JP2020071170A - マイクロアレイとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基質スポットの高密度化を図ることができるリン酸化検出用のマイクロアレイ及びそうしたマイクロアレイの製造方法を提供する。【解決手段】 マイクロトレイは、下記の特徴を有する:ガラス基板と前記ガラス基板上の複数の位置に固定された複数種の基質とを含む、リン酸化検出用のマイクロアレイであって、ここで、前記複数の位置には、それぞれ一種の基質が添加剤と共に固定されており、前記複数種の基質は複数種のタンパク質又は複数種のペプチドであり、前記添加剤は糖類である、マイクロアレイ。【選択図】 なし

Description

本発明は、マイクロアレイとその製造方法に関する。
マイクロアレイ(Microarray)では、アレイの基板上に固定された多数の基質に対して一度に検査・実験を行うことができる。そのため、マイクロアレイは、タンパク質やペプチドと酵素、低分子化合物、核酸等との相互作用等を網羅的に解析する上で、重要なツールとなっている。こうした相互作用等を検出するためには、基質となるタンパク質を、その機能を発揮する立体構造を維持した状態で、アレイの基板上に固定する必要があった。また、少量の検体から得られたサンプルを用いて高感度な測定を迅速に行い、スループットを向上させるためには、アレイの基板上にできるだけ多数の基質を微量ずつ高密度にスポットすることを要した。
従来から、マイクロアレイとして、ガラス基板を使用したタイプ(特許文献1)、アモルファスカーボン基板を使用したタイプ(例えば、PepTenChip)、多孔質セラミックを使用したタイプ(例えば、PamChip)などが知られている。カーボンアレイは、機械的強度が強く、化学的にも極めて安定である等の利点があるが、スポット部分以外にもタンパク質又はサンプル由来の夾雑物等が付着してバックグラウンドが高くなりやすく、その影響を除くために測定値の補正などが必要となるため、多数のサンプルのデータを高速で処理するには適当ではなかった。また、カーボンアレイに付着した汚れが、外れ値(outlier)として表れてくるため、データをアウトライヤーテスト(outlier test)で検証することができないという問題もあった。ガラス基板をアレイとして用いれば、カーボンアレイに比べると汚れが付き難い点、測定値の補正が不要である点などで有利であるが、nlレベルの微量の基質をガラス基板上に十分固定することが難しく、基質溶液のスポット径が大きくなりやすい等の問題があり、結果の再現性に影響を及ぼしていた。スループット向上のために、アレイ上の基質スポットの高密度化を図る上でも、問題となっていた。
こうした問題を解決するためには、微量の基質溶液が、アレイを構成するガラス基板上に微小な間隔でスポットされた場合でも、その後の作業に必要とされる間は乾燥せず、小さなスポット面積を保ち、かつ、基質が十分にガラス基板上に固定される必要があった。
特開2007−195431
本発明は、上記背景に鑑み、タンパク質やペプチド等の基質を高密度で固定したガラス基板を有するマイクロアレイ及びそうしたマイクロアレイの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意検討を重ね、基質溶液に糖類を添加することで、微量なタンパク質やペプチドのガラス基板上への固定化を図ることができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下を提供する。
[1] ガラス基板と前記ガラス基板上の複数の位置に固定された複数種の基質とを含む、リン酸化検出用のマイクロアレイであって、ここで、前記複数の位置には、それぞれ一種の基質が添加剤と共に固定されており、前記複数種の基質は複数種のタンパク質又は複数種のペプチドであり、前記添加剤は糖類である、マイクロアレイ。
[2] 添加剤が単糖類又は二糖類である、上記[1]記載のマイクロアレイ。
[3] ガラス基板を含むリン酸化検出用のタンパク質マイクロアレイ又はペプチドマイクロアレイの製造方法であって、下記の工程を含む方法:(1)それぞれ異なる基質を含む複数種の基質溶液を調製する工程であって、前記基質がタンパク質又はペプチドである、工程;(2)前記複数種の基質溶液に糖類を加える工程;および(3)前記ガラス基板上に、前記複数種の基質溶液をスポットする工程。
[4] 前記糖類が単糖類又は二糖類である、上記[3]記載の製造用法。
こうした構成により、多数のサンプルを高速で処理することが可能となった。
実施例1で基質溶液に各種添加剤を添加したときの、基質スポットの評価結果を示す図である。 EGFを添加していないHEK293細胞から調製したサンプルの、リン酸化活性パターンを示す蛍光画像である(実施例2)。 EGFを添加したHEK293細胞から調製したサンプルの、リン酸化活性パターンを示す蛍光画像である(実施例2)。
以下、本発明の実施の形態に係るマイクロアレイ、その製造方法及び使用方法について、説明する。
(スライドガラスの前処理)
マイクロアレイ用の基板としては、ガラスを使用することが好ましく、市販の各種マイクロアレイ用スライドガラスなどを使用してもよい。ガラス表面が化学修飾されたもの、官能基を導入されたもの、コーティングされたものなども使用できる。スライドガラスを使用する場合には、使用前に、メーカーの指示書や公知の方法に従って前処理することが好ましい。
(基質の固定)
マイクロアレイの基質としては、目的に応じて、各種タンパク質又は各種ペプチドを使用できる。例えば、サンプル中のリン酸化酵素(キナーゼ)の活性を解析するのであれば、キナーゼの基質となる物質を、マイクロアレイの基質として使用することができる。例えば、プロテインキナーゼの活性を解析するのであれば、各種プロテインキナーゼの基質となるタンパク質又はこれらのタンパク質のリン酸化サイトを含むペプチドを、マイクロアレイの基質として使用することができる。あるいは、シグナルパスウェイを構成する各種タンパク質又はこれらのタンパク質のリン酸化サイトを含むペプチドを、使用することもできる。具体例を、表1〜4に挙げる。表1に記載の遺伝子記号(Gene Symbol)に対応する配列によって発現されるタンパク質は、チロシンキナーゼの基質となるタンパク質の例であり、表2に記載の遺伝子記号に対応する配列によって発現されるタンパク質は、代表的なチロシンキナーゼの1つであるチロシンキナーゼSrcの基質となるタンパク質の例である。表3(表3-1〜表3-8)に記載の遺伝子記号に対応する配列によって発現されるタンパク質は、シグナルパスウェイを構成するタンパク質の例であり、表4に記載の遺伝子記号に対応する配列によって発現されるタンパク質は、上皮成長因子受容体(EGFR)のシグナルパスウェイを構成するタンパク質の例である。なお、各表において、遺伝子記号はアルファベット順に記載されている。
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ペプチドを基質として使用する場合には、一般に100アミノ酸以下のものが用いられるが、好ましくは30アミノ酸以下、さらに好ましくは25アミノ酸以下、さらにいっそう好ましくは20アミノ酸以下のものが用いられる。5アミノ酸以上のものが好ましく、10アミノ酸以上のものがさらに好ましい。好ましくは5〜30アミノ酸、さらに好ましくは8〜25アミノ酸、さらにいっそう好ましくは10〜20アミノ酸のものが用いられる。
基質となるタンパク質又はペプチドを、前処理済みのスライドガラス上に載せて、固定する。例えば、グルタチオン(GSH)処理したスライドガラスに、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)タグ付きのタンパク質を滴下して固定することができる。スライドガラスへのスポッティングには、マイクロピペットを使用するマニュアル操作も可能であるが、自動スポッティング装置、インクジェット装置などの微量分注システムを使用することが好ましい。スライドガラス上のスポットの大きさとしては、直径1〜300μm程度が好ましく、直径10〜200μm程度がいっそう好ましく、直径20〜100μm程度がさらにいっそう好ましい。
基質溶液には糖類を添加することが好ましく、単糖類又は二糖類がさらに好ましい。例えば、マルトース、グルコース、ラクトース、スクロース等を加えることができる。例えば、合成されたタンパク質やペプチドを基質として使用する場合には、合成されたタンパク質やペプチドを精製することなく、糖類を添加して、基質溶液として使用してもよい。糖類の添加濃度は各種条件に合わせて適宜調整すればよいが、例えば、基質溶液中の濃度として、0.01重量%以上、0.1重量%以上、0.3重量%以上又は0.5重量%以上であってもよく、5重量%以下、2.5重量%以下、2重量%以下、1.5重量%以下又は1重量%以下であってもよい。例えば、0.01重量%〜2.5重量%、0.1重量%〜2重量%、0.3重量%〜1.5重量%又は0.5重量%〜1重量%の範囲であってもよい。
スライドガラス上には、陽性コントロール及び陰性コントロールとなるタンパク質又はペプチドも固定することが好ましい。検量線作成用の陽性コントロールを使用することも好ましい。例えば、リン酸化アッセイ用のマイクロアレイであれば、陽性コントロールとして、予めリン酸化されたアミノ酸残基を含むものを使用できる。
(サンプルの調製とマイクロアレイへの適用)
マイクロアレイを使用して細胞中又は組織中のキナーゼの活性をアッセイする場合には、例えば、細胞又は組織を溶解液、超音波などで処理し、遠心分離して得られた細胞抽出液をサンプルとして使用することができる。培養液中に分泌されるキナーゼの活性をアッセイするのであれば、培養液からサンプルを調製してもよい。調製されたサンプルをマイクロアレイに適用し、サンプル中に含まれるキナーゼをマイクロアレイのガラス基板上に固定されたタンパク質又はペプチドに作用させる。
(酵素活性の検出)
検出は、定法により行うことができる。例えば、リン酸化反応の生成物に特異的に結合する抗体を用いて、免疫学的方法により検出してもよい。抗体そのもの又は2次抗体を標識してもよい。標識としては、酵素、ビオチン、蛍光物質、放射性物質、色素、ビーズなどを使用できる。それ以外にも、例えば、リン酸化部位に特異的に結合する試薬(抗リン酸化セリン/スレオニン抗体、抗リン酸化チロシン抗体、フォスタグ(phos−tag)等)を使用することもできる。蛍光標識を使用する場合には、蛍光をスキャナー(Typhoon(GE社)、GenePix(Molecular Devices社)、Innoscan(INNOPSYS社)等)などで読み取ることができる。
(実施例1−基質溶液の添加剤の選択)
以下の実施例においては、基質溶液に加える添加剤によってアレイのガラス基板上の基質スポットの状態がどのように影響されるかを評価検討した。基質としては、それ自体がチロシンキナーゼであるBMXを使用し、以下の項目で評価を行った。
評価項目1:スポットの乾燥
評価項目2:スポットの大きさ
評価項目3:ガラス基板に対するタンパク質(BMX)固定化効率
1.スライドガラス前処理(処理数40枚)
(第1日)
40枚のスライドガラス(マイクロアレイ用コートスライドグラスSDM0011(DMSO対応高密度化アミノ基導入コート)、松浪硝子)を、0.1mM sSMPB(Thermo #22317)/PBS中で1時間振とうした。振とう後、TBバッファー(20mM Tris−HCl、pH7.3)に5分間浸した。この作業をさらに2回繰り返した後、GSH溶液(50mM GSH(pH7.3)、50mM Tris−HCl(pH7.3))内で、一晩振とうした。静置、振とう作業中は遮光した。
(第2日)
次いで、スライドガラスを20mM TBバッファーで5分間洗浄後、バスケットごと遠心分離(800×g、24℃、3分)して水分をとばし、スライドガラスをキムワイプの上に並べ遮光して完全に乾燥させた。乾燥後、670nm、555nm、526nmの波長でスライドガラスをスキャナー(Typhoon 9200、GEヘルスケアバイオサイエンス)でスキャンし、コートむらがないことを確認した。スキャン後は遮光して、室温保存した。
2.タンパク質の合成
Gateway テクノロジーマニュアル(Thermo Fisher Scientific社のホームページから入手可能:https://tools.thermofisher.com/content/sfs/manuals/gatewayman.pdf)に記載のクローニング方法にしたがい、BMXに対応するNCBIの参照配列(Reference Sequence)を有するエントリークローンを作成し、Gateway LR Clonase Enzyme Mix(Thermo #11791043)を用いて、GSTタグを有する発現ベクターに組換え反応を行った。さらに、これを鋳型としてプロモーター領域から転写終了領域を含む部分をPCRで増幅し、RNAポリメラーゼ(PromegaP1085)を用いてmRNA合成を行い、コムギ無細胞タンパク合成系(WEPRO7240G Expression Kit、セルフリーサイエンス社)を用いて、メーカーのプロトコール(WEPRO7240/7240H/7240G Expression Kit_J_ver.1.5,Mar.17,2010.)に記載の方法にしたがってタンパク質合成を行った。得られたBMX合成液(以下、「合成BMX原液」と記載する)を、そのまま精製も希釈もせずにアレイ化に用いた。
3.アレイスポット
上記「2.タンパク合成」の項で得られた合成BMX原液9μlに、図1の表に示す試験1〜11の添加剤のいずれかを1μl添加し、ピペッティングによって混和して、試験液1〜11とした。各添加剤の詳細は、下記に示すとおりである。
試験1:D(+)−マルトース一水和物(和光純薬工業(株)、#130−00612)試験2:D(−)−マンニトール(和光純薬工業(株)、#137−00843)
試験3:D(+)−グルコース(和光純薬工業(株)、#049−31165)
試験4:ラクトース一水和物(和光純薬工業(株)、#128−00095)
試験5:スクロース(和光純薬工業(株)、#196−00015)
試験6:ポリエチレングリコール200(PEG200)(SIGMA、#P3015)試験7:ポリエチレングリコール400(PEG400)(SIGMA、#202398)
試験8:グリセリン(和光純薬工業(株)、#075−00616)
試験9:CHAPS(3−[(3−Cholamidopropyl)dimethylammonio]propanesulfonate))(同仁化学研究所、#C008)
試験10:精製水
試験11:添加剤無し(つまり合成BMX原液をそのまま使用)
得られた試験液1〜11を、上記1で前処理を施したスライドガラス上に、Genex Arrayer(カケンジェネックス)を使用して、約100μmの間隔でスライドガラス一枚あたり3000以上、1滴あたり約500nlの均質な液量で、約直径100μmのスポットとなるように滴下した。24℃、湿度約55%で60分放置後に、スライドガラス上のスポットを撮影した。撮影後のスライドガラスを、TBSTで洗浄後、基板保存液(50mM Tris−HCl(pH7.3)、200mM NaCl、0.08%(v/v)Triton X−100、5% phosphor blocker、5mM GSH(pH7.3))中で、−80℃で保存した。
4.アッセイ
(第1日)
基板保存液中で凍結されたスライドガラスを取り出し、キムワイプの上に静置して解凍した。次いで、キナーゼバッファー(10倍液)(Cell Signaling Technology #9802)を、4ウェルディッシュに分注した。スライドガラスを4ウェルディッシュに静かに沈め、乾燥しないように4ウェルディッシュの蓋を閉めた後、タッパに入れて18時間、30℃で振とうした。
(第2日)
スライドガラスを4ウェルディッシュから取り出し、反応停止バッファー(Termination Buffer)(50mM EDTA、10mM Hepes−NaOH(pH7.4)、150mM NaCl、0.05%(v/v)Tween20)を分注した。反応停止バッファーを分注した4ウェルディッシュに、スライドガラスを静かに沈め、30℃で5分間振とうした。次いで、スライドガラスをTBS−T(20mM Tris−HCl(pH7.3)、26.8mM NaCl、0.1%(v/v)polyoxyethylene(20) sorbitan monolaurate)で5分間、2回洗浄し、1次抗体液(4G10、MILLIPORE #05−1050、5%PhosphoBlocker、TBST中1:1000)を4ウェルディッシュに分注し、スライドガラスを静かに沈め、室温で1時間振とうした。次いで、スライドガラスをTBS−Tで5分間ずつ2回洗浄し、蛍光ラベルされた2次抗体液(Goat anti−Mouse IgG(H+L)、Thermo #A−21235、5%PhosphoBlocker、TBST中1:2000)を4ウェルディッシュに分注し、スライドガラスを静かに沈め、室温で1時間振とうした。次いで、スライドガラスをTBS−Tで5分間ずつ2回、TBバッファーで5分間1回、RO水で5分間1回洗浄した。スライドガラスを水中でバスケットに並べて遠心分離(800×g、24℃、3分間)して水分をとばした後、キムワイプの上に並べ遮光下で完全に乾燥させた。
5.蛍光スキャン及びシグナル検出
上記アッセイで処理されたスライドガラスについて、スキャナー(Typhoon 9200、GEヘルスケアバイオサイエンス)で蛍光シグナルを読み取り、蛍光画像化した。
6.評価
上記「3.アレイスポット」で撮影された写真を使用し、スポットの輪郭が写真上ではっきりと確認できるか否かを基準として、各スポットの乾燥状態を肉眼で評価した(評価項目1)。上記「5.蛍光スキャン及びシグナル検出」で得られた蛍光画像を使用し、各スポットの大きさを目視で評価した(評価項目2)。スライドガラスへのタンパク質固定化効率は、スポット箇所のシグナル領域の形状及び濃さ、並びにスポット箇所以外にシグナルが漏出したか否か、漏出している場合にはシグナル漏出の度合に基づいて、蛍光画像上で評価した(評価項目3)。
図1に評価の結果を示す。添加剤としてマルトース、D−グルコース、ラクトース、スクロース等の糖類を用いた場合に、後の工程で検出されるシグナルの形状がスポット位置に維持された、良好な基質スポットが得られることが明らかになった。ラクトース又はスクロースを用いた場合に、特に良好な基質スポットが得られた。図中、「液的形状」の列はスライドガラス上の基質スポットを撮影した写真を示し、「測定画像」の列はスキャナーで読み取った蛍光画像を示す。
(実施例2−タンパク質マイクロアレイを使用したリン酸化アッセイ)
以下の実施例においては、タンパク質溶液の添加剤としてスクロースを使用したリン酸化検出用のタンパク質マイクロアレイについて説明する。
1.サンプルの調製
EGFを添加して培養したHEK293細胞とEGFを添加せずに培養したHEK293細胞とを、それぞれPBS(DPBS(カルシウム及びマグネシウムを含まず)、GIBCO:14190−136)で2回洗浄し、溶解液(M−PER、Thermo 78501)にインヒビターカクテル(1倍液)(Halt Protease & Phosphatase inhibitor Cocktail、Thermo#78444)を加えた液中で懸濁し、サンプルとした。得られたサンプルを、液体窒素で凍結させ、使用時まで−80℃以下で保存した。それぞれを一部分注し、BCAキット(Pierce BCA Protein Assay Kit、Thermo#23225)を用いてタンパク質総量を定量し、アレイ測定に用いるサンプル量を決めた。なお、組織検体からサンプルを調製する場合には、−80℃以下で凍結保存された組織検体をT−PER(Tissue Protein Extraction Reagent、Thermo#78510)中で懸濁して、サンプルとし、使用時まで−80℃以下で保存すればよい。一部分注し、BCAキットを用いてタンパク質総量を定量し、アッセイ(アレイ測定)に用いるサンプル量を決めることができる。
2.タンパク合成
実施例1の「2.タンパク質の合成」に記載されるのと同じ方法で、表3(表3−1〜表3−8)に示した各遺伝子記号に対応するNCBIの参照配列を有するエントリークローンを作成し、発現ベクターに組換え反応を行い、タンパク質合成を行った。得られた各タンパク質合成液(以下、「合成タンパク質原液」と記載する)を、そのまま精製も希釈もせずにアレイ化に用いた。
3.アレイスポット
上記「2.タンパク合成」の項で合成したそれぞれの合成タンパク質原液9μlに、10%スクロース溶液を1μl加え、ピペッティングによって混和し、実施例1の「1.スライドガラス前処理」と同じ処理を施したスライドガラス上に、実施例1の「3.アレイスポット」に記載の方法で滴下した。表3(表3−1〜表3−8)に記載の各種遺伝子記号に対応する参照配列によって合成されたタンパク質に加えて、GSTタグ(タンパク発現配列無し)、Venus(リン酸化が観察されない緑色蛍光タンパク質)及びタンパク合成に使用した反応液(タンパク発現用核酸を含まず)を陰性コントロールとして、同様にスライドガラス上に滴下した。さらに、検量線作成用の陽性コントロールとして、BMXを1/4、1/8、1/16、1/32、1/64に希釈して、スライドガラス上に同様に滴下した。滴下後、実施例1と同様に、スライドガラスを24℃、湿度約55%で60分放置し、TBSTで洗浄後、基板保存液中で−80℃で保存した。
4.アッセイ、蛍光スキャン及びシグナル検出
実施例1と同じ方法でアッセイを行い、蛍光スキャン及びシグナル検出を実施してリン酸化を検出した。ただし、本実施例においては、上記「1.サンプルの調製」でEGF添加HEK293細胞及びEGF非添加HEK293細胞から調製したサンプルを、それぞれ遠心分離(15,000×g、4℃、10分間)した後に、実施例1の「4.アッセイ
(第1日)」で使用したキナーゼバッファーに加え、容量を揃えるために溶解液を必要量添加した後、スライドガラス1枚当たり総タンパク量100μgとなるように、4ウェルディッシュに分注した。図2及び図3に、スキャナーで読み取ったスライドガラス上の基質スポットの蛍光画像を示す。図2は、EGF無添加HEK293細胞由来サンプルのリン酸化活性パターンを示し、図3は、EGF添加HEK293細胞由来サンプルのリン酸化活性パターンを示す。このように、本発明のマイクロアレイによれば、微量のサンプルから、迅速かつ高感度にリン酸化を検出することができた。
各種タンパク質又は各種ペプチドを基質として固定したマイクロアレイは、サンプル中の酵素活性、酵素の基質、阻害剤の検索などに使用することができる。例えば、プロテインキナーゼの基質となるタンパク質又はペプチドを固定化したマイクロアレイであれば、プロテインキナーゼ活性の検出や、プロテインキナーゼ阻害剤のスクリーニング等にも適用できる。

Claims (4)

  1. ガラス基板と前記ガラス基板上の複数の位置に固定された複数種の基質とを含む、リン酸化検出用のマイクロアレイであって、
    ここで、前記複数の位置には、それぞれ一種の基質が添加剤と共に固定されており、
    前記複数種の基質は複数種のタンパク質又は複数種のペプチドであり、
    前記添加剤は糖類である、
    マイクロアレイ。
  2. 前記添加剤が単糖類又は二糖類である、請求項1記載のマイクロアレイ。
  3. ガラス基板を含むリン酸化検出用のタンパク質マイクロアレイ又はペプチドマイクロアレイの製造方法であって、下記の工程を含む方法:
    (1)それぞれ異なる基質を含む複数種の基質溶液を調製する工程であって、前記基質がタンパク質又はペプチドである、工程;
    (2)前記複数種の基質溶液に糖類を加える工程;および
    (3)前記ガラス基板上に、前記複数種の基質溶液をスポットする工程。
  4. 前記糖類が単糖類又は二糖類である、請求項3記載の製造方法。
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