JP2020162561A - 拡張不全心筋様組織の製造方法、それにより作製される拡張不全心筋様組織、及び拡張不全心筋様組織の張力測定システム - Google Patents

拡張不全心筋様組織の製造方法、それにより作製される拡張不全心筋様組織、及び拡張不全心筋様組織の張力測定システム Download PDF

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祐 山崎
勝久 松浦
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勝久 松浦
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Tatsuya Shimizu
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Abstract

【課題】本発明は、拡張不全心筋様組織の製造方法、それにより作製される拡張不全心筋様組織、及び拡張不全心筋様組織の張力測定システムを提供することを目的とする。【解決手段】(1)大気の酸素濃度未満の酸素濃度を有する第1雰囲気の中で、心筋様組織を培養する工程、を含む、拡張不全心筋様組織の製造方法、及びそれにより得られる拡張不全心筋様組織を提供する。また、拡張不全心筋様組織と、前記拡張不全心筋様組織の一端を保持した第1ホルダと、前記拡張不全心筋様組織の他端を保持した第2ホルダと、 前記第1ホルダが固定された培地槽と、前記第2ホルダに接続された張力検出手段と、を備えた、拡張不全心筋様組織の張力測定システムを提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、拡張不全心筋様組織の製造方法、それにより作製される拡張不全心筋様組織、及び拡張不全心筋様組織の張力測定システムに関する。
心不全は、日本をはじめとした先進国では、年々罹患者数が増加しており、その対策が急務な疾患である。拡張機能障害による心不全は、収縮不全に伴う心不全と同様に予後不良の病態であるが、拡張障害に伴う心不全の生命予後及び心不全入院などによる患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の改善に繋がる治療法は現時点では存在していない。
近年、ヒトiPS細胞由来の心筋細胞及び心筋組織を用いた心筋組織モデルが開発されており、心臓疾患に対する新たな治療薬や治療法の開発や、心疾患を引き起こすメカニズムを解明するための研究に用いられている(例えば、非特許文献1)。しかしながら、現在までのところ、心臓の拡張障害のインビトロモデルに関する報告はない。
これまでに、拡張不全モデル動物に関する報告は存在するが、これらの動物は遺伝子発現がヒトとは異なっており、また、これらの動物で効果が検証されたか化合物が未だ実用化されておらず、新規の拡張不全モデルの開発が期待されているところである。
Sasaki D.,et al.,Contractile force measurement of human induced pluripotent stem cell−derived cardiac cell sheet−tissue.PLoS One.2018 May 23;13(5):e0198026.
本発明は、拡張不全心筋様組織の製造方法、それにより作製される拡張不全心筋様組織、及び拡張不全心筋様組織の張力測定システムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、種々の角度から検討を加えて研究開発を行ってきた。その結果、大気の酸素濃度未満の酸素を含む雰囲気の中で、心筋様組織を培養することによって、拡張不全心筋様組織を作製できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の態様を含んでいる。
[1] 拡張不全心筋様組織の製造方法であって、
(1)大気の酸素濃度未満の酸素濃度を有する第1雰囲気の中で、心筋様組織を培養する工程、
(2)前記工程(1)の後に、前記第1雰囲気よりも高い酸素濃度を有する第2雰囲気の中で、心筋様組織を培養する工程、
を含む、方法。
[2] 前記第1雰囲気が、10%又はそれ未満の酸素濃度である、[1]に記載の方法。
[3] 前記第1雰囲気が、5%又はそれ未満の酸素濃度である、[1]に記載の方法。
[4] 前記第2雰囲気が、10%超の酸素濃度である、[2]又は[3]に記載の方法。
[5] 前記心筋様組織が、心筋細胞を含む細胞構造体である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の方法。
[6] 前記心筋細胞が、多能性幹細胞から分化誘導された心筋細胞である、[5]に記載の方法。
[7] 前記細胞構造体が、シート状の細胞構造体である、[5]又は[6]に記載の方法。
[8] [1]〜[7]のいずれか1項に記載の方法により作製される、拡張不全心筋様組織。
[9] [8]に記載の拡張不全心筋様組織と、
前記拡張不全心筋様組織の一端を保持した第1ホルダと、
前記拡張不全心筋様組織の他端を保持した第2ホルダと、
前記第1ホルダが固定された培地槽と、
前記第2ホルダに接続された張力検出手段と、
を備えた、拡張不全心筋様組織の張力測定システム。
[10] 前記張力検出手段に接続され、前記張力検出手段で検出した信号を演算し、張力を算出する演算器;及び、
前記演算器により算出された結果を表示する出力手段、
を備えた、[9]に記載のシステム。
本発明によれば、これまで提供されていなかった、インビトロで用いられる拡張不全心筋様組織を、再現性良く、安定的に提供することできる。また、本発明の拡張不全心筋様組織の張力測定システムを用いることによって、再現性良く、安定的に拡張不全心筋様組織に関するデータを取得することが可能となる。
一例における正常心筋様組織及び拡張不全心筋様組織の張力を示すグラフである。(A)正常心筋様組織、(B)拡張不全心筋様組織。 張力測定システムに適用され得る、一実施態様の第1ホルダ及び第2ホルダ及びその使用態様を示す。(A)第1ホルダ(第2ホルダ)を示す。(B)シリコーンモールドに設置した第1ホルダ及び第2ホルダを示す。(C)フィブリンゲル溶液をシリコーンモールドに注いだ後に、アクリル板で押さえている様子を示す。(D)(C)により作製された、第1ホルダと第2ホルダとの間に形成されたフィブリンゲルの様子を示す。 張力測定システムに適用され得る、一実施態様の第1ホルダ及び第2ホルダ及びその使用態様を示す。 ピューロマイシンを添加した後のiPSC−CMの純度の評価および実験プロトコール。(A)ピューロマイシン処理後の心筋トロポニンTおよびミオシン重鎖陽性を示す心筋細胞の代表的なフローサイトメトリー。(B)上は収縮力測定器の写真。下は収縮測定システムのイラスト。 (C)3つの異なる条件下で収縮力を測定した:1つ目は12日間連続で通常酸素(20%O)。2つ目は4日間の低酸素(1%O)に続く8日間の通常酸素(20%O)。3つ目は12日間連続低酸素(1%O)。0日目に1回目の機能評価を行った。機能的、分子生物学的および形態学的調査を4日目および12日目に、8日目は機能評価のみ行なった。 ヒトiPS細胞由来心筋組織の収縮機能に対する低酸素の影響。(A)心筋細胞シートから記録された代表的な収縮力の波形。 (B)心筋組織を通常酸素環境下(20%O;N4)または低酸素環境下(1%O;H4)で4日間培養した。収縮力、拍動数、収縮時間、弛緩時間、最大収縮速度および最大弛緩速度についてのデータが示されている(7つ以上のサンプルについての平均±SD)。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。 (C)通常酸素4日目と低酸素4日目の心筋組織機能の比較。低酸素4日目の心筋組織は、収縮力、拍動数、最大収縮速度、最大弛緩速度の有意な低下を認めた。 低酸素によってもたらされた形態学的および分子生物学的変化(A〜E)ヒトiPS細胞由来心筋細胞を、通常酸素環境(20%O;N4)または低酸素環境(1%O;H4)下で4日間培養した。(A)心筋トロポニンT陽性心筋細胞の代表的な画像。核はHoechstで染色されている。スケールバー、200μm。(B)各時点における49視野(7×7)における心筋トロポニンT陽性細胞数を計算し、グラフに示した。各群における心筋細胞の数は、N4群の平均値(n=10)を1とした場合の相対値として示されている。(C)サルコメア構造の代表的な画像。細胞をα−アクチニンで染色した。核はHoechstで染色した。スケールバー、40μm。 (D)心筋細胞におけるmRNA発現をq−PCRで解析した。データは、n=3回、平均±SDで示され、N4群の平均値を1とした場合の相対値として示されている。 (E)心筋細胞内のATP産生量を測定しグラフに示した。データはn=14で平均±SDとして示されている。RLU:相対的な蛍光単位。(F、G)心筋スフェロイドを割り当てられた期間培養した。(F)心筋スフェロイドから記録された代表的な細胞内Ca2+の蛍光強度の波形。(G)fluo−8を負荷した細胞から測定し、算出された細胞内Ca2+流入量。F/F0(最大蛍光強度をベースラインの蛍光強度で割ったもの)についてのデータは、平均値±SDとして表される。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。 iPS細胞由来心筋組織の収縮機能に対する通常酸素、低酸素/再酸素化および低酸素の影響。心筋組織を3つの条件下で培養した:1つ目は12日間連続で通常酸素(20%O)。2つ目は4日間の低酸素(1%O)に続く8日間の通常酸素(20%O)。3つ目は12日間連続で低酸素(1%O)。(A)4日目(D4)、8日目(D8)および12日目(D12)の代表的な収縮力の波形。 (B)各条件における4日目(D4)、8日目(D8)および12日目(D12)の収縮時間、弛緩時間、収縮力、拍動数、最大収縮速度および最大弛緩速度のデータの比較。データはn=6、平均±SDとして示されている。 (C)通常酸素12日間(NN12)と低酸素4日間/再酸素8日間(HN12)との間の収縮力、拍動数、収縮時間、弛緩時間、最大収縮速度および最大弛緩速度のデータの比較。データはn=6、平均±SDとして示されている。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。 低酸素/再酸素化によってもたらされた形態学的および分子生物学的変化。(A〜E)ヒトiPS由来心筋細胞を、12日間通常酸素(20%O)で培養したものをNN12とし、4日間低酸素下(1%O)で培養後に8日間通常酸素下(20%O)で培養した群をHN12とした。(A)心筋トロポニンT陽性心筋細胞の代表的な画像。核をHoechstで染色下。スケールバー、200μm。(B)各時点における49視野(7×7)cにおける心筋トロポニンT陽性細胞数を計算し、グラフに示した。各群の心筋細胞数については、NN12群の平均値を1とした相対値で示されている。(C)サルコメア構造の代表的な画像。細胞をα−アクチニンで染色した。核をHoechstで染色した。スケールバー、40μm。 (D)心筋細胞におけるmRNA発現をq−PCRで解析した。データは平均±SDとして示し、NN12群の平均値を1とした相対値で示されている。 (E)心筋細胞内のATP産生量を測定しグラフに示した。データは平均±SDとして示されている。RLU:相対的な蛍光単位。(F−I)心筋スフェロイドを割り当てられた期間培養した。(F)12日目の心筋スフェロイドから記録された細胞内Ca2+濃度を示す蛍光強度の代表的波形。(G)fluo−8を負荷し、12日間連続で通常酸素環境下で培養した心筋スフェロイドから測定した細胞内Ca2+流入量。(H)fluo−8を負荷し、4日間低酸素環境下で培養し、その後8日間再酸素化して培養した心筋スフェロイドから測定した細胞内Ca2+流入量。(I)12日目のNN12群とNH12群との間の細胞内Ca2+流入量の比較。F/F0(最大蛍光強度をベースライン蛍光強度で割ったもの)のデータは平均±SDとして示されている(NN12はn=16、NH12はn=26)。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。
以下、本発明の実施形態について、必要に応じて図面を参照にしながら説明する。実施形態の構成は例示であり、本発明の構成は、実施形態の具体的構成に限定されない。なお、なお、以下の「拡張不全心筋様組織」、「拡張不全心筋様組織の製造方法」、「拡張不全心筋様組織の張力測定システム」及び「心臓の拡張不全を治療または予防するための因子を評価する方法」において説明されている事項は、相互に適用され得る。
本明細書において、「第1」「第2」等の用語は、1つの要素をもう1つの要素と区別するために用いており、例えば、第1の要素を第2の要素と表現し、同様に第2の要素を第1の要素と表現してもよく、これによって本発明の範囲を逸脱するものではない。また、本明細書中で用いられる「約」を伴う値は、その値±20%未満、より好ましくは10%未満の範囲の値も含まれることを意味する。
特段の定義がない限り、本明細書で使用する用語(技術的用語および科学的用語)は、当業者が一般に理解している用語と同一の意味を有する。
<拡張不全心筋様組織>
本明細書において、「心筋様組織」とは、収縮及び弛緩する機能を有する、「単離された生体由来の心筋組織」又は「心筋細胞を含む細胞構造体」をいう。本発明に適用し得る「心筋様組織」は、例えば、シート状の心筋様組織であってもよく、棒状の心筋様組織であってもよいが、好ましくはシート状の心筋様組織である。本発明に適用し得る「単離された生体由来の心筋組織」は、哺乳動物由来の心臓から採取され、任意の形状(例えば、シート状又は棒状)に加工された心筋組織であってもよい。
本明細書において、「心筋細胞を含む細胞構造体」とは、少なくとも心筋細胞を含み、収縮及び弛緩する機能を有する細胞構造体をいう。「心筋細胞を含む細胞構造体」は、例えば、心筋細胞を含む懸濁液とハイドロゲルとを混合させて形成した構造体であってもよく、心筋細胞を含む細胞群のみから形成された構造体であってもよい。また、「心筋細胞を含む細胞構造体」の形状は、スフェロイド形状であってもよく、棒状であってもよく、シート状であってもよいが、本発明の張力測定システムで用いられる場合は、棒状またはシート状であることが好ましい。一実施態様において、「心筋細胞を含む細胞構造体」は、シート状の細胞構造体であり、例えば、膜状のハイドロゲルの上面に、心筋細胞を含む細胞群を播種し、培養することにより形成することができる。また、一実施態様において、「心筋細胞を含む細胞構造体」は、シート状の細胞構造体、例えば、細胞シートであってもよい。
本明細書において、「細胞シート」とは、複数の任意の細胞を含む細胞群を細胞培養基材上で培養し、細胞培養基材上から剥離することで得られる1層又は複数層のシート状の細胞群をいう。細胞シートを得る方法としては、例えば、温度、pH、光等の刺激によって分子構造が変化する高分子を被覆した刺激応答性培養基材上で細胞を培養し、温度、pH、光等の刺激の条件を変えて刺激応答性培養基材表面を変化させることで、細胞同士の接着状態は維持しつつ、刺激応答性培養基材から細胞をシート状に剥離する方法や、任意の培養基材上で細胞培養し、物理的にピンセット等により剥離して得る方法等が挙げられる。細胞シートを得るための刺激応答性培養基材としては、0〜80℃の温度範囲で水和力が変化するポリマーを表面に被覆した温度応答性培養基材が知られている。温度応答性培養基材上で、ポリマーの水和力が弱い温度域で細胞を培養し、その後、培養液をポリマーの水和力が強い状態となる温度に変化させることで細胞をシート状の細胞群として剥離させることができる。
細胞シートを得るために用いられる温度応答性培養基材は、細胞が培養可能な温度域でその表面の水和力を変化させる基材であることが好ましい。その温度域は、一般に細胞を培養する温度、例えば33℃〜40℃であることが好ましい。細胞シートを得るために用いられる培養基材に被覆される温度応答性高分子は、ホモポリマー、コポリマーのいずれであってもよい。このような高分子としては、例えば、特開平2−211865号公報に記載されているポリマーが挙げられる。
刺激応答性高分子、特に温度応答性高分子としてポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を用いた場合を例(温度応答性培養皿)について説明する。ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)は31℃に下限臨界溶解温度を有するポリマーとして知られ、遊離状態であれば、水中で31℃以上の温度で脱水和を起こしポリマー鎖が凝集して白濁する。逆に31℃未満の温度ではポリマー鎖は水和し、水に溶解した状態となる。本発明では、このポリマーがシャーレなどの基材表面に被覆されて固定されたものである。したがって、31℃以上の温度であれば、培養基材表面のポリマーも同じように脱水和するが、ポリマー鎖が培養基材表面に固定されているため、培養基材表面が疎水性を示すようになる。逆に、31℃未満の温度では、培養基材表面のポリマーは水和するが、ポリマー鎖が培養基材表面に被覆されているため、培養基材表面が親水性を示すようになる。このときの疎水的な表面は細胞が付着し、増殖できる適度な表面であり、また、親水的な表面は細胞が付着できない表面となる。そのため、該基材を31℃未満に冷却すると、細胞が基材表面から剥離する。細胞が培養面一面にコンフルエントになるまで培養されていれば、該基材を31℃未満に冷却することによって細胞シートを回収できる。温度応答性培養基材は、同一の効果を有するものであれば限定されるものではないが、例えば、セルシード社(東京、日本)が市販するUpCell(登録商標)などが挙げられる。
本明細書において、「心筋様組織」とは、心筋様組織に含まれる細胞数のうち、少なくとも心筋細胞が10%以上含まれるものをいい、例えば、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、99%以上含まれる。心筋細胞は動物由来のものであればよく、例えば、哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類、魚類の心筋細胞を用いることができる。好ましくは、哺乳動物由来の心筋細胞であり、例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、ブタ、イヌ、ヒツジ、ネコ、ヤギなどの哺乳動物由来の心筋細胞を用いることができる。
本発明に適用し得る心筋細胞は、生体組織から採取された初代細胞であってもよく、株化された心筋細胞であってもよく、多能性幹細胞若しくは組織幹細胞から分化誘導された心筋細胞であってもよい。
本明細書において「多能性幹細胞」とは、あらゆる組織の細胞へと分化する能力(分化多能性)を有する幹細胞の総称することを意図する。限定されるわけではないが、多能性幹細胞は胚性幹細胞(embryonic stem cell:ES細胞)、胚性癌腫細胞(embryonic carcinoma cell:EC細胞)、栄養芽幹細胞(trophoblast stem cell:TS細胞)、エビブラスト幹細胞(epiblast stem cell:EpiS細胞)、胚性生殖細胞(embryonic germ cell:EG細胞)、多能性生殖細胞(multipotent germline stem cell:mGS細胞)、人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell:iPS細胞)、Muse細胞等を含む。好ましくは、ES細胞又はiPS細胞である。多能性幹細胞としては公知の任意のものを使用可能であるが、例えば、国際公開第2009/123349号(PCT/JP2009/057041)に記載の多能性幹細胞を使用することができる。
本発明に適用し得る心筋細胞は、多能性幹細胞から分化誘導された細胞であってもよい。多能性細胞から心筋細胞へ分化させる方法は、公知の方法を用いることができる(例えば、Matsuura K.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.2012 Aug 24;425(2):321−327等を参照のこと)。
本発明に適用し得る「心筋様組織」は、心筋細胞以外の細胞が含まれていてもよく、例えば、心筋芽細胞、筋芽細胞、間葉系幹細胞、血管内皮細胞、血管内皮前駆細胞、線維芽細胞等が含まれていてもよい。
本明細書において、「拡張不全心筋様組織」とは、拡張能、すなわち、弛緩能が、本発明の方法を適応する前の心筋様組織と比較して低下した心筋様組織をいう。本明細書において、「拡張能」及び「弛緩能」との用語は、同義的に用いられるものであり、本明細書において相互に入れ替えて用いても同じことを意味する。
心筋様組織又は拡張不全心筋様組織の拡張能(弛緩能)は、例えば、Sasaki D.,et al.(PLoS One.2018 May 23;13(5):e0198026)に記載された方法を用いることによって測定することができる。例えば、シート状又は棒状の心筋様組織の一端(例えば下端)は第1ホルダに保持され、心筋様組織の他端(例えば上端)は第2ホルダに保持され、第1ホルダは培養槽に固定され、第2ホルダは張力検出手段に接続された張力測定システムを用いることによって、心筋様組織又は拡張不全心筋様組織の拡張能(弛緩能)を測定することができる(図4B参照)。張力測定手段は、例えば、ロードセルであり、心筋様組織が収縮することにより、張力(収縮力)を検出することができる。
本明細書において、「拡張不全心筋様組織」とは、正常な心筋様組織と比較して、最大弛緩速度が低下した心筋様組織をいう。本明細書において「弛緩速度」とは、心筋様組織の拍動の任意の1サイクル(収縮開始時から、最大収縮時を経て、収縮終了時まで)のうち、最大収縮時から収縮終了時まで間の任意の瞬間における、収縮力の減少率と定義することができ、例えば、図1のように接線(実線)の傾きの絶対値として表現され、以下の式1によって算出することができる。
(式中、
ΔTは、最大収縮時から収縮終了時までの間の任意の瞬間の時間差を表し、
ΔFは、最大収縮時から収縮終了時までの間の任意の瞬間の収縮力差を表す。)
本明細書において、「収縮開始時」とは、心筋様組織の拍動の任意の1サイクルにおける最大収縮力を100%とした場合に、20%の収縮力に達した時点と定義され、「最大収縮時」とは、最大収縮力に達した時点と定義され、「弛緩終了時」とは、20%の収縮力まで減少した時点と定義される。
本明細書において、「最大弛緩速度」とは、上記の弛緩速度のうち、最大の値となる弛緩速度と定義することができ、例えば、図1に示される接線の傾きの絶対値が最大となる値である。心筋様組織の弛緩速度は、経過時間によって変化するため、最大弛緩速度を指標として心筋様組織の拡張能(弛緩能)を比較することが好ましい。
一実施態様において、本発明により得られる拡張不全心筋様組織は、さらに、正常な心筋様組織と比較して、最大収縮速度が低下した心筋様組織であってもよい。本明細書において「収縮速度」とは、心筋様組織の拍動の任意の1サイクルのうち、収縮開始時から最大収縮時まで間の任意の瞬間における、収縮力の増加率と定義することができ、例えば、図1のように接線(点線)の傾きの絶対値として表現され、以下の式2によって算出することができる。
(式中、
ΔTCは、収縮開始時から最大収縮時までの間の任意の瞬間の時間差を表し、
ΔFCは、収縮開始時から最大収縮時までの間の任意の瞬間の収縮力差を表す。)
本明細書において、「最大収縮速度」とは、上記の収縮速度のうち、最大の値となる収縮速度と定義することができ、例えば、図1に示される接線の傾きの絶対値が最大となる値である。心筋様組織の収縮速度は、経過時間によって変化するため、最大収縮速度を指標として心筋様組織の収縮能を比較することが好ましい。
<拡張不全心筋様組織の製造方法>
本発明は、拡張不全心筋様組織の製造方法であって、
(1)大気の酸素濃度未満の酸素濃度を有する第1雰囲気の中で、心筋様組織を培養する工程、
(2)前記工程(1)の後に、前記第1雰囲気よりも高い酸素濃度を有する第2雰囲気の中で、心筋様組織を培養する工程、
を含む方法を提供する。
本明細書において、「大気の酸素濃度未満の酸素濃度を有する第1雰囲気」とは、大気中に含まれる酸素濃度よりも低い濃度の酸素を含む雰囲気をいい、例えば、20%未満の酸素濃度、好ましくは10%又はそれ未満の酸素濃度(例えば、0〜10%、又は0.1%〜10%)、より好ましくは5%又はそれ未満の酸素濃度(例えば、0〜5%、0.1〜5%、又は約1%)を有する雰囲気を適用することができる。本発明において、第1雰囲気を構成する気体は、酸素以外の条件は、通常の細胞の培養で適用される条件であってもよく、例えば、5%CO、飽和水蒸気(湿度約100%)であってもよい。第1雰囲気に含まれる酸素の濃度は、例えば、任意の酸素濃度に変更可能なインキュベータ等を用いることによって調製することができる。また、工程(1)において用いられる培地は、心筋細胞を培養可能な培地を用いればよく、特に限定されない。
本発明の工程(1)の実施時間は、第1雰囲気中の酸素濃度に応じて変化するために限定される訳ではないが、例えば、酸素濃度が5%又はそれ未満の場合、24時間〜240時間、好ましくは48時間〜196時間、より好ましくは60時間〜144時間、実施されてもよい。工程(1)を実施することにより、心筋様組織を構成する心筋細胞が虚血状態となり、拡張不全心筋様組織が誘導される。
本発明は、さらに、(2)前記工程(1)の後に、前記第1雰囲気よりも高い酸素濃度を有する第2雰囲気の中で、心筋様組織を培養する工程、を含んでいる。本明細書において、「第1雰囲気よりも高い酸素濃度を有する第2雰囲気」とは、工程(1)で用いられる第1雰囲気よりも高い酸素濃度を有する雰囲気であり、好ましくは、10%超の酸素濃度(例えば、10%超〜95%、15%〜95%、15%〜75%、15%〜50%、又は15%〜30%)、例えば、約20%の酸素濃度を有する雰囲気である。本発明において、第2雰囲気を構成する気体は、通常の細胞の培養で適用される条件であってもよく、例えば、5%CO、飽和水蒸気(湿度約100%)であってもよい。工程(2)において用いられる培地は、心筋細胞を培養可能な培地であればよく、特に限定されない。
本発明の工程(2)は、0時間以上、例えば、5分以上、1時間以上、3時間以上、12時間以上、24時間以上、48時間以上、72時間以上、96時間以上、120時間以上、240時間以上、又はそれ以上の時間実施してもよい。工程(1)によって、最大弛緩速度が低下した拡張不全心筋様組織が得られるために、工程(2)の実施時間は0時間(すなわち、工程(1)の終了直後)であってもよいが、低下した収縮力及び最大収縮速度を改善させるために、工程(2)は、例えば、12時間以上、好ましくは24時間以上、より好ましくは48時間以上、さらに好ましくは96時間以上、実施してもよい。工程(2)を実施することにより、工程(1)で低下した心筋様組織の収縮力及び最大収縮速度を改善させることができる一方で、最大弛緩速度の低下は維持されたままであり、拡張不全が強調された心筋様組織を得ることができる。しかしながら、工程(2)の実施時間は、工程(1)で低下した収縮力及び最大収縮速度の程度、又は所望するそれらの改善の程度に応じて調節されるため、特に限定されず、また、工程(2)の実施時間の上限も、特に限定されない。
<拡張不全心筋様組織の張力測定システム>
本発明は、
拡張不全心筋様組織と、
前記拡張不全心筋様組織の一端を保持した第1ホルダと、
前記拡張不全心筋様組織の他端を保持した第2ホルダと、
前記第1ホルダが固定された培地槽と、
前記第2ホルダに接続された張力検出手段と、
を備えた、拡張不全心筋様組織の張力測定システム、を提供する。
上述の拡張不全心筋様組織を製造する方法によって作製される拡張不全心筋様組織が、本発明の張力測定システムに適用され得る。本発明に適用され得る拡張不全心筋様組織は、その一端及び他端が第1ホルダ及び第2ホルダに保持されている。一実施態様において、拡張不全心筋様組織は、第1ホルダと第2ホルダとの間に形成されたハイドロゲルを介して保持してもよい。この場合、例えば、図2のように、第1ホルダ及び第2ホルダの一部には、ハイドロゲルを保持するためのゲル保持口(例えば、図2Aのメッシュ部材に相当)が備えられている。ゲル保持口に硬化する前のハイドロゲルが入り込み、それが硬化することで、ハイドロゲルが第1ホルダと第2ホルダとの間に保持される。ゲル保持口にハイドロゲルが引っかかることによって、ハイドロゲルに接着した心筋様組織、又はハイドロゲルに含まれる心筋細胞の収縮作用が第1ホルダ及び第2ホルダへと伝わる。
一実施態様において、第1ホルダと第2ホルダとの間に形成されるハイドロゲルは、保持される拡張不全心筋様組織に応じた形状であればよく、例えば、シート状又は棒状、好ましくはシート状である。第1ホルダと第2ホルダとの間にハイドロゲルを形成する方法としては、限定されるわけではないが、例えば、Sasaki D.,et al.(PLoS One.2018 May 23;13(5):e0198026)に記載の方法を参考にすることができる。例えば、所望の形状(例えば、シート状)にハイドロゲルを形成するためのモールドの内側の両端に、ゲル保持口が対向するように第1ホルダ及び第2ホルダを設置し(図2B)、硬化前のハイドロゲル溶液を流し込み、その上を平坦なアクリル板で押さえて硬化させる(図2C)。その後、モールドから取り外すことで、第1ホルダと第2ホルダとの間にシート状のハイドロゲルが形成される(図2D)。
本発明に適用し得るハイドロゲルとは、(1)心筋様組織が接着可能であり、(2)シート形状を維持できる強度を有し、(3)細胞の生育、機能発現等に悪影響を与えない、すなわち生体適合性のものであればよく、例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸などの水溶性、水親和性、若しくは水吸収性合成高分子、多糖、タンパク質、核酸などを化学架橋したハイドロゲルが挙げられる。多糖としては、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などのグリコサミノグリカン、デンプン、グリコーゲン、アガロース、ペクチン、セルロース等が挙げられる。また、タンパク質としては、コラーゲン及びその加水分解物であるゼラチン、プロテオグリカン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、エンタクチン、テネイシン、トロンボスポンジン、フォンビルブランド因子、オステオポンチン、フィブリノーゲン(例えば、フィブリノーゲンとトロンビンを反応させたフィブリンゲル)等が挙げられる。これらのハイドロゲルに対し、公知の方法を用いて架橋処理を行い、強度を上げて使用してもよい。本発明に用いるハイドロゲルとしては、好ましくは、フィブリンゲルである。本発明の一実施形態において、シート状のハイドロゲルは、予め細胞、例えば心筋細胞と混合させて形成させたものであってもよい。
一実施態様において、拡張不全心筋様組織は、上述の第1ホルダと第2ホルダとの間に形成されるハイドロゲルに接着して提供されてもよい。ハイドロゲルに拡張不全心筋様組織を接着させる方法については、例えば、例えば、Sasaki D.,et al.(PLoS One.2018 May 23;13(5):e0198026)に記載の方法を参考に接着させることができる。例えば、拡張不全心筋様組織が、心筋細胞を含む細胞シートである場合は、以下の方法により、ハイドロゲルに接着させることができる。
(i)所望の形状となるように細胞接着領域を制限する枠をのせた温度応答性培養(例えば、UpCell(登録商標)(セルシード社、東京、日本)上に、心筋細胞を含む細胞群を播種し、コンフルエントになるまで培養する。
(ii)コンフルエントとなった心筋細胞の上に、シート状のハイドロゲルを備えた第1ホルダ及び第2ホルダを載せる。
(iii)その後、温度応答性培養皿を下限臨界溶液温度以下、例えば20℃に保ち、温度応答性培養皿から心筋細胞を剥離させると同時に、ハイドロゲルの下面に接着させる。
一実施態様において、心筋細胞を含む細胞シートは、ハイドロゲルに単層で接着させてもよく、複数層で接着させてもよい。
他の態様において、第1ホルダ及び第2ホルダは、拡張不全心筋様組織を直接把持する手段であってもよい。
他の実施態様において、第1ホルダ及び第2ホルダは、さらに枠部材を備えてもよい。例えば、第1ホルダは、図3Aのように、内側が四角形に貫通している枠部材の内側面の一部に突出して設けられている。第2ホルダは、枠部材の上部に取り付けられ、第1ホルダと第2ホルダとが対向する軸方向にスライドする機構を有している。枠部材は、ハイドロゲルを形成する際の型枠の一部となる役割を果たすと同時に、ハイドロゲルと拡張不全心筋様組織に、側方から任意の物体が接触することを防止する役割も果たす。また、枠部材は、培地槽を構成する蓋体に取り付けることによって、第1ホルダを固定する役割も果たす(図3B)。
本発明において用いられる拡張不全心筋様組織は、上述の拡張不全心筋様組織の製造方法の各工程を、第1ホルダ及び第2ホルダに保持する前に実施されたものであってもよく、第1ホルダ及び第2ホルダに保持した後に実施されたものであってもよい。
一実施態様において、第1ホルダは、培地槽の底部に固定されてもよく、上述のように枠部材を介して、培地槽を構成する蓋体に固定されてもよい。第1ホルダが培地槽に固定されることにより、拡張不全心筋様組織によって生じる収縮力(張力)が、第2ホルダのみへ伝達される。
第2ホルダは、例えば、フックや把持手段等を介して、張力測定手段と接続されている。拡張不全心筋様組織が収縮すると、第2ホルダが下方へ引っ張られ、張力検出手段により加重が検出される。張力検出手段は、例えば、公知のロードセルを用いることができる。これにより、拡張不全心筋様組織が拍動することにより生じる収縮力(張力)を測定することができる(図4B参照)。
本発明の張力測定システムは、さらに、張力検出手段に接続され、前記張力検出手段で検出した信号を演算し、張力を算出する演算器;及び、前記演算器により算出された結果を表示する出力手段、を備えてもよい。
<心臓の拡張不全を治療または予防するための因子を評価する方法>
本発明の拡張不全心筋様組織の張力測定システムは、心臓の拡張不全を治療または予防するための因子を評価する方法に用いることができる。例えば、一実施態様において、本発明の方法は、
(1)拡張不全心筋様組織の張力測定システムに、候補因子を適用する工程、
(2)前記拡張不全心筋様組織の張力を測定し、前記拡張不全心筋様組織の最大弛緩速度を指標として、前記候補因子の治療または予防効果を評価する工程、
を含んでいる。
一実施態様において、工程(1)で適用する候補因子は、張力測定システムの培地槽に適用してもよく、上記の拡張不全心筋様組織の製造方法の任意の工程で適応(例えば、培地に添加)してもよい。
一実施形態において、工程(2)では、例えば、最大弛緩速度が、候補因子を添加していない、又は陰性対照因子を添加した拡張不全心筋様組織と比較して、高くなった候補因子を心臓の拡張不全を治療または予防する効果のある因子として評価することができる。
一実施態様において、候補因子は、例えば、低分子化合物、ペプチド、核酸、タンパク質、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)の細胞、組織抽出物又は細胞培養上清、植物由来の化合物又は抽出物(例えば、生薬エキス、生薬由来の化合物)、及び微生物由来の化合物若しくは抽出物又は培養産物などであってもよい。
以下に、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明するが、これらは本発明を限定することを意図するものではない。
<実施例1>
1.実験材料と方法
1−1.抗体
以下の抗体をフローサイトメトリー分析および免疫細胞化学分析に使用した。ウサギモノクローナル抗心筋トロポニンT(cTnT)抗体(ab45932、Abcam、ケンブリッジ、英国)、マウスモノクローナル抗α−アクチニン(Sarcomeric)抗体(A7811、Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)、PEコンジュゲートマウスモノクローナル抗ミオシン重鎖抗体(MF20、564408、B.D.Pharmingen、フランクリンレイクス、NJ)、APCコンジュゲート抗cTnT抗体(130−106、Miltenyi Biotec、Bergisch Gladbach、ドイツ)。二次抗体は、Jackson ImmunoResearch Laboratory(ペンシルベニア州ウェストグローブ)から購入した。
1−2.hiPS細胞から心筋細胞への分化と純化
iPS細胞株201B7は、理化学研究所(つくば、日本)から購入した。α−MHCプロモーターとrex−1プロモーター下に発現する薬物耐性遺伝子を、以前に記載されているように導入し、不活性化マウス胚性線維芽細胞(ReproCELL、横浜、日本)上で培養した。攪拌バイオリアクターシステム(Able、東京、日本)におけるhiPSCの心筋分化は、以前に記載された方法(Matsuura K.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.2012 Aug 24;425(2):321−327)に修正を加えて行なった。分化17日目の細胞凝集体を0.05%トリプシン/EDTAを用いて回収し、5%CO、37℃において10%ウシ胎児血清(FBS)およびペニシリン−ストレプトマイシン(Sigma−Aldrich)を添加したDMEMを用いて培養した。分化21日目に、心筋細胞へ1.5μg/mlピューロマイシン(Sigma−Aldrich)を添加し24時間培養した。分化23日目に、残った細胞を0.05%トリプシン/EDTAを用いて収集し、温度応答性培養皿に播種したのちに心筋細胞シートを作製した。
1−3.フィブリンゲルシートの作製
収縮力の測定を可能にするために、心筋細胞シートのベースとしてフィブリンゲルシートを作製した。Sasaki D.,et al.(PLoS One.2018 May 23;13(5):e0198026)に記載されているように、3Dプリンター(Objet 260 Connex3(商標);Stratasys、Eden Prairie、MN、USA)を使用して、紫外線硬化樹脂(MED610;Stratasys)からプラスチックプレート(長さ12mm×幅5mm×厚さ1.5mm、中央に6mm×3mmの長方形の穴と、片側に12mm×2mmメッシュを有する)を作製した。これらのプラスチックプレートはフィブリンシートを操作するための第1ホルダ及び第2ホルダとして使用した。フィブリンゲルシートを作製するための型(長さ12mm×幅26mm×深さ1.5mm)をシリコーンシートから作製し、そして各型の両側に上記で作製した第1ホルダ及び第2ホルダを配置した。そこへ10mg/mLのフィブリノーゲン(F8630;Sigma−Aldrich)、0.5単位/mLのトロンビン(T4648; Sigma−Aldrich)、20IU/mLのフィブロガムミンP(CSL Behring KK、K。東京、日本)および2mM CaClを充填しフィブリンゲルシートを作製した。
1−4.収縮力測定のための心臓細胞シートの作製
前述のように、最初にシリコーンフレームを滅菌し、温度応答性培養皿(UpCell;セルシード、東京、日本)の表面に配置した。細胞培養面積は12mm×12mmとなるよう設計し、培養表面は細胞播種前に一晩FBSでコーティングを行なった。分化23日目にiPS心筋細胞を前述の温度応答性培養皿へ3×10細胞/cmで播種し、37℃、5%COの加湿気内で10%FBSを添加したDMEM下に培養した。培地は分化24日目に交換され、その後は一日おきに交換された。分化28日目に培地を30mM KClおよび500kIU/mLアプロチニンを含有する前述のDMEMに交換した。高濃度KClによって心筋細胞の拍動を停止させた後にシリコーンフレームを取り除き、事前に作製していたフィブリンゲルシートを、細胞を上から覆うように配置し、37℃、5%COの加湿インキュベータ中で一晩培養し、細胞とフィブリンゲルシートを接着させた。分化29日目に、フィブリンゲルシートが覆われたままの状態で、培養皿を20℃の低温インキュベータ(WAKEN B TECH、京都、日本)に移動させ、1時間かけて心筋細胞シートが温度応答性培養皿表面から剥離するのを待った。その後、心筋細胞シートが接着しているフィブリンゲルシートを取り出し、37℃、5%COの加湿インキュベータ内で10%FBSと1%ペニシリン/ストレプトマイシンを添加したDMEMで培養を行なった。
1−5.収縮力測定
収縮力測定システムの構成は、Sasaki D.,et al.(PLoS One.2018 May 23;13(5):e0198026)に詳細に説明された通りである(図4B参照)。収縮力測定装置は、ロードセル(LVS−10GA;協和電子機器、東京、日本)およびアクリル板製の培養槽から構成される。培養槽の底にフィブリンゲルシートの第2ホルダを固定するためのクリップが配置されている。ロードセルの高さは、一軸ステージ(中央精機、東京、日本)によって微調整することができる。カスタムメイドのフック(Objet Eden350; Stratasys)を用いてフィブリンゲルシートをロードセルのセンサーロッドから吊り下げ、そしてフィブリンゲルシートの下側の第2ホルダを培養槽の底部のクリップで保持した。前面の穴はゴム栓を用いて塞げるように設計されている。収縮力測定時に用いる培地には10%FBS、500KIU/mlアプロチニン、ペニシリン−ストレプトマイシンを含むM199(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)を用い、グローブボックス内で37℃を保って収縮力を測定した。ロードセルをひずみ増幅器(DPM−912B;Kyowa Electronic Instruments)に接続し、測定された収縮力をA/D変換器(Power Lab 8/30;ADInstruments、Bella Vista、Australia)を通して記録した。培養槽、フック、磁気バー、およびゴム栓は使用前にエチレンオキシドガスで滅菌した。
1−6.免疫染色による解析
各条件下で細胞数を評価するために、細胞を24ウェルプレート(Corning、Corning、NY)に播種し、割り当てられた条件に従って4〜12日間インキュベートした。細胞は4%パラホルムアルデヒドで固定し、免疫染色を行なった。画像はImageXpress(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を用いて撮影した。データ分析には、MetaXpressおよびAcuityソフトウェア(Molecular Devices)を使用した。サルコメアを評価するために、細胞を60mm培養皿上に配置したカバーガラス上に播種し、実験プロトコールに従って指定された期間培養した。核はヘキスト33258(H341、同仁化学研究所、神奈川、日本)で染色した。画像はBZ−9000蛍光顕微鏡(KEYENCE CORPORATION、大阪、日本)を用いて取得した。
1−7.Ca2+イメージング
分化23日目のhiPS心筋細胞を、5×10細胞/cmでEZスフィア(AGCテクノグラス、静岡、日本)に播種してスフェロイドを形成した。翌日(24日目)、自律拍動を確認し、スフェロイドを正常酸素(20%O)または低酸素(1%O)インキュベータに移し、10%FBSおよびペニシリン−ストレプトマイシンを添加したDMEM(Sigma)で培養した。培地は4日ごとに交換した。細胞内のCa2+動態を観察するために、Fluo−8(AAT Bioquest、カリフォルニア州サニーベール)を使用した。観察時の培地には、フェノールレッドフリーのDMEM(カタログ番号08489−45、京都、日本)を使用した。蛍光レベルの変化は、ORCA−R2(浜松ホトニクス株式会社、静岡、日本)により100msecの速度でモニタリングされ、ベースライン補正およびカラー可視化のために画像処理ソフトウェア(AQUA COSMOS;浜松ホトニクス株式会社)を使用した。C−Pace EP(ION OPTIX、ウェストウッド、マサチューセッツ州)を用いて1Hzの電気刺激下で記録した。
1−8.RNA抽出と定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)
RNeasy Micro Kit(QIAGEN、Venlo、オランダ)を用いてRNAを抽出した。ランダムヘキサマープライマーと共に、cDNA逆転写キット(Applied Biosystems、Stockholm、Sweden)を用いてcDNA合成を行った。各試料のリアルタイムPCR分析を、StepOneおよびStepOnePlusリアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)を用いて行った。リアルタイムPCRのためのTaqManアッセイは表1に列挙された通りで、各サンプルについては、遺伝子転写物の平均コピー数をβ−アクチンのコピー数に対して補正した。
1−9.ATP産生量の決定
分化23日目のhiPS心筋細胞を96ウェルプレート(165306;Thermo Fisher Scientific)に播種し、2日間培養した(25日目)。次いで、細胞を正常酸素(20%O)または低酸素(1%O)インキュベータ内で指定期間培養した。ATP産生量の測定にはCellTiter−Glo発光細胞生存度アッセイG7570(米国ウィスコンシン州マディソンのPromega)を用いた。
1−10.統計分析
データは平均±標準偏差として提示されている。2群間の比較のために、スチューデントのt検定または対応のあるt検定を用いて統計分析を行った。一元配置反復分析分散分析とそれに続く平均値の比較のためのTukeyまたはDunnett法によって多重群比較を行った。p<0.05の値を統計学的に有意と見なした。
2.結果
本研究で用いた心筋シートは、αミオシン重鎖プロモーター下にピューロマイシン耐性遺伝子を発現する201B7ヒトiPS細胞を用いて作製された。本手法では、ピューロマイシン曝露によりiPS細胞由来心筋細胞の純化が可能となる。図4Aはフローサイトメーターを用いた解析結果であり、ピューロマイシン処理後の細胞の多くは、心筋トロポニンT陽性の心筋細胞であることが分かる。我々はこれまでに、ピューロマイシン処理後の非心筋細胞は、ビメンチン陽性の線維芽細胞であることを報告しており、ヒトiPS細胞由来心筋シートは、主に心筋細胞と線維芽細胞より構成されていると考える。
心筋シート機能に対する低酸素および再酸素化の影響を評価するために、単層心筋シート張力測定系を用いた(図4B)。最初に、フィブリンゲル状の心筋シートを4日間通常酸素(20%O)又は低酸素(1%O)環境下で培養し、心筋組織機能を比較した(図4C)。実験開始前(Day0)の単層心筋シートの張力は1mN程度であり、通常酸素環境下での4日間の培養では変化しなかった(図5A及びB)。一方で、4日間の低酸素培養後に張力は有意に低下した(図5A及びB)。さらに、拍動数、収縮時間、弛緩時間、最大収縮速度、最大弛緩速度も、4日間の低酸素環境下での培養により、培養開始前に比して顕著に低下・短縮した(図5B)。4日間の低酸素環境下での培養による張力、拍動数、最大収縮速度、最大弛緩速度の低下は、4日間の通常酸素培養群と比しても有意であったことから(図5C)、ヒトiPS細胞由来心筋シート機能は、低酸素環境により低下すると考えられた。
次に低酸素における心筋組織機能低下の機序について検討した。ヒトiPS細胞由来心筋細胞を4日間通常酸素又は低酸素環境で培養したところ、心筋トロポニンT陽性細胞数に両群間で差を認めなかった(図6A及びB)。興味深いことに、4日間の低酸素曝露のおいても、通常酸素群と比して心筋細胞の横紋構造にも顕著な変化は認めなかった(図6C)。免疫染色の結果に一致して、NPPAを除く様々な心筋遺伝子のmRNA発現レベルには両群間で差を認めなかった(図6D)。これらの結果は、細胞死や心筋収縮に関与する遺伝子発現の変化が、低酸素における心筋組織機能低下を説明しうるものでないことを示唆するものである。一方で、4日間の低酸素環境での培養は、通常酸素群に比して心筋細胞におけるATP産生を有意に低下させた(図6E)。さらに、4日間の低酸素後の心筋細胞における細胞内カルシウム流入変化量は、通常酸素群に比して有意に低下していた(図6F及びG)。これらの結果より、不十分なATP産生および細胞内へのカルシウム流入抑制が、低酸素における心筋組織張力低下に寄与したものと考えられた。
4日間の低酸素環境での培養がATP産生抑制および細胞内カルシウム流入抑制を介し心筋組織機能低下を来すことは明らかとなったが、再酸素化の心筋組織機能に対する影響は不明である。4日間低酸素環境で培養したヒトiPS細胞由来心筋組織(低酸素:Day0−4)を低酸素/再酸素化群(通常酸素:Day4−12)および低酸素群(低酸素:Day4−8(持続的低酸素))に割り付けた(図4C)。4日間通常酸素下で培養したヒトiPS細胞由来心筋組織(通常酸素:Day0−4)は、さらに8日間通常酸素(Day4−12)で培養し、コントロール(持続的通常酸素)とした。持続的通常酸素群では、Day4からday12にかけて張力、最大収縮速度は徐々に増加し、収縮時間は減少した一方で(図7A及びB)、弛緩時間、最大弛緩速度および拍動数には変化を認めなかった(図7A及びB)。持続的低酸素群では、張力、最大収縮速度、最大弛緩速度、拍動数がday4からday8にかけて低下し(図7A及びB)、低酸素12日目には自律拍動は観察されなかった。4日間の低酸素と引き続いての8日間の通常酸素で培養した心筋シートにおいては(低酸素/再酸素化)、張力と最大収縮速度が顕著に回復したが(図7A及びB)、拍動数は12日目においても抑制されたままであった(図7B)。重要なことに、再酸素化群ではDay4からday12にかけて顕著な弛緩時間の延長を来し(図7B)、最大弛緩速度は依然低値のままであり、持続的通常酸素群と比しても有意に最大弛緩速度は低値であった(図7C)。これらの結果は、低酸素及び再酸素化が弛緩機能の低下を来すことを示唆するものである。
次に、再酸素化後の心筋組織張力回復の機序について検討した。ヒトiPS細胞由来心筋細胞を12日間細胞培養プレート上で培養したところ(持続的通常酸素群、低酸素/再酸素化群)(図4C)、心筋トロポニンT陽性細胞数に両群間で差を認めなかったことから(図8A及びB)、低酸素/再酸素環境が心筋細胞死を誘導する可能性が低いと考えられた。横紋構造は再酸素化後も明瞭に保持されていた(図8C)。培養12日目の定量的RT−PCRによるmRNA発現解析では、持続的通常酸素群に比して、低酸素/再酸素化群でホスホランバン(PLN)の有意な発現上昇が観察された(図8D)。したがって、低酸素/再酸素化は、心筋細胞内カルシウム、収縮・弛緩の制御に重要な役割を担う遺伝子の発現上昇を来すものと考えられた。TNNT2、MYL2、MYL7、MYH6、MYH7、NPPA、CACNA1Cを含む複数の遺伝子の発現は上昇する傾向を示したが、統計学的には有意ではなかった(図8D)。Day8におけるATPレベルは、低酸素/再酸素化群および持続的通常酸素化群で有意差を認めなかった(図8E)。4日間の低酸素はATP産生の低下を来したことから(図6E)、再酸素化後に4日間通常酸素へ戻すことでATP産生レベルが正常化したものと考えられた。細胞内カルシウム流入変化量はDay4からDay12の間の持続的通常酸素においてよく保たれていた(図8F、G)。4日間の低酸素に曝露した心筋細胞は、再酸素化によりDay8およびDay12において細胞内カルシウム流入変化量が回復し(図8F、H)、Day12における細胞内カルシウム流入変化量は、持続的通常酸素群と低酸素/再酸素化群で有意差を認めなかった(図8I)。
以上の結果から、本発明の心筋様組織が拡張不全の特徴を示し、心臓の拡張不全に関する研究に十分供せられることが明らかになった。

Claims (10)

  1. 拡張不全心筋様組織の製造方法であって、
    (1)大気の酸素濃度未満の酸素濃度を有する第1雰囲気の中で、心筋様組織を培養する工程、
    (2)前記工程(1)の後に、前記第1雰囲気よりも高い酸素濃度を有する第2雰囲気の中で、心筋様組織を培養する工程、
    を含む、方法。
  2. 前記第1雰囲気が、10%又はそれ未満の酸素濃度である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1雰囲気が、5%又はそれ未満の酸素濃度である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記第2雰囲気が、10%超の酸素濃度である、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記心筋様組織が、心筋細胞を含む細胞構造体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記心筋細胞が、多能性幹細胞から分化誘導された心筋細胞である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記細胞構造体が、シート状の細胞構造体である、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により作製される、拡張不全心筋様組織。
  9. 請求項8に記載の拡張不全心筋様組織と、
    前記拡張不全心筋様組織の一端を保持した第1ホルダと、
    前記拡張不全心筋様組織の他端を保持した第2ホルダと、
    前記第1ホルダが固定された培地槽と、
    前記第2ホルダに接続された張力検出手段と、
    を備えた、拡張不全心筋様組織の張力測定システム。
  10. 前記張力検出手段に接続され、前記張力検出手段で検出した信号を演算し、張力を算出する演算器;及び、
    前記演算器により算出された結果を表示する出力手段、
    を備えた、請求項9に記載のシステム。
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