JP2020121913A - ガラス繊維製造用のブッシング - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス繊維製造用のブッシングについて、ブッシングプレート周囲の高速気流によるノズルの摩耗を低減できるものを提供する。【解決手段】本発明は、溶融ガラスを下方に吐出するための複数のノズルを備えるブッシングプレートと、ブッシングプレートの一対の対向辺に設けられた一対の側壁を備え、更に、側壁に接続されたブッシングを通電加熱するための一対のターミナルを備えるガラス繊維製造用のブッシングに関する。本発明では、上記一対のターミナルの少なくとも一方に、当該ターミナルから下方に突出する防風壁が設置されている。そして、ブッシングプレートのターミナル側端部に位置するノズルの少なくとも一つが、防風壁の水平投影面内に収まるようになっている。この防風壁の位置及び寸法等を調整することで、ノズルを高速気流から保護して摩耗を抑制する。【選択図】図12
Description
本発明は、溶融ガラスからガラス繊維を製造するためのブッシングに関する。詳しくは、ガラス繊維を紡糸するためのノズルを有するブッシングプレートを備えたガラス繊維製造用のブッシングであって、ノズルの長寿命化を図り、長期的に効率的なガラス繊維の製造を可能とするものに関する。
ガラス繊維は、ガラス原料を高温加熱して得られる溶融ガラスをガラス繊維製造用のブッシングに供給することで製造される。ガラス繊維製造用のブッシングは、底面に溶融ガラスを通過させるための複数のノズルを有するブッシングプレートを備えた箱型容器である。ガラス繊維を紡糸の際には、溶融ガラスがノズルから繊維状となって吐出され、冷却されたガラス繊維が巻き取られる。
ガラス繊維製造用ブッシングに供給される溶融ガラスは、1000℃を超える高温の流体である。そして、ノズルから吐出される溶融ガラスの速度は毎分数千mであることから、ブッシングプレートの使用環境は相当に苛酷なものである。また、ガラス繊維製造用ブッシングの構成材料には、溶融ガラスを汚染することがないよう、高い安定性及び強度が要求される。そのため、以上のような点を考慮してガラス繊維製造用ブッシングの各部材の構成材料としては、化学的安定性、高温強度(高温クリープ特性)に優れる白金、白金合金等の白金系材料が用いられている。
ガラス繊維製造用ブッシングは、構成材料や構造の最適化により、上記のような過酷な使用環境下にあっても十分な使用期間を確保できるように設計されている。もっとも、最適化された装置であっても、長期の装置運用の過程で想定外の損傷が発生することがある。この点、ガラス繊維製造用ブッシングにおける損傷例としては、ブッシングプレートのノズルに磨耗による損傷が発生することがある。この摩耗損傷は、ノズル群の外側(ターミナル方向でのブッシングプレート端部側)に配置されたノズルの先端部において発生することから、ブッシングプレート周辺の気流により加速された白金の揮発損失が原因であると推定されている。
白金を含有する白金系材料において、白金の揮発損失は一般的に知られている現象であり、高温の溶融ガラスを扱うガラス製造分野でも懸念事項となっている。そして、上述のとおり、ノズルからの溶融ガラスの吐出速度は毎分数千mと高速であり、ブッシングプレートの周囲にはガラス吐出方向に沿った高速気流が発生している。この高速気流の影響を最も受けるのがノズル群の外縁に位置するノズルであり、その先端部で白金の揮発損失が加速され磨耗が生じていると考えられる。
本願出願人は、上記のようなノズルの摩耗損傷への対策がなされたガラス繊維製造用ブッシングを開示している。特許文献1では、ブッシングプレート(ベースプレート)の端部にノズル群に沿った防風壁を備えるガラス繊維製造用ブッシングを提案している。このガラス繊維製造用ブッシングでは、防風壁がノズルと高速気流との接触を遮断して摩耗を低減している。また、特許文献2では、ブッシングプレートに配置されたノズル群について、外側に配置されたノズルを目封止されたノズルに替えたガラス繊維製造用ブッシングを提案している。このガラス繊維製造用ブッシングでは、目封止されたノズルが防風壁の作用を有し、内側のノズルが高速気流の影響を受けるのを回避している。
上記した本願出願人による従来のガラス繊維製造用ブッシングは、いずれもノズルの摩耗損傷に効果的であり、ガラス繊維製造装置の稼働時間を確保すると共に、良質なガラス繊維の効率的製造に寄与できることが確認されている。但し、これらのガラス繊維製造用ブッシングにも改善点が全くないわけではない。
特許文献1のガラス繊維製造用ブッシングにおいては、防風壁という部材を追加することによるブッシングプレートの重量増の問題がある。防風壁は、ブッシングと同様に高温に曝される部材であり、ノズル等と同様に白金系材料で構成される。白金は比較的重い金属であるので、防風壁追加による重量増は、ブッシングプレートを固定する側壁(サイドプレート)等の他の部材の負荷を増大させることとなる。また、このブッシングでは、防風壁を設置するためのスペースも必要になり、ノズルの配置やブッシングプレート設計に影響を及ぼす場合もある。
また、特許文献2のガラス繊維製造用ブッシングは、本来、ガラス繊維紡糸のための部材であるノズルを目封止するものである。つまり、このガラス繊維製造用ブッシングは、紡糸可能なガラス繊維の一部を犠牲にしながら、他のノズルの保護を図っている。これは、ガラス繊維の製造効率の面からみれば、最適とは言い難い。ガラス繊維製造用ブッシングの装置規模と必要なノズル数との関係で余裕を持たせられない設計においては、採用し難い態様である。
本発明は、以上のような背景のもとなされたものであり、ガラス繊維製造用のブッシングについて、従来の構造とは異なるものとしつつ、高速気流によるノズルの摩耗を低減できるものを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、溶融ガラスを下方に吐出するための複数のノズルを備えるブッシングプレートと、前記ブッシングプレートの一対の対向辺に設けられた一対の側壁とを備えるガラス繊維製造用のブッシングにおいて、前記一対の側壁に接続され、前記ブッシングを通電加熱するための一対のターミナルを備え、前記一対のターミナルの少なくとも一方に、当該ターミナルから下方に突出する防風壁が設置されており、前記ブッシングプレートの前記ターミナル側端部に位置するノズルの少なくとも一つが、前記防風壁の水平投影面内に収まるようになっていることを特徴とするガラス繊維製造用のブッシングである。
上記した従来のガラス繊維製造用ブッシング(特許文献1、2)においては、高速気流からノズルを保護するための部材(防風壁、目封止ノズル)をブッシングプレート上に配置している。上記した各種の課題は、このことに起因すると考えられる。そこで、本発明に係るガラス繊維製造用ブッシングは、ブッシングプレートの外にあるターミナルに防風壁を設置し、ここからノズルの保護を図っている。
ターミナルとは、ブッシングを通電加熱するための端子である。ブッシングの通電加熱は、投入された溶融ガラスを加熱し溶融状態を維持させて、ガラス繊維の紡糸作業を遂行させるために必須の工程である。ガラス繊維製造用ブッシングにおいては、一対のターミナルが、ブッシングプレートの対向辺の側壁に設置されるのが一般的である。また、ターミナルは、ブッシングプレートの近傍に設置されることが多い。本発明者等は、ブッシングプレートの外部に防風壁を設置することが好ましいと考え、その起点としてターミナルを利用することとした。
防風壁をブッシングプレートの外部に設置することによるメリットは複数ある。本発明では、防風壁の設置によるブッシングプレートの重量増を抑制すると共に、ノズル配置やブッシングプレート設計等の自由度を確保することができる。また、目封止されたノズルのようなガラス繊維の紡糸にとっては非効率となる部材を使用する必要もない。即ち、上記した従来のガラス繊維製造用のブッシング(特許文献1、2)における課題を解決することができる。
更に、本発明によれば、防風壁の材質選択に幅をもたせることができ、ブッシングのコスト低減にも効果がある。上記のとおり、ブッシングプレートは、1000℃以上の溶融ガラスに接触しており、加えて通電加熱を受けることで高温に保持される。そのため、ブッシングプレートに防風壁を設置する従来技術では、防風壁の材質をブッシングプレートと同じ白金系材料とすることが必須となる。これに対し、本発明で防風壁を設置するターミナルは、ブッシングに接触しているものの接触面積は限定的である。そのため、ターミナルの温度は、ブッシングプレート等より低く、ここに防風壁を設置するのであれば白金系材料の適用は必須とならない。本発明では、白金系材料より安価な耐熱材料を防風壁に適用でき、装置コストの低減を図ることができる(本発明における防風壁の材質の詳細については後述する)。
上記のように複数のメリットを有する、本発明に係るガラス繊維製造用ブッシングの構成について、以下、詳細に説明する。
(I)ブッシングプレートと側壁
ブッシングプレートは、従来技術と同様の構成を有し、本体部分であるベースプレートと、溶融ガラスを吐出するためのノズルとで構成される。
ブッシングプレートは、従来技術と同様の構成を有し、本体部分であるベースプレートと、溶融ガラスを吐出するためのノズルとで構成される。
ベースプレートは、溶融ガラスを停留させる部材であり、平板状、又は、溶融ガラスの整流のための曲げ加工が付与された断面凹凸形状を有するプレートである。また、ベースプレートの平面形状には特段の制限はない。一般的には矩形となるが自由に設定できる。ベースプレートを矩形にするとき、長辺と短辺を有する長方形でも良いし四辺が同じ正方形でも良い。そして、ベースプレートには、ノズルの位置に対応して、溶融ガラスが通過する貫通孔が複数空けられている。
ノズルは、溶融ガラスを吐出してガラス繊維とするための筒体であり、ベースプレートの底面に複数整列配置されて接合されている。ノズルの断面形状は円筒形、扁平筒形、異形状等の様々な形状が設定される。ノズルの長手方向の形状については特に限定されることはない。また、ノズルの設置本数は特に制限されるものではないが、通常、200〜8000個のノズルを備えるものが多い。また、ノズルの配置について、規則性の有無や配置形状についても特に制限されることはない。複数のノズルを規則的に整列配置しても良いし、ランダム配置でも良い。また、配置形状も矩形、円形等、特に制限されない。
ガラス繊維製造用ブッシングにおいて、溶融ガラスを停留させるため、ブッシングプレートに側壁(サイドプレート)が付加される。側壁は、少なくとも、ブッシングプレートの一対の対向辺に設けられるが、通常は、ブッシングプレートを包囲するように四辺に設けられる。側壁の形状については特に限定はない。
ブッシングプレート及び側壁の材質は、白金系材料(白金又は白金合金)からなる。好ましくは、白金、白金−ロジウム合金(ロジウム濃度:5〜20wt%)の他、強度向上の目的で分散強化型合金である強化白金が適用される。強化白金は、白金又は白金合金に金属酸化物が分散する分散強化型の合金である。強化白金の好ましい分散粒子は、酸化ジルコニウムや酸化イットリウム等の高融点バルブ金属酸化物、酸化サマリウムなどの希土類金属酸化物等である。分散粒子は、1μm未満、特に数十nm程度の粒径のものが好ましく、その分散量を数質量%以下とするものが好ましい。また、強化白金のマトリックスは、白金、又は、白金合金として白金−ロジウム合金(例えば、白金−5〜30質量%ロジウム合金)又は白金−金合金(例えば、白金−5質量%金合金)を適用するものが好ましい。
(II)ターミナル
上述のとおり、ターミナルは、ブッシングを通電加熱するための端子である。ターミナルは、通常、板状の導電体であり、ブッシングの側壁に接合される。長辺と短辺を有する矩形のブッシングプレートにおいては、短辺側の側壁にターミナルが接合されることが多い。ターミナルのブッシングの側壁への固定方法は、溶接が好ましい。尚、本発明におけるブッシングの通電加熱とは、ターミナルが接続された側壁と電気的に連通する部材への通電加熱である。ブッシングの特定の構成部材の通電加熱を意味するものではなく、側壁やブッシングプレート等の少なくともいずれか一部の部材が通電加熱されていればよい。
上述のとおり、ターミナルは、ブッシングを通電加熱するための端子である。ターミナルは、通常、板状の導電体であり、ブッシングの側壁に接合される。長辺と短辺を有する矩形のブッシングプレートにおいては、短辺側の側壁にターミナルが接合されることが多い。ターミナルのブッシングの側壁への固定方法は、溶接が好ましい。尚、本発明におけるブッシングの通電加熱とは、ターミナルが接続された側壁と電気的に連通する部材への通電加熱である。ブッシングの特定の構成部材の通電加熱を意味するものではなく、側壁やブッシングプレート等の少なくともいずれか一部の部材が通電加熱されていればよい。
ブッシングプレートと同じく、ターミナルも従来のガラス繊維製造用ブッシングで適用されているものと同様の構造・構成となる。ターミナルは、端部を外部の給電設備に接続するため、板材を屈曲させた形状を有することが多い。屈曲部の数は特に限定されず、屈曲がない平板形状であってもよく、形状に制限はない。ターミナルは、一枚の板材を屈曲させて形成しても良いし、複数の板材を接合して形成しても良い。ターミナルの幅は、ブッシングプレートの幅と同じとなることが多いが、ブッシングプレートより幅狭であってもよい。ターミナルの厚さも特に限定されない。
ターミナルの構成材料は、ブッシングプレートと同様に白金系材料が好ましい。ブッシングプレートに溶接することを考慮すれば、同じ材質が好ましいからである。また、ターミナルは、全体的にはブッシングプレートほど高温になることはないが、ブッシングプレートとの接合部近傍では高温となっているので、高温強度が要求されるからである。
(III)防風壁
これまで述べたように、防風壁は、ブッシングプレート周辺の高速気流からノズルを保護するための部材であり、機能面においては従来技術(特許文献1)と同じである。本発明においては、防風壁をターミナルに設置することを特徴としており、この点を考慮して防風壁の構成と設置位置を定める必要がある。
これまで述べたように、防風壁は、ブッシングプレート周辺の高速気流からノズルを保護するための部材であり、機能面においては従来技術(特許文献1)と同じである。本発明においては、防風壁をターミナルに設置することを特徴としており、この点を考慮して防風壁の構成と設置位置を定める必要がある。
本発明においては、上記したノズルの保護機能を確保するため、防風壁をターミナルから下方(溶融ガラス吐出方向)に延伸させると共に、ブッシングプレートのターミナル側端部に位置するノズルが防風壁の水平投影面内に収まるようにすることが必須となる。図1は、本発明に係る防風壁が設置されたターミナルを備えるブッシングの一例を示す図である。この図で示されるように、防風壁の水平投影面内にノズルが収まるようになっていると、気流に対する保護機能が期待される。一方、図2のように、ノズルが防風壁の水平投影面からはみ出していると、当該部分で気流による影響・摩耗が生じるおそれがある。
尚、上記条件における、ブッシングプレートのターミナル側端部に位置するノズルとは、ノズルの配置形状を規定する外縁に配置されたノズルであって、ターミナル側に配置されているノズルである。よって、整列配置された矩形の配置形状を示すノズル群については、外側1列の複数のノズルがターミナル側端部に位置するノズルとなり、それらの少なくとも一つが防風壁の水平投影面に収まることが要求される。尚、この場合、外側1列のノズルの全てが防風壁の水平投影面に収まっていることが好ましい。
防風壁の形状とターミナル上の設置位置は、上記した防風壁の水平投影面に関連する条件に基づいて設定され、当該条件を具備する限り、防風壁の形状等に制限はない。例えば、図1では、防風壁を鉛直方向に設置しているが、図3のように、防風壁を傾斜させて設置しても良い。また、防風壁は板状の部材であり、図1、3で例示したような平板形状が多用されると考えられる。図4は、ブッシングプレートの下方から図1の防風壁を見たときの概観を示す。但し、防風壁は平板に限定されることはなく、図5のような湾曲した形状であっても良く、図6のように防風壁がターミナルからはみ出していても良い。更に、防風壁の端部(先端)の形状について、図7のように凹凸を形成して、ノズルの位置に凸部が対応した形状としても良い。防風壁の形状及び寸法や、傾斜させる場合の角度等の条件に関しては、防風壁の水平投影面にノズルが収まるようであれば、特に制限されることはない。
そして、本発明においては、有効な保護効果を防風壁に発揮させるため、防風壁の設置位置と防風壁の高さを適切にすることが好ましい。これらについて具体的に説明すると、防風壁の設置位置とは、防風壁の先端面と、ブッシングプレートのターミナル側端部に位置するノズルとの間隔(L)である。図8(a)のように、防風壁とノズルとの間隔(L)が大きいと、気流が防風壁に当たることなくノズルを摩耗させることがある。また、図8(b)のように、防風壁とノズルとの間隔(L)小さいと、ノズルに干渉して吐出されたガラス繊維の流れを乱すおそれがある。尚、ノズルと防風壁の先端面との間隔(L)とは、ノズルの中心線と防風壁先端面の厚さ方向中心との間隔とする。更に、図7のような凹凸・起伏のある先端面に関しては、最先端の部分(凸部)を適用する。
一方、防風壁の高さとは、防風壁の水平投影面のブッシングプレートからの高さ(以下、これを防風壁の高さと称することがある)である。そして、防風壁の保護作用を考慮する場合には、図9で示すように、防風壁の高さ(H)と、ブッシングプレートのターミナル側端部に位置するノズルの長さ(h)との差(H−h)を適切に設定することが好ましい。このとき、防風壁の高さがノズルの長さと同じであっても(即ち、防風壁高さとノズル長さとの差(H−h)が0mmであっても)防風壁として機能は発揮される。一方、防風壁の高さが過大となると、ノズルへの空気の流入量が大きく減少してノズル周辺が陰圧となるため、ブッシングプレートの外部との間で気圧差が生じる。この気圧差と空気の流入減によるガラス繊維の冷却不足により、ガラス繊維の糸切れが生じるおそれがある。つまり、防風壁の高さについては、上限についての考慮をすることが好ましい。尚、図7のような凹凸・起伏のある先端面を有する防風壁の高さ(H)は、最先端の部分(凸部)による投影面の端部までの高さが適用される。
ここで、上記の防風壁とノズルとの距離(L)及び防風壁の高さとノズルの長さとの差(H−h)は、相互に関連付けて設定することが好ましい。即ち、防風壁とノズルとの距離(L)を大きくとる場合(防風壁をノズルから遠ざけて設置する場合)、防風壁の高さを高くしてノズル長さとの差(H−h)が大きくなるようにすることが好ましい。逆に、防風壁をノズルに近くなるように設置するとき(Lを小さくするとき)、防風壁高さとノズル長さとの差を小さくすることが好ましい((H−h)を小さくすることが好ましい)。上述のとおり、防風壁とノズルとの距離(L)と防風壁の高さとノズルの長さとの差(H−h)は、防風壁によるノズル保護能やガラス繊維の糸切れの有無に影響を及ぼすので、それら総合的に影響を考慮して防風壁の設置位置と高さを設定することが好ましい。
防風壁の設置位置と高さとを相互に考慮するとき、その具体的条件としては、防風壁とノズルとの間の距離(L)に対する、防風壁の高さとノズルの長さとの差(H−h)の比((H−h)/L)が0以上3以下(0≦(H−h)/L≦3)とすることが好ましい。かかる範囲とすることで、防風壁を特に有効に機能させることができる。尚、この関係式において、(H−h)は0mm以上((H−h)≧0mm)である。この比((H−h)/L)は、0.1以上0以上2以下(0.1≦(H−h)/L≦2)とすることがより好ましい。
そして、防風壁の先端面と、ブッシングプレートのターミナル側端部に位置するノズルとの間隔(L)の数値的な範囲については、上記した理由から、2mm以上100mm以下とすることが好ましい。また、この間隔Lは、4mm以上35mm以下とすることがより好ましい。
また、防風壁の高さ(H)と、ブッシングプレートのターミナル側端部に位置するノズルの長さ(h)との差(H−h)の数値的な範囲に関しては、上記した理由から、100mm以下とするのが好ましい。尚、防風壁高さとノズル長さとの差(H−h)の下限は、0mmとすることが好ましい。但し、防風壁の高さは、ノズルの長さより多少大きい方がより好ましい場合があり、そのような場合はこの差(H−h)は0.1mm以上とするのがより好ましい。
尚、防風壁の厚さは、特に制限されないが、0.1mm〜10mmとするのが好ましい。薄すぎると容易に損傷し防風壁としての効果を有しない。厚過ぎるとブッシングプレート全体の重量増の要因となる。
防風壁の構成材料については、ブッシングプレート等と同じ材料である白金系材料(白金又は白金合金)が使用できる。但し、既に述べたように、本発明では防風壁については、白金系材料以外の材料も適用可能である。本発明では、ブッシングプレート等ほど高温にならないターミナルに防風壁を設置するからである。よって、白金系材料に加えて、鉄、銅、ニッケル、タングステン、モリブデン、又はこれらの金属の合金で防風壁を形成できる。前記金属の合金としては、ステンレス鋼、ニッケル基超合金、コバルト基超合金、クロム合金、銅ニッケル合金等が使用できる。更に、これら金属材料に加えて、アルミナ、シリカ、ジルコニア、マグネシア、又はこれらの複合酸化物であるセラミックスも適用可能である。
防風壁をターミナルに設置するときの固定方法としては、溶接によっても良いが、非溶接で固定することもできる。特に、防風壁を白金系材料以外の材料で製造したとき、白金系材料が多用されるターミナルと溶接することが困難となる。その場合には、図10のようにボルト等の固定部材で防風壁を固定することができる。一方、防風壁が白金系材料あれば、ターミナルに溶接で固定することができる。
尚、本発明における防風壁は、一対のターミナルの少なくとも一方に設置されること、及び、ブッシングプレートのターミナル側端部のノズルの少なくとも一つが防風壁の水平投影面内に収まることを要件とするが、本発明による効果を最大に発揮させるためには、双方のターミナルに防風壁を設置し、ブッシングプレートの端部のノズル(ノズル列)が全て防風壁の水平投影面内に収まるようにすることが好ましい。
(IV)その他の部材
本発明に係るガラス繊維製造用のブッシングは、これまで説明したブッシングプレート(ノズル、側壁)とターミナル、及びターミナルに設置された防風壁を基本構成とする。但し、従来のブッシングが備える他の部材を備えることが当然許容される。この部材の具体例としては、ブリッジ、フィンクーラー、スクリーンプレート等が上げられる。
本発明に係るガラス繊維製造用のブッシングは、これまで説明したブッシングプレート(ノズル、側壁)とターミナル、及びターミナルに設置された防風壁を基本構成とする。但し、従来のブッシングが備える他の部材を備えることが当然許容される。この部材の具体例としては、ブリッジ、フィンクーラー、スクリーンプレート等が上げられる。
ブリッジは、ブッシングプレートの裏面(ノズル設置面の反対側の面)に設置され、ブッシングプレートを補強するための梁状の部材である。フィンクーラーは、ノズルから吐出された溶融ガラスを冷却するため板状の部材である。フィンクーラーは、ノズル群を構成するノズル列とノズル列との間に設置される。スクリーンプレートは、ブッシングプレートの上部に設置され、溶融ガラスが通過する孔を多数備えた板体であって、供給された溶融ガラスをろ過する部材である。また、スクリーンプレートは、通電加熱されることで、通過する溶融ガラスの温度低下の抑制にも寄与することができる。スクリーンプレートは、その断面形状が平坦なストレート形状のものや、略V字形状、略W字形状をしたものが用いられる。本発明に係るガラス繊維製造用のブッシングは、上記各種部材の他、従来のガラス繊維製造用のブッシングが備える部材を備えることができる。
以上説明したように、本発明に係るガラス繊維製造用のブッシングは、防風壁による保護作用により、ブッシングプレートのノズルの摩耗抑制がなされている。そして、防風壁をターミナルに設置することで、ブッシングプレートの重量増が回避され、ブッシングプレートの効率的な設計も確保できる。本発明の適用により、効率的且つ安定的なガラス繊維の製造が可能となる。
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、図1の具体例で示した態様のターミナルと防風壁を製造して、本実施形態に係るガラス製造用ブッシングを構成した。図11は、本実施形態に係るガラス繊維製造用ブッシングの外観を示し、また、図12は、ガラス繊維製造用ブッシングの側面である。
本実施形態に係るガラス繊維製造用において、ブッシングプレートは、白金製の板材(厚さ1.5mm)を曲げ加工して成形されたベースプレート(寸法:115mm450mm)に、ノズルを整列配置させて接合して製造されている。本実施形態では、ノズルを90°直列配列とし、中央の凹凸部を境に2×3のブロックにノズル群を分けて配置したブッシングプレートとした。ノズル寸法は、2.5mm(下端部外径)×3.0mm(上端部外径)×3.5mm(ノズル長さh))であり、直径1.50mmφの貫通孔を有するテーパー状の円筒体である。
ブッシングプレートには、側壁となる箱型のサイドプレート(高さ45mm)と、ガラス流路であるブッシングブロック(図示せず)に向かって対面するフランジ(幅50mm)が接合されている。
また、ブッシングの短辺側の一対の側壁のそれぞれにターミナルを接合した。ターミナルは、白金製の板材で構成され、幅42mm×長さ138mmの板材(厚さ2.8mm)と幅22.5mm×長さ138mmの板材(厚さ1.8mm)を組み合わせて製造されている。ターミナルは、側壁に溶接で接合している。
そして、防風壁は、白金製の板材(幅138mm×長さ19mm、厚さ1.5mm)を使用し、溶接にてターミナルに接合した。このとき、防風壁の先端面とノズルとの間隔(L)が10mm、防風壁高さとノズル長さとの差(H-h)が5mmとなるように防風壁の位置と傾斜が調整されている。本実施形態では、(H-h)/Lが0.5となる。
また、他の実施例として、ステンレス鋼(SUS304)の板材(幅19mm×長さ138mm、厚さ3mm)を防風壁としてターミナルに接合したブッシングも試作した。このとき、ターミナルの両端付近に2箇所のボルト孔を開け、この部位で防風壁をボルト(固定部材)で固定した。以上のようにして、本実施形態のガラス繊維製造用ブッシングが構成されている。
上記の本実施形態に係るガラス繊維製造用ブッシングプレートを備えるガラス製造装置により、ガラス繊維製造を1年間行った。このガラス製造装置は、目的組成に調合されたガラス原料の溶解槽および溶融ガラスを流すための流路を備え、これらの機器の下流側にブッシングが設置される。ブッシングプレートから吐出されるガラス繊維は適宜に巻き取られる。
上記1年間のガラス繊維製造作業の間、ブッシングプレートにおいても、目視観察ではブッシングプレートの外観に顕著な異常は認められず、また、ガラス繊維の紡糸も安定していた。そして、1年間の装置稼動後に装置をシャットダウンしてブッシングプレートのノズルを検査した。この検査の結果においても、全部のノズルにおいて磨耗は見られなかった。防風壁によるノズルの保護効果が確認された。以上の効果は、白金製及びSUS製の防風壁の双方で確認された。
本発明に係るガラス繊維製造用のブッシングでは、防風壁を適切な位置に設置したことにより、ブッシングプレートのノズルの磨耗損傷が抑制されている。本発明によれば、ガラス製造装置について長期の稼動期間における安定的運用を可能とすることができ、良質なガラス繊維を効率的に製造することができる。
Claims (6)
- 溶融ガラスを下方に吐出するための複数のノズルを備えるブッシングプレートと、前記ブッシングプレートの一対の対向辺に設けられた一対の側壁と、を備えるガラス繊維製造用のブッシングにおいて、
前記一対の側壁に接続され、前記ブッシングを通電加熱するための一対のターミナルを備え、
前記一対のターミナルの少なくとも一方に、当該ターミナルから下方に突出する防風壁が設置されており、
前記ブッシングプレートの前記ターミナル側端部に位置するノズルの少なくとも一つが、前記防風壁の水平投影面内に収まるようになっていることを特徴とするガラス繊維製造用のブッシング。 - 防風壁の先端面と、ブッシングプレートのターミナル側端部に位置するノズルとの間隔(L)に対する、防風壁の水平投影面のブッシングプレートからの高さ(H)と、前記ブッシングプレートのターミナル側端部に位置するノズルの長さ(h)との差(H−h)の比((H−h)/L)が0以上3以下である請求項1記載のガラス繊維製造用のブッシング。
- 防風壁の先端面と、ブッシングプレートのターミナル側端部に位置するノズルとの間隔(L)が、2mm以上100mm以下である請求項1又は請求項2記載のガラス繊維製造用のブッシング。
- 防風壁の水平投影面のブッシングプレートからの高さ(H)と、前記ブッシングプレートのターミナル側端部に位置するノズルの長さ(h)との差(H−h)が、100mm以下である請求項1〜請求項3のいずれかに記載のガラス繊維製造用のブッシング。
- 防風壁の構成材料は、白金、鉄、銅、ニッケル、タングステン、モリブデン、又はこれらの金属の合金、若しくはセラミックスである請求項1〜請求項4のいずれかに記載のガラス繊維製造用のブッシング。
- 防風壁は、ターミナルに非溶接で固定されている請求項1〜請求項5のいずれかに記載のガラス繊維製造用のブッシング。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019016393A JP2020121913A (ja) | 2019-01-31 | 2019-01-31 | ガラス繊維製造用のブッシング |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019016393A JP2020121913A (ja) | 2019-01-31 | 2019-01-31 | ガラス繊維製造用のブッシング |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2020121913A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023047994A1 (ja) * | 2021-09-24 | 2023-03-30 | 日本電気硝子株式会社 | ブッシング装置、及びガラス繊維の製造方法 |
-
2019
- 2019-01-31 JP JP2019016393A patent/JP2020121913A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023047994A1 (ja) * | 2021-09-24 | 2023-03-30 | 日本電気硝子株式会社 | ブッシング装置、及びガラス繊維の製造方法 |
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