JP2021042514A - 植物性繊維を含む繊維製品の転写捺染方法 - Google Patents

植物性繊維を含む繊維製品の転写捺染方法 Download PDF

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Abstract

【課題】植物性繊維を含む繊維製品の転写捺染方法において、転写捺染した繊維製品の洗濯堅牢性を向上させるため、後工程等、別途専用工程を設ける必要がない簡便な方法を提供する。【解決手段】転写捺染方法は、(1)植物性繊維を含む繊維製品(A)に、膨潤剤および撥水剤を付与する前処理工程、(2)前処理工程で得られた処理済繊維製品(B)と、分散染料を含むインクによって着色された転写部材とを重ね合わせ、転写部材の着色部分を処理済繊維製品(B)に転写させ、転写繊維製品(C)を得る転写工程、および(3)転写繊維製品(C)から膨潤剤を洗浄液によって除去する洗浄工程、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、植物性繊維を含む繊維製品の転写捺染方法に関する。さらに詳しくは、植物性繊維を含む繊維製品を、分散染料を含む印刷インキで印刷した転写シートを用いて、堅牢、均一、濃色かつ鮮明に捺染する方法に関する。
ポリエステル繊維およびセルロース繊維を含有する繊維製品を着色する方法として、分散染料を含むインクで印刷した転写シートに重ね合わせ、加熱加圧して転写捺染する方法が知られている。
その際に、繊維製品をセルロース繊維に対して膨潤作用を有する多価アルコール等の膨潤剤で前処理すると、ポリエステル繊維およびセルロース繊維両方を均一に、同色に染色し、かつ洗濯堅牢度の良好な染色物を得ることが出来ることが提案されている(特許文献1)。
膨潤剤での前処理を行う場合の洗濯堅牢性を改良するために、前処理において膨潤剤と架橋剤を併用することが提案されている(特許文献2)。この提案では、染料がセルロース中に存在する膨潤剤に吸着されて凝縮し、染料がセルロース内部にも拡散すると共に架橋剤の存在によって、セルロース中で、膨潤剤、染料が一体となって固定され、転写発色性に優れ、鮮明性、堅牢性に優れた繊維構造物が得られるとされている。
また転写捺染した繊維製品(布帛)中のセルロース繊維からの染料の脱離を防止するために、転写捺染された布帛に合成樹脂液を塗布する後加工を行い、染料を布帛内部に封入固着することが提案されている(特許文献3)。
また、セルロースブレンド繊維材料に印刷する方法として、ポリエチレングリコールなどの有機溶媒を含む液体でセルロースブレンド繊維材料を前処理し、下記式で示されるアントラキノン系分散染料又はバット染料を含有する水性インクを用いてインクジェット印刷をおこなうことが提案されている(特許文献4)。
Figure 2021042514
特公昭50−29552号公報 特公昭54−24510号公報 特開平7−216763号公報 国際公開第2018/137859号
特許文献1の方法では、転写した段階においてセルロース繊維に染料が化学的に結合していないため、簡単な水洗であっても染料がセルロース繊維から脱離し易く、繊維の退色を抑制するための改良の余地がある。そのため、特許文献1の方法では、転写した後に、架橋剤と触媒とよりなる処理剤で架橋処理を施すという後工程を必要とする。
特許文献2の方法では、架橋剤の架橋反応により繊維の柔軟性が失われる恐れがある。また残留する架橋剤によってセルロースが脆化したり、さらに残留する膨潤剤によってセルロース内部に昇華・凝集した染料が会合して染着濃度が経時変化する弊害が予想される。
特許文献3の方法のように、後加工で樹脂を付与する方法は、作業工程が長くなるという欠点がある。
特許文献4の方法で用いられているインクのように、使用する分散染料の分子量を大きくすると、染料が脱落しにくくなりうるが、昇華転写に用いようとすると、昇華に必要なエネルギーが大きいため、転写時に高い温度、高い圧力、長い時間が必要になるというという欠点がある。また、昇華に必要なエネルギーが大きい場合、セルロース繊維が焦げてしまうという懸念がある。
また、バット染料のように、薬剤を使用して染色する方法では還元洗浄、酸化処理などを行う必要がある。
本発明の目的は、植物性繊維を含む繊維製品の転写捺染方法において、転写捺染した繊維製品の洗濯堅牢性を向上させるため、後工程等、別途専用工程を設ける必要がない簡便な方法を提供することにある。
本発明者は、植物性繊維を含む繊維製品の捺染方法において、繊維製品の洗濯堅牢性を向上させる方法として撥水処理に着目した。従来の撥水処理は、インクジェット印刷の前工程として行えば、印刷の際に(染料)インクが弾かれて品質が低下するため、一般的には印刷工程後に行っていた。それ故、撥水工程を別途専用工程として行う必要があり作業性が低下する問題があった。本発明者は、作業性の向上のため、印刷工程の前に行っている膨潤処理工程の際、膨潤剤に加えて撥水剤を用いて撥水処理工程を兼用させるようにし、さらに転写工程を組み合わせて本発明を完成した。
本発明は、以下の発明を包含する。
1.(1)植物性繊維を含む繊維製品(A)に、膨潤剤および撥水剤を付与する前処理工程、
(2)前記前処理工程で得られた処理済繊維製品(B)と、分散染料を含むインクによって着色された転写部材とを重ね合わせ、当該転写部材の着色部分を前記処理済繊維製品(B)に転写させ、転写繊維製品(C)を得る転写工程、および
(3)前記転写繊維製品(C)から前記膨潤剤を洗浄液によって除去する洗浄工程、
を含む転写捺染方法である。
上記構成によれば、植物性繊維を含む繊維製品の転写捺染方法において、転写捺染した繊維製品の洗濯堅牢性を向上させるため、後工程等、別途専用工程を設ける必要がない簡便な方法が提供される。
2.前記洗浄液は水系溶剤である前項1記載の転写捺染方法。
上記構成の転写捺染方法は、安全性、排水処理の観点で好ましい。
3.前記洗浄工程において、前記植物性繊維の表面に付着した前記撥水剤により、前記転写工程によって前記植物性繊維の内部に保持された前記分散染料と前記水系溶剤との接触が抑制される前項2記載の転写捺染方法。
上記構成の転写捺染方法は、撥水剤を用いることにより繊維製品(A)の洗濯堅牢性が向上する。
4.前記分散染料の分子量は400以下である前項1から3のいずれか一項に記載の転写捺染方法。
上記構成の転写捺染方法は、低エネルギーで繊維を変色、焦がすことなく染色することができる。
5.前記繊維製品(A)は、前記植物性繊維としての綿とポリエステル繊維とから成る混紡品である前項1から4のいずれか一項に記載の転写捺染方法。
上記構成の転写捺染方法は、植物性繊維とポリエステル繊維の混紡品に有効である。
6.前記前処理工程は、前記膨潤剤と前記撥水剤とを含む水系溶液に前記繊維製品(A)を浸漬させた状態で行う前項1から5のいずれか一項に記載の転写捺染方法。
上記構成の転写捺染方法は、浸漬することにより繊維製品(A)全体に膨潤剤と撥水剤とを付与することができる。
7.前記撥水剤はフッ素系撥水剤である前項6に記載の転写捺染方法。
上記構成の転写捺染方法は、フッ素系撥水剤を用いると、洗濯堅牢性および高反射濃度が得られる。
8.前記水系溶液中の前記フッ素系撥水剤の含有量は3重量%以上6重量%以下である前項7に記載の転写捺染方法。
この範囲であると、植物性繊維の内部に保持された分散染料と水系溶液との接触とが有効に抑制される。
9.前記インクは、インクジェット用インクであり、前記転写部材は、該インクジェット用インクを用いたインクジェット印刷装置によって着色されたものである前項1から8のいずれか一項に記載の転写捺染方法。
本発明では、インクジェット印刷の前に行っている膨潤処理の際に、膨潤剤に加えて撥水剤を用いて撥水処理を兼用しているので、通常インクジェット印刷後に別途行う撥水処理を省略することが出来る。
10.前記転写工程は、乾燥した前記処理済繊維製品(B)に転写させる工程である前項1から9のいずれか一項に記載の転写捺染方法。
転写は、前処理後に乾燥した処理済繊維製品(B)に行うこともできる。
本発明によれば、植物性繊維を含む繊維製品の転写捺染方法において、転写捺染した繊維製品の洗濯堅牢性を向上させるため、後工程等、別途専用工程を設ける必要がない簡便な方法が提供される。
本発明の工程の一例を示す図である。 本発明の各工程の一例をより詳しく示す図である。 連続で本発明を行う場合の工程の一例を示す概念図である。 実施例7、8−1〜8−4の反射濃度を示したグラフである。
本発明の一実施形態に係る転写捺染方法は、(1)前処理工程、(2)転写工程、および(3)洗浄工程、を含む。以下、それぞれの工程ついて順に説明する。
<前処理工程>
前処理工程は、植物性繊維を含む繊維製品(A)に、膨潤剤および撥水剤を付与する工程である。
(植物性繊維)
植物性繊維は、植物細胞で構成されている天然繊維及びそれを原料とする繊維である。植物性繊維としては、例えば、グルコースがβ−1,4−グルコシド結合した多糖類で(C10)nで示される天然高分子が挙げられる。植物性繊維の具体例として、綿、麻、レーヨン、ポリノジックが挙げられる。
(繊維製品(A))
繊維製品(A)としては、例えば、織物、編物、紙、不織布が挙げられる。繊維製品には、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ホリアクリロニトリル繊維、ポリウレタン繊維、アセテート繊維等を含んでいても良い。
ポリエステル繊維は、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合、或いはオキシカルボン酸の重縮合により得られる高分子化合物の繊維である。ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸およびポリエチレンナフタレンジカルボキシレート等が挙げられる。
繊維製品(A)中の植物性繊維の含有量は、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは30〜50重量%である。繊維製品(A)は、植物性繊維およびポリエステル繊維を含有することが好ましい。繊維製品(A)中のポリエステル繊維の含有量は、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%である。
繊維製品(A)は、植物性繊維である綿とポリエステル繊維とから成る混紡品であることが好ましい。本明細書の実施例では、綿とポリエステル繊維との重量比が35/65の繊維製品(A)を用いているが、重量比が55/45の繊維製品(A)でも同様の効果が得られる。
(膨潤剤)
膨潤剤は、植物性繊維に対する膨潤作用を有する化合物である。膨潤剤として、例えば、多価アルコールおよびその誘導体が挙げられる。
多価アルコール(ポリオール)としては、エタンジオール(エチレングリコール)、プロパンジオール(プロピレングリコール)、ブチレングリコール、ブテンジオール、ペンタメチレングリコール(ペンタンジオール)、テトラメチレングリコール、トリメチレングリコール、エチルヒドロキシメチルプロパンジオール(ヘキサグリセロール)、ヘキサントリオール、ヘキシレングリコール(メチルペンタンジオール)、エチルヘキサンジオール、オクチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、クロロプロパンジオール、ジオキサオクタンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ニトリロトリプロパノール等が挙げられる。
また、多価アルコールとしては、ポリエーテルポリオール(ポリオキシプロピレンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオキシテトラメチレングリコール)、ポリエステルポリオール、ハイドロカーボンポリオール、これらの混合物等が挙げられる。
中でも下記式(1)で表されるアルキレンオキシグリコールおよびこれらの混合物が好ましい。
Figure 2021042514
式(1)中、Rは、炭素原子数2以上10以下の飽和炭化水素基を表す。Rとして、エタンジイル基、プロパンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基が挙げられる。nは、アルキレンオキシグリコールの平均分子量が所定の値となる範囲である。
膨潤剤が高分子の場合、その重量平均分子量は、好ましくは200以上800以下である。分子量の上限は、好ましくは800、より好ましくは700である。分子量の下限は、好ましくは200、より好ましくは300、特に好ましくは500である。
膨潤剤は、100重量部の植物性繊維に対し、好ましくは2〜8重量部付与する。付与量の上限は、100重量部の植物性繊維に対し好ましくは8重量部、より好ましくは6重量部である。付与量の下限は、100重量部の植物性繊維に対し好ましくは2重量部、より好ましくは3重量部である。
本発明では、前処理剤における膨潤剤の含有量を過剰な量とし、膨潤剤の作用により、植物性繊維を膨潤させ、転写工程において、植物性繊維中に多量の分散染料を拡散させることができる。膨潤剤は、転写工程の後に洗浄工程を設けて余分な膨潤剤および繊維表面に付着した余分な染料を洗浄することでセルロース繊維の染着濃度の確保を図ることができる。
(撥水剤)
本発明に用いる撥水剤としては、フッソ系撥水剤またはシリコーン系撥水剤が好ましい。撥水剤は、フッ素系撥水剤であることが特に好ましい。
フッ素系撥水剤としては、例えば、ポリフルオロアルキル基含有ポリ(メタ)アクリレートおよびポリフルオロアルキル基含有ポリウレタンが挙げられる。
フッソ系撥水剤の状態は、含フッ素ポリマーを水系媒体中に含むエマルションであることが好ましい。本明細書においてポリマーの語は、重合による繰り返し単位を有する化合物であればよく、オリゴマーも含む意味で使用される。
上記含フッ素ポリマー中に含まれるポリフルオロアルキル基(以下、Rf基とも表記)とは、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基をいう。なお、本明細書では、Rf基のアルキル基は、炭素−炭素結合間にエーテル結合を有するオキサアルキル基も含む意味で用いられる。またRf基は、フッ素原子以外の他のハロゲン原子を含んでいてもよい。他のハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。
Rf基の炭素原子数は4〜20が好ましく、6〜16がより好ましい。また、Rf基は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよく、直鎖構造が好ましい。分岐構造である場合には、分岐部分がRf基の末端付近に存在し、かつ炭素原子数が1〜4程度の短鎖であるのが好ましい。上記Rf基がエーテル結合を含むオキサアルキル基の場合には、エーテル性酸素原子を含む鎖が上記と炭素原子のみの鎖長および構造に相当するものとする。
Rf基含有ポリ(メタ)アクリレート中の上記Rf(メタ)アクリレート単位の含有割合は、5〜100質量%程度が好ましく、20〜100質量%がより好ましく、とりわけ40〜100質量%であるのが、優れた撥水性能を発現するため好ましい。
Rf基含有ポリ(メタ)アクリレートは、Rf(メタ)アクリレートの単独重合体であってもよく、2種以上のRf(メタ)アクリレートの共重合体であってもよい。
またRf基含有ポリ(メタ)アクリレートは、他の重合性化合物としての非フッ素系重合性化合物から導かれる単位を含む共重合体が好ましい。この非フッ素系重合性化合物単位を、1種のみまたは2種以上含んでいてもよい。ここで、非フッ素系重合性化合物とは、フッ素原子を含まない重合性化合物をいう。
非フッ素系重合性化合物は、重合性基以外の反応性基を有しても有していなくてもよい。
上記反応性基を有する非フッ素系重合性化合物としては、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)グリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド;
γ−トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アジリジニル(メタ)アクリレート、ブロック化イソシアネート基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
より具体的には、フッソ系撥水剤としては、AG−E060(明成化学工業株式会社製、有効成分濃度20質量%、フルオロアクリレートコポリマーの水性エマルジョン)、AG−E500D(明成化学工業株式会社製、水性エマルション)、AG−E550D(明成化学工業株式会社製、水性エマルション)、AG−E300D(明成化学工業株式会社製、水性エマルション)、AF−901K(大原パラヂウム化学株式会社製、水性エマルション)等が挙げられる。
シリコーン系撥水剤としては、例えば、ハイドロジェンシリコーン、アミノ変性シリコーン、ジメチルシリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーンが挙げられる。得られる繊維製品の撥水性が良好となる観点で、ハイドロジェンシリコーン、アミノ変性シリコーンが好ましい。より具体的には、シリコーン系の撥水剤として、KM−9772(信越化学工業株式会社製)が挙げられる。
撥水剤は、100重量部の植物性繊維に対し、好ましくは0.5〜10重量部付与する。撥水剤の付与量の上限は、100重量部の植物性繊維に対し好ましくは10重量部、より好ましくは6重量部である。撥水剤の付与量の下限は、100重量部の植物性繊維に対し好ましくは0.5重量部、より好ましくは2重量部である。
本発明は、撥水剤により、洗濯堅牢性も向上する。本発明では、撥水剤が繊維の表面に付着することにより、洗濯時に使用される水により繊維が膨潤し繊維内部の分散染料が脱落することを抑制するものと考えられる。また、前処理剤に撥水剤を含有させることで、洗浄工程においてセルロース繊維内に分散した染料が脱落して染着濃度が低下することを抑制する。
(付与方法)
繊維製品への膨潤剤および撥水剤の付与は、例えば、膨潤剤および撥水剤を含有する水系溶液に繊維製品(A)を浸漬することにより行うことができる。
繊維製品を浸漬する水系溶液中の膨潤剤の濃度は、好ましくは2〜10重量%、より好ましくは3〜8重量%である。また、繊維製品を浸漬する水系溶液中の撥水剤の濃度は、好ましくは0.5〜15重量%、より好ましくは2〜8重量%、さらに好ましくは3〜6重量%である。
また、繊維製品(A)への膨潤剤および撥水剤の付与は、例えば、前述の膨潤剤および撥水剤を含有する水系溶液のスプレー、塗布等によって付与することもできる。
(乾燥)
前処理工程において、膨潤剤および撥水剤を付与した繊維製品(A)を乾燥して水分等を除去することが好ましい。乾燥は、例えば、100〜120℃、30秒間〜2分間程度で行うことができる。
<転写工程>
転写工程は、前記前処理工程で得られた処理済繊維製品(B)と、分散染料を含むインクによって着色された転写部材とを重ね合わせ、当該転写部材の着色部分を前記処理済繊維製品(B)に転写させ、転写繊維製品(C)を得る工程である。転写工程は、例えば、乾燥した処理済繊維製品(B)に転写することができる。
(分散染料)
分散染料は、水に不溶であるが、分散剤の存在で水に微粒子分散させて、ポリエステル繊維等の疎水性繊維を染色する。分散染料として、例えば、アゾ染料およびアントラキノン染料が挙げられる。
アゾ染料は、−N=N−基を有することを特徴とする。アゾ染料として、例えば、モノアゾ染料、ポリアゾ染料ピラゾロアゾ染料、スチルベンアゾ染料、チアゾールアゾ染料が挙げられる。アントラキノン染料として、例えば、アントラキノン誘導体、アントロン誘導体が挙げられる。
分散染料としてより具体的には、例えば、
C.I.Disperse Yellow 42、49、76、83、88、93、99、114、119、126、160、163、165、180、183、186、198、199、200、224、237;
C.I.Disperse Orange 29、30、31、38、42、44、45、53、54、55、71、73、80、86、96、118、119;
C.I.Disperse Red 73、88、91、92、111、127、131、143、145、146、152、153、154、179、191、192、206、221、258、283、302、323、328、359;
C.I.Disperse Violet 26、35、48、56、77,97;
C.I.Disperse Blue 27、54、60、73、77、79、79:1、87、143、165、165:1、165:2、181、185、197、225、257、266、267、281、341、353、354、358、364、365、368が挙げられる。これらは単独または2種以上併用して用いても良い。
また、熱転写適性のある分散染料としては、例えば、
C.I.Disperse Yellow 51、54、60;
C.I.Disperse Orange 5、7、20、23、25;
C.I.Disperse Red 4、50、53、59、60、239、240;
C.I.Disperse Brown 26、27;
C.I.Disperse Violet 8、11、17、26、27、28、36;
C.I.Disperse Blue 3、5、26、35、55、56、72、81、91、108、359、360;
C.I.Solvent Yellow 114、
C.I.Solvent Orange 67、
C.I.Solvent Red 146、
C.I.Solvent Blue 36、63、83、105、111が挙げられる。これらは単独または2種以上併用して用いても良い。
分散染料は、その分子量によっては特に限定されないが、分散染料の分子量が400以下であると好ましく、370以下であるとより好ましく、350以下であると特に好ましい。また、分散染料の分子量が100以上であると好ましく、200以上であるとより好ましく、250以上であると特に好ましい。分散染料の分子量が上記の上限より小さい場合、低エネルギー量で染色を行うことができるので好ましい。また、分散染料の分子量が上記の下限より大きい場合、耐候性等の点で好ましい。
分子量が400以下である分散染料としては、例えば、
Disperse Yellow3、7、8、23、39、51、54、60、71、86;
Disperse Blue 19、26、35、55、56、58、72、81、91、95、108、359、360;
Disperse Red 11、50、53、55、59、60、65、70、75、146、190;
Disperse Violet 8、17、27、28、36
Disperse Orange5、20、25、33、56、76が挙げられる。
前記各分散染料においては、ブルー系染料を主体とし、オレンジ系染料およびレッド系染料を配合した混合染料もブラック系染料として用いることができる。また該ブラック系染料には、高品位な色味のない色調へと微調整する目的で、さらに他の分散染料を含んでも良い。
(インク)
インクは、前述の分散染料を含む。インク中の分散染料の割合は、好ましくは1〜10重量%である。インクは、インクジェット用インクであることが好ましい。
インクとして、より具体的には、昇華転写インクSb54(株式会社ミマキエンジニアリング製)、昇華転写インクSb310(株式会社ミマキエンジニアリング製)、昇華転写インクSb410(株式会社ミマキエンジニアリング製)、昇華転写インクSb411(株式会社ミマキエンジニアリング製)、昇華転写インクSb610(株式会社ミマキエンジニアリング製)、昇華転写インクSbMLSb510(株式会社ミマキエンジニアリング製)が挙げられる。中でも昇華転写インクSb54が好ましく、昇華転写インクSb54 Blue T(株式会社ミマキエンジニアリング製)、昇華転写インクSb54 Black T(株式会社ミマキエンジニアリング製)、昇華転写インクSb54 Magenta T(株式会社ミマキエンジニアリング製)、昇華転写インクSb54 Yellow T(株式会社ミマキエンジニアリング製)がより好ましい。
(転写部材)
転写部材は、紙、フィルムのような支持体の上に前記分散染料を含むインクで印刷したものなどが使用できる。前記インクは、例えば、インクジェット用インクであり、前記転写部材は、該インクジェット用インクを用いたインクジェット印刷装置によって着色されたものを用いることができる。
(転写)
転写は、処理済繊維製品(B)と転写部材とを重ね合わせ、例えば、加圧下で加熱することにより行うことができる。加熱は、植物性繊維の変色、焦げなどの劣化が生じない範囲で、分散染料が転写部材から昇華して処理済繊維製品(B)の内部に侵入する条件で行うことができる。
加熱温度は、好ましくは180℃以上220℃以下、より好ましくは190℃以上215℃以下、更に好ましくは200℃以上210℃以下である。また、加熱時間は、好ましくは、0.5分間以上2分間以下、より好ましくは、1分間である。転写では、膨潤剤により広がった繊維部分に染料が適度な深度に入り込むことにより綿繊維が染まるので、昇華した染料が繊維の奥まで入り込むエネルギーが必要である。用いる分散染料の分子量が大きいほど、転写に要するエネルギーが大きくなるので、加熱温度を高く、加熱時間を長くすることで、与えるエネルギーを増加させるが、植物性繊維の変色、焦げなどの劣化が生じない範囲で行うことができる。
与えるエネルギーを増加させる方法としては、加熱温度を高く方法、加熱時間を長くする方法に変えて、又は併用して、処理済繊維製品(B)と転写部材とを重ね合わせる圧力を大きくする方法が挙げられる。
変色、焦げなどの繊維製品の劣化を防ぐために、転写時に水を付与することもできる。
転写後は、転写繊維製品(C)から転写部材を剥がす。
<洗浄工程>
洗浄工程は、前記転写繊維製品(C)から前記膨潤剤を洗浄液によって除去する工程である。
前記洗浄液は水系溶媒であることが安全性、排水処理等の観点で好ましい。洗浄液として用いる水系溶媒は、温水または水であることが好ましい。洗浄工程において、植物性繊維の表面に付着した撥水剤により、前記転写工程によって植物性繊維の内部に保持された分散染料と水系溶媒との接触とが抑制される。
本発明は、膨潤剤を洗浄する洗浄工程を有することで、植物性繊維に充分な量の膨潤剤を付与し、膨潤剤の作用により、植物性繊維を膨潤させ、転写工程において、植物性繊維中に多量の分散染料を拡散させることができる。本発明においては、膨潤剤が架橋剤等によって、植物性繊維中に固定されるものではないので、転写工程の後、膨潤剤は、洗浄工程で除去される。即ち本発明では、膨潤剤を繊維内部に固定するのではなく、洗浄工程により除去する。膨潤剤を転写工程後の洗浄工程により除去することで、分散染料の滲みを防ぐことができる。
本発明によれば、膨潤剤および撥水剤を同時に付与するので、新たな作業工程を設けることなく、転写捺染した繊維製品の退色を防止することができる。本発明によれば、撥水剤により繊維への水の浸入を軽減することが出来るので、染料の脱落を低減できる。本発明により得られる、転写捺染された繊維製品は、高発色で、洗濯堅牢性に優れる。
以下、図を用いて、本発明の一実施形態にかかる工程を説明する。
図1に、本発明の工程の一例を示す。図1に示すように、本発明は、前処理工程1、転写工程2および洗浄工程3を含む。前処理工程1は、膨潤剤および撥水剤を付与する工程1aを含む。前処理工程1は、乾燥する工程1bを含む場合もある。
図2に、本発明の各工程の一例をより詳しく示す。図2に示すように、前処理工程1では膨潤剤および撥水剤5を繊維製品6に付与する。印刷工程4では、基材7にインク8を印刷し転写部材11とする。転写工程2では、転写部材11の着色部分を繊維製品6に転写させる。図2では、転写工程2において転写部材11を繊維製品6にホットプレスすることで、転写部材11中の着色部分を繊維製品6に昇華転写させる。洗浄工程3では、転写繊維製品16から膨潤剤を洗浄液9によって除去する。
図3は、連続で本発明を行う場合の工程の一例を示す概念図である。
まず、印刷工程4では、基材7にインクジェット装置10で分散染料を含むインク8を印刷して着色された転写部材11を得る。
前処理工程1では、ロールに巻かれた繊維製品6を膨潤剤および撥水剤5を含有する溶液に浸漬し、繊維製品6に膨潤剤および撥水剤5を付与し、乾燥12する。
転写工程2では、前処理工程1で前処理した繊維製品6と、印刷工程4でインクを着色した転写部材11とを一対の熱ロール13で加圧しながら重ね合わせ、かつ加熱することで、転写部材11の着色部分を繊維製品6に転写させ、転写された繊維製品とする。
洗浄工程3では、転写された繊維製品から膨潤剤を洗浄液9によって除去する。
乾燥工程14では、乾燥機15により転写された繊維製品を乾燥して、転写繊維製品16を得る。
(実施例)
次に実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれに限定されない。
(撥水剤)
下記表1に示す撥水剤(WR1〜WR6)を用いた。
Figure 2021042514
(膨潤剤)
膨潤剤としてポリプロピレングリコール(分子量400、試薬グレード、キシダ化学株式会社製)を用いた(以下、膨潤剤Sという)。
(繊維製品(A))
植物性繊維を含む繊維製品(A)として、ポリエチレンテレフタレートを65重量%、綿を35重量%含有する布を用いた(以下、布Aという)。
(転写部材)
下記表2に示す組成のインクC、インクM、インクY、インクKを用い、インクジェットで紙の上にインキで印刷した転写部材Tを使用した。
Figure 2021042514
(反射濃度)
反射濃度は、蛍光分光濃度計FD−7(コニカミノルタ株式会社製)での測色結果により色濃度を判定した。反射濃度は、入射光束I、反射光束Iとすると反射濃度Dr=−log10(I/I)で計算される。なお、反射率はI/I×100となるため、Dr=log10(100/反射率)と表現することができる。反射濃度が高いほど、各色の色が濃いことがわかる。
(洗濯堅牢性)
洗濯堅牢性は、JIS L 0844 A−2法での試験より、JIS L 0805に基づく変退色用グレースケール・汚染用グレースケールを用いて級数を判定した。級数が高いほど洗濯堅牢性が高い。
(摩擦堅牢性)
摩擦堅牢性は、JIS L 0849 II型での試験より、JIS L 0805に基づく変退色用グレースケール・汚染用グレースケールを用いて級数を判定した。級数が高いほど摩擦堅牢性が高い。
〔実施例1〕
<前処理工程>
前処理液として、下記表3に示す組成の溶液を調製した。
布Aを前処理液中に浸漬して、撥水剤および膨潤剤を付与した。その後、布Aを温度120℃で1分間乾燥して、布Bを得た。撥水剤の布Bへの付着量は4g/100g繊維であった。膨潤剤の布Bへの付着量は5g/100g繊維であった。
<転写工程>
布Bと転写部材Tとを重ね合わせ、温度200℃で、1分間、保持し、転写部材Tの着色部分を布Bに転写し転写布Cを得た。
<洗浄工程>
転写布Cを洗浄浴中に浸漬し、膨潤剤を除去した。
<転写布Cの反射濃度、洗濯堅牢性>
転写布Cの反射濃度、洗濯堅牢性を表4に示す。
〔実施例2〜6〕
前処理液として、表3に示す組成の溶液を用いる以外は、実施例1と同じ操作を行った。転写布Cの反射濃度、洗濯堅牢性を表4に示す。
〔比較例1〕
前処理液として、表3に示す撥水剤を含まない溶液を用いる以外は、実施例と同じ操作を行った。転写布Cの反射濃度、洗濯堅牢性を表4に示す。
Figure 2021042514
Figure 2021042514
〔実施例7〕
<前処理工程>
撥水剤としてWR3(AG−E550D)4.5重量%、膨潤剤としてポリプロピレングリコール(分子量600)92重量%、水92重量%を含む前処理液を調製した。布Aを前処理液中に浸漬して、撥水剤および膨潤剤を付与した。その後、布Aを温度120℃で1分間乾燥して、布B1を得た。撥水剤の布B1への付着量は4g/100g繊維であった。膨潤剤の布B1への付着量は5g/100g繊維であった。
<転写工程>
転写部材は、分散染料として、分子量が260以上340以下の分散染料を含用いた他は上記表2のインクの組成と同様のインクC1(Cyan)、インクM1(Magenta)、インクY1(Yellow)、インクK1(Black)を用いて、インクジェットで転写紙(商品名:TRS−95、ミマキエンジニアリング製)の上にインキで印刷して転写部材T2を準備した。
布Bと転写部材T1とを重ね合わせ、温度200℃で、1分間、保持し、転写部材T1の着色部分を布B1に転写し転写布C1を得た。
<洗浄工程>
転写布C2を洗浄浴中に浸漬して膨潤剤を除去した。
<転写布C2の反射濃度、洗濯堅牢性>
膨潤剤を除去した転写布C2の反射濃度、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性を測定した。反射濃度を図4に、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性を表5に示す。
〔実施例8−1〕
<前処理工程>
膨潤剤としてポリプロピレングリコール(分子量600)92重量%の代わりに、ポリプロピレングリコール(分子量400)92重量%を用いた他は実施例7と同様にして、前処理液を調製して前処理を行い、布B2を得た。
<転写工程>
転写部材は、分散染料として、分子量が370以上の分散染料を用いた他は上記表2のインクの組成と同様のインクC2(Cyan)、インクM1(Magenta)、インクY2(Yellow)、インクK2(Black)を用いて、インクジェットで転写紙の上にインキで印刷して転写部材T2を準備した。
布Bと転写部材T2とを重ね合わせ、温度200℃で、1分間、保持し、転写部材T2の着色部分を布B2に転写し転写布C2−1を得た。
<洗浄工程>
転写布C2−1を洗浄浴中に浸漬して膨潤剤を除去した。
<転写布C2−1の反射濃度、洗濯堅牢性>
膨潤剤を除去した転写布C2−1の反射濃度を測定した。反射濃度を図4に表5に示す。なお、図4において、反射濃度(平均)は、Cyan、Magenta、Yellow、Blackの反射濃度の測色結果の平均値である。
〔実施例8−2〕
転写条件を、温度200℃で1分間保持から、200℃で1.5分間保持に変えた以外は、実施例8−1と同様にして、転写布C2−2を得た。転写布C2−2を洗浄浴中に浸漬して膨潤剤を除去した。膨潤剤を除去した転写布C2−2の反射濃度を測定した。反射濃度を図4に示す。
〔実施例8−3〕
転写条件を、温度200℃で1分間保持から、220℃で1分間保持に変えた以外は、実施例8−1と同様にして、転写布C2−3を得た。転写布C2−3を洗浄浴中に浸漬して膨潤剤を除去した。膨潤剤を除去した転写布C2−3の反射濃度を測定した。反射濃度を図4に示す。
〔実施例8−4〕
転写条件を、温度200℃で1分間保持から、220℃で1.5分間保持に変えた以外は、実施例8−1と同様にして、転写布C2−4を得た。転写布C2−4を洗浄浴中に浸漬して膨潤剤を除去した。膨潤剤を除去した転写布C2−4の反射濃度、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性を測定した。反射濃度を図4に、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性を表5に示す。
実施例7では、インクの分散染料の分子量が小さく、比較的低温・短時間で染料が昇華するため200℃、1分間の転写条件でも反射濃度が高い。それに対して、実施例8−1〜4では、200〜220℃、1.0〜1.5分間の転写条件の範囲において実施例7の場合より反射濃度が高くなる条件はなかった。実施例8−1〜4では、より高温に、かつ加熱時間を長くすることにより反射濃度が高くなる傾向にあるが、今回の試験条件より高温・長時間にするとメディアが焦げる恐れがある。これは、実施例8−1〜4では、分散染料の分子量が大きいため、昇華に必要なエネルギーが大きくなり、より多くのエネルギーを要するためと考えられる。
Figure 2021042514
実施例7は、実施例8−4と比較して洗濯堅牢性が優れ、摩擦堅牢性は同等であった。実施例8−4では、染料が繊維の奥まで入り込むエネルギーをより必要とするので、転写で昇華した染料が繊維表面に多く残っており、洗濯で色落する場合があると考えられる。それに対して、実施例7では、膨潤剤により広がった繊維部分に染料が入り込むことにより綿繊維が染まったと考えられる。実施例8−4の場合には、転写時に加える圧力を大きくすることで、高温・長時間にする以外の方法で、転写時エネルギーを大きくして、洗濯堅牢性及び摩擦堅牢性を上げることができると考えられる。このように、転写時に加える圧力を大きくすることで、分子量の大きな染料も使用できると考えられる。
本発明により得られる、転写捺染された繊維製品は、高発色で、耐洗濯性に優れるので、肌着、寝具、作業服、ユニフォーム、ドレスシャツ、ブラウス、スポーツシャツ、カーテン、インテリア用品、寝具、救命具、靴下、手袋等の用途に極めて有用である。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
1 前処理工程
1a 膨潤剤および撥水剤の付与
1b 乾燥
2 転写工程
3 洗浄工程
4 印刷工程
5 膨潤剤および撥水剤を含有する溶液
6 繊維製品
7 基材
8 インク
9 洗浄液
10 インクジェット装置
11 転写部材
12 乾燥工程
13 熱ロール
14 乾燥工程
15 乾燥機
16 転写繊維製品

Claims (11)

  1. (1)植物性繊維を含む繊維製品(A)に、膨潤剤および撥水剤を付与する前処理工程、
    (2)前記前処理工程で得られた処理済繊維製品(B)と、分散染料を含むインクによって着色された転写部材とを重ね合わせ、当該転写部材の着色部分を前記処理済繊維製品(B)に転写させ、転写繊維製品(C)を得る転写工程、および
    (3)前記転写繊維製品(C)から前記膨潤剤を洗浄液によって除去する洗浄工程、を含む転写捺染方法。
  2. 前記洗浄液は水系溶剤である請求項1記載の転写捺染方法。
  3. 前記洗浄工程において、前記植物性繊維の表面に付着した前記撥水剤により、前記転写工程によって前記植物性繊維の内部に保持された前記分散染料と前記水系溶剤との接触が抑制される請求項2記載の転写捺染方法。
  4. 前記分散染料の分子量は400以下である請求項1から3のいずれか一項に記載の転写捺染方法。
  5. 前記繊維製品(A)は、前記植物性繊維としての綿とポリエステル繊維とから成る混紡品である請求項1から4のいずれか一項に記載の転写捺染方法。
  6. 前記前処理工程は、前記膨潤剤と前記撥水剤とを含む水系溶液に前記繊維製品(A)を浸漬させた状態で行う請求項1から5のいずれか一項に記載の転写捺染方法。
  7. 前記撥水剤は、フッ素系撥水剤である請求項6に記載の転写捺染方法。
  8. 前記水系溶液中の前記フッ素系撥水剤の含有量は3重量%以上6重量%以下である請求項7に記載の転写捺染方法。
  9. 前記転写部材は、前記インクとしてインクジェット用インクを用いたインクジェット印刷装置によって着色されたものである、請求項1から8のいずれか一項に記載の転写捺染方法。
  10. 前記インクは、インクジェット用インクであり、前記転写部材は、該インクジェット用インクを用いたインクジェット印刷装置によって着色されたものである請求項1から8のいずれか一項に記載の転写捺染方法。
  11. 前記転写工程は、乾燥した前記処理済繊維製品(B)に転写させる工程である請求項1から9のいずれか一項に記載の転写捺染方法。
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