JP2021015278A - 歯科技能評価装置、及び歯科技能評価プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】歯科処置から生じる効果を正確に推測し、術者の歯科技能を正確に評価する。【解決手段】歯科技能評価装置5aは、人間の上顎及び下顎の少なくとも一方を模した模擬顎部11を有する歯科用模型1に対して術者が模擬的に行う歯科処置から術者の歯科技能を評価する。データ入力部31には、評価対象となる歯科処置を行っている間に歯科用模型1に加えられた圧力の大きさの時系列データである圧力データ21が入力される。効果演算部32は、過去に行われた歯科処置に係る圧力データ13と過去に行われた歯科処置から生じる効果の程度を示す効果データ14とを教師データとして用いて機械学習により生成された評価モデル4を用いて、データ入力部31に入力された圧力データから、評価対象となる歯科処置から生じる効果の程度を示す効果データを演算する。出力部33は、効果演算部32により演算された効果データを、歯科技能の評価結果として出力する。【選択図】図3
Description
本発明は、機械学習された評価モデルを用いた歯科技能評価装置、及び歯科技能評価プログラムに関するものである。
近年、歯科医師の国家試験は、その合格者数が減少し、その難易度が上昇したと言われている。これに伴い、受験者は、座学である試験対策の講義に多くの時間が取られ、その分、技能習得において重要な位置を占める、実際の患者に「触れて」学ぶ臨床実習の機会は減少傾向にある。
研鑽を積んだベテラン歯科医師は、巧みな機器操作によって治療効果を有意に上昇させるが、その経験から得た機器操作のノウハウは、画像データに基づく症例検討とは異なり、ベテラン歯科医師と歯科研修医との間で共有することは難しい。このため、歯科研修医は、実際の患者に「触れて」学ぶことで、手技の研鑽を積んでいた。
歯科研修医の不適切な機器操作によってもたらされる治療効果は想像に難くないだけでなく、極端に長い拘束時間を患者に強いることになる。不適切な機器操作は、怖々と患者の歯に触れることによる圧力不足が主要因である。具体的には、歯の切削時又は抜歯時などにおいて、必要な圧力を歯に加えられないために十分な治療効果が得られず、治療時間が長くなってしまう。
このように、歯科研修医が十分な臨床経験を積めない社会的な背景からも、患者に負担をかけずに手技の研鑽を積むスタイルへの脱却の機運が高まっている。
現在、歯科研修医は、病院外来に出る前に、技能習得のために歯科用マネキンを用いた模擬患者実習を行う。歯科用マネキンに関しては、昨今、特許文献2〜特許文献4に示す様々な先行技術が公開されている。特許文献2には、医療シミュレーション用ロボットの口部に着脱可能な上顎部及び下顎部の表面を確実に覆って外観を実際の人体に近づけたロボット用口腔形成体が開示されている。特許文献3には、人間に近い形で顎を動かすことができる歯科用マネキンが開示されている。特許文献4には、頭部の位置、動き、方向、頻度などをセンサで検知し、信号処理された結果を術者にフィードバックする歯科用マネキン及びシミュレーション装置が開示されている。
無論、上記した先行技術に係るマネキンは、その外観や動きがより人間に近づいたため、「模擬患者」としての劇的な学習効果が得られる。しかし、マネキンが示す動作は、画一化され、またその動作にはオペレータ(人間)の判断が介在しており、実際の術者の手技自体に連動していない。すなわち、歯科用マネキンを用いた模擬患者実習は、「患者と接するということはどういうことか」を術者に大枠で把握させるための位置づけであり、技能習得に対して十分とは言えない。
また、歯科臨床の中で、歯科医師や歯科衛生士は経験者の手技を「見て学ぶ」すなわち「見学」という手法が重宝されてきた。しかし、「見る」ことで得られる情報は決して多くなく、「見ているだけ」の時間として貴重な時間が浪費されている。医療のカテゴリーの中で歯科治療は、対象が口腔という半閉鎖空間に位置し直視することは極めて困難である特性がある。よって、視覚に頼らない機器を介した指先がもたらす触圧感覚が重要な知覚情報となる。十分に研鑽を積んだベテラン歯科医師や歯科衛生士は、巧みに指先感覚を基に機器を操り治療効果を有意に上昇させている。しかし、ベテラン歯科医師や歯科衛生士が経験から得た巧みな機器操作は、画像などの視覚情報と異なり指導者との間で共有することは極めて困難であり技術の継承という面での障壁でもある。そこで、疑似患者練習の過程での日常臨床での技術習得を目的としたシミュレータ開発をゴールとした研究が進められてきた。代表的なアプローチは、歯列模型下面に装着したフォースゲージを用いて、様々な技能時に歯列に加わる圧力を計測する方法である。
そこで、本願の発明者らのグループでは、術者の歯科技能を客観的な数値として評価すべく、従来型のマネキンに圧力ゲージ(フォースゲージ)を装着して、マネキンに模擬的な治療行為を行っている間に歯に加わる圧力の大きさを計測した。そして、様々な技能レベルの術者について圧力の大きさを分析し、治療行為における圧力の最大値が、治療行為により生じる治療効果を推測するための特徴量となり得ることを、非特許文献1〜非特許文献3において報告してきた。しかし、得られている結果は、一連の技能の瞬間を切り取った値であることから、個々の技能を十分に反映しているとは言えない課題があった。
原さやか、長谷川真奈、藤井規孝、他6名、「研修歯科医と指導歯科医の歯科治療時の力のコントロールに関する研究」 日本歯科医学教育学会誌 第35巻1号(in press)
佐藤拓実、藤井規孝、他6名、「研修歯科医の臨床技術習得における力のコントロールに関する研究」 日本歯科医学教育学会誌 第32巻3号166−172(2016.12)
中村太、藤井規孝、他6名、「高頻度歯科治療における処置時の力のコントロールに関する研究」 日本歯科医学教育学会誌 第32巻1号22−28(2016.04)
歯に加わる圧力の最大値とは、治療行為を行っている間の「ある一瞬」の圧力の値を示すが、治療行為における一瞬の圧力の大きさだけから、治療効果を正確に推測し、ひいては、術者の歯科技能を正確に評価することは難しい。
本発明は、上記した課題に鑑み成されたものであり、その目的は、歯科処置から生じる効果を正確に推測し、術者の歯科技能を正確に評価する歯科技能評価装置、及び歯科技能評価プログラムを提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明の一態様に係る歯科技能評価装置は、人間の上顎及び下顎の少なくとも一方を模した模擬顎部を有する歯科用模型を装着した歯科用マネキンに対して術者が模擬的に行う歯科処置から術者の歯科技能を評価する。歯科技能評価装置は、評価対象となる歯科処置を行っている間に歯科用模型に加えられた圧力の大きさの時系列データである圧力データが入力されるデータ入力部と、過去に行われた歯科処置に係る圧力データと過去に行われた歯科処置から生じる効果の程度を示す効果データとを教師データとして用いて機械学習により生成された評価モデルを用いて、データ入力部に入力された圧力データから、評価対象となる歯科処置から生じる効果の程度を示す効果データを演算する効果演算部と、効果演算部により演算された効果データを、歯科技能の評価結果として出力する出力部とを備える。
本発明の他の態様に係る歯科技能評価プログラムは、コンピュータを用いて、人間の上顎及び下顎の少なくとも一方を模した模擬顎部を有する歯科用模型を装着した歯科用マネキンに対して術者が模擬的に行う歯科処置から前記術者の歯科技能を評価するためのコンピュータプログラムである。歯科技能評価プログラムは、コンピュータに、歯科処置を行っている間に歯科用模型に加えられた圧力の大きさの時系列データである圧力データと歯科処置から生じる効果の程度を示す効果データとを教師データとして用いて機械学習により評価モデルを生成する機能と、評価対象となる歯科処置を行っている間に歯科用模型に加えられた圧力の大きさの時系列データである圧力データから、評価モデルを用いて、評価対象となる歯科処置から生じる効果の程度を示す効果データを演算する機能と、演算された効果データを、歯科技能の評価結果として出力する機能とを実現させる。
本発明によれば、歯科処置から生じる効果を正確に推測し、術者の歯科技能を正確に評価することができる。
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。説明において、同一のものには同一符号を付して重複説明を省略する。
(第1実施形態)
(歯科技能評価装置)
実施形態では、人間の顎を模した歯科用模型を装着した歯科用マネキンに対して術者が模擬的に行う各種の歯科治療に関連する動作から、その術者の歯科技能を評価する歯科技能評価装置を説明する。歯科技能評価装置は、予め機械学習により生成された学習済みの評価モデルを用いて、歯科的な処置を行っている間に歯科用模型に加えられた圧力の大きさの時系列データである圧力データから、この歯科治療に関連する動作から生じる効果の程度を示す効果データを演算し、出力する。
(歯科技能評価装置)
実施形態では、人間の顎を模した歯科用模型を装着した歯科用マネキンに対して術者が模擬的に行う各種の歯科治療に関連する動作から、その術者の歯科技能を評価する歯科技能評価装置を説明する。歯科技能評価装置は、予め機械学習により生成された学習済みの評価モデルを用いて、歯科的な処置を行っている間に歯科用模型に加えられた圧力の大きさの時系列データである圧力データから、この歯科治療に関連する動作から生じる効果の程度を示す効果データを演算し、出力する。
「歯科治療に関連する動作」とは、歯の診察又は治療の際に、歯科医師または歯科衛生士が個々の歯牙又は歯列に対して施す全ての処置を示し、以後、「歯科処置」と略する。「歯科治療動作から生じる効果の程度」とは、歯科処置により生じる治療効果の程度を示し、治療効果が高い動作を遂行させられれば、歯科治療に対する技能が高いと評価され、治療効果が低ければ歯科治療に対する技能(歯科技能と呼ぶ)が低いと評価される。もちろん、効果の程度は、高低の2段階のみならず、3段階以上に分類されても構わない。
第1実施形態では、評価モデル生成装置と、歯科技能評価装置とが、異なる別のハードウェア装置で構成される実施形態を説明する。評価モデル生成装置は、歯科用模型に対する模擬的な歯科処置において、歯科用模型に加えられる圧力の大きさの時間変化のパターンと治療効果の程度との相互関係を機械学習により学習し評価モデルを生成する装置である。一方、評価モデル生成装置とは、評価モデル生成装置により生成された評価モデルを用いて歯科技能を評価する装置である。
図1Aは、第1実施形態に係る評価モデル生成装置3の構成を示し、図1Bは、第1実施形態に係る歯科技能評価装置5aの構成を示す。なお、評価モデル生成装置3と歯科技能評価装置5aとを統合して1つのハードウェア装置で構成した実施形態は、図3を参照して第2実施形態で説明する。
評価モデル生成装置3は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備えるマイクロコンピュータを用いて実現可能である。マイクロコンピュータを評価モデル生成装置3として機能させるためのコンピュータプログラム(評価モデル生成プログラム)を、マイクロコンピュータにインストールして実行する。これにより、マイクロコンピュータは、評価モデル生成装置3が備える複数の情報処理部(15、16)として機能する。なお、ここでは、ソフトウェアによって評価モデル生成装置3を実現する例を示すが、もちろん、各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、評価モデル生成装置3を構成することも可能である。専用のハードウェアには、実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含む。また、評価モデル生成装置3に含まれる複数の情報処理部(15、16)を個別のハードウェアにより構成してもよい。
図1Aに示すように、評価モデル生成装置3は、情報処理部として、データ入力部15と、評価モデル生成部16とを備える。データ入力部15は、歯科用模型1に対して過去に行われた模擬的な歯科処置に係る圧力データ13と過去に行われた模擬的な歯科処置により生じる治療効果の程度を示す効果データ14とを受け付ける。圧力データ13と効果データ14とは対を成し、互いに紐づけられて入力される。データ入力部15は、評価モデル生成装置3のユーザからの指示に従い、圧力データ13及び効果データ14の組み合わせをデータベース2から読み出す。
評価モデル生成部16は、データ入力部15に入力された圧力データ13と効果データ14とを機械学習により学習し、評価モデル4を生成する。評価モデル生成部16は、例えば、圧力の最大値の8割以上の圧力が歯科用模型1又は模擬顎部11に連続して加えられた時間(連続加圧時間)を特徴量として学習する。評価モデル生成部16は、連続加圧時間に他の特徴量を組み合わせて学習してもよい。例えば、連続加圧時間と圧力の最大値とを組み合わせて学習することにより、さらに正確な技能評価が可能な評価モデルを生成することができる。評価モデル生成装置3は、生成した評価モデル4を出力する。
過去に行われた歯科処置に係る圧力データ13と、圧力データ13に係る歯科処置により生じる治療効果の程度を示す効果データ14とは、互いに紐づけられて、データベース2に記憶されている。
術者が各種の模擬的な歯科処置を行う歯科用模型1は、模擬顎部11と、圧力センサ12とを少なくとも備える。模擬顎部11は、人間の上顎及び下顎の少なくとも一方を模した部分である。もちろん、歯科用模型1は、人間の頭部、首、肢体などを模した歯科用マネキンに装着されていても構わない。模擬顎部11は、例えば特許文献1〜3に開示された技術に基づき作成すればよい。模擬顎部11には、人間の歯又は歯列を模した模擬的な歯又は歯列(以後、「歯」と略する)が取り付けられていてもよい。この場合、模擬顎部11には歯が含まれる。
圧力センサ12は、模擬顎部11に対して術者が各種の歯科処置を行っている間に模擬顎部11に加えられた圧力の大きさを連続して計測し、圧力の大きさの時系列データである圧力データを取得する。圧力センサ12が取得した圧力データ13は、その歯科処置による治療効果の程度を示す効果データ14と関連付けて、データベース2に記憶される。なお、データベース2に記憶される効果データ14は、歯科技能評価装置5aによる方法とは異なる方法により判断された、その歯科処置による治療効果の程度を示す。
図1Bに示すように、歯科技能評価装置5aは、コントローラ22aと、出力装置23と、通信装置24とを備える。
コントローラ22aは、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備えるマイクロコンピュータを用いて実現可能である。マイクロコンピュータをコントローラ22aとして機能させるためのコンピュータプログラム(歯科技能評価プログラム)を、マイクロコンピュータにインストールして実行する。これにより、マイクロコンピュータは、コントローラ22aが備える複数の情報処理部(31〜33)として機能する。なお、ここでは、ソフトウェアによってコントローラ22aを実現する例を示すが、もちろん、各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、コントローラ22aを構成することも可能である。専用のハードウェアには、実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含む。また、コントローラ22aに含まれる複数の情報処理部(31〜33)を個別のハードウェアにより構成してもよい。
コントローラ22aは、情報処理部として、データ入力部31と、効果演算部32と、出力部33とを備える。データ入力部31には、圧力データ21が入力される。データ入力部31は、歯科技能評価装置5aのユーザからの指示に従い、評価対象となる圧力データ21を読み出す。圧力データ21は、評価対象となる歯科処置を模擬的に行っている間に歯科用模型1の模擬顎部11に加えられた圧力の大きさの時系列データである。圧力データ21は、歯科技能評価装置5aによって歯科技能が判断される圧力データであって、評価モデルの学習時において評価モデル4に入力された過去の圧力データ13とは異なるデータであってもよい。
効果演算部32は、評価モデル生成装置3により生成された評価モデル4を用いて、データ入力部31に入力された圧力データ21から、評価対象となる歯科処置から生じる効果の程度を示す効果データを演算する。出力部33は、効果演算部32により演算された効果データを、歯科技能の評価結果として出力する。出力部33は、例えば、音声、画像を出力するスピーカ、ディスプレイなどの出力装置23へ効果データを出力する。出力装置23は、効果データに基づき、歯科技能の評価結果を音声又は画像にて出力する。
あるいは、出力部33は、通信装置24へ効果データを出力し、歯科技能評価装置5aのユーザにより指定されたスマートフォン、タブレット、ラップトップパソコンなどの携帯情報端末へ効果データを転送するように指示してもよい。
図2Aを参照して、図1Aの評価モデル生成装置3を用いた評価モデル生成方法の一例を説明する。まず、ステップS01において、データ入力部15は、ユーザからの指示の下で、データベース2から過去の圧力データ13と効果データ14の対を読み出す。ステップS02に進み、評価モデル生成部16は、読みだした圧力データ13と効果データ14とを機械学習により学習して、評価モデル4を生成する。例えば、評価モデル生成部16は、圧力の最大値の8割以上の圧力が模擬顎部11に連続して加えられた時間を特徴量として学習する。
ステップS03において、ステップS02で生成された評価モデル4に未知の圧力データを入力し、評価モデル4から主力される効果データが正しい確率(正答率)を検証する。正答率が80%に達していない場合(S03でNO)、学習が不十分であると判断して、ステップS01に戻り、学習を継続する。
正答率が80%以上に達した場合(S03でYES)、十分に信頼性が高い評価モデルが生成されたと判断して、ステップS04へ進み、学習済みの評価モデルを出力する。
図2Bを参照して、図1Bの歯科技能評価装置5aの動作例を説明する。まず、ステップS11において、データ入力部31は、歯科技能評価装置5aのユーザからの指示に従い、評価対象となる圧力データ21を読み出す。圧力データ21は、歯科技能評価装置5aによって歯科処置により生じる効果の程度が判断される圧力データであって、評価モデルの学習時において評価モデルに入力された圧力データ13とは異なるデータであってもよい。
ステップS12に進み、効果演算部32は、図2Aのフローチャートにより生成された評価モデル4を用いて、データ入力部31に入力された圧力データ21から、評価対象となる歯科処置の効果の程度を示す効果データを演算する。
ステップS13に進み、出力部33は、効果演算部32により演算された効果データを、歯科技能の評価結果として出力する。ステップS13において、出力部33は、例えば、音声、画像を出力するスピーカ、ディスプレイなどの出力装置23へ効果データを出力する。出力装置23は、効果データに基づき、歯科技能の評価結果を音声又は画像にて出力する。あるいは、出力部33は、通信装置24へ効果データを出力し、歯科技能評価装置5aのユーザにより指定されたスマートフォン、タブレット、ラップトップパソコンなどの携帯情報端末へ効果データを転送するように指示してもよい。
(第1実施例)
以下、第1実施形態に係る第1実施例を説明する。
以下、第1実施形態に係る第1実施例を説明する。
模擬顎部11に取り付けられる圧力センサ12として、圧力ゲージ(フォースゲージ)を用いる。具体的には、模擬顎部11のうち、下顎又は下顎に配置された歯に加わる圧力を計測する圧力ゲージを、下顎部分の外側に取り付ける。圧力ゲージは、下顎に対して垂直な方向に印加される圧力の成分を、所定のサンプリング周波数(2000Hz)で計測する。もちろん、垂直な方向のみならず、その他の方向の圧力成分を同時に計測してもよい。下顎部分に複数の圧力ゲージを取り付け、あるいは、複数軸の圧力成分を同時に計測する圧力センサを下顎部分に取り付けてもよい。複数の方向の圧力成分の各々を特徴量として学習することで、より正確に歯科技能を評価することができる。
模擬顎部11に対する模擬的な歯科処置として、ここでは、代表的な補綴物である冠(クラウン)を、模擬顎部11の下顎に配置された歯に装着する歯科臨床における代表的な動作を例示する。冠の装着時に歯に加わる圧力を圧力ゲージで連続して計測する。圧力の時間変化パターンの2つの類型の例を、図6(a)及び図6(b)に示す。図6(a)に示す圧力の最大値と図6(b)に示す圧力の最大値は、同程度(40〜50N)である。しかし、圧力の最大値の8割以上の圧力が模擬顎部11に連続して加えられた時間(連続加圧時間)は、大きく異なっている。図6(a)に示す連続加圧時間は4秒程度であるが、図6(b)に示す連続加圧時間は0.5秒程度である。
この圧力の時間変化パターンが異なる2つの歯科処理により生じる効果(臨床効果)は、次のようにして評価することができる。つまり、冠と歯の間に短時間で硬化する縮重合型シリコーン試験材(以後、「試験材」という)を入れる。そして、冠の装着時に、冠と歯の間から押し出されずに、冠の中に残存した試験材の量(残存量)から、臨床効果を評価することができる。残存した試験材の量が多い場合、図6(b)に示すように、十分大きな圧力が十分な時間、印加されないことで、理想とされる装着位置に冠が配置されず、かみ合わせが高い状態となり、かみ合わせの不良も生じる。よって、臨床効果が低いと判断することができる。
残存した試験材の量が少ない場合、図6(a)に示すように、十分大きな圧力が十分な時間、印加されたことにより、理想とされる装着位置に冠が配置されたため、かみ合わせの不良も生じない。よって、臨床効果が高いと判断することができる。
このように、歯科処置における「ある一瞬」の圧力の値のみから、臨床効果の程度を判断することは難しいが、連続加圧時間を考慮することにより、より正確に臨床効果の程度を判断することができる。
様々な技能レベルを有する術者から学習データ(教師データ)を収集するために、様々な技能レベルを有する被験者に、歯科用模型1を用いた模擬的な歯科処置として冠の装着作業を行ってもらい、装着時に歯に加えられた圧力の大きさを計測し、各被験者から圧力データを取得した。被験者には、20年以上の経験を有するベテラン歯科医師、若手歯科医師、歯科研修医、歯学部学生、歯科的な知識を有さない工学部・理学部の学生が含まれる。取得した圧力データは、試験材の残存量に基づく臨床効果の程度を示す効果データと紐づけて、データベース2に格納した。
機械学習として、深層学習モデルの1つであるリカレントニューラルネットワーク(RNN)のうちのLSTMネットワーク((Long Short Term Memory)を採用して、機械学習プラットフォームを構築する。技能評価として、リカレントニューラルネットワークからの出力の成否の指標となる教師信号は、各被験者が行った模擬的な歯科処置により生じる効果の程度を示す効果データである。
図4に示すように、構築した機械学習プラットフォームは、4つの1次元畳み込み層(Conv 1D)41a〜41d、RNN層(LSTM)42、及び全結合層(Affine)43からなる。入力データは、圧力データ13をそのまま用いる。4つの1次元畳み込み層(Conv 1D)41a〜41dは、圧力データ13から、例えば連続加圧時間、圧力上昇率、圧力の最大値などの特徴量を抽出してそれを複数のベクトルへ変換する。RNN層42は、複数のベクトルを時系列データとして受け取り、時間発展に関する情報を抽出する。そして、全結合層43が圧力パターンを3つのグループに分類することにより、技能レベルの推測を行う。評価モデル生成装置3をコンピュータで実現するための評価モデル生成プログラムの中に、この機械学習プラットフォームに圧力データ13を入力し、3つのグループに分類させるプログラム(図2AのステップS02)を組み込んだ。
図7は、3つのグループに分類された圧力データ13の一例を示す。図7(a)は、治療効果が高い圧力データが分類される第1グループ(良)を示し、図7(b)は、治療効果が中程度に高い圧力データが分類される第2グループ(並)を示し、図7(c)は、治療効果が低い圧力データが分類される第3グループ(悪)を示す。
第1グループ(良)に分類される圧力データは、圧力の最大値が高く且つ連続加圧時間も長い。第2グループ(並)に分類される圧力データは、圧力の最大値は高いが連続加圧時間が短い、あるいは、圧力の最大値が中程度に高く且つ連続加圧時間も長い。第3グループ(悪)に分類される圧力データは、圧力の最大値が低く且つ連続加圧時間も短い。
データベース2に記憶した圧力データ13の2/3のデータを訓練データとしてこの機械学習プラットフォームに入力して学習させた(図2AのステップS02)。残りの1/3のデータを、図2AのステップS03で正答率を判断する際に使用するテストデータとして保管した。
全ての訓練データをデータ入力部15に入力し(ステップS01)、評価モデル生成部16は学習を開始する(ステップS02)。学習の途中において、適宜、テストデータを用いて評価モデルの正答率を検証した(ステップS03)。誤答を出力した圧力データに対しては、正答(効果データ)を各Epoch後に入力して、学習を継続した。
図5は、学習した訓練データのEpoch回数と正答率との関係を示すグラフである。図5に示すように、Epoch回数が7以下では、Epoch回数の増加に応じて正答率も上昇する。7回のEpoch後において80%程度に達し、Epoch数が8以上において、正答率は80%程度で一定している。一般的には、80〜90%の正答率は、プラットフォーム構築の目安となっているため、「圧力の時間変化のパターン」と「歯科処置により生じる効果の程度」の間に一定の相互関係が有ると判断できる。正答率が80%程度に達した場合、十分に学習したと判断して、学習済みの評価モデル4を出力する。
冠を装着するという臨床はシンプルな動作であるが、圧力又は連続加圧時間の不足による“浮き上がり”の問題が生じやすい。実際の患者の口腔内で接着剤を挟んだ状態で、冠の浮き上がりに気が付いても、既に冠は着脱不可能であることから、咬み合わせ調整という形で対応せざるを得ない。歯科技工士が作成した冠の審美性が損なわれるのみならず、相応の時間を患者に強いることになる。よって、模擬患者による臨床実習により適切な圧力及び連続加圧時間を知ることは、たいへん重要な手技の研鑽となる。
マネキンが感じる圧力をベースにしてベテラン歯科医師と術者との相違を術中にフィードバックすることができる。機械学習により学習された評価モデルを用いることで、ベテラン歯科医師と術者との相違を、数値化することができる。
「圧力の時間変化のパターン」と「歯科処置により生じる効果の程度」の間に一定の相互関係が有り、歯科臨床に関連する動作が産み出す圧力の時間変化から治療効果を推測することが可能であることが分かった。
歯科における臨床動作は、そのほとんどが圧力を歯牙に加えることで行うため、模擬患者を用いた臨床実習の過程に、「圧力測定」、「機械学習」及び「技能評価」からなるトライアングルを導入することにより、歯科技能の包括的な技能評価システム(シミュレータ)を構築することができる。
また、一連の歯科処置における圧力の最大値のように「ある一瞬」の圧力の値ではなく、圧力の時間変化のパターンを用いて技能を評価することにより、一連の歯科処置の統括的な評価に繋がるだけでなく、機械学習をより深化させて新たな特徴量を見出すことにより、治療効果を向上させる因子となる力のタイミングや持続時間などを抽出することができる。
(第2実施例)
以下、第1実施形態に係る第2実施例を説明する。
以下、第1実施形態に係る第2実施例を説明する。
第2実施例では、歯科用模型1に取り付けられる圧力センサ12として、同時に3軸方向の力を計測可能な小型の多軸触圧センサを用いる。具体的には、図8に示すように、歯科用模型1は、多軸触圧センサ12を歯肉様樹脂部材52で挟み、固定用ネジ53で固定する。歯肉様樹脂部材52は、多軸触圧センサ12のセンサ面の上方に位置する開口を有し、この開口に歯牙模型51が挿入されている。歯科用模型1に配置された歯(歯牙模型51)に加わる圧力を計測する多軸触圧センサ12を、歯51の歯根部や周囲の歯槽骨部に取り付ける。歯牙模型51に加わる圧力は、多軸触圧センサに伝達する。多軸触圧センサ12は、歯51に対して垂直・水平(左右)・前後(頬舌)方向に印加される圧力の成分を、所定のサンプリング周波数(500Hz)で計測する。上顎または下顎の歯にそれぞれ複数の圧力ゲージを取り付けてもよい。複数の方向の圧力成分の各々を特徴量として学習することで、単一方向の圧力成分を特徴量とするよりも、さらに正確に歯科技能を評価することができる。
歯科用模型1に対する模擬的な歯科処置として、第2実施例では、10秒間のブラッシングを、歯科用模型1内の歯根部や周囲の歯槽骨部に触圧センサを配置した歯(図8:歯牙模型51)に実施する歯科臨床を例示する。ブラッシング時に歯51に加わる圧力を連続して計測する。圧力の時間変化パターンの3つの類型の例を、図11(a)、図11(b)、及び図11(c)に示す。図11(a)に示す垂直方向の圧力の最大値と図11(b)に示す垂直方向の圧力の最大値は、同程度(1〜2N)である。しかし、圧力の最大値の8割以上の圧力が歯牙模型51に連続して加えられた時間(連続加圧時間)は、大きく異なっている。図11(a)に示す連続加圧時間は、記録を行った10秒間のブラッシング時間の大部分であるが、図11(b)に示す連続加圧時間は0.5秒程度であり、スパイク状の上下幅の大きい圧力が記録されている。一方、図11(c)に示す垂直方向の圧力の最大値は、図11(a)と図11(b)に示す垂直方向の圧力の最大値と比較して小さい。
この垂直方向の圧力の時間変化パターンが異なる3つのブラッシングにより生じる効果(臨床効果)は、次のようにして評価することができる。ブラッシングを行う前に、歯根部や周囲の歯槽骨部に多軸触圧センサ12を配置した歯牙模型51の咬合面部に、例えば赤色に着色した人工プラーク(パイロットインクとポスターカラーを1:1で配合したもの)を塗布し乾燥させる。術者には、人工プラークの残量を把握出来ないよう、緑シートをレンズ部に付与したメガネを装着させブラッシング動作を行わせた。10秒間のブラッシング動作後、ブラッシングによって落ちず残存した人工プラーク量は、画像解析の過程の中で赤色領域のみを抽出し、グレー画像に変換して白色部分の面積として評価を行った。白色部分の面積の測定には、動的輪郭法の1つであるChan-Vese法を用いて自動的に解析した。人工プラークの残量から臨床効果を評価することができる。
残存した人工プラーク量が多い場合、図11(b)及び図11(c)に示すように、適切な圧力が歯に十分な時間、印加されておらず、臨床効果が低いと判断することができる。残存した人工プラークの量が少ない場合、図11(a)に示すように、適切な圧力が十分な時間、印加されたことにより、歯ブラシが汚れを十分に掻きだし、隙間に残った汚れまで取れている。よって、臨床効果が高いと判断することができる。
このように、歯科処置における「ある一瞬」の圧力の値のみから、臨床効果の程度を判断することは難しいが、連続加圧時間と圧力変化様式を考慮することにより、より正確に臨床効果の程度を判断することができる。
様々な技能レベルを有する術者から学習データ(教師データ)を収集するために、様々な技能レベルを有する被験者に、模擬的な歯科処置としてブラッシング動作を行ってもらい、ブラッシング時に歯51に加わる圧力の大きさを計測し、各被験者から圧力データを取得した。被験者には、20年以上の経験を有するベテラン歯科医師、若手歯科医師、歯学部学生が含まれる。取得した圧力データは、人工プラークの残存量に基づく臨床効果の程度を示す効果データと紐づけて、データベースに格納した。
機械学習として、深層学習の1つであるリカレントニューラルネットワーク(RNN)のうちのLSTMネットワーク(Long Short Term Memory)を採用して、機械学習プラットフォームを構築する。技能評価として、リカレントニューラルネットワークからの出力の成否の指標となる教師信号は、各被験者が行った模擬的な歯科処置により生じる効果の程度を示す効果データである。
図9に示すように、構築した機械学習プラットフォームは、3つの1次元畳み込み層(41e、41f、41g)、及びRNN層(LSTM)44からなる評価モデル4aである。評価モデル4aに入力されるデータは、圧力データをそのまま用いる。3つの1次元畳み込み層(41e、41f、41g)は、圧力データから、例えば連続加圧時間、圧力の最大値などの特徴量を抽出してそれを複数のベクトルへ変換する。RNN層(LSTM)44は、複数のベクトルを時系列データとして受け取り、時間発展に関する情報を抽出する。そして、全結合層が圧力パターンを3つのグループに分類することにより、技能レベルの推測を行う。評価モデル生成装置をコンピュータで実現するための評価モデル生成プログラムの中に、この機械学習プラットフォームに圧力データを入力し、3つのグループに分類させるプログラム(図2AのステップS02)を組み込んだ。
図12は、3つのグループに分類された圧力データ(垂直方向の圧力のみ抽出)の一例を示す。図12(a)は、治療効果が高い(良)圧力データが分類された第1グループを示し、図12(b)は、治療効果がやや高い(並)圧力データが分類された第2グループを示し、図12(c)は、治療効果が低い(悪)圧力データが分類された第3グループを示す。
第1グループに分類される圧力データ(垂直方向の圧力)は、一定の圧力が連続しており、歯に対する加圧時間も長い。この第1グループに属するのは歯を小刻みに磨くブラッシング動作が該当する。第2グループ(並)に分類される圧力データ(垂直方向の圧力)は、圧力の最大値は高いが連続加圧時間が短い。この第2グループ(並)に属するのはストロークの大きい横磨きブラッシング動作が該当する。第3グループ(悪)に分類される圧力データ(垂直方向の圧力)は、連続加圧時間は長いが、圧力の最大値が低い。この第3グループ(悪)に属するのは、加圧の弱いブラッシング動作が該当する。
データベース2に記憶した圧力データ13の2/3のデータを訓練データとしてこの機械学習プラットフォームに入力して学習させた(図2AのステップS02)。残りの1/3のデータを、図2AのステップS03で正答率を判断する際に使用する検証データとして保管した。
3軸方向からの圧データ全てを訓練データとしてデータ入力部に入力し(ステップS01)、評価モデル生成部は学習を開始する(ステップS02)。学習の途中において、適宜、検証データを用いて評価モデルの正答率を検証した(ステップS03)。誤答を出力した圧力データに対しては、正答(効果データ)を各Epoch後に入力して、学習を継続した。
図10は、学習した訓練データのエポック数と正答率との関係を示すグラフである。図10に示すように、エポック数が15回以下では、訓練データにおいても正答率は上がらなかった。15回のエポック後において訓練データでは正答率が80%以上に達し、80%から95%の範囲で一定している。検証データでは、エポック数が23回以下では、学習回数の増加に伴って正答率が上昇したが、80%に達さなかった。エポック数が24回以降は、正答率が80%以上に達し、80%から90%の範囲で一定している。一般的には、80〜90%の正答率は、プラットフォーム構築の目安となっているため、「圧力の時間変化のパターン」と「歯科処置により生じる効果の程度」の間に一定の相互関係が有ると判断できる。正答率が80%程度に達した場合、十分に学習したと判断して、学習済みの評価モデル4を出力する。
歯51に加わる圧力をベースにしてベテラン歯科医師・歯科衛生士と術者との相違を術中にフィードバックすることができる。機械学習により学習された評価モデルを用いることで、ベテラン歯科医師・歯科衛生士と術者との相違を、数値化することができる。
「圧力の時間変化のパターン」と「歯科処置により生じる効果の程度」の間に一定の相互関係が有り、歯科臨床に関連する動作が産み出す圧力の時間変化から治療効果を推測することが可能であることが分かった。
歯科における臨床動作は、そのほとんどが圧力を歯に加えることで行うため、「歯に加わる圧力測定」、「機械学習」及び「技能評価」を導入することにより、歯科技能の包括的な技能評価システム(シミュレータ)を構築することができる。さらに、従来からされてきた垂直方向に加わる圧力の解析に加えて、前後・左右方向を加えて3軸方向に加わる圧力を解析することで、様々な歯科における臨床動作の解析に対応できる。
また、一連の歯科処置における圧力の最大値のように「ある一瞬」の圧力の値ではなく、圧力の時間変化のパターンを用いて技能を評価することにより、一連の歯科処置の統括的な評価に繋がるだけでなく、機械学習をより深化させて新たな特徴量を見出すことにより、治療効果を向上させる因子となる力のタイミングや持続時間などを抽出することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、図1Aに示した評価モデル生成装置3と図1Bに示した歯科技能評価装置5aとを統合して1つのハードウェア装置5bで実現した実施形態を説明する。
第2実施形態では、図1Aに示した評価モデル生成装置3と図1Bに示した歯科技能評価装置5aとを統合して1つのハードウェア装置5bで実現した実施形態を説明する。
図3に示すように、第2実施形態に係る歯科技能評価装置5bは、コントローラ22bと、出力装置23と、通信装置24とを備える。出力装置23と通信装置24は図1bと同じであり、説明を省略する。
コントローラ22bは、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備えるマイクロコンピュータを用いて実現可能である。マイクロコンピュータをコントローラ22bとして機能させるためのコンピュータプログラム(歯科技能評価プログラム)を、マイクロコンピュータにインストールして実行する。これにより、マイクロコンピュータは、コントローラ22bが備える複数の情報処理部(16、31〜33)として機能する。なお、ここでは、ソフトウェアによってコントローラ22bを実現する例を示すが、もちろん、各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、コントローラ22bを構成することも可能である。専用のハードウェアには、実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含む。また、コントローラ22bに含まれる複数の情報処理部(16、31〜33)を個別のハードウェアにより構成してもよい。
コントローラ22bは、情報処理部として、データ入力部31と、評価モデル生成部16と、効果演算部32と、出力部33とを備える。データ入力部31は、図1Aのデータ入力部15の機能と図1Bのデータ入力部31の機能の双方を備えている。すなわち、データ入力部31は、歯科用模型1に対して過去に行われた模擬的な歯科処置に係る圧力データ13と過去に行われた模擬的な歯科処置により生じる治療効果の程度を示す効果データ14とを受け付ける。また、データ入力部31は、歯科技能評価装置5aのユーザからの指示に従い、評価対象となる圧力データ21を読み出す。
評価モデル生成部16は、図1Aの評価モデル生成部16と同じ機能を備える。評価モデル生成部16は、データ入力部15に入力された圧力データ13と効果データ14とを機械学習により学習し、評価モデル4を生成する。評価モデル生成部16は、生成した評価モデル4を出力する。
効果演算部32は、図1Bの効果演算部32と同じ機能を備える。効果演算部32は、評価モデル生成装置3により生成された評価モデル4を用いて、データ入力部31に入力された圧力データ21から、評価対象となる歯科処置から生じる効果の程度を示す効果データを演算する。
出力部33は、図1Bの出力部33と同じ機能を備える。出力部33は、効果演算部32により演算された効果データを、歯科技能の評価結果として出力する。
歯科技能評価装置5bは、図2A及び図2Bに示した各フローチャートに沿って動作する。歯科技能評価装置5bを用いた歯科技能評価方法は、図2Aと図2Bを参照して説明した評価モデル生成方法及び歯科技能評価方法とを組み合わせたものと同じであり、説明を割愛する。
そのほか、歯科用模型1及びデータベース2は、図1Aと同じであり、説明を割愛する。
以上説明したように、第1及び第2の実施形態によれば、以下の作用効果を得ることができる。
歯科処置において印加される圧力の時間変化のパターンとその歯科処置の結果とを教師データとして用いて機械学習により生成された評価モデルを用いて歯科技能の評価結果を演算することにより、歯科処置から生じる効果(治療効果、予防効果)を正確に推測し、術者の歯科技能を正確に評価することができる。具体的には、歯科処置において印加される圧力の時間変化のパターンを類型化して、パターンの分類結果から歯科処置による効果の程度を判断し、効果判断に基づく歯科技能の評価結果を出力することができる。
圧力の最大値の8割以上の圧力が連続して加えられている時間の長さを特徴量として学習することにより評価モデルを生成することにより、圧力の最大値のみを学習する場合に比べて、歯科処置による効果をより正確に予測することができる。
なお、上述の実施形態は、本発明を実施する形態の例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、これ以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは言うまでもない。
1 歯科用模型
4 評価モデル
5a、5b 歯科技能評価装置
11 模擬顎部
13、21 圧力データ
14 効果データ
15、31 データ入力部
32 効果演算部
33 出力部
4 評価モデル
5a、5b 歯科技能評価装置
11 模擬顎部
13、21 圧力データ
14 効果データ
15、31 データ入力部
32 効果演算部
33 出力部
Claims (3)
- 人間の上顎及び下顎の少なくとも一方を模した模擬顎部を有する歯科用模型に対して術者が模擬的に行う歯科処置から前記術者の歯科技能を評価する歯科技能評価装置であって、
評価対象となる前記歯科処置を行っている間に前記歯科用模型に加えられた圧力の大きさの時系列データである圧力データが入力されるデータ入力部と、
過去に行われた前記歯科処置に係る前記圧力データと前記過去に行われた前記歯科処置から生じる効果の程度を示す効果データとを教師データとして用いて機械学習により生成された評価モデルを用いて、前記データ入力部に入力された前記圧力データから、前記評価対象となる前記歯科処置から生じる効果の程度を示す効果データを演算する効果演算部と、
前記効果演算部により演算された前記効果データを、前記歯科技能の評価結果として出力する出力部と
を備える歯科技能評価装置。 - 前記評価モデルは、前記圧力の最大値の8割以上の圧力が前記模擬顎部に連続して加えられた時間を特徴量として学習することにより生成されている請求項1に記載の歯科技能評価装置。
- コンピュータを用いて、人間の上顎及び下顎の少なくとも一方を模した模擬顎部を有する歯科用模型に対して術者が模擬的に行う歯科処置から前記術者の歯科技能を評価するための歯科技能評価プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記歯科処置を行っている間に前記歯科用模型に加えられた圧力の大きさの時系列データである圧力データと前記歯科処置から生じる効果の程度を示す効果データとを教師データとして用いて機械学習により評価モデルを生成する機能と、
評価対象となる歯科処置を行っている間に前記歯科用模型に加えられた圧力の大きさの時系列データである圧力データから、前記評価モデルを用いて、前記評価対象となる歯科処置から生じる効果の程度を示す効果データを演算する機能と、
前記演算された前記効果データを、前記歯科技能の評価結果として出力する機能と、
を実現させるための歯科技能評価プログラム。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019128597 | 2019-07-10 | ||
JP2019128597 | 2019-07-10 |
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JP2020119183A Pending JP2021015278A (ja) | 2019-07-10 | 2020-07-10 | 歯科技能評価装置、及び歯科技能評価プログラム |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2021015278A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102448169B1 (ko) | 2021-10-05 | 2022-09-28 | 세종대학교산학협력단 | 딥러닝 기반 치아 교정치료 결과 예측 방법 및 장치 |
-
2020
- 2020-07-10 JP JP2020119183A patent/JP2021015278A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102448169B1 (ko) | 2021-10-05 | 2022-09-28 | 세종대학교산학협력단 | 딥러닝 기반 치아 교정치료 결과 예측 방법 및 장치 |
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