JP2020152754A - 樹脂組成物および成形体、ならびに樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
樹脂組成物および成形体、ならびに樹脂組成物の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2020152754A JP2020152754A JP2019049907A JP2019049907A JP2020152754A JP 2020152754 A JP2020152754 A JP 2020152754A JP 2019049907 A JP2019049907 A JP 2019049907A JP 2019049907 A JP2019049907 A JP 2019049907A JP 2020152754 A JP2020152754 A JP 2020152754A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- structural unit
- mass
- ethylene
- resin composition
- parts
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Reinforced Plastic Materials (AREA)
- Polyamides (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
Description
[2] 前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)は、エチレン・メタクリル酸共重合体である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)における、前記不飽和カルボン酸に由来する構造単位の含有率は、5〜20質量%である、[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4] 前記繊維状充填材(C)は、ガラス繊維である、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] 前記エンジニアリングプラスチック(A)は、前記融点(Tm)が270〜340℃の半芳香族ポリアミドである、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] 前記半芳香族ポリアミドは、ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)と、ジアミンに由来する構造単位(a2)とを含み、かつ前記ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)は、前記ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)の合計100モル%に対して30モル%以上のテレフタル酸に由来する構造単位を含み、前記ジアミンに由来する構造単位(a2)は、前記ジアミンに由来する構造単位(a2)の合計100モル%に対して50モル%以上の炭素原子数4〜18の脂肪族ジアミンに由来する構造単位を含む、[5]に記載の樹脂組成物。
[7] 前記熱可塑性エラストマー(B)は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)、および前記フェノール樹脂系架橋剤(B−III)の合計を100質量部としたとき、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)を30〜80質量部と、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)を15〜60質量部と、前記フェノール樹脂系架橋剤(B−III)を1〜10質量部とを含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物から得られる、成形体。
[9] エチレンに由来する構造単位と、炭素原子数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位と、炭素−炭素二重結合を1分子内に1個以上有する非共役ポリエンに由来する構造単位とを含むエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)と、エチレンに由来する構造単位と、不飽和カルボン酸に由来する構造単位とを含むエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)と、フェノール樹脂系架橋剤(B−III)とを含む組成物を動的架橋させて、熱可塑性エラストマー(B)を得る工程と、前記熱可塑性エラストマー(B)と、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が150〜350℃であるエンジニアリングプラスチック(A)と、繊維状充填材(C)とを混合する工程とを含み、前記混合する工程では、前記エンジニアリングプラスチック(A)、前記熱可塑性エラストマー(B)および前記繊維状充填材(C)の合計100質量部に対して、前記エンジニアリングプラスチック(A)の配合量が、60〜90質量部であり、前記熱可塑性エラストマー(B)の配合量が、5〜35質量部であり、前記繊維状充填材(C)の配合量が、5〜35質量部である、樹脂組成物の製造方法。
本発明の樹脂組成物は、エンジニアリングプラスチック(A)と、熱可塑性エラストマー(B)と、繊維状充填材(C)とを含む。
エンジニアリングプラスチック(A)は、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が150〜350℃のエンジニアリングプラスチックである。
ポリアミドは、アミド結合(−NH−C(=O)−)を有する構造単位を含む重合体であり、好ましくはジカルボン酸とジアミンとを共縮重合させて得られる重合体である。すなわち、ポリアミドは、ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)と、ジアミンに由来する構造単位(a2)とを含む。
ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)は、テレフタル酸に由来する構造単位を含むことが好ましい。テレフタル酸に由来する構造単位の量は、ポリアミドを構成するジカルボン酸に由来する構造単位(a1)の総モル数(100モル%)に対して、30〜100モル%であることが好ましく、40〜90モル%であることがより好ましく、40〜80モル%であることがさらに好ましい。ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)中における、テレフタル酸に由来する構造単位が30モル%以上含まれると、ポリアミドの耐熱性や強度を高めやすいため、樹脂組成物の耐熱性や強度を高めやすい。
ジアミンに由来する構造単位(a2)は、脂肪族ジアミンに由来する構造単位を含む。
[η]=ηSP/(C(1+0.205ηSP))
[η]:極限粘度(dl/g)
ηSP:比粘度
C:試料濃度(g/dl)
ηSP=(t−t0)/t0
t:試料溶液の流下秒数(秒)
t0:ブランク硫酸の流下秒数(秒)
ポリアセタールは、オキシメチレン構造単位(−OCH2−)を含む重合体である。ポリアセタールは、ポリオキシメチレン(例えば、米国デュポン社製、商品名「デルリン」、旭化成工業(株)製、商品名「テナック4010」)などのポリアセタール単独重合体であってもよいし;オキシメチレン構造単位と、コモノマー構造単位とを含むポリアセタール共重合体(例えば、ポリプラスチックス(株)製、商品名「ジュラコン」)であってもよい。
ポリカーボネートは、二価フェノールとホスゲンとを界面重縮合して得られる重合体、または二価フェノールとジフェニルカーボネートなどのカーボネート前駆体とをエステル交換により重合させて得られる重合体でありうる。二価フェノールの例には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が含まれる。
ポリエステルは、二価以上の芳香族カルボン酸と、二価以上のアルコールおよび/またはフェノールとを重縮合させて得られる重合体でありうる。なかでも、結晶性ポリエステル、特に融点200℃以上の結晶性ポリエステルが好ましい。ポリエステルの例には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートが含まれる。なかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが好ましく、ポリブチレンテレフタレートが特に好ましい。ポリエステルの市販品としてはノバデュラン(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)などがあり、市場から容易に入手することができる。
ポリフェニレンエーテルの例には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが含まれる。
ポリエーテルサルホンは、例えばビスフェノ−ルAと4,4’−ジクロロジフェニルサルホンとを重縮合して得られる重合体でありうる。
(−Ar1−SO2−Ar2−O−) (1)
(−Ar3−X−Ar4−O−Ar5−SO2−Ar6−O−) (2)
(−Ar7−SO2−Ar8−O−Ar9−O−) (3)
ポリフェニレンサルファイドは、下記式で表される構造単位を含む重合体である。
−(Ph−S)−
ポリアリレートとしては、二価のフェノール化合物(例えばビスフェノールA)と、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸やイソフタル酸)とを重縮合させて得られる重合体でありうる。
ポリアミドイミドは、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジイソシアネートとを重縮合させて得られる重合体、または芳香族二酸無水物と芳香族ジイソシアネートとを重縮合させて得られる重合体でありうる。
フッ素樹脂の例には、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化エチレンプロピレンエーテル、ポリフッ化アルコキシエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ四フッ化エチレンなどが含まれる。
ポリアミノビスマレイミドは、ジアミン化合物とビスマレイミド化合物とを重合反応させて得られる重合体であり、下記式で表される構造単位を含みうる。下記式において、PおよびQは、それぞれ二価の有機基である。
熱可塑性エラストマーは、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)と、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)と、フェノール樹脂系架橋剤(B−III)とを含む組成物の架橋物(動的架橋物)である。架橋物とは、部分架橋物または完全架橋物である。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)は、エチレンに由来する構造単位と、炭素原子数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位と、非共役ポリエンに由来する構造単位とを含む共重合体である。
エチレンに由来する構造単位の含有割合は、共重合体ゴム(B−I)を構成する全構造単位に対して50〜89質量%であることが好ましく、55〜83質量%であることがより好ましい。
炭素原子数3〜20のα−オレフィンの例には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが含まれる。中でも、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの炭素原子数3〜8のα−オレフィンが好ましい。α−オレフィンは、一種類であってもよいし、二種類以上を組み合わせてもよい。これらのα−オレフィンは、原料コストが比較的安価で共重合性に優れると共に、共重合体ゴム(B−I)に優れた機械的性質と良好な柔軟性を付与するので好ましい。
非共役ポリエンは、炭素−炭素二重結合を1分子内に1個以上有する非共役ポリエンであり、その例には、脂肪族ポリエンや脂環族ポリエンが含まれる。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)は、エチレンに由来する構造単位と、不飽和カルボン酸に由来する構造単位とを含む共重合体である。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)のカルボキシル基は、例えばエンジニアリングプラスチック(A)が有しうる極性基(例えばポリアミドの場合、カルボキシル基やアミノ基など)と相互作用しやすいため、エンジニアリングプラスチック(A)と熱可塑性エラストマー(B)との相溶性を高め、耐衝撃性をさらに高めうる。
フェノール樹脂系架橋剤(B−III)は、代表的には、アルキル置換または非置換のフェノール類を、アルカリ触媒存在下でアルデヒド(好ましくはホルムアルデヒド)と縮合して得られるレゾ−ル樹脂である。アルキル置換フェノールのアルキル基は、炭素原子数1〜10のアルキル基であることが好ましい。すなわち、アルキル置換または非置換のフェノール類は、炭素原子数1〜10のアルキル基で置換されたジメチロールフェノール類またはフェノール類であることが好ましい。
熱可塑性エラストマー(B)を得るための組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、(B−I)成分、(B−II)成分および(B−III)成分以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分の例には、フェノール樹脂系架橋剤(B−III)以外の他の架橋剤や架橋助剤、補助安定剤(酸化防止剤)などが含まれる。
熱可塑性エラストマー(B)は、(B−I)成分、(B−II)成分、および(B−III)成分を含む組成物の少なくとも一部を動的架橋させること、具体的には、溶融流動状態(動的状態)で架橋させることによって得ることができる。
繊維状充填材(C)は、樹脂組成物の成形性を向上させるとともに、その成形体の引張り強度、曲げ強度、曲げ弾性率等の機械的特性および熱変形温度などの耐熱特性を向上させうる。
本発明の樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分および(C)成分以外の他の成分をさらに含んでもよい。他の成分の例には、相溶化剤(D)が含まれる。
相容化剤(D)は、特に限定されないが、エンジニアリングプラスチック(A)と、熱可塑性エラストマー(B)とをより良好に相容化させるため、極性基含有化合物、例えば水酸基、カルボニル基、エポキシ基、酸ハイドライド、酸無水物、酸アミド、カルボン酸エステル、酸アジド、スルフォン基、ニトリル基、シアノ基、イソシアン酸エステル、アミノ基、イミド基、オキサゾリン基、チオール基などを極性基として有する極性基含有化合物の重合体または共重合体でありうる。
本発明の樹脂組成物は、任意の方法で製造することができ、たとえば前述の方法で熱可塑性エラストマー(B)を得る工程と、得られた熱可塑性エラストマー(B)と、エンジニアリングプラスチック(A)と、繊維状充填材(C)とを公知の方法で混合する工程とを経て製造することができる。上記混合した後、押出機を用いて混合物をさらに溶融混練してもよい。各成分の配合量は、前述の通りである。
本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形体は、種々の用途に用いることができ、例えば自動車部品、建材部品、スポーツ用品、医療器具部品、工業部品など、各種用途の成形体として有用である。
産業用チューブは、前述の樹脂組成物を含む層を少なくとも含む。産業用チューブとは、特に産業機器に使用されるチューブを意味する。産業用チューブの例には、車両(例えば自動車)、空圧・油圧機器、塗装機器、医療機器などの産業機器に必要な流体(燃料、溶剤、薬品、ガスなど)を通すチューブが挙げられる。特に、車両配管用チューブ(例えば燃料系チューブ、吸気系チューブ、冷却系チューブ)、空圧チューブ、油圧チューブ、ペイントスプレーチューブ、医療用チューブ(例えばカテーテル)などの用途において非常に有用である。
射出成形、ブロー成形または二色成形により得られる成形体は、そのような物性が要求される各種用途(例えば自動車、電気製品)に広く利用可能である。射出成形、ブロー成形または二色成形により得られる成形体の例には、等速ジョイントブーツ、ダストカバーなどのブーツ部品、オイルシール、ガスケット、パッキン、ダストカバー、バルブ、ストッパ、精密シールゴム、ウェザストリップなどが挙げられる。中でも、自動車用等速ジョイントブーツが好ましい。自動車用等速ジョイントブーツの製造方法としては、例えば射出成形法、ブロー成形法(インジェクションブロー成形法、プレスブロー成形法)など、公知の方法を採用できる。
<エンジニアリングプラスチック(A)>
(ポリアミドの調製)
テレフタル酸1787g(10.8モル)、1,6−ヘキサンジアミン2800g(24.9モル)、アジピン酸1921g(13.1モル)、安息香酸36.6g(0.30モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物5.7g及び蒸留水554gを、内容量13.6Lのオートクレーブに入れ、窒素置換した。190℃から攪拌を開始し、3時間かけて内部温度を250℃まで昇温した。このとき、オートクレーブの内圧を3.01MPaまで昇圧した。このまま、1時間反応を続けた後、オートクレーブ下部に設置したスプレーノズルから大気放出して、低縮合物を抜き出した。その後、この低縮合物を室温まで冷却後、粉砕機で1.5mm以下の粒径まで粉砕し、110℃で24時間乾燥させた。得られた低縮合物の水分量は3600ppm、極限粘度[η]は0.48dl/gであった。
次に、この低縮合物を棚段式固相重合装置に入れ、窒素置換後、約1時間30分かけて220℃まで昇温した。その後、1時間反応させ、室温まで降温した。その後、このプレポリマーを、スクリュー径30mm、L/D=36の二軸押出機にて、バレル設定温度330℃、スクリュー回転数200rpm、6Kg/hの樹脂供給速度で溶融重合させて、ポリアミドを得た。
まず、約0.5gのポリアミドを96.5%濃硫酸50mlに溶解させた。そして、得られた溶液の、25℃±0.05℃の条件下での流下秒数を、ウベローデ粘度計を使用して測定した。その後、以下の式に基づいて、極限粘度を算出した。
[η]=ηSP/(C(1+0.205ηSP))
[η]:極限粘度(dl/g)
ηSP:比粘度
C:試料濃度(g/dl)
ηSP=(t−t0)/t0
t:試料溶液の流下秒数(秒)
t0:ブランク硫酸の流下秒数(秒)
ポリアミド1gをフェノール35mLに溶解させ、メタノールを2mL混合し、試料溶液とした。そして、チモールブルーを指示薬として、当該試料溶液に対して0.01規定のHCl水溶液を使用して青色から黄色になるまで滴定し、末端アミノ基量([NH2]、単位:mmol/kg)を求めた。
DSC(示差走査型熱量測定法)を用いて、ポリアミドの試料を加熱して一旦320℃で5分間保持し、次いで、10℃/分の速度で23℃まで降温し、その後、10℃/分の速度で昇温した。このときの融解に基づく吸熱ピークの温度を融点(Tm)とし、ガラス転移に基づく温度をガラス転移温度(Tg)とした。
熱可塑性エラストマー(B)として、下記の熱可塑性エラストマー(B−1)を調製した。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)としてエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(エチレン含量65質量%、ジエン含量4.6質量%、[η]=2.4dl/g)を55質量%、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)としてエチレン・メタクリル酸共重合体(商品名:ニュクレルAN4213C(商標)、三井・デュポンポリケミカル社製、密度(JIS K 7112:1999):940kg/m3、融点:88℃、酸含有量:11質量%、MFR(JIS K 7210:1999(190℃、2.16kg荷重)10g/10分)を40質量%、フェノール樹脂系架橋剤(B−III)としてフレーク状の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂(田岡化学工業社製、商品名タッキロール250−III)を、ヘンシェルミキサーにて10秒間攪拌して粉状にしたものを5質量%、および架橋助剤として少量の酸化亜鉛二種(ハクスイテック社製)を予備混合し、これを二軸押出機((株)日本製鋼所製、TEX−30)に供給し、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数300rpmで、溶融混練した。この二軸押出機から押出されたストランドを切断して、熱可塑性エラストマー(B−1)のペレットを得た。
比較用樹脂として、下記変性エチレン・1−ブテン共重合体(b)を調製した。
十分に窒素置換したガラス製フラスコに、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを0.63mg入れ、更にメチルアミノキサンのトルエン溶液(Al;0.13ミリモル/リットル)1.57ml、およびトルエン2.43mlを添加することにより触媒溶液を得た。
次に、充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブに、ヘキサン912ml、および1−ブテン320mlを導入し、系内の温度を80℃に昇温させた。引き続き、トリイソブチルアルミニウム0.9ミリモルおよび上記で調製した触媒溶液2.0ml(Zrとして0.0005ミリモル)をエチレンで系内に圧入し、重合反応を開始させた。エチレンを連続的に供給することにより全圧を8.0kg/cm2−Gに保ち、80℃で30分間重合させた。
重合物を少量のエタノールを系中に導入して重合を停止させた後、未反応のエチレンをパージした。得られた溶液を大過剰のメタノール中に投入して白色固体を析出させた。この白色固体を濾過により回収し、減圧下で一晩乾燥させて、白色固体(エチレン・1−ブテン共重合体)を得た。得られたエチレン・1−ブテン共重合体の密度は0.865g/cm3、MFR(ASTMD1238規格、190℃:2160g荷重)は0.5g/10分、1−ブテン構造単位含有率は4モル%だった。
得られたエチレン・1−ブテン共重合体100質量部に、無水マレイン酸1.0質量部と過酸化物(パーヘキシン25B、日本油脂(株)製、登録商標)0.04質量部とを混合した。得られた混合物を230℃に設定した1軸押出機で溶融グラフト変性することによって変性エチレン・1−ブテン共重合体(b)を得た。
ガラス繊維のチョップドストランド(日本電気硝子社製ECS03T-251H、ガラス繊維(単繊維)の繊維径10.5μm、平均長さ3mm、アミノシラン系化合物処理品(付着量0.45質量%))
<実施例1>
エンジニアリングプラスチック(A)として上記半芳香族ポリアミド(A−1)と、熱可塑性エラストマー(B)として上記熱可塑性エラストマー(B−1)と、繊維状充填材(C)として上記ガラス繊維のチョップドストランドとを、表2に示される組成比で予備混合し、これを二軸押出機((株)日本製鋼所製、TEX−30)に供給し、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数300rpmで、溶融混練した。この二軸押出機から押出されたストランドを切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
熱可塑性エラストマー(B)に代えて表2に示される比較用樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。
熱可塑性エラストマー(B)を含有させず、かつ表2に示される組成に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。
実施例1、および比較例1〜2で樹脂組成物の、曲げ強度、射出流動長およびシャルピー衝撃強度を、以下の方法で評価した。
得られた樹脂組成物を、下記の成形条件で射出成形し、長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片を作製した。
成形機:東芝機械(株)製、EC75N
成形機シリンダー温度:ポリアミドの融点(Tm)+15℃
金型温度:120℃
得られた試験片を、温度23℃、窒素雰囲気下で24時間放置した。次いで、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で曲げ試験機NTESCO社製 AB5、スパン64mm、曲げ速度2.0mm/分で曲げ試験を行い、曲げ強度(MPa)を測定した。
得られた樹脂組成物を、幅10mm、厚み0.5mmのバーフロー金型を使用して以下の条件で射出し、金型内の樹脂組成物の流動長(mm)を測定した。なお、流動長が長いほど射出流動性が良好であることを示す。
成形機:ソディック社製 プラスティック、ツパールTR40S3A
射出設定圧力:2000kg/cm2
成形機シリンダー温度:ポリアミドの融点(Tm)+15℃
金型温度:120℃
得られた樹脂組成物を、下記の成形条件で射出成形し、厚さ4mmのノッチ付きの試験片を作製した。
成形機:東芝機械(株)製、EC75N
成形機シリンダー温度:ポリアミドの融点(Tm)+15℃
金型温度:80℃
得られた試験片のシャルピー衝撃強度を、ISO179に準拠して、1)温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下、2)温度−40℃、相対湿度50%の雰囲気下、でそれぞれ測定した。
Claims (9)
- 示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が150〜350℃であるエンジニアリングプラスチック(A)60〜90質量部と、
熱可塑性エラストマー(B)5〜35質量部と、
繊維状充填材(C)5〜35質量部と
を含み(ただし、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計は100質量部とする)、
前記熱可塑性エラストマー(B)は、
エチレンに由来する構造単位と、炭素原子数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位と、炭素−炭素二重結合を1分子内に1個以上有する非共役ポリエンに由来する構造単位とを含むエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)と、
エチレンに由来する構造単位と、不飽和カルボン酸に由来する構造単位とを含むエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)と、
フェノール樹脂系架橋剤(B−III)と
を含む組成物の架橋物である、
樹脂組成物。 - 前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)は、エチレン・メタクリル酸共重合体である、
請求項1に記載の樹脂組成物。 - 前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)における、前記不飽和カルボン酸に由来する構造単位の含有率は、5〜20質量%である、
請求項1または2に記載の樹脂組成物。 - 前記繊維状充填材(C)は、ガラス繊維である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。 - 前記エンジニアリングプラスチック(A)は、前記融点(Tm)が270〜340℃の半芳香族ポリアミドである、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。 - 前記半芳香族ポリアミドは、ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)と、ジアミンに由来する構造単位(a2)とを含み、かつ
前記ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)は、前記ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)の合計100モル%に対して30モル%以上のテレフタル酸に由来する構造単位を含み、
前記ジアミンに由来する構造単位(a2)は、前記ジアミンに由来する構造単位(a2)の合計100モル%に対して50モル%以上の炭素原子数4〜18の脂肪族ジアミンに由来する構造単位を含む、
請求項5に記載の樹脂組成物。 - 前記熱可塑性エラストマー(B)は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)、および前記フェノール樹脂系架橋剤(B−III)の合計を100質量部としたとき、
前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)を30〜80質量部と、
前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)を15〜60質量部と、
前記フェノール樹脂系架橋剤(B−III)を1〜10質量部と
を含む、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物から得られる、成形体。
- エチレンに由来する構造単位と、炭素原子数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位と、炭素−炭素二重結合を1分子内に1個以上有する非共役ポリエンに由来する構造単位とを含むエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)と、
エチレンに由来する構造単位と、不飽和カルボン酸に由来する構造単位とを含むエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)と、
フェノール樹脂系架橋剤(B−III)と
を含む組成物を動的架橋させて、熱可塑性エラストマー(B)を得る工程と、
前記熱可塑性エラストマー(B)と、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が150〜350℃であるエンジニアリングプラスチック(A)と、繊維状充填材(C)とを混合する工程とを含み、
前記混合する工程では、
前記エンジニアリングプラスチック(A)、前記熱可塑性エラストマー(B)および前記繊維状充填材(C)の合計100質量部に対して、
前記エンジニアリングプラスチック(A)の配合量が、60〜90質量部であり、
前記熱可塑性エラストマー(B)の配合量が、5〜35質量部であり、
前記繊維状充填材(C)の配合量が、5〜35質量部である、
樹脂組成物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019049907A JP7336858B2 (ja) | 2019-03-18 | 2019-03-18 | 樹脂組成物および成形体、ならびに樹脂組成物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019049907A JP7336858B2 (ja) | 2019-03-18 | 2019-03-18 | 樹脂組成物および成形体、ならびに樹脂組成物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020152754A true JP2020152754A (ja) | 2020-09-24 |
JP7336858B2 JP7336858B2 (ja) | 2023-09-01 |
Family
ID=72557794
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019049907A Active JP7336858B2 (ja) | 2019-03-18 | 2019-03-18 | 樹脂組成物および成形体、ならびに樹脂組成物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7336858B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021106850A1 (ja) * | 2019-11-29 | 2021-06-03 | 東洋紡株式会社 | 半芳香族ポリアミド樹脂組成物、及び金属メッキ成形体 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012067150A (ja) * | 2010-09-21 | 2012-04-05 | Toyobo Co Ltd | 中空成形体用強化ポリアミド樹脂組成物およびそれを用いた中空成形体 |
JP2012082882A (ja) * | 2010-10-08 | 2012-04-26 | Nsk Ltd | 建設機械の走行減速機用転がり軸受 |
JP2013040346A (ja) * | 2005-03-18 | 2013-02-28 | Kuraray Co Ltd | 半芳香族ポリアミド樹脂 |
WO2015083819A1 (ja) * | 2013-12-06 | 2015-06-11 | 三井化学株式会社 | ポリアミド系熱可塑性エラストマー組成物及びその成形品 |
-
2019
- 2019-03-18 JP JP2019049907A patent/JP7336858B2/ja active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013040346A (ja) * | 2005-03-18 | 2013-02-28 | Kuraray Co Ltd | 半芳香族ポリアミド樹脂 |
JP2012067150A (ja) * | 2010-09-21 | 2012-04-05 | Toyobo Co Ltd | 中空成形体用強化ポリアミド樹脂組成物およびそれを用いた中空成形体 |
JP2012082882A (ja) * | 2010-10-08 | 2012-04-26 | Nsk Ltd | 建設機械の走行減速機用転がり軸受 |
WO2015083819A1 (ja) * | 2013-12-06 | 2015-06-11 | 三井化学株式会社 | ポリアミド系熱可塑性エラストマー組成物及びその成形品 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021106850A1 (ja) * | 2019-11-29 | 2021-06-03 | 東洋紡株式会社 | 半芳香族ポリアミド樹脂組成物、及び金属メッキ成形体 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7336858B2 (ja) | 2023-09-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6654045B2 (ja) | ポリアミド系熱可塑性エラストマー組成物及びその成形品 | |
KR100864605B1 (ko) | 페인트 부착성이 강화된 열가소성 폴리아마이드 수지조성물 | |
JP6655392B2 (ja) | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びその成形品 | |
JP5510624B2 (ja) | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物および成形体 | |
TW201922891A (zh) | 滑動構件 | |
JP2011148997A (ja) | ポリアミド樹脂組成物 | |
JP2008111062A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 | |
JP2007217679A (ja) | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物および成形品 | |
JPH0258543A (ja) | 耐衝撃性ポリアミド樹脂組成物の製造法 | |
EP3578593A1 (en) | Fiber-reinforced resin composition and method of producing the same | |
JP2020152754A (ja) | 樹脂組成物および成形体、ならびに樹脂組成物の製造方法 | |
JP7061513B2 (ja) | 樹脂組成物および成形体、ならびに樹脂組成物の製造方法 | |
JP6876715B2 (ja) | ポリアミド系熱可塑性エラストマー組成物、成形体及び中空成形体 | |
US5227429A (en) | Poly(arylene sulfide) resin composition | |
EP0431954B1 (en) | Polyarylene sulphide resin composition and process for producing the same | |
JP5131014B2 (ja) | 樹脂組成物およびそれからなる成形品 | |
JP4174721B2 (ja) | 結晶性熱可塑性樹脂成形体 | |
JP5103763B2 (ja) | 樹脂組成物およびそれからなる成形品 | |
JP7303004B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物及び成形品 | |
JP7343312B2 (ja) | 繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物及びその成形品 | |
JP3300392B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびその用途 | |
JP6886584B2 (ja) | 複合成形品及びその製造方法 | |
EP3733777A1 (en) | Polyamide resin composition and molded article comprising same | |
JP3464759B2 (ja) | ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂組成物および成形体 | |
JP4461357B2 (ja) | 摺動性と耐熱性に優れたポリアミド系樹脂成形品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20190621 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20191105 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20211206 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220930 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20221004 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221202 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230314 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230508 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230725 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230822 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7336858 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |