JP2020143894A - [Cu(phen)((±)−BINAP)]PF6を含む表面応力センサ用受容体、その受容体を使用した表面応力センサ、並びにその表面応力センサを使用したメタノール検出装置及びメタノール検出方法 - Google Patents

[Cu(phen)((±)−BINAP)]PF6を含む表面応力センサ用受容体、その受容体を使用した表面応力センサ、並びにその表面応力センサを使用したメタノール検出装置及びメタノール検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガソリン中に数%程度含有されているメタノールを簡単に検出できるようにする。【解決手段】以下の化学構造式を有する銅一価錯体[Cu(phen)((±)−BINAP)]PF6を含む材料を受容体として使用した表面応力センサにより、上記課題が達成される。【選択図】なし

Description

本発明は銅一価錯体[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFを含む表面応力センサ用受容体、その受容体を使用した表面応力センサ、並びにその表面応力センサを使用したメタノール検出装置及びメタノール検出方法に関する。
ガソリンはよく用いられている燃料であるが、メタノールを含むガソリンが市場に出回っている。メタノールを含むガソリンはメタノールが毒性を有し、またエンジンなどの種類によってはメタノールを含むガソリンが適合しない場合があるとも言われることから、メタノールを含むガソリンとメタノールを含まないガソリンとを区別する手段が求められている。これまでにメタノールを十数%含むガソリンと通常のガソリンとを、材料を浸漬させることによる色の変化により区別することができる例が報告されている。
メタノールを出力電圧などの電気信号として検出することができるセンサの開発例が報告されている。しかしガソリンの中に数%以下の微量のメタノールが含まれているガソリンあるいはn−ヘキサンのような炭化水素とメタノールが含まれていないこの種の液体とを区別することができるセンサの開発例は限られており、しかもそのようなセンサは微量のメタノールの存在を周期的な電気信号といった取り扱いやすい形態で出力できるものではなかった。
膜型表面応力センサ(MSS)はピエゾ素子から構成され、カンチレバーを用いた表面応力センサに比べて感度が著しく大きく、表面応力から電圧へと変換することができる。さらに種々の材料を用いて表面応力を受け取るMSS表面(一般には表面応力センサが表面応力を受け取るセンサ表面)に受容体層を形成することで、種々の揮発性有機化合物(VOC)等の存在を、それから得られる出力電圧として検出することができる。なお、本願では受容体の層を有していない表面応力センサを表面応力センサ本体、また受容体の層を形成済みの表面応力センサを単に表面応力センサと呼ぶ。したがって、表面応力センサとしてMSSを使用する場合にはそれぞれMSS本体及びMSSと呼ぶ。なお、MSSについては当業者によく知られた事項であるためこれ以上説明しないが、必要に応じて特許文献1〜3、非特許文献1等を参照されたい。
センサ本体としてMSSを使用し、ネットワーク構造を有するシリカとポルフィリン誘導体を合わせた材料を受容体として用いることで、アセトンを出力信号として検出をした例が報告されている。ポリマーを受容体として用いて主成分分析を行うことでスパイスの識別を行うことができることが示されている。また、MSSの受容体に低吸湿性材料を用いることでメタノールを検出できるセンサが開発されている。ポルフィリン錯体の固体を受容体に用いたセンサも開発されており、種々のVOCの検出が報告されている。
しかしながら、これに限定するものではないが、ガソリン中のメタノールを検出するという用途に適用することが求められた場合、ガソリンへのメタノール添加量は数%程度のわずかなものである場合がしばしばあるので、1%程度のメタノールでも十分に測定できる程度の高いメタノール検出感度を有するセンサを提供することが望ましい。
本発明の一側面によれば、下記の化学構造式


を有する銅一価錯体[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFを含む表面応力センサ用受容体材料が与えられる。
本発明の他の側面によれば、表面応力センサ本体と、前記表面応力センサ本体上の表面応力を受け取る表面に、前記受容体材料からなる受容体層を設けた、表面応力センサが与えられる。
ここで、前記表面応力センサは膜型表面応力センサであってよい。
本発明のさらにほかの側面によれば、前記表面応力センサを使用した、気体中のメタノールを検出するメタノール検出装置が与えられる。
ここで、前記メタノール検出装置において、前記気体はガソリンを含んでよい。
本発明のさらに他の側面によれば、気体を前記表面応力センサに与え、前記表面応力センサからの出力信号に基づいて前記気体中のメタノールを検出する、メタノール検出方法が与えられる。
前記メタノール検出方法において、前記気体はガソリンを含んでよい。
本発明によればガソリンへの1%程度のわずかなメタノールの混入でも検出できる、高感度のメタノール検出を実現することができる。また、本発明ではメタノールに対して特異的に高い感度が得られるため、異なる検出特性を有する多数のセンサからの出力を演算処理するなどの複雑な後処理なしでメタノールだけを高い精度で検出することができる。
アセトン−d中における[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFの1H NMRを示す図。 CDCl中における[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFの1H NMRを示す図。 各種の条件下における[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFの大気下の1H NMRを示す図。これらの条件は1H NMRのグラフの右側に示すが、これらの条件において「1」は[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFを意味する。 353Kにおいて[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFのDMA溶液を300回MSS本体上の表面応力を受け取る平坦部に滴下することにより受容体層を形成した受容体層付きMSSに対して、n−ヘキサン、メタノール、エタノール、アセトン、トルエン、n−ヘプタン、ベンゼン、酢酸エチル、2−プロパノールの夫々を含有する窒素と純窒素とを交互に周期的に供給したときの受容体層付きMSSからの出力電圧の時間変化を示す図。 353Kにおいて[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFのDMA溶液を300回MSS本体の表面応力を受け取る平坦部に滴下することにより受容体層を形成した受容体層付きMSSに対して、メタノール/n−ヘキサン(1:500=v/v)(上)、(1:200=v/v)(中)、(1:50=v/v)(下)を含有する窒素と純窒素とを交互に周期的に供給したときの受容体層付きMSSからの出力電圧の時間変化を示す図。ここで、メタノール、n−ヘキサンと窒素との混合気体は、メタノールとn−ヘキサンとをそれぞれ上記体積比で混合した液体に純窒素ガスを流してそこからの蒸気を含ませることによって得た。 353Kにおいて[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFのDMA溶液を300回MSS本体上の表面応力を受ける平坦部に滴下することにより受容体層を形成した受容体層付きMSSに対して、ガソリンを含有する窒素(上)及びメタノール/ガソリン混合物(1:100=v/v)を含有する窒素(下)の夫々と純窒素とを交互に周期的に供給したときの受容体層付きMSSからの出力電圧の時間変化を示す図。ここでガソリンを含有する窒素はガソリンに純窒素を流してそこからの蒸気を含ませることによって得た。また、メタノールとガソリンと窒素との混合気体は、メタノールとガソリンとを上記体積比で混合した液体に純窒素を流してそこからの蒸気を含ませることによって得た。 受容体層付きMSSからの出力電圧の差の棒グラフを示す図。
いくつかの型の銅(I)錯体が報告されている。ジイミンとジホスフィンを含む銅(I)錯体は銅(I)錯体の中で良く用いられている化合物の一つである。この型の銅(I)錯体の長所として、安く元素存在度の高い金属源である銅を用いておりかつ独特な物性を有することがあげられる。既知化合物である[Cu(phen)((±)−BINAP)]BFの溶液中におけるNMRや触媒反応、また[Cu(phen)((S)−BINAP)]PFの溶液中における紫外可視吸収スペクトルが報告されている(非特許文献2、3)。この種の銅一価錯体は多数報告されており発光材料などへの研究が行われており、[Cu(phen)((±)−BINAP)]BFや[Cu(phen)((S)−BINAP)]PFの合成についても報告されている。しかしジイミン及びジホスフィンを含む銅一価錯体をセンサに用いた研究例はなく、どのようにセンサを作製するかは未解明である。
本願発明者は鋭意研究の結果、上記既知の銅(I)錯体とよく似た[Cu(phen)((±)−BINAP)]PF

がメタノールに対して高い感度を示すとともにメタノールに対する高い選択性(つまり、メタノールに対する感度が他のガスに対する感度よりかなり高い)をも有することを見出し、この知見に基づいて本願発明を完成させるに至った。
なお、以下の説明では表面応力センサとしてもっぱらMSSを例に挙げて説明するが、本発明をMSSに限定するものでないことに注意されたい。
本願発明の一態様によれば、MSS本体等の表面応力センサ本体上の表面応力を受け取る面に設けられる受容体層として、銅一価の陽イオンにかさ高いアリール基を有するジホスフィンである(±)−BINAP((±)−2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフチル)とジイミン(phen=1,10−フェナントロリン)が結合し、カウンターイオンとしてヘキサフルオロホスファートを有する化合物である銅一価錯体、すなわち[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFを用いた表面応力センサが与えられる。
ここで、受容体層材料として使用された上記銅一価錯体[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFの構造の決定は以下のようにして行った。この銅一価錯体の製造プロセスや使用原料からこれとよく似た構造を有すると考えられる非特許文献3の化合物との比較を行った。これにより、上述のようにして得られた化合物の固体粉末と非特許文献3の化合物と1H NMRの化学シフト値、積分値比、J値の値が誤差範囲内で一致していた(非特許文献3の化合物については当該文献に記載されていた値を使用)。これにより、非特許文献3の化合物はカウンターイオンとしてテトラフルオロボレートを有するが、錯イオンの部分については上記本願での受容体層材料として使用された化合物と同じであると判定される。また上記銅一価錯体カウンターイオン部分については製造プロセスや使用原料から、非特許文献3におけるテトラフルオロボロレートとよく似た構造を有するヘキサフルオロホスファートであると判定される。その結果、上記銅一価錯体は[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFであると同定できる。
上記銅一価錯体[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFをN,N′−ジメチルアセトアミド(DMA)に溶解した溶液をインクジェットを用いて353KにおいてMSS本体の表面応力を受ける表面に滴下させ蒸発させることで、受容体層として機能する固体を析出させた。表面応力センサを使用した周知の測定装置、すなわち試料用の気体とパージ用の気体とをポンプ、マスフローコントローラーなどを使用することで交互に切り替えて供給する気体供給系、表面応力センサを収容し、このような気体供給系から供給される気体を表面応力センサに供給するチャンバー、及び表面応力センサからの出力信号を受け取って所要の解析を行うデータ処理系を設けた測定装置にこのようにして構成されたMSSを設置する。ここに、揮発性有機化合物(VOC)の入った容器中でキャリアガスとしての純窒素ガスを流すことにより得られたVOC含有窒素ガス(試料用の気体)と純窒素ガス(パージ用の気体)とを交互に通すことにより、MSS出力電圧の時間変化を測定した。n−ヘキサン(以下、単にヘキサン、hexaneと記載することがある)、メタノール、エタノール、アセトン、トルエン、n−ヘプタン、ベンゼン、酢酸エチル、2−プロパノールの測定を行った。窒素ガスの時に比べてメタノールを含む窒素ガスのほうが出力電圧が大きく、この傾向は他のVOCでも見られた。水、エタノール、アセトン、ヘキサン、メタノールの順に測定を3回繰り返してもこれらの信号はおおむね一致している結果が得られた。
純窒素ガスに対するMSSの出力電圧とメタノールを含む窒素ガスのMSSの出力電圧との差が他の揮発性有機化合物の時に比べて大きいことから、ここで作製したセンサは気体状態のメタノールにより敏感に応答して出力電圧へと変換できることが確認できた。また、メタノールが1%含まれるガソリンに対するMSSの出力電圧の差は、メタノールが混入していないガソリンに対するMSSの出力信号に比べて大きかった。更に、ガソリンの主成分の一つであるn−ヘキサンについての実験でも、メタノールが0.2%含まれるn−ヘキサンをMSSに通したところ、出力電圧の差はn−ヘキサンだけに比べて増加した。0.2%,0.5%,2%の順でその値は増加した。これらの結果から、本発明により、ガソリン中の数%以下の微量のメタノールを検出できるセンサが得られることを確認した。具体的な測定に当たっては、例えばガソリン中に混入されている物質があるとすればメタノールだけであるということが事前にわかっている場合であれば、周知のように上で説明したところのMSSの出力電圧の差の値からメタノールの混入の有無や混入量が判る。また、複数種類の物質がガソリン中に混入している可能性があるのであれば、これも周知のとおり、複数種類の受容体の層を設けた一群のMSSからの出力信号を得ることにより、受容体毎の各物質への応答性(MSSの出力電圧の値や出力電圧波形)の違いからこれらの出力信号を組み合わせて混入物質の同定及び定量を行うことができる。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでないことに注意されたい。
<銅一価錯体[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFの合成>
使用した銅一価錯体の固体の作製は非特許文献3に記載の合成方法の条件を変更して行った。(±)−BINAP(313mg、0.503mmol)とテトラキス(アセトニトリル)銅(I)ヘキサフルオロホスファート(186.4mg、0.500mmol)との混合物に大気下室温の7.5mLのジクロロメタンを加えた。この混合物をスターラーチップで攪拌した後にphen(90.2mg、0.501mmol)を加え、室温大気下で60分間攪拌した。3mLのジエチルエーテルを加えると黄色粉末が生成した。この合成過程の化学反応式を以下に示す。

この黄色粉末をろ過し、乾燥させた。収量は297.2mg、収率は59%であった。1H NMR(acetone−d,300.40MHz) δ=9.30(d,J=5Hz,2H),8.93(d,J=8Hz,2H),8.36(s,2H),8.15(dd,J=5,8Hz,2H),7.90(d,J=8Hz,2H),7.78(d,J=8Hz,2H),7.5−7.2(m,20H),6.96(d,J=8Hz,2H),6.85(2H),6.70(4H)(図1)。1H NMRはAL300BX(JEOL)分光器を用いて行った。CDCl中の1H NMRスペクトル(図2)の化学シフトはテトラメチルシラン(δ=0.00ppm)、acetone−d中の1H NMRスペクトルの化学シフトは溶媒残留ピーク(δ=2.05ppm)を用いて規格化を行った。
テトラメチルシランの入った重クロロホルム(CDCl)中における1H NMRの化学シフト値が既知化合物である[Cu(phen)((±)−BINAP)]BFと一致していることから、得られた黄色固体の妥当な化学式は[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFであると考えられる。
図3に示すように、このようにして得られた[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFのアセトン−dの溶液と、このアセトン−dの溶液を6日間室温大気下で静置した後のものと、このアセトン−dの溶液を6日間室温大気下で静置した後のものとは芳香族領域の信号において化学シフト値の変化がないことから、得られた錯体は室温大気下のアセトン−d中で安定であることが確認された。また、これも図3に示すように、[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFのアセトン−d−メタノール−d(1:100=v/v)と、そのアセトン−d−メタノール−d(1:100=v/v)の溶液を8日間室温大気下で静置した後のものと、そのアセトン−d−メタノール(1:100=v/v)とのスペクトルがアセトン−d中とよく一致していることから、メタノール及びメタノール−dの添加による錯体部分の変化は無視できるほど小さいと考えられる。更に、これも図3からわかるように、[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFの作製直後の黄色固体をアセトン−dに溶解した溶液とこの黄色固体を室温大気下で半年静置した後でアセトン−dに溶解したものとでスペクトルが十分一致していることから、[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFの作製直後の状態である黄色固体は室温大気下での長期保存が可能であることも確認された。
<銅一価錯体[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFを受容体層とするMSSの作成及びそれを使用したメタノール検出>
得られた固体は0.72mgの1を2.5mLのDMAを加えて室温で5分間超音波を使用して作製した溶液(0.3mg/mL)を、インクジェットマシンを使用して353KのMSS本体上に300回滴下することでセンサを作製した。このようにして作製したMSSを陽圧測定装置に取り付けて、純窒素ガスと、水、種々のVOC、メタノール/n−ヘキサン混合物(1:500=v/v、1:200=v/v、1:50=v/v、ガソリン、メタノール/ガソリン混合物(1:100=v/v)に流すことによりこれらの蒸気を含ませた窒素ガスとをMSSに30秒毎に切り替えて供給する操作を4回繰り返し、これに応答したMSSの出力電圧の経時変化を測定した。0秒における出力電圧を0mVとしてグラフの作製および解析を行った。得られた出力電圧の60秒後と90秒後の差を用いてその応答性を調査した。このように、MSSに純窒素ガスとn−ヘプタンが含まれる窒素ガスとを30秒ごとに交互に通すことにより、図4の最上段左のグラフに示すように出力電圧が繰り返し変化した。この傾向は、同じく図4に示すように、水や他のVOCであるベンゼン、メタノール、酢酸エチル、n−ヘキサン、アセトン、エタノール、トルエン、2−プロパノールでも同様に観測された。また、図5に示すように、メタノールをわずかに含有するn−ヘキサン(メタノール/n−ヘキサン混合物の混合比は1:500=v/v、1:200=v/v、1:50=v/v)でも観測された。更に、図6に示すように、メタノールをわずかに含有するガソリン(メタノール/ガソリン混合物の混合比は1:100=v/v)でもこの傾向が観測された。以上のようにして得られたMSS出力電圧の差を図7に棒グラフとして示す。なお、この実験ではガソリンとしてJXTGエネルギー株式会社から供給されているENEOSハイオクガソリンを使用した。
以上の測定結果からわかるように、メタノールの時のMSS出力電圧の差はエタノール、アセトン、トルエン、n−ヘプタン、ベンゼン、酢酸エチル、2−プロパノールに比べて大きい。またメタノール/n−ヘキサン混合物(1:500=v/v、1:200=v/v、1:50=v/v)の時のMSS出力電圧の差はn−ヘキサン単独の場合に比べて大きく、メタノールよりも小さい。またメタノール/ガソリン混合物(1:100=v/v)の時のMSS出力電圧の差もガソリン単独の場合に比べて大きい。更には、図5及び図6から明らかなように、n−ヘキサン及びガソリンの何れの場合でも、メタノールを混合していない場合のMSS出力電圧に対するメタノール混合物のMSS出力信号の変化率はメタノールの混合比(0.5%〜2%)に比べてはるかに大きい値となった。これらの結果から、メタノールを1%程度のわずかな量含むガソリンあるいはn−ヘキサンとメタノールを含まないガソリンあるいはn−ヘキサンとを十分に識別できることが確認された。
以上説明したように、本発明によればガソリンなどにわずかに混入したメタノールでも検出可能になるので、ガソリンの品質チェックなどに大いに利用可能であることが期待される。
特開2015−45657 再公表2013/157581 再公表2011/148774
G. Yoshikawa et al., Nano Lett., 11(2011)1044.7-5481. K. Saito, T. Tsukuda, T. Tsubomura, Bull. Chem. Soc. Jpn.2006, 79, 437-441. Clementine Minozzi et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2018, 57, 547.

Claims (7)

  1. 下記の化学構造式


    を有する銅一価錯体[Cu(phen)((±)−BINAP)]PFを含む表面応力センサ用受容体材料。
  2. 表面応力センサ本体と、
    前記表面応力センサ本体上の表面応力を受け取る表面に、請求項1の受容体材料からなる受容体層を設けた、表面応力センサ。
  3. 前記表面応力センサは膜型表面応力センサである、請求項2に記載の表面応力センサ。
  4. 請求項2または3に記載の表面応力センサを使用した、気体中のメタノールを検出するメタノール検出装置。
  5. 前記気体はガソリンを含む、請求項4に記載のメタノール検出装置。
  6. 気体を請求項2または3に記載の表面応力センサに与え、
    前記表面応力センサからの出力信号に基づいて前記気体中のメタノールを検出する、
    メタノール検出方法。
  7. 前記気体はガソリンを含む、請求項6に記載のメタノール検出方法。
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