JP2020152754A - 樹脂組成物および成形体、ならびに樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物および成形体、ならびに樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】繊維状充填材を含んでいても、成形時の溶融流動性や曲げ強度の低下を低減でき、耐衝撃性に優れた成形体を付与しうる樹脂組成物を提供すること。【解決手段】融点(Tm)が150〜350℃であるエンジニアリングプラスチック(A)60〜90質量部と、熱可塑性エラストマー(B)5〜35質量部と、繊維状充填材(C)5〜35質量部とを含み(ただし、(A)、(B)および(C)の合計は100質量部とする)、前記熱可塑性エラストマー(B)は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)と、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)と、フェノール樹脂系架橋剤(B−III)とを含む組成物の架橋物である、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物および成形体、ならびに樹脂組成物の製造方法に関する。
ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステルなどのエンジニアリングプラスチックは、優れた耐熱性および耐薬品性を有する。そのため、これらのエンジニアリングプラスチックとガラス繊維などの充填材とを含む成形材料は、自動車部品やエレクトロニクス関連部品などの様々な分野において使用されている。
一方で、エンジニアリングプラスチックの成形体は、耐衝撃性、特にシャルピー衝撃強度が低いという問題があった。
エンジニアリングプラスチックの成形体の耐衝撃性を高める方法として、エンジニアリングプラスチックに、エチレン・プロピレン共重合ゴムを配合することが考えられる。ここで、極性が高いエンジニアリングプラスチックと、極性が低いエチレン・プロピレン共重合ゴムとは、元来、親和性がないため、単にこれらを混合しただけでは、得られる成形体の耐衝撃性を高めることができないだけでなく、層剥離(二相構造の界面での剥離)を生じやすい。そこで、エチレン・プロピレン共重合ゴムにマレイン酸などの酸性基を有するビニル単量体を導入した変性エチレン・プロピレン共重合ゴムを、エンジニアリングプラスチックに配合することが提案されている(例えば特許文献1および2参照)。
特開昭55−44108号公報 特開平2−160813号公報
しかしながら、特許文献1や2の組成物は、十分な耐衝撃性を有するものではなかった。また、繊維状充填材を含む樹脂組成物に、変性エチレン・プロピレン共重合ゴムをさらに添加すると、成形時の溶融流動性が低下しやすいだけでなく、曲げ強度を十分には高めにくいという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、繊維状充填材を含んでいても、成形時の溶融流動性や曲げ強度の低下を低減でき、耐衝撃性に優れた成形体を付与しうる樹脂組成物および成形体、ならびに樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
[1] 示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が150〜350℃であるエンジニアリングプラスチック(A)60〜90質量部と、熱可塑性エラストマー(B)5〜35質量部と、繊維状充填材(C)5〜35質量部とを含み(ただし、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計は100質量部とする)、前記熱可塑性エラストマー(B)は、エチレンに由来する構造単位と、炭素原子数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位と、炭素−炭素二重結合を1分子内に1個以上有する非共役ポリエンに由来する構造単位とを含むエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)と、エチレンに由来する構造単位と、不飽和カルボン酸に由来する構造単位とを含むエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)と、フェノール樹脂系架橋剤(B−III)とを含む組成物の架橋物である、樹脂組成物。
[2] 前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)は、エチレン・メタクリル酸共重合体である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)における、前記不飽和カルボン酸に由来する構造単位の含有率は、5〜20質量%である、[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4] 前記繊維状充填材(C)は、ガラス繊維である、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] 前記エンジニアリングプラスチック(A)は、前記融点(Tm)が270〜340℃の半芳香族ポリアミドである、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] 前記半芳香族ポリアミドは、ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)と、ジアミンに由来する構造単位(a2)とを含み、かつ前記ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)は、前記ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)の合計100モル%に対して30モル%以上のテレフタル酸に由来する構造単位を含み、前記ジアミンに由来する構造単位(a2)は、前記ジアミンに由来する構造単位(a2)の合計100モル%に対して50モル%以上の炭素原子数4〜18の脂肪族ジアミンに由来する構造単位を含む、[5]に記載の樹脂組成物。
[7] 前記熱可塑性エラストマー(B)は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)、および前記フェノール樹脂系架橋剤(B−III)の合計を100質量部としたとき、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)を30〜80質量部と、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)を15〜60質量部と、前記フェノール樹脂系架橋剤(B−III)を1〜10質量部とを含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物から得られる、成形体。
[9] エチレンに由来する構造単位と、炭素原子数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位と、炭素−炭素二重結合を1分子内に1個以上有する非共役ポリエンに由来する構造単位とを含むエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)と、エチレンに由来する構造単位と、不飽和カルボン酸に由来する構造単位とを含むエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)と、フェノール樹脂系架橋剤(B−III)とを含む組成物を動的架橋させて、熱可塑性エラストマー(B)を得る工程と、前記熱可塑性エラストマー(B)と、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が150〜350℃であるエンジニアリングプラスチック(A)と、繊維状充填材(C)とを混合する工程とを含み、前記混合する工程では、前記エンジニアリングプラスチック(A)、前記熱可塑性エラストマー(B)および前記繊維状充填材(C)の合計100質量部に対して、前記エンジニアリングプラスチック(A)の配合量が、60〜90質量部であり、前記熱可塑性エラストマー(B)の配合量が、5〜35質量部であり、前記繊維状充填材(C)の配合量が、5〜35質量部である、樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、繊維状充填材を含んでいても、成形時の溶融流動性や曲げ強度の低下を低減でき、耐衝撃性に優れた成形体を付与しうる樹脂組成物および成形体、ならびに樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
本発明者らは、半芳香族ポリアミドなどのエンジニアリングプラスチック(A)と、繊維状充填材(C)とを含む樹脂組成物において、熱可塑性エラストマー(B)を含有させることで、繊維状充填材(C)を含むにも係わらず、(変性エチレン・プロピレン共重合ゴムを含有させた場合と比べて)成形時の溶融流動性の低下と曲げ強度の低下を顕著に少なくできることを見出した。
この理由は明らかではないが、以下のように推測される。溶融流動性の低下を低減できるのは、熱可塑性エラストマー(B)が有する不飽和カルボン酸ユニットのほうが、変性エチレン・プロピレン共重合ゴムが有する無水マレイン酸ユニットよりも、ポリアミドなどのエンジニアリングプラスチック(A)との反応性が低く、溶融成形時に増粘しすぎないためであると考えられる。また、曲げ強度の低下を低減できるのは、熱可塑性エラストマー(B)は架橋されているため、変性エチレン・プロピレン共重合ゴムよりも硬く、その分、応力を担うことができるためと考えられる。
1.樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、エンジニアリングプラスチック(A)と、熱可塑性エラストマー(B)と、繊維状充填材(C)とを含む。
1−1.エンジニアリングプラスチック(A)
エンジニアリングプラスチック(A)は、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が150〜350℃のエンジニアリングプラスチックである。
エンジニアリングプラスチック(A)の融点(Tm)は、以下の条件で測定することができる。DSC(示差走査型熱量測定法)を用いて、エンジニアリングプラスチック(A)の試料を加熱して一旦320℃で5分間保持し、次いで10℃/分の速度で23℃まで降温し、その後10℃/分の速度で昇温する。このときの融解に基づく吸熱ピークの温度を融点(Tm)とする。
そのようなエンジニアリングプラスチック(A)は、エーテル基やアミド基、カルボニル基、スルホニル基、チオエーテル基、またはそれらの一以上を組み合わせた基などの極性基を有するエンジニアリングプラスチックであることが好ましい。そのようなエンジニアリングプラスチック(A)は、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、フッ素樹脂、ポリアミノビスマレイミドおよびポリビスアミドトリアゾールからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
(ポリアミド)
ポリアミドは、アミド結合(−NH−C(=O)−)を有する構造単位を含む重合体であり、好ましくはジカルボン酸とジアミンとを共縮重合させて得られる重合体である。すなわち、ポリアミドは、ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)と、ジアミンに由来する構造単位(a2)とを含む。
(ジカルボン酸に由来する構造単位(a1))
ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)は、テレフタル酸に由来する構造単位を含むことが好ましい。テレフタル酸に由来する構造単位の量は、ポリアミドを構成するジカルボン酸に由来する構造単位(a1)の総モル数(100モル%)に対して、30〜100モル%であることが好ましく、40〜90モル%であることがより好ましく、40〜80モル%であることがさらに好ましい。ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)中における、テレフタル酸に由来する構造単位が30モル%以上含まれると、ポリアミドの耐熱性や強度を高めやすいため、樹脂組成物の耐熱性や強度を高めやすい。
ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)は、テレフタル酸以外のジカルボン酸に由来する構造単位をさらに含んでいてもよい。テレフタル酸以外のジカルボン酸の例には、イソフタル酸、2−メチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;2,5−フランジカルボン酸等のフランジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸が含まれる。テレフタル酸以外のジカルボン酸に由来する構造単位は、1種のみ含まれてもよいし、2種以上含まれていてもよい。中でも、テレフタル酸成分に由来する構造単位以外のジカルボン酸成分に由来する構造単位は、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位及び/又は炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位であることが好ましく、ガラス転移温度Tgを一定以下に調整しやすい観点から、炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位であることがより好ましく、アジピン酸に由来する構造単位であることがさらに好ましい。
テレフタル酸以外のジカルボン酸に由来する構造単位の量は、ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)の総モル数(100モル%)に対して、0〜70モル%であることが好ましく、10〜60モル%であることがより好ましく、20〜60モル%であることがさらに好ましい。
(ジアミンに由来する構造単位(a2))
ジアミンに由来する構造単位(a2)は、脂肪族ジアミンに由来する構造単位を含む。
脂肪族ジアミンに由来する構造単位は、少なくとも炭素原子数が4〜18であり、且つ分岐した置換基を有しない直鎖状のアルキレンジアミンに由来する構造単位(以下、「直鎖アルキレンジアミンに由来する構造単位」とも称する)を含むことが好ましい。直鎖アルキレンジアミンに由来する構造単位は、分岐した置換基を有する分岐アルキレンジアミンに由来する構造単位とは異なり、3級炭素原子を有しないため、成形時のポリアミドの熱分解を抑制しやすいことから、成形性を高めやすい。
直鎖アルキレンジアミンに由来する構造単位の炭素原子数は、4〜15であることがより好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。直鎖アルキレンジアミンの例には、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等が含まれる。直鎖アルキレンジアミンに由来する構造単位は、1種のみ含まれてもよいし、2種以上含まれてもよい。中でも、直鎖アルキレンジアミンに由来する構造単位は、1,6−ジアミノヘキサンに由来する構造単位を含むことがさらに好ましい。
直鎖アルキレンジアミンに由来する構造単位の量は、脂肪族系ジアミンに由来する構造単位の総モル数(100モル%)に対して40〜100モル%であることが好ましく、50〜100モル%であることがより好ましく、100モル%であってもよい。
脂肪族ジアミンに由来する構造単位の含有量は、ジアミンに由来する構造単位(a2)の総モル数(100モル%)に対して、50〜100モル%であることが好ましく、60〜100モル%であることがより好ましく、80〜100モル%であることがさらに好ましい。
ジアミンに由来する構造単位(a2)は、脂肪族ジアミンに由来する構造単位以外の他のジアミンに由来する構造単位をさらに含んでいてもよい。他のジアミンに由来する構造単位の例には、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン等の炭素原子数4〜15の脂環族ジアミンに由来する構造単位や;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノビフェニル、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン等の芳香族ジアミンに由来する構造単位が含まれる。他のジアミンに由来する構造単位は、1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。
他のジアミンに由来する構造単位の総量は、ジアミンに由来する構造単位(a2)の総量(100モル%)に対して50モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることがさらに好ましい。
ポリアミドの好ましい具体例には、ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)が、テレフタル酸に由来する構造単位であり、ジアミンに由来する構造単位(a2)が、1,6−ヘキサンジアミンに由来する構造単位であるポリアミドや;ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)が、テレフタル酸に由来する構造単位であり、ジアミンに由来する構造単位(a2)が、1,9−ノナンジアミンに由来する構造単位であるポリアミド;ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)が、テレフタル酸に由来する構造単位とイソフタル酸に由来する構造単位であり、ジアミンに由来する構造単位(a2)が、1,6−ヘキサンジアミンに由来する構造単位であるポリアミド;ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)が、テレフタル酸に由来する構造単位およびアジピン酸に由来する構造単位であり、ジアミンに由来する構造単位(a2)が、1,6−ヘキサンジアミンに由来する構造単位であるポリアミドが挙げられる。
ポリアミドは、コンパウンドや成形時の熱安定性の観点から、少なくとも一部の分子鎖の末端基が末端封止剤により封止されていることが好ましい。特に、溶融安定性、耐熱性、耐加水分解性の観点から、ポリアミドの末端アミノ基量は、0.1〜300mmol/kgであることが好ましく、5〜300mmol/kgであることがより好ましく、5〜200mmol/kgであることがさらに好ましい。
ポリアミドの末端アミノ基量は、以下の方法で測定することができる。ポリアミド1gをフェノール35mLに溶解させ、メタノールを2mL混合し、試料溶液とする。そして、チモールブルーを指示薬として、当該試料溶液に対して0.01規定のHCl水溶液を使用して青色から黄色になるまで滴定し、末端アミノ基量([NH]、単位:mmol/kg)を特定する。
ポリアミドの末端アミノ基量は、ポリアミド調製時に使用するジアミンとジカルボン酸との比率や、末端封止剤による封止量によって調整される。
末端封止剤は、ポリアミドの分子末端のアミノ基またはカルボキシル基と反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、反応性および封止末端の安定性などの観点から、モノカルボン酸またはモノアミンが好ましく、取扱いの容易さなどの観点から、モノカルボン酸がより好ましい。
末端封止剤として用いられるモノカルボン酸は、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はない。モノカルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸などの芳香族モノカルボン酸が挙げられる。
末端封止剤として用いられるモノアミンは、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はない。モノアミンの例には、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミンなどの脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂環式モノアミン;アニリン、トルイジンなどの芳香族モノアミンが含まれる。
ポリアミドの、示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)は、270〜340℃であることが好ましく、280〜330℃であることがより好ましい。ポリアミドの融点が上記範囲であると、成形性を損なわない範囲で、得られる樹脂組成物の耐熱性や機械的強度(曲げ強度など)を高めやすい。
また、ポリアミドの、示差走査熱量測定(DSC)で測定されるガラス転移温度(Tg)は、70〜110℃であることが好ましく、75〜100℃であることがより好ましい。
ポリアミドのガラス転移温度および融点は、ポリアミドを構成するジカルボン酸やジアミンの種類、ポリアミドの分子量等で調整されうる。
ポリアミドの、温度25℃、96.5%硫酸中で測定される極限粘度[η]は、0.7〜1.6dl/gであることが好ましく、0.8〜1.2dl/gであることがより好ましい。ポリアミドの極限粘度[η]が0.7dl/g以上であると、樹脂組成物から得られる成形体の機械的強度が十分に高まりやすく、1.6dl/g以下であると、樹脂組成物の成形時の流動性が損なわれにくく、所望の形状に成形しやすくなる。
ポリアミドの極限粘度は、以下の方法で測定することができる。まず、約0.5gのポリアミドを96.5%濃硫酸50mlに溶解させる。そして、得られた溶液の、25℃±0.05℃の条件下での流下秒数を、ウベローデ粘度計を使用して測定する。その後、以下の式に基づいて、極限粘度を算出する。
[η]=ηSP/(C(1+0.205ηSP))
上記式において、各代数又は変数は、以下を表す。
[η]:極限粘度(dl/g)
ηSP:比粘度
C:試料濃度(g/dl)
ηSPは、以下の式によって求められる。
ηSP=(t−t0)/t0
t:試料溶液の流下秒数(秒)
t0:ブランク硫酸の流下秒数(秒)
ポリアミドは、公知のポリアミドと同様に製造することができ、例えばジカルボン酸とジアミンとを均一溶液中で重縮合させて製造することができる。具体的には、ジカルボン酸とジアミンとを、国際公開第03/085029号に記載されているように触媒の存在下で加熱することにより低次縮合物を得て、次いでこの低次縮合物の溶融物にせん断応力を付与することにより重縮合させて製造することができる。
ポリアミドの極限粘度を調整する場合には、反応系に、分子量調整剤として上記末端封止剤を配合することが好ましい。
分子量調整剤としての末端封止剤は、ジカルボン酸とジアミンとの反応系に添加される。末端封止剤の添加量は、ジカルボン酸の総量1モルに対して0.07モル以下であることが好ましく、0.05モル以下であることがより好ましい。末端封止剤の添加量を上記範囲とすることで、少なくとも分子量調整剤の一部がポリアミド中に取り込まれ、それにより、ポリアミドの末端アミノ基量の調整に加えて、ポリアミドの分子量、すなわち、極限粘度[η]を所望の範囲内に調整できる。
(ポリアセタール)
ポリアセタールは、オキシメチレン構造単位(−OCH−)を含む重合体である。ポリアセタールは、ポリオキシメチレン(例えば、米国デュポン社製、商品名「デルリン」、旭化成工業(株)製、商品名「テナック4010」)などのポリアセタール単独重合体であってもよいし;オキシメチレン構造単位と、コモノマー構造単位とを含むポリアセタール共重合体(例えば、ポリプラスチックス(株)製、商品名「ジュラコン」)であってもよい。
ポリアセタール共重合体に含まれるコモノマー構造単位の例には、炭素原子数2〜6、好ましくは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン構造単位(例えば、オキシエチレン基(−OCHCH−)、オキシプロピレン基、オキシテトラメチレン基)が含まれる。コモノマー構造単位の含有量は、ポリアセタールを構成する全構造単位に対して0.01〜20モル%、好ましくは0.03〜15モル%、さらに好ましくは0.1〜10モル%でありうる。
ポリアセタール共重合体は、二元共重合体であってもよいし、三成分以上の多元共重合体であってもよい。ポリアセタール共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体(例えば、特公平2−24307号公報,旭化成工業(株)製、商品名「テナックLA」「テナックLM」)やグラフト共重合体などであってもよい。また、ポリアセタールは、線状のみならず、分岐構造を有していてもよいし、架橋構造を有していてもよい。さらに、ポリアセタールの分子末端は、例えば、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸またはそれらの無水物によるエステル化、イソシアネート化合物によるウレタン化、またはエーテル化などにより安定化されていてもよい。
(ポリカーボネート)
ポリカーボネートは、二価フェノールとホスゲンとを界面重縮合して得られる重合体、または二価フェノールとジフェニルカーボネートなどのカーボネート前駆体とをエステル交換により重合させて得られる重合体でありうる。二価フェノールの例には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が含まれる。
(ポリエステル)
ポリエステルは、二価以上の芳香族カルボン酸と、二価以上のアルコールおよび/またはフェノールとを重縮合させて得られる重合体でありうる。なかでも、結晶性ポリエステル、特に融点200℃以上の結晶性ポリエステルが好ましい。ポリエステルの例には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートが含まれる。なかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが好ましく、ポリブチレンテレフタレートが特に好ましい。ポリエステルの市販品としてはノバデュラン(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)などがあり、市場から容易に入手することができる。
(ポリフェニレンエーテル)
ポリフェニレンエーテルの例には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが含まれる。
(ポリエーテルサルホン)
ポリエーテルサルホンは、例えばビスフェノ−ルAと4,4’−ジクロロジフェニルサルホンとを重縮合して得られる重合体でありうる。
ポリエーテルサルホンは、下記式(1)〜(3)のいずれかで表される構造単位を含む芳香族ポリエーテルサルホンでありうる。
(−Ar−SO−Ar−O−) (1)
(−Ar−X−Ar−O−Ar−SO−Ar−O−) (2)
(−Ar−SO−Ar−O−Ar−O−) (3)
式(1)のArおよびArは、同一または異なる炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素基(例えば炭素原子数6〜12のアリーレン基)である。式(2)のAr〜Arは、同一または異なる炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素基(例えば炭素数6〜12のアリーレン基)であり、Xは、炭素原子数1〜15の二価の炭素水素基である。式(3)のAr〜Arは、同一または異なる炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素基(例えば炭素数6〜12のアリーレン基)である。
(ポリフェニレンサルファイド)
ポリフェニレンサルファイドは、下記式で表される構造単位を含む重合体である。
−(Ph−S)−
上記式のPhは、フェニレン基である。フェニレン基の例には、p−フェニレン、m−フェニレン、o−フェニレンが含まれる。Sは、硫黄原子である。
ポリフェニレンサルファイドは、上記式で表される構造単位以外の他のモノマーに由来する構造単位をさらに含んでもよい。他のモノマーの例には、アルキル置換フェニレン(好ましくは、炭素原子数1〜6のアルキル基)、フェニル置換フェニレン、ハロゲン置換フェニレン、アミノ置換フェニレン、アミド置換フェニレン、p,p'−ジフェニレンスルフォン、p,p'−ビフェニレン、p,p'−ビフェニレンエーテル、p,p'−ビフェニレンカルボニルおよびナフタレンが含まれる。他のモノマーは、1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
(ポリアリレート)
ポリアリレートとしては、二価のフェノール化合物(例えばビスフェノールA)と、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸やイソフタル酸)とを重縮合させて得られる重合体でありうる。
(ポリアミドイミド)
ポリアミドイミドは、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジイソシアネートとを重縮合させて得られる重合体、または芳香族二酸無水物と芳香族ジイソシアネートとを重縮合させて得られる重合体でありうる。
芳香族ジカルボン酸の例には、イソフタル酸、テレフタル酸が含まれる。芳香族二酸無水物の例には、無水トリメリット酸が含まれる。芳香族ジイソシアネートの例には、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、オルソトリランジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネートが含まれる。
(ポリエーテルイミド)
ポリエーテルイミドは、イミド基とエーテル基とを含む構造単位を含む重合体である。ポリエーテルイミドの例には、下記式で表される構造単位を含む重合体が含まれる。
Figure 2020152754
(ポリエーテルエーテルケトン)
ポリエーテルエーテルケトンは、下記式で表される構造単位を含む重合体である。
Figure 2020152754
(フッ素樹脂)
フッ素樹脂の例には、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化エチレンプロピレンエーテル、ポリフッ化アルコキシエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ四フッ化エチレンなどが含まれる。
(ポリアミノビスマレイミド)
ポリアミノビスマレイミドは、ジアミン化合物とビスマレイミド化合物とを重合反応させて得られる重合体であり、下記式で表される構造単位を含みうる。下記式において、PおよびQは、それぞれ二価の有機基である。
Figure 2020152754
ジアミン化合物の例には、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシベンジジン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)エタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)1,3−ジクロロ−1,1−3,3−テトラフルオロプロパン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルファイド、4,4′−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,4′−ジアミノベンゾフェノンなどが含まれる。
ビスマレイミド化合物の例には、N,N′−エチレンビスマレイミド、N,N′−m−フェニレンビスマレイミド、N,N′−p−フェニレンビスマレイミド、N,N′−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N′−4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、N,N′−p,p′−ジフェニルジメチルシリルビスマレイミド、N,N′−p,p′−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N′−p,p′−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N′−ジシクロヘキシルメタンビスマレイミド、N,N′−m−キシレンビスマレイミド、N,N′−(3,3′−ジクロロ−p,p′−ビスフェニレン)ビスマレイミド、N,N′−(3,3′−ジフェニルオキシ)ビスマレイミドが含まれる。
これらの中でも、良好な機械的強度や耐熱性、成形性などを有することから、ポリアミドが好ましく;ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)としてテレフタル酸に由来する構造単位を含み、ジアミンに由来する構造単位(a2)として脂肪族ジアミンに由来する構造単位を含むポリアミドのような、半芳香族ポリアミドがより好ましく;融点(Tm)が270〜340℃の半芳香族ポリアミドがさらに好ましい。
エンジニアリングプラスチック(A)の含有量は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計100質量部に対して60〜90質量部であることが好ましい。エンジニアリングプラスチック(A)の含有量が60質量部以上であると、得られる樹脂組成物の耐熱変形性を高めやすく、90質量部以下であると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性が損なわれにくい。エンジニアリングプラスチック(A)の含有量は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計100質量部に対して60〜85質量部であることがより好ましい。
1−2.熱可塑性エラストマー(B)
熱可塑性エラストマーは、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)と、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)と、フェノール樹脂系架橋剤(B−III)とを含む組成物の架橋物(動的架橋物)である。架橋物とは、部分架橋物または完全架橋物である。
1−2−1.エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)は、エチレンに由来する構造単位と、炭素原子数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位と、非共役ポリエンに由来する構造単位とを含む共重合体である。
(エチレンに由来する構造単位)
エチレンに由来する構造単位の含有割合は、共重合体ゴム(B−I)を構成する全構造単位に対して50〜89質量%であることが好ましく、55〜83質量%であることがより好ましい。
(炭素原子数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位)
炭素原子数3〜20のα−オレフィンの例には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが含まれる。中でも、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの炭素原子数3〜8のα−オレフィンが好ましい。α−オレフィンは、一種類であってもよいし、二種類以上を組み合わせてもよい。これらのα−オレフィンは、原料コストが比較的安価で共重合性に優れると共に、共重合体ゴム(B−I)に優れた機械的性質と良好な柔軟性を付与するので好ましい。
炭素原子数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位の含有割合は、共重合体ゴム(B−I)を構成する全構造単位に対して10〜49質量%であることが好ましく、15〜43質量%であることがより好ましい。
(非共役ポリエンに由来する構造単位)
非共役ポリエンは、炭素−炭素二重結合を1分子内に1個以上有する非共役ポリエンであり、その例には、脂肪族ポリエンや脂環族ポリエンが含まれる。
脂肪族ポリエンの例には、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−ノナジエン、1,8−デカジエン、1,12−テトラデカジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−エチル−1,4−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘプタジエン、5−エチル−1,4−ヘプタジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、5−エチル−1,5−ヘプタジエン、4−メチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,4−オクタジエン、4−エチル−1,4−オクタジエン、5−エチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,5−オクタジエン、5−エチル−1,5−オクタジエン、6−エチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、6−エチル−1,6−オクタジエン、6−プロピル−1,6−オクタジエン、6−ブチル−1,6−オクタジエン、4−メチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,4−ノナジエン、4−エチル−1,4−ノナジエン、5−エチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,5−ノナジエン、5−エチル−1,5−ノナジエン、6−エチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,6−ノナジエン、6−エチル−1,6−ノナジエン、7−エチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,7−ノナジエン、8−メチル−1,7−ノナジエン、7−エチル−1,7−ノナジエン、5−メチル−1,4−デカジエン、5−エチル−1,4−デカジエン、5−メチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,5−デカジエン、5−エチル−1,5−デカジエン、6−エチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,6−デカジエン、6−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,6−デカジエン、7−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,7−デカジエン、7−エチル−1,7−デカジエン、8−エチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,8−デカジエン、9−メチル−1,8−デカジエン、8−エチル−1,8−デカジエン、6−メチル−1,6−ウンデカジエン、9−メチル−1,8−ウンデカジエン、さらには1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンなどのα,ω−ジエンが含まれる。中でも、7−メチル−1,6−オクタジエンが好ましい。
脂環族ポリエンの例には、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB);5−アリル−2−ノルボルネンなどの5−アルケニル−2−ノルボルネン;2,5−ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、ノルボルナジエン、テトラシクロ[4,4,0,12.5,17.10]デカ−3,8−ジエン、2−メチル−2,5−ノルボルナジエン、2−エチル−2,5−ノルボルナジエンなどが含まれる。中でも、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)が好ましい。非共役ポリエン構造単位は、一種類であってもよいし、二種類以上を併用してもよい。
非共役ポリエンに由来する構造単位の含有割合は、共重合体ゴム(B−I)を構成する全構造単位に対して1〜20質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましい。
共重合体ゴム(B−I)の極限粘度[η]は、0.5〜5.0dl/gであることが好ましく、1.0〜4.5dl/gであることがより好ましく、1.5〜4.0dl/gであることが特に好ましい。この極限粘度[η]は、温度135℃、デカリン中で測定した値であり、ASTM D 1601に従って測定することにより求めることができる。
共重合体ゴム(B−I)の含有量は、(B−I)成分、(B−II)成分および(B−III)成分の合計100質量部に対して30〜80質量部であることが好ましい。共重合体ゴム(B−I)の含有量が30質量部以上であると、熱可塑性エラストマー(B)の柔軟性を十分に高めうるため、得られる樹脂組成物の耐衝撃性を十分に高めつつ、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)の含有量が多くなりすぎないため、成形性や機械的強度、耐熱性が損なわれにくい。共重合体ゴム(B−I)の含有量が80質量部以下であると、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)の含有量が少なくなりすぎないため、エンジニアリングプラスチック(A)と熱可塑性エラストマー(B)との相溶性やそれによる耐衝撃性の向上効果が損なわれにくい。共重合体ゴム(B−I)の含有量は、(B−I)成分、(B−II)成分および(B−III)成分の合計100質量部に対して35〜80質量部であることがより好ましく、45〜70質量部であることがさらに好ましい。
1−2−2.エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)は、エチレンに由来する構造単位と、不飽和カルボン酸に由来する構造単位とを含む共重合体である。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)のカルボキシル基は、例えばエンジニアリングプラスチック(A)が有しうる極性基(例えばポリアミドの場合、カルボキシル基やアミノ基など)と相互作用しやすいため、エンジニアリングプラスチック(A)と熱可塑性エラストマー(B)との相溶性を高め、耐衝撃性をさらに高めうる。
エチレンと共重合される不飽和カルボン酸は、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸モノエステルなどでありうる。不飽和モノカルボン酸の例には、アクリル酸、メタクリル酸などが含まれ;不飽和ジカルボン酸の例には、マレイン酸、フマル酸などが含まれ;不飽和ジカルボン酸モノエステルの例には、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソブチルが含まれる。これらの中でも、アクリル酸もしくはメタクリル酸が好ましく、特にメタクリル酸が好ましい。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)における、不飽和カルボン酸に由来する構造単位の含有率(酸含有量)は、5〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。不飽和カルボン酸に由来する構造単位の含有率(酸含有量)が一定以上であると、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)のカルボキシル基が、例えばエンジニアリングプラスチック(A)が有しうる極性基などと相互作用しやすいため、エンジニアリングプラスチック(A)と熱可塑性エラストマー(B)との相溶性を高めやすく、耐衝撃性を高めやすい。一方、不飽和カルボン酸に由来する構造単位の含有率(酸含有量)が一定以下であると、樹脂組成物中のカルボキシル基の含有量が高まりすぎないので、エンジニアリングプラスチック(A)と熱可塑性エラストマー(B)とが相互作用し過ぎず、流動性を損ないにくい。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)の酸含有量は、FT−IR測定により測定することができる。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)は、エチレンと不飽和カルボン酸との二元共重合体だけでなく、エチレンと不飽和カルボン酸と他の単量体との多元共重合体であってもよい。
他の単量体は、ビニルモノマーなどでありうる。ビニルモノマーの例には、酢酸ビニルのようなビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチルなどの不飽和カルボン酸エステルなどが含まれる。ただし、これらの他の単量体を多く含みすぎると、融点が低く、耐熱性を損なうことがある。そのため、他の単量体由来の構造単位の含有割合は、共重合体に対して20重量%以下、好ましくは10重量%以下としうる。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)の融点は、60〜120℃であることが好ましく、70〜120℃であることがより好ましい。融点が60℃以上であると、熱可塑性エラストマー(B)の耐熱性が損なわれにくい。融点が120℃以下であると、熱可塑性エラストマー(B)の溶融時の粘度が過剰に高くなりにくく、成形加工性を損ないにくい。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)の融点は、JIS K 7121:1987に準拠して測定される。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)の、JIS K 7210:1999に準拠し、190℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)は、成形性が損なわれない限り、特に限定されないが、0.5〜1000g/10分(dl/g)、好ましくは1〜500g/10分(dl/g)としうる。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)の含有量は、(B−I)成分、(B−II)成分および(B−III)成分の合計100質量部に対して15〜60質量部であることが好ましい。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)の含有量が15質量部以上であると、共重合体ゴム(B−I)とエンジニアリングプラスチック(A)との相溶性、ひいては熱可塑性エラストマー(B)とエンジニアリングプラスチック(A)との相溶性を十分に高めやすく、得られる樹脂組成物に十分な耐衝撃性を付与しやすい。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)の含有量が60質量部以下であると、得られる樹脂組成物の成形性や機械的強度、耐熱性が損なわれにくい。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)の含有量は、(B−I)成分、(B−II)成分および(B−III)成分の合計100質量部に対して15〜55質量部であることがより好ましく、20〜50質量部であることがさらに好ましい。
また、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)と共重合体ゴム(B−I)の質量比((B−II)/(B−I))は、30/70〜90/10であることが好ましく、40/60〜80/20であることがより好ましく、40/60〜75/25であることがさらに好ましい。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)の質量比が一定以上であると、エンジニアリングプラスチック(A)と共重合体ゴム(B−I)、ひいては熱可塑性エラストマー(B)の相溶性を高めやすく、得られる樹脂組成物の耐衝撃性を十分に高めやすい。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)の質量比が一定以下であると、得られる樹脂組成物は、良好な耐衝撃性を有しつつ、機械的強度が損なわれにくい。
また、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)とエンジニアリングプラスチック(A)の質量比((B−II)/(A))は、得られる樹脂組成物の耐衝撃性をより高めやすくする観点では、5/95〜15/85(質量比)であることが好ましく、得られる樹脂組成物の耐衝撃性を高める観点では、5/95〜12/88(質量比)であることがより好ましい。
1−2−3.フェノール樹脂系架橋剤(B−III)
フェノール樹脂系架橋剤(B−III)は、代表的には、アルキル置換または非置換のフェノール類を、アルカリ触媒存在下でアルデヒド(好ましくはホルムアルデヒド)と縮合して得られるレゾ−ル樹脂である。アルキル置換フェノールのアルキル基は、炭素原子数1〜10のアルキル基であることが好ましい。すなわち、アルキル置換または非置換のフェノール類は、炭素原子数1〜10のアルキル基で置換されたジメチロールフェノール類またはフェノール類であることが好ましい。
フェノール樹脂系架橋剤(B−III)の例には、下記式(1)で表される化合物が含まれる。
Figure 2020152754
式(1)中、Rは、アルキル基などの有機基であり、好ましくは炭素原子数20未満の有機基、より好ましくは炭素原子数4〜12の有機基である。R'は、水素原子または−CH−OHである。n、mは、0〜20の整数であり、好ましくは0〜15の整数、より好ましくは0〜10の整数である。
フェノール樹脂系架橋剤(B−III)の他の例には、メチロール化アルキルフェノール樹脂、ハロゲン化アルキルフェノール樹脂が含まれる。ハロゲン化アルキルフェノール樹脂とは、分子鎖末端の水酸基が臭素などのハロゲン原子で置換されたアルキルフェノール樹脂であり、その例には、下記式(2)で表される化合物が含まれる。
Figure 2020152754
式(2)のn、mおよびRは、式(1)のn、mおよびRとそれぞれ同義である。式(2)のR'は、水素原子、−CHまたは−CH−Brである。
フェノール樹脂系架橋剤(B−III)の市販品の例には、田岡化学工業(株)のタッキロール201、タッキロール250−I、タッキロール250−III;SI Group社のSP1045、SP1055、SP1056;昭和電工(株)の ショウノールCRM;荒川化学工業(株)のタマノル531;住友ベークライト(株)社のスミライトレジンPR;群栄化学工業(株)のレジトップ(以上、全て商品名)などが含まれる。これらは、一種類で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。中でも、田岡化学工業(株)のタッキロール250−III(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)やSI Group社のSP1055(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)が好ましい。
これらの中でも、ハロゲン化アルキルフェノール樹脂が特に好ましい。ハロゲンアルキルフェノール樹脂は、共重合体ゴム(B−I)との相溶性に優れるとともに、反応性に富んでおり、架橋反応開始時間を比較的早くできるので好ましい。
フェノール樹脂系架橋剤(B−III)が粉体状の架橋剤である場合、その平均粒径は、好ましくは0.1μm〜3mm、より好ましくは1μm〜1mm、特に好ましくは5μm〜0.5mmである。フレーク状の硬化剤は、ジェットミル、粉砕刃付粉砕機などの粉砕機により粉体状にしてから使用することが好ましい。
フェノール樹脂系架橋剤(B−III)の含有量は、(B−I)成分、(B−II)成分、および(B−III)成分の合計100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましい。フェノール樹脂系架橋剤(B−III)の含有量が1質量部以上であると、(B−I)成分を十分に架橋させやすいため、得られる熱可塑性エラストマー(B)に十分な耐衝撃性を付与しやすい。フェノール樹脂系架橋剤(B−III)の含有量は、(B−I)成分、(B−II)成分、および(B−III)成分の合計100質量部に対して1〜8質量部であることがより好ましく、2〜6質量部であることがさらに好ましい。
1−2−4.他の成分
熱可塑性エラストマー(B)を得るための組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、(B−I)成分、(B−II)成分および(B−III)成分以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分の例には、フェノール樹脂系架橋剤(B−III)以外の他の架橋剤や架橋助剤、補助安定剤(酸化防止剤)などが含まれる。
他の架橋剤は、前述の組成物の動的架橋が可能な架橋剤であればよく、その例には、硫黄系架橋剤が含まれる。ただし、他の架橋剤は、有機過酸化物を含まないことが好ましい。(B−I)成分と(B−II)成分の架橋に適した温度が高いことから、有機過酸化物は架橋剤として機能しにくいからである。
架橋助剤の例には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などが含まれる。
補助安定剤の例には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物およびリン化合物が含まれる。
他の成分の合計含有量は、組成物の全質量に対して10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、0質量%であってもよい。
1−2−5.熱可塑性エラストマー(B)の製造方法
熱可塑性エラストマー(B)は、(B−I)成分、(B−II)成分、および(B−III)成分を含む組成物の少なくとも一部を動的架橋させること、具体的には、溶融流動状態(動的状態)で架橋させることによって得ることができる。
動的架橋は、通常、前述の組成物を溶融混練装置に供給し、所定温度に加熱して溶融混練することにより行う。溶融混練装置は、例えば二軸押出機、単軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどを用いることができる。中でも、剪断力や連続生産性が良好である点から、二軸押出機が好ましい。溶融混練温度は、通常、200〜320℃である。溶融混練時間は、通常、0.5〜30分である。
この動的架橋によって、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)が架橋される。つまり、熱可塑性エラストマー(B)は、フェノール樹脂系架橋剤(B−III)で架橋された共重合体ゴム(B−I)と、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)とを含みうる。そして、熱可塑性エラストマー(B)は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)を含む海相(マトリクス相)と、架橋された共重合体ゴム(B−I)を含む島相(分散相)とを有する海島構造を有する。
架橋した共重合体ゴム(B−I)を含む島相(分散相)は、ゴム弾性を発現しうる。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)を含む海相(マトリクス相)は、エンジニアリングプラスチック(A)と架橋した共重合体ゴム(B−I)を含む島相(分散相)との相溶性を高めうる。そして、島相(分散相)の平均粒径は比較的小さく、微分散している。そのような熱可塑性エラストマー(B)は、良好な柔軟性または耐衝撃性を有し、かつエンジニアリングプラスチック(A)との良好な相溶性を有しうる。それにより、得られる樹脂組成物は、層間剥離などを生じることなく、良好な耐衝撃性を有しうる。
熱可塑性エラストマー(B)の含有量は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計100質量部に対して5〜35質量部であることが好ましい。熱可塑性エラストマー(B)の含有量が5質量部以上であると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性を高めやすく、35質量部以下であると、得られる樹脂組成物の耐熱変形性や機械的強度などが損なわれにくい。熱可塑性エラストマー(B)の含有量は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計100質量部に対して5〜30質量部であることがより好ましい。
熱可塑性エラストマー(B)とエンジニアリングプラスチック(A)の質量比((B)/(A))は、得られる樹脂組成物の耐衝撃性と、溶融流動性および曲げ強度とのバランスを良くする観点では、43/57〜7/93(質量比)であることが好ましく、29/71〜7/93(質量比)であることがより好ましい。
1−3.繊維状充填材(C)
繊維状充填材(C)は、樹脂組成物の成形性を向上させるとともに、その成形体の引張り強度、曲げ強度、曲げ弾性率等の機械的特性および熱変形温度などの耐熱特性を向上させうる。
繊維状充填材(C)の例には、ガラス繊維(グラスファイバー)、チタン酸カリウム繊維、金属被覆ガラス繊維、セラミックス繊維、ワラストナイト、炭素繊維、金属炭化物繊維、金属硬化物繊維、アスベスト繊維およびホウ素繊維などの無機繊維や;アラミド繊維、炭素繊維のような有機繊維が挙げられる。なかでも、成形体の機械的強度を顕著に向上させうることなどから、ガラス繊維が好ましい。
繊維状充填材(C)の平均長さは、通常は0.1〜20mm、好ましくは0.2〜6mmの範囲にある。さらに、繊維状充填材(C)のアスペクト比(L(ガラス繊維の平均長さ)/C(ガラス繊維の平均外径))は、通常は10〜5000、好ましくは100〜3000の範囲にある。
繊維状充填材(C)の平均長さやアスペクト比は、樹脂組成物またはその成形体の一部を、アルゴンイオンビーム加工にて切り出して、走査型電子顕微鏡(日立社製S−4800)により観察して求めることができる。
さらに、成形体の反りを防止する目的で、繊維状充填材(C)の繊維断面の異径比(長径と短径の比)は、1より大きいことが好ましく、1.5〜6.0であることがより好ましい。
繊維状充填材(C)は、シランカップリング剤やチタンカップリング剤などで処理して使用されうる。例えば、繊維状充填材(C)は、その表面が、ビニルトリエトキシシラン、2-アミノプロピルトリエトキシシラン、2-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのシランカップリング剤で表面処理されていてもよい。
繊維状充填材(C)は、集束剤が塗布されていてもよい。集束剤の例には、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルに代表されるアクリル系化合物、無水マレイン酸などのメタアクリル酸以外の炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸化合物、エポキシ系化合物、ウレタン系化合物、アミン系化合物およびこれらの組み合わせが含まれる。好ましい組合せの例には、アクリル系化合物/カルボン酸化合物、ウレタン系化合物/カルボン酸化合物、ウレタン系化合物/アミン系化合物が含まれる。また、上記表面処理剤は、集束剤と併用されてもよい。それにより、樹脂組成物中において、繊維状充填材(C)と他の成分との結合性が向上し、外観および機械的強度がより向上しやすい。
繊維状充填材(C)の含有量は、(A)、(B)および(C)成分の合計100質量部に対して、5〜35質量部であることが好ましい。繊維状充填材(C)の含有量が5質量部以上であると、成形体に良好な機械的強度を付与しやすく、35質量部以下であると、成形時の流動性を損ないにくい。繊維状充填材(C)の含有量は、(A)、(B)および(C)成分の合計100質量部に対して10〜35質量部であることがより好ましい。
1−4.その他の成分
本発明の樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分および(C)成分以外の他の成分をさらに含んでもよい。他の成分の例には、相溶化剤(D)が含まれる。
(相容化剤(D))
相容化剤(D)は、特に限定されないが、エンジニアリングプラスチック(A)と、熱可塑性エラストマー(B)とをより良好に相容化させるため、極性基含有化合物、例えば水酸基、カルボニル基、エポキシ基、酸ハイドライド、酸無水物、酸アミド、カルボン酸エステル、酸アジド、スルフォン基、ニトリル基、シアノ基、イソシアン酸エステル、アミノ基、イミド基、オキサゾリン基、チオール基などを極性基として有する極性基含有化合物の重合体または共重合体でありうる。
極性基含有化合物の例には、エポキシ基含有エチレン系共重合体、マレイン酸変性スチレン系共重合体およびマレイン酸変性オレフィン系樹脂が含まれる。
エポキシ基含有エチレン系共重合体の例には、エチレンとグリシジルジメタクリレートとの共重合体が含まれる。また、エポキシ基含有エチレン系共重合体は、酢酸ビニル、アクリル酸メチルなどの他のモノマーとの共重合体であってもよい。エポキシ基含有エチレン系共重合体のグリシジル基の含有量は、例えば1〜20質量%であることが好ましい。
マレイン酸変性スチレン系共重合体の例には、無水マレイン酸変性SEBSが含まれる。マレイン酸変性オレフィン系樹脂の例には、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが含まれる。マレイン酸変性オレフィン系樹脂およびマレイン酸変性スチレン系共重合体のマレイン酸変性率は、例えば0.1〜20質量%であることが好ましい。
相容化剤(D)の市販品の例には、ボンドファースト2C、E、2B、7B、7L、7M、VC40(住友化学工業(株)製)、クレイトンFG1901、FG1924(クレイトンポリマージャパン(株)製)、タフテックM1911、M1913、M1943、MP10(旭化成ケミカルズ(株)製)などが含まれる。
本発明の樹脂組成物が相容化剤(D)を含む場合、相容化剤(D)の含有量は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましい。相容化剤(D)の含有量が0.1質量部以上であると、成形性を損なうことなく、エンジニアリングプラスチック(A)と熱可塑性エラストマー(B)との相容性をさらに高めやすい。相容化剤(D)の含有量が20質量部以下であると、耐熱変形性が損なわれにくい。
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール製改良剤、可塑剤(例えばステアリン酸、シリコーンオイルなど)、滑剤(ポリエチレンワックスなど)、着色剤、顔料、難燃剤(例えば水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム)、発泡剤(例えば有機系、無機系)などをさらに含んでいてもよい。
2.樹脂組成物の製造方法
本発明の樹脂組成物は、任意の方法で製造することができ、たとえば前述の方法で熱可塑性エラストマー(B)を得る工程と、得られた熱可塑性エラストマー(B)と、エンジニアリングプラスチック(A)と、繊維状充填材(C)とを公知の方法で混合する工程とを経て製造することができる。上記混合した後、押出機を用いて混合物をさらに溶融混練してもよい。各成分の配合量は、前述の通りである。
任意に用いられる架橋助剤や相溶化剤(D)は、予めいずれかの成分と混合していてもよいし、共重合体ゴム(B−I)とエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)とを動的架橋させる際、または熱可塑性エラストマー(B)と、エンジニアリングプラスチック(A)および繊維状充填材(C)とを混合する際に添加してもよい。
3.成形体とその用途
本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形体は、種々の用途に用いることができ、例えば自動車部品、建材部品、スポーツ用品、医療器具部品、工業部品など、各種用途の成形体として有用である。
中でも、本発明の樹脂組成物から得られる成形体は、良好な成形性と耐衝撃性を有することから、中空成形体(産業用チューブ)や、特定の成形方法(ブロー成形および二色成形など)で得られる成形体に好適である。
<中空成形体(産業用チューブ)>
産業用チューブは、前述の樹脂組成物を含む層を少なくとも含む。産業用チューブとは、特に産業機器に使用されるチューブを意味する。産業用チューブの例には、車両(例えば自動車)、空圧・油圧機器、塗装機器、医療機器などの産業機器に必要な流体(燃料、溶剤、薬品、ガスなど)を通すチューブが挙げられる。特に、車両配管用チューブ(例えば燃料系チューブ、吸気系チューブ、冷却系チューブ)、空圧チューブ、油圧チューブ、ペイントスプレーチューブ、医療用チューブ(例えばカテーテル)などの用途において非常に有用である。
<射出成形、ブロー成形または二色成形により得られる成形体>
射出成形、ブロー成形または二色成形により得られる成形体は、そのような物性が要求される各種用途(例えば自動車、電気製品)に広く利用可能である。射出成形、ブロー成形または二色成形により得られる成形体の例には、等速ジョイントブーツ、ダストカバーなどのブーツ部品、オイルシール、ガスケット、パッキン、ダストカバー、バルブ、ストッパ、精密シールゴム、ウェザストリップなどが挙げられる。中でも、自動車用等速ジョイントブーツが好ましい。自動車用等速ジョイントブーツの製造方法としては、例えば射出成形法、ブロー成形法(インジェクションブロー成形法、プレスブロー成形法)など、公知の方法を採用できる。
これらの中でも、本発明の成形体は、自動車関連部品である吸気・排気系部品や自動車用等速ジョイントブーツ、ダストカバー、各種ブーツ部品などの樹脂製フレキシブルブーツの材料として、好ましくは吸気・排気系部品として特に有用である。
吸気・排気系部品の例には、エアホース、エアダクト、ターボダクト、ターボホース、インテークマニホールド、またはエグゾ−ストマニホールドなどが含まれる。
以下において、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
1.樹脂組成物の材料
<エンジニアリングプラスチック(A)>
(ポリアミドの調製)
テレフタル酸1787g(10.8モル)、1,6−ヘキサンジアミン2800g(24.9モル)、アジピン酸1921g(13.1モル)、安息香酸36.6g(0.30モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物5.7g及び蒸留水554gを、内容量13.6Lのオートクレーブに入れ、窒素置換した。190℃から攪拌を開始し、3時間かけて内部温度を250℃まで昇温した。このとき、オートクレーブの内圧を3.01MPaまで昇圧した。このまま、1時間反応を続けた後、オートクレーブ下部に設置したスプレーノズルから大気放出して、低縮合物を抜き出した。その後、この低縮合物を室温まで冷却後、粉砕機で1.5mm以下の粒径まで粉砕し、110℃で24時間乾燥させた。得られた低縮合物の水分量は3600ppm、極限粘度[η]は0.48dl/gであった。
次に、この低縮合物を棚段式固相重合装置に入れ、窒素置換後、約1時間30分かけて220℃まで昇温した。その後、1時間反応させ、室温まで降温した。その後、このプレポリマーを、スクリュー径30mm、L/D=36の二軸押出機にて、バレル設定温度330℃、スクリュー回転数200rpm、6Kg/hの樹脂供給速度で溶融重合させて、ポリアミドを得た。
得られたポリアミドの極限粘度[η]、末端アミノ基量、融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)を、それぞれ以下の方法で測定した。
(極限粘度[η])
まず、約0.5gのポリアミドを96.5%濃硫酸50mlに溶解させた。そして、得られた溶液の、25℃±0.05℃の条件下での流下秒数を、ウベローデ粘度計を使用して測定した。その後、以下の式に基づいて、極限粘度を算出した。
[η]=ηSP/(C(1+0.205ηSP))
上記式において、各代数又は変数は、以下を表す。
[η]:極限粘度(dl/g)
ηSP:比粘度
C:試料濃度(g/dl)
ηSPは、以下の式によって求められる。
ηSP=(t−t0)/t0
t:試料溶液の流下秒数(秒)
t0:ブランク硫酸の流下秒数(秒)
(末端アミノ基量)
ポリアミド1gをフェノール35mLに溶解させ、メタノールを2mL混合し、試料溶液とした。そして、チモールブルーを指示薬として、当該試料溶液に対して0.01規定のHCl水溶液を使用して青色から黄色になるまで滴定し、末端アミノ基量([NH]、単位:mmol/kg)を求めた。
(融点およびガラス転移温度)
DSC(示差走査型熱量測定法)を用いて、ポリアミドの試料を加熱して一旦320℃で5分間保持し、次いで、10℃/分の速度で23℃まで降温し、その後、10℃/分の速度で昇温した。このときの融解に基づく吸熱ピークの温度を融点(Tm)とし、ガラス転移に基づく温度をガラス転移温度(Tg)とした。
得られたポリアミドの極限粘度[η]は0.8dl/g、末端アミノ基量は195mmol/kg、融点Tmは295℃、ガラス転移温度Tgは75℃であった。
<熱可塑性エラストマー(B)>
熱可塑性エラストマー(B)として、下記の熱可塑性エラストマー(B−1)を調製した。
(熱可塑性エラストマー(B−1)の調製)
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)としてエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(エチレン含量65質量%、ジエン含量4.6質量%、[η]=2.4dl/g)を55質量%、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)としてエチレン・メタクリル酸共重合体(商品名:ニュクレルAN4213C(商標)、三井・デュポンポリケミカル社製、密度(JIS K 7112:1999):940kg/m、融点:88℃、酸含有量:11質量%、MFR(JIS K 7210:1999(190℃、2.16kg荷重)10g/10分)を40質量%、フェノール樹脂系架橋剤(B−III)としてフレーク状の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂(田岡化学工業社製、商品名タッキロール250−III)を、ヘンシェルミキサーにて10秒間攪拌して粉状にしたものを5質量%、および架橋助剤として少量の酸化亜鉛二種(ハクスイテック社製)を予備混合し、これを二軸押出機((株)日本製鋼所製、TEX−30)に供給し、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数300rpmで、溶融混練した。この二軸押出機から押出されたストランドを切断して、熱可塑性エラストマー(B−1)のペレットを得た。
得られた熱可塑性エラストマー(B−1)の組成を表1に示す。
Figure 2020152754
<比較用樹脂>
比較用樹脂として、下記変性エチレン・1−ブテン共重合体(b)を調製した。
(変性エチレン・1−ブテン共重合体(b)の調製)
十分に窒素置換したガラス製フラスコに、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを0.63mg入れ、更にメチルアミノキサンのトルエン溶液(Al;0.13ミリモル/リットル)1.57ml、およびトルエン2.43mlを添加することにより触媒溶液を得た。
次に、充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブに、ヘキサン912ml、および1−ブテン320mlを導入し、系内の温度を80℃に昇温させた。引き続き、トリイソブチルアルミニウム0.9ミリモルおよび上記で調製した触媒溶液2.0ml(Zrとして0.0005ミリモル)をエチレンで系内に圧入し、重合反応を開始させた。エチレンを連続的に供給することにより全圧を8.0kg/cm−Gに保ち、80℃で30分間重合させた。
重合物を少量のエタノールを系中に導入して重合を停止させた後、未反応のエチレンをパージした。得られた溶液を大過剰のメタノール中に投入して白色固体を析出させた。この白色固体を濾過により回収し、減圧下で一晩乾燥させて、白色固体(エチレン・1−ブテン共重合体)を得た。得られたエチレン・1−ブテン共重合体の密度は0.865g/cm、MFR(ASTMD1238規格、190℃:2160g荷重)は0.5g/10分、1−ブテン構造単位含有率は4モル%だった。
得られたエチレン・1−ブテン共重合体100質量部に、無水マレイン酸1.0質量部と過酸化物(パーヘキシン25B、日本油脂(株)製、登録商標)0.04質量部とを混合した。得られた混合物を230℃に設定した1軸押出機で溶融グラフト変性することによって変性エチレン・1−ブテン共重合体(b)を得た。
得られた変性エチレン・1−ブテン共重合体(b)の無水マレイン酸グラフト変性量は0.98質量%であった。また、135℃デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]は1.90dl/gであった。
<繊維状充填材(C)>
ガラス繊維のチョップドストランド(日本電気硝子社製ECS03T-251H、ガラス繊維(単繊維)の繊維径10.5μm、平均長さ3mm、アミノシラン系化合物処理品(付着量0.45質量%))
2.樹脂組成物の調製
<実施例1>
エンジニアリングプラスチック(A)として上記半芳香族ポリアミド(A−1)と、熱可塑性エラストマー(B)として上記熱可塑性エラストマー(B−1)と、繊維状充填材(C)として上記ガラス繊維のチョップドストランドとを、表2に示される組成比で予備混合し、これを二軸押出機((株)日本製鋼所製、TEX−30)に供給し、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数300rpmで、溶融混練した。この二軸押出機から押出されたストランドを切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
<比較例1>
熱可塑性エラストマー(B)に代えて表2に示される比較用樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。
<比較例2>
熱可塑性エラストマー(B)を含有させず、かつ表2に示される組成に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。
<評価>
実施例1、および比較例1〜2で樹脂組成物の、曲げ強度、射出流動長およびシャルピー衝撃強度を、以下の方法で評価した。
(曲げ強度)
得られた樹脂組成物を、下記の成形条件で射出成形し、長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片を作製した。
成形機:東芝機械(株)製、EC75N
成形機シリンダー温度:ポリアミドの融点(Tm)+15℃
金型温度:120℃
得られた試験片を、温度23℃、窒素雰囲気下で24時間放置した。次いで、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で曲げ試験機NTESCO社製 AB5、スパン64mm、曲げ速度2.0mm/分で曲げ試験を行い、曲げ強度(MPa)を測定した。
(射出流動長)
得られた樹脂組成物を、幅10mm、厚み0.5mmのバーフロー金型を使用して以下の条件で射出し、金型内の樹脂組成物の流動長(mm)を測定した。なお、流動長が長いほど射出流動性が良好であることを示す。
成形機:ソディック社製 プラスティック、ツパールTR40S3A
射出設定圧力:2000kg/cm
成形機シリンダー温度:ポリアミドの融点(Tm)+15℃
金型温度:120℃
(シャルピー衝撃強度)
得られた樹脂組成物を、下記の成形条件で射出成形し、厚さ4mmのノッチ付きの試験片を作製した。
成形機:東芝機械(株)製、EC75N
成形機シリンダー温度:ポリアミドの融点(Tm)+15℃
金型温度:80℃
得られた試験片のシャルピー衝撃強度を、ISO179に準拠して、1)温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下、2)温度−40℃、相対湿度50%の雰囲気下、でそれぞれ測定した。
実施例1、比較例1および2の評価結果を、表2に示す。
Figure 2020152754
表2に示されるように、共重合体ゴム(B−I)とエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)を含む組成物の動的架橋物である熱可塑性エラストマー(B)を含む実施例1の樹脂組成物は、比較用樹脂として変性エチレン・1−ブテン共重合体(b)を含む比較例1の樹脂組成物よりも、(衝撃強度を維持しつつ)流動長を長くし、かつ曲げ強度を高めることができることがわかる。また、実施例1の樹脂組成物は、比較例2の樹脂組成物よりも高いシャルピー衝撃強度(耐衝撃性)を有することがわかる。
本発明によれば、繊維状充填材を含んでいても、成形時の溶融流動性や曲げ強度の低下を低減でき、耐衝撃性に優れた成形体を付与しうる樹脂組成物および成形体、ならびに樹脂組成物の製造方法を提供することができる。

Claims (9)

  1. 示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が150〜350℃であるエンジニアリングプラスチック(A)60〜90質量部と、
    熱可塑性エラストマー(B)5〜35質量部と、
    繊維状充填材(C)5〜35質量部と
    を含み(ただし、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計は100質量部とする)、
    前記熱可塑性エラストマー(B)は、
    エチレンに由来する構造単位と、炭素原子数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位と、炭素−炭素二重結合を1分子内に1個以上有する非共役ポリエンに由来する構造単位とを含むエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)と、
    エチレンに由来する構造単位と、不飽和カルボン酸に由来する構造単位とを含むエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)と、
    フェノール樹脂系架橋剤(B−III)と
    を含む組成物の架橋物である、
    樹脂組成物。
  2. 前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)は、エチレン・メタクリル酸共重合体である、
    請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)における、前記不飽和カルボン酸に由来する構造単位の含有率は、5〜20質量%である、
    請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記繊維状充填材(C)は、ガラス繊維である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記エンジニアリングプラスチック(A)は、前記融点(Tm)が270〜340℃の半芳香族ポリアミドである、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記半芳香族ポリアミドは、ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)と、ジアミンに由来する構造単位(a2)とを含み、かつ
    前記ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)は、前記ジカルボン酸に由来する構造単位(a1)の合計100モル%に対して30モル%以上のテレフタル酸に由来する構造単位を含み、
    前記ジアミンに由来する構造単位(a2)は、前記ジアミンに由来する構造単位(a2)の合計100モル%に対して50モル%以上の炭素原子数4〜18の脂肪族ジアミンに由来する構造単位を含む、
    請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 前記熱可塑性エラストマー(B)は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)、および前記フェノール樹脂系架橋剤(B−III)の合計を100質量部としたとき、
    前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)を30〜80質量部と、
    前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)を15〜60質量部と、
    前記フェノール樹脂系架橋剤(B−III)を1〜10質量部と
    を含む、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物から得られる、成形体。
  9. エチレンに由来する構造単位と、炭素原子数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位と、炭素−炭素二重結合を1分子内に1個以上有する非共役ポリエンに由来する構造単位とを含むエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)と、
    エチレンに由来する構造単位と、不飽和カルボン酸に由来する構造単位とを含むエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)と、
    フェノール樹脂系架橋剤(B−III)と
    を含む組成物を動的架橋させて、熱可塑性エラストマー(B)を得る工程と、
    前記熱可塑性エラストマー(B)と、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が150〜350℃であるエンジニアリングプラスチック(A)と、繊維状充填材(C)とを混合する工程とを含み、
    前記混合する工程では、
    前記エンジニアリングプラスチック(A)、前記熱可塑性エラストマー(B)および前記繊維状充填材(C)の合計100質量部に対して、
    前記エンジニアリングプラスチック(A)の配合量が、60〜90質量部であり、
    前記熱可塑性エラストマー(B)の配合量が、5〜35質量部であり、
    前記繊維状充填材(C)の配合量が、5〜35質量部である、
    樹脂組成物の製造方法。
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