次に、全体を通して同様の要素を示すために同様の参照番号を本明細書で使用する図面を参照し、建物貫通のためのミリ波の再生成及び再伝送の様々な表示及び実施形態並びにそれに関連する様々な実施形態を図示し説明し、他のあり得る実施形態についても説明する。図面は必ずしも縮尺通りに描かれておらず、一部の例では専ら例示目的で図面を所々で誇張し且つ/又は単純化している。あり得る実施形態の以下の例に基づく多くのあり得る応用及び改変を当業者なら理解されよう。
無線電気通信に関する1つの問題は、高周波数のRF波が家及び事務所の窓及び壁を貫通できないことである。家又はオフィスビル内の省エネのために窓が任意の赤外線(IR)遮蔽を含む場合、遮蔽を介して伝送される信号の損失は概して40dB又は50dBに達する。従って本明細書に記載のミリ波システムは、ガラス、窓、又は建物に穴を開けてそれらを通る物理的入口を設ける必要なしに、かかる光学的な及び高周波数の電波のトンネリングを可能にする能力を提供することは、無線通信技術に大きな利点をもたらす。これはガラス又は建物を貫通することに問題を抱える任意の周波数において行われ得る。ガラスは、その絶えず改善されている日射上の及び熱的な性能により最も人気があり汎用性があるものの1つである。この性能を実現するための1つのやり方は、受動及び日射調整低放射率コーティングを使用することによる。この低放射率ガラス材料はミリ波スペクトル伝送について多大な損失を発生させ、かかるガラスを介したミリ波伝送について非常に大きな問題を起こす。以下に記載のシステムは、家又は建物の内外に信号を伝送できるようにするやり方で、ガラス又は建物を貫通することに問題を抱える周波数を処理できるようにする能力をもたらす。
ミリ波のシグナリングは、FCCがローカルマルチポイント配信サービス(LMDS)スペクトルの1300MHzを米国中の各基本通商地域内で利用できるようにする帯域計画を考案したとき開発された。この計画はBTA(基本通商地域)ごと(各BTA内の「Aブロック」及び「Bブロック」)に2つのLMDS免許を割り当てた。Aブロック免許は全帯域幅の1150MHzを含み、Bブロック免許は全帯域幅の150MHzで構成された。免許を所有していたTeligentは、屋上から周囲の中小規模企業に高速ブロードバンドを送信可能な固定無線ポイントツーマルチポイント技術向けのシステムを開発した。しかし、そのシステム並びにWinstar及びNextLinkが提供した他のシステムは成功せず、LMDS免許の多くがFCCの手元に返ってきた。それらの免許及び関係するスペクトルは5Gの試験及びサービスに有用だと考えられている。
次に図1Aを参照し、建物貫通伝送システム102の全体的なブロック図を示す。建物貫通伝送システム102は、窓、レンガ、及びコンクリートの壁等のRF及び光学的な障害による高い建物貫通損失を克服するために、5G固定ミリ波の展開を使用する。建物貫通伝送システム102は、ギガバイトイーサネットサービスを届けるために5Gミリ波信号を使用することができる企業及び住居の建物の数を大幅に増やす。このシステムは、窓又は壁に如何なる穴も開ける必要なしに、又は何らかの種類の信号透過性の入口を作成する必要なしに、窓又は壁106を通る光トンネル又はRFトンネルを提供する。記載されたシステムを使用して方向電波を生成することは、低反射ガラス又は壁をトンネリングして通るための指向性ビームの生成を可能にする。このシステムは、内部トランシーバと外部トランシーバとの間のリンクバジェットが満たされることを可能にする。このシステムは、消費者が設置した装置を使用してギガビットイーサネットを届けるためにミリ波信号を使用することができる建物の数を大幅に増やす。
建物貫通伝送システム102は、窓又は壁106の外部に位置する外部中継送信機104を概して含む。中継送信機104は、2.5GHz帯、3.5GHz帯、5GHz帯、24GHz帯、28GHz帯(A1、A2、B1、及びB2)、39GHz帯、60GHz帯、71GHz帯、及び81GHz帯を含む幾つかの周波数を送受信する。3.5GHz帯はCBRS(市民帯ラジオサービス)であり、60GHz帯はV帯域であり、71GHz及び81GHzはE帯域である。中継送信機104は磁気共鳴結合又は誘導結合を使用してパワーを与えられ、そのため外側のユニットは外部電源を必要としない。中継器104は、建物の内部に位置するトランシーバ108に窓又は壁106を介して受信信号を伝送する。トランシーバ108は、イーサネット及び/又はパワー接続を提供するためのアンテナ110を含む。建物貫通伝送システム102は、窓又は壁等の建物構造をトンネリングして通る1ギガビット/秒のスループットのトラフィクを提供することができる。トランシーバ108はフェムトセル接続を提供するポート112を含み得るが、概してアンテナ110を使用して屋内でWi−Fiを伝送する。或いは、イーサネット又はパワー接続がトランシーバ108に配線接続されても良い。建物貫通伝送システム102は構造の壁又は窓上の任意の箇所に配置され得る。ミリ波信号が様々な種類の構造を貫通できるようにするために、建物貫通伝送システム102は様々な種類の壁及び窓と共に機能するように設計される。中継器104及びトランシーバ108は、降水、暑い/寒い天気、及び高い/低い湿度を含む最も過酷な環境に耐えるために金属/プラスチックの設計で構築される。
トランシーバ108は、ギガバイトイーサネットポート、パワー出力、少なくとも1つのUSB2.0ポート、及びデュアルフラッシュイメージサポートを含む。建物貫通伝送システム102は、200フィート(60m)までの距離を提供する。このシステムは24V/M受動ギガバイトPoEを必要とし、一実施形態では磁気共鳴無線充電を使用してパワーを与えられ得る20Wの最大パワー消費量を有する。このシステムはチャネル帯域幅60GHzの2GHzを提供する。
図1B及び図1Cは、窓又は壁106の外側に位置するトランシーバ104と窓又は壁106の内側に位置するトランシーバ108との間の双方向通信を示す。遠隔基地局送信機109が外部トランシーバ104に無線信号を伝送する。外部トランシーバ104から内部トランシーバ108への通信伝送が通信リンク114上で生じる。次いで、内部に伝送された信号が内部ルータ115からビーム形成又はWiFi 113を使用して顧客構内機器(CPE)111に伝送され得る。図1Cに示すように、(モバイル装置又はモノのインターネット装置等の)内部装置117が内部ルータ115に信号を伝送する。内部ルータ115は内部トランシーバ108に信号を与える。窓又は壁106の内側から外側への伝送は通信リンク116上であるトランシーバ108からトランシーバ104に対してである。次いで、外部トランシーバ104が外部基地局109に信号を伝送する。従ってこのシステムは、以下でより完全に説明するようにRF、光、又は他の種類の通信技術を利用し得る双方向通信を可能にする。
次に図1Dを参照し、図1A〜図1Cに関して論じた建物貫通システムのネットワークの展開を示す。プロバイダネットワーク130が、ファイバPoP(存在点)キャビネット132を介してローカルネットワークとインタフェースする。キャビネット132は、アクセスポイント136までのファイバリンク134を有する。アクセスポイント136のそれぞれは、本明細書で記載する任意の数の通信周波数を使用して無線通信リンク上で例えばローカルエリア内の照明柱上に位置する他のアクセスポイント136と無線で通信する。プロバイダネットワーク130と様々な構造の内部に位置する装置との間で情報を双方向に伝送することができるように、アクセスポイント136は本明細書に記載の建物貫通システムを含むトランシーバシステム138と通信し、信号は外部トランシーバに無線で伝送され、次いで事業所又は家の内部に伝送される。このようにして、構造の内部への信号の貫通によって生じる損失により通常なら構造の内部まで貫通しない無線通信を使用し、ネットワークプロバイダ130と構造内に位置するあらゆる種類の装置との間でデータを提供することができる。
次に図2を参照し、ミリ波伝送システム202を通信に使用することを示す。基地局204が、様々な受信機210、212に伝送するためのミリ波伝送206、208を生成する。基地局204から受信機210に直接伝わるミリ波伝送206は多くの環境妨害なしに容易に受信することができる。基地局204から建物214の内側に位置する受信機212へのミリ波伝送208は著しい妨害問題を有する。ミリ波伝送208は建物204を容易には貫通しない。透過的な窓又は建物の壁を通過するとき著しい信号損失に遭遇する。28GHz以上の周波数は建物の壁及び窓のガラスを貫通せず、それでも通信トラフィックの85%が建物内から生じる。
ミリ波スペクトル伝送が非常に遠くまで伝搬せず、屋内に貫通する能力を欠くことに鑑みて、これらの周波数は約1マイルの非常に短距離の応用に使用される。見込みとして、2.4GHzでは低パワーのWi−Fi(登録商標)が3000平方フィート未満の家の殆どを対象範囲に含み得るが、5GHzのWi−Fi信号は2階建ての家の約60%しか対象範囲に含まず、それはより高い周波数範囲では信号がそれほど遠くまで伝わらないからである。5Gの応用ではパワーが一層強いが、それでもなおより高い周波数はより高い損失並びに空間及び他の媒体を通した伝搬を有する。
ミリ波信号が建物を貫通するときに生じる損失はデータレートをほぼゼロにする。例えば基地局から透明ガラスを介して家や建物の内部にダウンリンク上で伝送する場合、最大データレートは9.93Gb/秒である。色付ガラスを介して伝送する場合データレートは2.2Mb/秒である。レンガを介して伝送する場合データレートは14Mb/秒であり、コンクリートを介して伝送する場合はデータレートが0.018bpsまで落ちる。同様に建物の内側から基地局に向けてアップリンク上で伝送する場合、最大データレートは透明ガラスを介して1.57Gb/秒であり、色付ガラスを介して0.37Mb/秒である。アップリンク上で伝送されている信号はレンガを介して伝送する場合5.5Mb/秒のデータレートを有し、コンクリートを介して伝送する場合は0.0075ビット/秒のデータレートを有する。古い建物との間で又は新しい建物との間で伝送する場合にもダウンリンク及びアップリンク上で差異が生じる。古い建物は、標準的なガラスを30%、コンクリートの壁を70%含む合成モデルを用いた建物として定義する。新しい建物は、赤外反射ガラス(IRRガラス)を70%、コンクリートの壁を30%含む合成モデルとして定義する。建物の内側へのダウンリンク上での基地局の伝送は古い建物では32Mb/秒であり、新しい建物では0.32Mb/秒である。同様に、家/建物の内側から基地局へのアップリンク伝送は古い建物では2.56Mb/秒であり、新しい建物では25.6kb/秒である。
これらの欠点にも関わらず、帯域幅の需要の増加に対処するためにRFサービスプロバイダはより高い周波数レートの搬送周波数に益々移っていく。具体的には、28GHzはローカルマルチポイント配信サービス(LMDS)を提供するための新興の周波数帯である。28GHz及び39GHzの周波数帯は、ビーム形成及びビームステアリングを用いた加入者の敷地への5Gネットワークをサポートするための小セル展開のためにFCCによって予期されている。建物の材料又は窓を通過するときの非常に大きな貫通損失によって引き起こされる不利点に加え、これらの高い周波数帯域幅には幾つかの利点がある。その利点は、より高い周波数レート、より正確なビーム形成能力、及びミリ波周波数を提供するコンポーネントのより小さい設置面積内でのより効果的なビームステアリングを含む。
図3Aは、窓304上に搭載した光ブリッジ302を使用して建物の内側にミリ波信号を伝送するための1つのやり方を示す。光ブリッジ302は、窓304の外側に含まれる第1の部分306と窓304の内側に含まれる第2の部分308とを含む。第1の部分306は、窓304の外側に搭載される28GHzトランシーバ310を含む。この28GHzトランシーバ310は、例えば図1に関して示すような基地局104から伝送されているミリ波伝送を受信する。送受信される信号は、受信機光サブアセンブリ(ROSA)/送信光サブアセンブリ(TOSA)312を使用してトランシーバ310との間で伝送する。受信機光アセンブリは光ファイバシステム内で光信号を受信するのに使用されるコンポーネントである。同様に、トランシーバ光アセンブリは光ファイバシステム内で光信号を伝送するのに使用されるコンポーネントである。ROSA/TOSAコンポーネント312は、窓304の内側に位置するROSA/TOSAコンポーネント314に窓304を介して光信号を送受信する。信号は建物内での伝送のためにROSA/TOSA314からWi−Fi送信機316に転送される。
図3Bは、窓又は壁330間の透過を助長するために、色付窓又は壁330を容易には貫通しない受信周波数が受信信号をダウンコンバートする更なる実施形態を示す。建物の外部では、トランシーバ334のアンテナ332において窓又は壁を容易には貫通しない周波数で信号が受信される。トランシーバ334は、窓/壁330をより容易に貫通する周波数帯にその信号をダウンコンバートするためにその信号をダウン/アップコンバータ336に転送する。周波数がダウンコンバートされた信号を別のトランシーバ338がコンバータ336から取得し、それを壁又は窓330を介して伝送する。建物の内部に位置するトランシーバ340がその伝送信号をダウンコンバートされた周波数で受信する。建物の内部で伝送するためのレベルに信号を変換するために、受信信号をアップ/ダウンコンバータ342に送る。多くの事例でそのレベルはWi−Fi帯域であり得る。建物内での伝送のために、アップコンバートした信号をルータ344に転送する。建物内に位置する装置から受信される発信信号は、トランシーバ334から建物の外側に信号を伝送するために逆のやり方で伝送する。
次に図4を参照し、建物の窓又は壁を介してミリ波伝送を伝送するためのコンポーネントのより詳細な説明図を示す。トランシーバ210は、基地局204からダウン/アップリンク304上で伝送されるミリ波伝送を受信するための任意選択的なアンテナ利得要素302を含む。ダウン/アップリンク404は28GHzのビーム伝送を含む。但し、他の周波数の伝送も利用することができる。基地局204からダウン/アップリンク304上で情報を受信するためにRF受信機406を使用する。同様に、基地局204にダウン/アップリンク404上で情報を伝送するためにRF送信機408を使用する。任意の受信信号を復調するために、受信信号を復調器410に与える。復調信号をグルーマ412に与え、グルーマ412は光送信コンポーネントによる伝送に適した構成に信号を配置する。異なる変調を(例えば高次QAMからOOK(オンオフキーイング)に)翻訳する場合、全てのビットが適切に翻訳され引き続き低BERを与えることを確実にするために幾らかのグルーミング(又は信号調節)を必要とするシグナリング変換がある。本システムは、VCSELを用いた伝送が窓ガラスを通過することを可能にするために、高いQAMレートにおけるRFからOOKの生ビットレートへの翻訳を行う。VCSELはOOKでしか機能せず、従ってグルーマ412を用いた翻訳が必要である。受信信号を単に28GHzから直接5.8GHzに(5.8GHzは壁及びガラスを通過するので)ダウンコンバートした場合、低次変調に翻訳する厄介な問題を心配する必要がない。問題は信号を28GHzから5.8GHzにダウンコンバートすることが高価なコンポーネントを必要とすることである。グルーマ412は、より高価なコンポーネントなしにガラス又は壁を介して伝送するための周波数に28GHzの受信信号を翻訳することを完了する。
伝送信号は、伝送するための信号を増幅するための増幅器414を通される。信号を光学的に伝送するために増幅信号をVCSEL416に与える。VCSEL416は、レーザビームのオミッション(omission)が上面から垂直な一種の半導体レーザダイオードである面発光レーザである。好ましい実施形態ではVCSEL416が、約780nmの波長、4Gb/秒の変調速度、及び2.2mW(dBmでは3.4)の光出力パワーを有するFinisar製のVCSELを含む。代替的実施形態では、窓404を横断して光信号を伝送するためのコンポーネントがLED(発光ダイオード)又はEEL(端面発光レーザ)を含み得る。色付等の窓の様々な特性に基づき、様々なレーザが様々な周波数での様々な光の再伝送を可能にする。
VCSEL416は、VCSEL416から窓404の反対側に位置するVCSEL418に伝送するための光信号を生成するための送信光アセンブリ(TOSA)を含む。VCSEL416及び418は、窓404を横断して伝送するための光信号を生成するためのレーザ光源を含む。一実施形態ではVCSELが、1Gb/秒での実行時に4Gb/秒の最大変調速度を有する780nmの光信号、及び3mW(5dBm)の光出力パワーを与えるFinisar製のVCSELを含む。TOSAは、増幅器414からの電気信号を光信号伝送に変換するためのレーザ装置又はLED装置を含む。外側のVCSEL416から内側のVCSEL418及び関連する受信機光アセンブリ(ROSA)への伝送。
光学焦点調整回路417を使用して窓404を介して光信号を伝送する。光学焦点調整回路417については図6に関して送信機側及び受信機側に基づいてより完全に説明する。VCSEL416とVCSEL418との間の光リンク428は、VCSEL416とVCSEL418との間で情報を引き続き伝送していながら許容され得る損失を定める、関連する光リンクバジェットを有する。VCSELは約5dBmの出力パワーを有する。VCSEL内の受信機における検出器は約−12dBmで信号を検出することができる。780nmの波長でガラスを通過する光信号に関連するガラス損失は7.21dBである。この伝送に関連する結合損失及びレンズ利得は約0.1dBである。3.5mmのレンズ変位によって引き起こされる最大変位損失は6.8dBである。従って、VCSEL出力パワーから検出器の感度、ガラス損失、結合損失及びレンズ利得、並びに最大変位損失を減算することに基づき、合計リンクマージンは2.88dBに等しい。2.88dBのリンクマージンは予想外のレンズの損失や予想外の出力のばらつき等の追加の損失をもたらす。
レンズの変位又はずれは、システム内のリンク損失のかなりの部分を占め得る。図4に示すように、許容可能なずれの範囲402は検出器が受信するパワースペクトルの中心から約−6.5mmから+6.5mmに及ぶ。位置合わせの損失404は、ずれが±6.5mmの間を進むとき0.6dBから6.8dBまでの領域に及ぶ。406で図示するように、ずれの最大許容損失は9.4dBである。
窓204の内側のVCSEL318は、TOSAを使用して窓204の外側に位置するVCSEL416内のROSAに0.5Gbpsのデータレートで窓を介して光信号を伝送する。OOKの生ビットレートから高QAMレートにおけるRFに信号を処理してVCSELによる信号受信後のRF伝送を可能にするために、受信される光信号をデグルーマコンポーネント32に与える。デグルームした信号は変調器422内で変調する。RF送信機408を使用し、変調した信号をアップリンク304上で伝送する。トランシーバ310は電源入力424によってパワーを与えられ、窓の内側のコンポーネントも同様に電源入力426によってパワーを与えられる。信号はWi−Fi送信機328を使用して建物内に提供され、Wi−Fi送信機428はVCSEL418によって受信される光信号を受信するために接続され、窓304を介した伝送のためにVCSEL418に信号を与えるために接続される。このWi−Fi送信機は802.11伝送プロトコルを使用する。
次に図6を参照し、トランシーバ310のより詳細なブロック図を示す。受信機部分602は、ダウンリンク606上で基地局から伝送されるRF信号を受信するためのRF受信機604を含む。受信機604は、実数部分BBI608及び虚数部分BBQ610を有する出力信号を生成する。RF受信機604は、受信信号及び位相同期ループ/電圧制御発振器605からの入力に応じて実数信号608及び虚数信号610を生成する。位相同期ループ/電圧制御発振器605は、基準発振器607から与えられる基準発振器信号及び発振器609から与えられる電圧制御発振器信号に応じてRF受信機604に入力を与える。デジタル信号に変換するために、実数信号608及び虚数信号610をアナログ−デジタル変換器612に与える。アナログ−デジタル変換器612は、クロック生成回路616から与えられる関連するクロック入力614によってクロック制御される。クロック生成回路616は基準発振器607から入力を更に受信する。実数デジタル信号618及び虚数デジタル信号620がデジタルダウンコンバータ622に入力される。デジタル信号をより低い周波数にダウンコンバートし、窓ガラスを横断して伝送するための光送信回路(VCSEL)へのビットストリーム624として出力する。
送信機部分624は光回路からデジタルビットストリーム626を受信し、そのビットストリームをデジタルアップコンバータ628の実数部分及び虚数部分に与えて、デジタルデータを伝送用により高い周波数に変換する。アップコンバートしたデジタル信号の実数部分及び虚数部分を波高因子低減プロセッサ630に与える。一部の信号(とりわけOFDMベースのシステム)は、パワー増幅器(PA)の効率に悪影響を及ぼす高いピーク対平均パワー比(PAR)を有する。プロセッサが実装する波高因子低減(CFR)方式はPARを下げるのを助け、多くのネットワーク(CDMA及びOFDM)で使用されている。しかし、主にCDMA信号向けに開発されたCFR方式は、OFDM内で使用される場合に(厳しい誤りベクトル度(EVM)の要件を所与として)芳しくない性能を有する。FPGA上の良く設計されたCFRアルゴリズムにより、低レイテンシ、出力信号のPARを著しく下げること(PAの効率を改善する)ができる高性能、及びコストの削減を実現することができる。
波高因子低減プロセッサ630からデジタル−アナログ変換器632に実数信号及び虚数信号を与える。デジタル−アナログ変換器632は、実数デジタル信号及び虚数デジタル信号を実数アナログ信号BBI634及び虚数アナログ信号BBQ636に変換する。これらの実数アナログ信号及び虚数アナログ信号はRF送信機638への入力である。RF送信機638は、位相同期ループ/電圧制御発振器604からの入力に応じて実数信号634及び虚数信号636を処理し、アップリンク640上で伝送するためのRF信号を生成してミリ波及び伝送を発生させる。
次に図7を参照し、窓304の両端の光送信インタフェースに関連する光学焦点調整回路317を示す。光学焦点調整回路417は窓304のそれぞれの側に位置するVCSELと共に含まれ、送信部分602及び受信機部分604を含む。本システムは窓を横断する双方向通信を提供するので、送信部分602及び受信機部分604が窓304のそれぞれの側に含まれる。送信部分602は、一実施形態では780nmの光信号を4Gb/秒で伝送し、3.42dBmのパワー出力を有するFinisarによって提供されるVCSEL606を含む。VCSEL606が生成した光信号は7.5mmの焦点距離を有するアクロマティック(acromatic)接合レンズ608に与えられ、アクロマティック接合レンズ608はVCSEL606が生成した光信号を小口径内に平行化する。窓304を横断して平行ビーム610を伝送する。平行ビームが窓304を出て、受信機部分604上で最初に25mmの焦点距離を有する両凸レンズ612を通過する。両凸レンズ612はビームコラム610を半球レンズ614上に集束させ、半球レンズ614は光検出器616の半導体開口部上に光信号を集束させる。一実施形態では、検出器616が10mmの開口直径及び12dBmの検出器感度を有する。
或る特定の実施形態ではVCSEL606間の伝送及び10へのRFトランシーバとの間の伝送が、2016年11月21日に出願され、SYSTEM AND METHOD FOR COMMUNICATION USING ORBITAL ANGULAR MOMENTUM WITH MULTIPLE LAYER OVERLAY MODULATIONと題された米国特許出願第15/357,808号明細書の中で記載されているような直交関数信号伝送技法を利用することができる。米国特許出願第15/357,808号明細書は参照によりその全体を本明細書に援用する。但し他の様々なデータ伝送技法も使用できることを理解すべきである。
図7は、通信システムのスペクトル効率を高めるための2つのやり方を示す。概して、通信システムのスペクトル効率702を高めるための2つのやり方が基本的にある。この増大は、変調方式における信号処理技法704によって又は多元接続技法を使用してもたらすことができる。加えてスペクトル効率は、電磁伝搬内で新たな固有チャネル706を作成することによって高めることができる。これらの2つの技法は互いに完全に独立しており、或るクラスからの革新を第2のクラスからの革新に追加することができる。従って、この技法の組合せは更なる革新を取り入れた。
スペクトル効率702は通信システムのビジネスモデルにとって重要な要素である。スペクトル効率はビット/秒/hz単位で定められ、スペクトル効率が高ければ高いほどビジネスモデルが良くなる。それはスペクトル効率が通信システム内のより大勢の利用者数、より高いスループット、より高い品質、又はそのそれぞれの一部につながり得るからである。
信号処理技法又は多元接続技法を使用する技法について。これらの技法はTDMA、FDMA、CDMA、EVDO、GSM(登録商標)、WCDMA(登録商標)、HSPA、並びに4G WIMAX及びLTE(登録商標)内で使用される最新のOFDM技法等の革新を含む。これらの技法の殆ど全てがQAM変調と呼ばれる正弦固有関数に基づく何十年も前の変調技法を使用する。新たな固有チャネル706の作成を含む技法の第2のクラス内では、革新が空間及び偏波ダイバーシティを含むダイバーシティ技法、並びに相関のない無線経路が独立した固有チャネル及び電磁波の伝搬を作り出す多入力/多出力(MIMO)を含む。
次に図8を参照し、この通信システム構成は2つの技法を導入する。信号処理技法804カテゴリから1つ、及び新たな固有チャネル806の作成カテゴリから1つであり、これらは互いに完全に独立している。それらの組合せは、ツイストペア及びケーブルから光ファイバまで、自由空間光通信まで、セルラ、バックホール、及び衛星に使用されるRFまでのエンドツーエンド通信システムのアクセス部分の中断を独特のやり方で提供する。第1の技法は、非正弦関数を使用してQAM変調をアップグレードするために新たな直交信号を用いる新たな信号処理技法を使用するものである。この特定の実施形態を量子レベルオーバーレイ(QLO)902と呼ぶ。第2の実施形態は、軌道角運動量(QAM)804と呼ばれる電磁波又は光子の特性を用いた新たな電磁波面を応用するものである。量子レベルオーバーレイ技法902及び軌道角運動量の適用904のそれぞれを適用することは、それらの組合せにおいて通信システム内で何オーダーか高いスペクトル効率906を独特にもたらす。
量子レベルオーバーレイ技法902に関して、(シンボル内で互いの上に)オーバーラップされるときシステムのスペクトル効率を著しく高める新たな固有関数が導入される。量子レベルオーバーレイ技法302は、時間帯域幅積を低減し、それによりチャネルのスペクトル効率を高める専用の直交信号を量子力学から借用する。各直交信号はシンボル内でオーバーレイされ、独立したチャネルとして働く。これらの独立したチャネルは本技法を既存の変調技法と差別化する。
軌道角運動量の適用904に関して、この実施形態は軌道角運動量(OAM)を搬送する螺旋波面を有するねじれた電磁波又は光ビームを導入する。様々なOAMを搬送する波/ビームは空間領域内で互いに直交することができ、通信リンク内で波/ビームを効率的に多重化及び多重分離することを可能にする。OAMビームは、複数の独立したデータ搬送チャネルを特別に多重化するその潜在的能力のために通信において興味深い。
量子レベルオーバーレイ技法902と軌道角運動量の適用904との組合せに関して、OAM多重化技法は波長分割多重や偏波分割多重等の他の電磁技法に適合するので、この組合せは独特である。このことはシステム性能を更に高める可能性を示唆する。これらの技法を大容量データ伝送内で一緒に適用することは、ツイストペア及びケーブルから光ファイバまで、自由空間光通信まで、セルラ/バックホール及び衛星に使用されるRFまでのエンドツーエンド通信システムのアクセス部分を中断する。
これらの技法のそれぞれは互いに独立に適用できるが、組み合わせることはスペクトル効率を高めるだけではなく、距離又は信号対雑音比を犠牲にすることなしにスペクトル効率を高める独特の機会を与える。
シャノン容量方程式を使用してスペクトル効率が高まるかどうかの判定を行うことができる。スペクトル効率が高まることは数学的に一層多くの帯域幅につながり得る。帯域幅は値を有するので、スペクトル効率の利得は、より高いスペクトル効率を使用することのビジネスインパクトの経済的利得へと容易に変換することができる。更に、洗練された順方向誤り訂正(FEC)技法を使用する場合、最終的な影響はより高い品質だが幾らかの帯域幅が犠牲になる。しかし、より高いスペクトル効率(又はより多くの仮想帯域幅)を実現できる場合は獲得した帯域幅の一部をFECのために犠牲にすることができ、従ってより高いスペクトル効率はより高い品質にもつながり得る。
電気通信事業者及び供給業者はスペクトル効率を高めることに関心がある。しかしこの増加に関する問題はコストである。プロトコルの様々な層における各技法には異なる値札が関連付けられている。低層の技法の上に他の技法を重ねることができ、それによりスペクトル効率を更に高めることができるので、物理層において実装される技法が最も大きい影響を有する。技法の一部に関する値札は、他の関連コストを考慮するとき劇的であり得る。例えば多入力多出力(MIMO)技法は追加の経路を作り出すために追加のアンテナを使用し、各RF経路は独立したチャネルとして扱うことができ、従って総計のスペクトル効率を高める。MIMOのシナリオでは、事業者は構造上の問題(アンテナの設置等)に対処する他の関連するソフトコストを有する。構造上の活動は時間がかかり、より高いスペクトル効率を実現することは経済的損失にもつながり得る大幅な遅延を伴うので、これらの技法は多大なコストを有するだけではなく大きなタイミングの問題も有する。
量子レベルオーバーレイ技法902には、新たなアンテナを必要とすることなしに独立したチャネルをシンボル内に作り出すという利点がある。この利点は他の技法と比較して多大なコスト及び時間の利益を有する。更に、量子レイヤオーバーレイ技法902は物理層の技法であり、つまりQLO技法902の上に全て乗ることができる他の技法がプロトコルのより高位の層にあり、従ってスペクトル効率を一層高めることができる。QLO技法902は、WIMAXやLTE等のOFDMベースの多元接続技術に使用される標準的なQAM変調を使用する。以下でより完全に説明するように、QLO技法902は基本的にベースバンドのI成分及びQ成分に新たな信号を投入し、それらをQAM変調の前にオーバーレイすることによってトランシーバにおけるQAM変調を向上させる。受信機において、オーバーレイされた信号を分離するために逆の手順を使用し、正味の効果は標準的なQAM、更にはルート二乗余弦と比較してスペクトルのより優れた局所化を可能にするパルス成形である。この技法の効果は著しく高いスペクトル効率である。
次に図10をより具体的に参照し、通信チャネルの数を増やすためにマルチレベルオーバーレイ変調1004と軌道角運動量1006の応用との組合せを使用し、様々な通信プロトコルインタフェース1002内の通信帯域幅の改善をもたらすためのやり方の概要が示されている。軌道角運動量処理及びマルチレベルオーバーレイ変調についての以下の解説は、以下に記載のシステム及び実施形態の中のRF伝送によって実装されてもされなくても良い2つの技法を示す。RF伝送は、記載する実施形態の中の1つの技法、両方の技法を実装するように又は如何なる技法も実装しないように構成され得る。
様々な通信プロトコルインタフェース1002は、RF通信、ケーブル接続又はツイストペア接続等の有線通信、又は光ファイバ通信若しくは自由空間光通信等の光波長を使用する光通信等の様々な通信リンクを含み得る。様々な種類のRF通信は、RFマイクロ波又はRF衛星通信の組合せ、並びにRFと自由空間光通信との間のリアルタイムの多重化を含み得る。
多層オーバーレイ変調技法1004を軌道角運動量(OAM)技法1006と組み合わせることにより、様々な種類の通信リンク1002上でより高いスループットを実現することができる。OAMなしにマルチレベルオーバーレイ変調を単独で使用することは、有線でも、光でも、無線でも通信リンク1002のスペクトル効率を高める。しかし、OAMを用いるとスペクトル効率の増加が更に著しくなる。
複数のオーバーレイ変調技法1004は、時間T及び周波数Fが情報図の中で直交軸を定める2次元表記空間内の独立変数でありながら、従来の2自由度を超える新たな自由度をもたらす。この形態は周波数領域又は時間領域内で固定されたものとして信号をモデリングするのではなく、より全般的な手法を含む。固定時間又は固定周波数を使用する以前のモデリング方法は、マルチレベルオーバーレイ変調1004を使用する全般的な手法のより限定的な事例と考えられる。マルチレベルオーバーレイ変調技法1004では、信号を単一の軸に沿ってではなく2次元空間内で区別することができる。従って通信チャネルの情報搬送容量は、異なる時間・周波数座標を占め表記上の2次元空間内で区別することができる信号の数によって決定され得る。
表記上の2次元空間内で時間帯域幅積、即ちその空間内で信号が占める面積を最小化することはより高密度のパッキング、従ってより多くの信号を使用することを可能にし、割当チャネル内で結果として生じる情報搬送容量が一層高くなる。周波数チャネルデルタ(Δf)を所与とし、これを介して最小時間Δtで伝送される所与の信号は特定の時間帯域幅最小化信号によって表されるエンベロープを有する。これらの信号の時間帯域幅積は以下の形を取る:
ΔtΔf=1/2(2n+1)
但しnは0から無限に及ぶ整数であり信号の次数を表す。
これらの信号は、それぞれが有限のエネルギ量を有する無限要素の直交系を形成する。それらは時間領域及び周波数領域の両方において有限であり、相関、例えばマッチフィルタリングによって他の信号及び雑音の混合から検出することができる。他のウェーブレットと異なり、これらの直交信号は同様の時間及び周波数の形状を有する。
軌道角運動量プロセス1006はデータストリームを搬送する電磁場の波面にねじれを与え、それにより同じ周波数、波長、又は他の信号サポートメカニズム上で複数のデータストリームを伝送できるようにし得る。このことは、単一の周波数又は波長が複数の固有チャネル(個々のチャネルのそれぞれに様々な直交且つ独立した軌道角運動量が関連付けられている)をサポートできるようにすることにより、通信リンク上の帯域幅を増加させる。
次に図11を参照し、ツイストペア又はケーブルが(光子ではなく)電子を搬送するとき上記の技法を使用する更なる通信実装技法を示す。マルチレベルオーバーレイ変調1004及び軌道角運動量技法1006のそれぞれを使用するのではなく、単一有線インタフェース、より具体的にはツイストペア通信リンク又はケーブル通信リンク1102と組み合わせてマルチレベルオーバーレイ変調1004だけを使用することができる。マルチレベルオーバーレイ変調1104の動作は図10に関して先に論じたのと同様だが、軌道角運動量技法1006を使用することなしに単独で使用され、ツイストペア通信リンク又はケーブルインタフェース通信リンク1102と共に使用される。
次に図12を参照し、光通信システム内で伝送するために複数のデータストリーム1202を処理するための全体的なブロック図を示す。複数のデータストリーム1202が多層オーバーレイ変調回路1204に与えられ、多層オーバーレイ変調技法を使用して信号を変調する。変調した信号を軌道角運動量処理回路1206に与え、軌道角運動量処理回路1206は光通信チャネルの波長上で伝送される波面のそれぞれにねじれを加える。ねじれ波は、光ファイバ又は自由空間光通信システム等の光通信リンク上で光インタフェース1208を介して伝送される。図12は、インタフェース1208が光インタフェースではなくRFインタフェースを含むRFメカニズムも示し得る。
次に図13をより具体的に参照し、同じ波長又は周波数上で伝送するために他の複数のデータストリームと組み合わせることができるデータストリームを提供するために、図10に関して示したような通信システム内で軌道角運動量の「ねじれ」を発生させるためのシステムの機能ブロック図を示す。複数のデータストリーム1302が送信処理回路1300に与えられる。データストリーム1302のそれぞれは、例えば音声通話を搬送するエンドツーエンドリンク接続、又はデータ接続上で非回路交換パックデータ(non-circuit switch packed data)を伝送するパケット接続を含む。複数のデータストリーム1302は、変調器/復調器回路1304によって処理される。以下でより完全に説明するように、変調器/復調器回路1304はマルチレベルオーバーレイ変調技法を使用し、受信データストリーム1302を波長チャネル又は周波数チャネル上に変調する。通信リンクは、光ファイバリンク、自由空間光通信リンク、RFマイクロ波リンク、RF衛星リンク、有線リンク(ねじれなし)等を含み得る。
変調したデータストリームを軌道角運動量(OAM)信号処理ブロック1306に与える。軌道角運動量電磁ブロック1306によって変調器/復調器1304からの変調データストリームのそれぞれに異なる軌道角運動量を与え、それにより変調データストリームのそれぞれに独特の且つ異なる軌道角運動量が関連付けられる。関連する軌道角運動量を有する変調信号のそれぞれを光送信機1308に与え、光送信機1308は独特の軌道角運動量を有する変調データストリームのそれぞれを同じ波長上で伝送する。各波長は或る選択された数の帯域幅スロットBを有し、OAM電磁ブロック1306から与えられる軌道角運動量lの度数の因子だけそのデータ伝送能力を高めることができる。単一波長で信号を伝送する光送信機1308はB個の情報グループを伝送することができる。本明細書に記載の構成により、光送信機1308及びOAM電磁ブロック1306はl×B個の情報グループを伝送することができる。
受信モードでは、光送信機1308は、様々な軌道角運動量信号が埋め込まれた、その内部で伝送される複数の信号を含む波長を有する。光送信機1308はそれらの信号をOAM信号処理ブロック1306に転送し、OAM信号処理ブロック1306は異なる軌道角運動量を有する信号のそれぞれを分離し、分離した信号を復調器回路1304に与える。復調プロセスは変調信号からデータストリーム1302を抽出し、多層オーバーレイ復調技法を使用してそのデータストリームを受信端において提供する。
次に図14を参照し、OAM信号処理ブロック1406のより詳細な機能上の説明を行う。入力データストリームのそれぞれがOAM回路1402に与えられる。OAM回路1402のそれぞれは受信データストリームに異なる軌道角運動量を与える。異なる軌道角運動量は、伝送信号を生成するために様々な電流を加えて関連する特定の軌道角運動量を作り出すことによって実現される。OAM回路1402のそれぞれによって提供される軌道角運動量はOAM回路1402に与えられるデータストリームに固有である。多くの異なる電流を使用して様々な入力データストリームに無限数の軌道角運動量を加えることができる。別々に生成したデータストリームのそれぞれを信号合成器1404に与え、信号合成器1404は送信機1406から伝送するために信号を波長上に合成する。
次に図15を参照し、OAM処理回路1306が受信信号を複数のデータストリームに分けることができるやり方を示す。受信機1502が単一波長上で合成OAM信号を受信し、その情報を信号分離器1504に与える。信号分離器1504が、様々な軌道角運動量を有する信号のそれぞれを受信波長から分離し、分離した信号をOAMねじれ解除回路1506に与える。OAMねじれ解除回路1506は関連する信号のそれぞれから関連するOAMねじれを除去し、受信した変調データストリームを更に処理するために提供する。信号分離器1504は、軌道角運動量が除去された受信信号のそれぞれを個々の受信信号へと分離する。以下でより完全に説明するように、個々に受信される信号は例えばマルチレベルオーバーレイ復調を使用して復調するために受信機1502に与えられる。
図16は、2つの量子スピン偏波(quanti-spin polarization)を有する単一の波長又は周波数が、様々な軌道角運動量が関連付けられた無限数のねじれを与えることができるやり方を示す。l軸は、選択された周波数又は波長において特定の信号に加えることができる様々な量子化された軌道角運動量状態を表す。オメガ(ω)の記号は異なる軌道角運動量の信号を適用できる様々な周波数を表す。上側の格子1602は左旋信号偏波のために潜在的に利用可能な信号を表し、下側の格子1604は右旋偏波を有する潜在的に利用可能な信号のためのものである。
特定の周波数又は波長において信号に様々な軌道角運動量状態を加えることにより、その周波数又は波長において潜在的に無限数の状態をもたらすことができる。従って、左旋偏波面1602及び右旋偏波面1604の両方の中の周波数Δω又は波長1606における状態は、様々な軌道角運動量状態Δlの無限数の信号をもたらすことができる。ブロック1608及び1610は、右旋偏波面1604及び左旋偏波面1610の両方において、或る周波数Δω又は波長における軌道角運動量Δlを有する特定の信号をそれぞれ表す。同じ周波数Δω又は波長1606内で別の軌道角運動量に変更することによって異なる信号を伝送することもできる。各角運動量状態は、光送信機からの伝送に関する決定された異なる電流レベルに対応する。光領域内で特定の軌道角運動量を生成するための等価電流を推定し、信号を伝送するためにその電流を加えることによって信号の伝送を所望の軌道角運動量状態において実現することができる。
従って図16の説明図は2つのあり得る角運動量、つまりスピン角運動量及び軌道角運動量を示す。スピンバージョンは巨視的電磁気学の偏波の中で明らかにされ、上向きのスピン方向及び下向きのスピン方向により左旋偏波及び右旋偏波しかない。しかし、軌道角運動量は量子化される無限数の状態を示す。経路は2つよりも多く、理論的には量子化された軌道角運動量レベルによって無限であり得る。
伝送されるエネルギ信号の軌道角運動量状態を使用し、信号によって伝送される放射内に物理的情報を埋め込むことができる。マクスウェル・ヘビサイド方程式を以下のように表すことができ:
但し∇はデル演算子であり、Eは電場強度であり、Bは磁束密度である。これらの方程式を使用してマクスウェルの原方程式から23個の対称性/保存量を導出することができる。但し良く知られている保存量は10個しかなく、そのうちの数個だけが商業的に使用されている。歴史的に、マクスウェルの方程式がその元の四元形式に保たれる場合は対称性/保存量を認めるのがより容易だが、ヘビサイドによってこのベクトル形式に修正されたとき、マクスウェルの方程式内のそのような固有の対称性を認めるのがより困難になった。
マクスウェルの線形理論は、アーベル交換関係とU(1)対称性のものである。これらは大局的(空間内で局所的ではない)特性に対処する非アーベル交換関係により、より高い対称性グループSU(2)形式に拡張することができる。マクスウェル理論のWu−Yang及びHarmuthの解釈は磁気モノポール及び磁荷の存在を含意する。古典的な場が関与する限り、これらの理論的構築物は擬似粒子又はインスタントンである。マクスウェルの成果の解釈は、実際にマクスウェルの元の意図から重大な点で逸脱している。マクスウェルの元の定式化では、ファラデーの電気緊張状態(Aμ場)が中心であり、それらを(ヘビサイドよりも前に)Yang−Mills理論に適合させた。ソリトンと呼ばれる数学的なダイナミックエンティティは古典的なものでも量子でも良く、線形でも非線形でも良く、EM波を表現する。しかしソリトンはSU(2)対称性形式のものである。従来の解釈されたU(1)対称性の古典的なマクスウェル理論がかかるエンティティを表現するには理論をSU(2)形式に拡張しなければならない。
(従来のマクスウェル理論では説明できない)半ダースの物理的現象に加え、近年定式化されたHarmuth Ansatzもマクスウェル理論の不完全さに対処する。Harmuthによって修正されたマクスウェル方程式は、磁流密度及び磁荷が加わるという条件でEM信号速度を計算するために使用することができる(これはYang−Millsが提起した方程式と整合する)。従って、正しいジオメトリ及びトポロジを伴いAμポテンシャルは常に物理的意味を有する。
保存量及び電磁場は、システムエネルギの保存及びシステムの線形運動量の保存に従って表現することができる。時間の対称性、即ちシステムエネルギの保存は以下の方程式に従ってポインティングの定理を用いて表現することができる:
空間対称性、即ち電磁的ドップラーシフトを表すシステムの線形運動量の保存は以下の方程式によって表すことができる:
システムのエネルギの中心の保存は以下の方程式によって表される:
同様に、方位角ドップラーシフトを誘発するシステムの角運動量の保存は以下の方程式によって表される:
自由空間内の放射ビームについて、EM場の角運動量J
emは2つの部分に分けることができる:
実数値表現における特異フーリエモードのそれぞれについて次式が成立する:
第1の部分はEMスピン角運動量Semであり、その古典的な発現は波の偏波である。第2の部分はEM軌道角運動量Lemであり、その古典的な発現は波のヘリシティである。概してEM線形運動量Pem及びEM角運動量Jem=Lem+Semの両方が遠距離場まで放射される。
ポインティングの定理を使用することによって信号の光渦度を光速度方程式:
に従って求めることができ、Sはポインティングベクトル
であり、Uはエネルギ密度
であり、E及びHは電場及び磁場をそれぞれ含み、ε及びμ
0はそれぞれ媒体の誘電率及び透磁率である。この場合、光渦度Vを方程式:
に従って光速度の回転によって求めることができる。
次に図17A及び図17Bを参照し、平面波の状況における信号及びその関連するポインティングベクトル、態様を示す。全体的に1702で示す平面波の状況において、伝送信号は3つの構成のうちの1つを取り得る。概して1704で示すように、電場ベクトルが同じ方向にある場合は線形信号が与えられる。円偏波1706内では電場ベクトルが同じ大きさで回転する。楕円偏波1708内では電場ベクトルが回転するが異なる大きさを有する。ポインティングベクトルは図17Aのための信号構成について一定方向に保たれ、電場及び磁場に対して常に垂直である。次に図17Bを参照し、本明細書に記載の通り独特な軌道角運動量を信号に加えた場合、ポインティングベクトルS1710が信号の伝搬方向を中心として螺線状に進む。本明細書に記載の通り信号を同じ周波数上で伝送できるようにするためにこの螺旋は変えることができる。
図18Aから図18Cは、様々なヘリシティ(即ち軌道角運動量)を有する信号の違いを示す。信号1802、1804、及び1806に関連する螺旋状ポインティングベクトルのそれぞれは異なる形状の信号を与える。信号1802は+1の軌道角運動量を有し、信号1804は+3の軌道角運動量を有し、信号1806は−4の軌道角運動量を有する。各信号は個別の角運動量及び関連するポインティングベクトルを有し、それらは信号を同じ周波数内の他の信号と区別することを可能にする。このことは同じ周波数上で異なる種類の情報を伝送することを可能にし、それはこれらの信号が別々に検出可能であり、互いに干渉しないからである(固有チャネル)。
図18Dは、様々な固有モードに関するポインティングベクトルの伝搬を示す。輪1820のそれぞれは、同じ周波数内の異なる軌道角運動量を表す異なる固有モード又はねじれを表す。これらの輪1820のそれぞれは異なる直交チャネルを表す。固有モードのそれぞれが、関連するポインティングベクトル1822を有する。
トポロジカルチャージは、線形偏波又は円偏波のために周波数に多重化することができる。線形偏波の場合、トポロジカルチャージは垂直及び水平偏波上で多重化されることになる。円偏波の場合、トポロジカルチャージは左円偏波及び右円偏波上で多重化することになる。トポロジカルチャージは、ヘリシティインデックス「I」又は信号に加えられるねじれ量若しくはOAMの別名である。ヘリシティインデックスは正でも負でも良い。RFでは様々なトポロジカルチャージを作り出し、一緒に多重化し、非多重化してトポロジカルチャージを分離することができる。
トポロジカルチャージlは、特定の屈折率を有する適切な材料を使用する図18Eに示す螺旋位相板(SPP)、機械工場(machine shop)又は位相マスクの能力、新たな材料で作られるホログラム、又は特定のトポロジカルチャージと共に(光ビームではなく)RF波のねじれをもたらす装置上の電圧調節によってRF波をねじる空間光変調器(SLM)のRFバージョンを作り出すための新たな技法を使用して作り出すことができる。螺旋位相板は、RF平面波(l=0)を特定のヘリシティのねじれRF波(即ちl=+1)に変換することができる。
クロストーク及びマルチパス干渉は、RF多入力多出力(MIMO)を使用して補正することができる。チャネル障害の殆どは制御チャネル又はパイロットチャネルを使用して検出することができ、アルゴリズム的技法(閉ループ制御系)を使用して補正することができる。
図13に関して先に説明したように、処理回路内で適用される複数のデータストリームのそれぞれに多層オーバーレイ変調方式が適用される。
次に図19を参照し、参照番号1900はマルチレベルオーバーレイ(MLO)変調システムの一実施形態を全体的に示すが、MLOという用語及び図示のシステム1900は実施形態の例であることを理解すべきである。MLOシステムは、参照により本明細書に援用するMultiple Layer Overlay Modulationと題された米国特許第8,503,546号明細書の中で開示されているようなものを含み得る。一例では、変調システム1900が図12のマルチレベルオーバーレイ変調ボックス1204内に実装される。システム1900はデジタルソース1902からの入力データストリーム1901を入力として取り、その入力データストリームを入力段デマルチプレクサ(DEMUX)1904によって論理的な1及び0の3つの並列な別々のデータストリーム1903A〜1903Cへと分離する。データストリーム1901は転送されるデータファイル又は音声若しくはビデオデータストリームを表し得る。より多数の又はより少数の分離データストリームを使用しても良いことを理解すべきである。実施形態の一部では、分離データストリーム1903A〜1903Cのそれぞれが元のレートの1/Nのデータレートを有し、Nは並列データストリームの数である。図19に示す実施形態ではNが3である。
QAMシンボルマッパー1905A〜Cのうちの1つにより、分離データストリーム1903A〜1903CのそれぞれをM−QAMコンスタレーション、例えば16QAM又は64QAM内の直交振幅変調(QAM)シンボルにマップする。QAMシンボルマッパー1905A〜CはDEMUX1904のそれぞれの出力に結合され、離散レベルにおいて並列な同相(I)1906A、1908A、及び1910A、並びに直角位相(Q)1906B、1908B、及び1910Bのデータストリームを生成した。例えば64QAMでは、それぞれのIチャネル及びQチャネルが8個の離散レベルを使用して3ビット/シンボル伝送する。IとQとの3つの対1906A−1906B、1908A−1908B、及び1910A−1910Bのそれぞれは、対応する関数生成器の対1907A−1907B、1909A−1909B、及び1911A−1911Bの出力に重み付けするために使用される。一部の実施形態では、それらの関数生成器の対は上記の修正エルミート多項式のような信号を生成し、入力シンボルの振幅値に基づいてそれらの信号に重み付けする。この形態は、それぞれがインカム(income)データストリーム1901に元々由来するデータの一部を搬送する2N個の加重信号又は変調信号をもたらし、従来技術のQAMシステムで行われるように二乗余弦フィルタを用いてIとQとの対1906A−1906B、1908A−1908B、及び1910A−1910B内の各シンボルを変調する代わりである。図示の実施形態では3つの信号SH0、SH1、及びSH2を使用し、これらの信号はH0、H1、及びH2の修正にそれぞれ対応するが、他の実施形態では異なる信号を使用しても良いことを理解すべきである。
加重信号は副搬送波ではなく変調搬送波の副層であり、信号の直交性によりI次元及びQ次元のそれぞれにおける相互干渉なしに、加算器1912及び1916を使用して周波数及び時間の両方において合成され、重畳される。加算器1912及び1916は、コンポジット信号1913及び1917を生成するための信号合成器として働く。加重直交信号はIチャネル及びQチャネルの両方に使用され(システム1900によって同等に処理されている)、QAM信号の伝送前に加算される。従って、新たな直交関数を使用するが、一部の実施形態は伝送のためにQAMを追加で使用する。図23Aから図23Kの中で示すように、時間領域内での信号のテーパリングのため、加重信号の時間領域波形はシンボルの持続時間に限定される。更に、専用の信号及び周波数領域のテーパリングのため、信号は周波数領域にも限定され、信号及び隣接チャネルとのインタフェースを最小化する。
コンポジット信号1913及び1917は、デジタル−アナログ変換器1914及び1918を使用してアナログ信号1915及び1919に変換され、その後、変調器1921を使用して局所発振器(LO)1920の周波数において搬送波信号を変調するために使用される。変調器1921は、DAC1914及び1918のそれぞれに結合されるミキサ1922及び1924を含む。90度位相シフタ1923がLO1920からの信号を搬送波信号のQ成分へと変換する。ミキサ1922及び1924の出力を加算器1925内で加算して出力信号1926を生成する。
MLOは、有線、光、及び無線等の様々な移送媒体と共に使用することができ、QAMと組み合わせて使用することができる。その理由は、MLOがスペクトル重複ではなく様々な信号のスペクトルオーバーレイを使用するからである。利用可能なスペクトル資源を複数の層に拡張することによって帯域幅の利用効率を何オーダーか高めることができる。直交信号の数は、従来技術の2(余弦及び正弦)から、直交多項式を生成するために使用される生成器の精度及びジッタの限界によって制限される数まで増加する。このようにして、MLOはQAMのI次元及びQ次元のそれぞれをGSM、符号分割多元接続(CDMA)、広帯域CDMA(WCDMA)、高速ダウンリンクパケット接続(HSPDA)、evolution−data optimized(EV−DO)、直交周波数分割多重(OFDM)、world−wide interoperability for microwave access(WIMAX)、及びlong term evolution(LTE)システム等の任意の多元接続技法に拡張する。MLOは、周波数分割二重(FDD)、時分割二重(TDD)、周波数分割多元接続(FDMA)、及び時分割多元接続(TDMA)等の他の多元接続(MA)方式と組み合わせて更に使用することができる。個々の直交信号を同じ周波数帯上でオーバーレイすることは物理帯域幅よりも広い仮想帯域幅を作り出すことを可能にし、従って信号処理に新たな次元を追加する。この変調は、ツイストペア、ケーブル、光ファイバ、衛星、ブロードキャスト、自由空間光通信、及びあらゆる種類の無線アクセスに適用することができる。本方法及びシステムは、EV−DO、UMB、WIMAX、WCDMA(with 又は without)、マルチメディアブロードキャストマルチキャストサービス(MBMS)/多入力多出力(MIMO)、HSPAエボリューション、及びLTEを含む多くの現在の及び未来の多元接続システムに適合する。
次に図20を参照し、MLO復調器2000を示すが、MLOという用語及び図示のシステム2000は実施形態の例であることを理解すべきである。変調器2000は、システム1900からの出力信号1926と同様であり得るMLO信号2026を入力として取る。同期装置2027が位相情報を抽出し、コヒーレンスを保つためにその位相情報を局所発振器2020に入力し、それにより変調器2021はアナログI信号2015及びQ信号2019にベースバンドを作り出すことができる。変調器2021は、90度位相シフタ2023を介してLO2020に結合されるミキサ2022及び2024を含む。I信号2015は、信号フィルタ2007A、2009A、及び2011Aのそれぞれに入力され、Q信号2019は、信号フィルタ2007B、2009B、及び2011Bのそれぞれに入力される。直交関数は既知なので、変調データを回復するために相関又は他の技法を使用してそれらの信号を分離することができる。I信号2015及びQ信号2019のそれぞれの中の情報は、シンボルのそれぞれの中で加算されている重複関数から抽出することができ、それは関数が相関的な意味で直交するからである。
一部の実施形態では、信号フィルタ2007A−2007B、2009A−2009B、及び2011A−2011Bがマッチフィルタ内の既知の信号として多項式の局所的に生成された複製を使用する。マッチフィルタの出力は回復されたデータビットであり、例えばシステム1900のQAMシンボル1906A−1906B、1908A−1908B、及び1910A−1910Bに相当する。信号フィルタ2007A−2007B、2009A−2009B、及び2011A−2011Bは、n、I、及びQ信号の対のストリームを2n個生成し、それらは復調器2028〜2033に入力される。復調器2028〜2033はそのそれぞれの入力信号内のエネルギを積分してQAMシンボルの値、従って決定されるシンボルによって表される論理的な1及び0のデータビットストリームセグメントを決定する。その後、復調器2028〜2033の出力をマルチプレクサ(MUX)2005A〜2005Cに入力してデータストリーム2003A〜2003Cを生成する。システム2000がシステム1900からの信号を復調している場合、データストリーム2003A〜2003Cはデータストリーム1903A〜1903Cに対応する。MUX2004がデータストリーム2003A〜2003Cを多重化してデータ出力ストリーム2001を生成する。要するに、MLO信号が送信機上で互いの上にオーバーレイ(スタック)され、受信機上で分離される。
MLOは、信号間の直交性を実現するやり方でCDMA又はOFDMと区別され得る。MLO信号は時間領域及び周波数領域の両方において互いに直交し、同じシンボル時間帯域幅積内でオーバーレイすることができる。直交性は、オーバーレイされた信号の相関特性、例えば最小二乗和によって得られる。比較すると、CDMAは時間領域内の信号の直交インタリービング又は変位を使用するのに対し、OFDMは周波数領域内の信号の直交変位を使用する。
複数の利用者に同じチャネルを指定することにより、帯域幅効率をチャネルについて高めることができる。これは個々のユーザ情報を専用の直交関数にマップする場合に実現可能である。CDMAシステムは複数のユーザ情報を重ね合わせ、時間シンボル間直交符号列を確認して個々の利用者を区別する。OFDMは各利用者に固有の信号を指定するが、それらの信号はオーバーレイされず、周波数領域内でのみ直交する。CDMAもOFDMも帯域幅効率を高めない。信号が低い信号対雑音比(SNR)を有する場合、CDMAはデータを伝送するのに必要以上の帯域幅を使用する。OFDMは、マルチパス無線周波数環境内でより優れた性能を実現するために、多くの副搬送波上でデータを拡散させる。OFDMはマルチパス効果を軽減するために巡回プレフィックスOFDMを使用し、シンボル間干渉(ISI)を最小化するためにガード時間を使用し、各チャネルは伝送波形が直交するかのように振る舞うように機構的に作られる(周波数領域内の副搬送波ごとのSync関数。)
対照的にMLOは、同じ帯域幅内で使用可能な更に多くのチャネルを提供するアルファベットを効果的に形成する1組の関数を使用し、それにより高い帯域幅効率を可能にする。MLOの一部の実施形態は巡回プレフィックス又はガード時間の使用を必要とせず、従ってスペクトル効率、ピーク対平均パワー比、パワー消費量の点でOFDMに勝り、1ビット当たり更に少ない演算を必要とする。加えて、MLOの実施形態はCDMA及びOFDMシステムよりも増幅器の非線形性に耐性がある。
図21は、入力データストリーム1901を受信するMLO送信機システム2100の一実施形態を示す。システム2100は、図19に示すシステム1900のDEMUX1904、QAMシンボルマッパー1905A〜C、関数生成器1907A−1907B、1909A−1909B、及び1911A−1911B、並びに加算器1912及び1916の等価の機能を組み込む変調器/コントローラ2101を表す。但し、変調器/コントローラ2101は、システム1900内で示した3よりも多い量又は少ない量の信号を使用しても良いことを理解すべきである。変調器/コントローラ2101は、特定用途向け集積回路(ASIC)、書替え可能ゲートアレイ(FPGA)、及び/又は他のコンポーネント(ディスクリート回路素子又は単一の集積回路(IC)チップ内に統合されたもの)を含み得る。
変調器/コントローラ2101はDAC2104及び2107に結合され、10ビットのI信号2102及び10ビットのQ信号2105をそれぞれ伝える。一部の実施形態では、I信号2102及びQ信号2105がシステム1900のコンポジット信号1913及び1917に対応する。但し、I信号2102及びQ信号2105の10ビットの容量は一実施形態を表すに過ぎないことを理解すべきである。図示の通り、変調器/コントローラ2101は更に、制御信号2103及び2106を使用してDAC2104及び2107をそれぞれ制御する。一部の実施形態では、DAC2104及び2107がAD5433(相補型金属酸化膜半導体(CMOS)10ビット電流出力DAC)をそれぞれ含む。一部の実施形態では、DAC2104及び2107のそれぞれに複数の制御信号が送信される。
DAC2104及び2107は、LO1920に結合される直交変調器1921にアナログ信号2115及び2119を出力する。変調器1921の出力はデータを無線で伝送するために送信機2108に結合して示しているが、一部の実施形態では変調器1921が光ファイバモデム、ツイストペア、同軸ケーブル、又は他の適切な伝送媒体に結合され得る。
図22は、システム2100からの信号を受信し復調することができるMLO受信機システム2200の一実施形態を示す。システム2200は、RF、有線、又は光等の入力媒体を含み得る受信機2208から入力信号を受信する。LO2020によって駆動される変調器2021がその入力をベースバンドのI信号2015及びQ信号2019に変換する。I信号2015及びQ信号2019は、アナログ−デジタル変換器(ADC)2209に入力される。
ADC2209は、復調器/コントローラ2201に10ビット信号2210を出力し、復調器/コントローラ2201から制御信号2212を受信する。復調器/コントローラ2201は、特定用途向け集積回路(ASIC)、書替え可能ゲートアレイ(FPGA)、及び/又は他のコンポーネント(ディスクリート回路素子又は単一の集積回路(IC)チップ内に統合されたもの)を含み得る。復調器/コントローラ2201は、復調を実行して送信されたシンボルを識別するために、使用される信号セットの局所的に生成された複製と受信信号を相関させる。復調器/コントローラ2201は更に周波数誤差を推定し、ADC2209からのデータを読み取るために使用されるデータクロックを回復する。制御信号2212を使用してクロックタイミングがADC2209に送り返され、ADC2209がデジタルのI信号2015及びQ信号2019を区分することを可能にする。一部の実施形態では、復調器/コントローラ2201によって複数の制御信号がADC2209に送信される。復調器/コントローラ2201はデータ信号2001も出力する。
エルミート多項式は古典的な直交多項式列であり、量子調和発振器の固有状態である。エルミート多項式に基づく信号は上記の最小時間帯域幅積の特性を有し、MLOシステムの実施形態に使用することができる。但し、他の信号、例えばヤコビ多項式、ゲーゲンバウエル多項式、ルジャンドル多項式、チェビシェフ多項式、及びラゲール多項式等の直交多項式も使用できることを理解すべきである。Q関数は、MLO信号の基底として使用可能な別の関数の類である。
量子力学においてコヒーレント状態とは、その動力学が古典的な調和発振器システムの発振挙動に最も良く似る量子調和発振器の状態である。スクイーズドコヒーレント状態とは、不確定性原理が飽和するような量子力学的ヒルベルト空間の任意の状態である。つまり対応する2つの演算子の積がその最小値を取る。MLOシステムの実施形態では、演算子が時間領域及び周波数領域に対応し、信号の時間帯域幅積が最小化される。信号のスクイーズ特性は、各層内の信号間の相互直交性を失うことなしに時間領域及び周波数領域内のスケーリングを同時に可能にする。この特性は様々な通信システム内でMLOシステムを柔軟に実装することを可能にする。
異なる次数の信号は互いに直交するので、通信チャネルのスペクトル効率を高めるためにそれらの信号をオーバーレイすることができる。例えばn=0のとき、最適なベースバンド信号は1/2の時間帯域幅積を有し、これはシンボル間干渉(ISI)を回避するためのナイキストISI基準である。但し3/2、5/2、7/2及びそれよりも高い時間帯域幅積を有する信号はスペクトル効率を高めるためにオーバーレイすることができる。
MLOシステムの一実施形態は、修正エルミート多項式に基づく関数を使用し(4n)、
によって定義され、tは時間であり、ξは帯域幅利用パラメータである。0から9に及ぶnに関するΨ
nのプロットをそのフーリエ変換(振幅2乗)と共に図5A〜図5Kに示す。関数の様々な次数の直交性は積分によって検証可能である:
エルミート多項式は閉曲線積分によって定義され:
但し曲線は原点を囲み、反時計回りの方向にトラバースされる。エルミート多項式については、参照によりその開示を援用するGeorge Arfken著Mathematical Methods for Physicistsの例えば416頁に記載されている。
図23A〜図23Kは、代表的なMLO信号、及び0から9に及ぶnに関する修正エルミート多項式Ψnに基づくそのそれぞれのスペクトルパワー密度を示す。図23Aはプロット2301及び2304を示す。プロット2301は、時間軸2302及び振幅軸2303に対してプロットされたΨ0を表す曲線2327を含む。プロット2301から分かるように、曲線2327はガウス曲線を近似する。プロット2304は、周波数軸2305及びパワー軸2306に対してプロットされたΨ0のパワースペクトルを表す曲線2337を含む。プロット2304から分かるように、曲線2337もガウス曲線を近似する。周波数領域曲線2307は、時間領域曲線2327のフーリエ変換を使用して生成される。軸2302及び2305上の時間及び周波数の単位はベースバンド分析のために正規化されているが、フーリエ変換によって時間の単位と周波数の単位とが関係付けられるので、一方の領域内の所望の時間スパン又は周波数スパンが、他方の領域内の対応する曲線の単位を決定付けることを理解すべきである。例えば、MLOシステムの様々な実施形態が、メガヘルツ(MHz)又はギガヘルツ(GHz)範囲内のシンボルレート及び曲線2327によって表すシンボルが0ではない持続時間を使用して通信することができる(即ち曲線2327が0を上回る期間は、所望のシンボルレートの逆数を用いて計算される適切な長さに圧縮される)。メガヘルツ範囲内の利用可能帯域幅について、時間領域信号の0ではない持続時間はマイクロ秒の範囲内にある。
図23B〜図23Jは、Ψ1からΨ9をそれぞれ表す時間領域曲線2327〜2336、及びそれらの対応する周波数領域曲線2337〜2346を有するプロット2307〜2324を示す。図23A〜図23Jから分かるように、時間領域プロット内のピーク数は(正負に関わらず)対応する周波数領域プロット内のピーク数に対応する。例えば図23Jのプロット2323では、時間領域曲線2336が5個の正のピーク及び5個の負のピークを有する。従って対応するプロット2324では、周波数領域曲線2346が10個のピークを有する。
図23Kは、オーバーレイプロット2325及び2326を示し、それらは曲線2327〜2336及び2337〜2346をそれぞれオーバーレイする。プロット2325に示すように、様々な時間領域曲線が異なる持続時間を有する。しかし一部の実施形態では、時間領域曲線のゼロではない持続時間が同様の長さのものである。MLOシステムでは、使用される信号の数はオーバーレイの数とスペクトル効率の改善とを表す。図23A〜図23Kでは10個の信号を開示したが、更に多い又は更に少ない量の信号を使用しても良く、プロットしたΨn信号ではなく異なる信号セットを更に使用しても良いことを理解すべきである。
変調層内で使用されるMLO信号は最小時間帯域幅積を有し、最小時間帯域幅積はスペクトル効率の改善を可能にし、二次の積分が可能である。これは多重分離した複数の並列データストリームをオーバーレイし、それらを同じ帯域幅内で同時に伝送することによって実現される。オーバーレイされたデータストリームを受信機において上手く分離する鍵は、各シンボル期間内で使用される信号が互いに直交することである。MLOは、単一のシンボル期間内で直交信号をオーバーレイする。この直交性がISI及び搬送波間干渉(ICI)を防ぐ。
MLOは信号処理のベースバンド層内で機能し、一部の実施形態はQAMアーキテクチャを使用するので、プロトコルスタックの他の層に合わせてエアインタフェース又は無線セグメントを最適化するための従来の無線技法はMLOと共にも機能する。チャネルダイバーシティ、等化、誤り訂正コーディング、拡散スペクトル、インタリービング、及び時空符号化等の技法をMLOに適用することができる。例えば、マルチパス軽減レーク受信機を用いた時間ダイバーシティもMLOと共に使用することができる。フェージングチャネルにおいて等、チャネル条件が低次QAMにしか適していない場合、MLOは高次QAMの代替策を提供する。MLOは、CDMAのウォルシュ符号制限を克服することにより、直交チャネルの数を拡張するためにCDMAと共に使用することもできる。MLOは、OFDMシステムのスペクトル効率を高めるためにOFDM信号内の各トーンに適用することもできる。
MLOシステムの実施形態は、副搬送波ではなくサブエンベロープを作成するためにシンボルエンベロープを振幅変調する。データの符号化のために、各サブエンベロープはN−QAMに従って独立に変調され、OFDMと異なり各サブエンベロープが情報を独立に運ぶことになる。OFDMにおいて行われるように多数の副搬送波上に情報を拡散するのではなく、MLOでは搬送波の各サブエンベロープが別々の情報を運ぶ。この情報は、その持続時間及び/又はスペクトルにわたる二乗和に対して定められるサブエンベロープの直交性によって回復することができる。MLOはシンボルレベルを超えて透過的であるので、CDMAに必要なパルス列同期又は時間コード同期は問題ではない。MLOはシンボルの修正に対処するが、CDMA及びTDMAは或る期間にわたって複数のシンボル列を拡散する技法なので、MLOはCDMA及びTDMAと共に使用することができる。
図24は、時間領域及び周波数領域内のMLO信号幅の比較を示す。信号SH0〜SH3の時間領域エンベロープ表現2401〜2403は、全て持続時間TSを有するものとして示されている。SH0〜SH3はPSI0〜PSI2を表すことができ、又は他の信号であり得る。対応する周波数領域エンベロープ表現は、2405〜2407のそれぞれである。SH0は帯域幅BWを有し、SH1はBWの3倍の帯域幅を有し、SH2は5BWの帯域幅を有し、この帯域幅はSH0の帯域幅と比較して5倍大きい。MLOシステムが使用する帯域幅は、使用される信号の何れかの最も幅広の帯域幅によって少なくとも部分的に決定される。各層が同じ時間窓の中で単一の信号の種類しか使用しない場合、スペクトルは完全には利用されない。その理由は、高次信号が使用するよりも少ない利用可能帯域幅を低次信号が使用するからである。
図25は、SH0〜SH3を使用して信号の異なる帯域幅に対応し、スペクトル使用をより均一にするMLO信号のスペクトル配列を示す。ブロック2501〜2504は、複数の副搬送波を有するOFDM信号の周波数領域ブロックである。更なる詳細を示すためにブロック2503を拡大している。ブロック2503は、複数のSH0エンベロープ2503a〜2503oで構成される第1の層2503xを含む。SH1エンベロープ2503p〜2503tの第2の層2503yは、第1の層の三分の一の数のエンベロープを有する。図示の例では、第1の層2503xが15個のSH0エンベロープを有し、第2の層2503yが5個のSH1エンベロープを有する。その理由は、SH1帯域幅エンベロープがSH0の帯域幅エンベロープの3倍幅広なので、15個のSH0エンベロープが5個のSH1エンベロープと同じスペクトル幅を占めるからである。ブロック2503の第3の層2503zは3個のSH2エンベロープ2503u〜2503wを含み、それはSH2エンベロープがSH0エンベロープの幅の5倍だからである。
かかる実装に必要な全帯域幅はMLO信号の帯域幅の最小公倍数の倍数である。図示の例ではSH0、SH1、及びSH2に必要な帯域幅の最小公倍数は15BWであり、これは周波数領域内の1ブロックである。OFDM−MLO信号は複数のブロックを有することができ、この図示の実装のスペクトル効率は(15+5+3)/15に比例する。
図26は、図25に示す配列方式の代わりに使用することができるMLO信号の別のスペクトル配列を示す。図26に示す実施形態では、OFDM−MLO実装は各層内のスペクトルが均一に利用されるやり方でSH0、SH1、及びSH2のスペクトルをスタックする。層2600Aはエンベロープ2601A〜2601Dを含み、これらはSH0エンベロープ及びSH2エンベロープの両方を含む。同様にエンベロープ2603A〜2603Dを含む層2600Cは、SH0エンベロープ及びSH2エンベロープの両方を含む。しかし、エンベロープ2602A〜2602Dを含む層2600BはSH1エンベロープだけを含む。上記のエンベロープサイズの比率を使用し、BW+5BW=3BW+3BWであることが容易に分かる。従って層2600A内のSH0エンベロープごとに、層2600C内にも1つのSH2エンベロープがあり、層2600B内に2つのSH1エンベロープがある。
3つのシナリオの比較:
1)次式:
によって定義される3つの層を有するMLO
(現在のFPGA実装は[−6,6]の丸め間隔を使用する。)
2)矩形パルスを使用する従来の方式
3)0.5のロールオフファクタと共に平方根二乗余弦(SRRC)パルスを使用する従来の方式
MLOパルス及びSRRCパルスについて、以下の図面では丸め間隔を[−t1,t1]と表記する。簡単にするために上記で定めたMLOパルスを使用し、このMLOパルスは所望の時間間隔(例えば数マイクロ秒又は数ナノ秒)を得るために時間の点で容易にスケールすることができる。SRRCパルスについて、[−3T,3T]の丸め間隔を固定し、但しTは本明細書で提示する全ての結果のシンボル持続時間である。
帯域幅効率
XdB有界パワースペクトル密度帯域幅は、その外側でパワースペクトル密度(PSD)がPSDの最大値をXdB下回る最小周波数間隔として定義される。XdBは帯域外減衰と考えることができる。
帯域幅効率は、シンボル/秒/ヘルツによって表される。ビット/秒/ヘルツは、シンボル/秒/ヘルツを、1シンボル当たりのビット数と乗算することによって得ることができる(即ちM−ary QAMではlog2 Mと乗算する)。
MLOパルスの丸めは層間干渉(ILI)を生ぜしめる。しかし、[−6,6]の丸め間隔が無視できるほどのILIをもたらす一方、[−4,4]は許容可能な僅かなILIを引き起こす。
MLOの帯域幅効率はシンボル間干渉(ISI)を認めることによって向上させることができる。この向上を実現するために、送信機側のパラメータの設計並びに受信機側の検出アルゴリズムの開発及び誤り性能評価を実行することができる。
次に図27を参照し、MLO内の各層SH0〜SH2の、更に合成3層MLOに関するパワースペクトル密度を示す。2702はSH0層のパワースペクトル密度を示し、2704はSH1層のパワースペクトル密度を示し、2706はSH2層のパワースペクトル密度を示し、2708は各層の合成パワースペクトル密度を示す。
次に図28を参照し、各層のパワースペクトル密度並びに合成3層のパワースペクトル密度を対数スケールで示す。2802はSH0層を表す。2804はSH1層を表す。2806はSH2層を表す。2808は合成層を表す。
次に図29を参照し、帯域外減衰(XdB)に対する帯域幅効率の比較があり、量子レベルオーバーレイパルスの丸め間隔は[−6,6]であり、シンボルレートは1/6である。図30も参照し、帯域外減衰(XdB)に対する帯域幅効率の比較が示されており、量子レベルオーバーレイパルスの丸め間隔は[−6,6]であり、シンボルレートは1/4である。
QLO信号は、物理学者の専用のエルミート関数から生成される:
初期ハードウェア実装は
を使用し、この部分との一貫性を得るためにスペクトル効率に関係する全ての図中で
を使用することに留意されたい。
合成QLO信号のローパス等価パワースペクトル密度(PSD)をX(f)とし、その帯域幅をBとする。ここでは帯域幅を以下の基準のうちの1つによって定める。
dBc単位のACLR1(第1の隣接チャネル漏洩比)は次式に等しい:
dBc単位のACLR2(第2の隣接チャネル漏洩比)は次式に等しい:
帯域外パワー対総パワー比は次式で表される:
dBc/100kHz単位の帯域端PSDは次式に等しい:
次に図31を参照し、平方根二乗余弦方式及び多層オーバーレイ方式の両方に関するACLR1及びACLR2を用いた性能比較を示す。ACLR1を用いるMLO3104に対し、線3102はACLR1を用いる平方根二乗余弦3102の性能を示す。加えて、ACLR2を用いる平方根二乗余弦3106と、ACLR2を用いるMLO3108との比較を示す。表AはACLRを用いた性能比較を示す。
次に図32を参照し、帯域外パワーを用いた平方根二乗余弦3202とMLO3204との性能比較を示す。次に表Bも参照し、帯域外パワーを用いたより詳細な性能比較を示す。
次に図33を参照し、帯域端PSDを用いた平方根二乗余弦3302とMLO3304との性能比較を更に示す。性能比較のより詳細な例証を表Cに示す。
次に図34及び図35を参照し、送信サブシステム(図34)及び受信機サブシステム(図35)をより具体的に示す。トランシーバは、商業的に市販されている製品として入手可能な基本的な構成単位を使用して実現される。変調、復調、並びに専用のエルミート相関及び相関解除がFPGAボード上で実装される。受信機3400のFPGAボード3402は周波数誤差を推定し、アナログ−デジタル(ADC)ボード3406からのデータを読み取るために使用されるデータクロック(並びにデータ)を回復する。FGBAボード3400は、デジタルのIチャネル及びQチャネルの区分も行う。
送信機側3400では、FPGAボード3402が専用のエルミート相関QAM信号並びにデジタル−アナログ(DAC)ボード3404を制御するのに必要な制御信号を実現して、直接変換直交変調器3406内でのその後のアップコンバージョンのためのアナログI&Qベースバンドチャネルを生成する。直接変換直交変調器3406は、発振器3408から発振器信号を受信する。
ADC3506は、3510から発振器信号を受信する直交復調器3508からI&Q信号を受信する。
通信は短距離上で行われるので、送信機内のパワー増幅器も受信機内のLNAも使用しない。2.4〜2.5GHz(ISM帯)の周波数帯が選択されているが、任意の対象周波数帯を利用することができる。
MIMOは、幾らかの増分のスペクトル効率を実現するためにダイバーシティを使用する。アンテナからの信号のそれぞれが、独立した直交チャネルとして働く。QLOではスペクトル効率の利得がシンボル内から生じ、各QLO信号は任意の順列内で全て互いに直交するので独立なチャネルとして働く。しかし、QLOはプロトコルスタックの一番下(物理層)において実装されるので、プロトコルの上位レベル(即ちトランスポート)における如何なる技術もQLOと共に機能する。従って、全ての従来技法をQLOと共に使用することができる。かかる技法は、フェージングに対処するためのレーク受信機及び等化器、時間分散に対処するための巡回プレフィックス挿入、並びにスペクトル効率を一層高めるためのビーム形成及びMIMOを使用する他の全ての技法を含む。
実用的な無線通信システムのスペクトル効率を検討するとき、潜在的に異なる実用的な帯域幅の定義により(更には実際の伝送信号の厳密に帯域制限されていない性質により)以下の手法がより適切である。
次に図36を参照し、等価離散時間システムを検討し、そのシステムのシャノン容量を得る(Cdと表記する)。離散時間システムに関して、例えばAWGNにおける従来のQAMシステムではシステムが:
y[n]=ax[n]+w[n]
となり、但しaはチャネル利得及び振幅スケーリングを表すスカラであり、x[n]は単位平均エネルギを有する入力信号(QAMシンボル)であり(スケーリングはaに埋め込まれている)、y[n]は復調器(マッチフィルタ)の出力シンボルであり、インデックスnは離散時間インデックスである。
対応するシャノン容量は:
Cd=log2(1+|a|2/σ2)
であり、但しσ2は(複素次元内の)雑音分散であり、|a|2/σ2は離散時間システムのSNRである。
第2に、採用した帯域幅定義(例えば−40dBcの帯域外パワーによって定められる帯域幅)に基づいて帯域幅Wを計算する。離散時間内のサンプルに対応するシンボル持続時間(又はCd個のビットを伝送するのにかかる時間)がTである場合、スペクトル効率は次式で得られる:
C/W=Cd/(TW)bps/Hz
AWGNチャネル内の離散時間システムでは、ターボ符号又は同様の符号を使用することでシャノン限界Cdに非常に近い性能が得られる。使用するパルス形状に関わらず離散時間領域内のこの性能は同じになる。例えば、SRRC(平方根二乗余弦)パルス又は矩形パルスを使用することは同じCd(又はCd/T)を与える。しかし、連続時間実用システムを検討するとき、SRRCパルス及び矩形パルスの帯域幅は異なる。よくある実用的な帯域幅定義では、SRRCパルスの帯域幅は矩形パルスの帯域幅よりも小さく、従ってSRRCの方が優れたスペクトル効率を与える。言い換えると、AWGNチャネル内の離散時間システムでは改善の余地が殆どない。しかし、連続時間実用システムでは、スペクトル効率を改善する余地がかなりある可能性がある。
次に図37を参照し、MLO、修正MLO(MMLO)、及び平方根二乗余弦(SRRC)のPSDプロット(BLANK)を示す。図37の例示から、MLOのより優れた局所化特性が示されている。MLOの利点は帯域幅である。図36は、隣接チャネルへの干渉がMLOでははるかに小さいことも示す。このことは、幾つかのチャネル及びシステムのスペクトル資源を管理し、割り当て、又はパッケージする際の追加の利点をもたらし、全体的なスペクトル効率を更に改善する。帯域幅が−40dBcの帯域外パワーによって定められる場合、MLO及びSRRCの帯域幅内PSDを図38に示す。帯域幅の比率は約1.536である。このように、スペクトル効率を改善する余地はかなりある。
修正MLOシステムはブロック処理に基づき、各ブロックはN個のMLOシンボルを含み、各MLOシンボルはL個の層を有する。図39に示すように、MMLOは異なるチャネルSNRを有する並列(仮想)直交チャネルに変換することができる。出力は、MMLOの等価離散時間並列直交チャネルを与える。
シンボル間干渉によって引き起こされるMLOのパルス重複が、並列直交チャネル変換によって対処されていることに留意されたい。一例として、3層且つ40シンボル/ブロックを有するMMLOの並列直交仮想チャネルのパワー利得を図39に示す。図40は、3層且つT
sim=3のMMLOの並列直交チャネルのチャネルパワー利得を示す。注水解法(water filling solution)を適用することにより、固定伝送パワーの直交チャネルにわたる最適なパワー分布を得ることができる。k番目の直交チャネル上の伝送パワーをP
kと表記する。するとMMLOの離散時間容量を次式によって与えることができ:
但しKは、MLO層の数、1ブロック当たりのMLOシンボルの数、及びMLOシンボルの持続時間に依存することに留意されたい。
[−t
1,t
1]によって定めるMLOパルス持続時間、及びシンボル持続時間T
mloについて、MMLOのブロック長は次式で表される:
T
block=(N−1)T
mlo+2t
1
採用した帯域幅定義(ACLR、OBP、又はその他)に基づくMMLO信号の帯域幅をW
mmloだと仮定し、MMLOの実用的スペクトル効率は次式によって与えられる:
図41〜図42は、N=40シンボル/ブロック、L=3層、Tmlo=3、t1=8のMMLOと、持続時間[−8T,8T]、T=1、ロールオフファクタβ=0.22のSRRCとの、5dBのSNRにおけるスペクトル効率比較を示す。ACLR1(第1の隣接チャネル漏洩パワー比)及びOBP(帯域外パワー)に基づく2つの帯域幅定義を使用する。
図43〜図44は、L=4層のMMLOのスペクトル効率比較を示す。特定の帯域幅定義に関するMMLOのスペクトル効率及び利得を以下の表に示す。
次に図45及び図46を参照し、ローパス等価MMLO送信機(図45)及び受信機(図46)の基本的なブロック図を示す。ローパス等価MMLO送信機4500は、ブロックベースの送信機処理4504において幾つかの入力信号4502を受信する。送信機処理は信号をSH(L−1)個のブロック4506に出力し、これらのブロックがI&Q出力を生成する。その後これらの信号は、伝送するために合成回路4508において全て合成される。
ベースバンド受信機(図46)4600内で受信信号が分離され、一連のマッチフィルタ4602に適用される。様々な出力ストリームを生成するために、マッチフィルタの出力がブロックベースの受信機処理ブロック4604に与えられる。
N個のMLOシンボル(各MLOシンボルはL層からのL個のシンボルを搬送する)のブロックを検討されたい。この場合、1ブロックにNL個のシンボルがある。c(m,n)=「n番目のMLOシンボルにおいてm番目のMLO層によって伝送されるシンボル」と定義する。ブロックのNL個のシンボルの全てを列ベクトルとして次のように表記する:c=[c(0,0),c(1,0),...,c(L−1,0),c(0,1),c(1,1),...,c(L−1,1),...,c(L−1,N−1)]T。この場合、長さNLの列ベクトルyによって定めるAWGNチャネル内のその伝送ブロックに関する受信機マッチフィルタの出力はy=Hc+nとして与えることができ、但しHは等価MLOチャネルを表すNL×NL行列であり、nは相関ガウス雑音ベクトルである。
SVDをHに適用することにより、H=U D VHが得られ、但しDは特異値を含む対角行列である。Vを用いる送信機側の処理と受信機側の処理UHとが、NL個の並列直交チャネルを有する等価システムを提供する(即ちy=H Vc+n及びUH y=Dc+UH n)。これらの並列チャネルの利得はDの対角要素によって与えられる。これらの並列チャネルのチャネルSNRは計算可能である。送信及び受信ブロックベース処理によって並列直交チャネルが得られ、従ってISI問題が解決さたことに留意されたい。
これらの並列チャネルのチャネルSNRは同じではないので、固定された総伝送パワーを所与とし、各チャネル上の伝送パワーを計算するために最適注水解法を適用することができる。この伝送パワー及び対応するチャネルSNRを使用し、先の報告内で与えられる等価システムの容量を計算することができる。
フェージング、マルチパス、及びマルチセル干渉の問題
従来のシステム内でチャネルフェージングを抑制するために使用される技法(例えばダイバーシティ技法)はMMLOにも適用することができる。ゆっくりと変化するマルチパス分散チャネルでは、チャネルインパルス応答をフィードバックできる場合、それを上記の等価システムに組み込むことができ、それによりチャネルによって引き起こされるISI及び意図的に投入されるMMLO ISIに一緒に対処することができる。高速時変チャネルでは、又はチャネルフィードバックが不可能な場合、受信機においてチャネル等化を行う必要がある。ブロックベースの周波数領域等化が適用可能であり、オーバーサンプリングが必要になる。
MMLO及び従来のシステムについて同じ隣接チャネルパワー漏洩を考える場合、隣接セルの干渉パワーは両方のシステムでほぼ同じになる。干渉相殺技法が必要な場合、それらもMMLOのために開発することができる。
スコープ及びシステムの説明
この報告は、様々なシンボル間干渉レベルを有する付加白色ガウス雑音チャネル内のMLO信号のシンボル誤り率(又はシンボル誤謬率)の性能を示す。参考として、ISIなしの従来のQAMの性能も含める。MLOの全ての層及び従来のQAMについて同じQAMサイズを検討する。
MLO信号は物理学者の専用のエルミート関数から生成される:
但しHn(αt)はn次のエルミート多項式である。実験セットアップで使用する関数は
に対応し、一貫性を得るためにこの報告では
を使用することに留意されたい。
上記の関数では、n=0〜2、0〜3、又は0〜9に対応する3層、4層、又は10層のMLO信号を使用し、パルス持続時間(tの範囲)は[−8,8]である。
完全な同期を有するAWGNチャネルを考える。
受信機は如何なる干渉相殺、即ちマッチフィルタの出力におけるQAMスライシングも有さないマッチフィルタ及び従来の検出器で構成される。
但しTpはパルス持続時間(検討中のセットアップでは16)であり、Tsymは各MLO層内のシンボルレートの逆数である。以下の表に検討中の事例を列挙する。
変調に用いる信号の導出
これを行うために、量子力学の数学的表現に近い複素形式で信号振幅s(t)を表現するのが便利である。従って、複素信号は次式で表すことができる:
Ψ(t)=s(t)+jσ(t)
s(t)≡実数信号であり
σ(t)=虚数信号(直交)である
但しs(t)及びσ(t)は互いのヒルベルト変換であり、σ(t)はs(t)の直角位相であるため、これらは同様のスペクトル成分を有する。つまりこれらが音波の振幅である場合、耳は一方の形を他方と区別することができない。
更にフーリエ変換の対を以下のように定義する:
Ψ
*(t)Ψ(t)=[s(t)]
2+[σ(t)]
2+・・・≡信号パワー
概して、信号s(t)は、s(t)に良く適合するように及びデータの表現として多項式の係数を使用するために、N次の多項式によって表されると考えることができる。これは、多項式の最初のN個の「モーメント」Mjがデータを表すように多項式を規定することに等しい。つまり多項式の係数の代わりにモーメントを使用することができる。別の方法は、時間の累乗(powers of time)の代わりに、1組のN個の直交関数ψk(t)に関して信号s(t)を拡張することである。ここではデータを直交拡張の係数だと考えることができる。そのような直交関数の1つのクラスは(フーリエ級数にあるような)正弦及び余弦関数である。
従って、直交関数Ψを使用して上記のモーメントを以下のモーメントで表すことができる:
同様に次式が成立する。
複素信号を使用しない場合は次式が成立する:
時間領域から周波数領域への平均値を表すには以下の代入を行う:
ψ(f)→Ψ(t)
これらは古典的な運動量が演算子になる量子力学における幾らか神秘的な規則と等価である:
従って上記の代入を用いて次式が得られる:
及び
今度は実効持続時間及び実効帯域幅を以下のように定めることができる:
しかし以下のことが分かっている:
以下の代入を行えば単純化することができる:
以下のことも分かっている:
(Δt)
2(Δf)
2=(ΔtΔf)
2
従って次式が成立する:
ここで、
の代わりに等式
を強制し、どの信号が等式を満たすのかを調べることに関心がある。固定帯域幅Δfを所与とし、最も効率的な伝送は時間帯域幅積
を最小化するものである。所与の帯域幅Δfについて、最小時間で伝送を最小化する信号はガウスエンベロープである。しかし、実効帯域幅ではなく全帯域幅f
2−f
1が常に与えられることが多い。ここで、このチャネルを介して最短実効時間内に伝送可能な信号形状は何か。また実効持続時間は何か。
但し範囲f
2−f
1の外ではψ(f)はゼロである。
最小化を行うために変分法(ラグランジュ乗数法)を使用する。分母は定数であり、従って分子を以下のように最小化するだけで良いことに留意されたい:
第1項
第2項
両項
これは以下のときに且つそのときに限って可能である:
これの解は以下の形式のものである:
ここで、波が無限遠で消失するが、依然として最小時間帯域幅積を満たすことを要求した場合:
すると調和発振器の波動方程式が得られる:
これは以下の場合に限って無限遠で消失する:
λ=α(2n+1)
但しH
n(τ)はエルミート関数であり、次式が成立する:
そのためエルミート関数H
n(τ)は、1/2、3/2、5/2,...(最小情報量子として1/2)の情報ブロックを占める。
スクイーズド状態
ここで、ディラック代数の量子力学手法を使用して最も一般化された形式で完全な固有関数を導出する。以下の演算子を定義することから始める:
[b,b
+]=1
a=λb−μb
+
a
+=λb
+−μb
ここで、Δx及びΔpを以下のように定義する準備ができた:
次に異なるようにパラメータ化し、2つの変数λ及びμの代わりに、以下のように1つの変数ξだけを使用する:
λ=sinhξ
μ=coshξ
λ+μ=e
ξ
λ−μ=−e
−ξ
ここで、スクイーズド事例の固有状態は以下の通りである:
b|β〉=β|β〉
(λa+μa
+)|β〉=β|β〉
b=UaU
+
U
+(ξ)aU(ξ)=a coshξ−a
+sinhξ
U
+(ξ)a
+U(ξ)=a
+coshξ−a sinhξ
今度はスクイーズド演算子を考えることができる:
|α,ξ〉=U(ξ)D(α)|0〉
P(n)の分布について次式が得られる:
P(n)=|〈n||β,ξ〉|
2
従って最終的な結果は下記の通りである:
自由空間通信
本明細書で上記に記載した光角運動量処理及び多層オーバーレイ変調技法が光ネットワークフレームワーク内で有用だと分かり得る追加の構成は、自由空間光通信の通信との使用である。自由空間光通信システムは、システム間の改善された隔離、受信機/送信機のサイズ及びコスト、RF免許法律の欠如から、並びに空間、照明、及び通信を同じシステム内に組み合わせることによって、従来のUHF RFベースのシステムに勝る幾つかの利点を提供する。次に図47を参照し、自由空間通信システムの動作の一例を示す。自由空間通信システムは、自由空間光通信受信機4704に光ビーム4706を伝送する自由空間光通信送信機4702を利用する。光ファイバネットワークと自由空間光ネットワークとの主な違いは、情報ビームが光ファイバケーブル上ではなく自由空間を介して伝送されることである。かかる伝送形態は幾つかのリンクの問題を引き起こす(以下でより完全に論じる)。自由空間光通信は、目に見えない光ビームを使用して送信機4702と受信機4704との間で2.5Gbpsまでのデータ、音声、及びビデオ通信を送受信することができる光帯域幅接続を提供する見通し線技術である。自由空間光通信は、光ファイバケーブルを使用しないことを除いて光ファイバと同じ概念を使用する。自由空間光通信システムは、光スペクトルの下端にある赤外(IR)スペクトル内の光ビーム4706を提供する。とりわけ光信号は、波長に関して300ギガヘルツから1テラヘルツの範囲内にある。
現存の自由空間光通信システムは、2.5キロメートルまでの距離において10ギガビット/秒までのデータレートを提供可能である。宇宙空間では自由空間光通信の通信距離が現在は数千キロメートル程度だが、光学望遠鏡をビームエキスパンダとして使用して数百万キロメートルの惑星間距離を橋渡しする潜在能力を有する。2013年の1月にNASAは、レーザを使用しておおよそ240,000マイル離れたルナーリコネサンスオービタ(Lunar Reconnaissance Orbiter)にモナリザの画像を送出した。大気の干渉を補償するために、コンパクトディスク内で使用されるのと同様の誤り訂正符号アルゴリズムが実装された。
光通信の距離の記録は、宇宙探査機によるレーザ光の検出及び放射を伴う。メッセンジャー(MESSENGER)宇宙船に搭載された水星レーザ高度計器具によって通信の双方向距離の記録が確立された。水星オービタミッションのためのレーザ高度計として設計されたこの赤外ダイオードネオジウムレーザは、2005年5月の接近通過で宇宙船が地球に近づいたとき、おおよそ15,000,000マイル(24,000,000キロメートル)の距離にわたって通信することができた。前の記録はガリレオ探査機による地球からのレーザ光の単方向検出によって作られており、1992年に2つの地上レーザがアウトバウンドの探査機によって6,000,000キロメートルから観測された。研究者らはインドアローカルエリアネットワーク通信のための白色LEDベースの空間照明システムを使用した。
次に図48を参照し、本開示による軌道角運動量及びマルチレベルオーバーレイ変調を用いる自由空間光通信システムのブロック図を示す。本開示はOAM及びMLO変調を使用するシステムに関して得られるが、システムはこれらの技法の1つだけを実装し又はどちらも実装しなくても良いことが理解されよう。ファイバ上で伝送されることに加え、OAMねじれ信号は自由光学を使用して伝送することもできる。この場合、伝送信号はFSOトランシーバ4804のそれぞれにおいて送信回路4802内で生成される。自由空間光通信技術はFSOベースの光無線ユニット間の接続性に基づき、FSOベースの光無線ユニットは、全二重オープンペア及び双方向クローズドペアリング能力を提供するための送信機4802及び受信機4806を有する光トランシーバ4804でそれぞれ構成される。各光無線トランシーバユニット4804は、情報を受信する別のレンズ4810に大気を通して光を伝送するための光源4808とレンズ又は望遠鏡4810とを更に含む。このとき、受信側のレンズ又は望遠鏡4810が光ファイバ4812を介して高感度受信機4806に接続される。送信側のトランシーバ4804a及び受信側のトランシーバ4804bは互いへの見通し線を有する必要がある。樹木、建物、動物、及び大気条件は、全てこの通信媒体に必要な見通し線を妨げ得る。見通し線は極めて重要なので、一部のシステムはビーム広がり又は拡散ビーム手法を使用し、かかる手法は全体的な信号品質に著しい影響を与えることなしに相当な見通し線の干渉に耐える広視野を含む。本システムは自動追跡機構4814も備えることができ、自動追跡機構4814はトランシーバが高い建物又は他の揺れる構造物に設置される場合でさえ強く集束されたビームを受信側のトランシーバ3404b上で維持する。
光源4808と共に使用される変調光源は、典型的にはシステムの全ての送信機機能を決定する伝送光信号を与えるレーザ又は発光ダイオード(LED)である。受信機4806内の検出器の感度だけが全体のシステム性能において同等に重要な役割を果たす。電気通信目的では、20メガビット/秒から2.5ギガビット/秒で変調可能なレーザだけが現在の市場の需要を満たすことができる。加えて、装置がどのように変調されるのか、及びどの程度の変調パワーが生成されるのかの両方が装置の選択にとって重要である。780nm〜850nm及び1520nm〜1600nmのスペクトル帯のレーザが周波数要件を満たす。
市販のFSOシステムは750nmから1600nmの近赤外波長範囲内で動作し、幾らかのシステムが10,000nmの赤外波長で動作するように開発されている。大気を通って移動するときの光エネルギの物理特性及び伝送特性は可視波長範囲及び近赤外波長範囲の全体にわたって同様だが、特定のシステムについてどの波長が選択されるのかに影響を及ぼす幾つかの要因は除く。
可視波長及び近赤外波長内では大気の透過性が高いと考えられる。しかし、特定の波長又は波長帯は極端な吸収を被る場合がある。近赤外波長では、澄んだ気象条件の下でも大気の固有部分である水粒子(即ち湿度)に主に応じて吸収が発生する。700〜10,000nmの波長範囲内にはほぼ透過的な(即ち0.2dB/キロメートル未満の減衰を有する)幾つかの伝送窓がある。これらの波長は特定の中心波長の周りに位置し、自由空間光通信システムの大多数は780〜850nm及び1520〜1600nmの窓内で動作するように設計される。
780nm〜850nmの範囲内の波長は自由空間光通信の動作に適しており、この範囲内では更に高いパワーのレーザ光源が動作し得る。780nmでは安価なCDレーザを使用することができるが、これらのレーザの平均寿命が問題となり得る。これらの問題はレーザをその最大定格出力パワーの数分の一で実行することによって対処することができ、それによりレーザの寿命が大幅に延びる。850nmの周辺で、光源4808は容易に入手可能でありネットワーク伝送機器内で一般に使用される安価で高性能な送信機及び検出器コンポーネントを含み得る。光源4808内では、高感度シリコン(SI)アバランシェフォトダイオード(APD)検出器技術及び高度な面発光レーザ(vertical cavity emitting laser)が利用され得る。
VCSEL技術は780nmから850nmの範囲内での動作に使用することができる。この技術の潜在的な不利点は暗視スコープの使用によるビーム検出を含むが、この技法を使用して感知光ビームを復調することは依然としてできない。
1520nm〜1600nmの範囲内の波長は自由空間伝送に良く適しており、光源ブロック4808内で使用するための高品質の送信機及び検出器コンポーネントが容易に入手可能である。この波長範囲内の低減衰とコンポーネントの高可用性との組合せは、波長分割多重(WDM)自由空間光通信システムの発展を可能にする。しかし、850nmの波長でオペレータ(operator)、シリコンアバランシェフォトダイオード検出器と比較した場合、コンポーネントは概してより高価であり、検出器は典型的にはより鈍感であり受信面積が小さい。これらの波長は、高パワー(500ミリワット超)且つ高データレート(2.5ギガバイト/秒超)のシステムにとって重要なエルビウム添加ファイバ増幅器技術に適合する。同じ肉眼安全区分について、1520nm〜1600nmの波長では780nm〜850nmの波長で伝送可能なパワーの50倍から65倍のパワーを伝送することができる。これらの波長の不利点は、暗視スコープでビームを検出できないことを含む。暗視スコープは、位置合せ回路4814によってビームを位置合わせするために使用することができる1つの技法である。クラス1レーザは、ビーム内観察のための光学機器の使用を含む合理的に予見可能な動作条件下では安全である。クラス1システムは、制限なしに任意の場所に設置可能である。
別の潜在的な光源4808はクラス1Mレーザを含む。クラス1Mレーザシステムは302.5nmから4000nmの波長範囲内で動作し、合理的に予見可能な条件下では安全だが、利用者がビーム経路の一部の中で光学機器を使用する場合は危険であり得る。結果として、クラス1Mシステムは、光学補助具の安全ではない使用を防止することができる位置にのみ設置すべきである。光源4808に使用することができるクラス1レーザ及びクラス1Mレーザ両方の様々な特性の例を以下の表Gに示す。
10,000nmの波長は商用の自由空間光通信市場にとって比較的新しく、より優れた霧透過能力のために開発されている。この特性は霧の種類及び持続時間に強く依存するので、現在それらの特性に関してかなりの議論が存在する。電気通信機器内で通常は使用されないので、10,000nmの波長では入手可能なコンポーネントが殆どない。加えて10,000nmのエネルギはガラスを貫通しないので、窓の背後への展開には不向きである。
これらの波長窓内で、FSOシステムは以下の特性を有するべきである。システムは、より高いパワーレベルで動作する能力を有するべきであり、これは長距離FSOシステムの伝送にとって重要である。システムは高速変調を行う能力を有するべきであり、これは高速FSOシステムにとって重要である。システムは狭い設置面積と少ない電力消費量を可能にすべきであり、これはシステム全体の設計及び維持にとって重要である。屋外システムに有用であることを証明できるように、システムは大幅な性能劣化なしに幅広い温度範囲にわたって動作する能力を有するべきである。加えて、平均故障間隔は10年を超えるべきである。現存のFSOシステムは、短い赤外波長範囲内での動作にVCSELSを、長い赤外波長範囲内での動作にファブリペロー又は分布帰還型レーザを概して使用する。他の幾つかのレーザの種類が高性能のFSOシステムに適する。
軌道角運動量処理及び多層オーバーレイ変調を使用する自由空間光通信システムは幾つかの利点をもたらす。このシステムは非常に便利である。自由空間光通信は、ラストマイル接続に対する無線ソリューション又は2つの建物間の接続を提供する。ファイバケーブルを掘ったり埋めたりする必要はない。自由空間光通信はRF免許も必要としない。このシステムはアップグレード可能であり、そのオープンインタフェースは様々なベンダからの機器をサポートする。このシステムは窓の背後に展開することができ、高価な屋上の権利の必要性をなくす。このシステムは無線周波数の干渉又は飽和にも影響されない。このシステムはかなり高速でもある。このシステムは2.5ギガビット/秒のデータスループットを提供する。かかるデータスループットは2つのサイト間でファイルを転送するのに十分な帯域幅を与える。ファイルのサイズが増すにつれて、自由空間光通信はそれらのファイルを効率的に転送するのに必要な帯域幅を提供する。
自由空間光通信は安全な無線ソリューションも提供する。レーザビームは、スペクトル分析器又はRFメータでは検出することができない。ビームは不可視であり、そのことはビームを見つけにくくする。データを送受信するために使用されるレーザビームは非常に細い。つまり伝送されているデータを傍受することはほぼ不可能である。この離れ業を実現できるようにするには、受信機と送信機との間の見通し線内に人がいる必要がある。見通し線内にいることが生じた場合、そのことは接続が失われていることを受信側のサイトに警告する。従って、自由空間光通信システムには最低限のセキュリティアップグレードが必要になる。
しかし、自由空間光通信システムには幾つかの弱点がある。自由空間光通信システムの距離は非常に限られている。現在動作している距離は約2キロメートル以内である。自由空間光通信システムは大きなスループットを有する強力なシステムだが、距離が制限されることは本格的な実装にとって大きな障害となる。加えて、伝送中の全ての時点において見通し線が維持されることを全てのシステムが必要とする。環境的なものだろうが動物だろうが如何なる障害物も伝送を妨げ得る。自由空間光通信技術は、自由空間光通信システムの性能容量に影響を及ぼし得る大気の変化に対処するように設計されなければならない。
自由空間光通信システムに影響を及ぼす可能性があるものは霧である。濃い霧は、自由空間光通信システムの動作に対する主な試練である。雨及び雪は自由空間光通信技術に殆ど影響を及ぼさないが、霧はそうではない。霧は直径数百ミクロンしかない水滴で構成される蒸気だが、吸収、散乱、及び反射の組合せによって光の特性を修正し又は光の通過を完全に遮る可能性がある。自由空間光通信ベースの無線製品を展開するときに霧に対処するための主な対応策は、FSOリンク距離を短くし、ネットワークの冗長性を追加するネットワーク設計によるものである。
吸収は別の問題である。吸収は地表大気内の浮遊水分子が光子を消滅させるとき生じる。吸収は自由空間光通信ビームのパワー密度の低下(減衰)を引き起こし、システムの可用性に直接影響する。吸収は一部の波長で他の波長よりも容易に起こる。しかし、大気条件に基づく適切なパワーを使用すること及び空間ダイバーシティ(FSOベースユニット内の複数のビーム)を使用することは、要求されるネットワークの可用性レベルを維持するのを助ける。
太陽干渉も問題である。自由空間光通信システムは、高感度受信機を大口径レンズと組み合わせて使用する。その結果、自然の背景光が自由空間光通信信号の受信と潜在的に干渉し得る。これは強い太陽光に関連する高レベルの背景放射がある場合に特に当てはまる。一部の例では、太陽が受信機の視野内にあるとき、直射日光が数分間にわたってリンクの停止をケース(case)し得る。しかし、直接太陽照射の影響を受信機が最も受けやすい時間は容易に予測することができる。機器の直接暴露が不可避である場合、受信機の視野を狭めること及び/又は狭帯域光フィルタを使用することでシステムの性能を改善することができる。ガラス面から反射する太陽光によって生じる干渉もあり得る。
散乱の問題も接続の可用性に影響し得る。散乱は波長が散乱体と衝突するとき発生する。散乱体の物理的なサイズが散乱の種類を決定する。散乱体が波長よりも小さい場合、その散乱はレイリー散乱として知られる。散乱体が波長に匹敵するサイズである場合、その散乱はミー散乱として知られる。散乱体が波長よりもはるかに大きい場合、その散乱は非選択的散乱として知られる。吸収とは異なり散乱ではエネルギ損失がなく、長距離にわたるビーム強度の著しい低下を有し得るエネルギの方向的再分配だけがある。
飛んでいる鳥又は建設クレーン等の物理的障害物も単一ビーム自由空間光通信システムを一時的にブロックし得るが、これは短い中断しか引き起こさない傾向がある。障害物が移動すると伝送は容易且つ自動的に再開される。光無線製品は一時的なアブストラクション(abstractions)並びに他の大気条件に対処してより優れた可用性をもたらすために、マルチビーム(空間ダイバーシティ)を使用する。
建物の移動は、受信機と送信機との位置合せを狂わせる場合がある。自由空間光通信ベースの光無線商品は、接続性を維持するために発散ビームを使用する。追跡機構と組み合わせると、マルチビームFSOベースのシステムは一層優れた性能及び設置の単純さの向上をもたらす。
シンチレーションは、様々なエアポケット間の温度差を作り出す地球又は人工装置(暖房ダクト等)に源を発する加熱された空気によって引き起こされる。シンチレーションは、自由空間光通信ベースの受信機端における「イメージダンシング(image dancing)」につながる信号振幅の揺らぎを引き起こし得る。このシンチレーションの影響は「屈折乱流」と呼ばれる。屈折乱流は光ビームに対して主に2つの効果を引き起こす。ビームワンダは、ビーム程の大きさの乱流渦によって引き起こされる。ビームの開きは、大気を伝搬するときの光ビームの開きである。
次に図49Aから図49Dを参照し、光リンク内のより高いデータ容量を実現するために、複数のデータチャネルを多重化することによる更なる自由度を活用する必要がある。更に、2つの異なる直交多重化技法を一緒に使用する能力は、劇的にシステム性能を高め帯域幅を増やす潜在性がある。
この可能性を活用し得る1つの多重化技法は、軌道角運動量(OAM)を用いるモード分割多重(MDM)である。OAMモードは、その波面においてeilψの位相項を有する自由空間光通信システム又は光ファイバシステム内のレーザビームを指し、但しψは方位角であり、lはOAM値(トポロジカルチャージ)を決定する。概して、OAMモードは「ドーナツのような」輪状の強度分布を有する。様々なOAM値を搬送する複数の空間的な同じ場所に配置されたレーザビームは互いに直交し、同じ波長上で複数の独立したデータチャネルを伝送するために使用することができる。結果として、ビット/S/Hzに換算したシステム容量及びスペクトル効率を劇的に高めることができる。OAMを用いる自由空間通信リンクは、100Tビット/容量をサポートし得る。図49Aから図49Dに示すこれを実装するための様々な技法は、各波長上の複数の異なるOAM値4904を有する複数のビームの組合せ4902を含む。従って、ビーム4902はOAM値であるOAM1及びOAM4を含む。ビーム4906はOAM値2及びOAM値5を含む。最後に、ビーム4908はOAM3の値及びOAM6の値を含む。次に図48Bを参照し、正のOAM値4912及び負のOAM値4914の両方を有するOAM値4912の第1のグループを用いる単一ビーム波長4910を示す。同様にOAM2の値は、同じ波長4910上の正値4916及び負値4918を有し得る。
図49Cは、OAM値の偏波多重を有する波長4920の使用を示す。波長4920上には複数のOAM値4922が多重化され得る。OAM値に左旋偏波又は右旋偏波を適用することによって利用可能なチャネル数を更に増やすことができる。最後に、図49Dは複数のOAM値を有する波長に関する同心円状の輪の2つのグループ4960、4962を示す。
波長分布多重(WDM:wavelength distribution multiplexing)は、光ファイバシステム及び自由空間通信システムの両方で光通信容量を改善するために広く使用されている。OAMモード多重及びWDMは互いに直交し、そのためシステム容量の劇的な増加を実現するためにそれらを組み合わせることができる。次に図50を参照し、各WDMチャネル5002が多くの直交OAMビーム5004を含むシナリオを示す。このように、軌道角運動量と波分割多重との組合せを使用することで、容量に対する通信リンク内の著しい向上を実現することができる。
現在の光通信アーキテクチャは、かなりのルーティングの課題を有する。自由空間光通信システムと共に使用するためのルーティングプロトコルは、自由空間光通信システム内での光通信のための見通し線の要件を考慮に入れる必要がある。従って自由空間光通信ネットワークは、センサがマルチホップ経路により自らのデータをクラスタヘッド経由で基地局にルーティングする、有向階層型ランダムセクタ幾何学的グラフとしてモデリングする必要がある。これは局所的な近傍を発見するための新しく効率的なルーティングアルゴリズムであり、基地局アップリンク及びダウンリンク発見アルゴリズムである。このルーティングプロトコルは、現在の技法及びアーキテクチャ内で使用されるオーダーO(n)に対し、各ノードにおいてオーダーOlog(n)の記憶域を必要とする。
現在のルーティングプロトコルは、リンク状態、距離ベクトル、経路ベクトル、又はソースルーティングに基づいており、それらはこの新たなルーティング技法とかなり異なる。第1に、現在の技法はリンクの一部が双方向だと想定する。このことは全てのリンクが単方向である自由空間光通信ネットワークには該当しない。第2に、現在の多くのプロトコルはアドホックネットワーク向けに設計されており、アドホックネットワークではルーティングプロトコルが複数のノードの任意の対の間のマルチホップ通信をサポートするように設計される。センサネットワークの目標はセンサの読取値を基地局にルートすることである。従って、主要なトラフィックパターンがアドホックネットワーク内のものと異なる。センサネットワークでは、ノードから基地局への、基地局からノードへの、及び局所的な近傍の通信が主に使用される。
近年の研究は単方向リンクの効果を検討し、様々な要因によりリンク及び無線アドホックネットワークのうちの5パーセントから10パーセントもの数が単方向だと報告した。DSDVやAODV等のルーティングプロトコルは逆経路技法を使用し、そのような単方向リンクを暗に無視し、従ってこのシナリオには関係しない。DSR、ZRP、又はZRL等の他のプロトコルは、単方向リンクを検出し、そのリンクに双方向アブストラクションを提供することによって単方向性に対応するように設計され又は修正されている。次に図51を参照し、単方向性を扱うための最も単純且つ最も効率的な解決策はトンネリングであり、トンネリングではトンネルを確立するためにリバースバックチャネル上で双方向リンクを使用することにより単方向リンクについて双方向性をエミュレートする。トンネリングは更に、単方向リンク上で受信されるトンネリングされたパケットのためのリンク層肯定応答を単にプレスすることにより、肯定応答パケットの集中とルーピングも防ぐ。しかし、トンネリングは単方向リンクを殆ど有さない主に双方向のネットワーク内で上手く機能する。
自由空間光通信ネットワーク等の単方向リンクしか使用しないネットワーク内では、図51及び図52に示すようなシステムの方が適用可能である。単方向ネットワーク内のノードは、ノード5100から単一の定義された方向に伝送する指向性送信(directional transmit)5102を利用する。加えて各ノード5100は、任意の方向からノードに到来する信号を受信可能な全方向性受信機5004を含む。更に、ここで及び上記で論じたように、ノード5100は0log(n)記憶域5106も含む。従って各ノード5100は単方向通信リンクだけを提供する。このようにして、図52に示すような一連のノード5100が他の任意のノード5100と単方向通信し、相互接続されたノードの配列によって或るデスク位置から別のデスク位置へと通信を転送することができる。
トポロジカルチャージは、線形偏波又は円偏波のために波長に多重化することができる。線形偏波の場合、トポロジカルチャージは垂直及び水平偏波上で多重化されることになる。円偏波の場合、トポロジカルチャージは左円偏波及び右円偏波上で多重化されることになる。
トポロジカルチャージは、図17Eに示すような螺旋位相板(SPPs)、位相マスクホログラム、又は空間光変調器(SLM)を使用して(特定のトポロジカルチャージと共にビームのねじれをもたらす適切に変化する屈折率を作り出すSLM上の電圧調節によって)作り出すことができる。様々なトポロジカルチャージを作り出し、一緒に多重化し、非多重化してチャージを分離することができる。
螺旋位相板が平面波(l=0)を特定のヘリシティのねじれ波(即ちl=+1)に変換できるように、四分の一波長板(QWP)は線形偏波(s=0)を円偏波(即ちs=+1)に変換することができる。
クロストーク及びマルチパス干渉は、多入力多出力(MIMO)を使用して低減することができる。
チャネル障害の殆どは制御チャネル又はパイロットチャネルを使用して検出することができ、アルゴリズム的技法(閉ループ制御系)を使用して補正することができる。
トポロジカルチャージをRF並びに自由空間光通信にリアルタイムで多重化することは、冗長性及びより優れた容量をもたらす。大気擾乱又はシンチレーションによるチャネル障害が情報信号に影響を及ぼす場合、自由空間光通信とRFとをリアルタイムで切り替えることができる。この手法は、自由空間光通信並びにRF信号の両方でねじれ波を依然として使用する。チャネル障害の殆どは制御チャネル又はパイロットチャネルを使用して検出することができ、アルゴリズム的技法(閉ループ制御系)を使用して、又はRFと自由空間光通信とを切り替えることによって補正することができる。
図53に示す更なる実施形態では、RF信号及び自由空間光通信の両方をデュアルRF・自由空間光通信機構5302内で実装することができる。デュアルRF・自由空間光通信機構5302は、マルチレベルオーバーレイ変調と共に軌道角運動量が加えられた光波を伝送する自由空間光通信投影部5304と、RF信号5310上で軌道角運動量及び多層オーバーレイと共に情報を伝送するのに必要な回路を含むRF部5306とを含む。デュアルRF・自由空間光通信機構5302は、自由空間光通信信号5308とRF信号5310との間で動作条件に応じてリアルタイムで多重化され得る。或る状況では、データを伝送するのに自由空間光通信信号5308が最適である。他の状況では自由空間光通信信号5308を利用できず、データを伝送するのにRF信号5310が最適である。デュアルRF・自由空間光通信機構5302は、利用可能な動作条件に基づいてこれらの2つの信号をリアルタイムで多重化することができる。
トポロジカルチャージをRF並びに自由空間光通信にリアルタイムで多重化することは、冗長性及びより優れた容量をもたらす。大気擾乱又はシンチレーションによるチャネル障害が情報信号に影響を及ぼす場合、自由空間光通信とRFとをリアルタイムで切り替えることができる。この手法は、自由空間光通信並びにRF信号の両方でねじれ波を依然として使用する。チャネル障害の殆どは制御チャネル又はパイロットチャネルを使用して検出することができ、アルゴリズム的技法(閉ループ制御系)を使用して、又はRFと自由空間光通信とを切り替えることによって補正することができる。
次に図54を参照し、窓又は壁を介して信号を伝送するためにVCSELを使用するのではなく、ホーンアンテナ又は円錐アンテナを使用する代替的実施形態を示す。信号が窓/壁を介して伝送することによって引き起こされる損失を克服するために、ホーンアンテナによって伝送される信号を伝送のために増幅する。この装置は、穴あけを一切必要とすることなしに窓又は壁を通る光トンネル又はRFトンネルを提供する。ミリ波伝送システム5402は、窓又は壁5406の外部に位置する外側部分5404と、壁又は窓の内部に位置する内側部分5408とを含む。外側部分5404は、外部ソースに信号を送受信するためのアンテナ5410を含む。好ましい実施形態では、このアンテナが28GHzアンテナを含む。但し、他のアンテナ動作帯域幅が利用されても良いことを当業者なら理解されよう。
送受信される信号は、28GHzサーキュレータ5412において処理する。サーキュレータ5412は外側部分5404内で3つのポートを切り替えるためのRFスイッチを含み、優れた絶縁を有する。サーキュレータ5412内では、ポート2において入力される信号はポート3において出力され、ポート1において入力される信号はポート2に出力される。従って、アンテナ5410が受信する信号はサーキュレータ5412のポート2に与えられ、ポート3に出力される。ポート3の信号をパワー増幅器5414の入力に与える。同様にパワー増幅器5416の出力を入力ポート1に接続し、それによりアンテナ5410によって伝送するために伝送しようとする信号をサーキュレータ5412のポート2に与える。
パワー増幅器5412は、窓又は壁を介して伝送するために信号強度をブーストする。パワー増幅器5414から出力される信号をホーンアンテナ5418に与える。ホーンアンテナ5418は、窓又は壁5406を介してパワー増幅器5414から受信側のホーンアンテナ5420に与えられるRF信号を伝送する。ホーンアンテナは、24GHzからeバンドまでの幅広い周波数帯上で送受信することができる。この範囲内で、ホーンアンテナのための特定の動作帯域が利用される。これらの帯域は、これだけに限定されないが24GHz帯、28GHz A1帯、28GHz B1、A3、及びB2帯、31GHz帯、並びに39GHz帯を含む。例えば10dB又は20dBの利得を与えるために、ホーンアンテナは様々なサイズのものとすることもできる。
受信信号は、復調するためにホーンアンテナ5420から復調器回路5422に出力する。復調器5422は、アンテナ5420から受信信号を受信することに加えて、位相同期ループ/局所発振器5424から出力される信号を受信する。位相同期ループ/局所発振器5424はクロック生成回路5426に応じて制御される。デジタル出力を生成するために、復調器5422からアナログ−デジタル変換器5428に復調信号を与える。デジタル信号はルータ5432によって構造内の適切な受信者にルートされる。
伝送信号がルータ5430において建物内から受信される。ルータ5430はデジタル信号をデジタル−アナログ変換器5432に与え、デジタル−アナログ変換器5432はデジタルデータ信号をアナログ形式に変換する。次にアナログ信号を変調器5434によって変調する。変調器5434は、クロック生成回路5426の制御下にある位相同期ループ/局所発振器5424からの入力に応じて信号を変調する。変調器5434からの変調信号は、ホーンアンテナ5436を使用して窓/壁5406を介して伝送する。ホーンアンテナ5436によって伝送される信号が、外側に位置する受信側のホーンアンテナ5438によって受信される。ホーンアンテナ5438の出力をパワー増幅器5416の入力に与え、パワー増幅器5416はサーキュレータ5412を通過させた後でアンテナ5410から伝送するために信号を増幅する。上記の解説は窓/壁を介して伝送するためにホーンアンテナを使用することに関して行ったが、窓又は壁を介して伝送するために円錐アンテナを使用することもできる。
次に図55を参照し、伝送アンテナ5410と内側部分5408内の受信回路との間のダウンリンク損失を示す。信号は−110dBmで受信される。受信アンテナは45dBの利得を有し、2dBの損失を有する。従って、受信アンテナ5410から出力される信号は−67dBmの強度を有する。サーキュレータ5412は2dBの損失を有し、サーキュレータ5412からの信号は−69dBmの強度を有する。パワー増幅器5414が27dB与えて、窓/壁を介して伝送するために信号を−42dBmまでブーストする。ホーンアンテナ5418が10dBiの利得を与えて信号を32dBmで伝送する。窓/壁は約40dBの損失を与える。受信ホーンアンテナ5420はその信号を−72dBmで受信し、10dBiの利得を与えて受信信号を内部の回路コンポーネントに−62dBmで出力する。
次に図56を参照し、パワー増幅器が窓/壁5406の外側に位置する場合のアップリンク信号強度を示す。伝送信号は、ホーンアンテナ5436の入力に到達する前に18dBmの強度を有する。アンテナ5436は10dBiの利得を与えてその信号を28dBmで伝送する。窓/壁5406は約40dBの合計損失を生じさせ、信号強度を−12dBまで下げる。ホーンアンテナ5438が信号に10dBiの利得を与え、その信号を−2dBmで出力する。パワー増幅器5416は26dBの利得を与えて、サーキュレータ5412のポート1入力に24dBmで信号を出力する。パワーサーキュレータ5412は更に2dBの損失を与えて、アンテナ5410に信号を22dBmで出力する。45dBの利得及び2dBの損失を有するアンテナ5410からその信号を伝送し、65dBmの伝送信号強度を与える。
次に図57を参照し、パワー増幅器5702が建物の内側に位置する場合のアップリンク信号強度を示す。内部のパワー増幅器5702は、内部の端末からより強いパワーを伝送する必要がある場合に使用する。パワー増幅器5702に入力される前、信号は建物内で18dBmの強度を有する。パワー増幅器5902は26dBの利得を与えてその信号を44dBmでホーンアンテナ5436の入力に伝送する。ホーンアンテナ5436は10dBiの利得を与え、伝送されるRF信号は54dBmにある。伝送信号は窓/壁5404による約40dBの損失を被り、窓/壁5404は窓/壁の外側部分5404上で信号強度を14dBmまで下げる。受信側のホーンアンテナ5438が10dBiの利得を与えてホーンアンテナ5438の出力における信号強度を24dBmまで高め、その信号はサーキュレータ5412のポート1に与えられる。サーキュレータ5412が2dBの損失を生じさせ、信号強度を22dBmまで下げる。伝送アンテナ5410が45dBの更なる利得及び2dBの損失を与え、65dBmの伝送出力信号強度をもたらす。
次に図58を参照し、パワー増幅器を含めない場合のダウンリンク上の利得及び損失を示す。−103dBmの強度を有する信号がアンテナ5410によって受信される。アンテナ5410は45dBの利得及び2dBの損失を与える。この利得及び損失は、サーキュレータ5412のポート2に入力される60DBMの信号をアンテナ5410の出力において与える。サーキュレータ5412は更に2dBの損失を信号に与えて−62dBmの信号をポート3から与え、その信号は20dBiの利得を与えるホーンアンテナ5418の入力に与えられる。−42dBmの値を有する信号が、ホーンアンテナ5418から窓/壁5406を介して伝送される。窓/壁5406は約40dBの損失を伝送信号に与え、受信側のホーンアンテナ5420における−82dBmの信号をもたらす。ホーンアンテナ5420は更に20dBiの利得を信号に与え、その信号は−62dBmで装置の内側部分5408の残りの回路に出力される。
次に図59を参照し、パワー増幅器を設けない場合のアップリンクの様々な箇所における信号強度を示す。伝送信号が18dBmの強度でホーンアンテナ5432の入力に与えられる。ホーンアンテナ5432は20dBiの利得を与えて、窓/壁5406を介して38dBmで信号を出力する。窓/壁5406は約40dBの損失を信号に与え、そのため受信側のホーンアンテナ5438は−2dBで信号を受信する。受信側のホーンアンテナ5438は20dBiの利得を用いて信号を18dBmまでブーストする。その18dBmの信号がサーキュレータ5412のポート1に入力される。サーキュレータ5412は信号に対する2dBの損失を生じさせ、その信号は60dBmでポート2によって出力される。伝送アンテナは45dBの利得及び2dBの損失を有し、アンテナからの伝送信号を59dBmにする。
窓/壁及び様々なシステムコンポーネントに関する上記のdB損失は全て概算値である。本明細書に記載の実施形態に関して他のdB損失値及び利得を含むシステムも使用することができる。特定の壁又は窓及び関連するシステムコンポーネントに関連するdB損失を算出するやり方は当業者に知られている。dB値を算出することができるやり方の一例が、参照によりそのそれぞれを本明細書に援用する2016年8月1日に出願され、REGENERATION,RETRANSMISSION OF MILLIMETER WAVES FOR INDOOR PENETRATIONと題された米国仮特許出願第62/369,393号明細書(代理人整理番号NXGN−33233)、及び2016年11月22日に出願され、REGENERATION,RETRANSMISSION OF MILLIMETER WAVES FOR BUILDING PENETRATION USING HORN ANTENNASと題された米国仮特許出願第62/425,432号明細書(代理人整理番号NXGN−33391)の中で記載されている。
ホーンアンテナ
次に図60を参照し、窓又は壁を介して信号を伝送するためにホーンアンテナが使用される、を使用する更なる代替的実施形態を示す。前と同じように、ミリ波伝送システム5402は、窓又は壁5406の外部に位置する外側部分5404と、壁又は窓の内部に位置する内側部分5408とを含む。外側部分5404は、外部ソースに信号を送受信するためのアンテナ5410を含む。
送受信される信号は、28GHzサーキュレータ5412において処理する。ポート3の信号をパワー増幅器5414の入力に与える。同様にパワー増幅器5416の出力を入力ポート1に接続し、それによりアンテナ5410によって伝送するために伝送しようとする信号をサーキュレータ5412のポート2に与える。パワー増幅器5414から出力される信号を28GHzホーンアンテナ5418に与える。ホーンアンテナ5418は、窓又は壁5406を介して伝送して受信側のホーンアンテナ5420にパワー増幅器5414から与えられたRF信号に伝送する。受信信号は、復調するためにホーンアンテナ5420から変調器回路5422に出力する。復調器5422は、アンテナ5420から受信信号を受信することに加えて、位相同期ループ/局所発振器5424から出力される信号を受信する。位相同期ループ/局所発振器5424はクロック生成回路5426に応じて制御される。復調器5422からアナログ−デジタル変換器5428に復調信号を与える。デジタル信号はルータ5432によって適切な受信者にルートされる。
伝送信号がルータ5430において建物内から受信される。一実施形態では、ルータ5630がWi−Fiルータを含む。ルータ5430はデジタル信号をアナログ形式に変換するデジタル−アナログ変換器5432に与える。次にアナログ信号を変調器5634によって変調する。変調器5434は、クロック生成回路5426の制御下にある位相同期ループ/局所発振器5424からの入力に応じて信号を変調する。変調器5434からの変調信号は、ホーンアンテナ5436によって窓/壁5406を介して出力する。ホーンアンテナ5436によって伝送される信号、又は外側に位置する受信側のホーンアンテナ5438によって受信される。ホーンアンテナ5438の出力を入力パワー増幅器5416に与え、入力パワー増幅器5416はサーキュレータ5412を通過させた後でアンテナ5610から伝送するために信号を増幅する。
ホーンアンテナ5418、5420、5436、及び5438は20dBまでの高利得を有し得る。これらのアンテナのアンテナパターンはサイドローブ及びフロントローブを有する。フロントローブは受信アンテナに向けて投影される。ホーンアンテナ5418、5420、5436、及び5438のサイドローブからの放射から周囲環境を遮蔽するために、ホーンアンテナ上に遮蔽6202を追加して装置付近の環境を十分に保護することができる。遮蔽6202は周囲環境から信号をブロックするための吸収体として働き、遮蔽エンクロージャ6202内に含まれる局所的領域にホーンアンテナの放射を閉じ込め吸収するのに必要な任意の材料を含み得る。
パッチアンテナ
次に図61を参照し、窓又は壁6104を介して信号を伝送するためにパッチアンテナ6102を使用する代替的実施形態を示す。パッチアンテナ6102によって伝送される信号は、窓又は壁6104を介して信号を伝送するための上記のやり方の1つによって処理される。パッチアンテナ6102は、低反射ガラス又は壁をトンネリングして通るための指向性の電波ビームを生成する。装置は、如何なる穴も開ける必要なしに、又は何らかの種類の信号透過性の入口を作成する必要なしに、窓又は壁6104をトンネリングして通る光トンネル又はRFトンネルを提供する。ミリ波伝送システム6100は、窓又は壁6104の外部に位置する外側部分6106と、窓又は壁6104の内部に位置する内側部分6108とを含む。外側部分6106は、基地局等の外部ソースと信号を送受信するためのアンテナ6110を含む。基地局とアンテナとの間のリンクバジェットが満たされる必要がある。好ましい実施形態では、アンテナが28Hzアンテナを含む。但し、24GHz、39GHz、60GHz、及び他の帯域幅等の他のアンテナ動作帯域幅が利用され得ることが当業者によって理解されよう。
アンテナ6110において受信される送受信信号は内部6108から与えられるは、トランシーバ処理回路6112によって処理される。トランシーバ処理回路6112は、窓又は壁6104を介して伝送できるようにするために又はアンテナ6110による外部伝送のために窓又は壁6104を通過できる形式から変換できるようにするために、アンテナ6110における受信信号又は建物の内部6108から受信される信号を配置(place)するための上記の回路の何れかを含むことができる。トランシーバ処理回路6112は、ガラス及び壁を貫通可能な低周波数EM波に周波数をダウンコンバートすることができ、及びアンテナアレイを使用して増幅することもできる。トランシーバ処理回路6112内のコンポーネントは、これだけに限定されないがRFサーキュレータ、パワー増幅器、アップダウンコンバータ、RF送信回路、光送信回路等を含み得る。
トランシーバ処理回路6112は、信号を窓又は壁6104を介して伝送するための形式にする。トランシーバ処理回路6112から伝送路6114上で出力される信号がパッチアンテナ6102aに与えられる。パッチアンテナ6102aは、トランシーバ処理回路6112から与えられるRF信号又は光信号を窓又は壁6104を介して受信側のパッチアンテナ6102bに伝送する。パッチアンテナ6102は、24GHzからeバンドまでの幅広い周波数帯上で送受信することができる。この範囲内で、パッチアンテナ6102のための特定の動作帯域が利用される。これらの帯域はこれだけに限定されないが24GHz帯、28GHz A1帯、28GHz B−1、A3、及びB2帯、31GHz帯、39GHz帯、及び60GHz帯を含む。パッチアンテナ6102は、そこから様々なレベルの利得をもたらすために異なる構成のものとすることができる。一実施形態では、18dBの利得を与えるようにアンテナを構成することができる。
復調及び更に処理するために、受信信号がパッチアンテナ6102bから伝送路6116上でトランシーバ処理回路6118に出力される。トランシーバ処理回路6118は、内部トランシーバ回路に関して上記に記載した様々な構成の何れかを含み得る。構造内の受信装置に伝送されるように、復調及び処理済みの信号がトランシーバ処理回路6118からWi−Fiルータ6120に与えられる。
外部受信機に伝送される信号は、Wi−Fiルータ6120において建物内から受信される。Wi−Fiルータ6120はトランシーバ処理回路6118に信号を与え、トランシーバ処理回路6118は上記のように壁又は窓6104を透過するRF形式にWi−Fiデータ信号を変換する。RF信号はトランシーバ処理回路から伝送路6120上でパッチアンテナ6102cに出力される。パッチアンテナ6102cからの変調信号が窓/壁6104を介して伝送される。パッチアンテナ6102cによって伝送される信号は、建物の外部に位置する受信側のパッチアンテナ6102dによって受信される。パッチアンテナ6102dの出力は伝送路6124上でトランシーバ処理回路6112に与えられる。アンテナ6110からの信号伝送を可能にするのに必要な形式へと信号が変換される。この形式は、24GHz、28GHz、39GHz、60GHz、現行のセルラLTE周波数、3.5GHz CBRS、5GHz、24、28、39、60、70、80GHzのmm帯、又は窓若しくは壁を介して伝送されるとき信号損失問題に悩まされる他の任意の周波数帯を含み得る。
次に図62を参照し、パッチアンテナアレイ6202の説明図を示す。パッチアンテナアレイ6202は、第1の層6202と第1の層6202上に位置する第2の層6204とを含む。第1の層6202は窓又は壁6104に直接接続される。各層6202/6204は複数のパッチアンテナ6206を含む。第1の層6202及び第2の層6204のそれぞれは窓又は壁6104を介して信号を伝送する。パッチアンテナアレイ6202は、24GHz、28GHz、39GHz、60GHz等の全てのミリ波帯上で伝送することができる。トラフィックペイロードを搬送するための指向性ビームを生成するために、複数のパッチアンテナ6206を矩形、円形、又は楕円構成に配置することができる。
次に図63を参照し、図62のパッチアンテナアレイ6202のパッチアンテナ6206のうちの1つを示す。パッチアンテナ6206は、第1の縁6302に沿って1.23mmの全幅を有し、第2の縁6304上で1.56mmの長さを有する。パッチアンテナ6206は、伝送線6308がパッチアンテナ6206に接続するスロット6306を画定する。スロット6306は、第1の縁6310に沿って0.36mmの長さを有し、伝送線6308の各側辺6312上に0.1mmの幅を有する。パッチアンテナ6206はFR408で作られた基板6314上に生成される。パッチアンテナ6206は、3.75の比誘電率、0.018の損失正接、及び0.127mmの厚さを有する。
次に図64を参照し、HFSS(high−frequency structure simulator)を使用する図63のアンテナに関する伝送ビームのシミュレーションを示す。単一のパッチアンテナが図64に示す伝送ビーム6402を生成し、このビームは3.8dBのピーク利得及び80°の3dBビーム幅を有する。製造の準備をするために、パッチアンテナの設計及びシミュレーションがマイクロストリップフィード構造と共にANSYS HFSSを使用して行われる。副ローブ放射は吸収材を使って吸収することができ、主ローブが受信ユニットに向けられる。
図65で全体的に示すように、図62に示すパッチアンテナアレイを使用することによって高指向性の高利得ビームを生成することができる。パッチアンテナアレイ6504内の複数のパッチアンテナ6502が個々のビーム6506をそれぞれ伝送することができる。個々のビーム6506のそれぞれは関連する指向性及び利得を有する。パッチアンテナアレイ6504の出力は、個々のパッチアンテナのビーム6506のそれぞれを結合して結合アレイ伝送ビーム6508を作る。結合伝送ビーム6508は、個々のパッチアンテナ6502によって生成される個々のビーム6506のそれぞれよりも優れた指向性及び大きい利得を有する。従って、パッチアンテナアレイ6504を使用して伝送ビームを生成することにより、窓又は壁を受信機まで通過するのに十分な利得及び指向性を有し、且つ関連する信号損失を克服するビーム6508が可能になる。
次に図66を参照し、60GHz帯の応用についてマイクロストリップアンテナアレイを利用するマイクロストリップパッチアンテナアレイ6602の更なる実施形態を示す。マイクロストリップパッチアンテナアレイ6602は、グランド付きコプレーナ線路(CB−CPW)ループフィード6605を使用する2x8マイクロストリップパッチアンテナアレイ6604を含む。パッチアンテナアレイ6604は、上部の基板層6604と下部の基板層6606とで構成される。グランド付きコプレーナ線路6605は、3.9の誘電率、0.0002の損失正接、及び0.525mmの厚さを有する石英で作られた32mmx28mmの面を含む下部の基板層6606上に位置する。面6606は、CPWによってフィードされるループを画定する面6606上に画定される2x8パッチアンテナアレイのパッチアンテナ6612に入力を与える伝送線に接続する入力6610を画定する。約0.254mmの厚さ、3.00の誘電率、及び0.001の損失正接を有するRogers RO3003基板上で、上部の基板層6604はその上に複数のパッチアンテナ6614を画定する。この種のアンテナは61GHzにおいて18dB board sideの利得を与え、約57GHzから64GHzの帯域幅を有する。
次に図67をより詳細に参照し、パッチアンテナ素子6700を示す。これらのパッチアンテナ素子6700の複数が上記で論じた多層パッチアンテナアレイ上に位置する。アンテナ素子6700は、長さL、幅Wのパッチ6702を含む。パッチ6702は、フィードネットワークに接続され、高さhの基板6706上にある入力伝送線6704からフィードされる。マイクロストリップパッチアンテナは、パッチ6702の第1の縁に沿う第1の放射スロット6708及びパッチ6702の第2の縁に沿う第2の放射スロット6710を含む。図68に示すように、各スロットの開口部における電子場はX成分及びY成分に分解することができる。Y成分は位相がずれており、半波長伝送線6704が原因で打ち消される。放射場は、図68に示すようにアンテナを幅W6802、高さh6804を有する開口部6800として扱うことによって決定され得る。
伝送線のモデルを以下のやり方で更に分析することができる。G
rはスロットコンダクタンスであり、B
rはスロットサセプタンスである。これらは以下の方程式に従って求めることができる:
パッチアンテナ6700の入力アドミタンスは
として概算することができ、Δlはマイクロストリップの終端効果である。矩形パッチアンテナ6700は、入力アドミタンスの虚数部がゼロになるとき共鳴する。
終端効果は以下の方程式に従って計算することができる:
パッチアンテナ6700の共鳴周波数は次式によって得られる:
典型的には、開口部の幅Wは次式によって得られる:
窓又は壁を介して信号を伝送するための高指向性の高利得ビームを生成するためにパッチアンテナを使用することに加えて、窓又は壁を介したパッチアンテナ間の通信リンク上で帯域幅を増加するために、窓又は壁を介して伝送される信号に軌道角運動量(OAM)を加えることを使用してパッチアンテナを利用することができる。これについては図69から始まる以下の説明の中でより完全に示してある。
図69〜図76は、参照によりその全体を本明細書に援用する、2017年1月4日に出願され、MODULATION AND MULTIPLE ACCESS TECHNIQUE USING ORBITIAL ANGULAR MOMENTUMと題された米国特許出願第15/398,5611号明細書の中で記載されている信号等のラゲール−ガウス(LG)、エルミート−ガウス(HG)、インス−ガウス(IG)、又は軌道角運動量(OAM)信号を伝送するために利用され得る多層パッチアンテナアレイ6902を示す。多層パッチアンテナアレイ6902は、第1の秩序化ビームを伝送するための第1のアンテナ層6904と、第2の秩序化ビームを伝送するための第2のアンテナ層6906と、第3の秩序化ビームを伝送するための第3の層6908とを含む。これらの層6904、6906、及び6908のそれぞれは同じ中心上にスタックされる。この実施形態は3つの層しか含まない多層パッチアンテナアレイ6902に関して示すが、本明細書に記載するのと同様のやり方で更に多くの層又は少ない層を実装できることを理解すべきである。これらの層6904、6906、及び6908のそれぞれの面上にパッチアンテナ6910が配置される。パッチアンテナのそれぞれは上の層によって覆い隠されないように配置される。これらの層6904、6906、及び6908は、層6904、6906、及び6908のそれぞれの間に間隔を与える層セパレータ部材6912によって互いに隔てられる。エルミート−ガウス、ラゲール−ガウス、又はインス−ガウスビームを生成するために、パッチアンテナ層の構成は矩形、円形、又は楕円構成とすることができる。
多層パッチアンテナアレイ6902内で使用されるパッチアンテナ6910は、Chandler ArizonaのIsola Globalによって製造され、約3.75の比誘電率を有するFR408(難燃性408)ラミネートで作られる。アンテナの全高は125μmである。アンテナの金属は約12μmの厚さを有する銅である。パッチアンテナは、73GHzの動作周波数及び4.1mmの自由空間波長を有するように設計される。アンテナの入力50オーム線の寸法は280μmである一方、100オーム線の入力の寸法は66μmである。
パッチアンテナ6910のそれぞれは、同じ層上の他のパッチアンテナ6910のそれぞれの位相と異なる所定の位相で信号を伝送するように構成される。従って図71に更に示すように、層6904上には4つのパッチアンテナ素子6910が含まれる。図71に示すように、アンテナ素子7504のそれぞれは関連する別個の位相を有する。これらの位相はπ/2、2(π/2)、3(π/2)、及び4(π/2)を含む。同様に、図72に示すように層6906は図示の通りπ/2、2(π/2)、3(π/2)、4(π/2)、5(π/2)、6(π/2)、7(π/2)、及び8(π/2)の位相を含む8個の異なるパッチアンテナ素子6910を含む。最後に再び図69を参照し、層6908上に12個のパッチアンテナ素子6910が含まれる。これらのパッチアンテナ素子6910のそれぞれには図69に示すやり方で位相が指定される。これらの位相はπ/2、2(π/2)、3(π/2)、4(π/2)、5(π/2)、6(π/2)、7(π/2)、8(π/2)、9(π/2)、10(π/2)、11(π/2)、及び12(π/2)を含む。
アンテナ層6904、6906、及び6908のそれぞれは、多層パッチアンテナアレイ6902の各層にフィードするための同軸エンドランチコネクタ6916に接続される。コネクタ6916のそれぞれは、図70に示すのと同様のやり方で別個の秩序化アンテナビームの伝送を可能にする別個の信号を受信するために接続される。放出されるビームは多層パッチアンテナアレイ6902によって一緒に多重化される。各波面として容量を増やすために空間的なやり方で多層パッチアンテナアレイ6902の各層から伝送される直交波面は独立した固有チャネルとして働く。信号は単一の周波数上に多重化され、多重化信号間の干渉又はクロストークなしに伝搬する。一方で図70に関する説明図は、OAM1、OAM2、及びOAM3の秩序化レベルにおけるOAMビームの伝送を示す。
図示の多層パッチアンテナアレイ6902を使用し、他の種類のエルミート−ガウス及びラゲール−ガウスビームを伝送できることを理解すべきである。エルミート−ガウス多項式及びラゲール−ガウス多項式は、量子調和振動子の固有状態である古典的な直交多項式列の例である。但し他の信号、例えばヤコビ多項式、ゲーゲンバウア多項式、ルジャンドル多項式、及びチェビシェフ多項式等の直交多項式又は直交関数も使用できることを理解すべきである。ルジャンドル関数、ベッセル関数、扁長楕円体球関数、及びインス−ガウス関数も使用することができる。Q−関数は直交関数の基礎として利用可能な別の関数のクラスである。
層6904、6906、6908のそれぞれに示されているフィードネットワーク6918は、各パッチアンテナ素子6910の位相を確立するために異なる長さの遅延線を使用する。図69〜図72に示すように位相を構成することにより、様々な次数のOAMビームが生成され一緒に多重化される。
次に図73を参照し、伝送するための多重化ビームを生成するための送信機7302を示す。先に論じたように、多層パッチアンテナアレイ6902は、多層パッチアンテナアレイ6902の各層6904、6906、6908に関連するコネクタ6916を含む。これらのコネクタ6916のそれぞれが信号生成回路7304に接続される。信号生成回路7304は、一実施形態では60GHzの搬送波信号を生成するための60GHz局所発振器7306を含む。信号生成回路7304は、70/80GHz等の他の周波数でも機能し得る。60GHz信号が局所発振器7306からパワー分配器回路7308に出力され、パワー分配器回路7308は60GHz信号を3つの別個の伝送信号に分ける。それらの分けられた伝送信号のそれぞれが、層入力コネクタ6916の1つにそれぞれ接続されるIQミキサ7310に与えられる。IQミキサ回路7310は、生成済みの伝送信号内に雑音要素を挿入するための関連する付加白色ガウス雑音回路7312に接続される。AWG回路7312は、伝送信号内に挿入するためのSuperQAM信号も生成することができる。IQミキサ7310は、参照によりその全体を本明細書に援用する、2016年5月3日に発行された現在の米国特許第9,331,875号明細書である、2014年7月3日に出願され、SYSTEM AND METHOD FOR COMMUNICATION USING ORBITAL ANGULAR MOMENTUM WITH MULTIPLE LAYER OVERLAY MODULATIONと題された米国特許出願第14/323,082号明細書の中で記載されているようなやり方でHG、LG、IG、OAM信号を生成する。
図73に示す送信機7302を使用して、高速トンネリングのための特定の周波数で図74に示すように多重化ビーム(エルミート−ガウス、ラゲール−ガウス、インス−ガウス等)を生成することができる。この種のモード分割多重(MDM)は、1つの周波数及び複数のLG、HG、又はIGビームを用いてより高いスループットを実現する。図示のように、多層パッチアンテナアレイ6902は伝送するための多重化ビーム7402を生成する。この例では、米国特許出願第14/323,082号明細書の中で開示されているのと同様のやり方で様々な次数のOAM信号についてねじれを有する多重OAMビームが示されている。関連するレシーバ検出器が図示の様々なOAMの輪7404を検出し、輪のそれぞれは別個のOAMによって処理される信号に関連する。
信号が自由空間(真空)内で伝送される場合、信号は平面波として伝送される。それらは以下に記載する通り表すことができる。自由空間は非導電媒体を含み(σ=0)、従ってJ=σE=0である。
実験結果より、アンペールの法則及びファラデーの法則は次式で表される:
z方向に伝搬があり、従ってE及びHがxy面内にある場合。
一般性を全く失うことなく、Eはx方向にオリエントすることができ、Hはy方向にオリエントすることができ、従ってz方向の伝搬をもたらす。アンペール−マクスウェル方程式から以下の方程式が得られる:
次に、ベクトル波方程式を以下のように表すことができる:
∇xB=0 ∇xE=S
∇x∇xH=∇(∇H)−∇
2H=−∇
2H
∇x∇xE=∇(∇E)−∇
2E=−∇
2E
従って、全体として次式が得られる:
従って:
自由空間では
次に:
すると次式が得られ:
これは以下のように円柱座標として表すことができる:
これは円柱座標における近軸波動方程式を与える:
P(z),q(z)
すると次式が得られる:
概して、E
0はxy面上で回転することができ、波は依然としてz方向に伝搬する。
q〜光軸付近の位相面の曲率。
q
2=q
1+z
但しq
2は出力面であり、q
1は入力面である。∞∞
但し
はz軸と交差する波面の曲率である。
従って、完全な平面波R=∞に関して、方程式は下記の通りになる:
但しW
0はビームウェストである。
z=z
R
P(z)の実数部はガウスビームと理想的な平面波との間の位相シフトの差を表す。従って基本モードが得られ:
但し次式が成立する:
方程式の円柱座標の解:
以下であるように円柱座標内で求めることができる:
式
は
として示すこともできる。
最も低いモードは最も重要なモードであり、実際この横モードは直交座標及び円柱座標の両方について同一である。
すると次式が成立する
次に図75を参照し、図73の送信機7302を使用して生成される多重化信号から受信される信号を多重分離するための受信機7502を示す。受信機7502は上記のような多層パッチアンテナアレイ7502を含む。多層パッチアンテナアレイ7502は入力される多重化信号7504を受信し、アンテナアレイ7502の各層7504、7506、7508は、特定の層のコネクタ出力7516のそれぞれから受信多重化信号の特定の次数を抽出する。コネクタ7516のそれぞれからの信号はミキサ回路7506に加えられ、ミキサ回路7506は発振器7508からの60GHzの局所発振器信号を使用し、米国特許出願第14/323,082号明細書に関して論じられるのと同様のやり方で受信信号を多重分離する。次いで、例えばリアルタイムオシロスコープ7510又は他の信号読取装置を使用し、多重分離した信号を読み取ることができる。送信機602から受信される秩序化OAM信号のそれぞれの中で伝送された3つの伝送信号のそれぞれがこうして受信機7502において復号される。更なる実施形態では、OAMチャネルを検出するためにSPP(螺旋位相板)を用いた多重分離手法も適用することができる。
送信機7302又は受信機7502によって伝送される信号は、様々な状況において2つの位置間で情報を伝送するために使用することができる。かかる伝送は、電気通信網又はデータネットワーク内でのフロントホール通信及びバックホール通信の両方における使用を含む。
多層パッチアンテナアレイ7502は、米国特許出願第14/323,082号明細書に関して論じられる処理を使用してエルミート−ガウスビーム、又はラゲール−ガウスビームの両方を伝送することができる。ラゲール−ガウスビームを伝送する場合、情報を幾つかの様式で伝送することができる。螺旋位相板及びビームスプリッタの手法を使用することができ、デュアルOAMモードアンテナの手法を使用することができ、又は本明細書に記載のパッチアンテナを利用することができる。これらの実装形態はフロントホール応用及びバックホール応用の両方において有益である。
次数1及び振幅a
l OAMの幾つかのOAMモードを伝送するために、アンテナ素子は以下の方程式に従って入力信号によってフィードされなければならない:
多層パッチアンテナアレイ7502内の素子の数は、サンプリングによるあり得るOAMモードの数を限定することに留意されたい。エイリアシングにより、N/2を上回る次数のモードは実際には負次数のモードである。
シングルモードリンクバジェット
H
tot=U
HHU
b
OAM=H
tota
OAM
漸近公式化
目的は、遠距離におけるリンクバジェットの漸近公式化を求めることであり、即ちD→+(∞)の場合、1リンクバジェット−1のそれぞれの値の先頭項が同じであることを求める。
フラウンホーファー距離2(2max(Rt,Rr))2/λ=200λから、リンクバジェットは漸近的に傾斜−20(|l|+1)dB/ディケードの直線の傾向があり、これは1/D2|l|+2の減衰と一致する。
利得及び自由空間損失を伴う漸近表現
利得及び自由空間損失は次式によって求めることができる:
|l|の固定値では、それぞれの等価の利得はR2|l|増加する。そのためリンクバジェットはR4|l|倍改善する。逆にRの固定値では、|l|が増加するときリンクバジェットが低下し、それは漸近的にDの効果がRt及びRrの効果を上回るからである。
次に図76を参照し、2.42GHz及び1つだけの直線偏波のために設計された単一の矩形パッチアンテナの3−Dモデルを示す。このアンテナの放射パターンを図77に示す。
図78aは、より高いグレーティングローブによるOAMモード次数l=0に関する円形アレイの放射パターンを示す。図78b、78c、及び78dは、アレイ軸付近のOAMモード次数l=0(図78b)、l=1(図78c)、及びl=2(図78d)に関する放射パターンを示す。
漸近的なOAM経路損失を次式によって示す:
eバンドの周波数、1000mの距離、及び妥当なパッチアンテナ素子の利得を仮定した場合、送信機及び受信機アレイリングの直径、アンテナの数等を含む他のパラメータを計算することができる。
パッチアンテナ7510の製造は、図79に概して示す設計及びレイアウトプロセス、図80に概して示すアンテナ製造のためのクリーンルーム及びリソグラフィ手続き、並びに図81に示す最終検査プロセスによって行われる。次に図79を参照し、設計及びレイアウトプロセスについてより詳細に説明する。最初にステップ7902で、マイクロストリップフィード構造と共にANSYS HFSSを使用してパッチアンテナを設計しシミュレートする。ANSYS HFSSは高周波数構造シミュレータを含む。装置内のソフトウェアが3−D全波電磁場を刺激する。ANSYS HFSSはHFSSシミュレーションからGDSIIファイル(集積回路のフォトマスクのプロッティングを制御するために使用されるグラフィックデータベースシステムファイル)を作成し、ステップ7904でそのGDSIIファイルをAWR(Applied Wave Research Corporation)Microwave Office(MWO)レイアウトにエクスポートする。グランド信号グランドプローブのフィードと共にアンテナを測定するために、Agilent Momentumを使用して作られているマイクロストリップ移行設計に対する過去に設計されたグランド付きコプレーナ線路も、GDSII Agilent Momentumファイルとしてステップ7906でAWR MWOレイアウト内にインポートする。ステップ7908で2つの設計をまとめ、製作プロセスで使用される等方性ウェットエッチに対処するために12μmのウェート及びエッチ補償を横寸法に加える。ステップ7910でレイアウトのための最終的なGDSIIファイルをエクスポートし、ステップ1912で製作のためにクリーンルームに与える。
次に図80を参照し、FR408ラミネート上に銅層をパターニングするためのクリーンルームプロセスを示す。最初にステップ8002で、両面Cu FR408ラミネートをはさみを使って適切なサイズ(典型的には1.5”x1.5”)に切る。ステップ8004で、アセトン、イソプロパノール(IPA)、及び窒素(N2)を用いてすすぐことによってFR408ラミネートを洗浄し、溶媒フード内で又は適切なチャックと共にCPK Solvent Spinnerのプログラム2を使用して乾燥させる。ステップ8006で、ラミネートをホットプレート(例えばCole Parmerのデジタルホットプレート)上で2分間にわたり130℃で脱水ベークする。次にステップ8008で、Yield EngineeringのYES−310真空フードオーブンを使用してレインメソッドによってラミネート上にヘキサメチルジシラザン(HMDS)を付着させる。レジストの接着を改善するためにラミネートサンプルをHMDSオーブン内に20分間入れる。次にステップ8010で、適切なチャックと共にCPK Solvent Spinnerのプログラム2を使用してマスクを洗浄する。ステップ8012でのみ、プログラム0DIWを使用する自動マスククリーナ(最先端技術のマスククリーナ)を使用してマスクを更に洗浄する。
ステップ8014〜8034でリソグラフィプロセスを行う。最初に、例えばBrewer ScienceのCeeスピンコータシステムを使用し、ステップ8014でShipley S1813フォトレジストをラミネートの裏側に塗布してグランド層を保護する。一実施形態では、スピンコータシステムが3000rpm/sで3000rpmにおいて60秒間動作する。ステップ8016でホットプレート上でサンプルを115℃で90秒間ソフトベークし、ステップ8018でホットプレート上で130℃で60秒間ハードベークする。ステップ8022で、上面のパターン銅層上にS1813レジストを塗布する。一実施形態では、この工程を3000rpm/sで3000rpmにおいて60秒間行う。ステップ8022で、ホットプレート上でサンプルを115℃で90秒間ソフトベークする。ステップ8024で、Karl SussのMA6 BA6接触式アライナ/プリンタを使用し、サンプルの上面を110mJ/cm2で露光する。次にステップ8026で、ビーカ内で60秒間にわたりMicroposit MF−319を用いて回路を現像する。サンプルをベースフード内で純水(DIW)及びN2を用いてすすぐ。ステップ8032で、Techniques Series 85 RIEを使用して余分なフォトレジストを除去するために反応性イオンエッチングプロセスを行う。これは02を50Wで180mTorrにおいてのみ15秒間適用することによって実現される。ステップ8034で、サンプルをホットプレート上で130℃で60秒間ハードベークする。ステップ8036で、Leica Inm光学顕微鏡の下でリソグラフィを確認してリソグラフィが正しいこと、及び間隙が画定され、過度に現像されていないことを確かめる。
ステップ8038〜8046で12μmの銅層をエッチングする。ステップ8038で、Cuエッチャント内でサンプルを揺動させることによって銅を1分間隔でエッチングする。調査ステップ8040はCuエッチングプロセスが完了したかどうかを判定し、完了していない場合、ステップ8042でサンプルを90°回転させ、ステップ8038におけるCuエッチャント内でのサンプルの揺動に戻る。Cuエッチングプロセスが完了したと調査ステップ8040が判定する場合、制御がステップ8044に移り、ステップ8044ではサンプルをDIW及びN2ですすぎ、ベースフード内で乾燥させる。調査ステップ8046で顕微鏡を使用してサンプルを調べてCuが完全に除去されているかどうかを判定する。除去されていない場合、Cuエッチャント内で更に揺動させるためにステップ8038に制御を戻す。Cuの全てが除去されている場合、フォトレジストのストリッピングプロセスに制御が移る。
フォトレジストのストリッピングは、サンプルをアセトン、IPA、DIW、及びN2を使ってまずすすぎ、溶媒フード内で又は適切なチャックと共にCPK Solvent Spinnerのプログラム2を使用して乾燥させることによって行われる。ステップ8050で、サンプルをホットプレート上で5分間にわたり130℃で脱水ベークする。ステップ8052で、エッチング済みのラミネートサンプルを顕微鏡の下で調べてサンプル内の領域のオーバエッチングなしに間隙がエッチングされていることを確実にする。
図81に示すように作成したパッチアンテナを検査してアンテナの動作を確認することができる。最初にステップ8102で、アンテナに対してDC検査を行ってG−S−Gフィードが短絡していないことを確認する。ステップ8104でRF検査を行って、Cascade M150 probe station上のAgilent VNAを使用し周波数帯にわたるS11−リターンロスを測定する。次いでステップ8106で、NSI spherical near field scannerを使用して適切な周波数においてアンテナの放射パターンを測定することができる。
更なる構成ではパッチアンテナをホーンアンテナと組み合わせて使用し、窓又は壁を介して生じる40dBの損失を克服することができる。上記の実施形態はFCC及びOSHAの要件を満たすようにも構成される。上記の技法に加えて、窓又は壁を介して情報を伝送するために他の近接場技法を使用することができる。
トランシーバチップセット
次に図82Aを参照し、著しい信号損失なしに窓/壁8202を貫通することがない周波数において基地局8204から信号を受信する、周波数を伝送するRFトランシーバチップセットを使用して窓又は壁8202を介してRF信号を伝送するための一実施形態を示す。基地局8204は、建物伝送貫通システム8230に無線信号8206を伝送する。建物伝送貫通システム8230は、基地局8204から信号8206を受信するための伝送チップセットを実装する第1のトランシーバ8232を含む。第1のトランシーバ8232は、構造内に伝送される信号のための双方向伝送リンク3236及び基地局8204まで構造の外部に伝送される信号のための伝送リンク8238上で、伝送チップセットを実装する第2のトランシーバ8212とリンクされる。
構造の内部に位置する第2のトランシーバ8234は、伝送線8222及び受信線8224上でWi−Fiルータ8220と通信する。Wi−Fiルータ8220は構造内に位置する無線装置と通信する。伝送線8222及び8224は、伝送路8214及び8216が第2のトランシーバ8234との間の双方向通信を可能にするのと同様のやり方でWi−Fiルータ8220と第2のトランシーバ8218との間の双方向通信を可能にする。第1のトランシーバ8232及び第2のトランシーバ8234を実装するチップセットは、建物の内部へと建物の外部から窓/壁8202を貫通する形式に変換するために、これだけに限定されないが3.5GHz、24GHz、28GHz、39GHz、60GHz、71GHz、及び81GHzを含む任意の数の周波数を基地局から受信することができる。信号はこれだけに限定されないが2G、3G、4G−LTE、5G、5G NR(New Radio)、及びWiGiを含む任意のプロトコルを使用することができる。
次に図82Bを参照し、窓又は壁8202を介して60GHz又は他の帯域幅の無線信号を伝送するためのシステム8200に関して、図82Aのシステムのより詳細な実施形態を示す。この実施形態では、システム8200内の伝送を可能にするためにPerasoチップセットを使用する。基地局8204はミリ波システム8208に60GHzの無線信号8206を伝送する。ミリ波システム8208は、基地局8204から60GHzの信号8206を受信するためのPerasoチップセットを実装する第1の60GHzトランシーバ8210を含む。第1のPerasoトランシーバ8210は、構造内に伝送される信号のための伝送接続8214及び基地局8204まで構造の外部に伝送される信号のための伝送線8216上でPerasoチップセットを実装する第2の60GHzトランシーバ8212にリンクされる。
第2のPerasoトランシーバ8212は窓又は壁8202の外側に位置し、窓又は壁8202の内部にPerasoチップセットを実装する第3の60GHzトランシーバ8218に無線信号を伝送する。構造の内部に位置する第3のPerasoトランシーバ8218は、伝送線8222及び受信線8224上でWi−Fiルータ8220と通信する。Wi−Fiルータ8220は構造内に位置する無線装置と通信する。伝送線8222及び8224は、伝送路8214及び8216が第2のPerasoトランシーバ8212と第1のPerasoトランシーバ8210との間の双方向通信を可能にするのと同様のやり方でWi−Fiルータ8220と第3のPerasoトランシーバ8218との間の双方向通信を可能にする。TDDでは、典型的には3つのタイムスロットがTXに指定され、1つのタイムスロットがRXに指定され、従ってスロットは時間の点で隔てられるので衝突しない。従って双方向通信では、同一周波数における干渉に関する問題はない。同じ周波数及び時間が使用される状況ではOAMねじれビームを用いた全二重分離を使用することができ、TXは+1ヘリシティで行われ、RXは−1ヘリシティで行われる。
次に図83を参照し、Perasoチップセットの更なる実装形態を示す。図83は中継器の構成を示し、この構成では基地局8302が60GHzの無線通信リンク8306上でPerasoチップセットを実装する60GHzトランシーバ8304と通信し、Perasoトランシーバ8304とPerasoチップセットを実装する第2の60GHzトランシーバ8308との間で信号が双方向に伝送される。第2のPerasoトランシーバ2908は、概して8314で示す距離にわたり、同じくPerasoチップセットを実装する第3の60GHzトランシーバ8312との無線による60GHzの通信リンク8310を有する。Perasoトランシーバ8304及びPerasoトランシーバ8308で構成される中継器8316は、基地局8302からの信号がブーストされ、Perasoトランシーバ8312まで長距離にわたって伝送されることを可能にする。Perasoトランシーバ8312は、通信回線8322及び8324上でルータ8318と双方向通信する。上記で説明したような中継器の構成は、基地局8302から伝送される60GHz信号の伝送距離を伸ばすために使用することができる。
図84Aは、上記で説明した伝送に使用され得るPerasoトランシーバ8460の最上位ブロック図を示す。60GHz信号を伝送する(8460B)及び受信する(8462A)ために1対のアンテナ8462を使用する。上記の実施形態の1つによる受信信号がアンテナ8462Aから復調器8464に送られ、アンテナ8462Aから受信される信号は位相同期ループ/局所発振器ブロック8466から与えられる信号に応答して復調される。復調信号及びクロック生成器8470によって与えられるクロック信号に応答してアナログ信号をデジタル形式に変換するために、復調信号がアナログ−デジタル変換器8468に送られる。デジタル信号が出力8472において与えられる。
伝送される信号が入力8474においてデジタル形式で与えられ、クロック生成器8470からのクロック信号に応答してデジタル−アナログ変換器8476においてデジタル形式からアナログ形式に変換される。アナログ信号及び位相同期ループ/局所発振器ブロック8466からの制御信号に応答してアナログ信号が変調器8478内で変調される。変調信号は、Perasoトランシーバ8460から上記の構成の1つにあるアンテナ8462Bから伝送される。Perasoチップセットについては、参照により本明細書に援用する、2015年12月18日付のPeraso W110 WiGig Chipset Product Briefの中でより詳細に記載されている。
次に図84Bを参照し、Perasoチップセットのより詳細な応用図を示す。60GHz帯のPerasoチップセットについて説明するが、信号伝送能力の拡張を中継器が可能にする任意の周波数をチップセットが利用できることを当業者なら理解されよう。例はこれだけに限定されないがミリ波帯、28GHz帯、39GHz帯、2.5GHz帯、CBRS帯(3.5GHz)、及びWi−Fi帯(5GHz)を含む。Perasoチップセットは、WiGigの応用と共に使用されることを目標とするW110チップセットを含む。Perasoチップセットは、IEEE802.11adの機能を実装するためにPRS1125集積回路8402及びPRS4001集積回路8404を使用する。Perasoチップセットは、WiGigソリューションのために完全な超高速USB3.0を実装する。PRS4001低パワーWiGigベースバンド集積回路8402は、デジタル−アナログ変換器8408、アナログ−デジタル変換器8410、及び位相同期ループ8412を含むアナログフロントエンド8406を組み込む。PRS4001回路8402は、ベースバンド物理層8414、Mac層8416、及び2つのRISC CPUコアを更に含む。PRS4001回路8402はIEEE802.11adに準拠する。USB2.0及び3.0インタフェース8424はUSB通信を可能にする。PRS4001回路8402は、全てのPeraso60GHz無線へのシームレスな接続をサポートする。
PRS1125集積回路8404は、60GHzのシングルエンド受信機及び送信インタフェースを提供するシングルチップダイレクトコンバージョンRFトランシーバである。PRS1125回路8404は、最大14dBmの伝送出力パワー、−21dBを上回る伝送EVM(16−QAM)、5dB未満の受信機雑音、及び70dBを上回る受信機変換利得を提供する。統合されたシングルエンド60GHzアンテナインタフェースは、送信データ経路8418及び受信データ経路8420を含む。位相同期ループ8422が、統合コントローラを使用してIEEE802.11adの全てのチャネルにチューニングする。Perasoチップセットは、無線記憶域、無線ディスプレイ、及び数ギガバイトのモバイル無線の応用を提供する。アンテナ8426は、60GHz帯の全体にわたり8.5dBiの利得を有するNA gradedパッチアンテナを含む。
Perasoチップセットトランシーバ間の通信は、それらのトランシーバ間のスループットを制御するために幾つものやり方で行うことができる。図85に示すように、第1のPerasoトランシーバ8502と第2のPerasoトランシーバ8504との間の通信は、単一の通信チャネル8506上で直列に行うことができる。この場合、データは単一の通信チャネル8506上で次から次へと項目が連続的に伝送される。図86は、並列伝送構成を示す。この構成では、トランシーバ8502とトランシーバ8504との間の伝送が並列に動作する複数のチャネル8608上で行われる。この構成では、データスループットを高めるために異なるデータストリームを並列通信チャネル8508上で同時に伝送することができる。並列構成ではデータストリームが2つの複数のサブストリームにペティション(petition)され、別個の並列チャネル8508上で送信される。その後、受信機8504において結果が結合される。
図87は、窓又は壁8704の外側に位置するPeraso送信機8702の機能ブロック図を示す。Perasoトランシーバ8702が窓又は壁8704の外部に位置するので、Perasoトランシーバ8702にパワーを与える何らかのやり方が必要である。壁8704の外側に位置するパワーユニット8706が幾つかのやり方でPerasoトランシーバ8702にパワーを与えることができる。一実装形態では、パワーユニットがパワーを発生させるための太陽電池及び太陽発電回路を含み得る。一実施形態では、外部の壁又は窓上に位置するPeraso送信機の最大パワー消費量が15Wである。トランシーバが14dBm又は約25mWの伝送パワーを与えるために、15Wの消費パワーが作り出される。15Wの消費パワーが1日20時間必要である場合、トランシーバをサポートするために毎日約300Whrのエネルギが必要になる。24時間動作する1.25の効率を有するパワーユニットは約375Whrのエネルギを提供することができる。100Wのトランシーバに必要な太陽光発電容量をもたらすために、375Whrを3.5(冬のおおよその日照時間)で除算する。
外部のPeraso送信機にパワーを与えるための別の方法を図88に示す。内部に位置するレーザ8802を使用して、外部のPeraso送信機上に位置するフォトダイオード8806にレーザビーム8804内のエネルギを伝送する。壁はビームを遮るのでレーザビーム8804は窓を介して伝送することになる。伝送されるレーザビームに必要なパワーは次式によって定められる:
光学素子の効率EffOpticsは透過されるガラスの種類によって変わる。窓ガラスは商用の又は住居用の性質のものであり得る。ClimaGuard70/36等の住居用の窓ガラスでは、445nmの伝送波長において光学素子の効率は0.68である。SunGuard SN68等の商用の窓ガラスでは、445nmの伝送波長において光学素子の効率は0.64である。
シリコンフォトダイオードの効率Eff
PV Cellsは次式によって定められる:
従って、450nmにおいて伝送する必要がある光パワーは、以下のように光学素子の効率及びフォトダイオード効率を使用して求めることができる:
従って450nm、4.5Wの青色ダイオードで34Wのパワーを与えるのに必要なレーザダイオードの数は
又は約8個のダイオードである。
VCSELの位置合わせ及びパワー
次に図89を参照し、VCSEL8902を示す。1つのVCSELが窓の外側に位置し、第2のVCSELが窓の内側に位置するので、一方のVCSELから他方のVCSELに与えられる光伝送リンクを位置合わせするための何らかのやり方がなければならない。この位置合わせを実現できる1つのやり方は、VCSEL8902上の複数の位置に位置合せ穴8904を有することによる。図89に示す実施形態では、位置合せ穴8904がVCSEL8902のそれぞれの角に位置する。図90に示すやり方でこれらの位置合せ穴8904を使用して、第1のVCSEL8902aを第2のVCSEL8902bと位置合わせする。従って、VCSEL8902a及びVCSEL8902bのそれぞれの角に位置する位置合せ穴8904のそれぞれを視覚的に位置合わせすることにより、VCSEL内の光伝送回路が窓9002を介して位置合わせされ得る。
外部パワー入力を使用するのではなく、窓上に位置するVCSEL8902には図91に示す他の方法を使用してパワーを与えることができる、図91は、窓又は壁9002の内部にあるVCSEL9102と窓又は壁の外部に位置するVCSEL9106とを示す。何らかの種類の入力接続によって内部のVCSEL9102にパワー9108を直接与える。内部のVCSEL9102内のパワー結合装置9110が、外部のVCSEL9106内の同様のパワー結合装置9112と結合する。VCSELの9102及び9106が透明窓上に位置する場合、光誘導体又は他の種類の光パワー結合器をパワー結合装置9110及び9112に利用することができる。VCSELの9102及び9106が光信号を遮る不透明な壁又は窓の両側に位置する場合、コイル又はドクタ(doctors)等の誘導結合装置をパワー結合装置9110、9112に使用することができる。このようにして、パワー結合装置9110がパワー結合装置9112にパワーを与えて外部のVCSEL9106にパワーを与える。
システムパワー
次に図92を参照し、システムの外側部分内に位置する外部システムコンポーネント9202、及び内側部分5608内に位置する内部システムコンポーネント9204にパワーを与えることができるやり方を示す。内部システムコンポーネント9204は、伝送用の信号を生成し受信されている信号を決定するための、上記で論じたアンテナ、変調器、復調器、及び他のコンポーネントを含む。外部システムコンポーネント9202は、上記で説明したサーキュレータ、パワー増幅器、及びホーンアンテナで構成される。内部システムコンポーネント9204は、建物内に位置する電力システムにプラグ接続可能な内部パワーシステム9206に接続される。内部システムコンポーネント9204と外部システムコンポーネント9202とは窓/壁9002によって隔てられるので、外部システムコンポーネントにパワーを伝送し又は与えるための何らかのやり方がなければならない。それを行う1つのやり方は、外部システムコンポーネント9202が接続される建物の外側に位置する幾つかのソーラーパネル9210によってパワーを与えられるパワーシステム9208を使用するものである。
パワーシステム9208から外部システムコンポーネント9202に必要なパワーは約.76Wである。この.76Wのパワーを与えるための1つのやり方はソーラーパネル9210を使用することによる。.76W又は1Wをもたらすソーラーパネルをソーラーパネル9210に利用することができる。.76Wのパワーを与えるシステムに関して、24時間にわたる0.76Wは18.24ワット時のパワーを必要とする。18.24ワット時を1.25%の効率で与えた場合、22.8ワット時必要になる。22.8ワット時の効率を3.5時間(冬の昼光時間数)で除算した場合、6.52Wの総合結果が与えられる。同様に1Wのシステムでは、1日にわたって与えられる1Wは24ワット時必要とする。1.25%の効率における24ワット時は30ワット時必要とする。30ワット時を冬に得られる太陽の3.5時間で除算すると8.57ワット時になる。パワーを与えるために使用するソーラーパネル9210は、スマートフォン及びタブレットを充電するのに使用されるソーラーパネルと同様であり得る。これらの種類のパネルは、.76W及び1Wのエネルギレベル要件を満たす7W充電パネル及び9W充電パネルの両方を含む。
高効率のソーラー充電パネルを有する7Wの携帯型ソーラー充電器は通常0.8ポンドの重さを有する。これらの装置は12.8×7.5×1.4インチ(32.5×19×3.5cm)の全体寸法を有する。他の7Wアモルファスソーラーパワー充電器パネルは15.8×12.5×0.8インチ(40×31.75×2cm)のサイズ及び3ポンドの重さを有する。単結晶セルを有する代替的な9W充電パネルは8.7×10×0.2インチ(22×25.5×0.5cm)からの寸法を有し、可撓性のソーラーパネルは12×40インチ(30.5×100cm)のサイズを有する。他の9Wの高効率ソーラーパネルは8.8×12.2×0.2インチ(22.35×31×0.5cm)からのサイズを有する。
次に図93を参照し、ソーラーパネルを利用する代わりに、外部システムコンポーネント9202は、外部システムコンポーネントにパワーを与えるために太陽電池式のシステムを利用するのではなく伝送されるレーザのパワーを利用することができる。内部システムコンポーネント9204は、窓又は壁9304の内側部分の全てのコンポーネントにパワーを与えるパワーシステム9302を有する。パワーシステム9302は、例えば建物内に位置する電源出力への内部パワー接続9306を有する。パワーシステム9302は、内部システムコンポーネント9204にシステムパワーを既知のやり方で与える。加えてパワーシステム9302は、レーザ送信機9308にパワーを与える一実施形態では、レーザ送信機はレーザダイオードを含み得る。レーザ送信機9308は、窓9304の外側に位置する光起電受光器(PV受光器)9312まで窓9304を介して伝送されるレーザビーム9910を発生させる。レーザ送信機9308は、PV受光器9312に伝送されるビームサイズを定めるための1組の光学素子を含む。生成されるレーザパワーは以下の方程式に従って定めることができる:
445nmでエネルギを検出するPV受光器が必要とする光パワーは以下のように定めることができる:
λ=445nm
これは受光器のレーザの波長である。
R=0.25(Hamamatsu Siフォトダイオード)
Eff
Optics=0.64(光学素子の効率)
従って、445nmでパワーを与えるには2Wのレーザダイオードが必要である。PV受光器9312は受光したレーザ光エネルギを再び電気に変換する。受光されるレーザビーム9310に応じてPV受光器9312によって生成されるパワーがパワーシステム9314に与えられる。パワーシステム9314、及び外部システムコンポーネント9202にパワーを与えてそれらの動作を可能にする。
次に図94を参照し、ソーラーパネル又はレーザ光源を利用する代わりに誘導結合を使用して内部電源から外部コンポーネントにパワーを与えるための更なるやり方を示し、外部システムコンポーネント9202は、外部システムコンポーネントにパワーを与えるために内部電源への磁気誘導結合又は磁気共鳴結合によって窓/壁9404を介して与えられるパワーを利用することができる。内部システムコンポーネント9204は、窓又は壁9404の内側部分の全てのコンポーネントにパワーを与えるパワーシステム9402を有する。パワーシステム9402は、例えば建物内に位置する電源出力への内部パワー接続9406を有する。パワーシステム9402は、内部システムコンポーネント9204にシステムパワーを既知のやり方で与える。加えて、パワーシステム9402は誘導コイル又は磁気共鳴器9408にパワーを与える。誘導コイル又は磁気共鳴器9408は、窓/壁9404の外部に位置する第2の誘導コイル又は磁気共鳴器9412との磁気接続を可能にする。誘導コイル又は磁気共鳴器9408及び9412は、内部パワーシステム9402から外部パワーシステム9414へのパワーの誘導結合又は共鳴結合を可能にする。受信される電磁エネルギ9410に応じて誘導コイル又は磁気共鳴器9412において受信されるパワーはパワーシステム9414に与えられる。パワーシステム9414、及び外部システムコンポーネント9202にパワーを与えて窓/壁9404を介して信号を伝送するようにそれらの動作を可能にする。
更に、図92、図93、及び図94に示す能動的にパワーを与えられる装置に加えて、受動的にパワーを与えられる装置が使用されても良く、それらの装置は外部コンポーネントにパワーを与えないが建物内の内部コンポーネントからより短距離の又はより強いパワーを与える。
誘導コイル9408/9412は内部回路と外部回路との間のパワーの誘導結合を可能にする一方、磁気共鳴器9408/9412は回路間でパワーを伝達するために磁気共鳴結合を使用する。誘導コイルに関して、コイル間の結合係数は以下のやり方で計算することができる。次に図95を参照し、d9502の距離隔てられ、a9504及びb9506の半径をそれぞれ有する2つの円形ループ間の相互インダクタンスはノイマン方程式を使用して計算することができる:
但しds及びds’は円形フィラメントの増分セクションであり、rは次式で定められる2つのセクション間の距離である:
上記の式をノイマン方程式に代入すると次式が得られる:
上記の方程式の積分は楕円積分を使用して書き換えることができ、次式が得られる:
但しK(m)及びE(m)は第一種及び第二種それぞれの楕円積分であり、0〜1の間の値を仮定しmは次式によって定められる:
第一種及び第二種の楕円積分の解は以下の方程式を用いて概算することができる:
低値のmでは冪級数表現が妥当な精度を示す。しかし、mが増加するにつれて両方の楕円が数値積分値からそれる。第一種のインナーゴールへのリップ(lip to inner goal)のために、イン(in)がユニティ(unity)に近づくとき、解は数値積分によって計算される解よりもはるかにはやく漸近的に無限大になる傾向がある。
M(m)の方程式にK(m)及びE(m)の方程式を代入すると次式が得られる:
次に、上記の式にmの方程式を代入すると2つの円形同軸ループ間の距離に応じた相互インダクタンスの式がもたらされる:
n
1,2の巻数を有する2つのコイルでは、式を調節して次式を得ることができる:
この式は距離d、コイルを取り囲む材料の透磁率μ、及び2つのコイルの内半径に応じたn
1,2を有する2つのコイルの相互インダクタンスを表す。
Q因子に関して性能指数(U)を示すことができ、これはインダクタのループによって貯蔵されるエネルギと所与のサイクル内で消散されるパワーとの比率を示す。性能指数は、以下の方程式に従って線の半径Ra、ループの半径a、(ループの芯は空気なので)自由空間の透磁率μ
0、芯材の伝導率、及び一次ループと二次ループとの間のd距離等の様々なコイルパラメータに依存する:
一実施形態では、伝送コイルが6.25cmのループ半径、10.25x10−3の線の半径、4のコイル巻数、一次ループと二次ループとの間の46mmの距離、及び6.78MHzの動作周波数の特性を有する。
次に図96を参照し、コイルの様々な半径、コイル内の様々な巻数、及びコイルの様々な高さにわたるコイルの効率に関係する情報を与える表を示す。
次に図97及び図98を参照し、コイル9702が互いに誘導結合されるやり方、及び共鳴器回路9802が互いに誘導共鳴するやり方を示す。図97は、入力電圧9706に応じて発振器9704からL1コイル9702に交流がどのように与えられるのかを示す。L1コイル9702内の交流は交番磁場9708を発生させ、この交番磁場9708はひいては二次コイルL2内の交流を引き起こす。かかる交流の発生は、負荷9712に与えられる電流を整流器9710に与えさせる。一次コイル9702によって生成される磁場は全方向にほぼ等しく放射する。磁場によって作り出される束は、逆二乗の法則に従って距離と共に急激に低下する。従って、最も多い磁束をインタセプトするために、二次コイルL2 9702は一次コイルL1 9702のできる限り近くに配置する必要がある。
次に図98を参照し、コイルを近くに結合する、従ってコイル間の正確な位置合わせ及び近接近を求める要件によって引き起こされる誘導無線充電の主な欠点を克服するために、磁気共鳴無線充電を利用することができる。磁気共鳴は、様々なサイズのコイルを使用することにより建物の内側から建物の外側に任意の能動コンポーネントを充電するために使用され得る。磁気共鳴パワー伝達の背後にある基本概念は、主コイルからエネルギを全方向に広げるのではなく、窓又は壁を横断して有向の様式で一方のコイルから他方のコイルにエネルギをトンネリングすることである。磁気共鳴無線充電回路は、発振器9806に電圧VSを印加する入力9804の両端で入力電圧VSを受信する。発振器9806の出力は駆動コイル9808を通過させられる。駆動コイル9808は、コイル9810の両端に接続されるコンデンサ9812を有するコイル9810を含む一次共鳴器回路9802内に電流を発生させる。共鳴器回路9802aは、磁気共鳴無線充電をもたらすために共鳴器回路9802bと結合する。共鳴器回路9802bは、コイルの両端に接続されるコンデンサ9816を有するコイル9814を含む。共鳴器回路9802bは、負荷9822を駆動するために使用される整流器9820に接続される駆動コイル9818と結合する。磁気共鳴器のパワー伝達の背後にある基本概念は、一次コイル9802aから全方向に広げるのではなく、共鳴器回路9802aからのエネルギを共鳴器回路9802bにトンネリングすることである。
誘導結合及び磁気共鳴結合を使用して、上記のミリ波伝送システムを用いて建物の内部から建物の外部への窓又は壁を介した無線パワー伝達をもたらすために、誘導結合を利用するのか磁気共鳴結合を利用するのかに応じて異なる設計検討に取り組む必要がある。誘導結合を使用して無線パワー伝達をもたらすために高い磁気結合が要求され、送信パワーユニットと受信パワーユニットとの間の距離が非常に短くなることを必要とする。誘導結合の無線パワー伝達に利用可能な標準はQi及びPMAを含む。これらの標準を使用し、5〜10mmの短距離にわたって5Wから15W伝送することができる。
highly resonant wireless power transfer(HR−WPA)とも呼ばれる磁気共鳴結合を使用する無線パワー伝達は、パワー伝達に疎結合の磁気共鳴を使用する。高クオリティファクタの磁気共鳴器は低い結合率でも効率的なエネルギ伝達を可能にし、位置的に更なる自由度を与えながら送信パワーユニットと受信パワーユニットとの間でより長距離にわたるパワー伝達を可能にする。既存の標準はRezence(WiTricity)及びWiPower(Qualcom)を含む。
次に図99を参照し、本開示のミリ波システムにパワーを与えるために利用され得る磁気共鳴無線パワー伝達システムの機能ブロック図を示す。AC入力9902においてAC電圧信号が与えられる。AC電圧信号は、交流信号を直流信号に変換するAC/DC変換器9904に適用される。AC−DC変換器9904からの直流信号がDC/RF増幅器9906に適用される。DC/RF増幅器9906は、ソース共鳴器を駆動するために使用されるRF電圧波形へとDC電圧を変換する高効率のスイッチング増幅器である。DC/RF増幅器9906からのRF電圧波形がインピーダンス整合回路網9908を追加するために適用される。インピーダンス整合回路網9908はインピーダンス整合を行い、システム効率を改善する。インピーダンス整合回路網9908からの信号は、受信機側の装置共鳴器9912に信号をリンクする送信側のソース共鳴器9910に与えられる。ソース共鳴器9910及び装置共鳴器9912は、窓又は壁の反対側にある送信側と受信機側との間の低い結合率(より長い距離及び/又はより大きい位置的な自由度)でも効率的なエネルギ伝達を可能にする高クオリティファクタの共鳴器である。このエネルギ結合はhighly resonant wireless power transfer(HR−WPT)と呼ばれる。装置共鳴器9912に伝達されるパワーは、第2のインピーダンス整合回路網9914及びRF/DC整流器9916に行く。整流器9916はDC電圧を必要とする負荷9918に使用され、受け付けたACパワーを再びDC信号に変換する。
ソース共鳴器9910及び装置共鳴器9912は2つの基本パラメータ、つまり共鳴周波数ω
0及び固有損失率Γによって記述可能な特性を有する。これらの2つのパラメータの比率が共鳴器のクオリティファクタ(Q)を定め(Q=ω
0/2Γ)、Qは共鳴器が如何に良くエネルギを貯蔵するのかの測度である。共鳴器のエネルギは、インダクタ(磁場内に貯蔵されるエネルギ)とコンデンサ(電場内に貯蔵されるエネルギ)との間の共鳴周波数で発振し、抵抗内で消散される。共鳴器の共鳴周波数及びクオリティファクタは次式で定められる:
Qの式は、回路内の損失を減らすこと、即ちRを低減することがシステムのクオリティファクタを増やすことを示す。高いQの電磁共鳴器は典型的には低吸収の導体及びコンポーネントで作られており、その結果、相対的に狭い共鳴周波数の幅を有する。
ソース共鳴器9910を装置共鳴器9912の近接近に配置することによって装置間の結合を実現することができ、共鳴器がエネルギを交換することを可能にする。結合された共鳴器の概略図を図100に全体的に示す。ソース電圧は、等価の生成器抵抗R
g10004と共に周波数ωにおける振幅V
gを有する正弦波電圧源10002である。ソース共鳴器のコイル及び装置共鳴器のコイルはインダクタL
S10006及びL
D10008によって表し、これらは相互インダクタンスMによって結合し、
が成立する。各コイルは共鳴器(C
S10010及びC
D10012)を形成するようにコンデンサを有する。抵抗R
S10014及びR
D10016は、それぞれの共鳴器のコイル10006、10008、並びに共鳴コンデンサ10010及び10012のオーム損及び放射損の両方を含む寄生抵抗である。負荷はR
L10018によって表される。
図100の回路の分析は、ソース及び装置の両方においてソースから得ることができる最大パワーで除算した負荷抵抗10018に送られるパワーが、以下の方程式に従ってωにおいて共鳴することを規定し:
但しUはシステムの性能指数である。
生成器抵抗10014、10016、及び負荷抵抗10018は次式に従って最良のシステム性能をもたらす(インピーダンス整合回路網によって行われる)ように選択される:
次いで、上記で定めたパワー伝送効率を次式に従って最大化する:
無線パワー伝達システムのあり得る最良の効率はシステムの性能指数に依存し、性能指数は共鳴器間の磁気結合係数k並びに無負荷時の共鳴器のクオリティファクタQ
S及びQ
Dに関して書くことができる。
磁気結合係数(k)は、共鳴器の相対的サイズ、共鳴器間の距離、及び共鳴器の相対的な向きの関数である。上記の方程式は、高クオリティファクタの共鳴器を使用することが、低い結合率でさえ効率的な動作を可能にすることを示す。このことはソース共鳴器と装置共鳴器との間の厳密な位置決めの必要性をなくし、コイル間のより長い距離並びに更なる位置的な自由度及び運動の自由度をもたらす。厳密な位置決めの必要性をなくすことは、窓又は壁の内部及び外部に位置する内部トランシーバ及び外部トランシーバを消費者が設置できるようにする。
性能指数Uは、線の半径Ra、ループの半径a、自由空間の透磁率μ
0、一次ループと二次ループとの間の距離d、及び芯材の伝導率等の様々なコイルパラメータに依存する。性能指数Uは、ループによって貯蔵されるエネルギと所与のサイクル内で消散されるパワーとの比率を示すQファクタに関して表すことができる。
m=4a
2/(4a
2+d
2)
R=R
T=R
R=R
rad+R
ohm
但しбは材料の委員会の種類(kind of committee of the material)を示し、cは光速である。
次に図101を参照し、図99のDC/RF増幅器9906等、50HzグリッドACをkHzに変換するためのパワー生成器の回路図を示す。この図面は、整流及びスイッチング回路網を利用してパワーグリッドACをエネルギ伝達システムの動作周波数に変換する無線エネルギ伝達システム用の潜在的な電源を示す。図101は、4つのダイオード10104を含む整流器10102と、4つのパワーMOSFETトランジスタ10108を含むスイッチング回路網10104とを含む電源の簡単な例を示す。整流器10102とスイッチング回路網10106との間にコンデンサ10110が接続される。電源の抵抗は250mから400mの範囲内である。電源への入力は、端子10112の両端で整流器10102の両端に与えられる。スイッチング回路網10106からの出力v
110114はほぼ矩形波電圧(square voltage)である。正規化された矩形波信号のフーリエ成分f(t)は下記の通りである:
次に図102を参照し、共鳴器10202と共鳴器10204との間の損失を克服するためにインピーダンス整合を利用することができるやり方を示す。窓10206を介した伝送について前に論じたように共鳴器10202及び10204の概略図を示す。低反射class内の薄い銀層による渦電流損を模倣しモデリングするために、2つの抵抗Rthin10208をインダクタLS及びLDそれぞれの両端に挿入する。抵抗による適切なインピーダンス整合及び/又は前に記載したインピーダンス整合回路網、コイル、及び抵抗を用いた整合制御により、コイルの巻数、コイルの面積、コイルの透磁率(材料の種類)、並びに共鳴周波数の周波数を修正することによって損失を克服することができる。
図103及び図104は、内部伝送回路から外部伝送回路にパワーを伝送するためにPerasoチップセット及び誘導結合又は共鳴結合を使用する、外部伝送回路10302及び内部伝送回路10304の透視図及び側面図を示す。外部伝送回路10302は、基地局又は他の外部伝送源からのミリ波伝送を受信するアンテナ10306で構成される。代替的実施形態では、アンテナ10306は別のPerasoトランシーバからの伝送を直接受信できるようにするためのPerasoトランシーバも含み得る。Perasoトランシーバ10308は、外部伝送回路10302を内部伝送回路10304と隔てる窓又は壁を介して信号を伝送するために使用される。上記のやり方で建物の内部からの誘導パワー伝送又は磁気共鳴パワー伝送にコイル10310が使用される。アンテナ10306、Perasoトランシーバ10308、及びコイル10310の電子部品を相互接続するために回路基板10312が使用される。
内部伝送回路10304は、外部伝送回路10302内のPerasoトランシーバ10308との間で信号を送受信するためのPerasoトランシーバ10312を含む。内部コイル10314は、外部伝送回路10302との誘導パワー結合又は磁気共鳴パワー結合を可能にする。加えて回路基板10316は、Perasoトランシーバ10312、コイル10314、及び他の任意の内部電子回路間の相互接続を可能にする。
信号又はパワーを伝送しなければならない窓ガラスに関して、相対的な透磁率、パワー伝送、位相、及び反射を以下に示すようにドルーデモデルに従って計算することができる:
ω
p:バルクプラズマ周波数
γ:バンド内ダンピング項
銀では:ω
p=9.6ev、γ=0.0228ev
ε
γ=(n+ik)
2
k∝吸収による損失量
吸収されるパワー:
位相:
ε
γ、n、k、吸収パワー、及び吸収損失の値を図105に示す。
1つの層の反射損失は−10log(1−R
2)として定めることができる一方、2つの層の反射損失は−10log(1−2R
2−R
4−2R
3)として定めることができる。吸収損失は−20log e
−αxとして定められる。これらの値については図106、図107の中でより詳細に示す。これらの値は反射率Rに基づいて求めることができる:
そして吸収係数:
住居IPネットワークシステムとの応用
現在のブロードバンドシステムは、ネットワークプロバイダから消費者に情報を伝送するためにファイバ接続と共に有線ブロードバンドを使用する。例えばAT&T U−verseはノードまでのファイバ及び構内への銅を有し、又は一部の事例では構内まで全てファイバを設ける。構内システムへのファイバは高価であり、展開するのに大量の時間を必要とする。他のソリューションはDirecTV、FrontierのDLSモデム、及びCharter又はComcastのケーブルボックスである。別のソリューションはブロードバンドの無線配信の実装である。しかし、無線の高周波数RF波を使用してブロードバンドを届ける場合、家及び建物の窓ガラス及び壁を貫通できない信号に関して問題が生じる。
ブロードキャストRFビデオ技術を使用する従来のケーブルTV又は衛星ネットワークでは、全てのコンテンツが各顧客までダウンストリームへ絶えず流れ、顧客がセットトップボックスにおいてコンテンツを切り替える。顧客は、家/事業所に流れ込むパイプによって与えられる、ケーブルプロバイダ又は衛星プロバイダによって提供される多くの選択肢の中から選ぶことができる。ブロードキャストネットワークはプロバイダから消費者にデータを伝送する1つのやり方に過ぎない。今までのところ、この手法は屋根の上にアンテナを設置してハブから信号を受信し、建物内に信号が貫通できるようにするために様々なフロアに穴を開けるものであった。建物の屋根から建物内の個々のユニットへのこの配信方式は運営者にとって非常にコストがかかり時間もかかる。別の手法はハブから個々のユニットにビームを向けることだが、この手法は信号が建物の窓又は壁に当たることを引き起こし得る。電波ビームが建物内に貫通しようとするとき壁又は窓によって損失が引き起こされる。これらの損失はミリ波無線信号にとって非常に大きく、従って上記の技法を利用してブロードバンド配信を行うための方法が大いに有益である。
無線ブロードバンド伝送に関する上記の問題を克服するための1つのやり方を図108に示す。既存の住居IPネットワークシステム10802をミリ波伝送システム10804と組み合わせることにより、改善された複合住居IPネットワークシステム10806を提供することができる。ミリ波伝送システム10804はより高いビットレート、より厳密なビーム形成及びステアリング、並びにより狭い設置面積のコンポーネントの利点を有する。住居ITPネットワークシステム10802は、インターネット、TV、及びVoIP電話サービスで構成される複合サービスを含む。これらのサービスはバンドルで又は別々に注文することができ、サービスの全ての組合せを利用できない場合もある。TVサービスはTVサービスを届けるために使用されるIPTV(インターネットプロトコルテレビ)に基づく。ネットワークシステム10802はIP技術(インターネットプロトコル技術)も利用し、それによりTV、コンピュータ、自宅の電話、及び無線装置がインターネットプロトコルを使用して一緒に機能するように統合される。このことは多くの有用な機能、サービス配信のやり方の点で装置の更なる制御を提供する。IP技術の使用は更なる個人化も可能にし、それにより消費者の厳密な需要に向けてサービスを適応させることができる。この種のサービスの例はAT&T U−verse、DirecTV、FrontierのDSLモデム、及びCharter又はComcastのケーブルボックスである。住居IPネットワークシステム10802及びビデオバックボーンは、高品質のビデオ、高度な機能、及び他の応用を届ける。住居IPネットワークシステム10802は、構内へのファイバ技術又はノードへのファイバ技術によって顧客の家に提供される双方向IPネットワークである。
ミリ波システム10804は、上記でより完全に説明したように窓又は壁を介した信号の伝送を可能にする。ミリ波システム10804を住居IPネットワークシステム10802と組み合わせることにより、窓又は壁を介して信号を伝送することによって生じる、システム性能を劣化させる損失なしにネットワークプロバイダから建物の内部に位置するユーザ装置に無線ブロードバンド伝送を提供することができる。複合住居IPシステム10806内でコンテンツはネットワーク内に留まり、要求されたときにのみ顧客に提供される。複合住居IPシステム10806内でIPネットワークは双方向である。切り替えられるビデオの配信は家/事業所内への「パイプ」のサイズによって限定されない。ネットワークはより多くのコンテンツ及び機能の配信を可能にする。ネットワークは、多様な視聴者にとって関心のあるニッチな番組及びより高精細(HD)の番組を含むより多くの選択肢を顧客に与える可能性をもたらす。
「従来の」ケーブルTV又は衛星TVと比較し、IPTVを提供する複合システム10806は、ネットワーク内の更なる柔軟性及び創造性を可能にする異なる改善された構成である。従来の単方向のケーブル又は衛星ブロードキャストネットワークに対し、IPTVを使用する複合システム10806は双方向の対話性を可能にする。双方向の住居IPネットワークは、視聴者が自らの視聴体験を対話し個人化し制御するためのより多くの選択肢を有することを可能にする。IP技術はホームネットワーク内の更なる柔軟性も可能にする。複合システム住居IPネットワークでは、任意の家又は事業所内の全てのシステム受信機が同じ高速ネットワーク上で接続される。このことは人がゲーム機、ラップトップ、及び他の装置を構内の住居IPネットワークに接続することを可能にする。
複合システム10806上でIPTVを見ることは、公衆インターネット上でのビデオのストリーミングと異なる。IPTVでは番組がネットワークプロバイダの住居IPネットワーク上で搬送され、そのことはネットワークプロバイダがビデオの品質及びサービスの信頼性を管理することを可能にする。ベストエフォート型のインターネットビデオは低帯域幅、高トラフィック、又は不十分な接続の質による遅延を被り得る。IPTVはTVが他のサービスと通信することを可能にするので、統合された高速のインターネットベースのコンテンツ及び機能をTV画面上にもたらすことができる。例えば公の又は個人的なクラウドにアップロードされるオンライン写真をTVから直接見ることができる。
次に図109を参照し、図108の住居IP複合システム10806の機能ブロック図をより詳細に示す。サービスプロバイダからミリ波伝送システム10904にネットワークコンテンツ10902が与えられる。ネットワークコンテンツ10902はビデオ、音声、インターネットのウェブページ、又は他の任意のネットワークによる材料を含み得る。建物の外部から建物の内部への信号の伝送及び建物の内部から建物の外部への信号の伝送に関し、ミリ波システム10904は上記のシステムに従って幾つかの波長において動作し得る。ミリ波システム10904は、上記の建物の内側と外側との間で双方向に伝送するための様々なシステムの全てを含む。ミリ波システム10904は、建物の内部に位置する住居IPシステム10906にブロードバンドデータを伝送する。ミリ波システム10904はガラス又は壁の両側にあることができ、光又はRFによる電波のトンネリングを可能にする。ミリ波システム10904は、窓ユニットにおけるエレクトロニクス統合によって住居ゲートウェイ10906に直接接続される。代替的実施形態では、ミリ波システム10904が免許を受けた帯域又は免許を受けていないWifi上でビーム形成を使って住居ゲートウェイ10906に無線で接続される。住居IPシステム1106は、有線接続10910及び無線接続10912によって建物の内部に位置する幾つかのホーム装置10908にブロードバンドコンテンツを提供する。
図110は、住居IPネットワークシステム11002の機能ブロック図を示す。外部の伝送ユニットから構造の内部へのミリ波の伝送を可能にするミリ波伝送システムからの入力11004が、住居IPネットワークゲートウェイ11006にブロードバンド信号を与える。住居IPネットワークゲートウェイ11006は、入力11004から来る信号を何処にルートする必要があるのかを突き止め、ブロードバンド情報を要求している装置に関連する適切な宛先IPアドレスに対して複数のあり得る出力のうちの1つの上で出力を与える。出力線は、同軸ケーブル11008、イーサネットケーブル11010、又は既存の電話回線11012を含み得る。同軸ケーブル11008はセットトップボックス11014に入力を与えることができ、セットトップボックス11014は例えばHDMI(登録商標)接続11018によってリビングのTV11016に出力を与える。第1のイーサネット接続11010は、セットトップボックス/DVR11020に接続することができる。更なるイーサネット接続11022が第2のテレビ11024にデータを与える。イーサネット接続11010は、PC11026又はネットワークドライブ11028にデータを提供することもできる。既存の電話回線接続11012は、電話の接続のために電話の差込口11030に与えられる。最後にWi−Fiアンテナ11032は、住居IPネットワークゲートウェイ110062が構造内でWi−Fiネットワーク接続を提供する能力を与える。Wi−Fiネットワーク接続は、PC11034、ラップトップ11036、iPad(登録商標)11038、又はiPhone(登録商標)11040等の装置が住居IPネットワークゲートウェイ11006に無線で接続してブロードバンドデータを受信することを可能にする。
図111は、住居IPネットワークシステムに情報を伝送するためにミリ波システムを利用することができるやり方を示す。構造の外側に位置するアクセスユニット11102が、住居IPネットワークシステムに関連する1つ又は複数の構造内に位置するCPE(顧客構内機器)ユニット11104にブロードバンドデータを無線で伝送する。アクセスユニット11102は、無線伝送又は配線接続によってCPEユニット11104に伝送するためのブロードバンドデータを受信し得る。アクセスユニット11102とCPEユニット11104との間で提供される無線アクセスは、これだけに限定されないがミリ波帯24GHz、28GHz、39GHz、60GHz、並びに2.5GHz、CBRS帯3.5GHz、2.4GHz及び5GHzのWi−Fi帯を含む幾つかの周波数帯の何れかによって提供することができる。信号は、壁又は窓を介して信号を伝送するための上記の伝送技法の何れかを使用して構造の外側から構造の内側に伝送される。構造内で、CPEユニット11104は構内のWi−Fi又は他の免許を受けていない帯域を使用して信号をモノのインターネット(IOT)装置11106、PC11108、IP TV11110、閉回路テレビ11112、IP電話11114、及びWi−Fi拡張器11116に伝送する。これらはIPベースの装置の一部の例に過ぎず、CPE11104との通信のために任意の種類のWi−Fi接続可能装置を構造内で利用することができる。構造の外部から構造の内部にブロードバンドデータを伝送し得るやり方は、上記のミリ波伝送システムを利用して幾つかの様式で構成することができる。
図112は、窓又は壁11204の外側に位置するミリ波システムトランシーバ11202にアクセスユニット11102がブロードバンドデータを無線で伝送する第1の実施形態を示す。システムは、建物の外側の中継器(トランシーバ11202)及び建物の内側のトランシーバ11206と共に消費者によって設置される。この構成はガラス又は壁の両側でミリ波送信機を使用し、光信号又はRF信号を用いた電波のトンネリングを可能にする。住居IPネットワーク11208へのアクセスを与えるために、統合窓ユニットにおけるエレクトロニクス統合によってブロードバンド信号がCPE装置11104に直接接続される。ミリ波トランシーバ11202への無線伝送は、これだけに限定されないが24GHz、28GHz、39GHz、60GHz、及び2.5GHz等のミリ波帯、3.5GHz等のCBRS帯、並びに2.4GHz及び5GHz等のWi−Fi帯を含む任意の周波数帯の範囲内であり得る。ミリ波トランシーバ11202は、構造の内部に位置する第2のミリ波トランシーバ11206に窓又は壁11204を介して信号を伝送する。ミリ波トランシーバ11202及び11206の構成(composition)は、窓又は壁11204を介して信号を伝送するためのシステムに関して上記で論じたものの何れかとすることができる。内部のミリ波トランシーバ11206は、住居ネットワークIP11208に関連する顧客構内機器11104に受信データを出力する(又はかかる顧客構内機器11104からデータを受信する)。ミリ波トランシーバ11206及びCPE11104は、構造の外部に位置するミリ波トランシーバ11202から信号を受信し、住居IPネットワーク11208及び関連する装置にデータを与えるための同じボックス又は装置内の統合機器を含み得る。
図113は、図112に関して先に説明した外部のミリ波トランシーバ11202にアクセスユニット11102がブロードバンドデータ信号を無線で伝送する代替的実施形態を示す。この実施形態では、ミリ波トランシーバが窓又は壁11204の側面に設けられ、光信号又はRF信号を用いた電波のトンネリングを可能にする。次いで、窓又は壁11204を介して伝送される信号が免許を受けていない帯域又は免許を受けていないWi−Fiを使用してビーム形成によってCPE11104に無線で接続される。外部のミリ波トランシーバ11202が内部のミリ波トランシーバ11206に窓又は壁11204を介して本明細書に記載の通りデータを伝送する。内部のミリ波トランシーバ11206は、統合されたミリ波トランシーバ12002及びCPE11104にビーム形成免許又はWi−Fiを使用して受信信号を伝送することを可能にするビーム形成装置又はWi−Fiルータを組み込む。CPE11104は、住居IPネットワーク11208及び関連する装置にデータを伝送する。
次に図114を参照し、住居IPネットワーク11208にブロードバンド信号を伝送するためのシステムの更なる実施形態を示し、ここではアクセスユニット11102が建物又は構造の窓11404の外側に位置するミリ波トランシーバ11402に信号を無線で伝送する。ミリ波トランシーバ11402は窓ガラスの外側に位置し、高パワーフェーズドアレイ及びビーム形成回路11403を使用して電波のトンネリングを可能にし、免許を受けた帯域又は免許を受けていないWi−Fiを使用して窓11404から或る距離離れて位置するCPE11408に無線で接続する。ミリ波トランシーバ11402は、構造の内部に位置するが窓11404の真裏ではない位置に配置されるミリ波トランシーバ11406に窓11404を介して信号を無線で伝送するためのビーム形成機能又はWi−Fiルータ機能を提供する高パワーフェーズドアレイ11403を含む。ミリ波トランシーバ11406は、住居IPネットワーク11208及び関連する装置にブロードバンドデータを伝送するCPE11408と統合される。
記載のシステムは、建物の外側から建物内の装置に信号を伝送できるようにする光トンネル又はRFトンネルを提供する。ブロードバンドアクセスが(住居又は商業)構内に届けられると、免許を受けていない他の帯域を構内で使用することができる。光トンネル又はRFトンネルは、建物内に位置するモノのインターネット装置からの信号が内側から外側に行くことを可能にするために使用することもできる。上記の技法に加えて、窓又は壁を介して情報を伝送するために他の近接場技法を使用することができる。
光ネットワークを伴うミリ波
ギガバイトレートにおける次世代ブロードバンドアクセスで直面する課題の1つは、家又は事業所までファイバを通わせる必要があることである。固定されたミリ波の5G無線アクセス技術では、自己設置型の固定無線アクセスポイントを集約するために、受動光ネットワーク(PON)エンドポイントである既存の光ネットワークユニット(ONU)を使用することができる。図115は、GPON/NG PON2/vOLTHA等の光データ転送システム11504とミリ波システム11502との組合せを示す。以下でより完全に説明するように、この複合システムはOLTからミリ波RUへの帯域幅割当の制御を可能にする。これらの光データ転送システム11504のそれぞれは、中央ネットワーク位置から、家又は事業所等のユーザ構内までの最終ドロップ(最後の100m)上でRF形式のデータ伝送を可能にするミリ波システム115022にデータを伝送するためのやり方を提供する。ミリ波システム11502は動的に変化するネットワーク条件に応じて、家の応用へのサービス品質を保証するためにミリ波ビーム形成及びビームステアリング技術を使用することができる。ミリ波システム11502は、家又は事業所内に位置するユーザにサービスを提供するために住居ゲートウェイ11506(上記のIPネットワークゲートウェイ等)への接続を提供する。ミリ波システム11502は、ギガビットイーサネット(登録商標)を届けるために5Gミリ波を使用可能な企業及び住居用の建物の数を大幅に増やす。従ってミリ波システム11502は、住居ゲートウェイ11506に伝送する構造におけるミリ波システムまでの無線最終ドロップアクセスにTDMA及びSDN制御ビームステアリングを使用する。
住居ゲートウェイ11506は、ネットワーク条件に基づいてミリ波システム11502と光データ転送システム11504との間のデータフロー動作を動的にトリガし又は調節する能力を有さないので、以下に記載のハイブリッドONU及びミリ波遠隔ユニットが革新的なSDN対応ビームステアリングメカニズムを実装して、動的ネットワークスライシングメカニズム及び最適化されたOLT−ONUシグナリングフレームワークと共に質の高い体験を実現することができる。従って図116でより詳細に示すように、RFネットワーク11502が所要の光ネットワークデータフロー11602をサポートするのに十分な資源を提供し、光ネットワーク11504がRFネットワークデータフロー11604をサポートするのに十分な資源を提供するように、GPON/NG PON2/vOLTHAネットワーク11504内の光ネットワークデータフロー11602及びRFネットワーク11502のデータフロー11604を制御システム11606によって平衡させることができる。この構成は、光ネットワーク11504及びRFネットワーク11502内のネットワーク装置を構成することを含む。従って光ネットワーク11504及びRFネットワーク11502は、ネットワークによって伝送される負荷の平衡を可能にするために中央コントローラによって遠隔的に再構成され得るコンポーネントで構成される(comprised of)。ネットワークのどちらかに十分な資源がない場合、2つのネットワーク間のインタフェースにおける如何なるボトルネックも防ぐために、光ネットワーク11504とRFネットワーク11502との間のネットワークデータフローが平衡されるようにネットワーク構成11608を変えることができる。ネットワークの再構成は、参照により本明細書に援用する、2017年7月31日に出願されULTRA−BROADBAND VIRTUALIZED TELECOM AND INTERNETと題された米国特許出願第15/664,764号明細書(代理人整理番号NXGN60−33592)の中で記載されているネットワーク構成制御技法を利用することができる。
光データ転送システム11504(図15)は、GPON、NG PON2、vOLTHA、又は同様の種類のシステムを含む。次に図117を参照し、GPON(ギガバイト受動光ネットワーク)内で、使用される主な2つの能動的な種類の伝送機器、OLT(光加入者線端末)11702及びONU(光ネットワークユニット)11704又はONT(光ネットワーク端末)11706がある。光加入者線端末11702は中央局11708内にあり、光分配ネットワークを横断して両方向に進む情報を制御する。OLT11702は、CSM(制御及びスイッチモジュール)、ELM(EPONリンクモジュール、PONカード)、及び冗長性の保護を含む。光ネットワークユニット11704はOLT11702からファイバ11710を介して伝送される光信号を、顧客構内11712において個々の加入者に送信される電気信号へと変換する。ONU11704は、加入者から来るデータをOLT11702に送信することもできる。光ネットワーク端末11706はONU11704と実質的に同じである。ONT11706は、ITU−T(ITUの電気通信標準化部門)の用語であり、ONU11704はIEEEの用語である。どちらもGPONシステム内のユーザ側の機器を指す。GPONは高帯域幅のトリプルプレイサービス、及び20kmまでの距離をサポートする。
事業所構成へのファイバ11714内で、OLT11702が光ファイバ11710によってONU11704に接続される。ONU11704は、銅線11718によってPON終端点11716と接続する。キャビネット構成へのファイバ11720内で、OLT11702が光ファイバ11710によってONU11704に接続される。ONU11704は、銅線11718によってPON終端点11716と接続する。最後に、ホーム接続へのファイバ11722内で、OLT11702がファイバ11710によってONT11706と接続する。
次に図118を参照し、OLT11702からの単一のファイバ11710が受動光スプリッタ11802に向かって進む。スプリッタ11802は、ユーザ11806への別々の経路11804へとパワーを分割する。2から128あたりのユーザ経路11804があり得る。GPONは2つの多重化メカニズムを有する。ダウンストリーム方向(OLTからユーザ)では、データパケットが暗号化されユーザにブロードキャストされる。アップストリーム方向(ユーザからOLT)では、データパケットがTDMAを使用して伝送される。
ONU−IDは、ONUの活性化中にOLT11702がPLOAMメッセージによってONU11704に指定する8ビットの識別子である。ONU−IDはPONの全体にわたって一意であり、ONU11704がOLT11702によって電源を切られるまで又は非活性化されるまで存続する。OLT11702はONU11704に12ビットの割当識別子(ALLOC_ID)も指定して、そのONU内のアップストリーム帯域幅の受け手であるトラフィックベアリングエンティティを識別する。
伝送コンテナ(T−CONT)は、ONU11704に対するアップストリーム帯域幅指定のための単一のエンティティとして現れる論理接続群である。サポートされるT−CONTの数は所与のONU11704について固定される。ONU11704は、ONUの活性化中に全てのサポートされたT−CONTインスタンスを自律的に作成し、OLT11702は所与のONUによってサポートされるT−CONTインスタンスの数を見出す。5種類のT−CONTがある。タイプ1は固定された帯域幅のものであり、遅延に敏感且つ優先度の高いサービスに使用される。タイプ2及びタイプ3は保証された帯域幅の種類のものであり、優先度の高いビデオサービス及びデータサービスに主に使用される。タイプ4はベストエフォート型のものであり、インターネット等のデータサービス及び優先度の低いものに主に使用される。タイプ5は全ての帯域幅の種類を含む混合型のものである。
ONU11704はOLT11702から様々な距離に位置することができ、これは各ONUからの伝送遅延が固有であることを意味する。遅延を測定し、各ONU11704内のレジスタを設定してその遅延を等化するためにOLT11702によって測距が行われる。伝送のための定義済みの時間間隔を設定するために、OLT11702が各ONU11704にグラント(grant)を伝送する。グラントマップは数ミリ秒ごとに動的に再計算され、かかる需要のために全てのONUに帯域幅を割り当てるために使用される。
動的帯域幅割当(DBA)は、現在のトラフィック要件に基づいてユーザの帯域幅割当を素早く採用することを可能にする。GPONはONU11704によるアップストリームアクセスを管理するためにTDMAを使用し、TDMAはアップストリーム伝送のために各ONUに非共用タイムスロットを与える。DBAは、アップストリームトラフィック負荷の分布に基づくアップストリームタイムスロットの拡大縮小を可能にする。OLT11702上のDBAサポートなしでは、アップストリーム帯域幅は共用できず管理システムによってのみ変更可能なT−CONTに静的に指定される。
DBAには2つの形式、状況報告DBA(SR−DBA)と非状況報告DBA(NSR−DBA)とがある。SR−DBAでは、OLT11702がT−CONTバッファ状態を求め、ONU11704はT−CONTごとに別々の報告で応答する。OLT11702は報告を受信すると帯域幅割当を再計算し、新たなマップをONU11704に送信する。ONU11704は指定のタイムスロット内でデータを送信する。ONU11704は送信する情報がないことを知らせるためにOLT11702にアイドルセルをアップストリームで送信する。その後、OLT11702は他のT−CONTにグラントを指定することができる。
NSR−DBAでは、OLT11702が各ONU11704に少量の余剰帯域幅を絶えず割り当てる。ONU11704がアイドルフレームを送信していないことをOLT11702が認めた場合、OLT11702はそのONUへの帯域幅割当を増やす。ONU11704がアイドルフレームを送信している場合、OLTはその割り当てをしかるべく減らす。NSR−DBAにはONU11704がDBAを知る必要がないという利点があるが、不利点は、最も効率的なやり方で幾つかのONU11704に帯域幅を割り当てる方法をOLT11702が知る術がないことである。
次に図119を参照し、アップストリームGTSフレーム11902及びダウンストリームGTSフレーム11904を示す。図120は、ダウンストリームGTCフレーム11904のより詳細な図を示す。ダウンストリームGTCフレーム11904は125μsの持続時間11906を有し、2.48832Gbpsのダウンストリームデータレートに相当する38880バイト長である。OLT11702は全てのONU11704にPCBd(GTCヘッダ)11908をブロードキャストし、関連情報に基づいてONUが機能する。PCBdは、ONU1704のためのフレームの始まりを示すPsyncフィールド12002を含む。Identフィールド12004は8−KHzスーパーフレームカウンタフィールドを含む。PLOAMdフィールド12006は、OAM関連アラーム又は閾値到達警告等の機能を扱う。BIPフィールド12008は、ビット誤り率を推定するために使用されるビットインタリーブドパリティである。ダウンストリームペイロード長インジケータ(Plend)12010は、アップストリーム帯域幅(US BW)マップの長さを与える。アップストリーム帯域幅(US BW)マップフィールド12012内の各エントリは特定のT−CONTに対する単一の帯域幅割当を表す。
割当IDフィールド12014は帯域幅割当の受け手を示し、ONU11704を直接アドレス指定するために最下位の254割当ID値を使用する。フラグフィールド12016は、指定のONU11704に関する物理層オーバヘッドブロックのアップストリーム伝送を可能にする。スロット開始フィールド12018及びスロット停止フィールド12020は、アップストリーム伝送窓の始まりと終わりを示す。CRCフィールド125022は、帯域幅割当フィールド上の誤り検出及び訂正を提供する。
GTCペイロードフィールド12024は一連のGEM(GPONカプセル化法)フレーム12026を含む。ダウンストリームGEMフレームのストリームはONU11704においてフィルタされる。各ONU11704はどのポートIDがそれに属するのかを認識するように構成され、ポートIDはGEMフレーム12026を一意に識別する。
次に再び図119を参照する。アップストリームGTSフレームの持続時間11914は125μsであり、1.24416Gbpsのアップストリームデータレートを与える19440バイト長である。各フレーム11910はONU11704からの幾つかのONU伝送バースト11912を含み、各バーストは物理層オーバヘッド(PLOu)セクション11914及び1つ又は複数の帯域幅割当間隔11916を含む。BWマップは、フレーム内のバーストの構成及び各バースト内の割当間隔を指図する。
次に図121も参照し、アップストリームGTSフレーム11910をより詳細に示す。PLOuバースト12102は適切な物理層の動作を保証するプリアンブルを含む。PLOuフィールド12102は、そのONU11704の一意のONU−IDを示すONU−IDフィールド12104も含む。アップストリーム物理層OAM(PLOAMu)フィールド12106は測距、ONT11706の活性化、及びアラーム通知等の管理機能を担う。アップストリームパワーレベリングシーケンス(PLSu)フィールド12108は、OLT11702によって認められるONU11704におけるレーザパワーレベルに関する情報を含む。
GEMフレーム12026は、GTCフレームのペイロードセクション12112を使用してOLT11702からONU11704に伝送される。OLT11702は、そのダウンストリームの需要を満たすためにダウンストリームフレームの最大で全てを割り当てることができる。ONUはポートIDに基づいて入力フレームをフィルタする。フレームは、構成されたGEM割当時間を使用してONU11704からOLT11702に伝送される。ONU11704がフレームをバッファに入れ、OLT11702によって時間を割り当てられたときにそれらをバースト内で送信する。OLT11702はONU11704からの受信フレームを多重化する。
光データ転送システム11504(図115)に使用され得る別のシステムはNG−PON2(次世代受動光ネットワーク)システムである。NG−PON2は、80Gbpsまで増大可能な40Gbps対応の多波長PONシステムである。NG−PON2システムは3種類のチャネルレート、つまり基本レート10/2.5Gbps、又は任意選択的に10/10Gbps、及び2.5/2.5Gbpsを有する。
NG−PON2の主な目標要件は、光加入者線端末(OLT)PONポートごとの集約容量の増加、1Gbpsのダウンストリーム及び0.5から1Gbpsまでのアップストリームにおける任意の光ネットワークユニット(ONU)上の持続可能な帯域幅、1ポート当たり64以上のONUのサポート、旧来のPONインフラとの互換性、40km差動到達及びスムーズな移行、同一光分配ネットワーク(ODN)上での複数の応用のサポート、埋め込まれた検査及び診断機能、並びにPON障害許容力である。
FTTB、企業、モバイルバックホール、フロントホール、及びクラウドRANを含め、次世代PONの需要をかき立てる多くの応用がある。一貫しているのは高アクセスビットレート要件に関する最近の主な促進要因である。コンテンツサービスプロバイダは将来のためにアクセスネットワークを備える必要があり、将来のアクセスネットワークは偽りなくマルチサービスソリューションになると結論付けることができる。
現在、ソフトウェアパッケージ及び個人データはデータセンタからダウンロードされ記憶される。この形態は非常に速いアップロード速度及びダウンロード速度、並びに対称性及び低レイテンシを必要とする。このことは、NG−PON2から得られる「クラウドの機会」も新たなネットワークへと進化する非常に重要な理由であることを意味する。
NG−PON2は、旧来のロスバジェットクラスと互換性がある。NG−PON2は14dBの最小光路損失を必要とし、40kmの差動到達を可能にする。Tx/Rx波長チャネルチューニング時間のNG−PON2によって定められる3つのクラスがある。クラス1コンポーネントはアレイ上のスイッチドレーザを含むことができ、クラス2コンポーネントは電子的にチューニングされるレーザ(DBR)に基づくことができ、クラス3コンポーネントは熱的にチューニングされるDFBであり得る。
NG−PON2の伝送コンバージェンス層は、多波長、TWDM、及び二地点間チャネルとしてプロトコルによってサポートされる新機能を有する。通信は、後で更に多くのチャネルを追加する単一のチャネル及び単一のファイバを駆動することができる分散型のOLTチャネル終端(CT)によって始まる。新たなプロトコル機能は複数の波長を許可し、そのためプロトコルはチューニング、システム及び波長チャネルを区別するための新たな識別情報、PtP、WDM、及びTWDMの活性化のための新たな管理プロトコル、誤った波長のチャネル内で伝送することを許可してはいけない無較正レーザを伴うONUを扱うこと、分散型のOLTチャネル終端にわたる一部の手続きのためのチャネル間メッセージング、及び検出し軽減することができる新たなローグシナリオをサポートする。
NG−PON2はチャネル間終端プロトコルを有する。OLT CT(チャネル終端)は分散されており、そのためOLT CTの非通信時間の同期、ONUのチューニング、ONUの活性化、親のないONUのパーキング、間違ったODNに接続されたONU、OLT CT間のONUのガイドされたハンドオフ、及びローグONUの隔離等、一部の手続きはOLT CT間でメッセージが渡されることを必要とする。
ONU送信機が間違ったアップストリームチャネルにホップする場合、ONU送信機が間違ったアップストリーム波長で伝送し始める場合、OLT CTが間違ったダウンストリーム波長のチャネル内で伝送する場合、及び共存する装置からの干渉の場合等、NG−PON2はONUの様々な保護シナリオ及びローグ挙動もカバーする。
現在のNG−PON2 OLT光学素子は、XFPフォームファクタ上に統合される双方向光サブアセンブリ(BOSA)に基づく。これらの光学素子はTWDM PON、10Gbpsダウンストリーム、2.5Gbps又は10Gbpsアップストリームに適している。タイプA N1クラスのNG−PON2の光学的要件に達するために、XFPは電界吸収型集積レーザダイオードを半導体光増幅器(SOA)と統合する。受信機コンポーネントとしての高感度バーストモードアバランシェフォトダイオード(APD)、前置増幅器、及び制限増幅器が、10Gbpsにおける−28.5dBmに等しい感度及び2.5Gbpsにおける−32dBmに等しい感度と共にシングルモードファイバスタブ内に統合されるパッケージ内に搭載される。
NG−PON2 ONU光学素子は、ボード上のBOSA(双方向光サブアセンブリ)に基づく。BOSAは、4つのアップストリームチャネルを行うことができるN1タイプAリンク、+4〜9dBm内で高い光パワーを放つ、10Gbps又は2.5Gbpsにおけるバーストモードチューニング可能な分布帰還型レーザ(DFB)を統合する。受信機側では、高感度の4チャネルチューニング可能APD、前置増幅器、及び制限増幅器が10Gbpsにおいて−28dBmの感度で動作することができる。
光データ転送システム11504(図115)に使用することができる別の実装形態は、上記のシステムの1つの中で使用することができるVirtual Optical Line Termination Hardware Abstraction(vOLTHA)である。図122に示すように、vOLTHAは旧来の及び次世代のネットワーク機器上のアブストラクション層である。vOLTHAはPON(G−PON、E−PON、XGS−PON)では初期であり、G.Fast、NG−PON2 DOCSIS、及びイーサネットでは最終的である。vOLTHAはアクセスネットワークを抽象プログラム可能スイッチとして働かせ、旧来の及び仮想化された装置と共に機能する。vOLTHAは本装置上で又は汎用サーバ上で実行可能である。
各アクセス技術はその独自のプロトコル及び概念を伴い、それは旧来のアクセス装置の制御及び管理が問題になり得ることを意味する。vOLTHAはアクセス技術の違いをアクセスの局所性に閉じ込め、それらをOSSスタックの上位層から隠す。次に図123を参照し、OLT12302及びONU12304のリンクを有するvOLTHAの実装形態を示す。OLT12302はスプリッタ12305を介して複数のONU12304と通信する。vOLTHAコンテナはgRPC上で通信する。メインコンテナはKafkaにイベントを発行し、サービスディスカバリのためにConsul内にデータを持続する。サウスバンドOLTアダプタ12306及びONUアダプタ12308もその独自のコンテナになる。OLTアダプタ12306及びONUアダプタ12308は、vOLTHAコア123310を介してOLT−ONUの相互運用性を可能にする。ONUアダプタ12308は、OLTアダプタ12306を介してOLT12302にOMCI(ONT管理制御インタフェース)を送信する。
Wave Agilityのためのハードウェアアブストラクション層を作成するためにvOLTHAを使用することは、ミリ波固定無線アクセス(ダイナミックQoSアプリケーション及びネットワークスライシングのサポートを有するギガビットレートアクセス)上での住居ネットワークIPゲートウェイへの統合を可能にする。ギガビットレートにおける次世代のブロードバンドアクセスで直面する課題の1つは、家又は事業所までファイバを通わせる必要があることである。次に図124を参照し、固定ミリ波5G無線アクセス技術では、自己設置型の固定無線アクセスポイントの集約にONU12402(PONエンドポイント)を利用することができる。
最近のほぼ全てのFTTH(ファイバツーザホーム)の展開、並びに現在計画されているものは受動光ネットワーキングを使用する。受動光ネットワーク(PON)12412の概念は、単一のファイバペアを複数の(典型的には32〜128の)顧客が共用することを可能にする受動ファイバスプリッタを使用することを含む。GPONも幾つかの大規模な電気通信業者による試行及び初期展開を経てきたが、これらはGEMフレーム(GPONカプセル化法)12026(図120)内のカプセル化によってイーサネットを伝送するための基礎として大抵使用される。GPONは非常に厳密なタイミング要件と共に設計された。従ってEPONもGPONも、「タイムシェアリング」として略式に知られている時分割多元接続(TDMA)を使用する。時間が、固定長の若しくは可変長のスロットに又は1つ若しくは複数のデータフレームを含むのに十分な長さ(通常は約100〜1000msec)のスロットに分割される。所与のスロットの間、1つのONU12402が伝送を許可され、他の全ては自らのレーザをオフにされなければならない。OLT12410は伝送スケジュールを決定し、それをONU12402に送信する役割を担い(これはOLTによるバッチポーリングの一形式と見なされることがある)、ONUはまさに適切な時点において伝送するためにOLTのクロックと同期される正確なクロックを維持しなければならない。
各ONU12402に割り当てられるタイムスロットの数は固定されたままでなくても良い。EPONもGPONも、需要及びネットワーク運営者のポリシに従ってOLT12410がONUに帯域幅を動的に割り当てることをできるようにするための柔軟なメカニズムを提供する。これらのメカニズムは、とりわけ極めて単純な要求ベースのプロトコルが興味深い動的な帯域幅割当アルゴリズムの多くの余地を残すEPONの場合、使用されるアルゴリズムに関して不特定である。帯域幅の指定をミリ波技術に拡張することはPON技術で望ましく、チャネルが全てのONU12402にブロードキャストされ、各フレームがその標的ONUのアドレスでラベル付けされる。そのONU12402はホームゲートウェイ12406を介して自らのエンドユーザのLAN上にフレームを転送し、他の全てのONUはそのフレームを破棄する。これはTDMAの一形式でありOLT12410は自らの伝送スケジュールを決定し、各タイムスロットはフレームの持続時間続く。
ミリ波システム12004は、動的に変化するネットワーク条件内でホームゲートウェイ12406を介してアクセスされる家の応用へのQoSを保証するために、ミリ波ビーム形成及びビームステアリング技術を利用することもできる。現在の住居ゲートウェイ(RGW)装置12406がネットワーク条件に基づいてサービスフロー動作を直接且つ動的にトリガし又は調節する能力を有さないことを所与とし、ハイブリッドONU12404及びミリ波遠隔ユニット(RU)12408が革新的なSDN対応ビームステアリングメカニズムを用いて設計され、動的ネットワークスライシングメカニズム及び最適化されたOLT−ONU(gPON)シグナリングフレームワークと共に質の高いユーザ体験を実現することができる。ミリ波システム12404によって実装されるミリ波周波数は24GHz、28GHz、39GHz、及び60GHz内の帯域として大まかに定められる。但し、かかる手法は3.5GHz CBRSにも適用可能である。ミリ波システム12404は、自己設置型のミリ波ホームモデムに対するSDNの制御下のビームステアリングを伴う無線ブロードバンドサービスとして使用するための多くの潜在性をもたらす。先に述べたように、SDNビームステアリングメカニズム及び動的ネットワークスライシングメカニズムは、参照により本明細書に援用する米国特許出願第15/664,764号明細書の中で記載されている技法を使用することができる。
vOLTHAのシナリオでは、無線アクセスポイントがミリ波RU12408を介してONU12402に直接接続される最終ドロップ(数百メートル)内で、ホームゲートウェイ12406がミリ波システム12404内のミリ波技術によってONU12402に接続することができる。ハイブリッド仮想OLT(vOLTHA)12410及びミリ波システム12404によるミリ波固定ブロードバンド無線技術は、家及び事務所に自己設置型のアクセスの機会を提供することができる。加えてgPONに基づくvOLTHAの同期的性質は、ホームネットワークにおけるスライシング制御のサポートと共に複数のミリ波モデム12408間でONUトラフィックをマッピング/分散させるためのビームステアリング制御技術にマップするように自らを拡張(extend itself to map)することができる。このシナリオでは、単一のPON12412が二地点間リンクの集まり(ハイブリッドONU12402+ミリ波無線ユニット12408ごとに1つ)としてイーサネットスイッチによって認められる。PON12412は典型的には各OLT12410に最大128個のONU12402を接続し、ハイブリッドONU−RUはビームステアリング制御計画を利用して複数のミリ波モデムに接続する。ミリ波モデム12408は自己設置型であり、家/集合住宅へのファイバ接続の必要を減らすだけでなく、イーサネット層でONU+RUにおいて追加の統計的利得及び集約点を更に提供し、それらのPON12412によってサービス提供される顧客は単一の大規模なイーサネット上にある。更に、遅延及びコストが要因ではない場合はONU+RUを統合し、負荷平衡及びスライシング機能を有するIPルータとして扱うことができ、統計的利得及び集約点を提供することができる。
従って運営者の観点から、中央局のPON12412の全てを互いにブリッジしONU+RU12402/12408をイーサネット層においてサービス提供することにより、それらのPON12412によってサービス提供される顧客は単一の大規模なイーサネット上にある。更に、遅延及びコストが要因ではない場合、ONU+RU12402/12408を負荷平衡及び追加のスライシング機能の機会を有するIPルータとして扱うことができる。本システムは、外側から内側により高い60GHz帯のチャネルで、及び内側から外側により低い60GHz帯のチャネルで伝送が行われるように設計することもできる。
vOLTHA内の現在のONU12402は、それぞれの家に設置されるモデムと共にビームステアリング機能を実行するミリ波RU12408で補完される。具体的なシナリオでは、各ONU12402が展開される都会の屋外環境内の小セルは木及び通過する物体の影響を通常は受ける。ミリ波ビーム形成システムでは、風が引き起こす動き、木による妨げ等の環境上の問題をSDNの制御下のビームステアリング技術によって解決することができ、そこでは各波長が非常に狭いビームパターンを使用する。街灯柱の展開シナリオの実際的な減損をビーム形成システム及びシステム設計に組み込む必要がある。
現代のほぼ全てのPON12412は、EPON上のネイティブプロトコルとして使用される又はGPON上のGEM内にカプセル化される何らかのレベルにおいてイーサネット上で実行され、簡単なイーサネットPON展開の物理的及び論理的トポロジを下記の通り示す。イーサネットは、データリンク層及びユビキタスネットワーク層プロトコルとしてのインターネットプロトコル(IP)の基礎として現在主に使用されている。一部のネットワークは依然として各方向の伝送に別々のファイバを使用する(双方向用途のための1310nm及び1490nm)。イーサネットPHYはシリアル化されたビットストリームファシリティ(bit stream facility)をメディアアクセス制御(MAC)層に(だけ)与える責任を負う。MACはビットストリームをフレームに分割する責任を負う。フレームは、ソース及び宛先MACアドレスを含むヘッダを用いてラベル付けされる。このようにラベル付けすることは、複数のホストのフレームを単一のリンク上で統計的多重化することを可能にする。
図125は、ONU12402と複数のホームゲートウェイ12406との間のインタフェースを示す。単一の光ファイバペア12502がONU12402との間でデータをやり取りする。ONU12402は、家又は事業所に関連する1つ又は複数のミリ波無線ユニット12408Bに向けられ得るRFビーム12504を生成する能力を有するミリ波遠隔ユニット12408とインタフェースする。ミリ波遠隔ユニット12408Aとミリ波遠隔ユニット12408Bとの間のインタフェースは、本明細書に記載の建物貫通技法の1つ又は複数を含み得る。ミリ波無線ユニット12408はビームステアリング技法及びスライス制御技法を提供し、ONU12402とホームゲートウェイ12406との間のデータ伝送を双方向に制御できるようにする。家又は事業所に関連するミリ波遠隔ユニット12408Bはホームゲートウェイ12406とインタフェースして、関連する家又は事業所の構造にブロードバンドデータ接続を提供する。
次に図126及び図127を参照し、OLT12410と構造内に位置する装置との間のブロードバンドデータ通信に関する実施形態をより詳細に示す。図126に関して、OLT12410は仮想ベースバンドユニット(VBBU)の一部であり得る中央局/MEC12602に位置する。OLT12410は、ONU12402までのファイバ12604上の伝送をスケジューリングする。OLT12410は、光ファイバペア12604を介して幾つかのONU12402に接続する。ONU12402はOLT12410と同期するための正確なクロックを維持する。ONU12402に関連するのは遠隔ユニット12408である。遠隔ユニット12408は上記のミリ波システム12404の一部である。複合ONU/RVは、負荷平衡及びスライシングを提供し、信号伝送のための統計的利得を更に提供し、受信データのための集約点として機能するIPルータとして扱われる。複合ONV/RVは構造に関連する遠隔ユニットとの無線通信も提供する。遠隔ユニット12408は構造の近くに位置する照明柱又は照明塔上に位置し、ファイバDSL及びケーブルを置換する無線最終ドロップ接続を家又は事業所まで提供する。
遠隔ユニット12408は制御されたビーム形成及びスライス制御技法を使用して、構造の外部に位置する外部のミリ波トランシーバ12608に伝送される電波ビーム12606を生成する。外部のミリ波トランシーバ12608は外部のハブからの受信信号を中継し、信号がガラス又は建物を貫通することを可能にする。外部のミリ波トランシーバ12608は、壁又は窓を介して伝送するための上記の技法の1つを使用し、窓又は壁126102及び内部のミリ波トランシーバ12612を介してブロードバンドデータ信号を伝送する。内部のミリ波トランシーバ12612も本明細書に記載の通りビーム形成及びスライシング技法を利用して住居ゲートウェイ12616まで構造内で電波ビーム12614を伝送する。住居ゲートウェイ12616は、内部のミリ波トランシーバ12612から受信されるブロードバンドデータと有線接続又は無線接続によって住居ゲートウェイ12616と通信する構造内に位置する装置との間の相互接続を提供する自己設置型のホームモデムを含む。OLT12410、ONU12402、RU12408、ミリ波トランシーバ12608/12612、及び住居ゲートウェイ12616は、先に記載したvOLTHAのハードウェアアブストラクション層を全て含む、最終ドロップ接続にアクセスするためのコンポーネントの全エンドツーエンド構成をSDNが制御することを可能にする。
図127は、OLT12410と内部のミリ波トランシーバ12612との間のブロードバンドデータ伝送のための、図126に関して記載したのと同じ構造を示す。システムが引き続き行い得る住居ゲートウェイ12616までの接続を示す代わりに、仮想現実(VR)ゴーグル12702までの60GHz無線接続を示す。以下でより完全に説明する60GHzトランシーバドングル12704が内部のミリ波トランシーバ12612のUSBポートに挿入される。これにより、内部のミリ波トランシーバ12612が60GHzトランシーバドングル12704を介して構造の内部に位置するVRゴーグル12702と双方向通信できるようになる。その後、VRゴーグル12702はローカルコンピュータを必要とすることなしに任意の内部のコンピュータ又は中央局に対して無線で使用することができる。図127はVRゴーグル12702への60GHz無線リンクを示すが、60GHzトランシーバドングル12704へのブロードバンドデータ伝送を可能にするために他の種類の装置も60GHzトランシーバドングル12704に無線で接続することができる。光データ伝送部分間のデータ伝送の制御、及び上記で述べたSDNスライシングを使用するRFデータ伝送部分は図126及び図127の実施形態のそれぞれに適用することができる。OLT12410、ONU12402、RU12408、ミリ波トランシーバ12608/12612、及びVRゴーグル12702は、先に記載したvOLTHAのハードウェアアブストラクション層を全て含む、最終ドロップ接続にアクセスするためのコンポーネントの全エンドツーエンド構成をSDNが制御することを可能にする。
次に図128を参照し、60GHzトランシーバドングル12704の機能ブロック図を示す。60GHzトランシーバドングル12704は、例えば図84Bに関して上記で記載したようなPerasoトランシーバを使用する60GHzチップセットを実装する。このチップセットは、WiGig装置への安価、低パワー、高性能の超高速USB3.0を実装する。このチップセットは、USB2.0及び3.0装置/ホストシステムインタフェース12802を含む。インタフェース12802は、10mにおける2.0Gbps及び20mにおける1Gbpsまでのリンク速度をサポートし、周辺装置用の数ギガビットのWiGig USBアダプタとして又は60GHz無線接続として制御インタフェース12804によってチップセットを構成することができる。
60GHzトランシーバドングル12704は、801.11ad MAC機能をサポートする際に最も高い柔軟性を与えるために2つのプロセッサ12806を組み込む。CPUコードのブートローディングが、USBインタフェース12802又は外部のシリアルフラッシュ12808からサポートされる。MACはPHYとの間のデータ転送をバッファに入れるのに、並びにホストインタフェースとの間でパケットを送受信するのに十分な内部メモリ12810を含む。追加のRAMは必要ない。
物理層は、4.62Gbpsの最大レートまでの全ての制御及び単一搬送波π/2−BPSK、π/2−QPSK、及び16−QAM WiGigコーディング方式を高スループットに変調/復調することができる。LDPC(低密度パリティチェック)順方向誤り訂正は、低信頼の又は雑音の多い通信チャネル内の性能を最大化する。GPIO、UART、SPI、TWI、PWM、及びJTAGで構成される高度に構成・プログラム可能なIOサブシステムがベースバンド内に含まれる。ファームウェアは、ロギング、広範な統計、及びイベントカウンタのようなデバッグ機能の複数の層を組み込む。
60GHzトランシーバドングル12704は、数ギガバイトのモバイル無線接続、高品質、低レイテンシの無線UHD 4kディスプレイ、無線ドッキングステーション、I/oh及びモバイル「sync and go」、小セルバックホール、及びWi−Fiインフラ、並びに他の数ギガバイトリンクを含む多くの異なる応用に利用することができる。システムは任意の中心周波数(3.5GHz、24GHz、28GHz、39GHz、60GHz)において、外側から内側により高帯域のチャネルにおける伝送、及び内側から外側により低帯域のチャネルからの伝送を有するように構築することができる。
図129に示すように、ローカル管理アドレスを示すために全てのイーサネットインタフェースに一意の6バイトMACアドレス12902が製造時に指定される。このMACアドレス12902は、IEEE分科会によって指定される組織一意識別子(OUI)を使用して装置の製造業者を識別する3つのバイト12904を含み、残りの部分は製造業者によって指定される。製造業者が指定したMACアドレスを一部のローカルスキームに従ってオーバライドすることもできる。最初のバイト内の1ビット12906は、そのようなローカル管理アドレスを示すためのフラグとして働く。製造業者が指定する全てのアドレスでこのビット12906はゼロに設定される。このことは、ONU12410をミリ波電波ビームにマップし、固定された無線及びOLT/ONU指定スロット間のグルーロジックを動作させる表を維持する機会を与える。
次に図130を参照し、(OLT、ONV、又はONTであり得る)光ネットワーク内のスイッチ13002は、MACアドレスを利用して複数の二地点間又は共用媒体イーサネットセグメント13006を互いにブリッジする。フレームがスイッチ13002を通過するとき、スイッチは送信者の位置を知る。フレームのソースアドレスが、フレームが到達したインタフェースと共にスイッチのメモリ内の転送データベース13004内に記憶される。この情報を使用してその後のフレームを導く。スイッチ13002はデータベース13004内でフレームの宛先アドレスを探してフレームを転送すべきインタフェースを突き止める。スイッチ13002がアドレスの位置の記録を有さない場合、そのフレームは全てのインタフェースにフラッディングすることができる。かかるフラッディングはリンク容量を非常に無駄にし、目的はそれを防ぐことである。
MACアドレスは、別のフラグビット13008を使用して複数のホストのグループを指すこともできる。現在イーサネットは、全てのグループアドレスにブロードキャストを概して使用するマルチキャストルーティングをネイティブに提供しないが、一部のスイッチ13002はIGMP(インターネットグループ管理プロトコル)スヌーピングとして知られる技法を使用してIPマルチキャストに接続し、イーサネットマルチキャストグループを推論することができる。
要約すれば、目標は5Gの固定無線ミリ波及び5Gコアをスライシングと共に使用し、それをvOLTHA上で搬送し、自己設置型のモデムを有する家にGigパワーファイバサービスと同様の速度(例えば1Gbps)を提供することである。このことは、PON12412に関連する光ネットワークと、一例ではミリ波システム12404を使用するRFネットワークとの間のデータフローを平衡させることを可能にする。仮定は、我々の近所の街路柱にONU12402とミリ波遠隔ユニット12408とが実装されていることである。
この建物貫通のためのミリ波の再生成及び再伝送は、信号が効果的に貫通しない建物の内側にミリ波信号を与えるためのやり方を提供することが本開示の利益を有する当業者によって理解される。本明細書の図面及び詳細な説明は限定的ではなく説明的と見なすべきであり、開示した特定の形式及び例に限定するつもりはないことを理解すべきである。逆に、当業者に明らかな任意の更なる修正、変更、再構成、置換、代替、設計選択、及び実施形態が添付の特許請求の範囲によって定められる本明細書の趣旨及び範囲から逸脱することなく含まれる。従って、添付の特許請求の範囲がそのような全ての更なる修正、変更、再構成、置換、代替、設計選択、及び実施形態を包含するように解釈されることを意図する。
本願は、2017年3月22日に出願され、PATCH ANTENNA FOR WAVE AGILITYと題された米国仮特許出願第62/474,937号明細書(代理人整理番号NXGN−33520)の利益を主張し、2017年8月23日に出願され、60 GHZ PRODUCT TO ENABLE MM−WAVE ACCESS INSIDE BUILDINGSと題された米国仮特許出願第62/549,314号明細書(代理人整理番号NXGN−33644)の利益を主張し、2017年8月25日に出願され、WAVE AGILITY SYSTEMと題された米国仮特許出願第62/550,219号明細書(代理人整理番号NXGN−33649)の利益を主張し、2017年9月15日に出願され、MILLIMETER WAVE BUILDING PENETRATION SYSTEM FOR USE WITH COMBINED INTERNET,TV AND PHONE SERVICEと題された米国仮特許出願第62/559,286号明細書(代理人整理番号NXGN−33757)の利益を主張し、2017年12月13日に出願されMAGNETIC RESONANCE POWER TRANSFERと題された米国仮特許出願第62/598,268号明細書(代理人整理番号NXGN−33952)の利益を主張し、2018年3月5日に出願され、PON−FWA SYSTEM TO UTILIZE 5G CORE AND ACCESS WITH MILLIMETER WAVE PENETRATION SYSTEM OVER VLOTHAと題された米国仮特許出願第62/638,555号明細書(代理人整理番号NXGN60−34043)の利益を主張し、それらは参照によりその全体をそれぞれ本明細書に援用する。