JP2020148423A - 温水製造システム - Google Patents
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Abstract
Description
以下、本発明の第1実施形態に係る温水製造システム1について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
本実施形態の温水製造システム1は、用水W1をヒートポンプ式給湯器の凝縮器に流通させながら第1温度まで加温する第1加温手段2と、第1加温手段2で加温された用水W1を蒸気ボイラで発生させた蒸気Sを利用して第1温度よりも高い第2温度まで昇温する第2加温手段3と、を備える。
ここで、第1温度は、第1加温手段2を構成するヒートポンプ式給湯器から給湯する温水の目標給湯温度T4tに対応する温度であり、第2温度は、最終的に温水製造システムから出湯する温水の目標出湯温度T5tに対応する温度である。
ヒートポンプ式給湯器11、12、13(以下、給湯器11、12、13ともいう)はそれぞれ、好適には電気駆動の冷媒圧縮機を有し、後述の給水タンク60から供給された用水W1をヒートポンプ式給湯システム10の凝縮器に流通させて第1温度、例えば50〜70℃に加温する。例えば目標給湯温度T4tが70℃の場合は、給湯温度T4が70℃となるように用水W1を加温する。
そこで、これらを代表して、第1給湯器11のヒートポンプ回路90について説明する。
なお、図1においては、熱源水供給ラインL8は図示を省略している。
なお、蒸発器の構造として、伝熱面が外部に露出されている場合、熱源ガスはファンにより伝熱面に供給(例えば、大気の通風)される。また、蒸発器の構造として、伝熱面が閉鎖空間(例えば、シェル)内に存在している場合、熱源ガスはブロワにより伝熱面に供給される。
ここで、圧縮機91を駆動するモータ95には、圧縮機91の消費電力Pwを検出する電力センサ96が設けられている。
さらに、第1給湯器11の熱源水供給ラインL8には、熱源水W8の温度を熱源温度Thとして検出する熱源温度センサ17と、蒸発器94に供給される熱源水W8の流量を熱源流量FMhとして検出する熱源流量センサ18が設けられている。
なお、これらのセンサは、実質的に第1給湯器11に設けられていればよく、第1給湯器11内の各ラインに設けてもよいし、第1給湯器11の近傍の各ラインに設けられていてもよい。
これらのセンサによる検出値は、後述するヒートポンプ式給湯システム10のCOP(エネルギー消費効率)の実測値を算出する目的などで用いられる。
第2加温手段3は、第1加温手段2で加温された用水W1を蒸気ボイラ装置30で発生させた蒸気Sを利用して第1温度よりも高い第2温度まで昇温する。
貫流ボイラ31は缶体34を備え、この缶体34には、昇温用給蒸ラインL2に加えて、缶体34に燃焼用空気Aを供給する給気ラインL12と、缶体34からの燃焼ガス(排ガス)Eを排出する排ガスラインL13と、缶体34に燃料ガスFを供給する燃料供給ラインL14と、缶体34に用水をボイラ給水W4として供給するボイラ給水ラインL4が接続されている。
これらのラインはそれぞれ、システム全体として共通ラインを有し、この共通ラインを複数台の貫流ボイラ31、32、33に対応させて途中で分岐させているものであってもよい。なお、図1には、昇温用給蒸ラインL2、ボイラ給水ラインL4の共通ラインを除き、図示は省略している。
なお、これらのセンサは、実質的に蒸気ボイラ装置30に設けられていればよく、蒸気ボイラ装置30内の各ラインに設けてもよいし、蒸気ボイラ装置30の近傍の各ラインに設けられていてもよい。
これらのセンサによる検出値は、後述するボイラ効率実測値を算出する目的などで用いられる。
より具体的には、温水タンク40内に蒸気Sが吹き込まれることにより、温水タンク40内に貯留されている温水TWと、蒸気ボイラ装置30からの蒸気Sとの間で直接熱交換が行われ、その結果、温水タンク40内に貯留されている温水TWが昇温する。このとき、直接熱交換によって蒸気ボイラ装置30からの蒸気Sの全熱、すなわち顕熱および潜熱が利用されて、温水タンク40内に貯留されている温水TWは迅速に昇温する。
この温水タンク40は、貯留されている温水TWの温度を検知する貯湯温度センサ41と、貯留されている温水TWの水位WLを検知する第1水位センサ42を備える。
温水タンク40内で昇温された温水TWは、第2加温手段3から出湯する温水W6として、すなわち最終的に温水製造システム1から出湯する温水W6として、温水出湯ラインL6を通じて温水需要箇所に供給される。
なお、給水ポンプ19は、実質的に給湯器11、12、13に設けられていればよく、給湯器11、12、13内の用水ラインに設けてもよいし、各給湯器11、12、13に対応して分岐した後のヒートポンプ給水ラインL3に設けてもよい。なお、図1においては、給水ポンプ19の図示は省略している。
なお、各給湯器11、12、13に対応させて流量調整弁を設けて、流量調整弁の開度を制御することにより、給湯器11、12、13への給水量を調整する構成を採用してもよい。この場合は、給水ポンプ19は、ヒートポンプ給水ラインL3の共通ラインに1つのみ設けてもよい。流量調整弁を設ける場合、給水ポンプ19は所定の回転数(駆動周波数一定)で駆動される。
ボイラ給水ラインL4には、ボイラ給水ポンプ38が設けられている。図1は、ボイラ給水ラインL4の共通ラインに1つのボイラ給水ポンプ38を設けたときの例を示す図である。この場合は、各貫流ボイラ31、32、33に対応させて不図示の流量調整弁を設けて、流量調整弁の開度を制御することにより、各貫流ボイラ31、32、33への給水量を調整する構成を採用する。
なお、ボイラ給水ポンプ38は、実質的に蒸気ボイラ装置30に設けられていればよく、図1に示されるように、ボイラ給水ラインL4の共通ラインに1つのみ設けてもよいし、各貫流ボイラ31、32、33に対応して分岐した後のボイラ給水ラインL4に設けてもよい。また、各貫流ボイラ31、32、33内の用水ラインに設けてもよい。
なお、各貫流ボイラ31、32、33に対応させて、ボイラ給水ポンプに加えて流量調整弁をそれぞれ設けてもよい。流量調整弁を設ける場合、ボイラ給水ポンプは所定の回転数(駆動周波数一定)で駆動される。
さらに、第2加温手段制御部140は、図4Bに示すように、ボイラ制御部141と、給蒸制御部142と、貯湯制御部143を備える。
例えば、この目標出湯温度T5tは、図示しない入力部にユーザが目標出湯温度T5tを入力することにより手動で設定される。あるいは、温水需要箇所の状況等、種々の状況に応じて、目標出湯温度T5tが自動的に設定される構成であってもよい。
この出力分担情報決定部120が出力分担情報を決定する手順の詳細は、図9のフローチャートも用いて後述する。
あるいは、出力分担情報が、第1加温手段2と第2加温手段3の具体的な出力分担の割合(出力%)を示す場合は、その割合に応じて、第1加温手段2の出力を設定してもよい。例えば、第1加温手段制御部130は、20℃の用水W1から所定の流量で90℃の温水W6を得るのに必要な総熱量を計算し、この総熱量を100%とした場合の第1加温手段2の出力%を設定する。そして、第1加温手段2は、第1加温手段制御部130により設定された出力%に相当する熱出力(=総熱量×出力%)で運転される。
例えば、第1給湯器11について着目すると、第1加温手段制御部130は、給湯温度センサ16によって検出された給湯温度T4が、出力分担情報決定部120によって設定された目標給湯温度T4tとなるように、給水ポンプ19の回転数を制御して給湯量を調整する。第2給湯器12、第3給湯器13の制御についても同様である。
なお、各給湯器11、12、13に対応させて流量調整弁を設けて、流量調整弁の開度を制御することにより、給湯量の調整を行ってもよい。
これにより、給湯器11、12、13から供給される温水W1は、常に目標給湯温度T4tとなるように、目標給湯温度T4tに対応する第1温度まで加温される。
なお、熱源温度が低い場合など、ヒートポンプ回路に投入される熱量が少ない場合は、給湯量を絞ることにより、給湯温度T4が目標給湯温度T4tに維持されるように制御される。
ここで、目標給湯温度T4tは、出力分担情報決定部120による決定に基づき、目標出湯温度T5t以下の温度であって、例えば50〜85℃の範囲内の温度に設定される。ただし、目標給湯温度T4tは、この範囲外の温度に設定されてもよい。
例えば、温水タンク40から出湯する温水が、目標出湯温度設定部によって設定された目標出湯温度T5tとなるように、第2加温手段3を制御する。
あるいは、出力分担情報が、第1加温手段2と第2加温手段3の具体的な出力分担の割合(出力%)を示す場合は、その出力分担の割合に応じて、第2加温手段3の出力を設定してもよい。例えば、第2加温手段制御部140は、20℃の用水W1から所定の流量で90℃の温水W6を得るのに必要な総熱量を計算し、この総熱量を100%とした場合の第2加温手段3の出力%を設定する。そして、第2加温手段3は、第2加温手段制御部140により設定された出力%に相当する熱出力(=総熱量×出力%)で運転される。
第2加温手段制御部140は、ボイラ制御部141と、給蒸制御部142と、貯湯制御部143を備える。
本実施形態においては、温水タンク40内の温水が、最終的に温水製造システム1から出湯する温水として用いられるため、目標貯湯温度は、目標出湯温度T5tと同じ温度として設定される。すなわち、給蒸制御部142は、温水タンク40に貯湯されている温水TWが、目標出湯温度設定部110により設定された目標出湯温度T5tとなるように、昇温用給蒸弁54の開度を制御して蒸気Sの供給量を調整する。
この供給量の調整にはフィードバック制御を用いるのが好適である。例えば、貯湯温度センサ41の検出温度が目標貯湯温度(目標出湯温度T5t)に収束するように、PIDアルゴリズムにより昇温用給蒸弁54に対する操作量が演算され、給蒸制御部142から昇温用給蒸弁54のアクチュエータ回路へ開度指定信号が出力される。
このような給蒸制御を行うことにより、温水タンク40内の温水TWの温度は、常に目標貯湯温度(目標出湯温度T5t)となるように、目標貯湯温度(目標出湯温度T5t)に対応する第2温度まで加温される。
温水タンク40内で目標貯湯温度(目標出湯温度T5t)まで昇温された温水TWは、温水出湯ラインL6を通じて、温水需要箇所に温水W6として供給される。
例えば、図示しない入力部を用いてユーザが所望の運転モードを選択すると、運転モード選択部150は、選択された運転モードとなるように運転モードを切り替える。なお、この運転モードの切り替えは手動に限らず、種々の状況に応じて自動的に行われる構成であってもよい。
そして、CO2削減優先モードが選択された場合には、出力分担情報決定部120は、システム全体のCO2排出量が低くなるような第1加温手段2と第2加温手段3の出力分担割合を、出力分担情報として指定する。一方、ランニングコスト削減優先モードが選択された場合には、出力分担情報決定部120は、システム全体のランニングコストが低くなるような第1加温手段2と第2加温手段3の出力分担割合を、出力分担情報として指定する。
ここで、出力分担情報決定部120による、第1加温手段2と第2加温手段3の出力分担を決定する具体的な制御内容を説明する前に、本実施形態の温水製造システム1が、第1加温手段2と第2加温手段3とを有する構成を採用していることによる効果について、以下に説明する。
温水需要箇所側が求める温水の温度は、その用途によって異なるが、例えば食品や薬品用のびんの洗浄、パストライザー殺菌(瓶詰の殺菌)等を行う場合は、75℃〜95℃程度の高温域の温水が求められることがある。そこで、温水製造システムが、高温域の温水、例えば90℃の温水を温水需要箇所側に供給するケースについて説明する。
図6は、加温手段として、ヒートポンプ式給湯システム10のみを用いて温水製造システム6を構築した第2の比較例である。電力のCO2排出係数(0.51kgCO2/kWh)は、都市ガス13AのCO2排出係数(0.18kgCO2/kWh)よりも大きいが、出力当たりのCO2排出量で比較すると、COPの高いヒートポンプの方が蒸気ボイラよりも少なくなる。また、電力単価(15円/kWh程度)は、都市ガス13Aの燃料単価(6.2円/kWh程度)よりも高いが、出力当たりのランニングコストで比較すると、COPの高いヒートポンプの方が蒸気ボイラよりも安くなる。そのため、温水製造システム6は、図5の温水製造システム5よりは、CO2排出量およびランニングコストが低下する。
例えば、90℃の温水を給湯する場合におけるヒートポンプのCOPは、一例として2.8相当である。よって、加温手段として蒸気ボイラからの蒸気のみを利用する温水製造システム5と比較したときのCO2排出量の削減効果(CO2排出削減比)は10%程度に留まる。また、ランニングコストの削減効果(ランニングコスト削減比)も20%程度に留まる。
このような温水製造システム1であれば、第1加温手段2としてのヒートポンプ式給湯システム10が、高効率で運転できる温度帯まで、例えば70℃まで用水W1を加温し、この加温された温水W1を、蒸気ボイラ装置30からの蒸気Sを利用して高温域まで、例えば90℃まで昇温することが可能であり、高温域の温水を高効率で製造することができる。
例えば、温水製造システム1として90℃の温水を製造したい場合において、ヒートポンプは70℃までの加温を受け持つ。このとき、ヒートポンプは、90℃の温水を製造するのに必要な総熱出力の60%〜80%(出力割合60%〜80%)程度を受け持つこととなる。
そして、70℃から90℃までの昇温は、蒸気ボイラが受け持つ。このとき、蒸気ボイラは、90℃の温水を製造するのに必要な総熱出力の20%〜40%(出力割合20%〜40%)程度を受け持つこととなる。
ここで、CO2排出削減比は、加温手段として蒸気ボイラからの蒸気のみを利用する温水製造システム5のCO2排出量を100%とした場合に、本実施形態の温水製造システム1で削減できたCO2排出量の割合を示している。すなわち、CO2排出削減比が25%であれば、温水製造システム1への転換を図ることで、100%のCO2排出量を75%まで削減できることを意味している。
一方、ランニングコスト削減比は、加温手段として蒸気ボイラからの蒸気のみを利用する温水製造システム5のランニングコストを100%とした場合に、本実施形態の温水製造システム1で削減できたランニングコストの割合を示している。すなわち、ランニングコスト削減比が30%であれば、温水製造システム1への転換を図ることで、100%のランニングコストを70%まで削減できることを意味している。
そして、図8の棒グラフの縦軸は、ヒートポンプと蒸気ボイラの出力割合、すなわち、それぞれの熱出力の受け持ち分(出力分担)を示す。
ヒートポンプの出力割合を示す棒グラフには、そのヒートポンプの給湯温度におけるCOPが付記されている。給湯温度が高くなるほど、COPは低下する。
ここで、システム全体のCO2排出量は、第1加温手段2を所定の条件下で運転した場合のCOP予測値を用いて算出されたヒートポンプCO2排出量と、第2加温手段3を所定の条件下で運転した場合のボイラ効率予測値を用いて算出されたボイラCO2排出量と、の合計である。
ここで、システム全体のランニングコストは、第1加温手段2を所定の条件下で運転した場合のCOP予測値を用いて算出されたヒートポンプランニングコストと、第2加温手段3を所定の条件下で運転した場合のボイラ効率予測値を用いて算出されたボイラランニングコストと、の合計である。
例えば、ユーザがCO2削減優先モードを選択すると、運転モード選択部150は、CO2削減優先モードとなるように運転モードを切り替える。一方、ユーザがランニングコスト削減優先モードを選択すると、運転モード選択部150は、ランニングコスト削減優先モードとなるように運転モードを切り替える。
ここでは、主にランニングコスト削減優先モードが選択された場合の処理について説明する。但し、CO2削減優先モードが選択された場合についても、基本的には同様の制御の流れとなる。
例えば、ユーザが目標出湯温度T5tとして90℃を入力した場合、目標出湯温度設定部110は、目標出湯温度T5tとして90℃を設定する。
目標出湯温度T5tとしては、例えば75〜95℃の範囲内の温度に設定される。ただし、この範囲外の温度であってもよい。
ここでは、目標出湯温度T5tとして90℃が設定された場合を例に説明する。
ここでは、ステップS1においてランニングコスト削減優先モードが選択されているため、出力分担情報決定部120は、システム全体のランニングコストが低くなるような第1加温手段2と第2加温手段3の出力分担割合を、出力分担情報として指定する。
出力分担情報としては、例えば、第1加温手段2から給湯する温水の目標給湯温度T4tが用いられる。
図10はテーブル群を示す図であり、このようなテーブル群が、運転モード、目標出湯温度毎に存在している。図10は、運転モードがランニングコスト削減優先モード、目標出湯温度T5tが90℃である場合のテーブル群の例を示す図である。このテーブル群の中から、現時点のボイラ効率実測値ηBに応じてテーブルが選択される。例えば、現時点のボイラ効率実測値ηBが98%の場合、テーブルLが選択される。
あるいは、ボイラおよびヒートポンプの動作環境条件が固定化されているようなケースでは、選択された運転モードの情報と、設定された目標出湯温度T5tの情報とから、簡易的に出力分担情報(目標給湯温度T4t)を決定する構成としてもよい。
図13におけるランニングコスト削減比を示す折れ線グラフを参照すると、給湯温度T4が70℃である場合に、最もランニングコスト削減比が高くなること、すなわち、システム全体のランニングコストが低くなることが確認できる。
すなわち、ランニングコスト削減優先モードにおいては、ランニングコスト削減効果を最大化する上で、目標給湯温度T4tを70℃に設定することが望ましいことが確認できる。
具体的には、目標出湯温度T5tが90℃であり、出力分担情報としての目標給湯温度T4tが70℃である場合、第1加温手段制御部130は、第1加温手段2からの給湯温度T4が70℃となるように第1加温手段2を制御し、第2加温手段制御部140は、第2加温手段3からの出湯温度T5が90℃となるように第2加温手段3を制御する。
ここで、熱源流量FMhが規定範囲に入っていない場合は、ステップS6に移り、熱源流量FMhが規定範囲に入っていないことを示すアラームを出力する。例えば、設定流量に対して±10%を超過した場合は、アラームを出力する。
熱源流量FMhが後述のCOP実測値ηHに影響を与える状態での出力分担の変更は、ランニングコスト削減比(CO2削減優先モードが選択されている場合は、CO2排出削減比)を最大化できない可能性があるので、熱源流量FMhが規定範囲外のときはアラームを出力し、出力分担の変更は実施しない。すなわち、出力分担変更禁止処理を行う。
一方、熱源流量FMhが規定範囲に入っている場合は、ステップS7に移る。
例えば、出力分担情報決定部120は、運転中の第1加温手段2のCOP実測値ηHのモニタリングを行い、所定割合を超過する変動が生じたか否かの判定を行う。具体的には、最新の取得データについて、過去の取得データから±20%超過の変動が認められた場合は、COP実測値ηHが変動したと判定する。最新の取得データと比較される過去の取得データは、連続サンプリングの場合は所定時間前の取得データ、周期サンプリングの場合は所定回数前の取得データである。
このCOP実測値ηHの変動は、給水温度T3、熱源温度Th、熱源流量FMh等の条件が変動したときに生じ得る。COP実測値ηHが変動した場合、最適な出力分担が変化している可能性があるため、その後の処理で、出力分担の見直しを図る。
ηH=Qh/Pw=((T4−T3)×FM3/860)/Pw …(1)
一方、COP実測値ηHの変動を検知しない場合は、ステップS5に戻る。
なお、ステップS5の熱源流量FMhのモニタリングと、ステップS7のCOP実測値ηHのモニタリングは、同時に行ってもよい。
ηB=(1−Q/H1)×100 …(2)
ここで、Qは排ガス損失熱量[MJ/Nm3]、H1は燃料の低位発熱量[MJ/Nm3]を示す。
Q=1.38×10−3×G×(T2−T1) …(3)
ここで、Gは実際湿り排ガス量[Nm3/Nm3]、T2はボイラの排ガス温度[℃]、T1はボイラの給気温度[℃]を示す。
G=Go+Gw+(m−1)×A0
=(2.93×H1/10)+(m−1)×(2.68×H1/10) …(4)
ここで、Go+Gwは理論湿り排ガス量[Nm3/Nm3]、mは空気比、A0は理論空気量[Nm3/Nm3]を示す。
m=21/(21−O2%) …(5)
ここで、O2%は排ガス中のO2濃度を示す。
なお、蒸気ボイラ装置30が複数のボイラにより構成されている場合、好ましい態様としては、複数のボイラのうち、運転中のボイラのボイラ効率実測値ηBの平均値を用いてこれ以降の処理を行う。
また、ボイラ効率実測値ηBの計算には、JIS B8222「陸用ボイラ−熱勘定方式」に規定された“入出熱法”と呼ばれる算定方式を用いることもできる。
ステップS8において取得したボイラ効率実測値ηBが例えば98%の場合、図10に示されるテーブル群の中から、テーブルLが選択される。
そして、ステップS8において取得した給水温度T3と熱源温度Thに応じて、図11に示されるテーブルLの中から、目標給湯温度T4tを抽出する。例えば、熱源温度Thが35℃から25℃に低下し、取得した給水温度T3が20℃、熱源温度Thが25℃の状態となっている場合、テーブルLの中から、「TR90−12」が抽出される。そして、「TR90−12」が60℃であれば、出力分担情報決定部120は、出力分担情報としての目標給湯温度T4tを60℃に再設定する。
そして、ランニングコスト削減比を示す折れ線グラフを参照すると、給湯温度T4が60℃である場合に、最もランニングコスト削減比が高くなること、すなわち、システム全体のランニングコストが低くなることが確認できる。
よって、ランニングコスト削減モード選択時において、熱源温度Thが35℃から25℃に変化し、その結果、ヒートポンプのCOPが低下しているような状況下においては、目標給湯温度T4tを70℃(図13参照)から60℃(図14参照)に変更することにより、ランニングコスト削減の効果を最大化することができる。
具体的には、出力分担情報としての目標給湯温度T4tが65℃に再設定された場合、第1加温手段制御部130は、第1加温手段2からの給湯温度T4が65℃となるように第1加温手段2を制御する。
なお、目標出湯温度T5tは変更されていないため、第2加温手段制御部140は、第2加温手段3からの出湯温度T5が引き続き90℃となるように第2加温手段3を制御する。
このようにして、第1加温手段2と第2加温手段3の出力分担が変更される。このステップS9における出力分担情報の再設定も、出力分担情報の決定に含まれる。
システム全体のランニングコストは、第1加温手段2を所定の条件下で運転した場合のCOP予測値を用いて算出されたヒートポンプランニングコストと、第2加温手段3を所定の条件下で運転した場合のボイラ効率予測値を用いて算出されたボイラランニングコストと、の合計である。
よって、ボイラ燃料単価および電力単価の情報等を利用して、システム全体のランニングコストが最も低くなるような目標給湯温度T4tを出力分担情報として算出し、これをテーブルデータとしてテーブルに設定する。
RB=MB/(H1×1000)×3600/(ηB´/100)×(1−εH) …(7)
RH=MH/ηH´×εH …(8)
RT=RB+RH …(9)
よって、それ以外の情報として、出湯温度T5´、給水温度T3´、ボイラ効率予測値ηB´およびCOP予測値ηH´の数値を代入すれば、総ランニングコストRTが最小になる給湯温度T4´を算出することができる。
熱源温度は、式(1)のCOPの計算式には直接的に表出していないが、熱源温度が変化すると、前述した過熱度一定制御もしくは過冷却度一定制御により膨張弁93の開度が調整されるので冷媒流量が変化し、これにより圧縮機91の消費電力Pwが変化する。
なお、熱源流量もCOPに影響を与えるが、熱源水供給ポンプなどの故障がない限りその影響度は相対的に小さいため、ここでは条件変数として用いていない。COP予測値ηH´に対する条件変数に熱源流量を加えると図11等のテーブルが複雑化するが、制御部100のメモリに余裕があれば条件変数を増やしてもよく、この場合には目標給湯温度T4tをより的確に指定することができる。
システム全体のCO2排出量は、第1加温手段2を所定の条件下で運転した場合のCOP予測値を用いて算出されたヒートポンプCO2排出量と、第2加温手段3を所定の条件下で運転した場合のボイラ効率予測値を用いて算出されたボイラCO2排出量と、の合計である。
よって、CO2排出係数当の情報等を利用して、システム全体のCO2排出量が最も低くなるような目標給湯温度T4tを出力分担情報として算出し、これをテーブルデータとして設定する。
CB=αB/(ηB´/100)×(1−εH) …(11)
CH=αH/ηH´×εH…(12)
CT=CB+CH…(13)
よって、それ以外の情報として、出湯温度T5´、給水温度T3´、ボイラ効率予測値ηB´およびCOP予測値ηH´の数値を代入すれば、総CO2排出量CTが最小になる給湯温度T4´を算出することができる。
図15に示されるように、第1水位センサ42は、複数の電極棒を備える電極式水位検出器により構成されており、第1電極棒421と、第2電極棒422と、第3電極棒423と、第4電極棒424と、第5電極棒425と、を備えている。また、図示はしていないが、共通電極を構成する電極棒や、異常水位を検知するための電極棒をさらに備えていてもよい。
各電極棒421〜425は、その下端部が水に浸るか否かにより、温水タンク40内の貯留水TWの水位WLが各電極棒の下端部まで来ているか否かを検出する。
なお、貯湯制御部143は、給蒸制御部142を介して昇温用給蒸弁54を制御してもよい。また、貯湯制御部143は、第1加温手段制御部130を介して給湯器11、12、13を制御してもよい。
温水タンク40に貯留されている貯留水TWは、温水出湯ラインL6を通じて、不図示の温水需要箇所に供給される。そして、温水タンク40から温水需要箇所に供給される温水W6の量が、第1加温手段2としての複数の給湯器11、12、13から温水タンク40に供給される温水W1および蒸気ボイラ装置30から温水タンク40に供給される蒸気Sの水分の量を上回ると、温水タンク40内の水位WLは下降していく(図15の矢印Aを参照。)。そしてあるタイミングにおいて、第1電極棒421の下端部が水面から露出すると、第1水位センサ42は、水位WLが水位LLを下回ったことを検出する。
貯湯制御部143は、水位WLが水位Lを上回ったこと(水位L〜水位Mの範囲内に入ったこと)を検出すると、温水タンク40が渇水直前の状態からは脱したと判断し、バイパス給水弁62を閉じる。また、昇温用給蒸弁54の制御を、貯湯温度センサ41の検出温度に基づく通常の温度制御に戻す。なお、この時点では、依然として水位WLは高いとはいえない状況であるため、給湯器11、12、13については、3台全ての運転を継続する。
このとき、貯水量に少し余裕がでてきたと判断し、3台中1台の給湯器の運転を停止し、2台の給湯器のみ、運転を継続する。例えば、給湯器11、12、13のうち、第3給湯器13の運転を停止し、第1、第2給湯器11、12のみ運転を継続する。なお、バイパス給水弁62は閉じたままの状態を維持する。また、昇温用給蒸弁54の制御も、給蒸制御部142による通常の温度制御状態を維持する。
このとき、貯水量にさらに余裕がでてきたと判断し、3台中2台の給湯器の運転を停止し、1台の給湯器のみ、運転を継続する。例えば、給湯器11、12、13のうち、第2、第3給湯器12、13の運転を停止し、第1給湯器11のみ運転を継続する。なお、バイパス給水弁62は閉じたままの状態を維持する。また、昇温用給蒸弁54の制御は給蒸制御部142による通常の温度制御状態を維持する。
このとき、貯水量は十分な量になったと判断し、さらにもう1台の給湯器の運転を停止する。すなわち、給湯器11、12、13全ての運転を停止する。なお、バイパス給水弁62は閉じたままの状態を維持する。また、昇温用給蒸弁54の制御は、給蒸制御部142による通常の温度制御状態を維持する。
水位WLが下降し(図15の矢印Cを参照。)、第4電極棒424の下端部が水面から露出すると、第1水位センサ42は、水位WLが水位Hを下回ったこと(水位M〜水位Hの範囲内に入ったこと)を検出する。
貯湯制御部143は、水位WLが水位Hを下回ったことを検出すると、3台の給湯器のうち、1台の給湯器のみ運転を再開する。例えば、給湯器11、12、13のうち、第1給湯器11の運転を再開する。
貯湯制御部143は、水位WLが水位Mを下回ったことを検出すると、3台の給湯器のうち、2台の給湯器のみ運転を実行する。例えば、給湯器11、12、13のうち、第1、第2給湯器11、12の運転を実行する。
貯湯制御部143は、水位WLが水位Lを下回ったことを検出すると、3台全ての給湯器11、12、13の運転を実行する。
例えば、図15の矢印Cに示されるような水位WLの下降過程において、水位WLが水位HHを下回っている状態が所定時間継続したと判定された場合に、給湯器の運転台数を0台から1台に切り替える。このように状態確認時間を設けることにより、例えば所定の水位帯としての水位H〜水位HHの水位帯における給湯器の運転台数を、水位上昇時と水位下降時とで同じにしても、給湯器の運転開始と運転停止が頻繁に実行されてしまう状況を防ぐことができる。なお、他の水位閾値においても同様に状態確認時間を設ける。
そして、状態確認時間の設定値は、調整可能となっていることが好ましい。状態確認時間の設定値を調整可能とすることにより、水位閾値を下回ったときに、温水タンク40の断面積による水位の下降速度の違いを考慮して、水位の下降継続の確認に必要な水位幅に対応する遅延時間としての第1所定時間を設定することができる。または、水位閾値を上回ったときに、温水タンク40の断面積による水位の上昇速度の違いを考慮して、水位の上昇継続の確認に必要な水位幅に対応する遅延時間としての第2所定時間を設定することができる。
状態確認時間の設定値は、手動または自動で調整可能であり、0よりも大きい値を設定することができる。なお、状態確認時間の計測は、制御部100の内部タイマ等を用いて実施する。
さらにその後、水位WLが水位Mを上回ると、第3給湯器13の運転を停止し、第1、第2給湯器11、12の運転のみを継続する。よって、補給水総量は、図16に示されるようにさらに減少する。また、給水タンク60から直接供給された冷水W5の影響も減ってくるため、温水タンク内の貯湯温度に基づいて調整される蒸気Sの供給量も徐々に減少する。
さらにその後、水位WLが水位Hを上回ると、さらに第2給湯器12の運転を停止し、第1給湯器11の運転のみを継続する。よって、補給水総量は、図16に示されるようにさらに減少する。
そして、水位WLが水位HHを上回ると、第1給湯器11の運転も停止し、3台全ての給湯器の運転を停止する。ただし、このときも昇温用給蒸弁54の温度制御は継続しているため、蒸気ボイラ装置30からの蒸気Sの供給は継続している。
さらに、本実施形態においては、出力分担情報決定部120が、目標出湯温度設定部110により設定された目標出湯温度T5tに基づいて、第1加温手段2を構成するヒートポンプと第2加温手段3を構成する蒸気ボイラの出力分担、すなわちそれぞれの熱出力の受け持ち分を決定している。これにより、極めて効果的にCO2排出量の削減、ランニングコストの削減を実現することが可能となっている。
第2加温手段3で加温された温水が凝縮器に再び戻ることなく、貫流させる構成、すなわち一過流通させる構成を採用することにより、第1加温手段2により加温された第1温度の温水W1が常に追加的に供給され、これを第2加温手段3で昇温する構成となる。よって、温水需要箇所が要求する出湯量が多い場合においても、常に安定した温度の温水を出湯することが容易となる。
また、温水タンク40を備える場合においては、温水タンク40内の水位WLが低下してきても、その低下のレベルに応じて、第1加温手段2により加温された第1温度の温水W1が常に追加的に温水タンク40内に供給される。よって、この構成であれば、温水タンク40内に冷水W5を供給せざるを得ない状況が発生する頻度が少なくなる。したがって、冷水W5の供給により、温水タンク40内の貯留水TWの温度が極端に低下することも少ない。
このように、第1加温手段2で加温された用水W1を蒸気ボイラ装置30で発生させた蒸気Sと直接熱交換させることにより、第1加温手段2で加温された用水W1は迅速に昇温する。すなわち、蒸気Sの全熱(顕熱および潜熱)が利用されることにより、第1加温手段2で加温された用水W1は迅速に昇温する。よって、出湯温度の制御応答性も向上する。
このように、電気駆動の冷媒圧縮機を有するヒートポンプ式給湯器と、化石燃料を燃焼させるバーナを有する蒸気ボイラを組み合わせ、それぞれで加温する温度範囲を適切に設定することで、ヒートポンプ式給湯器単独で、あるいは蒸気ボイラ単独で高温水を製造する場合に比べて、高いCO2排出量の削減効果と高いランニングコストの削減効果を得ることができる。
例えば、食品・飲料分野における温水利用であれば、原材料・加工品の加温、洗びん、製造機器の定置洗浄(CIP)などの用途に利用することができる。
また、食品・飲料分野における蒸気利用であれば、蒸気ボイラ装置30で発生させた蒸気Sを高温調理(揚げ物、蒸し物、炒め物)、レトルト釜殺菌(パウチや缶詰の殺菌)、製造設備の定置殺菌(SIP)、温水製造のバックアップなどに利用することができる。
そして、機械分野における温水利用であれば、湯洗・脱脂などの用途に利用することができる。
これらの用途においても、75℃〜95℃程度の高温域の温水が求められることがあり、このような高温域の温水を必要とする場合において、本実施形態の温水製造システム1は特に好適に利用可能である。
これにより、目標出湯温度T5tに応じて決定された、第1加温手段2と第2加温手段3の出力分担度情報に基づいて第1加温手段2が制御されるため、システムとして、出湯温度に適した運転を行うことが可能となり、CO2排出量削減効果を高めることや、ランニングコスト削減効果を高めることが可能となる。
このように、出力分担情報として、目標給湯温度T4tを用いることにより、制御が容易となる。
これにより、CO2排出量を考慮した適切な出力分担情報が決定され、CO2排出量削減効果を高めることができる。
これにより、ランニングコストを考慮した適切な出力分担情報が決定され、ランニングコスト削減効果を高めることができる。
これにより、システムの動作中に第1加温手段2のCOPが変動しても、その変動に追従して、常に適切な出力分担情報を更新することができる。
これにより、正確なCOP実測値、ボイラ効率実測値を算出することができるため、正確な出力分担情報を決定することができる。
これにより、選択された運転モードに応じて、適切な出力分担情報が決定され、CO2排出量削減効果を高めることや、ランニングコスト削減効果を高めることが可能となる。
次に、第2実施形態について、図17A、17Bを参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同様の構成についてはその説明を省略する。
本実施形態においては、図17Aに示すように、制御部100は、システムの運転実績を表示する運転実績データ出力部160を備える。また、図17Bに示すように、運転実績データ出力部は、演算部161と、記憶部162と、出力部163とを備える。
より具体的には、温水製造システム1の運転中、演算部161は、リアルタイム(例えば、10〜30分周期)のCO2排出量およびランニングコストを、COP実測値ηHとボイラ効率実測値ηB、CO2排出係数(入力値)、電力・燃料単価(入力値)等の情報から演算する。
複数のタイミングのCOP実測値ηH、ボイラ効率実測値ηB、CO2排出量、ランニングコストは、例えば第1実施形態で用いた算出式を用いて算出する。
この場合、複数のタイミングで取得したCO2排出量やランニングコストといった運転実績データを、時系列データとしてグラフ形式で表示できるようにすることが好ましい。また、所定期間における積算値などの情報も表示可能とすることが好ましい。また、表示する情報を、種々の運転実績データ(例えば、CO2排出量、ランニングコスト、COP実測値、ボイラ効率実績値、出力分担情報、各種センサによる計測値等)の中から、ユーザによって選択可能とすることが好ましい。
これにより、ユーザによる運転実績の管理が可能となる。
次に、第3実施形態について、図18を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同様の構成についてはその説明を省略する。
第1実施形態においては、第2加温手段3は、第1加温手段2で加温された用水W1を蒸気ボイラ装置30で発生させた蒸気Sと直接熱交換させて第1温度よりも高い第2温度まで昇温していた。
本実施形態においては、第2加温手段3は、第1加温手段2で加温された用水W1を蒸気ボイラ装置30で発生させた蒸気Sと間接熱交換させて第1温度よりも高い第2温度まで昇温する。
なお、出力分担情報決定部120が、目標出湯温度設定部110により設定された目標出湯温度T5tに基づいて、第1加温手段2を構成するヒートポンプと第2加温手段3を構成する蒸気ボイラの出力分担、すなわちそれぞれの熱出力の受け持ち分を決定する点については、第1実施形態と同様である。
昇温用熱交換器210により加温された温水W1は、給湯ラインL1を通じて、温水タンク40に供給される。この温水タンク40は、貯留されている温水TWの温度を検知する貯湯温度センサ41を備える。
このような給蒸制御を行うことにより、温水タンク40内の貯留水TWの温度が常に目標貯湯温度となるように、昇温用熱交換器210において、温水W1と蒸気Sとの間で間接熱交換が行われる。これにより、温水W1は目標貯湯温度に対応する第2温度まで加温される。
そして、このような構成であっても、第1実施形態と同様、出湯温度に適した運転を行うことにより、CO2排出量削減効果を高めることや、ランニングコスト削減効果を高めることが可能な温水製造システムを提供することができる。
これにより、用水W1に蒸気Sを直接供給することなく用水W1を昇温することができる。よって、用水W1に蒸気Sを混ざることがないため、温水タンク40内に清缶剤等のボイラ薬品が混入するのを避けることが可能となる。
そして、このような構成であってもCO2排出量削減効果を高めることや、ランニングコスト削減効果を高めることが可能な温水製造システムを提供することができる。
2…第1加温手段
3…第2加温手段
10…ヒートポンプ式給湯システム
11…第1ヒートポンプ式給湯器
12…第2ヒートポンプ式給湯器
13…第3ヒートポンプ式給湯器
14…給水温度センサ
15…給水流量センサ
16…給湯温度センサ
17…熱源温度センサ
18…熱源流量センサ
30…蒸気ボイラ装置
31、32、33…貫流ボイラ
35…給気温度センサ
36…排ガス温度センサ
40…温水タンク
41…貯湯温度センサ
90…ヒートポンプ回路
91…冷媒圧縮機
92…凝縮器
93…膨張弁
94…蒸発器
100…制御部
110…目標出湯温度設定部
120…出力分担情報決定部
130…第1加温手段制御部
140…第2加温手段制御部
150…運転モード選択部
160…運転実績データ出力部
161…演算部
162…記憶部
163…出力部
L1…給湯ライン
L2…昇温用給蒸ライン
L3…ヒートポンプ給水ライン
L4…ボイラ給水ライン
L6…温水出湯ライン
L7…冷媒循環ライン
L8…熱源水供給ライン
L12…給気ライン
L13…排ガスライン
W1…用水(温水)
W6…温水
S…蒸気
R…冷媒
Claims (8)
- 用水をヒートポンプ式給湯器の凝縮器に流通させながら第1温度まで加温する第1加温手段と、
前記第1加温手段で加温された用水を蒸気ボイラで発生させた蒸気を利用して前記第1温度よりも高い第2温度まで昇温する第2加温手段と、
前記第2加温手段から出湯する温水の目標出湯温度を設定する目標出湯温度設定部と、
設定された前記目標出湯温度に基づいて、前記第1加温手段と前記第2加温手段の出力分担情報を決定する出力分担情報決定部と、
決定された前記出力分担情報に基づいて、前記第1加温手段を制御する第1加温手段制御部と、を備える温水製造システム。 - 前記出力分担情報は、前記第1加温手段から給湯する温水の目標給湯温度を示す目標給湯温度情報である、請求項1に記載の温水製造システム。
- 前記出力分担情報は、システム全体のCO2排出量が低くなるように、前記第1加温手段と前記第2加温手段の出力分担割合を指定するものであり、
前記システム全体のCO2排出量は、前記第1加温手段を所定の条件下で運転した場合のCOP予測値を用いて算出されたヒートポンプCO2排出量と、前記第2加温手段を所定の条件下で運転した場合のボイラ効率予測値を用いて算出されたボイラCO2排出量と、の合計である、請求項1または請求項2に記載の温水製造システム。 - 前記出力分担情報は、システム全体のランニングコストが低くなるように、前記第1加温手段と前記第2加温手段の出力分担割合を指定するものであり、
前記システム全体のランニングコストは、前記第1加温手段を所定の条件下で運転した場合のCOP予測値を用いて算出されたヒートポンプランニングコストと、前記第2加温手段を所定の条件下で運転した場合のボイラ効率予測値を用いて算出されたボイラランニングコストと、の合計である、請求項1または請求項2に記載の温水製造システム。 - 前記凝縮器に供給される用水の温度を給水温度として検出する給水温度センサと、
前記ヒートポンプ式給湯器の熱源温度を検出する熱源温度センサと、を備え、
前記出力分担情報決定部は、
(i)運転中の前記第1加温手段からCOP実測値を取得すると共に、運転中の前記第2加温手段からボイラ効率実測値を取得し、
(ii)前記COP実測値に基づいて、前記出力分担情報の変更タイミングであるか否かを判定し、
(iii)前記出力分担情報の変更タイミングであると判定した場合に、少なくとも、前記給水温度、前記熱源温度および前記ボイラ効率実測値に基づいて、前記出力分担情報を決定する、請求項1〜4のいずれかに記載の温水製造システム。 - 前記凝縮器から送出される用水の温度を給湯温度として検出する給湯温度センサと、
前記凝縮器に供給される用水の流量を給水流量として検出する給水流量センサと、
前記ヒートポンプ式給湯器の圧縮機の消費電力を検出する電力センサと、
前記蒸気ボイラの給気温度を検出する給気温度センサと、
前記蒸気ボイラの排ガス温度を検出する排ガス温度センサと、を備え、
前記COP実測値は、前記給湯温度、前記給水温度、前記給水流量および前記消費電力に基づいて算出され、
前記ボイラ効率実測値は、前記給気温度および前記排ガス温度に基づいて算出される、請求項5に記載の温水製造システム。 - CO2削減優先モードと、ランニングコスト削減優先モードとを含む、複数の運転モードを切り替え可能な運転モード選択部を備え、
前記出力分担情報決定部は、
前記CO2削減優先モードが選択された場合には、システム全体のCO2排出量が低くなるような前記第1加温手段と前記第2加温手段の出力分担割合を、前記出力分担情報として指定し、
前記ランニングコスト削減優先モードが選択された場合には、システム全体のランニングコストが低くなるような前記第1加温手段と前記第2加温手段の出力分担割合を、前記出力分担情報として指定する、請求項1〜6のいずれかに記載の温水製造システム。 - システムの運転実績データを出力する運転実績データ出力部を備え、
前記運転実績データ出力部は、
前記第1加温手段のCOP実測値と、前記第2加温手段のボイラ効率実測値に基づいて、システムの動作中における複数のタイミングのCO2排出量および/またはランニングコストを演算する演算部と、
前記演算部により演算された複数のタイミングのCO2排出量および/またはランニングコストに基づく運転実績データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された運転実績データを出力する出力部と、を備える、請求項1〜7のいずれかに記載の温水製造システム。
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