[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図4を用いて説明する。
図1は、第1実施形態の塗布容器1の断面図である。図2は、塗布栓9が計量位置にあるときの塗布容器1の要部の断面図である。図3は、塗布栓9が塗布位置にあるときの塗布容器1の要部の断面図である。図4は、貯液部材45の平面図である。なお、図4では、貯液部材45を中心に示しているが、貯液部材45の各部と塗布筒40の第3連通孔43との位置関係を示すため、第3連通孔43の位置も合わせて図示している。また、図1〜図3の断面図は、図4のI−I線に沿った位置での断面に相当する。
本実施形態の塗布容器1には、例えば使用者の頭皮や皮膚等の被塗布部S(図3参照)に塗布される育毛剤や薬液等の内容物が収容される。使用者は、図1に示すオーバーキャップ10を取り外した後、塗布容器1を倒立させ、被塗布部Sに押し当てて内容物を塗布する。
図1に示すように、塗布容器1は、被塗布部Sに塗布する内容物が収容される容器本体2と、容器本体2の口部3に装着され、容器本体2内に連通する第1連通孔5が形成された中栓部材4と、中栓部材4との間に、第1連通孔5を通して容器本体2内に連通する計量室6を形成するとともに、計量室6に連通する第2連通孔8が頂部に形成された計量筒部材7と、計量室6に設けられた塗布栓9と、塗布栓9に取り付けられた塗布体39と、容器本体2の口部3に着脱自在に装着されて塗布体39を覆うオーバーキャップ10と、を備えている。
容器本体2の口部3、計量筒部材7、およびオーバーキャップ10のそれぞれの中心軸線は、共通軸上に配置されている。以下、この共通軸を容器軸Oと称し、容器軸O方向に沿う容器本体2の底部側(図1における下側)を下側、容器軸O方向に沿う容器本体2の口部3側(図1における上側)を上側と称する。また、容器軸O方向から見た平面視で容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向と称する。
容器本体2の口部3は、容器本体2のうち、口部3以外の部分よりも小径とされている。口部3の外周面には雄ねじ部が形成されている。雄ねじ部3sは、例えば二条ねじであってもよい。図2に示すように、口部3の上端部3aの外径は、口部3のうち、上端部3aより下方に位置する部分の外径よりも小さく、上端部3aの外周面には、径方向の外側に突出するとともに周方向に延びる環状または円弧状の突起3tが形成されている。
図2に示すように、中栓部材4は、容器本体2の口部3内に配設された有底筒状のシリンダ筒12と、シリンダ筒12の底壁から上方に向けて突出した支持体11と、シリンダ筒12の径方向の外側に配置されるとともに、容器本体2の口部3内に嵌合した主嵌合筒13と、主嵌合筒13の上部を径方向の外側から囲繞するとともに主嵌合筒13に連結された外嵌合筒17と、を有している。主嵌合筒13の下端とシリンダ筒12の上端とが接続壁14を介して接続されている。なお、本実施形態では、中栓部材4のシリンダ筒12、支持体11、主嵌合筒13、および外嵌合筒17は、一体に形成されている。
支持体11は、容器軸Oと同軸に配置されて上方に向かって延在する案内軸11aと、シリンダ筒12の底壁から連続して形成され、案内軸11aの下端部から径方向の外側に向けて突出するとともに容器軸O方向に延びる規制部11bと、を備えている。
案内軸11aは、シリンダ筒12における径方向の内側に配置され、案内軸11aの上端部は、主嵌合筒13よりも上側に突出している。規制部11bは、案内軸11aの下端部に連続する有頂筒状に形成されている。規制部11bは、シリンダ筒12の底壁の上面に連続して形成されている。規制部11bは、シリンダ筒12の底壁および案内軸11aと一体に連結されている。規制部11bの上端縁は、シリンダ筒12の上端よりも下側に位置している。
シリンダ筒12は、容器軸Oと同軸に配置されている。シリンダ筒12には、周方向に互いに間隔をあけて複数個所に第1連通孔5が形成され、シリンダ筒12内は、複数の第1連通孔5を通して容器本体2内に連通している。第1連通孔5は、シリンダ筒12における周壁および底壁にわたって一体に形成されている。なお、第1連通孔5の数は特に限定されない。
規制部11bは、シリンダ筒12の底壁における第1連通孔5の開口内縁部に配置され、第1連通孔5の内周面のうち、径方向の内側に位置して径方向の外側を向く面、および規制部11bの表面のうち、径方向の外側を向く面のそれぞれの径方向の位置が互いに同等になっている。なお、第1連通孔5の内周面のうち、シリンダ筒12の周壁に位置して下方を向く面は、規制部11bの上端縁よりも下側に位置している。シリンダ筒12の周壁の内周面のうち、第1連通孔5より上側に位置する部分には、塗布栓9の下端部が上下摺動可能に嵌合する。
主嵌合筒13のうち、容器本体2の口部3より上方に位置する上部の外径は、容器本体2の口部3の内径と比べて同等またはわずかに小さくなっている。主嵌合筒13のうち、シリンダ筒12と接続された接続壁14に近い下部の外周面と、容器本体2の口部3の内周面と、の間に径方向にわずかな隙間が設けられている。
外嵌合筒17は、主嵌合筒13の上部に連結され、その下端縁が容器本体2の口部3の上端開口縁に当接している。外嵌合筒17の外周面には、径方向の外側に向けて突出するとともに周方向に延びる環状または円弧状の突起17aが形成されている。
計量筒部材7は、容器本体2の口部3に装着された装着筒部18と、装着筒部18より上側に位置して内側が第2連通孔8とされた筒状の頂部19と、装着筒部18と頂部19との間に位置してこれら装着筒部18と頂部19とを互いに連結する連結筒部20と、を有している。図示の例では、計量筒部材7は下側から上側へ向かって、装着筒部18、連結筒部20、および頂部19の順に段階的に縮径している。
装着筒部18は、容器本体2の口部3の上端部、および中栓部材4の外嵌合筒17に嵌合している。装着筒部18の内周面には、径方向の内側に向けて突出するとともに周方向に延びる環状または円弧状の突起18a,18bが、容器軸O方向に間隔をおいて2つ形成されている。これら2つの突起18a,18bのうち、下側に位置する突起18bは、口部3の突起3tにアンダーカット嵌合し、上側に位置する突起18aは、外嵌合筒17の突起17aにアンダーカット嵌合している。
装着筒部18と連結筒部20との接合部の内周面は、外嵌合筒17の上端に、上側から当接している。連結筒部20の内周面には、下方に向けて突出するとともに、中栓部材4の外嵌合筒17と主嵌合筒13の上部との間に挿入された筒状部21が形成されている。筒状部21は、主嵌合筒13および外嵌合筒17のうちの少なくとも一方に嵌合し、計量室6における中栓部材4と計量筒部材7との連結部の液密性を確保している。
連結筒部20は、装着筒部18から頂部19に向けて傾斜した傾斜面を有する円錐台の筒状をなしている。頂部19は、連結筒部20の上端から上方に向けて円筒状に突出している。本実施形態では、計量筒部材7の連結筒部20と、中栓部材4における主嵌合筒13、およびシリンダ筒12と、により画成される空間が計量室6とされている。
塗布栓9は、第2連通孔8と計量室6との連通を遮断し、かつ、計量室6と第1連通孔5とを連通させる計量位置(例えば図2に示す位置)と、計量位置よりも下側(容器軸O方向に沿う容器本体2の底部側)に位置するとともに、計量室6と第1連通孔5との連通を遮断し、かつ、第2連通孔8と計量室6とを連通させる塗布位置(例えば図1および図3に示す位置)と、の間を容器軸O方向(上下方向)に移動自在に配設されている。なお、ここで言う「連通させる」とは、「連通する、または連通可能な状態とする」の両方の意味を含む。
図3の例では、塗布栓9が塗布位置に位置した状態で、計量室6の内容物は、後述する塗布体39(後述する取付筒部41)の外周面と、第2連通孔8の内周面と、の間の隙間、および後述する第3連通孔43を通して、後述する貯液部材45の貯液空間Cに流入した後、吐出孔46を通して吐出可能とされている。
塗布栓9は、計量筒部材7内に配設されたシール筒24と、シール筒24の容器軸O方向の中間部に連結され、シール筒24の周壁部により径方向の外側から囲繞された有頂筒状の外挿筒25と、外挿筒25の天壁部に立設された棒状の先端部26と、を有している。シール筒24、外挿筒25、および先端部26は、容器軸Oと同軸に配置されるとともに、一体に形成されている。
シール筒24の上部は、図2に示す塗布栓9の計量位置において、第2連通孔8の内側に摺動自在に嵌合しており、第2連通孔8と計量室6との連通を遮断している。シール筒24の下端部は、図3に示す塗布栓9の塗布位置において、シリンダ筒12の周壁部の内側に摺動自在に嵌合している。本実施形態では、シール筒24のうち、上端部24aおよび下端部24bの厚さは、他の部分の厚さより薄くなっている。また、シール筒24の上端部24aは、上方に向かうに従って漸次、拡径し、シール筒24の下端部24bは、下方に向かうに従って漸次、拡径している。
シール筒24は、塗布栓9が図3に示す塗布位置にあるときに、シリンダ筒12内に嵌合し、計量室6と第1連通孔5との連通を遮断する一方、塗布栓9が図2に示す計量位置にあるときには、シリンダ筒12内から上方に離脱し、計量室6と第1連通孔5とを連通させる。
シール筒24は、径方向の外側に向けて突出するストッパー突起24tを備える。ストッパー突起24tは、シール筒24の外周面における容器軸O方向の中間部に形成されている。本実施形態では、ストッパー突起24tは、シール筒24と外挿筒25との連結部よりもわずかに上方に形成されている。ストッパー突起24tは、シール筒24の外周面のうち、ストッパー突起24tの上方および下方に連なる部分に対して径方向外側に突出し、全周にわたって延びる環状の突起から構成されている。
図2に示すように、ストッパー突起24tは、塗布栓9が計量位置にあるときに、計量筒部材7内における第2連通孔8の開口周縁部に対して、下側から当接する。図示の例では、ストッパー突起24tは、計量筒部材7のうち連結筒部20の上部の内周縁部に対して、下側から当接している。このように、塗布栓9が計量位置にある状態では、塗布栓9のストッパー突起24tが、計量筒部材7における第2連通孔8の開口周縁部に下側から当接することで、仮に計量室6に対して塗布栓9を上側へ移動させる向きの外力が作用したとしても、計量位置に位置した塗布栓9がそれ以上上方に向けて移動することが規制される。
外挿筒25は、中栓部材4の案内軸11aに外挿されている。言い換えると、外挿筒25の内側には、案内軸11aが容器軸O方向に相対移動自在に挿入されている。図示の例では、外挿筒25の下端部は、シール筒24の下端部24bよりも上側に位置している。
図3に示すように、塗布栓9の塗布位置において、外挿筒25の下端開口縁は、支持体11の規制部11bの上端縁と当接し、支持体11の規制部11bによって容器本体2側から支持されている。これにより、塗布位置に位置した塗布栓9がそれ以上、容器本体2側に向けて移動することが規制される。このとき、支持体11の案内軸11aの先端部と塗布栓9の外挿筒25の天壁部との間に、容器軸O方向に隙間が設けられている。なお、この構成に代えて、案内軸11aの先端部と外挿筒25の天壁部とを互いに当接させることによって、塗布栓9の容器本体2側への移動を規制してもよい。
図2に示すように、先端部26の上部の外径は、先端部26の下部の外径よりも大きくなっている。すなわち、先端部26の上部は下部に対して拡径しており、先端部26の容器軸O方向の中間部には環状の段部26dが形成されている。段部26dには、後述する塗布体39の取付筒部41の内周面に形成された係合突部41aが、アンダーカット嵌合されている。また、先端部26の上端の周縁には、上端側に向かって縮径したテーパ面が形成されている。
塗布栓9は、図2に示す計量位置にあるときに、先端部26の略全体が第2連通孔8から計量筒部材7の外部に突出する一方、図3に示す塗布位置にあるときには、先端部26の多くの部分が計量筒部材7の内部に位置する。
図1に示すように、オーバーキャップ10は、有頂筒状をなしており、周壁29の下部における内周面に、口部3の雄ねじ部3sに螺着する雌ねじ部29sが形成されている。雌ねじ部29sは、例えば二条ねじであってもよい。なお、オーバーキャップ10は、口部3に着脱可能に螺着される構成に代えて、例えば、オーバーキャップ10の平滑な内周面に口部3の平滑な外周面が着脱可能に嵌合したり、あるいは、オーバーキャップ10が口部3に着脱可能にアンダーカット嵌合したりする等の構成に、適宜変更してもよい。また、オーバーキャップ10は、口部3に装着される構成に代えて、例えば、計量筒部材7に装着される構成としてもよい。
オーバーキャップ10は、周壁29を径方向の外側から囲繞する外筒30を備えている。外筒30と容器本体2の胴部2bとのそれぞれにおける外径は、互いに同等となっている。オーバーキャップ10の天壁には、下方に向けて突出するとともに、下端部に、塗布体39を径方向の外側から囲繞する引き上げ筒31が形成されている。引き上げ筒31は、塗布体39に離脱可能に外嵌されている。引き上げ筒31の内周面には、径方向の内側に向けて突出するとともに周方向に延びる環状または円弧状の引き上げ突起31tが形成されている。なお、引き上げ筒31は、計量筒部材7の頂部19より上方に位置してもよい。
引き上げ突起31tは、塗布体39の後述する被覆筒部42における外周面に形成された被係合部42bにアンダーカット嵌合されている。これにより、オーバーキャップ10の、口部3および計量筒部材7に対する上昇移動に伴って、塗布体39および塗布栓9が引き上げ筒31によって引き上げられ、塗布栓9が計量位置に位置する。
オーバーキャップ10は、塗布体39の貯液部材45にその上方から当接する当接部27を備えている。当接部27は、オーバーキャップ10の天壁から下方に向けて突出している。当接部27は、オーバーキャップ10の天壁において、引き上げ筒31の内側に位置する部分に形成されている。
図2に示すように、塗布体39は、塗布栓9に取り付けられ、塗布位置において計量室6に連通する第3連通孔43が頂部に形成された塗布筒40と、塗布筒40の上部に取り付けられ、塗布位置において塗布筒40との間に、第3連通孔43を通して計量室6に連通する貯液空間Cを形成するとともに、頂部に吐出孔46が形成され、弾性変形可能な軟材質から構成された貯液部材45と、を備えている。塗布体39は容器軸Oと同軸に配置されている。
塗布筒40は、塗布栓9の先端部26に取付けられた取付筒部41と、塗布栓9が塗布位置に位置する際に、計量筒部材7の頂部19に外嵌されるとともに、天壁部42Aを有する有頂筒状の被覆筒部42と、を備えている。取付筒部41は、被覆筒部42の天壁部42Aから下側に向けて延びている。取付筒部41と被覆筒部42とは、それぞれ容器軸Oと同軸に配置されている。取付筒部41と被覆筒部42とは、一体に形成されている。
取付筒部41の外周面は、第2連通孔8の内周面と径方向に隙間をあけて対向している。これにより、塗布栓9が塗布位置にあるときに、計量室6内の内容物は、この隙間を通り、さらに第3連通孔43を通って貯液部材45の貯液空間Cに流入する。取付筒部41の内部には、塗布栓9の先端部26および外挿筒25の上部が挿入されている。取付筒部41の下部は、塗布栓9のシール筒24の上部と外挿筒25の上部との間の隙間に挿入されている。
取付筒部41の内周面には、径方向内側に突出し、先端部26の段部26dにアンダーカット嵌合する環状の係合突部41aが形成されている。係合突部41aは、先端部26の段部26dと外挿筒25の天壁部上面25aとの間の凹部に係合している。これにより、塗布体39は、塗布栓9の容器軸O方向の移動に伴って、塗布栓9とともに容器軸O方向(上下方向)に移動する。
被覆筒部42は、天壁部42Aと、天壁部42Aの周縁から下方に垂設された周壁部42Bと、を有している。塗布栓9が塗布位置にあるときに、周壁部42Bは、計量筒部材7の頂部19を径方向の外側から囲繞し、天壁部42Aは、第2連通孔8の上部開口を外側から覆っている。図3の例では、周壁部42Bは、計量筒部材7の頂部19に密に外嵌されており、塗布位置において、取付筒部41の外周面と第2連通孔8の内周面との間の隙間と、計量室6と、は、互いに連通した空間となる。
天壁部42Aの外径は、計量筒部材7の頂部19の外径よりも大きくなっている。天壁部42Aは、上面および下面が容器軸Oと直交する平板状に形成されている。天壁部42Aの上面は、容器軸O方向において塗布栓9の先端部26の上面と略同じ位置にあり、天壁部42Aの下面は、塗布位置において、計量筒部材7の頂部19の上端開口縁と当接している。なお、塗布位置において、外挿筒25の下端開口縁が規制部11bの上端縁に当接する、と先に説明したが、この外挿筒25と規制部11bとの当接、上記の天壁部42Aと頂部19との当接、の少なくとも一方があれば、計量位置から塗布位置への移動にとって問題ない。
第3連通孔43は、被覆筒部42の天壁部42Aを上下方向に貫通して形成されている。図4に示すように、第3連通孔43は、天壁部42Aに容器軸Oを中心とする同心円状に、周方向に等しい間隔をあけて複数形成されている。図4の例では、5つの第3連通孔43が形成されている。なお、第3連通孔43の数は、5つに限らず、適宜変更が可能である。第3連通孔43の内径は、貯液空間Cに面する上方側から下方側に向けて縮径している。
図2に示すように、被覆筒部42の天壁部42Aと周壁部42Bとの角部には、径方向の外側へ向けて突出するとともに全周にわたって延びる環状または円弧状の係合突部42tが形成されている。
貯液部材45は、塗布筒40の上部に取り付けられ、塗布位置において塗布筒40との間に、第3連通孔43を通して計量室6に連通する貯液空間Cを形成するとともに、頂部(貯液空間Cの頂部)に吐出孔46が形成され、弾性変形可能な軟材質から構成されている。貯液部材45は、頂壁部45Aと、頂壁部45Aの周縁から下方に垂設された筒状の周壁部45Bと、頂壁部45Aに形成された半球状のドーム部47と、を有している。なお、頂壁部45Aは、被覆筒部42の天壁部42Aに当接している。
周壁部45Bは、内周面が被覆筒部42の周壁部42Bの外周面に当接し、塗布筒40の周壁部42Bの上部を径方向外側から覆っている。周壁部45Bの内周面の下端には、径方向の内側に向かって突出し、被覆筒部42の係合突部42tとアンダーカット嵌合する環状の係合突部45cが形成されている。
ドーム部47は、頂壁部45Aから上方に膨出する半球殻状の形状をなし、頂壁部45Aと一体に、頂壁部45Aよりも薄い肉厚で形成されている。図4に示すように、ドーム部47は、頂壁部45Aに、容器軸Oを中心とする同心円状に、周方向に等しい間隔をあけて複数形成されている。図4の例では、3つのドーム部47が形成されている。ただし、ドーム部47の数および寸法は、特に限定されない。これにより、各ドーム部47の内部に、ドーム部47と塗布筒40の天壁部42Aとによって囲まれた空間が形成され、この空間に第3連通孔43を通して計量室6から流入した内容物が収容される。この空間を貯液空間Cと称する。
図4に示すように、貯液部材45は、3つのドーム部47の貯液空間C同士を連通させる連通溝45vを有している。そのため、3つのドーム部47内の貯液空間Cは連通溝45vを介して互いに連通し、連続した1つの貯液空間Cとなる。平面視において、5つの第3連通孔43のうち、3つの第3連通孔43は、ドーム部47と重なる位置に形成され、2つの第3連通孔43は、連通溝45vと重なる位置に形成されている。
図2に示すように、ドーム部47には、ドーム部47を肉厚方向に貫通する吐出孔46が形成されている。吐出孔46は、貯液空間Cと塗布容器1の外部空間とを連通させる。図4に示すように、この例では、各ドーム部47に1個の吐出孔46が形成されている。なお、各ドーム部47に複数個の吐出孔46が形成されていてもよい。平面視において、吐出孔46は、ドーム部47の平面形状である円の中心からずれた位置に形成されている。言い換えると、図2に示すように、断面視において、吐出孔46は、ドーム部47の頂点から径方向内側に下がった位置に形成されている。また、図4に示すように、平面視において、吐出孔46は、第3連通孔43からずれた位置に形成されている。
貯液部材45に用いる軟材質は、塗布筒40を形成する材質より軟らかい材質であればよく、例えばニトリルゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、エラストマー等のような弾性変形可能なゴム状の材質が用いられる。ただし、これらのゴム状の材質に限定されるものではなく、例えば低密度ポリエチレン等であってもよい。本実施形態では、シリコンゴムによって一体に成形された貯液部材45が用いられる。これにより、貯液部材45、特にドーム部47は、容易に弾性変形可能となっている。なお、本実施形態では、貯液部材45の全体が軟材質で構成されているが、少なくとも被塗布部Sに直接当接するドーム部47が軟材質で構成されていればよい。
以下、本実施形態の塗布容器1の作用について説明する。
図1に示すように、塗布容器1の使用前では、塗布栓9のシール筒24の下端部24bがシリンダ筒12の周壁の内側に嵌合して、計量室6と第1連通孔5との連通が遮断されている。
容器本体2内の内容物を被塗布部Sに塗布する際には、まず、オーバーキャップ10を上側へ移動させて容器本体2の口部3から離脱させ、塗布体39を容器外部に露出させる。ここで、オーバーキャップ10が離脱される際には、引き上げ筒31の引き上げ突起31tが、塗布体39の被覆筒部42における被係合部42bに係合しているため、オーバーキャップ10の上昇に伴って塗布体39と塗布栓9とがともに引き上げられ、図2に示すように、塗布栓9は、計量位置に上昇する。
この際、口部3の雄ねじ部3sとオーバーキャップ10の雌ねじ部29sとが二条ねじである場合、一条ねじである構成と比較して、ねじのリードが大きくなる。このため、オーバーキャップ10の周方向の回転量に対する容器軸O方向の変位量を大きくすることができる。これにより、塗布体39および塗布栓9を速やかに上側に移動させることができるとともに、オーバーキャップ10を容器本体2の口部3から速やかに離脱させることができる。
図2に示すように、オーバーキャップ10の上側への移動に伴って、塗布栓9が計量位置まで上昇すると、塗布栓9のストッパー突起24tが計量筒部材7の連結筒部20の内周面に当接し、また、シール筒24の上端部24aが計量筒部材7の頂部19の内周面に当接する。この状態から、さらに容器本体2の口部3に対してオーバーキャップ10が上側へ移動することで、オーバーキャップ10における引き上げ筒31の引き上げ突起31tが、塗布体39の被覆筒部42における被係合部42bを上方に乗り越えて、オーバーキャップ10が容器本体2および塗布栓9から取り外される。
次いで、塗布栓9が計量位置に位置した状態で、塗布容器1を倒立姿勢にすることによって、容器本体2内の内容物は、第1連通孔5を通して計量室6内に流入する。これにより、計量室6において、所定量の内容物が計量される。
次いで、図3に示すように、塗布体39を被塗布部Sに押し当てると、塗布体39は、塗布栓9とともに塗布位置に向けて移動する。この過程において、外挿筒25が中栓部材4の規制部11bに突き当たるとともに、シール筒24の下端部24bがシリンダ筒12の内周面に当接する。
これにより、塗布容器1では、計量室6と第1連通孔5との連通が遮断されるとともに第2連通孔8と計量室6とが連通し、計量室6内の内容物は、第2連通孔8の内周面と塗布筒40の取付筒部41の外周面との間の隙間、および第3連通孔43を通して、貯液部材45の貯液空間C内に流入する。さらに、塗布体39を被塗布部Sに押し当てることにより、貯液部材45のドーム部47が弾性変形し、貯液空間C内の内容物は、加圧されて吐出孔46から吐出される。このようにして、使用者は、塗布容器1の内容物を被塗布部Sに塗布することができる。
塗布が終わった後は、オーバーキャップ10の引き上げ筒31の内部に、塗布体39を挿入しつつ、引き上げ筒31の引き上げ突起31tを被覆筒部42の被係合部42bに被係合部42bの上方から当接させた状態で、オーバーキャップ10の雌ねじ部29sを容器本体2の口部3の雄ねじ部3sに螺合することによって、引き上げ突起31tを被係合部42bの下方に乗り越えさせ、オーバーキャップ10を容器本体2の口部3に装着する。
以上説明したように、本実施形態の塗布容器1によれば、使用者が塗布体39を例えば頭皮等の被塗布部Sに押し当てることにより、吐出孔46から内容物を吐出させ、被塗布部Sに塗布する。このとき、被塗布部Sに押し当てる貯液部材45が弾性変形可能な軟材質から構成されているため、被塗布部Sに及ぼされる衝撃および外力が緩和されて柔らかい感触が得られ、使用者の不快感を低減することができる。
また、計量室6内の内容物が貯液空間Cに流入した後、貯液部材45の弾性変形によって貯液空間C内の内容物が加圧され、強制的な空気置換が生じることによって、内容物が吐出孔46から吐出される。そのため、本実施形態の塗布容器1によれば、内容物を少量ずつ確実に塗布することができる。
また、本実施形態においては、貯液部材45が略半球状の貯液空間Cを形成するドーム部47を備えているため、ドーム部47の数、寸法、形状、肉厚等の設計変更により貯液量および弾性変形量を調整することができる。これにより、内容物の吐出量や被塗布部に対する触感を調整することができる。
また、本実施形態においては、平面視において吐出孔46が第3連通孔43からずれた位置に形成されており、第3連通孔43から流入した内容物の流れ方向の延長線上に吐出孔46が位置していない。そのため、内容物が貯液空間C内に満たされやすく、予期せぬ内容物の流出を抑制できる。
また、本実施形態においては、塗布筒40の被覆筒部42が、第2連通孔8を計量室6の外部から覆っているため、貯液部材45を被塗布部Sに押し当てて、被塗布部Sに内容物を塗布する際に、被塗布部S上の例えば毛髪等が第2連通孔8内に進入するのを防ぐことができる。これにより、第2連通孔8の内周面と取付筒部41の外周面との間に毛髪等が挟まれるのを防ぐことができる。
さらに、塗布体39は天壁部42Aおよび周壁部42Bを有する被覆筒部42を備えているため、塗布栓9が塗布位置に位置する際に、第2連通孔8の上部開口を被覆筒部42の天壁部42Aのみならず、周壁部42Bでも囲うことが可能になる。これにより、第2連通孔8の上部開口を簡易な構成で確実に覆うことができる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図5〜図7を用いて説明する。
第2実施形態の塗布容器の基本構成は第1実施形態と同様であり、貯液部材の構成が第1実施形態と異なる。そのため、本実施形態では、塗布容器の全体の説明は省略する。
図5は、第2実施形態の塗布容器51において、塗布栓9が計量位置にあるときの塗布容器51の要部の断面図である。図6は、塗布栓9が塗布位置にあるときの塗布容器51の要部の断面図である。図7は、貯液部材53の平面図である。
図7では、第1実施形態の図4と同様、第3連通孔43の位置も合わせて図示している。また、図5および図6の断面図は、図7のI−I線に沿った位置での断面に相当する。
図5〜図7において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
図5および図6に示すように、本実施形態の塗布容器51は、容器本体2と、中栓部材4と、計量筒部材7と、塗布栓9と、塗布体52と、オーバーキャップ10(図示略)と、を備えている。塗布体52は、塗布筒40と、貯液部材53と、を備えている。
貯液部材53は、塗布筒40の上部に取り付けられ、塗布位置において塗布筒40との間に、第3連通孔43を通して計量室6に連通する貯液空間Cを形成するとともに、頂部に吐出孔46が形成され、弾性変形可能な軟材質から構成されている。貯液部材53は、頂壁部53Aと、頂壁部53Aの周縁から下方に垂設された筒状の周壁部53Bと、頂壁部53Aの周方向に沿って上方に膨出する環状のドーム部54と、を有している。
周壁部53Bは、内周面が塗布筒40の周壁部42Bの上部外周面に当接し、塗布筒40の周壁部42Bの上部を径方向の外側から覆っている。周壁部53Bの内周面には、径方向の内側に向かって突出し、塗布筒40の被係合部42bとアンダーカット嵌合する環状の係合突部53cが形成されている。
ドーム部54は、頂壁部53Aから上方に膨出した形状をなし、頂壁部53Aと一体に、頂壁部53Aよりも薄い肉厚で形成されている。図7に示すように、ドーム部54は、平面視において、容器軸Oを中心とする同心円上に環状に形成されている。
図5に示すように、ドーム部54は、軸方向に沿った断面視において、半円形をなしている。また、頂壁部53Aは、塗布筒40の天壁部42Aの上面および塗布栓9の先端部26の上面から離間して上方に位置している。これにより、貯液部材53と塗布筒40の天壁部42Aおよび塗布栓9の先端部26とによって囲まれ、外周縁が上方に膨出した円板状の貯液空間Cが形成され、貯液空間Cに第3連通孔43を通して計量室6から流入した内容物が収容される。なお、頂壁部53Aは、被覆筒部42の天壁部42Aに当接するように構成してもよい。
図7に示すように、平面視において、5個の第3連通孔43は、ドーム部54と重なる位置に形成されている。ドーム部54には、ドーム部54を肉厚方向に貫通し、貯液空間Cと塗布容器51の外部空間とを連通させる複数の吐出孔46が形成されている。本実施形態では、3個の吐出孔46が周方向に沿って等間隔をおいて形成されている。なお、吐出孔46の数は特に限定されない。また、3個の吐出孔46は、5個の第3連通孔43が並ぶ円よりも内側に位置する同心円上に形成されている。すなわち、平面視において、吐出孔46は、第3連通孔43からずれた位置に形成されており、第3連通孔43よりも容器軸Oに近い位置に配置されている。
さらに本実施形態の場合、貯液部材53は、貯液空間Cの内部において下方に突出し、ドーム部54の弾性変形量を規制する複数の支持脚部55をさらに備えている。図5に示すように、支持脚部55は、ドーム部54の頂部内面から貯液空間Cの内部において下方に突出してドーム部54と一体に形成されている。支持脚部55は、断面視においてテーパ形状を有し、支持脚部55の下面の面積は、ドーム部54に連続する支持脚部55の上面の面積よりも小さくなっている。なお、頂壁部53Aに支持脚部55を設けてもよい。
図7に示すように、本実施形態では、3個の支持脚部55が周方向に沿って等間隔をおいて形成されている。なお、支持脚部55の数は特に限定されない。また、各支持脚部55は、各吐出孔46からずれた位置に形成されている。
塗布容器51のその他の構成は、第1実施形態の塗布容器1の構成と同様である。
本実施形態の塗布容器51においても、内容物を塗布する際に使用者の不快感を低減することができる、内容物を少量ずつ確実に塗布することができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、本実施形態においても、ドーム部54の寸法、形状、肉厚等の設計変更により貯液量および弾性変形量を調整することができるため、内容物の吐出量や被塗布部に対する触感を調整することができる。
さらに、本実施形態においては、貯液部材53が複数の支持脚部55を備えているため、図5に示すように、塗布栓9が計量位置にある状態、すなわち、貯液部材53に外力が加わっていない状態では、貯液部材53の弾性変形が生じることなく、支持脚部55は、塗布筒40の天壁部42Aから離間している。これに対して、図6に示すように、塗布栓9が塗布位置にあって被塗布部Sに押し付けている状態、すなわち、貯液部材53に外力が加わった状態では、貯液部材53の弾性変形が生じ、支持脚部55は、塗布筒40の天壁部42Aに当接する。したがって、ドーム部54は、図5に示す位置から、図6に示す支持脚部55が塗布筒40の天壁部42Aに当接する位置までは弾性変形するが、それ以上は弾性変形しない。
このように、複数の支持脚部55によってドーム部54の弾性変形量が規制されるため、内容物の吐出量が必要以上に多くならないように調整することができる。また、ドーム部54のうち、支持脚部55が形成された部分が適度な硬さで頭皮等の被塗布部Sに当接することにより、マッサージ効果を付与することができる。また、支持脚部55の寸法、形状等を変更することにより、内容物の吐出量を調整することができる。
また、本実施形態においては、平面視において支持脚部55が吐出孔46からずれた位置に形成されているため、貯液部材53を製造する際に、貯液部材53の肉厚が薄い領域に吐出孔46を容易に形成することができる。
なお、本実施形態の支持脚部55は、第1実施形態における半球状のドーム部47を有する貯液部材45に形成されていてもよい。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態では、塗布筒40が取付筒部41および被覆筒部42を備えた構成を示したが、この構成に限定されない。塗布体39は、例えば取付筒部41を備えていなくてもよい。
また、上記実施形態では、貯液部材45,53の全体が軟材質で形成されている例を挙げたが、貯液部材45,53のうち、例えばドーム部47,54、または頂壁部45A,53A等、少なくとも被塗布部Sに接触する部分が軟材質で形成されていればよい。これにより、塗布体39の塗布時の感触を、刺激が少なく、快適で心地よい感触にすることが可能である。
また、上記実施形態では、第3連通孔43の内径が下側よりも上側が大きく形成されている構成を示したが、この構成に限定されない。第3連通孔43の内径は、容器軸O方向の全域にわたって同等であってもよいし、上側よりも下側が大きく形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、被覆筒部42が天壁部42Aと周壁部42Bとを備え、周壁部42Bが計量筒部材7の頂部19に密に外嵌されている構成を示したが、この構成に限定されない。例えば、被覆筒部42が天壁部42Aのみを備え、天壁部42Aが、計量筒部材7の頂部19における上端開口縁に当接または近接することにより、頂部19の上端開口縁を外部から覆う構成であってもよいし、被覆筒部42の周壁部42Bと頂部19の外周面との間に径方向の隙間を設けてもよい。
また、上記実施形態では、支持体11が、規制部11bを備えている構成を示したが、このような態様に限られない。支持体11は、規制部11bを備えなくてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。