JP2021089399A - 単焦点レンズ及びその設計方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】当該装用者の完全矯正度数を用い、なおかつ装用者が疲れにくく装用して歩く際にふらつきを感じにくい乱視矯正レンズ及びその設計方法を提供すること。【解決手段】乱視矯正のための乱視矯正度数が付加された乱視矯正レンズ1、2において、レンズ中心を含むレンズ中央領域で所定の乱視矯正度数が設定され、前記レンズ中央領域からレンズ周辺に向かって前記所定の乱視矯正度数が漸減されているようにした。これによって、中心付近においては所定の乱視矯正度数が維持されるため、処方された完全矯正度数あるいは完全矯正度数に近い度数での目視が可能となり、一方でレンズ周辺においては弱主注視線方向と強主注視線方向との像倍率差が減少あるいは解消されるため、空間の歪みを感じにくくなって使用時の眼の疲れや歩く際のふらつき感が緩和されることとなる。【選択図】図1

Description

本発明は乱視矯正機能のある例えば眼鏡やルーペに使用される単焦点レンズ及びその設計方法に関するものである。
角膜が歪んでいることによって生ずる視覚障害の一つとして乱視がある。乱視とは点光源が、円、楕円あるいは線となって点として結像しないため明視できない状態である。乱視が生じている場合物体が見づらくなったり眼精疲労や頭痛の原因ともなるためごく軽度でない限りこれを矯正することが好ましい。単焦点レンズにおける乱視矯正用レンズを作製する場合の主要な処方データは、S度数とC度数と乱視軸で表される。S度数は球面度数であって、近視や遠視の度合いを示すものである。C度数は乱視の度合いを示すものであり乱視矯正度数となる。乱視は眼球の歪みに起因し、円柱レンズで矯正可能である。実際には円柱レンズを軸方向にカットしたかまぼこ形状のトーリック面として合成されることとなる。また、眼球の歪んでいる方向は人によって区々であるためその歪み方向を示す情報として乱視軸(円柱レンズの軸方向)が設定される。
このような乱視矯正用レンズの一例として特許文献1を示す。
特開2002−311397号公報
乱視が比較的強度であると眼鏡の装用において、乱視を正しく矯正するとかえって眼の疲れや歩く際にふらつきを感じたりすることがある。これは乱視矯正のトーリック面において軸方向となる弱主注視線方向と強主注視線方向との像倍率差が大きくなりすぎて空間の歪みを感ずるからである。そのため、従来では乱視が比較的強度な装用者では眼鏡店の主観やあるいは装用者側の要請等によって測定値よりも弱い乱視矯正量に調整してしまうことがあった。
例えば、
完全矯正度数S−4.00 C−4.00
である場合に、S−4.00 C−3.00というように、乱視矯正量を間引くことが行われている。あるいは、
完全矯正度数S−4.00 C−4.00
である場合に、S−4.50 C−3.00というように、間引く乱視矯正量の半分の度度数を球面度数に加算すること(いわゆる等価球面処方)が行われている。
しかし、いずれの手法も本来の測定値を使用しない矯正であるため、乱視が比較的強度である装用者にとって最適な視力補正手段といえるものではない。また、眼鏡店側においても、どの程度完全矯正度数からずらせば装用者に無理なくより好適な処方となるかを判断することは難しい。
そのため、当該装用者の完全矯正度数を用い、なおかつ装用者が疲れにくく装用して歩く際にふらつきを感じにくい乱視矯正レンズ及びその設計方法が要望されていた。
上記課題を解決するために手段1では、乱視矯正のための乱視矯正度数が付加された乱視矯正レンズにおいて、レンズ中心を含むレンズ中央領域で所定の乱視矯正度数が設定され、前記レンズ中央領域からレンズ周辺に向かって前記所定の乱視矯正度数が漸減されているようにした。
これによって、中心付近においては所定の乱視矯正度数が維持されるため、処方された完全矯正度数あるいは完全矯正度数に近い度数での目視が可能となり、一方でレンズ周辺においては弱主注視線方向と強主注視線方向との像倍率差が減少あるいは解消されるため、空間の歪みを感じにくくなって使用時の眼の疲れや歩く際のふらつき感が緩和されることとなる。
「乱視矯正度数が付加された乱視矯正レンズ」は、C度数(乱視矯正度数)が設定されていれば必ずしもS度数(球面度数)が設定されていなくともよい。乱視矯正される面はトーリック面とされる。トーリック面は円を中心を通らない直線を軸として回転させたときに描かれる曲面であって、「タル型」と「ドーナツ型」の二種類がある。トーリック面では縦方向と横(周)方向の曲率が異なるため、所定の縦横の曲率とされたトーリック面を設定することで乱視の矯正とするものである。
「レンズ中心を含むレンズ中央領域」は、装用者が遠用視〜近用視をする領域であり、少なくとも正面を向いて遠用視する領域が含まれる領域であることがよい。
「中央領域からレンズ周辺に向かって前記所定の乱視矯正度数が漸減され」とあるため、中央領域から外側にいくほど乱視矯正度数が緩和されることとなる。
計算においては、S度数、C度数、AX(乱視軸)とおいてもよく、これらをJCC(ジャクソンクロスシリンダー)の標準化したデータに変換して計算してもよい。
レンズの用途として、視力矯正のための眼鏡に使用することのほかに、ツルを有する眼鏡のように手を離して使用できるルーペとすることもよい。ルーペとする場合にはレンズはプラスレンズとなる。
また、手段2では、レンズ周辺において等価球面となるように前記所定の乱視矯正度数が漸減されているようにした。
これによって、レンズ周辺の全周囲において乱視矯正は低矯正になるものの、球面度数がそれをカバーすることで、比較的良好に屈折補正されることになる。
従来の乱視レンズにおいては、ユーザーの眼の疲れや歩く際のふらつきを防ぐため、乱視を完全矯正せずに等価球面での屈折矯正がなされていた可能性が高い。本発明のレンズにおいては、レンズ中心では乱視を完全矯正するものの、レンズ周辺では、従来の乱視レンズにおける等価球面度数での見え方に近くなり、全体の装用感は保たれ、レンズ中心の視力の向上というメリットのみが享受されることになる。
また、手段3では、前記等価球面は平均度数であるようにした。平均度数についても上記と同様の作用効果が奏される。
また、手段4では、前記レンズ中央領域は中心から半径15mmよりも内側の領域であるようにした。
中央領域を中心から半径15mmよりも外側の領域までとしてもよいが、半径15mmよりも内側の領域は、特に視線が物体を意識的に注視して鮮明に目視するための領域であり、その領域でユーザーは乱視を正しく矯正した状態でレンズを使用することができ、一方半径15mmの外側は視野の周辺領域となって注視しないため、乱視を正しく矯正しなくともそれほど支障のない領域であるため、乱視矯正度数が漸減されることで、眼の疲れや歩く際のふらつきが抑制されることとなる。
また、手段5では、装用者の眼球が回転するときの仮想的な回転中心から、レンズ裏面中心までの距離を25mmとした条件において、前記レンズの中央から前記レンズ周辺に向けて、視線を30°回旋させたとき、視線が通過するレンズ面での実効屈折力における乱視度数が、レンズ中心の当該装用者の処方値における乱視度数よりも0.25D〜1.00Dの範囲で少なくなっているようにした。
視線を30°回旋させたときの視線が通過するレンズ面は、おおよそ、レンズ中心から15mm地点であるが、これは、さまざまなメガネフレームのうち、「小さめ」と言えるメガネフレームにおいて、レンズ中心から枠までのおおよその最短距離であり、この範囲で、0.25D以上の補正が加われば、ほぼ全てのユーザーのレンズが本発明の効果を享受できるものと想定している。
また、実装評価において、0.75〜1.00D程度の補正でも、度数の変化による違和感はなく、良好な装用状態であることが確認されている。
また、手段6では、球面度数がプラスであるようにした。
球面度数がプラスである場合とは、例えば遠視を矯正したり、眼鏡のようなフレームを有し手を使用せずにつるを耳にかけて使用する眼鏡用ルーペである。
また、手段7では、球面度数がマイナスであるようにした。
球面度数がマイナスである場合とは、例えば近視を矯正する場合である。
また、手段8では、球面度数が0であるようにした。
例えば、近視や遠視の度数がなく、乱視度数のみを有するユーザーを想定している。
また、手段9では、レンズ中心を含むレンズ中央領域で所定の乱視矯正度数が設定され、前記レンズ中央領域からレンズ周辺に向かって前記所定の乱視矯正度数が漸減される単焦点レンズの加工方法であって、基準となる球面又は非球面に構成されたベース面に対して、レンズ体の中心を含んでレンズ面に垂直に交わる平面と同レンズ面との交わりによってできる断面曲線の曲率が最大となる方向と最小となる方向が直交又は略直交するような乱視矯正面の曲面と、レンズ中心を含むレンズ中央領域から周縁に向かって前記断面曲線の曲率が均等となる修正面の曲面とを合成するようにした。
これによって、レンズ中心を含むレンズ中央領域で所定の乱視矯正度数が設定され、そのレンズ中央領域からレンズ周辺に向かって、その所定の乱視矯正度数が漸減されるような単焦点レンズを作製することが可能となる。
この手段9の発想は、球面又は非球面となるレンズ面にトーリック面を組み合わせ、それらの合成された面に更に周縁に向かってトーリック面が緩和される修正面を組み合わせるというものである。但し、合成の順は問わず、加工においても、球面又は非球面→トーリック面→修正面というように順に加工しても、3つのデータを合成した合成データに基づいて同時に加工してもよい。
乱視矯正面において断面曲線の曲率が最小となる方向(つまり乱視軸)と断面曲線の曲率が最大となる方向は直交するよう設計するのが基本である。しかし、実際の装用における乱視矯正能力としては完全に直交していなくとも問題がないため略直交で構わない。より具体的には例えば70〜110度の範囲ならば略直交に含まれ実際の装用には問題はない。
また、レンズ中央領域からレンズ周辺に向かって乱視矯正度数を漸減させる際の形状の変化率については、緩やかにトーリック面が修正され周縁部ではトーリック面がない、あるいは大変緩やかである状態がよい。そのため、変化率は急激にならないように関数の関係が急激になりにくい一次式あるいは二次式で設定することがよい。
本願発明は以下の実施の形態に記載の構成に限定されない。各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
また、意匠出願への変更出願により、全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材とてもよいし、その部材の部分としてもよい。
本願発明では、中心付近においては所定の乱視矯正度数が維持されるため、処方された完全矯正度数あるいは完全矯正度数に近い度数での目視が可能となり、一方でレンズ周辺においては弱主注視線方向と強主注視線方向との像倍率差が減少あるいは解消されるため、空間の歪みを感じにくくなって使用時の眼の疲れや歩く際のふらつき感が緩和されることとなる。
(a)は本発明の実施の形態の単焦点マイナスレンズの乱視軸方向で切断した端面図、(b)は同じ単焦点マイナスレンズの乱視軸に直交する方向で切断した端面図、(c)は本発明の実施の形態の単焦点プラスレンズの乱視軸方向で切断した端面図、(b)は同じ単焦点プラスレンズの乱視軸に直交する方向で切断した端面図。 レンズを装用した装用者がレンズの中央から前記レンズ周辺に向けて、視線を回旋させた際の視線が通過する角度を説明する説明図。 実施例1のレンズの乱視度数のみに着目した度数(パワー)の変化を示す乱視度数分布図。 (a)及び(b)は実施例1のレンズの視線方向の移動にともなうパワーの変化をシミュレーションしたグラフ。 実施例1のレンズを通した際の方眼の歪曲度合いから歪曲収差を確認するための分布図。 実施例2のレンズの乱視度数のみに着目した度数(パワー)の変化を示す乱視度数分布図。 (a)及び(b)は実施例2のレンズの視線方向の移動にともなうパワーの変化をシミュレーションしたグラフ。 実施例2のレンズを通した際の方眼の歪曲度合いから歪曲収差を確認するための分布図。 実施例3のレンズの乱視度数のみに着目した度数(パワー)の変化を示す乱視度数分布図。 (a)及び(b)は実施例3のレンズの視線方向の移動にともなうパワーの変化をシミュレーションしたグラフ。 実施例3のレンズを通した際の方眼の歪曲度合いから歪曲収差を確認するための分布図。 比較例1のレンズの乱視度数のみに着目した度数(パワー)の変化を示す乱視度数分布図。 (a)及び(b)は比較例1のレンズの視線方向の移動にともなうパワーの変化をシミュレーションしたグラフ。 比較例1のレンズを通した際の方眼の歪曲度合いから歪曲収差を確認するための分布図。 比較例2のレンズの乱視度数のみに着目した度数(パワー)の変化を示す乱視度数分布図。 (a)及び(b)は比較例2のレンズの視線方向の移動にともなうパワーの変化をシミュレーションしたグラフ。 比較例2のレンズを通した際の方眼の歪曲度合いから歪曲収差を確認するための分布図。 実施例4のレンズの乱視度数のみに着目した度数(パワー)の変化を示す乱視度数分布図。 (a)及び(b)は実施例4のレンズの視線方向の移動にともなうパワーの変化をシミュレーションしたグラフ。 実施例4のレンズを通した際の方眼の歪曲度合いから歪曲収差を確認するための分布図。 比較例3のレンズの乱視度数のみに着目した度数(パワー)の変化を示す乱視度数分布図。 (a)及び(b)は比較例3のレンズの視線方向の移動にともなうパワーの変化をシミュレーションしたグラフ。 比較例3のレンズを通した際の方眼の歪曲度合いから歪曲収差を確認するための分布図。 比較例4のレンズの乱視度数のみに着目した度数(パワー)の変化を示す乱視度数分布図。 (a)及び(b)は比較例4のレンズの視線方向の移動にともなうパワーの変化をシミュレーションしたグラフ。 比較例4のレンズを通した際の方眼の歪曲度合いから歪曲収差を確認するための分布図。
以下、単焦点レンズに特化した具体的な実施の形態の説明をする。
本実施の形態の設計では図示しないレンズ特性算出用コンピュータによって具体的なレンズ設計がなされる。レンズ特性算出用コンピュータはCPU(中央処理装置)及びその周辺装置によって構成される。CPUは各種プログラムや入力されたレンズ特性データ(S度数データ、C度数データ、乱視軸データ、アイポイントデータ、プリズムデータ等)に基づいて所定の度数分布及び非点収差分布のレンズ形状データを設計する。記憶装置にはレンズ形状データを作成するための各種プログラムの他にCPUの動作を制御するためのプログラム、複数のプログラムに共通して適用できる機能を管理するOA処理プログラム(例えば、日本語入力機能や印刷機能等)等の基本プログラムが格納されている。
レンズ特性算出用コンピュータで設計されたレンズ形状データに基づいて「セミフィニッシュ」と呼称される十分な厚みを有する材料ブロックを図示しないCAM(computer aided manufacturing)装置によって加工してレンズを作製する。但し、CAM装置はレンズ特性算出用コンピュータと一体化していてもよい。
本実施の形態では材料ブロックの裏面をCAM装置によって加工される。具体的にはレンズ中心を通る光軸に平行な軸方向をZ方向とし、これと交差する直交する2方向をX方向とY方向として三次元的な形状データが決定される。XとYによって裏面の平面的な位置が決定され、各平面位置におけるZ方向が切削量(サグ量)とされる。CAM装置の図示しない切削部は切削部に対して相対的に回転する材料ブロックに接離しながら切削する(加工する)。
本実施の形態では形状データは、ユーザー(装用者)のレンズ情報のS度数データとC度数データに基づいて裏面の基準となる第1のカーブ形状が設計されるとともに、周縁において第1のカーブ形状のC度数がキャンセルされるような第2のカーブ形状が設計され、それらが合成された形状データに基づいてCAM装置は加工を実行する。
このようにして加工された単焦点レンズの典型的形状は、マイナスレンズ1では、図1(a)(b)に示すような形状となり、プラスレンズ2では、図1(c)(d)に示すような形状となる。これらレンズ1、2の表面カーブ形状はどの方向での断面も同じに現れ、裏面カーブ形状は乱視軸方向においては、乱視軸方向では処方された球面度数度数あるいは周縁に向かって等価球面度数に近いカーブとされ、一方、乱視軸と直交する方向においては中心領域に対しては処方された乱視矯正度数での度数とされ、中心領域から周縁に向かって破線で示すように、実線の処方値のカーブよりも緩やかに形成されることなる。つまり乱視度数が減少する方向(マイナスレンズ1ではプラス側、プラスレンズ21ではマイナス側)に漸減されることとなる。破線の修正形状は乱視軸と直交する方向でもっとも大きく与えられ乱視軸方向との間で位相に応じて増減する。修正形状は乱視軸方向まで及ぶような設計でもよく、乱視軸方向では修正しないような設計でもよい。
レンズはもっとも外周位置においては乱視度数のまったくない状態で全周囲で同じ球面度数することがよいが、乱視度数が周縁で軽減されるのであれば全周囲で同じ球面度数である必要はない。例えば乱視軸と直交する方向においては乱視度数が若干残るように設計してもよい。そのほうがレンズ全体としての歪曲収差が軽減できるからである。また、上記のような典型的形状ではない例として、例えばマイナスレンズ1において表面カーブの形状によっては乱視軸方向のマイナス度数を強くすることで乱視度数を軽減するようにする場合もある。
また、このように構成されたマイナスレンズ1及びプラスレンズ2では、レンズ中央領域からレンズ周辺に向かって乱視矯正度数が漸減されることによって、図2に示すように装用者の眼球Lが回転するときの仮想的な回転中心Oから、レンズ裏面中心P1までの最短距離(レンズ裏面頂点)を25mmとした条件において、前記レンズの中央から前記レンズ周辺に向けて、視線を30°回旋させたとき、視線が通過するレンズ面での実効屈折力における乱視度数が、レンズ中心の当該装用者の処方値における乱視度数よりも0.25D〜1.00Dの範囲で少なくなるような設計とされている。
以下、本発明の単焦点レンズをシミュレーションした実施例について説明する。
<実施例1>
実施例1は単焦点マイナスレンズの例である。実施例1のレンズのパラメータは表1の通りである。
実施例1のレンズ表面は球面形状とされ、レンズ裏面側に表1に示す度数でS度数、C度数、乱視軸方向、レンズ裏面の曲率半径(0°方向と90°方向)等の処方に基づいた形状が形成されている。
実施例1におけるレンズ裏面の形状は数1の式によって定義される。数1の式について説明する。数1の式は数2の式で示されるAと、数3の式で示されるBの2つのサグ量の式を合成した実施例1のレンズのトータルのサグ量を示す式となる。Aの式は乱視度数を有する装用者のために乱視度数のある球面レンズの裏面形状を定義する一般式である。Bの式はAの式と合成されることでレンズ周縁の乱視度数をキャンセルする式である。
各式において、Xはレンズ面の水平方向(0°方向)の座標を示し、Yはレンズ面の垂直方向(90°方向)の座標を示す。 Cxはレンズ水平方向(0°方向)の曲率であり、Cyはレンズ垂直方向(90°方向)曲率である。CxはRxの逆数であり、CyはRyの逆数である。Bの式において係数は表1に示すS度数とC度数の等価球面(平均度数)であるS−5の曲率とした。これが目標とするレンズ周縁の度数となる。
数1の式において付加されている(− 6.282E-7h2 + 2.699E-10h3 − 1.116E-13h4 + 3.133E-17h5)の定数は、球面レンズの収差を改善した非球面レンズとするためにサグに与える量である。この定数においてhの項の係数は表1に示すレンズ表面曲率半径、レンズ裏面曲率半径Rx(0°方向)Ry(90°方向)とした場合のhについて収差が最小となる条件で、例えば最小二乗法を使用して最適化計算で求めている。
また、h=X2+Y2 である。つまり、実施例1は非球面レンズについて周縁側に向かって乱視度数をキャンセルする設計とされている。
gはレンズ中心からの距離に応じてA式とB式を配分するための係数となる変数である。実施例1では、一例としてg=sqrt(0.01875X2 + 0.0375Y2)としている。Aの式は(1−g)が係数となり、Bの式はgが係数となる。gに関してAとBは一次関数の関係であり変化量は直線的であるため乱視度数は急激に減少することはない。そのため、中心寄りほどAの式が支配し、周縁寄り位置ほどBの式の影響が大きくなる。つまりレンズ周縁に向かって徐々に乱視度数が減少して(漸減して)いく。実施例1ではレンズ径と乱視度数のキャンセル度合いに応じて(1−g)がマイナスにならないように係数が設定される。また、Aの式において厚い側(垂直方向(90°方向))のサグが小さくなるようにX2に対してY2の係数を大きく(ここでは一例として2倍に)している。
Figure 2021089399
Figure 2021089399
Figure 2021089399
Figure 2021089399
このような実施例1のレンズの特性をシミュレーションした結果を図3及び図4(a)(b)に基づいて説明する。
図3はレンズの乱視度数のみに着目した度数(パワー)の変化をシミュレーションした乱視度数分布図である。X−Y方向の角度は眼回中心からレンズ裏面中心までのレンズを25mmとした際のレンズ裏面中心方向を原点として視線方向の角度を示している。図3では中心領域はこの実施例1のレンズに設定された−2.00Dとされ、等高線がマイナスである場合にはパワーが減少していることを示す。図3によれば中心領域で水平方向も垂直方向も処方された乱視度数となっているが、周囲に向かって徐々にかつ比較的バランスよく周囲に向かって距離に応じて均等に乱視度数が減少していき、20〜30°付近では−0.75D前後、つまり−1.50〜−1.25Dに乱視度数が軽減されている。
図4(a)(b)は眼回中心からレンズ裏面中心までのレンズを25mmとした際の視線方向の移動にともなうパワーの変化をシミュレーションしたグラフである。まず乱視軸方向である水平方向の変化を示す図4(a)では、太線で示される垂直方向で乱視が矯正されて中央寄り(0°付近)では−6.00Dのパワーである。この−6.00Dのパワーはマイナスレンズの性質上視線がレンズ周縁ほど増大する傾向となるが、本実施例1ではレンズ周縁に向かって徐々に乱視度数を減少させているため、度数が相殺されて−6.00Dのパワーが維持されていることがわかる。一方、細線で示される水平方向では−6.00Dのパワーであるがレンズの性質に基づいてレンズ周縁方向に向かって増大する傾向となる。
一方、乱視軸と直交する方向である垂直方向の変化を示す図4(b)では、太線で示される垂直方向で、乱視度数が減少している。これは図3をよく反映する結果となっている。細線で示される水平方向では−4.00Dのパワーがほぼ維持されている。
図5は実施例1の単焦点レンズを通した際の方眼の歪曲度合いから歪曲収差を確認するための図であり、レンズ表面から4m離れたところにある正面視線に対して垂直な平面上の格子の見え方をシミュレーションしたものである。格子1つのサイズは、60cm×60cmで全体のサイズは600cm×600cmである。この図において、中心の4つの格子(120cm×120cm)を、レンズを通して目視したときの縦横比(横÷縦)は、1.056である(縦横比が1に近ければ近いほど、空間の歪みの感じ方は小さい)。一方、レンズの周辺部を含んで全体を目視したときの縦横比は、実施例1においては、1.042である。つまり、周辺部における歪みが小さくなっていることになる。これからわかるように中心寄りに対して周縁部分の歪曲が改善されていることがわかる。この改善は乱視度数がキャンセルされたことによる反映である。
このような実施例1の単焦点レンズであれば、装用者が装用した際に中心領域付近で処方に基づいた乱視矯正がなされ、周縁寄りでは全域で処方された乱視度数がキャンセルされるため、眼の疲れや歩く際のふらつき感が軽減されることとなる。
<実施例2>
実施例2も単焦点マイナスレンズの例である。実施例2のレンズのパラメータも表1の通りである。
実施例2のレンズ表面も球面形状とされ、レンズ裏面側に表1に示す度数でS度数、C度数、乱視軸方向、レンズ裏面の曲率半径(0°方向と90°方向)等の処方に基づいた形状が形成されている。
実施例2におけるレンズ裏面の形状は数4の式によって定義される。数4の式について説明する。数4の式は数1の式と同様、数2の式で示されるAと、数3の式で示されるBの2つのサグ量の式を合成した実施例2のレンズのトータルのサグ量を示す式となる。Aの式とBの式は実施例1と同じであるため説明は省略する。また、数3の付加されている定数も実施例1の数1と同じであるため説明は省略する。gはレンズ中心からの距離に応じてA式とB式を配分するための係数となる変数であり、式としては実施例1と同じであるが、実施例2では実施例1と異なる係数を採用した。すなわち、g=sqrt(0.0125X2 + 0.025Y2)としている。
Figure 2021089399
このような実施例2のレンズの特性をシミュレーションした結果を図6及び図7(a)(b)に基づいて説明する。
図6は実施例1と同様にレンズの乱視度数のみに着目した度数(パワー)の変化をシミュレーションした乱視度数分布図である。図6からわかるように実施例2では実施例1よりも中心領域の処方された乱視度数を残した領域を実施例1よりもより広域にしているが、周縁では乱視度数を−0.75減少させた領域を広くとってより緩やかに漸減する設計としている。
図7(a)(b)も実施例1と同様に視線方向の移動にともなうパワーの変化をシミュレーションしたグラフである。実施例1よりもより緩やかに漸減する設計としたことが図7(b)からわかる。
図8は実施例1と同様にレンズ表面から4m離れたところにある正面視線に対して垂直な平面上の格子の見え方をシミュレーションしたものである。実施例2でも、中心の4つの格子(120cm×120cm)を、レンズを通して目視したときの縦横比(横÷縦)は、1.056である。一方、レンズの周辺部を含んで全体を目視したときの縦横比は、実施例2においては、1.046である。つまり、周辺部における歪みが小さくなっていることになる。実施例2の単焦点レンズでも、装用者が装用した際に中心領域付近で処方に基づいた乱視矯正がなされ、周縁寄りでは全域で処方された乱視度数がキャンセルされるため、眼の疲れや歩く際のふらつき感が軽減されることとなる。
<実施例3>
実施例3も単焦点マイナスレンズの例である。実施例3のレンズのパラメータも表1の通りである。
実施例3のレンズ表面も球面形状とされ、レンズ裏面側に表1に示す度数でS度数、C度数、乱視軸方向、レンズ裏面の曲率半径(0°方向と90°方向)等の処方に基づいた形状が形成されている。
実施例3におけるレンズ裏面の形状は数5の式によって定義される。数5の式について説明する。数5の式は数2の式で示されるAと、数3の式で示されるBの2つのサグ量の式を合成した実施例3のレンズのトータルのサグ量を示す式となる。Aの式とBの式は実施例1と同じであるため説明は省略する。また、数3の付加されている定数も実施例1の数1と同じであるため説明は省略する。gはレンズ中心からの距離に応じてA式とB式を配分するための係数となる変数であり、式としては実施例1と同じであるが、実施例3では実施例1とも実施例2異なる係数を採用した。すなわち、g=sqrt(0.0214X2 + 0.0357Y2)としている。また、実施例3ではAとBへのgの値を配分する式形式をgの二次式とした。
Figure 2021089399
このような実施例3のレンズの特性をシミュレーションした結果を図9及び図10(a)(b)に基づいて説明する。
図9は実施例1と同様にレンズの乱視度数のみに着目した度数(パワー)の変化をシミュレーションした乱視度数分布図である。図9によれば実施例3では実施例2よりも中心領域の乱視度数を残した領域を更に広域にするとともに、漸減させるためのAの式とBの式に与えるgの式の配分を二次式としているため、周縁で急激に減少量が増えるという設計である。
図10(a)(b)も実施例1と同様に視線方向の移動にともなうパワーの変化をシミュレーションしたグラフである。特に垂直方向パワーでは周縁で乱視度数が急激に減少することがわかる。
図11は実施例1と同様にレンズ表面から4m離れたところにある正面視線に対して垂直な平面上の格子の見え方をシミュレーションしたものである。実施例3でも、中心の4つの格子(120cm×120cm)を、レンズを通して目視したときの縦横比(横÷縦)は、1.056である。一方、レンズの周辺部を含んで全体を目視したときの縦横比は、実施例2においては、1.054である。つまり、周辺部における歪みが小さくなっていることになる。実施例3の単焦点レンズでも、装用者が装用した際に中心領域付近で処方に基づいた乱視矯正がなされ、周縁寄りでは全域で処方された乱視度数がキャンセルされるため、眼の疲れや歩く際のふらつき感が軽減されることとなる。
<比較例1>
実施例1〜3の比較として、表1と同じ条件でシミュレーションした比較例1の単焦点マイナスレンズを挙げる。比較例1の単焦点レンズは乱視矯正された球面レンズである。比較例1の単焦点レンズではレンズ裏面の形状は数1の式のAの式のみによって定義されている。
比較例1の単焦点レンズのシミュレーションしたレンズ特性を図12及び図13(a)(b)に基づいて説明する。
図12は実施例1〜3と同様にレンズの乱視度数のみに着目した度数(パワー)の変化をシミュレーションした比較例1のレンズの乱視度数分布図である。実施例1〜3と比べて中央領域の−2.00Dの均等な乱視度数のパワーが広く得られる。レンズの左右方向では20°付近から徐々に乱視度数のパワーが減少する傾向となっているものの、レンズの上下方向では乱視度数のパワーが20°以下の段階ですでに増加するような特性となっており、特に上下方向を目視すると処方以上の乱視度数となってしまっていて好ましくない。
図13(a)(b)では水平方向も垂直方向もいずれも太線で示される垂直方向で、乱視度数が増加している。水平方向はマイナスレンズの性質上視線がレンズ周縁ほど増大することからわずかな増加に留まるものの垂直方向では乱視度数は大きく増加している。そのため、眼の疲れや歩く際のふらつきを感じる設計である。
図14は実施例1と同様にレンズ表面から4m離れたところにある正面視線に対して垂直な平面上の格子の見え方をシミュレーションしたものである。比較例1でも、中心の4つの格子(120cm×120cm)を、レンズを通して目視したときの縦横比(横÷縦)は、1.056である。一方、レンズの周辺部を含んで全体を目視したときの縦横比は、比較例1においては、1.066となり悪化している。つまり、比較例1のレンズでは中央寄りは例えば実施例1や実施例2よりも中心付近では歪曲度は同じであるが、全体としては実施例1〜3に比べて湾曲度合いは大きいといえる。
<比較例2>
実施例2の比較として、表1と同じ条件でシミュレーションした比較例2の単焦点マイナスレンズを挙げる。比較例2の単焦点レンズは乱視矯正された非球面レンズである。比較例2の単焦点レンズではレンズ裏面の形状は数1の式のAに数1の式の(− 6.282E-7h2 + 2.699E-10h3 − 1.116E-13h4 + 3.133E-17h5)の定数を付加して定義されている。
比較例2の単焦点レンズのシミュレーションしたレンズ特性を図15及び図16(a)(b)に基づいて説明する。
図15は実施例1〜3と同様にレンズの乱視度数のみに着目した度数(パワー)の変化をシミュレーションした比較例2のレンズの乱視度数分布図である。実施例1〜3と比べて中央領域の−2.00Dの均等な乱視度数のパワーが横方向に大きく拡がっており、比較例1と比較した場合に水平方向の収差は大きく改善されているが、上下方向では実施例1〜3と異なり乱視度数は増大している。
図16(a)に示すように、比較例2では水平方向パワーは良好であるが、図16(b)のように太線で示される垂直方向では乱視度数は増大している。そのため、上下方向においては眼の疲れや歩く際のふらつきを感じる設計である。
図17は実施例1と同様にレンズ表面から4m離れたところにある正面視線に対して垂直な平面上の格子の見え方をシミュレーションしたものである。比較例2でも、中心の4つの格子(120cm×120cm)を、レンズを通して目視したときの縦横比(横÷縦)は、1.056である。一方、レンズの周辺部を含んで全体を目視したときの縦横比は、比較例2においては、1.064となり悪化している。つまり、比較例1のレンズでは中央寄りは例えば実施例1や実施例2よりも中心付近では歪曲度は同じであるが、全体としては実施例1〜3に比べて湾曲度合いは大きいといえる。
<実施例4>
実施例4は単焦点プラスレンズである。実施例4のレンズのパラメータは表2の通りである。
実施例4のレンズ表面は球面形状とされ、レンズ裏面側に表2に示す度数でS度数、C度数、乱視軸方向、レンズ裏面の曲率半径(0°方向と90°方向)等の処方に基づいた形状が形成されている。
実施例4におけるレンズ裏面の形状は数6の式によって定義される。数6の式について説明する。数6の式は、数2の式で示されるAと、数7の式で示されるBの2つのサグ量の式を合成した実施例4のレンズのトータルのサグ量を示す式となる。Aの式は実施例1と同じであるため説明は省略する。Bの式はAの式と合成されることでレンズ周縁の乱視度数をキャンセルする式である。
数6の式において付加されている(+ 1.437E-6h2 − 1.370E-9h3 + 9.998E-13h4 − 3.511E-16h5)の定数は、球面レンズの収差を改善した非球面レンズとするためにサグに与える量である。この定数においてhの項の係数は表2に示すレンズ表面曲率半径、レンズ裏面曲率半径Rx(0°方向)Ry(90°方向)とした場合のhについて収差が最小となる条件で、例えば最小二乗法を使用して最適化計算で求めている。尚、実施例4ではh=Y2 とおいた。実施例1〜3のような回転対称非球面としてhを設定すると本発明に好適な数値が得られにくいため、Y方向のみの条件で修正を与えるようにした。
Figure 2021089399
Figure 2021089399
Figure 2021089399
このような実施例4のレンズの特性をシミュレーションした結果を図18及び図19(a)(b)に基づいて説明する。
図18は実施例1と同様にレンズの乱視度数のみに着目した度数(パワー)の変化をシミュレーションした乱視度数分布図である。図18からわかるように実施例4では半径10〜15mm程度の中心領域に処方の+2.00Dの乱視矯正度数が設けられその周囲に周縁に向かって徐々ににかつ比較的バランスよく周囲に向かって距離に応じて均等に乱視度数が減少していき、30°付近では−0.75D前後、つまり+0.25D程度まで乱視度数が軽減されている。また、更に30°より外側も徐々に乱視度数は軽減されている。
図19(a)(b)では特に、乱視軸と直交する方向である垂直方向の変化を示す図19(b)では、太線で示される垂直方向で、乱視度数が減少している。これは図18をよく反映する結果となっている。
図20は実施例4の単焦点レンズを通した際の方眼の歪曲度合いから歪曲収差を確認するための図であり、レンズ表面から4m離れたところにある正面視線に対して垂直な平面上の格子の見え方をシミュレーションしたものである。格子1つのサイズは、30cm×30cmで全体のサイズは300cm×300cmである。この図において、中心の4つの格子(60cm×60cm)を、レンズを通して目視したときの縦横比(横÷縦)は、0.940である。一方、レンズの周辺部を含んで全体を目視したときの縦横比は、実施例4においては、0.949である(縦横比が1に近ければ近いほど、空間の歪みの感じ方は小さい)。つまり、周辺部において歪みが小さくなっていることになる。これからわかるように中心寄りに対して周縁部分の歪曲が改善されていることがわかる。この改善は乱視度数がキャンセルされたことによる反映である。
このような実施例4の単焦点レンズであれば、装用者が装用した際に中心領域付近で処方に基づいた乱視矯正がなされ、周縁寄りでは全域で処方された乱視度数がキャンセルされるため、眼の疲れや歩く際のふらつき感が軽減されることとなる。
<比較例3>
実施例4の比較として、表2と同じ条件でシミュレーションした比較例3の単焦点プラスレンズを挙げる。比較例3の単焦点レンズは乱視矯正された球面レンズである。比較例3の単焦点レンズではレンズ裏面の形状は数1の式のAの式のみによって定義されている。
比較例3の単焦点レンズのシミュレーションしたレンズ特性を図21及び図22(a)(b)に基づいて説明する。
図21は実施例4と同様にレンズの乱視度数のみに着目した度数(パワー)の変化をシミュレーションした比較例3のレンズの乱視度数分布図である。実施例4と比べて中央領域の+2.00Dの均等な乱視度数のパワーが広く得られる。レンズの左右方向では20°付近から徐々に乱視度数のパワーが減少する傾向となっているものの、レンズの上下方向では乱視度数のパワーが20°以下の段階ですでに増加するような特性となっており、特に上下方向を目視すると処方以上の乱視度数となってしまっていて好ましくない。
図22(a)(b)では特に垂直方向パワーにおいて太線で示される垂直方向で、乱視度数が増加している。そのため、眼の疲れや歩く際のふらつきを感じる設計である。
図23は実施例4と同様にレンズ表面から4m離れたところにある正面視線に対して垂直な平面上の格子の見え方をシミュレーションしたものである。比較例3でも、中心の4つの格子(60cm×60cm)を、レンズを通して目視したときの縦横比(横÷縦)は、0.940である。一方、レンズの周辺部を含んで全体を目視したときの縦横比は、比較例2においては、0.923となり悪化している。つまり、比較例1のレンズでは中央寄りは例えば実施例1や実施例2よりも中心付近では歪曲度は同じであるが、全体としては実施例4に比べて湾曲度合いは大きいといえる。
<比較例4>
実施例2の比較として、表2と同じ条件でシミュレーションした比較例4の単焦点マイナスレンズを挙げる。比較例4の単焦点レンズは乱視矯正された非球面レンズである。比較例4の単焦点レンズではレンズ裏面の形状は数1の式のAに(4.224E-7h2 - 3.612E-10h3 + 2.1114E-13h4 - 5.828E-17h5)の定数を付加して定義されている。h=X2+Y2である。
比較例4の単焦点レンズのシミュレーションしたレンズ特性を図24及び図25(a)(b)に基づいて説明する。
図24は実施例4と同様にレンズの乱視度数のみに着目した度数(パワー)の変化をシミュレーションした比較例2のレンズの乱視度数分布図である。実施例4や比較例3と比べて中央領域の+2.00Dの均等な乱視度数のパワーは横方向に大きく拡がっており、比較例2と比較した場合に水平方向の収差は大きく改善されているが、上下方向では実施例4と異なり乱視度数は増大している。
図25(a)では比較例3ほどではないものの特に垂直方向パワーにおいて太線で示される垂直方向で、乱視度数が増加している。そのため、上下方向においては眼の疲れや歩く際のふらつきを感じる設計である。
図26は実施例4と同様にレンズ表面から4m離れたところにある正面視線に対して垂直な平面上の格子の見え方をシミュレーションしたものである。比較例4でも、中心の4つの格子(60cm×60cm)を、レンズを通して目視したときの縦横比(横÷縦)は、0.940である。一方、レンズの周辺部を含んで全体を目視したときの縦横比は、比較例2においては、0.921となり悪化している。つまり、比較例1のレンズでは中央寄りは例えば実施例1や実施例2よりも中心付近では歪曲度は同じであるが、全体としては実施例4に比べて湾曲度合いは大きいといえる。
上記実施の形態は本発明の原理およびその概念を例示するための具体的な実施の形態として記載したにすぎない。つまり、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明は、例えば次のように変更した態様で具体化することも可能である。
・上記各実施例において、例えばS度数やC度数や乱視軸方向等の諸条件は任意に変更可能である。
・上記実施例では非球面レンズに対して周縁に向かって乱視度数を軽減する修正を加えるような設計であったが、球面レンズをベースとして周縁の乱視度数を軽減するようにしてもよい。
・上記の非球面設計のために算出された具体的な係数(数値)は一例である。他の計算手法や処方条件によって当然変更される係数である。
・gの式における係数(数値)はシミュレーション結果に応じて適宜変更して好適な係数を与えるようにしてもよい。
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
また、意匠出願への変更出願により、全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としてもよいし、その部材の部分としてもよい。
1…単焦点レンズであるマイナスレンズ、2…単焦点レンズであるプラスレンズ。

Claims (10)

  1. 乱視矯正のための乱視矯正度数が付加された単焦点レンズにおいて、
    レンズ中心を含むレンズ中央領域で所定の乱視矯正度数が設定され、前記レンズ中央領域からレンズ周辺に向かって前記所定の乱視矯正度数が漸減されていることを特徴とする単焦点レンズ。
  2. レンズ周辺において等価球面となるように前記所定の乱視矯正度数が漸減されていることを特徴とする請求項1に記載の単焦点レンズ。
  3. 前記等価球面は平均度数であることを特徴とする請求項2に記載の単焦点レンズ。
  4. 前記レンズ中央領域は中心から半径15mmよりも内側の領域であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の単焦点レンズ。
  5. 装用者の眼球が回転するときの仮想的な回転中心から、レンズ裏面中心までの距離を25mmとした条件において、前記レンズの中央から前記レンズ周辺に向けて、視線を30°回旋させたとき、視線が通過するレンズ面での実効屈折力における乱視度数が、レンズ中心の当該装用者の処方値における乱視度数よりも0.25D〜1.00Dの範囲で少なくなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の単焦点レンズ。
  6. 球面度数がプラスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の単焦点レンズ。
  7. 球面度数がマイナスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の単焦点レンズ。
  8. 球面度数が0であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の単焦点レンズ。
  9. レンズ中心を含むレンズ中央領域で所定の乱視矯正度数が設定され、前記レンズ中央領域からレンズ周辺に向かって前記所定の乱視矯正度数が漸減される単焦点レンズの設計方法であって、
    基準となる球面又は非球面に構成されたベース面に対して、レンズ体の中心を含んでレンズ面に垂直に交わる平面と同レンズ面との交わりによってできる断面曲線の曲率が最大となる方向と最小となる方向が直交又は略直交するような乱視矯正面の曲面と、
    レンズ中心を含むレンズ中央領域から周縁に向かって前記断面曲線の曲率が均等となる修正面の曲面とを合成するようにしたことを特徴とする単焦点レンズの設計方法。
  10. 前記乱視矯正面の曲面と前記修正面の曲面との接続部分は連続的に曲率が変化することを特徴とする請求項9に記載の単焦点レンズの設計方法。
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