JP2020202195A - 固体酸化物形燃料電池のアノード材料及びこのアノード材料を使用した固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池のアノード材料及びこのアノード材料を使用した固体酸化物形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】従来はあまり有効でないと考えられていたアノード特性の改良による固体酸化物形燃料電池の発電性能の向上を実現し、またその動作温度領域を低温側に広げる。【解決手段】図の上側に(a)として示される従来型のアノードではYSZ等の酸化物電解質及びNiOxのスラリーを固体電解質上に焼き付け、水素雰囲気で還元することで、アノードが形成される。これに対して(b)のようにPtOxの薄膜を表面に形成した後に上述の還元処理を行うことで、従来の三相界面モデルでは説明できない構造及び極めて高い活性を有する活性サイトが多孔質アノード中のいたるところに形成された。この固体電解質の他方の面に市販の材料で作製したカソードを設けた単セルの固体酸化物燃料電池の発電性能を800℃及び700℃の動作温度の下で評価したところ、極めて高い性能が確認された。【選択図】図1

Description

本発明は固体酸化物形燃料電池のアノード材料に関し、特に固体酸化物形燃料電池の系全体としての発電効率を顕著に改善させる固体燃料形電池のアノード材料に関する。本発明はまたこのアノード材料を使用した固体酸化物形燃料電池にも関する。
固体酸化物形燃料電池は燃料電池の中でも発電効率が高く、また規模の大きな燃料電池を構成することができ、高温の排熱を利用して更に発電を行うなど、熱効率を一層向上させることが可能であるため、各方面で研究・開発が進められている。
燃料電池の研究・開発の大きな目標の一つとして発電効率の改善があり、固体酸化物燃料電池でもこれは大きな課題となっている。燃料電池ではカソード(酸素極)側で行われる酸素還元反応(酸素ガスから酸化物イオンを作り、固体電解質内に取り込む反応)はアノード(燃料極)側で起こる水素酸化反応(プロトンをつくり、酸化物イオンと反応させ、結果として水分子をつくる反応)に比べて極めて遅いため、カソードの改良によりこの反応を速やかに行わせることが、発電効率の改善に重要であり、アノード側の性能改善はカソードの性能改善に比較してはるかに重要度ならびに効果が低いというのが、長年にわたる当業者の共通認識であった。固体酸化物形燃料電池の研究において、アノード側の改良も提案されているが(例えば非特許文献1)、アノード単独の特性を向上させるものであっても、電池全体の発電効率を顕著に改善してはいなかった。
また、固体酸化物形燃料電池の動作温度は1000℃程度であるが、800℃以下の比較的低温の領域では内部抵抗の増大等により発電効率が著しく低下するため、実用的には900℃以上で動作させる必要があると考えられてきた。しかし、900℃以上という高温では使用可能な材料が限定され、特に単セルを積み上げて高い出力を得るためのスタックセルを作成する際に単セル間のしきりとなるインターコネクター用の材料としてはランタンクロマイト系酸化物が主に用いられている。しかしながら、この材料を使用したインターコネクターは非常に高価であり、このことが固体酸化物形燃料電池の低価格化を妨げる大きな要因の一つとなっている。固体酸化物形燃料電池の動作温度を650℃〜700℃程度まで低下させることができればインターコネクター材料として汎用のステンレススチールを使用できるようになるため、燃料電池価格を大幅に低減できると期待されている。
そのためには、固体電解質の厚みを、20ミクロンまたはそれ以下にして、内部抵抗の大幅な低減を図ることが有効であると考えられるが、固体電解質膜がセラミックスからなる場合、膜をささえる支持体のない自立膜をつくることはできないので、高価なカソード材料ではなく、安価なアノード材料を支持体として、そのうえに、セラミックスの膜を形成することがこころみられてきた。
しかしながら、アノード材料は通常、Ni粒子と酸化物固体電解質粒子の混合物からなる。この場合、Ni粒子が連なり電子を輸送する働きをし、酸化物固体電解質粒子(たとえばイットリア安定化ジルコニア粒子、スカンジア安定化ジルコニア粒子などが例示される)が連なり酸化物イオンを拡散させる通路となる役割を有する。この2つの異なる粒子の接点に、水素ガスが接触した場合、水素、電子、酸化物イオンの3種類が同時に出会い、燃料電池反応が進行する(これを三相界面とよび、アノード内における活性サイトの役割をもつと考えられている)。
ところが、この活性サイト数を大きく増やすためには、粒子サイズを小さくするなどの方法が考えられるが、アノード層内においてNiの異常粒成長を抑制し、高いNiの活性を発揮させるためには、通常、酸化NiがNiの代わりに用いられ、これを800℃の温度で還元することで、上述のNi粒子と酸化物固体電解質粒子の混合物からなるアノード層を形成させる。
さらに、このアノード層を、セラミックスに焼き付ける際にも、通常は1000℃を超える温度で焼き付け処理を行うことから、アノード層内のNi粒子と酸化物固体電解質粒子の粒径は、サブミクロン程度までしか微細化することができず、活性サイト数を従来のアノード層内のものに比して飛躍的に向上させ、あわせてその向上効果を発電効率に反映させることが難しい状況にあった。
上述した低温動作時の発電効率の著しい低下及びその解決の困難性のため、800℃以下の温度で高い発電効率を示す固体酸化物形燃料電池の実用化への見通しは明確になっていない。
本発明の課題は、アノード材料の改良により固体酸化物燃料電池全体としての発電効率を大きく向上することにある。
本発明の一側面によれば、ジルコニアまたはセリア、ニッケル及び白金を含み、前記ジルコニアまたはセリアの粒子と前記ニッケルの粒子との間には1nmの空間分解能では観測されない態様で白金が存在する、固体酸化物形燃料電池のアノード材料が与えられる。
ここで、前記観測は空間分解能が1nmの走査型電子顕微鏡を使用して行ってよい。
また、固体酸化物形燃料電池のアノード材料は多孔質構造を有してよい。
また、前記ジルコニアはイットリア安定化ジルコニアであってよい
本発明の他の側面によれば、上記何れかの固体酸化物形燃料電池のアノード材料を使用した固体酸化物形燃料電池が与えられる。
本発明によれば、燃料電池セルの発電効率改善には有効でないと考えられてきたアノード材料の改良により、固体酸化物形燃料電池の発電効率を顕著に向上させることができる。また、この効率向上により固体酸化物形燃料電池を700℃から800℃程度で動作させても従来よりも高い発電効率が達成できるので、低温動作により使用可能な材料の選択肢が増加することによる製造コストの低下等を実現することも可能となる。
本発明のアノード触媒におけるPtカチオン−欠陥酸化物−Niカチオンクラスタ活性サイトを従来技術の三相界面活性サイトと対比して説明する図。 本発明の実施例及び比較例の固体酸化物形燃料電池の電流密度−セル電圧特性を示すグラフ。 本発明の実施例の固体酸化物形燃料電池及びPtOx薄膜のスパッタ前にアノード層中のNiOxを事前還元しておいた点だけが相違する固体酸化物形燃料電池の電流密度−セル電圧特性を、PtOx薄膜のスパッタ厚10nm、20nm及び30nmの場合について示すグラフ。 本発明の実施例の固体酸化物形燃料電池における、800℃における電流密度−電池の内部抵抗の影響を補正した正味のセル電圧(IRフリー)特性を示すグラフ。 電流遮断法によるIRフリーの求め方を説明する図。 PtOx薄膜のスパッタ厚を10nm、20nm及び30nmとしたときの電流密度約250mAcm−2におけるIRフリー及びセル電圧の変化を示すグラフ。セル動作温度は800℃。また、アノード層の材料として8YSZ粉末の代わりにセリアナノワイヤを使用し、PtOx薄膜のスパッタ厚を10nmとした以外は同一条件で作製した固体酸化物形燃料電池を同一条件で測定した結果も示す。 水素雰囲気での還元処理後の本発明の実施例(PtOx膜厚10nm)断面表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像。 図7と同じ試料の同じ位置における元素マッピングを示す図。 PtOx薄膜スパッタ後で水素還元処理前の試料のTEM明視野像。 800℃1時間の水素還元処理後の試料のSTEM像。 図8と同じ試料のSTEM像及びそのEDS元素分析結果のスペクトルを示す図。 図8と同じ試料のSTEM像及びそのEDS元素マッピング像(Ni、Zr、Y)。 図8と同じ試料のSTEM像及びそのEDS元素マッピング像(Pt、Zr、O)。
本発明の一形態によれば、ニッケル(Ni)に加えて従来は固体酸化物形燃料電池のアノード材料としては使用する意義がないと一般に考えられてきた白金(Pt)を添加したアノード材料を用いることにより、固体酸化物形燃料電池の効率が大きく改善される。
より具体的に説明すれば、本発明のアノード材料は例えばジルコニア(ZrO)(イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を使用するのが望ましい)と酸化ニッケル(NiOx、ここで1≦x≦4、以下同様。なお以下ではNiOxをNiOと略記する場合もある)との混合物の層上に非常に薄い酸化白金(PtOx、ここで0.5≦x≦2)を電解質となる固体酸化物(例えばYSZ)上に成膜し、これを、水素を含む還元性雰囲気(実施例のようにヘリウムなどで希釈した希釈水素でもよいし、あるいは純水素でもよい)中で加熱することにより作製される。PtOx膜が形成されていない、YSZとNiOxとの混合物(YSZ−NiO)の層を還元性雰囲気中で加熱して層中のNiOをNiに還元することで多孔質のアノードを固体酸化物電解質上に形成することは従来から知られていたが、固体酸化物形燃料電池では、そのアノード層中にPtを使用してもあまり効果がないと認識されていたことも有り、PtOxをこのような形で使用してアノード材料を作成する例はなかった。
本発明のアノード材料では、後述するその特異な微細構造から理解されるように、アノード材料全体に占めるPtの量を、Ptを使用する他の形式の燃料電池の電極材料と比較して非常に低減させても触媒活性が高い値に維持される。以下で説明する実施例ではアノード材料中に占めるPtの量を0.9重量%から0.3重量%(実施例で成膜したPtOxの膜厚で30nmから10nm)まで変化させてみたが0.3重量%という極めて微量の場合でも燃料電池の発電性能の低下の兆候は見られなかった。従って、実施例で具体的に実証されたPt量の下限は0.3重量%であるが、本発明のアノード材料はこれよりも少ないPt量でも充分に高い性能を示すものと考えられる。
ここで本発明のアノード材料に形成されている活性サイトを従来のアノード材料における活性サイトと比較して説明する。
上述のように、従来においては燃料電池のアノード電極反応は電子−ガス(水素)−イオン(酸化物イオン)が出会うサイト、すなわち三相界面と呼ばれるサイトにおいて起こると考えられており、この三相界面が形成される位置は電解質となる酸化物と電極活物質(実施例で比較例として挙げた従来構造のアノード材料ではNi)との接触部分である。図1(a)に、PtOx薄膜なしの場合、すなわち従来型の三相界面が活性サイトとして働いている従来のアノードの構造を概念的に示す。図1(a)左側は酸化物電解質粒子とNiOx粒子との混合物の層を固体電解質表面に形成した状態を示す。同右側は左側の状態のものを水素雰囲気中で、800℃還元処理した後のアノード材料の構造を概念的に示す。この処理によりNiOxが還元されて金属Niになる。この際体積が減少するため、還元後の酸化物電解質とNiとの複合材料中には多数の空孔が形成されることにより、多孔質となる。この多孔質中でNiと酸化物電解質との界面に従来型の三相界面が形成され、これが活性サイト(図1(a)右側中で中が空白の×印で示す)となる。
本発明のアノード材料の活性サイトも上述した従来型三相界面モデルで説明できるとすれば、本発明のアノード材料ではPtの存在が重要であるため、活性サイトとして機能する三相界面には当然Ptの微粒子が存在するはずである(最初は酸化物PtOxの形態でアノードに導入されるが、その後の水素雰囲気中での還元処理によってNiOxだけではなくPtOxも還元されるはずであるため)。燃料電池の電極中の三相界面に存在するPt粒子は、例えば固体高分子形燃料電池の電極での観察結果を参照すると、周知のとおり、少なくとも数nmの直径の微粒子の形態で存在する。また、固体酸化物形燃料電池用のPtを含むアノード材料としては例えば既に言及した非特許文献1で開示されたものがあるが、非特許文献1においても、900℃程度の温度で熱処理を施したアノード材料中のPtは直径が50nm以上100nm程度あると考えられる粒子であることが示されている。詳細は非特許文献1の補足情報(supplementary information)としてこれとともに公開された非特許文献2を参照されたい。非特許文献2のFigure S6のBにはSDC(samaria−doped−ceria)とPtとが接触している部分における三相界面のTEM像が示されており、その左上に一部が見えているPt粒子は、900℃程度の温度で熱処理を施したのちは、直径が少なくとも50nm以上100nm程度はあることがわかる。また、同文献のFigure S1のF中でPtとして指示されている、白く、はっきり光っている白金粒子は、同図Dのキャプションを参照するに900℃で熱処理後の粒子であると考えられる。
従って、本発明の実施例でも活性サイトとなる三相界面が形成されている個所には少なくとも数nmの直径を有するPtの微粒子が観測されるはずである。
ところが、以下の実施例で示すように、水素雰囲気中での還元処理が終了した後の実施例のアノード材料を1nmの空間分解能を有する高分解能SEMで観測したところ、1nm程度の大きさの粒子が存在すれば、少なくとも周囲と違う何物かが存在することまでは観測できるはずのところ、そのような兆候は全く検出されず、非常に滑らかな表面が観測されただけであった。先に言及した非特許文献2のFigure S1中のFもSEM像であるので、1nm程度あるいはそれよりも大きなPt粒子が存在していれば、粒子の詳細な形状まではわからなくとも、非特許文献2と同じように、明瞭に白く輝く塊が点々と見えるはずである。更に研究を進めたところ、アノード材料中の酸化物電解質粒子が単独で露出している表面には1nmよりもある程度大きなPt粒子が存在することがあるが、活性サイトとして機能する三相界面が形成されるはずの酸化物電解質粒子とNi粒子との界面にはそのようなPt粒子は全く観察されないことがわかった。また、同じ分解能でPtの元素マップを観測しても、Ptの集塊は発見できなかった。このアノード材料はPtOxを使用しない従来のアノード材料に比べてきわめて活性が高いため、当然多数の活性サイトがその上に存在するはずであることと併せて考えると、上記観察結果は従来の三相界面モデルでは説明できない構造であって従来型の三相界面構造を想定した場合に比べてはるかに小さな新たな三相界面となる活性サイトがそこに存在すると考えざるを得ないことを示唆している。
最近、高分子電解質形燃料電池のPt担持セリア電極活物質における新たな活性サイト構造についての研究成果が非特許文献3として公表された。非特許文献3には、Ptカチオンとセリウムカチオンがセリア結晶中の格子欠陥を介して結合されている、原子レベルの極めて小さなサイズを有するクラスタを形成し、このクラスタが強い電気化学的な触媒作用を発揮することが示されている。上述したように、本発明に従って作製したアノード材料では直径が1nm程度以上のPt粒子はジルコニアまたはセリアとニッケルとの界面では観測されず、またPtがアノード材料上に集塊を形成することなく一様に分散していること、また非常に高い活性を有することから考えて、このアノード上にも非特許文献3で提示されたものと同じようなカチオン−欠陥酸化物クラスタが、新たな三相界面となり、大量に分散していると判定するのが相当である。
図1(b)にこれを概念的に示す。図1(b)左側には酸化物電解質とNiOxとの混合物で形成された約40μm厚の層の表面(図では下側)に厚さ10nmのPtOx薄膜を形成した状態が示されている。この状態で図1(a)と同じく800℃において水素雰囲気中で処理すると、PtOx薄膜からPtカチオンが酸化物電解質とNiOxの層中へ拡散していく。水素雰囲気中での還元処理の過程ではNiOxが混合物の層中に残っているため、
PtOx+Y安定化ZrO+NiO →
Ptカチオン−欠陥酸化物−Niカチオンクラスタ形成
という反応が進行し、結果として還元処理の終了時点では図1(b)右側に示すように、酸化物電解質及び金属Niの上に上記クラスタ(中が空白の星印☆で示す)が高密度かつ一様に形成された状態となる。このクラスタはわずかの個数の原子で構成されるので、そのサイズは高々数Åである。従って、これらのクラスタは1nm程度の空間分解能で観察しても全く検出できない。例えば、安定化ジルコニアのなかに白金カチオンと欠陥ジルコニアとNiカチオンのクラスタが存在するモデルを仮定した場合、白金カチオンはPt2+となっていて、その周囲に配位した酸素は8個(ほたる石構造を仮定)とすると、白金カチオン(Pt2+)のイオン半径は、0.7Å(0.07nm)程度になると考えられるので、1nm程度の空間分解能では当然見えるはずがない。
ここで注意すべき点として、従来技術の活性サイト(三相界面)の分布を概念的に示す図1(a)右側では活性サイトが酸化物電解質とNiとの接触部分のみに形成されているのに対して、図1(b)右側では本発明の活性サイトがアノード材料の表面(多孔体の孔内部の表面を含む)のいたるところに分布するように図示している。これについて以下で説明する。
本願発明者がこれまで行った研究の過程において、アノード層内を慎重に分析TEMで観察したところ、酸化物成分がNi金属側へ移動し、Niカチオンが酸化物上に拡散し、その領域には、Niと酸化物成分からなるクラスタ構造が形成されていることがわかった。その詳細は非特許文献4及び5を参照されたい。
これら非特許文献に示すように、Niと酸化物の界面の幅はたかだか10nm以内であるが、双方の成分が粒界を超えてほぼ同じ距離を拡散している幅は、粒界の幅の約10倍にあたる合計100nmに及んだ。また、その拡散領域には、非特許文献の表現を借りれば、超構造(superstructure)(マトリックスとは違う構造という意味)が形成されていると考えられた。本願発明者によるそれまでの欠陥構造に関するシミュレーションに基づいて考察するに、これもやはりカチオンと欠陥酸化物とからなるクラスタ構造であり、C型希土類構造(マトリックスを構成する結晶は、安定化ジルコニアまたはセリアの場合は蛍石形結晶構造であるが、C型希土類結晶相はこの蛍石結晶相と熱力学的に共存することが可能、すなわち同じ状態図のなかで共存しうることが知られている)類似の配置をとると考えられた。このように、それまでの常識では、Niと酸化物の粒界にのみ従来型の三相界面が存在しその活性サイトの数は限定的であった。しかるに一方、特性を低下させる原因も生じていた。つまり、Niが固体電解質膜内へも勢いよく拡散してしまい、固体電解質内に電子伝導パスなどの好ましくない状態をつくるためであるという従来の技術常識をある意味否定する結果が得られた。
本発明においては、従来はアノード特性を悪化させる役割をしていたアノード層内におけるカチオン−酸化物界面形成にPtカチオンを参加させることで、上述したNi及び酸化物の長距離移動と相俟ってより広範囲に電極性能を向上させるクラスタ構造ができたことによってはじめて、新たな活性サイト(三相界面)数が格段に向上した結果、発電性能向上にも貢献できたと考えられる。
このように、本願発明者は、単にNiと酸化物がとなりあう極めて狭い場所でしか活性サイトは生まれないという従来の固定観念にとらわれず、上述の実験結果をもとに研究を進めた結果、Ni上及び酸化物上にもひろく新たなクラスタ構造を形成可能であるとともに、従来は、アノード層内に用いても、燃料電池性能向上という観点からすると意味がないと考えられていたPtの添加により、極めて大きな活性が実現できることを見出した。この知見によってはじめて、アノード層改良による発電性能の顕著な改善が可能となった。
なお、固体酸化物形燃料電池用のアノード材料にPtを使用する数少ない先行例として非特許文献1が存在するので、本発明と当該文献の記載内容との相違についてここで説明する。
先ず、非特許文献1ではアノードの作製に当たってPtの酸化物であるPtOxではなく金属のPtを使用していることに注意されたい。以下で説明するように、PtOxとNiOxは、酸化物が金属粒子に還元される際に、他の粒子との反応活性が高まると考えられ、PtOxからの白金への還元によるPtの反応活性向上効果、NiOxのNiへの還元によるNi表面における反応活性向上効果、及び酸化物粒子表面における酸素欠陥発生による酸化物粒子表面反応活性向上効果が一緒に働くことに加え、NiOxと酸化物固体電解質粒子間の広範囲においておこる双方向の拡散現象があいまって、新規な三相界面がアノード層内に広く、多量に形成されると考えらえる。ここで、あまり高温で処理してしまうと、表面の反応活性が高まったNi粒子同士や、酸素欠陥をもつ酸化物粒子の結合が切れ、上述のような広範囲に新たなクラスタ形成に伴い生まれる三相界面(本発明における新規な三相界面については少し先で詳述する)の形成を損なうので好ましくない。
この考えにもとづけば、初めから白金粒子をスパッタした場合、こうした酸化物から金属粒子への還元過程がなく、ただ、800℃という高温における熱処理が加わることによる白金粒子の粒成長と焼結が起こることから、他粒子との反応活性は十分に高まることはなく、それなりの効果しか期待できない。よって、アノード性能向上効果を測定できる範囲に高めるためには、大量の白金をスパッタする必要が生じてしまい、希少金属である白金を大いに使用するという、産業上の利用価値の少ない状態を作り出してしまう。
また、非特許文献1におけるPtの使用状況について更に説明すれば、非特許文献1ではスパッタによって金属Ptを与えているが、その膜厚は、後述の本願実施例における10nm〜30nm(この膜は金属PtではなくPtOxであることに注意。金属Ptに換算するともっと薄くなる)に比べて約10倍にあたる150nmから200nmになっている(非特許文献160ページ左欄、"Method"セクションの第2段落)。すなわち、非特許文献1では本願発明に比べてはるかに大量のPtを使用して電極性能の向上を確認している。これに対して、本願実施例では、その1/10程度の僅かなPtしか使用していないにもかかわらず、電池性能にまで大きな改善効果を観察できている点で、本願発明におけるPtの利用効率が高いことが理解出来るであろう。
なお、三相界面についてここで説明すれば、三相界面とは、電子(電荷移動を担う相、従来はNi粒子がつらなった径路)、ガス相(アノード層内では水素)、及びイオン(酸化物イオンの拡散を担う相、従来は酸化物粒子がつらなった径路)が一か所に集約された界面を指す。本願の場合、従来型の三相界面に加えて、高分解能SEMの検出限界以下程度と思われる白金ナノ粒子が白金酸化物の還元により形成され、単に粒成長を起こすのではなく、表面に酸素欠陥をもつ酸化物粒子や、還元により表面の反応活性が高まったNi粒子の間で起こる双方向の拡散現象とあいまって、先に説明した新規高活性な活性サイトとして現れる三相界面を広域に形成させることができた。その結果として燃料電池発電性能の向上を可能にしたものと考えられる。
ここで上述した双方向の拡散、及びNi粒子と酸化物粒子との接触点以外に形成される三相界面について説明する。
非特許文献6はPtをセリアナノワイヤに含浸させたものをカーボンブラックと混合したPt−CeO/C電極材料を開示している。そのFigure 3には金属白金上への酸化物粒子(ここではセリア)からの拡散現象をTEMで観察した結果の例が示され、更にこの拡散現象を考察してイラスト化した図がFigure 12に示されている。非特許文献6では金属としてPtが使用されているが、Niでも同様な現象が起こると考えられる。これらの図からも分かるように、金属粒子上に、酸化物粒子から数nmの厚みの膜状に酸化物粒子成分が拡散していく。この拡散は界面構造(クラスタ構造)をつくりながら進行する。一方、酸化物粒子側への金属の拡散については、Pt−CeOxナノワイヤ電極では、酸化物粒子表面から少し深い範囲まで(10nm程度と考えられる)金属成分が拡散していく。また、先に非特許文献4,5を参照して説明したように、固体酸化物形燃料電池用アノード層内では、両側から等距離の拡散が観察されているので、Ni金属上には酸化物の薄膜状態での拡散が,また酸化物側ではその表面から内部(深さ方向)及びその表面にそった方向に金属成分が拡散していくことになるが、いずれの方向でも、欠陥クラスタ構造を形成しながら拡散がすすむ。白金が加わった場合にはこの拡散範囲は広がると考えられる。従って、Ni粒子と酸化物粒子の両者において、上記拡散の進行につれて、そのいたるところにPtカチオン−欠陥酸化物−Niカチオンクラスタが形成される。
また、金属Ni粒子同士はつながっているが、その表面は部分的に酸化物成分薄膜で覆われている。この酸化物薄膜は当然酸素欠陥構造を有しているため、酸化物イオンを運ぶ径路となることができる。電子については当然ながらNi中を低い抵抗で移動して、Ni粒子全体の表面のいろいろな部分で酸化物薄膜と遭遇できる。また、この薄膜は不均一に(言い換えれば部分的に)Ni金属粒子表面を覆う形態を取るはずなので、Ni金属粒子表面でガス、電子及びイオンの三者が遭遇する三相界面の数は、単にNi粒子と酸化物粒子との接点だけが三相界面となる場合に比べて、大いに増加する。
これに加えて酸化物粒子上の電子伝導経路を考えるに、上述したように酸化物粒子側には金属成分が拡散する。この拡散には表面から内部への拡散と表面にそって広がる拡散との2種類あると考えられるが、いずれにしてもその際に金属カチオンがクラスタを形成する。つまりPt2+サイト、Ni2+サイトが酸化物の結晶格子中のZr4+、Y3+(安定化ジルコニアはYがZrO格子内に固溶しているため、4価と3価のカチオンが共存している)または、Ce4+,Ce3+(セリアは通常4価と3価のセリウムからなっている)からなる。このように、2価カチオン、3価カチオン及び4価カチオンが新たにできたクラスタの構成成分となっていて、クラスタ中にこれらの異なる原子価が共存した状態になっていると考えられる(クラスタ全体の電荷は、当然ながら、酸素欠陥などの量により、全体が中性になるように補償されている)。異なる原子価が共存した材料の表面では電荷移動が促進されることが一般に知られているため、複合クラスタ形成領域では、電子が移動するとともに、マトリックスはもともと酸素欠陥構造をもつ酸化物であるから、酸化物イオンもそのごく近傍を拡散することで、電子、酸化物イオンとも、クラスタの極めて近い場所に到達することができる。更にアノード層が良好な多孔性を持っていれば、ガス(水素)も電子及び酸化物イオンが到達できる場所の多くに接触する。この状態が表面近傍のいたるところで生じるため、そこに新たな三相界面状態ができると考えられ、結果として、酸化物表面でも、ガス、電子及びイオンが遭遇する三相界面の数は当然大幅に増加する。
従って、本発明のアノード材料中は、Ni、酸化物何れの表面でも、そのいたるところに活性サイトとして機能する三相界面を有することができ、従って従来のアノード材料に比べて極めて高い活性を実現することが可能となる。
ここで、PtOx薄膜を形成する前に水素雰囲気中で加熱することでNiOを完全に金属Niに還元し、その後にPtOx薄膜を形成して再度水素雰囲気中で加熱してみたが、PtOx薄膜のスパッタ厚にもよるが、これを用いた固体酸化物形燃料電池単セルの発電性能を測定したところ、還元前にPtOx薄膜をスパッタした場合と比較して高々同程度の発電性能しか得られないか、場合によっては極端に性能が低下した。従来の三相界面モデルで考えた場合には、NiOxが還元されることで多孔質構造が完成した後にPtOx薄膜を生成すると、既に出来上がっている多孔質構造の隅々までPtOxが最初から入り込むことでより多くの三相界面を形成し、その結果更に高活性のアノード材料が得られるはずである。しかし、この予測とは逆に、性能の向上が認められない実験結果が得られたことからも、本発明のアノード材料を、従来型の三相界面モデルで考えることには無理があるということができる。
上述のように、アノード層中のNiOxの事前還元を行っても発電性能は向上せず、場合によっては逆に極端に低下する現象は以下のように説明される。
アノード層の上にPtOxをスパッタする場合であっても、このスパッタ処理の前にアノードを還元しておいた場合には、せっかくのNiOからNiへの還元過程におけるNi表面における前述した反応活性向上効果が低減してしまう。よって、その後に成膜されたPtOx膜を還元する処理を施しても、活性な新規な形態の三相界面形成に関する十分な効果がえられず、NiOxと酸化物上にPtOxをスパッタしたアノードを還元してなるアノード層から得られる発電性能向上効果が減ることになる。
このマイナスの効果は、PtOxの厚みが薄い、すなわち白金スパッタ量が少ない領域ほど高い活性が期待できる新規複合クラスタ活性サイトの形成がむずかしくなるという形態で現れ、その結果として効果低減が顕著になる。結論として、高価で希少な金属の使用量を最小にし、かつ最大の効果を燃料電池の発電にもたらすためには、PtOxをNiO−酸化物上にスパッタすることが好ましい。
なお、図1(b)下に示す反応式にも書いたように、酸化物電解質としてジルコニアの代わりにセリアを使用しても同様の反応によって白金カチオン−欠陥酸化物−Niカチオンクラスタ構造が形成され、高い活性のアノードが得られる。すなわち、8YSZの代わりにセリアナノワイヤを使用した以外は同じ条件で固体酸化物形燃料電池を作製し、電流密度が250mAcm−2の場合のセル電圧及びIRフリーを測定したところ、図6のPtOx10nmにみられるように、アノードの構成成分として8YSZを使用した場合にかなり近い発電性能を持っていることが確認された。
また、酸化物電解質は通常粉末の形態のものを使用するが、この粉末を構成する微粒子は、通常の粉末の場合のような球状その他の低アスペクト比の形状でもよいし、あるいは上述したように、ナノワイヤのような高アスペクト比のものであってもよい。従って、本願では「粉末」と呼んでも、それを構成する微粒子の一部または全部がナノワイヤ等の高アスペクト比のものである場合を排除するわけではないことに注意されたい。
[本発明のアノード材料及びこれを使用した固体酸化物型燃料電池の作製及び測定・評価]
以下で説明する実施例においては、固体酸化物形燃料電池用固体電解質ペレットの二つの面に従来のカソード材料及び本発明の実施例のアノード材料を形成した比較例及び実施例を作製し、これらを使用した固体酸化物形燃料電池単セルの特性を評価した。
具体的には、比較例の単セルは以下のようにして作製した。先ず、8mol%イットリアを固溶させたジルコニア(8YSZ)焼結体のペレット(厚み:500μm、直径10mm)の片面に、アノード(NiO−8YSZ)スラリーをスクリーン印刷法により塗布して、乾燥させた。このアノード(NiO−8YSZ)スラリー中の固形分の組成はNiO:8YSZ=4:1(重量比)とした。その後、1200℃で1時間空気中において焼き付け処理を行い、室温までゆっくり冷却した。次に、もう一方の面に、カソード((La0.80Sr0.200.95MnO3−x:Fuel cell materials社製,製品名LSM20−I)スラリーを塗布、乾燥したのち、1100℃の温度で、1時間空気中において、焼き付け処理を行った。焼き付け処理後、800℃の温度において4%水素(ヘリウム希釈)ガスを用いてアノード層内のNiOの還元を行った。NiOがNiに還元される際にアノード層内に大きな空隙が発生するため、アノード層が多孔体となった固体酸化物形燃料電池単セルが得られた。
一方、本発明の実施例の作製に当たっては、先ず、比較例と同じく、NiO−8YSZ(NiO:8YSZ=4:1(重量比))アノードを同じ種類、同じ厚みのペレットに焼き付け、更に、もう一方の面にカソード((La0.80Sr0.200.95MnO3−x:Fuel cell materials社製,製品名LSM20−I)スラリーを塗布、乾燥したのち、1100℃の温度で、1時間空気中において焼き付け処理を行った。その後、NiO−8YSZアノード上に酸化白金(PtOx)膜を製膜した。アノード上へのPtOxの膜形成は、直径約5cmの白金ターゲット(純度:99.95%)を用いたマグネトロン・スパッタ法により行った。ここで、白金ターゲットから90mm離れた場所に試料をおき、室温、4×10−1Paの酸素分圧下において、10Wの直流電源を用いて直流スパッタを行った。アノード上へのPtOxの成膜は毎分約2nmの速度で行った。膜厚10nmのPtOx膜をアノード層上に製膜したのち、800℃の温度において、4%水素(ヘリウム希釈)ガスを用いてNiOの還元を行い、比較例と同じくアノード層を多孔体とした。なお本実施例ではスパッタを行うに当たって直流スパッタ装置を用いたが、所要のPtOx膜を形成できれば、交流スパッタ装置など、成膜手段は問わない。
なお、上の説明からわかるように、アノード側へのPtOxの製膜は全てカソード側の焼き付けの後で行った。その理由は、PtOxの膜を製膜したあとに空気中で、さらに1100℃、1時間の熱処理をすることが、PtOx自体の粒成長をもたらし、これが以下で説明するPtOxの還元処理過程でのPtカチオンの拡散、更にはPtカチオン−欠陥酸化物−Niカチオンクラスタの形成に悪影響を与える可能性があるからである。
ここで、使用するNiO及び8YSZの粒径には好ましい範囲がある。NiOxは、いたずらに細かいと自分自身が焼結してしまい、NiOx同士の連結がきれてしまうため、この種のアノードを作製する場合には、通常はミクロンオーダーの粒子が使用される。8YSZも、あまり大きいと8YSZ同士の連結部にNiOxが十分に接しない可能性があるため、こちらも通常はサブミクロンからミクロンオーダーの粒径の粉末を使用する。本実施例及び比較例では、8YSZは東ソー株式会社製のTZ−8YSグレード粉末を、またNiOはFuel cell materials 社製のNIO−Fグレード粉末をそれぞれ使用した。
東ソー株式会社によれば、8YSZであるTZ−8YSグレード粉末のBET比表面積は約7m−1である。通常は、この程度のBET比表面積の場合には、平均粒径は2〜3μmであるので、ここで使用した8YSZの平均粒子径も2〜3μm程度であると考えられる(なお、平均粒径がサブミクロンにあれば、BET比表面積は2ケタになる)。
NiOx粉末として使用したNIO−Fグレード粉末のBET比表面積は、そのほぼ半分にあたる約3.1m−1(購入したボトル上の記載)であった。平均粒径は8YSZのほぼ2倍程度の大きさであると推定される。
実施例に使用した以外の粉末を使用する場合には、8YSZ及びNiOのBET比表面積がそれぞれ7m−1±20%程度、3.1m−1±20%程度の範囲に入るものが好適であると考えられる。BET比表面積があまり小さい(すなわち平均粒径が大きすぎる)と活性サイトが存在し得る表面積が減少するので、当然ながら電極触媒としての活性が低下する。逆にBET比表面積が過大である(すなわち平均粒径が小さすぎる)場合には、焼き付け処理時に1000℃を超える高温処理をするので粒成長がすすみ、NiOx同士、8YSZ同士のつながりが途絶えてしまい、かえって、アノード層内における電荷移動経路や酸化物イオン拡散径路が切れてしまい、それがアノード層内三相界面の割合を低下させるので好ましくない。
このようにして作製した実施例及び比較例の固体酸化物形燃料電池単セルを固体酸化物形燃料電池として動作させてその電流密度とセル電圧との関係を測定した。アノードガスとして純水素(室温、水飽和)を80sccmの流量で供給し、カソードガスとしては純酸素を80sccmの流量で供給した(実際には、発電装置内で先ず800℃で上記還元処理を行った後、供給するガスを切替えて、発電・測定を行った)。また、この発電試験の際の固体酸化物形燃料電池単セルの動作温度は700℃及び800℃の二通りとした。測定データを得るに当たって、一点の測定のために10分程度の保持時間をとり、測定数値が安定するのを待って当該測定点の測定値とした。この測定結果のグラフを図2に示す。
固体酸化物燃料電池の発電試験を行う際には、通常は発電試験温度を1000℃とするところ、本実験では700℃及び800℃と低い温度で試験を行った。そのため、図2のグラフからわかるように、比較例では800℃(中が空白の丸印で示す)でも、例えば出力電流の電流密度が約40mAcm−2の場合にセル電圧が0.5Vまで低下する等、十分な発電性能が得られず、更には、動作温度を700℃(中が空白の三角形で示す)まで下げた場合には出力電流がほとんど取れず、実質的には燃料電池として機能しないことが確認された。これに対して、実施例側では一見してわかるように、このような低温であっても、比較例に比べて大きく改善された燃料電池出力性能を示した。具体的には動作温度を800℃とした場合、燃料電池電流密度が50mAcm−2でセル電圧が1.02Vという、比較例の場合に比べてはるかに高いセル電圧が得られた。
一般に、燃料電池反応は、水の電気分解反応の逆反応を利用して電気を取り出すことを特徴としている。その際、火力発電のように、燃料のもつ化学エネルギーを燃やすことで熱エネルギーに変換し、その熱エネルギーを用いて発電機のタービンを回してこの運動エネルギーを利用して電気を生み出すなど、各種のエネルギーへの変換を行う際に生じる大きな発電効率の損失なく、直接、水素と酸素から水を合成する際に電気を生みだすことができる発電方式である。
よって、水素と酸素から水を生み出す際必要となるポテンシャルエネルギーは、理論的に1.48Vとされるので、所定の燃料電池電流密度におけるセル電圧をこの理論値で割ることで、ただちに燃料電池の発電効率を見積もることができる。上述の例では、電流密度が50mAcm−2でセル電圧が1.02Vということは、この時点で発電効率=(1.02/1.48)×100=68.9%が得られたことになる。
また、動作温度を700℃とした場合にも、電流密度が50mAcm−2でセル電圧が0.85V程度確認できることから、発電効率=(0.85/1.48)×100=57.4%が得られたことになる。比較例では、電流密度が50mAcm−2でセル電圧がまったく確認されないことから、その効果は明瞭であり、本発明の実施例では、燃料電池特有の高い発電効率を示す動作温度領域が低温側に大きく拡大することが確認された。
既に述べたように、従来の当業者の認識は、通常、燃料電池発電性能に大きな効果があるのは、燃料電池系内で起こる反応のうちで反応速度が遅い酸素還元反応が行なわれるカソード性能の改良であり、反応速度が酸素還元反応に比較して極めて大きな水素酸化反応が行なわれるアノード側の性能を改善しても、アノード性能の改善は認められても、燃料電池特有の高い発電効率を維持した状態で、燃料電池の性能の改善には大きく貢献しないということであった。上に示した測定結果はこの常識を完全に覆すものであり、アノードの改良によって、高い発電効率を示す燃料電池全体の性能が顕著に向上したことを示す最初の報告である。
このことは、酸化物形燃料電池開発の世界において大きな問題となっている、アノード支持固体電解質膜タイプの酸化物形燃料電池の性能改善が難しいという開発のボトルネックを改善し、大きなブレークスルーをもたらす発明であるといえる。
また、アノード層中のNiOとその上に成膜したPtOxとを同時に還元するのではなく、PtOxの成膜前のアノード層を先ず上述の水素雰囲気中での還元処理と同じ条件で還元し、その後PtOxを10nm、20nm及び30nmのスパッタ厚で成膜して、また同じ条件で還元することで得られた試料の電流密度−セル電圧特性を測定した(動作温度800℃)。その測定結果を図3に示す。なお、図3のグラフでは、PtOxの成膜前のアノード層を先ず上述の水素雰囲気中での還元処理と同じ条件で還元しておくことを「事前還元」と呼んでいる。このグラフからわかるように、事前還元しておいた方が多孔質化したアノード層の奥までPtOxが充分に入りこむことができるという有利な条件があるにもかかわらず、PtOx薄膜の厚さが10nmの場合には事前還元処理を行った方(△)がNiOxと共に還元処理を行った実施例(▲)よりも性能が極端に低下し、Ptを全く使用していない従来型のアノードを使用した場合(■)と大差のない発電性能しか発揮しないことが確認された。また、PtOx薄膜の厚さが20nm及び30nm(それぞれ○及び◇)の場合にも期待された性能向上は見られず、還元処理を行う前に表面層に同じ厚さのPtOx薄膜をスパッタした場合(●及び◆)とさして変化のない結果が得られただけであった。なお、グラフ上ではPt薄膜の厚さが20nmの場合の実施例のデータをプロットするマーカー(●)が事前還元を行ってから30nm厚のPt薄膜を成膜した場合のデータをプロットするマーカー(◇)の背面にほとんど隠れているので前者は見辛いが、両者のデータはほとんど一致している。
このような結果となることは、粒界を通して物質が移動する相互拡散はかなり速いものであり、従って予め多孔体構造を作製しておくことで孔の奥までPtOxを行きわたらせることは効果がほとんどないか、逆に一部がPtOxではなく金属白金粒子の状態でスパッタされることも起こるためにPtカチオン―欠陥酸化物―Niカチオンクラスタの形成を阻害することによるものと考えられる。
次に、電流密度−IRフリー(IR free)(燃料電池の内部抵抗による電圧降下の影響を補償した正味のセル電圧)特性(動作温度800℃)を上記実施例の単セルについて求めた結果を図4に示す。図4からわかるように、無負荷状態で約1.1Vのセル電圧が、500mAcm−2の大きな電流密度においても約0.78Vまでしか低下しないという、大きな発電能力を有していることが確認された。
実施例にあるデータと同じ比較を行うと、電流密度が50mAcm−2でセル電圧が1.05V程度あり、その際の発電効率=(1.05/1.48)×100=70.9%。
さらに、電流密度が150mAcm−2では、セル電圧が0.96V程度観察されるので、
その際の発電効率=(0.96/1.48)×100=64.8%と見積ることができる。
このことは、固体電解質膜やシール部などに存在するオーミックドロップによる損失を極力低減させることで、発電効率64.8%を保ちつつ、150mAcm−2の発電性能を示す燃料電池、本発明によるアノード層を用い得ることで可能になることを示唆している。
従来形のアノード層では、同じ種類で、同じ厚さの固体電解質膜を用いた場合には、その効果は期待できないことは、図2及び図4の比較から明らかである。
なお、IRフリーの求め方は当業者に周知な事項であるが、図5に電流遮断法によるその求め方の概略を示す。その名前の通り、燃料電池からの出力電流を図5の上側のグラフに示すように、所定電流iを流している状態から、電流0までできるだけ急峻に変化させる。これは燃料電池からの電流取り出しを行っている回路に、オシロスコープをいれ、この急峻な電流変化を設定し、これによる電圧変化波形を観測することで実現することができる。IRフリーの測定とは所与の電流Iを出力させているときの燃料電池のセル電圧Vに対して、燃料電池系の内部抵抗Rによるオーミックな電圧降下IRを補償した、燃料電池の正味のセル電圧Voを求めるものである。燃料電池の出力電流を突然遮断した場合、内部抵抗0の電流源と内部抵抗Rとの直列回路と言う単純なモデルではセル電圧がオーミックな電圧降下分直ちに上昇するが、実際の燃料電池では各種の遅れ要素を系内に含むため、そのセル電圧は図5の下側のグラフに示すように切断直後の立ち上がりが垂直ではなく、また立ち上がり領域から定常領域へ移行した後も僅かに変化する(図5の下のグラフでは僅かに上昇しながら一定値に収束する)。そこで、図5下側のグラフにおいて、電流遮断によってセル電圧が変化し始めた時点から垂直方向に延長した垂線と定常状態に移行した直後のセル電圧変化の延長線との交点位置のセル電圧座標の読みをオーミック(IR)電圧降下Voとする。これにより、IRフリーは
IRフリー=V+Vo
として求まる。
次に、PtOx薄膜の厚さを20nm及び30nmとし、それ以外は上記実施例と全く同じ別の二つの実施例を作成し、最初の実施例と併せて三種類の実施例の燃料電池単セルについて、電流密度約250mAcm−2におけるIRフリー及び通常の(つまりオーミック電圧降下込みの)セル電圧を測定した。その結果を図6に示す。なお、水素雰囲気中での還元を行う前のNiO−8YSZ混合物のアノード層の厚さは約40μmであったので、PtOxが全てPtOであったとすれば、還元処理によりPtOx中のPtカチオンがアノード層中に均一に拡散したとして、PtOx薄膜のスパッタ厚が10nm、20nm及び30nmの場合のアノード層中のPtの濃度はそれぞれ0.3重量%、0.5重量%及び0.9重量%と計算された。
図6に、上で作製したPtOx薄膜のスパッタ厚が10nm、20nm、30nmの三種類の実施例のIRフリー及びセル電圧の測定結果を、横軸にPtOx薄膜のスパッタ厚をとり、縦軸にIRフリー及びセル電圧の電圧値を取ったグラフとして示す。更に、アノード層の原料として8YSZ粉末の代わりにセリア(CeOx、1.5≦x≦2)ナノワイヤを使用し(組成比(重量比)は、NiOx:CeOxナノワイヤ=3:2)、PtOx薄膜のスパッタ圧を10nmの一種類とした以外は同一条件で作製した固体酸化物形燃料電池の追加実施例も作製し、これを同一条件で測定した結果も示す。グラフ上でこれら二つのタイプの実施例を区別するため、酸化物電解質の原料として8YSZ粉末を使用した実施例のIRフリー及びセル電圧の測定値は白抜きの円(○)及び三角形(△)で、またセリアナノワイヤを使用した実施例のIRフリー及びセル電圧の測定値は内部を塗りつぶした円(●)及び三角形(▲)で、それぞれプロットした。
なお、酸化物電解質としてセリアナノワイヤを使用した場合の重量比(NiOx:セリアナノワイヤ=3:2)を、8YSZを使用した場合(NiOx:8YSZ=4:1)とは異なったものとしたが、その理由を以下で説明する。8YSZは易焼結性の粉末であるため、1200℃という電極焼き付け温度で1時間加熱処理をすると、焼結がすすむ。そのためNiOxの量が少ないと8YSZ同士が焼結により結合し、大きな粒子を形成する、いわゆる粒成長がすすみすぎて、8YSZ同士、NiOx同士のつながりが切れやすくなることがある。この問題を回避するために、NiOxと8YSZの重量比を4:1としてある。一方CeOxナノワイヤは、もともと一次元にセリアが連結しおり、かつ微粒子に比して嵩高い性質をもち、8YSZのような粒成長を1200℃程度の温度で起こすことは実験上観察されない。そのため、NiOx−CeOxナノワイヤの重量比を3:2とすることで、アノード層内に十分に電荷移動経路及び酸化物イオン拡散径路が確保されるようにしてある。
図6からわかるように、PtOx薄膜の厚さが10〜30nmの範囲では、この厚さを変化させても(つまりアノード層中のPt濃度を0.3〜0.9重量%の範囲で変化させても)電流密度が約250mAcm−2におけるIRフリー及びセル電圧はほぼ一定となった(上述したように、10nm厚の場合のIRフリーの正確な値は未測定)。このことから、アノード層中のPt濃度を0.3重量%まで下げてもまだ好ましいPt濃度の下限には到達しておらず、Pt濃度を0.3重量%からある程度低下させてもIRフリー及びセル電圧があまり低下しないことが示唆される。ただし、実験した膜厚範囲(濃度範囲)ではIRフリー及びセル電圧がほぼ一定であるか、少なくともそのように推定され、これらの変化の傾向を読み取ることはできなかった。
図7及び図8は本発明の実施例(PtOx膜厚10nm)のSEM像及び同一位置の元素マッピングを示す。ここで使用した分析SEMはJEOL SU−8000であり、その空間分解能は1nmである。図7のSEM像を精査したが、Pt粒子であると考えることができる突出物その他の特徴を見出すことができなかった。もし直径が1nm程度のPt粒子が実施例のアノード断面内に存在していたのであれば、その詳しい形状はともかく、粒子がそこに存在することはSEM像から判読できたはずである。従って、実施例のアノード断面内には直径1nm程度あるいはそれを超える直径のPtナノ粒子は存在していなかったということができる。図8に示す元素マッピングでも、Niについては偏在が著しく、所々に集塊を形成していることが示唆されているが、Ptは所々に濃淡はあるものの、特定の箇所に集中することなく領域全体に高い一様性で分散していることが確認できた。
[本発明のアノード材料の測定・解析]
本発明のアノード材料中でPtがいかなる形態で存在するかについて、更に測定及び解析を行った。ここで測定・解析の対象としたアノード材料の試料は、上で作製した本発明の実施例のアノード材料と同じ材料及び製造方法を使用して作製したものである。
図9はNiO−8YSZ混合物のアノード層の上にPtOx薄膜を室温スパッタにより成膜した直後の状態(つまり、水素還元処理前)の試料のTEM明視野像である。アノード粒子表面に成膜されたPtOxスパッタ層中に黒く見えるPt微粒子が多数観察された。Pt微粒子の粒径は約2nmであった。
この試料を水素還元処理した結果を観察したところ、図10のSTEM像に示すように、Pt微粒子は主としてイットリア安定ジルコニアYSZ粒子表面に存在していた。図10において、その左側に示すSTEM像の中央部に見える縦長の棒状のものがYSZ粒子である。これがYSZであることは、図12の(c)及び(d)並びに図13の(d)にそれぞれ示されるZr、Y、Oの元素マッピングから確認できた。このYSZ粒子の上側の平坦に見える表面上に、白く見えるPt粒子が観察された。これらの粒子がPtであることは、図13(b)に示すPtの元素マッピング像から確認された。なお、YSZ粒子が食い込んでいるように見えるSTEM像の下側部分は、図12(b)に示すNiの元素マッピング像からわかるように、Niであった。つまり、この試料では大きなNi粒子の上にYSZ粒子が存在していた。
図11は、図12及び図13で示された観察エリア全体からの情報の全スペクトルである。このスペクトルから、このエリア中に存在しているPtの量が極めて僅かであることが確認された。
左側のSTEM像において、YSZ粒子上側の表面上であって、そこに描かれている矢印の始点近傍の高分解像を図10の右側に示す。この高分解像からわかるように、800℃で1時間水素中で還元処理したにもかかわらず、これらのPt粒子の粒径は、スパッタ時と同じ2nm程度のものがかなり見られた(2本の矢印の先端近傍等)。また、多少成長して、10nmから最大で20nm程度の大きさとなったPt粒子も認められた。
図13(b)に示すPtの元素マッピング像からわかるように、PtはYSZ粒子の上側表面だけではなく、この粒子上に広く分布していた。しかしながら、ここに示したSTEM像ではYSZとNiとの界面も写っているにもかかわらず、本願発明者らが可能な手段を駆使して観察を繰り返しても、この界面部分では明瞭なPt粒子の存在は確認できなかった。つまり、この界面には粒径が1nm以上のPt粒子の存在は認められなかった。
通常、微粒子状のPtだけを800℃で1時間、還元雰囲気中で焼成した場合には、確実に数μm〜数十μmの大きさに粒成長することは、当業者に周知の事項である。上で説明したような技術常識に反することが起こったのは、YSZの表面と微小Ptとが強い相互作用を起こし、微粒子のままでYSZとNiとの粒界を移動し(いわゆる相互拡散)、これによりYSZ粒子表面に見られた微小なPtがYSZまたはNi中に固溶したと考えられる。これにより、Ptの存在を観察することが困難になったと解釈するのが合理的である。
このように、YSZ表面におけるPt微粒子の粒成長を抑制する、微小PtとYSZとの間の強い相互作用を媒介として、アノード層内のYSZとNiとの粒界の多くの箇所に固体酸化物形燃料電池のアノード性能を改善することに資する界面が形成されたと結論付けられる。
以上詳細に説明したように、本発明によれば、アノード層内に僅かのPtを含有するだけで非常に高い発電性能を発揮し、また動作温度領域を低温方向に伸ばすことができる固体酸化物形燃料電池を提供することができるので、本発明は固体酸化物形燃料電池の実用化、普及に大きく貢献することが期待される。
William C. Chueh, Yong Hao, WooChul Jung and Sossiana M. Haile, Nature Mater., 11, 155-161, (2012). http://www.nature.com/nmat/journal/v11/n2/extref/nmat3184-s1.pdf Keisuke Fugane, Toshiyuki Mori, Pengfe Yan, Takaya Masuda, Sunya Ymamoto, Fei Ye, Hideki Yoshikawa, Graeme Auchterlonie, and John Drennan, ASC Appl. Materi. Interfaces 7, 2698-2707 (2015). Zhi-Peng Li, Toshiyuki Mori, Graeme John Auchterlonie, Jin Zou and John Drennan, Phys. Chem. Chem. Phys. Vol.13(20), 9685-9690 (2011). Zhi-Peng Li, Toshiyuki Mori, Graeme John Auchterlonie, Yanan Guo, Jin Zou, John Drennan, and Masaru Miyayama, J. Phys. Chem. C, Vol.115(14), 6877-6885 (2011). Ding Rong Ou, Toshiyuki Mori, Hirotaka Togasaki, Motoi Takahashi, Fei Ye, and John Drennan, Langmuir, 27, 3859-3866 (2011).

Claims (5)

  1. ジルコニアまたはセリア、ニッケル及び白金を含み、
    前記ジルコニアまたはセリアの粒子と前記ニッケルの粒子との間には1nmの空間分解能では観測されない態様で白金が存在する、
    固体酸化物形燃料電池のアノード材料。
  2. 前記観測は空間分解能が1nmの走査型電子顕微鏡を使用して行う、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池のアノード材料。
  3. 多孔質構造を有する、請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池のアノード材料。
  4. 前記ジルコニアはイットリア安定化ジルコニアである、請求項1〜3の何れかに記載の固体酸化物形燃料電池のアノード材料。
  5. 請求項1から4の何れかに記載の固体酸化物形燃料電池のアノード材料を使用した固体酸化物形燃料電池。
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