JP2021009041A - 減速機の故障診断装置及び故障診断方法 - Google Patents

減速機の故障診断装置及び故障診断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】故障の兆候があるか否かを早期に判定することが可能な減速機の故障診断装置及び故障診断方法を提供する。【解決手段】各々複数の動作部12とモータ14及び減速機13とを備える機械装置11の複数の減速機の故障を診断する故障診断装置1であって該動作部のうちの1つの動作部の動作における加減速期間を特定する加減速期間特定部と加減速期間における1つの動作部を駆動するモータの電流の特定周波数帯域の周波数成分の振幅のピーク値を取得するモータ電流処理部32と該電流の振幅のピーク値に基づいて1つの該動作部に該モータの回転動力を伝達する減速機機に対して故障の兆候の有無の判定を行う判定部9とを備える。1つの特定周波数帯域が機械装置1の複数の固有振動数のうちの1つの減速機のギヤが噛み合う方向に機械装置を共振させる1つの固有振動数を含む。故障診断装置は複数の減速機の各減速機について前記判定を行うよう構成されている。【選択図】図3

Description

本発明は、減速機の故障診断装置及び故障診断方法に関する。
従来、機械装置の加減速期間におけるモータの回転数の変化に対するモータ電流の周波数スペクトルの変化に基づいて、減速機に故障の兆候があるか否かを判定する減速機の故障診断方法が知られている(特許文献1参照)。この故障診断方法は、機械装置の加減速期間に故障診断を行うので、機械装置の作業中に故障診断を行うことができる。
特許第6144404号掲載公報
ところで、故障はできるだけ早期に発見することが望ましい。上記減速機の故障診断方法においては、減速機の摩耗がある程度進行するとモータ電流が明瞭に増大するので、減速機に故障の兆候があるか否かを的確に判定することができる。
しかし、減速機の摩耗があまり進行していない状態では、モータ電流があまり増大しないので、減速機の摩耗に起因するモータ電流の増大が他の要因によるモータ電流の変動に埋もれてしまい、減速機に故障の兆候があるか否かを早期に判定することが容易ではなかった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、故障の兆候があるか否かを早期に判定することが可能な減速機の故障診断装置及び故障診断方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明のある形態(aspect)に係る故障診断装置は、複数の動作部と、前記複数の動作部をそれぞれ駆動する複数のモータと、前記複数のモータの回転動力を減速して前記複数の動作部にそれぞれ伝達する複数の減速機と、を備える機械装置の前記複数の減速機の故障を診断する故障診断装置であって、前記複数の動作部のうちの1つの動作部の動作における加減速期間の特定を行う加減速期間特定部と、前記加減速期間における、前記1つの動作部を駆動する1つのモータの負荷電流又は当該負荷電流と相関関係を有する電流値であるモータ電流の特定周波数帯域の周波数成分の振幅のピーク値(以下、モータ電流の振幅のピーク値という)を取得するよう前記モータ電流を処理するモータ電流処理部と、前記モータ電流の振幅のピーク値に基づいて、前記1つの動作部に前記1つのモータの回転動力を減速して伝達する1つの減速機に故障の兆候があるか否かの判定を行う判定部と、を備え、1つの前記特定周波数帯域が、前記機械装置の複数の固有振動数のうちの、前記1つの減速機のギヤが噛み合う方向に前記機械装置を共振によって振れさせる1つの固有振動数を含み、前記複数の減速機の各減速機について前記判定を行うよう構成されている。
この構成によれば、複数の減速機に故障の兆候があるか否かの判定は、減速機毎に行われ、各減速機の判定は、各減速機に対応する各動作部の動作における加減速期間におけるモータ電流の特定周波数帯域の周波数成分の振幅のピーク値に基づいて行われる。この判定の原理は、減速機のギヤの回転数(回転周波数)が機械装置の固有振動数に近づくと当該ギヤの噛み合いに起因する起振力に機械装置が共振し、その共振によって、ギヤの噛み合いによる起振力が増大し、その結果、当該ギヤを駆動するモータのモータ電流が増大するという現象に基づいている。この場合、モータ電流の周波数成分のうちの当該ギヤに固有の周波数成分を特定する必要があるが、この固有の周波数成分として、モータ電流における当該ギヤの回転に起因する(由来する)基本波又は高調波の周波数成分(以下、ギヤ周波数成分という場合がある)が用いられる。一方、機械装置には複数の固有振動数が存在し、各固有振動数によって機械装置の振動モード(振れ方)が異なる。そこで、モータ電流のギヤ周波数成分の振幅のピーク値を求めるために当該モータ電流から抽出する周波数成分の周波数として、機械装置の複数の固有振動数のうちの、故障の兆候の有無を判定しようとする減速機のギヤが噛み合う方向に機械装置が振れる振動モードを引き起こす固有振動数を用いると、モータ電流におけるギヤ周波数成分の振幅のピーク値を捉え易くなる。つまり、故障の兆候の検出感度が向上する。
この構成では、1つの前記特定周波数帯域が、機械装置の複数の固有振動数のうちの、1つの前記減速機のギヤが噛み合う方向に前記機械装置を共振によって振れさせる1つの固有振動数を含み、1つの前記減速機が故障の兆候の有無を判定しようとする減速機であり、且つ、前記特定周波数帯域が、モータ電流の振幅のピーク値を求めるために当該モータ電流から抽出する周波数成分の周波数である。よって、この構成によれば、モータ電流におけるギヤ周波数成分の振幅のピーク値を捉え易くなり、故障の兆候の検出感度が向上する。その結果、故障の兆候があるか否かを早期に診断することができる。
前記複数の減速機は、A方向においてギヤが噛み合うA減速機と前記A方向と異なるB方向においてギヤが噛み合うB減速機と、を含み、前記複数の固有振動数は、前記A減速機のギヤが噛み合う方向に前記機械装置を共振によって振れさせるA固有振動数と、前記B減速機のギヤが噛み合う方向に前記機械装置を共振によって振れさせるB固有振動数と、を含み、前記判定部は、前記A減速機について、前記A固有振動数を含むA特定周波数帯域を用いて前記判定を行い、且つ、前記B減速機について、前記B固有振動数を含むB特定周波数帯域を用いて前記判定を行うよう構成されていてもよい。
この構成によれば、それぞれのギヤの噛み合う方向が互いに異なる2つの減速機を、それぞれの故障の兆候の検出感度が向上する特定周波数帯域を用いて当該故障の兆候の有無を判定することができる。その結果、それぞれのギヤの噛み合う方向が互いに異なる2つの減速機に故障の兆候があるか否かを早期に診断することができる。
前記判定が、前記モータ電流の振幅のピーク値と所定の振幅閾値との比較に基づく判定であってもよい。
この構成によれば、故障の兆候があるか否かを的確に診断することができる。
前記機械装置が垂直多関節型ロボットであり、前記複数の動作部が前記ロボットの複数のリンク及び当該複数のリンクを連結する複数の関節であり、前記複数の駆動機構が、前記複数の関節をそれぞれ駆動する複数の駆動機構であってもよい。
この構成によれば、垂直多関節型ロボットの関節の駆動機構に故障の兆候があるか否かを早期に診断することができる。
前記モータ電流処理部が、前記1つのモータの回転数及び前記モータ電流に基づいて、一群の時系列回転数データにそれぞれ一群のモータ電流データの周波数スペクトルが対応してなる3次元周波数解析データを生成するFFT処理部と、前記3次元周波数解析データから、前記モータ電流の前記1つの減速機の前記ギヤの基本波又は高調波の周波数成分を抽出してこれを取得する回転要素周波数成分取得部と、前記モータ電流の前記ギヤの基本波又は高調波の周波数成分から、前記特定周波数帯域に存在する部分を抽出してこれを取得する特定周波数帯域成分取得部と、前記モータ電流の前記ギヤの基本波又は高調波の周波数成分のうちの前記特定周波数帯域に存在する部分における振幅のピーク値を抽出することによって、前記モータ電流の振幅のピーク値を取得する振幅ピーク値抽出部と、を備えていてもよい。
この構成によれば、FFT解析によって適切にモータ電流の振幅のピーク値を取得することができる。
前記モータ電流処理部が、前記複数の駆動機構のうちの前記判定の対象である駆動機構を構成する所定のギヤの回転数が前記加減速期間において前記特定周波数帯域の周波数になる時間区間を取得する共振時間区間取得部と、前記モータ電流にバンドパスフィルタを適用して前記モータ電流の前記特定周波数帯域の一部又は全部に渡る周波数成分を取得する特定周波数帯域成分取得部と、前記時間区間取得部によって取得された前記時間区分と前記周波数成分取得部によって取得された前記周波数成分とに基づいて、前記モータ電流の振幅のピーク値を取得する振幅ピーク値取得部と、を備えていてもよい。
この構成によれば、FFTによる解析が不要になる。
また、本発明の他の形態(aspect)に係る故障診断方法は、複数の動作部と、前記複数の動作部をそれぞれ駆動する複数のモータと、前記複数のモータの回転動力を減速して前記複数の動作部にそれぞれ伝達する複数の減速機と、を備える機械装置の前記複数の減速機の故障を診断する故障診断方法であって、前記複数の動作部のうちの1つの動作部の動作における加減速期間の特定を行うことと、前記加減速期間における、前記1つの動作部を駆動する1つのモータの負荷電流又は当該負荷電流と相関関係を有する電流値であるモータ電流の特定周波数帯域の周波数成分の振幅のピーク値(以下、モータ電流の振幅のピーク値という)を取得するよう前記モータ電流を処理することと、前記モータ電流の振幅のピーク値に基づいて、前記1つの動作部に前記1つのモータの回転動力を減速して伝達する1つの減速機に故障の兆候があるか否かの判定を行うことと、を含み、1つの前記特定周波数帯域が、前記機械装置の複数の固有振動数のうちの、前記1つの減速機のギヤが噛み合う方向に前記機械装置を共振によって振れさせる1つの固有振動数を含み、前記複数の減速機の各減速機について前記判定を行う。
この構成によれば、故障の兆候の検出感度が向上し、その結果、故障の兆候があるか否かを早期に診断することができる。
また、本発明のさらなる他の形態(aspect)に係る故障診断装置は、動作部と、前記動作部を駆動するモータと、前記モータの回転動力を減速して前記動作部に伝達する減速機と、を備える機械装置の前記減速機の故障を診断する故障診断装置であって、前記動作部の動作における加減速期間の特定を行う加減速期間特定部と、前記加減速期間における前記モータの負荷電流又は当該負荷電流と相関関係を有する電流値であるモータ電流の特定周波数帯域の周波数成分の振幅のピーク値(以下、モータ電流の振幅のピーク値という)を取得するよう前記モータ電流を処理するモータ電流処理部と、前記モータ電流の振幅のピーク値に基づいて、前記1つの動作部に前記1つのモータの回転動力を減速して伝達する1つの減速機に故障の兆候があるか否かの判定を行う判定部と、を備え、前記モータ電流処理部が、前記複数の駆動機構のうちの前記判定の対象である駆動機構を構成する所定のギヤの回転数が前記加減速期間において前記特定周波数帯域の周波数になる時間区間を取得する共振時間区間取得部と、前記モータ電流にバンドパスフィルタを適用して前記モータ電流の前記特定周波数帯域の一部又は全部に渡る周波数成分を取得する特定周波数帯域成分取得部と、前記時間区間取得部によって取得された前記時間区分と前記周波数成分取得部によって取得された前記周波数成分とに基づいて、前記モータ電流の振幅のピーク値を取得する振幅ピーク値取得部と、を備える。
この構成によれば、FFTによる解析を行うことなくモータ電流の振幅のピーク値を取得し、減速機に故障の兆候があるか否かを診断することができる。
本発明は、故障の兆候があるか否かを早期に判定することが可能な減速機の故障診断装置及び故障診断方法を提供できるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施形態1に係る減速機の故障診断装置が用いられる機械装置の故障診断システムの構成を示す機能ブロック図である。 図2は、図1の機械装置の故障診断システムの構成を示す外観図である。 図3は、図1の機械装置及び故障診断装置の構成を示す機能ブロック図である。 図4は、図1の機械装置の一例である6軸垂直多関節型ロボットの構成を示す外観図である。 図5(a)及び(b)は、図4の6軸垂直多関節型ロボットの共振による振動モードを示す模式図である。 図6(a)〜(c)は、図4の6軸垂直多関節型ロボットの共振による振動モードと関節を駆動する減速機のギヤが噛み合う方向との関係を示す模式図である。 図7は、図4の6軸垂直多関節型ロボットの特定周波数帯域と故障診断に適した関節との対応関係を示す表である。 図8は、図1の動作部の加減速期間における減速機の所定のギヤの回転数の変化の一例を示すグラフである。 図9は、図8に示す所定のギヤの回転数の変化に伴うモータ電流の当該ギヤ由来の基本波及び高調波の周波数の変化と特定周波数帯域との関係の一例を模式的(概念的)に示すグラフである。 図10は、図3の故障診断装置の電流処理部の構成の一例を示す機能ブロック図である。 図11は、図10の故障診断装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図12は、本発明の実施形態2に係る故障診断装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。 図13は、図12の故障診断装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図14は、図13の共振時間区間抽出の方法の一例を示すグラフである。 図15は、図13のモータ電流の特定周波数帯域成分抽出の方法の一例を示すグラフである。 図16は、図13のモータ電流の共振領域成分抽出の方法の一例を示すグラフである。 図17は、図13のモータ電流の共振領域成分の実効値算出の方法の一例を示すグラフである。 図18は、図4のロボットの減速機の摩耗加速試験の結果を、FFT解析処理による評価とバンドパスフィルタ処理による評価とを対比して示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
(実施形態1)
[構成]
<故障診断システムの概要>
図1は、本発明の実施形態1に係る減速機の故障診断装置が用いられる機械装置の故障診断システムの構成を示す機能ブロック図である。図2は、図1の機械装置の故障診断システムの構成を示す外観図である。図2においては、機械装置11の一例として、垂直多関節型ロボット(以下、単にロボットと略記する場合がある)が示されている。
図1及び図2を参照すると、実施形態1の故障診断システム100は、故障診断装置1と機械装置11とを含む。機械装置11は、本体41とコントローラ17とを含む。コントローラ17は、各種信号等を伝送するための通信ケーブルによって本体41と接続されている。また、故障診断装置1は、各種データを伝送するための通信ケーブルによってコントローラ17と接続されている。
機械装置11の本体41は、当該機械装置11の機能を実現するための複数の動作部12と、複数の動作部12をそれぞれ駆動するための複数の駆動機構31と、を含む。
機械装置11は、動作部12及び駆動機構31を含むものであればよく、特に限定されない。
機械装置11の本体41は、当該機械装置11の機械的構造部であり、複数の固有振動数を有する。動作部12及び駆動機構31は、本体41のこの機械的構造に機械的に結合されており、本体41に起振力が加わると、本体41と一緒に振動する。
コントローラ17は、本体41の動作部12の動作を制御する。
故障診断装置1は、機械装置11の駆動機構31に故障の兆候があるか否かを診断する。
以下、これらの要素を詳しく説明する。
<機械装置11>
図3は、図1の機械装置11及び故障診断装置1の構成を示す機能ブロック図である。図3においては、機械装置11の本体41の複数の動作部12及び複数の駆動機構31のうちの1つの動作部12及び1つの駆動機構31が示されている。他の動作部12及び駆動機構31に関しても以下の説明が同様に当て嵌まる。
まず、モータ14及び故障診断装置1の診断対象である減速機13を含む駆動機構31、並びに当該駆動機構31を備える本機械装置11について説明する。
機械装置11は、本体41と、コントローラ17とを含む。コントローラ17は、制御された電力(ここでは電流)を本体41のモータ14に供給する電力変換器15と、電力変換器15を用いて本体41の動作を制御する制御部42と、を含む。
本体41は、動作部12と、動作部12を駆動するモータ14と、モータ14の回転動力を減速して動作部12に伝達する減速機13と、モータ14の回転位置を検出するエンコーダ16と、を含む。駆動機構31は、駆動源としてのモータ14と、モータ14から動作部12に至る動力伝達経路とで構成される。減速機13はこの動力伝達経路の一部を構成する。
図2を参照すると、機械装置11として、典型的にはロボットが挙げられる。ロボットでは、ロボット本体の動作部が本体41の動作部12を構成する。例えば、多関節ロボットでは、固定対象に固定される基台(基部)が静止部を構成し、基台に連結される1以上の関節及びリンク並びにエンドエフェクタが動作部12を構成する。機械装置11として、これ以外に、建設機械や工作機械等が例示される。なお、ロボットについては、後で詳しく説明する。
減速機13は、モータ14の回転動力を減速して動作部12に伝達するものであればよい。減速機13は、例えば、入力軸の回転動力を減速機構(図示せず)によって減速し、減速した回転動力を、出力軸13aに出力する。入力軸として、図1には、モータ14の回転軸14aが例示されているが、例えば、他の動作部の出力軸であってもよい。また、減速機構として、典型的には歯車減速機構が例示される。
モータ14はサーボモータであり、ブラシレスモータ又は直流モータでもよい。しかし、誘導電動機等の他のモータであってもよい。サーボモータが用いられる場合は、エンコーダ16を併用して、動作部12の位置制御が行われる。モータ14の設置場所は、機械装置11の静止部でも、動作部12でもよい。ロボットの場合、モータ14は、第1関節を除いて、各関節において各関節より先のリンクを駆動するために設けられるので、第1関節以外の関節ではモータ14は動作部12に設けられる。第1関節では静止部に設けられる。
エンコーダ16は、モータ14の回転軸14aに設けられる。エンコーダ16は、モータ14の回転角(回転位置)を検出するものであればよい。なお、モータ14が、誘導電動機等によって構成され、動作部12の位置制御が行われない場合は、例えば、エンコーダ16に代えて回転数検知器が用いられる。
電力変換器15は、モータ14に、電圧又は電流が制御される(図1では電流が制御される)電力を供給して、モータ14を駆動する。電力変換器15は、周知であるので、その具体的な説明を省略する。図1では、電力変換器15が電流センサ(図示せず)を備えていて、モータ14に供給する電流(モータ14の負荷電流)を検知し、その検知した電流19を制御部42に出力する。電流センサは、電力変換器15の外部に設けられてもよい。
制御部42は、エンコーダ16から入力されるモータ14の回転角と電力変換器15の電流センサから入力されるモータ電流19に基づいて、電流指令値20を生成し、それを電力変換器15に出力する。電力変換器15は、電流指令値20に従った電流の電力をモータ14に出力する。かくして、制御部42は、モータ14の回転角及びトルクをフィードバック制御する。
また、制御部42は、エンコーダ16から入力されるモータ14の回転角、電流センサから入力されるモータ電流19、及び電流指令値20を、それぞれ、所定の時間間隔でサンプリングした時系列データとして記憶する。これらの時系列データは、後述するように故障診断装置1によって読み出されて、故障診断に用いられる。制御部42は、機械装置11の複数の駆動機構31のうちの故障診断を実施する所定の複数の駆動機構31のそれぞれについて、これらの時系列データを記憶する。
制御部42は、演算装置で構成される。演算装置としては、例えば、パーソナルコンピュータ、マイクロコントローラ等が例示される。制御部42(演算器)は、演算部と記憶部とを有し、演算部が記憶部に格納された所定の制御プログラム読み出して実行することにより、所定の動作制御を行う。制御部42は、上述の所定の制御プログラムが実行されることによって実現される機能部であり、実際には上記演算器が制御部42として動作する。
<故障診断装置1>
次に、故障診断装置1を説明する。故障診断装置1は、上述のように、故障診断に必要なモータ14の回転角の時系列データ及びモータ14の負荷電流又は当該負荷電流と相関関係を有する電流値である「モータ電流」の時系列データをコントローラ17の制御部42から読み出して取得する。このようにすると、故障診断を機械装置11の動作と切り離して所望のタイミングで行うことができる。なお、エンコーダ16で検知されるモータ14の回転角、及び「モータ電流」としての電流センサで検知されるモータ電流19又は制御部から出力される電流指令値20を、それぞれ、直接、故障診断装置1に入力してもよい。このようにすると、リアルタイムで故障診断を行うことができる。
故障診断装置1は、複数の動作部12のうちの1つの動作部12の動作における加減速期間の特定を行う加減速期間特定部3と、前記加減速期間における、前記1つの動作部12を駆動する1つのモータ14の負荷電流19又は当該負荷電流19と相関関係を有する電流値20であるモータ電流の特定周波数帯域の周波数成分の振幅のピーク値(以下、モータ電流の振幅のピーク値という)を取得するよう前記モータ電流を処理するモータ電流処理部32と、モータ電流の振幅のピーク値に基づいて、前記1つの動作部12に前記1つのモータ14の回転動力を減速して伝達する1つの減速機13に故障の兆候があるか否かの判定を行う判定部9と、を備える。
そして、1つの前記特定周波数帯域が、機械装置11の複数の固有振動数のうちの、前記1つの減速機13のギヤが噛み合う方向に機械装置11を共振によって振れさせる1つの固有振動数を含む。故障診断装置1は、複数の減速機13の各減速機について前記判定を行うよう構成されている。
以下、この構成を詳しく説明する。
故障診断装置1は、演算器で構成される。演算器としては、例えば、コンピュータ、パーソナルコンピュータ、マイクロコントローラ等のプログラムに従って動作するものの他、論理回路、電子回路等を含むハードウエアが例示される。故障診断装置1は、ここでは、プログラムに従って動作する演算器で構成される。この演算器は、プロセッサとメモリとを備え、プロセッサがメモリに格納された所定の故障診断プログラムを読み出して実行することにより、所定の故障診断を行う。故障診断装置1は、回転数取得部2と、加減速期間特定部3と、モータ電流処理部32と、判定部9と、出力部10と、を含む。プロセッサとして、CPU、MPU、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLC(Programmable Logic Controller)等が例示される。メモリとして、ROM等の内部メモリ及びハードディスク等の外部メモリが例示される。
これらの機能部2,3,32,9は、上述の所定の故障診断プログラムが実行されることによって実現される機能部であり、実際には上記演算器が機能部2,3,32,9として動作する。
回転数取得部2は、コントローラ17の制御部42からモータ14の回転角18の時系列データを読み出し、これに基づいて、モータ14の回転数を取得する(そして、一時的に保存する)。なお、エンコーダ16に代えて回転数検知器が設けられる場合には、回転数検知器で検知される回転数に基づいて、モータ14の回転数を取得する。
加減速期間特定部3は、回転数取得部2により取得されたモータ14の回転数に基づいて、機械装置11の動作部12の加減速期間を特定する。
モータ電流取得部4は、「モータ電流」の時系列データをコントローラ17の制御部42から読み出して取得する。ここでは、電流センサで検知される電流19を「モータ電流」として取得する(そして、一時的に保存する)。なお、制御部42から出力される電流指令値20を「モータ電流」として取得してもよい。電流指令値は、モータ14の負荷電流に対する現在値の偏差に応じた指令信号であり、モータの負荷電流と遜色ない結果が得られる。モータ電流の具体的な処理及び「特定周波数帯域」については、後で詳しく説明する。
モータ電流処理部32は、加減速期間におけるモータ14の負荷電流19又は当該負荷電流と相関関係を有する電流値20である「モータ電流」の特定周波数帯域の周波数成分の振幅のピーク値を取得する。
判定部9は、この振幅のピーク値に基づいて、機械装置11の複数の減速機13に故障の兆候があるか否かの判定を行う。具体的には、判定部9は、このモータ電流の振幅のピーク値を所定の振幅閾値と比較し、その結果に基づいて、減速機13に故障の兆候があるか否かを判定する。例えば、モータ電流の振幅のピーク値が所定の振幅閾値以上であると減速機13に故障の兆候があると判定し、モータ電流の振幅のピーク値が所定の振幅閾値未満であると減速機13に故障の兆候がないと判定する。この振幅閾値は、実験、シミュレーション等によって決定される。振幅閾値は、減速機13の劣化(故障の兆候)と関連する物理量(パラメータ)の許容限度を示す許容限度閾値に対応させて決定される。実施形態で1は、例えば、減速機13のグリスの鉄粉濃度の許容限度閾値と対応させて決定される。
出力部10は、判定部9による判定結果を出力する。出力部10は、例えば、判定結果を表示する表示器又は警報器、判定結果を外部に送信する送信器、判定結果を印刷する印刷器等で構成される。
<故障の兆候有無判定の原理>
図4は、図1の機械装置11の一例である6軸垂直多関節型ロボットの構成を示す外観図である。
{機械装置11の固有振動数}
図4を参照すると、機械装置11の本体41の一例としての垂直多関節型ロボットのロボット本体(41)は、基台111と、基台111に、第1関節JT1を介して、鉛直な第1回動軸線A1の周りに回動自在に設けられた旋回体112と、旋回体112に、第2関節JT2を介して、水平な第2回動軸線A2の周りに回動自在に設けられた下アーム113と、下アーム113に、第3関節JT3を介して、第2回動軸線A2に平行な第3回動軸線A3の周りに回動自在に設けられた上アーム114と、上アーム114に、第5関節JT5を介して、第2回動軸線A2に平行な第5回動軸線A5の周りに回動自在に設けられた手首115と、手首115に、第6関節JT6を介して、第5回動軸線A5に垂直な第6回動軸線A6の周りに回動自在に装着されたエンドエフェクタ116とを含む。また、上アーム114は、第5回動軸線A5に垂直で且つ上アーム114の長手方向に延びる第4回動軸線A4の周りに手首115を回動させる第4関節JT4を備える。
このロボット本体(41)は、上述のように、複数の固有振動数を有する。また、ロボット本体(41)は、様々な姿勢を取る。
ここで、本発明者等は、実験により、このロボット本体(41)の姿勢に依存してこれらの複数の固有振動数が若干変化することを見出した。この実験は、以下のようにして行った。図4に示す垂直多関節型ロボットのロボット本体(41)の第2関節に三軸加速度センサ(不図示)を取り付け、当該ロボット本体(41)の姿勢を7つの姿勢に変化させた。ロボット本体(41)には200kgの加重を負担させた(エンドエフェクタに200kgの重量物を把持させた)。そして、各姿勢において、ロボット本体(41)に打撃を加え、その振動を当該三軸加速度センサで計測し、その計測データを周波数解析した。
一方、次に述べるように、減速機13の故障の兆候有無の判定は、減速機13の起振力にロボット本体(41)(機械装置11の本体41)、ひいては減速機13が、これらの複数の固有振動数において共振し、それによって、当該減速機13の動力源であるモータ14のモータ電流が増大する現象を利用している。
そこで、本発明においては、ロボット本体(41)の姿勢による固有振動数の変化を考慮し、上記判定に用いる共振周波数帯域として、固有振動数の変化幅を見込んだ周波数帯域である「特定周波数帯域」を定義する。特定周波数帯域には参照符号frを付与し、中心周波数の低い順に第n特定周波数帯域と称し、その参照符号にnのサフィックスを付与する(nは自然数)。
図9を参照すると、例えば、第1特定周波数帯域fr1は、中心周波数fc1、下限周波数fl1、及び上限周波数fu1によって定義される。任意の第n特定周波数帯域frnは、中心周波数fcn、下限周波数fln、及び上限周波数funによって定義される。中心周波数fcnは、ロボット本体(41)の所定の基準姿勢における固有振動数である。下限周波数fln及び上限周波数funは、実験、シミュレーション、計算等によって決定される。
{振動モード}
本発明者等は、実験により、このロボット本体(41)の低い方の固有振動数における共振が興味深い振動モードを引き起こすことを見出した。この実験は、以下のようにして行った。
図5(a)及び(b)は、図4の6軸垂直多関節型ロボットの共振による振動モードを示す模式図であり、図5(a)は、一番低い固有振動数における振動モードを示し、図5(b)は、二番目に低い固有振動数における振動モードを示す。
図5(a)及び(b)を参照すると、この実験では、ロボット本体(41)において、第1関節JT1の第1回動軸線A1を水平方向において挟む旋回体112の一対の部位に一対の三軸加速度センサSC1,SC2が取り付けられ、第2関節JT2の第2回動軸線A2上の一対の位置に一対の三軸加速度センサSC3,SC4が取り付けられ、第3関節JT3の第3回動軸線A3上の一対の位置に一対の三軸加速度センサSC5,SC6が取り付けられ、且つ、第5関節JT5の第5回動軸線A5上の一対の位置に一対の三軸加速度センサSC7,SC8が取り付けられた。そして、ロボット本体(41)に打撃が加えられ、その振動が当該三軸加速度センサSC1〜SC8で計測され、その計測データが周波数解析された。その結果は、以下の通りであった。
図5(a)及び(b)には、ロボット本体(41)が、これらの三軸加速度センサSC1〜SC8を順に直線で結んでその概容が判るように示されている。図5(a)及び(b)において、実線及び点線は、ロボット本体(41)の振れの範囲を示し、矢印はその振れの方向を示す。また、図5(a)及び(b)において、X,Y,Zは、ロボット本体(41)の座標系を示す。図5(a)及び(b)には、X方向とY方向との中間の方角における斜め上方から見たロボット本体(41)の概容が示されている。
図5(a)に示されるように、ロボット本体(41)では、一番低い固有振動数において、共振により横振れ(略水平な面内における振れ)が引き起こされた。また、図5(b)に示されるように、ロボット本体(41)では、二番目に低い固有振動数において、共振により縦振れ(略鉛直な面内における振れ)が引き起こされた。
図6(a)〜(c)は、図4の6軸垂直多関節型ロボットの共振による振動モードと関節を駆動する減速機13のギヤが噛み合う方向との関係を示す模式図である。
図6(a)及び(b)における視点は図5(a)及び(b)と同じであるが、図6(c)には、Y軸方向から見たロボット本体(41)の概容が示されている。
図6(a)〜(c)において、太い実線の矢印は、ロボット本体(41)の振れを示し、細い二点鎖線は、各関節JT1〜JT3を駆動する減速機13のギヤが噛み合う方向示す。
図6(a)に示すように、一番低い固有振動数が共振により引き起こす横振れは第1関節JT1を駆動する減速機13のギヤが噛み合う方向であり、図6(b)及び(c)に示すように、二番目に低い固有振動数が共振により引き起こす縦振れは第2関節JT2及び第3関節JT3をそれぞれ駆動する減速機13のギヤが噛み合う方向である。
図7は、図4の6軸垂直多関節型ロボットの特定周波数帯域と故障診断に適した関節との対応関係を示す表である。図7を参照すると、一番低い固有振動数を含む第1特定周波数帯域fr1は、共振によって、ロボット本体(41)に横振れを引き起こす。二番目に低い固有振動数を含む第2特定周波数帯域fr2は、共振によって、ロボット本体(41)に縦振れを引き起こす。
以上の実験結果から、ロボット以外の機械装置11においても、複数の特定周波数帯域が、共振によって機械装置11に互いに異なる振れを引き起こすことが推定される。
{動作部12の動作による共振}
図8は、図1の動作部12の加減速期間における減速機13の所定のギヤの回転数の変化の一例を示すグラフである。
図3を参照すると、減速機13の故障診断は、減速機13の所定の1つのギヤに着目して行われる。所定のギヤを選択する基準は任意であるが、本実施形態では、最も摩耗しやすいギヤ、すなわち、減速機13の寿命を律するギヤが選択される。
図8を参照すると、所定のギヤは、動作部12の加減速期間において、例えば、図8に示すように、回転数がゼロから増大して最大値に達した後、減少してゼロになるように変化する。所定のギヤの回転数は、モータ14の回転数に当該ギヤの減速比を乗じて算出される。
図9は、図8に示す所定のギヤの回転数の変化に伴うモータ電流の当該ギヤ由来の高調波の周波数の変化と特定周波数帯域との関係の一例を模式的(概念的)に示すグラフである。図9において、Ip及びIsは、それぞれ、モータ電流の所定のギヤ由来の基本波成分及び2次高調波成分を示す。また、丸印は、モータ電流の特定周波数帯域の周波数成分の振幅のピーク値を示し、丸印の大きさは、ピーク値の大きさを示す。
所定のギヤの起振力は、その回転数を周波数に換算した周波数の自然数倍の周波数成分(以下、「ギヤ周波数成分」という場合がある)を含む。モータ電流は、所定のギヤの起振力に応じて変化するので、モータ電流も、同様のギヤ周波数成分を含む。
図9を参照すると、所定のギヤの回転数の変化に伴って、モータ電流(正確にはモータ14の負荷電流19)のギヤ周波数成分の1次周波数成分(基本波成分)Ip及び2次周波数成分(2次高調波成分)Isの周波数が第1及び第2特定周波数帯域fr1,frnの周波数になると、減速機13を含むロボット本体(41)が、これらのモータ電流によって駆動される所定のギヤの起振力に共振し、それによって、当該モータ電流のギヤ周波数成分の1次周波数成分Ip及び2次周波数成分Isの振幅のピーク値がそれぞれ増大する。この場合、1次周波数成分Ipの振幅のピーク値が、2次周波数成分Isの振幅のピーク値より大きい。そこで、実施形態1では、故障の兆候の有無の判定には、1次周波数成分(基本波成分)Ipの振幅のピーク値が用いられる。
{特定周波数帯域の選択}
図3を参照すると、減速機13のギヤが摩耗すると、ギヤの噛み合いによる起振力が大きくなるので、当該減速機13を駆動するモータ14の電流19が増大する。減速機13のギヤの噛み合いによる起振力が、ロボット本体(41)と共振すると、当該減速機13を駆動するモータ14の電流19は一層増大する。さらに、減速機13のギヤの噛み合い方向と類似の方向にロボット本体(41)が共振すると、減速機13のギヤの噛み合いによる起振力がより一層大きくなるので、当該減速機13を駆動するモータ14の電流19がより一層増大する。この場合、モータ14の電流の周波数成分のうちの当該ギヤに固有の周波数成分を特定する必要があるが、この固有の周波数成分として、当該ギヤの回転に起因する(由来する)上記ギヤ周波数成分が用いられる。
従って、モータ電流におけるギヤ周波数成分の振幅のピーク値を求めるために当該モータ電流から抽出する周波数成分の周波数帯域として、ロボット本体(41)(機械装置11の本体41)の複数の固有振動数にそれぞれ対応する複数の特定周波数帯域frのうちの、故障の兆候の有無を判定しようとする減速機13のギヤが噛み合う方向にロボット本体(41)が振れる振動モードを引き起こす特定周波数帯域frを用いると、モータ電流における当該ギヤのギヤ周波数成分の振幅のピーク値を捉え易くなる。つまり、故障の兆候の検出感度が向上する。
従って、複数の減速機13が組み込まれたロボット本体(41)において、各減速機13の所定のギヤの噛み合い方向に応じて、当該所定のギヤのギヤ周波数成分の振幅のピーク値を捉え易いロボット本体(41)の振れを引き起こす特定周波数帯域frを選択することによって、故障の兆候の検出感度が向上し、その結果、複数の減速機13に故障の兆候があるか否かを早期に診断することができる。
{特定周波数帯域frの選択例}
図4を参照すると、ロボット本体(41)の第1関節JT1の回動軸線A1は鉛直であり、第2関節JT2の回動軸線A2及び第3関節JT3の回動軸線A3は、水平である。
ある関節(JT1〜JT6)を駆動する減速機13のギヤの回動軸線の向きは設計に依存する。ここでは、所定のギヤの回動軸線が当該関節(JT1〜JT6)の回動軸線(A1〜A6)に平行である場合を例示する。この場合、当該関節(JT1〜JT6)の回動軸線(A1〜A6)を中心とする回動方向が、所定のギヤの噛み合い方向である。
図7を参照すると、上述のように、第1特定周波数帯域fr1の共振によるロボット本体(41)の振れは横振れであり、第2特定周波数帯域fr2の共振によるロボット本体(41)の振れは、縦振れである。
従って、第1関節JT1の減速機13の故障診断には第1特定周波数帯域fr1が選択され、第2関節JT2及び第3関節JT3の減速機13の故障診断には第2特定周波数帯域fr2が選択される。
<モータ電流処理部32の構成>
本実施形態では、モータ電流処理部は、FFT(Fast Fourier Transform)解析を用いてモータ電流を処理する。
具体的には、モータ電流処理部32は、FFT処理部5と、ギヤ周波数成分取得部6と、特定周波数帯域成分取得部7と、振幅ピーク値抽出部8と、を含む。
FFT処理部5は、加減速期間において回転数取得部2により取得されるモータの回転数を順次サンプリングして一群の時系列回転数データを生成する。また、加減速期間においてモータ電流取得部4により取得されるモータ電流を順次サンプリングして一群の時系列モータ電流データを生成する。
ここで、回転数データ及びモータ電流データの切り出し(抽出)とサンプリングについて説明する。回転数取得部2及びモータ電流取得部4は、それぞれ、モータ回転数及びモータ電流を、時系列のデータとして取得する。この時系列のデータについては、加減速期間の部分の切り出しと、サンプリングとを行う必要があるが、いずれが先であってもよい。また、サンプリングは、モータの1回転におけるサンプリング点数を定義し、且つ、モータの回転数が変化しても、定義した点数のサンプリングが行われるように、モータの回転数に応じたサンプリング周波数を決定する。
FFT処理部5は、一群の時系列モータ電流データを一群の時系列回転数データにそれぞれ対応させて周波数解析し、一群の時系列回転数データにそれぞれ対応する一群のモータ電流データの周波数スペクトルを生成する。この周波数解析で得られたデータ(以下、3次元周波数解析データという)では、1つの時系列回転数データに1つのモータ電流データの周波数スペクトルが対応するようにして、一群の時系列回転数データに一群のモータ電流データの周波数スペクトルが対応している。
そして、この3次元周波数解析データにおいて、モータ電流の特定周波数帯域frに存在する所定のギヤのギヤ周波数成分の振幅が、減速機13を含む機械装置11の共振により増大してピーク値を示す。
ギヤ周波数成分取得部6は、この3次元周波数解析データから、モータ電流の所定の次数(ここでは1次)のギヤ周波数成分を抽出して、これを取得する。この際、ギヤ周波数成分取得部6は、モータ14の回転数の変化に追従して、モータ14の回転数から所定の次数のギヤ周波数成分の周波数を逐次算出しながら、モータ電流の所定の次数のギヤ周波数成分を抽出する。
特定周波数帯域成分取得部7は、このモータ電流の所定の次数のギヤ周波数成分から、所定の第n特定周波数帯域frnに存在する部分を抽出して、これを取得する。
振幅ピーク値抽出部8は、このモータ電流の所定の次数のギヤ周波数成分(ここでは、1次ギヤ周波数成分)のうちの所定の第n特定周波数帯域frnに存在する部分における振幅のピーク値を抽出してこれを取得する。
[動作]
次に、以上のように構成された故障診断装置1の動作を説明する。図11は、図10の故障診断装置1の動作の一例を示すフローチャートである。故障診断装置1の動作は、上述のように、上記プロセッサが上記メモリに格納された所定の故障診断プログラムを読み出して実行することにより実現される。この故障診断においては、複数の減速機13が診断対象とされる。
図11を参照すると、故障診断装置1において、まず、最初の減速機13について、回転数取得部2が、コントローラ17の制御部42から取得したデータに基づいて、モータ14の回転数を取得する(ステップS1)。
次いで、加減速期間特定部3が、このモータ14の回転数に基づいて、機械装置11の動作部12の加減速期間を特定する(ステップS2)。
次いで、モータ電流取得部4が、コントローラ17の制御部42から読み出したデータに基づいて、モータ電流を取得する(ステップS3)。
次いで、FFT処理部5が、これらのモータ14の回転数及びモータ電流に基づいて、一群の時系列回転数データと一群の時系列モータ電流データを生成する。そして、この一群の時系列回転数データとこの一群の時系列モータ電流データとをそれぞれ対応させて周波数解析し、それによって、一群の時系列回転数データにそれぞれ一群のモータ電流データの周波数スペクトルが対応してなる3次元周波数解析データを生成する(ステップS4)。
次いで、ギヤ周波数成分取得部6が、この3次元周波数解析データから、モータ電流の所定の次数(ここでは1次)のギヤ周波数成分を抽出して、これを取得する(ステップS5)。
次いで、特定周波数帯域成分取得部7が、このモータ電流の所定の次数のギヤ周波数成分から、所定の第n特定周波数帯域frnに存在する部分を抽出して、これを取得する(ステップS6)。ここで、所定の第n特定周波数帯域frnとして、モータ電流の所定のギヤのギヤ周波数成分の振幅のピーク値を捉え易い機械装置11の振れを引き起こす第n特定周波数帯域frnが選択される。例えば、減速機13が図4のロボット本体(41)の第1関節JT1を駆動する減速機13である場合、第n特定周波数帯域frnとして、第1特定周波数帯域fr1が選択される。
次いで、振幅ピーク値抽出部8が、このモータ電流の所定の次数のギヤ周波数成分のうちの所定の第n特定周波数帯域frnに存在する部分における振幅のピーク値を抽出して、これを取得する(ステップS7)。
次いで、判定部9が、この振幅のピーク値に基づいて、最初の減速機13に故障の兆候があるか否かの判定を行う(ステップS8)。この判定の結果を出力部10が適宜出力する。
次いで、判定部9は、全ての減速機13の故障診断が終了したか否か判定する(ステップS9)。全ての減速機13の故障診断が終了していない場合、ステップS1に戻る(ステップS9でNO)。そして、故障診断装置1は、次の減速機13の故障診断を実施する(ステップS1〜9)。この場合、ステップS6において、例えば、減速機13が図4のロボット本体(41)の第2関節JT2を駆動する減速機13である場合、第n特定周波数帯域frnとして、第2特定周波数帯域fr2が選択される。
それ以降、故障診断装置1は、全ての減速機13の故障診断が終了するまで、ステップS1〜9を繰り返し、全ての減速機13の故障診断が終了すると(ステップS9でYES)、故障診断を終了する。
以上に説明したように、実施形態1によれば、複数の減速機13が組み込まれた機械装置11において、各減速機13の所定のギヤの噛み合い方向に応じて、モータ電流における当該ギヤのギヤ周波数成分の振幅のピーク値を捉え易い機械装置11の振れを引き起こす特定周波数帯域frを選択することによって、故障の兆候の検出感度が向上し、その結果、複数の減速機13に故障の兆候があるか否かを早期に診断することができる。
(実施形態2)
図12は、本発明の実施形態2に係る故障診断装置1の構成の一例を示す機能ブロック図である。
実施形態2の故障診断装置1においては、モータ電流処理部32の構成が、実施形態1の故障診断装置1のモータ電流処理部32と異なる。実施形態2の故障診断装置1のこれ以外の構成は、実施形態1の故障診断装置1の構成と同じである。以下、この相違点を説明する。
図12を参照すると、本実施形態2の故障診断装置1では、モータ電流処理部32が、共振時間区間取得部51と、特定周波数帯域成分取得部52と、共振領域取得部53と、振幅ピーク値取得部54と、を含む。
共振時間区間取得部51は、減速機13の所定のギヤの基本波及び高調波に相当する回転数(所定のギヤの回転数の自然数倍の回転数)が、加減速期間特定部3によって特定された加減速期間において、第n特定周波数帯域frnの周波数になる時間区間を取得する。ここでは、上述のように、モータ電流の1次ギヤ周波数成分の振幅のピーク値を求めるので、「所定の次数」は1次である。つまり、「所定のギヤの基本波及び高調波に相当する回転数」は、所定のギヤの回転数である。この時間区間は、モータ電流における、機械装置11が共振する時間区間(以下、共振時間区間という)に相当する。
特定周波数帯域成分取得部52は、モータ電流にバンドパスフィルタを適用して、モータ電流の第n特定周波数帯域frnの一部又は全部に渡る周波数成分を取得する。
共振領域取得部53は、特定周波数帯域成分取得部52によって取得されたモータ電流の第n特定周波数帯域frnの成分から、共振時間区間取得部51によって取得された共振時間区分内に存在する部分を抽出し、これを取得する。この取得されたモータ電流の成分は、モータ電流における機械装置11の共振領域にある周波数成分(以下、共振周波数成分という)に相当する。
振幅ピーク値取得部54は、共振領域取得部53が取得したモータ電流の共振周波数成分の実効値を、共振時間区間毎に算出し、それらの最大値を振幅ピーク値として求め、これを取得する。
次に、以上のように構成された故障診断装置1の動作を詳しく説明する。図13は、図12の故障診断装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
図13を参照すると、ステップS11〜13は、図11に示す実施形態1の故障診断装置1の動作におけるステップS1〜3と同じであるので、その説明を省略する。
故障診断装置1では、モータ電流取得部がモータ電流を取得した後、共振時間区間取得部51が、減速機13の所定のギヤの基本波及び高調波に相当する回転数が、加減速期間特定部3によって特定された加減速期間において、第n特定周波数帯域frnの周波数になる共振時間区間を取得する(ステップS14)。ここでは、モータ電流の1次ギヤ周波数成分の振幅のピーク値を求めるので、「所定のギヤの基本波及び高調波に相当する回転数」は、所定のギヤの回転数である。これを、図14を用いて説明する。
図14は、図13の共振時間区間抽出の方法の一例を示すグラフである。図14を参照すると、共振時間区間取得部51は、図14の上段のグラフに示すように、モータ14の回転数を所定のギヤの回転数に変換し、この変換後回転数の時系列データを生成する。そして、図14の下段のグラフに示すように、この変換後回転数の時系列データから、変換後回転数が第n特定周波数帯域frnに存在する部分を抽出する。そして、この抽出した変換後回転数の部分の始端及び終端にそれぞれ対応する一対の時間(t,t),(t,t),(t,t),(t,t)をそれぞれ抽出し、これらの一対の時間(t,t),(t,t),(t,t),(t,t)から、変換後回転数が第n特定周波数帯域frnに存在する共振時間区間を求める。
一方、この処理と並行して、特定周波数帯域成分取得部52が、モータ電流にバンドパスフィルタを適用して、モータ電流の第n特定周波数帯域frnの周波数成分を取得する(ステップS15)。ここでは、モータ電流の第n特定周波数帯域frnの全部に渡る周波数成分が取得されるが、モータ電流の第n特定周波数帯域frnの一部に渡る周波数成分が取得されてもよい。第n特定周波数帯域frnとしては、減速機13が、例えば、図4のロボット本体(41)の第1関節JT1を駆動する減速機13である場合、第1特定周波数帯域fr1が選択され、第2関節JT2を駆動する減速機13である場合、第2特定周波数帯域fr2が選択される。これを、図15を用いて説明する。図15は、図13のモータ電流の第n特定周波数帯域frnの周波数成分抽出の方法の一例を示すグラフである。
図15を参照すると、上段のグラフに示すモータ電流に、第n特定周波数帯域frnの全域を通過帯域とするバンドパスフィルタを適用すると、下段のグラフに示すような、モータ電流の第n特定周波数帯域frnの周波数成分が取得される。
次いで、共振領域取得部53が、特定周波数帯域成分取得部52によって取得されたモータ電流の第n特定周波数帯域frnの周波数成分から、共振時間区間取得部51によって取得された共振時間区分内に存在する部分を抽出し、これを取得する(ステップS16)。これを、図16を用いて説明する。図16は、図13のモータ電流の共振領域成分抽出の方法の一例を示すグラフである。
図16を参照すると、共振領域取得部53は、図15の下段のグラフに示されたモータ電流の第n特定周波数帯域frnの周波数成分のうち、一対の時間(t,t),(t,t),(t,t),(t,t)でそれぞれ特定される共振時間区間内に存在する部分(共振周波数成分)を取得する。
次いで、振幅ピーク値取得部54は、共振領域取得部53が取得したモータ電流の共振周波数成分の実効値を、共振時間区間毎に算出し、それらの最大値を振幅ピーク値として求め、これを取得する(ステップS17)。これを、図17を用いて説明する。図17は、図13のモータ電流の共振領域成分実効値算出の方法の一例を示すグラフである。
図17を参照すると、振幅ピーク値取得部54は、下記の式を用いてモータ電流の共振領域成分の実効値を求める。
この式において、a(t)は時刻tの瞬時値であり、A(t)は時刻tの実効値であり、Tは時定数である。図17には、時刻tから時刻tまでの共振時間区間の実効値の求め方が示されている。
次いで、振幅ピーク値取得部54は、このようにして共振時間区間毎に算出したモータ電流の共振周波数成分の実効値のうちの最大値を振幅ピーク値として求め、これを取得する(ステップS18)。
これ以降のステップS19及びステップS20は、図11に示す実施形態1の故障診断装置1の動作におけるステップS1〜3と同じであるので、その説明を省略する。
次に、実施形態1のFFT処理を用いた故障診断と実施形態2のバンドパスフィルタを用いた故障診断との比較を説明する。
図18は、図4のロボットの減速機の摩耗加速試験の結果を、FFT解析処理による評価とバンドパスフィルタ処理による評価とを対比して示すグラフである。減速機の摩耗度は、グリス中の鉄粉の濃度を指標とした。
図18において、横軸は試験の経過時間を示し、縦軸はモータ電流の振幅のピーク値を示す。また、図18において、四角印のプロットは、FFT処理による評価を示し、丸印のプロットは、バンドパスフィルタ処理による評価を示す。図18から、バンドパスフィルタ処理による評価は、FFT処理による評価と遜色ないことが判る。
以上の説明から明らかなように、実施形態2によれば、実施形態1と同様に、モータ電流における所定のギヤのギヤ周波数成分の振幅のピーク値を捉え易い機械装置11の振れを引き起こす特定周波数帯域frを選択することによって、故障の兆候の検出感度が向上し、その結果、複数の駆動機構31に故障の兆候があるか否かを早期に診断することができる。さらに、故障診断におけるFFTによる解析が不要になる。
上記説明から、当業者にとっては、多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきである。
本発明の減速機の故障診断装置及び診断方法は、故障の兆候があるか否かを早期に判定することが可能な減速機の故障診断装置及び故障診断方法として有用である。
1 故障診断の装置
2 回転数取得部
3 加減速期間特定部
4 モータ電流取得部
5 FFT処理部
6 ギヤ周波数成分取得部
7 特定周波数帯域成分取得部
8 振幅のピーク値抽出部
9 判定部
10 出力部
11 機械装置
12 動作部
13 減速機
14 モータ
15 電力変換器
16 エンコーダ
17 コントローラ
19 モータ電流
20 電流指令値
31 駆動機構
32 モータ電流処理部
41 本体
42 制御部
51 共振時間区間取得部
52 特定周波数帯域成分取得部
53 共振領域取得部
54 振幅のピーク値取得部
100 故障診断システム
A1〜A6 第1回動軸線〜第6回動軸線
JT1〜JT6 第1関節〜第6関節

Claims (12)

  1. 複数の動作部と、前記複数の動作部をそれぞれ駆動する複数のモータと、前記複数のモータの回転動力を減速して前記複数の動作部にそれぞれ伝達する複数の減速機と、を備える機械装置の前記複数の減速機の故障を診断する故障診断装置であって、
    前記複数の動作部のうちの1つの動作部の動作における加減速期間の特定を行う加減速期間特定部と、
    前記加減速期間における、前記1つの動作部を駆動する1つのモータの負荷電流又は当該負荷電流と相関関係を有する電流値であるモータ電流の特定周波数帯域の周波数成分の振幅のピーク値(以下、モータ電流の振幅のピーク値という)を取得するよう前記モータ電流を処理するモータ電流処理部と、
    前記モータ電流の振幅のピーク値に基づいて、前記1つの動作部に前記1つのモータの回転動力を減速して伝達する1つの減速機に故障の兆候があるか否かの判定を行う判定部と、を備え、
    1つの前記特定周波数帯域が、前記機械装置の複数の固有振動数のうちの、前記1つの減速機のギヤが噛み合う方向に前記機械装置を共振によって振れさせる1つの固有振動数を含み、
    前記複数の減速機の各減速機について前記判定を行うよう構成されている、減速機の故障診断装置。
  2. 前記複数の減速機は、A方向においてギヤが噛み合うA減速機と前記A方向と異なるB方向においてギヤが噛み合うB減速機と、を含み、
    前記複数の固有振動数は、前記A減速機のギヤが噛み合う方向に前記機械装置を共振によって振れさせるA固有振動数と、前記B減速機のギヤが噛み合う方向に前記機械装置を共振によって振れさせるB固有振動数と、を含み、
    前記判定部は、前記A減速機について、前記A固有振動数を含むA特定周波数帯域を用いて前記判定を行い、且つ、前記B減速機について、前記B固有振動数を含むB特定周波数帯域を用いて前記判定を行うよう構成されている、請求項1に記載の減速機の故障診断装置。
  3. 前記判定が、前記モータ電流の振幅のピーク値と所定の振幅閾値との比較に基づく判定である、請求項1又は2に記載の減速機の故障診断装置。
  4. 前記機械装置が垂直多関節型ロボットであり、前記複数の動作部が前記ロボットの複数のリンク及び当該複数のリンクを連結する複数の関節であり、前記複数のモータが、前記複数の関節をそれぞれ駆動する複数のモータであり、前記複数の減速機が、前記複数のモータの回転動力を減速して前記複数の動作部にそれぞれ伝達する複数の減速機である、請求項1乃至3のいずれかに記載の減速機の故障診断装置。
  5. 前記モータ電流処理部が、前記1つのモータの回転数及び前記モータ電流に基づいて、一群の時系列回転数データにそれぞれ一群のモータ電流データの周波数スペクトルが対応してなる3次元周波数解析データを生成するFFT処理部と、前記3次元周波数解析データから、前記モータ電流の前記1つの減速機の前記ギヤの基本波又は高調波の周波数成分を抽出してこれを取得するギヤ周波数成分取得部と、前記モータ電流の前記ギヤの基本波又は高調波の周波数成分から、前記特定周波数帯域に存在する部分を抽出してこれを取得する特定周波数帯域成分取得部と、前記モータ電流の前記ギヤの基本波又は高調波の周波数成分のうちの前記特定周波数帯域に存在する部分における振幅のピーク値を抽出することによって、前記モータ電流の振幅のピーク値を取得する振幅ピーク値抽出部と、を備える、請求項1乃至4のいずれかに記載の減速機の故障診断装置。
  6. 前記モータ電流処理部が、前記1つの減速機の前記ギヤの回転数が前記加減速期間において前記特定周波数帯域の周波数になる時間区間を取得する共振時間区間取得部と、前記1つのモータの前記モータ電流にバンドパスフィルタを適用して前記モータ電流の前記特定周波数帯域の一部又は全部に渡る周波数成分を取得する特定周波数帯域成分取得部と、前記共振時間区間取得部によって取得された前記時間区分と前記特定周波数帯域成分取得部によって取得された前記周波数成分とに基づいて、前記モータ電流の振幅のピーク値を取得する振幅ピーク値取得部と、を備える、請求項1乃至4のいずれかに記載の減速機の故障診断装置。
  7. 複数の動作部と、前記複数の動作部をそれぞれ駆動する複数のモータと、前記複数のモータの回転動力を減速して前記複数の動作部にそれぞれ伝達する複数の減速機と、を備える機械装置の前記複数の減速機の故障を診断する故障診断方法であって、
    前記複数の動作部のうちの1つの動作部の動作における加減速期間の特定を行うことと、
    前記加減速期間における、前記1つの動作部を駆動する1つのモータの負荷電流又は当該負荷電流と相関関係を有する電流値であるモータ電流の特定周波数帯域の周波数成分の振幅のピーク値(以下、モータ電流の振幅のピーク値という)を取得するよう前記モータ電流を処理することと、
    前記モータ電流の振幅のピーク値に基づいて、前記1つの動作部に前記1つのモータの回転動力を減速して伝達する1つの減速機に故障の兆候があるか否かの判定を行うことと、を含み、
    1つの前記特定周波数帯域が、前記機械装置の複数の固有振動数のうちの、前記1つの減速機のギヤが噛み合う方向に前記機械装置を共振によって振れさせる1つの固有振動数を含み、
    前記複数の減速機の各減速機について前記判定を行う、減速機の故障診断方法。
  8. 前記複数の減速機は、A方向においてギヤが噛み合うA減速機と前記A方向と異なるB方向においてギヤが噛み合うB減速機と、を含み、
    前記複数の固有振動数は、前記A減速機のギヤが噛み合う方向に前記機械装置を共振によって振れさせるA固有振動数と、前記B減速機のギヤが噛み合う方向に前記機械装置を共振によって振れさせるB固有振動数と、を含み、
    前記A減速機について、前記A固有振動数を含むA特定周波数帯域を用いて前記判定を行い、且つ、前記B減速機について、前記B固有振動数を含むB特定周波数帯域を用いて前記判定を行う、請求項7に記載の減速機の故障診断方法。
  9. 前記判定が、前記モータ電流の特定周波数帯域の周波数成分の振幅のピーク値と所定の振幅閾値との比較に基づく判定である、請求項7又は8に記載の減速機の故障診断方法。
  10. 前記機械装置が垂直多関節型ロボットであり、前記複数の動作部が前記ロボットの複数のリンク及び当該複数のリンクを連結する複数の関節であり、前記複数の駆動機構が、前記複数の関節をそれぞれ駆動する複数の駆動機構である、請求項7乃至9のいずれかに記載の減速機の故障診断方法。
  11. 前記モータ電流を処理することが、前記1つのモータの回転数及び前記モータ電流に基づいて、一群の時系列回転数データにそれぞれ一群のモータ電流データの周波数スペクトルが対応してなる3次元周波数解析データを生成することと、前記3次元周波数解析データから、前記モータ電流の前記1つの減速機の前記ギヤの基本波又は高調波の周波数成分を抽出してこれを取得することと、前記モータ電流の前記ギヤの基本波又は高調波の周波数成分から、前記特定周波数帯域に存在する部分を抽出してこれを取得することと、前記モータ電流の前記ギヤの基本波又は高調波の周波数成分のうちの前記特定周波数帯域に存在する部分における振幅のピーク値を抽出することによって、前記モータ電流の振幅のピーク値を取得することと、を含む、請求項7乃至10のいずれかに記載の減速機の故障診断方法。
  12. 前記モータ電流を処理することが、前記複数の駆動機構のうちの前記判定の対象である駆動機構を構成する所定のギヤの回転数が前記加減速期間において前記特定周波数帯域の周波数になる時間区間を取得することと、前記モータ電流にバンドパスフィルタを適用して前記モータ電流の前記特定周波数帯域の一部又は全部に渡る周波数成分を取得することと、前記時間区間を取得することにおいて取得された前記時間区分と前記周波数成分を取得することにおいて取得された前記周波数成分とに基づいて、前記モータ電流の振幅のピーク値を取得することと、を含む、請求項7乃至10のいずれかに記載の減速機の故障診断方法。
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