JP2020205303A - 酸化物半導体膜の製造方法 - Google Patents

酸化物半導体膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ドーパントの活性化を制御、促進可能で、電気抵抗の低い酸化物半導体膜を得ることが可能な酸化物半導体膜の製造方法を提供する。【解決手段】少なくともガリウムとドーパントとを含む原料溶液を霧化又は液滴化して生成されたミストを、キャリアガスを用いて搬送し、前記ミストを加熱して、基板上で前記ミストを熱反応させて成膜を行う酸化物半導体膜の製造方法であって、前記ドーパントとして、少なくとも二価のスズ(Sn(II))を含む前記ドーパントを用い、前記キャリアガスとして、不活性ガスと酸化性ガスの混合ガスを用い、前記不活性ガスの流量に対する前記酸化性ガスの流量の比(酸化性ガス/不活性ガス)を、空気における前記不活性ガスの含有量に対する前記酸化性ガスの含有量の比(酸化性ガス/不活性ガス)未満とする酸化物半導体膜の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ミスト状の原料を用いて基板上に酸化物半導体膜を成膜する、酸化物半導体膜の製造方法に関する。
従来、パルスレーザー堆積法(Pulsed laser deposition:PLD)、分子線エピタキシー法(Molecular beam epitaxy:MBE)、スパッタリング法等の非平衡状態を実現できる高真空成膜装置が開発されており、これまでの融液法等では作製不可能であった酸化物半導体の作製が可能となってきた。また、霧化されたミスト状の原料を用いて、基板上に結晶成長させるミスト化学気相成長法(Mist Chemical Vapor Deposition:Mist CVD。以下、「ミストCVD法」ともいう。)が開発され、コランダム構造を有する酸化ガリウム(α−Ga)の作製が可能となってきた。α−Gaは、バンドギャップの大きな半導体として、高耐圧、低損失及び高耐熱を実現できる次世代のスイッチング素子への応用が期待されている。
ミストCVD法に関して、特許文献1には、管状炉型のミストCVD装置が記載されている。特許文献2には、ファインチャネル型のミストCVD装置が記載されている。特許文献3には、リニアソース型のミストCVD装置が記載されている。特許文献4には、管状炉のミストCVD装置が記載されており、特許文献1に記載のミストCVD装置とは、ミスト発生器内にキャリアガスを導入する点で異なっている。特許文献5には、ミスト発生器の上方に基板を設置し、さらにサセプタがホットプレート上に備え付けられた回転ステージであるミストCVD装置が記載されている。
特許文献6には、ミストCVD法により作製される酸化ガリウムに対し、二価の塩化スズを初期原料として用い、ドーピングする方法が開示されている。具体的には、原料溶液に含まれる錫(II)化合物を、原料溶液に含まれる塩酸や過酸化水素によって錫(IV)化合物に変換し、錫(IV)化合物をドーパントとして用いることで抵抗率の低い酸化ガリウムを得ることが記載されている。
特開平1−257337号公報 特開2005−307238号公報 特開2012−46772号公報 特許第5397794号公報 特開2014−63973号公報 特開2013−028480号公報
特許文献6には、SnClを用いてα−Ga薄膜中に錫の添加を行っても薄膜に高い導電性を付加することができないが、SnClを用いてα−Ga薄膜中に錫の添加を行うと薄膜に導電性を付加することができることを見出し、SnCl等の二価の錫(Sn(II))化合物からSnCl等の四価の錫(Sn(IV))化合物に変換し、Sn(IV)をα−Ga薄膜に添加することにより、安全且つ確実にα−Ga薄膜に導電性を付加することができることが記載されている。このように、特許文献6に記載の方法は、過酸化水素等の酸化反応により、原料溶液中のSn(II)をSn(IV)とし、ドーパントとして機能させるものである。
しかしながら、本発明者が鋭意調査を行ったところ、ひとたびスズを四価とすると、スズの反応性が強くなって酸素と結合しやすくなり、かえって活性化が阻害され、電気抵抗の低い酸化物半導体膜を得ることができなくなるという問題があることを見出した。また、ガリウム源としてヨウ化ガリウムなどのハロゲン化物を用いた場合、この水溶液に過酸化水素を混合すると、ハロゲンが酸化され、溶質の分散性が損なわれるという問題もあることがわかった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ドーパントの活性化を制御、促進でき、電気抵抗の低い酸化物半導体膜を得ることが可能な酸化物半導体膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、少なくともガリウムとドーパントとを含む原料溶液を霧化又は液滴化して生成されたミストを、キャリアガスを用いて搬送し、前記ミストを加熱して、基板上で前記ミストを熱反応させて成膜を行う酸化物半導体膜の製造方法であって、前記ドーパントとして、少なくとも二価のスズ(Sn(II))を含む前記ドーパントを用い、前記キャリアガスとして、不活性ガスと酸化性ガスの混合ガスを用い、前記不活性ガスの流量に対する前記酸化性ガスの流量の比(酸化性ガス/不活性ガス)を、空気における前記不活性ガスの含有量に対する前記酸化性ガスの含有量の比(酸化性ガス/不活性ガス)未満とする酸化物半導体膜の製造方法を提供する。
このような酸化物半導体膜の製造方法によれば、酸化性ガスが製膜時にドーパントの活性化を効果的に促すことが可能となるため、電気抵抗の低い酸化物半導体膜を安定して得ることができる。しかも、従来の製造装置に対する大幅な変更を必要としないため、簡便で安価に、従来の製造方法より電気抵抗の低い酸化物半導体膜を得ることができる。さらに、従来の製造方法のように、Sn(II)をSn(IV)に変換するための過酸化水素等を原料溶液中に含有させる必要がなくなるため、原料中のハロゲンが酸化されることによる、溶質の分散性の低下も回避できる。
このとき、前記不活性ガスの流量に対する前記酸化性ガスの流量の比(酸化性ガス/不活性ガス)を、1×10−2以下とすることができる。
このような範囲とすれば、より安定して、より電気抵抗の低い酸化物半導体膜を得ることができる。
このとき、前記酸化性ガスとして酸素(O)又はオゾン(O)を用いることができる。
これにより、より簡便で安価に、より安定して電気抵抗の低い酸化物半導体膜を得ることができる。
このとき、前記基板として、成膜面の面積が100mm以上のものを用いることができる。
これにより、より簡便で安価に、電気抵抗の低い大面積の酸化物半導体膜を得ることができることができる。
以上のように、本発明に係る酸化物半導体膜の製造方法によれば、簡便で安価に、電気抵抗の低い酸化物半導体膜を安定して得ることが可能となる。
本発明に係る酸化物半導体膜の製造方法に用いる製膜装置の一例を示す概略構成図である。 製膜装置におけるミスト化部の一例を説明する図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上述のように、ドーパントの活性化を制御、促進でき、電気抵抗の低い酸化物半導体膜を得ることが可能な酸化物半導体膜の製造方法が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、少なくともガリウムとドーパントとを含む原料溶液を霧化又は液滴化して生成されたミストを、キャリアガスを用いて搬送し、前記ミストを加熱して、基板上で前記ミストを熱反応させて成膜を行う酸化物半導体膜の製造方法であって、前記ドーパントとして、少なくとも二価のスズ(Sn(II))を含む前記ドーパントを用い、前記キャリアガスとして、不活性ガスと酸化性ガスの混合ガスを用い、前記不活性ガスの流量に対する前記酸化性ガスの流量の比(酸化性ガス/不活性ガス)を、空気における前記不活性ガスの含有量に対する前記酸化性ガスの含有量の比(酸化性ガス/不活性ガス)未満とする酸化物半導体膜の製造方法により、簡便で安価に、電気抵抗の低い酸化物半導体膜を安定して得ることができることを見出し、本発明を完成した。
以下、図面を参照して説明する。
(製膜装置)
図1に、本発明に係る酸化物半導体膜の製造方法に使用可能な製膜装置101の一例を示す。製膜装置101は、原料溶液をミスト化してミストを発生させるミスト化部120と、ミストを搬送するキャリアガスを供給するキャリアガス供給部130と、ミストを熱処理して基板110上に製膜を行う製膜部140と、ミスト化部120と製膜部140とを接続し、キャリアガスによってミストが搬送される搬送部109とを有する。また、製膜装置101は、製膜装置101の全体又は一部を制御する制御部(図示なし)を備えることによって、その動作が制御されてもよい。
なお、ここで、本発明でいうミストとは、気体中に分散した液体の微粒子の総称を指し、霧、液滴等と呼ばれるものを含む。
(原料溶液)
本発明に係る酸化物半導体膜の製造方法で使用する原料溶液104aは、ドーパントとして、少なくとも二価のスズ(Sn(II))を含有している。Sn(II)としては、塩化スズ、臭化スズ、ヨウ化スズ、フッ化スズのようなハロゲン化物の他、酸化スズ、硫化スズ、硫酸スズ等、いずれを用いても構わない。また、Sn(II)の他、例えば、ゲルマニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウム又はニオブ等のn型ドーパントが混合されていても構わない。ドーパント元素は、溶液中ではイオン化していることが好ましい。従って、酸を混合してドーパント元素の溶解を促進させてもよい。このような酸としては、例えば、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸などのハロゲン化水素、次亜塩素酸、亜塩素酸、次亜臭素酸、亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、ヨウ素酸等のハロゲンオキソ酸、蟻酸等のカルボン酸、硝酸等が挙げられる。なお、溶解の促進には、加熱したり超音波を与えたりすることも有効である。
また、原料溶液104aは、ガリウムを含有している。なお、ガリウムの他、例えば、鉄、インジウム、アルミニウム、バナジウム、チタン、クロム、ロジウム、イリジウム、ニッケル及びコバルトから選ばれる1種又は2種以上の金属を含んでもよい。原料としては、前記金属を錯体又は塩の形態で、水に溶解又は分散させたものを好適に用いることができる。錯体の形態としては、例えば、アセチルアセトナート錯体、カルボニル錯体、アンミン錯体、ヒドリド錯体などが挙げられる。塩の形態としては、例えば、塩化金属塩、臭化金属塩、ヨウ化金属塩などが挙げられる。また、上記金属を、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸等に溶解したものも塩の水溶液として用いることができる。原料溶液104aには、Sn(II)をSn(IV)に変化させる過酸化水素のような材料は含まれない。なお、原料溶液104a中のガリウムの濃度は特に限定されないが、0.01〜1mol/Lとすることが好ましい。
(ミスト化部)
ミスト化部120では、原料溶液104aを調整し、前記原料溶液104aをミスト化してミストを発生させる。ミスト化手段は、原料溶液104aをミスト化できさえすれば特に限定されず、公知のミスト化手段であってよいが、超音波振動によるミスト化手段を用いることが好ましい。より安定してミスト化することができるためである。
このようなミスト化部120の一例を、図2に示す。例えば、原料溶液104aが収容されるミスト発生源104と、超音波振動を伝達可能な媒体、例えば水105aが入れられる容器105と、容器105の底面に取り付けられた超音波振動子106を含んでもよい。詳細には、原料溶液104aが収容されている容器からなるミスト発生源104が、水105aが収容されている容器105に、支持体(図示せず)を用いて収納されている。容器105の底部には、超音波振動子106が備え付けられており、超音波振動子106と発振器116とが接続されている。そして、発振器116を作動させると、超音波振動子106が振動し、水105aを介して、ミスト発生源104内に超音波が伝播し、原料溶液104aがミスト化するように構成されている。
(搬送部)
搬送部109は、ミスト化部120と製膜部140とを接続する。搬送部109を介して、ミスト化部120のミスト発生源104から成膜部140の製膜室107へと、キャリアガスによってミストが搬送される。搬送部109は、例えば、供給管109aとすることができる。供給管109aとしては、例えば、石英管や樹脂製のチューブなどを使用することができる。
(製膜部)
製膜部140では、ミストを加熱し熱反応を生じさせて、基板110の表面の一部又は全部に製膜を行う。製膜部140は、例えば、製膜室107を備え、製膜室107内には基板110が設置されており、該基板110を加熱するためのホットプレート108を備えることができる。ホットプレート108は、図1に示されるように製膜室107の外部に設けられていてもよいし、製膜室107の内部に設けられていてもよい。また、製膜室107には、基板110へのミストの供給に影響を及ぼさない位置に、排ガスの排気口112が設けられてもよい。また、基板110を製膜室107の上面に設置するなどして、フェイスダウンとしてもよいし、基板110を製膜室107の底面に設置して、フェイスアップとしてもよい。
(基板)
基板110は、製膜可能であり膜を支持できるものであれば特に限定されない。前記基板110の材料は、特に限定されず、公知の基板を用いることができる。有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよい。例えば、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、鉄やアルミニウム、ステンレス鋼、金等の金属、シリコン、サファイア、石英、ガラス、酸化ガリウム等が挙げられるが、これに限られるものではない。また、基板110の厚さは特に限定されないが、好ましくは、10〜2000μmであり、より好ましくは50〜800μmである。また、基板110の面積は100mm以上が好ましく、より好ましくは口径が2インチ(50mm)以上のものである。
(キャリアガス供給部)
キャリアガス供給部130は、キャリアガスを供給する不活性ガス源102aを有し、不活性ガス源102aから送り出されるキャリアガス(以下、「主キャリアガス」という)の流量を調節するための流量調節弁103aを備えていてもよい。また、必要に応じて希釈用キャリアガスを供給する希釈用不活性ガス源102bや、希釈用不活性ガス源102bから送り出される希釈用キャリアガスの流量を調節するための流量調節弁103bを備えることもできる。
後述するように、本発明に係る酸化物半導体膜の製造方法においては、キャリアガスとして不活性ガスと酸化性ガスの混合ガスを用いること、そして、不活性ガスと酸化性ガスの流量比を所定の範囲とすることに特徴を有する。このため、キャリアガス供給部には、酸化性ガスを添加する手段が設けられている。酸化性ガスを添加する手段、方法は特に限定されない。酸化性ガスは、主キャリアガスに混合してもよいし、希釈用キャリアガスに混合してもよいが、ミスト発生源104内で反応を進行させないという観点からは、希釈用キャリアガスに混合する方が好ましい。図1では、酸化性ガスを希釈用キャリアガスに混合する例が示してある。すなわち、酸化性ガスを供給する酸化性ガス源102cを有し、酸化性ガスの流量を調節するための流量調節弁103cを備え、酸化性ガスは、まず、希釈用キャリアガスと混合され、その後、ミストを搬送してくる主キャリアガスと混合されるように構成されている。
不活性ガスとしては、特に限定されないが、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等が挙げられる。
酸化性ガスとしては、酸素、オゾン、塩素、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素、フッ素、二酸化塩素、三フッ化窒素、三フッ化塩素、四塩化ケイ素、二フッ化酸素、等が挙げられる。なお、酸化性ガスの供給源として、圧縮空気などの空気を用いることも可能である。空気は、窒素:酸素:アルゴン:二酸化炭素=78.09:20.95:0.93:0.03の組成の混合ガスであり、不活性ガスと酸化性ガスとを含んでいる。なお、空気に含まれる二酸化炭素は不活性ガスに分類して、酸化性ガス/不活性ガスを計算するものとする。このような空気をさらに不活性ガスで希釈して、キャリアガスとして用いる混合ガス中の不活性ガスと酸化性ガスの流量比を所定の範囲とすることも可能である。
上述の酸化性ガスのいずれを用いても構わないが、酸素やオゾンが好ましい。特に、比較的安全で環境にも影響がなく安価である等の理由から酸素が最も好ましい。
(キャリアガスの組成)
上述のように、本発明に係る酸化物半導体膜の製造方法においては、キャリアガスとして不活性ガスと酸化性ガスの混合ガスを用い、不活性ガスと酸化性ガスの流量比(酸化性ガス/不活性ガス)を所定の範囲とする点に特徴を有する。不活性ガスの流量に対する前記酸化性ガスの流量の比(酸化性ガス/不活性ガス)を、空気における不活性ガスの含有量に対する酸化性ガスの含有量の比(酸化性ガス/不活性ガス)未満とすることで、Sn(II)の状態のままでドーパントとして使用しても、ドーパントの活性化を制御、促進可能であり、電気抵抗の低い酸化物半導体膜を得ることができる。しかも、従来の製造方法のように、Sn(II)をSn(IV)に変換するための過酸化水素等を原料溶液中に含ませる必要がなくなるため、原料中のハロゲンが酸化されることによる、溶質の分散性の低下という問題も起こらない。
不活性ガスの流量に対する酸化性ガスの流量の比(酸化性ガス/不活性ガス)が、空気における不活性ガスの含有量に対する酸化性ガスの含有量の比(酸化性ガス/不活性ガス)以上の場合や、キャリアガス中に酸化性ガスを含有しない場合には、高い導電性を付加することができず、電気抵抗の低い酸化物半導体膜を得ることはできない。このことは、特許文献6の比較例等にも記載されているとおりである。
不活性ガスの流量に対する酸化性ガスの流量の比(酸化性ガス/不活性ガス)は、1×10−2以下とすることが好ましく、5×10−3以下とすることがさらに好ましい。このような範囲であれば、さらに安定して確実に、電気抵抗のより低い酸化物半導体膜を得ることができる。
一方、不活性ガスの流量に対する酸化性ガスの流量の比(酸化性ガス/不活性ガス)の下限値は特に限定されず、キャリアガス中に酸化性ガスが含まれてさえいればよいが、例えば、1×10−9以上とすることが可能である。このような範囲であれば、不活性ガスの流量に対する酸化性ガスの流量の比(酸化性ガス/不活性ガス)を安定して制御でき、結果として、より安定して、確実に、電気抵抗の低い酸化物半導体膜を得ることが可能となる。
前記酸化性ガスの流量は、原料の組成、酸化性ガスの種類、ミストの流量、溶質の濃度、製膜部の容積等に応じて適宜決定されるが、0.001〜50mL/分とすることが好ましい。
なお、本明細書においてキャリアガスの流量Qという場合、キャリアガスの総流量を指す。上記の例では、不活性ガス源102aから送り出される主キャリアガスの流量と、希釈用不活性ガス源102bから送り出される希釈用キャリアガスの流量と、酸化性ガス源102cから送り出される酸化性ガスの流量の総量を、キャリアガスの流量Qとする。キャリアガスの流量Qは、酸化性ガスの流量、製膜室や基板の大きさ等に応じて適宜決定すことができるが、通例1〜20L/分であり、好ましくは2〜10L/分とすることができる。
(酸化物半導体膜の製造方法)
次に、以下、図1を参照しながら、本発明に係る酸化物半導体膜の製造方法の一例を説明する。
まず、原料溶液104aをミスト化部120のミスト発生源104内に収容し、基板110をホットプレート108上に直接又は製膜室107の壁を介して設置し、ホットプレート108を作動させる。
次に、流量調節弁103a、103b、103cを開いて不活性ガス源102a、希釈用不活性ガス源102bから不活性ガスを、酸化性ガス源102cから酸化性ガスを製膜室107内に供給し、製膜室107の雰囲気をキャリアガスで十分に置換するとともに、主キャリアガスの不活性ガス流量と希釈用キャリアガスの不活性ガス流量及び酸化性ガスの流量をそれぞれ調節し、キャリアガス流量Qを制御する。
また、超音波振動子106を振動させ、その振動を、水105aを通じて原料溶液104aに伝播させることによって、原料溶液104aをミスト化させてミストを生成する。生成したミストは、次に、キャリアガスによってミスト化部120から搬送部109を経て製膜部140へ搬送され、製膜室107内に導入される。そして、製膜室107内に導入されたミストは、製膜室107内でホットプレート108の熱により熱処理され熱反応して、基板110上に製膜される。
熱反応は、加熱によりミストが反応すればよく、反応条件等も特に限定されない。原料や製膜物に応じて適宜設定することができる。例えば、加熱温度は100〜600℃の範囲であり、好ましくは200℃〜600℃の範囲であり、より好ましくは300℃〜550℃の範囲とすることができる。
熱反応は、真空下、非酸素雰囲気下、還元ガス雰囲気下、空気雰囲気下及び酸素雰囲気下のいずれの雰囲気下で行われてもよく、製膜物に応じて適宜設定すればよい。また、反応圧力は、大気圧下、加圧下又は減圧下のいずれの条件下で行われてもよいが、大気圧下の製膜であれば、装置構成が簡略化できるので好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明について詳細に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
(実施例1)
上述の酸化物半導体膜の製造方法に基づいて、コランダム構造を有する酸化ガリウム(α−Ga)の製膜を行った。
具体的には、まず、原料溶液104aとして、臭化ガリウム0.1mol/Lの水溶液を調整した。これに、スズとガリウムの原子数比が0.02となるよう塩化スズ(II)を混合した。さらに、48%臭化水素酸溶液を体積比で10%となるように含有させた。このようにして得た原料溶液104aを、ミスト発生源104内に収容した。次に、基板110として4インチ(直径100mm)のc面サファイア基板を、製膜室107内でホットプレート108に隣接するように設置し、ホットプレート108を作動させて温度を500℃に昇温した。
続いて、流量調節弁103a、103bを開いて、不活性ガス源102a、希釈用不活性ガス源102bから不活性ガスとして窒素ガスを製膜室107内に供給し、同時に、流量調節弁103cを開いて、キャリアガス源102cから酸化性ガスとしてオゾン(O)を製膜室107内に供給し、製膜室107の雰囲気をキャリアガスで十分に置換するとともに、主キャリアガスの流量を2L/分に、希釈用キャリアガスの流量を5L/分に、酸化性ガスの流量を0.03mL/分に、それぞれ調節した。この場合、酸化性ガス/不活性ガス=4.29×10−6であり、酸化性ガスの流量は不活性ガスの流量に比べ小さいため、キャリアガス流量Qは約7L/分となる。
次に、超音波振動子106を2.4MHzで振動させ、その振動を、水105aを通じて原料溶液104aに伝播させることによって、原料溶液104aをミスト化してミストを生成した。このミストを、キャリアガスによって供給管109aを経て成膜室107内に導入した。そして、大気圧下、500℃の条件で、成膜室107内でミストを熱反応させて、基板110上にコランダム構造を有する酸化ガリウム(α−Ga)の薄膜を形成した。成膜時間は30分とした。
得られた膜の膜厚を、FILMETRICS社の干渉式膜厚計F−50を用い測定した。膜厚は1.7μmであった。シート抵抗は、ナプソン社製四探針抵抗率測定器RT−3000/RG−80を用いて測定した。シート抵抗は706Ωであった。従って、抵抗率は0.12Ωcmと算出された。
(実施例2)
実施例1において、酸化性ガスを、オゾン(O)に代えて酸素(O)として、製膜を行った。これ以外は実施例1と同じ条件で製膜、評価を行った。この結果、抵抗率は0.09Ωcmとなった。
(実施例3)
実施例2において、酸化性ガス流量を0.002mL/分として製膜を行った。この場合、酸化性ガス/不活性ガス=2.86×10−7である。これ以外は実施例2と同じ条件で製膜、評価を行った。この結果、抵抗率は0.13Ωcmとなった。
(実施例4)
実施例2において、酸化性ガス流量を9mL/分として製膜を行った。この場合、酸化性ガス/不活性ガス=1.29×10−3である。これ以外は実施例2と同じ条件で製膜、評価を行った。この結果、抵抗率は0.21Ωcmとなった。
(実施例5)
実施例2において、酸化性ガス流量を40mL/分として製膜を行った。この場合、酸化性ガス/不活性ガス=5.71×10−3である。これ以外は実施例2と同じ条件で製膜、評価を行った。この結果、抵抗率は0.82Ωcmとなった。
(比較例1)
実施例2において、酸化性ガスを流さずに(すなわち、酸化性ガス流量が0mL/分)製膜を行った。この場合、酸化性ガス/不活性ガス=0である。これ以外は実施例2と同じ条件で製膜、評価を行った。この結果、抵抗率は15.9Ωcmとなった。
(比較例2)
実施例2において、酸化性ガス流量を1.9L/分として製膜を行った。この場合、酸化性ガス/不活性ガス=2.71×10−1である。キャリアガス流量Qは約8.9L/分であり、酸素と窒素の組成比は空気とほぼ同等の条件である。これ以外は実施例2と同じ条件で製膜、評価を行った。この結果、抵抗率は12.8Ωcmとなった。
実施例1−5及び比較例1,2の結果を、表1に示す。
Figure 2020205303
酸化性ガスを用いなかった比較例1や、キャリアガスとして空気の酸化性ガス/不活性ガスの比率に相当する混合ガスを用いた比較例2においては、極めて高い抵抗率となったのに対し、実施例1〜5はいずれも1Ωcm以下の低い抵抗率を有する酸化ガリウム膜が得られることがわかる。特に、実施例1〜4では、0.3Ωcm以下と極めて低い抵抗率を有する酸化ガリウム膜を得ることができた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
101…製膜装置、 102a…不活性ガス源、
102b…希釈用不活性ガス源、 102c…酸化性ガス源、
103a…流量調節弁、 103b…流量調節弁、 103c…流量調節弁、
104…ミスト発生源、 104a…原料溶液、 105…容器、 105a…水、
106…超音波振動子、 107…製膜室、 108…ホットプレート、
109…搬送部、 109a…供給管、
110…基板、 112…排気口、 116…発振器、
120…ミスト化部、 130…キャリアガス供給部、 140…製膜部。

Claims (4)

  1. 少なくともガリウムとドーパントとを含む原料溶液を霧化又は液滴化して生成されたミストを、キャリアガスを用いて搬送し、前記ミストを加熱して、基板上で前記ミストを熱反応させて成膜を行う酸化物半導体膜の製造方法であって、
    前記ドーパントとして、少なくとも二価のスズ(Sn(II))を含む前記ドーパントを用い、
    前記キャリアガスとして、不活性ガスと酸化性ガスの混合ガスを用い、前記不活性ガスの流量に対する前記酸化性ガスの流量の比(酸化性ガス/不活性ガス)を、空気における前記不活性ガスの含有量に対する前記酸化性ガスの含有量の比(酸化性ガス/不活性ガス)未満とすることを特徴とする酸化物半導体膜の製造方法。
  2. 前記不活性ガスの流量に対する前記酸化性ガスの流量の比(酸化性ガス/不活性ガス)を、1×10−2以下とすることを特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体膜の製造方法。
  3. 前記酸化性ガスとして酸素(O)又はオゾン(O)を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の酸化物半導体膜の製造方法。
  4. 前記基板として、成膜面の面積が100mm以上のものを用いることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の酸化物半導体膜の製造方法。
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