JP2020528878A - がん治療用インターフェロンプロドラッグ - Google Patents

がん治療用インターフェロンプロドラッグ Download PDF

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Abstract

本開示は、インターフェロンプロドラッグ、およびがん治療におけるそれらの使用に関する。そのようなコンストラクトの特殊な利点は、インビボで強力な抗腫瘍活性を発揮する能力、およびインターフェロン療法に伴う多くの重大な毒性の低減である。

Description

優先権の主張
本願は、2017年6月20日に出願された米国特許仮出願第62/522,564号の優先権の恩典を主張し、その内容のすべてを参照により本明細書に組み入れるものとする。
1.分野
本開示は概して、医薬、腫瘍学、および免疫療法薬の分野に関する。より具体的には、本発明は、がん治療における免疫試薬の開発および使用に関する。
2.背景
I型インターフェロン(IFN)は、腫瘍細胞の増殖を直接抑制すると考えられている。IFNは、血液学的腫瘍(慢性骨髄性白血病、ヘアリーセル白血病、多発性骨髄腫、および非ホジキンリンパ腫)および固形腫瘍(黒色腫、腎がん、およびカポジ肉腫)などの複数の種類のがんの治療に成功裏に用いられている(Ferrantiniら, 2007、Moschos & Kirkwood, 2007、Zitvogelら, 2015、およびAntonelliら, 2015)。事実、内因性I型IFNが、腫瘍抗原に対する交差提示が増加するようにDCを教育する主要な役割を果たして、化学療法、放射線療法、標的治療、および免疫療法の抗腫瘍活性が高まることを、蓄積している証拠が示している(Schiavoniら, 2011、Burnetteら, 2011;Staggら, 2011、およびWooら, 2014)。
I型IFN治療の特殊な利点は、抗腫瘍免疫応答の発生の複数の時点におけるIFNの介入能力、たとえば自然および適応細胞傷害性リンパ球集団の刺激、抑制性細胞型の負の調節、増殖阻害による、ならびにアポトーシス、分化、遊走、および細胞表面の抗原発現の調整による腫瘍細胞への影響などによるものである(Parkerら, 2016)。重要なことに、これらの作用の一部は、免疫療法に対するがんの耐性に打ち勝つのにI型IFNを用いる潜在的な戦略ともなり得る。がん患者における再発機構の1つは、腫瘍抗原提示のためのMHCクラスI分子およびペプチドトランスポーター遺伝子の発現の下方制御のせいで、T細胞による認識が不足することである(Sharmaら, 2017)。I型IFNは、腫瘍細胞におけるLMP2/7およびTAP-1/2の発現のみならず、MHCクラスIの発現を誘導するのに用いることができるが、これらを合わせることは、免疫療法に対する治療耐性と闘うための理想的な併用戦略である(Khanna, 1998)。また、I型IFNは、Tregの増殖に対し負の調節をすることにより(Paceら, 2010、およびSrivastavaら, 2014)、かつMDSCの蓄積および抑制機能を低下させることにより(Zoglmeierら, 2011)、いずれも細胞傷害性Tリンパ球の活性を直接抑制するTregおよびMDSCを抑制するのに用いることもできる(Schmidtら, 2012、およびGabrilovichら, 2009)。これらの複数の抗腫瘍効果により、I型IFNは、単剤治療においても他の治療との併用においても、興味を引く抗がん剤となっている。
ところが、診療施設でI型IFNを用いる最大の障壁の1つに、そのような治療に付随する重篤な副作用がある。最も頻繁に起きる副作用は、風邪のような症状、血液毒性、トランスアミナーゼの上昇、吐き気、疲労感、および精神的後遺症である。これらの副作用のせいで、最大限の治療効果を得るのに必要な用量に達することやそれを維持することができず、またこれらの副作用が生じるとI型IFN治療の臨床的メリットを完全に上回ってしまうこともある(Kreutzerら, 2004, Sleijferら, 2005、およびLotrich, 2009)。したがって、I型IFNを引き続き臨床で使用するには、I型IFNを腫瘍の微小環境に特異的に送達する能力が必須である。薬物の活性が腫瘍内および腫瘍でのみ発揮されるような新しい形態の薬物を得るために、ならびに腫瘍外での重篤な有害作用の回避を実現するために、I型IFNを修飾する戦略が必要とされている。
概要
したがって本開示では、(a)インターフェロン(IFN)結合活性を保持している、インターフェロンアルファおよびベータ受容体(IFNAR)ドメイン、(b)該IFNARドメインが結合していないときは1型インターフェロン活性を保持している、1型インターフェロン(IFN)ドメイン、(c)免疫グロブリン(Ig)Fcドメイン、(d)一端が該IFNのN末端と融合し、他端が該IFNARと融合している第1のリンカーであって、プロテアーゼ切断可能な、第1のリンカー、および(e)一端が該IFNのC末端と融合し、他端が該Ig FcドメインのN末端と融合している、第2のリンカー、を含むインターフェロンプロドラッグを提供する。Igは、IgG1またはIgG2などのIgGであってもよい。インターフェロンプロドラッグは、該1型IFNドメインのコピーを2つ含有してもよい。インターフェロンプロドラッグは、該1型IFNドメインのコピーを3つ以上含有してもよい。第1のリンカーは、1つまたは複数のマトリックスメタロプロテイナーゼ、たとえばMMP1、MMP3、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、またはMMP14により切断可能であってもよい。第1のリンカーは、UPA、FAPa、および/またはカテプシンBにより切断可能であってもよい。リンカーは、G4S-SUB1-G4S-SUB2-G4S-SUB3-G4Sであってもよく、SUB1〜3は別個の酵素切断部位である。IFNARは、IFNAR1またはIFNAR2であってもよい。IFNは、IFN-α、IFN-β、IFN-κ、IFN-δ、IFN-ε、IFN-τ、IFN-ω、またはIFN-ζであってもよい。
別の態様では、(a)インターフェロン(IFN)結合活性を保持している、インターフェロンアルファおよびベータ受容体(IFNAR)ドメイン、(b)該IFNARドメインが結合していないときは1型インターフェロン活性を保持している、1型インターフェロン(IFN)ドメイン、(c)免疫グロブリン(Ig)Fcドメイン、(d)一端が該IFNのN末端と融合し、他端が該IFNARと融合している第1のリンカーであって、プロテアーゼ切断可能な、第1のリンカー、(e)一端が該IFNのC末端と融合し、他端が該Ig FcドメインのN末端と融合している、第2のリンカー、および(f)該IFNαドメインの5'末端の5'側に配置された、プロモーター、を含むインターフェロンプロドラッグをコードする核酸コンストラクトを提供する。Igは、IgG1またはIgG2などのIgGであってもよい。インターフェロンプロドラッグは、該1型IFNドメインのコピーを2つ含有する。インターフェロンプロドラッグは、該1型IFNドメインのコピーを3つ以上含有してもよい。第1のリンカーは、マトリックスメタロプロテイナーゼ、たとえばMMP1、MMP3、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、および/またはMMP14により切断可能であってもよい。第1のリンカーは、UPA、FAPa、および/またはカテプシンBにより切断可能であってもよい。リンカーは、G4S-SUB1-G4S-SUB2-G4S-SUB3-G4Sであってもよく、SUB1〜3は別個の酵素切断部位である。IFNARは、IFNAR1またはIFNAR2であってもよい。IFNは、IFN-α、IFN-β、IFN-κ、IFN-δ、IFN-ε、IFN-τ、IFN-ω、またはIFN-ζであってもよい。
上記で定義したインターフェロンプロドラッグを発現する組換え細胞;上記で定義した核酸コンストラクトを含む組換え細胞;上記で定義した細胞を培養することを含む、インターフェロンプロドラッグを発現させる方法;上記で定義した細胞を培養することを含む、インターフェロンプロドラッグを発現させる方法;および(a)がん治療用薬剤の調製における、または(b)がん治療のための、上記で定義したインターフェロンプロドラッグの使用も提供する。
別の態様では、上記で定義したインターフェロンプロドラッグを、それを必要とする対象に投与することを含む、がんを治療する方法を提供する。方法は、該対象から採取されたがん細胞におけるプロテアーゼ発現を評価する工程を、さらに含んでいてもよい。がん細胞は、生検試料から採取してもよく、または循環腫瘍細胞であってもよい。がんは、肺がん、乳がん、脳がん、口腔がん、食道がん、頭頸部がん、皮膚がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、腎臓がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、結腸がん、睾丸がん、子宮がん、子宮頚がん、リンパ腫、または白血病であってもよい。がんは、原発性、再発性、転移性、または多剤耐性であってもよい。患者は、以前に外科療法、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、または免疫療法を受けたことがあってもよい。
方法は、該対象を、外科療法、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、または免疫療法などの第2のがん治療法により治療することを、さらに含んでいてもよい。対象は、ヒトでも非ヒト哺乳類でもよい。方法は、該インターフェロンプロドラッグを2回以上、たとえば毎日、隔日、毎週、隔週、または毎月投与することを、さらに含んでいてもよい。プロドラッグは、全身的に、または腫瘍内に、腫瘍に対し局部的に、もしくは腫瘍に対し局所的に投与されてもよい。治療は、腫瘍増殖の低速化、腫瘍増殖の停止、腫瘍サイズもしくは負荷の減少、未治療の対象と比較した場合の生存率の上昇、がん寛解の誘導、腫瘍細胞アポトーシスの誘導、または腫瘍壊死の誘導を、1つまたは複数含んでいてもよい。
本明細書に記載の任意の方法または組成物を、本明細書に記載の任意の他の方法または組成物に関して実施できることが、想定されている。
請求項および/または本明細書において「1つの(a)」または「1つの(an)」という語が「含む」という用語とともに用いられる場合、「1つ」を意味することができるが、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」、および「1つまたは1つを超える」という意味とも合致する。「約」という語は、記載された数プラスまたはマイナス5%を意味する。
本開示の他の目的、特徴、および利点は、下記の詳細な記述から明らかになる。しかし、詳細な記述および具体例は本開示の特定の態様を示しているが、当業者にとってはこの詳細な記述から本開示の精神および範囲内でさまざまな変更および改変が明白になるため、例示としてのみ提供されていることを理解されたい。
以下の図面は本明細書の一部をなしており、本開示の特定の局面をさらに明示するために含まれるものである。本開示は、本明細書に記載の特定の態様の詳細な記述と合わせてこれらの図面の1つまたは複数を参照することで、よりよく理解することができる。
IFN-プロドラッグの概略的構造。IFNAR-ECD(青色)、基質リンカー(赤色)、IFN(黄色)、腫瘍特異的酵素(緑色)、IgG Fc(灰色)。左のN-末端アームは、IFNAR-ECDが融合されてIFNと結合しているインタクトなIFN-プロドラッグの形態を表し、右のN末端アームは、IFNAR-ECDが解離している、活性化したIFN-プロドラッグを表す。 IFN-プロドラッグの活性化形態は、復元というよりむしろ増加したIFN活性を示す。(図2A)hIg、IFNa4-Fc、IFNAR1系IFN-プロドラッグ、およびIFNAR2系IFN-プロドラッグを、20 nMから5倍系列希釈した。(図2B〜C)IFN-プロドラッグをアッセイ緩衝液(50 mMのTris、10 mMのCaCl2、150 mMのNaCl、0.05% Brij-35(w/v)、pH 7.5(TCNB))で1 μMまで希釈した。rmMMP-9を最終濃度1 ng/μLとして添加し、37℃で6時間インキュベートする。(図2B)IFNa4-Fc、rmMMP-9処置したまたはしていないR1-NSUB、およびrmMMP-9処置したまたはしていないR1-SUB(MMP-2/9基質)を20 nMから5倍系列希釈した。(図2C)IFNa4-Fc、rmMMP-9処置したまたはしていないR2-NSUB(MMP-2/9基質)、およびrmMMP-9処置したまたはしていないR2-SUBを20 nMから5倍系列希釈した。希釈した融合タンパク質溶液をRAW-Lucia-ISGレポーター細胞に加えてルシフェラーゼ分泌を刺激した。刺激から24時間後に調整上清を回収し、ルシフェラーゼアッセイを行った。エラーバーは、3連の平均値±標準偏差を表す。 IFNAR2系IFN-プロドラッグは、IFNAR1系IFN-プロドラッグよりも良好な抗腫瘍効果を示す。C57BL/6マウス(n=5/群)に5x105個のB16細胞を皮下注射し、1 nmolのhIg、IFNa4-Fc、R1-SUB(MMP2/9基質)、またはR2-SUB(MMP2/9基質)で、11日目、15日目、および21日目に腹腔内処置した。腫瘍増殖を週2回モニターし、経時的な平均腫瘍サイズ±標準偏差として報告した。 マウス正常組織および腫瘍組織における酵素発現。C57BL/6マウス(n=4)に1x106個のMC38細胞または5x105個のB16細胞を皮下注射した。表示されている正常組織および腫瘍を11日目に採取した。細胞内RNAを抽出してRT-qPCRアッセイを行い、(図4A)uPA、(図4B)MMP-2、(図4C)MMP-9、および(図4D)MMP-14 mRNAの存在量を決定した。結果を18srに対するパーセンテージで示す。エラーバーは、3連の平均値±標準偏差を表す。 IFN-プロドラッグは、有効性を損なうことなく安全性を向上させる。C57BL/6マウス(n=3/群)に5x105個のB16細胞を皮下注射し、1 mMのhIg、IFNa4-Fc、またはR2-SUB(MMP-14基質)で、10日目、13日目、および16日目に腹腔内処置した。17日目にマウスを出血させて血清を採取した。(図5A)炎症性サイトカインIL-6、TNF、MCP-1、およびIFN-gの血清中濃度を、マウス炎症サイトメトリックビーズアレイ(CBA)で測定した。(図5B)血清中のALTの活性をReflotron Plus(登録商標) Systemで測定した。(図5C)腫瘍増殖および(図5D)体重を週2回モニターした。(図5E)毒性による生存曲線。30%を上回る体重減のあったマウスは死亡とみなした。エラーバーは平均値±標準偏差を表す。 腫瘍と、隣接する正常組織との間のヒトプロテアーゼ発現レベル。TIMER(Tumor Immune Estimation Resource「腫瘍免疫評価リソース」)ウェブサイトのDiffExpモジュールのオンライン分析によるTCGA(The Cancer Genome Atlas「がんゲノムアトラス」)の全試料の遺伝子発現レベルの比較。(図6A)MMP-1。 腫瘍と、隣接する正常組織との間のヒトプロテアーゼ発現レベル。TIMER(Tumor Immune Estimation Resource「腫瘍免疫評価リソース」)ウェブサイトのDiffExpモジュールのオンライン分析によるTCGA(The Cancer Genome Atlas「がんゲノムアトラス」)の全試料の遺伝子発現レベルの比較。(図6B)MMP-3。 腫瘍と、隣接する正常組織との間のヒトプロテアーゼ発現レベル。TIMER(Tumor Immune Estimation Resource「腫瘍免疫評価リソース」)ウェブサイトのDiffExpモジュールのオンライン分析によるTCGA(The Cancer Genome Atlas「がんゲノムアトラス」)の全試料の遺伝子発現レベルの比較。(図6C)MMP-9。 腫瘍と、隣接する正常組織との間のヒトプロテアーゼ発現レベル。TIMER(Tumor Immune Estimation Resource「腫瘍免疫評価リソース」)ウェブサイトのDiffExpモジュールのオンライン分析によるTCGA(The Cancer Genome Atlas「がんゲノムアトラス」)の全試料の遺伝子発現レベルの比較。(図6D)MMP-10。 腫瘍と、隣接する正常組織との間のヒトプロテアーゼ発現レベル。TIMER(Tumor Immune Estimation Resource「腫瘍免疫評価リソース」)ウェブサイトのDiffExpモジュールのオンライン分析によるTCGA(The Cancer Genome Atlas「がんゲノムアトラス」)の全試料の遺伝子発現レベルの比較。(図6E)MMP-11。 腫瘍と、隣接する正常組織との間のヒトプロテアーゼ発現レベル。TIMER(Tumor Immune Estimation Resource「腫瘍免疫評価リソース」)ウェブサイトのDiffExpモジュールのオンライン分析によるTCGA(The Cancer Genome Atlas「がんゲノムアトラス」)の全試料の遺伝子発現レベルの比較。(図6F)MMP-12。 腫瘍と、隣接する正常組織との間のヒトプロテアーゼ発現レベル。TIMER(Tumor Immune Estimation Resource「腫瘍免疫評価リソース」)ウェブサイトのDiffExpモジュールのオンライン分析によるTCGA(The Cancer Genome Atlas「がんゲノムアトラス」)の全試料の遺伝子発現レベルの比較。(図6G)MMP-13。 腫瘍と、隣接する正常組織との間のヒトプロテアーゼ発現レベル。TIMER(Tumor Immune Estimation Resource「腫瘍免疫評価リソース」)ウェブサイトのDiffExpモジュールのオンライン分析によるTCGA(The Cancer Genome Atlas「がんゲノムアトラス」)の全試料の遺伝子発現レベルの比較。(図6H)MMP-14。 ヒトProIFNのインビトロの活性化。(図7A)hIFNa2-Fc、hlFNAR1系ProIFN、およびhIFNAR2系ProIFNを50 μMから10倍系列希釈した。IFN活性を293T-Dual(商標)hSTING-R232レポーター細胞により測定した。 ヒトProIFNのインビトロの活性化。(図7B)基質を有するヒトhIFNAR2系ProIFN(hProIFN-Sub)または基質を有していないヒトhIFNAR2系ProIFN(hProIFN-Nsub)を、アッセイ緩衝液(50 mMのTris、10 mMのCaCl2、150 mMのNaCl、0.05% Brij-35(w/v)、pH 7.5(TCNB))で1 μMまで希釈した。rmMMP-9を最終濃度1 ng/μLとして添加し、37℃で6時間インキュベートする。IFN活性を293T-Dual(商標)hSTING-R232レポーター細胞により測定した。 ヒトProIFNのインビトロの活性化。(図7C)ヒトhIFNAR2系hProIFN-SubまたはhProIFN-Nsubを、アッセイ緩衝液(50 mMのTris、10 mMのCaCl2、150 mMのNaCl、0.05% Brij-35(w/v)、pH 7.5(TCNB))で1 μMまで希釈した。rmMMP-9を最終濃度1 ng/μLとして添加し、37℃で0時間、0.5時間、2時間、または6時間インキュベートする。消化された試料をStain Free(商標)ゲル上で分離させた。染色不要な撮像装置でゲルを撮像した。エラーバーは、3連の平均値±標準偏差を表す。
例示的態様の説明
プロドラッグは、薬理学的に不活性の、薬物の化学的誘導体であり、活性となるには体内での変換を必要とする。プロドラッグは、薬物の臨床的有用性を制限しかねない親薬物関連の薬学的および/または薬物動態的な問題を克服するように設計される(Stellaら, 1985)。最近、動脈硬化プラークのマーカー、血管細胞接着分子1(VCAM-1)を標的とするプロテアーゼ活性化抗体(プロ抗体)が、結合部位マスキングペプチドをマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)感受性リンカーを介して該抗体につなぐことにより、構築された。そのような疾患関連プロテアーゼの活性は、インビボで部位特異的に抗体活性を標的とするのに利用することができる(Ersterら, 2012)。がん治療の一例では、抗EGFRのEGFR標的への結合を遮断することができるペプチドを選別して特定し、抗EGFR抗体に連結させた。こうして得られた上皮増殖因子受容体(EGFR)に対するプロ抗体は、非ヒト霊長類における半減期が増加して、安全性が著しく向上しており、セツキシマブよりもかなり高いレベルで安全に投与することが可能になった(Desnoyersら, 2013)。ところがそのようなペプチドは親和性が弱いことが多く、結果的に薬物タンパク質の遮断が不完全になったり、より長期の治療を阻む強い免疫原性がもたらされたりした。したがって、発明者らは、非腫瘍組織において薬物が受容体へ結合することを遮断するために、適切な親和性をもち、かつ宿主において免疫原性のない天然の受容体に基づく新しい戦略を設計した。具体的には、発明者らは、多種のがんに対する抗腫瘍免疫応答における重要な役割によりI型インターフェロンに注目した8
発明者らは、免疫グロブリン(IgG)定常領域、およびIFN活性ブロッカーとしてIFNのN末端に融合させたIFNAR(IFNAR1またはIFNAR2)細胞外ドメインを用いて、IFN-プロドラッグを設計した。IFNARは、腫瘍微小環境で過剰発現するプロテアーゼにより選択的に切断可能な特定のリンカーによって、接続されている。これによってIFNドメインの毒性活性は腫瘍に到達するまでは遮蔽され、そしてIFNのC末端に融合させたFc断片がそのインビボ半減期を向上させる。このIFN-プロドラッグは、リンカーが切断されるまでは有意に低いIFN活性を示したが、酵素切断後はその活性を回復した。発明者らはまた、マウスB16-OVA黒色腫モデルにおいて、IFN-プロドラッグのインビボの有効性および増大した安全性を実証した。
したがって、このIFN-プロドラッグをがん治療薬として用いる利点は、1)低い毒性、2)活性化形態において親IFN-Fcと比べて驚くほど高いIFN活性、3)容易な生産および高収率の精製、4)腫瘍組織の特異的標的化、5)非免疫原性遮断試薬の使用、および6)腫瘍酵素発現の差異に応じた個人向けIFN-プロドラッグの設計である。したがってそのようなIFN-プロドラッグは、インターフェロンの有効性を損なうことなく安全性プロファイルを向上させることができ、したがって抗体-サイトカイン二重特異性融合タンパク質などの高度なインターフェロン治療形式のより広範な使用を可能にし得る。本開示のこれらのおよび他の局面を、以下により詳しく述べる。
I.1型インターフェロン
A.インターフェロンの型
ヒトI型インターフェロン(IFN)は、免疫系の活性の調節を助けるインターフェロンタンパク質の一大下位群である。インターフェロンは、インターフェロン受容体に結合する。すべてのI型IFNは、IFNAR1鎖およびIFNAR2鎖からなるIFN-α受容体(IFNAR)として知られる、特定の細胞表面受容体複合体に結合する。I型IFNはすべての哺乳類に見られ、鳥類、爬虫類、両生類、および魚類の種で相同(類似)の分子が見つかっている。哺乳類の型は、IFN-α(アルファ)、IFN-β(ベータ)、IFN-κ(カッパ)、IFN-δ(デルタ)、IFN-ε(イプシロン)、IFN-τ(タウ)、IFN-ω(オメガ)、およびIFN-ζ(ゼータ、リミチンとしても知られている)と呼ばれている。
IFN-αタンパク質は、白血球により生産される。これらはウイルス感染に対する自然免疫応答に主に関与している。これらの合成を担う遺伝子には、IFNA1、IFNA2、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNA8、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA16、IFNA17、IFNA21と呼ばれる13のサブタイプがある。これらの遺伝子は染色体9でまとまってクラスターをなしている。
IFN-αはまた、ヘアリーセル白血病の薬物として合成して作られる。この産物の国際一般名称(INN)は、インターフェロンアルファである。組換え型は、インターフェロンアルファコン-1である。ペグ化型は、ペグ化インターフェロンアルファ-2aおよびペグ化インターフェロンアルファ-2bである。
IFN-βタンパク質は、線維芽細胞により大量生産される。これらは自然免疫応答に主に関与する抗ウイルス活性をもつ。IFN-β1(IFNB1)とIFN-β3(IFNB3)の2つの型のIFN-βが記述されている(IFN-β2と呼ばれる遺伝子は実際にはIL-6である)。IFN-β1は、多発性硬化症の再発率を低下させる治療薬として用いられている。IFN-β1は、進行性の非再発性の形態の多発性硬化症の患者にとっては、適切な治療薬ではない。
現時点では、IFN-ε、-κ、-τ、および-ζは、ヒトの1つのアイソフォーム、IFNKとなるようである。IFN-ωの変種であるIFN-τをコードするのは反芻動物だけである。今のところIFN-ζはマウスにしか見られないが、構造的ホモログのIFN-δは多様な非霊長類および非げっ歯類の有胎盤哺乳類に見られる。全部ではないが大半の有胎盤哺乳類は、機能的IFN-εおよびIFN-κの遺伝子をコードする。
IFN-ωは、これまでに記述された機能的形態は1つしかないが(IFNW1)、いくつかの疑似遺伝子:ヒトのIFNWP2、IFNWP4、IFNWP5、IFNWP9、IFNWP15、IFNWP18、およびIFNWP19がある。非霊長類有胎盤哺乳類の多くが、複数のIFN-ωサブタイプを発現する。
IFN-νはヒトの疑似遺伝子として最近記述されたが、イエネコのゲノムでは機能性である可能性がある。非ネコ有胎盤哺乳類以外のすべてのゲノムでは、IFN-νは疑似遺伝子であり、一部の種ではこの疑似遺伝子が良好に保存されているが、他の種ではひどく不完全であるか検出不能である。さらに、ネコゲノムでは、IFN-νのプロモーターは有害に変異している。おそらくIFN-ν遺伝子ファミリーは、哺乳類が多様化する前に無用とされたのであろう。それが哺乳類のI型IFN座位の端に存在していることで消滅を免れたのかもしれず、そのため検出が可能となった。
IFN-αおよびIFN-βは、リンパ球(NK細胞、B細胞、およびT細胞)、マクロファージ、線維芽細胞、内皮細胞、骨芽細胞、およびその他などの多くの細胞型により分泌される。これらはマクロファージとNK細胞の両方を刺激して抗ウイルス応答を誘発し、かつ対腫瘍活性もある。形質細胞様樹状細胞は、抗原に応答しての最も強力なI型IFN生産体として特定されており、したがって天然IFN生産細胞と呼ばれている。現在の研究の知見によると、腫瘍浸潤マクロファージにおいてIFN-αを発現させることにより、より有効な樹状細胞の活性化および免疫エフェクター細胞の細胞傷害性を誘発することが可能である。
IFN-ωは、ウイルス感染または腫瘍の部位で、白血球により放出される。IFN-αは、視床下部の熱感受性ニューロンの活性を変えることで発熱因子として作用し、したがって発熱を引き起こす。これは、IFN-αがオピオイド受容体に結合し、そしてプロスタグランジン-E2(PGE2)の放出を誘発することによるものである。IFN-αは、同様の機構を痛みの減少にも用いる。IFN-αがμ-オピオイド受容体と相互作用して、鎮痛剤として作用するのである。
マウスでは、IFN-βは、免疫細胞が増殖因子を生産するのを阻害し、そうすることで腫瘍増殖を低速化させ、他の細胞が血管生産増殖因子を生産するのを阻害し、それによって腫瘍の血管新生を妨害し、腫瘍が血管系に接続するのを妨げる。
B.インターフェロン受容体
インターフェロン-α/β受容体(IFNAR)は、インターフェロン-αおよび-βなどのI型インターフェロンに結合する受容体である。この受容体は、IFNAR1およびIFNAR2と呼ばれる2つのサブユニットを有する1本の鎖で構成されたヘテロマーの細胞表面受容体である。I型IFNと結合すると、IFNARはJAK-STATシグナル伝達経路を活性化する。インターフェロン刺激は、古典的に抗ウイルス免疫応答をもたらす。
その構造は、NMRにより取得された。最初に35の配座異性体が計算された。これを、低エネルギーを基準として22に絞った。それは溶液中で決定された最初のらせん状サイトカイン受容体の構造であった。この分子は1種類のポリマーを有する。その構造から、結合の性質が明らかになる。IFNAR2のモデルから、IFN-アルファの表面の適合する疎水性表面と相互作用する、受容体上の大部分が疎水性のパッチが明らかになる。そして、電荷を帯びた側鎖の隣接モチーフが、タンパク質を密な複合体へと導く。結合界面から、受容体の交差反応性およびリガンド特異性が判明する場合がある。実験のソースはヒトであったが、大腸菌(Escherichia coli)で発現させた。
IFNARは、その二次構造の内容に基づき、ベータタンパク質の群にまとめられる。IFNARの折り畳みは、免疫グロブリンベータ−サンドイッチとの明白な進化的関係を示している。IFNARは、共通の進化の可能性を示す構造的および機能的類似点に基づいて、III型フィブロネクチンのスーパーファミリーおよびファミリーに分類される。自然界で観察されるドメイン、または進化ユニットは、インターフェロン−アルファ/ベータ受容体ベータ鎖である。種はヒトであった。
II.インターフェロンプロドラッグ
A.概論
プロドラッグは、治療剤となる能力を有するが、実際に治療に役立つには何らかの修飾を要する形態の分子、と一般に定義される。そのような試薬は、活性薬物の形態での送達が、毒性または安定性欠如などの何らかの特有の制約を有する場合に、特に有用である。プロドラッグ形態を作製することで、こうした欠点を回避することも、インビボで適切なときにおよび/または適切な部位で有効に活性化させることも、両方可能になる。
本開示のプロドラッグは、5つの異なる構成要素を有する。第1の構成要素は、インターフェロンである。第2の構成要素は、インターフェロンに結合している間はインターフェロンが正常な活性を発揮する能力を遮断する、マスキングドメインである。第3の構成要素は、安定化部分、たとえば抗体の定常ドメインである。これらの3つの構成要素は、リンカーにより接合されており、インターフェロンとマスキングドメインとの間に配置されたリンカーは、たとえば、がん細胞が発現させるかまたは腫瘍環境で発現するプロテアーゼにより、選択的な切断を受ける。
上述したように、1型インターフェロンは、IFN-α(アルファ)、IFN-β(ベータ)、IFN-κ(カッパ)、IFN-δ(デルタ)、IFN-ε(イプシロン)、IFN-τ(タウ)、IFN-ω(オメガ)、およびIFN-ζ(ゼータ)である。これらの分子はどれでも本明細書に記載のコンストラクトに含めてよい。また、異なる2種類の1型インターフェロンで、または4種類でも、ヘテロダイマーのコンストラクトを作ることができる。本明細書で開示するデータを生成するために本出願人らが使用したインターフェロンは全長タンパク質であったが、シグナルペプチドは欠如していた。
コンストラクトの重要な部分は、当然ながらマスキングドメインである。発明者らはそのために、非天然配列を選択するのでなく、1型インターフェロンの天然受容体を活用することにする。天然受容体の構造に基づくマスキングドメインを用いる利点としては、(a)1型インターフェロンの高親和性、および(b)配列に対する免疫応答の可能性がより低いこと、の両者が挙げられる。配列は以下のとおりである。
マウスIFNAR1-ECD:
Figure 2020528878
マウスIFNAR2-ECD:
Figure 2020528878
ヒトIFNAR1-ECD:
Figure 2020528878
ヒトIFNAR2-ECD:
Figure 2020528878
次に、コンストラクトは、たとえばインビボの半減期を増加させる、安定化ドメインを含んでいる。発明者らは、Ig定常ドメインを使用することにした。IgG1 Fcドメインを使用したが、他のFcドメインを使用してもよい。IgA Fcドメインを使用する特殊な利点は、これらのドメインのダイマー化能力であり、つまり最大で4種類の異なるインターフェロンをこのようなコンストラクトに含めることが可能になる。複数のインターフェロンのコンストラクトを作製する場合、一例は、1つの遮断受容体および1つのインターフェロンがFcAまたはFcBに融合している、IgG1のFcA-FcBヘテロダイマーを使用することであり、FcAおよびFcBのリンカーのそれぞれに挿入されている異なる酵素に特異的な別個の切断基質が用いられる。ヒト血清アルブミンおよびトランスフェリンといった他の安定化タンパク質を用いることもできる。
最後に、上記のドメインは、短いペプチド区間、または「リンカー」によって1つに連結される。これらのリンカーのうちの1つで、インターフェロン分子とマスキングドメインとの間に配置されたリンカーは、プロドラッグがその標的、つまり腫瘍またはがん細胞に到達するかまたはその付近に到達すると、切断されることになる。特定の態様では、リンカーはプロテアーゼ標的部位を含有し、したがって該プロテアーゼが含有される環境にプロドラッグが曝露されると、リンカーが切断されてマスキング剤がプロドラッグから放出され、それによってインターフェロン分子が活性化する。理想的には、リンカーは、がん細胞内でまたは腫瘍部位で過剰発現するプロテアーゼに合わせて選択することができ、また事前の試験により特定個人のがん/腫瘍プロテアーゼのプロファイルに合わせることもできる。以下は、がんまたは腫瘍環境において選択的に発現するまたは過剰発現する酵素のいくつかの例である。
(表2)プロテアーゼ基質
Figure 2020528878
例示的なリンカーの形態は、GGGGS-基質-GGGGSである。他の2例は、(GGGGS)n-基質-(GGGGS)nとGn-基質-Gnである(nは任意の数であってよい)。
B.核酸コンストラクトの工学および発現
上述したインターフェロンプロドラッグ構成要素を含有するさまざまな遺伝子コンストラクトが入手可能であり、これらをベクターに導入して発現させることができる。プロドラッグ分子をコードする本開示の核酸は、任意で他のタンパク質配列に連結していてもよい。本願全体を通じて、「発現コンストラクト」という用語は、遺伝子産物をコードする核酸を含有するあらゆる種類の遺伝子コンストラクトを含むものとし、ここで核酸がコードする配列の一部または全部が転写可能である。転写物はタンパク質へと翻訳されてもよいが、必須ではない。特定の態様では、発現には、遺伝子の転写と、mRNAの遺伝子産物への翻訳との両方が含まれる。他の態様では、発現には、関心対象の遺伝子をコードする核酸の転写しか含まれない。
「ベクター」という用語は、ある核酸配列を、それを複製できる細胞に導入するために挿入することができる、担体核酸分子を指すのに用いられる。核酸配列は「外因性」の場合があり、つまり、該配列はベクターが導入されようとしている細胞に対し外来性であるか、または該配列は細胞内の配列と相同であるが、宿主細胞の核酸内の本来ならば存在しない位置にある。ベクターとしては、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルス、および植物ウイルス)、および人工染色体(たとえばYAC)が挙げられる。当業者であれば、標準的な組換え技法によりベクターを構築する能力は十分備えており、そうした技法はSambrookら(1989)およびAusubelら(1994)に記載されており、これらは両方とも参照により本明細書に組み入れられる。
「発現ベクター」という用語は、転写されることができる遺伝子産物の少なくとも一部をコードする核酸配列を含有するベクターを指す。いくつかの場合では、その後RNA分子がタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドへと翻訳される。他の場合では、これらの配列は、たとえばアンチセンス分子またはリボザイムの生産において翻訳されない。発現ベクターはさまざまな「制御配列」を含有し得るが、制御配列とは、機能的に連結されたコード配列が特定の宿主生物において転写およびおそらくは翻訳されるのに必要な、核酸配列を指す。転写および翻訳を司る制御配列に加えて、ベクターおよび発現ベクターは、他の機能を果たす核酸配列も含有することができ、それらについては後に記載する。
1.調節エレメント
「プロモーター」は制御配列であり、そこで転写の開始および速度が制御される、核酸配列の領域である。プロモーターは、RNAポリメラーゼおよびその他の転写因子などの調節タンパク質および分子がそこに結合することができる、遺伝子エレメントを含有し得る。「機能的に配置された」、「機能的に連結された」、「制御された」、および「転写制御された」という語句は、転写の開始および/または配列の発現を制御するのに、プロモーターが核酸配列に対して正しい機能的位置および/または向きにあることを意味する。プロモーターは、「エンハンサー」と一緒に用いても用いなくてもよく、エンハンサーとは、核酸配列の転写活性化に関与するシス作用性調節配列を指す。
プロモーターは、コードセグメントおよび/またはエキソンの上流に存在する5'非コード配列を単離することにより得ることができるような、自然の状態で遺伝子または配列と結合しているものであってもよい。そのようなプロモーターは、「内因性」と呼ばれる場合がある。同様に、エンハンサーは、核酸配列の下流または上流に存在する、自然の状態で該配列と結合しているものであってもよい。あるいは、コード核酸セグメントを組換えまたは異種プロモーターの制御下に置くことで特定の利点が得られることもあるが、それは通常は自然環境では核酸配列と結合していないプロモーターである。
組換えまたは異種エンハンサーは、通常は自然環境では核酸配列と結合していないエンハンサーのことも指す。そのようなプロモーターまたはエンハンサーとしては、他の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサー、ならびに任意の他の原核、ウイルス性、または真核細胞から単離されたプロモーターまたはエンハンサー、ならびに「自然に生じ」ない、すなわち異なる転写調節領域の異なるエレメントを含有するおよび/または発現を変える変異を含有するプロモーターまたはエンハンサーを挙げることができる。プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列を合成により生産することに加えて、配列は、本明細書で開示する組成物に関し、組換えクローニングおよび/または核酸増幅技術、たとえばPCR(商標)により生産することもできる(米国特許第4,683,202号、米国特許第5,928,906号を参照。それぞれ参照により本明細書に組み入れられる)。さらに、ミトコンドリアや葉緑体等の非核内小器官内で配列の転写および/または発現を導く制御配列も使用できることが想定される。
当然ながら、発現用に選ばれた細胞型、小器官、および生物においてDNAセグメントの発現を有効に導くプロモーターおよび/またはエンハンサーを使用することが重要である。分子生物学の当業者であれば、タンパク質を発現させるためのプロモーター、エンハンサー、および細胞型の併用について、一般に知識がある。たとえば、参照により本明細書に組み入れられるSambrookら(1989)を参照されたい。使用されるプロモーターは、導入されるDNAセグメントの高レベルの発現を導くのに適切な条件下で恒常的、組織特異的、誘導型、および/または有用であり得、たとえば組換えタンパク質および/またはペプチドの大規模生産に有利である。プロモーターは異種であっても内因性であってもよい。
組織特異的プロモーターまたはエレメントが何であるか、ならびにそれらの活性を特徴づけるアッセイは、当業者には周知である。そのような領域の例としては、ヒトLIMK2遺伝子(Nomotoら, 1999)、ソマトスタチン受容体2遺伝子(Krausら, 1998)、マウス精巣上体レチノイン酸結合遺伝子(Lareyreら, 1999)、ヒトCD4(Zhao-Emonetら, 1998)、マウスアルファ2(XI)コラーゲン(Tsumakiら, 1998)、D1Aドーパミン受容体遺伝子(Leeら, 1997)、インスリン様増殖因子II(Wuら, 1997)、ヒト血小板内皮細胞接着分子-1(Almendroら, 1996)が挙げられる。腫瘍特異的プロモーターも、本開示で使用できる。
コード配列を効率よく翻訳するには、特定の開始シグナルが必要な場合もある。これらのシグナルとしては、ATG開始コドンまたは隣接配列が挙げられる。ATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルを提供しなければならない場合がある。当業者であれば、それを容易に決定して、必要なシグナルを提供することができる。インサート全部を確実に翻訳するために、開始コドンは所望のコード配列の読み枠と「インフレーム」でなくてはならないことは周知である。外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然でも合成でもよい。発現効率は、適切な転写エンハンサーエレメントを含めることにより上昇し得る。
2.IRES
本開示の特定の態様では、配列内リボソーム進入部位(IRES)エレメントを用いて多重遺伝子または多シストロン性メッセージを作製する。IRESエレメントは、リボソームスキャニングモデルの5'-メチル化キャップ依存翻訳をバイパスして配列内部位で翻訳を開始することができる(Pelletier and Sonenberg, 1988)。ピコルナウイルス科の2メンバー(ポリオおよび脳心筋炎)由来のIRESエレメント(Pelletier and Sonenberg, 1988)、ならびに哺乳類メッセージ由来のIRES(Macejak and Sarnow, 1991)が記述されている。IRESエレメントは、異種のオープン読み枠に連結させることができる。それぞれがIRESにより分離された複数のオープン読み枠を一緒に転写することができ、多シストロン性メッセージが作製される。IRESエレメントのおかげで、各オープン読み枠がリボソームにアクセスでき、効率よく翻訳できる。1つのメッセージを転写する1つのプロモーター/エンハンサーを用いて複数の遺伝子を効率よく発現させることができる(米国特許第5,925,565号および同第5,935,819号を参照されたい。これらは参照により本明細書に組み入れられる)。
3.多目的クローニングサイト
ベクターは、マルチクローニングサイト(MCS)を含むことができる。MCSとは、複数の制限酵素部位を含有する核酸領域であり、そのいずれかを標準的な組換え技術とともに用いてベクターを消化することができる。参照により本明細書に組み入れられるCarbonelliら, 1999、Levensonら, 1998、およびCocea, 1997を参照されたい。「制限酵素消化」は、核酸分子の特定の箇所でのみ機能する酵素により、核酸分子を触媒切断することを指す。このような制限酵素の多くが市販されている。そのような酵素の使用は、当業者であれば広く理解している。往々にして、ベクターは、直線状であるか、MCS内部を切断する制限酵素で断片化されて、外因性配列が該ベクターにライゲートできるようになっている。「ライゲーション」は、互いに連続していてもいなくてもよい2つの核酸断片間にホスホジエステル結合を形成するプロセスを指す。制限酵素およびライゲーション反応に関する技法は、組換え技術の当業者には周知である。
4.スプライシング部位
転写された真核生物のRNA分子のほとんどは、一次転写物からイントロンを除去するRNAスプライシングを経ることになる。真核生物のゲノム配列を含有するベクターは、転写物の適切なプロセシングが確実に行われてタンパク質が発現するように、ドナーおよび/またはアクセプタースプライシング部位を要する場合がある(参照により本明細書に組み入れられる、Chandlerら, 1997を参照されたい)。
5.終止シグナル
本開示のベクターまたはコンストラクトは、概して、少なくとも1つの終止シグナルを含む。「終止シグナル」または「ターミネーター」は、RNAポリメラーゼによるRNA転写の特定の終止に関与するDNA配列で構成される。したがって、特定の態様では、RNA転写物の生産を終了させる終止シグナルが想定される。ターミネーターは、望ましいメッセージレベルを実現するためにインビボで必要とされる場合がある。
真核細胞系では、ターミネーター領域は、ポリアデニル化部位を露出するように新転写物の部位特異的切断を許容する特定のDNA配列も含む場合がある。これは、特殊な内因性ポリメラーゼに、転写物の3'末端に約200のA残基(ポリA)区間を付加するよう合図する。このポリA尾部で修飾されたRNA分子は、より安定するようであり、より効率よく翻訳される。したがって、真核細胞が関与する他の態様では、そうしたターミネーターがRNA切断用シグナルを含むことが好ましく、より好ましくは、ターミネーターシグナルはメッセージのポリアデニル化を促進する。ターミネーターおよび/またはポリアデニル化部位エレメントは、メッセージのレベルを高めることおよび/またはカセットから他の配列への読み過ごしを最小化することに役立つ場合がある。
本開示での使用が想定されるターミネーターとしては、本明細書に記載のまたは当業者に知られている任意の公知の転写ターミネーターが挙げられ、たとえば限定ではないが、たとえばウシ成長ホルモンターミネーターなどの遺伝子の終止配列、またはたとえばSV40ターミネーターなどのウイルス終止配列が挙げられる。特定の態様では、終止シグナルは、配列短縮などにより、転写可能または翻訳可能配列が欠失している場合がある。
6.ポリアデニル化シグナル
発現において、特に真核細胞での発現において、転写物の適切なポリアデニル化をもたらすために、ポリアデニル化シグナルを含めるのが典型的である。ポリアデニル化シグナルの性質は、本開示の実施の成功に特に重要とは考えられず、かつ/またはそうした配列はどれを用いてもよい。好ましい態様には、SV40ポリアデニル化シグナルおよび/またウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルが含まれ、これらは便利であり、かつ/またはさまざまな標的細胞において良好に機能することがわかっている。ポリアデニル化によって、転写物の安定性が増加する場合があり、または細胞質輸送が促される場合がある。
7.複製起点
宿主細胞内でベクターを増やすために、ベクターに1つまたは複数の複製起点部位(よく「ori」と呼ばれる)を含有させることができるが、これはそこから複製が開始する特定の核酸配列である。あるいは、宿主細胞が酵母の場合は、自己複製配列(ARS)を用いることができる。
8.選択マーカーおよび選別マーカー
本開示の特定の態様では、本開示の核酸コンストラクトを含有する細胞は、インビトロまたはインビボで、発現ベクターにマーカーを含むことにより特定される場合がある。そのようなマーカーは細胞に特定可能な変化を付与し、発現ベクターを含有する細胞を特定しやすくする。一般に、選択マーカーは、選択を可能にする特性を付与するマーカーである。陽性選択マーカーは、そのマーカーの存在がその選択を可能にするマーカーであり、陰性選択マーカーは、その存在がその選択を回避させるマーカーである。陽性選択マーカーの一例は、薬物耐性マーカーである。
通常、薬物選択マーカーを含めることは、形質転換細胞のクローン化および特定に役立ち、たとえばネオマイシン、ピュロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシン、およびヒスチジノールに対する耐性を付与する遺伝子は、有用な選択マーカーである。条件の実施に基づき形質転換体の区別を可能にする表現型を付与するマーカーに加えて、比色分析に基づくGFPなどの選別マーカーをはじめとする他の種類のマーカーも想定される。あるいは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などの選別酵素も利用することができる。当業者には、おそらくはFACS分析とともにいかにして免疫学的マーカーを使用するかも公知である。用いるマーカーは、遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現することができる限り、特に重要ではないと考えられる。選択マーカーおよび選別マーカーのさらなる例は、当業者には周知である。
9.ウイルスベクター
特定のウイルスベクターが効率よく細胞に感染または侵入し、宿主細胞のゲノムに組み込まれて安定的にウイルス遺伝子を発現する能力は、多くの種々のウイルスベクター系の開発および用途をもたらしている(Robbinsら, 1998)。現在、ウイルス系は、エクスビボおよびインビボの遺伝子移入用ベクターとして用いられるように開発されている。たとえば、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、レトロウイルス、およびアデノ随伴ウイルスベクターは、現在、がん、嚢胞性線維症、ゴーシェ病、腎疾患、および関節炎などの疾患の治療につき評価されている(Robbins and Ghivizzani, 1998; Imaiら, 1998; 米国特許第5,670,488号)。以下に記載のさまざまなウイルスベクターには、特定の遺伝子治療用途に応じて固有の利点および不利点がある。
10.非ウイルス形質転換
本開示で用いる小器官、細胞、組織、または生物の形質転換用の核酸送達の好適な方法は、本明細書に記載のまたは当業者に公知の、核酸(たとえばDNA)を小器官、細胞、組織、または生物に導入することができるどのような方法も事実上含むと考えられる。そのような方法としては、限定ではないが、注入(米国特許第5,994,624号、同第5,981,274号、同第5,945,100号、同第5,780,448号、同第5,736,524号、同第5,702,932号、同第5,656,610号、同第5,589,466号、および同第5,580,859号、それぞれ参照により本明細書に組み入れられる)、たとえば微量注入(Harland and Weintraub, 1985;米国特許第5,789,215号、参照により本明細書に組み入れられる);電気穿孔(米国特許第5,384,253号、参照により本明細書に組み入れられる);リン酸カルシウム沈殿(Graham and Van Der Eb, 1973; Chen and Okayama, 1987; Rippeら, 1990);DEAE-デキストランに続いてポリエチレングリコールを使用すること(Gopal, 1985);直接音波ローディング(Fechheimerら, 1987);リポソーム介在性トランスフェクション(Nicolau and Sene, 1982; Fraleyら, 1979; Nicolauら, 1987; Wongら, 1980; Kanedaら, 1989; Katoら, 1991);微粒子銃(PCT出願WO 94/09699および同95/06128;米国特許第5,610,042号、同第5,322,783号、同第5,563,055号、同第5,550,318号、同第5,538,877号、および同第5,538,880号、それぞれ参照により本明細書に組み入れられる);炭化ケイ素ファイバーとともに撹拌(Kaepplerら, 1990;米国特許第5,302,523号および同第5,464,765号、それぞれ参照により本明細書に組み入れられる);またはPEG介在性プロトプラスト形質転換(Omirullehら, 1993;米国特許第4,684,611号および同第4,952,500号、それぞれ参照により本明細書に組み入れられる);乾燥/阻害介在性DNA取り込み(Potrykusら, 1985)などによる、DNAの直接送達が挙げられる。これらのような技法を用いることにより、小器官、細胞、組織、または生物を安定的または一過的に形質転換することができる。
注入。特定の態様では、1回または複数回のたとえば皮下、皮内、筋内、静脈内、または腹腔内注入(すなわち針注入)により、小器官、細胞、組織、または生物に核酸を送達することができる。ワクチンの注入方法は、当業者には周知である(たとえば、生理食塩水溶液を含む組成物の注入)。本開示のさらなる態様には、直接微量注入による核酸の導入が含まれる。直接微量注入は、核酸コンストラクトをツメガエル卵母細胞に導入するのに用いられている(Harland and Weintraub, 1985)。
電気穿孔。本開示の特定の態様では、電気穿孔により、小器官、細胞、組織、または生物に核酸を導入する。電気穿孔は、細胞およびDNAの懸濁液を高電圧の放電に曝露することを含む。本方法のいくつかの変更形態では、ペクチン分解酵素などの特定の細胞壁分解酵素を用いて、電気穿孔による形質転換に対する標的レシピエント細胞の感受性を、未処理細胞よりも高くする(米国特許第5,384,253号、参照により本明細書に組み入れられる)。あるいは、機械的に傷をつけることにより、形質転換に対するレシピエント細胞の感受性を高めることができる。
電気穿孔を用いての真核細胞のトランスフェクションは、極めて成功率が高い。このやり方で、マウスプレBリンパ球にヒトκ-免疫グロブリン遺伝子がトランスフェクトされており(Potterら, 1984)、ラット肝細胞にクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子がトランスフェクトされている(Tur-Kaspaら, 1986)。
たとえば植物細胞などの細胞で電気穿孔により形質転換を生じさせるために、細胞の懸濁培養物または胚形成カルスなどの脆弱な組織を使用することができ、あるいは未成熟胚またはその他の器質化組織を直接形質転換することができる。この技法では、選んだ細胞をペクチン分解酵素(ペクトリアーゼ)に曝露することにより、または制御下で機械的に傷つけることにより、その細胞壁を部分的に分解する。インタクトな細胞の電気穿孔によって形質転換されたいくつかの種の例としては、トウモロコシ(米国特許第5,384,253号;Rhodesら, 1995; D'Halluinら, 1992)、コムギ(Zhouら, 1993)、トマト(Hou and Lin, 1996)、ダイズ(Christouら, 1987)、およびタバコ(Leeら, 1989)が挙げられる。
植物細胞の電気穿孔による形質転換には、プロトプラストを用いることもできる(Bates, 1994; Lazzeri, 1995)。たとえば、子葉由来プロトプラストの電気穿孔によるトランスジェニックダイズ植物の生成が、Dhir and Widholmにより、参照により本明細書に組み入れられる国際特許出願WO 92/17598に記載されている。プロトプラストの形質転換が記載されている他の種の例としては、オオムギ(Lazerri, 1995)、ソルガム(Battrawら, 1991)、トウモロコシ(Bhattacharjeeら, 1997)、コムギ(Heら, 1994)、およびトマト(Tsukada, 1989)が挙げられる。
リン酸カルシウム。本開示の他の態様では、リン酸カルシウム沈殿を用いて、細胞に核酸を導入する。この技法を用いて、ヒトKB細胞にアデノウイルス5 DNAがトランスフェクトされている(Graham and Van Der Eb, 1973)。また同様にして、マウスL(A9)、マウスC127、CHO、CV-1、BHK、NIH3T3、およびHeLa細胞にネオマイシンマーカー遺伝子がトランスフェクトされており(Chen and Okayama, 1987)、ラット肝細胞にさまざまなマーカー遺伝子がトランスフェクトされている(Rippeら, 1990)。
DEAE-デキストラン。別の態様では、DEAE-デキストランおよび続いてポリエチレングリコールを用いることで、細胞に核酸を送達する。このやり方で、レポータープラスミドがマウス骨髄腫および赤白血病細胞に導入された(Gopal, 1985)。
超音波ローディング。本開示のさらなる態様には、直接音波ローディングによる核酸の導入が含まれる。超音波ローディングにより、LTK-線維芽細胞にチミジンキナーゼ遺伝子がトランスフェクトされている(Fechheimerら, 1987)。
リポソーム介在性トランスフェクション。本開示のさらなる態様では、核酸が、たとえばリポソームなどの脂質複合体に封入される場合がある。リポソームは、リン脂質二重層膜および内部水溶媒を特徴とする小胞構造物である。多層リポソームは、水溶媒により分離された複数の脂質層を有する。これらは、リン脂質を過剰な水溶液に懸濁すると自発的に形成する。脂質構成要素は閉構造が形成する前に自己再編成し、脂質二重層間に水および溶解溶質を封入する(Ghosh and Bachhawat, 1991)。リポフェクタミン(Gibco BRL社)またはSuperfect(Qiagen社)と複合体化された核酸も想定される。
外来DNAのインビトロのリポソーム介在性核酸送達および発現は、非常に成功率が高い(Nicolau and Sene, 1982; Fraleyら, 1979; Nicolauら, 1987)。培養ニワトリ胚、HeLaおよびヘパトーマ細胞での外来DNAのリポソーム介在性送達および発現の実行可能性も、実証されている(Wongら, 1980)。
本開示の特定の態様では、リポソームが血球凝集性ウイルス(HVJ)と複合体化される場合がある。こうすることで、細胞膜との融合が促進され、かつリポソームに封入されたDNAの細胞侵入が助長されることがわかっている(Kanedaら, 1989)。他の態様では、リポソームは、核非ヒストン染色体タンパク質(HMG-1)と複合体化されるかまたは一緒に使用される場合がある(Katoら, 1991)。さらなる態様では、リポソームは、HVJおよびHMG-1の両方と複合体化されるかまたは一緒に使用される場合がある。他の態様では、送達ビヒクルがリガンドおよびリポソームを含む場合がある。
受容体介在性トランスフェクション。さらに、受容体介在性送達ビヒクルを介して、標的細胞に核酸を送達する場合がある。ビヒクルは、標的細胞で生じることになる受容体介在性エンドサイトーシスによるマクロ分子の選択的取り込みに乗じる。さまざまな受容体が細胞型に特異的に分布することを考えると、この送達方法は、本開示にさらなる特異度を加えるものである。
特定の受容体介在性遺伝子標的指向性ビヒクルは、細胞受容体特異的リガンドおよび核酸結合剤を含む。他のビヒクルは、送達される核酸が機能的に結合された細胞受容体特異的リガンドを含む。いくつかのリガンドが受容体介在性遺伝子移入に用いられており(Wu and Wu, 1987; Wagnerら, 1990; Peralesら, 1994; Myers, EPO 0273085)、この技法の機能可能性を確立している。別の哺乳類細胞型の文脈での特異的送達も記載されている(Wu and Wu, 1993; 参照により本明細書に組み入れられる)。本開示の特定の局面では、リガンドが、標的細胞集団で特異的に発現する受容体に対応するように選ばれる。
他の態様では、細胞特異的核酸標的指向性ビヒクルの核酸送達ビヒクル構成要素は、リポソームと組み合わせた特異的結合リガンドを含む場合がある。送達される核酸はリポソーム内に収容され、特異的結合リガンドはリポソーム膜に機能的に組み入れられている。こうしてリポソームは標的細胞の受容体に特異的に結合し、内容物を細胞に送達する。そのような系が機能的であることは、たとえば上皮増殖因子(EGF)受容体の上方制御を示す細胞への核酸の受容体介在性送達にEGFを用いる系により、判明している。
さらなる態様では、標的指向性送達ビヒクルの核酸送達ビヒクル構成要素は、リポソームそのものの場合があり、細胞特異的結合を導く1つまたは複数の脂質または糖タンパク質を好ましくは含む。たとえば、ラクトシル−セラミド、ガラクトース末端アシアルガングリオシドがリポソームに組み込まれており、肝細胞によるインスリン遺伝子の取り込みの増加が観察されている(Nicolauら, 1987)。本開示の組織特異的形質転換コンストラクトを、同様にして標的細胞に特異的に送達できることが想定される。
11.発現系
上述した組成物の少なくとも一部または全部を含む多数の発現系が存在する。原核生物および/または真核生物に基づく系を本開示で用いて、核酸配列またはそれらの同系のポリペプチド、タンパク質、およびペプチドを生産することができる。そのような系の多くが広く市販されている。
参照により両方とも本明細書に組み入れられる米国特許第5,871,986号および同第4,879,236号で記載されているように、昆虫細胞/バキュロウイルス系は異種核酸セグメントの高レベルなタンパク質発現を生じることができ、Invitrogen(登録商標)社製MaxBac(登録商標)2.0、およびClontech(登録商標)社製BacPack(商標)バキュロウイルス発現系という商品名で購入することができる。
発現系の他の例としては、Stratagene(登録商標)社の合成エクジソン誘導型受容体を含むComplete Control(商標)誘導型哺乳類発現系、または同社の大腸菌発現系であるpET発現系が挙げられる。誘導型発現系の別の例が、全長CMVプロモーターを用いる誘導型哺乳類発現系であるT-Rex(商標)(テトラサイクリン調節性発現) システムを扱うInvitrogen(登録商標)社から入手可能である。Invitrogen(登録商標)社はまたピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)発現系と呼ばれる酵母発現系を提供しており、これはメチロトローフ酵母であるピキア・メタノリカ中で組換えタンパク質を高レベルで生産するよう設計されている。pGEM-T Easyベクター、pCon Vectors(商標)、Lonza pConIgGlまたはpConK2プラスミドベクター、および293 Freestyle細胞またはLonza CHO細胞も、本開示のプロドラッグコンストラクトの発現に有用である。
初代哺乳類細胞培養液は、さまざまな方法で調製することができる。細胞をインビトロで生存させ続けて発現コンストラクトと接触させるためには、細胞が常に正しい比率の酸素、二酸化炭素、および栄養分と接触しているが、微生物汚染からは保護されるよう、徹底することが必要である。細胞培養の技法については多くの資料がある。
前述の一態様には、タンパク質を生産するよう細胞を不死化するための遺伝子移入の使用が含まれる。関心対象のタンパク質の遺伝子は、上述したようにして適切な宿主細胞に移入することができ、続いて適切な条件下で細胞を培養する。事実上あらゆるポリペプチドの遺伝子を、このようにして使用することができる。組換え発現ベクターおよびそれに含まれるエレメントの作製については、上述した。あるいは、生産されるタンパク質は、当の細胞により通常合成される内因性タンパク質であってもよい。
有用な哺乳類宿主細胞株の例は、Vero細胞およびHeLa細胞、およびチャイニーズハムスター卵巣の細胞株、W138細胞、BHK細胞、COS-7細胞、293細胞、HepG2細胞、NIH3T3細胞、RIN細胞、およびMDCK細胞である。また、挿入配列の発現を調整するような、または所望のように遺伝子産物を修飾しかつプロセシングするような、宿主細胞株を選ぶことができる。タンパク質産物のそのような修飾(たとえばグリコシル化)およびプロセシング(たとえば切断)は、タンパク質の機能にとって重要であり得る。種々の宿主細胞が、タンパク質の翻訳後のプロセシングおよび修飾の特徴的な固有の機構を有している。発現される外来タンパク質が正しく修飾されプロセシングされるように、適切な細胞株または宿主系を選ぶことができる。
限定ではないが、tk細胞、hgprt細胞、またはaprt細胞における、それぞれHSVチミジンキナーゼ、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子など、多くの選択系を用いることができる。また、抗代謝物耐性に基づき、 に対する耐性を付与するdhfr、ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt、アミノグリコシドG418に対する耐性を付与するneo、およびハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygroを選択することができる。
E.精製
特定の態様では、本開示のインターフェロンプロドラッグが精製される場合がある。「精製される」という用語は、本明細書で使用する場合、他の構成要素から単離可能な組成物を指すものとし、ここでタンパク質はその天然の状態と比べて任意の程度にまで精製される。したがって、精製タンパク質とは、それが自然に生じ得る環境にないタンパク質のことも指す。「実質的に精製された」という用語を用いる場合、この表現は、タンパク質またはペプチドが組成物中のタンパク質の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%またはそれ以上を占めるなど組成物の主要な構成要素を形成している、組成物を指す。
タンパク質精製技法は、当業者には周知である。これらの技法には、あるレベルで、細胞環境をポリペプチド画分と非ポリペプチド画分とに粗分画することが含まれる。ポリペプチドを他のタンパク質から分離した後、関心対象のポリペプチドをクロマトグラフィー技法および電気泳動技法によりさらに精製して部分または完全精製(または均一化した精製)を実現することができる。純粋ペプチドの調製に特に適した分析方法は、イオン交換クロマトグラフィー、排除クロマトグラフィー;ポリアクリルアミドゲル電気泳動;等電点電気泳動である。タンパク質精製の他の方法としては、硫酸アンモニウム、PEG、抗体等を用いてのまたは熱変性による沈殿後に遠心分離;ゲルろ過、逆相、ヒドロキシルアパタイト、および親和性クロマトグラフィー;ならびにこれらのおよび他の技法の組み合わせが挙げられる。
本開示のインターフェロンプロドラッグを精製する際、原核細胞または真核細胞発現系でポリペプチドを発現させ、そして変性条件を用いてタンパク質を抽出することが望ましい場合がある。ポリペプチドは、該ポリペプチドのタグ化部分に結合する親和性カラムを用いて、他の細胞構成要素から精製することができる。当技術分野において広く知られるように、さまざまな精製工程を実施する順序は変えてもよく、または特定の工程を省いてもよく、それでもなお実質的に精製されたタンパク質またはペプチドの調製に適した方法となる、と考えられている。一般には、抗体は、その抗体のFc部分に結合する剤(すなわちプロテインA)を用いて分画される。インターフェロンプロドラッグがそのようなドメインを含有する場合は、このアプローチを用いることができる。
タンパク質またはペプチドの精製度を定量化するさまざまな方法が、本開示に鑑み当業者には明らかになる。これらには、たとえば、活性画分の特異な活性を決定すること、またはSDS/PAGE分析により画分内のポリペプチドの量を評価することが含まれる。画分の純度を評価する別の方法は、画分の特異な活性を計算すること、それを当初の抽出物の特異な活性と比較すること、そしてそれにより純度を計算すること、である。活性の量を表すのに用いられる実際の単位は、当然ながら、精製後に選ぶ特定のアッセイ技法によるし、また発現したタンパク質またはペプチドが検出可能な活性を示しているかどうかにもよる。
ポリペプチドの遊走は、SDS/PAGEの条件が異なると、ときには大きく変化し得ることが公知である(Capaldiら, 1977)。したがって、電気泳動条件が異なれば、精製されたまたは部分精製された発現産物の見かけの分子量が変化し得ることは理解できよう。
III.薬学的製剤およびがんの治療
A.がん
がんの原因は、組織由来のクローン細胞集団の増殖である。がんの発生は発がんと呼ばれ、何通りにもモデル化および特徴付けされ得る。がんの発生と炎症との関連が認識されて長い。炎症反応は、微生物感染に対する宿主の防御に付随し、かつ組織の回復および再生も生じさせる。炎症とがん発生リスクとの関係を指摘する多くの証拠があり、すなわち、慢性の炎症は異形成をもたらし得る。
本開示の方法を適用できるがん細胞には、プロテアーゼを選択的に発現する概してすべての細胞が含まれるが、より具体的には、正常細胞と比べてそのようなプロテアーゼを過剰発現する細胞である。適切ながん細胞は、乳がん、肺がん、結腸がん、膵臓がん、腎臓がん、胃がん、肝臓がん、骨がん、血液学的がん(たとえば白血病またはリンパ腫)、神経組織がん、黒色腫、卵巣がん、睾丸がん、前立腺がん、子宮頚がん、膣がん、または膀胱がんの細胞であり得る。また、本開示の方法は、広範な種、たとえば、ヒト、非ヒト霊長類(たとえばサル、ヒヒ、またはチンパンジー)、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、スナネズミ、ハムスター、ラット、およびマウスに適用することができる。がんは、再発性、転移性および/または多剤耐性であってもよく、本開示の方法を特にそのようながんに適用して、それらを切除可能にし、寛解を引き延ばすか再誘導し、血管新生を阻害し、転移を予防もしくは制限し、かつ/または多剤耐性がんを治療することができる。細胞レベルで言えば、このことは、がん細胞を殺す、がん細胞増殖を阻害する、またはそれ以外に腫瘍細胞の悪性表現型を逆転もしくは減少させる、ということになる。
B.製剤および投与
本開示は、インターフェロンプロドラッグを含む薬学的組成物を提供する。特定の態様では、「薬学的に許容される」という用語は、連邦政府もしくは州政府の規制当局により承認されていること、または米国薬局方もしくは他の一般に知られている薬局方に、動物、より具体的にはヒトへの使用が記載されていることを意味する。「担体」という用語は、治療薬が一緒に投与される希釈剤、賦形剤、またはビヒクルを指す。そのような薬学的担体は、石油由来の、動物由来の、植物由来の、または合成の、ラッカセイ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油等といった、水および油などの滅菌液であり得る。他の好適な薬学的賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、生理食塩水、デキストロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール等が挙げられる。
組成物は、中性または塩の形態で製剤化され得る。薬学的に許容される塩としては、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸他から誘導される塩などの陰イオンで形成されるもの、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン他から誘導される塩などの陽イオンで形成されるものが挙げられる。
本開示の抗体としては、古典的な薬学的調製物を挙げることができる。本開示のこれらの組成物の投与は、その経路をとることにより標的組織に有効になり得る限りはあらゆる一般的な経路をとる。これには、経口、経鼻、頬側、直腸内、経膣、または局所的経路が含まれる。あるいは、投与は、皮内、皮下、筋内、腹腔内、または静脈内注入の場合がある。そのような組成物は通常、前述した薬学的に許容される組成物として投与される。特に関心対象となるのが、直接の腫瘍内投与、腫瘍の灌流、あるいはたとえば局部的もしくは局所的血管系もしくはリンパ系の腫瘍に対する、または切除後の腫瘍母地における、局部的もしくは局所的投与である。
活性化合物は、非経口投与または腹腔内投与されてもよい。遊離塩基または薬理学的に許容可能な塩としての活性化合物の溶液は、水中でヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合して調製することができる。分散系は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物の中で、ならびに油中で調製することもできる。通常の保管および使用の条件では、これらの調製物は、微生物の増殖を避けるために保存料を含有する。
C.併用療法
本開示の文脈では、本明細書に記載のインターフェロンプロドラッグを、免疫療法、化学療法、もしくは放射線療法による介入または他の治療法と一緒に、同様に用いることもできると想定される。また、特に、インターフェロンプロドラッグをがん細胞機能の別の側面を標的とする他の治療法と組み合わせることが有効であると証明され得る。
本開示の方法および組成物を用いて細胞を殺す、細胞増殖を阻害する、転移を阻害する、血管新生を阻害する、またはそれ以外に腫瘍細胞の悪性表現型を逆転もしくは減少させるためには、一般に、「標的」細胞を本開示のインターフェロンプロドラッグおよび少なくとも1種類の他剤と接触させることになる。これらの組成物は、細胞を殺すかその増殖を阻害するのに有効な併用量で提供される。この過程は、細胞を、本開示のインターフェロンプロドラッグおよびその他の剤または因子と同時に接触させることを含む場合がある。このことは、細胞を単一組成物ともしくは両剤を含む薬理学的製剤と接触させることにより、または細胞を2種の異なる組成物もしくは製剤と同時に接触させることにより、実現することができ、後者では一方の組成物は本開示のインターフェロンプロドラッグを含み、他方は他剤を含んでいる。
あるいは、インターフェロンプロドラッグ療法は、数分から数週間の間隔を置いて他剤治療の前または後に行ってもよい。他剤とインターフェロンプロドラッグとが別々に細胞に適用される態様では、一般に、各送達の間で大幅な時間切れが起きないことを確実にし、両剤が細胞に対しなおも併用効果を有利に及ぼすことができるようにする。そのような場合、両治療様式を互いに対し約12〜24時間以内に、より好ましくは互いに対し約6〜12時間以内に、最も好ましくは遅延時間は約12時間のみとして、細胞と接触させることが想定される。しかし状況によっては、治療期間を大幅に延長することが望ましい場合があり、各投与の間に数日(2日、3日、4日、5日、6日、または7日)から数週間(1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、または8週間)の時間経過がある。
インターフェロンプロドラッグまたは他剤を2回以上投与することが望ましい場合も考えられる。本開示のインターフェロンプロドラッグを「A」とし、他治療法を「B」として、以下に例示するように、さまざまな組み合わせを使用することができる。
Figure 2020528878
他の組み合わせも想定される。繰り返すが、細胞の殺傷を実現するために、両剤は、該細胞を殺すのに有効な併用量だけ該細胞に送達される。
がん治療に適した剤または因子としては、細胞に与えられるとDNA損傷を誘導するあらゆる化学物質または治療法が挙げられる。そのような剤および因子としては、DNA損傷を誘導する照射および波、たとえば放射線照射、マイクロ波、電子放出等が挙げられる。「化学療法薬」または「遺伝毒性剤」とも記載されるさまざまな化学物質を用いることができる。これは、限局化腫瘍部位を照射することで実現してもよく、あるいは対象に治療有効量の薬学的組成物を投与することで腫瘍細胞に剤を接触させてもよい。
本開示ではさまざまな分類の化学療法剤の使用が想定される。たとえば、タモキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン(アフィモキシフェン)、フェソロデックス、ラロキシフェン、バゼドキシフェン、クロミフェン、フェマレル(Femarelle)、ラソフォキシフェン、オルメロキシフェン、およびトレミフェンなどの選択的エストロゲン受容体アンタゴニスト(「SERM」)である。
使用が想定される化学療法剤としては、たとえば、カンプトテシン、アクチノマイシン−D、ミトマイシンCが挙げられる。本開示はまた、照射ベースでも実際の化合物でも、たとえばエックス線とシスプラチンの使用、またはシスプラチンとエトポシドの使用など、1種類または複数種類のDNA損傷剤の併用も包含する。剤は、組み合わされた治療組成物として、調製されることができ、かつ使用されることができる。
熱ショックタンパク質90は、多くの真核細胞に見られる調節タンパク質である。HSP90阻害剤は、がん治療に有用であることがわかっている。そのような阻害剤としては、ゲルダナマイシン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、PU-H71、およびリファブチンが挙げられる。
DNAを直接架橋する、または付加体を形成する剤も想定される。シスプラチンなどの剤、および他のDNAアルキル化剤を用いることができる。シスプラチンは、20 mg/m2を5日間、3週おきに、合計3コースという、臨床用途で用いられる有効用量で、広くがん治療に用いられている。シスプラチンは経口吸収されないので、静脈内、皮下、腫瘍内、または腹腔内の注入により送達しなければならない。
DNAを損傷する剤には、DNA複製、有糸分裂、および染色体分裂を妨げる化合物も含まれる。そのような化学療法化合物としては、ドキソルビシンとしても知られるアドリアマイシン、エトポシド、ベラパミル、ポドフィロトキシン等が挙げられる。新生物に対する治療の臨床現場で広く使用されているこれらの化合物は、ドキソルビシンの場合は25〜75 mg/m2の範囲の用量を静脈内ボーラス注入で21日おきに投与され、エトポシドの場合は35〜50 mg/m2までを静脈内投与するか、静脈内投与量の2倍を経口投与される。タキサンなどの微小管阻害剤も想定される。これらの分子はイチイ属(Taxus)の植物により生産されるジテルペンであり、パクリタキセルやドセタキセルが含まれる。
イレッサなどの上皮増殖因子受容体阻害剤、ラパマイシンの哺乳類標的でありFK506結合タンパク質12−ラパマイシン関連タンパク質1(FRAP1)としても知られるmTORは、細胞成長、細胞増殖、細胞運動性、細胞生存、タンパク質合成、および転写を調節するセリン/スレオニンタンパク質キナーゼである。したがって、ラパマイシンおよびそのアナログ(「ラパログ」)は、本開示によるがん治療での使用が想定される。
別の可能な治療は、全身性炎症に関与するサイトカインであって、急性期反応を刺激するサイトカイン群のメンバーのTNF−α(腫瘍壊死因子−アルファ)である。TNFの主要な役割は、免疫細胞の調節にある。TNFはまた、細胞のプログラム死を誘導すること、炎症を誘導すること、そして腫瘍発生およびウイルス複製を阻害することができる。
核酸前駆体およびサブユニットの合成および忠実度を混乱させる剤も、DNA損傷をもたらす。そのようなものとして、多くの核酸前駆体が開発されている。特に有用なのは、広範な試験を経た、かつ容易に入手可能な剤である。そのようなものとして、5-フルオロウラシル(5-FU)などの剤は、新生物組織により優先的に使用され、新生物細胞に狙いを定めるのに特に有用な剤となっている。5-FUは、極めて毒性が強いが、局所投与を含め多様な担体に応用可能であり、しかし一般には3〜15 mg/kg/日の用量の静脈内投与が用いられている。
DNA損傷をもたらす広く用いられている他の因子としては、ガンマ線、エックス線、および/または腫瘍細胞への放射性同位体の定方向送達として、一般に知られるものが挙げられる。マイクロ波およびUV照射などの他の形態のDNA損傷因子も想定される。おそらくはこれらの因子のすべてが、DNA前駆体、DNAの複製および修復、ならびに染色体の会合および維持において、広範なDNA損傷をもたらす。エックス線の線量範囲は、長期(3〜4週間)の場合の一日量50〜200レントゲンから、単回量の2000〜6000レントゲンである。放射性同位体の線量の範囲には大きなばらつきがあり、同位体の半減期、照射される放射線の強さおよび種類、ならびに新生物細胞による取り込みに左右される。
また、免疫療法、ホルモン療法、毒素療法、および手術が用いられ得ることも想定される。特に、アバスタチン、エルビタックス、グリベック、ハーセプチン、およびリツキサンなどの標的治療を使用することができる。
当業者は、"Remington's Pharmaceutical Sciences"第15版第33章の、特に624〜652ページを参照されたい。治療対象の状態によっては、用量を変えざるを得ないこともある。いずれにせよ、投与責任者が個々の対象にとって適切な用量を決定する。さらに、ヒトへの投与については、調製物は、FDA Office of Biologicsの基準が求める滅菌性、発熱性、一般安全性、および純度基準を満たさなければならない。
IV.プロテアーゼ検出方法
さらなる態様では、標的がん細胞または腫瘍におけるプロテアーゼ発現の性質および量を特定することが望ましく、それによって、患者の腫瘍により活性化する可能性が高い特定のインターフェロンプロドラッグをあつらえることが可能になる。一般に、そのような検出には、プロテアーゼ特異性抗体を用いるなどの免疫性検出、mRNA検出、およびプロテアーゼ活性アッセイの3つのアプローチがある。
A.免疫検出
プロテアーゼを特定し定量する免疫検出方法としては、一部ではあるが、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、放射免疫測定法(RIA)、免疫放射線測定法、蛍光免疫測定法、化学発光測定法、生物発光測定法、およびウエスタンブロット法を挙げることができる。さまざまな有用な免疫検出方法の工程が、たとえばDoolittle and Ben-Zeev (1999)、Gulbis and Galand (1993)、De Jagerら (1993)、およびNakamuraら (1987)などの科学論文に記載されている。一般に、免疫結合法には、試料を得ること、および場合によっては、免疫複合体の形成を可能にする有効な条件下で、該試料を本明細書に記載の第1の抗体と接触させることが含まれる。
選んだ生物学的試料を、免疫複合体(1次免疫複合体)の形成を可能にする有効な条件下で、かつ十分な期間だけ抗体と接触させることは、一般には、単に抗体組成物を試料に加え、そしてこの混合物を、存在しているプロテアーゼとともに抗体が免疫複合体を形成する、すなわちプロテアーゼに結合するのに十分な期間だけインキュベートする、ということである。その後、組織切片、ELISAプレート、ドットブロット、またはウエスタンブロットなどの試料−抗体組成物は、一般に、洗浄されて非特異的に結合した抗体種が除去され、1次免疫複合体中に特異的に結合した抗体だけの検出が可能になる。
一般に、免疫複合体形成の検出は、当技術分野において周知であり、多数のアプローチを用いて実現することができる。これらの方法は、一般に、放射性、蛍光性、生物学的、および酵素的なタグのいずれかといった標識またはマーカーの検出に基づく。そのような標識の使用に関する特許としては、米国特許第3,817,837号、同第3,850,752号、同第3,939,350号、同第3,996,345号、同第4,277,437号、同第4,275,149号、および同第4,366,241号が挙げられる。当然ながら、当技術分野では公知のように、第2の抗体および/またはビオチン/アビジンリガンド結合法などの2次結合リガンドの使用により、さらなる利点が見い出されることもある。
検出に使用される抗体は、それ自体が検出可能な標識に連結されていてもよく、その場合は単にこの標識を検出すればよく、それによって組成物中の1次免疫複合体の量を決定することが可能になる。あるいは、1次免疫複合体中で結合した第1の抗体は、該抗体に対し結合親和性を有する第2の結合リガンドによって検出することができる。これらの場合、第2の結合リガンドを、検出可能な標識に連結させることができる。第2の結合リガンド自体がしばしば抗体であるため、「2次」抗体と呼ばれることがある。1次免疫複合体を、標識された2次結合リガンドまたは抗体に、2次免疫複合体の形成を可能にする有効な条件下で、および十分な期間だけ、接触させる。その後2次免疫複合体は、一般に、洗浄されて非特異的に結合した標識2次抗体またはリガンドが除去され、次いで2次免疫複合体中に残った標識が検出される。
さらなる方法には、2工程アプローチによる1次免疫複合体の検出が含まれる。該抗体に対し結合親和性を有する抗体などの第2の結合リガンドを用いて、上述したように2次免疫複合体を形成する。洗浄後、2次免疫複合体を、第2の抗体に対し結合親和性を有する第3の結合リガンドまたは抗体と、再び、免疫複合体(3次免疫複合体)の形成を可能にする有効な条件下で、かつ十分な期間だけ、接触させる。第3のリガンドまたは抗体は検出可能な標識に連結されていて、こうして形成した3次免疫複合体の検出を可能にする。この系は、所望であればシグナル増幅を提供し得る。
免疫検出の一方法では、2つの異なる抗体を用いる。第1のビオチン化抗体を用いて標的抗原を検出し、次いで第2の抗体を用いて複合体化ビオチンに付着したビオチンを検出する。この方法ではまず、第1の工程の抗体を含有する溶液中で、被験試料をインキュベートする。標的抗原が存在していれば、抗体の一部がその抗原に結合して、ビオチン化抗体/抗原複合体が形成する。次に、この抗体/抗原複合体を、ストレプトアビジン(またはアビジン)、ビオチン化DNA、および/または相補ビオチン化DNAの後続溶液中でのインキュベーションにより増幅し、各工程で、追加のビオチン部位が抗体/抗原複合体に付加される。増幅工程を好適なレベルの増幅が得られるまで繰り返し、その時点で、試料を、ビオチンに対する第2の工程の抗体を含有する溶液中でインキュベートする。この第2の工程の抗体を、たとえば発色性基質を用いて組織酵素学により抗体/抗原複合体の存在を検出するのに用いることができる酵素で標識する。好適な増幅により、肉眼で見える複合物を生産することができる。
免疫検出の別の公知の方法は、免疫PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)の方法論を活かすものである。PCR法は、ビオチン化DNAとのインキュベーションまではCantor法と似ているが、ストレプトアビジンおよびビオチン化DNAインキュベーションの複数ラウンドを用いる代わりに、DNA/ビオチン/ストレプトアビジン/抗体複合体を、抗体を解放する低pHまたは高塩緩衝液で洗い流す。次に、得られた洗浄溶液を使って、好適なプライマーを用い、そして適切な対照を用いて、PCR反応を実施する。少なくとも理論上は、PCRの膨大な増幅能力および特異性を利用して、単一の抗原分子を検出することが可能である。
1つの例示的なELISAでは、本開示の抗体を、ポリスチレンマイクロタイタープレートのウェルなどの、タンパク質親和性を示している選択された表面に固定化する。次に、プロテアーゼを含有すると思われる試験組成物をウェルに加える。結合させ、そして洗浄して非特異的に結合した免疫複合体を除去してから、結合抗原を検出することができる。検出は、検出可能な標識に連結された別の抗プロテアーゼ抗体を加えることにより、実現可能である。このタイプのELISAは、単純な「サンドイッチELISA」である。検出はまた、第2の抗プロテアーゼ抗体を加えてから、第2の抗体に対し結合親和性を有する第3の抗体を加えることでも実現可能であり、第3の抗体は検出可能な標識に連結されている。
別の例示的なELISAでは、プロテアーゼを含有すると思われる試料をウェル表面に固定化し、次に抗プロテアーゼ抗体と接触させる。結合させ、そして洗浄して非特異的に結合した免疫複合体を除去してから、結合抗プロテアーゼ抗体を検出することができる。最初のプロテアーゼ抗体が検出可能な標識に連結されている場合、免疫複合体を直接検出することができる。この場合も、免疫複合体を、第1の抗プロテアーゼ抗体に対し結合親和性を有する第2の抗体を用いて検出することができ、第2の抗体は検出可能な標識に連結されている。
使用されるフォーマットに関係なく、ELISAには、コーティング、インキュベーション、および結合、非特異的に結合した種を除去するための洗浄、ならびに結合免疫複合体の検出などのいくつかの共通の特徴がある。これらを以下に記載する。
プレートを抗原または抗体でコーティングする際、一般に、プレートのウェルを、一晩または決められた時間にわたり、抗原または抗体の溶液とともにインキュベートする。次に、プレートのウェルを洗浄して、吸着が不完全な物質を除去する。次に、ウェル上に残っている利用可能な表面全部を、試験抗血清に対し抗原的に中性である非特異的タンパク質でコーティングする。これらタンパク質としては、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、またはミルク粉末溶液が挙げられる。コーティングにより、固定化表面上の非特異的吸着部位が遮断され、したがって抗血清が表面に非特異的に結合することによるバックグラウンドが抑えられる。
ELISAでは、おそらくは、直接法よりも、2次または3次検出手段を用いるほうが慣例となっている。したがって、タンパク質または抗体をウェルに結合させ、非反応性物質でコーティングしてバックグラウンドを抑え、そして洗浄して非結合物質を除去した後、免疫複合体(抗原/抗体)の形成を可能にする有効な条件下で、固定化表面を被験生物学的試料と接触させる。そして免疫複合体の検出には、標識2次結合リガンドまたは抗体、および標識3次抗体または第3の結合リガンドと結合した2次結合リガンドまたは抗体を要する。
「免疫複合体(抗原/抗体)の形成を可能にする有効な条件下で」は、条件が、抗原および/または抗体を、BSA、ウシガンマグロブリン(BGG)、またはリン酸緩衝食塩水(PBS)/Tweenなどの溶液で希釈することを好ましくは含むことを意味する。これらの添加された剤はまた、非特異的バックグラウンドを抑えるのに役立つ傾向がある。
「好適な」条件は、有効な結合を可能にするのに十分な温度または時間でインキュベーションが行われることも意味する。インキュベーションの工程は、一般には、好ましくはだいたい温度25℃〜27℃で約1〜2〜4時間ほど、または約4℃ほどで一晩の場合がある。
ELISAの全インキュベーション工程の後、複合体化しなかった物質を除去するために、接触表面を洗浄する。好ましい洗浄手順としては、PBS/Tweenまたはホウ酸緩衝液などの溶液での洗浄が挙げられる。試験試料と最初の結合物質との間で特異的な免疫複合体が形成し、次いで洗浄した後、たとえ微量であっても免疫複合体の生成を決定することができる。
検出手段を提供するために、第2のまたは第3の抗体には、検出を可能にする標識がつけられる。これは好ましくは、適切な発色性基質とともにインキュベートすると発色を生じさせる酵素である。したがって、たとえば、第1のおよび第2の免疫複合体を、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、または水素ペルオキシダーゼと結合した抗体と、さらなる免疫複合体形成が生じやすくなる時間および条件で、接触させること、またはインキュベートすることが求められる(たとえば、PBS-TweenなどのPBS含有溶液中、室温で2時間のインキュベーション)。
標識抗体とのインキュベーション後、そして非結合物質を除去するために洗浄した後、たとえばペルオキシダーゼが酵素標識の場合は、ウレア、またはブロモクレゾールパープル、または2,2'-アジノ-ジ-(3-エチル-ベンズチアゾリン-6-スルホン酸(ABTS)、またはH2O2などの発色性基質とのインキュベーションにより、標識の量を定量化する。そして定量は、たとえば可視スペクトル分光光度計を用いて、発色の度合いを測定することにより、実現される。
B.mRNA検出
mRNA検出を用いて、がん細胞または腫瘍におけるプロテアーゼの活性を評価することができる。一般に、mRNA検出は、1種類の核酸(プローブまたはプライマー)の、別種の核酸(標的)へのハイブリダイゼーションを利用する。
13〜100ヌクレオチド長の、好ましくは17〜100ヌクレオチド長の、またはいくつかの局面では最大1〜2キロベース長もしくはそれ以上のプローブまたはプライマーを用いることで、安定的かつ選択的な二本鎖分子が形成できる。得られるハイブリッド分子の安定性および/または選択性を増加させるためには、20塩基長よりも長い区間にわたり相補配列を有する分子が一般に好ましい。一般には、ハイブリダイゼーション用に、20〜30ヌクレオチドの、または所望によりそれよりも長い、1つまたは複数の相補配列を有する核酸分子の設計が好まれる。そのような断片は、たとえば化学的手段により断片を直接合成することにより、または組換え生産用に選択配列を組換えベクターに導入することにより、容易に調製することができる。
したがって、ヌクレオチド配列は、それらが相補区間mRNAと選択的に二本鎖分子を形成する能力、または試料からmRNAを増幅させるためのプライマーを提供する能力を理由に用いることができる。企図される用途によっては、標的配列に対するプローブまたはプライマーの選択性のさまざまな度合いを実現するために、さまざまなハイブリダイゼーション条件を使用することが望まれる。
高い選択性が要求される用途では、ハイブリッドを形成するのに比較的高いストリンジェンシー条件を使用することが、一般に望まれる。たとえば、約50℃〜約70℃の温度で約0.02 M〜約0.10 M NaClにより提供されるような、比較的低塩および/または高温の条件である。このような高ストリンジェンシー条件は、プローブまたはプライマーと鋳型または標的鎖とのミスマッチをほぼ許容せず、特定の遺伝子の単離または特定のmRNA転写物の検出では特に好適となる。添加するホルムアミドの量を徐々に増やすことにより、条件をさらにストリンジェントにできることが一般に理解されている。
特定の用途では、より低いストリンジェンシー条件が好ましいことが理解される。これらの条件では、ハイブリッド形成鎖の配列が完全に相補的でなくてもハイブリダイゼーションが起こり得るが、1つまたは複数の位置にミスマッチがある。塩濃度を上げることおよび/または温度を下げることにより、条件のストリンジェント度を下げることができる。たとえば、中程度のストリンジェンシー条件は、約37℃〜約55℃の温度で約0.1〜0.25 M NaClにより提供することができ、一方低ストリンジェンシー条件は、約20℃〜約55℃の範囲の温度で約0.15 M〜約0.9 M 塩により提供することができる。ハイブリダイゼーション条件は、所望の結果に応じて容易に操作することができる。
他の態様では、ハイブリダイゼーションは、たとえば、およそ20℃〜約37℃の温度で、50 mMのTris-HCl(pH 8.3)、75 mMのKCl、3 mMのMgCl2、1.0 mMのジチオスレイトール、という条件で実現することができる。用いられる他のハイブリダイゼーション条件としては、およそ40℃〜約72℃の範囲の温度で、およそ10 mMのTris-HCl(pH 8.3)、50 mMのKCl、1.5 mMのMgCl2、を挙げることができる。
特定の態様では、ハイブリダイゼーションを決定するために、本発明で定義する配列の核酸を、標識などの適切な手段と組み合わせて使用するのが有利である。当技術分野ではさまざまな適切な指標手段が公知であり、たとえば検出可能な、蛍光性の、放射性の、酵素的、または他のリガンド、たとえばアビジン/ビオチンなどが挙げられる。好ましい態様では、放射性または他の環境的に望ましくない試薬の代わりに、蛍光性標識、またはウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、またはペルオキシダーゼなどの酵素タグを使用することが望まれる場合がある。酵素タグの場合、相補核酸含有試料との特異的ハイブリダイゼーションを特定するために、可視的にまたは分光測定により検出可能な検出手段を提供するのに使用できる、比色指標基質が知られている。
一般に、本明細書に記載のプローブまたはプライマーは、PCR(商標)におけるような、溶液ハイブリダイゼーションの試薬として、対応する遺伝子の発現を検出するために、また固相を使用する態様においても、有用であると考えられる。固相が含まれる態様では、試験mRNAを、選択されたマトリックスまたは表面に吸着またはその他により固定する。次に、この固定された一本鎖核酸を、選択されたプローブと所望の条件下でハイブリダイズさせる。選択される条件は、特定の状況による(たとえば、G+Cの含有量、標的核酸の種類、核酸の供給源、ハイブリダイゼーションプローブのサイズその他による)。関心対象の特定用途のハイブリダイゼーション条件の最適化については、当業者には周知である。ハイブリダイズした分子を洗浄して非特異的に結合したプローブ分子を除去した後、結合標識の量を決定することにより、ハイブリダイゼーションを検出し、かつ/または定量する。代表的な固相ハイブリダイゼーション方法が、米国特許第5,843,663号、同第5,900,481号、および同第5,919,626号に開示されている。本発明の実施において用いることのできる他のハイブリダイゼーション方法が、米国特許第5,849,481号、同第5,849,486号、および同第5,851,772号、ならびに米国特許公報第2008/0009439号に開示されている。これらの関連部分、および本明細書のこのセクションで特定されている他の参照文献は、参照により本明細書に組み入れられる。
標的核酸は、標準的な方法論にしたがい、細胞、組織、または他の試料から単離することができる(Sambrookら, 2001)。特定の態様では、ホールセルまたは組織ホモジネートまたは生物学的流体試料に対し、実質的に鋳型核酸を精製することなく分析を実施する。他の場合では、精製および/または増幅を要することがある。
増幅には一般に、選択的ハイブリダイゼーションを許容する条件下で、標的に対応する核酸に選択的にハイブリダイズするように設計された、プライマー対が含まれる。所望の用途によっては、プライマーに対し完全に相補的な配列のハイブリダイゼーションしか許容しない高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件が選択され得る。他の態様では、ハイブリダイゼーションは、プライマー配列との1つまたは複数のミスマッチを含有する核酸の増幅を可能にする、より低いストリンジェンシーで生じる場合がある。ハイブリダイズすると、鋳型−プライマー複合体を、鋳型依存性核酸合成を促す1つまたは複数の酵素と接触させる。複数ラウンドの増幅は、「サイクル」とも呼ばれ、十分な量の増幅産物が生産されるまで実施される。
増幅産物を検出または定量することができる。特定の用途では、視覚的手段により検出を実施する場合がある。あるいは、検出は、化学発光により、組み込まれた放射標識または蛍光性標識の放射性シンチグラフィーにより、あるいは電子および/または熱インパルスシグナルを用いる系により、産物を間接的に特定することを含む場合がある(Bellus, 1994)。
所与の鋳型試料に存在するオリゴヌクレオチド配列を増幅するために、多数の鋳型依存性方法が利用可能である。最もよく知られている増幅方法の1つが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR(商標)と呼ばれる)であり、これについては米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、および同第4,800,159号、ならびにInnisら, 1988に詳述されており、これらはそれぞれ参照により本明細書にその全文が組み入れられる。
逆転写酵素PCR(商標)増幅手順は、増幅されたmRNAの量を定めるために実施される場合がある。RNAをcDNAへと逆転写する方法は周知である(Sambrookら, 2001を参照されたい)。逆転写の代替方法では、熱安定性DNAポリメラーゼを用いる。これらの方法は、WO 90/07641に記載されている。ポリメラーゼ連鎖反応の方法論は、当技術分野では周知である。RT-PCRの代表的な方法は、米国特許第5,882,864号に記載されている。
RNAをcDNAへと逆転写(RT)し、それから定量PCR(RT-PCR)を実施することは、細胞から単離された特定のmRNA種の相対濃度を決定するのに用いることができる。特定のmRNA種の濃度にばらつきがあると決定することで、特定のmRNA種をコードする遺伝子の発現に差があることがわかる。サイクル数をX軸にとり、増幅された標的DNAの濃度の対数をY軸にとったグラフをプロットすると、プロットした点をつなぐことで特徴的な形の曲線が形成される。第1のサイクルから始まって、線の勾配は正でありかつ一定している。これは、曲線の線形部分と言われる。試薬がなくなりかけると、線の勾配が減少し始め、やがてゼロになる。この時点で、増幅された標的DNAの濃度は、何らかの固定値に漸近する。これは、曲線のプラトー部分と言われる。
PCR増幅の線形部分の標的DNAの濃度は、反応開始前の標的の開始濃度に正比例する。同じサイクル数を完了した、それぞれが線形範囲にあるPCR反応の標的DNAの増幅産物の濃度を決定することにより、もとのDNA混合物中の特定の標的配列の相対濃度を決定することが可能である。DNA混合物が、異なる組織または細胞から単離されたRNAから合成されたcDNAである場合、それぞれの組織または細胞について、標的配列が由来する特定のmRNAの相対存在量を決定することができる。このPCR産物の濃度と相対的mRNA存在量との正比例関係が当てはまるのは、PCR反応の線形域においてのみである。
曲線のプラトー部分の標的DNAの最終濃度は、反応混合物中の試薬の利用可能性により決定されるものであって、標的DNAのもとの濃度とは関係ない。したがって、RNA集団の集合についてmRNA種の相対存在量をRT-PCRにより決定できるようになる前に満たすべき第1の条件は、PCR反応物がそれらの曲線の線形部分にあるときに、増幅されたPCR産物の濃度をサンプリングしておかねばならない、ということである。
RT-PCR実験の第2の条件は、特定のmRNA種の相対存在量を決定することである。一般には、増幅可能cDNAの相対濃度を、何らかの独立した標準に対し正規化する。RT-PCR実験のゴールは、試料中のmRNA種全部の平均存在量に対する特定のmRNA種の存在量を決定することである。
競合PCRのプロトコルの大半が、標的とほぼ同じくらい豊富な内部PCR標準を利用する。これらの戦略は、PCR増幅の産物が各々の線形相の間にサンプリングされる場合に有効である。反応がプラトー相に接近しているときに産物をサンプリングすると、さほど豊富ではない産物が相対的に多すぎることになる。発現差があるRNA試料を調べる場合などの、多くの異なるRNA試料の相対存在量の比較では、そのような歪みが生じて、RNAの相対存在量の差が実際よりも小さく見えてしまう。このことは、内部標準が標的よりもはるかに豊富であれば、大きな問題ではない。内部標準が標的よりもはるかに豊富であれば、RNA試料同士を直接線形比較することができる。
RT-PCRは、内部標準を用いて相対定量RT-PCRとして実施することができ、ここで内部標準は、標的cDNA断片よりも大きい増幅可能なcDNA断片であり、また、内部標準をコードするmRNAの存在量は、標的をコードするmRNAのだいたい5〜100倍である。このアッセイは相対存在量を測定するものであり、各mRNA種の絶対存在量を測定するものではない。
増幅の別の方法は、参照により本明細書にその全文が組み入れられる欧州特許出願第320 308号に開示されているリガーゼ連鎖反応(「LCR」)である。米国特許第4,883,750号は、プローブ対を標的配列に結合させる、LCRと似た方法を記載している。米国特許第5,912,148号に開示されている、PCR(商標)およびオリゴヌクレオチドリガーゼアッセイ(OLA)に基づく方法も、用いることができる。
本発明の実施で用いることができる標的核酸配列を増幅する代替方法が、米国特許第5,843,650号、同第5,846,709号、同第5,846,783号、同第5,849,546号、同第5,849,497号、同第5,849,547号、同第5,858,652号、同第5,866,366号、同第5,916,776号、同第5,922,574号、同第5,928,905号、同第5,928,906号、同第5,932,451号、同第5,935,825号、同第5,939,291号、および同第5,942,391号、英国特許出願第2 202 328号、ならびにPCT出願PCT/US89/01025号に開示されており、これらはそれぞれ参照により本明細書にその全文が組み入れられる。
PCT出願PCT/US87/00880号に記載されているQbeta Replicaseも、本発明の増幅方法として用いることができる。この方法では、標的の配列に対し相補的な領域を有するRNA複製配列を、RNAポリメラーゼの存在下で試料に加える。ポリメラーゼが複製配列を複製し、それを後に検出することができる。
制限部位の1つの鎖にヌクレオチド5'−[アルファ−チオ]−トリホスファートを含有している標的分子の増幅を、制限エンドヌクレアーゼおよびリガーゼを用いて実現する、等温増幅方法も、本発明の核酸の増幅で有用であり得る(Walkerら, 1992)。米国特許第5,916,779号に開示されている鎖置換増幅(SDA)は、核酸の等温増幅を実行する別の方法であり、複数ラウンドの鎖置換および合成、すなわちニック翻訳が含まれる。
他の核酸増幅手順としては、核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SRなどの、転写に基づく増幅系(TAS)が挙げられる(Kwohら, 1989; PCT出願WO 88/10315、参照により本明細書にその全文が組み入れられる)。欧州特許出願第329 822号は、一本鎖RNA(「ssRNA」)、ssDNA、および二本鎖DNA(dsDNA)を循環的に合成することを含む核酸増幅法を開示しており、これらを本発明で用いることができる。
PCT出願WO 89/06700(参照により本明細書にその全文が組み入れられる)は、標的一本鎖DNA(「ssDNA」)へのプロモーター領域/プライマー配列のハイブリダイゼーション後の配列の多数のRNAコピーの転写に基づく、核酸配列増幅スキームを開示している。このスキームは循環的ではなく、すなわち得られたRNA転写物から新たな鋳型が生産されない。他の増幅方法としては、「RACE」および「片側(one-sided)PCR」が挙げられる(Frohman, 1990; Oharaら, 1989)。
いずれかの増幅後、増幅産物を鋳型および/または過剰プライマーから分離することが望ましい場合がある。一態様では、増幅産物を、アガロース、アガロース-アクリルアミド、またはポリアクリルアミドゲル電気泳動により、標準的な方法を使って分離する(Sambrookら, 2001)。分離された増幅産物は、さらなる操作のためにゲルから切り出され溶出される場合がある。低融点アガロースゲルを用い、このゲルを加熱することで、分離したバンドを除去することができ、その後核酸を抽出する。
核酸の分離は、当技術分野で公知の各種クロマトグラフィー技法により行ってもよい。吸着、分配、イオン交換、ヒドロキシルアパタイト、分子ふるい、逆相、カラム、ペーパー、薄層、およびガスクロマトグラフィー、ならびにHPLCといった、本発明の実施に用いることができる多くの種類のクロマトグラフィーがある。
特定の態様では、増幅産物は視覚化される。一般的な視覚化方法としては、臭化エチジウムでのゲル染色、およびUV光下でのバンドの視覚化がある。あるいは、増幅産物を放射線または蛍光定量標識ヌクレオチドと一体で標識する場合、分離された増幅産物をエックス線フィルムに曝露するか、または適切な励起スペクトル下で視覚化することができる。
一態様では、増幅産物の分離に続いて、標識核酸プローブを増幅されたマーカー配列と接触させる。プローブは好ましくは発色団に結合されているが、放射標識されていてもよい。別の態様では、プローブは、抗体もしくはビオチンなどの結合パートナーに、または検出可能部分を担持している別の結合パートナーに結合されている。
特定の態様では、サザンブロッティングおよび標識プローブとのハイブリダイゼーションにより検出を行う。サザンブロッティングに関する技法は、当業者には周知である(Sambrookら, 2001を参照されたい)。前記の一例が、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,279,721号に記載されており、自動電気泳動および核酸移入の装置および方法が開示されている。この装置により、ゲルの外部操作なしで電気泳動およびブロッティングが可能になり、本発明の方法を実行するには最適である。
当技術分野で公知のさまざまな核酸検出方法が、米国特許第5,840,873号、同第5,843,640号、同第5,843,651号、同第5,846,708号、同第5,846,717号、同第5,846,726号、同第5,846,729号、同第5,849,487号、同第5,853,990号、同第5,853,992号、同第5,853,993号、同第5,856,092号、同第5,861,244号、同第5,863,732号、同第5,863,753号、同第5,866,331号、同第5,905,024号、同第5,910,407号、同第5,912,124号、同第5,912,145号、同第5,919,630号、同第5,925,517号、同第5,928,862号、同第5,928,869号、同第5,929,227号、同第5,932,413号、および同第5,935,791号に開示されており、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。
プロテアーゼmRNAの検出には、アレイまたはアレイから生成したデータの使用が含まれる場合がある。アレイとは一般に、複数の種類のmRNA分子またはcDNA分子と完全にまたはほぼ相補的または同一の、互いに離間した構成で支持体上に配置された、核酸分子(プローブ)の整列マクロアレイまたはマイクロアレイを指す。マクロアレイは一般に、ニトロセルロースまたはナイロンのシートであり、その上にプローブがスポットされている。マイクロアレイでは核酸プローブがもっと密に配置されており、一般に1〜4平方センチメートルの領域に、最高1万個の核酸分子を収めることができる。マイクロアレイは、核酸分子、たとえば遺伝子やオリゴヌクレオチド等を、基質上にスポットすることにより、またはオリゴヌクレオチド配列をインサイチューで基質上に作製することにより、作製することができる。スポットされるまたは作製される核酸分子は、1平方センチメートルあたり非同一の核酸分子が最高で約30個、またはそれ以上、たとえば1平方センチメートルあたり最高で約100個または1000個という、高密度マトリックスパターンとすることができる。マイクロアレイは一般に、フィルターアレイのニトロセルロースを主成分とする物質とは異なり、コーティングされたガラスを固体支持体として用いる。相補核酸試料の整列アレイを有することで、各試料の位置を追跡すること、そしてオリジナルの試料と結合させることが可能になる。複数の異なる核酸プローブが固体支持体の表面と安定的に結合しているさまざまな異なるアレイデバイスが、当業者には公知である。アレイのための有用な基質としては、ナイロン、ガラス、およびシリコンが挙げられる。そのようなアレイは、平均プローブ長、プローブの配列または種類、プローブとアレイ表面との結合の性質、たとえば共有結合または非共有結合等といった、多くの点で異なり得る。本発明の方法の標識および選別の方法、ならびにアレイは、プローブが発現レベルを検出すること以外、どのようなパラメーターに関してもその有用性を限定されない。したがって、方法および組成物は、さまざまな異なる種類の遺伝子とともに用いることができる。
マイクロアレイを調製する代表的な方法および装置が、たとえば米国特許第5,143,854号、同第5,202,231号、同第5,242,974号、同第5,288,644号、同第5,324,633号、同第5,384,261号、同第5,405,783号、同第5,412,087号、同第5,424,186号、同第5,429,807号、同第5,432,049号、同第5,436,327号、同第5,445,934号、同第5,468,613号、同第5,470,710号、同第5,472,672号、同第5,492,806号、同第5,503,980号、同第5,510,270号、同第5,525,464号、同第5,527,681号、同第5,529,756号、同第5,532,128号、同第5,545,531号、同第5,547,839号、同第5,554,501号、同第5,556,752号、同第5,561,071号、同第5,571,639号、同第5,580,726号、同第5,580,732号、同第5,593,839号、同第5,599,695号、同第5,599,672号、同第5,610;287号、同第5,624,711号、同第5,631,134号、同第5,639,603号、同第5,654,413号、同第5,658,734号、同第5,661,028号、同第5,665,547号、同第5,667,972号、同第5,695,940号、同第5,700,637号、同第5,744,305号、同第5,800,992号、同第5,807,522号、同第5,830,645号、同第5,837,196号、同第5,871,928号、同第5,847,219号、同第5,876,932号、同第5,919,626号、同第6,004,755号、同第6,087,102号、同第6,368,799号、同第6,383,749号、同第6,617,112号、同第6,638,717号、同第6,720,138号、ならびにWO 93/17126、WO 95/11995、WO 95/21265、WO 95/21944、WO 95/35505、WO 96/31622、WO 97/10365、WO 97/27317、WO 99/35505、WO 09923256、WO 09936760、WO0138580、WO 0168255、WO 03020898、WO 03040410、WO 03053586、WO 03087297、WO 03091426、WO 03100012、WO 04020085、WO 04027093、EP 373 203、EP 785 280、EP 799 897、およびUK 8 803 000に記載されており、これらの開示のすべてが参照により本明細書に組み入れられる。
アレイは、100またはそれ以上の異なるプローブを収容するような、高密度アレイであり得ることが想定される。アレイは1000の、16,000の、65,000の、25万の、または100万もしくはそれ以上の異なるプローブを収容できることが想定される。プローブは、1種類または複数種類の異なる生物における標的に向けることができる。オリゴヌクレオチドプローブは、いくつかの態様ではヌクレオチド長が5〜50、5〜45、10〜40または15〜40の範囲にある。特定の態様では、オリゴヌクレオチドプローブは20〜25ヌクレオチド長である。
アレイの各々異なるプローブ配列の位置および配列は、一般に公知である。さらに、多数の異なるプローブが比較的小さい面積を占めて、1 cm2あたりの異なるオリゴヌクレオチドプローブ数が約60、100、600、1000、5,000、10,000、40,000、10万、または40万を一般に上回るプローブ密度を有する高密度アレイを提供することができる。アレイの表面積は約1 cm2、1.6 cm2、2 cm2、3 cm2、4 cm2、5 cm2、6 cm2、7 cm2、8 cm2、9 cm2、または10 cm2かまたはそれよりも小さい場合がある。
さらに、当業者であれば、アレイを使って生成したデータを容易に分析することができる。そのようなプロトコルは上記で開示しており、またWO 9743450; WO 03023058; WO 03022421; WO 03029485; WO 03067217; WO 03066906; WO 03076928; WO 03093810; WO 03100448A1に記載の情報を含み、これらはすべて参照により本明細書に具体的に組み入れられる。
V.実施例
以下の実施例は、好ましい態様を実証するために含まれるものである。以下の実施例に開示されている技法は、諸態様の実施において良好に機能することが発明者らによって発見された技法を代表するものであり、したがってその実施の好ましいモードを構成するとみなすことができることを、当業者には理解されたい。とはいえ、本開示に鑑み、開示された特定の態様に多くの変更を加えることが可能であって、その場合もなお、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、同様または類似の結果が得られることを、当業者には理解されたい。
実施例1 インターフェロンアルファおよびベータ受容体(IFNAR)ベースのIFN-プロドラッグ
発明者らは、ヒト免疫グロブリンG1(IgG1)の構造に基づきIFN-プロドラッグを工学的に作製した(図1)。遮断試薬は天然のIFNAR1またはIFNAR2の細胞外ドメイン(ECD)であり、切断可能基質リンカーによりインターフェロンアルファのN末端に連結させる。この形態で、IFNARは細胞表面IFNAR1/IFNAR2ヘテロダイマーへの結合を遮断する。安定性および半減期を増加させるために、発明者らはIgG1 FcドメインをインターフェロンアルファのC末端に融合させた(図1)。
IFNAR1またはIFNAR2いずれかのECDがインターフェロンアルファの活性を遮断できるかどうかを決定するために、発明者らは、IFNa4-Fc、R1-IFNa4-Fc、およびR2-IFNa4-Fcを精製した。R1-IFNa4-FcまたはR2-IFNa4-Fcのリンカーは、15アミノ酸の三重Gly-Gly-Gly-Gly-Serペプチドであり、これはドメイン間の相互作用を可能にするフレキシブルなリンカーである23。発明者らは、5つのIFN刺激応答エレメントと結合させたISG54ミニマルプロモーターの制御下でLuciaルシフェラーゼ遺伝子を発現するRAW-Lucia ISG細胞を用いた。RAW-Lucia ISG細胞は、マウスIFN-αおよびIFN-βに対し応答性がある。ルシフェラーゼレポーターアッセイのためにhIg、IFNa4-Fc、R1-IFNa4-Fc、およびR2-IFNa4-Fcを、20 nMから5倍系列希釈した。IFNa4-Fcと比べて、R1-IFNa4-FcとR2-IFNa4-Fcの両方が、少なくとも125倍というIFN活性の大きな減少を示す(図2A)。
活性化したIFN-プロドラッグの活性がIFNa4-Fcの活性に匹敵するかどうかを決定するために、発明者らはR1-NSUB、R1-SUB、R2-NSUB、およびR2-SUBを精製した。R1-SUBまたはR2-SUBのリンカーは、MMP-2またはMMP-9により切断可能な6残基のプロテアーゼ切断可能基質(PVGLIG)を担持する16アミノ酸のペプチドであり24、フレキシブルなGly-Gly-Gly-Gly-Serペプチドに両側から挟まれている。プロテアーゼ切断可能基質なしのR1-NSUBおよびR2-NSUBを対照コンストラクトとして用いた。R1-NSUB、R1-SUB、R2-NSUB、またはR2-SUBを37℃で6時間、rmMMP-9とともにインキュベートして活性化させた。活性化したR1-SUBは、IFNa4-Fcの25倍という増加したIFN活性を示したが、R1-NSUBの活性は酵素接種後に変化しなかった(図2B)。同様の結果がR2-NSUBおよびR2-SUBでも観察されたが、活性化したR2-SUBは、IFNa4-Fcの25倍を上回る、さらに増加したIFN活性を示した(図2C)。
このように、プロテアーゼ活性化IFN-プロドラッグの生物学的活性は、IFNA1系またはIFNAR2系のどちらの形態でも、親IFNa4-Fcと同等まで復元されるとの予測ではなくむしろ増加した。さらにIFN-プロドラッグは、プロテアーゼ切断以前は生物学的活性が著しく低減しているようであることから、このIFN-プロドラッグは切断されるまでインビボで安全性を保ち、その後は局部的な腫瘍微小環境で治療活性を増加させると考えられた。
IFNAR1系およびIFNAR2系IFN-プロドラッグはインビボでさまざまな抗腫瘍効果を示す
発明者らは次に、マウスのB16黒色腫モデルを用いて、IFN-プロドラッグの局部的活性化がインビボで抗腫瘍有効性に変わるかどうかを調査した。発明者らは、マウス腫瘍モデルの酵素発現を選別することなく、まずはMMP-2およびMMP-9の切断可能基質を担持するIFN-プロドラッグから開始した。確立されたB16黒色腫腫瘍を有するマウスをR1-SUB、R2-SUB、IFNa4-Fc、またはhIg対照で処置した。R1-SUB、R2-SUB、およびIFNa4-Fcは、1 nmolの投与(3日おきに3回注入)で、このモデルにおける腫瘍増殖の抑制につきさまざまな有効性を示した。処置から10日目の時点で、hIg処置対照群と比べて、R1-SUBは腫瘍増殖を24%阻害し、R2-SUBは57%阻害し、IFNa4-Fcは72%阻害した(図3)。
したがって、IFNAR2系IFN-プロドラッグは、インビボで、IFNAR1系IFN-プロドラッグよりも良い抗腫瘍効果を示し、発明者らは以降の試験ではR2-SUBに的を絞ることにした。しかし、MMP-2およびMMP-9の切断可能基質を担持するR2-SUBは、IFNa4-Fcと比べると、腫瘍増殖の抑制の有効性が低かった。発明者らは、IFN-プロドラッグの改良された有効性は、マウス腫瘍モデルにおいて適切な切断可能基質リンカーを選択することにより実現できる、という仮説を立てた。
IFNAR2系IFN-プロドラッグは、有効性が改良され、かつ副作用が抑制されている
より有利な切断可能基質リンカーを選ぶために、発明者らは、マウス腫瘍モデルにおけるさまざまなヒトがんで上方制御されることがわかっている、最も研究されているプロテアーゼを選別した。この基質選択過程には、IFN-プロドラッグの全身的(非特異的)活性化の可能性を低減するために、正常な健常組織で発現するプロテアーゼに対する逆選択が含まれた。確立されたB16黒色腫腫瘍またはMC38結腸腫瘍を有するマウスを屠殺し、脾臓、心臓、肝臓、肺、および腎臓などの腫瘍組織および正常組織を用いて、次のプロテアーゼ遺伝子のmRNA発現レベルを決定した:uPA、MMP-2、MMP-9、およびMMP-14。uPAは、腎臓でのみ高発現したが、2つの腫瘍組織では高発現しなかった(図4A)。MMP-2はMC38腫瘍で高発現したが、B16腫瘍では高発現せず、ただし心臓および肺に高いバックグラウンドがあった(図4B)。MMP-9の発現レベルはすべての正常組織および腫瘍組織で非常に低かった(図4C)。最後に、MC38腫瘍とB16腫瘍の両方がMMP-14の高発現を有したが、これに対し、正常組織におけるMMP-14発現は最小限であった(図4D)。マウス腫瘍モデルの選別データから、MMP-14感受性の切断可能基質リンカーが、インビボで有力なIFN-プロドラッグになることが示唆された。
発明者らはまた、ヒトプロテアーゼの発現レベルを、腫瘍と、隣接する正常組織との間で分析した。TIMER(Tumor IMmune Estimation Resource)のDiffExpモジュールが、TCGA(The Cancer Genome Atlas)の全試料の遺伝子発現レベルの比較を提供している。腫瘍関連酵素のほとんどが評価され、MMP-1、MMP-3、MMP-9、MMP-10、MMP-11、MMP-12、MMP-13、MMP-14といったプロテアーゼが、ほとんどの腫瘍で大幅に上方制御され、正常組織では比較的バックグラウンドが低いことが見出されている(図6A〜H)。これらのプロテアーゼは、最大限の抗腫瘍効果および正常組織に対する最小限の副作用を実現するための、ヒトIFN-プロドラッグ設計の優秀な候補である。興味深いことに、マウスとヒトの両方の試料で一貫したMMP-14発現レベルのデータは、MMP-14基質をIFN-プロドラッグに用いることに対する発明者らの確信を強める。
したがって、発明者らは、IFNAR2およびMMP-14基質(SGRSENIRTA)25ベースのIFN-プロドラッグを工学的に作製し、精製した。発明者らは、インビボでの潜在的な安全性メリットおよび抗腫瘍有効性について調査した。確立されたB16-OVA黒色腫腫瘍を有するマウスに、R2-SUB、IFNa4-Fc、またはhIg対照を、1 mMの投与量を3日おきに3回注入して処置した。発明者らは、IFN-プロドラッグとIFNa4-Fcとの相対的な安全性を比較した。IFNa4-Fc群では、3回目の処置の翌日に、IL-6、TNF、MCP-1、およびIFN-gといった炎症サイトカインが、血清中に高レベルで観察された。これに対し、R2-SUB処置のマウスでは、これらの炎症サイトカインのレベルは非常に低かった(図5A)。肝臓毒性を示すALTレベルについても同様の結果が示された(図5B)。
発明者らは引き続き腫瘍増殖および体重をモニターした。処置から12日目の時点で、hIg処置対照群と比べて、R2-SUBは腫瘍増殖を76%阻害しており、IFNa4-Fcは67%阻害していた(図5C)。しかしこの時点でIFNa4-Fc処置群のマウスは、おそらくIFNの重篤な副作用のせいで、具合が悪かった(じっとしてうずくまり、痩せていた)。次に発明者らは、体重減少速度を比較した。データによると、IFNa4-Fc群のマウスは3回目の処置の後すぐに体重が減り始めたが、R2-SUB群のマウスの体重は3回の処置の後も大差なかった(図5D)。最後に発明者らは、R2-SUB処置群の生存率は100%であったが、IFNa4-Fc処置群の生存率は33%であったことを、毒性に基づく生存曲線で示した(図5E)。
インターフェロンアルファおよびベータ受容体(IFNAR)ベースのヒトIFN-プロドラッグ
ヒトIFNAR1またはIFNAR2のいずれかのECDがヒトインターフェロンアルファ2の活性を遮断できるかどうかを決定するために、発明者らはヒトIFNa2-Fc、R1-IFNa2-Fc、およびR2-IFNa2-Fcを精製した。R1-IFNa2-FcまたはR2-IFNa2-Fcのリンカーは、15アミノ酸の三重Gly-Gly-Gly-Gly-Serペプチドであり、これはドメイン間の相互作用を可能にするフレキシブルなリンカーである23。発明者らは、5つのNF-κBおよびAP-1結合部位に融合させたIFN-βミニマルプロモーターの制御下でSEAP(分泌型胎性アルカリホスファターゼ)レポーター遺伝子を発現する293T-Dual(商標)hSTING-R232レポーター細胞を用いた。293T-Dual(商標)hSTING-R232細胞は、ヒトIFN-αおよびIFN-βに対し応答性がある。SEAPレポーターアッセイのために、ヒトIFNa2-Fc、R1-IFNa2-Fc、およびR2-IFNa2-Fcを50 nMから10倍系列希釈した。ヒトIFNa2-Fcと比べて、R1-IFNa2-Fcは10倍のIFN活性の減少を示し、一方R2-IFNa2-Fcは100倍のIFN活性の減少を示した(図7A)。したがって、IFNAR2のほうが、ヒトIFNの良好な遮断試薬である。
活性化したヒトIFN-プロドラッグの活性がIFNa2-Fcの活性に匹敵するかどうかを決定するために、発明者らはヒトR2-NSUBおよびR2-SUBを精製した。R2-SUBのリンカーは、MMP-2またはMMP-9により切断可能な6残基のプロテアーゼ切断可能基質(PVGLIG)を担持する16アミノ酸のペプチドであり24、フレキシブルなGly-Gly-Gly-Gly-Serペプチドに両側から挟まれている。プロテアーゼ切断可能基質なしのR2-NSUBを対照コンストラクトとして用いた。R2-NSUBまたはR2-SUBを、37℃で0時間、0.5時間、2時間、または6時間、rmMMP-9とともにインキュベートした。ヒトR2-SUBはrmMMP-9によって時間依存的に切断された。6時間後、切断有効性は100%であった(図7C)。活性化したヒトR2-SUBはヒトIFNa2-Fcに匹敵するIFN活性を示したが、R2-NSUBの活性は酵素接種後に変化しなかった(図7B)。
このように、プロテアーゼ活性化ヒトIFN-プロドラッグの生物学的活性は、IFNAR2系の形態では、親IFNa4-Fcの生物学的活性にまで完全に復元された。さらに、ヒトIFNAR2系IFN-プロドラッグは、プロテアーゼ切断以前は生物学的活性が著しく低減しているようであることから、このヒトIFN-プロドラッグは切断されるまでインビボで安全性を保ち、その後、ヒトの局部的な腫瘍微小環境で治療活性を増加させると考えられた。
このように、本明細書で検討したIFN-プロドラッグは、正常組織における毒性を低減することにより、I型インターフェロンがより強力に腫瘍組織を標的とすることを可能にしている。IFN-プロドラッグの抗腫瘍効果は、各腫瘍のプロテアーゼ活性に基づきそれに合わせることができるので、IFN-プロドラッグは、特定の状況における選択された切断可能基質リンカーを有する個人向け薬物となって、最良の結果をもたらす。加えて、IFN-プロドラッグは、異なるプロテアーゼに感受性のある異なるリンカーを用いて、複数のIFNドメインをもつように設計することができ、そうすることでその治療効果が大きく向上する。
本明細書で開示し主張するすべての組成物および方法は、本開示に鑑み、必要以上に実験をしなくても、作製することおよび実行することができる。本開示の組成物および方法を好ましい態様について記載してきたが、本明細書に記載の組成物および方法および工程または方法の工程の順序に、本開示の概念、精神、および範囲から逸脱することなく変更を加えることができることは、当業者には明らかである。より具体的には、化学的にかつ生理学的に関連のある特定の剤を本明細書に記載の剤に代えても、同じまたは類似の結果が得られることは明らかである。当業者には明白であるそのような類似の代替形態および改変形態はすべて、添付の請求項により定められる本開示の精神、範囲、および概念内とみなされる。
VII.参照文献
以下の参照文献は、それらが本明細書の記載を補って例示的な手順上のまたは他の詳細事項を提供する範囲において、参照により本明細書に具体的に組み入れられる。
Figure 2020528878
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[本発明1001]
(a)インターフェロン(IFN)結合活性を保持している、インターフェロンアルファおよびベータ受容体(IFNAR)ドメイン;
(b)前記IFNARドメインが結合していないときは1型インターフェロン活性を保持している、1型インターフェロン(IFN)ドメイン;
(c)免疫グロブリン(Ig)Fcドメイン;
(d)一端が前記IFNのN末端と融合し、他端が前記IFNARと融合している第1のリンカーであって、プロテアーゼ切断可能な、第1のリンカー;および
(e)一端が前記IFNのC末端と融合し、他端が前記Ig FcドメインのN末端と融合している、第2のリンカー
を含む、インターフェロンプロドラッグ。
[本発明1002]
前記Igが、IgG1またはIgG2などのIgGである、本発明1001の融合タンパク質。
[本発明1003]
前記インターフェロンプロドラッグが、前記1型IFNドメインのコピーを2つ含有する、本発明1001〜1002のいずれかの融合タンパク質。
[本発明1004]
前記インターフェロンプロドラッグが、前記1型IFNドメインのコピーを3つ以上含有する、本発明1001〜1003のいずれかの融合タンパク質。
[本発明1005]
前記第1のリンカーが、MMPl、MMP3、MMP9、MMP10、MMPl1、MMPl2、MMPl3、またはMMPl4などの1つまたは複数のマトリックスメタロプロテイナーゼにより切断可能である、本発明1001〜1004のいずれかの融合タンパク質。
[本発明1006]
前記第1のリンカーが、UPA、FAPa、および/またはカテプシンBにより切断可能である、本発明1001〜1005のいずれかの融合タンパク質。
[本発明1007]
前記リンカーがG4S-SUB1-G4S-SUB2-G4S-SUB3-G4Sであり、SUB1〜3は別個の酵素切断部位である、本発明1001〜1004のいずれかの融合タンパク質。
[本発明1008]
前記IFNARがIFNAR1である、本発明1001〜1007のいずれかの融合タンパク質。
[本発明1009]
前記IFNARがIFNAR2である、本発明1001〜1007のいずれかの融合タンパク質。
[本発明1010]
前記IFNが、IFN-α、IFN-β、IFN-κ、IFN-δ、IFN-ε、IFN-τ、IFN-ω、またはIFN-ζである、本発明1001〜1009のいずれかの融合タンパク質。
[本発明1011]
(a)インターフェロン(IFN)結合活性を保持している、インターフェロンアルファおよびベータ受容体(IFNAR)ドメイン;
(b)前記IFNARドメインが結合していないときは1型インターフェロン活性を保持している、1型インターフェロン(IFN)ドメイン;
(c)免疫グロブリン(Ig)Fcドメイン;
(d)一端が前記IFNのN末端と融合し、他端が前記IFNARと融合している第1のリンカーであって、プロテアーゼ切断可能な、第1のリンカー;
(e)一端が前記IFNのC末端と融合し、他端が前記Ig FcドメインのN末端と融合している、第2のリンカー;および
(f)前記IFNαドメインの5'末端の5'側に配置された、プロモーター
を含むインターフェロンプロドラッグをコードする、核酸コンストラクト。
[本発明1012]
前記Igが、IgG1またはIgG2などのIgGである、本発明1011の核酸コンストラクト。
[本発明1013]
前記インターフェロンプロドラッグが、前記1型IFNドメインのコピーを2つ含有する、本発明1011〜1012のいずれかの核酸コンストラクト。
[本発明1014]
前記インターフェロンプロドラッグが、前記1型IFNドメインのコピーを3つ以上含有する、本発明1011〜1013のいずれかの核酸コンストラクト。
[本発明1015]
前記第1のリンカーが、MMP1、MMP3、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13および/またはMMP14などのマトリックスメタロプロテイナーゼにより切断可能である、本発明1011〜1014のいずれかの核酸コンストラクト。
[本発明1016]
前記第1のリンカーが、UPA、FAPa、および/またはカテプシンBにより切断可能である、本発明1011〜1015のいずれかの核酸コンストラクト。
[本発明1017]
前記リンカーがG4S-SUB1-G4S-SUB2-G4S-SUB3-G4Sであり、SUB1〜3は別個の酵素切断部位である、本発明1011〜1014のいずれかの核酸コンストラクト。
[本発明1018]
前記IFNARがIFNAR1である、本発明1011〜1017のいずれかの核酸コンストラクト。
[本発明1019]
前記IFNARがIFNAR2である、本発明1011〜1017のいずれかの核酸コンストラクト。
[本発明1020]
前記IFNが、IFN-α、IFN-β、IFN-κ、IFN-δ、IFN-ε、IFN-τ、IFN-ω、またはIFN-ζである、本発明1011〜1019のいずれかの核酸コンストラクト。
[本発明1021]
本発明1001〜1010のいずれかのインターフェロンプロドラッグを発現する、組換え細胞。
[本発明1022]
本発明1011〜1020のいずれかの核酸コンストラクトを含む、組換え細胞。
[本発明1023]
本発明1021の細胞を培養することを含む、インターフェロンプロドラッグを発現させる方法。
[本発明1024]
本発明1022の細胞を培養することを含む、インターフェロンプロドラッグを発現させる方法。
[本発明1025]
(a)がん治療用薬剤の調製における;または
(b)がん治療のための、
本発明1001〜1010のいずれかのインターフェロンプロドラッグの使用。
[本発明1026]
本発明1001〜1010のいずれかのインターフェロンプロドラッグを、それを必要とする対象に投与することを含む、がんを治療する方法。
[本発明1027]
前記対象から採取されたがん細胞におけるプロテアーゼ発現を評価する工程をさらに含む、本発明1026の方法。
[本発明1028]
前記がん細胞が生検試料から採取される、本発明1027の方法。
[本発明1029]
前記がん細胞が循環腫瘍細胞である、本発明1027の方法。
[本発明1030]
前記がんが、肺がん、乳がん、脳がん、口腔がん、食道がん、頭頸部がん、皮膚がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、腎臓がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、結腸がん、睾丸がん、子宮がん、子宮頚がん、リンパ腫、または白血病である、本発明1026〜1029のいずれかの方法。
[本発明1031]
前記がんが、原発性、再発性、転移性、または多剤耐性である、本発明1026〜1030のいずれかの方法。
[本発明1032]
前記患者は以前に外科療法、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、または免疫療法を受けたことがある、本発明1026〜1030のいずれかの方法。
[本発明1033]
前記対象を第2のがん治療法により治療することをさらに含む、本発明1026〜1032のいずれかの方法。
[本発明1034]
前記第2のがん治療法が、外科療法、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、または免疫療法である、本発明1033の方法。
[本発明1035]
前記対象が、ヒトまたは非ヒト哺乳類である、本発明1026〜1034のいずれかの方法。
[本発明1036]
前記インターフェロンプロドラッグを2回以上投与することをさらに含む、本発明1026〜1035のいずれかの方法。
[本発明1037]
前記インターフェロンプロドラッグが、毎日、隔日、毎週、隔週、または毎月投与される、本発明1036の方法。
[本発明1038]
前記インターフェロンプロドラッグが全身投与される、本発明1026〜1037のいずれかの方法。
[本発明1039]
前記インターフェロンプロドラッグが、腫瘍内に、腫瘍に対し局部的に、または腫瘍に対し局所的に投与される、本発明1026〜1037のいずれかの方法。
[本発明1040]
治療が、腫瘍増殖の低速化、腫瘍増殖の停止、腫瘍サイズもしくは負荷の減少、未治療の対象と比較した場合の生存率の上昇、がん寛解の誘導、腫瘍細胞アポトーシスの誘導、または腫瘍壊死の誘導を、1つまたは複数含む、本発明1026〜1039のいずれかの方法。
本開示の他の目的、特徴、および利点は、下記の詳細な記述から明らかになる。しかし、詳細な記述および具体例は本開示の特定の態様を示しているが、当業者にとってはこの詳細な記述から本開示の精神および範囲内でさまざまな変更および改変が明白になるため、例示としてのみ提供されていることを理解されたい。
コンストラクトの重要な部分は、当然ながらマスキングドメインである。発明者らはそのために、非天然配列を選択するのでなく、1型インターフェロンの天然受容体を活用することにする。天然受容体の構造に基づくマスキングドメインを用いる利点としては、(a)1型インターフェロンの高親和性、および(b)配列に対する免疫応答の可能性がより低いこと、の両者が挙げられる。配列は以下のとおりである。
マウスIFNAR1-ECD:
Figure 2020528878
(SEQ ID NO:1)
マウスIFNAR2-ECD:
Figure 2020528878
(SEQ ID NO:2)
ヒトIFNAR1-ECD:
Figure 2020528878
(SEQ ID NO:3)
ヒトIFNAR2-ECD:
Figure 2020528878
(SEQ ID NO:4)
(表2)プロテアーゼ基質
Figure 2020528878
例示的なリンカーの形態は、GGGGS-基質-GGGGS(GGGGS=SEQ ID NO:13)である。他の2例は、(GGGGS)n-基質-(GGGGS)nとGn-基質-Gnである(nは任意の数であってよい)(GGGGS=SEQ ID NO:13)
インターフェロンアルファおよびベータ受容体(IFNAR)ベースのヒトIFN-プロドラッグ
ヒトIFNAR1またはIFNAR2のいずれかのECDがヒトインターフェロンアルファ2の活性を遮断できるかどうかを決定するために、発明者らはヒトIFNa2-Fc、R1-IFNa2-Fc、およびR2-IFNa2-Fcを精製した。R1-IFNa2-FcまたはR2-IFNa2-Fcのリンカーは、15アミノ酸の三重Gly-Gly-Gly-Gly-Serペプチド(SEQ ID NO:13)であり、これはドメイン間の相互作用を可能にするフレキシブルなリンカーである23。発明者らは、5つのNF-κBおよびAP-1結合部位に融合させたIFN-βミニマルプロモーターの制御下でSEAP(分泌型胎性アルカリホスファターゼ)レポーター遺伝子を発現する293T-Dual(商標)hSTING-R232レポーター細胞を用いた。293T-Dual(商標)hSTING-R232細胞は、ヒトIFN-αおよびIFN-βに対し応答性がある。SEAPレポーターアッセイのために、ヒトIFNa2-Fc、R1-IFNa2-Fc、およびR2-IFNa2-Fcを50 nMから10倍系列希釈した。ヒトIFNa2-Fcと比べて、R1-IFNa2-Fcは10倍のIFN活性の減少を示し、一方R2-IFNa2-Fcは100倍のIFN活性の減少を示した(図7A)。したがって、IFNAR2のほうが、ヒトIFNの良好な遮断試薬である。

Claims (40)

  1. (a)インターフェロン(IFN)結合活性を保持している、インターフェロンアルファおよびベータ受容体(IFNAR)ドメイン;
    (b)前記IFNARドメインが結合していないときは1型インターフェロン活性を保持している、1型インターフェロン(IFN)ドメイン;
    (c)免疫グロブリン(Ig)Fcドメイン;
    (d)一端が前記IFNのN末端と融合し、他端が前記IFNARと融合している第1のリンカーであって、プロテアーゼ切断可能な、第1のリンカー;および
    (e)一端が前記IFNのC末端と融合し、他端が前記Ig FcドメインのN末端と融合している、第2のリンカー
    を含む、インターフェロンプロドラッグ。
  2. 前記Igが、IgG1またはIgG2などのIgGである、請求項1記載の融合タンパク質。
  3. 前記インターフェロンプロドラッグが、前記1型IFNドメインのコピーを2つ含有する、請求項1〜2のいずれか一項記載の融合タンパク質。
  4. 前記インターフェロンプロドラッグが、前記1型IFNドメインのコピーを3つ以上含有する、請求項1〜3のいずれか一項記載の融合タンパク質。
  5. 前記第1のリンカーが、MMPl、MMP3、MMP9、MMP10、MMPl1、MMPl2、MMPl3、またはMMPl4などの1つまたは複数のマトリックスメタロプロテイナーゼにより切断可能である、請求項1〜4のいずれか一項記載の融合タンパク質。
  6. 前記第1のリンカーが、UPA、FAPa、および/またはカテプシンBにより切断可能である、請求項1〜5のいずれか一項記載の融合タンパク質。
  7. 前記リンカーがG4S-SUB1-G4S-SUB2-G4S-SUB3-G4Sであり、SUB1〜3は別個の酵素切断部位である、請求項1〜4のいずれか一項記載の融合タンパク質。
  8. 前記IFNARがIFNAR1である、請求項1〜7のいずれか一項記載の融合タンパク質。
  9. 前記IFNARがIFNAR2である、請求項1〜7のいずれか一項記載の融合タンパク質。
  10. 前記IFNが、IFN-α、IFN-β、IFN-κ、IFN-δ、IFN-ε、IFN-τ、IFN-ω、またはIFN-ζである、請求項1〜9のいずれか一項記載の融合タンパク質。
  11. (a)インターフェロン(IFN)結合活性を保持している、インターフェロンアルファおよびベータ受容体(IFNAR)ドメイン;
    (b)前記IFNARドメインが結合していないときは1型インターフェロン活性を保持している、1型インターフェロン(IFN)ドメイン;
    (c)免疫グロブリン(Ig)Fcドメイン;
    (d)一端が前記IFNのN末端と融合し、他端が前記IFNARと融合している第1のリンカーであって、プロテアーゼ切断可能な、第1のリンカー;
    (e)一端が前記IFNのC末端と融合し、他端が前記Ig FcドメインのN末端と融合している、第2のリンカー;および
    (f)前記IFNαドメインの5'末端の5'側に配置された、プロモーター
    を含むインターフェロンプロドラッグをコードする、核酸コンストラクト。
  12. 前記Igが、IgG1またはIgG2などのIgGである、請求項11記載の核酸コンストラクト。
  13. 前記インターフェロンプロドラッグが、前記1型IFNドメインのコピーを2つ含有する、請求項11〜12のいずれか一項記載の核酸コンストラクト。
  14. 前記インターフェロンプロドラッグが、前記1型IFNドメインのコピーを3つ以上含有する、請求項11〜13のいずれか一項記載の核酸コンストラクト。
  15. 前記第1のリンカーが、MMP1、MMP3、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13および/またはMMP14などのマトリックスメタロプロテイナーゼにより切断可能である、請求項11〜14のいずれか一項記載の核酸コンストラクト。
  16. 前記第1のリンカーが、UPA、FAPa、および/またはカテプシンBにより切断可能である、請求項11〜15のいずれか一項記載の核酸コンストラクト。
  17. 前記リンカーがG4S-SUB1-G4S-SUB2-G4S-SUB3-G4Sであり、SUB1〜3は別個の酵素切断部位である、請求項11〜14のいずれか一項記載の核酸コンストラクト。
  18. 前記IFNARがIFNAR1である、請求項11〜17のいずれか一項記載の核酸コンストラクト。
  19. 前記IFNARがIFNAR2である、請求項11〜17のいずれか一項記載の核酸コンストラクト。
  20. 前記IFNが、IFN-α、IFN-β、IFN-κ、IFN-δ、IFN-ε、IFN-τ、IFN-ω、またはIFN-ζである、請求項11〜19のいずれか一項記載の核酸コンストラクト。
  21. 請求項1〜10のいずれか一項記載のインターフェロンプロドラッグを発現する、組換え細胞。
  22. 請求項11〜20のいずれか一項記載の核酸コンストラクトを含む、組換え細胞。
  23. 請求項21記載の細胞を培養することを含む、インターフェロンプロドラッグを発現させる方法。
  24. 請求項22記載の細胞を培養することを含む、インターフェロンプロドラッグを発現させる方法。
  25. (a)がん治療用薬剤の調製における;または
    (b)がん治療のための、
    請求項1〜10のいずれか一項記載のインターフェロンプロドラッグの使用。
  26. 請求項1〜10のいずれか一項記載のインターフェロンプロドラッグを、それを必要とする対象に投与することを含む、がんを治療する方法。
  27. 前記対象から採取されたがん細胞におけるプロテアーゼ発現を評価する工程をさらに含む、請求項26記載の方法。
  28. 前記がん細胞が生検試料から採取される、請求項27記載の方法。
  29. 前記がん細胞が循環腫瘍細胞である、請求項27記載の方法。
  30. 前記がんが、肺がん、乳がん、脳がん、口腔がん、食道がん、頭頸部がん、皮膚がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、腎臓がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、結腸がん、睾丸がん、子宮がん、子宮頚がん、リンパ腫、または白血病である、請求項26〜29のいずれか一項記載の方法。
  31. 前記がんが、原発性、再発性、転移性、または多剤耐性である、請求項26〜30のいずれか一項記載の方法。
  32. 前記患者は以前に外科療法、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、または免疫療法を受けたことがある、請求項26〜30のいずれか一項記載の方法。
  33. 前記対象を第2のがん治療法により治療することをさらに含む、請求項26〜32のいずれか一項記載の方法。
  34. 前記第2のがん治療法が、外科療法、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、または免疫療法である、請求項33記載の方法。
  35. 前記対象が、ヒトまたは非ヒト哺乳類である、請求項26〜34のいずれか一項記載の方法。
  36. 前記インターフェロンプロドラッグを2回以上投与することをさらに含む、請求項26〜35のいずれか一項記載の方法。
  37. 前記インターフェロンプロドラッグが、毎日、隔日、毎週、隔週、または毎月投与される、請求項36記載の方法。
  38. 前記インターフェロンプロドラッグが全身投与される、請求項26〜37のいずれか一項記載の方法。
  39. 前記インターフェロンプロドラッグが、腫瘍内に、腫瘍に対し局部的に、または腫瘍に対し局所的に投与される、請求項26〜37のいずれか一項記載の方法。
  40. 治療が、腫瘍増殖の低速化、腫瘍増殖の停止、腫瘍サイズもしくは負荷の減少、未治療の対象と比較した場合の生存率の上昇、がん寛解の誘導、腫瘍細胞アポトーシスの誘導、または腫瘍壊死の誘導を、1つまたは複数含む、請求項26〜39のいずれか一項記載の方法。
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