JP2020131922A - 車両用灯具 - Google Patents
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Abstract
【課題】配光制御と描画制御の両機能を有するランプユニットを備え、構造の簡略化と小型化を図った車両用灯具を提供する。【解決手段】ランプユニット2と、これを制御する制御手段100とを備え、ランプユニット2は、所望の光パターンを形成することが可能な光源部3と、形成された光パターンを投影する投影光学系4を備える。制御手段100は、光源部3と投影光学系4の少なくとも一方を制御して光パターンの投影方向を制御する投影制御手段140と、制御された投影方向に対応して光パターンを設定する光源制御手段130を備える。【選択図】 図2
Description
本発明は自動車等の車両に用いられる灯具に関し、特に配光制御と描画制御が可能な前照灯(ヘッドランプ)に適用して好適な車両用灯具に関するものである。
自動車のヘッドランプにおいて、自車両の前方領域の照明効果を高める一方で、当該前方領域に存在する先行車や対向車等の自車両の前方領域に存在する車両(以下、前方車両と称する)に対する眩惑を防止する配光制御の一つとして、ADB(Adaptive Driving Beam)配光制御が提案されている。このADB配光制御では、車両位置検出装置によって前方車両を検出し、検出した前方車両が存在する領域の光量を低減あるいは消灯し、それ以外の広い領域を明るく照明する制御が行われる。
近年ではこのADB配光制御はLED(発光ダイオード)等の発光素子を光源とするヘッドランプにも適用されており、光源としての複数個のLEDからの光、すなわち各LEDのそれぞれの照明領域を合成して自車両の前方領域を照明するための配光を形成している。そして、前方車両を検出したときには、検出した前方車両に対応する照明領域のLEDを減光あるいは消灯する構成がとられている。例えば、特許文献1では複数の発光素子を光源としてADB機能の解像度を上げるようにした技術が提案されている。
一方、自動車の周囲の路面に所要の光パターンを投影描画し、描画した光パターンにより他車両や歩行者に対するメッセージを表示してコミュニケーションを図るようにした技術も提案されている。特許文献2には、自動車の近傍および遠方の路面に投影描画するパターンの明瞭さを均一化した技術が提案されている。
このようなADB配光制御や描画制御の各機能を自動車に備えるには、それぞれの機能を有する独立した機能ユニットをヘッドランプに組み込む必要があり、構造が複雑なものとなる。また、描画制御の機能ユニットをADB配光制御のヘッドランプに一体的に組み込むことが考えられるが、この組み込みによってヘッドランプが大型化するという課題も生じる。
本発明の目的は、配光制御と描画制御の両機能を有するランプユニットを備えることにより、構造の簡略化と小型化を図った車両用灯具を提供するものである。
本発明は、ランプユニットと、ランプユニットを制御する制御手段とを備える車両用灯具であり、ランプユニットは、所望の光パターンを形成することが可能な光源と、形成された光パターンを投影する投影光学系を備える。また、制御手段は、光源と投影光学系の少なくとも一方を制御して光パターンの投影方向を制御する投影制御手段と、制御された投影方向に対応して光パターンを設定する光源制御手段を備える。
本発明において、投影制御手段は、投影方向を所定の方向と、それよりも下方に向けられた方向に制御し、光源制御手段は、照明のための光パターンと、路面に描画するための光パターンを形成する。例えば、投影制御手段は、照明のための光パターンを所定の方向に向けて投影し、描画するための光パターンをそれよりも下方に向けて投影する。
投影制御手段は投影光学系の光軸を上下方向に傾動させるレベリング手段、あるいは光源部と投影光学系の少なくとも一方を上下方向に移動させるシフト手段を備える。さらに、投影制御手段は、光源部と投影光学系の少なくとも一方を灯具の前後方向に傾動させるチルト手段を備えることが好ましい。
本発明によれば、光源制御手段により光源部において照明のための光パターンと描画のための光パターンが形成され、投影制御手段により投影光学系においてこれらの光パターンの投影方向が制御されるので、1つのランプユニットで配光制御と描画制御の両機能を発揮することができ構造の簡略化と小型化を図った車両用灯具が得られる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明を自動車、特に自動運転が可能な自動車(以下、自動運転車と称する)のヘッドランプHLに適用した実施形態の概略縦断面図である。このヘッドランプHLは、ランプボディ11と、透光性材料からなる前面カバー12とで形成されているランプハウジング1内にランプユニット2が内装され、前記ランプボディ11に支持されている。この支持構造については後述する。このランプユニット2は、ADB配光制御の機能を有するとともに、自動車の前方の路面に所要の光パターンを描画する機能を有しており、これらの機能を適宜に切り替えることが可能とされている。
前記ランプユニット2は、光源部3と、光源部3から出射した光を自動車の前方に向けて投影する投影光学系4を備えており、これらはユニットケース21に一体的に内装されている。光源部3は所要の光パターンを形成することが可能とされており、ここでは光源として光源基板32に搭載された多分割LED(発光ダイオード)31が用いられている。この多分割LED31は微小LED(ピクセル)がマトリックス状に配置されており、ピクセルの発光を選択的に制御して投影光学系により投影することによりピクセル数に対応した高解像度の光パターンを形成することが可能である。
前記光源部3としては、液晶装置、あるいはDMD(Digital Mirror Device)装置を用いてもよい。これらは既に知られているので詳細な説明は省略するが、液晶装置は電球やLED等の光源から出射された光を液晶により所要のパターンで透過させて光パターンを形成する。また、DMD装置は光源から出射された光をDMDにより選択的に所定方向に反射させて光パターンを形成する。
前記投影光学系4は光源部3で形成された光パターンを自動車の前方に向けて投影し、形成された光パターンに基づいてADB配光制御を実行し、あるいは形成された光パターンを路面に描画する。この投影光学系4はレンズ枠42に支持された投影レンズ41として構成されており、この投影レンズ41は単玉レンズで構成されてもよいが、ここでは投影する光パターンの解像度や鮮鋭度を高めるために、5枚のレンズからなる2群(前群43と後群44)構成の投影レンズとして構成されている。
図2は前記ランプユニット2を制御する制御手段のブロック構成図である。この制御手段は、自動車に搭載されて少なくとも前方領域を撮像するカメラCAMと、自動車の車速を検出する車速センサVSを備えており、これらカメラCAMと車速センサVSの出力に基づいてランプユニットを制御するランプECU(電子制御ユニット)100で構成されている。
前記ランプECU100は、前記カメラCAMで撮像した画像を解析して前方領域に存在する車両や歩行者等を検出する車両/歩行者検出部110を備えている。また、前記車速センサVSで検出した車速と、前記車両/歩行者検出部110の検出結果に基づいて、前記ランプユニット2における照明と路面描画を切り替えて設定を行う照明/描画設定部120を備えている。
さらに、前記照明/描画設定部120での設定に伴って前記ランプユニット2による光パターンを制御する光源制御部130と、当該光パターンの投影方向を制御する投影制御部140を備えている。この投影制御部140として、ここでは後述するレベリング装置、チルト装置、シフト装置を制御するためのレベリング制御部141、チルト制御部142、シフト制御部143を備えている。
前記光源制御部130は、前記車両/歩行者検出部110での検出と、前記照明/描画設定部120での設定に基づいて前記光源部3を制御する。この光源制御部130は、前記多分割LED31においてADB配光と路面描画のそれぞれに対応した発光を行うためのADB配光制御部131と描画制御部132を備えている。
(実施形態1)
図3は実施形態1のランプユニット2の要部の概略斜視図であり、図1に示したランプユニット2である。このランプユニット2は、前記したユニットケース21がレベリング装置5により鉛直上下方向、特にランプ前後方向に傾動されるように構成されている。このレベリング装置5は、ユニットケース21の上部に設けられた支点部22において支持ロッド51によりランプボディ11に対して鉛直上下方向に傾動可能に支持される。また、ユニットケース21の下部にボールナット23が支持されており、このボールナット23にはランプボディ11に支持されたレベリングモータ52により軸転されるレベリングスクリュ53が螺合されている。レベリングスクリュ53はランプの前後方向に向けて延長されており、軸転されることにより、ボールナット23がランプ前後方向に移動され、ユニットケース21、すなわちランプユニット2は支点部22を支点にしてランプ前後方向に傾動される。
図3は実施形態1のランプユニット2の要部の概略斜視図であり、図1に示したランプユニット2である。このランプユニット2は、前記したユニットケース21がレベリング装置5により鉛直上下方向、特にランプ前後方向に傾動されるように構成されている。このレベリング装置5は、ユニットケース21の上部に設けられた支点部22において支持ロッド51によりランプボディ11に対して鉛直上下方向に傾動可能に支持される。また、ユニットケース21の下部にボールナット23が支持されており、このボールナット23にはランプボディ11に支持されたレベリングモータ52により軸転されるレベリングスクリュ53が螺合されている。レベリングスクリュ53はランプの前後方向に向けて延長されており、軸転されることにより、ボールナット23がランプ前後方向に移動され、ユニットケース21、すなわちランプユニット2は支点部22を支点にしてランプ前後方向に傾動される。
前記ランプユニット2の光源部3は、光源基板32に前記多分割LED31が搭載されており、この多分割LED31の発光面はランプの前面方向に向けられている。この光源基板32は水平左右方向に延長される支軸61によりユニットケース21に支持されており、チルト装置6によって支軸61を軸芯にしてランプ前後方向に傾動可能とされ、チルト動作が行われるようになっている。
このチルト装置6は、前記支軸61に従動歯車62が一体に取り付けられており、この従動歯車62にはチルトモータ63により回転される駆動歯車64が噛合されている。チルトモータ63により駆動歯車64が回転されると従動歯車62が支持軸61と共に回転され、光源基板32、すなわち多分割LED31がチルト動作される。常態では光源基板32は搭載面がランプユニット2の光軸Lx、すなわち前記投影光学系4の光軸に対して垂直な方向に向けられており、チルト動作によって光軸Lxに対するランプ前後方向の角度が変化される。
この構成において、図1に示したように、ランプユニット2は常態ではレベリング装置5によって光軸Lxが前方に向けて水平方向ないし若干下方に向けられている。ここではほぼ水平線Hに沿った方向に向けられている。また、光源部3においては、多分割LEDアレイ31の発光面は常態ではチルト装置6によって光軸Lxと垂直な方向に向けられている。
ランプECU100は、照明/描画設定部120において、車速センサVSの検出に基づき自動車の車速が所定以上であることを検出したときには照明制御を実行する。このときには、レベリング制御部141はレベリング装置5を常態に制御し、チルト制御部142はチルト装置6を常態に制御する。これと同時に光源制御部130はADB配光制御部131により光源部3の多分割LED31を照明用の形態で発光制御する。この制御により、図4(a)に示すように、多分割LEDアレイ31で発光した光による形成される光パターンは投影光学系4により自動車の遠方から近傍までの前方領域に照射される。
このとき、ADB配光制御部131は、車両/歩行者検出部110において先行車や対向車等の前方車両が検出されないときには、多分割LEDアレイ31の所定のピクセル、例えば全てのピクセルを発光させる。これにより、図5(a)に示すように、自動車の安全走行に適した前方の広い領域を照明する配光P1が形成される。同図において、1つの桝は多分割LEDアレイ31の1つのピクセルに対応する照明領域であり、符号Hは水平線を示している。
この照明制御において、車両/歩行者検出部110が先行車や対向車等の前方車両を検出したときには、ADB配光制御部131は当該前方車両が存在する領域に対応する多分割LEDアレイの所定のピクセルを消光させる。例えば、図5(b)に示すように、対向車CARが検出されたときには、当該対向車CARに対する領域Pxへの照明が停止され、対向車CARに対する眩惑が防止されたADB配光制御が行われる。このADB配光制御では、ピクセル単位で配光を制御することができるので、前方車両に対する限定された領域のみを消光させることができ、前方領域の視認性の低下が抑制できる。
一方、照明/描画設定部120において自動車の車速が所定速度よりも低速であることを検出し、かつ車両/歩行者検出部110において歩行者が検出されたときには、照明/描画設定部120は描画制御を実行する。これは、自動車の車速が徐行速度程度の低速であるときは、遠前方領域を照明する必要性が低くなるためである。したがって、自動車の遠前方領域に対する照明を停止し、あるいは照明領域を制限するとともに、照明を停止した近傍領域に所定の描画パターンを投影し、歩行者ないしは他車の乗員とのコミュニケーションを図るようにする。
このときには、レベリング制御部141はレベリング装置5を制御してランプユニット2をランプ前方に傾動させる。すなわち、レベリングモータ52を駆動してレベリングスクリュ53を軸転させることにより、これに螺合されているボールナット23がランプの後方に移動され、ランプユニット2が支点部23を支点にして前方に傾動される。これにより、図4(b)に示すように、ランプユニット2の光軸Lxの方向が下方向に偏向される。
これと同時に、光源制御部130の描画制御部132は、多分割LEDアレイ31の発光面に所要の絵柄や文字等の光パターン、すなわち描画パターンを形成すべく、ピクセルを選択的に発光させる。これにより、図5(c)のように、自動車の前方領域に対する光の投影領域P2が下方、すなわち自動車の直前領域に移動され、当該投影領域P2の路面に描画パターンPrが投影される。したがって、この描画パターンPrを利用して歩行者Mに対するメッセージを表示でき、歩行者Mとの間でコミュニケーションをとることが可能になる。
このときチルト制御部142は、図4(b)に鎖線で示すように、チルト装置6を制御して多分割LEDアレイ31を光軸Lxに対して上部をランプ後方に向けて傾動させてもよい。すなわち、チルトモータ63を駆動して駆動歯車64を回転させることにより、噛合している従動歯車62および支軸61が回転され、光源基板32がランプ後方に傾動される。これにより、投影光学系4の主面に対して路面と多分割LEDアレイ31がなす角度を同じにし、チルトによるあおり効果により路面に投影する描画パターンPrの合焦状態を改善することができる。すなわち、自動車に近い領域から離れた領域にわたって描画パターンを鮮明な状態で投影することが可能になる。
なお、この描画制御においても、多分割LEDアレイ31のピクセルの発光を制御することにより、図5(c)に示したように、描画パターンPrの周囲領域等のように描画パターンPrを投影していない領域については照明を行うことも可能であり、自動車の前方の視認性が低下することは防止できる。また、この描画の設定は、歩行者が検出されなくても、近傍に他車両が存在するときに設定されてもよい。この場合には、当該他車両の乗員に対してメッセージを表示することになる。
このように、1つのランプユニット2をランプ前後方向、換言すれば自動車の前後方向に傾動する構成として光源部3から出射される光の出射方向を偏向させ、これと同時に自動車の前方領域を照明する配光制御と、前方領域の路面へ描画パターンを投影する描画制御の切り替えを行っている。したがって、照明手段と描画手段をそれぞれ独立して装備させる必要はなく、構造の簡略化と小型化を図ったランプが得られる。
この実施形態1においては、ランプユニット2を傾動するレベリング装置5は、既存のエイミング調整を行うためのレベリング装置を利用してもよい。また、光源部3の多分割LEDアレイ31をチルト動作させるチルト装置6は、発光面を傾動させる構成であれば他の構成であってもよい。
(実施形態2)
図6は実施形態2のランプユニット2Aの要部の概略斜視図である。実施形態1と同様のユニットケース(図示省略)に光源部3と投影光学系4が内装されている。このユニットケースは、図1に示したランプボディ11に固定的に内装されており、実施形態1のようなレベリング動作は行われない構成とされている。一方、実施形態2のランプユニット2Aは、投影光学系4にシフト装置7が付設されている。なお、光源部3には実施形態1と同様にチルト装置3が付設されている。
図6は実施形態2のランプユニット2Aの要部の概略斜視図である。実施形態1と同様のユニットケース(図示省略)に光源部3と投影光学系4が内装されている。このユニットケースは、図1に示したランプボディ11に固定的に内装されており、実施形態1のようなレベリング動作は行われない構成とされている。一方、実施形態2のランプユニット2Aは、投影光学系4にシフト装置7が付設されている。なお、光源部3には実施形態1と同様にチルト装置3が付設されている。
前記シフト装置7は、投影光学系4を構成している2群の投影レンズの一部、ここでは3枚のレンズが複合された前群43が可動レンズとして構成され、この可動レンズ43が光軸Lxに垂直な面上でランプ上下方向に移動制御される構成とされている。ここでは投影レンズ枠42の一部、すなわち可動レンズ43を支持している可動レンズ枠42aの一側部にシフト片71が一体に設けられている。このシフト片71には、ユニットケースに支持されて上下方向に延長されたガイドロッド72が貫通されており、シフト片71、すなわち可動レンズ枠42aはガイドロッド72に沿って上下方向に移動可能に構成されている。
前記シフト片71の一側面には上下方向に沿ってラック73が設けられており、ユニットケースに支持されたシフトモータ74により回転されるピニオン75が噛合されている。シフトモータ74によりピニオン75が回転されると、ラック73およびシフト片71が上下方向に移動され、これと一体に可動レンズ枠42aに支持された可動レンズ43が光軸Lxと垂直な上下方向にシフトされる。このシフト装置7は、図2に示したランプECU100に設けられているシフト制御部143により制御される。すなわち、シフト制御部143によりシフトモータ74の回転が制御され、この回転により可動レンズ43が上下方向に移動され、シフトされる。
実施形態2のランプユニット2Aは、図1に示した実施形態1と同様に、常態では光軸Lxは水平方向ないし若干下方に向けられており、可動レンズ43はこの光軸Lxと同軸位置に設定される。また、光源部3の多分割LEDアレイ31の発光面は光軸Lxと垂直な方向に向けられる。これにより、ランプECU100において照明制御が行われるときには、ADB配光制御部131によりランプユニット2Aは自動車の前方領域を照明し、かつ実施形態1と同様にADB配光制御が行われる。
一方、ランプECU100において描画制御が行われるときには、シフト制御部143によりシフト装置7を駆動し、シフト片71を下方に移動する。これにより、可動レンズ枠42aに支持されている可動レンズ43は、図7(a)に示すように、光軸Lxに対して下方にシフトされる。すなわち、可動レンズ43の光軸Lxfは光軸Lxよりも下方に変位される。同時に、描画制御部132において多分割LEDアレイ31のピクセルの発光を制御して描画パターンを形成する。これにより、ランプユニット2Aから出射される光はシフト効果により下方に偏向され、図5(c)に示したと同様に、自動車の前方領域の路面に描画パターンが投影される。同時に、あおり効果により描画パターンの歪みが補正される。
このとき、チルト制御部142がチルト装置6を制御し、図7(b)に示すように、多分割LEDアレイ31を後方に傾動させることにより、チルトによるあおり効果により路面に投影された描画パターンの合焦状態が改善され、自動車の近い領域から離れた領域にわたって描画パターンを鮮明な状態で投影することが可能になる。
このように、実施形態2は1つのランプユニットで構成されているのにかかわらず、ランプユニット2Aの投影光学系4をシフト制御することにより、光源部3から出射される光の出射方向を偏向させ、自動車の前方領域を照明する配光制御と、前方領域の路面へ描画パターンを投影する描画制御を行うことができる。したがって、照明手段と描画手段をそれぞれ独立して装備させる必要はなく、構造の簡略化と小型化を図ったランプが得られる。
(実施形態3)
図8は実施形態3のランプユニット2Bの要部の概略斜視図である。図示は省略するが、ユニットケースに光源部3と投影光学系4が内装され、ユニットケースはランプボディ11に固定的に支持されていることは実施形態2と同じである。一方、実施形態3のランプユニット2Bは光源部3にシフト装置7が付設されている。
図8は実施形態3のランプユニット2Bの要部の概略斜視図である。図示は省略するが、ユニットケースに光源部3と投影光学系4が内装され、ユニットケースはランプボディ11に固定的に支持されていることは実施形態2と同じである。一方、実施形態3のランプユニット2Bは光源部3にシフト装置7が付設されている。
光源部3のシフト装置7は実施形態2のシフト装置と同様であり、光源基板32にシフト片71が設けられ、ガイドロッド72によりシフト片71が上下方向に移動可能に支持されている。シフト片71にはラック73が設けられ、シフトモータ74により回転されるピニオン75が噛合されている。これにより、シフトモータ74によりピニオン75が回転されると、ラック73、すなわちシフト片71が上下方向に移動され、これと一体に光源基板32に搭載されている多分割LEDアレイ31が光軸Lxと垂直な方向に移動される。
実施形態3のランプユニット2Bにおいては、実施形態1,2と同様に、常態では投影光学系4の光軸Lxは水平方向ないし若干下方に向けられている。また、多分割LEDアレイ31の発光面は光軸Lxと垂直な方向に向けられ、かつこの発光面の光パターンの基準軸、例えば光パターンの中心となる位置は当該光軸Lx上に位置されている。これにより、ランプECU100において実施形態1,2と同様に照明制御が行われ、自動車の前方領域を照明すると同時にADB配光制御が行われる。
一方、ランプECU100において描画制御が行われるときには、シフト制御部143によりシフト装置7を駆動し、図9(a)に示すように、光源部3、すなわちシフト片71と一体の光源基板32および多分割LEDアレイ31を上方に移動する。ここでは、多分割LEDアレイ31の発光面の光パターンの基準軸Rxが光軸Lxに対して上方にシフトされている。これにより、ランプユニット2Bから出射される光はシフト効果により下方に偏向される。同時に、描画制御部132において多分割LEDアレイ31のピクセルの発光を制御して描画パターンを投影可能とする。これにより、図5(c)に示したと同様に、自動車の前方領域の路面に描画パターンが投影される。このとき、シフトによるあおり効果により描画パターンの歪みが補正される。
実施形態3においては、図8には示されないが、投影光学系4にチルト装置が付設されてもよい。例えば、図6に示したチルト装置6と同様に、投影レンズ枠42に支軸(61)が設けられ、この支軸(61)に従動歯車(62)が取り付けられる。また、チルトモータ(63)により回転される駆動歯車(64)に従動歯車(62)が噛合される構成である。これにより、チルトモータ(63)によって投影レンズ枠42がランプ前後方向に傾動される構成である。
そして、描画制御に際して、チルト制御部142がチルト装置6を制御し、図9(b)のように、投影光学系4をランプ前方に傾動させることにより、チルトによるあおり効果により路面に投影された描画パターンの合焦状態が改善され、自動車の近い領域から離れた領域にわたって描画パターンを鮮明な状態で投影することが可能になる。
このように、実施形態3は1つのランプユニット2Bで構成されていても、光源部3をシフト制御することにより、光源部3から出射される光の出射方向を偏向させることができる。これにより、自動車の前方領域を照明する配光制御と、前方領域の路面へ描画パターンを投影する描画制御を行うことができる。したがって、照明手段と描画手段をそれぞれ独立して装備させる必要はなく、構造の簡略化と小型化を図ったランプが得られる。
以上説明した各実施形態について、特に、実施形態2においては、投影光学系4をシフト動作すると共にチルト動作させるようにしてもよい。図示は省略するが、例えば、シフト装置を付設した投影光学系の全体をユニットケースに対して傾動可能に支持し、これにチルト装置を付設する。そして、描画パターンを投影する際には、投影光学系を下方にシフトすると共にランプ前方に傾動させることにより、あおり効果により路面に投影する描画パターンの合焦状態をさらに改善することができる。あるいは、光源部と投影光学系の両方をチルト動作させるように構成してもよい。
また、実施形態3においては、光源部をシフト動作すると共にチルト動作させるようにしてもよい。図示は省略するが、例えば、光源基板をシフト板に対して傾動可能に支持し、これにチルト装置を付設する。そして、描画パターンを投影する際には、光源部を上方にシフトすると共にランプ後方に傾動させることにより、あおり効果により路面に投影する描画パターンの合焦状態を改善することができる。このとき、投影光学系をチルト動作させるように構成してもよい。
以上のように、本発明においては、光源部で形成された光パターンの投影方向を制御する手段、例えば、ランプユニットの全体を傾動するレベリング装置、光源部や投影光学系を傾動するチルト装置、光源部や投影光学系をシフトさせるシフト装置の少なくとも一つを備えることにより、光源部から出射された光の投影方向を偏向させ、配光制御と描画制御を選択して実行することができる。またこの際には、光源部と投影光学系に付設するチルト装置とシフト装置は実施形態の構成に限られず任意の組み合わせで実現できる。さらに、これらチルト装置とシフト装置は実施形態に記載の構成に限られることなく任意の構造のものが採用できる。
本発明において、ランプユニットの配光制御と描画制御を実行するランプECUの構成は実施形態に記載の構成に限られるものではない。さらに、配光制御と描画制御を行う際のアルゴリズム等についても実施形態に記載の形態に限られるものではない。
HL ヘッドランプ
1 ランプハウジング
2,2A,2B ランプユニット
3 光源部(光源)
4 投影光学系
5 レベリング装置
6 チルト装置
7 シフト装置
31 多分割LEDアレイ(光源)
100 ランプECU(制御手段)
110 車両/歩行者検出部
120 照明/描画設定部
130 光源制御部(光源制御手段)
131 ADB配光制御部
132 描画制御部
140 投影制御部(投影制御手段)
141 レベリング制御部
142 チルト制御部
143 シフト制御部
1 ランプハウジング
2,2A,2B ランプユニット
3 光源部(光源)
4 投影光学系
5 レベリング装置
6 チルト装置
7 シフト装置
31 多分割LEDアレイ(光源)
100 ランプECU(制御手段)
110 車両/歩行者検出部
120 照明/描画設定部
130 光源制御部(光源制御手段)
131 ADB配光制御部
132 描画制御部
140 投影制御部(投影制御手段)
141 レベリング制御部
142 チルト制御部
143 シフト制御部
Claims (8)
- ランプユニットと、前記ランプユニットを制御する制御手段とを備える車両用灯具であって、前記ランプユニットは、所望の光パターンを形成することが可能な光源と、形成された光パターンを投影する投影光学系を備え、前記制御手段は、前記光源と前記投影光学系の少なくとも一方を制御して前記光パターンの投影方向を制御する投影制御手段と、制御された投影方向に対応して前記光パターンを設定する光源制御手段を備えることを特徴とする車両用灯具。
- 前記投影制御手段は、投影方向を所定の方向と、それよりも下方に向けられた方向に制御し、前記光源制御手段は、照明のための光パターンと、路面に描画するための光パターンを形成する請求項1に記載の車両用灯具。
- 前記投影制御手段は、照明のための光パターンを所定の方向に向けて投影し、描画するための光パターンをそれよりも下方に向けて投影する請求項2に記載の車両用灯具。
- 前記投影制御手段は前記投影光学系の光軸を上下方向に傾動させるレベリング手段を備える請求項3に記載の車両用灯具。
- 前記投影制御手段は、前記光源部と前記投影光学系の少なくとも一方を上下方向に移動させるシフト手段を備える請求項3に記載の車両用灯具。
- 前記投影制御手段は、前記光源部と前記投影光学系の少なくとも一方を灯具の前後方向に傾動させるチルト手段を備える請求項4又は5に記載の車両用灯具。
- 前記光源制御手段は、照明のための光パターンとして、ADB配光制御の光パターンを形成する請求項2ないし6のいずれかに記載の車両用灯具。
- 前記制御手段は、車両や歩行者を検出する手段を備え、前記光源制御手段と前記投影制御手段は、この検出結果に基づいて制御を行う請求項1ないし7のいずれかに記載の車両用灯具。
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-
2019
- 2019-02-20 JP JP2019027926A patent/JP2020131922A/ja active Pending
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JP2022052186A (ja) * | 2020-09-23 | 2022-04-04 | 株式会社小糸製作所 | 車両用灯具 |
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