JP2021044349A - 電磁波シールドフィルムの製造方法、及び電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造方法 - Google Patents

電磁波シールドフィルムの製造方法、及び電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造方法 Download PDF

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Kazuyoshi Yoshida
一義 吉田
航 片桐
Wataru Katagiri
航 片桐
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Abstract

【課題】製造工程数を減らし、より簡便、かつより低コストな電磁波シールドフィルムの製造方法であって、絶縁樹脂層と金属薄膜層との接着性も金属薄膜層と接着剤層との接着性も優れた電磁波シールドフィルムを製造することができ、さらに、FPCに対するシールド性及び伝送特性に優れた電磁波シールドフィルムを製造することができる、電磁波シールドフィルムの製造方法の提供。【解決手段】絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層に隣接する電解メッキ銅薄膜層と、前記電解メッキ銅薄膜層の前記絶縁樹脂層とは反対側に隣接する接着剤層とを有する電磁波シールドフィルムを製造する方法であり、下記の工程(b)および工程(c)を有する、電磁波シールドフィルムの製造方法である。工程(b):キャリア銅箔の表面に電解メッキ法により設けられた電解メッキ銅薄膜層に対して、前記電解メッキ銅薄膜層の表面に前記絶縁樹脂層を設ける工程。工程(c):前記キャリア銅箔を前記電解メッキ銅薄膜層から剥離し、前記電解メッキ銅薄膜層の前記絶縁樹脂層とは反対側の表面に前記接着剤層を設ける工程。【選択図】なし

Description

本発明は、電磁波シールドフィルムの製造方法、及び電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造方法に関する。
フレキシブルプリント配線板(以下、FPCともいう)から発生する電磁波ノイズや外部からの電磁波ノイズを遮蔽するために、絶縁樹脂層と、絶縁樹脂層に隣接する、金属薄膜層および導電性接着剤層から構成される導電層とからなる電磁波シールドフィルムを、フレキシブルプリント配線板の表面に設けることがある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1においては、電磁波シールドフィルムにおける絶縁樹脂層は、第1の離型フィルムの片面に、熱硬化性樹脂と硬化剤と溶剤とを含む塗工液を塗布し、乾燥させて形成される。また、金属薄膜層は、絶縁樹脂層の表面に金属を蒸着することによって形成される。
しかし、熱硬化性樹脂の硬化物からなる絶縁樹脂層は、硬度が高すぎるため、絶縁樹脂層の表面に金属を蒸着することによって形成された金属薄膜層は、絶縁樹脂層との接着性が不十分である。そのため、第1の離型フィルムを絶縁樹脂層から剥離する際に、絶縁樹脂層と金属薄膜層との界面で剥離が生ずることがある。
そこで、絶縁樹脂層と金属薄膜層との接着性に優れ、さらに導電性接着剤層からなる接着剤層と金属薄膜層との接着性にも優れた電磁波シールドフィルムの製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2には、キャリアフィルムの表面に設けられた金属薄膜層の表面に絶縁樹脂層を設け、その後、キャリアフィルムを金属薄膜層から剥離し、金属薄膜層の絶縁樹脂層とは反対側の表面に接着剤層を設ける電磁波シールドフィルムの製造方法が記載されている。
特開2016−86120号公報 特開2018−56423号公報
ところで、FPCに対するシールド性の向上や伝送特性の向上のためには、金属薄膜層の厚みはある程度厚い方が好ましい。そこで、例えば、1μm以上の厚みの金属薄膜層を精度よく安定して作製できるメッキ法により金属薄膜層を作製することが望ましい。
しかし、上記特許文献2に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法では、金属薄膜層はポリエチレンテレフタレート(PET)のキャリアフィルム上に設けられており、上記特許文献2に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法では、メッキ法を用いて金属薄膜層を形成しようとすると、PETのキャリアフィルム上にスパッタ法等により一旦金属層を設け、その上に金属のメッキ層を形成させる必要がある。
そこで、本発明は、製造工程数を減らし、より簡便、かつより低コストな電磁波シールドフィルムの製造方法であって、絶縁樹脂層と金属薄膜層との接着性も接着剤層と金属薄膜層との接着性も優れた電磁波シールドフィルムを製造することができ、さらに、FPCに対するシールド性及び伝送特性に優れた電磁波シールドフィルムを製造することができる、電磁波シールドフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]絶縁樹脂層と、
前記絶縁樹脂層に隣接する電解メッキ銅薄膜層と、
前記電解メッキ銅薄膜層の前記絶縁樹脂層とは反対側に隣接する接着剤層とを有する電磁波シールドフィルムを製造する方法であり、
下記の工程(b)および工程(c)を有する、電磁波シールドフィルムの製造方法。
工程(b):キャリア銅箔の表面に電解メッキ法により設けられた電解メッキ銅薄膜層に対して、前記電解メッキ銅薄膜層の表面に前記絶縁樹脂層を設ける工程。
工程(c):前記キャリア銅箔を前記電解メッキ銅薄膜層から剥離し、前記電解メッキ銅薄膜層の前記絶縁樹脂層とは反対側の表面に前記接着剤層を設ける工程。
[2]前記電解メッキ銅薄膜層の厚さが、1μm以上3μm以下である、前記[1]に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[3]前記電解メッキ銅薄膜層の前記絶縁樹脂層側の表面の算術平均粗さ(Ra)が、0.5μm以上2.5μm以下である、前記[1]又は[2]に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[4]前記電解メッキ銅薄膜層の前記接着剤層側の表面の算術平均粗さ(Ra)が、0.1μm以上1.0μm以下である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[5]前記絶縁樹脂層が、芳香族ポリエーテルケトンを含有するフィルム状の絶縁樹脂層である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[6]前記絶縁樹脂層が、層中に絶縁粒子を含有する、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[7]前記電磁波シールドフィルムが、前記絶縁樹脂層の前記電解メッキ銅薄膜層とは反対側に隣接する第1の離型フィルムを有する場合、
前記第1の離型フィルムは、基材層と、前記基材層の前記絶縁樹脂層側の表面に設けられた粘着剤層又は離型剤層とを有し、
前記基材層の表面は、凹凸形状を有する、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[8]前記電磁波シールドフィルムが、前記絶縁樹脂層の前記電解メッキ銅薄膜層とは反対側に隣接する第1の離型フィルムを有する場合、
前記第1の離型フィルムは、基材層と、前記基材層の前記絶縁樹脂層側の表面に設けられた粘着剤層又は離型剤層とを有し、
前記粘着剤層又は離型剤層は、層中に絶縁粒子を含有する、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[9]前記電磁波シールドフィルムが、前記絶縁樹脂層の前記電解メッキ銅薄膜層とは反対側に隣接する第1の離型フィルムを有する場合、
前記電解メッキ銅薄膜層と前記キャリア銅箔との界面における剥離力が、前記絶縁樹脂層と前記第1の離型フィルムとの界面における剥離力より小さい、前記[1]〜[8]のいずれかに記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[10]前記電解メッキ銅薄膜層と前記キャリア銅箔との界面における剥離力が、0.1N/cm以上1.5N/cm以下であり、前記絶縁樹脂層と前記第1の離型フィルムとの界面における剥離力が、0.2N/cm以上2.5N/cm以下である、前記[9]に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[11]前記[1]〜[10]のいずれかに記載の電磁波シールドフィルムの製造方法によって、電磁波シールドフィルムを製造した後、
下記の工程(d)及び工程(e)を実施する、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造方法。
工程(d):プリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に絶縁フィルムを設け、絶縁フィルム付きプリント配線板を得る工程。
工程(e):前記電磁波シールドフィルムが第2の離型フィルムを有する場合は、前記電磁波シールドフィルムから前記第2の離型フィルムを剥離した後、前記絶縁フィルム付きプリント配線板と前記電磁波シールドフィルムとを、前記絶縁フィルムの表面に前記接着剤層が接触するように重ね、これらをプレスすることによって、前記絶縁フィルムの表面に前記接着剤層を接着し、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を得る工程。
本発明によれば、製造工程数を減らし、より簡便、かつより低コストな電磁波シールドフィルムの製造方法であって、絶縁樹脂層と金属薄膜層との接着性も金属薄膜層と接着剤層との接着性も優れた電磁波シールドフィルムを製造することができ、さらに、FPCに対するシールド性及び伝送特性に優れた電磁波シールドフィルムを製造することができる、電磁波シールドフィルムの製造方法を提供することができる。
図1は、電磁波シールドフィルムの一実施形態を示す断面図である。 図2は、電磁波シールドフィルムの他の実施形態を示す断面図である。 図3は、電磁波シールドフィルムの他の実施形態を示す断面図である。 図4は、電磁波シールドフィルムの他の実施形態を示す断面図である。 図5は、図1の電磁波シールドフィルムの製造工程のうち、工程(a)、工程(b1)及び工程(b2)を示す断面図である。 図6は、図1の電磁波シールドフィルムの製造工程のうち、工程(c1)〜(c3)を示す断面図である。 図7は、図3の電磁波シールドフィルムの製造工程のうち、工程(a)、工程(b1)及び工程(b2)を示す断面図である。 図8は、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の一実施形態を示す断面図である。 図9は、図8の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造工程を示す断面図である。 図10は、電磁波シールドフィルムの他の実施形態を示す断面図である。 図11は、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の他の実施形態を示す断面図である。 図12は、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の他の実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の一実施態様としての一例であり、これらの内容に特定されるものではない。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「等方導電性接着剤層」とは、厚さ方向および面方向に導電性を有する導電性接着剤層を意味する。
「異方導電性接着剤層」とは、厚さ方向に導電性を有し、面方向に導電性を有しない導電性接着剤層を意味する。
「面方向に導電性を有しない導電性接着剤層」とは、表面抵抗が1×104Ω以上である導電性接着剤層を意味する。
導電性粒子の平均粒子径は、導電性粒子の顕微鏡像から30個の導電性粒子を無作為に選び、それぞれの導電性粒子について、最小径および最大径を測定し、最小径と最大径との中央値を一粒子の粒子径とし、測定した30個の導電性粒子の粒子径を算術平均して得た値である。
フィルム(離型フィルム、絶縁フィルム等)、塗膜(絶縁樹脂層、接着剤層、導電性接着剤層等)、電解メッキ銅薄膜層の厚さは、顕微鏡を用いて測定対象の断面を観察し、5箇所の厚さを測定し、平均した値である。
表面抵抗は、石英ガラス上に金を蒸着して形成した、2本の薄膜金属電極(長さ10mm、幅5mm、電極間距離10mm)を用い、この電極上に被測定物を置き、被測定物上から、被測定物の10mm×20mmの領域を0.049Nの荷重で押し付け、1mA以下の測定電流で測定される電極間の抵抗である。
剥離力は、引張り試験機を用い、180度剥離試験を行って測定される剥離力である。
算術平均粗さRaは、試験片についてレーザー顕微鏡を用いて粗さ曲線を測定し、この粗さ曲線から、JIS B 0601:2013(ISO 4287:1997 Amd.1:2009)に基づいて求めた値である。
[電磁波シールドフィルムの製造方法]
本発明は、電磁波シールドフィルムを製造する方法について規定する。
電磁波シールドフィルムは、絶縁樹脂層と、絶縁樹脂層に隣接する電解メッキ銅薄膜層と、電解メッキ銅薄膜層の絶縁樹脂層とは反対側に隣接する接着剤層とを有する。
本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法は、下記の工程(b)及び工程(c)を有する。
工程(b):キャリア銅箔の表面に電解メッキ法により設けられた電解メッキ銅薄膜層に対して、電解メッキ銅薄膜層の表面に絶縁樹脂層を設ける工程。
工程(c):キャリア銅箔を電解メッキ銅薄膜層から剥離し、電解メッキ銅薄膜層の絶縁樹脂層とは反対側の表面に接着剤層を設ける工程。
本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法については、後で詳しく説明する。まず先に本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法の対象である電磁波シールドフィルムについて説明する。
(電磁波シールドフィルム)
図1は、本発明の製造方法で得られる電磁波シールドフィルムの第1の実施形態を示す断面図であり、図2は、本発明の製造方法で得られる電磁波シールドフィルムの第2の実施形態を示す断面図である。
第1の実施形態及び第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、絶縁樹脂層10と;絶縁樹脂層10に隣接する電解メッキ銅薄膜層20と;電解メッキ銅薄膜層20の絶縁樹脂層10とは反対側に隣接する接着剤層22と;絶縁樹脂層10の電解メッキ銅薄膜層20とは反対側に隣接する第1の離型フィルム30と;接着剤層22の電解メッキ銅薄膜層20とは反対側に隣接する第2の離型フィルム40とを有する。
第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、接着剤層22が異方導電性接着剤層24である例である。
第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、接着剤層22が等方導電性接着剤層26である例である。
<絶縁樹脂層>
絶縁樹脂層10は、電磁波シールドフィルム1をフレキシブルプリント配線板の表面に設けられた絶縁フィルムの表面に貼着し、第1の離型フィルム30を剥離した後には、電解メッキ銅薄膜層20の保護層となる。
絶縁樹脂層10としては、硬化性樹脂と硬化剤とを含む組成物を塗布し、半硬化または硬化させて形成された塗膜;硬化性樹脂と硬化剤と溶剤とを含む塗工液を塗布し、乾燥させ、半硬化または硬化させて形成された塗膜;熱可塑性樹脂と溶剤とを含む塗工液を塗布し、乾燥させて形成された塗膜;熱可塑性樹脂を含む組成物を溶融成形したフィルムからなる層等が挙げられる。絶縁樹脂層10としては、絶縁樹脂層10と電解メッキ銅薄膜層20との接着性がさらに良好となる点から、樹脂材料(硬化性樹脂と硬化剤との組み合わせ、または熱可塑性樹脂)と溶剤とを含む塗工液を塗布し、乾燥させ、必要に応じて半硬化または硬化させて形成された塗膜が好ましい。
硬化性樹脂としては、アミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、紫外線硬化アクリレート樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂としては、絶縁樹脂層と電解メッキ銅薄膜層との接着性がさらに良好となる点から、紫外線硬化アクリレート樹脂が好ましい。
硬化剤としては、硬化性樹脂の種類に応じた公知の硬化剤が挙げられる。硬化性樹脂が紫外線硬化アクリレート樹脂の場合、硬化剤としては、光ラジカル開始剤等が挙げられる。
絶縁樹脂層10は、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板のプリント回路を隠蔽したり、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板に意匠性を付与したりするために、着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方を含んでいてもよい。
絶縁樹脂層10は、難燃剤を含んでいてもよい。
絶縁樹脂層10は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
絶縁樹脂層の表面における光の反射を抑えるために、絶縁樹脂層の表面に凹凸形状を形成させてもよい。例えば、絶縁樹脂層中に絶縁粒子を含有させて、絶縁樹脂層の表面に凹凸形状を形成させてもよい。あるいは、電磁波シールドフィルムが、絶縁樹脂層の電解メッキ銅薄膜層とは反対側に隣接する第1の離型フィルムを有する場合、第1の離型フィルム30の表面の凹凸が転写されるようにして、絶縁樹脂層の表面に凹凸形状を形成させてもよい。
絶縁樹脂層の表面に凹凸形状を形成させることにより、絶縁樹脂層の表面における光の反射が抑えられた電磁波シールドフィルムが得られることについては、下記<絶縁樹脂層の表面における光の反射が抑えられた電磁波シールドフィルム>の欄で詳しく説明する。
絶縁樹脂層10の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10Ω以上が好ましい。絶縁樹脂層10の表面抵抗は、実用上の点から、1×1019Ω以下が好ましい。
絶縁樹脂層10の厚さは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.5μm以上20μm以下がより好ましく、3μm以上15μm以下がさらに好ましい。絶縁樹脂層10の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、絶縁樹脂層10が保護層としての機能を十分に発揮できる。絶縁樹脂層10の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。
<<フィルム状の絶縁樹脂層>>
本発明においては、上記絶縁樹脂層をフィルム状の絶縁樹脂層とすることができる。
フィルム状の絶縁樹脂層としては、例えば、芳香族ポリエーテルケトンを含有するフィルム状の絶縁樹脂層を挙げることができる。
絶縁樹脂層が、芳香族ポリエーテルケトンを含有するフィルム状の絶縁樹脂層である場合、絶縁樹脂層を薄い膜厚で形成することができ、さらに、薄い膜厚の絶縁樹脂層であっても、絶縁樹脂層と電解メッキ銅薄膜層からなる金属薄膜層との接着性を良好に維持することができる。
図3は、本発明に係る電磁波シールドフィルムの第3の実施形態を示す断面図であり、図4は、本発明に係る電磁波シールドフィルムの第4の実施形態を示す断面図である。
図3で示す第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、図1で示す第1の実施形態の電磁波シールドフィルムにおいて、絶縁樹脂層10が、フィルム状の絶縁樹脂層10aに変わっている点が違っている。尚、図3においては、フィルム状の絶縁樹脂層10aと電解メッキ銅薄膜層20との間に絶縁樹脂層用の接着剤層10bを配しているが、フィルム状の絶縁樹脂層10aと電解メッキ銅薄膜層20との接着状況によっては、絶縁樹脂層用の接着剤層10bは設けなくてもよい。
絶縁樹脂層用の接着剤層10bとしては、後述する<接着剤層>の欄で説明する接着剤と同様なものが使用できる。
図4で示す第4の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、図2で示す第2の実施形態の電磁波シールドフィルムにおいて、絶縁樹脂層10が、フィルム状の絶縁樹脂層10aに変わっている点が違っている。
フィルム状の絶縁樹脂層10aは、芳香族ポリエーテルケトンを含有する。芳香族ポリエーテルケトンは、エーテル結合を介してベンゼン環同士を結合した構造と、ケトン基を介してベンゼン環同士を結合した構造とを有するポリマーである。
芳香族ポリエーテルケトンとしては、例えば、化学式(1)で表される化学構造を有するポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、化学式(2)で表される化学構造を有するポリエーテルケトン(PEK)、化学式(3)で表される化学構造を有するポリエーテルケトンケトン(PEKK)、化学式(4)で表される化学構造を有するポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、化学式(5)で表される化学構造を有するポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)が挙げられる。フィルム状の絶縁樹脂層10aに含まれる芳香族ポリエーテルケトンは1種単独でもよいし、2種以上でもよい。
また、芳香族ポリエーテルケトンは、化学式(1)〜(5)で表される化学構造を2つ以上有する共重合体であってもよい。
なお、芳香族ポリエーテルケトンの両末端は水素原子となっている。
上記芳香族ポリエーテルケトンのなかでも、フィルム状の絶縁樹脂層10aを形成しやすい点では、ポリエーテルエーテルケトンが好ましい。
電磁波シールドフィルム1に耐熱性が求められる場合には、芳香族ポリエーテルケトンのなかでも、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトンが好ましい。ポリエーテルケトンのガラス転移温度は152℃、ポリエーテルケトンケトンのガラス転移温度は154℃、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトンのガラス転移温度は162℃であり、いずれも、ポリエーテルエーテルケトンのガラス転移温度143℃より高い。そのため、耐熱性が求められる用途に適している。樹脂のガラス転移温度は、示差熱走査熱量測定(DSC)によって求められる。
Figure 2021044349
上記化学式(1)〜(5)の各々のnは、機械的特性の観点から、10以上が好ましく、20以上がより好ましい。一方、芳香族ポリエーテルケトンを容易に製造できる点では、nは5000以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましい。すなわち、10以上5000以下が好ましく、20以上1000以下がより好ましい。
芳香族ポリエーテルケトンは、本発明の効果を損なわない範囲において、エーテルサルホン等の他の共重合可能な単量体とのブロック共重合体、ランダム共重合体又は変性体であってもよい。
芳香族ポリエーテルケトンは、上記化学式(1)〜(5)のいずれかで表されるポリエーテルケトン単位の割合が、芳香族ポリエーテルケトン100モル%に対し、50モル%以上100モル%以下であることが好ましく、70モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、80モル%以上100モル%以下であることがさらに好ましく、100モル%であることが最も好ましい。芳香族ポリエーテルケトンにおいて上記芳香族ポリエーテルケトン単位の割合が上記下限値以上であれば、フィルム状の絶縁樹脂層10aと電解メッキ銅薄膜層20との接着力をより強くできる。
芳香族ポリエーテルケトンの製造方法、とりわけポリエーテルエーテルケトンの製造方法としては、例えば、特開昭50−27897号公報、特開昭51−119797号公報、特開昭52−38000号公報、特開昭54−90296号公報、特公昭55−23574号公報、特公昭56−2091号公報に開示されている。
フィルム状の絶縁樹脂層10aには、芳香族ポリエーテルケトン以外に他の樹脂が含まれてもよい。他の樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルホン、ポリフェニレンサルフィド、ポリフェニレンサルフィドサルホン、ポリフェニレンサルフィドケトン等が挙げられる。
フィルム状の絶縁樹脂層10aにおける芳香族ポリエーテルケトンの含有量は50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、80質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。フィルム状の絶縁樹脂層10aが芳香族ポリエーテルケトンのみからなってもよい。フィルム状の絶縁樹脂層10aにおける芳香族ポリエーテルケトンの含有量が上記下限値以上であれば、電解メッキ銅薄膜層20に対するフィルム状の絶縁樹脂層10aの接着力をより強くすることができる。
フィルム状の絶縁樹脂層10aの厚さは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、2.0μm以上10μm以下がより好ましく、2.0μm以上5.0μm以下がさらに好ましく、3.0μm以上5.0μm以下が特に好ましい。フィルム状の絶縁樹脂層10aの厚さが上記範囲の下限値以上であれば、フィルム状の絶縁樹脂層10aが保護層としての機能を十分に発揮できる。フィルム状の絶縁樹脂層10aの厚さが上記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。
<電解メッキ銅薄膜層>
電解メッキ銅薄膜層20は、電解メッキ法により形成された銅薄膜からなる層である。電解メッキ銅薄膜層20は、面方向に広がるように形成されていることから、面方向に導電性を有し、電磁波シールド層等として機能する。
電解メッキ銅薄膜層20は、電解メッキ法で形成しているため、1μm以上の厚みの金属薄膜層を精度よく安定して作製できる。よって、電解メッキ法により形成された銅薄膜からなる層を金属薄膜層として使用する本発明に係る電磁波シールドフィルムは、FPCに対するシールド性、及び伝送特性に優れている。
電解メッキ銅薄膜層20の表面抵抗は、0.001Ω以上1Ω以下が好ましく、0.001Ω以上0.1Ω以下がより好ましい。電解メッキ銅薄膜層20の表面抵抗が上記範囲の下限値以上であれば、電解メッキ銅薄膜層20を十分に薄くできる。電解メッキ銅薄膜層20の表面抵抗が上記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールド層として十分に機能できる。
電解メッキ銅薄膜層20の厚さは、0.01μm以上5μm以下が好ましく、0.05μm以上5μm以下がより好ましく、1μm以上3μm以下がさらに好ましく、1μm以上2μm以下が特に好ましい。電解メッキ銅薄膜層20の厚さが0.01μm以上であれば、面方向の導電性がさらに良好になる。電解メッキ銅薄膜層20の厚さが0.05μm以上であれば、電磁波ノイズの遮蔽効果がさらに良好になる。電解メッキ銅薄膜層20の厚さが1μm以上であれば、FPCの伝送特性がさらに良好になる。電解メッキ銅薄膜層20の厚さが上記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の生産性、可とう性がよくなる。
<接着剤層>
接着剤層22は、電磁波シールドフィルム1を絶縁フィルム付きプリント配線板に貼り付けるための層である。
接着剤層22は、導電性を有さない単なる接着剤層であってもよく、電磁波シールドフィルム1とプリント配線板とを電気的に接続するための導電性を有する導電性接着剤層であってもよい。接着剤層22としては、電解メッキ銅薄膜層20を電磁波シールド層として十分に機能させる点から、導電性接着剤層が好ましい。
<<導電性接着剤層>>
導電性接着剤層は、少なくとも厚さ方向に導電性を有し、かつ接着性を有する。
導電性接着剤層としては、厚さ方向に導電性を有し、面方向には導電性を有さない異方導電性接着剤層24、または厚さ方向および面方向に導電性を有する等方導電性接着剤層26が挙げられる。導電性接着剤層としては、導電性接着剤層を薄くでき、導電性粒子の量が少なくなり、その結果、電磁波シールドフィルム1を薄くでき、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる点からは、異方導電性接着剤層24が好ましい。導電性接着剤層としては、電磁波シールド層として十分に機能できる点からは、等方導電性接着剤層26が好ましい。
導電性接着剤層としては、接着剤と導電性粒子とを含む層が挙げられる。
異方導電性接着剤層24は、例えば、接着剤24aと導電性粒子24bとを含む。
等方導電性接着剤層26は、例えば、接着剤26aと導電性粒子26bとを含む。
接着剤としては、溶剤揮散型接着剤、熱硬化性接着剤、及び、これらの混合物等が挙げられる。
溶剤揮散型接着剤としては、熱可塑性樹脂と溶剤とを含むものが挙げられる。
熱硬化性接着剤としては、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含むものが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、シアノアクリレート、セルロース等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、紫外線硬化アクリレート樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、耐熱性に優れる点から、エポキシ樹脂が好ましい。
硬化剤としては、熱硬化性樹脂の種類に応じた公知の硬化剤が挙げられる。
熱硬化性接着剤を含む導電性接着剤層は、未硬化の状態であってもよく、Bステージ化された状態であってもよい。
接着剤は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシ変性ニトリルゴム、アクリルゴム等)、粘着付与剤等を含んでいてもよい。
接着剤は、必要に応じて難燃剤を含んでいてもよい。
接着剤は、導電性接着剤層の強度を高め、打ち抜き特性を向上させるために、セルロース樹脂、ミクロフィブリル(ガラス繊維等)を含んでいてもよい。
接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
導電性粒子としては、金属(銀、白金、金、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、ハンダ等)の粒子、黒鉛粉、焼成カーボン粒子、めっきされた焼成カーボン粒子等が挙げられる。導電性粒子としては、導電性接着剤層が適度の硬さを有するようになり、熱プレスの際の導電性接着剤層における圧力損失を低減できる点からは、金属粒子が好ましく、銅粒子がより好ましい。
異方導電性接着剤層24における導電性粒子24bの平均粒子径は、2μm以上26μm以下が好ましく、4μm以上16μm以下がより好ましい。導電性粒子24bの平均粒子径が上記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の厚さを確保することができ、十分な接着強度を得ることができる。導電性粒子24bの平均粒子径が上記範囲の上限値以下であれば、異方導電性接着剤層24の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。
等方導電性接着剤層26における導電性粒子26bの平均粒子径は、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.2μm以上1μm以下がより好ましい。導電性粒子26bの平均粒子径が上記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子26bの接触点数が増えることになり、3次元方向の導通性を安定的に高めることができる。導電性粒子26bの平均粒子径が上記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。
異方導電性接着剤層24における導電性粒子24bの割合は、異方導電性接着剤層24の100体積%のうち、1体積%以上30体積%以下が好ましく、2体積%以上10体積%以下がより好ましい。導電性粒子24bの割合が上記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の導電性が良好になる。導電性粒子24bの割合が上記範囲の上限値以下であれば、異方導電性接着剤層24の接着性、流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)が良好になる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
等方導電性接着剤層26における導電性粒子26bの割合は、等方導電性接着剤層26の100体積%のうち、50体積%以上80体積%以下が好ましく、60体積%以上70体積%以下がより好ましい。導電性粒子26bの割合が上記範囲の下限値以上であれば、等方導電性接着剤層26の導電性が良好になる。導電性粒子26bの割合が上記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の接着性、流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)が良好になる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
異方導電性接着剤層24の表面抵抗は、1×10Ω以上1×1016Ω以下が好ましく、1×10Ω以上1×1014Ω以下がより好ましい。異方導電性接着剤層24の表面抵抗が上記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子24bの含有量が低く抑えられる。異方導電性接着剤層24の表面抵抗が上記範囲の上限値以下であれば、実用上、異方性に問題がない。
等方導電性接着剤層26の表面抵抗は、0.05Ω以上2.0Ω以下が好ましく、0.1Ω以上1.0Ω以下がより好ましい。等方導電性接着剤層26の表面抵抗が上記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子26bの含有量が低く抑えられ、導電性接着剤の粘度が高くなりすぎず、塗布性がさらに良好となる。また、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)をさらに確保できる。等方導電性接着剤層26の表面抵抗が上記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の全面が均一な導電性を有するものとなる。
異方導電性接着剤層24の厚さは、3μm以上25μm以下が好ましく、5μm以上15μm以下がより好ましい。異方導電性接着剤層24の厚さが上記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。異方導電性接着剤層24の厚さが上記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
等方導電性接着剤層26の厚さは、5μm以上20μm以下が好ましく、7μm以上17μm以下がより好ましい。等方導電性接着剤層26の厚さが上記範囲の下限値以上であれば、等方導電性接着剤層26の導電性が良好になり、電磁波シールド層として十分に機能できる。また、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができ、耐折性も確保でき繰り返し折り曲げても等方導電性接着剤層26が断裂することはない。等方導電性接着剤層26の厚さが上記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
<第1の離型フィルム>
第1の離型フィルム30は、絶縁樹脂層10の保護フィルムとなるものであり、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性を良好にする。第1の離型フィルム30は、電磁波シールドフィルム1を絶縁フィルム付きプリント配線板に貼り付けた後には、絶縁樹脂層10から剥離される。
第1の離型フィルム30は、例えば、基材層32と、基材層32の絶縁樹脂層10側の表面に設けられた粘着剤層又は離型剤層34とを有する。尚、本明細書においては、粘着剤層又は離型剤層34を粘着剤層/離型剤層34とも表す。
第1の離型フィルム30は、基材層32の表面に粘着剤層/離型剤層34を直接設けたものであってもよく;絶縁樹脂層10の表面に粘着剤層/離型剤層34を設けた後、粘着剤層/離型剤層34の表面に基材層32を貼り付けることによって、基材層32の表面に粘着剤層/離型剤層34を設けたものであってもよい。
基材層32の樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す。)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム、液晶ポリマー等が挙げられる。樹脂材料としては、電磁波シールドフィルム1を製造する際の耐熱性(寸法安定性)および価格の点から、PETが好ましい。
基材層32は、着色剤またはフィラーを含んでいてもよい。
基材層32の厚さは、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上150μm以下がより好ましく、25μm以上100μm以下がさらに好ましい。基材層32の厚さが上記範囲の下限値以上であれば、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性が良好となる。基材層32の厚さが上記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を絶縁フィルム付きプリント配線板に熱プレスする際に接着剤層22に熱が伝わりやすい。
基材層と絶縁樹脂層との間には、粘着剤層34又は離型剤層34が配される。
第1の離型フィルム30が粘着剤層又は離型剤層34を有することによって、第2の離型フィルム40を接着剤層22から剥離する際や電磁波シールドフィルム1をプリント配線板等に熱プレスによって貼り付ける際に、第1の離型フィルム30が絶縁樹脂層10から剥離することが抑えられ、第1の離型フィルム30が保護フィルムとしての役割を十分に果たすことができる。
粘着剤としては、公知の粘着剤を用いればよい。
また、離型剤層34は、基材層32の表面に、離型剤による離型処理が施して形成されたものである。第1の離型フィルム30が離型剤層34を有することによって、第1の離型フィルム30を絶縁樹脂層10から剥離する際に、第1の離型フィルム30を剥離しやすく、絶縁樹脂層10が破断しにくくなる。
離型剤としては、公知の離型剤を用いればよい。
粘着剤層34の厚さは、0.05μm以上50.0μm以下が好ましく、0.1μm以上25.0μm以下がより好ましい。粘着剤層34の厚さが上記範囲内であれば、第1の離型フィルム30の表面が適度な粘着性を有する。
離型剤層34の厚さは、0.05μm以上2.0μm以下が好ましく、0.1μm以上1.5μm以下がより好ましい。離型剤層34の厚さが前記範囲内であれば、第1の離型フィルムをさらに剥離しやすくなる。
<第2の離型フィルム>
第2の離型フィルム40は、接着剤層22を保護するものであり、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性を良好にする。第2の離型フィルム40は、電磁波シールドフィルム1を絶縁フィルム付きプリント配線板に貼り付ける前に、接着剤層22から剥離される。
第2の離型フィルム40は、例えば、基材層42と、基材層42の導電性接着剤層側の表面に設けられた離型剤層又は粘着剤層44とを有する。
尚、本明細書においては、離型剤層又は粘着剤層44を、離型剤層/粘着剤層44とも表す。
基材層42の樹脂材料としては、第1の離型フィルム30の基材層32の樹脂材料と同様なものが挙げられる。
基材層42は、着色剤またはフィラーを含んでいてもよい。
基材層42の厚さは、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上150μm以下がより好ましく、25μm以上100μm以下がさらに好ましい。
基材層42と接着剤層22との間には、離型剤層44又は粘着剤層44が配される。
離型剤層44は、基材層42の表面に、離型剤による離型処理が施して形成されたものである。第2の離型フィルム40が離型剤層44を有することによって、第2の離型フィルム40を接着剤層22から剥離する際に、第2の離型フィルム40を剥離しやすく、接着剤層22が破断しにくくなる。
離型剤としては、公知の離型剤を用いればよい。
離型剤層44の厚さは、0.05μm以上2.0μm以下が好ましく、0.1μm以上1.5μm以下がより好ましい。離型剤層44の厚さが前記範囲内であれば、第2の離型フィルム40をさらに剥離しやすくなる。
粘着剤層44としては、上記<第1の離型フィルム>の欄で説明した粘着剤層34と同様なものが使用できる。
<電磁波シールドフィルムの構成>
本発明において、電磁波シールドフィルムは、少なくとも、絶縁樹脂層、電解メッキ銅薄膜層、及び接着剤層を有していればよい。電磁波シールドフィルムには、第1の離型フィルムや第2の離型フィルムが、含まれている場合もあれば、そうでない場合もある。
そこで、本明細書においては、絶縁樹脂層、電解メッキ銅薄膜層、及び接着剤層に、第1の離型フィルム及び/又は第2の離型フィルムも含めて電磁波シールドフィルムという場合と、これら離型フィルムは含めずに電磁波シールドフィルムという場合とがある。
<電磁波シールドフィルムの厚さ>
電磁波シールドフィルム1の厚さ(離型フィルムを除く)は、5μm以上45μm以下が好ましく、5μm以上30μm以下がより好ましい。電磁波シールドフィルム1の厚さ(離型フィルムを除く)が上記範囲の下限値以上であれば、第1の離型フィルム30を剥離する際に破断しにくい。電磁波シールドフィルム1の厚さ(離型フィルムを除く)が上記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を薄くできる。
<絶縁樹脂層の表面における光の反射が抑えられた電磁波シールドフィルム>
上述した本発明に係る電磁波シールドフィルムのさらなる好ましい態様として、以下の電磁波シールドフィルムを挙げることができる。
絶縁樹脂層の表面における光の反射を抑えるために、絶縁樹脂層の表面に凹凸形状を形成させてもよい。例えば、絶縁樹脂層中に絶縁粒子を含有させて、絶縁樹脂層の表面に凹凸形状を形成させてもよい。あるいは、電磁波シールドフィルムが、絶縁樹脂層の電解メッキ銅薄膜層とは反対側に隣接する第1の離型フィルムを有する場合、第1の離型フィルムの表面の凹凸が転写されるようにして、絶縁樹脂層の表面に凹凸形状を形成させてもよい。
第1の離型フィルムの表面の凹凸が絶縁樹脂層の表面に転写されるようにする方法としては、例えば、第1の離型フィルム中の基材層に対し、基材層の表面に凹凸形状を形成させたり、第1の離型フィルム中の粘着剤層又は離型剤層に対し、層中に絶縁粒子を含有させたりすることができる。
絶縁樹脂層の表面における光の反射をできるだけ抑えた方がよい理由は、次のとおりである。
フレキシブルプリント配線板の表面に電磁波シールドフィルムを貼り付けた後、第1の離型フィルムは絶縁樹脂層から剥離されるが、その際、第1の離型フィルムを剥離した後の絶縁樹脂層の表面は、第1の離型フィルムの表面形状が転写されて平滑であり、鏡面光沢度が高い。しかし、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の最表面となる絶縁樹脂層の表面の鏡面光沢度が高い場合、以下のような不具合がある。
・絶縁樹脂層の表面に印刷を行った場合、光の反射によって印刷された文字や絵柄の視認性が悪くなる。
・光学センサ(カメラモジュールのCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)等の周辺にある絶縁樹脂層からの光の反射によって光学センサ等が影響を受けるおそれがある。
・絶縁樹脂層の表面に生じた傷等が目立ちやすい。
そこで、これらの不具合を生じさせないために、上述したように、絶縁樹脂層の表面に凹凸形状を形成させ、絶縁樹脂層の表面における光の反射を抑えることが有効である。
上述した絶縁樹脂層中あるいは粘着剤層/離型剤層中に含有させる絶縁粒子としては、絶縁樹脂層や粘着剤層/離型剤層の表面に凹凸を付与することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、無機粒子、ポリマー粒子等を使用することができる。
無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、炭酸カルシウム粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子等が挙げられる。
ポリマー粒子としては、例えば、アクリル粒子、メラミン粒子等が挙げられる。
基材層の表面に凹凸形状を形成させるには、例えば、以下の方法により、基材層の表面を粗面化することが挙げられる。
基材層32の表面に砥粒を吹き付ける方法(ブラスト処理)、基材層32の表面にエンボスロールの凹凸を転写する方法(エンボス処理)、基材層32に粒子を含ませる方法等が挙げられる。
その他、例えば、特開2018−166167号公報に開示されている方法を用いて、絶縁樹脂層の表面に凹凸形状を形成させた電磁波シールドフィルム1を作製することができる。
図10は、本発明に係る電磁波シールドフィルムの第5の実施形態を示す断面図である。
図10で示す第5の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、図1で示す第1の実施形態の電磁波シールドフィルムに対して、粘着剤層34が、粘着剤34a及び絶縁粒子34bで構成されており、粘着剤層34の表面が、絶縁粒子34bにより凹凸が形成されている点が違っている。また、図10で示す第5の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、図1で示す第1の実施形態の電磁波シールドフィルムに対して、基材層32の粘着剤層とは反対側の表面が粗面化処理され凹凸形状を有している点が違っている。
<電磁波シールドフィルムの製造方法>
本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法は、電解メッキ法により形成した電解メッキ銅薄膜層に対して、一方の表面に絶縁樹脂層を設け、他方の表面に接着剤層を設けることに特徴がある。絶縁樹脂層の表面に金属を蒸着して金属薄膜層を形成する場合に比べ、本発明の製造方法により電解メッキ銅薄膜層の表面に絶縁樹脂層を設けた方が、絶縁樹脂層と電解メッキ銅薄膜層との接着性が良好となる。また、本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法は、接着剤層と電解メッキ銅薄膜層との接着性が良好な電磁波シールドフィルムを製造することができる。
さらに、本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法は、銅薄膜層を電解メッキ法により形成しているため、1μm以上の膜厚でも良好な成膜状態の銅薄膜層を得ることができ、FPCに対するシールド性及び伝送特性に優れた電磁波シールドフィルムを製造することができる。そのうえ、本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法は、電磁波シールドフィルムを、簡便かつ低コストな方法で製造することができる。
本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法は、下記の工程(a)〜(c)を有する。
工程(a):必要に応じて、キャリア銅箔の表面に電解メッキ銅薄膜層を設ける工程。
工程(b):キャリア銅箔の表面に電解メッキ法により設けられた電解メッキ銅薄膜層に対して、電解メッキ銅薄膜層の表面に絶縁樹脂層を設ける工程。
工程(c):キャリア銅箔を金属薄膜層から剥離し、電解メッキ銅薄膜層の絶縁樹脂層とは反対側の表面に接着剤層を設ける工程。
<工程(a)>
キャリア銅箔の表面には、必要に応じて離型剤層が配されていてもよい。
離型剤層の離型剤としては、公知の離型剤を用いればよい。
電解メッキ銅薄膜層の作製方法としては、例えば、以下のような方法を用いることができる。
表面に離型剤層104が設けられたキャリア銅箔102を用意する。ここで、離型剤層は、キャリア銅箔を三酸化クロム水溶液に浸漬してキャリア銅箔表面をクロメート処理する等の公知の方法により、キャリア銅箔表面に形成させることができる。
次に、このキャリア銅箔102を硫酸/硫酸銅浴液に浸漬して、電解メッキ法によりキャリア銅箔102の離型剤層104上に電解メッキ銅薄膜層(電解銅箔)20を形成する。
このように、電解メッキ法によると、析出された銅が積層され、銅皮膜が形成されるため、電解メッキ法で作製することにより、表面が粗面化された銅薄膜層を形成することができる。この電解メッキ銅薄膜層が所望な大きさの凹凸形状を有しているということも、電解メッキ銅薄膜層と絶縁樹脂層との接着性をより高めるうえで、効果を発揮している。
電解メッキ法により形成することにより、電解メッキ銅薄膜層のキャリア銅箔側の表面は凹凸形状がほとんどない、もしくは凹凸形状の小さい表面となり、一方、銅が積層されていく電解メッキ銅薄膜層のキャリア銅箔側とは反対側の表面は、凹凸形状の大きい表面となる。
そのため、電解メッキ銅薄膜層の絶縁樹脂層側の表面は、凹凸形状の比較的大きな表面とすることができ、電解メッキ銅薄膜と絶縁樹脂層との接着性を向上させる効果が期待できる。一方、電解メッキ銅薄膜層の接着剤層側の表面は、凹凸形状の小さな表面とすることができ、FPCの伝送特性を向上させる効果が期待できる。
ここで、電解メッキ銅薄膜層の絶縁樹脂層側の表面の算術平均粗さ(Ra)は、例えば、0.5μm以上2.5μm以下であることが好ましい。算術平均粗さ(Ra)が、0.5μm以上2.5μm以下の範囲であれば、より電解メッキ銅薄膜層と接着剤層との接着性を向上できるという効果が期待できる。
また、電解メッキ銅薄膜層の接着剤層側の表面の算術平均粗さ(Ra)は、例えば、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましい。算術平均粗さ(Ra)が、0.1μm以上1.0μm以下の範囲であれば、表皮効果による伝送損失の増大を抑制でき、FPCの伝送特性に優れるという効果が期待できる。
キャリア銅箔に電解銅箔を設けた市販の積層体を入手することによって、工程(a)を省略してもよい。
<工程(b)>
電解メッキ銅薄膜層の表面に絶縁樹脂層を設ける方法としては、電解メッキ銅薄膜層の表面に、硬化性樹脂と硬化剤とを含む組成物を塗布し、半硬化または硬化させる方法;電解メッキ銅薄膜層の表面に、硬化性樹脂と硬化剤と溶剤とを含む塗工液を塗布し、乾燥させた後、半硬化または硬化させる方法;電解メッキ銅薄膜層の表面に、熱可塑性樹脂と溶剤とを含む塗工液を塗布し、乾燥させる方法;電解メッキ銅薄膜層の表面に、熱可塑性樹脂を含む組成物を溶融成形する方法等が挙げられる。電解メッキ銅薄膜層の表面に絶縁樹脂層を設ける方法としては、絶縁樹脂層と電解メッキ銅薄膜層との接着性がさらに良好となる点から、電解メッキ銅薄膜層の表面に、樹脂材料(硬化性樹脂と硬化剤との組み合わせ、または熱可塑性樹脂)と溶剤とを含む塗工液を塗布し、乾燥させた後、必要に応じて半硬化または硬化させる方法が好ましい。
工程(b)においては、絶縁樹脂層の表面に第1の離型フィルムを設けてもよい。
絶縁樹脂層の表面に第1の離型フィルムを設ける方法としては、絶縁樹脂層の表面に、基材層と粘着剤層又は離型剤層とを有する第1の離型フィルムを、絶縁樹脂層と粘着剤層又は離型剤層とが接するように貼り付ける方法;絶縁樹脂層の表面に粘着剤層又は離型剤層を設けた後、粘着剤層又は離型剤層の表面に第1の離型フィルムの基材層を貼り付けることによって、絶縁樹脂層の表面に第1の離型フィルムを設ける方法等が挙げられる。
<工程(c)>
工程(c)においては、キャリア銅箔を電解メッキ銅薄膜層から剥離する。この際、電磁波シールドフィルムが、絶縁樹脂層の電解メッキ銅薄膜層とは反対側に隣接する第1の離型フィルムを有する場合、本発明の製造方法によれば、電解メッキ銅薄膜層とキャリア銅箔との界面における剥離力を、絶縁樹脂層と第1の離型フィルムとの界面における剥離力より小さくする調整を容易に行うことができる。
電解メッキ銅薄膜層とキャリア銅箔との界面における剥離力を、絶縁樹脂層と第1の離型フィルムとの界面における剥離力より小さくすることで、電解メッキ銅薄膜層と絶縁樹脂層と第1の離型フィルムとの積層体に過度な負荷を与えることなく、キャリア銅箔を無理なく剥がすことができる。これにより、電解メッキ銅薄膜層、絶縁樹脂層、及び第1の離型フィルムの各層間の剥離がより生じにくい電磁波シールドフィルムを形成することができる。
電解メッキ銅薄膜層とキャリア銅箔との界面における剥離力としては、例えば、0.1N/cm以上1.5N/cm以下であると好ましい。一方、絶縁樹脂層と第1の離型フィルムとの界面における剥離力としては、例えば、0.2N/cm以上2.5N/cm以下であると好ましい。尚、第1の離型フィルムが、基材層42上に離型剤層/粘着剤層44を有する場合には、上記「接着剤層と第1の離型フィルムとの界面における剥離力」とは、「接着剤層と離型剤層/粘着剤層44との界面における剥離力」と読み替えることとする。
工程(c)においては、第2の離型フィルムの表面に接着剤層を設けた接着剤層付き第2の離型フィルムを、電解メッキ銅薄膜層の絶縁樹脂層とは反対側の表面に、電解メッキ銅薄膜層と接着剤層とが接するように貼り付けてもよく;電解メッキ銅薄膜層の表面に接着剤層を直接設けてもよい。また、電解メッキ銅薄膜層の表面に接着剤層を設けた後、接着剤層の表面に第2の離型フィルムを貼り付けてもよい。
第2の離型フィルムまたは電解メッキ銅薄膜層の表面に接着剤層を設ける方法としては、第2の離型フィルムまたは電解メッキ銅薄膜層の表面に、接着剤と溶剤と必要に応じて導電性粒子とを含む塗工液を塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。
<電磁波シールドフィルムの製造方法の一実施形態>
以下、図1に示す第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1を製造する方法について、図5および図6を参照しながら説明する。
工程(a):
図5に示すように、キャリア銅箔102に離型剤層104を配し、離型剤層104側の表面に、電解メッキ法により電解メッキ銅薄膜層20を設ける。このようにして、電解メッキ銅薄膜層付きキャリア銅箔(電解銅箔付きキャリア銅箔)を得る。
工程(b1):
図5に示すように、電解メッキ銅薄膜層の表面に、樹脂材料および溶剤を含む絶縁樹脂層形成用塗工液を塗布し、乾燥させて絶縁樹脂層10を設ける。
工程(b2):
図5に示すように、絶縁樹脂層10の表面に、基材層32と粘着剤層34とを有する第1の離型フィルム30を、絶縁樹脂層10と粘着剤層34とが接するように貼り付ける。
工程(c1):
図6に示すように、基材層42と離型剤層/粘着剤層44とを有する第2の離型フィルム30の離型剤層44側の表面に、接着剤24aと導電性粒子24bと溶剤とを含む接着剤層形成用塗工液を塗布し、乾燥させて、異方導電性接着剤層24(接着剤層22)を設ける。このようにして、接着剤層付き第2の離型フィルムを得る。
工程(c2):
図6に示すように、工程(b2)で得られた積層体において、キャリア銅箔102を電解メッキ銅薄膜層から剥離する。このようにして、絶縁樹脂層および電解メッキ銅薄膜層付き第1の離型フィルムを得る。
工程(c3):
図6に示すように、絶縁樹脂層および電解メッキ銅薄膜層付き第1の離型フィルムと、接着剤層付き第2の離型フィルムとを、電解メッキ銅薄膜層20と異方導電性接着剤層24とが接するように貼り合わせ、電磁波シールドフィルム1を得る。
尚、電磁波シールドフィルム1が、図3に示す第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1である場合には、図7の工程(a)、(b1)及び(b2)に従い、製造することができる。
この場合、工程(b1)において、図7で示すように、電解メッキ銅薄膜層20の表面には、絶縁樹脂層用の接着剤層10bが配され、さらに絶縁樹脂層用の接着剤層10bの上にはフィルム状の絶縁樹脂層10aが配される。
<作用効果>
以上説明した電磁波シールドフィルム1の製造方法にあっては、電解メッキ銅薄膜層20の表面に絶縁樹脂層10を設けるため、従来のように、硬度が高い絶縁樹脂層の表面に金属を蒸着して金属薄膜層を形成する場合に比べ、絶縁樹脂層10と電解メッキ銅薄膜層20との接着性が良好な電磁波シールドフィルム1を製造できる。
<他の実施形態>
本発明における電磁波シールドフィルムは、絶縁樹脂層と、絶縁樹脂層に隣接する電解メッキ銅薄膜層と、電解メッキ銅薄膜層の絶縁樹脂層とは反対側に隣接する接着剤層とを有するものであればよく、図示例の実施形態に限定はされない。
例えば、絶縁樹脂層は、2層以上であってもよい。
第1の離型フィルムは、粘着剤層の代わりに離型剤層を有していてもよい。
第2の離型フィルムは、離型剤層の代わりに粘着剤層を有していてもよい。
第1の離型フィルムまたは第2の離型フィルムは、粘着剤層または離型剤層を有さず、基材層のみからなるものであってもよい。
絶縁樹脂層が十分な柔軟性や強度を有する場合は、第1の離型フィルムを省略しても構わない。
接着剤層の表面のタック性が少ない場合は、第2の離型フィルムを省略しても構わない。
[電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造方法]
本発明は、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を製造する方法について規定する。
本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造方法は、上記の本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法によって、電磁波シールドフィルムを製造した後、下記の工程(d)及び工程(e)を実施する。
工程(d):プリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に絶縁フィルムを設け、絶縁フィルム付きプリント配線板を得る工程。
工程(e):電磁波シールドフィルムが第2の離型フィルムを有する場合は、電磁波シールドフィルムから第2の離型フィルムを剥離した後、絶縁フィルム付きプリント配線板と電磁波シールドフィルムとを、絶縁フィルムの表面に接着剤層が接触するように重ね、これらをプレスすることによって、絶縁フィルムの表面に接着剤層を接着し、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を得る工程。
本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造方法については、後で詳しく説明する。まず先に本発明の製造方法において、電磁波シールドフィルムを接着する対象である電磁波シールドフィルム付きプリント配線板について説明する。
(電磁波シールドフィルム付きプリント配線板)
図8は、本発明の製造方法で得られる電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の第1の実施形態を示す断面図である。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2は、フレキシブルプリント配線板50と、絶縁フィルム60と、第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1とを備える。
フレキシブルプリント配線板50は、ベースフィルム52の少なくとも片面にプリント回路54が設けられたものである。
絶縁フィルム60は、フレキシブルプリント配線板50のプリント回路54が設けられた側の表面に設けられる。
電磁波シールドフィルム1の異方導電性接着剤層24は、絶縁フィルム60の表面に接着されている。また、異方導電性接着剤層24は、絶縁フィルム60に形成された貫通孔(図示略)を通ってプリント回路54に電気的に接続されている。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2においては、第2の離型フィルム40は、異方導電性接着剤層24から剥離されている。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2において第1の離型フィルム30が不要になった際には、第1の離型フィルム30は、絶縁樹脂層10から剥離される。
貫通孔のある部分を除くプリント回路54(信号回路、グランド回路、グランド層等)の近傍には、電磁波シールドフィルム1の電解メッキ銅薄膜層20が、絶縁フィルム60および異方導電性接着剤層24を介して離間して対向配置される。
貫通孔のある部分を除くプリント回路54と電解メッキ銅薄膜層20との離間距離は、絶縁フィルム60の厚さと異方導電性接着剤層24の厚さの総和とほぼ等しい。離間距離は、30μm以上200μm以下が好ましく、60μm以上200μm以下がより好ましい。離間距離が30μmより小さいと、信号回路のインピーダンスが低くなるため、100Ω等の特性インピーダンスを有するためには、信号回路の線幅を小さくしなければならず、線幅のバラツキが特性インピーダンスのバラツキとなって、インピーダンスのミスマッチによる反射共鳴ノイズが電気信号に乗りやすくなる。離間距離が200μmより大きいと、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2が厚くなり、可とう性が不足する。
図11は、本発明の製造方法で得られる電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の第2の実施形態を示す断面図である。
図11で示す第2の実施形態の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板は、図8で示す第1の実施形態の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板において、電磁波シールドフィルム1が、第5の実施形態の電磁波シールドフィルムに変わっている点が違っている。
また、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2において第1の離型フィルム30が不要になった際には、図12に示すように、第1の離型フィルム30は、絶縁樹脂層10から剥離される。第1の離型フィルム30を剥離した後、絶縁樹脂層10の表面には、第1の離型フィルム30の粘着剤層/離型剤層34の表面の凹凸が転写されて形成された凹凸が露出する。
<フレキシブルプリント配線板>
フレキシブルプリント配線板50は、銅張積層板の銅箔を公知のエッチング法により所望のパターンに加工してプリント回路(電源回路、グランド回路、グランド層等)としたものである。
銅張積層板としては、ベースフィルム52の片面または両面に接着剤層(図示略)を介して銅箔を貼り付けたもの;銅箔の表面にベースフィルム52を形成する樹脂溶液等をキャストしたもの等が挙げられる。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
接着剤層の厚さは、0.5μm以上30μm以下が好ましい。
<<ベースフィルム>>
ベースフィルム52としては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
ベースフィルム52の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10Ω以上が好ましい。ベースフィルム52の表面抵抗は、実用上の点から、1×1019Ω以下が好ましい。
ベースフィルム52の厚さは、5μm以上200μm以下が好ましく、屈曲性の点から、6μm以上25μm以下がより好ましく、10μm以上25μm以下がより好ましい。
<<プリント回路>>
プリント回路54(信号回路、グランド回路、グランド層等)を構成する銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられ、屈曲性の点から、圧延銅箔が好ましい。
銅箔の厚さは、1μm以上50μm以下が好ましく、18μm以上35μm以下がより好ましい。
プリント回路54の長さ方向の端部(端子)は、ハンダ接続、コネクター接続、部品搭載等のため、絶縁フィルム60や電磁波シールドフィルム1に覆われていない。
<絶縁フィルム>
絶縁フィルム60は、絶縁フィルム本体(図示略)の片面に、接着剤の塗布、接着剤シートの貼り付け等によって接着剤層(図示略)を形成したものである。
絶縁フィルム本体の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10Ω以上が好ましい。絶縁フィルム本体の表面抵抗は、実用上の点から、1×1019Ω以下が好ましい。
絶縁フィルム本体としては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
絶縁フィルム本体の厚さは、1μm以上100μm以下が好ましく、可とう性の点から、3μm以上25μm以下がより好ましい。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン等が挙げられる。エポキシ樹脂は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシ変性ニトリルゴム等)を含んでいてもよい。
接着剤層の厚さは、1μm以上100μm以下が好ましく、1.5μm以上60μm以下がより好ましい。
貫通孔の開口部の形状は、特に限定されない。貫通孔62の開口部の形状としては、例えば、円形、楕円形、四角形等が挙げられる。
(電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造方法)
本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造方法は、下記の工程(d)〜(g)を有する。
工程(d):プリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に絶縁フィルムを設け、絶縁フィルム付きプリント配線板を得る工程。
工程(e):電磁波シールドフィルムが第2の離型フィルムを有する場合は、電磁波シールドフィルムから第2の離型フィルムを剥離した後、絶縁フィルム付きプリント配線板と電磁波シールドフィルムとを、絶縁フィルムの表面に接着剤層が接触するように重ね、これらをプレスすることによって、絶縁フィルムの表面に接着剤層を圧着し、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を得る工程。
工程(f):電磁波シールドフィルムが第1の離型フィルムを有する場合は、工程(e)の後、第1の離型フィルムが不要になった際に電磁波シールドフィルムから第1の離型フィルムを剥離する工程。
工程(g):接着剤層に含まれる接着剤が熱硬化性接着剤である場合は、必要に応じて、工程(e)と工程(f)との間、または工程(f)の後に接着剤層を本硬化させる工程。
以下、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を製造する方法について、図9を参照しながら説明する。
<工程(d)>
図9に示すように、フレキシブルプリント配線板50に、プリント回路54に対応する位置に貫通孔62が形成された絶縁フィルム60を重ね、フレキシブルプリント配線板50の表面に絶縁フィルム60の接着剤層(図示略)を接着し、接着剤層を硬化させることによって、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3を得る。フレキシブルプリント配線板50の表面に絶縁フィルム60の接着剤層を仮接着し、工程(g)にて接着剤層を本硬化させてもよい。
接着剤層の接着および硬化は、例えば、プレス機(図示略)等による熱プレスによって行う。
<工程(e)>
図9に示すように、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3に、第2の離型フィルム40を剥離した電磁波シールドフィルム1を重ね、プレスする(好ましくは熱プレスする)ことによって、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が圧着され、かつ異方導電性接着剤層24が、貫通孔62を通ってプリント回路54に電気的に接続された電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2を得る。
異方導電性接着剤層24の接着は、例えば、プレス機(図示略)等による熱プレスによって行う。
熱プレスの時間は、20秒以上60分以下が好ましく、30秒以上30分以下がより好ましい。
熱プレスの温度(プレス機の熱盤の温度)は、140℃以上190℃以下が好ましく、150℃以上175℃以下がより好ましい。
熱プレスの圧力は、0.5MPa以上20MPa以下が好ましく、1MPa以上16MPa以下がより好ましい。
<工程(f)>
図9に示すように、第1の離型フィルム30が不要になった際に、絶縁樹脂層10から第1の離型フィルム30を剥離する。
<作用効果>
以上説明した電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2の製造方法にあっては、電磁波シールドフィルム1を用いているため、電磁波シールドフィルム1における絶縁樹脂層10と電解メッキ銅薄膜層20との接着性にも電解メッキ銅薄膜層20と接着剤層22との接着性にも優れた電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2を製造できる。また、電解メッキ銅薄膜層の接着剤層側の表面を、凹凸形状の小さな表面とすることができることから、FPCの伝送特性を向上させることができる。
<他の実施形態>
尚、本発明における電磁波シールドフィルム付きプリント配線板は、プリント配線板と、プリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に隣接する絶縁フィルムと、接着剤層が絶縁フィルムに隣接した電磁波シールドフィルムを有するものであればよく、図示例の実施形態に限定はされない。
例えば、フレキシブルプリント配線板は、裏面側にグランド層を有するものであってもよい。また、フレキシブルプリント配線板は、両面にプリント回路を有し、両面に絶縁フィルムおよび電磁波シールドフィルムが貼り付けられたものであってもよい。
フレキシブルプリント配線板の代わりに、柔軟性のないリジッドプリント基板を用いてもよい。
第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1の代わりに、第2〜第5の実施形態の電磁波シールドフィルム1等を用いてもよい。
以下、実施例を示す。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
(接着性)
絶縁樹脂層と電解メッキ銅薄膜層との接着性は、以下のように評価した。
JIS K 5600−5−6:1999(ISO 2409:1992)に準拠して付着性の試験(クロスカット法)を実施した。切込みは電解メッキ銅薄膜層側から行った。5×5=25個のマスのうちの残存数から接着性を評価した。
(実施例1)
絶縁樹脂層形成用塗工液として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製、jER(登録商標)828)の100質量部、硬化剤(昭和電工社製、ショウアミンX(登録商標))の20質量部、2−エチル−4−メチルイミダゾールの2質量部、カーボンブラックの2質量部を溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部に溶解した塗料を用意した。
接着剤層形成用塗工液として、熱硬化性接着剤(エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−4816)の100質量部と硬化剤(味の素ファインテクノ社製、PN−23)の20質量部とを混合してなる潜在硬化性エポキシ樹脂)、および導電性粒子(平均粒子径B:5.02μmの銅粒子)の6質量部を、溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部に溶解または分散させたものを用意した。
工程(b1):
キャリア銅箔の表面に電解メッキ銅薄膜層を設けた積層体(キャリア銅箔:18μm、電解銅箔:3μm、絶縁層側の表面の算術平均粗さ(Ra)1.2μm)の電解メッキ銅薄膜層の表面に、絶縁樹脂層形成用塗工液を#16のバーコーターを用いて塗布した。塗膜を100℃で1分間乾燥して、電解メッキ銅薄膜層の表面に絶縁樹脂層(厚さ:10μm、表面抵抗:1.0×1012Ω以上)を設けた。
工程(b2):
絶縁樹脂層の表面に、第1の離型フィルム(パナック社製、パナプロテクト(登録商標)GN、粘着フィルム、PET厚さ:50μm)を、絶縁樹脂層と粘着剤層とが接するように貼り付け、積層体を得た。
積層体から切り取ったサンプルについて、キャリア銅箔を電解メッキ銅薄膜層から剥離し、クロスカット法で絶縁樹脂層と電解メッキ銅薄膜層との接着性を評価したところ、残存数は25/25であった。
尚、上記工程(b2)で得られた積層体における絶縁樹脂層と第1の離型フィルムの離型剤層との界面における剥離力は、0.7N/cmであった。
一方、上記工程(b1)で使用したキャリア銅箔の表面に電解メッキ銅薄膜層を設けた積層体における電解メッキ銅薄膜層とキャリア銅箔との界面における剥離力は、0.5N/cmであった。
工程(c1):
第2の離型フィルム(パナック社製、パナピール(登録商標)SM−1、離型フィルム、PET厚さ:50μm)の離型剤層側の表面に、接着剤層形成用塗工液をコンマコーターを用いて25μmの厚さで塗布した。塗膜を100℃で1分間乾燥して、異方導電性接着剤層(厚さ:10μm、表面抵抗:1.0×1012Ω以上)を設け、接着剤層付き第2の離型フィルムを得た。
工程(c2):
工程(b2)で得られた積層体において、キャリア銅箔を電解メッキ銅薄膜層から剥離し、絶縁樹脂層および金属薄膜層付き第1の離型フィルムを得た。
工程(c3):
絶縁樹脂層および電解メッキ銅薄膜層付き第1の離型フィルムと、接着剤層付き第2の離型フィルムとを、電解メッキ銅薄膜層と異方導電性接着剤層とが接するように貼り合わせ、電磁波シールドフィルムを得た。
工程(d):
厚さ25μmのポリイミドフィルム(絶縁フィルム本体)の表面に絶縁性接着剤組成物を、乾燥膜厚が25μmになるように塗布し、接着剤層を形成し、絶縁フィルム(厚さ:50μm)を得た。プリント回路のグランドに対応する位置に貫通孔(孔径:800μm)を形成した。
厚さ12μmのポリイミドフィルム(ベースフィルム)の表面にプリント回路が形成されたフレキシブルプリント配線板を用意した。
フレキシブルプリント配線板に絶縁フィルムを熱プレスにより貼り付けて、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板を得た。
工程(e):
絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板に、第2の離型フィルムを剥離した電磁波シールドフィルムを重ね、ホットプレス装置を用い、熱盤温度:180℃、荷重:3MPaで1分間熱プレスし、絶縁フィルムの表面に異方導電性接着剤層を接着した。
工程(f):
絶縁樹脂層から第1の離型フィルムを剥離して、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を得た。
本発明の製造方法で得られた電磁波シールドフィルムは、スマートフォン、携帯電話、光モジュール、デジタルカメラ、ゲーム機、ノートパソコン、医療器具等の電子機器用のフレキシブルプリント配線板における、電磁波シールド用部材として有用である。
1 電磁波シールドフィルム
2 電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板
3 絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板
10 絶縁樹脂層
10a フィルム状の絶縁樹脂層
10b 絶縁樹脂層用の接着剤層
20 電解メッキ銅薄膜層
22 接着剤層
24 異方導電性接着剤層
24a 接着剤
24b 導電性粒子
26 等方導電性接着剤層
26a 接着剤
26b 導電性粒子
30 第1の離型フィルム
32 基材層
34 粘着剤層/離型剤層
40 第2の離型フィルム
42 基材層
44 離型剤層/粘着剤層
50 フレキシブルプリント配線板
52 ベースフィルム
54 プリント回路
60 絶縁フィルム
62 貫通孔
102 キャリア銅箔
104 離型剤層

Claims (11)

  1. 絶縁樹脂層と、
    前記絶縁樹脂層に隣接する電解メッキ銅薄膜層と、
    前記電解メッキ銅薄膜層の前記絶縁樹脂層とは反対側に隣接する接着剤層と
    を有する電磁波シールドフィルムを製造する方法であり、
    下記の工程(b)および工程(c)を有する、電磁波シールドフィルムの製造方法。
    工程(b):キャリア銅箔の表面に電解メッキ法により設けられた電解メッキ銅薄膜層に対して、前記電解メッキ銅薄膜層の表面に前記絶縁樹脂層を設ける工程。
    工程(c):前記キャリア銅箔を前記電解メッキ銅薄膜層から剥離し、前記電解メッキ銅薄膜層の前記絶縁樹脂層とは反対側の表面に前記接着剤層を設ける工程。
  2. 前記電解メッキ銅薄膜層の厚さが、1μm以上3μm以下である、請求項1に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  3. 前記電解メッキ銅薄膜層の前記絶縁樹脂層側の表面の算術平均粗さ(Ra)が、0.5μm以上2.5μm以下である、請求項1又は2に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  4. 前記電解メッキ銅薄膜層の前記接着剤層側の表面の算術平均粗さ(Ra)が、0.1μm以上1.0μm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  5. 前記絶縁樹脂層が、芳香族ポリエーテルケトンを含有するフィルム状の絶縁樹脂層である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  6. 前記絶縁樹脂層が、層中に絶縁粒子を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  7. 前記電磁波シールドフィルムが、前記絶縁樹脂層の前記電解メッキ銅薄膜層とは反対側に隣接する第1の離型フィルムを有する場合、
    前記第1の離型フィルムは、基材層と、前記基材層の前記絶縁樹脂層側の表面に設けられた粘着剤層又は離型剤層とを有し、
    前記基材層の表面は、凹凸形状を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  8. 前記電磁波シールドフィルムが、前記絶縁樹脂層の前記電解メッキ銅薄膜層とは反対側に隣接する第1の離型フィルムを有する場合、
    前記第1の離型フィルムは、基材層と、前記基材層の前記絶縁樹脂層側の表面に設けられた粘着剤層又は離型剤層とを有し、
    前記粘着剤層又は離型剤層は、層中に絶縁粒子を含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  9. 前記電磁波シールドフィルムが、前記絶縁樹脂層の前記電解メッキ銅薄膜層とは反対側に隣接する第1の離型フィルムを有する場合、
    前記電解メッキ銅薄膜層と前記キャリア銅箔との界面における剥離力が、前記絶縁樹脂層と前記第1の離型フィルムとの界面における剥離力より小さい、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  10. 前記電解メッキ銅薄膜層と前記キャリア銅箔との界面における剥離力が、0.1N/cm以上1.5N/cm以下であり、前記絶縁樹脂層と前記第1の離型フィルムとの界面における剥離力が、0.2N/cm以上2.5N/cm以下である、請求項9に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法によって、電磁波シールドフィルムを製造した後、
    下記の工程(d)及び工程(e)を実施する、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造方法。
    工程(d):プリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に絶縁フィルムを設け、絶縁フィルム付きプリント配線板を得る工程。
    工程(e):前記電磁波シールドフィルムが第2の離型フィルムを有する場合は、前記電磁波シールドフィルムから前記第2の離型フィルムを剥離した後、前記絶縁フィルム付きプリント配線板と前記電磁波シールドフィルムとを、前記絶縁フィルムの表面に前記接着剤層が接触するように重ね、これらをプレスすることによって、前記絶縁フィルムの表面に前記接着剤層を接着し、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を得る工程。

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