JP2020082861A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐ノイズ性能を向上させる。【解決手段】 トレッド部2に、タイヤ周方向に延びる陸部が形成されたタイヤ1である。陸部4には、平面視において、タイヤ周方向の一方に突出するように曲がる複数の軸方向溝状部7が形成されている。軸方向溝状部7は、第1軸方向溝状部7Aと、第1軸方向溝状部7Aとはタイヤ周方向で逆向きに突出する第2軸方向溝状部7Bとを含む。【選択図】図1
Description
本発明は、トレッド部にタイヤ周方向に延びる陸部が形成されたタイヤに関する。
下記特許文献1は、トレッド部に、タイヤ周方向に延びるミドル陸部が形成された空気入りタイヤを提案している。ミドル陸部には、ミドル陸部を横切る複数のミドル横溝が設けられている。トレッド平面視において、各ミドル横溝は、円弧状に湾曲している。
各ミドル横溝は、タイヤ周方向で同じ向きに突出するように湾曲している。このため、上記の空気入りタイヤは、ミドル横溝に起因する走行時の特定周波数帯域のピッチ音が重畳しやすく、ひいては、耐ノイズ性能が低下するという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、耐ノイズ性能を向上することができるタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明は、トレッド部に、タイヤ周方向に延びる陸部が形成されたタイヤであって、前記陸部には、平面視において、タイヤ周方向の一方に突出するように曲がる複数の軸方向溝状部が形成されており、前記軸方向溝状部は、第1軸方向溝状部と、前記第1軸方向溝状部とはタイヤ周方向で逆向きに突出する第2軸方向溝状部とを含むことを特徴とする。
本発明に係る前記タイヤにおいて、前記第1軸方向溝状部と前記第2軸方向溝状部とがタイヤ周方向で隣接していてもよい。
本発明に係る前記タイヤにおいて、前記第2軸方向溝状部は、前記第1軸方向溝状部よりも曲がり具合が小さくてもよい。
本発明に係る前記タイヤにおいて、前記陸部は、前記トレッド部をタイヤ周方向に延びる少なくとも一本の主溝で区分され、前記軸方向溝状部のタイヤ軸方向の端部は、前記主溝、又は、トレッド接地端と交わってもよい。
本発明に係る前記タイヤにおいて、前記軸方向溝状部の最大深さは、前記主溝の最大深さの0.5〜0.9倍であってもよい。
本発明に係る前記タイヤにおいて、前記第1軸方向溝状部は、前記第1軸方向溝状部の最大深さを有する第1深底部と、前記第1深底部のタイヤ軸方向の両外側に配され、かつ、前記第1深底部よりも深さが小さい一対の第1浅底部とを含んでもよい。
本発明に係る前記タイヤにおいて、前記第1浅底部の前記深さは、前記第1軸方向溝状部の最大深さの0.5〜0.9倍であってもよい。
本発明に係る前記タイヤにおいて、前記第2軸方向溝状部は、前記第2軸方向溝状部の最大深さを有する第2深底部と、前記第2深底部のタイヤ軸方向の両外側に配され、かつ、前記第2深底部よりも深さが小さい一対の第2浅底部とを含んでもよい。
本発明に係る前記タイヤにおいて、前記第2浅底部の前記深さは、前記第2軸方向溝状部の最大深さの0.5〜0.9倍であってもよい。
本発明に係る前記タイヤにおいて、前記軸方向溝状部は、タイヤ周方向で最も突出する凸部を有し、前記凸部は、前記陸部のタイヤ軸方向の幅の中心位置からタイヤ軸方向の両側に、前記幅の20%の距離を隔てた範囲内に配されてもよい。
本発明のタイヤは、タイヤ周方向に延びる陸部に、平面視において、タイヤ周方向の一方に突出するように曲がる複数の軸方向溝状部が形成されている。前記軸方向溝状部は、第1軸方向溝状部と、前記第1軸方向溝状部とはタイヤ周方向で逆向きに突出する第2軸方向溝状部とを含んでいる。したがって、本発明のタイヤは、タイヤ周方向で逆向きに突出する前記第1軸方向溝状部及び前記第2軸方向溝状部が、それぞれ異なる周波数帯域のピッチ音を生成し、ひいては、ピッチ音の周波数帯域を広い範囲に分散させることができる。従って、本発明のタイヤは、耐ノイズ性能を向上させることができる。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本発明のタイヤ1のトレッド部2の一例を示す展開図である。図2は、図1のA−A断面図である。本実施形態のタイヤ1は、例えば、トラックやバス等の重荷重用のものとして好適に使用されるが、乗用車用のものに使用されてもよい。
図1は、本発明のタイヤ1のトレッド部2の一例を示す展開図である。図2は、図1のA−A断面図である。本実施形態のタイヤ1は、例えば、トラックやバス等の重荷重用のものとして好適に使用されるが、乗用車用のものに使用されてもよい。
トレッド部2には、タイヤ周方向に延びる少なくとも一本(本実施形態では、複数本)の主溝3が設けられている。この主溝3により、トレッド部2には、タイヤ周方向に延びる陸部4が形成される。
本実施形態の主溝3は、センター主溝3Aと、一対のショルダー主溝3B、3Bとを含んでいる。
図3は、図1の第1陸部4A及び第2陸部4Bの拡大図である。図3において、後述の第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bに溝中心線7c(一点鎖線で示す)を記載している部分では、後述のサイプ部22を省略して示している。図1及び図3に示されるように、本実施形態のセンター主溝3Aは、タイヤ赤道C上を、タイヤ周方向に沿って延びている。なお、センター主溝3Aは、例えば、タイヤ赤道Cの両側に1本ずつ設けられるものでもよい。
本実施形態のセンター主溝3Aは、タイヤ周方向にジグザグ状に延びてている。これにより、センター主溝3Aには、タイヤ軸方向の一方側又は他方側で凸となる頂部12(図3に示す)が交互に設けられる。このようなセンター主溝3Aは、タイヤ軸方向のエッジを提供し、トラクション性能を高めることができる。なお、センター主溝3Aは、例えば、タイヤ周方向に、直線状又は波状に延びるものでもよい。
図4は、図1の第1陸部4A及び第3陸部4Cの拡大図である。図5は、図1の第2陸部4B及び第4陸部4Dの拡大図である。図4及び図5において、後述の第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bに溝中心線7c(一点鎖線で示す)を記載している部分では、後述のサイプ部22を省略して示している。
図1、図4及び図5に示されるように、一対のショルダー主溝3B、3Bは、センター主溝3Aとトレッド接地端2eとの間で、タイヤ周方向に沿ってそれぞれ延びている。一対のショルダー主溝3B、3Bは、タイヤ周方向にジグザグ状に延びている。これにより、一対のショルダー主溝3B、3Bは、タイヤ軸方向の内側で凸となる内側頂部13と、タイヤ軸方向の外側で凸となる外側頂部14とが交互に設けられる。このような一対のショルダー主溝3B、3Bは、センター主溝3Aと同様に、タイヤ軸方向のエッジを提供し、トラクション性能を高めることができる。なお、一対のショルダー主溝3B、3Bは、例えば、タイヤ周方向に、直線状又は波状に延びるものでもよい。
「トレッド接地端2e」は、外観上、明瞭なエッジによって識別しうるときには当該エッジとする。なお、エッジが識別不能の場合には、正規リム(図示せず)にリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも正規荷重を負荷してキャンバー角0°でトレッド部2を平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置である。本明細書において、タイヤ1の各部の寸法は、特に断りがない限り、正規リムにリム組みされ、かつ、正規内圧が充填された無負荷の状態である正規状態において特定される値とする。
「正規リム」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
「正規内圧」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
「正規荷重」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。
図1に示されるように、センター主溝3A及びショルダー主溝3Bのタイヤ軸方向の幅W1、及び、最大深さD(図2に示す)については、適宜設定することができる。センター主溝3A及びショルダー主溝3Bの幅W1は、例えば、トレッド幅TWの4.0%〜7.0%程度に設定されるのが望ましい。ここで、トレッド幅TWは、トレッド接地端2e、2e間のタイヤ軸方向距離である。センター主溝3A及びショルダー主溝3Bの最大深さDは、10〜25mm程度に設定されるのが望ましい。
本実施形態の陸部4は、互いに隣接する第1陸部4Aと第2陸部4Bとを含んでいる。さらに、本実施形態の陸部4は、第3陸部4Cと第4陸部4Dとを含んでいる。
本実施形態の第1陸部4A及び第2陸部4Bは、センター主溝3Aと、一対のショルダー主溝3B、3Bとによってそれぞれ区分されている。第1陸部4Aは、センター主溝3Aに対して、タイヤ軸方向の一方側に配されている。第2陸部4Bは、センター主溝3Aに対して、タイヤ軸方向の他方側に配されている。従って、第1陸部4A及び第2陸部4Bは、センター主溝3Aを介して互いに隣接している。第1陸部4A及び第2陸部4Bの幅W2については、適宜設定することができる。本実施形態の幅W2は、トレッド幅TWの20%〜24%程度に設定されるのが望ましい。
図3に示されるように、第1陸部4A及び第2陸部4Bのセンター主溝3Aに面する縁部には、センター主溝3Aの頂部12によってタイヤ軸方向に突出する複数の凸部分15が設けられている。さらに、第1陸部4A及び第2陸部4Bのショルダー主溝3Bに面する縁部には、ショルダー主溝3Bの外側頂部14(図4及び図5に示す)によってタイヤ軸方向に突出する複数の凸部分15が設けられている。これらの凸部分15には、面取り部16が形成されている。このような面取り部16は、凸部分15で生じがちな摩耗を防ぐことができる。
図1に示されるように、第3陸部4C及び第4陸部4Dは、ショルダー主溝3B、3Bと、トレッド接地端2eとによってそれぞれ区分されている。第3陸部4Cは、タイヤ軸方向の一方側に配されたショルダー主溝3Bを介して、第1陸部4Aに隣接している。第4陸部4Dは、タイヤ軸方向の他方側に配されたショルダー主溝3Bを介して、第2陸部4Bに隣接している。第3陸部4C及び第4陸部4Dの幅W3については、適宜設定することができる。本実施形態の幅W3は、トレッド幅TWの18%〜22%程度に設定されるのが望ましい。
図4及び図5に示されるように、第3陸部4C及び第4陸部4Dの主溝3(ショルダー主溝3B)に面する縁部には、ショルダー主溝3Bの内側頂部13によってタイヤ軸方向に突出する複数の凸部分15が設けられている。この凸部分15には、面取り部16が形成されている。このような面取り部16は、凸部分15で生じがちな摩耗を防ぐことができる。さらに、第3陸部4C及び第4陸部4Dには、トレッド接地端2eに、後述の軸方向溝状部7(第3軸方向溝状部7C)と連通するラグ溝11が設けられている。このようなラグ溝11は、後述の軸方向溝状部7とともに、路面上の水膜を、タイヤ軸方向外側に排出しうる。
図1に示されるように、陸部4(本例では、第1陸部4A〜第4陸部4D)には、平面視において、タイヤ周方向の一方に突出するように曲がる複数の軸方向溝状部7が形成されている。これらの軸方向溝状部7により、第1陸部4A〜第4陸部4Dは、複数のブロック状部10にそれぞれ区分される。
各ブロック状部10は、平面視において、横長矩形状に形成されている。このようなブロック状部10は、タイヤ軸方向の剛性を高めることができるため、操縦安定性能を向上しうる。各ブロック状部10の踏面10sは、互いの面積を比べたときに、最も大きい面積が、最も小さい面積の1.2倍以下とされるのが望ましい。これにより、ブロック状部10、10の剛性を均一に近づけることができるため、偏摩耗やクラックの発生を抑制することができる。このような観点より、各ブロック状部10の踏面10sは、好ましくは、最も大きい面積が最も小さい面積の1.1倍以下であり、より好ましくは、1.05倍以下であり、最も好ましくは、1.0倍である。
本実施形態の軸方向溝状部7は、平面視において、円弧状に延びている。このような軸方向溝状部7は、タイヤ軸方向及びタイヤ周方向のエッジを提供することができるため、トラクション性能を向上させることができる。
図3〜図5に示されるように、本実施形態の軸方向溝状部7のタイヤ軸方向の端部7t、7tは、主溝3(本例では、センター主溝3A又はショルダー主溝3B)、又は、トレッド接地端2eと交わっている。なお、本実施形態において、軸方向溝状部7の端部7tが、陸部4に設けられた面取り部16、16又はラグ溝11に交わっている場合には、その端部7tは、主溝3又はトレッド接地端2eと交わっているものとみなす。
このような軸方向溝状部7は、陸部4をタイヤ軸方向に横切って設けられるため、例えば、その端部7tが陸部4内で終端するような軸方向溝状部(図示省略)に比べて、陸部4のタイヤ軸方向の剛性に偏りが生じるの防ぐことができる。したがって、軸方向溝状部7は、陸部4に偏摩耗が生じるのを防ぐことができる。
図3に示されるように、軸方向溝状部7は、タイヤ周方向で最も突出する凸部17を有している。この凸部17は、軸方向溝状部7の溝中心線7cに基づいて特定されるものとする。本実施形態の凸部17は、陸部4のタイヤ軸方向の幅(図1に示した幅W2又は幅W3)の中心位置18からタイヤ軸方向の両側に、陸部4の幅の20%の距離を隔てた範囲T1内に配されている。これにより、軸方向溝状部7は、凸部17のタイヤ軸方向の両側において、軸方向溝状部7の縁部分20、20の剛性を略均一にすることができるため、陸部4の偏摩耗を防ぐことができる。偏摩耗をより効果的に防ぐために、凸部17は、中心位置18から陸部4の幅の10%の距離を隔てた範囲(図示省略)内に配されるのが望ましい。
本実施形態の軸方向溝状部7は、平面視において、その全長に亘って円弧状に形成されている。ここで、軸方向溝状部7の全長は、軸方向溝状部7の溝中心線7cと、主溝3(センター主溝3A又はショルダー主溝3B)とが交わる軸方向溝状部7の両端部7t、7t間において、溝中心線7cに沿った距離として定義される。このような軸方向溝状部7は、その全長に亘って、タイヤ軸方向及びタイヤ周方向のエッジを提供することができる。なお、軸方向溝状部7は、その全長に亘って円弧状に形成されるものに限定されるわけではなく、例えば、その全長の一部が、直線状や波状に形成されてもよい。
本実施形態の軸方向溝状部7は、第1軸方向溝状部7Aと、第1軸方向溝状部7Aとはタイヤ周方向で逆向きに突出する第2軸方向溝状部7Bとを含んで構成されている。第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bは、第1陸部4A及び第2陸部4Bにそれぞれ設けられている。
本実施形態の第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bは、センター主溝3Aと、ショルダー主溝3Bとの間を連通している。さらに、第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bは、第1陸部4A及び第2陸部4Bのそれぞれにおいて、タイヤ周方向に交互に設けられている。
上記のように構成された第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bは、タイヤ周方向で逆向きに突出しているため、タイヤ1が路面を転動する際に、それぞれ異なる周波数帯域のピッチ音を生成することができる。これにより、タイヤ1は、ピッチ音の周波数帯域を広い範囲に分散させることができるため、ノイズ性能を向上させることができる。
上記作用を効果的に発揮させるために、第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bは、タイヤ周方向で隣接するのが望ましい。これにより、それぞれ異なる周波数帯域のピッチ音が交互に生成されるため、ピッチ音の重畳を効果的に防ぐことができる。さらに、第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bタイヤ周方向の間隔L5は、20〜40mmに設定されるのが望ましい。なお、間隔L5は、軸方向溝状部7の溝中心線7cに基づいて特定されるものとする。
本実施形態の軸方向溝状部7は、第1軸方向溝状部7Aと、第2軸方向溝状部7Bとの曲がり具合が異なっている。
本明細書において、「曲がり具合」は、図3に示されるように、軸方向溝状部7の全長の中間部8aと、軸方向溝状部7の両端部7t、7tからそれぞれ全長の25%の長さL6を中間部8a側に隔てた第1端部8b及び第2端部8cとを用いた3点円弧の曲率半径として定義される。なお、中間部8a、第1端部8b及び第2端部8cは、軸方向溝状部7の溝中心線7c上で特定されるものとする。
本実施形態において、第2軸方向溝状部7Bは、第1軸方向溝状部よりも曲がり具合が小さい(即ち、第2軸方向溝状部7Bの曲率半径R2は、第1軸方向溝状部7Aの曲率半径R1よりも大きい)。このような第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bは、互いに異なるエッジを提供することができるため、トラクション性能及びウエット性能を効果的に向上させることができる。
さらに、第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bは、曲がり具合が互いに異なるため、例えば、同一の曲がり具合のものを逆向きに突出させた場合に比べて、より異なる周波数帯域のピッチ音を生成することができる。従って、タイヤ1は、ピッチ音の周波数帯域を広い範囲に分散させることができるため、ノイズ性能を向上させることができる。
第2軸方向溝状部7Bの曲率半径R2は、第1軸方向溝状部7Aの曲率半径R1の1.1〜10倍が望ましい。曲率半径R2が曲率半径R1の1.1倍以上に限定されることで、ピッチ音の周波数帯域を広い範囲に分散させることができ、ノイズ性能を向上しうる。一方、曲率半径R2が曲率半径R1の10倍以下に限定されることで、第1軸方向溝状部7A又は第2軸方向溝状部7Bを介してタイヤ周方向で隣り合うブロック状部10、10の剛性が不均一となるのを防ぐことができ、偏摩耗を抑制することができる。このような観点より、曲率半径R2は、好ましくは、曲率半径R1の2倍以上であり、また、好ましくは、8倍以下である。
第1軸方向溝状部7Aの曲率半径R1及び第2軸方向溝状部7Bの曲率半径R2については、曲率半径R1が曲率半径R2よりも小さければ、適宜設定することができる。なお、曲率半径R1及び曲率半径R2が小さいと、第1軸方向溝状部7Aの縁部分20A、20A及び第2軸方向溝状部7Bの縁部分20B、20Bの剛性が小さくなり、偏摩耗やクラックの起点になりやすくなる。逆に、曲率半径R1及び曲率半径R2が大きくても、ウエット性能が低下するおそれがある。このような観点より、曲率半径R1は、20〜100mmに設定されるのが望ましく、また、曲率半径R2は、60〜200mmに設定されるのが望ましい。
第1陸部4Aの第1軸方向溝状部7Aの突出方向と、第2陸部4Bの第1軸方向溝状部7Aの突出方向とは、タイヤ周方向において、逆向きに設定されるのが望ましい。さらに、第1陸部4Aの第2軸方向溝状部7Bの突出方向と、第2陸部4Bの第2軸方向溝状部7Bの突出方向とは、タイヤ周方向において、逆向きに設定されるのが望ましい。これにより、第1陸部4Aと第2陸部4Bとで、第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bのピッチ音を互いに異ならせることができるため、ピッチ音の重畳を効果的に防ぐことができる。
さらに、第1陸部4Aに形成された軸方向溝状部7は、第2陸部4Bに形成された軸方向溝状部7に対して、タイヤ周方向において異なる位置に形成されているのが望ましい。これにより、第1陸部4Aと第2陸部4Bとで、ピッチ音を発生させるタイミングをずらすことができるため、ピッチ音の重畳を効果的に防ぐことができる。
本実施形態の第1陸部4Aに形成された軸方向溝状部7は、第2陸部4Bに形成された軸方向溝状部7に対して、距離L1でタイヤ周方向において異なる位置に形成されている。本実施形態において、距離L1は、第1陸部4Aの第1軸方向溝状部7Aの端部7tと、第2陸部4Bの第1軸方向溝状部7Aの端部7tとに基づいて定義されている。また、距離L1は、第1陸部4Aの第1軸方向溝状部7Aの突出方向と、第2陸部4Bの第1軸方向溝状部7Aの突出方向とが離れる向きの距離として定義される。
なお、距離L1が、第1軸方向溝状部7Aのタイヤ周方向のピッチPに対して小さいと、ピッチ音を発生させるタイミングを十分にずらせない。逆に、距離L1が、ピッチPに対して大きいと、タイヤ周方向で隣接する他の軸方向溝状部7に対する距離L1が小さくなるおそれがある。このような観点より、距離L1は、好ましくは、ピッチPの0.1倍以上であり、また、好ましくは、ピッチPの0.9倍以下である。なお、第1軸方向溝状部7AのピッチPは、軸方向溝状部7の端部7tに基づいて定義される。また、第1陸部4Aの第2軸方向溝状部7Bと、第2陸部4Bの第2軸方向溝状部7Bとの間の距離(図示省略)も、同一範囲に設定されるのが望ましい。
図6は、図1の第1軸方向溝状部7AのB−B断面図である。図2及び図6に示されるように、本実施形態の第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bは、本体部21と、サイプ部22とを含んで構成されている。なお、第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bは、本体部21のみで構成されてもよいし、サイプ部22のみで構成されてもよい。
図6に示されるように、本体部21は、サイプ部22よりも大きな幅を有している。このような本体部21は、第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bの溝容積を大きくすることができるため、排水性能の向上に役立つ。本体部21の幅W4及び最大深さD3については、適宜設定することができる。本実施形態の幅W4は、例えば、2.5〜3.5mm程度に設定され、また、最大深さD3は、例えば、1.5〜2.5mm程度に設定される。
サイプ部22は、本体部21よりも小さい幅(例えば、幅W5が1.5mm以下)の切れ込みである。このサイプ部22は、本体部21の底部21bからタイヤ半径方向内方に延びている。図2に示されるように、本実施形態のサイプ部22の底部22bは、第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bの端部7t、7t(図3に示す)間を、タイヤ軸方向に一定の深さ(最大深さD4(図6に示す))でのびている。このようなサイプ部22は、その両側の壁面22w、22wが支え合うことにより、軸方向溝状部7の両側のブロック状部10の変形を効果的に抑制しうる。従って、軸方向溝状部7は、耐摩耗性能及び排水性能の向上に役立つ。サイプ部22の最大深さD4については、適宜設定することができる。本実施形態の最大深さD4は、11〜17mm程度に設定される。
上記のような第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bにより、第1陸部4A及び第2陸部4Bは、図1に示されるように、タイヤ周方向に実質的に連続するリブとして形成されている。ここで、リブについて「連続する」とは、幅が3.5mmよりも大きい切り込みである横溝(図示省略)等によって、タイヤ周方向に分断されていないことを意味する。このような第1陸部4A及び第2陸部4Bは、例えば、横溝等で分断されたブロック列に比べて、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向の剛性を高めることができる。従って、タイヤ1は、ドライ路面での走行性能を高めることができる。
なお、第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bは、本体部21の幅W4が3.5mmよりも大きい横溝(図示省略)として構成されてもよい。このような第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bは、エッジを提供しつつ、路面の水膜を効果的に排水することができる。
図2に示されるように、第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bの最大深さDsは、主溝3の最大深さDの0.5倍以上、より好ましくは0.55倍以上であり、また、好ましくは0.8倍以下、より好ましくは0.75倍以下である。最大深さDsは、図6に示されるように、トレッド踏面2sからサイプ部22の底部22bまでの深さのうち、最大となる深さとして特定される。
最大深さDsが、主溝3の最大深さDの0.5倍以上に設定されることで、陸部4(第1陸部4A及び第2陸部4B)と路面との間の水膜を、センター主溝3A及びショルダー主溝3B側へ効果的に排出できる。一方、最大深さDsが、主溝3の最大深さDの0.8倍以下に設定されることで、第1陸部4A及び第2陸部4Bの剛性低下を防ぐことができるため、偏摩耗やクラックの発生を抑制しうる。
第1軸方向溝状部7A又は第2軸方向溝状部7Bを介してタイヤ周方向で隣り合うブロック状部10、10は、第1軸方向溝状部7Aの曲がり具合(曲率半径R1)と、第2軸方向溝状部7Bの曲がり具合(曲率半径R2)との差が大きくなるほど、それらの剛性差が大きくなり、偏摩耗が発生しやすい。このため、第1軸方向溝状部7Aの曲がり具合と、第2軸方向溝状部7Bの曲がり具合との差が大きいほど、第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bの最大深さDs(図2に示す)を小さくするのが望ましい。これにより、ブロック状部10、10の剛性差を小さくできるため、偏摩耗の発生を防ぐことができる。
上記作用を効果的に発揮させるために、軸方向溝状部7の最大深さDs(図2に示す)と主溝3の深さD(図2に示す)との比(Ds/D)は、下記式(1)を満足するのが望ましい。これにより、第1軸方向溝状部7Aの曲がり具合(曲率半径R1)と、第2軸方向溝状部7Bの曲がり具合(曲率半径R2)との差が大きいほど、主溝3の深さDに対して、軸方向溝状部7の深さDsの深さ(図示省略)を小さくすることができる。これにより、ブロック状部10、10の剛性差を小さくすることができる。
Ds/D<(R1+R2×2)/(R2×3)…(1)
Ds/D<(R1+R2×2)/(R2×3)…(1)
本実施形態では、第1軸方向溝状部7A又は第2軸方向溝状部7Bが同一の最大深さDsを有するものが示されたが、このような態様に限定されない。例えば、第1軸方向溝状部7Aの最大深さDsを、第2軸方向溝状部7Bの最大深さDsよりも小さくしてもよい。これにより、曲がり具合が大きい(即ち、曲率半径R1が小さい)ことによって、相対的に剛性が小さくなりやすい第1軸方向溝状部7Aの縁部分20A、20Aの剛性を大きくすることができる。これにより、第1軸方向溝状部7Aの縁部分20A、20Aと、第2軸方向溝状部7Bの縁部分20B、20B(図3に示す)との剛性差を小さくすることができるため、偏摩耗を抑制することができる。
図1に示されるように、本実施形態の軸方向溝状部7は、第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bとは曲がり具合が異なる第3軸方向溝状部7Cを含んでいる。本実施形態の第3軸方向溝状部7Cは、第3陸部4C及び第4陸部4Dにそれぞれ設けられており、タイヤ周方向に隔設されている。このような第3軸方向溝状部7Cは、第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bとは異なるエッジを提供できるため、トラクション性能及びウエット性能を効果的に向上させることができる。
第3陸部4Cの第3軸方向溝状部7Cの突出方向と、第1陸部4Aの第1軸方向溝状部7Aの突出方向とは、タイヤ周方向において、逆向きに設定されている。さらに、第4陸部4Dの第3軸方向溝状部7Cの突出方向と、第2陸部4Bの第1軸方向溝状部7Aの突出方向とは、タイヤ周方向において逆向きに設定されている。これにより、第3軸方向溝状部7Cは、第1陸部4A及び第2陸部4Bで相対的に大きなエッジを提供する第1軸方向溝状部7Aに対して、タイヤ周方向に逆向きのエッジを提供できるため、トラクション性能及びウエット性能を効果的に向上させることができる。さらに、第3軸方向溝状部7Cは、タイヤ1が路面を転動する際に、第1軸方向溝状部7Aとは異なる周波数帯域のピッチ音を生成することができる。これにより、タイヤ1は、ピッチ音の周波数帯域を広い範囲に分散させることができるため、ノイズ性能を向上させることができる。
第3軸方向溝状部7Cの幅W6及び最大深さD6(図2に示す)については、適宜設定することができる。第3軸方向溝状部7Cの幅W6は、第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bの本体部21の幅W4(図6に示す)よりも小に設定され、例えば、1.3〜2.0mm程度に設定される。このような第3軸方向溝状部7Cにより、旋回時に接地圧が相対的に大きくなる第3陸部4C及び第4陸部4Dの剛性は、相対的に高められるため、偏摩耗を抑制することができる。なお、第3軸方向溝状部7Cの最大深さD6は、第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bの本体部21の最大深さD3(図6に示す)と同一範囲に設定されるのが望ましい。
図4及び図5に示されるように、本実施形態の第3軸方向溝状部7Cは、第3陸部4C及び第4陸部4Dの外側領域To内に中心(図示省略)を有する円弧に形成されている。ここで、「外側領域To」とは、第3陸部4C及び第4陸部4Dにおいて、幅方向の中心位置4cよりもタイヤ軸方向外側の領域である。
このような第3軸方向溝状部7Cは、第3陸部4C及び第4陸部4Dの外側領域Toで相対的に接地圧が大きくなる旋回時において、エッジを効果的に提供できるため、旋回性能を向上させることができる。さらに、第3軸方向溝状部7Cは、その端部7tがラグ溝11に連通しているため、路面の水膜を、ラグ溝11から効果的に排水することができ、ウエット性能を向上させることができる。
第3軸方向溝状部7Cの曲率半径R3については、適宜設定することができる。第3軸方向溝状部7Cの曲率半径R3は、図3に示した第1軸方向溝状部7Aの曲率半径R1及び第2軸方向溝状部7Bの曲率半径R2と同一の観点より、40〜200mmに設定されるのが望ましい。
図4に示されるように、第3陸部4Cの第3軸方向溝状部7Cは、第1陸部4Aの軸方向溝状部7(本実施形態では、第1軸方向溝状部7A)に対して、距離L3でタイヤ周方向において異なる位置に形成されているのが望ましい。距離L3は、第3陸部4Cの第3軸方向溝状部7Cの端部7tと、第1陸部4Aの第1軸方向溝状部7Aの端部7tとに基づいて、定義される。また、距離L3は、第3陸部4Cの第3軸方向溝状部7Cの突出方向と、第1陸部4Aの第1軸方向溝状部7Aの突出方向とが離れる向きの距離として定義される。
第3陸部4Cの第3軸方向溝状部7Cは、タイヤ周方向で隣り合う一対の第1軸方向溝状部7A、7Aに、2つ形成されている。このため、距離L3は、大小2つ定義される。これにより、タイヤ1は、第3陸部4Cと第1陸部4Aとで、ピッチ音を発生させるタイミングをずらせるため、ピッチ音の重畳を効果的に防ぐことができる。このような作用を効果的に発揮させるために、2つの距離L3のうち、小さい方の距離L3は、第1軸方向溝状部7Aのタイヤ周方向のピッチP(図3に示す)の0.1〜0.4倍に設定されるのが望ましく、また、大きい方の距離L3は、ピッチPの0.6〜0.9倍に設定されるのが望ましい。
図5に示されるように、第4陸部4Dの第3軸方向溝状部7Cは、図4に示した第3陸部4Cの第3軸方向溝状部7C(図4に示す)と同様に、第2陸部4Bの軸方向溝状部7(本実施形態では、第1軸方向溝状部7A)に対して、距離L4でタイヤ周方向において異なる位置に形成されているのが望ましい。距離L4は、第4陸部4Dの第3軸方向溝状部7Cの端部7tと、第2陸部4Bの第1軸方向溝状部7Aの端部7tとに基づいて、定義される。また、距離L4は、距離L3(図4に示す)と同様に、大小2つ定義され、小さい方の距離L4は、第1軸方向溝状部7Aのタイヤ周方向のピッチP(図3に示す)の0.1〜0.4倍に設定されるのが望ましく、また、大きい方の距離L4は、ピッチPの0.6〜0.9倍に設定されるのが望ましい。
図2に示したように、これまでの実施形態では、第1軸方向溝状部7A、及び、第2軸方向溝状部7Bにおいて、サイプ部22の底部22bが、一定の深さ(最大深さ)D4を有するものが例示されたが、このような態様に限定されない。図7は、本発明の他の実施形態の部分断面図である。この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の第1軸方向溝状部7Aは、第1深底部25と、第1深底部25のタイヤ軸方向の両外側に配された一対の第1浅底部26、26とを含んで構成されている。この実施形態において、これらの第1深底部25及び第1浅底部26は、第1軸方向溝状部7Aのサイプ部22に形成されている。第1深底部25は、タイヤ軸方向に延びており、第1軸方向溝状部7Aの最大深さDsを有している。一方、一対の第1浅底部26、26は、第1深底部25から段差部27を介してタイヤ軸方向の外側にそれぞれ延びている。これにより、第1軸方向溝状部7A(サイプ部22)は、タイヤ軸方向の中央部で、深さが相対的に大きくなる舌状に形成される。
上記のように構成された第1軸方向溝状部7Aは、一対の第1浅底部26、26によって、第1陸部4Aにおいて相対的に摩耗しやすいタイヤ軸方向の両側の剛性を高くすることができるため、第1陸部4Aの偏摩耗を防ぐことができる。また、第1軸方向溝状部7Aには、第1深底部25によって、排水性能を維持することができる。
このような作用を効果的に発揮させるために、第1浅底部26の深さ(最大深さ)D7は、第1軸方向溝状部7Aの最大深さDsの0.5〜0.9倍に設定されるのが望ましい。第1浅底部26の深さD7が、最大深さDsの0.9倍以下に設定されることで、第1陸部4Aのタイヤ軸方向の両側の剛性を高くすることができるため、偏摩耗やクラックの発生を抑制することができる。一方、第1浅底部26の深さD7が、最大深さDsの0.5倍以上に設定されることで、排水性能を維持することができる。このような観点より、第1浅底部26の深さD7は、より好ましくは、最大深さDs1の0.8倍以下であり、また、より好ましくは0.6倍以上である。
この実施形態の第2軸方向溝状部7Bは、第1軸方向溝状部7Aと同様に、第2深底部28と、第2深底部28のタイヤ軸方向の両外側に配された一対の第2浅底部29、29とを含んで構成されている。この実施形態において、これらの第2深底部28及び第2浅底部29は、第2軸方向溝状部7Bのサイプ部22に形成されている。第2深底部28は、タイヤ軸方向に延びており、第2軸方向溝状部7Bの最大深さDsを有している。一方、一対の第2浅底部29、29は、第2深底部28から段差部30を介してタイヤ軸方向の外側にそれぞれ延びている。これにより、第2軸方向溝状部7B(サイプ部22)は、タイヤ軸方向の中央部で、深さが相対的に大きくなる舌状に形成される。
上記のように構成された第2軸方向溝状部7Bは、一対の第2浅底部29、29によって、第2陸部4Bにおいて相対的に摩耗しやすいタイヤ軸方向の両側の剛性を高くすることができるため、第2陸部4Bの偏摩耗を防ぐことができる。また、第2軸方向溝状部7Bには、第2深底部によって、排水性能を維持することができる。
このような作用を効果的に発揮させるために、第2浅底部29の深さ(最大深さ)D8は、好ましくは、第2軸方向溝状部7Bの最大深さDsの0.9倍以下、さらに好ましくは、最大深さDsの0.8倍以下であり、また、好ましくは、最大深さDsの0.5倍以上、さらに好ましくは、最大深さDsの0.6倍以上である。
図1に示されるように、これまでの実施形態では、円弧状にのびる第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bが例示されたが、このような態様に限定されない。図8は、本発明の他の実施形態のタイヤ1のトレッド部2の一例を示す展開図である。この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
図8に示されるように、この実施形態の第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bは、平面視において、V字状に延びている。なお、V字状の軸方向溝状部7の曲がり具合は、円弧状の軸方向溝状部7の曲がり具合と同様に、図3に示した第1端部8b及び第2端部8cとを用いた3点円弧の曲率半径として定義される。
このようなV字状の軸方向溝状部7は、図1に示した円弧状の軸方向溝状部7に比べて、ナイフブレードによる加工が容易であり、また、デザインのバリエーションを容易に広げることができる。また、第3軸方向溝状部7Cも、第1軸方向溝状部7A及び第2軸方向溝状部7Bと同様に、V字状に延びていても良い。
図9(a)、(b)は、本発明のさらに他の実施形態の第1陸部4Aの部分展開図である。この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
図9(a)の実施形態では、平面視において、第1軸方向溝状部7AがV字状に延びるとともに、第2軸方向溝状部7Bが円弧状に延びている。一方、図9(b)の実施形態では、平面視において、第1軸方向溝状部7Aが円弧状に延びるとともに、第2軸方向溝状部7BがV字状に延びている。このように、これらの実施形態では、円弧状に延びる第1軸方向溝状部7A又は第2軸方向溝状部7Bと、V字状に延びる第1軸方向溝状部7A又は第2軸方向溝状部7Bとを混在させることができるため、ピッチ音の重畳をより効果的に防ぎつつ、トラクション性能及びウエット性能を向上させることができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示す基本構造を有し、かつ、表1の軸方向溝状部を有するタイヤが試作された(実施例1〜5、比較例)。実施例1〜5の軸方向溝状部には、第1軸方向溝状部と、第1軸方向溝状部とはタイヤ周方向で逆向きに突出する第2軸方向溝状部とが含まれている。一方、比較例の軸方向溝状部は、タイヤ周方向で同じ向きに突出する第1軸方向溝状部及び第2軸方向溝状部が含まれている。そして、実施例1〜5のタイヤ、及び、比較例のタイヤについて、それらの性能が評価された。各実施例及び比較例に共通する仕様は、以下のとおりである。
サイズ:275/70R22.5
リム:22.5×8.25
タイヤ内圧:900kPa
テスト車両:CITYBUS(巡回バス)
テストタイヤの装着位置:全輪
トレッド幅TW:246mm
主溝:
幅W1/TW:5.5%〜6.8%
最大深さD:20.0mm
第1陸部及び第2陸部の幅W2/TW:21.9%
第3陸部及び第4陸部の幅W3/TW:19.2%
軸方向溝状部の凸部の位置:陸部のタイヤ軸方向の幅の中心位置からタイヤ軸方向の両側に、幅の20%の距離を隔てた範囲内
第1軸方向溝状部:
ピッチP:60.7mm
本体部:
幅W4:2.8mm
最大深さD3:2.1mm
第2軸方向溝状部:
本体部:
幅W4:2.8mm
最大深さD3:2.1mm
第3軸方向溝状部:
曲がり具合(曲率半径)R3:80mm
幅W6:1.7mm
最大深さD6:2.1mm
第1陸部の軸方向溝状部と、第2陸部の軸方向溝状部との間の距離L1/ピッチP:0.32
第3陸部の第3軸方向溝状部と、第1陸部の第1軸方向溝状部との間の距離L3/ピッチP:0.32、0.82
第4陸部の第3軸方向溝状部と、第2陸部の第1軸方向溝状部との間の距離L4/ピッチP:0.32、0.82
テスト方法は、次のとおりである
サイズ:275/70R22.5
リム:22.5×8.25
タイヤ内圧:900kPa
テスト車両:CITYBUS(巡回バス)
テストタイヤの装着位置:全輪
トレッド幅TW:246mm
主溝:
幅W1/TW:5.5%〜6.8%
最大深さD:20.0mm
第1陸部及び第2陸部の幅W2/TW:21.9%
第3陸部及び第4陸部の幅W3/TW:19.2%
軸方向溝状部の凸部の位置:陸部のタイヤ軸方向の幅の中心位置からタイヤ軸方向の両側に、幅の20%の距離を隔てた範囲内
第1軸方向溝状部:
ピッチP:60.7mm
本体部:
幅W4:2.8mm
最大深さD3:2.1mm
第2軸方向溝状部:
本体部:
幅W4:2.8mm
最大深さD3:2.1mm
第3軸方向溝状部:
曲がり具合(曲率半径)R3:80mm
幅W6:1.7mm
最大深さD6:2.1mm
第1陸部の軸方向溝状部と、第2陸部の軸方向溝状部との間の距離L1/ピッチP:0.32
第3陸部の第3軸方向溝状部と、第1陸部の第1軸方向溝状部との間の距離L3/ピッチP:0.32、0.82
第4陸部の第3軸方向溝状部と、第2陸部の第1軸方向溝状部との間の距離L4/ピッチP:0.32、0.82
テスト方法は、次のとおりである
<耐偏摩耗性能>
上記テスト車両で、乾燥した舗装路面を10000km走行した後に、第1陸部及び第2陸部において、複数箇所の摩耗量が測定され、これらの摩耗量のバラツキが求められた。結果は、実施例1の摩耗量のバラツキを100とする指数で表示されている。数値が小さいほど、偏摩耗が小さく良好である。
上記テスト車両で、乾燥した舗装路面を10000km走行した後に、第1陸部及び第2陸部において、複数箇所の摩耗量が測定され、これらの摩耗量のバラツキが求められた。結果は、実施例1の摩耗量のバラツキを100とする指数で表示されている。数値が小さいほど、偏摩耗が小さく良好である。
<耐ノイズ性能>
上記テスト車両で、乾燥した舗装路面を速度60km/hで走行させ、車室内で聴取されるノイズがドライバーの官能により評価された。結果は、実施例1を100とする指数で表示されている。数値が小さいほどノイズが小さく良好である。
上記テスト車両で、乾燥した舗装路面を速度60km/hで走行させ、車室内で聴取されるノイズがドライバーの官能により評価された。結果は、実施例1を100とする指数で表示されている。数値が小さいほどノイズが小さく良好である。
<ウエット性能>
上記テスト車両で、厚さ2mmの水膜を有するアスファルト路面に65km/hの速度で進入し、急制動が行われた。このとき、テスト車両が60km/hから20km/hまで減速するのに要した時間が測定された。結果は、実施例1を100とする指数で表示されており、数値が小さいほど良好である。
上記テスト車両で、厚さ2mmの水膜を有するアスファルト路面に65km/hの速度で進入し、急制動が行われた。このとき、テスト車両が60km/hから20km/hまで減速するのに要した時間が測定された。結果は、実施例1を100とする指数で表示されており、数値が小さいほど良好である。
<耐クラック性能>
上記条件でリム装着された各試供タイヤを、直径1.7mのドラム上を6000km走行させ、軸方向溝状部近傍の損傷状態が肉眼で観察された。結果は、実施例1の損傷状態を100とする評点とした。数値が小さいほど良好である。
タイヤ縦荷重:61.71kN
速度:20km/h
テストの結果を表1に示す。
上記条件でリム装着された各試供タイヤを、直径1.7mのドラム上を6000km走行させ、軸方向溝状部近傍の損傷状態が肉眼で観察された。結果は、実施例1の損傷状態を100とする評点とした。数値が小さいほど良好である。
タイヤ縦荷重:61.71kN
速度:20km/h
テストの結果を表1に示す。
テストの結果、実施例1〜5のタイヤは、比較例のタイヤに比べて、ノイズを小さくすることができた。したがって、実施例1〜5は、耐偏摩耗性能、ウエット性能、及び、耐クラック性能を維持しつつ、耐ノイズ性能を向上させることができた。
1 タイヤ
2 トレッド部
4 陸部
7 軸方向溝状部
7A 第1軸方向溝状部
7B 第2軸方向溝状部
2 トレッド部
4 陸部
7 軸方向溝状部
7A 第1軸方向溝状部
7B 第2軸方向溝状部
Claims (10)
- トレッド部に、タイヤ周方向に延びる陸部が形成されたタイヤであって、
前記陸部には、平面視において、タイヤ周方向の一方に突出するように曲がる複数の軸方向溝状部が形成されており、
前記軸方向溝状部は、第1軸方向溝状部と、前記第1軸方向溝状部とはタイヤ周方向で逆向きに突出する第2軸方向溝状部とを含む、
タイヤ。 - 前記第1軸方向溝状部と前記第2軸方向溝状部とがタイヤ周方向で隣接している、請求項1記載のタイヤ。
- 前記第2軸方向溝状部は、前記第1軸方向溝状部よりも曲がり具合が小さい、請求項1又は2記載のタイヤ。
- 前記陸部は、前記トレッド部をタイヤ周方向に延びる少なくとも一本の主溝で区分され、
前記軸方向溝状部のタイヤ軸方向の端部は、前記主溝、又は、トレッド接地端と交わる、請求項1ないし3のいずれかに記載のタイヤ。 - 前記軸方向溝状部の最大深さは、前記主溝の最大深さの0.5〜0.9倍である、請求項4記載のタイヤ。
- 前記第1軸方向溝状部は、前記第1軸方向溝状部の最大深さを有する第1深底部と、前記第1深底部のタイヤ軸方向の両外側に配され、かつ、前記第1深底部よりも深さが小さい一対の第1浅底部とを含む、請求項1ないし5のいずれかに記載のタイヤ。
- 前記第1浅底部の前記深さは、前記第1軸方向溝状部の最大深さの0.5〜0.9倍である、請求項6記載のタイヤ。
- 前記第2軸方向溝状部は、前記第2軸方向溝状部の最大深さを有する第2深底部と、前記第2深底部のタイヤ軸方向の両外側に配され、かつ、前記第2深底部よりも深さが小さい一対の第2浅底部とを含む、請求項1ないし7のいずれかに記載のタイヤ。
- 前記第2浅底部の前記深さは、前記第2軸方向溝状部の最大深さの0.5〜0.9倍である、請求項8記載のタイヤ。
- 前記軸方向溝状部は、タイヤ周方向で最も突出する凸部を有し、
前記凸部は、前記陸部のタイヤ軸方向の幅の中心位置からタイヤ軸方向の両側に、前記幅の20%の距離を隔てた範囲内に配される、請求項1ないし9のいずれかに記載のタイヤ。
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Cited By (2)
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CN114643809A (zh) * | 2020-12-21 | 2022-06-21 | 通伊欧轮胎株式会社 | 充气轮胎 |
EP4112330A1 (en) | 2021-06-30 | 2023-01-04 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Pneumatic tire |
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CN114643809B (zh) * | 2020-12-21 | 2024-07-19 | 通伊欧轮胎株式会社 | 充气轮胎 |
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