JP2020094127A - 感エネルギー性樹脂組成物、硬化物及び硬化物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
下記式(1)で表されるイミダゾール化合物(A)と、
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とからなるモノマー成分及びポリアミック酸よりなる群から選択される少なくとも1つの樹脂前駆体成分(B)と、
溶剤(S)とを含有する感エネルギー性樹脂組成物である。
前記硬化物前駆体を露光又は加熱することにより前記硬化物前駆体中の前記ポリアミック酸を閉環させて硬化物を得る閉環工程と
を含む、ポリイミドを含む硬化物の製造方法である。
本発明の第3の態様は、第1の態様の感エネルギー性樹脂組成物の硬化物である。
第1の態様に係る感エネルギー性樹脂組成物(以下単に「組成物」とも記載する。)は、下記式(1)で表されるイミダゾール化合物(A)と、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とからなるモノマー成分及びポリアミック酸よりなる群から選択される少なくとも1つの樹脂前駆体成分(B)と、溶剤(S)とを含有する。このような組成物とすることにより、得られる硬化物の弾性係数を高くすることができる。また、式(1)で表されるイミダゾール化合物は、溶剤(S)に溶解しやすいため、組成物を容易に製造することができる。
上記式(1)で表されるイミダゾール化合物におけるm価の対カチオンXm+としては、非環式の含窒素脂肪族カチオン、環式の含窒素脂肪族カチオン、含窒素芳香族カチオンや、金属カチオンが挙げられる。なお、H+は対カチオンには含まれない。
m価の対カチオンXm+は、環式の含窒素脂肪族カチオン及び含窒素芳香族カチオン等の含窒素複素環を含むカチオンであることが好ましい。含窒素複素環を含むカチオンとしては、1以上(好ましくは1以上5以下、より好ましくは2以上4以下、さらに好ましくは2又は3)の窒素原子を含む炭素原子数2以上30以下(好ましくは2以上20以下、より好ましくは3以上15以下、さらに好ましくは3以上10以下)の含窒素複素環を含むカチオンが挙げられる。含窒素複素環を含むカチオンは、環を構成する原子として窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、酸素原子、イオウ原子等)を含んでいてもいなくてもよく、置換基を有していてもいなくてもよい。
mは1以上3以下の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
m価の対カチオンXm+について、以下に具体例を挙げてさらに詳細に説明する。
置換基を有してもよいシクロアルキル基としては、炭素原子数5以上30以下のシクロアルキル基が好ましい。置換基を有してもよいシクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキニル基としては、炭素原子数2以上10以下のアルキニル基が好ましい。置換基を有してもよいアルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、及びプロパルギル基(2−プロピニル基)等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリール基としては、炭素原子数6以上30以下のアリール基が好ましい。置換基を有してもよいアリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、o−スチリル基、m−スチリル基、p−スチリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、及びオバレニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、芳香族あるいは脂肪族の複素環が好ましい。置換基を有してもよい複素環基の具体例としては、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、及びチオキサントリル基等が挙げられる。
(式(3)中、R21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、R22はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、−C(=NR23)−NR23 2(3個のR23はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基)、又は、=C(−NR24 2)2(4個のR24はそれぞれ独立に水素原子又は有機基)を表す。)
R21〜R23についてのシクロアルキル基としては、炭素原子数5以上30以下のシクロアルキル基が好ましい。シクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
R24についての有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、及びアリール基等が挙げられる。
式(3)で表されるカチオンとしては、1,2−ジイソプロピル−3−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]グアニジウムカチオン、1−メチルビグアニジウムカチオン、1−n−ブチルビグアニジウムカチオン、1−(2−エチルヘキシル)ビグアニジウムカチオン、1−n−オクタデシルビグアニジウムカチオン、1,1−ジメチルビグアニジウムカチオン、1,1−ジエチルビグアニジウムカチオン、1−シクロヘキシルビグアニジウムカチオン、2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジウムカチオン、1−ベンジルグアニジウムカチオン、1,3−ジベンジルグアニジウムカチオン、1−ベンジル−2,3−ジメチルグアニジウムカチオン、及び1−フェニルグアニジウムカチオン等が挙げられる。これらのカチオンの中では、1,2−ジイソプロピル−3−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]グアニジウムカチオンが好ましい。
R31についての有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基等が挙げられる。上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アラルキル基、及び上記アリール基は、それぞれ、置換基を有していてもよい。当該置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、及びtert−ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、及びp−トリルオキシ基等)、オルガノキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル基、及びアリールオキシカルボニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、及びベンゾイルオキシ基等)、アシル基(アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びメトキサリル基等)、アルキルスルファニル基(メチルスルファニル基、及びtert−ブチルスルファニル基等)、アリールスルファニル基(フェニルスルファニル基、及びp−トリルスルファニル基等)、アルキルアミノ基(メチルアミノ基、及びシクロヘキシルアミノ基等)、ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、及びピペリジノ基等)、アリールアミノ基(フェニルアミノ基、及びp−トリルアミノ基等)、アルキル基(メチル基、エチル基、tert−ブチル基、及びドデシル基等)、アリール基(フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、及びフェナントリル基等)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホンアミド基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロソ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、トリアルキルアンモニウム基、ジメチルスルホニウミル基、及びトリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
sは3以上5以下の整数であることが好ましく、3又は4であることがより好ましい。
R41及びR42は互いに結合して環を形成していてもよい。少なくとも2つのR41は互いに結合して環を形成していてもよい。R43及びR44は互いに結合して環を形成していてもよい。2つのR43は互いに結合して環を形成していてもよい。少なくとも2つのR45は互いに結合して環を形成していてもよい。少なくとも2つのR46は互いに結合して環を形成していてもよい。少なくとも2つのR47は互いに結合して環を形成していてもよい。R48及びR49は互いに結合して環を形成していてもよい。少なくとも2つのR48は互いに結合して環を形成していてもよい。少なくとも2つのR50は互いに結合して環を形成していてもよい。少なくとも2つのR51は互いに結合して環を形成していてもよい。少なくとも2つのR52は互いに結合して環を形成していてもよい。)
RH及びR41〜R52についてのアルキル基としては、直鎖アルキル基であっても、分岐鎖アルキル基であってもよい。当該アルキル基の炭素原子数は特に限定されないが、1以上20以下が好ましく、1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましい。
RH及びR41〜R52についてのアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチル−n−ヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基が挙げられる。
R41〜R52についてのアルケニル基としては、炭素原子数2以上10以下のアルケニル基が好ましい。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、及びアリル基等が挙げられる。
R41〜R52についてのアルキニル基としては、炭素原子数2以上10以下のアルキニル基が好ましい。アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、及びプロパルギル基(2−プロピニル基)等が挙げられる。
RHの具体例及び好ましい例としては、上述した具体例及び好ましい例と同様のものが挙げられる。
RH及びR53、及びR55についてのアルキル基としてはRH及びR41〜R52についてのアルキル基として上述した具体例及び好ましい例と同様の基が挙げられる。
R53、及びR55についてのシクロアルキル基としてはR41〜R52についてのシクロアルキル基として上述した具体例及び好ましい例と同様の基が挙げられる。
R54についてのアルキレン基、及びシクロアルキレン基の炭素原子数は1以上10以下が好ましい。アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ペンチレン基、及びへキシレン基等が挙げられる。シクロアルキレン基の具体例としては、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、及びシクロへプチレン着等が挙げられる。
R56についてのアルキレン基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキレン基が挙げられる。アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
上記典型金属元素としては、アルカリ金属元素(周期表1族のうち水素を除く元素からなる金属元素、例えば、ナトリウム、及びカリウム)、アルカリ土類金属元素(周期表2族の元素からなる金属元素、例えば、マグネシウム)、周期表12族の元素からなる金属元素(例えば、亜鉛)、周期表13族のうちホウ素を除く元素からなる金属元素(例えば、アルミニウム)、周期表14族のうち炭素、ケイ素を除く元素からなる金属元素(例えば、スズ)、周期表15族のうち窒素、リン、及びヒ素を除く元素からなる金属元素(例えば、アンチモン)、並びに周期表16族のうち酸素、硫黄、セレン、及びテルルを除く元素からなる金属元素(例えば、ポロニウム)が挙げられる。
上記遷移金属元素としては、周期表3〜11族の元素からなる金属元素(例えば、ハフニウム)が挙げられる。
上記半金属元素としては、ホウ素、ケイ素、砒素、セレン、及びテルル等が挙げられる。
上記金属原子を含む原子団のカチオンとしては、金属原子と非金属原子の両方を含む原子団等が挙げられ、具体的には、[ZrO]2+、[(C2H5O)Al]2+、及び[(n−C4H9)2Sn−O−Sn(n−C4H9)2]2+等が挙げられる。
対カチオンXm+は、リン、硫黄又はヨウ素を含む原子団のカチオンでもよい。
−O−R9
(R9は水素原子又は有機基である。)
m価の対カチオンXm+を形成し得る塩基としては、上記式(2)〜(4)のいずれかで表される非環式の含窒素脂肪族カチオン若しくは環式の含窒素脂肪族カチオン、上記式(5)〜(13)のいずれかで表される含窒素芳香族カチオン、上記式(14)〜(16)のいずれかで表される含窒素脂肪族カチオン、又は典型金属元素、遷移金属元素及び半金属元素からなる群より選択される金属原子のカチオン若しくは上記金属原子を含む原子団のカチオンを形成し得る塩基であることがより好ましい。
上記極性溶媒としては、アルコールが挙げられ、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及びtert−ブタノール等が挙げられる。
加熱下において、上記式(17)で表される化合物と、上記塩基とを上記溶媒に溶解して混合することができる。加熱温度は、例えば、40℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上である。加熱時の温度の上限としては特に制限はないが、上記溶媒の沸点以下であることが好ましい。
非加熱下では、上記式(17)で表される化合物又は上記塩基が溶媒に溶解し難い場合がある。この場合、塩形成が進行するに従い、反応液中の不溶物の量が低減し得る。
また、第1の態様に係る組成物における、上記式(1)で表されるイミダゾール化合物の含有量としては特に制限はないが、第1の態様に係る組成物全体に対して、0.01質量%以上80質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。また、第1の態様に係る組成物全体(溶剤を除く)に対して、式(1)で表されるイミダゾール化合物の含有量は、1質量%以上80質量%以下であることが好ましく、3質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。
また、第1の態様に係る組成物は、上記式(1)で表されるイミダゾール化合物の含有量が、下記ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とからなるモノマー成分及びポリアミック酸よりなる群から選択される少なくとも1つの樹脂前駆体100質量部に対して、0.1質量部以上60質量部以下であることが好ましく、1質量部以上50質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上40質量部以下であることがより好ましい。第1の態様に係る組成物においては、式(1)で表されるイミダゾール化合物に対する樹脂前駆体の質量を多くすることができる。
第1の態様に係る組成物は、ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とからなるモノマー成分及びポリアミック酸(D)よりなる群から選択される少なくとも1つの樹脂前駆体成分(B)含む。
ポリアミック酸(D)は、組成物を硬化させた際に生成するポリイミドの樹脂前駆体である。ポリアミック酸(D)は、通常、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物とからなるモノマー成分を縮合することにより得ることができる。
ポリアミック酸は、下記式(d1)で表される構造単位を有し得る。
式(d1)で表される構造単位を生成させるテトラカルボン酸二無水物は、下記式(d1−1)で表される。
式(d1−1)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、後述のジアミン化合物と反応して、式(d1)で表される構造単位を有するポリアミック酸(D)を与える。かかるテトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
置換基の好適な例としては、フッ素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下のフッ素化アルキル基、炭素原子数1以上6以下のフッ素化アルコキシ基が好ましく、また、式(d1−1)に表される酸無水物基の他にカルボキシ基、カルボン酸エステル基を含んでいてもよい。
置換基がフッ素化アルキル基又はフッ素化アルコキシ基である場合、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシ基であるのが好ましい。
以上の置換基については、後述の芳香族基が芳香環上に有していてもよい1又は複数の置換基についても同様のことがいえる。
Dを構成する炭素原子数は8以上がより好ましく、12以上がさらに好ましい。また、Dを構成する炭素原子数は40以下がより好ましく、30がさらに好ましい。Dは、脂肪族基であっても、芳香族基であっても、これらの構造を組合せた基であってもよい。Dは、炭素原子、及び水素原子の他に、ハロゲン原子、酸素原子、及び硫黄原子を含んでいてもよい。Dが酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を含む場合、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子は、含窒素複素環基、−CONH−、−NH−、−N=N−、−CH=N−、−COO−、−O−、−CO−、−SO−、−SO2−、−S−、及び−S−S−から選択される基として、Dに含まれてもよく、−O−、−CO−、−SO−、−SO2−、−S−、及び−S−S−から選択される基として、Dに含まれることがより好ましい。
なお、原料化合物の精製が容易である点から、式(d2)中のdは5以下が好ましく、3以下がより好ましい。また、式(d1)で表される構造単位を与える原料化合物の化学的安定性が優れることから、dは1以上が好ましく、2以上がより好ましい。
式(d2)中のdは、2又は3が特に好ましい。
すなわち、Rd1、Rd2及びRd3は、炭素−炭素の一重結合、炭素−酸素−炭素のエーテル結合又はハロゲン元素(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を含んでいてもよく、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)プロパン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物等が挙げられる。
なお、これらと同じ基本骨格を有するテトラカルボン酸の酸塩化物、エステル化物等も、用いることができる。
ジアミン化合物は、下記式(d3−1)で表される化合物を典型的に用いることができる。ジアミン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
H2N−B−NH2・・・(d3−1)
(式(d3−1)中、Bは2価の有機基を表す。)
置換基の好適な例としては、フッ素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下のフッ素化アルキル基、炭素原子数1以上6以下のフッ素化アルコキシ基又は水酸基が好ましい。
置換基がフッ素化アルキル基又はフッ素化アルコキシ基である場合、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシ基であるのが好ましい。
Bは、脂肪族基であってもよいが、1以上の芳香環を含む有機基であることが好ましい。
また、Bに含まれる芳香環は、芳香族複素環であってもよい。
Qの例示における、−C6H4−はフェニレン基であり、m−フェニレン基、及びp−フェニレン基が好ましく、p−フェニレン基がより好ましい。また、−C10H6−は、ナフタレンジイル基であり、ナフタレン−1,2−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,3−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、及びナフタレン−2,7−ジイル基が好ましく、ナフタレン−1,4−ジイル基、及びナフタレン−2,6−ジイル基がより好ましい。)
すなわち、芳香族ジアミンとしては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、及び4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエタン−1,1−ジイル)]ジアニリン等が挙げられる。これらの中では、価格、入手容易性等から、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。
式(Si−1)中のR112及びR113における、炭素原子数6以上20以下のアリーレン基としては、耐熱性、残留応力の観点から炭素原子数6以上20以下の芳香族基が好ましく、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
式(Si−1)中のR114、R115、R116、及びR117における炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基としては、耐熱性、残留応力の観点から炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基が好ましく、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
式(Si−1)中のR114、R115、R116、及びR117における炭素原子数6以上20以下のアリール基としては、耐熱性、残留応力の観点から炭素原子数6以上12以下のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
式(Si−1)中のR114、R115、R116、及びR117における炭素原子数20以下のアミノ基を含む基としては、アミノ基、置換したアミノ基(例えば、ビス(トリアルキルシリル)アミノ基)等が挙げられる。
式(Si−1)中のR114、R115、R116、及びR117における−O−R118で表される基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、トリルオキシ基、ナフチルオキシ基、プロペニルオキシ基(例えば、アリルオキシ基)、及びシクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
中でも、R114、R115、R116、及びR117として、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基である。
式(d1)で表される構造単位を有するポリアミック酸(D)は、典型的には、上述の式(d1−1)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、上述の式(d3−1)で表されるジアミン化合物とを溶剤中で反応させて得られるポリマーであり、ジアミン化合物及び/又はテトラカルボン酸二無水物をそれぞれ1種又は2種類以上を用いて得られるポリマーであってもよい。例えば、ジアミン化合物と2種類以上のテトラカルボン酸二無水物を含む混合物とを重縮合して得られるポリマーであってもよい。また、ポリアミック酸(D)は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、得られるポリミック酸(D)の重量平均分子量は、その用途にあわせて適宜設定すればよいが、例えば5000以上であり、7500以上が好ましく、10000以上がより好ましい。一方、得られるポリミック酸(D)の重量平均分子量は、例えば100000以下であり、80000以下が好ましく、75000以下がより好ましい。
この重量平均分子量は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の配合量や、溶媒や反応温度等の反応条件を調整して、上述の値とすればよい。
上記のようにポリアミック酸(D)を含む溶液をそのまま組成物の調製に用いることもできるし、減圧下に、ポリアミック酸のポリイミド樹脂への変換が生じない程度の低温で、ポリアミック酸(D)の溶液から溶剤の少なくとも一部を除去して得られる、ポリアミック酸のペースト又は固体を樹脂組成物の調製に用いることもできる。
なお、以上説明したポリアミック酸(D)についてのジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物は、それぞれ、樹脂前駆体成分(B)のモノマー成分であるジアミン成分及びテトラカルボン酸二無水物成分として用いることができる。
第1の態様に係る組成物は、溶剤(S)を含有する。組成物は、固体を含むペーストであってもよく、溶液であってもよいが、溶液であることが好ましい。溶剤(S)は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
溶剤(S)の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で、特に限定されず、水、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、及びジエチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールモノエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、及びジエチレングリコールジプロピルエーテル等のグリコールジエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールモノアセテート;ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、2−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、及び4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート等のジオール類のモノエーテルモノアセテート;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルシソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、及びシクロヘキサノン等のケトン類;プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、エチル−3−プロポキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート、イソプロピル−3−メトキシプロピオネート、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、炭酸メチル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、及びγ−ブチロラクトン等のエステル類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ベンジルメチルエーテル、ベンジルエチルエーテル、及びテトラヒドロフラン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クレゾール、及びクロロベンゼン等の芳香族類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、及びシクロヘキサノール等の脂肪族アルコール類;ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、及びジプロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン;等が挙げられる。
また、上述のテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との反応に用いられる溶剤も同様に挙げられ、ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とからなるモノマー成分、ポリアミック酸(D)及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1つの樹脂前駆体ないしは樹脂をさらに含む場合の、第1の態様に係る組成物における溶媒として、好適に用いることができる。
第1の態様に係る組成物は、必要に応じて、各種の樹脂又は添加剤を含有していてもよい。樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂又は露光若しくは加熱されることで現像液(アルカリ現像液又は溶剤現像液)に対する溶解性が高まる樹脂等が挙げられる。また、樹脂は、エチレン性不飽和基を有してもよく、エチレン性不飽和基を有さなくてもよい。添加剤としては、着色剤、分散剤、増感剤、硬化促進剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が挙げられる。
樹脂の含有量は、溶媒を除く組成物全体に対して、例えば、10質量%以上90質量%以下の範囲で適宜調整すればよく、好ましくは20質量%以上80質量%以下である。
各種添加剤の添加量は、第1の態様に係る溶剤を除く組成物全体に対して、例えば、0.001質量%以上60質量%以下の範囲で適宜調整すればよく、好ましくは0.05質量%以上5質量%以下である。
第1の態様に係る組成物が熱硬化性組成物である場合、第1の態様に係る組成物は、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤、脱水縮合剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、離型剤、可塑剤、充填材、及び強化材等の添加剤や強化材を含んでいてもよい。
また、第1の態様に係る組成物は種々の処理液として用いてもよい。各種の処理液としては、保護膜形成用の処理液、塗料、表面改質用の被膜形成用の処理液等が挙げられる。これらの処理液は処理対象の表面に塗布された後、加熱、露光等の方法により硬化され、処理対象の表面上に、保護膜、塗膜、表面改質膜等の種々の膜を与える。処理液用組成物は、任意に、pH調整剤、界面活性剤、防腐剤、粘度調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、又は着色剤等の添加剤をこれらが通常使用される範囲の量において含んでいてもよい。
第1の態様に係る組成物は、上記の各成分を撹拌機で混合することにより調製される。なお、調製され第1の態様に係る組成物が均一となるよう、メンブランフィルタ等を用いて濾過してもよい。
第1の態様に係る組成物は、表示素子、集積回路素子、固体撮像素子等の電子部品用の保護膜、層間絶縁膜、平坦膜、絶縁膜を形成するための組成物や、これらの電子部品の製造過程における犠牲膜用組成物として用いることができる。
第2の態様に係るポリイミドを含む硬化物の製造方法は、第1の態様の組成物を成形して、硬化物前駆体を形成する形成工程と、硬化物前駆体を露光又は加熱することにより硬化物前駆体中のポリアミック酸を閉環させて硬化物を得る閉環工程とを含む。これにより、高い弾性係数(例えば、1.0GPa以上)を有するポリイミドを含む硬化物を得ることができる。なお、第1の態様の組成物中に含まれる式(1)で表されるイミダゾール化合物は、触媒として作用しているものと推測される。
形成工程では、第1の態様の組成物を成形して、硬化物前駆体を形成する。形成する硬化物前駆体の形状は、例えば膜状である。
硬化物前駆体を形成する方法としては特に制限はないが、例えば、ロールコータ、リバースコータ、バーコータ等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ等の非接触型塗布装置を用いて塗布する方法が挙げられる。組成物を基材上に塗布することが好ましい。
塗膜等の硬化物前駆体は乾燥(プリベーク)して溶剤の除去等をすることが好ましい。乾燥方法は、特に限定されず、例えば、(1)ホットプレートにて70℃以上120℃以下、好ましくは80℃以上100℃以下の温度にて、例えば60秒間以上20分間以下乾燥させる方法、(2)室温にて数時間以上数日以下の間放置する方法、(3)温風ヒータや赤外線ヒータ中に数十分以上数時間以内の間入れて溶剤を除去する方法等が挙げられる。
硬化物前駆体からの脱気や、溶剤(S)の除去を促す目的で、硬化物前駆体を減圧雰囲気においてもよい。減圧雰囲気の真空度は特に限定されないが、300Pa以下が好ましく、150Pa以下がより好ましく、100Pa以下がさらに好ましい。
塗膜等の硬化物前駆体の厚さは、特に限定されない。典型的には、硬化物前駆体の厚さは、2μm以上100μm以下が好ましく、3μm以上50μm以下がより好ましい。硬化物前駆体の厚さは、塗布方法や組成物の固形分濃度や粘度を調節することにより、適宜制御することができる。
また、硬化物前駆体の加熱を低温で行う場合には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等の樹脂からなる耐熱性の低い基材を用いることもできる。
閉環工程では、形成工程で形成した硬化物前駆体を露光又は加熱することにより硬化物前駆体中のポリアミック酸を閉環させて硬化物を得る。樹脂前駆体成分(B)としてポリアミック酸が含まれる場合には、ポリアミック酸をそのまま閉環させればよく、樹脂前駆体成分としてモノマー成分が含まれる場合には、まずモノマー成分からポリアミック酸を生成させた後にポリアミック酸を閉環させればよい。
閉環工程では、露光及び加熱のいずれか一方によりポリアミック酸を閉環してもよく、露光及び熱の両者によりポリアミック酸を閉環してもよい。
硬化物前駆体を加熱する場合、加熱温度は、例えば、70℃以上550℃以下、好ましくは120℃以上500℃以下、より好ましくは150℃以上450℃以下、さらに好ましくは150℃以上400℃以下に設定される。このような範囲の温度で硬化物前駆体を加熱することにより、生成するポリイミドの熱劣化や熱分解を抑制しつつ、安定的に硬化物を生成させることができる。
また、硬化物前駆体の加熱を高温で行う場合、多量のエネルギーの消費や、高温での処理設備の経時劣化が促進される場合があるため、硬化物前駆体の加熱をこれより低い温度で行うことも好ましい態様である。
また、ポリイミドの黄色度を低減させる観点や、より円滑にポリアミック酸からポリイミドに変換する観点から、加熱時の雰囲気(酸素濃度等のガス組成)を調整したり、加熱時あるいは加熱前後に減圧工程を組み合わせることもできる。
第3の態様に係る硬化物は、第1の態様の組成物の硬化物である。
第3の態様に係る硬化物は、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子等の電子部品用の保護膜、層間絶縁膜、平坦膜、絶縁膜として用いることができる。
〔合成例1〕
1H−NMR(重DMSO,400MHz):カチオンδ(ppm)=3.48(CH2,2H),3.40(CH2,2H),3.15(CH2,2H),2.65(CH2,2H),1.82(CH2,2H),1.70−1.45(CH2,6H)、
アニオンδ(ppm)=7.70(CH,1H),7.22(Ph,2H),7.15(CH,1H),6.85(Ph,2H),6.80(CH,1H),5.63(CH,1H),3.70(CH3,3H),2.85−2.65(CH2,2H)
1H−NMR(重DMSO,400MHz):カチオンδ(ppm)=3.55(CH2,2H),3.40−3.25(CH2,4H),2.81(CH2,2H),2.00(CH2,2H),1.88(CH2,2H)
アニオンδ(ppm)=7.70(CH,1H),7.22(Ph,2H),7.15(CH,1H),6.85(Ph, 2H),6.80(CH,1H),5.63(CH,1H),3.70(CH3,3H),2.85−2.65(CH2,2H)
1H−NMR(重DMSO,400MHz):カチオンδ(ppm)=7.03(CH,2H),7.65(CH,1H)
アニオンδ(ppm)=7.86(CH,1H),7.35(3H),6.99(3H),5.70(CH,1H),3.71(CH3,3H),3.35−3.16(CH2,2H)
使用X線:回転対陰極型X線発生源由来CuKα線、45kV−200mA
走査速度(2θ):4.0°/min
発散スリット:(2/3)°
散乱スリット:(2/3)°
その他の条件は、パッケージ測定「汎用測定>汎用(集中法)」の標準条件設定による。
1H−NMR(重DMSO,500MHz):カチオンδ(ppm)=9.20(NH,1H),3.27−3.22(6H),3.17−3.15(2H),2.90(CH3,3H),1.92−1.89(2H),1.81−1.79(2H)
アニオンδ(ppm)=7.67(CH,1H),7.21(2H),7.12(1H),6.84(2H),6.79(1H),5.62(CH,1H),3.71(CH3,3H),2.73−2.61(CH2,2H)
1H−NMR(重DMSO,500MHz):カチオンδ(ppm)=10.48(NH,2H),3.22−3.17(4H),3.10−3.07(4H),1.86−1.81(4H)
アニオンδ(ppm)=7.71(CH,1H),7.25(2H),7.17(1H),6.86(2H),6.80(1H),5.65(CH,1H),3.71(CH3,3H),2.87−2.73(CH2,2H)
1H−NMR(重DMSO,500MHz):カチオンδ(ppm)=2.84(6H)
アニオンδ(ppm)=7.67(CH,1H),7.21(2H),7.12(1H),6.85(2H),6.79(1H),5.62(CH,1H),3.71(CH3,3H),2.28−2.64(CH2,2H)
1H−NMR(重DMSO,500MHz):カチオンδ(ppm)=2.63(9H),2.61(9H),
アニオンδ(ppm)=7.65(CH,1H),7.18(2H),7.10(1H),6.84(2H),6.84(1H),5.61(CH,1H),3.71(CH3,3H),2.28−2.64(CH2,2H)
まず、下記式の構造の桂皮酸誘導体(化合物B)30gをメタノール200gに溶解させた後、メタノール中に水酸化カリウム7gを添加した。次いで、メタノール溶液を40℃で撹拌した。メタノールを留去し、残渣を水200gに懸濁させた。得られた懸濁液にテトラヒドロフラン200gを混合、撹拌し、水相を分液した。氷冷下、塩酸4gを添加、撹拌した後に酢酸エチル100gを混合、撹拌した。混合液を静置した後、油相を分取した。油相から目的物を晶析させ、析出物を回収して、イミダゾール化合物(化合物8(化合物A))を得た。
1H−NMR(DMSO):11.724(s,1H),7.838(s,1H),7.340(d,2H,J=4.3Hz),7.321(d,1H,J=7.2Hz),6.893(d,2H,J=4.3Hz),6.876(d,1H,J=6.1Hz),5.695(dd,1H,J=4.3Hz,3.2Hz),3.720(s,3H),3.250(m,2H)
30mlの三口フラスコをヒートガンで加熱して十分に乾燥させた。次に、三口フラスコ内の雰囲気ガスを窒素で置換し、三口フラスコ内を窒素雰囲気とした。三口フラスコ内に、4,4’−ジアミノベンズアニリド0.2045g(0.90mmol:DABAN)を添加した後、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア(TMU)を3.12g添加した。三口フラスコの内容物を撹拌して、TMU中に芳香族ジアミン(DABAN)が分散したスラリー液を得た。
次に、三口フラスコ内に下記式のテトラカルボン酸二無水物0.3459g(0.90mmol)を添加した後、窒素雰囲気下に、室温(25℃)で12時間フラスコの内容物を撹拌してポリアミック酸を含む溶液(ポリアミック酸が15質量%(TMU溶剤:85質量%))を得た。
なお、以下に示される構造のテトラカルボン酸二無水物は、国際公開第2011/099518号の合成例1、実施例1及び実施例2に記載された方法に従って調製した。
<ポリアミック酸の調整>で得られたポリアミック酸、合成例3で得られた粉末(化合物3)、及び、TMUを、ポリアミック酸が15質量部、化合物3が3質量部、TMUが85質量部となるように配合し、撹拌することにより化合物3を溶解させて、実施例1の組成物(感エネルギー性樹脂組成物)を調製した。
なお、実施例1では、後述する比較例1よりも、撹拌によるイミダゾール化合物の溶解が早かった。
イミダゾール化合物として上記化合物3の代わりに化合物8を用い、化合物8の塩基(イミダゾール骨格)のモル量が実施例1における化合物3の塩基(イミダゾール骨格)のモル量と同じになる量の化合物8を用い、イミダゾール化合物とポリアミック酸の合計質量が実施例1と同じになるように配合すること以外は実施例1と同様の手法により比較例1の組成物を調製した。
まず、各組成物を100mm×100mmのガラス基材上にスピンコートし、大気圧から50Paまで減圧乾燥(VCD)した。いったん大気圧に戻した後、大気圧条件下80℃においてホットプレート上にて10分間プリベークし、次いで、窒素雰囲気下360℃にて30分間ポストベーク(焼成)して膜厚15μmの硬化物(ポリイミド膜)を得た。
このようにして得られたポリイミド膜について、「DCM−SA2」(製品名、MTSシステムズ・コーポレーション製)を用いて、25℃において、硬化膜(膜厚15μm)の弾性係数を測定した。結果を表1に示す。
なお、硬化物について熱物性(熱膨張率CTE)や光学特性(透過率:波長450nm及び550nm)についても測定したところ、実施例1の組成物から得られる硬化物と比較例1の組成物から得られる硬化物とで、ほぼ同じであった。
Claims (7)
- 下記式(1)で表されるイミダゾール化合物(A)と、
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とからなるモノマー成分及びポリアミック酸よりなる群から選択される少なくとも1つの樹脂前駆体成分(B)と、
溶剤(S)とを含有する感エネルギー性樹脂組成物。
- m価の対カチオンXm+が含窒素複素環を含むカチオンである、請求項1に記載の感エネルギー性樹脂組成物。
- 前記含窒素複素環を含むカチオンが下記式(4)〜(13)のいずれかで表されるカチオンである、請求項2に記載の感エネルギー性樹脂組成物。
R41及びR42は互いに結合して環を形成していてもよい。少なくとも2つのR41は互いに結合して環を形成していてもよい。R43及びR44は互いに結合して環を形成していてもよい。2つのR43は互いに結合して環を形成していてもよい。少なくとも2つのR45は互いに結合して環を形成していてもよい。少なくとも2つのR46は互いに結合して環を形成していてもよい。少なくとも2つのR47は互いに結合して環を形成していてもよい。R48及びR49は互いに結合して環を形成していてもよい。少なくとも2つのR48は互いに結合して環を形成していてもよい。少なくとも2つのR50は互いに結合して環を形成していてもよい。少なくとも2つのR51は互いに結合して環を形成していてもよい。少なくとも2つのR52は互いに結合して環を形成していてもよい。) - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の感エネルギー性樹脂組成物を成形して、硬化物前駆体を形成する形成工程と、
前記硬化物前駆体を露光又は加熱することにより前記硬化物前駆体中の前記ポリアミック酸を閉環させて硬化物を得る閉環工程と
を含む、ポリイミドを含む硬化物の製造方法。 - 前記閉環工程は、前記硬化物前駆体を位置選択的に露光して前記硬化物前駆体中の前記ポリアミック酸を閉環させることにより前記硬化物を得る露光工程を含み、
さらに、該露光工程で露光されなかった未露光部を現像液と接触させて前記未露光部を除去することによりパターニングされた前記硬化物を得る現像工程と、
パターニングされた前記硬化物を加熱する加熱工程とを含む、請求項4に記載の硬化物の製造方法。 - 前記硬化物前駆体の形状が、膜状である、請求項4又は5に記載の硬化物の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の感エネルギー性樹脂組成物の硬化物。
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