JP2020202155A - 空気二次電池用の空気極及び空気二次電池 - Google Patents

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昇平 夘野木
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Takeshi Kajiwara
剛史 梶原
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Takahiro Endo
賢大 遠藤
茂和 安岡
Shigekazu Yasuoka
茂和 安岡
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Abstract

【課題】放電反応における過電圧を低減することができる空気二次電池用の空気極及びこの空気極を含む空気二次電池を提供する。【解決手段】電池2は、セパレータ14を介して重ね合わされた空気極16及び負極12を含む電極群10と、電極群10をアルカリ電解液とともに収容している容器4と、を備え、空気極16は、パイロクロア型のビスマスルテニウム複合酸化物を含んでいる空極合剤層を備えており、この空気極合剤層は空孔率が22%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、空気二次電池用の空気極及びこの空気極を含む空気二次電池に関する。
近年、大気中の酸素を正極活物質とする空気電池が、エネルギー密度が高く、小型、軽量化が容易であること等の理由から注目を集めている。このような空気電池においては、亜鉛空気一次電池が補聴器用の電源として実用化されている。
また、充電が可能な空気電池として、負極用金属に、Li、Zn、Al、Mgなどを用いる空気二次電池の研究がなされており、このような空気二次電池は、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を超える新しい二次電池として期待されている。
このような空気二次電池の一種として、電解液にアルカリ性水溶液(アルカリ電解液)を用い、負極活物質に水素を用いる空気水素二次電池が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に代表されるような空気水素二次電池は、負極用金属として水素吸蔵合金を用いているが、空気水素二次電池における負極活物質は、上記した水素吸蔵合金に吸蔵放出される水素であるので、電池における充放電の際の化学反応(以下、電池反応という)にともない水素吸蔵合金自体の溶解析出反応は起こらない。このため、空気水素二次電池は、負極用金属が樹枝状に析出するいわゆるデンドライト成長による内部短絡の発生やシェイプチェンジによる電池容量の低下といった問題が起こらないメリットを有している。
上記の空気水素二次電池のようにアルカリ電解液を用いる空気二次電池では、正極(以下、空気極という)において以下に示すような充放電反応が起こる。
充電(酸素発生反応):4OH→O+2HO+4e・・・(I)
放電(酸素還元反応):O+2HO+4e→4OH・・・(II)
反応式(I)で示すように、空気二次電池は、充電時に空気極で酸素が発生する。この酸素は、空気極内部の空隙を通って、空気極における大気に開放されている部分から大気中に放出される。一方、放電時は、大気中から取り込まれた酸素が反応式(II)で表されるように還元されて水が生成される。
特許第4568124号公報
ところで、上記した空気二次電池においては、エネルギー効率は未だ十分な値とはなっておらず、また、高出力化も未だ十分には図られていない。このため、空気二次電池の実用化を図るためには、更なるエネルギー効率の向上や高出力化が求められている。
上記したようなエネルギー効率の向上や高出力化を妨げている要因としては、電池反応の効率が低いこと、特に、空気極における放電反応すなわち酸素還元反応の過電圧が大きいことが挙げられる。
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、放電反応における過電圧を低減することができる空気二次電池用の空気極及びこの空気極を含む空気二次電池を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明によれば、空気極触媒を含んでいる空気極合剤層を備えている空気二次電池用の空気極において、前記空気極合剤層の空孔率が22%以上である、空気二次電池用の空気極が提供される。
前記空気極触媒は、パイロクロア型のビスマスルテニウム複合酸化物である構成とすることが好ましい。
また、本発明によれば、容器と、前記容器内にアルカリ電解液とともに収容された電極群とを備え、前記電極群は、セパレータを介して重ね合わされた正極及び負極を含み、前記正極は、上記した空気二次電池用の空気極である、空気二次電池が提供される。
前記負極は、水素吸蔵合金を含んでいる構成とすることが好ましい。
本発明に係る空気二次電池用の空気極は、空気極触媒を含む空気極合剤層を備えており、この空気極合剤層の空孔率が22%以上である。これにより、空気極内部のガス拡散性が改善され、放電反応における酸素の授受がスムーズに行われる。その結果、放電反応における過電圧を低減することに貢献する。よって、斯かる空気極を含む空気二次電池は、エネルギー効率が向上し、出力も高くなる。このため、本発明によれば、放電反応における過電圧を低減することができる空気二次電池用の空気極、及び、この空気極触媒を含む、エネルギー効率の向上と高出力化が図られた空気二次電池を提供することができる。
本発明の実施形態に係る空気水素二次電池を概略的に示した断面図である。 10サイクル時における電池電圧と放電容量との関係(放電特性カーブ)を示したグラフである。
以下、本発明に係る空気二次電池用の空気極を含む空気水素二次電池2(以下、電池2という)について図面を参照して説明する。
図1に示すように、電池2は、容器4と、この容器4の中に電解液(図示せず)とともに入れられた電極群10とを備えている。
電極群10は、負極12と、空気極(正極)16とがセパレータ14を介して重ね合わされて形成されている。
負極12は、多孔質構造をなし多数の空孔を有する導電性の負極基材と、前記した空孔内及び負極基材の表面に担持された負極合剤層とを備えている。上記したような負極基材としては、例えば発泡ニッケルを用いることができる。
負極合剤は、負極活物質としての水素を吸蔵及び放出可能な水素吸蔵合金粒子の集合体である水素吸蔵合金粉末と、導電材と、結着剤とを含む。ここで、導電材としては、黒鉛、カーボンブラック等の粒子の集合体である粉末を用いることができる。
水素吸蔵合金粒子を構成する水素吸蔵合金としては、特に限定されるものではないが、例えば、希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金を用いることが好ましい。この希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金の組成は自由に選択できるが、例えば、一般式:
Ln1−aMgNib−c−dAl・・・(III)
で表されるものを用いることが好ましい。
ただし、一般式(III)中、Lnは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、Y、Zr及びTiよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を表し、Mは、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Ga、Zn、Sn、In、Cu、Si、P及びBよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を表し、添字a、b、c、dは、それぞれ、0.01≦a≦0.30、2.8≦b≦3.9、0.05≦c≦0.30、0≦d≦0.50の関係を満たす数を表す。
ここで、水素吸蔵合金粒子は、例えば以下のようにして得られる。
まず、所定の組成となるように金属原材料を計量して混合し、この混合物を不活性ガス雰囲気下にて、例えば、高周波誘導溶解炉で溶解してインゴットにする。得られたインゴットは、不活性ガス雰囲気下にて900〜1200℃に加熱され、その温度で5〜24時間保持する熱処理が施され均質化される。この後、インゴットを粉砕し、篩分けを行うことにより所望粒径の水素吸蔵合金粒子の集合体である水素吸蔵合金粉末を得る。
結着剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム等が用いられる。
ここで、負極12は、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、水素吸蔵合金粒子の集合体である水素吸蔵合金粉末、導電材、結着剤及び水を混練して負極合剤ペーストを調製する。得られた負極合剤ペーストは負極基材に充填され、その後、乾燥処理が施される。乾燥後、水素吸蔵合金粒子等が付着した負極基材はロール圧延されて、体積当たりの合金量を高められ、その後、裁断がなされ、これにより負極12が得られる。この負極12は、全体として板状をなしている。負極12に含まれる負極合剤層は、水素吸蔵合金の粒子、導電材の粒子等により形成されているので、多孔質構造をなしている。
次に、空気極16は、多孔質構造をなし多数の空孔を有する導電性の空気極基材と、前記した空孔内及び空気極基材の表面に担持された空気極合剤層(正極合剤層)とを備えている。上記したような空気極基材としては、例えば、ニッケルメッシュを用いることができる。
空気極合剤は、空気二次電池用の空気極触媒と、導電材と、結着剤とを含む。
空気二次電池用の空気極触媒としては、複合酸化物が用いられる。複合酸化物は、酸素発生及び酸素還元に対して2元機能を有する場合があり、このような二元機能を有する触媒は、充電過程でも、放電過程でも電池の過電圧を低減させることに寄与する。
本発明において、空気二次電池用の空気極触媒としては、一般式:A7−z(ただし、zは0≦z≦1の関係を満たし、Aは、Bi、Pb、Tb、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Mn、Y、Zn及びAlから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、Bは、Ru、Ir、Si、Ge、Ta、Sn、Hf、Zr、Ti、Nb、V、Sb、Rh、Cr、Re、Sc、Co、Cu、In、Ga、Cd、Fe、Ni、W及びMoから選ばれる少なくとも1種の元素を表している。)で表されるパイロクロア型の複合酸化物が用いられる。
本発明に用いるパイロクロア型の複合酸化物としては、好ましくはパイロクロア型のビスマスルテニウム複合酸化物が用いられる。このビスマスルテニウム複合酸化物は、酸素発生と酸素還元の二元機能を有する触媒である。
次に、空気二次電池用の空気極触媒の製造方法に関し、パイロクロア型のビスマスルテニウム複合酸化物を例に挙げて具体的に以下に説明する。
Bi(NO・5HO及びRuCl・3HOを同じ濃度となるように蒸留水の中に投入し、撹拌してBi(NO・5HO及びRuCl・3HOの混合水溶液を調製する。このとき蒸留水の温度は、60℃以上、90℃以下とする。そして、この混合水溶液に、1mol/L以上、3mol/L以下のNaOH水溶液を加える。この際の浴温度は60℃以上、90℃以下に保持し、酸素バブリングを行いながら撹拌する。この操作によって生じた沈殿物を含む溶液を80℃以上、100℃以下に保持して水分の一部を蒸発させてペーストを形成する。このペーストを蒸発皿に移し、100℃以上、150℃以下に加熱し、その状態で10時間以上、20時間以下保持して乾燥させ、ペーストの乾燥物を得る。そして、この乾燥物を乳鉢で粉砕した後、空気雰囲気下で350℃以上、650℃以下の温度に加熱し、0.5時間以上、24時間以下保持することにより焼成し、焼成物を得る。得られた焼成物を60℃以上、90℃以下の蒸留水を用いて水洗した後乾燥させる。これにより、パイロクロア型のビスマスルテニウム複合酸化物が得られる。
次に、調製されたビスマスルテニウム複合酸化物に酸処理として硝酸水溶液に浸漬させる酸処理を施すことが好ましい。具体的には、以下の通りである。
まず、硝酸水溶液を準備する。ここで、準備する硝酸水溶液に関し、その濃度は5mol/L以下とし、その量はビスマスルテニウム複合酸化物1gに対して20mLの割合となる量とし、その温度は20℃以上、60℃以下に設定することが好ましい。
そして、準備された硝酸水溶液の中に、ビスマスルテニウム複合酸化物を浸漬し、6時間以下撹拌する。所定時間経過後、硝酸水溶液中からビスマスルテニウム複合酸化物を吸引濾過する。濾別されたビスマスルテニウム複合酸化物は、60℃以上、80℃以下に設定されたイオン交換水に投入され洗浄される。
洗浄されたビスマスルテニウム複合酸化物は、100℃以上、120℃以下の環境下で1時間以上、2時間以下保持され、乾燥させられる。
以上のようにして、酸処理が施されたビスマスルテニウム複合酸化物を得る。このように酸処理を施すことにより、ビスマスルテニウム複合酸化物(パイロクロア型の複合酸化物)の製造過程で生じる副生成物を除去することができる。なお、酸処理に用いられる酸性水溶液は、硝酸水溶液に限定されるものではなく、硝酸水溶液の他に塩酸水溶液、硫酸水溶液を用いることができる。これら、塩酸水溶液及び硫酸水溶液においても、硝酸水溶液と同様に副生成物を除去できるという効果が得られる。
次に、導電材について説明する。この導電材は、空気二次電池の高出力化を図るべく内部抵抗を低下させるため、及び、上記した触媒の担体としても用いられる。斯かる導電材として、例えば、ニッケル粒子の集合体であるニッケル粉末を用いることが好ましい。上記したニッケル粒子としては、例えば、平均粒径が10μm〜20μmの粒子を用いることが好ましい。ここで、本発明においては、平均粒径といった場合、対象となる粒子の集合体である粉末について、レーザー回折・散乱式粒径分布測定装置を用いて体積基準で粒径分布を測定して得られた体積平均粒径を指すものとする。
上記したニッケル粉末は、空気極合剤中において、60質量%以上含有させることが好ましい。このニッケル粉末の含有量の上限は、空気極合剤における他の構成材料との関係から80質量%以下とすることが好ましい。
また、導電材としては、上記したニッケル粉末に限定されるものではなく、コア材料に金属材料を被覆した金属被覆導電フィラーを用いることもできる。この金属被覆導電フィラーは、全体が金属で形成されている金属粒子よりも軽く、空気極全体としての軽量化に貢献する。上記したコア材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、シリカの粒子が挙げられる。そして、金属被覆層としては、ニッケルを採用することが好ましい。このような金属被覆導電フィラーの集合体である金属被覆導電フィラー粉末は、空気極合剤に対し、30質量%以上含有させることが好ましい。
結着剤は、空気極合剤の構成材料を結着させるとともに空気極16に適切な撥水性を付与する働きをする。ここで、結着剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、フッ素樹脂が用いられる。なお、好ましいフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が用いられる。
空気極16は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、ビスマスルテニウム複合酸化物、導電材、結着剤及び水を含む空気極合剤ペーストを調製する。
得られた空気極合剤ペーストは、例えば、ローラプレスを施すことによりシート状に成形され、それにより空気極合剤シートを得る。その後、空気極合剤シートは、ニッケルメッシュ(空気極基材)にプレス圧着される。これにより、空気極の中間製品が得られる。
次いで、得られた中間製品は、焼成炉に投入され焼成処理が行われる。この焼成処理は、不活性ガス雰囲気中で行われる。この不活性ガスとしては、例えば、窒素ガスやアルゴンガスが用いられる。焼成処理の条件としては、300℃以上、400℃以下の温度に加熱し、この状態で、10分以上、20分以下の間保持する。その後、中間製品を焼成炉内で自然冷却し、中間製品の温度が150℃以下になったところで大気中に取り出す。これにより、焼成処理が施された中間製品が得られる。この焼成処理後の中間製品を所定形状に裁断することにより、空気極16が得られる。この空気極16は、空気極合剤により形成された空気極合剤層を備えている。空気極合剤は、ビスマスルテニウム複合酸化物の粒子、導電材の粒子等を含んでいるので、斯かる空気極合剤で形成された空気極合剤層は、全体として多孔質構造をなしている。
ここで、本発明においては、空気極合剤層の空孔率は、22%以上に設定される。空気極合剤層の空孔率が20%未満では、空気極合剤層のガス拡散性が悪くなる。その結果、電池反応が促進されず、十分な放電特性が得られない。一方、空気極合剤層の空孔率が22%以上であると、空気極合剤層におけるガス拡散性は改善され、電池反応が良好に進行する。これにより、特に、放電反応における過電圧が低減され、放電電圧が上昇するので、空気二次電池のエネルギー効率の向上と高出力化に貢献する。空気極合剤層の空孔率が高いほど酸素の流通性は良くなるので、空気二次電池の放電特性は向上する。しかしながら、空気極合剤層の空孔率が50%を超えると、空孔が空気極合剤層の半分以上を占めることになり、導電材により形成される導電ネットワークの導電経路が減少し、導電性の低下を招くおそれがある。また、空気極合剤層の機械的強度、ひいては空気極の機械的強度の低下も懸念される。空気極合剤層の機械的強度が低下すると、空気極合剤層が脆弱になり、クラックが発生したり、一部が割れて脱落するおそれがある。クラックが発生すると、導電経路が部分的に断たれ、導電性が低下し、空気二次電池の内部抵抗の上昇を招く。また、空気極合剤層の一部が脱落し破片が生じると、当該破片の内部には導電材が含まれているので、他の構成部材と接触し内部短絡を起こすおそれがある。このため、空気極合剤層の空孔率は50%以下とすることが好ましい。
空気極合剤層の空孔率は、上記したローラプレスの際にプレス条件(ローラ間のギャップ幅)を適宜変更して空気極合剤シートの厚さを変えることにより調整する。
空気極合剤層の空孔率は、例えば、以下のようにして求める。
まず、乾式密度計を用いて空気極合剤を構成する各材料(ビスマスルテニウム複合酸化物(パイロクロア型の複合酸化物)、導電材、結着剤等)の真密度を予め測定しておく。
次いで、各材料の真密度と重量配合比から加重平均をとり、空孔率が0%の場合の空気極合剤層の体積を逆算し、これを理論体積値とする。そして、実際の空極合剤層の体積の実測値と上記した理論体積値との差から空孔容積を算出し、これを空気極合剤層の体積の実測値で割ることにより空孔率(百分率)を算出する。
上記のようにして得られた空気極16及び負極12は、セパレータ14を介して積層され、これにより電極群10が形成される。このセパレータ14は、空気極16及び負極12の間の短絡を避けるために配設され、電気絶縁性の材料が採用される。このセパレータ14に採用される材料としては、例えば、ポリアミド繊維製不織布に親水性官能基を付与したもの、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維製不織布に親水性官能基を付与したもの等を用いることができる。
形成された電極群10は、アルカリ電解液とともに容器4の中に入れられる。この容器4としては、電極群10とアルカリ電解液とを収容できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリル製の箱状の容器4が用いられる。この容器4は、例えば、図1に示すように、容器本体6と、蓋8とを含んでいる。
容器本体6は、底壁18と、底壁18の周縁部から上方に延びる側壁20とを有する箱形状をなしている。側壁20の上端縁21で囲まれた部分は、開口している。つまり、底壁18の反対側には、開口部22が設けられている。また、側壁20においては、右側壁20R及び左側壁20Lの所定位置に、それぞれ貫通孔が設けられており、これら貫通孔は、後述するリード線の引出口24、26となる。
蓋8は、容器本体6の平面視形状と同じ平面視形状をなしており、容器本体6の上部に被せられ、開口部22を塞ぐ。蓋8と、側壁20の上端縁21との間は液密に封止される。
蓋8において、容器本体6の内側に臨む内面部28には、通気路30が設けられている。通気路30は、容器本体6の内側に面する部分が開放されており、全体として1本のサーペンタイン形状をなしている。更に、蓋8の所定位置には、厚さ方向に貫通する入側通気孔32及び出側通気孔34が設けられている。入側通気孔32は、通気路30の一方端と連通しており、出側通気孔34は、通気路30の他方端と連通している。つまり、通気路30は、入側通気孔32及び出側通気孔34を介して大気に開放されている。なお、入側通気孔32には、図示しない圧送ポンプを取り付けることが好ましい。この圧送ポンプを駆動することにより入側通気孔32から通気路30に空気を送り込むことができる。
容器本体6の底壁18の上には、必要に応じて、調整部材36を配置する。調整部材36は、容器4内において、電極群10の高さ方向の位置合わせに用いられる。調整部材36としては、例えば、発泡ニッケルのシートが用いられる。
調整部材36の上には、電極群10が配設される。このとき、電極群10の負極12は、調整部材36と接するように配設される。
一方、電極群10の空気極16側には、空気極16と接するように撥水通気部材40が配設される。この撥水通気部材40は、PTFE多孔膜42に不織布拡散紙44が組み合わされたものである。撥水通気部材40は、PTFEにより撥水効果を発揮するとともに、気体の通過を許容する。撥水通気部材40は、蓋8と空気極16との間に介在し、蓋8及び空気極16の両方に密着している。この撥水通気部材40は、蓋8の通気路30、入側通気孔32及び出側通気孔34の全体をカバーする大きさを有している。
上記のような、電極群10、調整部材36及び撥水通気部材40を収容した容器本体6には、所定量のアルカリ電解液が注入された後、蓋8が被せられる。そして、図1において概略的に描かれているように、容器4(容器本体6及び蓋8)の周端縁部46、48が連結具50、52により上下から挟みこまれる。このようにして、電池2が形成される。
なお、上記したアルカリ電解液としては、アルカリ二次電池に用いられる一般的なアルカリ電解液が好適に用いられ、具体的には、NaOH、KOH及びLiOHのうち、少なくとも1種を溶質として含む水溶液が用いられる。
ここで、電池2においては、蓋8の通気路30は撥水通気部材40に相対している。撥水通気部材40は、気体は通すが水分は遮断するので、空気極16は撥水通気部材40、通気路30、入側通気孔32及び出側通気孔34を介して大気に開放されることになる。つまり、空気極16は、撥水通気部材40を通じて大気と接することになる。
また、この電池2においては、空気極(正極)16に空気極リード(正極リード)54が電気的に接続されており、負極12に負極リード56が電気的に接続されている。これら空気極リード54及び負極リード56は、図1中においては概略的に描かれているが、気密性及び液密性を保持した状態で引出口24、26から容器4の外に引き出されている。そして、空気極リード54の先端には空気極端子(正極端子)58が設けられており、負極リード56の先端には負極端子60が設けられている。したがって、電池2においては、これら空気極端子58及び負極端子60を利用して充放電の際の電流の入力及び出力が行われる。
[実施例]
1.電池の製造
(実施例1)
(1)空気極触媒の合成
第1ステップとして、Bi(NO・5HO及びRuCl・3HOを所定量準備し、これらBi(NO・5HO及びRuCl・3HOが同じ濃度となるように75℃の蒸留水中に投入し、撹拌してBi(NO・5HO及びRuCl・3HOの混合水溶液を調製した。そして、この混合水溶液に、2mol/LのNaOH水溶液を加えた。この際の浴温度は75℃とし、酸素バブリングを行いながら撹拌した。この操作によって生じた沈殿物を含む溶液を85℃に保持して水分の一部を蒸発させてペーストを形成した。このペーストを蒸発皿に移し、120℃に加熱し、その状態で12時間保持して乾燥させ、ペーストの乾燥物(前駆体)を得た。
第2ステップとして、得られた乾燥物を乳鉢で粉砕した後、空気雰囲気下で600℃に加熱し、1時間保持する焼成処理を施し、焼成物を得た。得られた焼成物を70℃の蒸留水を用いて水洗した後、吸引濾過し、120℃で乾燥させた。これにより、パイロクロア型のビスマスルテニウム複合酸化物を得た。
得られたビスマスルテニウム複合酸化物を、乳鉢を用いて粉砕することにより所定粒子径の粒子の集合体であるビスマスルテニウム複合酸化物の粉末を得た。このビスマスルテニウム複合酸化物の粉末に関し、走査型電子顕微鏡による二次電子像を観察した結果、ビスマスルテニウム複合酸化物の粒子径は0.1μm以下であった。
第3ステップとして、濃度が1mol/Lに調整した硝酸水溶液と、ビスマスルテニウム複合酸化物の粉末とをスターラーの撹拌槽に入れ、当該硝酸水溶液の温度を25℃に保持したまま1時間撹拌した。このとき、ビスマスルテニウム複合酸化物の粉末1gに対して、硝酸水溶液が20mLの割合となるように硝酸水溶液の量を調整した。
撹拌が終了した後、硝酸水溶液中からビスマスルテニウム複合酸化物の粉末を吸引濾過することにより取り出した。取り出されたビスマスルテニウム複合酸化物の粉末は、75℃に加熱したイオン交換水4リットルで洗浄した。洗浄後、ビスマスルテニウム複合酸化物の粉末を、25℃の室温下で減圧容器に入れ、減圧環境下で12時間保持することにより乾燥を行った。
以上のようにして、硝酸処理されたビスマスルテニウム複合酸化物の粉末、すなわち、空気二次電池用の空気極触媒を得た。ここで、得られた空気極触媒のうち、一部は分析用試料として取り分けておき、残りを空気極の製造用とした。
上記した分析用試料に関し、X線回折(XRD)分析を行った。分析には平行ビームX線回折装置を用いた。ここでの分析の条件は、X線源はCuKα、管電圧は40kV、管電流は15mA、スキャンスピードは1度/min、ステップ幅は0.01度であった。得られた分析結果のプロファイルより、得られたビスマスルテニウム複合酸化物がパイロクロア型のビスマスルテニウム複合酸化物であることを確認した。
(2)空気極の製造
ニッケルの粒子の集合体であるニッケル粉末を準備した。このニッケルの粒子は、平均粒径が10〜20μmであった。
更に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパージョン及びイオン交換水を準備した。
上記のようにして得られたビスマスルテニウム複合酸化物の粉末(空気極触媒)に、ニッケル粉末、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパージョン及びイオン交換水を混合した。このとき、ビスマスルテニウム複合酸化物の粉末は20質量部、ニッケル粉末は70質量部、PTFEディスパージョンは20質量部、イオン交換水は30質量部の割合で均一に混合して空気極合剤のペーストを製造した。
得られた空気極合剤のペーストをローラプレスによりシート状に成形し、このシート状の空気極合剤のペーストをメッシュ数60、線径0.08mm、開口率60%のニッケルメッシュにプレス圧着させた。
ニッケルメッシュに圧着された空気極合剤のペーストを窒素ガス雰囲気下で340℃に加熱し、この温度で13分間保持して焼成した。焼成された空気極合剤のシートは、縦40mm、横40mmに裁断された。これにより空気極16を得た。この空気極は、厚さが0.255mm、ビスマスルテニウム複合酸化物(パイロクロア型複合酸化物触媒)の粉末の量は0.29gであった。また、空気極のうちニッケルメッシュを除いた部分(空気極合剤層)の密度は4.32g/cmであり、重量は1.597gであり、空孔率は22%であった。
ここで、空気極合剤層の空孔率の算出方法について以下に説明する。
空気極のうち、ニッケルメッシュを除いた部分(空気極合剤層)を構成する各材料の重量比は、
導電材(Ni):空気極触媒:PTFE=70:20:20
である。そして、空気極のうちニッケルメッシュを除いた部分の重量は1.597gであったため、空気極合剤層の重量の内訳は単純比率で算出すると、導電材(Ni)が1.016g、空気極触媒が0.290g、PTFEが0.290gである。
ニッケルの真密度は8.91g/cm、PTFEの真密度は2.17g/cm、密度計から求めた空気極触媒の真密度は7.356g/cmであったため、各材料の真密度から逆算した各材料の体積は、導電材(Ni)が0.114cm、空気極触媒が0.039cm、PTFEが0.134cmであり、これらを合算した空気極の理論体積は0.287cmである。
一方で、実測の寸法から求めた空気極合剤層の体積は0.370cmであった。実測の体積は、理論体積と空孔体積との和で表されるため、空孔体積は逆算により、
0.370cm−0.287cm=0.083cm
となる。したがって、空孔率は
(0.083cm/0.370cm)×100=22%
である。なお、イオン交換水は蒸発するため、体積の計算からは除外した。
(3)負極の製造
Nd、Mg、Ni、Alの各金属材料を所定のモル比となるように混合した後、高周波誘導溶解炉に投入しアルゴンガス雰囲気下にて溶解させ、得られた溶湯を鋳型に流し込み、25℃の室温まで冷却してインゴットを製造した。
ついで、このインゴットに対し、温度1000℃のアルゴンガス雰囲気下にて10時間保持する熱処理を施した後、アルゴンガス雰囲気下で機械的に粉砕して、希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金粉末を得た。得られた希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金粉末について、レーザー回折・散乱式粒径分布測定装置により体積平均粒径(MV)を測定した。その結果、体積平均粒径(MV)は60μmであった。
この水素吸蔵合金粉末の組成を高周波プラズマ分光分析法(ICP)によって分析したところ、組成は、Nd0.89Mg0.11Ni3.33Al0.17であった。
得られた水素吸蔵合金の粉末100質量部に対し、ポリアクリル酸ナトリウムの粉末0.2質量部、カルボキシメチルセルロースの粉末0.04質量部、スチレンブタジエンゴムのディスパージョン3.0質量部、カーボンブラックの粉末0.5質量部、水22.4質量部を添加して25℃の環境下において混練し、負極合剤ペーストを調製した。
この負極合剤ペーストを面密度(目付)が約250g/m、厚みが約0.6mmの発泡ニッケルのシートに充填した。そして、負極合剤ペーストを乾燥させ、負極合剤が充填された発泡ニッケルのシートを得た。得られたシートは圧延され、体積当たりの合金量を高めた後、縦40mm、横40mmに切断して負極12を得た。なお、負極12の厚さは、0.25mmであった。
次に、得られた負極12に、活性化処理を施した。この活性化処理の手順を以下に示す。
まず、一般的な焼結式の水酸化ニッケル正極を準備した。なお、この水酸化ニッケル正極としては、その正極容量が負極12の負極容量よりも十分大きいものを準備した。そして、この水酸化ニッケル正極と、得られた負極12とを、これらの間にポリエチレンの不織布で形成されたセパレータを介在させた状態で重ね合わせて、活性化処理用電極群を形成した。この活性化処理用電極群を所定量のアルカリ電解液とともにアクリル樹脂製の容器に収容した。これにより、ニッケル水素二次電池の単極セルを形成した。
この単極セルに対し、初回の充放電操作として、温度25℃の環境下にて、5時間静置後、0.1Itで14時間の充電を行った後、0.5Itで電池電圧が0.70Vになるまで放電させた。次いで、2回目の充放電操作として、0.5Itで2.8時間の充電を行った後に、0.5Itで電池電圧が0.70Vになるまで放電させる操作を行った。3回目以降は、上記した2回目の充放電操作を1サイクルとする充放電サイクルを複数回行うことにより負極12の活性化処理を行った。また、各充放電サイクルにおいては単極セルの容量を求めた。そして、得られた容量の最大値を負極の容量とした。なお、負極の容量は640mAhであった。
その後、0.5Itで2.8時間の充電を行った後、単極セルから負極12を取り外した。このようにして、活性化処理及び充電が済んだ負極12を得た。
(4)空気水素二次電池の製造
得られた空気極16及び負極12を、これらの間にセパレータ14を挟んだ状態で重ね合わせ、電極群10を製造した。この電極群10の製造に使用したセパレータ14はスルホン基を有するポリプロピレン繊維製不織布により形成されており、その厚みは0.1mm(目付量53g/m)であった。
次いで、容器本体6を準備し、この容器本体6内に上記した電極群10を収容した。このとき、容器本体6の底壁18の上に調整部材36としての発泡ニッケルのシートを配置し、この調整部材36の上に電極群10を載置した。ここで、発泡ニッケルのシートは、厚さが1mmであり、縦40mm、横40mmの正方形状をなしている。
次いで、電極群10の上(空気極16の上)に撥水通気部材40を配設した。ここで、撥水通気部材40は、縦が45mm、横が45mm、厚さが0.1mmであるPTFE多孔膜42と、縦が40mm、横が40mm、厚さが0.2mmである不織布拡散紙44とが組み合わされて形成されている。
その後、容器本体6内には、アルカリ電解液(5mol/LのKOH水溶液)を2mL注入した。
次いで、容器本体6の開口部22を塞ぐように蓋8を被せた。このとき、蓋8の内面部28における通気路30、入側通気孔32及び出側通気孔34を含むエリアの全体が撥水通気部材40で覆われるように、当該エリアと撥水通気部材40とを密着させる。ここで、通気路30は、全体として1本のサーペンタイン形状をなしている。通気路30の横断面は、矩形状をなしており、当該矩形における縦寸法が1mm、横寸法が1mmである。この通気路30は、撥水通気部材40側が開放されている。
容器本体6及び蓋8が組み合わされて形成された容器4については、その周端縁部46、48が連結具50、52により上下から挟みこまれる。なお、容器本体6と蓋8との接触部には、図示しない樹脂製のパッキンが配設されており、アルカリ電解液の漏れを防止している。
以上のようにして、図1に示すような電池2を製造した。得られた電池2は、25℃の環境下で1時間静置し、電極群10にアルカリ電解液を浸透させた。
なお、空気極16には空気極リード54が、負極12には負極リード56が、それぞれ電気的に接続されており、これら空気極リード54及び負極リード56は、容器4の気密性及び液密性を保持した状態でリード線の引出口24、26から容器4の外側へ適切に延びている。また、空気極リード54の先端には空気極端子58が取り付けられており、負極リード56の先端には負極端子60が取り付けられている。
(実施例2)
ローラプレスする際のプレス条件(ローラ間のギャップ幅)を変えることで、空気極合剤層の空孔率を29%に調整したことを除いて、実施例1と同様にして空気水素二次電池を製造した。
(実施例3)
ローラプレスする際のプレス条件(ローラ間のギャップ幅)を変えることで、空気極合剤層の空孔率を34%に調整したことを除いて、実施例1と同様にして空気水素二次電池を製造した。
(実施例4)
ローラプレスする際のプレス条件(ローラ間のギャップ幅)を変えることで、空気極合剤層の空孔率を48%に調整したことを除いて、実施例1と同様にして空気水素二次電池を製造した。
(比較例1)
ローラプレスする際のプレス条件(ローラ間のギャップ幅)を変えることで、空気極合剤層の空孔率を18%に調整したことを除いて、実施例1と同様にして空気水素二次電池を製造した。
2.空気水素二次電池の評価
(1)放電試験
実施例1〜4、比較例1の空気水素二次電池については、空気極端子58及び負極端子60を介して、0.5Itで1.2時間充電し、0.5Itで電池電圧が0.4Vになるまで放電することを1サイクルとし、斯かる充放電を10サイクル繰り返した。このとき、充放電に関わらず、入側通気孔32から空気を入れ、出側通気孔34から空気を排出するようにして、通気路30には、53mL/分の割合で常に空気を供給し続けた。なお、負極容量(640mAh)を1Itとした。
そして、各サイクルにおいて、放電容量と電圧とを測定した。
ここで、10サイクル時の放電容量と電池電圧との関係から放電特性カーブを求めた。その結果を図2に示した。
また、放電容量の値が全放電容量の半分の値になった時の電池電圧を中間電圧として測定した。得られた中間電圧のうち10サイクル時の値を放電中間電圧として表1に示した。
Figure 2020202155
(2)考察
実施例1〜4及び比較例1の放電特性カーブを示した図2の結果から、比較例1の放電特性カーブに比べ実施例1〜4の放電特性カーブは電池電圧が高い方にシフトしていることがわかる。つまり、実施例1〜4では、比較例1よりも放電時の過電圧が低減されたことがわかる。
また、放電中間電圧を示した表1の結果からも、比較例1の放電中間電圧が0.623Vであるのに比べ、実施例1では0.695V、実施例2では0.715V、実施例3では0.700V、実施例4では0.686Vと高い値を示しており、放電電圧が高い、すなわち放電側の過電圧が低減されたことがわかる。
比較例1において放電特性が低いのは、空気極合剤層の空孔率が18%と低くガス拡散性があまり良好ではないため、放電反応の度合いが低いことに起因していると考えられる。
一方、空気極合剤層の空孔率が22%以上と高い実施例1〜4は、ガス拡散性が比較例1よりも改善されており、その結果、放電反応が促進され放電特性が向上したものと考えられる。
以上の結果から、空気極合剤層の空気極の空孔率を22%以上とすることが過電圧の低減に有効であると言える。
特に、空気極合剤層の空孔率を29%〜34%の範囲とすると、電池の放電中間電圧が0.7V以上となり、良好な放電特性が得られている。
一方、空気極合剤層の空孔率が48%の場合、空気極合剤層の空孔率が29%〜34%の場合に比べ、若干放電特性が低下している。これは、空孔率が高くなるにつれて空孔の割合が増えるので、空気極合剤層自体が脆くなり、クラックの発生等により導電性が低下したためと考えられる。
以上のことから、空気極合剤層の空孔率を29%〜34%の範囲とすることがガス拡散性と導電性とのバランスがとれるので、より好ましい態様であると考えられる。
なお、本発明は上記した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、空気二次電池用の空気極触媒としては、ビスマスルテニウム複合酸化物の他に、上記したパイロクロア型複合酸化物の組成を表す一般式において挙げた選択可能元素の酸化物が挙げられる。また、本発明は、空気水素二次電池に限定されるものではなく、負極に用いる金属として、Zn、Al、Mg、Liなどを用いた他の空気二次電池であっても構わない。これら他の空気二次電池も上記した空気水素二次電池と同様に放電反応における過電圧を低減する効果が得られる。
<本発明の態様>
本発明の第1の態様は、空気極触媒を含んでいる空気極合剤層を備えている空気二次電池用の空気極において、前記空気極合剤層の空孔率が22%以上である、空気二次電池用の空気極である。
この第1の態様によれば、空気極合剤層のガス拡散性を向上させることができ、それにともない電池反応が促進される。その結果、放電反応における過電圧が低減でき、空気二次電池のエネルギー効率の向上及び高出力化が図れる。
本発明の第2の態様は、上記した本発明の第1の態様において、前記空気極触媒は、パイロクロア型のビスマスルテニウム複合酸化物である、空気二次電池用の空気極である。
この第2の態様によれば、パイロクロア型のビスマスルテニウム複合酸化物が酸素発生及び酸素還元に対して2元機能を有していることから、充電過程でも、放電過程でも電池の過電圧を低減させることに貢献することができる。
本発明の第3の態様は、容器と、前記容器内にアルカリ電解液とともに収容された電極群とを備え、前記電極群は、セパレータを介して重ね合わされた正極及び負極を含み、前記正極は、上記した本発明の第1の態様又は第2の態様の空気二次電池用の空気極である、空気二次電池である。
この第3の態様によれば、エネルギー効率が高く、高出力である空気二次電池を提供することができる。
本発明の第4の態様は、上記した本発明の第3の態様において、前記負極は、水素吸蔵合金を含んでいる、空気二次電池である。
この第4の態様によれば、負極用金属のデンドライト成長による内部短絡の発生がない高品質の空気二次電池を提供することができる。
2 電池(空気水素二次電池)
4 容器
6 容器本体
8 蓋
10 電極群
12 負極
14 セパレータ
16 空気極(正極)
30 通気路
40 撥水通気部材

Claims (4)

  1. 空気極触媒を含んでいる空気極合剤層を備えている空気二次電池用の空気極において、
    前記空気極合剤層の空孔率が22%以上である、空気二次電池用の空気極。
  2. 前記空気極触媒は、パイロクロア型のビスマスルテニウム複合酸化物である、請求項1に記載の空気二次電池用の空気極。
  3. 容器と、前記容器内にアルカリ電解液とともに収容された電極群とを備え、
    前記電極群は、セパレータを介して重ね合わされた正極及び負極を含み、
    前記正極は、請求項1又は2に記載の空気二次電池用の空気極である、空気二次電池。
  4. 前記負極は、水素吸蔵合金を含んでいる、請求項3に記載の空気二次電池。
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