JP2020127382A - インターフェロン産生促進物質のスクリーニング法及びキット - Google Patents
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Abstract
【課題】病原ウイルスの宿主細胞への侵入様式に適合してインターフェロン産生細胞によるインターフェロン産生を促進する物質をスクリーニングする方法及びキットを提供する。【解決手段】被検試料と、宿主細胞への侵入様式が異なる2又はそれ以上のウイルスのそれぞれを模したトランスフェクション試薬とを、インターフェロン産生能を有する細胞に作用させ、少なくとも1つのトランスフェクション試薬により誘導されるインターフェロン産生を促進する被検試料を選択することにより、インターフェロン産生促進物質をスクリーニングする。【選択図】なし
Description
本発明は、インターフェロン産生促進物質のスクリーニング法及び同方法に用いるキットに関する。
インターフェロン(IFN)には、I型、II型、III型が知られている。I型インターフェロンには、インターフェロンα(IFN-α)、インターフェロンβ(IFN-β)、インターフェロンδ(IFN-δ)、インターフェロンε(IFN-ε)、インターフェロンκ(IFN-κ)、インターフェロンω(IFN-ω)、インターフェロンυ(IFN-υ)、インターフェロンτ(IFN-τ)、インターフェロンζ(IFN-ζ)等が存在し、ウイルス感染で誘導される抗ウイルス系のサイトカインであり、中でもIFN-α及びIFN-βは多くのタイプの細胞で産生される、抗ウイルス応答の重要な要素であることが知られている。
また、III型インターフェロンはIFN-λであり、そのアイソフォームとしてIFN-λ1、IFN-λ2、INF-λ3(各々、発見当初はインターロイキン28A、28B、29とも命名された)があることが知られている。IFN-λは、樹状細胞、肝細胞、腸管上皮細胞、肺上皮細胞等により産生が確認されており、自然免疫を賦活し、抗ウイルス作用、免疫賦活作用、抗感染症作用、抗B型肝炎作用、抗C型肝炎作用、抗腫瘍作用等を示すことが知られている。
また、III型インターフェロンはIFN-λであり、そのアイソフォームとしてIFN-λ1、IFN-λ2、INF-λ3(各々、発見当初はインターロイキン28A、28B、29とも命名された)があることが知られている。IFN-λは、樹状細胞、肝細胞、腸管上皮細胞、肺上皮細胞等により産生が確認されており、自然免疫を賦活し、抗ウイルス作用、免疫賦活作用、抗感染症作用、抗B型肝炎作用、抗C型肝炎作用、抗腫瘍作用等を示すことが知られている。
インターフェロン産生促進物質をスクリーニングする方法としては、インターフェロンλ発現能を有する細胞を、被検物質で処理する処理工程と、前記細胞に、自然免疫誘導物質を導入する導入工程と、前記細胞において産生されたインターフェロンλの産生量を測定する測定工程と、を含む方法が知られている(特許文献1)。
また、インターフェロン−α及び/又はβ(IFN-α/β)の発現誘導を促進する補助剤をスクリーニングする方法として、
a)上記補助剤の非存在下ではIFN-α/βの発現を誘導しない、細胞と核酸アジュバントの系において、当該細胞を核酸アジュバントと、補助剤候補化合物を共に又は無しでインキュベートし;そして
b−1)補助剤候補化合物の存在により、核酸アジュバントがエンドソーム小胞に細胞内移動したことを確認する、あるいは
b−2)補助剤候補化合物の存在により、IFN-α/βの発現が誘導されたことを確認するc)工程b−1)又はb−2)において、核酸アジュバントのエンドソーム小胞への移動またはIFN-α/βの発現誘導が確認された場合に、上記化合物を有効な補助剤と判断することを含む方法が知られている(特許文献2)。
a)上記補助剤の非存在下ではIFN-α/βの発現を誘導しない、細胞と核酸アジュバントの系において、当該細胞を核酸アジュバントと、補助剤候補化合物を共に又は無しでインキュベートし;そして
b−1)補助剤候補化合物の存在により、核酸アジュバントがエンドソーム小胞に細胞内移動したことを確認する、あるいは
b−2)補助剤候補化合物の存在により、IFN-α/βの発現が誘導されたことを確認するc)工程b−1)又はb−2)において、核酸アジュバントのエンドソーム小胞への移動またはIFN-α/βの発現誘導が確認された場合に、上記化合物を有効な補助剤と判断することを含む方法が知られている(特許文献2)。
本発明は、インターフェロン産生細胞によるインターフェロン産生を、病原ウイルスの宿主細胞への侵入様式に適合して促進する物質をスクリーニングする方法及び同方法に用いるキットを提供することを課題とする。
本発明者らは、インターフェロン産生能を有する細胞を用いたインターフェロン産生促進物質のスクリーニングに、宿主細胞への侵入様式が異なる2又はそれ以上のウイルスのそれぞれを模したトランスフェクション試薬を用いることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、被検試料と、宿主細胞への侵入様式が異なる2又はそれ以上のウイルスのそれぞれを模したトランスフェクション試薬とを、インターフェロン産生能を有する細胞に作用させ、少なくとも1つのトランスフェクション試薬により誘導されるインターフェロン産生を促進する被検試料を選択する、インターフェロン産生促進物質のスクリーニング法である。
前記方法は、選択された被検試料に対応するトランスフェクション試薬が模しているウイルスの侵入様式に基づいて、インターフェロン産生促進物質を適用することができるウイルスを決定することを好ましい態様としている。
また、前記方法は、前記ウイルスが、少なくとも、エンドサイトーシスを介してウイルス粒子が細胞に取り込まれる第一の侵入様式のウイルスと、エンベロープ及びヌクレオカプシドを有し、エンベロープと宿主細胞膜との膜融合によりヌクレオカプシドが宿主細胞に取り込まれる第二の侵入様式のウイルスであることを好ましい態様としている。
また、前記方法は、前記第一の侵入様式のウイルスが、エンベロープ型インフルエンザウイルス、エンベロープ型SARSコロナウイルス、エンベロープ型ヒト免疫不全ウイルス、エンベロープ型RSウイルス、非エンベロープ型ノロウイルス、非エンベロープ型ロタウイルス、及び非エンベロープ型アデノウイルスからなる群から選択されるウイルスであり、前記第二の侵入様式のウイルスが、インフルエンザウイルス、セムリキ森林ウイルス、デング熱ウイルス、水泡性口炎ウイルス、ヘルペスウイルス、モロニーマウス白血病ウイルス、成人T細胞白血病ウイルス、及びC型肝炎ウイルスからなる群から選択されるウイルスであることを好ましい態様としている。
前記方法は、選択された被検試料に対応するトランスフェクション試薬が模しているウイルスの侵入様式に基づいて、インターフェロン産生促進物質を適用することができるウイルスを決定することを好ましい態様としている。
また、前記方法は、前記ウイルスが、少なくとも、エンドサイトーシスを介してウイルス粒子が細胞に取り込まれる第一の侵入様式のウイルスと、エンベロープ及びヌクレオカプシドを有し、エンベロープと宿主細胞膜との膜融合によりヌクレオカプシドが宿主細胞に取り込まれる第二の侵入様式のウイルスであることを好ましい態様としている。
また、前記方法は、前記第一の侵入様式のウイルスが、エンベロープ型インフルエンザウイルス、エンベロープ型SARSコロナウイルス、エンベロープ型ヒト免疫不全ウイルス、エンベロープ型RSウイルス、非エンベロープ型ノロウイルス、非エンベロープ型ロタウイルス、及び非エンベロープ型アデノウイルスからなる群から選択されるウイルスであり、前記第二の侵入様式のウイルスが、インフルエンザウイルス、セムリキ森林ウイルス、デング熱ウイルス、水泡性口炎ウイルス、ヘルペスウイルス、モロニーマウス白血病ウイルス、成人T細胞白血病ウイルス、及びC型肝炎ウイルスからなる群から選択されるウイルスであることを好ましい態様としている。
また、前記方法は、前記第一の侵入様式のウイルスを模したトランスフェクション試薬が、核酸とリポソーム試薬から構成されるトランスフェクション試薬であり、前記第二の侵入様式のウイルスを模したトランスフェクション試薬が、核酸とカチオン性リン脂質と中性脂質の混合物から構成されるトランスフェクション試薬であることを好ましい態様としている。
また、前記方法は、前記核酸が、一本鎖RNA、二本鎖RNA、一本鎖DNA、及び二本鎖DNAからなる群から選択される核酸であることを好ましい態様としている。
また、前記方法は、前記核酸が、二本鎖RNAであることを好ましい態様としている。
また、前記方法は、前記二本鎖RNAがpoly(I:C)であり、リポソーム試薬がリポフェクタミン(商標)であり、カチオン性リン脂質と中性脂質の混合物がLyoVec(商標)であることを好ましい態様としている。
また、前記方法は、前記インターフェロン産生能を有する細胞がヒト結腸腺癌細胞株であることを好ましい態様としている。
また、前記方法は、前記ヒト結腸腺癌細胞株がHT−29細胞株であることを好ましい態様としている。
また、前記方法は、インターフェロンがI型又はIII型であることを好ましい態様としている。
また、本発明は、前記方法に使用するためのキットであって、宿主細胞への侵入様式が異なる2又はそれ以上のウイルスのそれぞれを模したトランスフェクション試薬、又は各々のトランスフェクション試薬を構成し得る要素を含むキットを提供する。
前記キットは、前記トランスフェクション試薬が、少なくとも、エンドサイトーシスを介してウイルス粒子が細胞に取り込まれる第一の侵入様式のウイルスを模した試薬と、エンベロープ及びヌクレオカプシドを有し、エンベロープと宿主細胞膜との膜融合によりヌクレオカプシドが宿主細胞に取り込まれる第二の侵入様式のウイルスを模した試薬である
ことを好ましい態様としている。
また、前記方法は、前記核酸が、一本鎖RNA、二本鎖RNA、一本鎖DNA、及び二本鎖DNAからなる群から選択される核酸であることを好ましい態様としている。
また、前記方法は、前記核酸が、二本鎖RNAであることを好ましい態様としている。
また、前記方法は、前記二本鎖RNAがpoly(I:C)であり、リポソーム試薬がリポフェクタミン(商標)であり、カチオン性リン脂質と中性脂質の混合物がLyoVec(商標)であることを好ましい態様としている。
また、前記方法は、前記インターフェロン産生能を有する細胞がヒト結腸腺癌細胞株であることを好ましい態様としている。
また、前記方法は、前記ヒト結腸腺癌細胞株がHT−29細胞株であることを好ましい態様としている。
また、前記方法は、インターフェロンがI型又はIII型であることを好ましい態様としている。
また、本発明は、前記方法に使用するためのキットであって、宿主細胞への侵入様式が異なる2又はそれ以上のウイルスのそれぞれを模したトランスフェクション試薬、又は各々のトランスフェクション試薬を構成し得る要素を含むキットを提供する。
前記キットは、前記トランスフェクション試薬が、少なくとも、エンドサイトーシスを介してウイルス粒子が細胞に取り込まれる第一の侵入様式のウイルスを模した試薬と、エンベロープ及びヌクレオカプシドを有し、エンベロープと宿主細胞膜との膜融合によりヌクレオカプシドが宿主細胞に取り込まれる第二の侵入様式のウイルスを模した試薬である
ことを好ましい態様としている。
本発明により、インターフェロン産生促進物質を選択することができる。本発明によれば、選択されたインターフェロン産生促進物質を適用できる病原ウイルスを決定することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、インターフェロン産生促進物質のスクリーニング法(以下、「本発明の方法」と記載することがある)、及び同方法に用いるキット(以下、「本発明のキット」と記載することがある)である。
本発明は、インターフェロン産生促進物質のスクリーニング法(以下、「本発明の方法」と記載することがある)、及び同方法に用いるキット(以下、「本発明のキット」と記載することがある)である。
インターフェロンとしては、特に制限されないが、I型又はIII型が好ましい。I型としては、IFN-α、IFN-β、IFN-δ、IFN-ε、IFN-κ、IFN-ω、IFN-υ、IFN-τ、及びIFN-ζのいずれでもよいが、IFN-β、IFN-αが好ましい。III型インターフェロンとしては、IFN-λ1、IFN-λ2、INF-λ3のいずれのアイソフォームでもよいが、IFN-λ1が好ましい。
インターフェロン産生能を有する細胞(以下、「インターフェロン産生細胞」と記載することがある)としては、マクロファージ、好中球、樹状細胞および他のインターフェロン産生能を有する体細胞が挙げられる。
インターフェロン産生細胞として具体的には、上記のようなインターフェロン産生細胞由来の培養細胞、より具体的にはヒト結腸腺癌細胞株、例えばHT-29細胞株が挙げられる。HT-29細胞株は市販されており、例えば、コスモ・バイオ株式会社から購入することができる。
本発明の方法は、被検試料と、宿主細胞への侵入様式が異なる2又はそれ以上のウイルスのそれぞれを模したトランスフェクション試薬とを、インターフェロン産生能を有する細胞に作用させる工程と、少なくとも1つのトランスフェクション試薬により誘導されるインターフェロン産生を促進する被検試料を選択する工程を含む。
被検試料またはその成分は、本発明の方法により選択されたインターフェロン産生促進物質が動物に投与される場合は、薬剤学的に許容可能なもの、又は食品もしくは食品添加物として使用可能なものであることが好ましい。インターフェロン産生促進物質が研究等の用途に用いられる場合は、被検試料は特に制限されない。
トランスフェクション試薬は、感染によりインターフェロン産生細胞のインターフェロン産生を誘導するウイルスを模したものであり、少なくともウイルスゲノムに相当する核酸を含む。核酸としては、一本鎖RNA、二本鎖RNA、一本鎖DNA、及び二本鎖DNA等が挙げられ、天然の核酸でも合成核酸でもよい。一本鎖RNAとしては16S rRNA、23S rRNA、一本鎖RNAウイルスRNA、例えばインフルエンザウイルスRNAを抽出し、ピペッティングやボルテックス等により物理的に切断した断片等のrRNA等が、二本鎖RNAとしてはpoly(I:C)(polyinosinic-polycytidylic acid)、乳酸菌等善玉菌に高濃度に存在するdsRNA(Immunity)、shRNA(安定した遺伝子サイレンシングに用いられるsiRNAを供給するためのベクター)、二本鎖RNAウイルス、例えばロタウイルスdsRNAを抽出し、ピペッティングまたはボルテックスにて物理的切断断片等が、一本鎖DNAとしては、一本鎖DNAウイルス、例えばパルボウイルス科ゲノムDNAを抽出し、ピペッティングまたはボルテックスにて物理的に切断した断片等が、二本鎖DNAとしては、細菌ゲノムDNA、細菌プラスミドDNA、哺乳動物細胞ゲ
ノムDNA、ミトコンドリアDNA、二本鎖DNAウイルス、例えばポックスウイルス科、天然痘ウイルス科、もしくはサル痘ウイルス科ゲノムDNAを抽出し、適宜ピペッティングまたはボルテックスにて物理的に切断した断片等が挙げられる。これらの中では二本鎖RNAが好ましく、poly(I:C)がより好ましい。核酸の長さは、21bp〜3×109bpが好ましく、90bp〜3×106bpがより好ましく、103bp〜104bpが特に好ましい。「x〜y」には、x及びyも含まれる。
ノムDNA、ミトコンドリアDNA、二本鎖DNAウイルス、例えばポックスウイルス科、天然痘ウイルス科、もしくはサル痘ウイルス科ゲノムDNAを抽出し、適宜ピペッティングまたはボルテックスにて物理的に切断した断片等が挙げられる。これらの中では二本鎖RNAが好ましく、poly(I:C)がより好ましい。核酸の長さは、21bp〜3×109bpが好ましく、90bp〜3×106bpがより好ましく、103bp〜104bpが特に好ましい。「x〜y」には、x及びyも含まれる。
本発明においては、宿主細胞への侵入様式が異なる2又はそれ以上のウイルスを模したトランスフェクション試薬を用いる。少なくとも、ウイルスの一つは、エンドサイトーシスを介してウイルス粒子が細胞に取り込まれる侵入様式(以下、「第一の侵入様式」と記載することがある)のものであり、他の一つのウイルスは、エンベロープ及びヌクレオカプシドを有し、エンベロープと宿主細胞膜との膜融合によりヌクレオカプシドが宿主細胞に取り込まれる侵入様式(以下、「第二の侵入様式」と記載することがある)のものであることが好ましい。各々の侵入様式のウイルスを模したトランスフェクション試薬によるインターフェロン産生の誘導は、以下のように推定される。
第一の侵入様式のウイルスを模したトランスフェクション試薬は、対応するウイルスの宿主細胞であるインターフェロン産生細胞にエンドサイトーシスにより侵入し、同細胞内部のToll様受容体-3(Toll-like receptor 3; TLR3)に接着することにより、核酸を細胞内エンドソーム内に拡散させるとともに、インターフェロンの産生を促す。
第二の侵入様式のウイルスを模したトランスフェクション試薬では、インターフェロン産生細胞との膜融合により、ヌクレオカプシドに相当する核酸が宿主細胞に取り込まれ宿主細胞の細胞質に拡散する。この試薬に関しては、核酸は細胞質内RIG-I(retinoic acid-inducible gene-I)及び/又はMDA5(Melanoma Differentiation-Associated protein 5)に結合し、核酸が一本鎖の場合は、RIG-IがssRNAの5’-三リン酸を認識して結合し、核酸が二本鎖の場合(特にpolyI:C等の1.5k〜8kbpもあるような比較的長目のdsRNAの場合)は、MDA5が認識する。そして、これらのタンパク質のヘリカーゼ活性により、核酸の二本鎖(一本鎖でも部分二本鎖は存在する)が解かれて、特に内在性核酸ではないウイルス核酸と前記酵素が結合すると、ATP依存的な構造変化によりCARDが露出し、宿主細胞質内に存在するミトコンドリア外膜に局在するIPS-1のCARDと会合できるようになり、そこにリクルートされてくるシグナル分子を介して、IRF-3、IRF-7やNF-κB等の転写因子が活性化され、シグナルが核内に伝達され、IFN遺伝子転写が開始され、インターフェロンの発現を誘導する。尚、同じ二本鎖でも病原菌やウイルスのdsDNA(CG配列)はトランスフェクション試薬により宿主エンドサイトーシス現象を利用して侵入しエンドソーム内TLR-9に結合する。
第一の侵入様式のウイルスを模したトランスフェクション試薬は、対応するウイルスの宿主細胞であるインターフェロン産生細胞にエンドサイトーシスにより侵入し、同細胞内部のToll様受容体-3(Toll-like receptor 3; TLR3)に接着することにより、核酸を細胞内エンドソーム内に拡散させるとともに、インターフェロンの産生を促す。
第二の侵入様式のウイルスを模したトランスフェクション試薬では、インターフェロン産生細胞との膜融合により、ヌクレオカプシドに相当する核酸が宿主細胞に取り込まれ宿主細胞の細胞質に拡散する。この試薬に関しては、核酸は細胞質内RIG-I(retinoic acid-inducible gene-I)及び/又はMDA5(Melanoma Differentiation-Associated protein 5)に結合し、核酸が一本鎖の場合は、RIG-IがssRNAの5’-三リン酸を認識して結合し、核酸が二本鎖の場合(特にpolyI:C等の1.5k〜8kbpもあるような比較的長目のdsRNAの場合)は、MDA5が認識する。そして、これらのタンパク質のヘリカーゼ活性により、核酸の二本鎖(一本鎖でも部分二本鎖は存在する)が解かれて、特に内在性核酸ではないウイルス核酸と前記酵素が結合すると、ATP依存的な構造変化によりCARDが露出し、宿主細胞質内に存在するミトコンドリア外膜に局在するIPS-1のCARDと会合できるようになり、そこにリクルートされてくるシグナル分子を介して、IRF-3、IRF-7やNF-κB等の転写因子が活性化され、シグナルが核内に伝達され、IFN遺伝子転写が開始され、インターフェロンの発現を誘導する。尚、同じ二本鎖でも病原菌やウイルスのdsDNA(CG配列)はトランスフェクション試薬により宿主エンドサイトーシス現象を利用して侵入しエンドソーム内TLR-9に結合する。
また、トランスフェクション試薬の核酸が一本鎖の場合は、宿主のエンドサイトーシスを利用して宿主エンドソーム内TLR7及びTLR8に結合する可能性、及び、概ね一本鎖でも部分二本鎖構造を採っている16SrRNA、23S rRNA、18S rRNA又は28S rRNA等は膜融合を介して宿主細胞内MDA5に結合する可能性も、否定できない。TLRはレセプターの種類を問わず典型的作用機序としてNF-κBとMAPキナーゼを活性化させ、調節反応を誘導する。TLR7/TLR8は少なくともIRF7の活性化も仲介しIFNを誘導する。TLRの活性化により開始されたシグナル伝達は、TIRドメイン含有細胞質アダプタの間で行われる独自の相互作用を介し、このアダプタには、myeloid differentiation primary-response protein-88(MyD88)やTIR domain-containing adapter protein(TIRAP)、TIR domain-containing adapter-inducing IFNb(TRIF)、TRIF-related adapter molecule(TRAM)などがある(Akira, S and
Takeda, K. (2004) Nat Rev Immunol 4:499-511.)。MyD88は、IRAK4に作用する中心的なアダプタタンパク質である。その結果IRAK4は、IRAK1を誘導してリン酸化し活性化されたIRAK複合体は、TRAF6との相互作用を経てTAB1とTAK1をリン酸化し、これらが次にNF-κBとMAPKパスウェイを活性化する(Kawai, T and Akira, S. (2006) Cell Death and Differentiation 13:816-825.)。またIRF7は、IFNaやIFNb遺伝子の発現を誘導し、抗ウイル
ス免疫反応を促進する。一方AP-1とNF-κBは、インターロイキン(IL-1b、IL-6、IL-8、IL-12)やマクロファージ炎症性タンパク質(MIP-1a、MIP1b)、サイトカイン(RANTES、TNFa)の発現により炎症反応を仲介する。
Takeda, K. (2004) Nat Rev Immunol 4:499-511.)。MyD88は、IRAK4に作用する中心的なアダプタタンパク質である。その結果IRAK4は、IRAK1を誘導してリン酸化し活性化されたIRAK複合体は、TRAF6との相互作用を経てTAB1とTAK1をリン酸化し、これらが次にNF-κBとMAPKパスウェイを活性化する(Kawai, T and Akira, S. (2006) Cell Death and Differentiation 13:816-825.)。またIRF7は、IFNaやIFNb遺伝子の発現を誘導し、抗ウイル
ス免疫反応を促進する。一方AP-1とNF-κBは、インターロイキン(IL-1b、IL-6、IL-8、IL-12)やマクロファージ炎症性タンパク質(MIP-1a、MIP1b)、サイトカイン(RANTES、TNFa)の発現により炎症反応を仲介する。
第一の侵入様式のウイルスとしては、エンベロープ型インフルエンザウイルス、エンベロープ型SARSコロナウイルス(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス;SARS-CoV)、エンベロープ型ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、エンベロープ型RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus;RSV)、非エンベロープ型ノロウイルス、非エンベロープ型ロタウイルス、及び非エンベロープ型アデノウイルスが挙げられる。
第二の侵入様式のウイルスとしては、インフルエンザウイルス、セムリキ森林ウイルス(Semliki Forest Virus;SFV)、デング熱ウイルス、水泡性口炎ウイルス(Vesicular Stomatitis Virus; VSV)、ヘルペスウイルス、モロニーマウス白血病ウイルス(Moloney Murine Leukemia Virus;MoMLV)、成人T細胞白血病ウイルス(HTLV)、及びC型肝炎ウイルス(HCV)が挙げられる。
ウイルスの中には、複数の侵入様式、例えば前記第一の侵入様式と第二の侵入様式の両方で宿主細胞に侵入するものがある。また、主としてある侵入様式により細胞へ侵入するが、それよりも低頻度であっても他の様式によって細胞に侵入するウイルスもある。例えば、エンベロープ型インフルエンザウイルスは、前記第一の侵入様式と第二の侵入様式の両方によって宿主細胞に侵入する。
前記第一の侵入様式のウイルスを模したトランスフェクション試薬としては、核酸とリポソーム試薬から構成されるトランスフェクション試薬が挙げられる。リポソーム試薬としては、リポソーム内に薬物を封入していない中空リポソーム(リン脂質二重膜)が挙げられ、例えばリポフェクタミン(Lipofectamine)(商標)シリーズ、Presome(商標)、Phytopresome(商標)(日本精化)、COATSOME(商標) ELシリーズ、EXTRASOME(商標)(日油)、GLYCOLIPO(商標)、GLYCOLIPO Kシリーズ(片山化学工業)等が挙げられるが、中でもリポフェクタミン(Lipofectamine)(商標)が代表的なリポソーム試薬として挙げられる。Lipofectamineは、導入すべき核酸の違いによってLipofectamine 2000、3000、RNAiMAX等があるが、使用するインターフェロン産生細胞及び核酸の種類によって、製品別プロトコールにしたがって適宜選択すればよい。例えば、インターフェロン産生細胞がHT-29細胞の場合は、Lipofectamine 2000が好ましい。
前記第二の侵入様式のウイルスを模したトランスフェクション試薬としては、核酸とカチオン性リン脂質と中性脂質の混合物から構成されるトランスフェクション試薬が挙げられる。カチオン性リン脂質としては、Di-tetradecylphosphoryl-N,N,N-trimethylmethanaminium (DTCPTA)、及びLipofectamineシリーズ等が挙げられる。中性リン脂質としては、1,2-diphytanoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine (DiPPE)、大豆レシチン、及びひまわりレシチン等が挙げられる。カチオン性リン脂質と中性脂質の混合物としては、LyoVec(商標)が挙げられる。LyoVecは、DTCPTA、及び、DiPPEを含む試薬である(Floch, V. et al., Blood Cells Molecules & Diseases, 1997; 23(1):69-87)。
Lipofectamine及びLyoVecは、Thermo Fisher Scientific Inc.(Invitrogenブランド)から市販されている。
Lipofectamine及びLyoVecは、Thermo Fisher Scientific Inc.(Invitrogenブランド)から市販されている。
トランスフェクション試薬は、例えば、核酸と、リポソーム試薬又はカチオン性リン脂質と中性脂質の混合物とを、水や緩衝液等の水性溶媒中で混合することにより調製することができる。核酸とこれらの試薬との重量比は、製品プロトコールに従って適宜決定することができ、例えば、リポフェクタミンの場合、リポフェクタミン:核酸の重量比としては、好ましくは2:1〜6:1、より好ましくは3:1〜4:1が挙げられ、LyoVecの場合、LyoV
ec:核酸の重量比としては、好ましくは3:1〜9:1、より好ましくは5.5:1〜6.5:1が挙げられる。これらの試薬は、後述するインターフェロン産生細胞の培養に用いる培地中で調製してもよい。
ec:核酸の重量比としては、好ましくは3:1〜9:1、より好ましくは5.5:1〜6.5:1が挙げられる。これらの試薬は、後述するインターフェロン産生細胞の培養に用いる培地中で調製してもよい。
被検試料と、トランスフェクション試薬とを、インターフェロン産生細胞に作用させる。被検試料とトランスフェクション試薬をインターフェロン産生細胞に作用させるには、例えば、インターフェロン産生細胞を、被検試料とトランスフェクション試薬を含む培地中で培養すればよい。あるいは、インターフェロン産生細胞を、被検試料を含む培地中で培養し、トランスフェクション試薬を培地に添加して培養を継続してもよいし、インターフェロン産生細胞を、トランスフェクション試薬を含む培地中で培養し、被検試料を培地に添加して培養を継続してもよい。被検試料とトランスフェクション試薬をインターフェロン産生細胞に作用させる順序は制限されないが、好ましくは、予め被検試料をインターフェロン産生細胞に作用させ、次いでトランスフェクション試薬でインターフェロン産生細胞を刺激することが好ましい。
本発明においては、異なる2又はそれ以上のトランスフェクション試薬の各々を用いて、上記のようにインターフェロン産生細胞の培養を行う。
培養条件及び培地は、使用するインターフェロン産生細胞に応じて適宜設定することができる。例えば、HT-29細胞株の場合は、市販の細胞培養用の培地、例えばDMEM-GlutaMAX(Thermo Fisher Scientific Inc.)を用いて、35〜37℃で、5〜40時間培養すればよい。また、トランスフェクション試薬の濃度は、用いる試薬及び細胞に応じて、製品プロトコールに従って適宜決定することができる。例えば、リポフェクタミンの場合は、リポフェクタミンの量として終濃度0.3〜30μg/ml、例えばおよそ3μg/ml、polyI:C等核酸量として終濃度0.1〜10μg/ml、例えばおよそ1μg/mlが挙げられる。また、LyoVecの場合は、LyoVecの量として終濃度0.6〜60μg/ml、例えばおよそ6μg/ml、核酸polyI:C量として終濃度0.1〜10μg/ml、例えばおよそ1μg/mlが挙げられる。
上記のようにして被検試料とトランスフェクション試薬をインターフェロン産生細胞に作用させ、少なくとも1つのトランスフェクション試薬により誘導されるインターフェロン産生を促進する被検試料を選択する。インターフェロン産生を促進する物質とは、インターフェロン産生能を有する細胞に対して、そのインターフェロン産生能を促進する物質である。例えば、トランスフェクション試薬の存在下で、ある物質の非存在下に比べて、同物質の存在下でインターフェロン産生細胞のインターフェロン産生能が高ければ、同物質はインターフェロン産生促進物質である。インターフェロン産生能は、前記のようにして培養したインターフェロン産生細胞の培養液上清中のインターフェロン濃度を測定することにより、決定することができる。インターフェロン濃度は、例えば、抗インターフェロン抗体を用いて免疫学的方法により測定することができる。例えば、抗体として、I型インターフェロン、例えばIFN-βに対する抗体を用いればIFN-βの濃度を、III型インターフェロン(IFN-λ)に対する抗体を用いればIFN-λの濃度を測定することができる。
インターフェロン産生促進物質は、単一物質でもよく、2又はそれ以上の成分からなる混合物であってもよく、また、細菌のような微生物であってもよく、種類や性状は制限されない。
インターフェロン産生促進物質として被検試料を選択する工程は、2又はそれ以上繰り返すことにより、選択された被検試料がインターフェロン産生促進物質である確実性を高めることができる。インターフェロン産生促進物質として特定された被検試料を製造することにより、インターフェロン産生促進物質を製造することができる。
上記のようにしてインターフェロン産生促進物質として被検試料が選択されると、その被検試料に対応するトランスフェクション試薬が模しているウイルスの宿主細胞への侵入様式に基づいて、インターフェロン産生促進物質を適用することができるウイルスを決定することができる。被検試料に対応するトランスフェクション試薬とは、その被検試料とともにインターフェロン産生細胞に作用させたトランスフェクション試薬である。例えば、第一の侵入様式のウイルスに模したトランスフェクション試薬とともに被検物質を作用させたときのインターフェロン産生の促進の程度よりも、第二の侵入様式のウイルスに模したトランスフェクション試薬とともに被検物質を作用させたときのインターフェロン産生の促進の程度が高ければ、その被検物質すなわちインターフェロン産生促進物質は、第二の侵入様式のウイルスに対して適用することができると決定される。この場合、インターフェロン産生促進物質を第二の侵入様式のウイルスに対して適用するとは、例えば、同ウイルスの感染又は増殖を防止又は低減するために、インターフェロン産生細胞にインターフェロン産生促進物質を作用させることをいう。すなわち、本発明により選択されるインターフェロン産生促進物質を予防又は治療薬として用いることができる疾患の病原ウイルスを、予測することができる。
インターフェロン産生促進物質によって産生が促進されるインターフェロンがI型又はIII型インターフェロンであれば、そのインターフェロン産生促進物質はそれぞれI型インターフェロン産生促進物質又はIII型インターフェロン産生促進物質である。
前記のように、複数の侵入様式によって細胞に侵入するウイルスは、少なくともいずれかのトランスフェクション試薬によるインターフェロン産生を促進することができる被検物質は、そのウイルスを病原とする疾患の予防又は治療薬の候補となり得る。
また、宿主細胞への侵入様式が異なる2又はそれ以上のウイルスのそれぞれを模したトランスフェクション試薬を、インターフェロン産生能を有する細胞に作用させ、少なくとも1つのトランスフェクション試薬により誘導される各種インターフェロン産生の度合いを調べることにより、インターフェロンの産生経路を調べることができる。
例えば、ノロウイルス(形態学的には一本鎖RNAがヌクレオカプシド・タンパク質膜に包埋された微粒子)に対する抗ウイルス薬を研究開発したい、あるいは、医師がノロウイルス感染者の治療を行っている過程において、ノロウイルスがどの程度経時的に減少するのかを把握・定量したいとしても、ノロウイルスの定量が可能な培地は存在しないため、困難であるが、本発明を応用して、ノロウイルスによるインターフェロン産生促進度合を指標とすることにより、これらが可能となり得る。
例えば、抗ノロウイルス薬候補物質を作用させていないノロウイルス群(コントロール群)と、抗ノロウイルス薬候補物質を作用させたノロウイルス群(試験群)とを、それぞれ上記のトランスフェクション試薬に代えてインターフェロン産生能を有する細胞に作用させたときに、コントロール群に比べて試験群で活性型ノロウイルス数が有意に低減しているのであれば、試験群の方が各種インターフェロン産生度合いが有意に低減すると推測できる。すなわち、試験群においてインターフェロン産生度合いが減少すれば、試験群に使用した候補物質は抗ノロウイルス作用を有することが確認できるため、抗ノロウイルス薬のスクリーニングをすることができる。
また、本発明において、インターフェロン産生を抑制する被検物質を選択することにより、インターフェロン産生抑制物質をスクリーニングすることもできる。
例えば、ノロウイルス(形態学的には一本鎖RNAがヌクレオカプシド・タンパク質膜に包埋された微粒子)に対する抗ウイルス薬を研究開発したい、あるいは、医師がノロウイルス感染者の治療を行っている過程において、ノロウイルスがどの程度経時的に減少するのかを把握・定量したいとしても、ノロウイルスの定量が可能な培地は存在しないため、困難であるが、本発明を応用して、ノロウイルスによるインターフェロン産生促進度合を指標とすることにより、これらが可能となり得る。
例えば、抗ノロウイルス薬候補物質を作用させていないノロウイルス群(コントロール群)と、抗ノロウイルス薬候補物質を作用させたノロウイルス群(試験群)とを、それぞれ上記のトランスフェクション試薬に代えてインターフェロン産生能を有する細胞に作用させたときに、コントロール群に比べて試験群で活性型ノロウイルス数が有意に低減しているのであれば、試験群の方が各種インターフェロン産生度合いが有意に低減すると推測できる。すなわち、試験群においてインターフェロン産生度合いが減少すれば、試験群に使用した候補物質は抗ノロウイルス作用を有することが確認できるため、抗ノロウイルス薬のスクリーニングをすることができる。
また、本発明において、インターフェロン産生を抑制する被検物質を選択することにより、インターフェロン産生抑制物質をスクリーニングすることもできる。
本発明のスクリーニング法によれば、公知のインターフェロン産生促進物質、例えば、インターフェロン産生を誘導し得る乳酸菌、南天抽出物、及びラクトフェリン等のインターフェロン産生作用を有する物質も、インターフェロン産生促進物質として同定することができる。また、公知のインターフェロン産生促進物質について、その物質を適用することができるウイルスを同定することもできる。
本発明のキットは、本発明の方法に使用するためのキットであって、宿主細胞への侵入様式が異なる2又はそれ以上のウイルスのそれぞれを模したトランスフェクション試薬、又は各々のトランスフェクション試薬を構成し得る要素を含む。本発明のキットにおける各トランスフェクション試薬は、本発明の方法におけるトランスフェクション試薬と同様である。したがって、前記のトランスフェクション試薬に関する記載は、本発明のキットにおけるトランスフェクション試薬に適用される。キットに含まれる試薬は、トランスフェクション試薬であってもよく、トランスフェクション試薬を構成し得る要素であってもよい。トランスフェクション試薬を構成し得る要素としては、核酸、リポソーム試薬、並びに、カチオン性リン脂質及び中性脂質又はそれらの混合物が挙げられる。
本発明のキットは、さらに、インターフェロン産生細胞、希釈液、培地、インターフェロン濃度測定用の試薬、インターフェロン産生細胞、及び本発明の方法を記載した説明書等の任意の一又はそれ以上の要素を含めることもできる。
本発明のキットは、さらに、インターフェロン産生細胞、希釈液、培地、インターフェロン濃度測定用の試薬、インターフェロン産生細胞、及び本発明の方法を記載した説明書等の任意の一又はそれ以上の要素を含めることもできる。
本発明の別の実施態様として、以下の構成を採用することもできる。
[1]被検試料と、宿主細胞への侵入様式が異なる2又はそれ以上のウイルスのそれぞれを模したトランスフェクション試薬とを、インターフェロン産生能を有する細胞に作用させ、少なくとも1つのトランスフェクション試薬により誘導されるインターフェロン産生を促進する被検試料として特定されたインターフェロン産生促進物質。
[2]被検試料と、宿主細胞への侵入様式が異なる2又はそれ以上のウイルスのそれぞれを模したトランスフェクション試薬とを、インターフェロン産生能を有する細胞に作用させ、少なくとも1つのトランスフェクション試薬により誘導されるインターフェロン産生を促進する被検試料をインターフェロン産生促進物質として同定する方法。
[3]被検試料と、宿主細胞への侵入様式が異なる2又はそれ以上のウイルスのそれぞれを模したトランスフェクション試薬とを、インターフェロン産生能を有する細胞に作用させ、少なくとも1つのトランスフェクション試薬により誘導されるインターフェロン産生を促進する被検試料を選択し、その被検試料を製造する、インターフェロン産生促進物質の製造方法。
[1]被検試料と、宿主細胞への侵入様式が異なる2又はそれ以上のウイルスのそれぞれを模したトランスフェクション試薬とを、インターフェロン産生能を有する細胞に作用させ、少なくとも1つのトランスフェクション試薬により誘導されるインターフェロン産生を促進する被検試料として特定されたインターフェロン産生促進物質。
[2]被検試料と、宿主細胞への侵入様式が異なる2又はそれ以上のウイルスのそれぞれを模したトランスフェクション試薬とを、インターフェロン産生能を有する細胞に作用させ、少なくとも1つのトランスフェクション試薬により誘導されるインターフェロン産生を促進する被検試料をインターフェロン産生促進物質として同定する方法。
[3]被検試料と、宿主細胞への侵入様式が異なる2又はそれ以上のウイルスのそれぞれを模したトランスフェクション試薬とを、インターフェロン産生能を有する細胞に作用させ、少なくとも1つのトランスフェクション試薬により誘導されるインターフェロン産生を促進する被検試料を選択し、その被検試料を製造する、インターフェロン産生促進物質の製造方法。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
〔実施例1〕
[1]インターフェロン産生促進剤候補であるビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属細菌の試料調製
凍結保存された下記のビフィドバクテリウム属細菌の菌液を、0.05% L-cysteine含有MRSブロス(シカメデイアM.R.S.ブイヨン、関東化学株式会社)に添加した後、37℃、16時間嫌気培養した。
[1]インターフェロン産生促進剤候補であるビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属細菌の試料調製
凍結保存された下記のビフィドバクテリウム属細菌の菌液を、0.05% L-cysteine含有MRSブロス(シカメデイアM.R.S.ブイヨン、関東化学株式会社)に添加した後、37℃、16時間嫌気培養した。
ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)MCC1274(FERM BP-11175)
ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ ロンガム(B. longum ssp. longum)BB536 (NITE BP-02621)
ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B. breve)M-16V (NITE BP-02622)
ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティス(B. longum ssp. infantis)M-63 (NITE BP-02623)
ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリス(B. animalis spp animalis)ATCC25527
ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ ロンガム(B. longum ssp. longum)BB536 (NITE BP-02621)
ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B. breve)M-16V (NITE BP-02622)
ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティス(B. longum ssp. infantis)M-63 (NITE BP-02623)
ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリス(B. animalis spp animalis)ATCC25527
<生菌懸濁液の調製>
前記16時間嫌気培養後の培養液2mlを冷却遠心処理(2,900×G、10分、4℃)し、PBSにて菌体を洗浄後、2mlのDEPC-Treated water(RNase除去済滅菌水)に懸濁させ、生菌懸濁液を調製した。
前記16時間嫌気培養後の培養液2mlを冷却遠心処理(2,900×G、10分、4℃)し、PBSにて菌体を洗浄後、2mlのDEPC-Treated water(RNase除去済滅菌水)に懸濁させ、生菌懸濁液を調製した。
<死菌懸濁液の調製>
前記16時間嫌気培養後の培養液2mlをオートクレーブ機にて70℃で2分加熱し、加熱処理後45℃まで冷却する設定で加熱処理を施し、菌体をPBSにて洗浄し、同容量(2ml)のDEPC-Treated waterにて懸濁した。この死菌をジルコニア(Zr)ビーズで破砕し、破砕物を2mlのDEPC-Treated waterに懸濁し、死菌懸濁液とした。
前記16時間嫌気培養後の培養液2mlをオートクレーブ機にて70℃で2分加熱し、加熱処理後45℃まで冷却する設定で加熱処理を施し、菌体をPBSにて洗浄し、同容量(2ml)のDEPC-Treated waterにて懸濁した。この死菌をジルコニア(Zr)ビーズで破砕し、破砕物を2mlのDEPC-Treated waterに懸濁し、死菌懸濁液とした。
<超音波処理液の調製>
前記のZrビーズによる破砕前の加熱菌体懸濁液2mlを15mlチューブにて氷水中で超音波ホモジナイザー(BRANSON ADVANCED SONIFIER MODEL450A)を用いて超音波発生ホーン(針様部)先端が検体希釈液最下端から2〜3mm程度上になるようにテストチューブをセットし、ホーン周波数19.90kHzにてデューティサイクル60-アウトプットコントロール6の設定にて150回の超音波処理を繰り返し、加熱・破砕菌体の超音波処理液を調製した。
前記のZrビーズによる破砕前の加熱菌体懸濁液2mlを15mlチューブにて氷水中で超音波ホモジナイザー(BRANSON ADVANCED SONIFIER MODEL450A)を用いて超音波発生ホーン(針様部)先端が検体希釈液最下端から2〜3mm程度上になるようにテストチューブをセットし、ホーン周波数19.90kHzにてデューティサイクル60-アウトプットコントロール6の設定にて150回の超音波処理を繰り返し、加熱・破砕菌体の超音波処理液を調製した。
[2]インターフェロン産生に対するビフィズス菌試料の効果
ATCC(American Type Culture Collection)から購入したヒト結腸腺癌細胞株(HT-29細胞株)を、75cm2培養フラスコにて、10%ウシ胎児血清(FCS)、ペニシリン100units/ml、ストレプトマイシン100μg/mlを添加したDMEM-GlutaMAX(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)培地10mlを用いて、CO2インキュベーター(CO2濃度5%)内で37℃にて、70-80%コンフルエント状態になるまで培養した。次いで、Corning製48ウェル組織培養用プレート(平底)の各ウェルに、予め37℃に加温した前記培地200μlを加えた後、前記培養されたHT-29セルラインを各ウェル当たり5.0×105cells/wellの濃度で播種し、CO2インキュベーター(CO2濃度5%)内で37℃にて2日間培養し、100%コンフルエント状態を得た。その後、培養液を除去し、抗生物質無添加のDMEM-GlutaMAX(10%FCSを含有し、抗生物質を含まないDMEM-GlutaMAX培地)500μlにて1回洗浄した。
ATCC(American Type Culture Collection)から購入したヒト結腸腺癌細胞株(HT-29細胞株)を、75cm2培養フラスコにて、10%ウシ胎児血清(FCS)、ペニシリン100units/ml、ストレプトマイシン100μg/mlを添加したDMEM-GlutaMAX(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)培地10mlを用いて、CO2インキュベーター(CO2濃度5%)内で37℃にて、70-80%コンフルエント状態になるまで培養した。次いで、Corning製48ウェル組織培養用プレート(平底)の各ウェルに、予め37℃に加温した前記培地200μlを加えた後、前記培養されたHT-29セルラインを各ウェル当たり5.0×105cells/wellの濃度で播種し、CO2インキュベーター(CO2濃度5%)内で37℃にて2日間培養し、100%コンフルエント状態を得た。その後、培養液を除去し、抗生物質無添加のDMEM-GlutaMAX(10%FCSを含有し、抗生物質を含まないDMEM-GlutaMAX培地)500μlにて1回洗浄した。
洗浄された100%コンフルエント状態のHT-29セルラインに37℃加温した前記抗生物質無添加のDMEM-GlutaMAXを200μl添加し、前記[1]にて調製した生菌懸濁液、死菌懸濁液、又は超音波処理液60μlを加え、1ウェル当たりの菌体数として、又は超音波処理液については処理前の菌体に換算した菌体数として、1.08×108cells/wellになるよう添加した。
菌体等を一切添加しないサンプルにはDEPC-Treated Waterを60μl添加し、これをコントロールとした。37℃にて1.5時間培養後、2種類のトランスフェクション試薬のそれぞれを当該HT-29セルラインに添加した。トランスフェクション試薬の一方は合成二本鎖RNA(polyI:C)及びLipofectamine、他方はpolyI:C及びLyoVecとした。具体的には、1mg/ml polyI:C(インビトロジェン)を前記抗生物質無添加のDMEM-GlutaMAXにて10μg/mlに希釈し、1mg/ml Lipofectamine2000(インビトロジェン)を前記抗生物質無添加のDMEM-GlutaMAXにて3.33%(v/v)に希釈した後、当該希釈10μg/ml PolyI:C水溶液と希釈3.3% Lipofectamine2000を1:1の割合にて混合した混合液60μlを各ウェルに添加し、合計320μlの容量にて37℃、37.5時間インキュベーションした。すなわち、菌体等の添加後から合計39時間インキュベーションした。また、LyoVecに関しては、前記抗生物質無添加のDMEM-GlutaMAXにて50μg/ml polyI:C及び300μg/mlのLyoVec混合溶液を調製後、更に抗生物質無添加DMEM-GlutaMAXにて5倍希釈液を調製した(10μg/ml polyI:C及び60μg/mlのLyoVec混合溶液)。この希釈液30μlと抗生物質無添加DMEM-GlutaMAX 30μlの合計60μlを各ウェルに添加し、合計320μlの容量にて37℃、37.5時間インキュベーションした。
菌体等を一切添加しないサンプルにはDEPC-Treated Waterを60μl添加し、これをコントロールとした。37℃にて1.5時間培養後、2種類のトランスフェクション試薬のそれぞれを当該HT-29セルラインに添加した。トランスフェクション試薬の一方は合成二本鎖RNA(polyI:C)及びLipofectamine、他方はpolyI:C及びLyoVecとした。具体的には、1mg/ml polyI:C(インビトロジェン)を前記抗生物質無添加のDMEM-GlutaMAXにて10μg/mlに希釈し、1mg/ml Lipofectamine2000(インビトロジェン)を前記抗生物質無添加のDMEM-GlutaMAXにて3.33%(v/v)に希釈した後、当該希釈10μg/ml PolyI:C水溶液と希釈3.3% Lipofectamine2000を1:1の割合にて混合した混合液60μlを各ウェルに添加し、合計320μlの容量にて37℃、37.5時間インキュベーションした。すなわち、菌体等の添加後から合計39時間インキュベーションした。また、LyoVecに関しては、前記抗生物質無添加のDMEM-GlutaMAXにて50μg/ml polyI:C及び300μg/mlのLyoVec混合溶液を調製後、更に抗生物質無添加DMEM-GlutaMAXにて5倍希釈液を調製した(10μg/ml polyI:C及び60μg/mlのLyoVec混合溶液)。この希釈液30μlと抗生物質無添加DMEM-GlutaMAX 30μlの合計60μlを各ウェルに添加し、合計320μlの容量にて37℃、37.5時間インキュベーションした。
当該39時間インキュベーションされたHT-29細胞株の培養上清を各48ウェル培養プレー
トから全量回収し、回収上清に2,900×G、5分、4℃の冷却遠心処理を施し、菌体等をペレットとして除去した上清を-80℃にて凍結保管した。当該凍結保管上清を融解してELISAアッセイキット(DuoSet ELISA Development System Human IL-29/IFN-λ1; Catalog Number DY7246、DuoSet ELISA Development System Human IFN-β; Catalog Number、R&D Systems, Inc.製)を用いて、添付のプロトコールに従って検体を調製し、450nm波長にて各検体の吸光度測定し、あらかじめ作成した検量線を用いて、各検体のインターフェロンλ及びインターフェロンβの産生量を定量した。
トから全量回収し、回収上清に2,900×G、5分、4℃の冷却遠心処理を施し、菌体等をペレットとして除去した上清を-80℃にて凍結保管した。当該凍結保管上清を融解してELISAアッセイキット(DuoSet ELISA Development System Human IL-29/IFN-λ1; Catalog Number DY7246、DuoSet ELISA Development System Human IFN-β; Catalog Number、R&D Systems, Inc.製)を用いて、添付のプロトコールに従って検体を調製し、450nm波長にて各検体の吸光度測定し、あらかじめ作成した検量線を用いて、各検体のインターフェロンλ及びインターフェロンβの産生量を定量した。
[3]結果
その結果、各検体中のインターフェロンλ及びインターフェロンβの産生量は、各々表1及び表2のとおりとなった。
インターフェロンλ及びインターフェロンβのいずれについても、トランスフェクション試薬による産生誘導に対する効果の傾向は、細菌種によって異なっていた。
その結果、各検体中のインターフェロンλ及びインターフェロンβの産生量は、各々表1及び表2のとおりとなった。
インターフェロンλ及びインターフェロンβのいずれについても、トランスフェクション試薬による産生誘導に対する効果の傾向は、細菌種によって異なっていた。
インターフェロンλについては、Lipofectamineを用いたトランスフェクション試薬によるインターフェロンλ産生誘導を最も促進したのはB. animalis spp. animalisの死菌懸濁液であったのに対し、LyoVecを用いたトランスフェクション試薬によるインターフェロンλ産生誘導を最も促進したのはB. breve M-16Vの超音波処理液であった。表1の結果から、B. animalis spp. animalisの死菌懸濁液、及びB. breve M-16Vの超音波処理液等は、前記第一の侵入様式のウイルスに対して有効であり、B. breve M-16Vの超音波処理液、及びB. breve MCC1274の死菌懸濁液や超音波処理液等は、第二の侵入様式のウイルスに有効であると判断される。また、B. breve M-16Vの超音波処理液は、両方のタイプのウイルスに有効であると判断される。
インターフェロンβについては、B. animalis spp. animalisの生菌懸濁液のように、前記第一の侵入様式のウイルスのみに有効であると考えられる細菌種や、B. breve MCC1274の超音波処理液のようにどちらかといえば第二の侵入様式のウイルスに有効であると考えられる細菌種、及び、B. breve MCC1274の死菌懸濁液のように両方のタイプのウイルスに有効であると考えられる細菌種が見られた。
〔実施例2〕
[1]サルモネラ属細菌及びマイコバクテリウム属細菌の試料調製
凍結保存されたサルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enterica subsp. enterica serovar. enteritidis)IID604の菌液を、Lactose brothに添加した後、37℃、16時間好気培養した。また、マイコバクテリウム・スメグマティス(Micobaterium smegmatis)病院分離株の菌液を、Ogawa mediumに添加した後、37℃、72時間好気培養した。
各々の培養液を用いて、実施例1と同様にして死菌懸濁液を調製した。
[1]サルモネラ属細菌及びマイコバクテリウム属細菌の試料調製
凍結保存されたサルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enterica subsp. enterica serovar. enteritidis)IID604の菌液を、Lactose brothに添加した後、37℃、16時間好気培養した。また、マイコバクテリウム・スメグマティス(Micobaterium smegmatis)病院分離株の菌液を、Ogawa mediumに添加した後、37℃、72時間好気培養した。
各々の培養液を用いて、実施例1と同様にして死菌懸濁液を調製した。
[2]インターフェロンλ産生に対する細菌試料の効果
実施例1と同様にして、上記細菌試料のインターフェロンλ産生に対する効果を調べた。
実施例1と同様にして、上記細菌試料のインターフェロンλ産生に対する効果を調べた。
[3]結果
結果を表3に示す。
Salmonera enteritidis IID604の死菌懸濁液は、LyoVecを用いたトランスフェクション試薬によるインターフェロンλ産生誘導を顕著に促進したのに対し、Micobaterium smegmatisは、Lipofectamineを用いたトランスフェクション試薬によるインターフェロンλ産生誘導を顕著に促進した。
結果を表3に示す。
Salmonera enteritidis IID604の死菌懸濁液は、LyoVecを用いたトランスフェクション試薬によるインターフェロンλ産生誘導を顕著に促進したのに対し、Micobaterium smegmatisは、Lipofectamineを用いたトランスフェクション試薬によるインターフェロンλ産生誘導を顕著に促進した。
Claims (13)
- 被検試料と、宿主細胞への侵入様式が異なる2又はそれ以上のウイルスのそれぞれを模したトランスフェクション試薬とを、インターフェロン産生能を有する細胞に作用させ、少なくとも1つのトランスフェクション試薬により誘導されるインターフェロン産生を促進する被検試料を選択する、インターフェロン産生促進物質のスクリーニング法。
- 選択された被検試料に対応するトランスフェクション試薬が模しているウイルスの侵入様式に基づいて、インターフェロン産生促進物質を適用することができるウイルスを決定する、請求項1に記載の方法。
- 前記ウイルスが、少なくとも、エンドサイトーシスを介してウイルス粒子が細胞に取り込まれる第一の侵入様式のウイルスと、エンベロープ及びヌクレオカプシドを有し、エンベロープと宿主細胞膜との膜融合によりヌクレオカプシドが宿主細胞に取り込まれる第二の侵入様式のウイルスである、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記第一の侵入様式のウイルスが、エンベロープ型インフルエンザウイルス、エンベロープ型SARSコロナウイルス、エンベロープ型ヒト免疫不全ウイルス、エンベロープ型RSウイルス、非エンベロープ型ノロウイルス、非エンベロープ型ロタウイルス、及び非エンベロープ型アデノウイルスからなる群から選択されるウイルスであり、前記第二の侵入様式のウイルスが、インフルエンザウイルス、セムリキ森林ウイルス、デング熱ウイルス、水泡性口炎ウイルス、ヘルペスウイルス、モロニーマウス白血病ウイルス、成人T細胞白血病ウイルス、及びC型肝炎ウイルスからなる群から選択されるウイルスである、請求項3に記載の方法。
- 前記第一の侵入様式のウイルスを模したトランスフェクション試薬が、核酸とリポソーム試薬から構成されるトランスフェクション試薬であり、前記第二の侵入様式のウイルスを模したトランスフェクション試薬が、核酸とカチオン性リン脂質と中性脂質の混合物から構成されるトランスフェクション試薬である、請求項3又は4に記載の方法。
- 前記核酸が、一本鎖RNA、二本鎖RNA、一本鎖DNA、及び二本鎖DNAからなる群から選択される核酸である、請求項5に記載の方法。
- 前記核酸が、二本鎖RNAである請求項6に記載の方法。
- 前記二本鎖RNAがpoly(I:C)であり、リポソーム試薬がリポフェクタミン(商標)であり、カチオン性リン脂質と中性脂質の混合物がLyoVec(商標)である、請求項7に記載の方法。
- 前記インターフェロン産生能を有する細胞がヒト結腸腺癌細胞株である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ヒト結腸腺癌細胞株がHT−29細胞株である、請求項9に記載の方法。
- インターフェロンがI型又はIII型である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法に使用するためのキットであって、宿主細胞への侵入様式が異なる2又はそれ以上のウイルスのそれぞれを模したトランスフェクション試薬、又は各々のトランスフェクション試薬を構成し得る要素を含むキット。
- 前記トランスフェクション試薬が、少なくとも、エンドサイトーシスを介してウイルス粒子が細胞に取り込まれる第一の侵入様式のウイルスを模した試薬と、エンベロープ及びヌクレオカプシドを有し、エンベロープと宿主細胞膜との膜融合によりヌクレオカプシドが宿主細胞に取り込まれる第二の侵入様式のウイルスを模した試薬である、請求項12に記載のキット。
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JP2019021781A JP2020127382A (ja) | 2019-02-08 | 2019-02-08 | インターフェロン産生促進物質のスクリーニング法及びキット |
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CN112760291A (zh) * | 2020-12-25 | 2021-05-07 | 山东晶辉生物技术有限公司 | 用于人干扰素-κ活性检测的细胞系及其构建和检测方法 |
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