<電子機器>
図1は、電子機器の全体構成を示す図である。本構成例の電子機器1は、監視IC100と、パワーマネジメントIC200と、マイコン300と、を有する。また、電子機器1は、上記の半導体装置100〜300に外付けされるディスクリート部品として、抵抗R1〜R10及びR12〜R16と、キャパシタC1及びC2と、を有する。
監視IC100は、パワーマネジメントIC200から電源電圧VDD(=出力電圧VO1)の供給を受けて動作する半導体集積回路装置であり、パワーマネジメントIC200の各種出力電圧とマイコン300の出力周波数をそれぞれ監視してそれらの異常検出を行う。なお、監視IC100は、IC外部との電気的な接続を確立する手段として、複数の外部端子(VDDピン、GNDピン、CTピン、MISOピン、MOSIピン、SCLKピン、XSCSピン、WDINピン、DIN1〜DIN4ピン、PG1〜PG4ピン、XRSTINピン、及び、XRSTOUTピン)を備えている。
パワーマネジメントIC200は、バッテリ電圧VBATの供給を受けて動作する半導体集積回路装置であり、複数の出力電圧VO1〜VO5を生成して電子機器1の各部に供給する。なお、多出力のパワーマネジメントIC200に代えて、単出力のDC/DCコンバータやLDO[low drop-out]レギュレータなどを複数用いることも可能である。
マイコン300は、パワーマネジメントIC200から電源電圧VDD(=出力電圧VO1)の供給を受けて動作する半導体集積回路装置であり、監視IC100やパワーマネジメントIC200を含む電子機器1全体の動作を統括的に制御する。
なお、マイコン300は、監視IC100から入力されるリセット出力信号XRSTOUTによってリセットされる。より具体的に述べると、マイコン300は、リセット出力信号XRSTOUTがローレベルであるときにリセット状態(=ディセーブル状態)となり、リセット出力信号XRSTOUTがハイレベルであるときにリセット解除状態(=イネーブル状態)となる。
また、マイコン300は、監視IC100から入力されるパワーグッド信号PGx(ただしx=1,2,3,4であり、以下も同様)の論理レベルに応じて、パワーマネジメントIC200の出力電圧VOxが正常であるか否かを判定する機能を備えている。より具体的に述べると、マイコン300は、パワーグッド信号PGxがハイレベルであるときに出力電圧VOxが正常であると判定し、パワーグッド信号PGxがローレベルであるときに出力電圧VOxが異常(例えば過電圧異常または低電圧異常)であると判定する。
また、マイコン300は、監視IC100のWDINピンに対して、ウォッチドッグ入力信号WDIN(=数十Hzのリセットパルス信号)を出力する機能を備えている。
また、監視IC100とマイコン300は、それぞれ、マイコン300をマスタとし、監視IC100をスレーブとして、SPI[serial peripheral interface]バスを介した双方向通信を行う機能を備えている。例えば、マイコン300は、SPI通信による監視IC100のレジスタ制御により、オシレータの発振周波数制御やウォッチドッグタイマのイネーブル制御を行う機能を備えている。また、マイコン300は、ウォッチドッグイネーブルレジスタについて、自らが書き込みを命じた設定値と監視IC100から読み出した格納値との一致判定を行う機能も備えている。
抵抗R1及びR2は、出力電圧VO1の出力端と接地端との間に直列接続されており、出力電圧VO1の分圧回路として機能する。なお、抵抗R1及びR2相互間の接続ノード(=分圧回路の出力端)は、監視IC100のXRSTINピンに接続されている。
抵抗R3及びR4は、出力電圧VO2の出力端と接地端との間に直列接続されており、出力電圧VO2の分圧回路として機能する。なお、抵抗R3及びR4相互間の接続ノード(=分圧回路の出力端)は、監視IC100のDIN1ピンに接続されている。
抵抗R5及びR6は、出力電圧VO3の出力端と接地端との間に直列接続されており、出力電圧VO3の分圧回路として機能する。なお、抵抗R5及びR6相互間の接続ノード(=分圧回路の出力端)は、監視IC100のDIN2ピンに接続されている。
抵抗R7及びR8は、出力電圧VO4の出力端と接地端との間に直列接続されており、出力電圧VO4の分圧回路として機能する。なお、抵抗R7及びR8相互間の接続ノード(=分圧回路の出力端)は、監視IC100のDIN3ピンに接続されている。
抵抗R9及びR10は、出力電圧VO5の出力端と接地端の間に直列接続されており、出力電圧VO5の分圧回路として機能する。なお、抵抗R9及びR10相互間の接続ノード(=分圧回路の出力端)は、監視IC100のDIN4ピンに接続されている。
抵抗R12は、監視IC100のXRSTOUTピンと電源端の間に接続されており、監視IC100からマイコン300へのリセット出力信号XRSTOUTを電源電圧VDDに吊り上げるためのプルアップ抵抗として機能する。
抵抗R13は、監視IC100のPG1ピンと電源端との間に接続されており、監視IC100からマイコン300へのパワーグッド信号PG1を電源電圧VDDに吊り上げるためのプルアップ抵抗として機能する。
抵抗R14は、監視IC100のPG2ピンと電源端との間に接続されており、監視IC100からマイコン300へのパワーグッド信号PG2を電源電圧VDDに吊り上げるためのプルアップ抵抗として機能する。
抵抗R15は、監視IC100のPG3ピンと電源端との間に接続されており、監視IC100からマイコン300へのパワーグッド信号PG3を電源電圧VDDに吊り上げるためのプルアップ抵抗として機能する。
抵抗R16は、監視IC100のPG4ピンと電源端との間に接続されており、監視IC100からマイコン300へのパワーグッド信号PG4を電源電圧VDDに吊り上げるためのプルアップ抵抗として機能する。
キャパシタC1は、監視IC100のVDDピンと接地端との間に接続されており、出力電圧VO1(=電源電圧VDD)の平滑手段として機能する。
キャパシタC2は、監視IC100のCTピンと接地端との間に接続されており、リセット時間設定素子として機能する。
<監視IC(パッケージ)>
図2は、監視IC100のパッケージ外観(トップ面及びボトム面)を示す図である。本図で示すように、監視IC100のパッケージとしては、例えばVQFN[very thin quad flat Non-leaded]パッケージを採用するとよい。
より具体的に述べると、監視IC100は、平面視矩形状の樹脂封止体101を持ち、そのボトム面には、樹脂封止体101から突出することなく、各辺5本ずつ計20本の外部端子102が露出されている。このようなノンリードのVQFNパッケージであれば、リードを持つパッケージ(QFP[quad flat package]など)と比べて、その実装面積を縮小することが可能となる。
なお、樹脂封止体101には、そのボトム面がトップ面よりも若干小さくなるように、側面からボトム面に向けたテーパが付けられている。また、外部端子102は、樹脂封止体101のボトム面から側面にかけて露出されている。このような構成であれば、プリント配線基板(不図示)への実装作業を容易かつ確実に実施することができる。
また、樹脂封止体101のボトム面には、監視IC100の半導体チップ(不図示)を搭載するアイランドの裏面(=チップ搭載面の裏側)が放熱パッド103として露出されている。このような構成であれば、監視IC100の放熱性を高めることが可能となる。
なお、放熱パッド103の四隅のうち、少なくとも一つには、切欠部103aを設けておくとよい。このような構成とすることにより、樹脂封止体101との密着性を高めて、放熱パッド103(=アイランド)の脱落を防止することが可能となる。
<監視IC(ピン配置)>
図3は、監視IC100のピン配置(20ピンのVQFN採用時)を示す図である。監視IC100の第1辺(本図下辺)には、本図の左から右に向けて、5本の外部端子(1ピン〜5ピン)が順に並べられている。1ピンは、電源端子(VDDピン)である。2ピンは、不使用端子(NC[non-connection]ピン)である。3ピンは、接地端子(GNDピン)である。4ピンは、不使用端子(NCピン)である。5ピンは、リセット時間設定端子(CTピン)である。
監視IC100の第2辺(本図右辺)には、本図の下から上に向けて、5本の外部端子(6ピン〜10ピン)が順に並べられている。6ピンは、SPIデータ出力端子(MIMOピン)である。7ピンは、SPIデータ入力端子(MOSIピン)である。8ピンは、SPIクロック端子(SCLKピン)である。9ピンは、SPIチップセレクト端子(XSCSピン)である。10ピンは、ウォッチドッグ入力端子(WDINピン)である。
監視IC100の第3辺(本図上辺)には、本図の右から左に向けて、5本の外部端子(11ピン〜15ピン)が順に並べられている。11ピンは、第1監視入力ピン(DIN1ピン)である。12ピンは、第1パワーグッド出力端子(PG1ピン)である。13ピンは、第2監視入力ピン(DIN2ピン)である。14ピンは、第2パワーグッド出力端子(PG2ピン)である。15ピンは、第3監視入力ピン(DIN3ピン)である。
監視IC100の第4辺(本図左辺)には、本図の上から下に向けて、5本の外部端子(16ピン〜20ピン)が順に並べられている。16ピンは、第3パワーグッド出力端子(PG3ピン)である。17ピンは、第4監視入力ピン(DIN4ピン)である。18ピンは、第4パワーグッド出力端子(PG4ピン)である。19ピンは、リセット用監視入力ピン(XRSTINピン)である。20ピンは、リセット出力端子(XRSTOUTピン)である。
<監視IC(第1実施形態)>
図4は、監視IC100の第1実施形態(基本構成)を示す図である。本実施形態の監視IC100は、基準電圧生成部111と、サブ基準電圧生成部112と、基準電圧検出部120と、UVLO[under voltage locked-out]部130と、閾値電圧生成部140〜149と、コンパレータ150〜159と、オシレータ161及び162と、デジタル処理部170と、Nチャネル型MOS[metal oxide semiconductor]電界効果トランジスタ180〜184と、SPIインタフェイス190と、を集積化して成る。
基準電圧生成部111は、VDDピンに入力される電源電圧VDDから所定の基準電圧VREFを生成する。
サブ基準電圧生成部112は、電源電圧VDDから所定のサブ基準電圧VREF2を生成する。
基準電圧検出部120は、電源電圧VDDの供給を受けて動作し、基準電圧VREF及びサブ基準電圧VREF2が正常に立ち上がっているか否かを検出して基準電圧検出信号VREF_DETを生成する。なお、基準電圧検出信号VREF_DETは、基準電圧VREFとサブ基準電圧VREF2の双方が正常に立ち上がっているときにローレベルとなり、少なくとも一方が正常に立ち上がっていないときにハイレベルとなる。また、基準電圧検出部120には、BIST[built-in self test]イネーブル信号BIST_ENが入力されている。すなわち、基準電圧検出部120は、監視IC100の起動時に自己診断対象となる監視部(ないしはこれに含まれている複数の監視機構の一つ)に相当する。
UVLO部130は、電源電圧VDDの低電圧異常を検出して低電圧異常信号UVLOを出力する。低電圧異常信号UVLOは、電源電圧VDDが低電圧異常解除値UVLO_OFFよりも高くなったときにハイレベルとなり、電源電圧VDDが低電圧異常検出値UVLO_ONよりも低くなったときにローレベルとなる。
閾値電圧生成部140及び141は、それぞれ、基準電圧VREFを分圧して上側閾値電圧Vth0H(例えば0.88V)及び下側閾値電圧Vth0L(例えば0.72V)を生成する。
閾値電圧生成部142及び143は、それぞれ、基準電圧VREFを分圧して上側閾値電圧Vth1H(例えば0.88V)及び下側閾値電圧Vth1L(例えば0.72V)を生成する。
閾値電圧生成部144及び145は、それぞれ、基準電圧VREFを分圧して上側閾値電圧Vth2H(例えば0.88V)及び下側閾値電圧Vth2L(例えば0.72V)を生成する。
閾値電圧生成部146及び147は、それぞれ、基準電圧VREFを分圧して上側閾値電圧Vth3H(例えば0.88V)及び下側閾値電圧Vth3L(例えば0.72V)を生成する。
閾値電圧生成部148及び149は、それぞれ、基準電圧VREFを分圧して上側閾値電圧Vth4H(例えば0.88V)及び下側閾値電圧Vth4L(例えば0.72V)を生成する。
コンパレータ150は、電源電圧VDDの供給を受けて動作し、XRSTINピンから非反転入力端(+)に入力されている入力電圧V0と、閾値電圧生成部140から反転入力端(−)に入力されている上側閾値電圧Vth0Hとを比較することにより、比較信号RSTOVDを生成する。比較信号RSTOVDは、V0>Vth0Hであるときにハイレベルとなり、V0<Vth0Hであるときにローレベルとなる。
コンパレータ151は、電源電圧VDDの供給を受けて動作し、XRSTINピンから反転入力端(−)に入力されている入力電圧V0と、閾値電圧生成部141から非反転入力端(−)に入力されている下側閾値電圧Vth0Lとを比較することにより、比較信号RSTUVDを生成する。比較信号RSTUVDは、V0>Vth0Lであるときにローレベルとなり、V0<Vth0Lであるときにハイレベルとなる。
コンパレータ152は、電源電圧VDDの供給を受けて動作し、DIN1ピンから非反転入力端(+)に入力されている入力電圧V1と、閾値電圧生成部142から反転入力端(−)に入力されている上側閾値電圧Vth1Hとを比較することにより、比較信号DIN1OVDを生成する。比較信号DIN1OVDは、V1>Vth1Hであるときにハイレベルとなり、V1<Vth1Hであるときにローレベルとなる。
コンパレータ153は、電源電圧VDDの供給を受けて動作し、DIN1ピンから反転入力端(−)に入力されている入力電圧V1と、閾値電圧生成部143から非反転入力端(−)に入力される下側閾値電圧Vth1Lとを比較することにより、比較信号DIN1UVDを生成する。比較信号DIN1UVDは、V1>Vth1Lであるときにローレベルとなり、V1<Vth1Lであるときにハイレベルとなる。
コンパレータ154は、電源電圧VDDの供給を受けて動作し、DIN2ピンから非反転入力端(+)に入力されている入力電圧V2と、閾値電圧生成部144から反転入力端(−)に入力されている上側閾値電圧Vth2Hとを比較することにより、比較信号DIN2OVDを生成する。比較信号DIN2OVDは、V2>Vth2Hであるときにハイレベルとなり、V2<Vth2Hであるときにローレベルとなる。
コンパレータ155は、電源電圧VDDの供給を受けて動作し、DIN2ピンから反転入力端(−)に入力されている入力電圧V2と、閾値電圧生成部145から非反転入力端(−)に入力される下側閾値電圧Vth2Lとを比較することにより、比較信号DIN2UVDを生成する。比較信号DIN2UVDは、V2>Vth2Lであるときにローレベルとなり、V2<Vth2Lであるときにハイレベルとなる。
コンパレータ156は、電源電圧VDDの供給を受けて動作し、DIN3ピンから非反転入力端(+)に入力されている入力電圧V3と、閾値電圧生成部146から反転入力端(−)に入力されている上側閾値電圧Vth3Hとを比較することにより、比較信号DIN3OVDを生成する。比較信号DIN3OVDは、V3>Vth3Hであるときにハイレベルとなり、V3<Vth3Hであるときにローレベルとなる。
コンパレータ157は、電源電圧VDDの供給を受けて動作し、DIN3ピンから反転入力端(−)に入力されている入力電圧V3と、閾値電圧生成部147から非反転入力端(−)に入力される下側閾値電圧Vth3Lとを比較することにより、比較信号DIN3UVDを生成する。比較信号DIN3UVDは、V3>Vth3Lであるときにローレベルとなり、V3<Vth3Lであるときにハイレベルとなる。
コンパレータ158は、電源電圧VDDの供給を受けて動作し、DIN4ピンから非反転入力端(+)に入力されている入力電圧V4と、閾値電圧生成部148から反転入力端(−)に入力されている上側閾値電圧Vth4Hとを比較することにより、比較信号DIN4OVDを生成する。比較信号DIN4OVDは、V4>Vth4Hであるときにハイレベルとなり、V4<Vth4Hであるときにローレベルとなる。
コンパレータ159は、電源電圧VDDの供給を受けて動作し、DIN4ピンから反転入力端(−)に入力されている入力電圧V4と、閾値電圧生成部149から非反転入力端(−)に入力される下側閾値電圧Vth4Lとを比較することにより、比較信号DIN4UVDを生成する。比較信号DIN4UVDは、V4>Vth4Lであるときにローレベルとなり、V4<Vth4Lであるときにハイレベルとなる。
なお、上記のコンパレータ151〜159には、それぞれ、BISTイネーブル信号BIST_ENが入力されている。すなわち、コンパレータ151〜159は、それぞれ、監視IC100の起動時に自己診断対象となる監視部(ないしはこれに含まれている複数の監視機構の一つ)に相当する。
オシレータ161は、電源電圧VDDと基準電圧VREFの供給を受けて動作し、デジタル処理部170で用いられる発振周波数f1(例えばf1=2.2MHz)のクロック信号CLK1を生成する。
オシレータ162は、電源電圧VDDと基準電圧VREFの供給を受けて動作し、デジタル処理部170(特にウォッチドッグタイマ173)で用いられる発振周波数f2(例えばf2=500kHz)のクロック信号CLK2を生成する。なお、クロック信号CLK2の発振周波数f2は、SPI通信により任意に調整することが可能である。
また、上記のオシレータ161及び162は、それぞれ、低電圧異常信号UVLOによりリセットされる。より具体的に述べると、オシレータ161及び162は、それぞれ、低電圧異常信号UVLOがローレベルであるときにリセット状態(=ディセーブル状態)となり、低電圧異常信号UVLOがハイレベルであるときにリセット解除状態(=イネーブル状態)となる。
デジタル処理部170は、電源電圧VDDの供給を受けて動作し、各種入力信号の監視処理や各種出力信号の生成処理を行う。また、デジタル処理部170は、低電圧異常信号UVLOによりリセットされる。より具体的に述べると、デジタル処理部170は、低電圧異常信号UVLOがローレベルであるときにリセット状態(=ディセーブル状態)となり、低電圧異常信号UVLOがハイレベルであるときにリセット解除状態(=イネーブル状態)となる。なお、デジタル処理部170の内部構成及び動作については後述する。
トランジスタ180は、XRSTOUTピン(=リセット出力信号XRSTOUTの出力端子)と接地端との間に接続されており、デジタル処理部170から入力されるゲート信号G0に応じてオン/オフされる。リセット出力信号XRSTOUTは、トランジスタ181がオンしているときにローレベル(=リセット時の論理レベル)となり、トランジスタ181がオフしているときにハイレベル(=リセット解除時の論理レベル)となる。
トランジスタ181は、PG1ピン(=パワーグッド信号PG1の出力端子)と接地端との間に接続されており、デジタル処理部170から入力されるゲート信号G1に応じてオン/オフされる。パワーグッド信号PG1は、トランジスタ181がオンしているときにはローレベル(=異常時の論理レベル)となり、トランジスタ181がオフしているときにはハイレベル(=正常時の論理レベル)となる。
トランジスタ182は、PG2ピン(=パワーグッド信号PG2の出力端子)と接地端との間に接続されており、デジタル処理部170から入力されるゲート信号G2に応じてオン/オフされる。パワーグッド信号PG2は、トランジスタ182がオンしているときにはローレベル(=異常時の論理レベル)となり、トランジスタ182がオフしているときにはハイレベル(=正常時の論理レベル)となる。
トランジスタ183は、PG3ピン(=パワーグッド信号PG3の出力端子)と接地端との間に接続されており、デジタル処理部170から入力されるゲート信号G3に応じてオン/オフされる。パワーグッド信号PG3は、トランジスタ183がオンしているときにはローレベル(=異常時の論理レベル)となり、トランジスタ183がオフしているときにはハイレベル(=正常時の論理レベル)となる。
トランジスタ184は、PG4ピン(=パワーグッド信号PG4の出力端子)と接地端との間に接続されており、デジタル処理部170から入力されるゲート信号G4に応じてオン/オフされる。パワーグッド信号PG4は、トランジスタ184がオンしているときにはローレベル(=異常時の論理レベル)となり、トランジスタ184がオフしているときにはハイレベル(=正常時の論理レベル)となる。
SPIインタフェイス190は、XSCSピン、SCLKピン、MOSIピン、及びMISOピンに接続されており、監視IC100(特にデジタル処理部170)とマイコン300との間で、SPIバスを介した双方向通信を行う。
<デジタル処理部>
引き続き、図4を参照しながら、デジタル処理部170の内部構成について説明する。本構成例のデジタル処理部170は、自己診断部171と、クロック検出部172と、ウォッチドッグタイマ173と、フィルタFLT0〜FLT4と、カウンタCNT0〜CNT4と、論理和ゲートOR0〜OR4及びOR10〜OR14と、を含む。
自己診断部171は、監視IC100の起動時において、基準電圧検出信号VREF_DETと比較信号(RSTOVD、RSTUVD、DINxOVD、DINxUVD)をそれぞれチェックすることにより、基準電圧検出部120とコンパレータ150〜159がそれぞれ正常に機能しているか否かの自己診断動作(以下ではBISTと略称する)を行い、BISTエラー信号BIST_ERRORを生成する。なお、BISTエラー信号BIST_ERRORは、基準電圧検出部120とコンパレータ150〜159のいずれかで異常が検出されたときにハイレベルとなる。
また、自己診断部171は、BISTイネーブル信号BIST_ENを生成して、基準電圧検出部120とコンパレータ150〜159にそれぞれ送出する。なお、BISTイネーブル信号BIST_ENは、BISTの実行中にハイレベルとなる。
クロック検出部172は、クロック信号CLK1及びCLK2の周波数異常を検出してクロック検出信号CLK_DETを生成する。クロック検出信号CLK_DETは、クロック信号CLK1またはCLK2の周波数異常が検出されたときにハイレベルとなる。
ウォッチドッグタイマ173は、マイコン300の周波数異常(SLOW異常及びFAST異常)を検出してウォッチドッグ検出信号WDT_DETを生成する。ウォッチドッグ検出信号WDT_DETは、マイコン30の周波数異常が検出されたときにハイレベルとなる。なお、WDINピンは、監視IC100の内部でプルダウンされている。
論理和ゲートOR0は、比較信号RSTOVD及びRSTUVDの論理和演算を行う。従って、論理和ゲートOR0の出力信号は、比較信号RSTOVD及びRSTUVDの少なくとも一方がハイレベルであるときにハイレベルとなり、比較信号RSTOVD及びRSTUVDがいずれもローレベルであるときにローレベルとなる。
論理和ゲートOR1は、比較信号DIN1OVD及びDIN1UVDの論理和演算を行う。従って、論理和ゲートOR1の出力信号は、比較信号DIN1OVD及びDIN1UVDの少なくとも一方がハイレベルであるときにハイレベルとなり、比較信号DIN1OVD及びDIN1UVDがいずれもローレベルであるときにローレベルとなる。
論理和ゲートOR2は、比較信号DIN2OVD及びDIN2UVDの論理和演算を行う。従って、論理和ゲートOR2の出力信号は、比較信号DIN2OVD及びDIN2UVDの少なくとも一方がハイレベルであるときにハイレベルとなり、比較信号DIN2OVD及びDIN2UVDがいずれもローレベルであるときにローレベルとなる。
論理和ゲートOR3は、比較信号DIN3OVD及びDIN3UVDの論理和演算を行う。従って、論理和ゲートOR3の出力信号は、比較信号DIN3OVD及びDIN3UVDの少なくとも一方がハイレベルであるときにハイレベルとなり、比較信号DIN3OVD及びDIN3UVDがいずれもローレベルであるときにローレベルとなる。
論理和ゲートOR4は、比較信号DIN4OVD及びDIN4UVDの論理和演算を行う。従って、論理和ゲートOR4の出力信号は、比較信号DIN4OVD及びDIN4UVDの少なくとも一方がハイレベルであるときにハイレベルとなり、比較信号DIN4OVD及びDIN4UVDがいずれもローレベルであるときにローレベルとなる。
フィルタFLT0〜FLT4は、それぞれ、論理和ゲートOR0〜OR4の出力信号に所定のフィルタリング処理を施して後段に出力する。ただし、フィルタFLT0〜FLT4は必須の構成要素ではなく、ノイズなどの懸念がない場合には、フィルタFLT0〜FLT4を割愛して、論理和ゲートOR0〜OR4の出力信号を後段にスルーしてもよい。
カウンタCNT0〜CNT4は、それぞれ、フィルタFLT0〜FLT4の出力信号に所定のカウンタ処理を施して後段に出力する。なお、カウンタCNT0の出力信号は、リセット入力検出信号RSTIN_DETとして論理和ゲートOR10に出力されている。ただし、カウンタCNT0〜CNT4は必須の構成要素ではなく、ノイズなどの懸念がない場合には、カウンタCNT0〜CNT4を割愛して、論理和ゲートOR0〜OR4の出力信号(またはフィルタFLT0〜FLT4の出力信号)を後段にスルーしてもよい。
論理和ゲートOR10は、基準電圧検出信号VREF_DET、リセット入力検出信号RSTIN_DET、BISTエラー信号BIST_ERROR、ウォッチドッグ検出信号WDT_DET、及び、クロック検出信号CLK_DETの論理和演算を行うことにより、リセット出力検出信号RSTOUT_DETを生成する。従って、リセット出力検出信号RSTOUT_DETは、複数の入力信号のうち、いずれか一つでもハイレベルであるときにハイレベルとなり、それら全てがローレベルであるときにローレベルとなる。なお、リセット出力検出信号RSTOUT_DETは、先述のゲート信号G0として、トランジスタ180のゲートに出力されている。
論理和ゲートOR11〜OR14は、それぞれ、カウンタCNT1〜CNT4の出力信号と基準電圧検出信号VREF_DETとの論理和演算を行うことにより、パワーグッド検出信号PG1_DET〜PG4_DETを生成する。従って、基準電圧検出信号VREF_DETがローレベルであるときには、カウンタCNT1〜CNT4の出力信号がパワーグッド検出信号PG1_DET〜PG4_DETとしてそのままスルー出力される。一方、基準電圧検出信号VREF_DETがハイレベルであるときには、カウンタCNT1〜CNT4の出力信号に依ることなく、パワーグッド検出信号PG1_DET〜PG4_DETがいずれもハイレベルに固定される。なお、パワーグッド検出信号PG1_DET〜PG4_DETは、先述のゲート信号G1〜G4として、トランジスタ181〜184それぞれのゲートに出力されている。
<自己診断機能>
次に、監視IC100の自己診断機能について詳述する。図5は、自己診断対象となる監視部に導入されたテスト回路の一構成例を示す回路図である。本図で示すように、監視IC100には、先に説明したBISTを実施するための手段として、複数のテスト回路(T1、T2、T10〜T14)が組み込まれている。
テスト回路T1及びT2は、基準電圧検出部120に取り付けられている。より具体的に述べると、基準電圧検出部120は、分圧電圧生成部121及び122と、コンパレータ123及び124と、を含み、テスト回路T1及びT2は、それぞれ、分圧電圧生成部121及び122に接続されている。
分圧電圧生成部121は、基準電圧VREFから分圧電圧Vd1H及びVd1L(ただしVd1H>Vd1L)を生成する。
分圧電圧生成部122は、サブ基準電圧VREF2から分圧電圧Vd2H及びVd2L(ただしVd2H>Vd2L)を生成する。
コンパレータ123は、非反転入力端(+)に入力される分圧電圧Vd2Hと、反転入力端(−)に入力される分圧電圧Vd1Lとを比較して、比較信号VRDET1を生成する。比較信号VRDET1は、Vd2H>Vd1Lであるときにハイレベルとなり、Vd2H<Vd1Lであるときにローレベルとなる。
コンパレータ124は、非反転入力端(+)に入力される分圧電圧Vd1Hと、反転入力端(−)に入力される分圧電圧Vd2Lとを比較して、比較信号VRDET2を生成する。比較信号VRDET2は、Vd1H>Vd2Lであるときにハイレベルとなり、Vd1H<Vd2Lであるときにローレベルとなる。
テスト回路T1は、分圧電圧生成部121の中点ノードA(=分圧電圧Vd1H及びVd1Lそれぞれの出力端に挟まれている中間ノード)に接続されており、制御信号VRDET1SWに応じて、中点ノードAの電圧値を切り替える。具体的に述べると、テスト回路T1は、VRDET1SW=Lであるときに中点ノードAをオープンとし、VRDET1SW=Hであるときに中点ノードAを接地端にショートする。
テスト回路T2は、分圧電圧生成部122の中点ノードB(=分圧電圧Vd2H及びVd2Lそれぞれの出力端に挟まれている中間ノード)に接続されており、制御信号VRDET2SWに応じて、中点ノードBの電圧値を切り替える。具体的に述べると、テスト回路T2は、VRDET2SW=Lであるときに中点ノードBをオープンとし、VRDET2SW=Hであるときに中点ノードBを接地端にショートする。
テスト回路T10は、入力電圧V0の印加端に接続されており、制御信号RSTSW1〜RSTSW4(=択一的にハイレベルとされる2値信号)に応じて、入力電圧V0の電圧値を切り替える。具体的に述べると、テスト回路T10は、RSTSW1=HであるときにV0=XRSTINとし、RSTSW2=HであるときにV0=V0H(例えば1.04V)とし、RSTSW3=HであるときにV0=V0M(例えば0.8V)とし、RSTSW4=HであるときにV0=V0L(例えば0.56V)とする。なお、上記3つのテスト入力電圧(V0H、V0M、V0L)は、それぞれ、基準電圧VREFを分圧して生成するとよい。
テスト回路T11は、入力電圧V1の印加端に接続されており、制御信号DIN1SW1〜DIN1SW4(=択一的にハイレベルとされる2値信号)に応じて、入力電圧V1の電圧値を切り替える。具体的に述べると、テスト回路T11は、DIN1SW1=HであるときにV1=DIN1とし、DIN1SW2=HであるときにV1=V1H(例えば1.04V)とし、DIN1SW3=HであるときにV1=V1M(例えば0.8V)とし、DIN1SW4=HであるときにV1=V1L(例えば0.56V)とする。なお、上記3つのテスト入力電圧(V1H、V1M、V1L)は、それぞれ、基準電圧VREFを分圧して生成するとよい。
テスト回路T12は、入力電圧V2の印加端に接続されており、制御信号DIN2SW1〜DIN2SW4(=択一的にハイレベルとされる2値信号)に応じて、入力電圧V2の電圧値を切り替える。具体的に述べると、テスト回路T12は、DIN2SW1=HであるときにV2=DIN2とし、DIN2SW2=HであるときにV2=V2H(例えば1.04V)とし、DIN2SW3=HであるときにV2=V2M(例えば0.8V)とし、DIN2SW4=HであるときにV2=V2L(例えば0.56V)とする。なお、上記3つのテスト入力電圧(V2H、V2M、V2L)は、それぞれ、基準電圧VREFを分圧して生成するとよい。
テスト回路T13は、入力電圧V3の印加端に接続されており、制御信号DIN3SW1〜DIN3SW4(=択一的にハイレベルとされる2値信号)に応じて、入力電圧V3の電圧値を切り替える。具体的に述べると、テスト回路T13は、DIN3SW1=HであるときにV3=DIN3とし、DIN3SW2=HであるときにV3=V3H(例えば1.04V)とし、DIN3SW3=HであるときにV3=V3M(例えば0.8V)とし、DIN3SW4=HであるときにV3=V3L(例えば0.56V)とする。なお、上記3つのテスト入力電圧(V3H、V3M、V3L)は、それぞれ、基準電圧VREFを分圧して生成するとよい。
テスト回路T14は、入力電圧V4の印加端に接続されており、制御信号DIN4SW1〜DIN4SW4(=択一的にハイレベルとされる2値信号)に応じて、入力電圧V4の電圧値を切り替える。具体的に述べると、テスト回路T14は、DIN4SW1=HであるときにV4=DIN4とし、DIN4SW2=HであるときにV4=V4H(例えば1.04V)とし、DIN4SW3=HであるときにV4=V4M(例えば0.8V)とし、DIN4SW4=HであるときにV4=V4L(例えば0.56V)とする。なお、上記3つのテスト入力電圧(V4H、V4M、V4L)は、それぞれ、基準電圧VREFを分圧して生成するとよい。
<BIST>
図6は、第1実施形態におけるBISTの一例(DIN1ピンのみに着目)を示すタイミングチャートであり、上から順に、入力電圧V1、並びに、比較信号DIN1OVD及びDIN1UVDが描写されている。
本図中の上向き矢印で示すように、本実施形態におけるBISTでは、入力電圧V1の電圧値を切り替える毎に、比較信号DIN1OVD及びDIN1UVD双方の期待値判定が行われる。より具体的に述べると、テスト入力電圧V1Hの入力期間中には、DIN1OVD=HかつDIN1UVD=Lであるか否かの期待値判定が行われ、テスト入力電圧V1Lの入力期間中には、DIN1OVD=LかつDIN1UVD=Hであるか否かの期待値判定が行われる。また、テスト入力電圧V1Mの入力期間中には、DIN1OVD=DIN1UVD=Lであるか否かの期待値判定が行われる。
なお、本図では、DIN1ピンに接続された監視機構(コンパレータ152、153)のBISTを例に挙げたが、その他の外部端子(DIN2ピン、DIN3ピン、DIN4ピン、ないしは、XRSTINピン)に接続された監視機構についても、上記と同様のBISTが順次実施される。
すなわち、自己診断部171は、監視部に含まれる複数の監視機構(例えばコンパレータ150〜159)の中から、診断対象とする監視機構(=テスト入力電圧V*HまたはV*Lを入力するコンパレータ)を順次切り替えつつ、その出力信号が期待値と一致しているか否かを比較するとともに、診断対象以外の監視機構(=テスト入力電圧V*Mを入力するコンパレータ)についても、それぞれの出力信号が期待値と一致しているか否かを比較する。
このように、各コンパレータを1つずつ診断対象としつつ、全ての比較タイミングで全てのコンパレータの出力評価を行うBIST手法によれば、監視IC100の故障検出率を向上することが可能となる。
なお、上記のBISTは、パワーマネジメントIC200による電源起動後、監視IC100において、所定のリセット解除待機時間t1(例えば10ms)が経過するまでの間に実施するとよい。そして、監視IC100に異常が検出されなければ、速やかに監視動作が開始され、さらに、リセット解除待機時間t1が経過した時点で、マイコン300のリセット解除が行われる。その結果、マイコン300の動作が開始される。
従って、マイコン300の動作開始タイミングに影響を与えることなく、BISTを実施することができるので、電子機器1を従前と同様のタイミングで起動することが可能となる。また、監視IC100に着目すると、自身が正常であるか否かを自己診断した上で本来の監視動作を開始することができるので、故障検出率を向上することも可能となる。
また、上記のBISTに先立ち、デジタル処理部170では、スキャンパスなどのセルフテストを実施して、自らが正常に動作することを確認しておくとよい。
ところで、本実施形態の監視IC100は、起動時に一度だけBISTを実施するが、高い信頼性が求められる車載用途などでは、監視IC100の起動時だけでなく、監視IC100の動作中においても、定期的ないしは任意のタイミングで、BISTを実施することが望ましい。そこで、監視IC100の動作中でもBISTを実施することのできる第2実施形態について提案する。
<監視IC(第2実施形態)>
図7は、監視IC100の第2実施形態を示す図である。本実施形態の監視IC100は、先出の第1実施形態を基礎としつつ、監視IC100の起動時だけでなく動作中にも監視部(例えばコンパレータ152〜159)のBISTを実施するための手段として、マルチプレクサMUXと、コンパレータ15A及び15Bと、テスト回路T15をさらに有する。また、デジタル処理部170には、論理和ゲートOR5、フィルタFLT5、及び、カウンタCNT5が追加されている。なお、既出の構成要素については、図4と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、本実施形態の特徴部分について重点的な説明を行う。
マルチプレクサMUXは、DIN1ピン〜DIN4ピンのいずれかを選択してテスト回路T15の入力端に接続する。
コンパレータ15Aは、非反転入力端(+)に入力される入力電圧VSPと、反転入力端(−)に入力される上側閾値電圧VthxHとを比較することにより、比較信号SP_OVDを生成する。比較信号SP_OVDは、VSP>VthxHであるときにハイレベルとなり、VSP<VthxHであるときにローレベルとなる。
なお、上側閾値電圧VthxHは、マルチプレクサMUXと連動して可変される。具体的に述べると、上側閾値電圧VthxHは、DIN1ピン選択時にVth1Hとなり、DIN2ピン選択時にVth2Hとなり、DIN3ピン選択時にVth3Hとなり、DIN4ピン選択時にVth4Hとなる。
コンパレータ15Bは、反転入力端(−)に入力される入力電圧VSPと、非反転入力端(+)に入力される下側閾値電圧VthxLとを比較することにより、比較信号SP_UVDを生成する。比較信号SP_UVDは、VSP>VthxLであるときにローレベルとなり、VSP<VthxLであるときにハイレベルとなる。
なお、下側閾値電圧VthxLは、マルチプレクサMUXと連動して可変される。具体的に述べると、下側閾値電圧VthxLは、DIN1ピン選択時にVth1Lとなり、DIN2ピン選択時にVth2Lとなり、DIN3ピン選択時にVth3Lとなり、DIN4ピン選択時にVth4Lとなる。
テスト回路T15は、入力電圧VSPの印加端(=マルチプレクサMUXの出力端)に接続されており、入力電圧VSPの電圧値を切り替える。なお、テスト回路T15の構成は、テスト回路T11〜T14(図5を参照)と同様なので、詳細な説明を割愛する。
論理和ゲートOR5は、比較信号SP_OVD及びSP_UVDの論理和演算を行う。従って、論理和ゲートOR5の出力信号は、比較信号SP_OVD及びSP_UVDの少なくとも一方がハイレベルであるときにハイレベルとなり、比較信号SP_OVD及びSP_UVDがいずれもローレベルであるときにローレベルとなる。
フィルタFLT5は、論理和ゲートOR5の出力信号に所定のフィルタリング処理を施して後段に出力する。ただし、フィルタFLT5は必須の構成要素ではなく、ノイズなどの懸念がない場合には、フィルタFLT5を割愛して、論理和ゲートOR5の出力信号を後段にスルーしてもよい。この点は、既出のフィルタFLT1〜FLT4と同様である。
カウンタCNT5は、フィルタFLT5の出力信号に所定のカウンタ処理を施して後段に出力する。なお、カウンタCNT1〜CNT4それぞれの出力信号は、エラー検出信号DIN1_ERR〜DIN4_ERRとして、自己診断部171に出力されている。同様に、カウンタCNT5の出力信号は、エラー検出信号SP_ERRとして、自己診断部171に出力されている。ただし、カウンタCNT5は必須の構成要素ではなく、ノイズなどの懸念がない場合には、カウンタCNT5を割愛して、論理和ゲートOR5の出力信号(またはフィルタFLT5の出力信号)を後段にスルーしてもよい。この点は、既出のカウンタCNT1〜CNT4と同様である。
本実施形態で追加された構成要素は、自己診断部171による監視部(例えばコンパレータ152〜159)の診断中に監視部を代替して監視対象の異常検出を行う副監視部として機能する。以下では、副監視部の動作について詳細に説明する。
図8は、第2実施形態における診断動作(監視IC100の動作中におけるアナログBIST)の一例を示すフローチャートである。ステップS1において、監視IC100の通常動作(=コンパレータ152〜159を用いたDIN1ピン〜DIN4ピンそれぞれの異常検出)が行われている間、ステップS2では、コンパレータ152〜159のBISTを実施するべきタイミングが到来したか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS3に進められる。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS1に戻されて、監視IC100の通常動作が継続される。なお、ステップS2でのイエス判定条件としては、インターバル時間の経過やBIST要求コマンドの受信などが挙げられる。
ステップS2でイエス判定が下された場合、ステップS3では、DIN1ピンを監視するコンパレータ152及び153のBISTが行われる。このとき、マルチプレクサMUXは、DIN1ピン〜DIN4ピンのうち、DIN1ピンを選択してテスト回路T15の入力端に接続する。テスト回路T15は、マルチプレクサMUXの出力をスルーする。デジタル処理部170は、エラー検出信号SP_ERRをエラー検出信号DIN1_ERRとして取り扱う。上記一連の動作により、コンパレータ152及び153の診断中には、コンパレータ15A及び15Bを用いてDIN1ピンの異常検出が継続される。
次に、ステップS4では、DIN2ピンを監視するコンパレータ154及び155のBISTが行われる。このとき、マルチプレクサMUXは、DIN1ピン〜DIN4ピンのうち、DIN2ピンを選択してテスト回路T15の入力端に接続する。テスト回路T15は、マルチプレクサMUXの出力をスルーする。デジタル処理部170は、エラー検出信号SP_ERRをエラー検出信号DIN2_ERRとして取り扱う。上記一連の動作により、コンパレータ154及び155の診断中には、コンパレータ15A及び15Bを用いてDIN2ピンの異常検出が継続される。
次に、ステップS5では、DIN3ピンを監視するコンパレータ156及び157のBISTが行われる。このとき、マルチプレクサMUXは、DIN1ピン〜DIN4ピンのうち、DIN3ピンを選択してテスト回路T15の入力端に接続する。テスト回路T15は、マルチプレクサMUXの出力をスルーする。デジタル処理部170は、エラー検出信号SP_ERRをエラー検出信号DIN3_ERRとして取り扱う。上記一連の動作により、コンパレータ156及び157の診断中には、コンパレータ15A及び15Bを用いてDIN3ピンの異常検出が継続される。
次に、ステップS6では、DIN4ピンを監視するコンパレータ158及び159のBISTが行われる。このとき、マルチプレクサMUXは、DIN1ピン〜DIN4ピンのうち、DIN4ピンを選択してテスト回路T15の入力端に接続する。テスト回路T15は、マルチプレクサMUXの出力をスルーする。デジタル処理部170は、エラー検出信号SP_ERRをエラー検出信号DIN4_ERRとして取り扱う。上記一連の動作により、コンパレータ158及び159の診断中には、コンパレータ15A及び15Bを用いてDIN4ピンの異常検出が継続される。
このように、副監視部(コンパレータ15A及び15B)は、DIN1ピン〜DIN4ピンそれぞれに設けられた監視部(コンパレータ151〜159)のうち、診断中であるものを順次代替する。このような構成であれば、DIN1ピン〜DIN4ピンそれぞれの異常検出動作を途切れさせることなく、定期的ないしは任意のタイミングで、コンパレータ151〜159のBISTを実施することが可能となる。
続くステップS7では、上記のBISTで何らかの異常(NG)が検出されたか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS8に進められて、マイコン300への異常通知(=BIST診断結果のレジスタ格納)が行われるとともに、副監視部(コンパレータ15A及び15B)を用いた代替動作に切り替わる。
例えば、DIN1ピンを監視するコンパレータ152及び153の少なくとも一方が正常でないと診断されたときには、これ以降、コンパレータ152及び153を用いずに、コンパレータ15A及び15Bを用いて、DIN1ピンの異常検出が継続される。
DIN2ピンを監視するコンパレータ154及び155、DIN3ピンを監視するコンパレータ156及び157、並びに、DIN4ピンを監視するコンパレータ158及び159のいずれかが正常でないと判定された場合についても、基本的に上記と同様であり、正常でないコンパレータの使用を停止して、コンパレータ15A及び15Bを用いた代替動作が実施される。
一方、ステップS7でノー判定が下された場合には、フローがステップS1に戻されて監視IC100が通常動作に復帰する。なお、ステップS1の通常動作中には、副監視部(コンパレータ15A及び15B)が余剰となるので、テスト回路T15を用いたBISTを行い、副監視部が正常に機能しているか否かを診断しておくことが望ましい。このとき、副監視部に何らかの異常(NG)が検出された場合には、副監視部による代替ができなくなるので、ステップS2で常にノー判定を下すようにしておけばよい。また、予備の副監視部が用意されている場合には、正常でない副監視部の使用を停止して、予備の副監視部を用いるようにしてもよい。
ところで、これまでに説明してきた監視IC100は、基準電圧検出部120やコンパレータ150〜159の確からしさをチェックする機能(=アナログBIST機能)を備えているが、デジタル処理部170の確からしさはチェックしておらず、潜在故障(LF[latent fault])の要因が残っている。そのため、監視IC100が偶発故障時に正しく動作する保証がない。そこで、上記の問題を解消するための第3実施形態を提案する。
<監視IC(第3実施形態)>
図9は、監視IC100の第3実施形態(XRSTIN監視系統に着目した回路構成の一例)を示す図である。本実施形態の監視IC100では、先出の第1実施形態(または第2実施形態)を基礎としつつ、アナログBIST機能(=例えば、コンパレータ150及び151の確からしさをチェックする機能)のほか、デジタルBIST機能(=デジタル処理部170の確からしさをチェックする機能)が追加されている。
本図に即して具体的に述べると、デジタル処理部170は、既出の論理和ゲートOR0及びOR10、フィルタFLT0、並びに、カウンタCNT0に加えて、マルチプレクサMUX1及びMUX2と、第2自己診断部(デジタルBIST部)174と、論理和ゲートOR20と、を含む。
論理和ゲートOR0及びOR10、フィルタFLT0、及び、カウンタCNT0は、コンパレータ150及び151から比較信号RSTOVD及びRSTUVDの入力を受け付けてリセット出力検出信号RSTOUT_DETを生成する出力信号生成部に相当する。
マルチプレクサMUX1は、コンパレータ150から入力される比較信号RSTOVDと、第2自己診断部174から入力されるデジタルBIST入力信号DBIST_IN1のいずれかを選択して論理和ゲートOR0に出力する。より具体的に述べると、マルチプレクサMUX1は、通常時に比較信号RSTOVDを選択出力し、デジタルBIST時にデジタルBIST入力信号DBIST_IN1を選択出力する。
マルチプレクサMUX2は、コンパレータ151から入力される比較信号RSTUVDと、第2自己診断部174から入力されるデジタルBIST入力信号DBIST_IN2のいずれかを選択して論理和ゲートOR0に出力する。より具体的に述べると、マルチプレクサMUX2は、通常時に比較信号RSTUVDを選択出力し、デジタルBIST時にデジタルBIST入力信号DBIST_IN2を選択出力する。
第2自己診断部174は、自己診断部171から入力されるデジタルBISTイネーブル信号DBIST_ENに応じて、出力信号生成部のデジタルBISTを行う。
より具体的に述べると、第2自己診断部174は、所定パターンのデジタルBIST入力信号DBIST_IN1及びIN2を出力信号生成部(論理和ゲートOR0)に入力して、そこで生成されるリセット出力検出信号RSTOUT_DET(=デジタルBIST出力信号DBIST_OUT)の期待値判定を行うことにより、出力信号生成部が正常であるか否かを診断する。
また、第2自己診断部174は、パターンテーブル174aと期待値テーブル174bを備えている。パターンテーブル174aには、デジタルBIST入力信号DBIST_IN1及びIN2(=テスト入力信号に相当)のパターンが格納されている。期待値テーブル174bには、デジタルBIST出力信号DBIST_OUT(=テスト出力信号に相当)の期待値が格納されている。当然のことながら、デジタルBIST入力信号DBIST_IN1及びIN2のパターンと、デジタルBIST出力信号DBIST_OUTの期待値は、互いに関連付けて格納されている。
なお、本図では、図示の便宜上、XRSTIN監視系統のみに着目したが、DIN1ピン〜DIN4ピンそれぞれの異常検出系統についても、上記と同様のデジタルBIST用機能ブロック(=マルチプレクサと第2自己診断部)が導入されている。
自己診断部171には、XRSTIN監視系統の第2自己診断部174だけでなく、DINx監視系統の第2自己診断部から、デジタルBIST結果信号DBIST_RST及びDBIST_DINx(=出力信号生成部が正常であるか否かを示す診断結果)が入力されている。そして、自己診断部171は、これらのデジタルBIST結果信号DBIST_RST及びDBIST_DINxに基づいて、BISTエラー信号BIST_ERRORを生成する。
また、自己診断部171は、アナログBISTイネーブル信号ABIST_EN(=既出のBISTイネーブル信号BIST_ENに相当)と、デジタルBISTイネーブル信号DBIST_ENをそれぞれ生成する機能も備えている。
論理和ゲートOR20は、リセット出力検出信号RSTOUT_DET、アナログBISTイネーブル信号ABIST_EN、並びに、デジタルBISTイネーブル信号DBIST_ENの論理和演算を行うことにより、ゲート信号G0を生成する。従って、アナログBISTイネーブル信号ABIST_EN、及び、デジタルBISTイネーブル信号DBIST_ENの少なくとも一方がハイレベル(=BIST動作時の論理レベル)であるときには、リセット出力検出信号RSTOUT_DETの論理レベルに依ることなく、ゲート信号G0がハイレベルに固定されるので、トランジスタ180がオンとなる。すなわち、監視IC100の起動完了前におけるBIST動作時には、リセット出力信号XRSTOUTがローレベルに固定される。
まず、デジタルBISTの説明に先立ち、出力信号生成部の通常動作(=リセット出力動作)について簡単に説明する。
図10は、リセット出力動作の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、XRSTINピンの端子電圧(=入力電圧V0)、比較信号RSTUVD、カウンタCNT0のカウント値、リセット入力検出信号RSTIN_DET、及び、リセット出力信号XRSTOUTが描写されている。
なお、コンパレータ151の下側閾値電圧Vth0Lは、ヒステリシス(UVD検出閾値とUVD解除閾値)を持つものとする。また、論理和ゲートOR10への入力信号は、リセット入力検出信号RSTIN_DETを除いて、全てローレベル固定とする。
時刻t11以前には、入力電圧V0がUVD検出閾値よりも高いので、比較信号RSTUVDはローレベルとなり、リセット入力検出信号RSTIN_DETもローレベルとなる。その結果、トランジスタ180がオフするので、リセット出力信号XRSTOUTがハイレベル(=リセット解除時の論理レベル)にプルアップされる。
時刻t11において、入力電圧V0がUVD検出閾値よりも低くなると、比較信号RSTUVDがハイレベルに立ち上がり、リセット入力検出信号RSTIN_DETも遅滞なくハイレベルに立ち上がる。その結果、トランジスタ180がオンするので、リセット出力信号XRSTOUTがローレベル(=リセット時の論理レベル)に立ち下がる。
時刻t12において、入力電圧V0がUVD解除閾値よりも高くなると、比較信号RSTUVDがローレベルに立ち下がる。このとき、カウンタCNT0のカウント動作が開始されて、そのカウント値がインクリメントし始める。なお、リセット入力検出信号RSTIN_DETは、カウンタCNT0のカウント値が所定値に達するまで、ハイレベルに維持される。その結果、リセット出力信号XRSTOUTは、比較信号RSTUVDがローレベルに立ち下がった後もローレベルに維持される。
時刻t13において、カウンタCNT0のカウント値が所定値に達すると、リセット入力検出信号RSTIN_DETがローレベルに立ち下がる。その結果、トランジスタ180がオフするので、リセット出力信号XRSTOUTがハイレベルにプルアップされる。
このように、リセット出力信号XRSTOUTは、一旦ローレベルに立ち下がると、リセット保持期間Thold(=時刻t12〜t13、例えば10ms)に亘ってローレベルに維持される。
次に、第2自己診断部174によるデジタルBISTについて詳細に説明する。
図11は、第3実施形態における診断動作(デジタルBIST)の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、デジタルBISTイネーブル信号DBIST_EN、デジタルBIST入力信号DBIST_IN1及びIN2、デジタルBIST出力信号DBIST_OUT、第2自己診断部174の動作状態(=チェッカーとしての動作状態)、並びに、リセット出力信号XRSTOUTが描写されている。
時刻t21〜t22において、デジタルBISTイネーブル信号DBIST_ENがハイレベルに立ち上げられると、出力信号生成部(論理和ゲートOR0)に所定パターンのデジタルBIST入力信号DBIST_IN1及びIN2が入力される。なお、デジタルBIST入力信号DBIST_IN1及びIN2のパターンとしては、ハイレベル/ローレベルの組み合わせ(4通り)だけでなく、それぞれのパルス幅、パルス数、或いは、パルス周期などを任意に設定することができる。
その後、出力信号生成部では、デジタルBIST入力信号DBIST_IN1及びIN2に応じたデジタルBIST出力信号DBIST_OUTが生成される。
そして、第2自己診断部174では、出力信号生成部から帰還入力されるデジタルBIST出力信号DBIST_OUTの期待値判定(=実際の出力値と期待値との一致/不一致判定)を行うことにより、出力信号生成部が正常であるか否かの診断が行われる。
このとき、実際の出力値と期待値が一致していれば、出力信号生成部が正常である旨の診断結果(例えばDBIST_RST=L)が得られるので、デジタルBIST動作の完了後、リセット出力信号XRSTOUTがハイレベル(=リセット解除時の論理レベル)に立ち上がる。
一方、実際の出力値と期待値が不一致であれば、出力信号生成部に内部故障がある旨の診断結果(例えばDBIST_RST=H)が得られるので、デジタルBIST動作の完了後、リセット出力信号XRSTOUTがローレベル(=リセット時の論理レベル)に維持される。
このように、アナログBIST機能に加えて、デジタルBIST機能を備えていれば、コンパレータ150及び151の確からしさだけでなく、その後段に接続されるデジタル処理部170の確からしさ(動作の妥当性)についてもチェックすることができるので、監視IC100の信頼性向上に寄与することが可能となる。
なお、デジタルBISTは、例えば監視IC100の起動時に実施すればよい。また、アナログBISTとデジタルBISTは、シリアルに実施してもよいし、パラレルに実施してもよい。
ところで、本実施形態の監視IC100では、デジタル処理部170の後段に接続されるオープンドレイン出力段(I/Oブロック)の確からしさがチェックされておらず、監視IC100が偶発故障時に正しく動作する保証がない。そこで、上記の問題を解消するための第4実施形態を提案する。
<監視IC(第4実施形態)>
図12は、監視IC100の第4実施形態を示す図である。本実施形態の監視IC100は、先出の第3実施形態を基礎としつつ、XRSTOUTピンの固着検出機能(=リセット出力信号XRSTOUTのハイレベル固着を検出する機能)を実装するための手段として、マルチプレクサMUXOをレジスタ175を有する。
マルチプレクサMUXOは、出力切替信号IOHL[1]に応じて、論理和ゲートOR20の出力信号と、反転テスト出力信号IOHL[0]B(=テスト出力信号IOHL[0]の論理反転信号)のいずれかを選択し、トランジスタ180のゲート信号G0として出力する。
より具体的に述べると、マルチプレクサMUXOは、IOHL[1]=”0”であるときに論理和ゲートOR20の出力信号をゲート信号G0とし、IOHL[1]=”1”であるときに反転テスト出力信号IOHL[0]Bをゲート信号G0とする。
レジスタ175は、出力切替信号IOHL[1]及びテスト出力信号IOHL[0]それぞれの設定値を格納する。なお、出力切替信号IOHL[1]及びテスト出力信号IOHL[0]は、それぞれの外部入力を受け付けるSPIインタフェイス190を介して、マイコン300から任意に設定することが可能である。
図13は、第4実施形態における診断動作(マイコン300によるXRSTOUTピンの固着検出動作)の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、リセット出力信号XRSTOUT、及び、出力切替信号IOHL[1]とテスト出力信号IOHL[0]のSPI通信状態が描写されている。
まず、マイコン300は、SPI通信により出力切替信号IOHL[1]に”1”をセットする。その結果、レジスタ175への書き込みが完了する時刻t31以降、XRSTOUTピンの出力制御がノーマルコントロールからマニュアルコントロールに移行する。なお、テスト出力信号IOHL[0]の初期値は”0”である。従って、マニュアルコントロールへの移行直後には、トランジスタ180がオンしてリセット出力信号XRSTOUTがローレベルに立ち下がった状態(イニシャル状態)となる。
次に、マイコン300は、SPI通信によりテスト出力信号IOHL[0]に”1”をセットする。その結果、レジスタ175への書き込みが完了する時刻t32以降、トラジスタ180がオフしてリセット出力信号XRSTOUTがハイレベルにプルアップされた状態となる。従って、マイコン300は、リセット出力信号XRSTOUTを監視することにより、トランジスタ180が正常にオフするか否か(=リセット信号XRSTOUTがハイレベルに正しく立ち上がるか否か)を診断することができる。
続いて、マイコン300は、SPI通信によりテスト出力信号IOHL[0]に”0”をセットする。その結果、レジスタ175への書き込みが完了する時刻t33以降、トラジスタ180がオンしてリセット出力信号XRSTOUTがローレベルに立ち下げられた状態となる。従って、マイコン300は、リセット出力信号XRSTOUTを監視することにより、トランジスタ180が正常にオンするか否か(=リセット信号XRSTOUTがローレベルに正しく立ち下がるか否か)を診断することができる。
最後に、マイコン300は、SPI通信により出力切替信号IOHL[1]に”0”をセットする。その結果、レジスタ175への書き込みが完了する時刻t34以降、XRSTOUTピンの出力制御がマニュアルコントロールからノーマルコントロールに移行し、上記一連の診断動作が完了する。
このように、本実施形態の監視IC100であれば、マイコン300を用いたSPI制御により、XRSTOUTピンの固着故障を検出することができるので、その信頼性を向上することが可能となる。
なお、トランジスタ180としては、ドレインがXRSTOUTピンに接続されたオープンドレイン形式のNチャネル型MOSFETに代えて、コレクタがXRSTOUTピンに接続されたオープンコレクタ形式のnpn型バイポーラトランジスタを用いてもよい。
また、本実施形態では、XRSTOUTピンのみに着目したが、オープンドレイン出力段を持つ他の外部端子(PG1ピン〜PG4ピン、及び、MISOピン)についても、上記と同様の固着検出機能を導入するとよい。
<車両への適用>
図14は、車両Xの一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、バッテリから電力供給を受けて動作する種々の電子機器(車載機器)X11〜X18を搭載している。なお、本図における電子機器X11〜X18の搭載位置については、図示の便宜上、実際とは異なる場合がある。
電子機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
電子機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
電子機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
電子機器X14は、車両Xの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power steering]制御、電子サスペンション制御など)を行う制動ユニットである。
電子機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
電子機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、ダンパー(ショックアブソーバー)、電動サンルーフ、及び、電動シートなど、標準装備品やメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Xに組み込まれている電子機器である。
電子機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[electronic toll collection system]など、ユーザオプション品として任意で車両Xに装着される電子機器である。
電子機器X18は、車載ブロア、オイルポンプ、ウォーターポンプ、バッテリ冷却ファンなど、高耐圧系モータを備えた電子機器である。
なお、先に説明した監視IC100は、電子機器X11〜X18のいずれにも組み込むことが可能である。
<その他の変形例>
なお、上記の実施形態では、車載機器に搭載される監視ICを例に挙げたが、その適用対象はこれに限定されるものではなく、電子機器全般に広く適用することが可能である。
また、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。