本実施の形態では、無線通信機が、業務用デジタル無線機であるとして説明する。例えば、無線通信機は、マイクで集音した音声信号を変調して、他の無線機に無線送信する。また、他の無線機から受信した無線信号を復調して、スピーカから音声信号として出力する。また、無線通信機は、スマートホン、携帯電話等であってもよい。もちろん、無線通信機は、音声信号を無線送信する端末に限られるものではなく、テキストデータ、映像データ等を送受信するものであってもよい。
本実施の形態にかかる無線通信機について、図を参照して説明する。図1は、無線通信機100の制御系を示す機能ブロック図である。無線通信機100は、操作部10と、表示部20と、移動情報取得部30と、地図情報保持部40と、制御部50と、無線通信部60と、位置情報取得部70とを備えている。以下の説明では、無線通信機100を携帯するユーザが自動車等の車両に搭乗している状況、あるいは無線通信機100が車両に搭載されている状況を想定して説明する。もちろん、車両による移動に限定されず、移動手段は、鉄道、徒歩、自転車等であってもよい。
操作部10は、ボタン、キー、スイッチ、レバー等の入力デバイスを有しており、ユーザ操作を受け付ける。例えば、操作部10は、PTT(Push To Talk)用のボタンを有していてもよい。ユーザが通話したい場合、PTTボタンを押下することで、音声を送信することができる。また、PTTボタンを押下していない場合、無線通信機100は、受信待機状態となる。無線通信機100が無線信号を受信した場合、その音声が再生される。さらには、ユーザは操作部10を操作することで、周波数の切り替えや音量の調整等を行うことができる。操作部10については、公知の構成を用いることができるため、詳細な説明を省略する。なお、後述する表示部20に設けられたタッチパネルを操作部10として用いてもよい。
表示部20は、LCD(Liquid Crystal Display)やOLED(Organic Light Emitting Diode)等のモニタを有しており、無線通信機100の状態や通信状況等を表示する。本実施の形態では、表示部20がバックライトを備えたLCDであるとして説明する。また、操作部10がタッチパネルの場合、表示部20は、入力用のキーボード等を表示してもよい。また、表示部20は周囲の明るさによって表示輝度を調整する機能を有していてもよい。例えば、表示部20がオートディマー等の光度調整機能を有する場合、光度調整機能の判定に応じて、表示部20の明るさが制御されていてもよい。つまり、周囲が明るい場合、バックライトの光量を増やし、周囲が暗い場合、バックライトを減光してもよい。
移動情報取得部30は、ジャイロセンサや加速度センサを有しており、移動情報を取得する。移動情報取得部30は、センサの検出結果に基づいて、無線通信機100の移動速度、移動距離、移動速度等の移動情報を算出する。移動情報は、移動距離、移動速度、及び移動方向の少なくとも一つが含まれている。センサを用いた移動情報の取得方法については、公知の手法を用いることができるため、説明を省略する。
地図情報保持部40は、メモリ等を有しており、地図情報を保持する。なお、地図情報の一部又は全部は、外部のサーバ等に保持されていてもよい。この場合、適宜、無線通信機100がサーバから地図情報の一部をダウンロードするようにしてもよい。地図情報は、通信圏外となる圏外エリア又は通信圏内となる圏内エリアを示すエリア情報を含んでいる。圏外エリア及び圏内エリアの情報は、例えば、電波強度(電界強度)を実測したデータあるいは電波伝搬のシミュレーションによるデータによる作成されている。あるいは、このようなデータが十分に存在しない場合には、各地点の特性、用途、地形等をもとに、圏内エリア及び圏外エリアを推定して作成してもよい。例えば、トンネル内部等では、無線信号を送受信できなくなる可能性が高いため、地図情報において、トンネル内を圏外エリアとし、トンネル外を圏内エリアとして対応付けてもよい。このような処理を行えば、通常の道路地図等から圏外エリア及び圏内エリアの情報を作成することができる。
なお、圏外エリアは、トンネルに限られるものではない。例えば、山間部や高層ビル群の間を圏外エリアとしてもよい。地図情報保持部40は、カーナビゲーションシステム用の地図情報を用いてもよい。例えば、地図情報に圏内エリア、又は圏外エリアが設定されていればよい。あるいは、圏外エリアを示すエリア情報は、予め地図情報に設定されていなくてもよい。例えば、制御部50がトンネルを圏外エリアと設定してもよい。あるいは、過去の通行履歴より、制御部50が圏外エリアを設定してもよい。つまり、過去の通行時に通信圏外であったか否かを示す情報を収集して、その収集情報に基づいて、制御部50が、圏外エリア又は圏内エリアを特定してもよい。また、自無線通信機100に限らず、他の無線通信機100が収集した圏内/圏外情報を用いてもよい。つまり、複数の無線通信機100が収集した圏内/圏外情報を相互に交換し、地図情報を作成してもよい。
制御部50は、操作部10、表示部20、移動情報取得部30、地図情報保持部40、無線通信部60、位置情報取得部70を統括的に制御する。制御部50は、消費電力を削減するために、モードを切り替える。例えば、制御部50は、表示部20のバックライトを制御することで、消費電力を削減することができる。また、制御部50は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等のメモリを含んでいる。さらに、SSD(Solid State Drive)等を含んでいてもよい。つまり、制御部50は記憶部としての機能を備えていてもよい。また、ROMやSSDにプログラムを格納し、それに従って制御部50が動作を行ってもよい。制御部50の制御については後述する。
無線通信部60は、遠距離無線通信機能を有する。具体的には、無線通信部60は、無線信号を処理するためのアンテナ、復調回路、及び変調回路等を備えている。アンテナは、受信信号を受信するとともに、送信信号を空間に放射する。復調回路は、アンテナが受信した受信信号を復調する。変調回路は、送信信号を変調して、アンテナに出力する。例えば、無線通信部60は、デジタル業務用無線の通信規格に従って通信処理を行う。あるいは、無線通信部60は、3G,LTE(登録商標),4G、5G等の携帯電話の通信規格に従って通信処理を行ってもよい。無線通信部60の通信規格は特に限定されるものではない。
位置情報取得部70は、衛星からの測位信号に基づいて、自端末位置を示す位置情報を取得する。すなわち、本無線通信機100の位置情報を取得する。例えば、位置情報取得部70は、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信する。位置情報取得部70は、GPS信号に基づいて、自車の現在位置を示す位置情報を算出する。位置情報は、例えば、緯度、及び経度等を含んでいる。また、位置情報は、高度、移動速度、移動方向等の情報を含んでいてもよい。なお、GPS信号を用いた緯度、経度等の算出方法については、公知であるため詳細な説明を省略する。
位置情報取得部70は、最新のGPS信号に基づいて、現在の自端末位置を更新していく。つまり、位置情報取得部70は、最新の自端末位置を推定する。もちろん、位置情報を取得するために、GPS以外の衛星測位システム、例えば、準天頂衛星測位システムを用いてもよい。トンネル等では、無線通信機100がGPS信号を受信できない可能性が高い。この場合、位置情報取得部70は、GPS信号による測位と、移動情報とを組み合わせて、現在位置を算出してもよい。例えば、一定の時間以上GPS信号を受信できない場合、位置情報取得部70は、GPS信号で測位した前回の位置と、移動情報とに基づいて、最新の位置情報を取得する。具体的には、GPS信号で測位した前回の位置を、移動情報が示す移動距離だけ移動した位置が現在位置となる。
バッテリ80は、各部に電源を供給する。つまり、操作部10、表示部20、移動情報取得部30、地図情報保持部40、制御部50、無線通信部60、位置情報取得部70は、バッテリ80からの電源により動作する。バッテリ80は、乾電池等の一次電池であってもよく、充放電可能な二次電池であってもよい。
以下、制御部50による電源制御について説明する。上記のように、制御部50は、地図情報と位置情報とに基づいて、地図上の自端末位置を特定する。そして、制御部50は、自端末位置に応じて、バッテリ80からの電源供給を制御する。現在位置が圏外エリアにある場合、制御部50は、消費電力を削減する削減モードとする。現在位置が圏内エリアにある場合、制御部50は、通常動作を行う通常モードとする。現在位置が圏内エリアと圏外エリアの境界近傍にある場合、省電力モードとする。省電力モードは、通常モードと電力削減モードとの間の消費電力となる。このように、制御部50は、エリア情報に基づいて、無線通信機の100の少なくとも一部の機能の消費電力を削減する。消費電力の削減の程度は、任意である。
制御部50が、表示部20の消費電力を制御する例について、図2を用いて説明する。図2は、各モードにおける表示部20の表示を説明するための図である。通常モードでは、表示部20がバックライトを点灯して、通常表示を行う。省電力モードでは、表示部20がバックライトを減光して、省電力表示を行う。つまり、省電力モードでは、通常モードよりも画面表示が暗くなっているが、画面に情報が表示される。削減モードでは、制御部50が表示部20をオフして、画面が非表示となる。例えば、制御部50は、表示部20への電源供給を停止したり、表示部20をスリープ状態とすることで、表示部20を非表示状態にする。削減モードでは、画面に情報が表示されない。
このように、制御部50は、通常モード、省電力モード、削減モードの3つのモードを切り替えることができる。制御部50は、画面表示の明るさを変えることで、消費電力を削減する。図2では、削減モードにおいて、完全に表示部20をオフして、消費電力を0としているが、消費電力を完全に0としなくてもよい。つまり、削減モードは、省電力モード、及び通常モードよりも低い消費電力となっていればよい。
図3を用いて、本実施の形態にかかる制御方法について説明する。図3は、無線通信機100の電源を制御する制御方法を示すフローチャートである。なお、説明を簡潔にするため、図3のフローチャートでは、圏内エリアがトンネル外エリアであり、圏外エリアがトンネル内エリアである例を用いて説明する。
まず、制御部50が、現在位置がどのエリアにあるかを判定する(S1)。具体的には、位置情報取得部70が測位信号等に基づいて、現在位置を示す位置情報を取得する。制御部50が、地図情報保持部40に保持されている地図情報を参照して、現在位置がどのエリアに相当するかを特定する。
制御部50は、現在位置が、(1)トンネル外のエリア(圏内エリア)、(2)トンネル内部の入口/出口に近いエリア(境界エリア)、(3)トンネル内部の入口/出口から遠いエリア(真圏外エリア)のいずれにあるかを判定する。
(1)トンネル外のエリアは、無線通信可能な圏内エリアである。(2)トンネル内部の入口/出口に近いエリアを境界エリアとする。境界エリアは、地図情報に含まれるエリア情報では圏外エリアとして登録されているが、圏外エリアと圏内エリアの境界にあるため、その時の条件によって通信可能となる可能性がある。特に、電波強度(電界強度)を実測したデータを用いてエリア情報が作成されていない場合には、圏内エリアと圏外エリアは絶対的なものではなく、ある程度の誤差が含まれているため、実際には境界エリアで通信可能となる可能性がある。具体的には、トンネル内部の入口から第1の距離以内の位置、及びトンネル内部の出口から第2の距離以内の位置を境界エリアとする。第1の距離と第2の距離とが同じであってもよいが、通常は第2の距離の方が第1の距離よりも長くなるように設定する。(3)トンネル内部の入口/出口から遠いエリアは、無線通信できない圏外エリアであるが、境界エリアとの違いを明確にするために、「真圏外エリア」と呼ぶ場合もある。真圏外エリアは、地図情報に含まれるエリア情報では圏外エリアとして登録されている。具体的には、トンネル内部のエリアであって、入口から第1の距離より遠く、かつ出口から第2の距離より遠い位置を真圏外エリアとする。また、制御部50は、移動情報取得部30あるいは位置情報取得部70が取得する自端末の移動方向をもとに、入口と出口とを判別する。
S1において、現在位置が(1)トンネル外のエリアにあると判定された場合、制御部50は、表示部20の表示状態を確認する(S2)。表示部20が通常表示となっている場合(S2のa)、制御部50は、何もせずに処理を終了する(S3)。つまり、表示部20が通常表示を維持したままで終了する。表示部20が省電力表示となっている場合(S2のb)、制御部50は、表示部20を通常表示に変更する(S4)。
表示部20が画面非表示となっている場合(S2のc)、制御部50は、表示部20の非表示を解除する(S5)。そして、制御部50は、表示部20を通常表示とする(S6)。このように、自端末位置が(1)トンネル外のエリア、つまり圏内エリアにある場合、制御部50が表示部20を通常モードに設定する。これにより、表示部20が通常表示を行う。
S1において、現在位置が(2)トンネル内部の入口/出口に近いエリアにあると判定された場合(S1の(2))、制御部50は、表示部20の表示状態を確認する(S7)。表示部20が通常表示となっている場合(S7のa)、制御部50は、制御部50は、表示部20を省電力表示に変更する(S8)。表示部20が省電力表示となっている場合(S7のb)、制御部50が何もせずに処理を終了する(S9)。つまり、表示部20が省電力表示を維持したまま終了する。
表示部20が画面非表示となっている場合(S7のc)、制御部50は、表示部20の非表示を解除する(S10)。そして、制御部50は、表示部20を省電力表示とする(S11)。このように、自端末位置が(2)トンネル内部の入口/出口に近いエリア、つまり境界エリアにある場合、制御部50が表示部20を省電力モードに設定する。これにより、表示部20が省電力表示を行う。
S1において、現在位置が(3)トンネル内部の入口/出口から遠いエリアにあると判定された場合、制御部50は、表示部20の表示状態を確認する(S12)。表示部20が通常表示となっている場合(S12のa)、制御部50は、表示部20の画面を非表示にする(S13)。表示部20が省電力表示となっている場合(S12のb)、制御部50は、表示部20の画面を非表示にする(S14)。
表示部20が画面非表示となっている場合(S12のc)、制御部50は、何もせずに処理を終了する(S15)。つまり、表示部20が画面の非表示を維持したまま終了する。このように、自端末位置が(3)トンネル内部の入口/出口から遠いエリアにある場合、制御部50が表示部20を削減モードに設定する。これにより、表示部20が非表示となる。そして、制御部50が、図3に示すフローを繰り返し実行することで、表示部20のモードが切り替えられる。なお、削減モードにおいて、ユーザが操作部10を操作した場合、無線通信機100が一定の時間だけ省電力モードに移行し、その時間が経過した後に再び削減モードに戻ってもよい。あるいは、ユーザの操作を無視して、無線通信機100が削減モードを継続してもよい。
無線通信機100を携帯したユーザが搭乗した車両、あるいは無線通信機100を搭載した車両がトンネルを通過する場合の制御例について、図4を用いて説明する。図4は、表示部20のモード切替を説明するための図である。ここでは、エリアAから順にエリアEまで車両が移動する場合の表示部20の状態について説明する。エリアB、エリアDがトンネル内部となる。また、エリアA、エリアC、エリアEがトンネル外となる。地図情報保持部40に格納された地図情報に含まれるエリア情報では、エリアB、エリアDが圏外エリアとなっており、エリアA、エリアC、エリアEが圏内エリアとなっている。
エリアBのトンネルを第1トンネルとし、エリアDのトンネルを第2トンネルとする。第1トンネルの入口と出口をそれぞれ地点P1、P4とする。つまり、エリアAとエリアBとの境界位置が地点P1となり、エリアBとエリアCとの境界位置が地点P4となる。第2トンネルの入口と出口を地点P5、P8とする。つまり、エリアCとエリアDとの境界位置が地点P5となり、エリアDとエリアEとの境界位置が地点P8となる。
トンネル内部において、トンネルの入口/出口から所定の距離未満のエリアが境界エリアとして設定されている。例えば、第1トンネルの内部において、トンネル入口の地点P1から所定の距離(第1の距離)進んだ地点を地点P2とし、トンネル出口の地点P4から所定の距離(第2の距離)だけ前にある地点を地点P3とする。地点P1〜地点P2が境界エリアとなり、地点P3〜地点P4が境界エリアとなる。
同様に、第2トンネルの内部において、トンネル入口の地点P5から所定の距離(第1の距離)進んだ地点を地点P6とし、トンネル出口の地点P8から所定の距離(第2の距離)だけ前にある地点をP7とする。地点P5〜地点P6が境界エリアとなり、地点P7〜地点P8が境界エリアとなる。
ここで、トンネル入口近傍の境界エリアを入口境界エリアとし、トンネル出口近傍の境界エリアを出口境界エリアとする。つまり、地点P1〜地点P2の境界エリアと、地点P5〜地点P6の境界エリアとが入口境界エリアとなる。地点P3〜地点P4の境界エリアと、地点P7〜地点P8の境界エリアが出口境界エリアとなる。出口境界エリアは入口境界エリアよりも大きくなっている。つまり、第1の距離よりも第2の距離の方が長く設定される。例えば、入口境界エリアを100mとし、出口境界エリアを300mとすることができる。ただし、入口境界エリアと出口境界エリアとを同じ大きさとしてもよい。
また、境界エリアの大きさは自端末の移動速度に応じて可変となっていてもよい。例えば、自端末の移動速度が速いほど、境界エリアが大きくなるようにしてもよい。すなわち、自端末の移動速度が速いほど、第1の距離及び第2の距離を長く設定してもよい。また、自端末が通過する時間が所定時間となるように境界エリアを設定してもよい。例えば、自端末の移動速度が秒速10mである場合、通過に10秒かかる距離100mを第1の距離とし、通過に30秒かかる距離300mを第2の距離としてもよい。つまり、自端末が通過するのに第1の所定時間を要する距離を第1の距離とし、第2の時間を要する距離を第2の距離としてもよい。また、後述するように、無線通信機100のユーザに通信準備を予めさせるための時間を与えるという意味で、第2の時間を第1の時間よりも長く設定するとよい。
無線通信機100が圏内エリアであるエリアAを移動している間、表示部20は、通常表示を行う。無線通信機100が、地点P1に移動すると、制御部50は、トンネル入口に近い入口境界エリアに到達したと判定する。制御部50は、表示部20を省電力表示に切り替える。無線通信機100が、地点P2に移動すると、制御部50は、トンネル入口/出口から遠い圏外エリア(真圏外エリア)に到達したと判定する。制御部50は、表示部20を非表示に切り替える。地点P2から地点P3までが、真圏外エリアであり、非表示モードが継続される。
無線通信機100が、地点P3に移動すると、制御部50は、トンネル出口に近い出口境界エリアに到達したと判定する。制御部50は、表示部20を省電力表示に切り替える。無線通信機100が、地点P4に移動すると、制御部50は、トンネル外の圏内エリアに到達したと判定する。制御部50は、表示部20を通常表示に切り替える。
無線通信機100が、地点P5に移動すると、制御部50は、トンネル入口に近い入口境界エリアに到達したと判定する。制御部50は、表示部20を省電力表示に切り替える。無線通信機100が、地点P6に移動すると、制御部50は、トンネル入口/出口から遠い圏外エリア(真圏外エリア)に到達したと判定する。制御部50は、表示部20を非表示に切り替える。地点P6から地点P7までが、真圏外エリアであり、非表示モードが継続される。
無線通信機100が、地点P7に移動すると、制御部50は、トンネル出口に近い出口境界エリアに到達したと判定する。制御部50は、表示部20を省電力表示に切り替える。無線通信機100が、地点P8に移動すると、制御部50は、トンネル外の圏内エリアに到達したと判定する。制御部50は、表示部20を通常表示に切り替える。そして、無線通信機100が、圏内エリアであるエリアEを移動している間、表示部20は通常表示を行う。
入口境界エリアにおいて、表示部20を省電力表示に設定する理由の1つは、視認性を向上するためである。具体的には、トンネル内部の照度は、通常、トンネル外に比べて低い。よって、表示部20の画面の輝度を周囲の照度に合わせることで、視認性を向上することができる。また、入口境界エリアにおいて、ユーザが無線通信機100を使用する可能性が低くなることも省電力表示にする理由の1つである。このため、圏外エリアがトンネル以外の場合であり、圏外エリアで照度が低下しない場合であっても、表示部20を省電力表示にするとよい。また更に、「この後すぐに削減モードになる」ことをユーザに通知する(予告する)役割を果たすことも理由の1つである。ユーザは、省電力モードを認識すると、次に圏内になるときに備えて、次に使用する通信先(連絡先)の情報等を確認することができる。また、入口境界エリアにおいて、表示部20を非表示にしない理由の1つは、エリア情報において圏外エリアであっても、実際には、無線通信できる可能性があるためである。
一方、トンネルの入口/出口から遠い圏外エリア(真圏外エリア)では、通信機能に係る表示とユーザ操作が無駄になる可能性が高い。換言すると、使用できない機能に関する表示を行うと、使用できないにも係わらずユーザが無駄な操作を行う場合がある。このような場合、操作した機能によっては、バッテリ80の電力が無駄に消費されてしまう。本実施の形態のように、トンネルの入口/出口から遠い圏外エリアでは、表示部20を非表示にすることで、消費電力を効果的に削減することができる。表示部20を非表示にすることで、消費電力を削減することができ、バッテリ80による無線通信機100の動作時間を延ばすことができる。さらに、充放電の繰り返しによるバッテリ劣化を低減することができるため、バッテリ寿命を延ばすことができる。
出口境界エリアにおいて、表示部20を省電力表示に設定する理由の1つは、早い段階で通信準備を可能にして、通信を速やかに再開するためである。例えば、地点P3が、通信圏外であってとしても、通信圏内に戻る前に画面表示を行って、無線通信機100が操作可能であることをユーザに示すことができる。無線通信機100が通信圏外から通信圏内に移動したからといって、ユーザはすぐに情報を伝達できるわけではない。ユーザが通信先を選択したり、通信内容を考えたり、テキストメッセージを送る通信(メール等)であれば文字を入力するための時間が必要である。出口境界エリアにおいて、表示部20を省電力モードで表示することにより、ユーザは予め通信先を選択する等の、通信準備を行うことができる。省電力モードの表示は、「この後すぐに通信圏内になる」ことをユーザに通知する(予告する)役割を果たしているといえる。よって、通信圏内となった後、ユーザは速やかに通信を開始することができる。
出口境界エリアを入口境界エリアよりも大きくすることで、出口境界エリアでの省電力表示の時間を入口境界エリアでの省電力表示の時間よりも長くすることができる。これにより、ユーザが早い段階で通信準備を開始することができる。よって、通信圏内に戻った後、速やかに通信を開始することができる。省電力モードで表示する理由の1つは、視認性を向上するためである。前述のとおり、トンネル内部の照度は、通常、トンネル外に比べて低いため、表示部20の画面を非表示状態から通常状態にいきなり変更すると、ユーザが眩しいと感じる。省電力モードの表示により、このような問題を防止することができ、ユーザの視認性を向上することができる。また、省電力モードで表示する理由の1つは、エリア情報において圏外エリアであっても、実際には、無線通信できる可能性があるためである。実際に圏内であれば、もちろんユーザは通信を開始することができる。
制御部50は、圏内エリアから圏外エリアに入る際において、圏外エリアの境界入口である地点P1を通過した後の地点P2で、消費電力を通常よりも大幅に削減する削減モードを開始する。制御部50は、圏内エリアから圏外エリアに入った後、圏外エリアから出る際において、圏外エリアの境界出口である地点P4を通過するより前の地点P3で、削減モードを解除する。そして、制御部50は、地点P1から地点P2までの移動時間(第1の時間)よりも、地点P3から地点P4までの移動時間(第2の時間)が長くなるように制御を行っている。このようにすることで、出口境界エリアにおいて、表示部20が省電力モードとなる時間が、入口境界エリアにおいて、表受遺部が省電力モードになる時間よりも長くすることができる。これにより、通信圏内になる前に、ユーザが通信準備を行うための時間(猶予)を十分に与えることができるので、通信圏内になった際に、ユーザは速やかに通信を開始することができる。よって、利便性を向上することができる。特に、次の通信圏内が、2つのトンネルの間に挟まれた地域であり、またすぐに別のトンネルに入るような状況では、次の通信圏内にいられる時間が非常に限られる。本実施の形態によれば、ユーザは事前に通信準備を十分に行うことができるので、通信圏内に位置する時間がこのように限られた場合であっても、限られた通信圏内を有効に利用できる。
地点P1から地点P2までの距離が、地点P3から地点P4までの距離よりも短くなうように設定されている。このようにすることで、入口境界エリアの移動時間(第1の時間)よりも、出口境界エリアの移動時間(第2の時間)を長くすることができる。あるいは、出口境界エリアの移動時間が入口境界エリアの移動時間よりも長くなるように、予め移動時間が設定されていてもよい。そして、制御部50は、移動時間及び移動速度に応じた移動距離を推定して、出口境界エリアを設定してもよい。つまり、トンネルを走行中の無線通信機100の移動速度に応じて、削減モードから省電力モードになる地点P3を算出する。例えば、トンネル通過中に移動速度が変化する場合であっても、その時々の移動速度に基づいて出口境界エリアを設定することで、適切に消費電力を削減することができる。
例えば、トンネルの走行中に徐々に移動速度が低下していく場合、地点P3と地点P4との間における移動速度が、地点P1と地点P2との間における移動速度よりも遅くなる。このような場合であっても、P1からP2への移動に要する第1の時間よりも、P3からP4への移動に要する第2の時間が長くなるように、その時々の速度に応じて、第1の距離と第2の距離を設定すればよい。これにより、通信準備のための時間を確保することができる。トンネル内で移動速度が低下する場合、結果的に、第1の距離よりも第2の距離が短い場合もあり得る。
なお、無線通信機100は、モードを切り替える際に、モードが切り替わったことを知らせる報知音やメッセージを発してもよい。特に、地点P3に到達したとき、つまり削減モードから省電力モードに変わるときに報知音を出力することは、ユーザが省電力モードになったことを容易に把握できるため、ユーザの利便性が高い。モード切り替えの報知音やメッセージは、モード毎に同じであってもよく、異なっていてもよい。また、報知音の音量を変えてもよい。例えば、省電力モードから削減モードに切り替わるときの報知音を相対的に小さな音量で出力し、削減モードから省電力モードに切り替わるときの報知音を相対的に大きな音量で出力するとよい。また例えば、非表示モードから省電力表示モードに切り替わるタイミングと、省電力モードから非表示モードに切り替わるタイミングにおいて、無線通信機100は、同じ報知音を鳴らしてもよく、異なる報知音を鳴らしてもよい。
なお、トンネル内では衛星からのGPS信号を受信できない場合がある。この場合、移動情報取得部30に設けられたセンサからの出力により、移動距離、移動速度を推定すればよい。これにより、より適切な制御を行うことができる。
なお、上記の説明では、表示部20の機能を停止することで、消費電力を削減していたが、表示部20の代わりに、あるいは表示部20に加えて、他の機能を停止することで、消費電力を削減してもよい。無線通信部60の例えばPLL(Phase Locked Loop)回路やRF(Radio Frequency)回路等の回路の動作を停止することで、消費電力を削減してもよい。
なお、上述の説明では、通常モード、省電力モード、削減モードの3種類のモードを用いることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、4種類以上のモードを用いて、より細かい電力制御を行ってもよい。あるいは、2種類のモードを用いてもよい。例えば、通常モードと削減モードの2種類を用いて、地点P1から地点P2までを通常モードとし、地点P3から地点P4までを通常モードとしてもよい。このような制御を行った場合、ユーザの視認性は上述の方法よりも低下するが、通信準備をする時間をユーザに与えることができるという効果は同様に得られる。また、エリア情報において圏外エリアであっても、実際には無線通信できる場合に、通信の機会を増やすことができるという効果も同様に得られる。
また、制御部50は、無線通信機100における電波の受信状況をもとに、電力制御を行ってもよい。例えば、地点P1に到達した際に、基地局からの電波を受信可能であれば、無線通信機100は、省電力モードに移行せずに通常モードを継続してもよい。特に、地点P1において、通信中である場合には、通常モードを継続する。そして、電波が受信できなくなった地点から所定距離移動するまで、あるいは所定時間が経過するまでを省電力モードにすればよい。あるいは、電波が受信できなくなった地点で削減モードに移行してもよい。また、エリアAにおいて地点P1に至る前に、基地局からの電波を受信できなくなった場合には、その地点で省電力モードに移行してもよい。ただし、地点P3については、電波が受信できない場合であっても、省電力モードに移行することが望ましい。このような制御を行うことにより、ユーザに通信準備をする時間を与えて、圏内になったときに迅速に通信を開始することができる。
なお、ユーザが使用する通信種別に応じて、地点P3の位置を設定してもよい。これは、ユーザが通信を開始するのに必要な準備時間が通信種別によって異なるという知見に基づく処理である。例えば、ユーザがPTTボタンを用いる音声通話を実行する場合は、準備時間が最も少なくて済むため、地点P3から地点P4の通過時間が5秒になるようにする。ユーザが電話番号を指定する音声通話を実行する場合は、それよりも多くの準備時間が必要になるため、地点P3から地点P4の通過時間が20秒になるようにする。また、通信種別が定型的なテキストメッセージ送信である場合(いくつかの選択肢からメッセージを選択する通信の場合)には、通過時間が20秒になるように設定し、ユーザが任意の文字を入力するテキストメッセージ送信の場合には60秒になるように設定する。ユーザは、デフォルトで使用する通信種別、あるいは次回の通信で使用する通信種別を無線通信機100に設定しておくとよい。
上述の説明では、圏内エリアがトンネル外のエリアであり、圏外エリアがトンネル内のエリアである例であり、無線通信機100はトンネルを含む所定のルートを所定の向きに移動する状況を例に説明したが、このような状況に限定されるものではない。例えば、圏内エリアと圏外エリアとが複雑に入り組んだ草原や山間部をユーザが徒歩で移動し、ユーザが移動方向を任意に変えることができる状況においても本発明を適用できる。具体的には、以下の処理を行う。
位置情報取得部70は、本端末の位置情報を取得し、移動情報取得部30は、本端末の移動方向及び移動速度を取得する。制御部50は、これらの取得された情報と、地図情報保持部40に格納された情報とに基づいて、現在の移動方向の延長線上にある圏内エリア及び圏外エリアを認識する。例えば、現在位置は圏内エリアにあり、制御部50は、このままの方向で進むと現在位置の200m先から800m先までが圏外エリアであることを認識する。また例えば、制御部50は、現在位置の800m先から現在位置の1000m先までが圏内であり、1000m先から1300m先までが再び圏外エリアであることを認識する。この場合、現在の移動方向に沿って、現在位置の200m先から800m先までが、図4のエリアBに相当し、現在の1000m先から1300m先までが、エリアDに相当するため、図4を用いて説明したのと同様の処理を行えばよい。地点P1から地点P2までの距離(第1の距離)は、50m等の固定的な距離を用いてもよいし、通過に例えば30秒を要する距離としてもよい。その際に、現在の移動速度を用いておおよそ距離を算出してもよいし、地点P1における移動速度や、地点P1から地点P2の間の移動速度を用いて、より高い精度で距離を算出してもよい。地点P3からP4までの距離(第2の距離)についても同様である。そして、本端末の移動方向が変わる毎に、制御部50は、現在の移動方向の延長線上にある圏内エリア及び圏外エリアを認識して、同様の処理を行えばよい。このような処理を行うことにより、ユーザが移動方向や移動速度を任意に変える状況においても、無線通信機100の消費電力を適切に制御できる。
実施の形態2.
実施の形態2にかかる無線通信機100の制御について、図5を用いて説明する。図5は、3つのトンネルを通過する場合の制御を説明するための図である。ここでは、エリアAから順にエリアFまで車両が移動する場合の表示部20の状態について説明する。エリアA、エリアC、エリアEがトンネル外となる。また、エリアB、エリアD、エリアFがトンネル内となる。以下、エリアBのトンネルを第1トンネル、エリアDのトンネルを第2トンネル、エリアFのトンネルを第3トンネルとする。エリア情報では、エリアB、エリアD、エリアFが圏外エリアとなっており、エリアA、エリアC、エリアEが圏内エリアとなっている。
エリアBとなるトンネルの入口と出口を地点P1、P4とする。つまり、エリアAとエリアBとの境界位置が地点P1となり、エリアBとエリアCとの境界位置が地点P4となる。エリアDとなるトンネルの入口と出口を地点P5、P8とする。つまり、エリアCとエリアDとの境界位置が地点P5となり、エリアDとエリアEとの境界位置が地点P8となる。エリアFとなるトンネルの入口と出口を地点P9、P12とする。つまり、エリアEとエリアFとの境界位置が地点P9となる。
本実施の形態では、2つの圏外エリアが隣接する場合、制御部50が、2つの圏外エリアをマージ(統合)して、1つの圏外エリアと見なす処理を行っている。つまり、制御部50は、所定の条件を満たす2つのトンネルを1つの圏外エリアにしている。なお、トンネルをマージする処理以外に付いては、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
具体的には、エリアBとエリアDとが近接しているため制御部50は、地点P1〜地点P8までを1つの圏外エリアと見なしている。換言すると、トンネル外にあるエリアCも圏外エリアとして扱われる。地点P2から地点P7までの間、ならびに、地点P10から地点P11までの間で、表示部20が非表示となる。地点P1から地点P2までの間、始点P7から地点P8までの間、地点P9から地点P10までの間、地点P11から地点P12の間で、表示部20が省電力表示を行う。地点P8から地点P9の間で、表示部20が通常表示を行う。
以下、2つのトンネルをマージ(統合)する条件について説明する。第1の条件では、制御部50は、2つのトンネル間隔に応じて、マージするか否かの判定を行う。2つのトンネルの間隔が閾値未満の場合、制御部50は、2つのトンネルをマージして、1つの圏外エリアと見なす。例えば、閾値となる距離を500mとする。図5の例において、地点P4から地点P5の距離は、100mである。間隔が閾値よりも小さいため、制御部50は、第1トンネルと第2トンネルをマージして、1つの圏外エリアとする。すなわち、本端末の移動方向の延長線上に、2つの圏外エリアが存在し、その2つの圏外エリアの間隔(2つの圏外エリアの間にある圏内エリアの幅)が閾値(所定値)未満である場合に、2つの圏外エリアを統合して、1つの圏外エリアとみなす。つまり、2つの圏外エリアの間にある圏内エリアの広さに応じて、2つの圏外エリアを統合するか否かを判定する。
一方、地点P8から地点P9までの距離は5000mであり、500mよりも大きい。よって、制御部50は、第2トンネルと第3トンネルを別の圏外エリアとして扱う。つまり、制御部50は、エリアEが圏内エリアとして処理を行う。一方、地点P8から地点P9までの距離は5000mであり、移動時間が閾値よりも長くなる。よって、制御部50は、第2トンネルと第3トンネルを別の圏外エリアとして扱う。
第2の条件では、制御部50は、2つのトンネルの間隔、つまりトンネル外のエリアを移動する移動時間に応じて、マージするか否かの判定を行う。2つのトンネルの間隔を移動する移動時間が閾値未満の場合、制御部50は、2つのトンネルをマージして、1つの圏外エリアと見なす。例えば、閾値となる時間を30秒とする。地点P4から地点P5の距離は、100mであり、移動速度を10m/secで一定とする。この場合の移動時間10秒が閾値30秒よりも小さいため、制御部50は、第1トンネルと第2トンネルをマージして、1つの圏外エリアとする。つまり、地点P1〜地点P8までが圏外エリアとなる。すなわち、本端末の移動方向の延長線上に、2つの圏外エリアが存在し、その2つの圏外エリアの間にある圏内エリアを通過する予想時間が閾値(所定値)未満である場合に、2つの圏外エリアを統合して、1つの圏外エリアとみなす。この閾値は、ユーザが通信を実行するのに必要な時間をもとに設定することが望ましい。例えば、PTTボタンを用いる音声通話を実行する場合は10秒とし、電話番号を指定する音声通話を実行する場合は、それよりも多くの時間が必要になるため、30秒等とする。また、定型的なテキストメッセージを送信する場合には10秒、ユーザが文字を入力して任意のテキストメッセージを送信する場合には60秒等と設定する。このように、使用する通信種別に応じて、2つの圏外エリアを統合するための条件を変えてもよい。
第3の条件では、制御部50は、過去の通行履歴に基づいて、マージするか否かの判定を行う。たとえば、トンネル間のエリアC、エリアEを過去に通過している場合、通過時に無線通信機100が、無線通信ができたか否か(通信可あるいは通信不可を示す情報)を通過履歴として格納しておく。なお、制御部50は、通過履歴において、全く通信を開始できなかったケースを通信不可として扱ってもよいし、通信を開始できたものの完了できなかった(必要な情報を全て伝達できなかった)ケースを通信不可として扱ってもよい。そして、無線通信機100が通過履歴を参照して、通信不可能であった回数又は割合に基づいて、制御部50は、マージするか以下の判定を行う。
例えば、エリアCを過去に5回通過しており、そのうちの4回で無線通信ができなかったとする。マージ判定するための割合の閾値を70%とする。過去の履歴において、通信できなかった割合は、80%(=4/5)であるので、閾値以上となる。制御部50は、第1トンネルと第2トンネルをマージして、1つの圏外エリアとする。つまり、地点P1〜地点P8までが圏外エリアとなる。
このように過去の通過履歴から無線通信の実行が困難なエリアを制御部50が特定してもよい。そして、制御部50は、このエリアを圏外エリアとすることで、2つの圏外エリアをマージする。なお、制御部50は、過去の履歴は同じエリアの通過履歴に限らず、現在位置から所定距離以内における通過履歴を用いてもよい。また、過去の全ての通過履歴を用いる他に、現在時刻までの所定時間以内に通過した通過履歴を用いて判定してもよい。
上記の第1〜第3の条件を用いることで、ユーザに無駄な操作をさせることを防ぐことができ、効果的に電力消費を抑制することができる。例えば、第1トンネルを出た後、無線通信機100が一時的に通信可能な状態となる。しかしながら、2つのトンネルが隣接する場合、通信圏内にいる時間が非常に短いため、実質的に通信を実行できない場合がある。例えば、相手を呼出中に通信が切れてしまう場合、あるいは相手の呼出はできたが通話の途中で通信が切れてしまい、実質的に情報伝達ができない場合である。本実施の形態のように、制御部50が、2つの圏外エリアにある圏内エリアにおいて、実質的な(実効性のある)通信ができないと判定した場合には、2つの圏外エリアをマージして、1つの圏外エリアとする。このようにすることで、表示部20が地点P2から地点P7までの間、非表示を継続するため、より適切に消費電力を削減することができる。つまり、非表示状態をより長時間継続することにより消費電力が削減できるだけでなく、非表示状態にすることより、無線通信機100を操作すべきタイミングでないことをユーザに対して通知することができるため、より適切に消費電力を削減できる。
また、2つのトンネルの間隔が広い場合、2つのトンネルをマージしないため、ユーザの利便性を損なうことがない。なお、制御部50は、第1〜第3の条件のうちの少なくとも1つを用いて、マージするか否かの判定を行えばよい。もちろん、制御部50は、2つ以上の条件を用いてトンネルをマージしてもよい。
また、3つ以上のトンネルが近接する場合、3つ以上のトンネルをマージして、1つの圏外エリアとしてもよい。例えば、エリアEが100m未満である場合、制御部50は、第1〜第3のトンネルをマージして、1つの圏外エリアとする。この場合、地点P1から地点P12までが1つの圏外エリアとなる。
制御部50は、2つのトンネルをマージしたことを示すフラグを用いることができる。制御部50は、上記の条件での判定結果に応じて、フラグを設定する。例えば、制御部50は、トンネルをマージした場合、フラグをONし、トンネルをマージしていない場合、フラグをOFFすればよい。フラグがオンしている場合、制御部502つのトンネルを1つの圏外エリアと見なす。制御部50がフラグをOFFした場合、2つのトンネルを別々の圏外エリアと見なす。
実施の形態3.
実施の形態3では、電力消費を抑制するために、無線通信部60のスキャン処理を制御する。スキャン処理とは、無線通信機100が他の無線通信機に呼び出されているか否かを検索する機能である。複数のチャネルCHが設定されている無線通信機100において、無線通信部60は、定期的に待ち受けチャネルCHを切り替えることにより、他の無線通信機から呼び出されていないかを確認する。また、スキャン処理として、基地局の制御チャネルを検出して、無線通信機100がどの基地局を使用するかを決定する処理もある。例えば、無線通信部60は、検出されたチャネルの中で、RSSI(Received Signal Strength Indication)が最も高いチャネルを選択する。
制御部50は、無線通信部60を制御することで、削減モード、省電力モード、通常モードを切り替える。削減モードでは、スキャン処理を停止する。つまり、制御部50は、無線通信部60がスキャン処理を行わないように制御する。なお、スキャン処理を完全にオフしなくてもよい。つまり、制御部50は、無線通信部60がチャネルを切り替える頻度(周期)を下げるようにしてもよい。例えば、スキャン処理の間の休止期間を長く設定すればよい。待ち受けチャネルを切り替える処理に電力が必要であるため、スキャン処理を停止することで、消費電力を削減できる。また、削減モードにおいて、待ち受けチャネルを切り替えるスキャン処理を停止するだけでなく、受信処理を全て停止してもよい。このような制御をすれば、消費電力をさらに削減できる。
通常モードでは、チャネルを所定の周期で切り替えていく。省電力モードでは、無線通信部60がチャネルを切り替える周期を通常モードと削減モードとの間にする。例えば、無線通信部60は、チャネルの切り替え頻度を通常モードよりも下げる。あるいは、チャンネルを受信して有効な信号が検出されない場合に、無線通信部60は、次に受信信号処理を行う前に、所定期間停止する。よって、消費電力は、通常モードで最も大きくなり、削減モードで最も小さくなり、省電力モードで通常モードと削減モードとの間となる。
実施の形態3にかかる無線通信機100の制御について、図6を用いて説明する。図6は、3つのトンネルを通過する場合の制御を説明するための図である。ここでは、エリアAから順にエリアFまで車両が移動する場合の表示部20の状態について説明する。エリアAからエリアFの設定は、図5と同様であるため、説明を省略する。
実施の形態2と同様に、第1トンネルと第2トンネルをマージして、1つの圏外エリアとしている。具体的には、第1の条件に従って、2つのトンネルをマージしている。第1の条件において、閾値となる距離は500mとなっている。第1トンネルの出口から第2トンネルの入口までの距離は100mであるため、閾値未満となる。よって、第1トンネルと、制御部50は、2つのトンネルをマージして、1つの圏外エリアとする。第2トンネルの出口から第3トンネルの入口までの距離は、5000mであるため、閾値以上となる。よって、第1トンネルと、制御部50は、2つのトンネルをマージせずに、別々の圏外エリアとする。
具体的には、エリアBとエリアDとが近接しているため、制御部50は、地点P1〜地点P8までを1つの圏外エリアと見なしている。換言すると、トンネル外にあるエリアCも圏内エリアとなる。地点P2から地点P7までの間、ならびに、地点P10から地点P11までの間で、無線通信部60が、削減モードとなる。よって、無線通信部60はスキャン処理を停止する。
地点P1から地点P2までの間、始点P7から地点P8までの間、地点P9から地点P10までの間、地点P11から地点P12の間は、無線通信部60が省電力モードとなる。よって、無線通信部60が、チャネルの切り替え頻度を下げて、スキャン処理を行う。地点P8から地点P9の間、無線通信部60が通常モードとなり、速い切り替え頻度でスキャン処理を行う。例えば、短い時間間隔でチャンネルを切り替えてスキャン処理を行えばよい。
無線通信機100が地点P1に移動すると、制御部50が無線通信部60を通常モードから省電力モードに切り替える。このとき、無線通信部60は、直前まで待ち受けたチャネル(周波数)で待ち受けをする。
無線通信機100が地点P7に移動すると、制御部50が無線通信部60を削減モードから省電力モードに切り替える。地点P7に到達すると、無線通信部60がスキャン処理を再開する。よって、通信圏内となった後、無線通信部60が、速やかに通信を実行することができる。削減モードから省電力モードに切り替わるタイミングで、無線通信部60は、予め通信するチャネルを設定することが好ましい。例えば、無線通信部60は、地点P1での待ち受けチャネルを最初に用いてスキャン処理を開始すればよい。無線通信部60が、そのチャネルで電波が受信できれば、それを通信に用いる。無線通信部60が、そのチャネルで電波を受信できなければ、所定のルールに基づいて別のチャネルに切り替えて受信動作を行う。直前に使っていた待ち受けチャネルがそのまま使える可能性があるので、このような処理をすることで、効率的よくチャネル選択が行える。また、トンネルの入口と出口との距離、ここでは地点P1と地点P4との距離に応じて、制御部50がスキャン処理で最初に使用するチャネルを決定してもよい。例えば、地点P1と地点P4との距離が所定値未満である場合、同じチャネルが使える可能性が高いため、無線通信部60が、地点P1までに使用したチャネルをまず使用する。また、地点P1と地点P4との距離が所定値以上ある場合、チャネルが変わっている可能性が高くなるため、制御部50がスキャン処理で最初に用いる待ち受けチャネルを地点P1における待ち受けチャネルとは別のチャネルにする。なお、説明を簡潔にするため、図6では経路及びトンネルを一直線状に示しているが、当然のことながら、これらは折れ曲がっていてもよく、曲線状であってもよい。例えば、第1トンネルが曲線状である場合でも、地点P1と地点P4との距離(直線距離)に応じて、地点P1における待ち受けチャネルを地点P3におけるスキャン処理で最初に用いるか否かを決定してもよい。
なお、入口境界エリアと出口境界エリアとで、省電力モードは同じであってもよく、異なっていてもよい。入口境界エリアと出口境界エリアで、異なる省電力モードを用いる場合、出口境界エリアでの省電力モードを通常モードでの処理に近い動作とすることが好ましい。つまり、出口境界エリアの消費電力が、入口境界エリアでの消費電力よりも大きくする。例えば、通常モードでのスキャン処理の休止期間が1秒の場合、入口境界エリアでのスキャン処理の休止期間を10秒とし、出口境界エリアでのスキャン処理の休止期間を5秒とすることができる。つまり、入口境界エリアのスキャン処理の頻度よりも出口境界でのスキャン頻度よりも高くする。すなわち、無線通信部60が出口境界エリアにおいて、入口境界エリアよりも短い時間間隔でチャンネルを切り替えてスキャン処理を行えばよい。
このようにすることで、消費電力を削減しつつ、速やかに通信を開始することができる。
本実施の形態にかかる無線通信機100の制御方法について、図7を用いて説明する。図7は、無線通信機100のスキャン状態を制御する制御方法を示すフローチャートである。
まず、制御部50が、現在位置がどのエリアにあるかを判定する(S31)。具体的には、位置情報取得部70がGPS信号等に基づいて、現在位置を示す位置情報を取得する。制御部50が、位置情報取得部70に保持されている地図情報を参照して、現在位置が地図上のどのエリアにあるかを特定する。もちろん、位置情報取得部70は、移動情報を参照して、エリアを測定してもよい。
制御部50は、現在位置が、(1)トンネル外のエリア(圏内エリア)、(2)トンネル内部の入口に近いエリア(第1の境界エリア)、(3)トンネル内部の入口/出口から遠いエリア(真圏外エリア)、(4)トンネル内部の出口に近いエリア(第2の境界エリア)のいずれにあるかを判定する。なお、(1)トンネル外のエリアは、無線通信可能な圏内エリアである。(3)トンネル内部の入口/出口から遠いエリアは、無線通信できない圏外エリアとなる。実施の形態1で説明したように、(2)トンネル内部の入口に近いエリアは、入口境界エリアであり、(4)トンネル内部の出口に近いエリアは、出口境界エリアである。
S31において、現在位置が(1)トンネル外のエリアにあると判定された場合、制御部50は、トンネルをマージしたことを示すフラグを確認する(S32)。なお、初期状態では、フラグはOFFに設定されている。S32でフラグがONの場合、制御部50は、無線通信部60のスキャン処理を削減モードとする(S33)。これにより、無線通信部60は、スキャン処理を停止する。なお上述したように、無線通信部60がさらに受信処理を完全に停止してもよい。S32でフラグがOFFの場合、制御部50は、無線通信部60のスキャン処理を通常モードとする(S34)。これにより、無線通信部60は、通常のスキャン処理を実行する。
S31において、現在位置が(2)トンネル内部の入口に近いエリアにあると判定された場合、制御部50は、フラグを確認する(S35)。S35でフラグがONの場合、制御部50は、無線通信部60のスキャン処理を削減モードとする(S36)。これにより、無線通信部60は、スキャン処理を停止する。S35でフラグがOFFの場合、制御部50は、無線通信部60のスキャン処理を省電力モードとする(S37)。これにより、無線通信部60は、省電力でのスキャン処理を実行する。
S31において、現在位置が(3)トンネル内部の入口/出口から遠いエリアにあると判定された場合、制御部50は、無線通信部60のスキャン処理を削減モードとする(S38)。これにより、無線通信部60は、スキャン処理を停止する。
S31において、現在位置が(4)トンネル内部の出口に近いエリアにあると判定された場合、制御部50は、次のトンネルまでの距離を判定する(S39)。すなわち、制御部50は、次のトンネルまでの距離を閾値と比較する。ここでは、閾値が500m等となっている。S39で次のトンネルまでの距離が閾値未満と判定された場合、制御部50はフラグをONする(S40)。この場合、制御部50は、現在通過しているトンネルを、次のトンネルとマージする。制御部50は、無線通信部60のスキャン処理を削減モードとする(S41)。これにより、無線通信部60は、スキャン処理を停止する。
S39で次のトンネルまでの距離が閾値以上と判定された場合、制御部50はフラグをOFFする(S42)。そして、制御部50は、無線通信部60のスキャン処理を省電力モードとする(S43)。これにより、無線通信部60は、省電力でのスキャン処理を実行する。
なお、無線通信部60と表示部20の両方を制御して、消費電力を削減してもよい。本実施の形態3の処理を実施の形態1、2の処理と組み合わせて使用することも可能である。
変形例
実施の形態1〜3の変形例について、図8を用いて説明する。図8は、無線通信機100の制御系を示す機能ブロック図である。なお、各ブロックの基本的な構成、及び処理については、実施の形態1〜3と同様であるため、適宜説明を省略する。
変形例では、図1で示した無線通信機100の一部の機能が、外部機器200に搭載されている。外部機器200は、例えば自動車に搭載された車載器である。なお、外部機器200としてカーナビゲーションシステム等を用いることができる。
外部機器200は、位置情報取得部270と、移動情報取得部230と、地図情報保持部240と、通信I/F290とを備えている。移動情報取得部230、地図情報保持部240、位置情報取得部270は、図1の移動情報取得部30、地図情報保持部40、位置情報取得部70にそれぞれ対応している。また、無線通信機100には、外部機器200との通信を行うための通信I/Fが追加されている。
外部機器200は、無線通信機100との通信を行うための通信I/F290を備えている。外部機器200は、無線通信機100との通信を行うための通信I/F90を備えている。通信I/F290及び通信I/F90は、シリアル通信又は近距離通信等によって、データを送受信する。
地図情報保持部240は、地図情報を保持している。移動情報取得部230は、加速度センサ等の検出結果に基づいて、移動情報を取得する。移動情報取得部30は、自動車からの車速パルス等を用いて、移動距離や移動速度等の移動情報を取得してもよい。位置情報取得部270は、衛星からのGPS信号を受信する。位置情報取得部270は、GPS信号、及び移動情報に基づいて、自端末の現在位置を算出する。
外部機器200は、実施の形態1と同様の処理によって自車の現在位置を特定する。そして、外部機器200は、現在位置が地図上のどのエリアにあるかを示すエリア情報を無線通信機100に送信する。そして、無線通信機100が、エリア情報に基づいて、上記の処理を実施する。このような構成を用いることにより、無線通信機100の機能を減らすことができ、無線通信機100を簡単に構成することができる。
なお、図8では、外部機器200が、位置情報取得部270、移動情報取得部230と、地図情報保持部240を備えていたが、これらの一部は、無線通信機100に搭載されていてもよい。例えば、無線通信機100が地図情報のみを外部機器200から取得するようにしてもよい。あるいは、無線通信機100が位置情報のみを外部機器200から取得するようにしてもよい。つまり、実施の形態1〜3の無線通信機100での処理の一部が、外部機器200で実施されていてもよい。なお、実施の形態1〜3、及び変形例のいずれか2つ以上を適宜組み合わせて実施してもよい。
上記の無線通信機100の制御方法は、コンピュータプログラムにより実現可能である。つまり、無線通信機100のコンピュータがプログラムを実行することで、上記の制御方法が実施される。このようなプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。