本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、この実施の形態に係る旋回制御装置が搭載される建設機械の例を示す。この建設機械100は、油圧ショベルであり、クローラ式の下部走行体1(基体の一例)と、その走行面に対して垂直な旋回中心軸Zまわりに旋回可能となるように下部走行体1の上に搭載される上部旋回体2と、この上部旋回体2に搭載されるアタッチメント3と、を備える。当該アタッチメント3は、前記上部旋回体2に起伏可能に支持されるブーム4と、当該ブーム4の先端に回動可能に連結されるアーム5と、当該アーム5の先端に回動可能に連結される先端アタッチメント6と、を含む。本実施の形態では、当該先端アタッチメント6はバケットである。
前記建設機械100は、前記上部旋回体2に対して前記ブーム4を起伏動作させるように作動するブームシリンダ7と、当該ブーム4に対して前記アーム5を回動動作させるように作動するアームシリンダ8と、当該アーム5に対して前記先端アタッチメント6を回動動作させるように作動する先端アタッチメントシリンダ9と、を含む。
図2は、前記旋回制御装置の油圧回路を示す図である。図2に示すように、前記旋回制御装置は、油圧ポンプ10と、パイロットポンプ11と、旋回モータ20と、旋回操作装置30と、旋回制御弁40と、第1の減圧弁50A及び第2の減圧弁50Bと、第1のパイロット圧センサ70A及び第2のパイロット圧センサ70B(パイロット圧検出部の一例)と、旋回速度センサ80(旋回速度検出部の一例)と、コントローラ90と、を備える。
前記油圧ポンプ10は、前記旋回モータ20を作動させるための作動油を吐出する。前記パイロットポンプ11は、前記旋回制御弁40にパイロット圧を供給するためのパイロット油を吐出する。前記油圧ポンプ10及び前記パイロットポンプ11のそれぞれは、エンジン12によって駆動される。具体的に、本実施の形態では、前記油圧ポンプ10は、ポンプ容量が調節可能である可変容量形の油圧ポンプである。当該油圧ポンプ10は、図略のレギュレータを有する。当該レギュレータは、前記コントローラ90からの容量指令信号の入力を受けることにより前記ポンプ容量を前記容量指令信号に応じた容量に変化させるように作動する。
前記旋回モータ20は、前記油圧ポンプ10から吐出される前記作動油の供給を受けて前記上部旋回体2を旋回させるように作動する。具体的に、前記旋回モータ20は、前記作動油の供給を受けて回転する出力軸を有する。当該出力軸は前記上部旋回体2を左右双方向に旋回させるように当該上部旋回体2に連結されている。前記旋回モータ20は、第1のポート20A及びその反対側の第2のポート20Bを有する。これらのポート20A,20Bのうちの一方のポートが前記作動油の供給を受けることにより当該一方のポートに対応する方向に前記出力軸が回転するとともに他方のポートから前記作動油が排出される。
前記旋回制御弁40は、前記油圧ポンプ10と前記旋回モータ20との間に介在し、前記油圧ポンプ10から前記旋回モータ20に供給される前記作動油の方向及び流量を変化させるように作動する。具体的に、本実施の形態では、前記旋回制御弁40は、3位置のパイロット切換弁である。前記旋回制御弁40は、第1の旋回パイロットポート40A及び第2の旋回パイロットポート40Bと、これらの旋回パイロットポート40A,40Bの何れか一方に供給される前記パイロット油のパイロット圧に応じて変位可能な図略のスプールと、を有する。当該パイロット圧は、前記旋回モータ20を作動させるための操作である旋回操作の操作量(後述する旋回操作レバー31が受ける操作量)に応じて変化する。
前記旋回制御弁40は、第1のラインL11を介して前記旋回モータ20の第1のポート20Aと接続され、前記第2のラインL12を介して前記旋回モータ20の第2のポート20Bと接続されている。前記旋回制御弁40は、前記パイロット圧に応じて前記スプールが変位することにより前記油圧ポンプ10から吐出される前記作動油を前記旋回モータ20の第1のポート20A及び前記第2のポート20Bの一方に択一的に導く。これにより、前記旋回モータ20に供給される前記作動油の方向が制御される。また、前記旋回制御弁40は、前記パイロット圧に応じて前記スプールが変位することにより当該旋回制御弁40におけるメータイン側の開口の大きさ(開口面積)及びメータアウト側の開口の大きさ(開口面積)を変化させるように開閉作動する。前記メータイン側の開口の大きさ及び前記メータアウト側の開口の大きさは、前記旋回パイロットポートに入力される前記パイロット圧が大きくなるにつれて大きくなる。これにより、当該旋回モータ20に供給される作動油の流量が制御される。
より具体的には、前記旋回制御弁40の前記スプールは、前記第1及び第2の旋回パイロットポート40A,40Bに供給されるパイロット圧が何れもゼロ又は微小である場合には、中立位置に保たれる。これにより、前記油圧ポンプ10の吐出口につながるセンターラインL1と前記旋回モータ20との間が遮断されるとともに、当該センターラインL1とタンクとが接続される。一方、当該旋回制御弁40のスプールは、前記第1及び第2の旋回パイロットポート40A,40Bの何れか一方に一定以上のパイロット圧が供給されると、そのパイロットポートに応じた方向にそのパイロット圧の大きさに応じたストロークで前記中立位置から変位する。これにより、前記センターラインL1から分岐する旋回用供給ラインL2と、第1のラインL11及び第2のラインL12のうちの何れか一方のラインと、が接続されるとともに、前記ストロークに応じた度合いで前記センターラインL1が絞られる。
前記旋回操作装置30は、旋回操作レバー31(旋回操作部材の一例)と、旋回パイロット弁32(リモコン弁)と、を有する。前記旋回操作レバー31は、前記旋回モータ20を作動させるためのオペレータによる旋回操作を受けて回動することが可能な部材である。前記旋回パイロット弁32は、前記パイロットポンプ11と、前記旋回制御弁40における前記第1及び第2の旋回パイロットポート40A,40Bとの間に介在し、オペレータによる前記旋回操作の操作量に応じたパイロット圧を出力する。具体的に、前記旋回パイロット弁32は、前記旋回操作レバー31が操作されずにレバー位置が中立位置であるときには、前記パイロットポンプ11と前記第1及び第2の旋回パイロットポート40A,40Bとの間を遮断するように閉弁する。一方、前記旋回パイロット弁32は、前記旋回操作が行われて前記旋回操作レバー31が前記中立位置から回動すると、前記第1及び第2の旋回パイロットポート40A,40Bのうち前記旋回操作の方向に対応する旋回パイロットポートに対して当該旋回操作の操作量に応じた大きさのパイロット圧を供給するように開弁する。
前記第1の減圧弁50Aは、前記旋回パイロット弁32と前記第1の旋回パイロットポート40Aとの間に介在する。当該第1の減圧弁50Aは、当該旋回パイロット弁32から出力される前記パイロット圧を、減圧指令信号の入力を受けることにより当該減圧指令信号に対応したパイロット圧に減圧して前記旋回制御弁40における前記第1の旋回パイロットポート40Aに入力するように作動することが可能に構成される。前記第2の減圧弁50Bは、前記旋回パイロット弁32と前記第2の旋回パイロットポート40Bとの間に介在する。当該第2の減圧弁50Bは、当該旋回パイロット弁32から出力される前記パイロット圧を、減圧指令信号の入力を受けることにより当該減圧指令信号に対応したパイロット圧に減圧して前記旋回制御弁40における前記第2の旋回パイロットポート40Bに入力するように作動することが可能に構成される。
具体的に、本実施の形態では、前記第1及び第2の減圧弁50A,50Bのそれぞれは、ソレノイド50Sを有する電磁弁により構成される。当該第1及び第2の減圧弁50A,50Bのそれぞれは、前記旋回パイロット弁32から入力される前記パイロット圧を、前記コントローラ90から前記ソレノイド50Sに入力される電気信号である減圧指令信号に対応するパイロット圧まで減圧することが可能に構成される。前記第1の減圧弁50Aにおいて減圧されたパイロット圧、すなわち、前記第1の減圧弁50Aの2次圧は、前記第1の旋回パイロットポート40Aに入力される。前記第2の減圧弁50Bにおいて減圧されたパイロット圧、すなわち、前記第2の減圧弁50Bの2次圧は、前記第2の旋回パイロットポート40Bに入力される。本実施の形態では、前記第1及び第2の減圧弁50A,50Bのそれぞれは、電磁逆比例弁により構成されるが、例えば電磁比例弁により構成されていてもよい。
前記第1及び第2のパイロット圧センサ70A,70Bのそれぞれは、前記旋回パイロット弁32から出力される前記パイロット圧を検出することが可能な圧力センサにより構成される。前記第1のパイロット圧センサ70Aは、前記旋回パイロット弁32から前記第1の減圧弁50Aに供給されるパイロット油の圧力を検出し、これを電気信号であるパイロット圧検出信号に変換する。前記第2のパイロット圧センサ70Bは、前記旋回パイロット弁32から前記第2の減圧弁50Bに供給されるパイロット油の圧力を検出し、これを電気信号であるパイロット圧検出信号に変換する。これらのパイロット圧検出信号はコントローラ90に入力される。
前記旋回速度センサ80は、前記旋回モータ20の回転速度を旋回速度として検出することが可能なセンサにより構成される。当該旋回速度センサ80は、前記旋回速度を検出し、これを電気信号である旋回速度検出信号に変換する。当該旋回速度検出信号はコントローラ90に入力される。具体的には、当該旋回速度センサ80は、検出された上部旋回体2の旋回速度の大きさ及び旋回方向を検出し、これを前記旋回速度検出信号に変換する。当該旋回速度検出信号はコントローラ90に入力される。当該旋回速度センサ80としては、例えばジャイロセンサ、エンコーダ、レゾルバなどのセンサを用いることができるが、これらに限られない。
前記旋回制御装置は、リリーフ弁ラインL21と、当該リリーフ弁ラインL21に設けられた一対のリリーフ弁61A,61Bと、チェック弁ラインL22と、当該チェック弁ラインL22に設けられた一対のチェック弁62A,62Bと、接続ラインL23と、メイクアップラインL24と、をさらに備える。前記リリーフ弁ラインL21及び前記チェック弁ラインL22のそれぞれは、前記旋回モータ20をバイパスして前記第1のラインL11と前記第2のラインL12とを互いに接続する。前記接続ラインL23は、前記リリーフ弁ラインL21における前記一対のリリーフ弁61A,61Bの間の中間部と、前記チェック弁ラインL22における前記一対のチェック弁62A,62Bの間の中間部とを互いに接続する。前記チェック弁ラインL22における前記中間部は、メイクアップラインL24を介してタンクに接続されている。当該メイクアップラインL24には図略の背圧弁が設けられていてもよい。前記一対のチェック弁62A,62Bのうち、一方のチェック弁62Aは、前記第1のラインL11からの作動油の流入を阻止する向きに配置され、他方のチェック弁62Bは、前記第2のラインL12からの作動油の流入を阻止する向きに配置される。
前記旋回制御装置では、前記旋回制御弁40は、前記第1又は第2の旋回パイロットポート40A又は40Bに供給される前記パイロット圧が小さくなるにつれて、当該旋回制御弁40における前記メータアウト側の開口の大きさ(開口面積)が小さくなるように作動する。従って、前記上部旋回体2の旋回動作中に前記旋回パイロットポートに供給される前記パイロット圧が小さくなると、前記第1のラインL12及び前記第2のラインL12のうち、メータアウト側のラインの圧力(背圧)が上昇する。これにより、前記上部旋回体2の旋回速度を減少させる油圧ブレーキ作用が前記旋回モータ20において生じるので、前記上部旋回体2の旋回速度が次第に減少する。このような旋回の減速時に、前記一対のリリーフ弁61A,61Bは、前記上部旋回体2の慣性力に起因して前記第1のラインL11及び前記第2のラインL12のうち前記メータアウト側のラインに過度の圧力が発生するのを防止して油圧回路を保護する。また、前記旋回の減速時に、前記一対のチェック弁62A,62Bは、前記上部旋回体2の慣性力に起因して前記油圧ポンプ10から供給される作動油の油量に対応する回転数を超える回転数で前記旋回モータ20が回転することにより発生するキャビテーションを防止する。
図3は、前記旋回制御装置におけるコントローラ90の機能構成及びその入出力信号を示すブロック図である。前記コントローラ90は、CPU、種々の制御プログラムを記憶するROM、及び前記CPUの作業領域として使用されるRAMを有するコンピュータにより構成される。前記コントローラ90は、減速操作判定部91と、パイロット圧演算部92と、減圧信号入力部93と、を機能として備える。
前記減速操作判定部91は、前記パイロット圧センサ70A,70Bにより検出される前記パイロット圧に基づいて、前記上部旋回体2の旋回速度を減少させるための操作である減速操作を前記旋回操作レバー31が受けたか否かを判定する。
前記パイロット圧演算部92は、前記旋回速度センサ80により検出される前記旋回速度で前記上部旋回体2が旋回しているときに前記旋回モータ20において油圧ブレーキ作用を生じさせるためのブレーキ作用パイロット圧を演算する。当該ブレーキ作用パイロット圧は、前記油圧ブレーキ作用が生じるように前記旋回制御弁40における前記メータアウト側の開口の大きさを調節するためのパイロット圧である。
前記減圧信号入力部93は、前記旋回操作レバー31が前記減速操作を受けたと前記減速操作判定部91が判定したときに、前記旋回パイロット弁32から出力される前記パイロット圧を前記ブレーキ作用パイロット圧に減圧するような減圧指令信号を、前記一対の減圧弁50A,50Bのうち、前記旋回操作レバー31が傾倒している方向に対応する減圧弁の前記ソレノイド50Sに入力する。
以下、本実施の形態に係る旋回制御装置の動作及び比較例に係る旋回制御装置の動作について説明する。
図4は、前記旋回パイロット弁32から出力されるパイロット圧(旋回Pi圧)の経時変化と、前記上部旋回体2の旋回速度の経時変化とを示すグラフである。図4におけるパイロット圧は、前記第1及び第2のパイロット圧センサ70A,70Bのうち、前記旋回操作の方向に対応するパイロット圧センサにより検出されるパイロット圧である。また、図4において、本実施の形態に係る旋回制御装置における旋回速度の経時変化は実線で示され、比較例に係る旋回制御装置における旋回速度の経時変化は破線で示されている。
図4に示すように、時間t0の時点において、前記旋回操作レバー31が中立位置に配置されている状態からオペレータによる旋回操作が開始される。当該旋回操作では、前記旋回操作レバー31が右旋回方向又は左旋回方向の何れかに対応する前記旋回操作の方向に傾倒される。当該旋回操作が開始されると、前記旋回操作レバー31が受ける操作量、すなわち、前記旋回操作レバー31の傾倒角度は、前記時間t0から時間t2まで連続的に次第に増加する。前記旋回操作レバー31の傾倒動作は、当該時間t2の時点において停止し、当該旋回操作レバー31の操作量は、前記時間t2から時間t3まで操作量LMに保持されている。図4に示す具体例では、前記時間t2から前記時間t3までの時間帯における操作量LMは、前記旋回操作レバー31が前記旋回操作の方向に傾倒することが可能な最大傾倒位置に対応する最大操作量LM(いわゆるフルレバー)である。そして、前記時間t3の時点において、前記旋回操作レバー31が前記最大傾倒位置から中立位置側に近づくような当該旋回操作レバー31の操作である戻し操作が開始される。当該戻し操作が開始されると、前記旋回操作の操作量は、前記時間t3から時間t7まで連続的に次第に減少し、当該時間t7の時点においてゼロになる。
図4に示すように、前記旋回パイロット弁32は、上記の時間t0から時間t7までの間に、前記旋回操作の操作量に応じたパイロット圧を出力する。具体的に、前記旋回パイロット弁32から出力されるパイロット圧は、前記時間t0の時点から前記操作量の増加に伴って増加し、前記時間t2の時点においてパイロット圧PMに達し、当該時間t2から前記時間t3までの間、当該パイロット圧PMに維持される。そして、前記旋回パイロット弁32から出力されるパイロット圧は、前記時間t3の時点から前記操作量の減少に伴って減少し、前記時間t7の時点においてゼロ又は最小値になる。図4に示す具体例では、前記時間t2から前記時間t3までの間の前記パイロット圧PMは、前記最大操作量LMに対応する最大パイロット圧PMである。
図4に示すように、前記上部旋回体2の旋回速度、すなわち、前記旋回速度センサ80により検出される旋回速度は、前記旋回操作が開始される前記時間t0の時点から次第に増加するが、前記旋回操作の操作量が前記最大操作量LMに達する時間t2の時点では最高速度VMに達していない。そして、図4に示す具体例では、前記旋回速度が当該最高速度VMに達する前に前記戻し操作が開始され、当該旋回速度は、前記最高速度VMに達することなく、前記油圧ブレーキ作用により次第に減少する。図4において実線で示す本実施の形態では、前記旋回速度は時間t8の時点においてゼロになり、図4において破線で示す比較例では、前記旋回速度は、前記時間t8よりも後の時間t9の時点においてゼロになる。このように旋回動作が停止するまでに要する時間が本実施の形態と比較例で相違する理由について説明する。
前記戻し操作が開始される時間t3の時点において、前記旋回操作レバー31の操作量は前記最大操作量LMであり、前記旋回パイロット弁32が出力するパイロット圧は前記最大パイロット圧PMであるので、前記旋回制御弁40における前記メータアウト側の開口の大きさは、最大開口面積となる。一方、当該時間t3の時点において、前記旋回速度は前記最高速度VMよりも小さい。このため、当該時間t3の時点において前記旋回モータ20から排出されて前記メータアウト側のラインL11又はL12を流れる作動油の流量は、前記時間t3の時点における旋回速度に対応する比較的小さな流量となる。従って、前記戻し操作が開始される前記時間t3の時点では、前記メータアウト側の背圧が十分に上昇しないため、前記上部旋回体2の旋回速度を減少させる油圧ブレーキ作用が実質的に生じない。従って、図4に示すように、上部旋回体2の旋回速度は、前記時間t3の後においても慣性により増加する。
具体的に、比較例では、前記旋回速度は前記時間t3から時間t6までさらに増加して速度Veに達し、前記メータアウト側のラインL11又はL12を流れる作動油の流量が増加する一方で、前記旋回操作レバー31の操作量は前記時間t3から前記時間t6まで連続的に減少し、前記メータアウト側の開口の大きさも連続的に減少する。そして、当該比較例では、当該時間t6の時点において、前記メータアウト側の背圧が前記油圧ブレーキ作用を生じさせる程度まで上昇する。この時間t6の時点の後、前記旋回速度は慣性により若干増加するものの、その後、減少し始め、前記時間t9においてゼロになる。
この比較例において、前記時間t3から前記時間t6までの時間帯T2は、前記戻し操作が開始されているにもかかわらず前記油圧ブレーキ作用が実質的に生じない不感帯である。この比較例では、前記油圧ブレーキ作用が生じ始める前記時間t6は、前記戻し操作が開始される時間t3の時点における旋回速度に応じて変動するので、前記時間帯T2の大きさも前記時間t6に応じて変動する。すなわち、前記時間t6の時点(ブレーキポイント)は前記戻し操作が行われる度に変動する値である。このことは、前記アタッチメント3を前記目標位置において正確に停止させることを難しくさせる。その結果、アタッチメントの位置を修正するための余分な作業が必要になる。
一方、本実施の形態では、時間t5の時点において前記旋回操作レバー31が前記減速操作を受けたと前記減速操作判定部91が判定したときに、前記減圧信号入力部93が前記減圧指令信号を、対応する減圧弁50A又は50Bに入力する。これにより、前記旋回パイロット弁32から出力される前記パイロット圧が当該減圧弁50A又は50Bにおいて前記ブレーキ作用パイロット圧に減圧され、当該ブレーキ作用パイロット圧が前記旋回制御弁40に入力される。その結果、前記旋回制御弁40における前記メータアウト側の開口の大きさが前記ブレーキ作用パイロット圧に応じた大きさに調節されるので、前記上部旋回体2が前記旋回速度で旋回しているときに前記旋回モータ20において油圧ブレーキ作用を生じさせることができる。具体的には次の通りである。
本実施の形態では、前記減速操作の判定を行うための第1のパイロット圧閾値Pi1及び第2のパイロット圧閾値Pi2が予め設定され、これらの閾値Pi1,Pi2は前記コントローラ90のメモリに記憶されている。
前記第1のパイロット圧閾値Pi1は、前記旋回操作の操作量が前記最大操作量LMであるか否か又は当該最大操作量LMに近い操作量であるか否かを判定するために設定された閾値である。従って、図4に示すように、前記第1のパイロット圧閾値Pi1は、最大操作量LMに対応する前記最大パイロット圧PM又は前記最大パイロット圧PMに近い値に設定されている。具体的に、本実施の形態では、前記第1のパイロット圧閾値Pi1は、前記最大パイロット圧PMよりも小さい値であり、かつ、前記最大パイロット圧PMの1/2の値よりも前記最大パイロット圧PMに近い値に設定されている。
前記第2のパイロット圧閾値Pi2は、前記旋回操作の操作量が前記最大操作量LMから減少していること、すなわち、前記旋回操作レバー31が前記最大傾倒位置から前記中立位置に向かって動作していることを判定するために設定された閾値である。従って、図4に示すように、前記第2のパイロット圧閾値Pi2は、前記第1のパイロット圧閾値Pi1よりも小さい値に設定されている。具体的に、本実施の形態では、前記第2のパイロット圧閾値Pi2は、前記最大パイロット圧PMの1/2の値よりも前記第1のパイロット圧閾値Pi1に近い値に設定されている。
前記減速操作判定部91は、前記パイロット圧センサ70A又は70Bにより検出される前記パイロット圧が前記第1のパイロット圧閾値Pi1以上になった後、当該パイロット圧センサにより検出される前記パイロット圧が前記第2のパイロット圧閾値Pi2未満になった場合に、前記旋回操作レバー31が前記減速操作を受けたと判定する。図4に示す具体例では、前記パイロット圧センサ70A又は70Bにより検出される前記パイロット圧は、時間t1の時点で前記第1のパイロット圧閾値Pi1以上となり、時間t5の時点で前記第2のパイロット圧閾値Pi2未満となる。従って、前記減速操作判定部91は、前記時間t5の時点において前記旋回操作レバー31が前記減速操作を受けたと判定する。
前記旋回操作レバー31が前記減速操作を受けたと判定されると、前記パイロット圧演算部92は、前記旋回速度に基づいて前記ブレーキ作用パイロット圧(目標2次圧)を演算する。当該ブレーキ作用パイロット圧の演算は例えば図5及び図6に示すマップに基づいて行われる。
図5は、前記上部旋回体2の旋回速度と、当該旋回速度で前記上部旋回体2が旋回しているときに前記旋回モータ20において前記油圧ブレーキ作用を生じさせることができる前記旋回制御弁40におけるメータアウト側の開口の大きさ(旋回MO開口面積)と、の関係を示すマップの一例である。図6は、前記メータアウト側の開口の大きさ(旋回MO開口面積)と、前記旋回制御装置の減圧弁(逆比例弁)における目標2次圧との関係を示すグラフである。当該図5及び図6のグラフに示されるマップは、予め設定されて前記コントローラ90の前記メモリにそれぞれ記憶されている。
なお、以下では、前記旋回操作レバー31が前記減速操作を受けたと前記減速操作判定部91が判定したときのことを「減速判定時」と称することがあり、当該減速判定時に前記旋回速度センサ80により検出される前記旋回速度を「減速判定時の旋回速度」と称することがある。
図5に示すように、前記減速判定時の旋回速度が例えば速度Vaである場合、当該旋回速度Vaにおいて前記油圧ブレーキ作用を生じさせることができる前記メータアウト側の開口の大きさは、開口面積Ka以下の開口面積である。また、前記減速判定時の旋回速度が例えば前記速度Vaよりも小さい速度Vbである場合、当該旋回速度Vbにおいて前記油圧ブレーキ作用を生じさせることができる前記メータアウト側の開口の大きさは、前記開口面積Kaよりも小さい開口面積Kb以下の開口面積である。
すなわち、前記減速判定時の旋回速度が比較的大きい場合には、前記旋回操作レバー31の操作量(前記旋回操作レバー31の傾倒角度)が比較的大きいレバー位置で前記油圧ブレーキ作用が生じ、前記上部旋回体2の旋回動作に対してブレーキがかかり始める。一方、前記減速判定時の旋回速度が小さい場合、前記油圧ブレーキ作用を生じさせるためには、前記旋回操作レバー31の操作量が小さいレバー位置まで前記旋回操作レバー31が戻されることにより前記メータアウト側の開口の開口面積が絞られる必要がある。
本実施の形態では、前記戻し操作が開始される前記時間t3の時点では、前記メータアウト側の背圧が十分に上昇しないため、前記上部旋回体2の旋回速度を減少させる油圧ブレーキ作用が生じない。従って、図4に示すように、上部旋回体2の旋回速度は、前記時間t3の後にも慣性により増加する。また、前記減速判定時である前記時間t5の時点においても、前記メータアウト側の背圧は十分に上昇していないため、前記上部旋回体2の旋回速度を減少させる油圧ブレーキ作用は生じない。
しかし、本実施の形態では、前記時間t5の時点において、前記旋回操作レバー31が前記減速操作を受けたと前記減速操作判定部91が判定すると、前記パイロット圧演算部92は、その時点における前記旋回速度に基づいて前記ブレーキ作用パイロット圧を演算する。具体的に、当該パイロット圧演算部92は、前記減速判定時の旋回速度が例えば速度Vaである場合、図5に示すマップに基づいて、当該速度Vaに対応する前記メータアウト側の開口の大きさである開口面積Kaを演算する。次に、前記パイロット圧演算部92は、図6に示すマップに基づいて、前記開口面積Kaに対応する減圧弁の目標2次圧Pa、すなわち、ブレーキ作用パイロット圧Paを演算する。
図7は、前記減圧弁における目標2次圧と、当該減圧弁における2次圧を前記目標2次圧に調節するために当該減圧弁に入力すべき減圧指令信号(指示電流)との関係を示すグラフである。前記ブレーキ作用パイロット圧Paが演算されると、前記減圧信号入力部93は、図7に示すマップに基づいて、前記旋回パイロット弁32から出力される前記パイロット圧を前記ブレーキ作用パイロット圧Paに減圧するような電流値である減圧指令信号Caを演算し、当該減圧指令信号を、前記一対の減圧弁50A,50Bのうち、対応する減圧弁の前記ソレノイド50Sに入力する。
なお、前記減速判定時の旋回速度が速度Vbである場合には、前記パイロット圧演算部92は、図5に示すマップに基づいて当該速度Vbに対応する前記メータアウト側の開口の大きさである開口面積Kbを演算し、図6に示すマップに基づいて前記開口面積Kbに対応するブレーキ作用パイロット圧Pbを演算し、前記減圧信号入力部93は、図7に示すマップに基づいて減圧指令信号Cbを演算し、当該減圧指令信号Cbを前記減圧弁の前記ソレノイド50Sに入力する。
これにより、前記旋回パイロット弁32から出力される前記パイロット圧が前記減圧弁50A又は50Bにおいて前記ブレーキ作用パイロット圧Pa(又はPb)に減圧され、前記ブレーキ作用パイロット圧Pa(又はPb)が前記旋回制御弁40に入力される。その結果、前記旋回制御弁40における前記メータアウト側の開口の大きさが前記ブレーキ作用パイロット圧Pa(又はPb)に応じた大きさに調節されるので、前記上部旋回体2が前記旋回速度Va(又はVb)で旋回しているときに前記旋回モータ20において油圧ブレーキ作用を生じさせることができる。このことは、前記減速判定時の旋回速度の大きさにかかわらず、前記旋回モータ20において前記油圧ブレーキ作用を迅速に生じさせることを可能にする。これにより、前記減速判定時の旋回速度の大きさにかかわらず、前記減速操作においてブレーキが効き始めるまでに要する時間にばらつきが生じることを抑制できる。このことは、安定した旋回減速動作及び旋回停止動作の実現を可能にし、旋回作業の作業性が向上することを可能にする。
この実施の形態において、前記時間t3から前記時間t5までの時間帯T1は、前記戻し操作が開始されているにもかかわらず前記油圧ブレーキ作用が実質的に生じない不感帯である。この実施の形態では、前記油圧ブレーキ作用が生じ始める前記時間t5は、前記戻し操作が開始される時間t3の時点における旋回速度に応じて変動するものではなく、予め設定された前記第2のパイロット圧閾値Pi2に基づいて決まるものである。従って、前記時間帯T1の大きさは、前記戻し操作が開始される時間t3の時点における旋回速度に応じて変動せず、予め設定された前記第2のパイロット圧閾値Pi2に基づいて決まる。これにより、ブレーキポイント(前記時間t5の時点)が前記比較例のように変動することが抑制される。
次に、本実施の形態に係る前記旋回制御装置におけるコントローラ90が行う具体的な動作を、図8のフローチャートを参照しながら説明する。
図8は、本実施の形態に係る前記旋回制御装置におけるコントローラ90の演算制御動作を示すフローチャートである。まず、前記コントローラ90の前記減速操作判定部91は、前記旋回操作レバー31が前記減速操作を受けたか否かを判定する。前記減速操作判定部91による前記減速操作の判定は、例えば図8のステップS1〜S9に示す処理に基づいて行われる。具体的には以下の通りである。
前記減速操作判定部91は、前記パイロット圧センサ70A,70Bにより検出される前記パイロット圧(旋回Pi圧)を取得する(ステップS1)。次に、前記減速操作判定部91は、前記パイロット圧センサ70A,70Bのうち、前記旋回操作の方向に対応するパイロット圧センサにより検出されるパイロット圧が前記第1のパイロット圧閾値Pi1以上であるか否かを判定する(ステップS2)。図4に示すように、前記時間t1の時点において前記パイロット圧が前記第1のパイロット圧閾値Pi1以上になると、前記減速操作判定部91は、前記パイロット圧センサ70A又は70Bにより検出されるパイロット圧が前記第1のパイロット圧閾値Pi1以上であると判定し(ステップS2においてYES)、フルレバーフラグをONに設定し、ブレーキフラグをOFFに設定する(ステップS3)。
次に、減速操作判定部91は、前記ブレーキフラグがOFFであるか否かを判定する(ステップS4)。前記ステップS3において前記ブレーキフラグがOFFに設定された直後においては、前記ブレーキフラグの設定はOFFのまま維持されているので、前記減速操作判定部91は、前記ブレーキフラグがOFFであると判定する(ステップS4においてYES)。
次に、前記減速操作判定部91は、前記フルレバーフラグの設定がONからOFFに切り換わったか否かを判定する(ステップS5)。前記ステップS3において前記フルレバーフラグがONに設定された直後においては、前記フルレバーフラグの設定はONのまま維持されているので、前記減速操作判定部91は、前記フルレバーフラグの設定がONからOFFに切り換わっていないと判定する(ステップS5においてNO)。かかる場合、前記減圧信号入力部93は、前記減圧指令信号を前記減圧弁に入力しない(ステップS6)。具体的に、本実施の形態では、前記減圧弁50A,50Bのそれぞれは電磁逆比例弁により構成されるので、前記減圧信号入力部93は、前記減圧弁50A,50Bのうち前記旋回操作の方向に対応する減圧弁が、前記旋回パイロット弁32から出力される前記パイロット圧を減圧しないような指令信号(例えば最小の電流値に相当する信号)を当該減圧弁に入力する(ステップS6)。
次に、前記減速操作判定部91は、前記パイロット圧センサ70A,70Bにより検出される前記パイロット圧を再び取得し(ステップS1)、前記パイロット圧センサ70A,70Bのうち、前記旋回操作の方向に対応するパイロット圧センサにより検出されるパイロット圧が前記第1のパイロット圧閾値Pi1以上であるか否かを再び判定する(ステップS2)。前記減速操作判定部91は、前記時間t4の時点において、前記パイロット圧が前記第1のパイロット圧閾値Pi1以上ではないと判定する(ステップS2においてNO)。さらに、前記減速操作判定部91は、前記時間t5の時点において、前記パイロット圧が前記第2のパイロット圧閾値Pi2未満であると判定し(ステップS7においてYES)、前記フルレバーフラグをOFFに設定する(ステップS8)。
次に、減速操作判定部91は、前記ブレーキフラグがOFFであるか否かを再び判定する(ステップS4)。前記ステップS3において前記ブレーキフラグの設定がOFFに維持されている場合には、前記減速操作判定部91は、前記ブレーキフラグがOFFであると判定する(ステップS4においてYES)。
次に、前記減速操作判定部91は、前記フルレバーフラグの設定がONからOFFに切り換わったか否かを判定する(ステップS5)。本実施の形態では、上記の時間t5の時点において、前記減速操作判定部91は、前記フルレバーフラグの設定がONからOFFに切り換わったと判定する(ステップS5においてYES)。かかる場合、前記減速操作判定部91は、前記旋回操作レバー31が前記減速操作を受けたと判定し、ブレーキフラグをONに設定する(ステップS9)。
次に、前記パイロット圧演算部92は、前記減速判定時の旋回速度に基づいて、前記ブレーキ作用パイロット圧を演算する。前記パイロット圧演算部92による前記ブレーキ作用パイロット圧の演算は、例えば図8のステップS10〜S12に示す処理に基づいて行われる。まず、前記パイロット圧演算部92は、前記減速判定時の旋回速度を前記旋回速度センサ80から取得する(ステップS10)。次に、前記パイロット圧演算部92は、前記減速判定時の旋回速度において前記油圧ブレーキ作用を生じさせることができる前記メータアウト側の開口(MO開口)の大きさ(開口面積)を、例えば図5に示すマップに基づいて演算する(ステップS11)。次に、前記パイロット圧演算部92は、例えば図6に示すマップに基づいて前記開口面積に対応するブレーキ作用パイロット圧(目標Pi圧)を演算する(ステップS12)。
次に、前記減圧信号入力部93は、例えば図7に示すマップに基づいて減圧指令信号を演算し、当該減圧指令信号を前記減圧弁50A又は50B(逆比例弁)の前記ソレノイド50Sに入力する(ステップS13)。これにより、前記旋回パイロット弁32から出力される前記パイロット圧が前記減圧弁50A又は50Bにおいて前記ブレーキ作用パイロット圧に減圧され、前記ブレーキ作用パイロット圧が前記旋回制御弁40に入力される。その結果、前記旋回制御弁40における前記メータアウト側の開口の大きさが前記ブレーキ作用パイロット圧に応じた大きさに調節されるので、前記減速判定時の旋回速度において、前記旋回モータ20において油圧ブレーキ作用を生じさせることができる。
図8のステップS13が行われた後の処理は特に限定されないが、次のような態様を例示できる。前記減速操作判定部91は、前記パイロット圧センサ70A,70Bにより検出される前記パイロット圧を再び取得し(ステップS1)、当該パイロット圧センサにより検出されるパイロット圧が前記第1のパイロット圧閾値Pi1以上であるか否かを再び判定する(ステップS2)。前記減速操作判定部91は、前記時間t5より後の時点において、前記パイロット圧が前記第1のパイロット圧閾値Pi1以上ではないと判定し(ステップS2においてNO)、前記パイロット圧が前記第2のパイロット圧閾値Pi2未満であると判定し(ステップS7においてYES)、前記フルレバーフラグの設定をOFFのまま維持する(ステップS8)。
次に、減速操作判定部91は、前記ブレーキフラグがOFFであるか否かを再び判定する(ステップS4)。前記時間t5より後の時点では前記ブレーキフラグの設定がONに維持されているので、前記減速操作判定部91は、前記ブレーキフラグがOFFではないと判定する(ステップS4においてNO)。
次に、前記パイロット圧演算部92は、前記時間t5より後の時点における旋回速度に基づいて、前記ブレーキ作用パイロット圧を演算する。前記パイロット圧演算部92による前記ブレーキ作用パイロット圧の演算は、例えば図8のステップS10〜S12に示す処理に基づいて行われる。これにより、前記時間t5より後の時点においても、前記旋回パイロット弁32から出力される前記パイロット圧が前記減圧弁50A又は50Bにおいて前記ブレーキ作用パイロット圧に減圧され、前記ブレーキ作用パイロット圧が前記旋回制御弁40に入力される。その結果、前記旋回制御弁40における前記メータアウト側の開口の大きさが前記ブレーキ作用パイロット圧に応じた大きさに調節されるので、前記時間t5より後の時点における旋回速度において、前記旋回モータ20において油圧ブレーキ作用を継続的に生じさせることができる。
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されない。本発明は、例えば次のような態様を含むことが可能である。
(A)減速判定後の処理について
前記実施の形態では、図4に示す時間t5の時点(前記減速判定時)において前記減圧信号入力部93が前記減圧指令信号を前記減圧弁50A又は50Bの前記ソレノイド50Sに入力し(ステップS13)、当該時間t5より後の処理は、再び図8のステップS1〜S13の処理が繰り返されるが、本発明はこれに限られない。本発明では、前記時間t5より後の処理としては、図8のステップS1〜S13の処理とは異なる処理が採用されてもよい。具体的に、図4に示す時間t5の時点(前記減速判定時)において前記減圧信号入力部93が前記減圧指令信号を前記減圧弁の前記ソレノイド50Sに入力した後、前記減圧信号入力部93は、減圧弁の目標2次圧が次第に減少するような特性を有するマップを設定し、当該マップに基づいて演算される指令信号を前記減圧弁の前記ソレノイド50Sに入力するように構成されていてもよい。当該マップは、例えば、前記時間t5の時点(減速判定時)における前記ブレーキ作用パイロット圧Pa(又はPb)と、当該ブレーキ作用パイロット圧Paよりも小さいパイロット圧Pcと、を直線又は曲線により結ぶことにより生成されるものであってもよい。前記パイロット圧Pcは、例えば、前記旋回制御弁40のスプールが中立位置に配置されるようなパイロット圧であってもよく、また、前記旋回制御弁40のメータアウト側の開口が開き始めるときのパイロット圧であってもよい。
また、図4に示す時間t5の時点(前記減速判定時)において前記減圧信号入力部93が前記減圧指令信号を前記減圧弁の前記ソレノイド50Sに入力した後、当該減圧弁によるパイロット圧の減圧が行われなくても前記油圧ブレーキ作用が生じる場合には、前記減圧信号入力部93は、前記時間t5より後において、前記旋回パイロット弁から出力される前記パイロット圧を減圧するような指令信号を前記減圧弁に入力しなくてもよい。
(B)減速操作の判定について
前記実施の形態では、前記減速操作判定部91による前記減速操作の判定が図8に示すステップS1〜S9の処理により行われるが、本発明はこれに限られない。本発明では、前記減速操作の判定において第1のパイロット圧閾値が省略され、第2のパイロット圧閾値のみに基づいて前記減速操作の判定が行われてもよい。すなわち、前記減速操作判定部は、前記パイロット圧検出部により検出される前記パイロット圧が予め設定されたパイロット圧閾値(前記第2のパイロット圧閾値に相当する閾値)未満になった場合に、前記旋回操作部材が前記減速操作を受けたと判定してもよい。
(C)減速判定時の操作量について
前記実施の形態では、前記第1のパイロット圧閾値Pi1が前記旋回操作の操作量が最大操作量であるか否かを判定することができる値に設定されているが、本発明はこれに限られない。本発明では、例えば、前記第1のパイロット圧閾値が前記旋回操作の操作量が最大操作量よりも小さい操作量(例えば、いわゆるハーフレバー)であるか否かを判定することができる値に設定されていてもよい。
(D)建設機械の種類について
上記の実施の形態では、建設機械が油圧ショベルであるが、本発明の旋回制御装置が搭載される建設機械は、油圧ショベルに限られず、旋回式のクレーンなどの他の建設機械であってもよい。また、前記先端アタッチメントは、バケットに限られず、例えばグラップル、圧砕機、ブレーカ、フォークなどの他の先端アタッチメントであってもよい。
(E)基体について
前記実施の形態では、基体として下部走行体1を用いているが、前記基体は下部走行体1のように走行可能なものに限定されず、特定の場所に設置されて上部旋回体2を支持する基台であってもよい。