JP2021025562A

JP2021025562A - カップリング

Info

Publication number: JP2021025562A
Application number: JP2019142661A
Authority: JP
Inventors: 政弘池田; Masahiro Ikeda
Original assignee: Nok Corp
Current assignee: Nok Corp
Priority date: 2019-08-02
Filing date: 2019-08-02
Publication date: 2021-02-22

Abstract

【課題】カップリング、とくに回転方向バネの二段階特性を発揮するカップリングにおいて、ハウジングの爪片間に配置されるゴム状弾性体よりなる弾性体片の耐久性を向上させる。【解決手段】駆動側爪片６２を備える駆動側ハウジングおよび従動側爪片７２を備える従動側ハウジングの間に介装されるカップリング１であって、ゴム状弾性体よりなる弾性体片３１のほかに、金属製の板バネ５１を両爪片６２，７２の間に配置する。そして、両爪片６２，７２の何れか一方または双方と弾性体片３１との間に回転方向の初期隙間ｃ１を設定することにより、板バネ５１の圧縮作動を先行させ、上述の二段階特性を発揮する。板バネ５１は、ストレート部５２の一端に円弧形を呈する板バネ作用部５３を備えるとともにストレート部５２の他端に円弧形を呈するアンカー部を備えることにより、Ｓ字形の部品とされる。【選択図】図５

Description

本発明は、カップリングに関する。

一般的にエンジンからの動力伝達および変速時のショック低減を担うカップリング（シャフトカップリング）は、当該カップリングを装着するハウジング形状に合わせた設計を行っており、捩り角−捩りトルク線図において図６に示すような二段階Ａ，Ｂに亙る作動特性（二段階特性）が必要とされる。

カップリングおよびその装着の構造としては図７および図８に示すように、駆動軸（図示せず）に接続する駆動側ハウジング６１に駆動側爪片６２が設けられるとともに、従動軸（図示せず）に接続する従動側ハウジング７１に従動側爪片７２が設けられ、両爪片６２，７２の間にカップリング１０１の弾性体片１０２が配置される。

そして、駆動軸の駆動により両軸に捩り角が発生して両爪片６２，７２が回転方向に相対変位すると、両爪片６２，７２によって弾性体片１０２が圧縮され、一段階目Ａの特性が発揮される。

また、捩り角が増大して両爪片６２，７２がさらに回転方向に相対変位すると、ハウジング容積に対し弾性体片１０２の体積が同等になることで非線形領域に移行し、二段階目Ｂの特性が発揮される。

また、上述の二段階特性に対し、弾性体片１０２の側面に肉抜き部１０３や突起部１０４を設けることにより、所望の剛性を得る手法も開発されている。

特開２００６−２５０２７５公報

上記構成のカップリング１０１は、ゴム状弾性体の単体で形成され、ゴム状弾性体のみにより形成されている。したがって、ゴム状弾性体であるがゆえにその材質如何によっては、繰り返しの荷重入力や経年のヘタリにより図９に示すような変形を生じることがあり（実線で示す初期形状が点線で示すように変形する）、この場合、ゴムバネとしての特性が変化してしまうことがあるので、その対策が求められる。

また、ハウジング６１の形状として、軽量化等を考慮して近年、弾性体片１０２の外周側に外壁を設けずに弾性体片１０２の外周側を開放空間６３とすることがある。この場合、高速回転により発生する遠心力によって弾性体片１０２が径方向外方へ向けて大きく変形し、破損に至ることがある。したがってこのように弾性体片１０２が大きく変形することがないよう、その対策が求められる。

本発明は、カップリング、とくに回転方向バネの二段階特性を発揮するカップリングにおいて、ハウジングの爪片間に配置されるゴム状弾性体よりなる弾性体片の耐久性を向上させることを課題とする。

本発明のカップリングは、駆動側爪片を備える駆動側ハウジングおよび従動側爪片を備える従動側ハウジングの間に介装されるカップリングであって、ゴム状弾性体よりなるボス部の外周面に一体に設けられ、前記両爪片の間に配置され、前記両爪片が回転方向に相対変位したときに前記両爪片によって圧縮される弾性体片と、前記弾性体片と共に前記両爪片の間に配置され、前記両爪片が回転方向に相対変位したときに前記両爪片によって圧縮される金属製の板バネと、を備え、前記両爪片の何れか一方または双方と前記弾性体片との間に回転方向の初期隙間を設定したことを特徴とする。

本発明では、上記構成により、カップリング、とくに回転方向バネの二段階特性を発揮するカップリングにおいて、ハウジングの爪片間に配置されるゴム状弾性体よりなる弾性体片の耐久性を向上させることが可能とされる。

実施の形態に係るカップリングの正面図同カップリングの斜視図同カップリングに備えられる板バネの斜視図同カップリングをハウジングに組み込むときの状態を示す斜視図同カップリングをハウジングに組み込んだ状態を示す説明図カップリングの一般的作動特性を示すグラフ図背景技術で説明したカップリングをハウジングに組み込むときの状態を示す斜視図背景技術で説明したカップリングの正面図同カップリングにおける不具合発生の状態を示す説明図

図１および図２に示すように、実施の形態に係るカップリング１は、所定のゴム状弾性体よりなるカップリング本体１１と、所定の金属よりなる板バネ５１とを備え、これらカップリング本体１１および板バネ５１の組み合わせよりなるシャフトカップリングとして構成されている。

カップリング本体１１は、ゴム状弾性体よりなる円板状ないし円環状のボス部（つなぎ部とも称する）２１を備え、このボス部２１の外周面に径方向外方へ向けて突起状を呈する弾性体片（主弾性体片または玉部とも称する）３１が円周上複数、等配状（例えば５等配）に一体に設けられている。

また、同じくボス部２１の外周面に径方向外方へ向けて突起状を呈するバックラッシュ緩和用（および／または反対回りの回転用）の弾性体片（副弾性体片またはストッパー部とも称する）４１が円周上複数、等配状（例えば５等配）に一体に設けられている。

主弾性体片３１および副弾性体片４１は、互いに同数が設けられるとともに円周上交互に設けられている。したがってカップリング本体１１は全体としてこれを正面から見て、星形の部品として形成されているので、当該カップリング１は星形カップリングとも称される。

主弾性体片３１に対し、板バネ５１が組み付けられ、主弾性体片３１のそれぞれに対して、板バネ５１が１つずつ組み付けられている。

図３に示すように、板バネ５１は、所定の長さを備える平板状のストレート部５２を有し、このストレート部５２の一方の端部に円弧形を呈する板バネ作用部５３が一体に設けられるとともに、他方の端部に同じく円弧形を呈するアンカー部５４が一体に設けられている。板バネ作用部５３およびアンカー部５４は互いに曲げの方向を反対向きとされているので、板バネ５１は全体としてこれを正面から見て、Ｓ字形をなす部品として形成されている。Ｓ字形をなす部品は金属部品としてのバランスが良く、またプレス加工しやすい。

板バネ５１は、ストレート部５２が主弾性体片３１における回転方向Ｒ後方側の側面３１ａに接するように配置され、アンカー部５４が主弾性体片３１またはボス部２１に埋設されることにより、これら主弾性体片３１またはボス部２１によって保持されている。板バネ作用部５３は、その回転方向幅ないし角度が主弾性体片３１よりも大きく形成されているので、主弾性体片３１の外周側に配置され、主弾性体片３１をその外周側から接触することなく覆うことが可能とされている。

図４および図５に示すように、カップリング１は、トルク伝達系における駆動軸（図示せず）に連結される駆動側ハウジング６１と、従動軸（図示せず）に連結される従動側ハウジング７１との間に装着される。

従動側ハウジング７１に対面する駆動側ハウジング６１の対向面に、駆動側爪片６２が円周上複数、等配状（例えば５等配）に一体に設けられている。駆動側ハウジング６１に対面する従動側ハウジング７１の対向面に、従動側爪片７２が円周上複数、等配状（例えば５等配）に一体に設けられている。駆動側爪片６２および従動側爪片７２は互いに同数が設けられるとともに円周上交互に設けられている。したがって、カップリング１が両ハウジング６１，７１間のハウジング内部空間に装着されると、駆動側爪片６２の回転方向Ｒ前方側であってこの駆動側爪片６２と従動側爪片７２（７２Ａ）との間に主弾性体片３１および板バネ５１が配置され、駆動側爪片６２の回転方向Ｒ後方側であってこの駆動側爪片６２と従動側爪片７２（７２Ｂ）との間に副弾性体片４１が配置される。

また、主弾性体片３１および板バネ５１のうち、後者の板バネ５１は装着の初期状態においてすでに従動側爪片７２（７２Ａ）の側面７２ａに接触した状態とされるが、前者の主弾性体片３１は少なくともその外周部位の側面３１ｂが斜めにカットされた形状とされる等して従動側爪片７２（７２Ａ）の側面７２ａに接触することなく同側面７２ａとの間に回転方向Ｒの隙間が設定され、この隙間がカップリング１の二段階作動に関わる回転方向Ｒの初期隙間ｃ_１とされる。

図５は、上記駆動側ハウジング６１および従動側ハウジング７１間にカップリング１が装着された装着および作動の初期状態を示し、この初期状態では上記したように主弾性体片３１と従動側爪片７２との間に回転方向Ｒの初期隙間ｃ_１が設定されている。

そして、この初期状態からトルク伝達に際し、駆動軸および従動軸間に捩り角が発生して両爪片６２，７２が回転方向に相対変位すると、両爪片６２，７２によって板バネ５１が圧縮され、図６に示した低剛性の一段目Ａの作動特性が発揮される。

次いで、駆動軸および従動軸間の捩り角が増大して両爪片６２，７２がさらに回転方向に相対変位すると、上記初期隙間ｃ_１が消失して主弾性体片３１が従動側爪片７２の側面７２ａに接触し、両爪片６２，７２によって主弾性体片３１が圧縮され、一方、板バネ５１も圧縮され続ける。したがって図６に示した高剛性の二段目Ｂの作動特性が発揮される。

したがって上記構成のカップリング１は、回転方向Ｒのバネ特性ないし減衰特性について、一段目Ａおよび二段目Ｂに亙る二段階特性を発揮することが可能とされている。

また、上記構成のカップリング１によれば、以下の作用効果が発揮される。

上記構成により、初期の低剛性領域は金属製の板バネ５１で受け、変形が進むとゴム状弾性体よりなる主弾性体片３１で受ける構造となり、よってゴム状弾性体よりなる主弾性体片３１の変形をゴム状弾性体単体の場合よりも少なく抑えることが可能とされる。したがってゴム状弾性体よりなる主弾性体片３１にヘタリによる変形などの不具合が発生しにくく、主弾性体片３１、延いてはカップリング本体１１の耐久性を向上させることができる。

一般に金属は減衰が極端に小さく、よってそれ単一であると防振効果が薄れてしまうおそれがあるところ、減衰を持つゴム状弾性体と接することで、減衰作用を得ることが可能とされる。

対繰り返し疲労性を重要視する場合には、板バネ５１およびカップリング本体１１を接着することが望ましいが、上述の減衰を重要視する場合には、両者５１，１１を非接着とすることで、部材間（金属・弾性体間）の摩擦減衰を有効に得ることが可能とされる。

板バネ５１にアンカー部５４が設けられ、アンカー部５４がゴム状弾性体に埋設されているため、高速回転による遠心力が発生しても、板バネ５１がゴム状弾性体から脱落しにくく、一体化が保たれる。

ハウジング６１の形状として、軽量化等を考慮して主弾性体片３１の外周側に外壁が設けられずに主弾性体片３１の外周側が開放空間６３とされる場合であっても、主弾性体片３１の外周側に板バネ５１が配置され、板バネ５１が主弾性体片３１を覆うように配置されているため、主弾性体片３１の径方向外方へ向けての変形が板バネ５１により規制される。したがって、主弾性体片３１が過度の変形により破損するのを防止することができ、この点からしても主弾性体片３１、延いてはカップリング本体１１の耐久性を向上させることができる。

また、このように主弾性体片３１の外周側に板バネ５１が配置され、板バネ５１が主弾性体片３１を覆うように配置されているため、万一、主弾性体片３１が破損することがあっても主弾性体片３１は板バネ５１によって受け止められ、開放空間６３からハウジング６１，７１外部のほうへ飛び出すことがない。したがって破損が修理されるまでの間とりあえず、主弾性体片３１を介してのトルク伝達を続行することが可能とされる。

尚、上記構成のカップリング１において、カップリング本体１１および板バネ５１は、インサート成形法により一体化するのが好適である。この場合、両者を接着とするか非接着とするかは、とくに問わない。

ハウジング６１，７１との擦れを防止すべくハウジング６１，７１に対し板バネ５１が直接接触しないよう、板バネ５１の軸方向幅をカップリング本体１１の軸方向幅よりも小さく形成するのが好適である。

また、図３に示したように、板バネ作用部５３の軸方向幅ｗ_１をアンカー部５４の軸方向幅ｗ_２よりも大きく形成するようにしても良い。板バネ作用部５３については、円弧形を呈する正面形状を変更しなくてもその軸方向幅ｗ_１を変更するだけで、回転方向のバネ特性を調整することが可能とされる。

図５に示したように、駆動側爪片６２とその回転方向Ｒ前方側に組み付けられる板バネおよび主弾性体片３１との間に、回転方向Ｒの初期隙間を“あそび”ｃ_２として設けるようにしても良い。そしてこの場合には、この“あそび”ｃ_２の設定により、ハウジング６１，７１に対するカップリング１の組付作業を容易化することが可能とされる。

本発明のカップリングは例えば、スポーツボートまたは水上オートバイなどの船舶関係の推進装置に用いられる。また、本発明のカップリングは例えば、各種のトルク伝達機構に用いられる。

１カップリング
１１カップリング本体
２１ボス部
３１主弾性体片
３１ａ，３１ｂ，７２ａ側面
４１副弾性体片
５１板バネ
５２ストレート部
５３板バネ作用部
５４アンカー部
６１駆動側ハウジング
６２駆動側爪片
６３開放空間
７１従動側ハウジング
７２従動側爪片
ｃ_１初期隙間
ｃ_２あそび
Ｒ回転方向

Claims

駆動側爪片を備える駆動側ハウジングおよび従動側爪片を備える従動側ハウジングの間に介装されるカップリングであって、
ゴム状弾性体よりなるボス部の外周面に一体に設けられ、前記両爪片の間に配置され、前記両爪片が回転方向に相対変位したときに前記両爪片によって圧縮される弾性体片と、
前記弾性体片と共に前記両爪片の間に配置され、前記両爪片が回転方向に相対変位したときに前記両爪片によって圧縮される金属製の板バネと、
を備え、
前記両爪片の何れか一方または双方と前記弾性体片との間に回転方向の初期隙間を設定したことを特徴とするカップリング。
請求項１記載のカップリングにおいて、
前記板バネは、その一部が前記弾性体片または前記ボス部に埋設されることにより、前記弾性体片または前記ボス部によって保持されていることを特徴とするカップリング。
請求項２記載のカップリングにおいて、
前記板バネは、ストレート部の一端に円弧形を呈する板バネ作用部を備えるとともに前記ストレート部の他端に円弧形を呈するアンカー部を備えることにより、Ｓ字形の部品とされていることを特徴とするカップリング。