以下、本発明を適用した子供虐待兆候判別プログラムについて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
図1は、本発明を適用した子供虐待兆候判別プログラムが実装される子供虐待兆候判別システム1の全体構成を示すブロック図である。子供虐待兆候判別システム1は、情報取得部9と、情報取得部9に接続された判別装置2と、判別装置2に接続されたデータベース3とを備えている。
情報取得部9は、本システムを活用する者が各種コマンドや情報を入力するためのデバイスであり、具体的にはキーボードやボタン、タッチパネル、マウス、スイッチ等により構成される。情報取得部9は、テキスト情報を入力するためのデバイスに限定されるものではなく、マイクロフォン等のような音声を検知してこれをテキスト情報に変換可能なデバイスで構成されていてもよい。また情報取得部9は、カメラ等の画像を撮影可能な撮像装置として構成されていてもよい。情報取得部9は、紙媒体の書類から文字列を認識できる機能を備えたスキャナで構成されていてもよい。また情報取得部9は、後述する判別装置2と一体化されていてもよい。情報取得部9は、検知した情報を判別装置2へと出力する。また情報取得部9は地図情報をスキャニングすることで位置情報を特定する手段により構成されていてもよい。また情報取得部9は、温度センサ、湿度センサ、風向センサ、を測るための照度センサで構成されていてもよい。また情報取得部9は、天候についてのデータを気象庁や民間の天気予報会社から取得する通信インターフェースで構成されていてもよい。また情報取得部9は身体に装着して身体のデータを検出するための身体センサで構成されていてもよく、この身体センサは、例えば体温、心拍数、血圧、歩数、歩く速度、加速度を検出するためのセンサで構成されていてもよい。また身体センサは人間のみならず動物の生体データを取得するものであってもよい。また情報取得部9は図面等の情報をスキャニングしたり、或いはデータベースから読み出すことで取得するデバイスとして構成されていてもよい。情報取得部9は、これら以外に臭気や香りを検知する臭気センサにより構成されていてもよい。
データベース3は、子供虐待兆候判別を行う上で必要な様々な情報が蓄積される。子供虐待兆候判別を行う上で必要な情報としては、過去において撮像した子供の参照用画像情報、過去において撮像した子供の動画像からなる参照用画像情報から子供の行動パターンの類型に当てはめた参照用行動パターン情報、参照用画像情報を得る上で撮像した子供に関する参照用属性情報、参照用画像情報を得る上で撮像した子供の家庭環境に関する参照用家庭環境情報、参照用画像情報を得る上で撮像した子供から聴取した虐待内容に関する参照用聴取情報等が、出力データとしての子供への虐待の可能性の度合との関係において蓄積されている。
つまり、データベース3には、このような参照用画像情報に加え、参照用行動パターン情報、参照用属性情報、参照用家庭環境情報、参照用聴取情報の何れか1以上と、子供への虐待の可能性の度合が互いに紐づけられて記憶されている。
判別装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。ユーザは、この判別装置2による探索解を得ることができる。
図2は、判別装置2の具体的な構成例を示している。この判別装置2は、判別装置2全体を制御するための制御部24と、操作ボタンやキーボード等を介して各種制御用の指令を入力するための操作部25と、有線通信又は無線通信を行うための通信部26と、各種判断を行う判別部27と、ハードディスク等に代表され、実行すべき検索を行うためのプログラムを格納するための記憶部28とが内部バス21にそれぞれ接続されている。さらに、この内部バス21には、実際に情報を表示するモニタとしての表示部23が接続されている。
制御部24は、内部バス21を介して制御信号を送信することにより、判別装置2内に実装された各構成要素を制御するためのいわゆる中央制御ユニットである。また、この制御部24は、操作部25を介した操作に応じて各種制御用の指令を内部バス21を介して伝達する。
操作部25は、キーボードやタッチパネルにより具現化され、プログラムを実行するための実行命令がユーザから入力される。この操作部25は、上記実行命令がユーザから入力された場合には、これを制御部24に通知する。この通知を受けた制御部24は、判別部27を始め、各構成要素と協調させて所望の処理動作を実行していくこととなる。この操作部25は、前述した情報取得部9として具現化されるものであってもよい。
判別部27は、探索解を判別する。この判別部27は、判別動作を実行するに当たり、必要な情報として記憶部28に記憶されている各種情報や、データベース3に記憶されている各種情報を読み出す。この判別部27は、人工知能により制御されるものであってもよい。この人工知能はいかなる周知の人工知能技術に基づくものであってもよい。
表示部23は、制御部24による制御に基づいて表示画像を作り出すグラフィックコントローラにより構成されている。この表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等によって実現される。
記憶部28は、ハードディスクで構成される場合において、制御部24による制御に基づき、各アドレスに対して所定の情報が書き込まれるとともに、必要に応じてこれが読み出される。また、この記憶部28には、本発明を実行するためのプログラムが格納されている。このプログラムは制御部24により読み出されて実行されることになる。
上述した構成からなる子供虐待兆候判別システム1における動作について説明をする。
子供虐待兆候判別システム1では、例えば図3に示すように、参照用画像情報と、子供への虐待の可能性との3段階以上の連関度が予め設定されていることが前提となる。参照用画像情報とは、子供の画像を撮像することにより得られた情報であり、またこの画像情報を解析することで初めて得られる情報も含まれる。この画像は静止画のみならず動画であってもよい。この画像は学校の教室に設置されたカメラ、或いは校庭に設置されたカメラ等を通じて撮像されるものであってもよいし、個々の子供に対してターゲットを当ててカメラにより撮像した画像であってもよい。この参照用画像情報は、子供の顔や露出した手足について撮像した画像を解析することで、子供の顔又は手足の傷、腫れ、痣の状態を特定するようにしてもよい。また、この参照用画像情報は、子供の衣服の状態を撮像するようにしてもよい。そして、この衣服を撮像した参照用画像情報を解析することにより、衣服の汚れの状態を検出するようにしてもよい。
子供への虐待の可能性は、過去において児童相談所や各市区町村、地方公共団体、学校等において調査された虐待の危険度の可能性であり、虐待の可能性が高い方から百分率で表してもよいし、「虐待の兆候有り」、「虐待の兆候無し」の単純な2段階で表示するようにしてもよい。このような虐待の可能性は、過去の児童相談所において報告レポート等から、危険な事例であったか否かを示す危険度等が記述されていればそれを活用するようにしてもよい。またそのような危険度が記述されていない場合には、最終的な経過(例えば、死に至らしめたか、或いは救急車に搬送されたか、入院の日数等)に応じてランク分けするようにしてもよい。また、この虐待の可能性は、過去のレポートや報告書の記述内容をOCR等を通じて読取り、文章を解析することで自動的に分類してもよく、かかる場合には既存の人工知能の技術を援用するようにしてもよい。
更に子供への虐待の可能性は、評価者による以前の経験に基づいてそのレベルを判断してもよいし、実際に過去の事例の資料を読み込み、複数人の評価者がそのレベルについて、評価し、それらを統計的に分析して虐待の可能性の度合としてもよい。
図3の例では、入力データとして例えば参照用画像情報P01〜P03であるものとする。このような入力データとしての参照用画像情報P01〜P03は、出力としての子供への虐待の可能性に連結している。この出力においては、出力解としての、子供への虐待の可能性A〜Dがその兆候の高さに応じた百分率で表示されている。
参照用画像情報は、この出力解としての虐待可能性A~Dに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用画像情報がこの連関度を介して左側に配列し、各虐待可能性が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用画像情報に対して、何れの虐待可能性と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用画像情報が、いかなる虐待可能性に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用画像情報から最も確からしい虐待可能性を選択する上での的確性を示すものである。図3の例では、連関度としてw13〜w19が示されている。このw13〜w19は以下の表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力としての虐待可能性と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力としての値段と互いに関連度合いが低いことを示している。
判別装置2は、このような図3に示す3段階以上の連関度w13〜w19を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用画像情報と、その場合の虐待可能性の何れが採用、評価されたか、過去のデータセットを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図3に示す連関度を作り上げておく。
例えば、過去において子供に対して撮像した参照用画像情報に対する虐待可能性としては虐待可能性Aが多く評価されたものとする。このようなデータセットを集めて分析することにより、参照用画像情報との連関度が強くなる。
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用画像情報P01である場合に、過去の虐待可能性の評価を行った結果の各種データから分析する。参照用画像情報P01である場合に、虐待可能性Aの事例が多い場合には、この虐待可能性の評価につながる連関度をより高く設定し、虐待可能性Bの事例が多い場合には、この虐待可能性の評価につながる連関度をより高く設定する。例えば参照用画像情報P01の例では、虐待可能性Aと、虐待可能性Cにリンクしているが、以前の事例から虐待可能性Aにつながるw13の連関度を7点に、虐待可能性Cにつながるw14の連関度を2点に設定している。
また、この図3に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
かかる場合には、図4に示すように、入力データとして参照用画像情報が入力され、出力データとして虐待可能性が出力され、入力ノードと出力ノードの間に少なくとも1以上の隠れ層が設けられ、機械学習させるようにしてもよい。入力ノード又は隠れ層ノードの何れか一方又は両方において上述した連関度が設定され、これが各ノードの重み付けとなり、これに基づいて出力の選択が行われる。そして、この連関度がある閾値を超えた場合に、その出力を選択するようにしてもよい。
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを、以前の評価対象の子供を撮像した画像等と実際に判別・評価した虐待可能性とのデータセットを通じて作った後に、実際にこれから新たに虐待可能性の判別を行う上で、上述した学習済みデータを利用して虐待可能性を探索することとなる。かかる場合には、実際に判別対象の領域において子供を撮像した画像情報を新たに取得する。新たに取得する画像情報は、上述した情報取得部9により入力される。画像情報は、子供の外観を撮像することで取得する。この判別方法は、上述した参照用画像情報と同様の手法で行うようにしてもよい。
このようにして新たに取得した画像情報に基づいて、虐待可能性を判別する。かかる場合には、予め取得した図3(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した画像情報がP02と同一かこれに類似するものである場合には、連関度を介して虐待可能性Bがw15、虐待可能性Cが連関度w16で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い虐待可能性Bを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる虐待可能性Cを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
このようにして、新たに取得する画像情報から、最も好適な虐待可能性を探索し、ユーザに表示することができる。この探索結果を見ることにより、子供に対する虐待の兆候を、何か事件が起きる前に未然に判別することができ、子供の安全を確保することができる。
なお、上述した画像は、通常のカメラで撮像した画像以外に、スペクトル画像や超音波画像の何れか1以上を取得してもよい。かかる場合には、参照用画像情報として、取得する画像情報に応じたスペクトル画像、可視画像、超音波画像の何れか1以上を撮像しておくことが必要になる。
また本発明では、参照用画像情報として、顔又は手足の傷、腫れ、痣の状態、或いは衣服の汚れの状態を検出するようにしてもよい。このような傷や腫れ、汚れは、子供に対する虐待の兆候を示すものであることからこれを抽出することで判別精度を向上させることができる。このような傷や腫れ、汚れは参照用画像情報を画像解析することにより抽出することができる。具体的な抽出方法としては、パターンマッチング技術、或いは人工知能のディープラーニング技術を用いることで画像から抽出することができる。
参照用画像情報として、顔又は手足の傷、腫れ、痣の状態、或いは衣服の汚れの状態を検出し、これとの関係で過去の虐待可能性のデータとの間でデータセットから、上述した連関度を形成し、これを学習済みモデルとする。そして、実際に子供の虐待可能性の判別をする場合には、その子供に対して撮像した画像情報から顔又は手足の傷、腫れ、痣の状態、或いは衣服の汚れの状態を検出する。このとき、顔又は手足の傷、腫れ、痣の状態、或いは衣服の汚れの状態のうち、学習済みモデルに合わせたものを検出する。仮に学習済みモデルとして、参照用画像情報から抽出した顔の腫れとの関係において虐待可能性と連関度を形成するものであれば、画像情報から顔の腫れを同様に抽出することになる。つまり検出対象としての顔又は手足の傷、腫れ等は、画像情報と参照用画像情報との間で対応させて、両者間で互いに整合を持たせて抽出する。このような画像情報から抽出した顔又は手足の傷、腫れ等に基づいて、参照用画像情報と虐待可能性との間で形成した連関度を参照し、実際の虐待可能性を判別することが可能となる。
図5の例では、過去において撮像した子供の動画像からなる参照用画像情報から子供の行動パターンの類型に当てはめた参照用行動パターン情報と虐待可能性との間で連関度を形成する例である。
ここでいう行動パターン情報としては、参照用画像情報としての子供の動画像を解析することにより得られる。虐待の兆候が表れる行動として、例えば、他者とうまく関われない、態度がおどおどしている、親や大人の顔色をうかがう、食事に異常な執着を示す、衣服を脱ぐとき異常な不安を見せる、ひどく落ち着きがなく乱暴で情緒不安定である、基本的な生活習慣が身についていない等が考えられる場合、このような行動を類型化し予めパターン化しておく。
態度がおどおどしている兆候として、首が前後に揺れる、或いは手足を貧乏ゆすりする等がそのパターンであれば、そのパターンに当てはめるか否かを動画像の解析を通じて判別する。この判別の過程では、既存の画像解析技術やディープラーニング技術を利用してもよい。そして、このパターンに当てはめるアクションを検知した場合には、個々の行動パターンに応じて分類した参照用行動パターン情報に当てはめる。
このような参照用行動パターン情報と、虐待可能性との間で同様に連関度を形成することで学習済みモデルを作っておく。そして、実際に子供の虐待可能性の判別をする場合には、その子供に対して撮像した画像情報から同様に画像解析を行うことにより、予めパターン化した各種行動の類型に当てはめ、これを行動パターン情報とする。この行動パターン情報において当てはめるべき行動パターンの類型は、上述した参照用行動パターン情報に準じるようにしておく。
このようにして画像情報から抽出した行動パターン情報に基づいて、参照用行動パターン情報と虐待可能性との間で形成した連関度を参照し、実際の虐待可能性を判別することが可能となる。虐待可能性の判別プロセスは、上述した図3に示す画像情報に基づく虐待可能性の判別プロセスと同様である。
図6の例では、参照用画像情報と、参照用属性情報との組み合わせの連関度が形成される例である。参照用属性情報とは、子供の年齢や性別等に関する情報である。年齢や性別に応じて虐待の具体的な内容が異なる場合があることから、これを学習データに組み合わせ、参照用画像情報と合わせて判断することで、虐待可能性をより高精度に判別することができる。このため、参照用画像情報に加えて、参照用属性情報を組み合わせて上述した連関度を形成しておく。
図6の例では、入力データとして例えば参照用画像情報P01〜P03、参照用属性情報P14〜17であるものとする。このような入力データとしての、参照用画像情報に対して、参照用属性情報が組み合わさったものが、図6に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、虐待可能性が表示されている。
参照用画像情報と参照用属性情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、虐待可能性に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用画像情報と参照用属性情報がこの連関度を介して左側に配列し、虐待可能性が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用画像情報と参照用属性情報に対して、虐待可能性と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用画像情報と参照用属性情報が、いかなる虐待可能性に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用画像情報と参照用属性情報から最も確からしい虐待可能性を選択する上での的確性を示すものである。このため、これらの参照用画像情報と参照用属性情報の組み合わせで、最適な虐待可能性を探索していくこととなる。
図6の例では、連関度としてw13〜w22が示されている。このw13〜w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
判別装置2は、このような図6に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用画像情報と参照用属性情報、並びにその場合の虐待可能性が何れが見合うものであったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図6に示す連関度を作り上げておく。
例えば、過去にあった実際の事例における参照用画像情報が、画像データαであるものとする。また参照用属性情報が、(男の子、8歳)であるものとする。かかる場合に、実際にその虐待可能性がいくらであったかを示す虐待可能性をデータセットとして学習させ、上述した連関度という形で定義しておく。なお、このような参照用画像情報や、参照用属性情報は、児童相談所等が管理する管理データベースから抽出するようにしてもよい。
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用画像情報P01で、参照用属性情報P16である場合に、その虐待可能性を過去のデータから分析する。虐待可能性がAの事例が多い場合には、この虐待可能性Aにつながる連関度をより高く設定し、虐待可能性Bの事例が多く、虐待可能性Aの事例が少ない場合には、虐待可能性Bにつながる連関度を高くし、虐待可能性Aにつながる連関度を低く設定する。例えば中間ノード61aの例では、虐待可能性Aと品質Bの出力にリンクしているが、以前の事例から虐待可能性Aにつながるw13の連関度を7点に、虐待可能性Bにつながるw14の連関度を2点に設定している。
また、この図6に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。その他、人工知能に関する構成は、図4における説明と同様である。
図6に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用画像情報P01に対して、参照用属性情報P14の組み合わせのノードであり、虐待可能性Cの連関度がw15、虐待可能性Eの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用画像情報P02に対して、参照用属性情報P15、P17の組み合わせのノードであり、虐待可能性Bの連関度がw17、虐待可能性Dの連関度がw18となっている。
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから虐待可能性を判別する際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、実際に虐待可能性を判別しようとする子供の画像情報と、その子供の属性情報を入力又は選択する。
このようにして新たに取得した画像情報、属性情報に基づいて、最適な虐待可能性を探索する。かかる場合には、予め取得した図6(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した画像情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、属性情報がP17である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、虐待可能性Cがw19、虐待可能性Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い虐待可能性Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる虐待可能性Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
また、入力から伸びている連関度w1〜w12の例を以下の表2に示す。
この入力から伸びている連関度w1〜w12に基づいて中間ノード61が選択されていてもよい。つまり連関度w1〜w12が大きいほど、中間ノード61の選択における重みづけを重くしてもよい。しかし、この連関度w1〜w12は何れも同じ値としてもよく、中間ノード61の選択における重みづけは何れも全て同一とされていてもよい。
なお、上述した参照用画像情報に加え、上述した参照用属性情報の代わりに参照用スペクトル情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する虐待可能性との3段階以上の連関度を設定するようにしてもよい。
ちなみに、上述した参照用画像情報は、子供に対してある一時点における画像データを撮像する場合に限定されるものではなく、時系列的に複数回に亘り画像を撮像し、その時系列的な変化傾向を取得するようにしてもよい。このような時系列的な画像データの変化傾向を含めて参照用画像情報として連関度を形成しておき、判別対象の子供の画像を時系列的に複数回撮像した画像の時系列的な変化傾向を取得した場合には、これを入力データとして入力することで判別を行う。
図7は、上述した参照用画像情報に加え、上述した参照用属性情報の代わりに参照用家庭環境情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する虐待可能性との3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
参照用属性情報の代わりに説明変数として加えられるこの参照用家庭環境情報は、参照用画像情報の撮像対象の子供の家庭環境に関するあらゆる情報である。参照用家庭環境情報は、子供の家族構成、子供の母が妊娠中か、保護者が障害や病気を追っているか、祖父母と同居しているか否か、被介護者が自宅に居るか否か、被災しているか否か、両親が離婚しているか否か、所得(世帯収入)、生活保護の有無、兄弟姉妹の有無及びその年齢構成、両親又は何れか一方の親の実子であるか否か、等である。これらは何れも各家庭からの申告や提出文書を通じて得られるものであり、実際に本プログラムを実施する上では、これらの参照用家庭環境情報は電子データ化されていることが前提となる。
このような家庭環境も虐待可能性に影響を及ぼすことから、参照用画像情報と組み合わせ、連関度を通じて虐待可能性を判別することで、判別精度を向上させることができる。
図7の例では、入力データとして例えば参照用画像情報P01〜P03、参照用家庭環境情報P18〜21であるものとする。このような入力データとしての、参照用画像情報に対して、参照用家庭環境情報が組み合わさったものが、図6に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、虐待可能性が表示されている。
参照用画像情報と参照用家庭環境情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、虐待可能性に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用画像情報と参照用家庭環境情報がこの連関度を介して左側に配列し、虐待可能性が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用画像情報と参照用家庭環境情報に対して、虐待可能性と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用画像情報と参照用家庭環境情報が、いかなる虐待可能性に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用画像情報と参照用家庭環境情報から最も確からしい虐待可能性を選択する上での的確性を示すものである。
判別装置2は、このような図7に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用画像情報と、参照用画像情報を取得する際に得た参照用家庭環境情報、並びにその場合の虐待可能性が何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図7に示す連関度を作り上げておく。
例えば、過去にあった実際の虐待可能性の評価時において、ある参照用画像情報に対して、参照用家庭環境情報が、両親離婚歴有り、世帯収入●●万円であるものとする。かかる場合に、虐待可能性がAと判別されている事例が多い場合には、これらをデータセットとして学習させ、上述した連関度という形で定義しておく。
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用画像情報P01で、参照用家庭環境情報P20である場合に、その虐待可能性を過去のデータから分析する。虐待可能性Aの事例が多い場合には、この虐待可能性がAにつながる連関度をより高く設定し、虐待可能性がBの事例が多く、虐待可能性がAの事例が少ない場合には、虐待可能性がBにつながる連関度を高くし、虐待可能性がAにつながる連関度を低く設定する。例えば中間ノード61aの例では、虐待可能性Aと虐待可能性Bの出力にリンクしているが、以前の事例から虐待可能性Aにつながるw13の連関度を7点に、虐待可能性Bにつながるw14の連関度を2点に設定している。
また、この図7に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。その他、人工知能に関する構成は、図4における説明と同様である。
図7に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用画像情報P01に対して参照用家庭環境情報P18の組み合わせのノードであり、虐待可能性Cの連関度がw15、虐待可能性Eの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用画像情報P02に対して、参照用家庭環境情報P19、P21の組み合わせのノードであり、虐待可能性Bの連関度がw17、虐待可能性Dの連関度がw18となっている。
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから虐待可能性の探索を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、実際にその虐待可能性の判別対象の画像情報と、家庭環境情報とを取得する。ここで家庭環境情報は、虐待可能性を新たに判別する際に画像情報の取得対象の子供について新たに取得するが、その取得方法は、上述した参照用家庭環境情報と同様である。
このようにして新たに取得した画像情報と、家庭環境情報に基づいて、最適な虐待可能性を探索する。かかる場合には、予め取得した図7(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した画像情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、家庭環境情報がP21と同一か又は類似する場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、虐待可能性Cがw19、虐待可能性Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い虐待可能性Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる虐待可能性Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
図8は、上述した参照用画像情報に加え、上述した参照用属性情報の代わりに参照用聴取情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する虐待可能性との3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
参照用属性情報の代わりに説明変数として加えられるこの参照用聴取情報は、参照用画像情報を撮像した子供から実際にインタビューを通じて聴取した内容をデータ化したものであり、例えば、暴力を振るわれた、暴言を吐かれた、外に出された等の数々の虐待内容が類型化されているものである。このような参照用聴取情報に含まれる聴取の内容も虐待可能性に影響を及ぼすことから、参照用画像情報と組み合わせ、連関度を通じて虐待可能性を判別することで、判別精度を向上させることができる。
図8の例では、入力データとして例えば参照用画像情報P01〜P03、参照用聴取情報P18〜21であるものとする。このような入力データとしての、参照用画像情報に対して、参照用聴取情報が組み合わさったものが、図8に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、虐待可能性が表示されている。
参照用画像情報と参照用聴取情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、虐待可能性に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用画像情報と参照用聴取情報がこの連関度を介して左側に配列し、虐待可能性が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用画像情報と参照用聴取情報に対して、虐待可能性と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用画像情報と参照用聴取情報が、いかなる虐待可能性に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用画像情報と参照用聴取情報から最も確からしい虐待可能性を選択する上での的確性を示すものである。
判別装置2は、このような図8に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用画像情報と、参照用画像情報を取得する際に得た参照用聴取情報、並びにその場合の虐待可能性が何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図7に示す連関度を作り上げておく。
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用画像情報P01で、参照用聴取情報P20である場合に、その虐待可能性を過去のデータから分析する。虐待可能性Aの事例が多い場合には、この虐待可能性がAにつながる連関度をより高く設定し、虐待可能性がBの事例が多く、虐待可能性がAの事例が少ない場合には、虐待可能性がBにつながる連関度を高くし、虐待可能性がAにつながる連関度を低く設定する。例えば中間ノード61aの例では、虐待可能性Aと虐待可能性Bの出力にリンクしているが、以前の事例から虐待可能性Aにつながるw13の連関度を7点に、虐待可能性Bにつながるw14の連関度を2点に設定している。
また、この図8に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。その他、人工知能に関する構成は、図4における説明と同様である。
図8に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用画像情報P01に対して参照用聴取情報P18の組み合わせのノードであり、虐待可能性Cの連関度がw15、虐待可能性Eの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用画像情報P02に対して、参照用聴取情報P19、P21の組み合わせのノードであり、虐待可能性Bの連関度がw17、虐待可能性Dの連関度がw18となっている。
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから虐待可能性の探索を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、実際にその虐待可能性の判別対象の画像情報と、聴取情報とを取得する。ここで聴取情報は、虐待可能性を実際に判断する子供から聴取した虐待の内容をデータ化したもので、予め類型化された虐待内容に当てはめるようにしてもよい。聴取情報の取得方法は、上述した参照用聴取情報と同様である。聴取情報、参照用聴取情報の取得方法は、PCやスマートフォン等へのデバイスへのキーボード入力や、子供からのインタビュー内容が記述されている文字情報を解析することで取得してもよい。
このようにして新たに取得した画像情報と、聴取情報に基づいて、最適な虐待可能性を探索する。かかる場合には、予め取得した図8(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した画像情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、聴取情報がP21と同一か又は類似する場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、虐待可能性Cがw19、虐待可能性Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い虐待可能性Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる虐待可能性Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
上述した連関度においては、10段階評価で連関度を表現しているが、これに限定されるものではなく、3段階以上の連関度で表現されていればよく、逆に3段階以上であれば100段階でも1000段階でも構わない。一方、この連関度は、2段階、つまり互いに連関しているか否か、1又は0の何れかで表現されるものは含まれない。
上述した構成からなる本発明によれば、特段のスキルや経験が無くても、誰でも手軽に虐待可能性の判別・探索を行うことができる。また本発明によれば、この探索解の判断を、人間が行うよりも高精度に行うことが可能となる。更に、上述した連関度を人工知能(ニューラルネットワーク等)で構成することにより、これを学習させることでその判別精度を更に向上させることが可能となる。
なお、上述した入力データ、及び出力データは、学習させる過程で完全に同一のものが存在しない場合も多々あることから、これらの入力データと出力データを類型別に分類した情報であってもよい。つまり、入力データを構成する情報P01、P02、・・・・P15、16、・・・は、その情報の内容に応じて予めシステム側又はユーザ側において分類した基準で分類し、その分類した入力データと出力データとの間でデータセットを作り、学習させるようにしてもよい。
なお、上述した連関度では、参照用画像情報に加え、参照用行動パターン情報、参照用属性情報、参照用家庭環境情報、参照用聴取情報の何れかとの組み合わせで構成されている場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではない。つまり連関度は、参照用画像情報に加え、参照用行動パターン情報、参照用属性情報、参照用家庭環境情報、参照用聴取情報の何れか2以上との組み合わせで構成されていてもよい。また連関度は、参照用画像情報に加え、参照用行動パターン情報、参照用属性情報、参照用家庭環境情報、参照用聴取情報の何れか1以上に加え、他のファクターがこの組み合わせに加わって連関度が形成されていてもよい。
いずれの場合も、その連関度の参照情報に合わせたデータの入力がなされ、その連関度を利用して虐待可能性を求める。
また本発明は、図9に示すように参照用情報Uと参照用情報Vという2種類以上の情報の組み合わせの連関度に基づいて虐待可能性を判別するものである。この参照用情報Yが参照用画像情報であり、参照用情報Vが参照用属性情報、参照用家庭環境情報、参照用聴取情報、参照用生体情報、参照用飼育環境情報、参照用餌情報の何れかであるものとする。
このとき、図9に示すように、参照用情報Uについて得られた出力をそのまま入力データとして、参照用情報Vとの組み合わせの中間ノード61を介して出力(虐待可能性)と関連付けられていてもよい。例えば、参照用情報U(参照用画像情報)について、図3に示すように出力解を出した後、これをそのまま入力として、他の参照用情報Vとの間での連関度を利用し、出力(虐待可能性)を探索するようにしてもよい。
また本発明によれば、出力として虐待可能性を出力解として得る代わりに、虐待可能性に基づいた警報、アラーム等を始めとする注意喚起情報を発信するようにしてもよい。虐待可能性が高いほど、注意喚起情報の注意喚起度合が高くなる様にする。これにより外部に対して子供が危険な状態にあることに対する注意喚起を効率的に行うことができる。
また、本発明によれば、3段階以上に設定されている連関度を介して最適な解探索を行う点に特徴がある。連関度は、上述した10段階以外に、例えば0〜100%までの数値で記述することができるが、これに限定されるものではなく3段階以上の数値で記述できるものであればいかなる段階で構成されていてもよい。
このような3段階以上の数値で表される連関度に基づいて最も確からしい虐待可能性、を判別することで、探索解の可能性の候補として複数考えられる状況下において、当該連関度の高い順に探索して表示することも可能となる。このように連関度の高い順にユーザに表示できれば、より確からしい探索解を優先的に表示することも可能となる。
これに加えて、本発明によれば、連関度が1%のような極めて低い出力の判別結果も見逃すことなく判断することができる。連関度が極めて低い判別結果であっても僅かな兆候として繋がっているものであり、何十回、何百回に一度は、その判別結果として役に立つ場合もあることをユーザに対して注意喚起することができる。
更に本発明によれば、このような3段階以上の連関度に基づいて探索を行うことにより、閾値の設定の仕方で、探索方針を決めることができるメリットがある。閾値を低くすれば、上述した連関度が1%のものであっても漏れなく拾うことができる反面、より適切な判別結果を好適に検出できる可能性が低く、ノイズを沢山拾ってしまう場合もある。一方、閾値を高くすれば、最適な探索解を高確率で検出できる可能性が高い反面、通常は連関度は低くてスルーされるものの何十回、何百回に一度は出てくる好適な解を見落としてしまう場合もある。いずれに重きを置くかは、ユーザ側、システム側の考え方に基づいて決めることが可能となるが、このような重点を置くポイントを選ぶ自由度を高くすることが可能となる。
更に本発明では、上述した連関度を更新させるようにしてもよい。この更新は、例えばインターネットを始めとした公衆通信網を介して提供された情報を反映させるようにしてもよい。また参照用画像情報を初めとする各参照用情報を取得し、これらに対する虐待可能性、改善施策に関する知見、情報、データを取得した場合、これらに応じて連関度を上昇させ、或いは下降させる。
つまり、この更新は、人工知能でいうところの学習に相当する。新たなデータを取得し、これを学習済みデータに反映させることを行っているため、学習行為といえるものである。
また、この連関度の更新は、公衆通信網から取得可能な情報に基づく場合以外に、専門家による研究データや論文、学会発表や、新聞記事、書籍等の内容に基づいてシステム側又はユーザ側が人為的に、又は自動的に更新するようにしてもよい。これらの更新処理においては人工知能を活用するようにしてもよい。
また学習済モデルを最初に作り上げる過程、及び上述した更新は、教師あり学習のみならず、教師なし学習、ディープラーニング、強化学習等を用いるようにしてもよい。教師なし学習の場合には、入力データと出力データのデータセットを読み込ませて学習させる代わりに、入力データに相当する情報を読み込ませて学習させ、そこから出力データに関連する連関度を自己形成させるようにしてもよい。
本発明に係る子供虐待兆候判別プログラムは、親による子供への虐待の兆候を判別する子供虐待兆候判別プログラムにおいて、判別対象の個々の子供に対してターゲットを当てて顔、手足、衣服を時系列的に複数回に亘り撮像し、その時系列的な画像の変化傾向を画像情報として取得する情報取得ステップと、過去において個々の子供に対してターゲットを当てて顔、手足、衣服を時系列的に複数回に亘り撮像し、その時系列的な画像の変化傾向からなる参照用画像情報と、その子供への虐待の可能性との3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した画像情報に応じた参照用画像情報に基づき、子供への虐待の可能性を判別する判別ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。