以下、本発明を適用した熱中症リスク判別プログラムについて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
図1は、本発明を適用した熱中症リスク判別プログラムが実装される熱中症リスク判別システム1の全体構成を示すブロック図である。熱中症リスク判別システム1は、情報取得部9と、情報取得部9に接続された判別装置2と、判別装置2に接続されたデータベース3とを備えている。
情報取得部9は、本システムを活用する者が各種コマンドや情報を入力するためのデバイスであり、具体的にはキーボードやボタン、タッチパネル、マウス、スイッチ等により構成される。情報取得部9は、テキスト情報を入力するためのデバイスに限定されるものではなく、マイクロフォン等のような音声を検知してこれをテキスト情報に変換可能なデバイスで構成されていてもよい。また情報取得部9は、カメラ等の画像を撮影可能な撮像装置として構成されていてもよい。情報取得部9は、紙媒体の書類から文字列を認識できる機能を備えたスキャナで構成されていてもよい。また情報取得部9は、後述する判別装置2と一体化されていてもよい。情報取得部9は、検知した情報を判別装置2へと出力する。また情報取得部9は地図情報をスキャニングすることで位置情報を特定する手段により構成されていてもよい。また情報取得部9は、温度センサ、湿度センサ、風向センサ、を測るための照度センサで構成されていてもよい。また情報取得部9は、天候についてのデータを気象庁や民間の天気予報会社から取得する通信インターフェースで構成されていてもよい。また情報取得部9は身体に装着して身体のデータを検出するための身体センサで構成されていてもよく、この身体センサは、例えば体温、心拍数、血圧、歩数、歩く速度、加速度を検出するためのセンサで構成されていてもよい。
データベース3は、熱中症リスク判別を行う上で必要な様々な情報が蓄積される。熱中症リスク判別を行う上で必要な情報としては、既存のある領域について熱中症リスクを見積もる上で、実際に検知した気温、湿度、周辺の熱環境、風速、天候の何れか1以上からなる参照用環境情報、参照用環境情報の取得領域における位置に関する参照用位置情報、参照用環境情報の取得領域における位置に関連付けられた参照用混雑度、参照用環境情報の取得領域における利用目的に関連付けられた参照用利用目的情報、参照用環境情報の取得領域における利用目的に関連付けられた参照用利用時間情報、参照用環境情報の取得領域の日照レベルに関連付けられた参照用日照レベル情報、参照用環境情報の取得時に身体センサを介して検査した被検査者の体温、心拍数、血圧、歩数、歩く速度、加速度の何れか1以上からなる参照用身体情報と、これらに対して実際に判断がなされる熱中症リスクとのデータセットが記憶されている。
つまり、データベース3には、このような参照用環境情報に加え、参照用位置情報、参照用混雑度、参照用利用目的情報、参照用利用時間情報、参照用日照レベル情報、参照用身体情報の何れか1以上と、熱中症リスクが互いに紐づけられて記憶されている。
判別装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。ユーザは、この判別装置2による探索解を得ることができる。
図2は、判別装置2の具体的な構成例を示している。この判別装置2は、判別装置2全体を制御するための制御部24と、操作ボタンやキーボード等を介して各種制御用の指令を入力するための操作部25と、有線通信又は無線通信を行うための通信部26と、各種判断を行う推定部27と、ハードディスク等に代表され、実行すべき検索を行うためのプログラムを格納するための記憶部28とが内部バス21にそれぞれ接続されている。さらに、この内部バス21には、実際に情報を表示するモニタとしての表示部23が接続されている。
制御部24は、内部バス21を介して制御信号を送信することにより、判別装置2内に実装された各構成要素を制御するためのいわゆる中央制御ユニットである。また、この制御部24は、操作部25を介した操作に応じて各種制御用の指令を内部バス21を介して伝達する。
操作部25は、キーボードやタッチパネルにより具現化され、プログラムを実行するための実行命令がユーザから入力される。この操作部25は、上記実行命令がユーザから入力された場合には、これを制御部24に通知する。この通知を受けた制御部24は、推定部27を始め、各構成要素と協調させて所望の処理動作を実行していくこととなる。この操作部25は、前述した情報取得部9として具現化されるものであってもよい。
推定部27は、探索解を推定する。この推定部27は、推定動作を実行するに当たり、必要な情報として記憶部28に記憶されている各種情報や、データベース3に記憶されている各種情報を読み出す。この推定部27は、人工知能により制御されるものであってもよい。この人工知能はいかなる周知の人工知能技術に基づくものであってもよい。
表示部23は、制御部24による制御に基づいて表示画像を作り出すグラフィックコントローラにより構成されている。この表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等によって実現される。
記憶部28は、ハードディスクで構成される場合において、制御部24による制御に基づき、各アドレスに対して所定の情報が書き込まれるとともに、必要に応じてこれが読み出される。また、この記憶部28には、本発明を実行するためのプログラムが格納されている。このプログラムは制御部24により読み出されて実行されることになる。
上述した構成からなる熱中症リスク判別システム1における動作について説明をする。
熱中症リスク判別システム1では、例えば図3に示すように、参照用環境情報と、熱中症リスクとの3段階以上の連関度が予め設定されていることが前提となる。参照用環境情報とは、熱中症リスクを判別しようとする領域(例えば校庭、野球場、街中、横断歩道等)における気温、湿度、周辺の熱環境、風速、天候の何れか1以上からなる。この参照用環境情報は、環境省が発表している暑さ指数(WBGT)で構成されていてもよく、湿度、日射・輻射等の周辺の熱環境、気温の3つを取り入れた指標で構成されていてもよい。
熱中症リスクとは、主観的又は客観的に評価された熱中症のリスクの程度である。この熱中症リスクの例としては、環境省が発表しているが、例えば「すべての生活活動でおこる危険性」、「中等度以上の生活活動でおこる危険性」「強い生活活動でおこる危険性」等で表示されていてもよいし、同じく環境省が発表しているように「運動は原則中止」、「厳重警戒(激しい運動は中止)」、「警戒(積極的に休憩)」、「注意(積極的に水分補給)」、「ほぼ安全」等で表示されるものであってもよい。また熱中症リスクの例としては、例えば専門的な知識を持った医師や専門家により熱中症リスクを客観的に評価された評価データや診療データ、診察結果等に基づくものであってもよい。またこの熱中症の評価者は医学に関する専門的知識を必ずしも有している場合に限定されるものではなく、その専門的知識を有さない者も含まれる。つまり熱中症の評価者は、本人、第三者による評価であればいかなるものであってもよい。またこの熱中症は人を介すことなく、客観データのみ(例えば乳酸値、血糖値、汗の量、歩くスピード)等から求めるようにしてもよい。
熱中症の評価例としては、全くリスクが無い状態が0%、最もリスクが高い場合を100%としたとき、0〜100%の間で評価されるものであってもよい。
図3の例では、入力データとして例えば参照用環境情報P01〜P03であるものとする。このような入力データとしての参照用環境情報P01〜P03は、出力としての熱中症リスクに連結している。この出力においては、出力解としての、熱中症リスクが0〜100%の間で表示されている。
参照用環境情報は、この出力解としての熱中症リスクに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用環境情報がこの連関度を介して左側に配列し、各熱中症リスクが連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参参照用環境情報に対して、何れの熱中症リスクと関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用環境情報が、いかなる熱中症リスクに紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用環境情報から最も確からしい熱中症リスクを選択する上での的確性を示すものである。図3の例では、連関度としてw13〜w19が示されている。このw13〜w19は以下の表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力としての熱中症リスクと互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力としての値段と互いに関連度合いが低いことを示している。
判別装置2は、このような図3に示す3段階以上の連関度w13〜w19を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用環境情報と、その場合の熱中症リスクの何れが採用、評価されたか、過去のデータセットを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図3に示す連関度を作り上げておく。
例えば、参照用環境情報が、温度36℃、湿度70%、風速0m/s、天候が晴であるものとする。このような参照用環境情報に対する熱中症リスクとしては熱中症リスク75%が多く評価されたものとする。このようなデータセットを集めて分析することにより、参照用環境情報(温度36℃、湿度70%、風速0m/s、天候 晴)との連関度が強くなる。
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用環境情報P01である場合に、過去の熱中症リスクの評価を行った結果の各種データから分析する。これは例えば、診断結果の電子データや職場での評価結果からテキストマイニング分析を行うことでデータセットを抽出するようにしてもよい。参照用環境情報P01である場合に、熱中症リスク75%の事例が多い場合には、この熱中症リスクの評価につながる連関度をより高く設定し、熱中症リスク0%の事例が多い場合には、この熱中症リスクの評価につながる連関度をより高く設定する。例えば参照用環境情報P01の例では、熱中症リスク75%と、熱中症リスク25%にリンクしているが、以前の事例から熱中症リスク75%につながるw13の連関度を7点に、熱中症リスク25%につながるw14の連関度を2点に設定している。
また、この図3に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに熱中症リスクの判別を行う上で、上述した学習済みデータを利用して熱中症リスクを探索することとなる。かかる場合には、実際に判別対象の領域において環境情報を新たに取得する。新たに取得する環境情報は、上述した情報取得部9により入力される。環境情報は、熱中症リスクを判別しようとする領域(例えば校庭、野球場、街中、横断歩道等)における気温、湿度、周辺の熱環境、風速、天候の何れか1以上からなる。この参照用環境情報は、環境省が発表している暑さ指数(WBGT)で構成されていてもよく、湿度、日射・輻射等の周辺の熱環境、気温の3つを取り入れた指標で構成されていてもよい。このとき、取得する環境情報と、予め準備しておく参照用環境情報との間でデータの種類が互いに整合していることが求められる。
このようにして新たに取得した環境情報に基づいて、熱中症リスクを判別する。かかる場合には、予め取得した図3(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した環境情報がP02と同一かこれに類似するものである場合には、連関度を介して熱中症リスク0%がw15、熱中症リスク25%が連関度w16で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高いて熱中症リスク0%を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる熱中症リスク25%を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
このようにして、新たに取得する環境情報から、最も好適な熱中症リスクを探索し、ユーザに表示することができる。この探索結果を見ることにより、ユーザは、探索された熱中症リスクに基づいて熱中症の発症リスクを伝え、水分を摂取させたり、日陰で休ませたり、体を冷やす等、様々な改善施策を施すことができ、また注意喚起を行うことも可能となる。
図4の例では、参照用環境情報と、参照用位置情報との組み合わせが形成されていることが前提となる。参照用位置情報とは、参照用環境情報の取得領域、つまり熱中症リスクを判別しようとする位置に関する情報である。例えば、参照用位置情報は、例えば、緯度、経度で表示されていてもよいし、住所情報(例えば千代田区〇〇町〇−〇−〇、□□ビル12階)等で表示されていてもよい。また参照用位置情報は、特定の場所(例えば、〇〇公園、〇〇テーマ―パーク、〇〇野球場等)で位置が特定されるものであってもよい。
熱中症リスクは、参照用環境情報に加え、リスクを判別しようとする位置がどこなのかで異なる。例えば、河川敷の野球場であれば日陰が殆ど無く、熱中症のリスクが通常より高い。また駅や盛り場等のような人が多く集まる領域は混雑度が高く、その分熱中症リスクは高くなる。また屋外の競技場や屋外のコンサート会場は日陰が少ないところもあることに加え、観客が試合に我を忘れて熱中する場合が多く、その分熱中症リスクは高まる。このため、参照用環境情報に加え、このような参照用位置情報と組み合わせて熱中症リスクを定義することにより、熱中症リスクを高精度に評価することができる。
図4の例では、入力データとして例えば参照用環境情報P01〜P03、参照用位置情報P14〜17であるものとする。このような入力データとしての、参照用環境情報に対して、参照用位置情報が組み合わさったものが、図4に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、熱中症リスクが表示されている。
参照用環境情報と参照用位置情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、熱中症リスクに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用環境情報と参照用位置情報がこの連関度を介して左側に配列し、熱中症リスクが連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用環境情報と参照用位置情報に対して、熱中症リスクと関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用環境情報と参照用位置情報が、いかなる熱中症リスクに紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用環境情報と参照用位置情報から最も確からしい熱中症リスクを選択する上での的確性を示すものである。実際の温度や湿度の状況がいかなるものかに加え、熱中症を判断する領域の位置に応じて、評価すべき熱中症リスクは異なるものとなる。このため、これらの参照用環境情報と参照用位置情報の組み合わせで、最適な熱中症リスクを探索していくこととなる。
図4の例では、連関度としてw13〜w22が示されている。このw13〜w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
判別装置2は、このような図4に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用環境情報と参照用位置情報、並びにその場合の熱中症リスクが何れが見合うものであったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図4に示す連関度を作り上げておく。
例えば、過去にあった実際の事例における参照用環境情報が、気温40℃、湿度80%、風速1m/s、天気は快晴であるとする。また参照用位置情報が神宮球場であるものとする。かかる場合に、その熱中症の可能性について評価した熱中症リスクをデータセットとして学習させ、上述した連関度という形で定義しておく。なお、このような参照用位置情報は、業者が地図情報や位置情報を管理するための管理データベースから抽出するようにしてもよい。
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用環境情報P01で、参照用位置情報P16である場合に、その熱中症リスクを過去のデータから分析する。熱中症リスクが90%の事例が多い場合には、この90%につながる連関度をより高く設定し、熱中症リスク25%の事例が多く、熱中症リスク90%の事例が少ない場合には、熱中症リスク25%につながる連関度を高くし、熱中症リスク90%につながる連関度を低く設定する。例えば中間ノード61aの例では、熱中症リスク75%と熱中症リスク0%の出力にリンクしているが、以前の事例から熱中症リスク75%につながるw13の連関度を7点に、熱中症リスク0%につながるw14の連関度を2点に設定している。
また、この図4に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
図4に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用環境情報P01に対して、参照用位置情報P14の組み合わせのノードであり、熱中症リスク25%の連関度がw15、熱中症リスク50%の連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用環境情報P02に対して、参照用位置情報P15、P17の組み合わせのノードであり、熱中症リスク0%の連関度がw17、熱中症リスク90%の連関度がw18となっている。
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから従業員の熱中症リスクを判別する際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、実際に判別対象の従業員から環境情報と、位置情報とを取得する。位置情報は、GPS等で測定対象の位置情報を取得してもよいし、定点で定期的にリスク測定をする場合には、その定点の位置情報が記録されているデータベースから読み出すようにしてもよい。
このようにして新たに取得した環境情報、位置情報に基づいて、最適な熱中症リスクを探索する。かかる場合には、予め取得した図4(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した環境情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、位置情報がP17である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、熱中症リスク25%がw19、熱中症リスク90%が連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い熱中症リスク25%を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる熱中症リスク90%を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
また、入力から伸びている連関度w1〜w12の例を以下の表2に示す。
この入力から伸びている連関度w1〜w12に基づいて中間ノード61が選択されていてもよい。つまり連関度w1〜w12が大きいほど、中間ノード61の選択における重みづけを重くしてもよい。しかし、この連関度w1〜w12は何れも同じ値としてもよく、中間ノード61の選択における重みづけは何れも全て同一とされていてもよい。
図5は、上述した参照用環境情報に加え、上述した参照用位置情報の代わりに参照用混雑度との組み合わせと、当該組み合わせに対する熱中症リスクとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
参照用位置情報の代わりに説明変数として加えられるこの参照用混雑度は、その熱中症のリスク測定をする領域の人々の混雑の度合いを示すものである。この参照用混雑度は参照用位置情報に依拠するパラメータであり、例えば人通りの多い駅や盛り場、イベント会場等においては混雑度が高い。そして混雑度が高いほど熱中症のリスクは高まる。このため、この参照用混雑度を組み合わせて連関度を形成することにより、熱中症リスクの判断精度を向上させる趣旨である。
図5の例では、入力データとして例えば参照用環境情報P01〜P03、参照用混雑度P18〜21であるものとする。このような入力データとしての、参照用環境情報に対して、参照用混雑度が組み合わさったものが、図5に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、熱中症リスクが表示されている。
参照用環境情報と参照用混雑度との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、熱中症リスクに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用環境情報と参照用混雑度がこの連関度を介して左側に配列し、熱中症リスクが連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用環境情報と参照用混雑度に対して、熱中症リスクと関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用環境情報と参照用混雑度が、いかなる熱中症リスクに紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用環境情報と参照用混雑度から最も確からしい熱中症リスクを選択する上での的確性を示すものである。
判別装置2は、このような図5に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用環境情報と、参照用混雑度、並びにその場合の熱中症リスクが何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図5に示す連関度を作り上げておく。
例えば、過去にあった実際の熱中症リスクの評価時において、ある参照用環境情報に対して、参照用混雑度が、混雑度150%であったものとする。かかる場合に、熱中症リスクが90%と判別されている事例が多い場合には、これらをデータセットとして学習させ、上述した連関度という形で定義しておく。
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用環境情報P01で、参照用混雑度P20である場合に、その熱中症リスクを過去のデータから分析する。熱中症リスクが75%の事例が多い場合には、この熱中症リスクが75%につながる連関度をより高く設定し、熱中症リスクが25%の事例が多く、熱中症リスクが75%の事例が少ない場合には、熱中症リスクが25%につながる連関度を高くし、熱中症リスクが75%につながる連関度を低く設定する。例えば中間ノード61aの例では、熱中症リスク75%と熱中症リスク0%の出力にリンクしているが、以前の事例から熱中症リスク75%につながるw13の連関度を7点に、熱中症リスク0%につながるw14の連関度を2点に設定している。
また、この図5に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
図5に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用環境情報P01に対して参照用混雑度P18の組み合わせのノードであり、熱中症リスク25%の連関度がw15、熱中症リスク50%の連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用環境情報P02に対して、参照用混雑度P19、P21の組み合わせのノードであり、熱中症リスク0%の連関度がw17、熱中症リスク90%の連関度がw18となっている。
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから熱中症リスクの探索を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、実際にその熱中症リスクの判別対象の環境情報と、混雑度とを取得する。ここで混雑度は、熱中症リスクを測定する領域において実際に測定した値を入力してもよいし、過去のデータから抽出したものを入力してもよい。
このようにして新たに取得した環境情報と、混雑度に基づいて、最適な熱中症リスクを探索する。かかる場合には、予め取得した図5(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した環境情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、混雑度がP21である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、熱中症リスク25%がw19、熱中症リスク90%が連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い熱中症リスク25%を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる熱中症リスク90%を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
図6は、上述した参照用環境情報に加え、上述した参照用位置情報の代わりに参照用利用目的情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する熱中症リスクとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
参照用位置情報の代わりに説明変数として加えられるこの参照用利用目的情報は、その熱中症のリスク測定をする領域がどのような利用目的で利用されるかを示すものであり、例えば、イベント会場、駅、住宅、道路、店舗、スクランブル交差点、野球場、競技場等、具体的な利用目的がこれに記述される。イベント会場や野球場は、店舗の中と比較して熱中症のリスクは高まる。このため、この参照用利用目的情報を組み合わせて連関度を形成することにより、熱中症リスクの判断精度を向上させる趣旨である。
図6の例では、入力データとして例えば参照用環境情報P01〜P03、参照用利用目的情報P18〜21であるものとする。このような入力データとしての、参照用環境情報に対して、参照用利用目的情報が組み合わさったものが、図6に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、熱中症リスクが表示されている。
参照用環境情報と参照用利用目的情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、熱中症リスクに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用環境情報と参照用利用目的情報がこの連関度を介して左側に配列し、熱中症リスクが連関度を介して右側に配列している。
判別装置2は、このような図6に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用環境情報と、参照用利用目的情報、並びにその場合の熱中症リスクが何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図6に示す連関度を作り上げておく。
例えば、過去にあった実際の熱中症リスクの評価時において、ある参照用環境情報に対して、参照用利用目的情報が、「イベント会場A」であったものとする。かかる場合に、熱中症リスクが90%と判別されている事例が多い場合には、これらをデータセットとして学習させ、上述した連関度という形で定義しておく。
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用環境情報P01で、参照用利用目的情報P20である場合に、その熱中症リスクを過去のデータから分析する。熱中症リスクが75%の事例が多い場合には、この熱中症リスクが75%につながる連関度をより高く設定し、熱中症リスクが25%の事例が多く、熱中症リスクが75%の事例が少ない場合には、熱中症リスクが25%につながる連関度を高くし、熱中症リスクが75%につながる連関度を低く設定する。
また、この図6に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。
図6に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用環境情報P01に対して参照用利用目的情報P18の組み合わせのノードであり、熱中症リスク25%の連関度がw15、熱中症リスク50%の連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用環境情報P02に対して、参照用利用目的情報P19、P21の組み合わせのノードであり、熱中症リスク0%の連関度がw17、熱中症リスク90%の連関度がw18となっている。
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから熱中症リスクの探索を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、実際にその熱中症リスクの判別対象の環境情報と、利用目的情報とを取得する。ここで利用目的情報は、熱中症リスクを測定する領域がどこであるのか、その利用目的を都度入力してもよいし、定点観測であれば、その利用目的情報が記録されているサーバー等から読み出してもよい。
このようにして新たに取得した環境情報と、利用目的情報に基づいて、最適な熱中症リスクを探索する。かかる場合には、予め取得した図6(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した環境情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、利用目的情報がP21である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、熱中症リスク25%がw19、熱中症リスク90%が連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い熱中症リスク25%を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる熱中症リスク90%を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
図7は、上述した参照用環境情報に加え、上述した参照用利用目的情報の代わりに参照用利用時間情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する熱中症リスクとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
参照用利用目的情報の代わりに説明変数として加えられるこの参照用利用時間情報は、その熱中症のリスク測定をする領域がどのような利用目的で利用され、一般的のどのような利用時間に亘り利用されるかを示すものである。例えば、利用目的がイベント会場であれば、一般的なコンサートの公演時間(例えば2時間)が参照用利用時間情報として関連付けられている。利用目的が野球場であれば、一般的な野球の試合時間(例えば3時間)が参照用利用時間情報として関連付けられている。スクランブル交差点であれば、信号の待ち時間が参照用利用時間情報となる。これら関連付けられている参照用利用時間情報を組み合わせて連関度を形成することにより、熱中症リスクの判断精度を向上させる趣旨である。
図7の例では、入力データとして例えば参照用環境情報P01〜P03、参照用利用時間情報P18〜21であるものとする。このような入力データとしての、参照用環境情報に対して、参照用利用時間情報が組み合わさったものが、図7に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、熱中症リスクが表示されている。
参照用環境情報と参照用利用時間情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、熱中症リスクに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用環境情報と参照用利用時間情報がこの連関度を介して左側に配列し、熱中症リスクが連関度を介して右側に配列している。
判別装置2は、このような図7に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用環境情報と、参照用利用時間情報、並びにその場合の熱中症リスクが何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図7に示す連関度を作り上げておく。
例えば、過去にあった実際の熱中症リスクの評価時において、ある参照用環境情報に対して、参照用利用時間情報が、「3時間」であったものとする。かかる場合に、熱中症リスクが90%と判別されている事例が多い場合には、これらをデータセットとして学習させ、上述した連関度という形で定義しておく。
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用環境情報P01で、参照用利用時間情報P20である場合に、その熱中症リスクを過去のデータから分析する。熱中症リスクが75%の事例が多い場合には、この熱中症リスクが75%につながる連関度をより高く設定し、熱中症リスクが25%の事例が多く、熱中症リスクが75%の事例が少ない場合には、熱中症リスクが25%につながる連関度を高くし、熱中症リスクが75%につながる連関度を低く設定する。
また、この図7に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。
図7に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用環境情報P01に対して参照用利用時間情報P18の組み合わせのノードであり、熱中症リスク25%の連関度がw15、熱中症リスク50%の連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用環境情報P02に対して、参照用利用時間情報P19、P21の組み合わせのノードであり、熱中症リスク0%の連関度がw17、熱中症リスク90%の連関度がw18となっている。
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから熱中症リスクの探索を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、実際にその熱中症リスクの判別対象の環境情報と、利用時間情報とを取得する。利用時間情報は、都度入力してもよいし、利用目的(例えば、〇〇野球場、●●コンサート会場)を入力すると、これに紐づけられている利用時間情報をサーバー等から読み出してもよい。
このようにして新たに取得した環境情報と、利用時間情報に基づいて、最適な熱中症リスクを探索する。かかる場合には、予め取得した図7(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した環境情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、利用時間情報がP21である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、熱中症リスク25%がw19、熱中症リスク90%が連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い熱中症リスク25%を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる熱中症リスク90%を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
図8は、上述した参照用環境情報に加え、参照用日照レベル情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する熱中症リスクとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
参照用日照レベル情報は、日照のレベルを実際に計測したものである。日照のレベルは照度計を介して、その判別対象の領域の日照度合を測定することで得られたデータであってもよい。また日照のレベルは、判別対象の領域が日陰になっているか否かのデータで構成されていてもよい。また日照のレベルは、日向になっている時間帯と日陰になっている時間帯の双方からなる領域の場合、その時間帯の比率で構成されていてもよい。
図8の例では、入力データとして例えば参照用環境情報P01〜P03、参照用日照レベル情報P22〜25であるものとする。このような入力データとしての、参照用環境情報に対して、参照用日照レベル情報が組み合わさったものが、図8に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、熱中症リスクが表示されている。
参照用環境情報と参照用日照レベル情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、熱中症リスクに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用環境情報と参照用日照レベル情報がこの連関度を介して左側に配列し、熱中症リスクが連関度を介して右側に配列している。
判別装置2は、このような図8に示す3段階以上の連関度を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用環境情報と、参照用日照レベル情報、並びにその場合の熱中症リスクが何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図8に示す連関度を作り上げておく。
例えば、過去にあった実際の熱中症リスクの評価時において、ある参照用環境情報に対して、参照用日照レベル情報が、「日照度〇〇」であったものとする。かかる場合に、熱中症リスクが90%と判別されている事例が多い場合には、これらをデータセットとして学習させ、上述した連関度という形で定義しておく。環境情報に加えて、日照度が高いほど熱中症のリスクが高くなるため、高精度な判断につなげることができる。
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用環境情報P01で、参照用日照レベル情報P24である場合に、その熱中症リスクを過去のデータから分析する。熱中症リスクが75%の事例が多い場合には、この熱中症リスクが75%につながる連関度をより高く設定し、熱中症リスクが25%の事例が多く、熱中症リスクが75%の事例が少ない場合には、熱中症リスクが25%につながる連関度を高くし、熱中症リスクが75%につながる連関度を低く設定する。
また、この図8に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。
図8に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用環境情報P01に対して参照用日照レベル情報P22の組み合わせのノードであり、熱中症リスク25%の連関度がw15、熱中症リスク50%の連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用環境情報P02に対して、参照用日照レベル情報P23、P25の組み合わせのノードであり、熱中症リスク0%の連関度がw17、熱中症リスク90%の連関度がw18となっている。
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから熱中症リスクの探索を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、実際にその熱中症リスクの判別対象の環境情報と、日照レベル情報とを取得する。日照レベル情報は、日照度を測定して、都度入力してもよいし、測定領域について定期的に観測するのであれば、定期的に観測した日照度の統計的データを入力してもよい。
このようにして新たに取得した環境情報と、日照レベル情報に基づいて、最適な熱中症リスクを探索する。かかる場合には、予め取得した図8(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した環境情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、日照レベル情報がP25である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、熱中症リスク25%がw19、熱中症リスク90%が連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い熱中症リスク25%を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる熱中症リスク90%を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
図9は、上述した参照用環境情報に加え、参照用身体情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する熱中症リスクとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
参照用身体情報は、実際に個々の被検査者に対してそれぞれ熱中症リスクを判別する際における、当該被検査者の身体から取得した情報である。この参照用身体情報は、参照用環境情報の取得時において身体センサを介して検査した被検査者の体温、心拍数、血圧、歩数、歩く速度、加速度の何れか1以上からなる。身体センサは、体温計、心拍数の計測系、血圧計、万歩計(登録商標)、加速度センサ、速度センサ等からなる。加速度は、被検査者の歩く速度から計算されたものである。
図9の例では、入力データとして例えば参照用環境情報P01〜P03、参照用身体情報P26〜29であるものとする。このような入力データとしての、参照用環境情報に対して、参照用身体情報が組み合わさったものが、図9に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、熱中症リスクが表示されている。
参照用環境情報と参照用身体情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、熱中症リスクに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用環境情報と参照用身体情報がこの連関度を介して左側に配列し、熱中症リスクが連関度を介して右側に配列している。
判別装置2は、このような図9に示す3段階以上の連関度を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用環境情報と、参照用身体情報、並びにその場合の熱中症リスクが何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図9に示す連関度を作り上げておく。
例えば、過去にあった実際の熱中症リスクの評価時において、ある参照用環境情報に対して、参照用身体情報が、「体温37℃、血圧140/70、心拍数〇〇」であったものとする。かかる場合に、熱中症リスクが90%と判別されている事例が多い場合には、これらをデータセットとして学習させ、上述した連関度という形で定義しておく。環境情報に加えて、被検査者の身体の情報を組み合わせることで高精度な熱中症リスクの判断につなげることができる。
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用環境情報P01で、参照用身体情報P29である場合に、その熱中症リスクを過去のデータから分析する。熱中症リスクが75%の事例が多い場合には、この熱中症リスクが75%につながる連関度をより高く設定し、熱中症リスクが25%の事例が多く、熱中症リスクが75%の事例が少ない場合には、熱中症リスクが25%につながる連関度を高くし、熱中症リスクが75%につながる連関度を低く設定する。
また、この図9に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。
図9に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用環境情報P01に対して参照用身体情報P26の組み合わせのノードであり、熱中症リスク25%の連関度がw15、熱中症リスク50%の連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用環境情報P02に対して、参照用身体情報P27、P29の組み合わせのノードであり、熱中症リスク0%の連関度がw17、熱中症リスク90%の連関度がw18となっている。
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから熱中症リスクの探索を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、実際にその熱中症リスクの判別対象の環境情報と、身体情報とを取得する。身体情報の測定方法は、上述した参照用身体情報の測定と同様である。この取得する身体情報は、あくまで学習させた参照用身体情報に応じたものとなる。例えば、参照用身体情報が体温と血圧からなるものであれば、この取得する身体情報も体温と血圧からなるものとする。
このようにして新たに取得した環境情報と、身体情報に基づいて、最適な熱中症リスクを探索する。かかる場合には、予め取得した図9(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した環境情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、身体情報がP29である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、熱中症リスク25%がw19、熱中症リスク90%が連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い熱中症リスク25%を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる熱中症リスク90%を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
上述した連関度においては、10段階評価で連関度を表現しているが、これに限定されるものではなく、3段階以上の連関度で表現されていればよく、逆に3段階以上であれば100段階でも1000段階でも構わない。一方、この連関度は、2段階、つまり互いに連関しているか否か、1又は0の何れかで表現されるものは含まれない。
上述した構成からなる本発明によれば、特段のスキルや経験が無くても、誰でも手軽に熱中症リスクの探索を行うことができる。また本発明によれば、この探索解の判断を、人間が行うよりも高精度に行うことが可能となる。更に、上述した連関度を人工知能(ニューラルネットワーク等)で構成することにより、これを学習させることでその判別精度を更に向上させることが可能となる。
なお、上述した入力データ、及び出力データは、学習させる過程で完全に同一のものが存在しない場合も多々あることから、これらの入力データと出力データを類型別に分類した情報であってもよい。つまり、入力データを構成する情報P01、P02、・・・・P15、16、・・・は、その情報の内容に応じて予めシステム側又はユーザ側において分類した基準で分類し、その分類した入力データと出力データとの間でデータセットを作り、学習させるようにしてもよい。
なお、上述した連関度では、参照用環境情報に加え、参照用位置情報、参照用混雑度、参照用利用目的情報、参照用利用時間情報、参照用日照レベル情報、参照用身体情報の何れかとの組み合わせで構成されている場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではない。つまり連関度は、参照用環境情報に加え、参照用位置情報、参照用混雑度、参照用利用目的情報、参照用利用時間情報、参照用日照レベル情報、参照用身体情報の何れか2以上との組み合わせで構成されていてもよい。また連関度は、参照用環境情報に加え、参照用位置情報、参照用混雑度、参照用利用目的情報、参照用利用時間情報、参照用日照レベル情報、参照用身体情報の何れか1以上に加え、他のファクターがこの組み合わせに加わって連関度が形成されていてもよい。
いずれの場合も、その連関度の参照情報に合わせたデータの入力がなされ、その連関度を利用して熱中症リスクを求める。
また、本発明によれば、3段階以上に設定されている連関度を介して最適な解探索を行う点に特徴がある。連関度は、上述した10段階以外に、例えば0〜100%までの数値で記述することができるが、これに限定されるものではなく3段階以上の数値で記述できるものであればいかなる段階で構成されていてもよい。
このような3段階以上の数値で表される連関度に基づいて最も確からしい熱中症リスク、を判別することで、探索解の可能性の候補として複数考えられる状況下において、当該連関度の高い順に探索して表示することも可能となる。このように連関度の高い順にユーザに表示できれば、より確からしい探索解を優先的に表示することも可能となる。
これに加えて、本発明によれば、連関度が1%のような極めて低い出力の判別結果も見逃すことなく判断することができる。連関度が極めて低い判別結果であっても僅かな兆候として繋がっているものであり、何十回、何百回に一度は、その判別結果として役に立つ場合もあることをユーザに対して注意喚起することができる。
更に本発明によれば、このような3段階以上の連関度に基づいて探索を行うことにより、閾値の設定の仕方で、探索方針を決めることができるメリットがある。閾値を低くすれば、上述した連関度が1%のものであっても漏れなく拾うことができる反面、より適切な判別結果を好適に検出できる可能性が低く、ノイズを沢山拾ってしまう場合もある。一方、閾値を高くすれば、最適な探索解を高確率で検出できる可能性が高い反面、通常は連関度は低くてスルーされるものの何十回、何百回に一度は出てくる好適な解を見落としてしまう場合もある。いずれに重きを置くかは、ユーザ側、システム側の考え方に基づいて決めることが可能となるが、このような重点を置くポイントを選ぶ自由度を高くすることが可能となる。
更に本発明では、上述した連関度を更新させるようにしてもよい。この更新は、例えばインターネットを始めとした公衆通信網を介して提供された情報を反映させるようにしてもよい。また参照用環境情報、、参照用位置情報、参照用混雑度、参照用利用目的情報、参照用利用時間情報、参照用日照レベル情報、参照用身体情報を取得し、これらに対する熱中症リスク、改善施策に関する知見、情報、データを取得した場合、これらに応じて連関度を上昇させ、或いは下降させる。
つまり、この更新は、人工知能でいうところの学習に相当する。新たなデータを取得し、これを学習済みデータに反映させることを行っているため、学習行為といえるものである。
また、この連関度の更新は、公衆通信網から取得可能な情報に基づく場合以外に、専門家による研究データや論文、学会発表や、新聞記事、書籍等の内容に基づいてシステム側又はユーザ側が人為的に、又は自動的に更新するようにしてもよい。これらの更新処理においては人工知能を活用するようにしてもよい。
また学習済モデルを最初に作り上げる過程、及び上述した更新は、教師あり学習のみならず、教師なし学習、ディープラーニング、強化学習等を用いるようにしてもよい。教師なし学習の場合には、入力データと出力データのデータセットを読み込ませて学習させる代わりに、入力データに相当する情報を読み込ませて学習させ、そこから出力データに関連する連関度を自己形成させるようにしてもよい。