、このようなサポート具82は内筒本体81の同じ高さで周方向にほぼ90度離間して設けられている。なお、内筒本体81の周壁である金網の網目は、その大きさがシリカゲル13よりもやや小さく設定され、シリカゲル13が網目を通過することが無いようになっている。
そして、4つのサポート具82の先端が内筒本体81の内面に当接することで、内筒本体81がガラス筒2のほぼ中心に位置され、このような4つのサポート具82を1組として、高さ方向に少なくとも2組が設けられることで、内筒本体81の垂直中心がガラス筒2(排気管7)の垂直中心と同心になるようにガラス筒2内に立設されている。
また、内筒本体81の長さ(高さ)は、排気管7の長さよりもやや短く設定され、内筒本体81の外径は、ガラス筒2の内径の半分より小さく形成され、大気がガラス筒2の中心よりもガラス筒2の内周面寄りに多く大気が通過するように設定される。
すなわち、シリカゲル13を収容した状態(ガラス筒2内、内筒本体81内ともに収容される)で、内筒本体81内を流れる大気が少なく、内筒本体81とガラス筒2とによって挟まれた領域(空間)を流れる大気が多くなるように設定されている。例えば、ガラス筒2の内径が約130mmの場合、内筒本体81の外径が約50mmに設定されている。
内筒8の下端部には、多孔底板15が設けられている。この多孔底板15は板状の金網で構成され、ガラス筒2の内周面から外周部吸湿剤排出口4aの口元に向って下側に傾斜するように形成され、内筒8内においては中心部吸湿剤排出口4bの口元が最も下がった位置に位置されている。これにより、シリカゲル13を排出する際に、ガラス筒2内のシリカゲル13が中心部吸湿剤排出口4b及び外周部吸湿剤排出口4a側に流動しやすいようになっている。
次に、このような構成の吸湿呼吸器1の作用などについて説明する。
まず、ガラス筒2内にシリカゲル13が封入されていない状態では、投入キャップ10を外して吸湿剤投入口3aから、内筒8内にシリカゲル13を投入し、再び投入キャップ10を取り付ける(締める)。このとき、ガラス筒2内の内筒8内及び内筒8とガラス筒2との間にシリカゲル13が収容される。次に、呼吸管5をコンサベータに接続して、吸湿呼吸器1を変圧器側に付設する。
そして、変圧器の呼吸作用によって、大気が吸湿呼吸器1を介して変圧器に吸気され、変圧器からの排気が吸湿呼吸器1を介して大気に排出(排気)される。すなわち、吸気の際には、大気が油壷6の吸気口6eから流入し、吸気室6c内の油14を通過して、底蓋金具4の空気孔からガラス筒2内に流入する。そして、大気がガラス筒2内のシリカゲル13を下部から上部に向って通過し(通り抜け)、吸気管5からコンサベータ(変圧器側)に流入する。このとき、底蓋金具4の空気孔から流入した大気は、多孔底板15を介して、内筒8内及び内筒8とガラス筒2との間の両方に流入し、それぞれに収容されたシリカゲル13の間隙を縫うようにして流れる。また、内筒本体81は網目で構成されているため、内筒本体81を通過する大気もあり、内筒本体81の存在にあまり影響を受けず、大気はシリカゲル13内を下方から上方へ向かって流動する。
このようにして、大気がシリカゲル13を通過することで、大気中の湿気がシリカゲル13によって吸収され、変圧器の絶縁耐力の低下が防止される。一方、排気の際には、変圧器(コンサベータ)からの排気が吸気管5から流入し、排気管7内を通って油壷6の排気室6d内の油14を通過し、排気口6fから大気中に排出されるものである。
このような吸排気を繰り返すことによって、シリカゲル13が湿気を吸収し、次第にその吸湿効果が低下(劣化)していく。この劣化の状態を色で表すと、当初青色のシリカゲル13が、赤色からピンク色に変わり、湿気を十分に吸収した状態では透明(白色)となる。
また、上述したように、ガラス筒2内のシリカゲル13は、その中心部(内筒本体81内)に位置するシリカゲル13と外周部(内筒8内及び内筒8とガラス筒2との間)に位置するシリカゲル13と比較すると、外周部に位置するシリカゲル13の方が吸湿しやすいため、外周部に位置するシリカゲル13の方が早く変色(青色→赤色→ピンク→透明)される。
そのため、ガラス筒2を通して確認できるシリカゲル13が変色したら、シリカゲル13の交換時期と判断して、その交換を行う。吸湿効果が低下したシリカゲル13を新たなシリカゲル13への交換は、次のように行う。
先ず、外側の排出キャップ12aを外して、内筒8とガラス筒2との間のシリカゲル13を外周部吸湿剤排出口4aから排出させる。
これにより、ガラス筒2を通して内部を観察すると、内筒本体81内のシリカゲル13を目視することができる。この内筒本体81内のシリカゲル13の色を見て劣化状態を確認し、その交換の要否を判断する。
内筒本体81内のシリカゲル13を交換する場合には、内側の排出キャップ12bを外して、内筒8内のシリカゲル13を中心部吸湿剤排出口4bから排出させる。また、内筒本体81内のシリカゲル13の交換が不要の場合は、内筒本体81内のシリカゲル13はそのままにしておく。
これにより、吸湿機能が未だ残っているシリカゲル13を排出することなく、その吸湿機能を全うさせてから排出することができ、シリカゲル13を無駄なく有効に使用することができる。
そして、新たなシリカゲル13を投入するには、排出キャップ12a、12bを再び取り付けて、吸湿剤投入口3aからシリカゲル13をガラス筒2内に投入する。このとき、内筒本体81内にシリカゲル13が残っていれば、ここには入らず、内筒8とガラス筒2との間の空間に収容され、また、内筒本体81内のシリカゲル13が排出されていれば、内筒本体81及び内筒8とガラス筒2との間の空間にもシリカゲル13が収容される。
このように、この発明の実施の形態1に係る吸湿呼吸器1にあっては、ガラス筒2内にシリカゲル13の収容空間を半径方向に区分けし、中心部に位置するシリカゲル13と外周部に位置するシリカゲル13とを別々に排出することでできるようにしたので、交換時期の適正化を図ることができ、ガラス筒2内に収容したシリカゲル13の吸湿機能を十分に果たすことができ、シリカゲル13をより無駄なく有効に使用することが可能となる。
そのため、吸湿機能の劣化が早い外周部のシリカゲルの状態をガラス筒2を通して目視し、シリカゲル13の交換を判断した後、外周部のシリカゲル13を排出したときに、中心部の劣化が遅い中心部のシリカゲル13の劣化状態を確認することができるため、より確実に無駄のないシリカゲルの交換時期を判断することができる。
(実施の形態2)
図3〜図5は、本発明の実施の形態2に係る吸湿呼吸器1Aを示すもので、図3は内筒が定位置に置かれた状態を示す正面図(一部断面図)、図4は図3の状態から内筒を引上げた状態を示す正面図(一部断面図)、図5は内筒引上機構を拡大して示す要部断面図であり、(a)は引上げ前の状態を、(b)は引上げた状態を示すものである。
図3〜図5は、本発明の実施の形態2に係る吸湿呼吸器1Aを示すもので、図3は内筒が定位置に置かれた状態を示す正面図(一部断面図)、図4は図3の状態から内筒を引上げた状態を示す正面図(一部断面図)、図5は内筒引上機構を拡大して示す要部断面図であり、(a)は引上げ前の状態を、(b)は引上げた状態を示すものである。
この実施の形態2に係る吸湿呼吸器1Aは、上記実施の形態1に係る吸湿呼吸器1と比較すると、内筒本体を上下に移動可能にした点及び吸湿剤排出口を1つにした点で異なる。したがって、実施の形態1と同等の構成については、同一符号を付することでその説明を省略する。なお、この実施の形態2に係る吸湿呼吸器1Aにおいては、上記外周部吸湿剤排出口4aが内筒8と前記容器本体2との間(外周部)に収容したシリカゲル13を排出する第1の排出手段として、また、後述する筒体引上機構25及び外周部吸湿剤排出口4aが内筒8内(中心部)に収容したシリカゲル13を排出する第2の排出手段として機能する。
この実施の形態2に係る吸湿呼吸器1Aの内筒8は、上記実施の形態1の内筒本体81とほぼ同じ形状で、サポート具82を備えず、その下端部が多孔底板15に設けられた内筒受皿20に嵌合されるようになっている。
内筒受皿20は、平面から見て円形で開口面が中心軸に対して斜めに傾斜した円環状の扁平リングが、斜めに傾斜した多孔底板15に配置されて構成されており、扁平リングが中心軸の平行に伸びるように位置されている。
内筒受皿20は、その平面形状が内筒本体81の外径よりやや大きい形成され、内筒本体81の下端部がほぼすっぽり嵌合するようになっている。これにより、内筒本体81が内筒受皿20に嵌合することにより、ガラス筒2のほぼ中心に中心軸が一致した状態で取り付けられる。
内筒受皿20の底面は上述のように多孔底板15になっているため、内筒受皿20を設けた状態においても、大気は内筒本体81内に流入できるようになっている。
内筒本体81はその上部において、当該内筒本体81を引上可能にするための内筒引上機構25が設けられている。
内筒引上機構25は、内筒本体81の上端部に取り付けられた紐体26と、該紐体26を上記上蓋金具3の上方に引き出すための紐体挿通孔3bを閉塞する栓体27とからなる。
栓体27はゴム様の材質からなり、上記紐体挿通孔3bにほぼ嵌合する円柱状の栓部と栓部の一端側に形成された鍔部とからなり、上記栓部の中心に上記紐体26が貫通されている。
このような内筒引上機構25は、内筒本体81の上端縁に周方向に180度ズレた2か所に設けられている。
内筒本体81が定位置に置かれた状態、すなわち、内筒本体81の下端部が多孔底板15の内筒受皿20に嵌合した状態においては、栓体27が上蓋金具3の紐体挿通孔3bを閉塞した状態で、紐体26の先端が栓体27から上方に突出されている。
そして、内筒本体81が定位置に置かれた状態で、シリカゲル13が上記吸湿剤投入口3aからガラス筒2内に投入され、ガラス筒2及び内筒本体81内のシリカゲル13が収容される。
この状態は、上記実施の形態1でシリカゲル13がガラス筒2及び内筒本体81内に投入された状態と同じ状態である。
この状態で、上述のように、吸排気が行われてシリカゲル13が湿気を含んで変色すると、ガラス筒2の外周部(ガラス筒2と内筒本多81との間)のシリカゲル13の交換のために吸湿剤排出口4aから、シリカゲル13を排出する。
次に、ガラス筒2を通して内筒本体81内のシリカゲル13の変色状態を目視し、交換時期と判断する場合に、内筒本体81内のシリカゲル13の排出を行う。
内筒本体81内のシリカゲル13の排出を行うには、上記内筒引上機構25を用いる。
先ず、上蓋金具3の紐体挿通孔3bを閉塞している栓体27を上方に外し、紐体26を上方に引っ張る。これにより、内筒本体81は上方に引き上げられ、内筒本体81の下端部が内筒受皿20から上方に外れ、シリカゲル13は内筒本体81の下端縁から流出し、その斜め下方に位置する吸湿剤排出口4aから排出される。
内筒本体81内のシリカゲル13の排出完了後は、内筒引上機構25の紐体26及び栓体27を基の位置に戻す。このとき、2つの紐体26を上蓋金具3の紐体挿通孔3bのほぼ上方に位置させ、静かに下方に移動させることにより、内筒本体81は、内筒受皿20内に嵌合し定位置に収まる。
以上のように、実施の形態2に係る吸湿呼吸器1Aにあっては、既存の吸湿呼吸器(排出口が1つのもの)に、内筒本体81、内筒引上機構25を設けるという簡単な改良を行うことで、本吸湿呼吸器1Aと同等の構成とし、同等の効果を得ることができる。すなわち、吸湿呼吸器全体を取り替えることなく、既存の吸湿呼吸器に内筒本体81、内筒引上機構25を配設することで、そのすべてのシリカゲル13を無駄なく有効に使用することができ、既存の吸湿呼吸器を有効的に活用することができる。
なお、内筒本体81の定位置への戻しをスムースに行うためには、内筒受皿20の内径を大きさを内筒本体81の外径よりやや大きくしておいて方が容易に行なうことができる。
また、内筒受皿20の下側に切欠きを設けておくと、シリカゲル13の排出がスムースとなりより好ましい。
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、本実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、内筒8の内筒本体81を板材で構成し、この板材(周壁)に通気孔を設けるようにしてもよい。この場合、内筒本体81内のシリカゲル31の劣化状態を目視できるように透明アクリル板などで構成することが好ましい。さらに、内筒本体81の中心軸に対する位置決めのためのサポート具をガラス筒2に対して接触することで行ったが、本願発明はこれに限らず、排気管7に対して位置決めを行うようにしても良い。
さらに、変圧器のみならず、油タンクなどその他の機器にも本吸湿呼吸器1を付設できることは勿論である。さらにまた、ガラス筒2の下側に油壷6以外の弁室(吸気弁と排気弁とを収容した容器)などが設けられている吸湿呼吸器や、外周部吸湿剤排出口4aのみが設けられている吸湿呼吸器にも内筒8を配設することで、本吸湿呼吸器1と同等の効果が得られることは勿論である。
1 吸湿呼吸器
2 ガラス筒(容器本体)
4a 外周部吸湿剤排出口(第1の排出手段)
4b 中心部吸湿剤排出口(第2の排出手段)
8 内筒
81 内筒本体
13 シリカゲル(吸湿剤)
1A 吸湿呼吸器
25 内筒引上機構(第2の排出手段)
2 ガラス筒(容器本体)
4a 外周部吸湿剤排出口(第1の排出手段)
4b 中心部吸湿剤排出口(第2の排出手段)
8 内筒
81 内筒本体
13 シリカゲル(吸湿剤)
1A 吸湿呼吸器
25 内筒引上機構(第2の排出手段)
Claims (3)
- 吸湿剤を収容する筒状の容器本体がほぼ垂直に配設され、前記容器本体の上側に、変圧器などの機器側に接続される呼吸管が設けられ、大気が前記容器本体の下側から流入して前記吸湿剤を通過し、前記呼吸管から前記機器側に向う吸湿呼吸器において、
前記容器本体内に、筒状の内筒が前記容器本体の垂直中心とほぼ同心に配設され、前記内筒と前記容器本体との間及び前記内筒内に前記吸湿剤をそれぞれ収容するとともに、
前記内筒と前記容器本体との間に収容した前記吸湿剤を排出する第1の排出手段と、
前記内筒内に収容した前記吸湿剤を排出する第2の排出手段と、を設けた、
ことを特徴とする吸湿呼吸器。 - 前記第1の排出手段は、前記内筒と前記容器本体との間の下部に設けた第1の吸湿剤排出口であり、
前記第2の排出手段は、前記内筒の下部に設けた第2の吸湿剤排出口である、
ことを特徴とする請求項1に記載の吸湿呼吸器。 - 前記第1の排出手段は、前記内筒と前記容器本体との間の下部に設けた第1の吸湿剤排出口であり、
前記第2の排出手段は、前記内筒を引き上げる内筒引上機構と、前記第1の吸湿剤排出口である、
ことを特徴とする請求項1に記載の吸湿呼吸器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019227039A JP2021097122A (ja) | 2019-12-17 | 2019-12-17 | 吸湿呼吸器 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019227039A JP2021097122A (ja) | 2019-12-17 | 2019-12-17 | 吸湿呼吸器 |
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JP2021097122A true JP2021097122A (ja) | 2021-06-24 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115458283A (zh) * | 2022-09-29 | 2022-12-09 | 广东电网有限责任公司 | 变压器呼吸器 |
CN118197752A (zh) * | 2024-05-20 | 2024-06-14 | 淄博炳砚电气设备有限公司 | 一种复合式变压器 |
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2019
- 2019-12-17 JP JP2019227039A patent/JP2021097122A/ja active Pending
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