JP2020154130A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電子写真感光体の表面に付着した油分に起因する感光層の割れの発生が抑制された電子写真感光体を提供すること。【解決手段】導電性基体と、前記導電性基体上に設けられ、単独重合体である樹脂と電荷発生材料と正孔輸送材料と電子輸送材料とを含む単層型の感光層であって、前記感光層のガラス転移温度をTg℃としたとき、(Tg+10)℃以上(Tg+30)℃以下における面内方向の線膨張係数αが0.0040以下である単層型の感光層と、を有する電子写真感光体である。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
特許文献1には、基体上に、正孔輸送剤、電荷発生剤及び結着樹脂を含む感光層が設けられた電子写真感光体であって、前記正孔輸送剤が特定のヒドラゾン化合物であるとともに、前記結着樹脂における無機性値を有機性値で割った値を0.36以上の値とすることを特徴とする電子写真感光体が開示されている。
特許文献2には、導電性支持体上に、少なくとも正孔輸送材料および結着樹脂を含む電荷輸送層と、少なくとも電荷発生材料、正孔輸送材料、電子輸送材料および結着樹脂を含む電荷発生層とが順次積層されてなる積層型正帯電の電子写真用感光体において、前記電荷発生層および前記電荷輸送層に含まれる残留溶媒の合計量が、50μg/cm以下であり、該電荷発生層における電子輸送材料と正孔輸送材料との質量比率が5:1〜4:2の範囲であり、該電荷輸送層の膜厚が3μm〜40μmの範囲であり、該電荷発生層の膜厚が3μm〜40μmの範囲であって、かつ、前記電荷発生層および前記電荷輸送層全体の水分含有率が、0.05質量%〜1.5質量%の範囲であることを特徴とする電子写真用感光体が開示されている。
特許文献3には、感光層を備える電子写真感光体であって、前記感光層は、正孔輸送剤とバインダー樹脂とを含有し、前記正孔輸送剤の含有量は、100質量部の前記バインダー樹脂に対して、40質量部以上100質量部以下であり、前記バインダー樹脂として、特定の繰り返し単位を有する樹脂が含有され、前記正孔輸送剤として、特定の構造を有する化合物が含有される、電子写真感光体が開示されている。
特開2008−203766号公報 特開2015−212837号公報 特開2017−068014号公報
近年、製造コスト等の観点から、電子写真感光体として、単層型の感光層を有する感光体(以下、「単層型感光体」ともいう)が用いられている。また、単層型感光体では、製造コスト及び表面再生容易性(すなわちリフレッシュ性)等の観点から、感光層に用いる結着樹脂として単独重合体を用いることが望ましい。
しかし、感光層の結着樹脂として単独重合体を用いた単層型感光体では、単層型感光体の表面に油分(例えば、指の油等)が付着したときに、その油分に起因する割れが生じることがある。
本発明は、単独重合体である樹脂を含み前記線膨張係数αが0.0040より大きい単層型の感光層を有する場合に比較して、電子写真感光体の表面に付着した油分に起因する感光層の割れの発生が抑制された電子写真感光体の提供を目的とする。
上記課題は、以下の手段により解決される。
<1>
導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられ、単独重合体である樹脂と電荷発生材料と正孔輸送材料と電子輸送材料とを含む単層型の感光層であって、前記感光層のガラス転移温度をTg℃としたとき、(Tg+10)℃以上(Tg+30)℃以下における面内方向の線膨張係数αが0.0040以下である単層型の感光層と、
を有する電子写真感光体。
<2>
前記線膨張係数αは、0.0025以上である<1>に記載の電子写真感光体。
<3>
前記単独重合体である樹脂は、ポリカーボネート樹脂及びポリアリレート樹脂から選択される少なくとも1種を含む<1>又は<2>に記載の電子写真感光体。
<4>
前記単独重合体である樹脂は、ポリカーボネート樹脂を少なくとも含む<3>に記載の電子写真感光体。
<5>
前記ポリカーボネート樹脂は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する<4>に記載の電子写真感光体。
一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数5以下の置換若しくは非置換のアルキル基、又は置換若しくは非置換のフェニル基を示し、RとRとでシクロ環を形成していてもよい。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数3以下の置換若しくは非置換のアルキル基を示す。
<6>
前記単独重合体である樹脂の含有量は、前記感光層全体に対し、40質量%以上60質量%以下である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
<7>
前記単独重合体である樹脂の含有量は、前記感光層全体に対し、50質量%以上60質量%以下である<6>に記載の電子写真感光体。
<8>
前記電荷発生材料は、V型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を含み、
前記正孔輸送材料は、下記一般式(B−1)で表される化合物を含み、
前記電子輸送材料は、下記一般式(C−1)で表される化合物を含む<1>〜<7>のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
一般式(B−1)中、RB1は、水素原子またはメチル基を示す。n11は1または2を示す。ArB1およびArB2は各々独立に置換若しくは未置換のアリール基、−C−C(RB3)=C(RB4)(RB5)、又は−C−CH=CH−CH=C(RB6)(RB7)を示し、RB3〜RB7はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表す。
一般式(C−1)中、RC11、RC12、RC13、及びRC14は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又はフェニル基を示す。
<9>
<1>〜<8>のいずれか1つに記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
<10>
<1>〜<8>のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
<1>又は<8>に係る発明によれば、単独重合体である樹脂を含み前記線膨張係数αが0.0040より大きい単層型の感光層を有する場合に比較して、電子写真感光体の表面に付着した油分に起因する感光層の割れの発生が抑制された電子写真感光体が提供される。
<2>に係る発明によれば、前記線膨張係数αが0.0025未満である場合に比較して、低温低湿下における感光層の割れの発生が抑制された電子写真感光体が提供される。
<3>に係る発明によれば、単独重合体である樹脂がポリカーボネート樹脂及びポリアリレート樹脂から選択される少なくとも1種を含む場合であっても、前記線膨張係数αが0.0040より大きい単層型の感光層を有する場合に比較して、電子写真感光体の表面に付着した油分に起因する感光層の割れの発生が抑制された電子写真感光体が提供される。
<4>に係る発明によれば、単独重合体である樹脂がポリカーボネート樹脂を含む場合であっても、前記線膨張係数αが0.0040より大きい単層型の感光層を有する場合に比較して、電子写真感光体の表面に付着した油分に起因する感光層の割れの発生が抑制された電子写真感光体が提供される。
<5>に係る発明によれば、単独重合体であるポリカーボネート樹脂が一般式(1)で表される繰り返し単位を有する場合であっても、前記線膨張係数αが0.0040より大きい単層型の感光層を有する場合に比較して、電子写真感光体の表面に付着した油分に起因する感光層の割れの発生が抑制された電子写真感光体が提供される。
<6>に係る発明によれば、単独重合体である樹脂の含有量が40質量%以上60質量%以下であっても、単独重合体である樹脂を含み前記線膨張係数αが0.0040より大きい単層型の感光層を有する場合に比較して、電子写真感光体の表面に付着した油分に起因する感光層の割れの発生が抑制された電子写真感光体が提供される。
<7>に係る発明によれば、単独重合体である樹脂の含有量が50質量%以上60質量%以下であっても、単独重合体である樹脂を含み前記線膨張係数αが0.0040より大きい単層型の感光層を有する場合に比較して、電子写真感光体の表面に付着した油分に起因する感光層の割れの発生が抑制された電子写真感光体が提供される。
<9>又は<10>に係る発明によれば、単独重合体である樹脂を含み前記線膨張係数αが0.0040より大きい単層型の感光層を有する電子写真感光体を備える場合に比較して、電子写真感光体の表面に付着した油分に起因する感光層の割れの発生による画像欠陥が抑制されるプロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す概略部分断面図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明および実施例は、実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
[電子写真感光体]
本実施形態に係る電子写真感光体(以下「感光体」ともいう)は、導電性基体と、前記導電性基体上に設けられ、単独重合体である樹脂と電荷発生材料と正孔輸送材料と電子輸送材料とを含む単層型の感光層であって、前記感光層のガラス転移温度をTg℃としたとき、(Tg+10)℃以上(Tg+30)℃以下における面内方向の線膨張係数αが0.0040以下である単層型の感光層と、を有する。
近年、感光体として、製造コスト等の観点から、単層型の感光層を有する単層型感光体が用いられている。その単層型感光体の中でも、さらに製造コストを抑える観点から、感光層に用いる結着樹脂として単独重合体が好ましく用いられる。特に、結着樹脂として単独重合体を用いた単層型の感光層が最表面層である単層型感光体では、共重合体を用いた場合に比べ、クリーニングブレードや現像ローラによる表面の再生が容易であり、良好なリフレッシュ性が得られやすい。
しかしながら、感光層の結着樹脂として単独重合体を用いた単層型感光体では、単層型感光体の表面に油分(例えば、指の油等)が付着すると、その油分が感光層の内部に浸透し、浸透した油分に起因する割れ(以下「ケミカルクラック」ともいう)が生じることがある。
上記ケミカルクラックが生じる理由は定かではないが、感光層内に応力が残留しているためと考えられる。感光層は、例えば、感光層形成用塗布液を基体に塗布し、乾燥させることで得られる。そして、乾燥後に冷却させる過程(例えば、乾燥によって高くなった感光体の温度を室温(例えば20℃)に戻す過程)では、導電性基体と感光層との間で、冷却される速度及び冷却による収縮率に差異が生じ、この差異に起因して感光層内に応力が残留すると考えられる。そして、応力が残留した状態の感光層に油分が付着し感光層の内部に浸透すると、感光層内の成分が次第に油分へ溶解して空隙が生じ、結着樹脂における分子鎖の絡み合い構造が残留応力に耐え切れず、ケミカルクラックが生じやすくなるものと推測される。
特に、感光層の結着樹脂として単独重合体を用いた場合、感光層の結着樹脂として共重合体を用いた場合に比べてケミカルクラックが生じやすい。その理由は定かではないが、共重合体では異なる構造単位が互いに相互作用することで応力が緩和されやすいのに対し、単独重合体では異なる構造単位を有していないため、応力が維持されやすく、ケミカルクラックが生じやすいと推測される。
これに対して、本実施形態では、感光層における前記線膨張係数αが0.0040以下である。線膨張係数αが0.0040以下の感光層は、線膨張係数αが0.0040よりも大きい場合に比べ、感光層をガラス転移温度以上に加熱したときに開放される残留応力が小さい。つまり、線膨張係数αが0.0040以下の感光層は、感光層内に残留している応力が小さいため、感光層の結着樹脂として単独重合体が用いられていても、上記ケミカルクラックが抑制されるものと推測される。
そして、ケミカルクラックが抑制された本実施形態の感光体を画像形成装置に適用することで、ケミカルクラックに起因する画像欠陥が抑制された画像が得られる。
ここで、上記「線膨張係数α」は、以下の測定により得られる値である。
まず、測定対象の感光層から試料断面積0.155mm、試料長5.0mm、の測定試料を切り出す。なお、前記測定試料は、試料長の方向が感光層の面内方向(すなわち、感光層の厚み方向に対して垂直な方向)となるように切り出す。
一方、測定装置として熱機械分析装置(Shimazu社、型番:TMA−60/60H)を用い、測定装置の荷重を2.0g、測定温度範囲を25℃以上150℃以下、加熱速度を5℃/minに設定し、上記測定試料における試料長の温度依存性を測定する。
測定試料のガラス転移温度をTg、試料長をLとし、(Tg+10)℃以上(Tg+30)℃以下の範囲における試料長の変化量をΔL、温度の変化量をΔTとしたとき、下記式により線膨張係数αが算出される。
式 : α=(1/L)×(ΔL/ΔT)
なお、「線膨張係数α」の値を前記範囲に制御する実現手段は特に限定されるものではなく、例えば、感光層を形成する過程において、感光層形成用塗布液を基体に塗布し乾燥させた後、調温室の設定温度を多段階で下げ、室温(例えば20℃)まで徐々に冷却することで、線膨張係数αの値を制御する方法が挙げられる。
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係る電子写真感光体を詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体7の一部の断面を概略的に示している。図1に示す電子写真感光体7は、例えば、導電性基体3と、導電性基体3上に、下引層1と、単層型の感光層2が、この順で設けられている。
なお、下引層1は、必要に応じて設けられる層である。即ち、単層型の感光層2は、導電性基体3上に直接設けられていてもよく、下引層1を介して設けられてもよい。
図1に示す電子写真感光体は、必要に応じてその他の層をさらに設けてもよい。その他の層としては、例えば、下引層と感光層との間に設けられる中間層、単層型の感光層上に設けられる保護層等が挙げられる。
なお、製造コストの観点からは、単層型の感光層が最外層(すなわち、表面層)であることが好ましい。単層型の感光層が最外層である場合、感光体の表面に付着した油分が感光層の内部に浸透しやすいが、本実施形態では前述の通り線膨張係数αが前記範囲であるため、単層型の感光層が最外層であってもケミカルクラックが抑制される。
以下、本実施形態に係る電子写真感光体の各層について詳細に説明する。なお、符号は省略して説明する。
(導電性基体)
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
導電性基体の表面は、電子写真感光体がレーザプリンタに使用される場合、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を抑制する目的で、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化されていることが好ましい。なお、非干渉光を光源に用いる場合、干渉縞防止の粗面化は、特に必要ないが、導電性基体の表面の凹凸による欠陥の発生を抑制するため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、例えば、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、回転する砥石に導電性基体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が挙げられる。
粗面化の方法としては、導電性基体の表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、導電性基体の表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も挙げられる。
陽極酸化による粗面化処理は、金属製(例えばアルミニウム製)の導電性基体を陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することにより導電性基体の表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、多孔質陽極酸化膜に対して、酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、例えば、0.3μm以上15μm以下が好ましい。この膜厚が上記範囲内にあると、注入に対するバリア性が発揮される傾向があり、また繰り返し使用による残留電位の上昇が抑えられる傾向にある。
導電性基体には、酸性処理液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
ベーマイト処理は、例えば90℃以上100℃以下の純水中に5分から60分間浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分から60分間接触させて行う。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
(下引層)
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ωcm以上1011Ωcm以下の無機粒子が挙げられる。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子のBET法による比表面積は、例えば、10m/g以上がよい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
無機粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
無機粒子は、表面処理が施されていてもよい。無機粒子は、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤と他のシランカップリング剤とを併用してもよい。この他のシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面処理剤による表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法のいずれでもよい。
表面処理剤の処理量は、例えば、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
ここで、下引層は、無機粒子と共に電子受容性化合物(アクセプター化合物)を含有することが、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性が高まる観点からよい。
電子受容性化合物としては、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;等の電子輸送性物質等が挙げられる。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
電子受容性化合物は、下引層中に無機粒子と共に分散して含まれていてもよいし、無機粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。
電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着させる方法としては、例えば、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
乾式法は、例えば、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させた電子受容性化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させて、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。電子受容性化合物の滴下又は噴霧するときは、溶剤の沸点以下の温度で行うことがよい。電子受容性化合物を滴下又は噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に制限されない。
湿式法は、例えば、攪拌、超音波、サンドミル、アトライター、ボールミル等により、無機粒子を溶剤中に分散しつつ、電子受容性化合物を添加し、攪拌又は分散した後、溶剤除去して、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。溶剤除去方法は、例えば、ろ過又は蒸留により留去される。溶剤除去後には、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては、電子受容性化合物を添加する前に無機粒子の含有水分を除去してもよく、その例として溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法が挙げられる。
なお、電子受容性化合物の付着は、表面処理剤による表面処理を無機粒子に施す前又は後に行ってよく、電子受容性化合物の付着と表面処理剤による表面処理と同時に行ってもよい。
電子受容性化合物の含有量は、例えば、無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下がよく、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子化合物;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物;シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これらの中でも、下引層に用いる結着樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
添加剤としてのシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で、又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
下引層は、ビッカース硬度が35以上であることがよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
下引層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ケトン系溶剤、ケトンアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するときの無機粒子の分散方法としては、例えば、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の公知の方法が挙げられる。
下引層形成用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
下引層の膜厚は、例えば、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上50μm以下の範囲内に設定される。
(中間層)
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
これらの中でも、中間層は、ジルコニウム原子又はケイ素原子を含有する有機金属化合物を含む層であることが好ましい。
中間層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた中間層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
中間層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上3μm以下の範囲に設定される。なお、中間層を下引層として使用してもよい。
(単層型の感光層)
本実施形態における単層型の感光層は、単独重合体である樹脂と電荷発生材料と正孔輸送材料と電子輸送材料とを含み、前記線膨張係数αが0.0040以下である。
まず、単層型の感光層に含まれる各成分について説明する。
−結着樹脂−
単層型の感光層は、結着樹脂として、単独重合体を含む。
単独重合体としては、例えば、ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールTP等の単独重合体等)、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、シリコーン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの単独重合体は、1種を単独で又は2種以上混合して用いてもよい。本実施形態では、結着樹脂として用いる単独重合体が1種のみであっても、線膨張係数αが前記範囲であることによりケミカルクラックが抑制される。
単独重合体は、これらの中でも、感光層の機械的強度等の観点から、ポリカーボネート樹脂及びポリアリレート樹脂から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
単独重合体がポリカーボネート樹脂及びポリアリレート樹脂から選択される少なくとも1種を含む場合、単独重合体全体に対するポリカーボネート樹脂及びポリアリレート樹脂の合計含有量は、90質量%以上であることが好ましく95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。
また、単独重合体は、製造コスト及び画質安定性(例えば、感光体に付着した紙粉等を取り除きやすくすることによる色点耐性の向上)の観点から、ポリカーボネート樹脂を含むことがより好ましい。本実施形態では、結着樹脂として用いる単独重合体がポリカーボネート樹脂を含んでも、線膨張係数αが前記範囲であることによりケミカルクラックが抑制される。
単独重合体がポリカーボネート樹脂を含む場合、単独重合体全体に対するポリカーボネート樹脂の含有量は、90質量%以上であることが好ましく95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。
単独重合体に含まれるポリカーボネート樹脂は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有することが、機械的強度の点で好ましい。
一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数5以下の置換若しくは非置換のアルキル基、又は置換若しくは非置換のフェニル基を示し、RとRとでシクロ環を形成していてもよい。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数3以下の置換若しくは非置換のアルキル基を示す。
一般式(1)中、R及びRが表す炭素数5以下のアルキル基としては、それぞれ独立に、直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基が挙げられる。
一般式(1)中、R及びRが表す炭素数5以下のアルキル基又はフェニル基がさらに有する置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子)、アルキル基(例えば炭素数1以上6以下のアルキル基)、シクロアルキル基(例えば炭素数5以上7以下のシクロアルキル基)、アルコキシ基(例えば炭素数1以上4以下のアルコキシ基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等)等が挙げられる。
一般式(1)中、RとRとで形成するシクロ環(すなわち、Rが表す基と、Rが表す基と、R及びRが直接結合する炭素原子と、で構成されるシクロ環)としては、例えば、置換又は非置換のシクロアルキレン基が挙げられる。なお、シクロアルキレン基がさらに有する置換基は、一般式(1)中R及びRが表す炭素数5以下のアルキル基又はフェニル基がさらに有する置換基と同じものが挙げられる。
シクロアルキレン基の炭素数(ただし、置換シクロアルキレン基の場合はさらに有する置換基の炭素数を除く)は、3以上12以下が好ましく、3以上10以下がより好ましく、5以上8以下がさらに好ましい。シクロアルキレン基の具体例としては、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、シクロドデカニレン基等が挙げられる。これらの中でも、シクロアルキレン基としては、シクロヘキシレン基が好ましい。
一般式(1)中のR及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数5以下の非置換のアルキル基、非置換のフェニル基、RとRとで形成された非置換のシクロアルキレン基が好ましく、非置換のメチル基、非置換のフェニル基、RとRとで形成された非置換のシクロヘキシレン基がより好ましく、RとRとで形成された非置換のシクロヘキシレン基がさらに好ましい。
一般式(1)中、R及びRが表す炭素数3以下のアルキル基は、前記一般式(1)中R及びRが表す炭素数5以下のアルキル基のうち炭素数3以下のものと同じものが挙げられる。
また、一般式(1)中、R及びRが表す炭素数3以下のアルキル基がさらに有する置換基は、一般式(1)中、R及びRが表す炭素数5以下のアルキル基又はフェニル基がさらに有する置換基と同じものが挙げられる。
一般式(1)中のR及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数3以下の非置換のアルキル基が好ましく、水素原子、非置換のメチル基がより好ましく、RとRとで形成されたシクロヘキシレン基がさらに好ましい。
一般式(1)で表される繰り返し単位の具体例としては、例えば、下記構造式(1−1)〜構造式(1−5)で表される繰り返し単位が挙げられる。
結着樹脂が単独重合体以外の樹脂を含む場合、結着樹脂全体に対する単独重合体の割合は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。
結着樹脂の粘度平均分子量は、画質安定性(例えば、感光体に付着した紙粉等を取り除きやすくすることによる色点耐性の向上)の観点で、50000以下であることが好ましく、45000以下であることがより好ましく、40000以下であることがさらに好ましい。また、単独重合体の粘度平均分子量は、機械的強度の観点で、20000以上であることが好ましい。
ここで、結着樹脂の粘度平均分子量の測定は、以下の一点測定法が用いられる。
まず、感光体から測定対象となる感光層を露出させる。そして、その感光層の一部を切り出し、測定用試料を準備する。
次に、測定用試料から結着樹脂を抽出する。抽出した結着樹脂1g分をメチレンクロライド100cmに溶解し、25℃の測定環境下でウベローデ粘度計にて、その比粘度ηspを測定する。そして、ηsp/c=〔η〕+0.45〔η〕cの関係式(ただしcは濃度(g/cm)より極限粘度〔η〕(cm/g)を求め、H.Schnellによって与えられている式、〔η〕=1.23×10−4Mv0.83の関係式より粘度平均分子量Mvを求める。
感光層全体に対する単独重合体である樹脂の含有量としては、例えば、35質量%以上60質量%以下の範囲が挙げられ、40質量%以上60質量%以下の範囲が好ましく、50質量%以上60質量%以下の範囲がより好ましい。感光層全体に対する単独重合体である樹脂の含有量が多いと、一般的にはケミカルクラックが発生しやすくなることがあるが、本実施形態では、単独重合体である樹脂の含有量が上記範囲であっても、線膨張係数αが前記範囲であることによりケミカルクラックが抑制される。
−電荷発生材料−
電荷発生材料としては、例えば、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
これらの中でも、近赤外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、金属フタロシアニン顔料、又は無金属フタロシアニン顔料を用いることがよい。具体的には、例えば、ヒドロキシガリウムフタロシアニン;クロロガリウムフタロシアニン;ジクロロスズフタロシアニン;チタニルフタロシアニンが挙げられる。
一方、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;チオインジゴ系顔料;ポルフィラジン化合物;酸化亜鉛;三方晶系セレン;ビスアゾ顔料等を用いることがよい。
すなわち、電荷発生材料としては、例えば380nm以上500nm以下の露光波長の光源を用いる場合には無機顔料を用いることがよく、700nm以上800nm以下の露光波長の光源を用いる場合には、金属及び無金属フタロシアニン顔料を用いことがよい。
中でも、電荷発生材料としては、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料から選択される少なくとも1種を用いることが望ましい。これらの電荷発生材料としては、単独又は2種以上混合して用いてもよい。感光体の高感度化の点から、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がよい。
なお、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料を併用する場合には、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料とクロロガリウムフタロシアニン顔料との比率は、質量比で、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料:クロロガリウムフタロシアニン顔料=9:1乃至3:7(好ましくは9:1乃至6:4)であることがよい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、特に制限はないが、感光体の感度を向上させる観点から、V型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がよい。
特に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、例えば、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がより優れた分散性が得られる観点から望ましい。
また、上記の810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が特定の範囲であり、且つ、BET比表面積が特定の範囲であることが好ましい。具体的には、平均粒径が0.20μm以下であることが好ましく、0.01μm以上0.15μm以下であることがより好ましい。一方、BET比表面積は45m/g以上であることが好ましく、50m/g以上であることがより好ましく、55m/g以上120m/g以下であることがさらに好ましい。平均粒径は、体積平均粒径であり、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所LA−700)にて測定した値である。BET比表面積は、流動式比表面積自動測定装置(島津製作所フローソープII2300)を用い窒素置換法にて測定した値である。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の最大粒径(一次粒径の最大値)は、1.2μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましく、0.3μm以下が更に好ましい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が0.2μm以下であり、且つ、最大粒径が1.2μm以下であり、且つ、BET比表面積が45m/g以上であることが好ましい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜、16.0゜、24.9゜、28.0゜に回折ピークを有するV型であることが好ましい。
一方、クロロガリウムフタロシアニン顔料としては、感光層の感度の点から、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.4°、16.6°、25.5°、28.3°に回折ピークを有する化合物が好ましい。クロロガリウムフタロシアニン顔料の最大ピーク波長、平均粒径、最大粒径、及びBET比表面積の好ましい範囲は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と同様である。
電荷発生材料は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
単層型の感光層の全固形分に対する電荷発生材料の含有量は、0.5質量%以上5質量%以下がよく、1質量%以上5質量%以下が好ましく、1.2質量%以上4.5質量%以下であることがより好ましい。
−正孔輸送材料−
正孔輸送材料としては、特に制限はないが、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体;1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体;トリフェニルアミン、N,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物;N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体;4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体;2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体;6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体;p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体;エナミン誘導体;N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体;ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等;上記した化合物で構成される基を主鎖又は側鎖に有する重合体;などが挙げられる。これらの正孔輸送材料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正孔輸送材料の具体例としては、例えば、下記一般式(B−1)で示される化合物及び下記一般式(B−2)で示される化合物が挙げられる。その中でも、感光体の感度を向上させる観点から、正孔輸送材料としては、下記一般式(B−1)で示される化合物が好ましい。
一般式(B−1)中、RB1は、水素原子またはメチル基を示す。n11は1または2を示す。ArB1およびArB2は各々独立に置換若しくは未置換のアリール基、−C−C(RB3)=C(RB4)(RB5)、又は−C−CH=CH−CH=C(RB6)(RB7)を示し、RB3乃至RB7はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表す。置換基としてはハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、または炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基を示す。
一般式(B−2)中、RB8およびRB8’は同一でも異なってもよく、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、を示す。RB9、RB9’、RB10、およびRB10’は同一でも異なってもよく、各々独立にハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは未置換のアリール基、−C(RB11)=C(RB12)(RB13)、又は−CH=CH−CH=C(RB14)(RB15)を示し、RB11乃至RB15は各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表す。m12、m13、n12およびn13は各々独立に0以上2以下の整数を示す。
ここで、一般式(B−1)で示される化合物及び一般式(B−2)で示される化合物のうち、特に、「−C−CH=CH−CH=C(RB6)(RB7)」を有する一般式(B−1)で示される化合物、及び「−CH=CH−CH=C(RB14)(RB15)」を有する一般式(B−2)で示される化合物が好ましい。
以下、一般式(B−1)で示される化合物及び一般式(B−2)で示される化合物の具体例として、下記構造式(HT−1)〜(HT−10)を挙げるが、正孔輸送材料は、これらに限られるものではない。
感光層の全固形分に対する全正孔輸送材料の含有量は、20質量%以上48質量%以下がよく、好ましくは25質量%以上45質量%以下、より好ましくは28質量%以上45質量%以下である。なお、この正孔輸送材料の含有量は、2種以上の電子輸送材料を併用した場合、それらの電子輸送材料全体の含有量である。
−電子輸送材料−
電子輸送材料としては、特に制限はないが、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、9−ジシアノメチレン−9−フルオレノン−4−カルボン酸オクチル等のフルオレノン系化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン系化合物;3,3’−ジ−tert−ペンチル−ジナフトキノン等のジナフトキノン系化合物;3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルジフェノキノン、3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジフェノキノン等のジフェノキノン系化合物;上記した化合物で構成される基を主鎖又は側鎖に有する重合体;などが挙げられる。これらの電子輸送材料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、感光体の感度を向上させる観点から、下記一般式(C−1)で示されるジフェノキノン系電子輸送材料が好ましい。
一般式(C−1)中、RC11、RC12、RC13、及びRC14は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又はフェニル基を示す。
一般式(C−1)中、RC11〜RC14が示すアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐状で、炭素数1以上6以下のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
C11〜RC14が示すアルキル基は、置換アルキル基であってもよい。置換アルキル基の置換基としては、シクロアルキル基、フッ素置換アルキル基等が挙げられる。
一般式(C−1)中、RC11〜RC14が示すアルコキシ基としては、例えば、炭素数1以上6以下のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
一般式(C−1)中、RC11〜RC14が示すハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子、フッ素原子等が挙げられる。
一般式(C−1)中、RC11〜RC14が示すフェニル基は、置換フェニル基であってもよい。置換フェニル基の置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1以上6以下のアルキル基)、アルコキシ基(例えば炭素数1以上6以下のアルコキシ基)、ビフェニル基等が挙げられる。
一般式(C−1)で示されるジフェノキノン系電子輸送材料は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
以下、一般式(C−1)で示されるジフェノキノン系電子輸送材料の例示化合物として、下記構造式(C−1−1)〜(C−1−3)を示すが、これに限定されるわけではない。
感光層の全固形分に対する全電子輸送材料の含有量は、4質量%以上30質量%以下がよく、好ましくは6質量%以上25質量%以下、より好ましくは8質量%以上20質量%以下である。なお、この電子輸送材料の含有量は、2種以上の電子輸送材料を併用した場合、それらの電子輸送材料全体の含有量である。
−正孔輸送材料と電子輸送材料との質量比−
正孔輸送材料と電子輸送材料との比率は、質量比(正孔輸送材料/電子輸送材料)で、50/50以上90/10以下が望ましく、より望ましくは60/40以上80/20以下である。
−電荷発生材料、正孔輸送材料、及び電子輸送材料の組み合わせ−
電荷発生材料、正孔輸送材料、及び電子輸送材料の組み合わせは、特に限定されるものではなく、前述の各材料の組み合わせが用いられる。これらの中でも、電荷発生材料がV型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を含み、正孔輸送材料が前記一般式(B−1)で表される化合物を含み、電子輸送材料が前記一般式(C−1)で表される化合物を含むことが、感光体の感度向上の観点から好ましい。特に、結着樹脂として単独重合体であるポリカーボネート樹脂を用いる場合、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料、前記一般式(B−1)で表される化合物、及び前記一般式(C−1)で表される化合物の組み合わせを用いることで、感光体の感度低下が抑制される。また、単独重合体であるポリカーボネート樹脂、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料、前記一般式(B−1)で表される化合物、及び前記一般式(C−1)で表される化合物の組み合わせを用いると、一般的にはケミカルクラックが生じやすくなることがあるが、本実施形態では、線膨張係数αが前記範囲であることによりケミカルクラックが抑制される。
−その他の成分−
単層型の感光層には、界面活性剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の周知のその他添加剤が含まれていてもよい。また、単層型感光層が表面層(すなわち、最外層)となる場合、単層型の感光層には、フッ素樹脂粒子、シリコーンポリマー等の離型剤が含まれていてもよい。
なお、電子写真感光体は、正帯電型電子写真感光体であっても、負帯電型電子写真感光体であってもよいが、本実施形態の効果をより発揮する観点から、正帯電型電子写真感光体であることが好ましい。
正帯電型電子写真感光体における単層型感光層は、その他の成分として帯電制御剤を含有することが好ましく、電子供与性帯電制御剤を含有することがより好ましい。電子供与性帯電制御剤を含有すると、容易に正帯電型の感光層が形成される
帯電制御剤としては、トナーの電荷制御剤として用いられている従来公知の化合物を用いられる。
電子供与性帯電制御剤としては、例えば、アゾ金属系帯電制御剤、オキシカルボン酸系帯電制御剤、ホウ素錯体系帯電制御剤、鉄錯体系帯電制御剤、亜鉛錯体系帯電制御剤、アルキルサリチル酸錯塩系帯電制御剤、スルホン酸ペンダント化樹脂系帯電制御剤等が挙げられる。
帯電制御剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
帯電制御剤、特に電子供与性帯電制御剤の含有量は、感光層の結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以上5質量部以下であることが更に好ましい。
(単層型の感光層の形成)
単層型の感光層は、上記成分を溶剤に加えた感光層形成用塗布液を用いて形成される。
溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は単独又は2種以上混合して用いる。
感光層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
感光層形成用塗布液を塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。
感光層形成用塗布液を塗布した後は、例えば、乾燥を行った後、感光層が室温(例えば20℃)に戻るまで冷却する。
乾燥温度としては、例えば115℃以上140℃以下が挙げられ、115℃以上125℃以下が好ましい。また、乾燥時間としては、例えば20分以上40分以下が挙げられ、20分以上25分以下が好ましい。
前述の通り、「線膨張係数α」の値を前記範囲に制御する実現手段として、例えば、乾燥後に調温室の設定温度を多段階で下げ、感光層の温度を室温(例えば20℃)まで徐々に冷却する方法が挙げられる。乾燥後に調温室の設定温度を多段階で下げて徐々に冷却することで、感光層内に応力が残留しにくく、線膨張係数αの値が前記範囲に制御しやすくなるものと推測される。
乾燥後に調温室の設定温度を多段階で下げる方法の具体例としては、例えば、上記乾燥温度で感光層を乾燥した後、第1の冷却温度に設定された調温室で冷却する第1冷却工程と、第2の冷却温度に設定された調温室で冷却する第2冷却工程と、室温(例えば20℃)で冷却する第3冷却工程と、を経る方法が挙げられる。
第1の冷却工程、第2の冷却工程、及び第3の冷却工程を経る場合、第1の冷却温度は例えば80℃以上90℃以下の範囲が挙げられ、第1冷却工程の時間は例えば15分以上20分以下の範囲が挙げられ、第2の冷却温度は例えば50℃以上60℃以下の範囲が挙げられ、第2冷却工程の時間は例えば15分以上20分以下の範囲が挙げられ、第3冷却工程の時間は例えば5分以上15分以下の範囲が挙げられる。なお、冷却工程の段階数は、2段階以上であれば、特に限定されるものではない。
(単層型の感光層の特性)
単層型の感光層の膜厚は、好ましくは5μm以上60μm以下、より好ましくは5μm以上50μm以下、さらに好ましくは10μm以上40μm以下の範囲に設定される。
単層型の感光層における線膨張係数αは、前記の通り0.0040以下であり、0.0035以下が好ましく、0.0030以下がより好ましい。
また、単層型の感光層における線膨張係数αは、0.0025以上が好ましく、0.0026以上がより好ましく、0.0027以上がさらに好ましい。線膨張係数αが0.0025以上であることにより、0.0025未満である場合に比べ、低温低湿下(例えば、温度10℃湿度15%の環境下)における感光層表面の傷の発生が抑制される。その理由は定かではないが、線膨張係数αが0.0025未満である感光層は、硬すぎることにより、低温低湿下において傷の発生が加速されるのに対し、線膨張係数αが0.0025以上である感光層は、硬すぎず柔軟性を有することで、低温低湿下における耐久性が向上するためと推測される。
[画像形成装置(及びプロセスカートリッジ)]
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段を備える装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に電子写真感光体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、電子写真感光体を備える部分が、画像形成装置に対して着脱されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。なお、プロセスカートリッジには、電子写真感光体以外に、例えば、帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段からなる群から選択される少なくとも一つを備えてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
図2におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8(帯電手段の一例)、現像装置11(現像手段の一例)、及びクリーニング装置13(クリーニング手段の一例)を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材の一例)131を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。なお、クリーニング部材は、クリーニングブレード131の態様ではなく、導電性又は絶縁性の繊維状部材であってもよく、これを単独で、又はクリーニングブレード131と併用してもよい。
なお、図2には、画像形成装置として、潤滑材14を電子写真感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、及び、クリーニングを補助する繊維状部材133(平ブラシ状)を備えた例を示してあるが、これらは必要に応じて配置される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の各構成について説明する。
−帯電装置−
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
−露光装置−
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
−現像装置−
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
現像装置11に使用される現像剤は、トナー単独の一成分系現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤であってもよい。また、現像剤は、磁性であってもよいし、非磁性であってもよい。これら現像剤は、周知のものが適用される。
−クリーニング装置−
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
−転写装置−
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
−中間転写体−
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図3に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、特に限定のないかぎり「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
<実施例1>
結着樹脂として表1に示すポリカーボネート単独重合体(樹脂−1)を43.5質量部と、電荷発生材料として表1に示すヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(CGM−1)を1.5質量部と、表1に示す電子輸送材料(ETM−1)を11質量部と、表1に示す正孔輸送材料(HTM−1)を44質量部と、溶剤としてテトラヒドロフランを250質量部と、を混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散処理を行い、感光層形成用塗布液を得た。
得られた感光層形成用塗布液を、浸漬塗布法にて、直径30mm、長さ244.5mm、肉厚1mmのアルミニウム基体上に塗布し、表2に示す乾燥温度及び乾燥時間の条件で乾燥硬化を行った。その後、表2に示す温度及び時間において、第1冷却工程、第2冷却工程、及び第3冷却工程を経て冷却し、厚さ30μmの単層型の感光層を形成した。
以上のようにして、実施例1の感光体を得た。
<実施例2〜10>
表1にしたがって、結着樹脂の種類及び量、電荷発生材料の種類及び量、電子輸送材料の種類及び量、並びに正孔輸送材料の種類及び量を変更した以外は、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を得た。
得られた感光層形成用塗布液を、浸漬塗布法にて、直径30mm、長さ244.5mm、肉厚1mmのアルミニウム基体上に塗布し、表2に示す乾燥温度及び乾燥時間の条件で乾燥硬化を行った。その後、表2に示す温度及び時間において、第1冷却工程、第2冷却工程、及び第3冷却工程を経て冷却し、厚さ30μmの単層型の感光層を形成した。
以上のようにして、各例の感光体を得た。
<比較例1〜9>
表1にしたがって、結着樹脂の種類及び量、電荷発生材料の種類及び量、電子輸送材料の種類及び量、並びに正孔輸送材料の種類及び量を変更した以外は、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を得た。
得られた感光層形成用塗布液を、浸漬塗布法にて、直径30mm、長さ244.5mm、肉厚1mmのアルミニウム基体上に塗布し、表2に示す乾燥温度及び乾燥時間の条件で乾燥硬化を行った。その後、表2に示す温度及び時間において、第1冷却工程のみを経て冷却し、厚さ30μmの単層型の感光層を形成した。
以上のようにして、各例の感光体を得た。なお、表2中「−」は、該当する冷却工程を行わなかったことを意味する。
<測定>
各例で得られた感光体の感光層における線膨張係数αについて、前述の方法により測定及び算出を行った。結果を表2に示す。
<耐ケミカルクラック性の評価>
油脂(オレイン酸トリグリセリド)をADVANTEC(TOYO)社製フィルタ(サイズ47mm)に染み込ませ、各例で得られた感光体の表面のうち、軸方向10ヶ所に付着させて、24時間放置した。その後、光学顕微鏡を用いて感光体の表面を観察し、下記基準に従って、耐ケミカルクラック性を評価した。結果を表2に示す。
−耐ケミカルクラック性の評価基準−
A:ケミカルクラック発生箇所が1箇所以下であった。
B:ケミカルクラック発生箇所が2箇所以上4箇所以下であった。
C:ケミカルクラック発生箇所が5箇所以上8箇所以下であった。
D:ケミカルクラック発生箇所が9箇所以上であった。
<低温低湿下における感光層表面傷の評価>
各例で得られた感光体を、低温低湿(温度10℃湿度15%)環境下で、繰り返し画像形成(具体的には6000枚画像形成)を行った後、感光体の表面を目視で観察し、下記基準に従って、スクラッチ傷の有無を評価した。結果を表2に示す。
−感光層表面傷の評価基準−
A:繰り返し画像形成後の感光体表面に、スクラッチ傷は確認されなかった。
B:繰り返し画像形成後の感光体表面に、スクラッチ傷発生箇所が確認された。
上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、ケミカルクラックが抑制されていることがわかる。
以下、表1及び表2中の略称の詳細について示す。
−結着樹脂−
樹脂−1:単独重合体であるポリカーボネート樹脂(ビスフェノールZの単独重合型ポリカーボネート樹脂、前記構造式(1−3)で表される繰り返し単位を有する、粘度平均分子量:40000)
樹脂−2:単独重合体であるポリアリレート樹脂(ビスフェノールAの単独重合型ポリアリレート樹脂、粘度平均分子量:40000)
−電荷発生材料−
CGM−1:ヒドロキシガリウムフタロシアニン(V型)顔料。CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3°、16.0°、24.9°、28.0°の位置に回折ピークを有する(600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長=820nm、平均粒径=0.12μm、最大粒径=0.2μm、BET比表面積値=60m/g)。
CGM−2:Y型のチタニルフタロシアニン顔料。CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも9.6°、27.3°の位置に回折ピークを有する。
−電子輸送材料−
ETM−1:下記構造の電子輸送材料ETM−1
ETM−2:下記構造の電子輸送材料ETM−2
−正孔輸送材料−
HTM−1:下記構造の正孔輸送材料HTM−1
HTM−2:下記構造の正孔輸送材料HTM−2
HTM−3:下記構造の正孔輸送材料HTM−3
1 下引層、2 感光層、3 導電性基体、7 電子写真感光体、8 帯電装置、9 露光装置、11 現像装置、13 クリーニング装置、14 潤滑剤、40 転写装置、50 中間転写体、100 画像形成装置、120 画像形成装置、131 クリーニングブレード、132 繊維状部材(ロール状)、133 繊維状部材(平ブラシ状)、300 プロセスカートリッジ

Claims (10)

  1. 導電性基体と、
    前記導電性基体上に設けられ、単独重合体である樹脂と電荷発生材料と正孔輸送材料と電子輸送材料とを含む単層型の感光層であって、前記感光層のガラス転移温度をTg℃としたとき、(Tg+10)℃以上(Tg+30)℃以下における面内方向の線膨張係数αが0.0040以下である単層型の感光層と、
    を有する電子写真感光体。
  2. 前記線膨張係数αは、0.0025以上である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記単独重合体である樹脂は、ポリカーボネート樹脂及びポリアリレート樹脂から選択される少なくとも1種を含む請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記単独重合体である樹脂は、ポリカーボネート樹脂を少なくとも含む請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 前記ポリカーボネート樹脂は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する請求項4に記載の電子写真感光体。

    (一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数5以下の置換若しくは非置換のアルキル基、又は置換若しくは非置換のフェニル基を示し、RとRとでシクロ環を形成していてもよい。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数3以下の置換若しくは非置換のアルキル基を示す。)
  6. 前記単独重合体である樹脂の含有量は、前記感光層全体に対し、40質量%以上60質量%以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記単独重合体である樹脂の含有量は、前記感光層全体に対し、50質量%以上60質量%以下である請求項6に記載の電子写真感光体。
  8. 前記電荷発生材料は、V型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を含み、
    前記正孔輸送材料は、下記一般式(B−1)で表される化合物を含み、
    前記電子輸送材料は、下記一般式(C−1)で表される化合物を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。

    (一般式(B−1)中、RB1は、水素原子またはメチル基を示す。n11は1または2を示す。ArB1およびArB2は各々独立に置換若しくは未置換のアリール基、−C−C(RB3)=C(RB4)(RB5)、又は−C−CH=CH−CH=C(RB6)(RB7)を示し、RB3〜RB7はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表す。)

    (一般式(C−1)中、RC11、RC12、RC13、及びRC14は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又はフェニル基を示す。)
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
    画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
  10. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    を備える画像形成装置。
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