JP2021095359A - 脂質ペルオキシラジカルのスカベンジャー - Google Patents

脂質ペルオキシラジカルのスカベンジャー Download PDF

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Eikan Mishima
英換 三島
清隆 仲川
Kiyotaka Nakagawa
清隆 仲川
山田 健一
Kenichi Yamada
健一 山田
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Abstract

【課題】脂質ペルオキシラジカルを特異的に捕捉し、過酸化脂質蓄積や脂質ペルオキシラジカル生成を抑制し、過酸化脂質や脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシスを抑制したり、これらに起因する疾患を予防又は治療する作用を有する低分子化合物の提供。【解決手段】式(I)を含む8種の化合物等から選択される1種又は2種以上の化合物。【選択図】なし

Description

本発明は、脂質ペルオキシラジカルの捕捉剤(スカベンジャー);過酸化脂質蓄積の抑制剤;過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシスの抑制剤;過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する疾患を予防又は治療するための製剤;等に関する。
フェロトーシスは、遊離鉄(Fe2+)依存的な非アポトーシス性の制御された細胞死であり、細胞における過酸化脂質の蓄積を特徴とする(非特許文献1)。フェロトーシスは、急性組織障害や神経変性疾患等の様々な疾患に関与することが報告されている(非特許文献2)。
脂質が酸化したり、過酸化脂質を還元する酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼ(GPX4)活性が低下すると、細胞内に過酸化脂質が生成・蓄積される。そして、細胞内に生成・蓄積された過酸化脂質から、Fe2+を触媒とするフェントン反応により脂質ペルオキシラジカルが生成され、脂質ペルオキシラジカルによる脂質の過酸化が促進される。
抗酸化物質であるトロロックス(Trolox)及びコエンザイムQ10や、過酸化脂質の生成に関与するリポキシゲナーゼの阻害剤であるバイカレイン(Baicalein)は、フェロトーシスを抑制する作用を有することが知られている。また、最近、特定のスピロキノキサリン誘導体がフェロトーシスの抑制効果を有することが報告されている(特許文献1)。
特開2019−196390号公報
Cell. 2012 May 25;149(5):1060-72. Cell. 2017 Oct 5;171(2):273-285.
本発明の課題は、脂質ペルオキシラジカルを特異的に捕捉し、過酸化脂質蓄積や脂質ペルオキシラジカル生成を抑制し、過酸化脂質や脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシスを抑制したり、これらに起因する疾患を予防又は治療する作用を有する低分子化合物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を続けている。その過程において、シトクロムP450(CYP)を誘導する物質やCYPの基質に焦点を絞り、BSO依存的な細胞死(すなわち、フェロトーシス)の抑制作用を有する物質をスクリーニングしたところ、後述する本件化合物群に包含される8種類の化合物(オメプラゾール、リファンピシン、I3C、カルベジロール、プロプラノロール、プロメタジン、エストラジオール、及びT3;以下、「本件化合物8種」ということがある)が同定された。また、本件化合物8種が、脂質ペルオキシラジカルに対する特異的な捕捉能を有し、過酸化脂質蓄積及び脂質ペルオキシラジカル生成を抑制し、過酸化脂質や脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシスを特異的に抑制する作用を有することを見いだした。さらに、急性腎障害(AKI;Acute Kidney Injury)モデルマウスと、急性肝障害(AHI;Acute HepaticInjury)モデルマウスとを用いたインビボでの解析により、本件化合物8種が、腎臓や肝臓における過酸化脂質蓄積及び脂質ペルオキシラジカル生成を抑制し、過酸化脂質蓄積及び脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシスにより生じる腎障害や肝障害を抑制できることを確認した。本発明は、これら知見に基づき、完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕以下の式(I);
Figure 2021095359
(式中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、XはO、S、SO又はSOを表す。)、
以下の式(II);
Figure 2021095359
(式中、Z21〜Z25及びZ27〜Z30は、それぞれ独立して、H;OH;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、Z26及びZ31〜Z35は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。)、
以下の式(III);
Figure 2021095359
(式中、R31及びR33は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R32及びR34は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。)、
以下の式(IV);
Figure 2021095359
(式中、R41は、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R42は、H;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;を表し、nは、0、1、2、3又は4を表す。)、
以下の式(V);
Figure 2021095359
(式中、R51、R52及びR55は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R53及びR54は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、pは、0、1、2、3又は4を表し、qは、0、1、2又は3を表し、rは、0、1、2、3又は4を表す。)、
以下の式(VI);
Figure 2021095359
(式中、R61及びR62は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R63は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R64及びR65は、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、sは、0、1、2、3又は4を表し、tは、0、1、2又は3を表す。)、
以下の式(VII);
Figure 2021095359
(式中、R71及びR73は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R72は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。)、及び
以下の式(VIII);
Figure 2021095359
(式中、R81及びR82は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、X〜Xは、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。)
で表される化合物、並びにそれらの薬理学的に許容される塩からなる群(以下、これらを総称して「本件化合物群」ということがある)から選択される1種又は2種以上の化合物を含有することを特徴とする脂質ペルオキシラジカルの捕捉剤。
〔2〕以下の式(I);
Figure 2021095359
(式中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、XはO、S、SO又はSOを表す。)、
以下の式(II);
Figure 2021095359
(式中、Z21〜Z25及びZ27〜Z30は、それぞれ独立して、H;OH;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、Z26及びZ31〜Z35は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。)、
以下の式(III);
Figure 2021095359
(式中、R31及びR33は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R32及びR34は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。)、
以下の式(IV);
Figure 2021095359
(式中、R41は、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R42は、H;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;を表し、nは、0、1、2、3又は4を表す。)、
以下の式(V);
Figure 2021095359
(式中、R51、R52及びR55は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R53及びR54は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、pは、0、1、2、3又は4を表し、qは、0、1、2又は3を表し、rは、0、1、2、3又は4を表す。)、
以下の式(VI);
Figure 2021095359
(式中、R61及びR62は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R63は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R64及びR65は、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、sは、0、1、2、3又は4を表し、tは、0、1、2又は3を表す。)、
以下の式(VII);
Figure 2021095359
(式中、R71及びR73は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R72は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。)、及び
以下の式(VIII);
Figure 2021095359
(式中、R81及びR82は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、X〜Xは、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。)
で表される化合物、並びにそれらの薬理学的に許容される塩からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物を含有することを特徴とする過酸化脂質蓄積の抑制剤。
〔3〕以下の式(I);
Figure 2021095359
(式中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、XはO、S、SO又はSOを表す。)、
以下の式(II);
Figure 2021095359
(式中、Z21〜Z25及びZ27〜Z30は、それぞれ独立して、H;OH;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、Z26及びZ31〜Z35は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。)、
以下の式(III);
Figure 2021095359
(式中、R31及びR33は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R32及びR34は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。)、
以下の式(IV);
Figure 2021095359
(式中、R41は、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R42は、H;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;を表し、nは、0、1、2、3又は4を表す。)、
以下の式(V);
Figure 2021095359
(式中、R51、R52及びR55は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R53及びR54は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、pは、0、1、2、3又は4を表し、qは、0、1、2又は3を表し、rは、0、1、2、3又は4を表す。)、
以下の式(VI);
Figure 2021095359
(式中、R61及びR62は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R63は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R64及びR65は、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、sは、0、1、2、3又は4を表し、tは、0、1、2又は3を表す。)、
以下の式(VII);
Figure 2021095359
(式中、R71及びR73は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R72は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。)、及び
以下の式(VIII);
Figure 2021095359
(式中、R81及びR82は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、X〜Xは、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。)
で表される化合物、並びにそれらの薬理学的に許容される塩からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物を含有することを特徴とする過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシスの抑制剤。
〔4〕以下の式(I);
Figure 2021095359
(式中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、XはO、S、SO又はSOを表す。)、
以下の式(II);
Figure 2021095359
(式中、Z21〜Z25及びZ27〜Z30は、それぞれ独立して、H;OH;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、Z26及びZ31〜Z35は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。)、
以下の式(III);
Figure 2021095359
(式中、R31及びR33は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R32及びR34は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。)、
以下の式(IV);
Figure 2021095359
(式中、R41は、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R42は、H;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;を表し、nは、0、1、2、3又は4を表す。)、
以下の式(V);
Figure 2021095359
(式中、R51、R52及びR55は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R53及びR54は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、pは、0、1、2、3又は4を表し、qは、0、1、2又は3を表し、rは、0、1、2、3又は4を表す。)、
以下の式(VI);
Figure 2021095359
(式中、R61及びR62は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R63は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R64及びR65は、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、sは、0、1、2、3又は4を表し、tは、0、1、2又は3を表す。)、
以下の式(VII);
Figure 2021095359
(式中、R71及びR73は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R72は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。)、及び
以下の式(VIII);
Figure 2021095359
(式中、R81及びR82は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、X〜Xは、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。)
で表される化合物、並びにそれらの薬理学的に許容される塩からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物を含有することを特徴とする過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する疾患の予防又は治療剤。
〔5〕疾患が腎障害又は肝障害であることを特徴とする上記〔4〕に記載の剤。
〔6〕経口投与されることを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の剤。
〔7〕式(I)で表される化合物が、以下の式(I−1)で表される化合物であり、式(II)で表される化合物が、以下の式(II−1)で表される化合物であり、式(III)で表される化合物が、以下の式(III−1)で表される化合物であり、式(IV)で表される化合物が、以下の式(IV−1)で表される化合物であり、式(V)で表される化合物が、以下の式(V−1)で表される化合物であり、式(VI)で表される化合物が、以下の式(VI−1)で表される化合物であり、式(VII)で表される化合物が、以下の式(VII−1)で表される化合物であり、式(VIII)で表される化合物が、以下の式(VIII−1)で表される化合物であることを特徴とする上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の剤。
Figure 2021095359

Figure 2021095359

Figure 2021095359

Figure 2021095359

Figure 2021095359

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Figure 2021095359

Figure 2021095359
また本発明の実施の他の形態として、
本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物を、脂質ペルオキシラジカルの捕捉を必要とする対象に投与するステップを含む、脂質ペルオキシラジカルを捕捉する方法;や、
脂質ペルオキシラジカルの捕捉剤として使用するための、本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物;や、
脂質ペルオキシラジカルの捕捉における使用のための、本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物;や、
脂質ペルオキシラジカルの捕捉剤を製造するための、本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物の使用;
を挙げることができる。
また本発明の実施の他の形態として、
本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物を、過酸化脂質蓄積の抑制を必要とする対象に投与するステップを含む、過酸化脂質蓄積を抑制する方法;や、
過酸化脂質蓄積の抑制剤として使用するための、本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物;や、
過酸化脂質蓄積の抑制における使用のための、本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物;や、
過酸化脂質蓄積の抑制剤を製造するための、本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物の使用;
を挙げることができる。
また本発明の実施の他の形態として、
本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物を、過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシスの抑制を必要とする対象に投与するステップを含む、過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシスを抑制する方法;や、
過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシスの抑制剤として使用するための、本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物;や、
過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシスの抑制における使用のための、本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物;や、
過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシスの抑制剤を製造するための、本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物の使用;
を挙げることができる。
また本発明の実施の他の形態として、
本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物を、過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する疾患の予防又は治療を必要とする対象(すなわち、過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する疾患に罹患した患者)に投与するステップを含む、過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する疾患を予防又は治療する方法;や、
過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する疾患の予防又は治療剤として使用するための、本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物;や、
過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する疾患の予防又は治療における使用のための、本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物;や、
過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する疾患の予防又は治療剤を製造するための、本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物の使用;
を挙げることができる。
本件化合物群に包含される化合物は、(スーパーオキシド又はヒドロキシラジカルではなく)脂質ペルオキシラジカルに対する特異的な捕捉能;過酸化脂質の蓄積の抑制作用;脂質ペルオキシラジカルの生成の抑制作用;(スーパーオキシド又はヒドロキシラジカルに起因するフェロトーシスや、アポトーシスではなく)過酸化脂質や脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシスに対する特異的な抑制作用;及び過酸化脂質や脂質ペルオキシラジカルに起因するに起因する疾患に対する予防・治療効果;を有する。また、本件化合物群に包含される化合物は、低分子化合物であるため、脳血管関門(BBB)を通過することが期待され、神経系の上記疾患に対しても予防・治療効果が期待される。
H9C2細胞株を、各種濃度のBSOを含む3種類の培養液(DMEM[高グルコース]培養液、DMEM[低グルコース]培養液、及びDMEM[低グルコース低血清]培養液)中で60時間インキュベートし、生細胞レベル(平均値±標準誤差[S.E.M.])を解析した結果(n=3)を示す図である。 図2Aは、H9C2細胞株を、BSOの非存在下(図中の「BSO(−)」);100μMのBSO及びDMSO(溶媒)の存在下(図中の「+BSO DMSO」);並びに、100μMのBSO及び各種濃度の本件化合物8種(30μMのオメプラゾール、30μMのI3C、20μMのリファンピシン、1μMのプロメタジン、1μMのカルベジロール、10μMのプロプラノロール、10μMのエストラジオール、及び10μMのT3)の存在下(それぞれ、図中の「+BSO OPZ」、「+BSO I3C」、「+BSO RFP」、「+BSO PMZ」、「+BSO CAR」、「+BSO PPL」、「+BSO E2」、及び「+BSO T3」);で60時間インキュベートし、生細胞レベル(平均値±標準誤差)を解析した結果(n=6)を示す図である。図2Bは、図2Aにおいてインキュベートした細胞の位相差顕微鏡画像である。図中の「***」は、Dunnett's testにより統計学的に有意差がある(p<0.001)ことを示す。 H9C2細胞株を、100μMのBSO及び各種濃度の本件化合物8種の存在下で60時間インキュベートし、生細胞レベル(平均値±標準誤差)を解析した結果(n=3)を示す図である。 図4Aは、H9C2細胞株を、エラスチン及びRSL3の非存在下(図中の(−)の左側及び右側グラフ);1.5μMのエラスチン及びDMSOの存在下(図中の「(+)DMSO」の左側グラフ);30nMのRSL3及びDMSOの存在下(図中の「(+)DMSO」の右側グラフ);並びに、1.5μMのエラスチン及び各種濃度の本件化合物8種(100μMのオメプラゾール、100μMのI3C、20μMのリファンピシン、1μMのプロメタジン、1μMのカルベジロール、20μMのプロプラノロール、10μMのエストラジオール、及び10μMのT3;以下、図4Aにおいて同じ)の存在下(それぞれ、図中の「(+)OPZ」の左側グラフ、「(+)I3C」の左側グラフ、「(+)RFP」の左側グラフ、「(+)PMZ」の左側グラフ、「(+)CAR」の左側グラフ、「(+)PPL」の左側グラフ、「(+)E2」の左側グラフ、及び「(+)T3」の左側グラフ);及び、30nMのRSL3及び各種濃度の本件化合物8種の存在下(それぞれ、図中の「(+)OPZ」の右側グラフ、「(+)I3C」の右側グラフ、「(+)RFP」の右側グラフ、「(+)PMZ」の右側グラフ、「(+)CAR」の右側グラフ、「(+)PPL」の右側グラフ、「(+)E2」の右側グラフ、及び「(+)T3」の右側グラフ);で24時間インキュベートし、生細胞レベル(平均値±標準誤差)を解析した結果(n=3)を示す図である。図4Bは、H9C2細胞株を、エラスチンの非存在下(図中の「エラスチン(−)」);1.5μMのエラスチン及びDMSOの存在下(図中の「エラスチン(+)DMSO」);並びに、1.5μMのエラスチン及び各種濃度の本件化合物2種(1μMのプロメタジン及び20μMのリファンピシン)の存在下(それぞれ、図中の「エラスチン(+)PMZ」及び「エラスチン(+)RFP」)で20時間インキュベートし、ミトコンドリアの形態を解析した結果を示す図である。下段の画像は、上段の高倍率画像である。図4Cは、H9C2細胞株を、4種類の因子(17AAG、スタウロスポリン[staurosporine]、メナジオン[menadione]、及びUV)の非存在下(図中の(−)の4つのグラフ);各種濃度の前記4種類の因子(0.3μMの17AAG、10nMのスタウロスポリン、50μMのメナジオン、及び20mJ/cmのUV)及びDMSOの存在下(それぞれ、図中の「(+)DMSO」の左から順に1〜4番目のグラフ);0.3μMの17AAG及び各種濃度の本件化合物8種(30μMのオメプラゾール、30μMのI3C、20μMのリファンピシン、1μMのプロメタジン、1μMのカルベジロール、10μMのプロプラノロール、10μMのエストラジオール、及び10μMのT3;以下、図3Cにおいて同じ)の存在下(それぞれ、図中の「(+)OPZ」の左から1番目のグラフ、「(+)I3C」の左から1番目のグラフ]、「(+)RFP」の左から1番目のグラフ、「(+)PMZ」の左から1番目のグラフ、「(+)CAR」の左から1番目のグラフ、「(+)PPL」の左から1番目のグラフ、(+)E2」の左から1番目のグラフ、及び「(+)T3」の左から1番目のグラフ);10nMのスタウロスポリン及び各種濃度の本件化合物8種の存在下(それぞれ、図中の「(+)OPZ」の左から2番目のグラフ、「(+)I3C」の左から2番目のグラフ]、「(+)RFP」の左から2番目のグラフ、「(+)PMZ」の左から2番目のグラフ、「(+)CAR」の左から2番目のグラフ、「(+)PPL」の左から2番目のグラフ、(+)E2」の左から2番目のグラフ、及び「(+)T3」の左から2番目のグラフ);50μMのメナジオン及び各種濃度の本件化合物8種の存在下(それぞれ、図中の「(+)OPZ」の左から3番目のグラフ、「(+)I3C」の左から3番目のグラフ]、「(+)RFP」の左から3番目のグラフ、「(+)PMZ」の左から3番目のグラフ、「(+)CAR」の左から3番目のグラフ、「(+)PPL」の左から3番目のグラフ、(+)E2」の左から3番目のグラフ、及び「(+)T3」の左から3番目のグラフ);並びに、20mJ/cmのUV及び各種濃度の本件化合物8種の存在下(それぞれ、図中の「(+)OPZ」の左から4番目のグラフ、「(+)I3C」の左から4番目のグラフ]、「(+)RFP」の左から4番目のグラフ、「(+)PMZ」の左から4番目のグラフ、「(+)CAR」の左から4番目のグラフ、「(+)PPL」の左から4番目のグラフ、(+)E2」の左から4番目のグラフ、及び「(+)T3」の左から4番目のグラフ);でインキュベートし、生細胞レベル(平均値±標準誤差)を解析した結果(n=6)を示す図である。図中の「n.s.」及び「***」は、それぞれ、Dunnett's testにより統計学的に有意差がないこと(p≧0.05)及び有意差があること(p<0.001)ことを示す。 図5Aは、NRK49F細胞株を、BSOの非存在下(図中の「BSO(−)」);100μMのBSO及びDMSOの存在下(図中の「+BSO DMSO」);並びに100μMのBSO及び各種濃度の本件化合物8種(30μMのオメプラゾール、30μMのI3C、10μMのリファンピシン、1μMのプロメタジン、1μMのカルベジロール、10μMのプロプラノロール、20μMのエストラジオール、及び3μMのT3)の存在下(それぞれ、図中の「+BSO OPZ」、「+BSO I3C」、「+BSO RFP」、「+BSO PMZ」、「+BSO CAR」、「+BSO PPL」、「+BSO E2」、及び「+BSO T3」);で96時間インキュベートし、生細胞レベル(平均値±標準誤差)を解析した結果(n=3)を示す図である。図5Bは、C2C12細胞株を、BSOの非存在下(図中の「BSO(−)」);200μMのBSO及びDMSOの存在下(図中の「+BSO DMSO」);並びに200μMのBSO及び各種濃度の本件化合物8種(30μMのオメプラゾール、10μMのI3C、10μMのリファンピシン、1μMのプロメタジン、1μMのカルベジロール、10μMのプロプラノロール、10μMのエストラジオール、及び10μMのT3)の存在下(それぞれ、図中の「+BSO OPZ」、「+BSO I3C」、「+BSO RFP」、「+BSO PMZ」、「+BSO CAR」、「+BSO PPL」、「+BSO E2」、及び「+BSO T3」);で60時間インキュベートし、生細胞レベル(平均値±標準誤差)を解析した結果(n=3)を示す図である。図5Cは、HT−22細胞株を、高濃度(4mM)グルタミン酸の非存在下(図中の「Glu(−)」);高濃度グルタミン酸及びDMSOの存在下(図中の「+Glu DMSO」);並びに高濃度グルタミン酸及び各種濃度の本件化合物8種(30μMのオメプラゾール、30μMのI3C、30μMのリファンピシン、0.3μMのプロメタジン、1μMのカルベジロール、10μMのプロプラノロール、10μMのエストラジオール、及び10μMのT3)の存在下(それぞれ、図中の「+Glu OPZ」、「+Glu I3C」、「+Glu RFP」、「+Glu PMZ」、「+Glu CAR」、「+Glu PPL」、「+Glu E2」、及び「+Glu T3」);で24時間インキュベートし、生細胞レベル(平均値±標準誤差)を解析した結果(n=3)を示す図である。図中の「***」は、Dunnett's testにより統計学的に有意差があること(p<0.001)ことを示す。 図6Aは、HK2細胞株を、エラスチンの非存在下(図中の「エラスチン(−)」);5μMのエラスチン及びDMSOの存在下(図中の「+エラスチン DMSO」);並びに、5μMのエラスチン及び各種濃度の本件化合物7種(30μMのオメプラゾール、50μMのI3C、20μMのリファンピシン、1μMのプロメタジン、1μMのカルベジロール、10μMのエストラジオール、及び10μMのT3)の存在下(それぞれ、図中の「+エラスチン OPZ」、「+エラスチン I3C」、「+エラスチン RFP」、「+エラスチン PMZ」、「+エラスチン CAR」、「+エラスチン E2」、及び「+エラスチン T3」);;で48時間インキュベートし、生細胞レベル(平均値±標準誤差)を解析した結果(n=3)を示す図である。図6Bは、HUPEC細胞株を、エラスチンの非存在下(図中の「エラスチン(−)」);0.5μMのエラスチン及びDMSOの存在下(図中の「+エラスチン DMSO」);並びに、0.5μMのエラスチン及び各種濃度の本件化合物7種(30μMのオメプラゾール、100μMのI3C、20μMのリファンピシン、1μMのプロメタジン、10μMのプロプラノロール、20μMのエストラジオール、及び10μMのT3)の存在下(それぞれ、図中の「+エラスチン OPZ」、「+エラスチン I3C」、「+エラスチン RFP」、「+エラスチン PMZ」、「+エラスチン PPL」、「+エラスチン E2」、及び「+エラスチン T3」);で48時間インキュベートし、生細胞レベル(平均値±標準誤差)を解析した結果(n=3)を示す図である。図6Cは、PANC−1細胞株を、エラスチンの非存在下(図中の「エラスチン(−)」);5μMのエラスチン及びDMSOの存在下(図中の「+エラスチン DMSO」);並びに、5μMのエラスチン及び各種濃度の本件化合物7種(30μMのオメプラゾール、30μMのI3C、30μMのリファンピシン、1μMのプロメタジン、1μMのカルベジロール、10μMのエストラジオール、及び10μMのT3)の存在下(それぞれ、図中の「+エラスチン OPZ」、「+エラスチン I3C」、「+エラスチン RFP」、「+エラスチン PMZ」、「+エラスチン CAR」、「+エラスチン E2」、及び「+エラスチン T3」);で30時間インキュベートし、生細胞レベル(平均値±標準誤差)を解析した結果(n=3)を示す図である。図6Dは、MDA−MB−231細胞を、エラスチンの非存在下(図中の「エラスチン(−)」);10μMのエラスチン及びDMSOの存在下(図中の「+エラスチン DMSO」);並びに、10μMのエラスチン及び各種濃度の本件化合物6種(30μMのI3C、20μMのリファンピシン、1μMのプロメタジン、1μMのカルベジロール、20μMのエストラジオール、及び10μMのT3)の存在下(それぞれ、図中の「+エラスチン I3C」、「+エラスチン RFP」、「+エラスチン PMZ」、「+エラスチン CAR」、「+エラスチン E2」、及び「+エラスチン T3」);で48時間インキュベートし、生細胞レベル(平均値±標準誤差)を解析した結果(n=3)を示す図である。 図7Aは、H9C2細胞株を、BSOの非存在下(図中の「BSO(−)」);BSO及びDMSOの存在下(図中の「+BSO DMSO」);並びに、BSO及び各種濃度の本件化合物8種(30μMのオメプラゾール、30μMのI3C、20μMのリファンピシン、1μMのプロメタジン、1μMのカルベジロール、10μMのプロプラノロール、10μMのエストラジオール、及び10μMのT3)の存在下(それぞれ、図中の「+BSO OPZ」]、「+BSO I3C」、「+BSO RFP」、「+BSO PMZ」、「+BSO CAR」、「+BSO PPL」、「+BSO E2」、及び「+BSO T3」);でインキュベートし、培養上清中のマロンジアルデヒド(MDA)濃度(平均値±標準誤差)を測定した結果(n=3)を示す図である。図7Bは、図7Aにおいてインキュベートした細胞について、過酸化脂質のイメージング解析した結果を示す図である。 NBD−Pen蛍光プローブを用いたアラキドン酸(AA)/リポキシゲナーゼ(LOX)システムにより、本件化合物が脂質ペルオキシラジカルに対する捕捉能を有することを解析した結果を示す図である。図8Aは、4種類の液(NBD−Penを含むPBS[図中の「Blank」]、AA及びNBD−Penを含むPBS[図中の「AA」]、LOX及びNBD−Penを含むPBS[図中の「LOX」]、並びに、AA、LOX、及びNBD−Penを含むPBS[図中の「AA+LOX」])について、NBD−Pen由来の蛍光レベルを解析した結果を示す図である。図8B〜Gは、AA、LOX、NBD−Pen、及び図に示す濃度の7種類の本件化合物(I3C、リファンピシン、プロメタジン、カルベジロール、プロプラノロール、エストラジオール、及びT3)を含むPBS(それぞれ、図8B〜G)について、NBD−Pen由来の蛍光レベルを解析した結果を示す図である。図8Hは、AA、LOX、及びNBD−Penと、DMSO(図中の「DMSO」)又は100μMのオメプラゾール(図中の「OPZ」)を含む培養液中でH9C2細胞株を培養した後の細胞抽出液とを含む液について、NBD−Pen由来の蛍光レベルを解析した結果を示す図である。図8Iは、AA、LOX、及びNBD−Penと、DMSO(図中の「DMSO」)又は各種濃度の本件化合物8種(100μMのオメプラゾール、100μMのI3C、30μMのリファンピシン、3μMのプロメタジン、3μMのカルベジロール、30μMのプロプラノロール、20μMのエストラジオール、及び20μMのT3)を含む培養液中でH9C2細胞株を培養した後の細胞抽出液とを含む液(それぞれ、図中の「OPZ」、「I3C」、「RFP」、「PMZ」、「CAR」、「PPL」、「E2」、及び「T3」)について、5分間測定したときの、NBD−Pen由来の蛍光レベル(平均値±標準誤差)を解析した結果(n=3)を示す図である。図中の「**」は、Dunnett's testにより統計学的に有意差があること(p<0.01)ことを示す。 図9Aは、各種濃度(0μM、15μM、又は50μM)のホスファチジルコリンヒドロペルオキシド(PCOOH)と、50μMの硫酸鉄(II)アンモニウム六水和物と、NBD−Penとを含む液(それぞれ、図中の「PCOOH(0)+Fe2+」、「PCOOH(15)+Fe2+」、及び「PCOOH(50)+Fe2+」)や、硫酸鉄(II)アンモニウム六水和物不含の当該液(それぞれ、図中の「PCOOH(0)−Fe2+」、「PCOOH(15)−Fe2+」、及び「PCOOH(50)−Fe2+」)について、NBD−Pen由来の蛍光レベルを解析した結果を示す図である。図9Bは、H9C2細胞株を、各種濃度(0μM、1μM、3μM、10μM、30μM、又は100μM)のBSOと、各種濃度(0μM、10μM、20μM、又は50μM)のPCOOH(それぞれ、図中の「PCOOH(0)」、「PCOOH(10)」、「PCOOH(20)」、及び「PCOOH(50)」)と、50μMの硫酸鉄(II)アンモニウム六水和物との存在下で48時間インキュベートし、生細胞レベル(平均値±標準誤差[S.E.M.])を解析した結果(n=3)を示す図である。図中の「**」及び「***」は、それぞれ、Dunnett's testにより統計学的に有意差があること(p<0.01及びp<0.001)ことを示す。図9Cは、H9C2細胞株を、BSOの非存在下(図中の「BSO(−)」);100μMのBSO及びDMSO(溶媒)の存在下(図中の「+BSO DMSO」);並びに、100μMのBSO及び各種濃度の本件化合物8種(30μMのオメプラゾール、30μMのI3C、10μMのリファンピシン、0.3μMのプロメタジン、0.3μMのカルベジロール、10μMのプロプラノロール、5μMのエストラジオール、及び5μMのT3)の存在下(それぞれ、図中の「+BSO OPZ」、「+BSO I3C」、「+BSO RFP」、「+BSO PMZ」、「+BSO CAR」、「+BSO PPL」、「+BSO E2」、及び「+BSO T3」);でかつ、20μMのPCOOHの存在下(図中の「+」)又は非存在下(図中の「−」)で60時間インキュベートし、生細胞レベル(平均値±標準誤差)を解析した結果(n=3)を示す図である。 図10Aは、100μMのBSO及び各種濃度(0μM、3μM、10μM、又は30μM)のリファンピシン(RFP)の存在下で、かつ、20μMのPCOOHの存在下(図中の「+」)又は非存在下(図中の「−」)で60時間インキュベートし、生細胞レベル(平均値±標準誤差)を解析した結果(n=3)を示す図である。図10Bは、100μMのBSO及び各種濃度(0μM、0.1μM、0.3μM、又は1μM)のプロメタジン(PMZ)の存在下で、かつ、20μMのPCOOHの存在下(図中の「+」)又は非存在下(図中の「−」)で60時間インキュベートし、生細胞レベル(平均値±標準誤差)を解析した結果(n=3)を示す図である。図中の「*」は、Dunnett's testにより統計学的に有意差がある(p<0.05)ことを示す。 本件化合物8種(オメプラゾール[OPZ]、I3C、リファンピシン[RFP]、プロメタジン[PMZ]、カルベジロール[CAR]、プロプラノロール[PPL]、エストラジオール[E2]、及びT3)とアスコルビン酸(AsA)について、スーパーオキシド(「O」)及びヒドロキシラジカル(「H」)に対する捕捉能を解析した結果を示す図である。 4種類の群(野生型群[図中の「WT」]、AKI溶媒投与群[図中の「VHC」]、AKIプロメタジン投与群[図中の「PMZ」]、及びAKIリファンピシン投与群[図中の「RFP」])のマウスについて、血中クレアチニン濃度(図12A)及び血中BUN濃度(図12B)(それぞれ、平均値±標準誤差)を測定した結果を示す図である。図中の「**」及び「***」は、それぞれ、Dunnett's testにより統計学的に有意差があること(p<0.01及びp<0.001)ことを示す。 図13Aは、上記4種類の群のマウスから調製した腎組織切片について、マッソントリクローム染色法(図中の「MT」)、及び3種類の抗体(抗KIM−1抗体、抗HEL抗体、及び抗4−HNE抗体)を用いた免疫組織染色法(それぞれ、図中の「KIM−1」、「HEL」、及び「4−HNE」)を行った結果を示す図である。図13Bは、上記4種類の群のマウスから調製した腎組織切片について、マッソントリクローム染色法を行い、ミトコンドリアの形態を解析した結果を示す図である。下段の画像は、上段の高倍率画像である。 図14Aは、3種類の群(野生型群[図中の「WT」]、AHI溶媒投与群[図中の「VHC」]、及びAHIプロメタジン投与群[図中の「PMZ」])のマウスについて、血漿中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値を測定した結果を示す図である。図中の「*」及び「**」は、それぞれ、Dunnett'stestにより統計学的に有意差があること(p<0.05及びp<0.01)ことを示す。図14Bは、上記3種類の群のマウスから調製した肝組織切片について、ヘマトキシリン・エオジン染色法(図中の「HE」)、及び抗HEL抗体を用いた免疫組織染色法(図中の「HEL」)を行った結果を示す図である。下段のHE画像は、上段のHE画像を高倍率にしたものである。
本発明の脂質ペルオキシラジカルの捕捉剤は、「脂質ペルオキシラジカルを捕捉するため」という用途に特定された、本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物(すなわち、本件化合物)を含有する剤(以下、「本件捕捉剤」ということがある)であり、ここで、「脂質ペルオキシラジカルを捕捉する」とは、脂質ペルオキシラジカルが生成される反応、より具体的には、過酸化脂質(脂質ペルオキシド[LOOH]ともいう)からFe2+を触媒とするフェントン反応により、脂質ペルオキシラジカルが生成される反応を、抑制することを意味する。したがって、「脂質ペルオキシラジカルの捕捉剤」は、換言すると、「脂質ペルオキシラジカル生成の抑制剤」である。
本発明の過酸化脂質蓄積の抑制剤は、「過酸化脂質の蓄積を抑制するため」という用途に特定された、本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物を含有する剤(以下、「本件過酸化脂質蓄積抑制剤」ということがある)である。
本発明の過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシスの抑制剤は、「過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシスを抑制するため」という用途に特定された、本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物を含有する剤(以下、「本件フェロトーシス抑制剤」ということがある)であり、ここで、「過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシス」とは、過酸化脂質の蓄積及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する細胞死(より具体的には、能動的又は制御された細胞死)を意味し、スーパーオキシドアニオンラジカル(O ・、単に、「スーパーオキシド」ともいう)又はヒドロキシラジカル(・OH)に起因するフェロトーシスや、フェロトーシス以外の細胞死(例えば、アポトーシス、ネクローシス、オートファジー細胞死)とは異なる。
本件捕捉剤、本件過酸化脂質蓄積抑制剤、及び本件フェロトーシス抑制剤には、医薬品の他、健康補助食品、保健機能食品、サプリメント等の特定の機能を有し、健康維持などを目的として摂食される医薬品類似の(食品)組成物や機能性食品も含まれる。本明細書において、過酸化脂質や脂質ペルオキシラジカルは、生体外(インビトロ)に存在するものであってもよいが、通常、生体、具体的には、各種臓器又は組織(例えば、大腸[結腸又は直腸]、胃、肝臓、脳、脊髄、肺、食道、十二指腸、小腸、皮膚、前立腺、膀胱、子宮、腎臓、膵臓、脾臓、気管、気管支、胆嚢、胆管)内に存在するものである。
本発明の過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する疾患の予防又は治療剤は、「過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する疾患を予防又は治療するため」という用途に特定された、本件化合物群から選択される1種又は2種以上の化合物を含有する剤(以下、「本件予防/治療剤」ということがある)であり、ここで、「過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する疾患を予防する」とは、過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する疾患の発症を予防する;過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する疾患の症状悪化を予防する;等を意味する。本件予防/治療剤は、単独で医薬品(製剤)として使用してもよいし、さらに添加剤を混合し、組成物の形態(医薬組成物)として使用してもよい。なお、本件捕捉剤、本件過酸化脂質蓄積抑制剤、本件フェロトーシス抑制剤、及び本件予防/治療剤を総称して、以下、「本件剤」ということがある。
本明細書において、「脂質ペルオキシラジカル」とは、過酸化脂質のラジカル(すなわち、不対電子を有する原子又は分子;「フリーラジカル」ともいう)を意味し、反応性に富む活性酸素の1種であり、「LOO・」とも表記される。脂質ペルオキシラジカルは、LOOHからFe2+を触媒とするフェントン反応により生成される他、脂質ラジカル(L・)と酸素分子との反応でも生成される。また、過酸化脂質は、例えば、脂質(LH)から、脂質ペルオキシラジカル等のフリーラジカルによる過酸化反応により生成・蓄積されたり、GPX4活性が低下することにより生成・蓄積される。
上記「過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する疾患」としては、各種臓器又は組織における過酸化脂質蓄積及び/又は脂質ペルオキシラジカルの生成に起因する疾患(より具体的には、フェロトーシスを特徴とする疾患)であればよく、例えば、前述した各種臓器又は組織における障害を挙げることができ、後述する本実施例でその効果が実証されているため、腎臓における障害(腎障害)や肝臓における障害(肝障害)を好適に例示することができる。また、上記疾患は、急性疾患でも慢性疾患でもよいが、後述する本実施例でその効果が実証されているため、急性疾患を好適に例示することができる。
本発明において、本件化合物群から選択される化合物とは、以下の(1)〜(8)の化合物やそれらの薬理学的に許容される塩を意味する。
(1)以下の式(I)の化合物(以下、「プロメタジン系化合物」ということがある)
Figure 2021095359
式中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、XはO、S、SO又はSOを表す。
(2)以下の式(II)の化合物(以下、「リファンピシン系化合物」ということがある)
Figure 2021095359
式中、Z21〜Z25及びZ27〜Z30は、それぞれ独立して、H;OH;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、Z26及びZ31〜Z35は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。
(3)以下の式(III)の化合物(以下、「オメプラゾール系化合物」ということがある)
Figure 2021095359
式中、R31及びR33は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R32及びR34は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。
(4)以下の式(IV)の化合物(以下、「I3C系化合物」ということがある)
Figure 2021095359
式中、R41は、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R42は、H;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;を表し、nは、0、1、2、3又は4を表す。
(5)以下の式(V)の化合物(以下、「カルベジロール系化合物」ということがある)
Figure 2021095359
式中、R51、R52及びR55は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R53及びR54は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、pは、0、1、2、3又は4を表し、qは、0、1、2又は3を表し、rは、0、1、2、3又は4を表す。
(6)以下の式(VI)の化合物(以下、「プロプラノロール系化合物」ということがある)
Figure 2021095359
式中、R61及びR62は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R63は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R64及びR65は、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、sは、0、1、2、3又は4を表し、tは、0、1、2又は3を表す。
(7)以下の式(VII)の化合物(以下、「エストラジオール系化合物」ということがある)
Figure 2021095359
式中、R71及びR73は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R72は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。
(8)以下の式(VIII)の化合物(以下、「T3系化合物」ということがある)
Figure 2021095359
式中、R81及びR82は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、X〜Xは、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。
上記化合物の各々における「系化合物」とは、式(I)〜(VIII)の各々で表される骨格を有し、可変基が相違する化合物群を意味する。プロメタジン系化合物を例にとると、プロメタジン系化合物とは、式(I)で表される環状の骨格(プロメタジン骨格)を有し、可変基であるR11、R12、R13及びXが相違する化合物群を意味する。
本明細書において、「置換された若しくは置換されていない」における「置換された」とは、1又は2以上の置換基を有することを意味し、「置換されていない」とは、置換基を全く有さないことを意味する。置換基の例としては、ハロゲン原子(すなわち、フッ素原子[フルオロ基]、塩素原子[クロロ基]、臭素原子[ブロモ基]、又はヨウ素原子[ヨード基])、素数1〜4のアルキル基、素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノ(C1−6)アルキルアミノ基、ジ(C1−6)アルキルアミノ基、アセチル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、フェニル基などを挙げることができる。2以上の置換基を有する場合、各置換基は独立的に選択され、同一であっても異なっていてもよい。なお。「(C1−6)」は炭素数1〜6を意味する。
本明細書において、「直鎖」とは、水素原子以外の原子が枝分かれせずに直線状に連なっている構造を意味する。
本明細書において、「分枝鎖」とは、1若しくは2以上の任意の炭素原子に2以上の別の炭素原子が結合している構造を意味する。
本明細書において、「アルキル基」とは、一般式C2n+2(nは正の整数)で表されるアルカン(脂肪族飽和炭化水素)の任意の炭素原子から水素原子1個を除いた残りの炭化水素基を意味する。本発明におけるアルキル基の炭素数は1〜6の範囲内であり、例えば、1〜5、1〜4、1〜3等が包含される。
上記「アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基等を挙げることができる。
本明細書において、「ハロゲン」とは、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、又はヨウ素原子(I)を意味する。
本明細書において、「アルコキシ基」とは、「−O−アルキル基」で表される基を意味する。「アルキル基」は前記で定義したとおりである。本明細書において、「置換された若しくは置換されていない直鎖若しくは分枝鎖のアルコキシ基」とは、「−O−置換された若しくは置換されていない直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基」を意味する。本発明におけるアルコキシ基のアルキル基の炭素数は1〜6の範囲内であり、例えば、1〜5、1〜4、1〜3等が包含される。
上記「アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、1−メチルブトキシ基、2−メチルブトキシ基、3−メチルブトキシ基、1−エチルプロポキシ基、1,1−ジメチルプロポキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、2,2−ジメチルプロポキシル基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、1,1−ジメチルブトキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、2,2−ジメチルブトキシ基、2,3−ジメチルブトキシ基、3,3−ジメチルブトキシ基、1,1,2−トリメチルプロポキシ基、1−エチルブトキシ基、2−エチルブトキシ基、1−エチル−1−メチルプロポキシ基、1−エチル−2−メチルプロポキシ基等を挙げることができる。
本明細書において、「アルケニル基」とは、分子内に炭素間二重結合を1つ有し、一般式C2n(nは2又は3以上の正の整数)で表されるアルケン(オレフィン系炭化水素)の任意の炭素原子から水素原子1つを除いた残りの炭化水素基を意味する。本発明におけるアルケニル基の炭素数は2〜6の範囲内であり、例えば、2〜5、2〜4等が包含される。
上記「アルケニル基」としては、例えば、エテニル基(ビニル基)、1−プロペニル基、2−プロペニル基(アリル基)、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基等を挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルキル基」とは、一般式C2n(nは3以上の正の整数)で表されるシクロアルカン(環状飽和炭化水素)の任意の炭素原子から水素原子1つを除いた残りの炭化水素基を意味する。本発明の「シクロアルキル基」における炭素数は3〜8の範囲内であり、例えば、3〜7、3〜6、3〜5、3〜4等が包含される。
上記「シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
本明細書において、「薬理学的に許容される塩」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、ヒトや動物の組織と接触して用いるのに、過度の毒性、刺激性、アレルギー応答、及びその他の問題や合併症を伴うことなく、適度な受益性/危険性比率に相応して適している塩を意味する。
上記式(I)〜(VIII)の化合物における薬理学的に許容される塩としては、塩基塩が存在する。上記式(I)〜(VIII)の化合物における薬理学的に許容される塩基塩としては、例えば、アンモニウム塩;ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン等の有機塩基との塩;アルギニン、リシン、オルニチン等のアミノ酸との塩;塩基性窒素含有基により生じる塩;などを挙げることができる。かかる塩基性窒素含有基は、ハロゲン化メチル、エチル、プロピル、ブチル等の低級アルキルハロゲン化物;ジメチル、ジエチル、ジブチル等の硫酸ジアルキル;硫酸ジアミル;ハロゲン化デシル、ラウリル、ミリスチル、ステアリル等の長鎖ハロゲン化物;臭化ベンジル等のアリールアルキルハロゲン化物;などの物質により、第四級化されていてもよい。上記式(I)〜(VIII)の化合物における薬理学的に許容される塩としては、無毒性のものを好適に例示することができる。
上記式(I)〜(VIII)の化合物には、種々の異性体(例えば、光学異性体、位置異性体、互変異性体等)、水和物等の溶媒和物、結晶多形、及びエステル体(例えば、式(I)で表される本発明の化合物とメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、又はtert−ブタノールとのエステル、)が存在するが、これらの異性体は、いずれも本発明の範囲に包含される。なお、式(I)、式(II)、式(VII)及び式(VIII)で表される化合物は光学異性体であるが、これらの光学異性体以外のすべての光学異性体も本件化合物群に包含される。
上記式(I)〜(VIII)の化合物を構成する1又は2以上の原子が同位体である化合物も本件化合物群に包含される。本件化合物群に包含される同位体としては、例えば、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素、臭素、又は塩素の同位体(例えば、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、75Br、76Br、77Br、82Br、37Cl)等を挙げることができる。
上記式(I)〜(VIII)の化合物としては、具体的には、それぞれ、以下の表1〜8に示す化合物を例示することができる。
Figure 2021095359
Figure 2021095359
Figure 2021095359
Figure 2021095359
表中の「−」は、インドール環の4〜7位のいずれにも置換基を有しないことを表す。表中の「5−COOH」は、インドール環の5位にCOOH(カルボキシル基)が置換されていることを表す。表中の「6−OH」は、インドール環の6位にOH(ヒドロキシル基)が置換されていることを表す。表中の「5−OCH」は、インドール環の5位にOCH(メトキシ基)が置換されていることを表す。
Figure 2021095359
表中の「−」は、環上に置換基を有しないことを表す。表中の「6−Cl」、「2−OCH3」、「4−OH」等は、表4の場合と同様の意味を表す。なお、式(V)におけるカルバゾール環の置換基の位置は、下記の数字によって表す。
Figure 2021095359
Figure 2021095359
表中の「−」は、環上に置換基を有しないことを表す。表中の「8−Cl」、「4−OH」等は、表4の場合と同様の意味を表す。なお、式(VI)におけるナフタレン環の置換基の位置は、下記の数字によって表す。
Figure 2021095359
Figure 2021095359
Figure 2021095359
表1に示す式(I−1)の化合物の構造式;表2に示す式(II−1)の化合物の構造式;表3に示す式(III−1)の化合物の構造式;表4に示す式(IV)の化合物の構造式;表5に示す式(V−1)の化合物の構造式;表6に示す式(VI−1)の化合物の構造式;表7に示す式(VII−1)の化合物の構造式;及び表8に示す式(VIII−1)の化合物の構造式;を、以下の表9に示す。
Figure 2021095359
Figure 2021095359
上記式(I)〜(VIII)の化合物は、公知の反応を適宜組み合わせることによって合成することができる。原料は市販購入又は市販購入品に一般的な保護基等を付与して合成することが可能である。カルボニル基の還元やアルコール基のハロゲン化については、一般的な有機化学で使用する還元剤やハロゲン化試薬等により合成可能である。またいずれの工程も有機化学で汎用される保護・脱保護による精製等も適用可能である。
本件剤は、必要に応じて、薬理学的に許容される通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、等張剤、添加剤、被覆剤、可溶化剤、潤滑剤、溶解補助剤、滑沢剤、風味剤、甘味剤、溶剤、ゲル化剤、栄養剤等の添加剤をさらに含むものであってもよい。かかる添加剤としては、具体的に、水、生理食塩水、動物性脂肪及び油、植物油、乳糖、デンプン、ゼラチン、結晶性セルロース、ガム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、グリセリンを例示することができる。
本件剤の投与形態としては、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、懸濁液などの剤型で投与する経口投与や、溶液、乳剤、懸濁液などの剤型を注射(例えば、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射)、又はスプレー剤の型で鼻孔内投与する非経口投与を挙げることができ、経口投与が好ましい。
本件剤における、本件化合物群に包含される化合物の投与量は、年齢、体重、性別、症状、薬剤への感受性等に応じて適宜決定され、例えば、0.1(μg/kg[体重]/日)〜200(mg/kg[体重]/日)の投与量の範囲である。後述する本実施例において、モデルマウスを用いた実験により、40(mg/kg[体重]/日)のプロメタジン又はリファンピシンの投与量が具体的に示されている。かかる投与量は、マウスにおけるヒト等価用量(HED)12.3(資料「Guidance for Industry Estimating the Maximum Safe Starting DoseinInitial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers」参照)を基に、ヒトへの投与量に換算した場合、3.25(mg/kg[体重]/日)である。このため、本件剤における、本件化合物群に包含される化合物の投与量としては、1.0(μg/kg[体重]/日)〜100(mg/[体重]/日)が好ましく、10(μg/kg[体重]/日)〜60(mg/kg[体重]/日)がより好ましく、30(μg/kg[体重]/日)〜30(mg/kg[体重]/日)がさらに好ましく、60(μg/kg[体重]/日)〜10(mg/kg[体重]/日)がさらにより好ましく、100(μg/kg[体重]/日)〜5.0(mg/kg[体重]/日)が最も好ましい。なお、本件剤は、一日あたり単回又は複数回(例えば、2〜4回)に分けて投与してもよい。
本件剤としては、有効成分として、本件化合物群に包含される化合物以外にも、脂質ペルオキシラジカルの捕捉能を有する成分;過酸化脂質蓄積の抑制作用を有する成分;過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシスの抑制作用を有する成分;及び、過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する疾患の予防又は治療作用を有する成分;からなる群から選択される成分を含むものであってもよいが、本件化合物群に包含される化合物単独でも、効果的に、脂質ペルオキシラジカルを捕捉したり、過酸化脂質蓄積を抑制したり、過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシスを抑制したり、過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する疾患を予防又は治療することができるため、本件化合物群に包含される化合物以外の上記成分(例えば、タンパク質、DNA、RNA、植物由来の抽出物、ポリマー)を含まないもの(換言すると、本件化合物群に包含される化合物を単独の有効成分として含有するもの)であってもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
1.材料と方法
[細胞株]
5種類の細胞株(H9C2細胞株[ラット心筋芽細胞株]、NRK49F細胞株[ラット腎間質線維芽細胞株]、HK2細胞株[ヒト腎近位尿細管上皮細胞株]、C2C12細胞株[マウス筋芽細胞株]、及びMDA−MB−231細胞[ヒト乳がん細胞株])は、ATCC(American Type Culture. Collection)より入手した。また、PANC−1細胞株(ヒト膵臓がん由来細胞株)は、東北大学医用細胞資源センターより入手した。また、HT−22細胞株(マウス海馬由来神経細胞株)は、Millipore社より購入した。HUPEC(Human urine-derivedpodocyte-like cells)(文献「Am J Physiol Renal Physiol, 298: F557-567, 2010」参照)は、Jeffrey B. Kopp博士(NIH, Bethesda, MD)より提供された。HUPEC以外のすべての細胞株は、1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含むDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Medium)培養液(以下、単に「DMEM培養液」という)に、10%FBS(fetal bovineserum)及び4.5gグルコース/Lを含むもの(以下、「DMEM[高グルコース]培養液」という)中で5%CO/20%O、37℃条件下で継代した。HUPECは、10%FBS、及び1%ITS(Insulin-Transferrin-Selenium)溶液(Thermo Fisher Scientific社製)を含むRPMI1640培養液(以下、単に「RPMI1640培養液」という)中で5%CO/20%O、33℃又は37℃条件下で継代した。なお、以下の実験において、細胞のインキュベーションは、5%CO/20%O、37℃条件下で行った。
[BSOに対する細胞の感受性の検討]
4000個のH9C2細胞株を96ウェルプレートに播種し、3種類の培養液(DMEM[高グルコース]培養液;DMEM培養液に、1.0gグルコース/L及び10%FBSを含むもの[以下、「DMEM[低グルコース]培養液」という];及びDMEM培養液に、1.0gグルコース/L(低グルコース)及び1%FBSを含むもの[以下、「DMEM[低グルコース低血清]培養液」という])中で1晩培養した後、各種濃度(0μM、5μM、10μM、20μM、50μM、100μM、200μM、500μM、1000μM、及び2000μM)のグルタチオン合成阻害剤BSO(L-Buthionine sulphoximine)(Sigma-Aldrich社製)を添加し、60時間インキュベートした。その後、生細胞レベル(生細胞数レベル)を、Cell Count Reagent SF(Nacalai tesque社製)を用いたWST−8アッセイにより測定した。生細胞レベルは、DMEM(低グルコース低血清)培養液中でBSO未処理のH9C2細胞株の生細胞レベルを1としたときの相対値として算出した。
[抗フェロトーシス活性を有する物質のスクリーニング]
4000個のH9C2細胞株を96ウェルプレートに播種し、DMEM(低グルコース低血清)培養液中で1晩培養した後、100μMのBSOと0.1〜100μMの被検物質30種(表10参照)とを添加し、60時間インキュベートした。なお、陽性コントロール及び陰性コントロールとして、それぞれ、BSO及び被検物質の非存在下;並びに、BSO存在下で、かつ被検物質の非存在下(被検物質の溶媒であるDMSO存在下);で細胞をインキュベートした。その後、生細胞レベルを、Cell Count Reagent SFを用いたWST−8アッセイにより測定した。生細胞レベルは、陽性コントロールの細胞生存レベルを1としたときの相対値として算出し、0.5よりも高い値を示す被検物質を、抗フェロトーシス活性を有する物質として同定した。
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[各種フェロトーシス誘導処理及び各種アポトーシス誘導処理]
以下の手順〔1〕〜〔3〕に従って実験を行った。
〔1〕8種類の細胞株(H9C2細胞株[4000個]、NRK49F細胞株[3000個]、C2C12細胞株[2500個]、HT−22細胞株[2000個]、HK2細胞株[3000個]、HUPEC[3000個]、PANC−1細胞株[2000個]、及びMDA−MB−231細胞[2000個])を、それぞれ96ウェルプレートに播種し、DMEM(低グルコース低血清)培養液中で1晩培養した。
〔2〕上記〔1〕の手順の後、5種類の処理(BSO処理;エラスチン又はRSL3処理;高濃度グルタミン酸処理;及びアポトーシス誘導処理;)を行った。具体的には、BSO処理は、各種細胞株のプレートに、図2及び5の簡単な説明に示す濃度のBSOと、図2及び5の簡単な説明に示す濃度の8種類の本件化合物(オメプラゾール[Sigma-Aldrich社製]、I3C[Sigma-Aldrich社製]、リファンピシン[Nacalai tesque社製]、プロメタジン[Fujifilm Wako社製]、カルベジロール[Sigma-Aldrich社製]、プロプラノロール[Sigma-Aldrich社製]、エストラジオール[Sigma-Aldrich社製]、及びT3[Sigma-Aldrich社製])とを添加し、図2及び5の簡単な説明に示す時間インキュベートすることにより行った。また、エラスチン又はRSL3処理は、各種細胞株のプレートに、図4及び6の簡単な説明に示す濃度のエラスチン(Cayman社製)又はRSL3を添加し、1時間インキュベートした後、図4及び6の簡単な説明に示す濃度の本件化合物8種を添加し、さらに図4及び6の簡単な説明に示す時間インキュベートすることにより行った。また、高濃度グルタミン酸処理は、HT−22細胞株のプレートに、4mMのグルタミン酸を添加し、24時間インキュベートすることにより行った。また、アポトーシス誘導処理は、H9C2細胞株のプレートに、図4の簡単な説明に示す濃度の17AAG(Adooq Bioscience社製)、スタウロスポリン、又はメナジオンを添加するか、あるいは、図4の簡単な説明に示す用量のUVの存在下で、本件化合物8種を添加し、スタウロスポリン及びメナジオンで処理した場合は24時間インキュベートし、17AAG及びUVで処理した場合は48時間インキュベートすることにより行った。
〔3〕生細胞レベルを、Cell CountReagent SFを用いたWST−8アッセイにより測定した。生細胞レベルは、各種処理を行わない細胞(陽性コントロール)の細胞生存レベルを1としたときの相対値として算出した。また、細胞中のミトコンドリアの形態を評価するために、エラスチン処理した細胞を、ミトコンドリア染色試薬(Mitotracker Green FM;Thermo FisherScientific社製)で処理し、蛍光顕微鏡(BZ-X810;キーエンス社製)を用いてミトコンドリアの形態を観察した。
[MDAの測定]
4000個のH9C2細胞株を96ウェルプレートに播種し、DMEM(低グルコース低血清)培養液中で1晩培養した後、100μMのBSOと、図7Aの簡単な説明に示す濃度の本件化合物8種とを添加し、60時間インキュベートした。その後、培養上清を回収し、TBARS Fluorometric Microplate Assay(OxfordBiochemical Research社製)を用いて培養上清中のMDAを測定した。
[過酸化脂質のイメージング]
4000個のH9C2細胞株を、clear-bottomμClear96ウェルプレート(Greiner社製)に播種し、DMEM(低グルコース低血清)培養液中で1晩培養した後、100μMのBSOと、図7Aの簡単な説明に示す濃度の本件化合物8種とを添加し、40時間インキュベートした。その後、培養液を、2μMの過酸化脂質検出用試薬(Liperfluo;同仁化学研究所社製)を含むHBSS(ハンクス平衡塩溶液)と交換し、30分間インキュベートした後、細胞をHBSSで洗浄し、蛍光顕微鏡(BZ-X800;キーエンス社製)を用いて過酸化脂質のイメージングを行った。
[脂質ペルオキシラジカルに対する捕捉能]
脂質ペルオキシラジカル(LOO・)に対する捕捉能は、文献「Nat Chem Biol 12: 608-613, 2016」に記載の方法に従って、NBD−Pen蛍光プローブを用いたAA/LOXシステムにより解析した。具体的には、500μMのアラキドン酸(Sigma-Aldrich社製)を含むPBS(pH7.4)と、図8の簡単な説明に示す濃度の7種類の本件化合物(I3C、リファンピシン、プロメタジン、カルベジロール、プロプラノロール、エストラジオール、及びT3)、又は、オメプラゾール存在下でインキュベートした細胞抽出液との混合液を96ウェルプレートに添加した後、5μMのNBD−Pen蛍光プローブ及び10μg/mLのLOX溶液(Sigma-Aldrich社製)を添加し、蛍光レベル(励起光;470nm、蛍光波長;530nm)を、37℃条件下でマイクロプレートリーダー(Spectra Max M2e;Molecular Devices社製)を用いて測定した。上記細胞抽出液は、H9C2細胞株(150000個)を、6ウェルプレートに播種し、DMSO又は図8の簡単な説明に示す濃度の本件化合物8種を含むDMEM(低グルコース低血清)培養液中で12時間培養した後、細胞を回収し、100%メタノールの存在下で超音波破砕処理を1分間行い、遠心処理(12000g×5分、4℃)によりタンパク質を除去することにより調製した。
[ホスファチジルコリンヒドロペルオキシラジカルの検出]
ホスファチジルコリンヒドロペルオキシラジカル(PCOO・)を検出するために、まず、ホスファチジルコリンヒドロペルオキシド(PCOOH)を、文献「J Oleo Sci 63: 431-437, 2014」及び「Biochem Biophys Res Commun458: 920-927, 2015」に記載の方法に従って、「16:0−18:2 PC」(Avanti Polar Lipids社製)から酵素的に合成し、クロマトグラフィーにより精製した。次いで、図9Aの簡単な説明に示す濃度のPCOOHと、5μMのNBD−Pen蛍光プローブとを含むPBSを96ウェルプレートに添加した後、50μMの硫酸鉄(II)アンモニウム六水和物を添加し、フェントン反応によりPCOO・を生成した。PCOO・の検出は、上記[脂質ペルオキシラジカルに対する捕捉能]の項目に記載の方法に従って、NBD−Pen蛍光プローブを用いたAA/LOXシステムにより行った。
[PCOO・によるフェロトーシス誘導1]
4000個のH9C2細胞株を96ウェルプレートに播種し、DMEM(低グルコース低血清)培養液中で1晩培養した後、図9Bの簡単な説明に示す濃度のBSOと、図9Bの簡単な説明に示す濃度のPCOOHと、50μMの硫酸鉄(II)アンモニウム六水和物とを添加し、48時間インキュベートした。その後、生細胞レベルを、Cell Count Reagent SFを用いたWST−8アッセイにより測定した。生細胞レベルは、BSO及びPCOOHの非存在下でインキュベートした細胞の生存レベルを1としたときの相対値として算出した。
[PCOO・によるフェロトーシス誘導2]
4000個のH9C2細胞株を96ウェルプレートに播種し、DMEM(低グルコース低血清)培養液中で1晩培養した後、100μMのBSO;図9Cの簡単な説明に示す濃度の本件化合物8種;20μMのPCOOH;及び50μMの硫酸鉄(II)アンモニウム六水和物;を添加し、60時間インキュベートした。なお、コントロールとして、BSO及び本件化合物8種の非存在下;BSO存在下で、かつ本件化合物8種の非存在下(被検物質の溶媒であるDMSO存在下);並びに、BSO、本件化合物8種、及び硫酸鉄(II)アンモニウム六水和物の存在下で、かつPCOOHの非存在下;で細胞をインキュベートした。その後、生細胞レベルを、Cell Count Reagent SFを用いたWST−8アッセイにより測定した。生細胞レベルは、BSO及びPCOOHの非存在下でインキュベートした細胞の生存レベルを1としたときの相対値として算出した。
[PCOO・によるフェロトーシス誘導の抑制]
4000個のH9C2細胞株を96ウェルプレートに播種し、DMEM(低グルコース低血清)培養液中で1晩培養した後、100μMのBSO;図10Aの簡単な説明に示す濃度のリファンピシン(RFP)、又は図10Bの簡単な説明に示す濃度のプロメタジン(PMZ);20μMのPCOOH;及び50μMの硫酸鉄(II)アンモニウム六水和物;を添加し、60時間インキュベートした。その後、生細胞レベルを、Cell Count Reagent SFを用いたWST−8アッセイにより測定した。リファンピシン添加による生細胞レベルは、PCOOH非存在下で、かつ30μMのリファンピシン存在下でインキュベートした細胞の生存レベルを1としたときの相対値として算出した。また、プロメタジン添加による生細胞レベルは、PCOOH非存在下で、かつ1μMのプロメタジン存在下でインキュベートした細胞の生存レベルを1としたときの相対値として算出した。
[スーパーオキシド及びヒドロキシラジカルに対する捕捉能]
本件化合物8種について、スーパーオキシド及びヒドロキシラジカルに対する捕捉能は、文献「BiosciBiotechnol Biochem, 71: 1145-1153, 2007」及び「JBiochem, 150: 173-181, 2011」に記載の方法に従って、100μMの本件化合物8種、陽性コントロールである100μMのアスコルビン酸、及びトラップ剤であるDMPO(5,5-dimethyl-1-pyrroline-N-oxide)を用いたESR(ElectronSpin Resonance)−スピントラッピング法により解析した。
[AKIモデルマウスを用いたインビボでの解析1]
急性腎障害(AKI;Acute HepaticInjury)モデルマウスは、シスプラチン投与により作製した。具体的には、8〜9週齢の野生型オスマウス(C57BL/6N;CLEA社製)を、4種類の群(野生型群[n=3]、AKI溶媒投与群[n=8]、AKIプロメタジン投与群[n=8]、及びAKIリファンピシン投与群[n=8])に分け、シスプラチン投与の1時間前に、AKI溶媒投与群には、0.5%メチルセルロース溶液(溶媒)を20mg/kg(体重)の用量で12時間毎4日間経口投与し、AKIプロメタジン投与群には、プロメタジンを含むメチルセルロース溶液を20mg(プロメタジン)/kg(体重)の用量で12時間毎4日間経口投与し、AKIリファンピシン投与群には、リファンピシンを含むメチルセルロース溶液を20mg(リファンピシン)/kg(体重)の用量で12時間毎4日間経口投与した。シスプラチン投与は、0.5mg/mLのシスプラチン溶液(日医工社製)を、3種類のAKI群(すなわち、AKI溶媒投与群、AKIプロメタジン投与群、及びAKIリファンピシン投与群)に、16mg/kg(体重)の用量で注射することにより行った(文献「Cell 171: 273-285, 2017」及び「Cell 177:1262-1279 e25, 2019」参照)。上記メチルセルロース、プロメタジン、及びリファンピシンの最初の経口投与から96時間後、マウスを屠殺し、血液及び腎組織を採取した。採取した血液を基に、血中クレアチニン濃度及び血中尿素窒素(BUN)濃度を、血液アナライザー(i-STAT;Abbott社製)を用いて測定した。また、採取した腎組織は、以下の[AKIモデルマウスを用いたインビボでの解析2]の項目に記載の解析に用いた。
[AKIモデルマウスを用いたインビボでの解析2]
採取した腎組織を10%中性緩衝ホルマリンで固定し、パラフィン包埋を行った。パラフィン包埋した腎組織をスライスし、腎組織切片を作製後、マッソントリクローム染色法を行った。また、腎組織切片を、0.01Mクエン酸緩衝液(pH6.0)中で120℃、5分間加熱することにより、脱パラフィン処理を行い、脱パラフィン処理した腎組織切片を調製後、抗KIM−1抗体(400倍希釈;AF1817、R&D Systems社製)を用いたDAB染色法を定法に従って行った。また、脱パラフィン処理した腎組織切片について、抗HEL(ヘキサノイルリジン)抗体(50倍希釈;clone 5F12、日本老化制御研究所[Japan Institute for theControl of Aging;JaICA]社製]、及び抗4−HNE(ヒドリキシノネナール)抗体(10倍希釈;clone HNEJ-2、JaICA社製)を用いた免疫組織染色法は、ストレプトアビジン・ビオチン−アルカリホスファターゼキット(Histofine SAB-AP [M] kit、ニチレイ社製)と、Vector RedSubstrate kit(Vector Laboratories社製)とを用いて定法に従って行った。また、腎組織におけるミトコンドリアを可視化するために、マッソントリクローム染色法を、文献「Presented at the American Society of Nephrology(ASN) Kidney Week 2017 Annual Meeting; November 3, 2017; NewOrleans, LA, 2017」に記載の方法に従って行った。
[AHIモデルマウスを用いたインビボでの解析1]
AHIモデルマウスは、リポ多糖(LPS)及びD−ガラクトサミン(D−GalN)投与により作製した。具体的には、8〜9週齢の野生型オスマウス(C57BL/6N;CLEA社製)を、3種類の群(野生型群[n=4]、AHI溶媒投与群[n=8]、及びAHIプロメタジン投与群[n=10])に分け、LPS及びD−GalN投与の12時間及び2時間前のそれぞれに、AHI溶媒投与群には、0.5%メチルセルロース溶液(溶媒)を20mg/kg(体重)の用量で経口投与し、AHIプロメタジン投与群には、プロメタジンを含むメチルセルロース溶液を20mg(プロメタジン)/kg(体重)の用量で経口投与した。LPS及びD−GalN投与は、LPS及びD−GalNを含むPBSを、2種類のAHI群(すなわち、AHI溶媒投与群及びAHIプロメタジン投与群)に、5μg(LPS)/kg(体重)及び500mg(D−GalN)/kg(体重)の用量で腹腔内注射することにより行った(文献「Sci Rep 7: 1884, 2017」参照)。注射後、6時間目に、マウスを屠殺し、血液及び肝組織を採取した。採取した血液を基に、血漿中のALT値を、比色分析器(DRI-CHEM 7000V;Fujifilm社製)を用いて測定した。また、採取した肝組織は、以下の[AHIモデルマウスを用いたインビボでの解析2]の項目に記載の解析に用いた。
[AHIモデルマウスを用いたインビボでの解析2]
採取した肝組織を10%中性緩衝ホルマリンで固定し、パラフィン包埋を行った。パラフィン包埋した肝組織をスライスし、肝組織切片を作製後、ヘマトキシリン・エオジン染色法を行った。また、肝組織切片を、0.01Mクエン酸緩衝液(pH6.0)中で120℃、5分間加熱することにより、脱パラフィン処理を行い、脱パラフィン処理した肝組織切片を調製した。脱パラフィン処理した肝組織切片について、抗HEL抗体(50倍希釈;clone5F12、JaICA社製)を用いた免疫組織染色法は、ストレプトアビジン・ビオチン−アルカリホスファターゼキット(Histofine SAB-AP [M] kit、ニチレイ社製)と、Vector RedSubstrate kit(Vector Laboratories社製)とを用いて定法に従って行った。
2.結果
[BSOに対する細胞の感受性の検討]
抗フェロトーシス活性を有する物質を同定するために、フェロトーシスを誘導することが報告されているグルタチオン合成阻害剤BSOを使用した(文献「Cell,156: 317-331, 2014」及び「BiochemBiophys Res Commun, 499: 44-51, 2018」参照)。まず、BSOに対する感受性を確認するために、H9C2細胞株を、BSOを含む3種類の培養液(DMEM[高グルコース]培養液、DMEM[低グルコース]培養液、及びDMEM[低グルコース低血清]培養液)中で培養した。その結果、DMEM(低グルコース低血清)培養液中で培養した場合、BSO濃度に依存して生細胞レベルが最も低下する傾向にあった(図1参照)。
この結果は、DMEM(低グルコース低血清)培養液中のH9C2細胞株が、他の2種類の培養液中のH9C2細胞株と比べ、BSOに対する感受性が高いことを示している。
[抗フェロトーシス活性を有する物質のスクリーニング]
CYPを誘導する物質やCYPの基質の一部には、過酸化脂質の産生を抑制するものが存在することが、不明確ながら知られていた(文献「FEBSLett, 151: 185-188, 1983」及び「BiochemJ, 113: 333-341, 1969」参照)。そこで、CYPを誘導する物質や、CYPの基質であることが知られているものの中から、表10に示す30種類の被検物質を選択し、BSO依存的な細胞死(すなわち、フェロトーシス)の抑制作用を有する物質を同定することを試みた。
その結果、抗フェロトーシス活性を有する物質として8種類の本件化合物(オメプラゾール、リファンピシン、I3C、カルベジロール、プロプラノロール、プロメタジン、エストラジオール、及びT3)が同定された。
[各種フェロトーシス誘導処理及び各種アポトーシス誘導処理]
H9C2細胞株を、BSOを含むDMEM(低グルコース低血清)培養液中でインキュベートすると、陽性コントロールであるBSO不含のDMEM(低グルコース低血清)培養液中でインキュベートした場合と比べ、生細胞レベルが陽性コントロールの20%以下まで低下することを確認した(図2参照)。一方、BSOで処理する際に、本件化合物8種を添加すると、本件化合物8種のすべてにおいて、生細胞レベルの低下が陽性コントロールの75%以上まで有意に抑制されることが示された(図2参照)。
また、培養液中に添加する本件化合物8種の濃度を、0.01〜100μMの範囲で検討した結果、本件化合物8種のすべてにおいて、濃度依存的にBSO依存的なフェロトーシスが抑制された(図3参照)。特に、プロメタジン、カルベジロール、及びリファンピシンは、それぞれ0.1μM、1μM、及び3μMで最も高いフェロトーシス抑制効果を示した(図3参照)。
エラスチン及びRSL3は、それぞれSystem Xc−及びGP4を阻害することにより、過酸化脂質が生成され、フェロトーシスが誘導される(文献「CellDeath Differ, 23: 369-379, 2016」参照)。エラスチン及びRSL3依存的なフェロトーシスを誘導するために、H9C2細胞株を、エラスチン又はRSL3存在下でインキュベートした結果、陽性コントロールであるエラスチン又はRSL3の非存在下でインキュベートした場合と比べ、生細胞レベルが陽性コントロールの20%以下まで低下すること(図4A参照)や、ミトコンドリアの形態が崩壊すること(図4B参照)が確認された。一方、エラスチン又はRSL3で処理する際に、本件化合物8種を添加すると、本件化合物8種のすべてにおいて、生細胞レベルの低下が陽性コントロールの75%以上まで有意に抑制すること(図4A参照)や、上記2種類の本件化合物(プロメタジン及びリファンピシン)について、ミトコンドリアの形態の崩壊が抑制すること(図4B参照)が示された。
これらの結果は、本件化合物は、BSO依存的なフェロトーシスに加えて、エラスチン及びRSL3依存的なフェロトーシスに対しても同様に、抑制効果があることを示している。
17AAG、スタウロスポリン、メナジオン、及びUVは、アポトーシスによる細胞死を生じさせる因子であることが知られている。アポトーシスによる細胞死を誘導するために、H9C2細胞株をこれら4種類の因子の存在下でインキュベートした結果、これら因子の非存在下でインキュベートした場合と比べ、生細胞レベルが有意に低下することが確認された(図4C参照)。一方、上記4種類の因子で処理する際に、本件化合物8種を添加しても、生細胞レベルの低下を抑制する効果は認められなかった(図4C参照)。
さらに、心筋芽細胞株(H9C2細胞株)以外の他の組織由来の細胞株(すなわち、腎近位尿細管上皮細胞株[HK2細胞株]、ポドサイト様細胞株[HUPEC]、筋芽細胞株[C2C12細胞株]、腎間質線維芽細胞株[NRK49F細胞株]、膵臓がん由来細胞株[PANC−1細胞株]、及び乳がん細胞株[MDA−MB−231細胞])を用いて解析した結果、本件化合物によるBSO又はエラスチン依存的なフェロトーシスの抑制効果は、これら細胞株でも確認された(図5及び6参照)。
以上の結果を総合すると、各種組織の細胞において、本件化合物は(アポトーシスではなく)フェロトーシス特異的な細胞死を抑制する効果を有することを示している。
[MDAの測定]
フェロトーシスは、過酸化脂質の蓄積により引き起こされる。一方、MDAは、過酸化脂質分解生成物の1つであり、過酸化脂質の主要なマーカーとして用いられている。そこで、BSO処理による過酸化脂質の蓄積を、MDAを指標として検出するために、H9C2細胞株を、BSOを含むDMEM(低グルコース低血清)培養液中でインキュベートした結果、陽性コントロールであるBSO不含のDMEM(低グルコース低血清)培養液中でインキュベートした場合と比べ、培養液中のMDA濃度が上昇することが確認された(図7A参照)。一方、BSOで処理する際に、本件化合物8種を添加すると、培養液中のMDA濃度上昇は有意に抑制された(図7A参照)。
[過酸化脂質のイメージング]
次に、BSO処理による細胞中の過酸化脂質の蓄積を、イメージング解析するために、H9C2細胞株を、BSOを含むDMEM(低グルコース低血清)培養液中でインキュベートした結果、陽性コントロールであるBSO不含のDMEM(低グルコース低血清)培養液中でインキュベートした場合と比べ、細胞中の過酸化脂質レベルが上昇することが確認された(図7B参照)。一方、BSOで処理する際に、本件化合物8種を添加すると、細胞中の過酸化脂質レベル上昇は抑制された(図7B参照)。
これらの結果は、本件化合物が、フェロトーシスが誘導される原因である過酸化脂質の蓄積を、抑制する作用を有することを示している。なお、BSOやエラスチン処理した細胞を、本件化合物8種存在下でインキュベートしても、本件化合物8種非存在下でインキュベートした場合と比べ、BSOやエラスチンのレベルに変化は認められなかった。
[脂質ペルオキシラジカルに対する捕捉能]
本件化合物による過酸化脂質の蓄積抑制効果が、脂質ペルオキシラジカルに対する捕捉能によるものかどうかを、NBD−Pen蛍光プローブを用いたAA/LOXシステムにより解析した。まず、NBD−Pen蛍光プローブが、AA及びLOXの両方が存在する場合にのみ、蛍光シグナルが検出されることを確認した(図8A参照)。この結果は、AAがLOXにより酸化することにより生じた脂質ペルオキシド(LOOH)が、鉄イオン(Fe2+)を触媒とするフェントン反応により脂質ペルオキシラジカル(LOO・)が生成され、かかる脂質ペルオキシラジカルが、NBD−Penと反応することにより、NBD−Pen由来の蛍光が検出されたことを示している。次いで、NBD−Pen蛍光プローブを、AA及びLOXに加えて、本件化合物や、本件化合物を含む培養液中でH9C2細胞株を培養した後の細胞抽出液の存在下に置くと、本件化合物や、本件化合物を含む培養液中でH9C2細胞株を培養した後の細胞抽出液の非存在下に置いた場合と比べ、蛍光シグナルレベルが低下すること(図8B〜I参照)や、かかる低下は本件化合物の濃度依存的に生じること(図8B〜H参照)が示された。
この結果は、本件化合物やその代謝物が脂質ペルオキシラジカルに対して捕捉能を発揮した結果、NBD−Penの蛍光体の生成が抑制されたことを示している。
[ホスファチジルコリンヒドロペルオキシラジカルの検出]
本件化合物が、脂質ペルオキシラジカルに対する捕捉能を有することをさらに確認するために、PCOO・による負荷試験を行った。まず、PCOOHからFe2+を触媒とするフェントン反応によりPCOO・が生成されたことを、NBD−Pen蛍光プローブを用いたAA/LOXシステムにより確認した(図9A参照)。
[PCOO・によるフェロトーシス誘導1及び2]
次に、H9C2細胞株をBSOで処理する際に、PCOOH及び硫酸鉄(II)アンモニウム六水和物を添加すると、H9C2細胞株をBSOで処理した場合と比べ、生細胞レベルがPCOOHの濃度依存的にさらに低下することが示された(図9B参照)。次いで、H9C2細胞株をBSOで処理する際に、本件化合物8種に加えて、PCOOHを添加すると、H9C2細胞株をBSOで処理する際に、本件化合物8種を添加した場合と比べ、生細胞レベルが低下することが示された(図9C参照)。
これらの結果は、本件化合物による過酸化脂質の蓄積抑制効果が、添加されたPCOO・によりサプレス(抑圧)された結果、フェロトーシスが誘導されたことを示している。
[PCOO・によるフェロトーシス誘導の抑制]
さらに、各種濃度の2種類の本件化合物(リファンピシン及びプロメタジン)を用いて、添加されたPCOO・によるフェロトーシス誘導を、抑制できるかどうかを検討したところ、30μMのリファンピシンと、1μMのプロメタジンを添加することより、PCOO・による生細胞レベルの低下が抑制されることが示された(図10A及びB参照)。
この結果は、PCOO・によるフェロトーシス誘導(換言すると、過酸化脂質の蓄積誘導)を、高濃度の本件化合物を添加することにより、抑制できることを示している。
[スーパーオキシド及びヒドロキシラジカルに対する捕捉能]
さらに、本件化合物8種について、O 及び・OHに対する捕捉能を解析した結果、本件化合物8種はO 及び・OHに対する捕捉能を示さなかった(図11参照)。
以上の結果から、本件化合物は、(スーパーオキシド及びヒドロキシラジカルではなく)脂質ペルオキシラジカル特異的に捕捉能を発揮することを示している。
[AKIモデルマウスを用いたインビボでの解析1及び2]
本件化合物による過酸化脂質の蓄積抑制効果をインビボで確認するために、AKIモデルマウスを用いた解析を行った。まず、AKI溶媒投与群のマウス(すなわち、AKIモデルマウス)において、腎機能低下のマーカーである血中クレアチニン濃度及びBUN濃度は、野生型群のマウス(すなわち、野生型マウス)のそれら濃度と比べ、有意に上昇し(図12参照)、AKI溶媒投与群のマウスの腎組織において、腎障害マーカーであるKIM−1や、過酸化脂質マーカーであるHEL及び4−HNEが検出され(図13A参照)、腎尿細管におけるミトコンドリアの形態が崩壊することが確認された(図13B参照)。
これらの結果は、AKIモデルマウスの腎組織において、シスプラチンにより過酸化脂質が蓄積し、脂質ペルオキシラジカルが生成された結果、腎障害が生じたことを示している。
一方、AKIプロメタジン投与群のマウス(すなわち、プロメタジンを投与したAKIモデルマウス)及びAKIリファンピシン投与群のマウス(すなわち、リファンピシンを投与したAKIモデルマウス)の血中クレアチニン濃度及びBUN濃度は、AKI溶媒投与群のマウスにおけるそれら濃度と比べ、野生型群のマウスと同レベルまで有意に減少した(図12参照)。また、AKIプロメタジン投与群のマウス及びAKIリファンピシン投与群のマウスのそれぞれの腎組織において、KIM−1や、HEL及び4−HNEの検出レベルは、AKI溶媒投与群のマウスにおける検出レベルと比べ、減少するとともに(図13A参照)、AKI溶媒投与群のマウスにおいて認められた、腎尿細管におけるミトコンドリア形態の崩壊が抑制された(図13B参照)。
これらの結果は、プロメタジンやリファンピシンを、AKIモデルマウスに投与すると、プロメタジンやリファンピシンによる作用により、腎組織における過酸化脂質の蓄積及び脂質ペルオキシラジカルの生成が抑制され、その結果、腎障害が抑制されたことを示している。
[AHIモデルマウスを用いたインビボでの解析1及び2]
さらに、本件化合物による過酸化脂質の蓄積抑制効果をインビボで確認するために、AHIモデルマウスを用いた解析を行った。まず、AHI溶媒投与群のマウス(すなわち、AHIモデルマウス)において、肝機能低下のマーカーである血漿中のALT値が、野生型群のマウス(すなわち、野生型マウス)の値と比べ、有意に上昇し(図14A参照)、AHI溶媒投与群のマウスの肝組織において、過酸化脂質マーカーであるHELが検出されるとともに、重度の出血が確認された(図14B参照)。
これらの結果は、AHIモデルマウスの肝組織において、LPS及びD−GalNにより過酸化脂質が蓄積し、脂質ペルオキシラジカルが生成された結果、肝障害が生じたことを示している。
一方、AHIプロメタジン投与群のマウス(すなわち、プロメタジンを投与したAHIモデルマウス)の血漿中のALT値は、AHI溶媒投与群のマウスにおける値と比べ、有意に減少した(図14A参照)。また、AHIプロメタジン投与群のマウスの肝組織において、HELの検出レベルは、AHI溶媒投与群のマウスにおける検出レベルと比べ、減少するとともに、AHI溶媒投与群のマウスにおいて認められた、肝組織における重度の出血は軽減された(図14B参照)。
これらの結果は、プロメタジンを、AHIモデルマウスに投与すると、プロメタジンによる作用により、肝組織における過酸化脂質の蓄積及び脂質ペルオキシラジカルの生成が抑制され、その結果、肝障害が抑制されたことを示している。
以上のインビボでの実験結果を総合すると、本件化合物は、腎臓や肝臓などの組織における過酸化脂質の蓄積及び脂質ペルオキシラジカルの生成を抑制し、フェロトーシスにより生じる組織障害を抑制できることを示している。
本発明は、臓器又は組織における過酸化脂質蓄積や脂質ペルオキシラジカル生成に起因する疾患の予防又は治療に資するものである。

Claims (7)

  1. 以下の式(I);
    Figure 2021095359
    (式中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、XはO、S、SO又はSOを表す。)、
    以下の式(II);
    Figure 2021095359
    (式中、Z21〜Z25及びZ27〜Z30は、それぞれ独立して、H;OH;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、Z26及びZ31〜Z35は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。)、
    以下の式(III);
    Figure 2021095359
    (式中、R31及びR33は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R32及びR34は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。)、
    以下の式(IV);
    Figure 2021095359
    (式中、R41は、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R42は、H;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;を表し、nは、0、1、2、3又は4を表す。)、
    以下の式(V);
    Figure 2021095359
    (式中、R51、R52及びR55は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R53及びR54は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、pは、0、1、2、3又は4を表し、qは、0、1、2又は3を表し、rは、0、1、2、3又は4を表す。)、
    以下の式(VI);
    Figure 2021095359
    (式中、R61及びR62は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R63は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R64及びR65は、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、sは、0、1、2、3又は4を表し、tは、0、1、2又は3を表す。)、
    以下の式(VII);
    Figure 2021095359
    (式中、R71及びR73は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R72は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。)、及び
    以下の式(VIII);
    Figure 2021095359
    (式中、R81及びR82は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、X〜Xは、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。)
    で表される化合物、並びにそれらの薬理学的に許容される塩からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物を含有することを特徴とする脂質ペルオキシラジカルの捕捉剤。
  2. 以下の式(I);
    Figure 2021095359
    (式中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、XはO、S、SO又はSOを表す。)、
    以下の式(II);
    Figure 2021095359
    (式中、Z21〜Z25及びZ27〜Z30は、それぞれ独立して、H;OH;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、Z26及びZ31〜Z35は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。)、
    以下の式(III);
    Figure 2021095359
    (式中、R31及びR33は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R32及びR34は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。)、
    以下の式(IV);
    Figure 2021095359
    (式中、R41は、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R42は、H;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;を表し、nは、0、1、2、3又は4を表す。)、
    以下の式(V);
    Figure 2021095359
    (式中、R51、R52及びR55は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R53及びR54は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、pは、0、1、2、3又は4を表し、qは、0、1、2又は3を表し、rは、0、1、2、3又は4を表す。)、
    以下の式(VI);
    Figure 2021095359
    (式中、R61及びR62は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R63は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R64及びR65は、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、sは、0、1、2、3又は4を表し、tは、0、1、2又は3を表す。)、
    以下の式(VII);
    Figure 2021095359
    (式中、R71及びR73は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R72は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。)、及び
    以下の式(VIII);
    Figure 2021095359
    (式中、R81及びR82は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、X〜Xは、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。)
    で表される化合物、並びにそれらの薬理学的に許容される塩からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物を含有することを特徴とする過酸化脂質蓄積の抑制剤。
  3. 以下の式(I);
    Figure 2021095359
    (式中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、XはO、S、SO又はSOを表す。)、
    以下の式(II);
    Figure 2021095359
    (式中、Z21〜Z25及びZ27〜Z30は、それぞれ独立して、H;OH;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、Z26及びZ31〜Z35は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。)、
    以下の式(III);
    Figure 2021095359
    (式中、R31及びR33は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R32及びR34は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。)、
    以下の式(IV);
    Figure 2021095359
    (式中、R41は、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R42は、H;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;を表し、nは、0、1、2、3又は4を表す。)、
    以下の式(V);
    Figure 2021095359
    (式中、R51、R52及びR55は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R53及びR54は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、pは、0、1、2、3又は4を表し、qは、0、1、2又は3を表し、rは、0、1、2、3又は4を表す。)、
    以下の式(VI);
    Figure 2021095359
    (式中、R61及びR62は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R63は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R64及びR65は、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、sは、0、1、2、3又は4を表し、tは、0、1、2又は3を表す。)、
    以下の式(VII);
    Figure 2021095359
    (式中、R71及びR73は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R72は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。)、及び
    以下の式(VIII);
    Figure 2021095359
    (式中、R81及びR82は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、X〜Xは、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。)
    で表される化合物、並びにそれらの薬理学的に許容される塩からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物を含有することを特徴とする過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因するフェロトーシスの抑制剤。
  4. 以下の式(I);
    Figure 2021095359
    (式中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、XはO、S、SO又はSOを表す。)、
    以下の式(II);
    Figure 2021095359
    (式中、Z21〜Z25及びZ27〜Z30は、それぞれ独立して、H;OH;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表し、Z26及びZ31〜Z35は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。)、
    以下の式(III);
    Figure 2021095359
    (式中、R31及びR33は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R32及びR34は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。)、
    以下の式(IV);
    Figure 2021095359
    (式中、R41は、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R42は、H;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;を表し、nは、0、1、2、3又は4を表す。)、
    以下の式(V);
    Figure 2021095359
    (式中、R51、R52及びR55は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R53及びR54は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、pは、0、1、2、3又は4を表し、qは、0、1、2又は3を表し、rは、0、1、2、3又は4を表す。)、
    以下の式(VI);
    Figure 2021095359
    (式中、R61及びR62は、それぞれ独立して、ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、R63は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R64及びR65は、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;OH;NH;あるいは、COOH;を表し、sは、0、1、2、3又は4を表し、tは、0、1、2又は3を表す。)、
    以下の式(VII);
    Figure 2021095359
    (式中、R71及びR73は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、R72は、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;あるいは、置換された若しくは置換されていないシクロアルキル基;を表す。)、及び
    以下の式(VIII);
    Figure 2021095359
    (式中、R81及びR82は、それぞれ独立して、H;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表し、X〜Xは、それぞれ独立して、H;ハロゲン;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基;置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−6アルコキシ基;あるいは、置換された若しくは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;を表す。)
    で表される化合物、並びにそれらの薬理学的に許容される塩からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物を含有することを特徴とする過酸化脂質及び/又は脂質ペルオキシラジカルに起因する疾患の予防又は治療剤。
  5. 疾患が腎障害又は肝障害であることを特徴とする請求項4に記載の剤。
  6. 経口投与されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の剤。
  7. 式(I)で表される化合物が、以下の式(I−1)で表される化合物であり、式(II)で表される化合物が、以下の式(II−1)で表される化合物であり、式(III)で表される化合物が、以下の式(III−1)で表される化合物であり、式(IV)で表される化合物が、以下の式(IV−1)で表される化合物であり、式(V)で表される化合物が、以下の式(V−1)で表される化合物であり、式(VI)で表される化合物が、以下の式(VI−1)で表される化合物であり、式(VII)で表される化合物が、以下の式(VII−1)で表される化合物であり、式(VIII)で表される化合物が、以下の式(VIII−1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の剤。
    Figure 2021095359

    Figure 2021095359

    Figure 2021095359

    Figure 2021095359

    Figure 2021095359

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    Figure 2021095359
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