JP2021036806A - スクリーニング装置、スクリーニング方法、及び、マルチウェルプレート - Google Patents

スクリーニング装置、スクリーニング方法、及び、マルチウェルプレート Download PDF

Info

Publication number
JP2021036806A
JP2021036806A JP2019159439A JP2019159439A JP2021036806A JP 2021036806 A JP2021036806 A JP 2021036806A JP 2019159439 A JP2019159439 A JP 2019159439A JP 2019159439 A JP2019159439 A JP 2019159439A JP 2021036806 A JP2021036806 A JP 2021036806A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mutant
well
target organism
electrochemical
electron transfer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019159439A
Other languages
English (en)
Inventor
章玄 岡本
Akihiro Okamoto
章玄 岡本
淳貴 齋藤
Junki SAITO
淳貴 齋藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute for Materials Science
Original Assignee
National Institute for Materials Science
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute for Materials Science filed Critical National Institute for Materials Science
Priority to JP2019159439A priority Critical patent/JP2021036806A/ja
Publication of JP2021036806A publication Critical patent/JP2021036806A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Abstract

【課題】対象生物のゲノムDNAに含まれる電気化学的特性に関与する遺伝子が破壊された特定変異体を容易かつ迅速に取得できるスクリーニング装置、スクリーニング方法、及びこの方法で用いるマルチウェルプレートの提供。【解決手段】ゲノムDNAにトランスポゾンが挿入された集団から選択される1種類の変異体を含む試験液が収容される複数のウェルの底部に配置された、試験液と接触する少なくとも2つの電極と電気的に接続され、電気化学的特性をウェル毎に測定する測定部と、ウェル毎に測定された電気化学的特性を基準と比較し、前記ウェルに収容された前記変異体が前記特定変異体であるか否かを判断する変異体判断部と、を有するスクリーニング装置、スクリーニング方法及びマルチウェルプレートの提供。【選択図】図1

Description

本発明は、スクリーニング装置、スクリーニング方法、及び、マルチウェルプレートに関する。
トランスポゾンタギングは、対象生物が有する特定の性質に影響する遺伝子を特定するために用いられる方法である。この場合、トランスポゾンが挿入された集団が、所定の表現型の原因となる遺伝子を特定するのに用いられる。トランスポゾンタギングによれば、既知のDNA(deoxyribonucleic acid)配列(タグ)を用いてゲノム中の遺伝子を破壊するため、既知のDNAの配列をよりどころとしてインバースPCR(Polymerase Chain Reaction)、プラスミドレスキュー、及び、TAIL−PCR等の手法を用いて容易にタグが挿入された近傍のゲノム配列を得ることができるため、容易に変異の解析を行うことができる。
このような技術として、特許文献1には、「以下の工程を含む、トランスポゾン集団のメンバーにおける関心ある遺伝子または配列に関連した挿入の同定のための方法: (a) 個々にまたはプール中にて、トランスポゾン集団のゲノムDNAを単離すること; (b) 任意に、工程(a)で得られるDNAをプールすること; (c) 1以上、好ましくは2以上、最も好ましくは2つの制限酵素(好ましくはその少なくとも1つが、トランスポゾンを切断しない高頻度切断制限エンドヌクレアーゼであり、好ましくは少なくとも1つが、トランスポゾンで切断する希少切断制限酵素である)を使用してDNAを制限処理し、制限断片にアダプターを結合し、それによってアダプター結合制限断片を作製すること; (d) 一対の(任意に、ラベルした)プライマーを用いてアダプター結合制限断片を増幅すること、ここにおいて、プライマーの1つは、(既知の)トランスポゾン配列の一部に相補的(ハイブリダイズ可能)であるセクションを含み、更にシーケンスプライマー結合部位を含み、ここにおいて他方のプライマーは少なくともアダプターに相補的であり、ここにおいて一方または両方のプライマーはタグを含む; (e) 任意に、工程(d)の増幅産物をプールし、増幅産物のライブラリーを構築すること; (f) 任意に、ライブラリー中の増幅産物を断片化すること; (g) ハイスループットシーケンシングを使用して、(d)、(e)または(f)の断片のヌクレオチド配列を決定すること; (h) 任意に、in silicoで断片の配列を整え、それによって何れかのアダプターおよび/またはトランスポゾンに関連した配列情報を削除すること; (i) データベースからヌクレオチド配列をアライニングできる、工程(g)または(h)の1以上の断片を同定し、それによってデータベースからのヌクレオチド配列と関心ある表現型との相関関係を示すこと; (j) 工程(i)の断片を含んでいるトランスポゾン集団のメンバーを同定すること; (k) 任意に、工程(i)の断片に基づいてプローブまたはPCRプライマーペアを設計し、およびそれを使用して(j)で同定されたメンバーのゲノムの関心ある遺伝子におけるトランスポゾン挿入を確認すること。」が記載されている。
特表2009−515518号公報
ランダムに挿入されたトランスポゾンによって破壊された遺伝子が、表現型にどのような影響を及ぼすかを調べるためには、トランスポゾンが挿入された集団に含まれる多数の変異体の表現型を網羅的に調べる必要があり、これが遺伝子の特定の律速となっていた。
近年、電気化学的特性に関与する遺伝子が、様々な細菌における病原菌としての特性の発現(病原性の発現)に関与していることを本発明者は知見している。このような遺伝子がコードするタンパク質は将来的にドラッグターゲットとなり得るタンパク質であり、対象生物のゲノムDNAにおける上記遺伝子の迅速な特定が望まれている。
しかし、この場合、目的の遺伝子が破壊された特定変異体を探索するためには、多数の変異体について表現型としての電気化学的特性を測定しなければならず、多くの時間が必要であり、迅速な遺伝子特定の妨げとなっていた。
そこで、本発明は、対象生物のゲノムDNAに含まれる電気化学的特性に関与する遺伝子が破壊された特定変異体を容易かつ迅速に取得できるスクリーニング装置を提供することを課題とする。また、本発明は、スクリーニング方法、及び、マルチウェルプレートを提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] 対象生物のゲノムDNAに含まれる電気化学的特性に関与する遺伝子が破壊された特定変異体を取得するためのスクリーニング装置であって、上記ゲノムDNAにトランスポゾンが挿入された集団から選択される1種類の変異体を含む試験液がそれぞれ収容される複数のウェルの底部に配置された、上記試験液と接触する少なくとも2つの電極と電気的に接続され、上記電気化学的特性を上記ウェル毎に測定する測定部と、上記ウェル毎に測定された上記電気化学的特性を基準と比較し、上記ウェル収容された上記変異体が上記特定変異体であるか否かを判断する変異体判断部と、を有するスクリーニング装置。
[2] 上記電気化学的特性が、電子伝達機能である、[1]に記載のスクリーニング装置。
[3] 上記電子伝達機能が、細胞外電子伝達機能である、[2]に記載のスクリーニング装置。
[4] 上記測定部において測定される上記電気化学的特性が、上記対象生物により生成される電流値である、[1]〜[3]のいずれかに記載のスクリーニング装置。
[5] 上記対象生物が、細菌、真菌、酵母、及び、動物細胞からなる群より選択される少なくとも1種である[1〜4のいずれかに記載のスクリーニング装置。
[6] 対象生物のゲノムDNAにトランスポゾンが挿入された集団から選択される1種類の変異体を含む複数の試験液を、上記試験液を収容可能であって、収容された上記試験液と接するよう底部に配置された少なくとも2つの電極を有する複数のウェルにそれぞれ収容することと、それぞれの上記試験液について上記ウェル毎に電気化学的特性を測定することと、測定された上記電気化学的特性を基準と比較し、それぞれの上記ウェルに収容された上記変異体が、上記対象生物のゲノムDNAに含まれる上記電気化学的特性に関与する遺伝子が破壊された特定変異体であるか否かを判断するための情報を提供することと、を含む、スクリーニング方法。
[7] 上記電気化学的特性が、電子伝達機能である、[6]に記載のスクリーニング方法。
[8] 上記電子伝達機能が、細胞外電子伝達機能である、[7]に記載のスクリーニング方法。
[9] 上記電気化学的特性が、上記対象生物により生成される電流値である、[6]〜[8]のいずれかに記載のスクリーニング方法。
[10] 上記対象生物が、細菌、真菌、酵母、及び、動物細胞からなる群より選択される少なくとも1種である[6]〜[9]のいずれかに記載のスクリーニング方法。
[11] 上記複数のウェルが二次元アレイ状に配置されてなるマルチウェルプレートを構成する、[6]〜[10]いずれかに記載のスクリーニング方法。
[12] 対象生物のゲノムDNAに含まれる電気化学的特性に関与する遺伝子が破壊された特定変異体を取得するために上記ゲノムDNAにトランスポゾンが挿入された集団から選択される1種類の変異体を含む試験液を収容し、上記試験液ごとに電気化学的特性を測定するために使用されるマルチウェルプレートであって、二次元アレイ状に配置された複数のウェルと、それぞれの上記ウェルの底部に配置された少なくとも2つの電極とを有するマルチウェルプレート。
[13] 上記電気化学的特性が、電子伝達機能である、[12]に記載のマルチウェルプレート。
[14] 上記電子伝達機能が、細胞外電子伝達機能である、[13]に記載のマルチウェルプレート。
[15] 上記電気化学的特性が、上記対象生物により生成される電流値である、[12]〜[14]のいずれかに記載のマルチウェルプレート。
本発明によれば、対象生物のゲノムDNAに含まれる電気化学的特性に関与する遺伝子が破壊された特定変異体を容易かつ迅速に取得できるスクリーニング装置を提供できる。また、本発明によれば、スクリーニング方法、及び、マルチウェルプレートも提供できる。
本発明の実施形態に係るスクリーニング装置のブロック図である。 本発明の実施形態に係るスクリーニング装置のハードウェア構成図である。 電極付きマルチウェルプレートの分解斜視図である。 電極付マルチウェルプレートの平面図である。 ウェルの拡大平面図と、その裏面を示す図である。 本発明の実施形態に係るスクリーニング方法のフロー図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[用語の定義]
本明細書で使用される用語の定義を以下に示す。なお、下記のとおり本明細書で特別に定義される場合を除いて、使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者が通常理解する意味と同一の意味を有するものとする。
(トランスポゾン)
トランスポゾンは、単一細胞のゲノム内の異なる位置を動き回ること(トランスポジション(transposition))ができるDNAの配列を意味する。トランスポゾンは変異を引き起こし、ゲノムDNAを変化させることができる。トランスポゾンはまた、「ジャンピング遺伝子」又は「可動性遺伝因子」と呼ばれる。
本明細書におけるトランスポゾンには、可動性遺伝因子、又は、レトロトランスポゾンとして、RNAに転写され、その後、逆転写酵素によってDNAに戻されることによりゲノムDNA中を移動するもの(クラスI);可動性遺伝因子として、ゲノムDNA中においてそれらを「カット・アンド・ペースト」するトランスポザーゼを用いて、ゲノムDNA内をある位置から別の位置へと直接移動するもの(クラスII);を含む。
なお、トランスポジションは、トランスポゾンの1つのコピーがドナー部位に残り、別のコピーが標的部位に挿入されるプロセスであってもよいし、トランスポゾンが1部位から切り出され、別の部位に挿入されるプロセスであってもよい。
(トランスポゾンが挿入された集団)
トランスポゾンが挿入された集団とは、対象生物由来の個体の集団であって、それぞれがそのゲノムDNA中にトランスポゾンを保持し、トランスポゾンが1つ以上の遺伝子に影響を及ぼし、異なる表現型がもたらされる可能性がある個体の集団を意味する。
本明細書においては、トランスポゾンが挿入されたことにより、ゲノムDNAの一部の塩基配列が変化した個体を変異体という。
すなわち、本明細書においてトランスポゾンが挿入された集団は、トランスポゾンの挿入により得られた変異体の集団と同義である。
なお、対象生物としては特に制限されないが、典型的には、細菌、真菌、酵母、及び、動物細胞等が好ましい。
(特定変異体)
特定変異体は、上記変異体のうち、ゲノムDNAに含まれる電気化学的特性(典型的には電子伝達)に関与する遺伝子が破壊された変異体を意味する。公知の方法により特定変異体の変異の解析を行うことで、電気化学的特性に関与する遺伝子の特定ができる。
なお、本明細書中において、電子伝達に関与する遺伝子とは、例えば、電子伝達に関与するタンパク質をコードする遺伝子を意味し、上記タンパク質は、典型的には、対象生物の電子伝達反応に寄与する各種酵素、及び、膜タンパク質等を意味する。
また、電子伝達に関与する遺伝子は上記に制限されず、電子ドナーの酸化に関与する遺伝子、電極表面への付着に関与する遺伝子、及び、電子アクセプターの還元に関与する遺伝子等であってもよい。
[スクリーニング装置]
本発明の実施形態に係るスクリーニング装置は、対象生物のゲノムDNAに含まれる電気化学的特性に関与する遺伝子が破壊された特定変異体を取得するためのスクリーニング装置であって、ゲノムDNAにトランスポゾンが挿入された集団から選択される1種類の変異体を含む試験液がそれぞれ収容される複数のウェルの底部に配置された、試験液と接触する少なくとも2つの電極と電気的に接続され、電極と対象生物との間に流れる電流値をウェル毎に測定する測定部と、ウェル毎に測定された電気化学的特性を基準と比較し、上記ウェルに収容された変異体が特定変異体であるか否を判断する変異体判断部と、を有する。
図1は本発明の実施形態に係るスクリーニング装置(本スクリーニング装置)のブロック図であり、図2は本装置のハードウェア構成図である。
図1に示す装置10は、測定部11と、変異体判断部12と、制御部13と、表示装置14a、及び、入力装置14bからなる入出力装置14と、で構成されている。ユーザーは、表示装置14aに表示される内容に従って入力装置14bを操作することによって、スクリーニングの解析開始、終了、及び、結果の閲覧等ができる。
測定部11は、ウェル15−1からウェル15−96までの96個のウェルがそれぞれにその底部に有する電極と電気的に接続可能に構成されている。例えば、ウェル15−1は、その底部に作用電極16−1a、参照電極16−1b、及び、対電極16−1cを有しており、これらが測定部11と電気的に接続され、測定時には、ウェル15−1からウェル15−96までの96個のウェルがそれぞれにその底部に有する電極と電気的に接続される。
上記各ウェルには、それぞれ、ゲノムDNAにトランスポゾンが挿入された集団から選択される1種類の変異体を含む試験液が収容されており、測定部11は、ウェル毎に、電気化学的特性が測定でき、例えば、作用電極16−1aと対象生物との間に流れる電流値を測定できる。
図2のハードウェア構成図に示したとおり、制御部13は、プロセッサ13a、及び、記憶装置13bとを有しており、変異体判断部12は、記憶装置13bに格納されたプログラムと、プロセッサ13aとに対応している。また、測定部11は制御部13により制御される。各ウェルは、二次元アレイ構造を有する電極付きマルチウェルプレート17を構成している。測定部11は電極付きマルチウェルプレート17の底部にウェル毎に独立して配置された電極(作用電極WE、参照電極RE、及び、対電極CE)と電気的に接続されている。
プロセッサ13aはプロセッサである。例えば、プロセッサ13aは、プロセッサ(CPU)、マイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、ASIC(application−specific integrated circuit)、FPGA(field programmable gate array)、及び、GPGPU(General−purpose computing on graphics processing units)等が挙げられるが、上記に限定されない。
プロセッサ13aは、記憶装置13bに記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って、測定部11を制御し、並びに、所定の演算処理を実施することができる。
また、プロセッサ13aは、プログラムに従った演算結果を、記憶装置13bに適宜書き込んだり読み出したりすることができる。
記憶装置13bのストレージ機能は、例えばHDD(ハードディスクドライブ)及びSSD(ソリッドステートドライブ)といった不揮発性メモリによって実現される。また、記憶装置13bは、プロセッサ13aによる演算処理の途中経過等を書き込む又は読み出すためのメモリとしての機能を有していてもよい。記憶装置13bのメモリ機能は、RAM(ランダムアクセスメモリー)やDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリー)といった揮発性メモリにより実現される。典型的には、プロセッサ13a、及び、記憶装置13bはコンピュータを構成している。
なお、入出力装置14、及び、制御部13は、タブレット端末であってもよい。タブレット端末は測定部11と有線で接続されていてもよいし、近距離無線通信によって相互に通信可能に構成されていてもよい。
図3は、電極付きマルチウェルプレートの分解斜視図であり、図4は、電極付マルチウェルプレートの平面図である。電極付きマルチウェルプレート30は、プレート上部31と、プレート底部38とから構成されている。
プレート上部31は、上部基材32、外壁33、上部表面34(図4参照)、内面35を有する壁36によって構成されている。電極付きマルチウェルプレート30のプレート上部31は円筒状の貫通孔Hを有し、貫通孔Hの側面は壁36の内面35で画定される。プレート上部31は、プレート上部31とともにウェル37(図4参照)を画定するプレート底部38と組み合わされている。
プレート底部38は、下部基板39と、下部基板39上に配置された作用電極40、対電極41、及び、参照電極42とを有しており、プレート上部31と組み合わされることで、貫通孔Hの一方の開口が塞がれ、その結果、上部に開口を有する円筒状のウェル37が画定される。
電極付きマルチウェルプレート30は、96個のウェルを有するマルチウェルプレートとして構成されているが、本装置に用いられるマルチウェルプレートが有するウェルの個数は上記に制限されず、例えば、1個、6個、24個、96個、384個、1536個、6144個、及び、9600個等であってもよい。また、各ウェルの体積は、10nL〜10mLの範囲であることが好ましい。
図4に示したとおり、ウェル37は、内面35を有する壁36、作用電極40、対電極41、及び、参照電極42を有する。図4に示すように、壁36の内面35によって円筒形の体積が画定される。この円筒形の部分に試験液が収容される。対電極41は、この円筒形体積の底部で、内面35と円形の作用電極40との間の環状の領域内に延びている。
図5は、ウェルの拡大平面図と、その裏面を示す図である。作用電極40、対電極41、及び、参照電極42は、ウェル内のプレート底部に設けられたビアホールによって、作用電極、対電極、及び、参照電極のそれぞれに対応する裏面の配線51、52、53とそれぞれ接続されており、裏面の各配線は、接続端子54、55、56を有しており、上記電極端子を介して測定部11と接続され、ウェル毎の電気化学測定を実施できる。
プレートの材料としては特に制限されないが、ポリエチレン、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、及び、ポリスチレン等の樹脂が好ましい。
電極、配線、及び、接続端子の材料としては特に制限されないが、白金、金、ITO(酸化インジウムスズ)、炭素、及び、導電性高分子等を用いることができる。
各ウェルには、トランスポゾンが挿入された集団から選択された1種類の個体(変異体)を含む試験液が収容される。試験液は、1種類の変異体と、媒体と、を含む。この媒体は、対象生物が細菌等である場合、典型的には水、緩衝液、及び、液体培地等であればよい。
各ウェルに対して変異体を含有する試験液を収容する方法としては、典型的には、対象生物が細菌である場合、公知の方法によりゲノムDNAにランダムにトランスポゾン、及び、薬剤耐性遺伝子が挿入された変異体を含む集団を、例えば、上記薬剤を含有する培地に接種して、所定の期間培養し、得られたコロニーを個別に取得して、緩衝液、又は、液体培地とともに収容する方法が挙げられる。
このとき、コロニーを取得する方法としては特に制限されないが、自動釣菌装置(コロニーピッカー)等を用いてもよい。自動釣菌装置は、培養後の菌体をコロニー単位で画像認識し、コロニー毎に取得するための装置である。公知のトランスポゾンタギング方法により得られたコロニーには、それぞれ1種類の変異体が含まれるため、これを自動釣菌装置で個別に取得すればよい。
より正確な測定が可能な点では、取得した変異体を培養用のマルチウェルプレートのウェル毎に採取し、各ウェルに液体培地等を加えて一定期間培養したのち、その後、本装置で使用する電極付きマルチウェルプレートに収容することが好ましい。上記のようにすれば、試験液中の菌数の差に起因する測定誤差を補正できるので、より正確な測定が可能になる。
なお、自動釣菌装置としては、特開2011−239683号公報等に記載された装置を用いることができる。
制御部13によって制御された変異体判断部12は、同じく制御部13によって制御された測定部11によって測定されたウェル毎の電気化学的特性を基準と比較して、ウェル37の収容された変異体が特定変異体か否かを判断するための情報を出力する。
電気化学的特性が電子伝達機能である場合、典型的には(対象生物により)対象生物と作用電極との間に生成される電流値をウェル毎に基準と比較する形態が挙げられる。
とくに、ある種の細菌が細胞外の電子受容体に対して電子を伝達する機能である細胞外電子伝達機能は、様々な疾病との関連性が検討されている。このような細菌は、細胞外膜に電子伝達経路を担うタンパク質が発現している場合があり、これをコードする遺伝子を特定することは、様々な疾病の治療薬の開発等にとって有用である。この点において、電気化学的特性としては細胞外電子伝達機能であることが好ましい。
なお、本明細書において電極間に生成される電流値とは、測定値、又は、測定値から計算等により求められる値を意味する。
測定値から計算等により求められる値とは、得られる測定値の最大値、測定時間の変化に対する測定値の変化、印加電圧の変化に対する測定値の変化、及び、測定値の二階微分等を意味する。
基準は、上記電気化学的特性(典型的には電流の測定値)に対応して、予め定められた値であってもよいし、各ウェルの測定値の相互の関係から計算される値であってもよい。各ウェルの測定値の相互の関係から計算される値としては、例えば、各ウェルの測定値の最大値を、測定した全ウェル分で算術平均した平均値等が挙げられる。
制御部13により制御された変異体判断部12は、上記値と基準とを比較して、例えば、所定のウェルにおける上記値が基準未満である場合に、上記ウェルの試験液に含まれる変異体を特定変異体と判断するための情報を出力する。
特定変異体は、例えば、電流生成能が通常より低い変異体であり、この変異体は、電流生成能に関わる何らかの遺伝子が働かなくなっている可能性が高い。すなわち、電子伝達に関与する遺伝子が破壊されている特定変異体である可能性が高い。
変異体判断部12から出力された情報は、ウェルの識別記号(マイクロプレート中におけるウェルの位置等)と合わせて、ウェル毎に表示装置14aに表示され、ユーザーは、上記表示装置14aの表示内容から、特定変異体が含まれる可能性が高いウェルを把握できる。その後、上記ウェルから変異体を抽出し、変異の解析、及び、遺伝子の同定を行えばよい。なお、遺伝子の同定は、従来のトランスポゾンタギングにおいて行われている公知の手法、例えば、対象生物の既知DNAの配列をよりどころとしてインバースPCR、プラスミドレスキュー、及び、TAIL−PCR等によってタグが挿入された近傍のゲノム配列を得て、変異を解析すればよい。
次に、スクリーニング装置10の動作について説明する。
まず、対象生物のゲノムDNAにトランスポゾンが挿入された集団から選択される1種類の変異体を含む複数の試験液が各ウェルに収容された電極付きマルチウェルプレート30が準備される。次に、各ウェルに配置された電極が、測定部11と接続される。次に、典型的にはユーザー操作によって入力装置14bから測定開始の指示が出される。次に、制御部13に制御された測定部11によって各ウェルに収容された試験液の電気化学特性が測定される。次に、制御部13に制御された変異体判断部12によって上記測定された電気化学特性が基準と比較され、各ウェルに収容された変異体が特定変異体であるか否かを判断するための情報が提供され、これが、表示装置14aから出力される。
[スクリーニング方法]
本発明の実施形態に係るスクリーニング方法(以下、「本スクリーニング方法」ともいう。)は、対象生物のゲノムDNAにトランスポゾンが挿入された集団から選択される1種類の変異体を含む複数の試験液を、上記試験液を収容可能であって、収容された上記試験液と接するよう底部に配置された少なくとも2つの電極を有する複数のウェルにそれぞれ収容することと(試験液収容工程)、それぞれの上記試験液について上記ウェル毎に電気化学的特性を測定することと(測定工程)、測定された上記電気化学的特性を基準と比較し、それぞれの上記ウェルに収容された上記変異体が、上記対象生物のゲノムDNAに含まれる電気化学的特性に関与する遺伝子が破壊された特定変異体であるか否かを判断するための情報を提供することと(判断工程)、を含む、スクリーニング方法である。
図6は、本スクリーニング方法のフロー図である。すでに説明した方法によって準備された試験液は、電極付きマルチウェルプレート30の各ウェル37に収容される(S601)。試験液の収容はユーザー操作によって行われてもよく、自動分注装置等によって行われてもよい。試験液が各ウェル37に収容されると、底部に配置された電極、配線、及び、接続端子を介して、スクリーニング装置10の測定部11と電気的に接続される。
次に、スクリーニング装置10によって、上記試験液について、上記ウェル37毎に各試験液の電気化学的特性が測定される(S602)。このとき測定される電気化学的特性としては特に制限されないが、対象生物のゲノムDNAに含まれる電子伝達機能であることが好ましく、細胞外電子伝達機能であることがより好ましく、より具体的には、上記対象生物により生成される電流値(典型的には試験液中の対象生物と作用電極との間の電子移動に由来する電流値)であることが好ましい。
次に、測定された上記電気化学的特性を基準と比較(S603)し、それぞれの上記ウェルに収容された上記変異体が、上記対象生物のゲノムDNAに含まれる電気化学的特性に関与する遺伝子が破壊された特定変異体であるか否かを判断するための情報が提供される。
より具体的には、基準を満たす(S603:YES)場合、測定された試験液に含まれる変異体が特定変異体であると判断するための情報が提供され(S604)、基準を満たさない場合(S603:NO)、測定された試験液に含まれる変異体が特定変異体ではないと判断するための情報が提供される(S605)。なお、上記基準、及び、提供される情報としてはすでに説明したとおりである。
本装置によれば対象生物のゲノムDNAに含まれる電気化学的特性に関与する遺伝子が破壊された特定変異体を容易かつ迅速に取得できるスクリーニング装置を提供できる。
10 :スクリーニング装置
11 :測定部
12 :変異体判断部
13 :制御部
13a :プロセッサ
13b :記憶装置
14 :入出力装置
14a :表示装置
14b :入力装置
15−1 :ウェル
15−96 :ウェル
16−1a、40 :作用電極
16−1b、42 :参照電極
16−1c、41 :対電極
17、30 :電極付きマルチウェルプレート
31 :プレート上部
32 :上部基材
33 :外壁
34 :上部表面
35 :内面
36 :壁
37 :ウェル
38 :プレート底部
39 :下部基板
51、52、53 :配線
54、55、56 :接続端子

Claims (15)

  1. 対象生物のゲノムDNAに含まれる電気化学的特性に関与する遺伝子が破壊された特定変異体を取得するためのスクリーニング装置であって、
    前記ゲノムDNAにトランスポゾンが挿入された集団から選択される1種類の変異体を含む試験液がそれぞれ収容される複数のウェルの底部に配置された、前記試験液と接触する少なくとも2つの電極と電気的に接続され、前記電気化学的特性を前記ウェル毎に測定する測定部と、
    前記ウェル毎に測定された前記電気化学的特性を基準と比較し、前記ウェルに収容された前記変異体が前記特定変異体であるか否かを判断する変異体判断部と、を有するスクリーニング装置。
  2. 前記電気化学的特性が、電子伝達機能である、請求項1に記載のスクリーニング装置。
  3. 前記電子伝達機能が、細胞外電子伝達機能である、請求項2に記載のスクリーニング装置。
  4. 前記測定部において測定される前記電気化学的特性が、前記対象生物により生成される電流値である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスクリーニング装置。
  5. 前記対象生物が、細菌、真菌、酵母、及び、動物細胞からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクリーニング装置。
  6. 対象生物のゲノムDNAにトランスポゾンが挿入された集団から選択される1種類の変異体を含む複数の試験液を、
    前記試験液を収容可能であって、収容された前記試験液と接するよう底部に配置された少なくとも2つの電極を有する複数のウェルに、それぞれ収容することと、
    それぞれの前記試験液について前記ウェル毎に電気化学的特性を測定することと、
    測定された前記電気化学的特性を基準と比較し、それぞれの前記ウェルに収容された前記変異体が、前記対象生物のゲノムDNAに含まれる前記電気化学的特性に関与する遺伝子が破壊された特定変異体であるか否かを判断するための情報を提供することと、を含む、スクリーニング方法。
  7. 前記電気化学的特性が、電子伝達機能である、請求項6に記載のスクリーニング方法。
  8. 前記電子伝達機能が、細胞外電子伝達機能である、請求項7に記載のスクリーニング方法。
  9. 前記電気化学的特性が、前記対象生物により生成される電流値である、請求項6〜8のいずれか1項に記載のスクリーニング方法。
  10. 前記対象生物が、細菌、真菌、酵母、及び、動物細胞からなる群より選択される少なくとも1種である請求項6〜9のいずれか1項に記載のスクリーニング方法。
  11. 前記複数のウェルが二次元アレイ状に配置されてなるマルチウェルプレートを構成する、請求項6〜10いずれか1項に記載のスクリーニング方法。
  12. 対象生物のゲノムDNAに含まれる電気化学的特性に関与する遺伝子が破壊された特定変異体を取得するために前記ゲノムDNAにトランスポゾンが挿入された集団から選択される1種類の変異体を含む試験液を収容し、前記試験液ごとに電気化学的特性を測定するために使用されるマルチウェルプレートであって、
    二次元アレイ状に配置された複数のウェルと、それぞれの前記ウェルの底部に配置された少なくとも2つの電極とを有するマルチウェルプレート。
  13. 前記電気化学的特性が、電子伝達機能である、請求項12に記載のマルチウェルプレート。
  14. 前記電子伝達機能が、細胞外電子伝達機能である、請求項13に記載のマルチウェルプレート。
  15. 前記電気化学的特性が、前記対象生物により生成される電流値である、請求項12〜14のいずれか1項に記載のマルチウェルプレート。

JP2019159439A 2019-09-02 2019-09-02 スクリーニング装置、スクリーニング方法、及び、マルチウェルプレート Pending JP2021036806A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019159439A JP2021036806A (ja) 2019-09-02 2019-09-02 スクリーニング装置、スクリーニング方法、及び、マルチウェルプレート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019159439A JP2021036806A (ja) 2019-09-02 2019-09-02 スクリーニング装置、スクリーニング方法、及び、マルチウェルプレート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021036806A true JP2021036806A (ja) 2021-03-11

Family

ID=74846731

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019159439A Pending JP2021036806A (ja) 2019-09-02 2019-09-02 スクリーニング装置、スクリーニング方法、及び、マルチウェルプレート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021036806A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Kircher et al. Saturation mutagenesis of twenty disease-associated regulatory elements at single base-pair resolution
Puddu et al. Genome architecture and stability in the Saccharomyces cerevisiae knockout collection
Steinmetz et al. Maximizing the potential of functional genomics
Doench Am I ready for CRISPR? A user's guide to genetic screens
Sarzynski et al. Genomic and transcriptomic predictors of response levels to endurance exercise training
Ehrenreich et al. Dissection of genetically complex traits with extremely large pools of yeast segregants
Frousios et al. Predicting the functional consequences of non-synonymous DNA sequence variants—evaluation of bioinformatics tools and development of a consensus strategy
Wang et al. Single-molecule long-read sequencing reveals the chromatin basis of gene expression
Magi et al. Characterization of MinION nanopore data for resequencing analyses
Hughes et al. Mapping yeast transcriptional networks
Li et al. Inferring gene transcriptional modulatory relations: a genetical genomics approach
Tyler et al. The detection and characterization of pleiotropy: discovery, progress, and promise
Hughes et al. Segregating variation in the transcriptome: cis regulation and additivity of effects
Wang et al. Experimental validation of predicted mammalian erythroid cis-regulatory modules
Findlay Linking genome variants to disease: scalable approaches to test the functional impact of human mutations
Smith et al. Competitive genomic screens of barcoded yeast libraries
Olden et al. Genomics: implications for toxicology
Ziv et al. Resolving the complex genetic basis of phenotypic variation and variability of cellular growth
Shendure et al. Massively parallel genetics
Charlesworth et al. Hubby and Lewontin on protein variation in natural populations: when molecular genetics came to the rescue of population genetics
Baker The changes that count
Young et al. The role of functional data in interpreting the effects of genetic variation
Zhao et al. Optimization of cell lines as tumour models by integrating multi-omics data
Rawlik et al. Imputation of DNA methylation levels in the brain implicates a risk factor for Parkinson’s disease
Deleye et al. Massively parallel sequencing of micro-manipulated cells targeting a comprehensive panel of disease-causing genes: A comparative evaluation of upstream whole-genome amplification methods

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220727

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230621

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230711

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240109