JP2020193380A - 耐摩耗鋼板およびその製造方法 - Google Patents

耐摩耗鋼板およびその製造方法 Download PDF

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直樹 ▲高▼山
直樹 ▲高▼山
Naoki Takayama
茂樹 木津谷
Shigeki Kizutani
茂樹 木津谷
善明 村上
Yoshiaki Murakami
善明 村上
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Abstract

【課題】板厚中心部まで高い耐摩耗性を有する、特に板厚が50mm以上の厚肉で高硬度の耐摩耗鋼板を提供する。【解決手段】C:0.27%以上0.37%以下、Si:0.05%以上1.00%以下、Mn:0.10%以上1.30%以下、P:0.050%以下、S:0.050%以下、Al:0.050%以下、Cr:0.05%以上1.00%以下、N:0.0100%以下およびO:0.0100%以下を、所定の範囲にて含み、残部Feおよび不可避的不純物の成分組成と、鋼板の表面から1mmの深さにおけるマルテンサイトの体積率が95%以上、かつ前記鋼板の板厚中心部におけるマルテンサイトおよびベイナイトの合計体積率が95%以上である組織とを有し、前記鋼板の表面から1mmの深さにおけるブリネル硬さがHBW510〜590、かつ前記鋼板の板厚中心部におけるブリネル硬さが前記鋼板の表面から1mmの深さにおけるブリネル硬さの80%以上とする。【選択図】なし

Description

本発明は、建設機械、産業機械、造船、土木および建築等の鋼構造物の各種部材に供して好適な、耐摩耗鋼板およびその製造方法に係り、特に、高い耐摩耗性が要求される部位に適用される、板厚が50mm以上の耐摩耗鋼板に関する。
建設、土木、鉱業などの分野で使用される産業機械、部品、運搬機器(例えば、パワーショベル、ブルドーザー、ホッパー、バケットコンベヤー、岩石破砕装置)などは、岩石、砂、鉱石などによるアブレッシブ摩耗、すべり摩耗、衝撃摩耗などの摩耗に晒される。そのため、上記の産業機械、部品、運搬機器に用いられる鋼には、寿命を向上させるために耐摩耗性に優れることが求められる。
鋼の耐摩耗性は、硬度を高くすることで向上できることが知られている。そのため、Cr、Mo等の合金元素を大量に添加した合金鋼に焼入等の熱処理を施すことによって得られる高硬度鋼が、耐摩耗鋼として幅広く用いられてきた。
例えば、特許文献1、2では、表層部の硬度が、ブリネル硬さ(HB)で460〜590である耐摩耗鋼板が提案されている。前記耐摩耗鋼板では、所定の量の合金元素を添加するとともに、焼入れを行ってマルテンサイト主体の組織とすることによって、高い表面硬度を実現している。
特許第4259145号 特許第4645307号
特に、HB510以上の高硬度耐摩耗鋼は、岩石破砕装置などに、板厚が50mm以上の厚肉の鋼板として適用されている。この装置では、厚肉鋼板の板厚中心部付近に摩耗が進展するまで使用されるのが通例である。このような使途では、板厚中心部まで高い耐摩耗性を確保することが重要である。しかし、板厚中心部の耐摩耗性を確保するためには、特許文献1、2に記載された技術では不十分であった。
本発明は、上記の問題を解決し、例えば岩石破砕装置などに使用される、板厚中心部まで高い耐摩耗性を有する、特に板厚が50mm以上の厚肉の耐摩耗鋼板であって、高硬度耐摩耗鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために、耐摩耗鋼板の耐摩耗性に影響する各種要因について、鋭意検討を重ねた。その結果、板厚中心部のミクロ組織をマルテンサイトおよびベイナイトの混合組織とし、板厚中心部のブリネル硬さが鋼板表面から1mm深さ位置のブリネル硬さの80%以上であれば、板厚中心まで優れた耐摩耗性が発揮されることを知見した。
そして、更なる研究により、本発明者らは板厚中心部におけるマルテンサイトおよびベイナイトの混合組織の比率を高め、さらに硬度を上昇させるためには、C、Si、Cr、Cu、Ni、Cr、Mo、V、W等の元素を所定量以上で添加することが有効であり、特に板厚中心部のブリネル硬さが鋼板表面から1mm深さ位置のブリネル硬さの80%以上とするためには、鋼板の板厚t(mm)に応じて、
exp{33.85×(0.1×C)0.5×(0.7×Si+1)×(3.33×Mn+1)×(0.35×Cu+1)×(0.36×Ni+1)×(2.16×Cr+1)×(3×Mo+1)×(1.75×V+1)×(1.5×W+1)+930}/250 ≧t
…(1)
(ただし、上式(1)中の元素記号は各元素の含有量(質量%)であり、含有のない元素の含有量は0とする。また、上式(1)中のtは鋼板の板厚(mm)である。)
を満足する範囲での上記成分の添加が必要であることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
1.質量%で、
C:0.27%以上0.37%以下、
Si:0.05%以上1.00%以下、
Mn:0.10%以上1.30%以下、
P:0.050%以下、
S:0.050%以下、
Al:0.050%以下、
Cr:0.05%以上1.00%以下、
N:0.0100%以下および
O:0.0100%以下
を、次式(1)を満足する範囲にて含み、残部Feおよび不可避的不純物の成分組成を有し、
鋼板の表面から1mmの深さにおけるマルテンサイトの体積率が95%以上、かつ前記鋼板の板厚中心部におけるマルテンサイトおよびベイナイトの合計体積率が95%以上である組織を有し、
前記鋼板の表面から1mmの深さにおけるブリネル硬さが510〜590HBW10/3000、かつ前記鋼板の板厚中心部におけるブリネル硬さが前記鋼板の表面から1mmの深さにおけるブリネル硬さの80%以上であり、板厚が50mm以上である、耐摩耗鋼板。
exp{33.85×(0.1×C)0.5×(0.7×Si+1)×(3.33×Mn+1)×(0.35×Cu+1)×(0.36×Ni+1)×(2.16×Cr+1)×(3×Mo+1)×(1.75×V+1)×(1.5×W+1)+930}/250 ≧t
…(1)
ただし、上式(1)中の元素記号は各元素の含有量(質量%)であり、含有のない元素の含有量は0とする。また、上式(1)中のtは前記鋼板の板厚(mm)である。
ここで、上記「鋼板の表面」とは、製造後の鋼板の表面に残存するスケールおよび脱炭層の影響を除くために、製造後の鋼板の表面から1mm厚さ分を研削除去した、研削後の表面を意味する。
2.前記成分組成はさらに、質量%で、
Cu:0.01%以上3.00%以下、
Ni:0.01%以上3.00%以下、
Mo:0.01%以上3.00%以下、
V:0.01%以上1.00%以下、
W:0.01%以上1.00%以下および
Co:0.01%以上1.00%以下
のうちから選ばれる1種以上を含有する前記1に記載の耐摩耗鋼板。
3.前記成分組成はさらに、質量%で、
Nb:0.005%以上0.100%以下、
Ti:0.005%以上0.100%以下および
B:0.0001%以上0.0100%以下
のうちから選ばれる1種以上を含有する前記1または2に記載の耐摩耗鋼板。
4.前記成分組成はさらに、質量%で、
Ca:0.0005%以上0.0200%以下、
Mg:0.0005%以上0.0200%以下および
REM:0.0005%以上0.0200%以下
のうちから選ばれる1種以上を含有する前記1から3のいずれかに記載の耐摩耗鋼板。
5.質量%で、
C:0.27%以上0.37%以下、
Si:0.05%以上1.00%以下、
Mn:0.10%以上1.30%以下、
P:0.050%以下、
S:0.050%以下、
Al:0.050%以下、
Cr:0.05%以上1.00%以下、
N:0.0100%以下および
O:0.0100%以下
を、次式(1)式を満足する範囲にて含み、残部Feおよび不可避的不純物の成分組成を有する鋼素材に熱間圧延を施して熱延鋼板とし、該熱延鋼板に、開始温度がAr変態点以上である直接焼入れ、または、開始温度がAc変態点以上である再加熱焼入れを行う耐摩耗鋼板の製造方法。
exp{33.85×(0.1×C)0.5×(0.7×Si+1)×(3.33×Mn+1)×(0.35×Cu+1)×(0.36×Ni+1)×(2.16×Cr+1)×(3×Mo+1)×(1.75×V+1)×(1.5×W+1)+930}/250 ≧t
…(1)
ただし、上式(1)中の元素記号は各元素の含有量(質量%)であり、含有のない元素の含有量は0とする。また、上式(1)中のtは鋼板の板厚(mm)である。
6.前記成分組成はさらに、質量%で、
Cu:0.01%以上3.00%以下、
Ni:0.01%以上3.00%以下、
Mo:0.01%以上3.00%以下、
V:0.01%以上1.00%以下、
W:0.01%以上1.00%以下および
Co:0.01%以上1.00%以下
のうちから選ばれる1種以上を含有する前記5に記載の耐摩耗鋼板の製造方法。
7、前記成分組成はさらに、質量%で、
Nb:0.005%以上0.100%以下、
Ti:0.005%以上0.100%以下および
B:0.0001%以上0.0100%以下
のうちから選ばれる1種以上を含有する前記5または6に記載の耐摩耗鋼板の製造方法。
8、前記成分組成はさらに、質量%で、
Ca:0.0005%以上0.0200%以下、
Mg:0.0005%以上0.0200%以下および
REM:0.0005%以上0.0200%以下
のうちから選ばれる1種以上を含有する前記5から7のいずれかに記載の耐摩耗鋼板の製造方法。
本発明によれば、鋼板の内部まで高い耐摩耗性を発揮する高強度の耐摩耗鋼板を提供することができるため、産業上格段の効果を奏する。
次に、本発明の耐摩耗鋼板について具体的に説明する。本発明において、耐摩耗鋼板およびその製造に供する鋼素材は、上記成分組成を有することが重要である。そこで、まず本発明において鋼の成分組成を上記のように限定する理由を説明する。なお、成分組成に関する「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。
[成分組成]
C:0.27%以上0.37%以下
Cは、鋼板表層の硬さを増加させ、耐摩耗性を向上させる作用を有する元素である。さらに、板厚内部の硬度を高めて、板厚内部の耐摩耗性を向上させる重要な元素の1つである。前記効果を得るためには、C含有量を0.27%以上とする。さらに、他の合金元素の含有量を少なくし、より低コストで製造するという観点からは、C含有量は0.29%以上とすることが好ましい。一方、C含有量が0.37%を超えると、溶接性および加工性が低下する。そのため、C含有量は0.37%以下とする。さらに、溶接性および加工性の低下を抑制する観点からは、C含有量を0.35%以下とすることが好ましい。
Si:0.05%以上1.00%以下
Siは、脱酸剤として作用する元素である。また、Siは、鋼中に固溶し、固溶強化により基地相の硬さを上昇させる作用を有している。これらの効果を得るために、Si含有量を0.05%以上とする。Si含有量は、0.10%以上とすることが好ましく、0.20%以上とすることがより好ましい。一方、Si含有量が1.00%を超えると、延性および靭性が低下し、さらに介在物量が増加するなどの問題が生じる。そのため、Si含有量を1.00%以下とする。Si含有量は、0.80%以下とすることが好ましく、0.60%以下とすることがより好ましく、0.40%以下とすることがさらに好ましい。
Mn:0.10%以上1.30%以下
Mnは、鋼の焼入れ性を増加させる作用を有する元素であり、鋼板表層の硬さを増加させ、耐摩耗性を向上させる作用を有する元素である。前記効果を得るために、Mn含有量を0.10%以上とする。Mn含有量は、0.20%以上とすることが好ましく、0.30%以上とすることがより好ましい。一方、Mn含有量が1.30%を超えると、溶接性と靭性が低下することに加えて、合金コストが過度に高くなってしまう。そのため、Mn含有量は1.30%以下とする。Mn含有量は、0.90%以下とすることが好ましく、0.80%以下とすることがより好ましい。さらに好ましくは、0.69%未満である。
P:0.050%以下
Pは、不可避的不純物として含有される元素であり、粒界に偏析することによって母材および溶接部の靱性を低下させるなど、悪影響を及ぼす。そのため、できる限りP含有量を低くすることが望ましいが、0.050%以下であれば許容できる。なお、P含有量の下限は特に限定されず、0%であってよいが、通常、Pは不純物として鋼中に不可避的に含有される元素であるため、工業的には0%超であってよい。また、過剰の低減は精錬コストの高騰を招くため、P含有量は0.0005%以上とすることが好ましい。
S:0.050%以下
Sは、不可避的不純物として含有される元素であり、MnS等の硫化物系介在物として鋼中に存在し、破壊の発生起点となるなど、悪影響を及ぼす元素である。そのため、できる限りS含有量を低くすることが望ましいが、0.050%以下であれば許容できる。なお、S含有量の下限は特に限定されず、0%であってよいが、通常、Sは不純物として鋼中に不可避的に含有される元素であるため、工業的には0%超であってよい。また、過剰の低減は精錬コストの高騰を招くため、S含有量は0.0005%以上とすることが好ましい。
Al:0.050%以下
Alは、脱酸剤として作用するとともに、結晶粒を微細化する作用を有する元素である。これらの効果を得るためには、Al含有量を0.010%以上とすることが好ましい。一方、Al含有量が0.050%を超えると、酸化物系介在物が増加して清浄度が低下する。そのため、Al含有量は0.050%以下とする。なお、Al含有量は0.040%以下とすることが好ましく、0.030%以下とすることがより好ましい。
Cr:0.05%以上1.00%以下
Crは、表層の硬さを増加させ、耐摩耗性を向上させる作用を有する元素である。さらに、Cと同様に板厚内部の硬度を向上させる本発明において重要な元素の1つである。前記効果を得るために、Cr含有量を0.05%以上とする。Cr含有量は、0.20%以上とすることが好ましく、0.25%以上とすることがより好ましい。一方、Cr含有量が1.00%を超えると溶接性の低下を招く。そのため、Cr含有量は1.00%以下とする。Cr含有量は、0.90%以下とすることが好ましく、0.80%以下とすることがより好ましい。
N:0.0100%以下
Nは、不可避的不純物として含有される元素であるが、0.0100%以下の含有は許容できる。N含有量は、0.0050%以下とすることが好ましく、0.0030%以下とすることがより好ましい。一方、N含有量の下限は特に限定されず、0%であってよいが、通常、Nは不純物として鋼中に不可避的に含有される元素であるため、工業的には0%超であってよい。
O:0.0100%以下
Oは、不可避的不純物として含有される元素であるが、0.0100%以下の含有は許容できる。O含有量は、0.0050%以下とすることが好ましく、0.0030%以下とすることがより好ましい。一方、O含有量の下限は特に限定されず、0%であってよいが、通常、Oは不純物として鋼中に不可避的に含有される元素であるため、工業的には0%超であってよい。
本発明の一実施形態における耐摩耗鋼板および鋼素材は、以上の成分を、次式(1)を満足する範囲で含み、残部はFeおよび不可避的不純物である。
exp{33.85×(0.1×C)0.5×(0.7×Si+1)×(3.33×Mn+1)×(0.35×Cu+1)×(0.36×Ni+1)×(2.16×Cr+1)×(3×Mo+1)×(1.75×V+1)×(1.5×W+1)+930}/250 ≧t
…(1)
ただし、上式(1)中の元素記号は各元素の含有量(質量%)であり、含有のない元素の含有量は0とする。また、上式(1)中のtは鋼板の板厚(mm)である。すなわち、上記した基本成分の場合は、上式(1)は、
exp{33.85×(0.1×C)0.5)×(0.7×Si+1)×(3.33×Mn+1)×(2.16×Cr+1)+930}/250 ≧t
となる。また、後述するCu、Ni、Mo、VおよびWをさらに含む場合は、上式(1)を適用する。
ここに、板厚t(mm)に応じて、上記した成分組成において上式(1)を満足することにより、板厚中心部におけるミクロ組織をマルテンサイト組織およびベイナイト組織とし、かつブリネル硬さを鋼板表面から1mm深さ位置のブリネル硬さの80%以上の値とし、鋼板内部の耐摩耗性を向上することが肝要である。すなわち、上式(1)の左辺が板厚t未満では、板厚中心部におけるミクロ組織がマルテンサイト組織およびベイナイト組織とならないか、ブリネル硬さを表層から1mm深さ位置のブリネル硬さが80%以上の値とならなくなり、内部の耐摩耗性が低下する。このため、上式(1)の左辺が板厚t以上である必要がある。なお、好ましくは、上式(1)の左辺が1.2t以上である。一方、上限は特に限定されないが、合金コスト抑制のためには、上式(1)の左辺が2.0t以下とすることが好ましい。
以上の成分を含み、残部Feおよび不可避的不純物の成分組成が本発明における基本の成分組成である。この成分組成は、さらに鋼板内部の耐摩耗性の向上を目的として任意に、Cu:0.01%以上3.00%以下、Ni:0.01%以上3.00%以下、Mo:0.01%以上3.00%以下、V:0.01%以上1.00%以下、W:0.01%以上1.00%以下、およびCo:0.01%以上1.00%以下からなる群より選択される1以上を含有することができる。
Cu:0.01%以上3.00%以下
Cuは、鋼板内部の硬度を向上させる作用を有する元素であり、鋼板内部の耐摩耗性を向上させるため任意に添加することができる。Cuを添加する場合、前記効果を得るためにCu含有量を0.01%以上とする。一方、Cu含有量が3.00%を超えると、溶接性の劣化や合金コストの上昇を招く。そのため、Cuを添加する場合、Cu含有量を3.00%以下とする。より好ましくは、0.20%以上2.00%以下である。
Ni:0.01%以上3.00%以下
Niは、Cuと同様に板厚内部の硬度を向上させる作用を有する元素であり、板厚内部の耐摩耗性を向上させるため任意に添加することができる。Niを添加する場合、前記効果を得るためにNi含有量を0.01%以上とする。一方、Ni含有量が3.00%を超えると、溶接性の劣化や合金コストの上昇を招く。そのため、Niを添加する場合、Ni含有量を3.00%以下とする。より好ましくは、0.20%以上2.00%以下である。
Mo:0.01%以上3.00%以下
Moは、Cuと同様に板厚内部の硬度を向上させる作用を有する元素であり、板厚内部の耐摩耗性を向上させるため任意に添加することができる。Moを添加する場合、前記効果を得るためにMo含有量を0.01%以上とする。一方、Mo含有量が3.00%を超えると、溶接性の劣化や合金コストの上昇を招く。そのため、Moを添加する場合、Mo含有量を3.00%以下とする。より好ましくは、0.20%以上2.00%以下である。
V:0.01%以上1.00%以下
Vは、Cuと同様に板厚内部の硬度を向上させる作用を有する元素であり、板厚内部の耐摩耗性を向上させるため任意に添加することができる。Vを添加する場合、前記効果を得るためにV含有量を0.01%以上とする。一方、V含有量が1.00%を超えると、溶接性の劣化や合金コストの上昇を招く。そのため、Vを添加する場合、V含有量を1.00%以下とする。より好ましくは、0.05%以上0.50%以下である。
W:0.01%以上1.00%以下
Wは、Cuと板厚内部の硬度を向上させる作用を有する元素であり、板厚内部の耐摩耗性を向上させるため任意に添加することができる。Wを添加する場合、前記効果を得るためにW含有量を0.01%以上とする。一方、W含有量が1.00%を超えると、溶接性の劣化や合金コストの上昇を招く。そのため、Wを添加する場合、W含有量を1.00%以下とする。より好ましくは、0.05%以上0.50%以下である。
Co:0.01%以上1.00%以下
Coは、Cuと同様に板厚内部の硬度を向上させる作用を有する元素であり、板厚内部の耐摩耗性を向上させるため任意に添加することができる。Coを添加する場合、前記効果を得るためにCo含有量を0.01%以上とする。一方、Co含有量が1.00%を超えると、溶接性の劣化や合金コストの上昇を招く。そのため、Coを添加する場合、Co含有量を1.00%以下とする。より好ましくは、0.05%以上0.50%以下である。
また、本発明の他の実施形態において、上記成分組成は、任意に、Nb:0.005%以上0.100%以下、Ti:0.005%以上0.100%以下およびB:0.0001%以上0.0100%以下からなる群より選択される1以上をさらに含有することができる。
Nb:0.005%以上0.100%以下
Nbは、炭窒化物として析出することで旧オーステナイト粒径を小さくし、靭性を向上させる効果を有する元素である。Nbを添加する場合、前記効果を得るためにNb含有量を0.005%以上とする。さらに、Nb含有量は0.007%以上とすることが好ましい。一方、Nb含有量が0.100%を超えるとNbCが多量に析出し、加工性が低下する。そのため、Nbを添加する場合、Nb含有量を0.100%以下とする。Nb含有量は、0.080%以下とすることが好ましく、0.060%以下とするのがさらに好ましい。
Ti:0.010%以上0.100%以下
Tiは、窒化物形成傾向が強く、Nを固定して固溶Nを低減する作用を有する元素である。そのため、Tiの添加により、母材および溶接部の靭性を向上させることができる。また、TiとBの両者が添加される場合、TiがNを固定することによってBNの析出が抑制され、その結果、Bの焼入れ性向上効果が助長される。これらの効果を得るために、Tiを添加する場合、Ti含有量を0.010%以上とする。Ti含有量は、0.012%以上とすることが好ましい。一方、Ti含有量が0.100%を超えると、TiCが多量に析出し、加工性を低下させる。そのため、Tiを含有する場合、Ti含有量は0.100%とする。Ti含有量は、0.090%以下とすることが好ましく、0.080%以下とするのがさらに好ましい。
B:0.0001%以上0.0100%以下
Bは、微量の添加でも焼入れ性を著しく向上させる作用を有する元素である。したがって、Bを添加することにより焼入時のマルテンサイトの形成を助長し、板厚内部の耐摩耗性をさらに向上させることができる。前記効果を得るために、Bを添加する場合、B含有量を0.0001%以上とする。B含有量は、0.0005%以上とすることが好ましく、0.0010%以上とすることがより好ましい。一方、B含有量が0.0100%を超えると溶接性が低下する。そのため、Bを添加する場合、B含有量を0.0100%以下とする。B含有量は0.0050%以下とすることが好ましい。0.0030%以下とすることがさらに好ましい。
また、本発明の他の実施形態において、上記成分組成は、任意に、Ca:0.0005%以上0.0200%以下、Mg:0.0005%以上0.0200%以下およびREM:0.0005%以上0.0200%以下からなる群より選択される1以上をさらに含有することができる。
Ca:0.0005%以上0.0200%以下
Caは、Sと結合し、圧延方向に長く伸びるMnS等の形成を抑制する作用を有する元素である。したがって、Caを添加することにより、硫化物系介在物が球状を呈するように形態制御し、溶接部等の靭性を向上させることができる。前記効果を得るために、Caを添加する場合、Ca含有量を0.0005%以上とする。一方、Ca含有量が0.0050%を超えると、鋼の清浄度が低下する。清浄度の低下は、表面疵の増加による表面性状が劣化と、曲げ加工性の低下を招く。そのため、Caを添加する場合、Ca含有量を0.0050%以下とする。より好ましくは、0.0020%以上0.0100%以下である。
Mg:0.0005%以上0.0200%以下
Mgは、Caと同様、Sと結合し、圧延方向に長く伸びるMnS等の形成を抑制する作用を有する元素である。したがって、Mgを添加することにより、硫化物系介在物が球状を呈するように形態制御し、溶接部等の靭性を向上させることができる。前記効果を得るために、Mgを添加する場合、Mg含有量を0.0005%以上とする。一方、Mg含有量が0.0050%を超えると、鋼の清状度が低下する。清浄度の低下は、表面疵の増加による表面性状が劣化と、曲げ加工性の低下を招く。そのため、Mgを添加する場合、Mg含有量を0.0050%以下とする。より好ましくは、0.0020%以上0.0100%以下である。
REM:0.0005%以上0.0200%以下
REM(希土類金属)は、Ca、Mgと同様、Sと結合し、圧延方向に長く伸びるMnS等の形成を抑制する作用を有する元素である。したがって、REMを添加することにより、硫化物系介在物が球状を呈するように形態制御し、溶接部等の靭性を向上させることができる。前記効果を得るために、REMを添加する場合、REM含有量を0.0005%以上とする。一方、REM含有量が0.0050%を超えると、鋼の清状度が低下する。清浄度の低下は、表面疵の増加による表面性状が劣化と、曲げ加工性の低下を招く。そのため、REMを添加する場合、REM含有量を0.0080%以下とする。より好ましくは、0.0020%以上0.0100%以下である。
本願発明の耐摩耗鋼板は、上記成分組成を有することに加えて、鋼板の表面から1mmの深さにおけるマルテンサイトの体積率が95%以上、かつ前記鋼板の板厚中心部におけるマルテンサイトおよびベイナイトの合計体積率が95%以上である組織を有し、さらに、 前記鋼板の表面から1mmの深さにおけるブリネル硬さがHBW510〜590、かつ前記鋼板の板厚中心部におけるブリネル硬さが前記鋼板の表面から1mmの深さにおけるブリネル硬さの80%以上である。鋼の組織および硬度を上記のように限定する理由を、以下に説明する。
[組織]
まず、本発明の耐摩耗鋼板の組織について説明する。
[鋼板の表面から1mmの深さにおけるマルテンサイトの体積率が95%以上]
鋼板の表面から1mmの深さにおけるマルテンサイトの体積率が95%未満であると、鋼板の表面組織の硬さが低下するため、鋼板表面の耐摩耗性が劣化する。そのため、マルテンサイトの体積率を95%以上とする。マルテンサイト以外の残部組織は特に限定されないが、フェライト、パーライト、オーステナイト、ベイナイト組織が存在してよい。一方、マルテンサイトの体積率は高いほどよいため、該体積率の上限は特に限定されず、100%であってよい。なお、前記マルテンサイトの体積率は、耐摩耗鋼板の表面から1mmの深さの位置における値とする。
前記マルテンサイトの体積率は、後述の実施例に記載した方法で測定することができる。
[鋼板の板厚中心部におけるマルテンサイトおよびベイナイトの合計体積率が95%以上]
鋼板の板厚中心部における組織は、マルテンサイトとベイナイトの混合組織とする。この混合組織とは、マルテンサイトおよびベイナイトの体積率を合わせた合計体積率が95%以上ということである。マルテンサイトおよびベイナイトの合計体積率が95%未満であると、鋼板の内部の硬さが低下するだけなく、板厚中心部におけるブリネル硬さが表層から1mm深さ位置のブリネル硬さの80%以上の値を有していても耐摩耗性が低下する。そのため、マルテンサイトおよびベイナイトの合計体積率が95%以上とする。マルテンサイトおよびベイナイト以外の残部組織は特に限定されないが、フェライト、パーライト、オーステナイト組織が存在してよい。一方、マルテンサイトおよびベイナイトの合計体積率は高いほどよいため、該体積率の上限は特に限定されず、100%であってよい。また、マルテンサイト分率50%以上であることが好ましい。
なお、前記マルテンサイトおよびベイナイトの合計体積率は、耐摩耗鋼板の板厚中心における値とする。なぜなら、マルテンサイトおよびベイナイトの合計体積率が95%未満であると、鋼板の内部の硬さが低下するだけなく、板厚中心部におけるブリネル硬さが表層から1mm深さ位置のブリネル硬さの80%以上の値を有していても耐摩耗性が低下するため、板厚中心部における体積率を規定する必要があるからである。前記マルテンサイトおよびベイナイトの合計体積率は、後述の実施例に記載した方法で測定することができる。
[硬さ]
[鋼板表面から1mmの深さにおけるブリネル硬さがHBW510〜590]
鋼板の耐摩耗性は、該鋼板表面から1mmの深さ(以下、表層部ともいう)における硬度を高めることにより向上させることができる。この鋼板表層部における硬さがブリネル硬さで510HBW未満では、岩石破砕装置などで使用される際に十分な耐摩耗性を得ることができない。一方、鋼板表層部におけるブリネル硬さが590HBWを超えると、加工性が劣化する。そのため、本発明では、鋼板表層部における硬さを、ブリネル硬さで510〜590HBWとする。なお、ここで前記硬さは、耐摩耗鋼板の表面から1mmの深さの位置におけるブリネル硬さとする。また、前記ブリネル硬さは、直径10mmのタングステン硬球を使用し、荷重3000kgfで測定した値(HBW 10/3000)とする。
[鋼板の板厚中心部におけるブリネル硬さが前記鋼板の表面から1mmの深さにおけるブリネル硬さの80%以上]
板厚内部の耐摩耗性についても、該鋼板表層部における硬度を高めることにより向上させることができる。板厚内部の硬度がブリネル硬さで表層から1mm深さ位置のブリネル硬さ80%未満では十分な耐摩耗性を得ることができない。一方、板厚内部の硬度は高いほど良いため、上限は特に限定されず、100%であってよい。なお、板厚中心部におけるブリネル硬さと表層から1mm深さ位置のブリネル硬さの比は、耐摩耗鋼板の板厚中心部におけるブリネル硬さと耐摩耗鋼板の表面から1mmの深さの位置におけるブリネル硬さの比とする。また、前記ブリネル硬さは、直径10mmのタングステン硬球を使用し、荷重3000kgfで測定した値(HBW 10/3000)とする。
本発明の耐摩耗鋼板の板厚は特に限定する必要はないが、好ましい板厚は50mm以上である。
[板厚50mm以上]
鋼板の厚みが50mm未満の場合は、合金成分が低くても十分に板厚中心における硬度が高くなるため、本発明によって得られる効果が小さくなる。一方で、岩石破砕装置などに適用される板厚が50mm以上の厚肉の鋼板では、厚肉鋼板の板厚中心部付近に摩耗が進展するまで使用されるのが通例である。このような使途では、板厚中心部まで高い耐摩耗性を確保することが重要であり、本発明はこのような使途のための厚肉鋼板を対象としている。したがって、本発明の耐摩耗鋼の板厚は50mm以上とする。一方、板厚の上限値は特に規定されないが、製造上の観点からは100mm以下とすることが好ましい。
次に、本発明の耐摩耗鋼板の製造方法について説明する。
上記した成分組成を有する鋼素材を加熱し、熱間圧延を施して熱延鋼板とし、該熱延鋼板に、開始温度がAr変態点以上である直接焼入れ、または、開始温度がAc変態点以上である再加熱焼入れを行って耐摩耗鋼板とする。
まず、鋼素材の製造条件は、とくに限定する必要はないが、上記した成分組成を有する溶鋼を、転炉等の公知の溶製方法で溶製し、連続鋳造法等の公知の鋳造方法で、所定寸法のスラブ等の鋼素材とすることが好ましい。なお、造塊−分解圧延法により、所定寸法のスラブ等の鋼素材としてもなんら問題はない。
得られた鋼素材は、冷却することなく直接、あるいは冷却したのち、好ましくは加熱温度:900℃以上1250℃以下に再加熱して、熱間圧延し、所望板厚(肉厚)の鋼板とする。加熱温度が900℃未満では、加熱温度が低すぎて変形抵抗が高くなり、熱間圧延機への負荷が増大し、熱間圧延が困難になる、おそれがある。一方、1250℃を超える高温になると、酸化が著しくなり、酸化ロスが増大し歩留りが低下する、おそれがある。このようなことから、加熱温度は900℃以上1250℃以下にすることが好ましい。なお、より好ましくは950℃以上1150℃以下である。また、圧延終了温度は、熱間圧延機への負荷の観点から、800℃以上950℃以下とすることが好ましい。
次に、熱間圧延後の鋼板は、Ar変態点以上から直接焼入れ処理する。これはオーステナイト状態からの焼入れによってマルテンサイト組織を得るためである。Ar変態点未満の焼入れでは十分に焼きが入らず、硬度が低下し、耐摩耗性が高いミクロ組織は得られない。
Ar変態点は例えば、
Ar(℃)=910−273×C−74×Mn−57×Ni−16×Cr−9×Mo−5×Cu(各元素は含有量(質量%))
で求めることが可能である。
また、熱間圧延の終了後直ちに焼入れることに代えて、熱間圧延終了後放冷したのち、Ac変態点以上の温度に再加熱し焼入れ処理を行ってもよい。これは、オーステナイト状態からの焼入れによってマルテンサイト組織を得るためである。Ac変態点未満からの焼入れでは十分に焼きが入らず硬度が低下し、耐摩耗性が高いミクロ組織は得られない。
Ac点は例えば、
Ac(℃)=912.0−230.5×C+31.6×Si−20.4×Mn−39.8×Cu−18.1×Ni−14.8×Cr+16.8×Mo(各元素は含有量(質量%))
で求めることが可能である。
ここで、直接焼入れ処理および再加熱焼入れ処理における冷却速度は、マルテンサイト相が形成される冷却速度であればとくに限定されない。この冷却速度としては、例えば5℃/s以上200℃/s以下が好ましい範囲である。また、冷却の停止温度は、Mf点以下とすることが好ましく、より好ましくは200℃以下である。
Mf点はたとえば、
Mf(℃)=410.5−407.3×C−7.3×Si−37.8×Mn−20.5×Cu−19.5×Ni−19.8×Cr−4.5×Mo(各元素は含有量(質量%))
で求めることが可能である。
表1に示す成分組成の溶鋼を溶製し、鋼素材(スラブ)とした。これら鋼素材(スラブ)に、表2に示す条件での加熱温度、圧延終了温度での熱間圧延を施し、表2に示す板厚の熱延板とした。一部の熱延板には、熱間圧延終了後、直ちに焼入れる直接焼入れ処理を施した。また、残りの熱延板は、熱間圧延後放冷し、再加熱したのち焼入れる再加熱焼入れ処理を施した。
得られた鋼板について、表面から1mmの深さ(表層部)および板厚中心のミクロ組織分率の測定、表層部および板厚中心の硬さ試験および耐摩耗性の評価を実施した。各試験方法は次の通りである。
[表層部および板厚中心のミクロ組織分率の測定]
鋼板の耐摩耗性は、主に表層部分の硬度によって決まる。そのため、表面から1mmの深さの位置が観察面となるように、得られた各鋼板からサンプルを採取した。前記サンプルの表面を鏡面研磨し、さらにナイタール腐食した後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10mm×10mmの範囲を撮影した。撮影された像について画像解析装置を用いて解析することによってミクロ組織の分率を求め、その値を本発明におけるミクロ組織の体積率とした。さらに、板厚中心のミクロ組織は、鋼板中央の深さの位置が観察面となるように、得られた各鋼板からサンプルを採取した。前記サンプルの鋼板中央を鏡面研磨し、さらにナイタール腐食した後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10mm×10mmの範囲を撮影した。撮影された像について画像解析装置を用いて解析することによってミクロ組織の分率を求め、その値を本発明におけるミクロ組織の体積率とした。
[表層部および板厚中心の硬さ]
得られた鋼板から、硬さ測定用試験片を採取し、JIS Z 2243(1998)の規定に準拠して、表面から板厚方向に1mm深さの位置のブリネル硬さを測定した。なお、製造後の鋼板の表面に残存するスケールおよび脱炭層の影響を除くために、表面から1mm厚さ分を研削除去し、この研削後の表面から1mm深さの面で表面硬さを測定した。さらに、板厚中心の硬さは、板厚中央まで研削除去して。なお、測定に際しては、直径10mmのタングステン硬球を使用し、荷重は3000kgfとした。
[表層部および板厚中心の耐摩耗性]
表層部1mmおよび板厚中心を評価面とした試験片をそれぞれ作製し、ASTM G65の規定に準拠して、ラバーホイール摩耗試験を実施した。試験後、試験片の摩耗量を測定し、軟鋼(SS400)板の摩耗量を基準(1.0)として、耐摩耗比=(軟鋼板の摩耗量)/(各鋼板の摩耗量)で評価した。耐摩耗比が大きいほど、耐摩耗性に優れていることを意味し、表層部で耐摩耗比:3.3以上、板厚中心で耐摩耗比:2.5以上であれば、耐摩耗に優れていると判断した。
かくして得られた結果を表2に併記する。
表1および2からわかるように、発明例は鋼板表面から1mmの深さにおけるブリネル硬さで510〜590HBW10/3000であり、表層部の耐摩耗性は3.3以上であり、内部硬度と表層硬度の比は80%以上となっており、鋼板内部の耐摩耗比が2.5以上となっている内部の耐摩耗性に優れた厚肉高硬度耐摩耗鋼板となっている。
一方、比較例に相当する鋼板No.4、5、6、10、11,12、16、17は製造条件が本発明条件に適合しておらず、表層硬さあるいはマルテンサイト組織分率あるいは表層の耐摩耗比、内部のマルテンサイト+ベイナイト組織分率あるいは内部の耐摩耗比が発明例と異なっている。また、比較例に相当する鋼板No.25では、炭素量が低く表層の硬さが発明例と比較して不足しており、板厚内部の硬さも発明例と比較して不足している。さらに、炭素量が高い鋼板No.26では、表面から1mmの深さにおけるブリネル硬さが490HBW10/3000を超えている。

Claims (8)

  1. 質量%で、
    C:0.27%以上0.37%以下、
    Si:0.05%以上1.00%以下、
    Mn:0.10%以上1.30%以下、
    P:0.050%以下、
    S:0.050%以下、
    Al:0.050%以下、
    Cr:0.05%以上1.00%以下、
    N:0.0100%以下および
    O:0.0100%以下
    を、次式(1)を満足する範囲にて含み、残部Feおよび不可避的不純物の成分組成を有し、
    鋼板の表面から1mmの深さにおけるマルテンサイトの体積率が95%以上、かつ前記鋼板の板厚中心部におけるマルテンサイトおよびベイナイトの合計体積率が95%以上である組織を有し、
    前記鋼板の表面から1mmの深さにおけるブリネル硬さが510〜590HBW10/3000、かつ前記鋼板の板厚中心部におけるブリネル硬さが前記鋼板の表面から1mmの深さにおけるブリネル硬さの80%以上であり、板厚が50mm以上である、耐摩耗鋼板。
    exp{33.85×(0.1×C)0.5×(0.7×Si+1)×(3.33×Mn+1)×(0.35×Cu+1)×(0.36×Ni+1)×(2.16×Cr+1)×(3×Mo+1)×(1.75×V+1)×(1.5×W+1)+930}/250 ≧t
    …(1)
    ただし、上式(1)中の元素記号は各元素の含有量(質量%)であり、含有のない元素の含有量は0とする。また、上式(1)中のtは前記鋼板の板厚(mm)である。
  2. 前記成分組成はさらに、質量%で、
    Cu:0.01%以上3.00%以下、
    Ni:0.01%以上3.00%以下、
    Mo:0.01%以上3.00%以下、
    V:0.01%以上1.00%以下、
    W:0.01%以上1.00%以下および
    Co:0.01%以上1.00%以下
    のうちから選ばれる1種以上を含有する請求項1に記載の耐摩耗鋼板。
  3. 前記成分組成はさらに、質量%で、
    Nb:0.005%以上0.100%以下、
    Ti:0.005%以上0.100%以下および
    B:0.0001%以上0.0100%以下
    のうちから選ばれる1種以上を含有する請求項1または2に記載の耐摩耗鋼板。
  4. 前記成分組成はさらに、質量%で、
    Ca:0.0005%以上0.0200%以下、
    Mg:0.0005%以上0.0200%以下および
    REM:0.0005%以上0.0200%以下
    のうちから選ばれる1種以上を含有する請求項1から3のいずれかに記載の耐摩耗鋼板。
  5. 質量%で、
    C:0.27%以上0.37%以下、
    Si:0.05%以上1.00%以下、
    Mn:0.10%以上1.30%以下、
    P:0.050%以下、
    S:0.050%以下、
    Al:0.050%以下、
    Cr:0.05%以上1.00%以下、
    N:0.0100%以下および
    O:0.0100%以下
    を、次式(1)式を満足する範囲にて含み、残部Feおよび不可避的不純物の成分組成を有する鋼素材に熱間圧延を施して熱延鋼板とし、該熱延鋼板に、開始温度がAr変態点以上である直接焼入れ、または、開始温度がAc変態点以上である再加熱焼入れを行う耐摩耗鋼板の製造方法。
    exp{33.85×(0.1×C)0.5×(0.7×Si+1)×(3.33×Mn+1)×(0.35×Cu+1)×(0.36×Ni+1)×(2.16×Cr+1)×(3×Mo+1)×(1.75×V+1)×(1.5×W+1)+930}/250 ≧t
    …(1)
    ただし、上式(1)中の元素記号は各元素の含有量(質量%)であり、含有のない元素の含有量は0とする。また、上式(1)中のtは鋼板の板厚(mm)である。
  6. 前記成分組成はさらに、質量%で、
    Cu:0.01%以上3.00%以下、
    Ni:0.01%以上3.00%以下、
    Mo:0.01%以上3.00%以下、
    V:0.01%以上1.00%以下、
    W:0.01%以上1.00%以下および
    Co:0.01%以上1.00%以下
    のうちから選ばれる1種以上を含有する請求項5に記載の耐摩耗鋼板の製造方法。
  7. 前記成分組成はさらに、質量%で、
    Nb:0.005%以上0.100%以下、
    Ti:0.005%以上0.100%以下および
    B:0.0001%以上0.0100%以下
    のうちから選ばれる1種以上を含有する請求項5または6に記載の耐摩耗鋼板の製造方法。
  8. 前記成分組成はさらに、質量%で、
    Ca:0.0005%以上0.0200%以下、
    Mg:0.0005%以上0.0200%以下および
    REM:0.0005%以上0.0200%以下
    のうちから選ばれる1種以上を含有する請求項5から7のいずれかに記載の耐摩耗鋼板の製造方法。
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