JP2020068777A - 水中生物の飼育装置および生産方法 - Google Patents

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Masakazu Koiwa
金森智子
Satoko Kanamori
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Masayuki Hanakawa
花田茂久
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Abstract

【課題】水中生物の飼育密度を向上させても十分な水の浄化機能を有する飼育装置を提供する。【解決手段】飼育装置100は、分離膜を有し、飼育槽1から抜き出された水を分離膜でろ過することで濃縮水と透過水を得る第1ろ過装置2と、前記第1ろ過装置2で得られた透過水に含まれる物質を生物処理する生物処理装置3と、前記生物処理装置3で処理された水を前記飼育槽に戻す還流部とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、水中生物の飼育装置および生産方法に関するものである。
近年、世界的な魚介類需要の高まりに応じ、従来のかけ流し方式に加え、内陸でも可能な半閉鎖型または完全閉鎖型の循環式陸上養殖による養殖生産がなされている。
循環式陸上養殖においては、飼育槽から抜き出された飼育水は種々の浄化装置を通じて飼育槽に返送される。
例えば特許文献1には、飼育水を生物処理装置に通じて飼育水中のアンモニア等を除去した後、不定期に圧力駆動分離膜モジュールに通じて病原菌やかびを除去する装置が開示されている。
また、特許文献2には、飼育水槽の沈降性懸濁物質と、水槽上部の上澄みからストレーナーで分離された浮遊性懸濁物質を膜分離活性汚泥処理装置で処理する方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、酢酸セルロースまたはポリエーテルスルフォン製の限外ろ過膜に飼育水を通じ、得られた透過水を水槽に返送するか、または、限外ろ過膜のファウリングを招く有機物を分解するため、透過水を不定期に酸化物分解装置で処理した後水槽に返送するシステムが開示されている。
特開平3−280821号公報 特開2011−130686号公報 特開2017−202467号公報
飼育密度を上げることで、魚介類の排泄物や残餌から生じるアンモニア等の魚介類生育阻害物質の量が増えると、特許文献1の方法では、巨大な生物処理装置が必要となる。よって、特許文献1の方法は、飼育密度が低く、フグ等の高級魚種に適用が限定されている。
また、特許文献2の方法では、ストレーナーの透過水は、前述の魚介類生育阻害物質は除去されずに飼育水槽に返送され、飼育密度を向上させた時にはその影響はより甚大になる。
特許文献3で使用される酸化物分解装置には次亜塩素酸ナトリウムが添加されるので、その次亜塩素酸ナトリウムとアンモニアとが反応し、クロラミンなどの魚介類の成育に影響を及ぼす物質が生じる。
本発明は、魚介類の飼育密度を向上させても十分な水の浄化機能を有する飼育装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、飼育水を分離膜に通じた後の透過水全量を、生物処理装置に通じることで、生物処理装置の大きさを変えることなく、飼育密度を向上させることが可能であることを見出した。
分離膜を用いて、飼育水中の有機物成分を除去した後、生物処理装置に通じることで、有機物が低減されていることで、生物処理装置では低分子のアンモニアや僅かな有機物のみを分解することになり、生物処理装置を大きくすることなく、飼育水中の魚介類の生育阻害物質を分解することが可能である。以上のとおり、本発明により魚介類の高密度飼育が可能となる。本発明は上記知見に基づいて成されたものであり、以下の技術を提供する。
[1]水および水中生物を収容する飼育槽と、
分離膜を有し、前記飼育槽から抜き出された水を分離膜でろ過することで濃縮水と透過水を得る第1ろ過装置と、
前記第1ろ過装置で得られた透過水に含まれる物質を生物処理する生物処理装置と、
前記生物処理装置で処理された水を前記飼育槽に戻す還流部と
を備える水中生物の飼育装置。
[2]前記第1ろ過装置の分離膜が限外ろ過膜であることを特徴とする
上記[1]に記載の飼育装置。
[3]限外ろ過膜の分画分子量が20,000Da〜500,000Daである
上記[2]または[3]に記載の飼育装置。
[4]限外ろ過膜がポリフッ化ビニリデン製の中空糸膜である
上記[2]または[3]に記載の飼育装置。
[5]前記限外ろ過膜の原水側表面の水の接触角が103°以下であり、かつ原水側表面とろ過水側表面の接触角の差が11°以上30°以下である
上記[2]〜[4]のいずれかに記載の飼育装置。
[6]第1ろ過装置の1次側を循環する循環流路を有する
上記[2]〜[5]のいずれかに記載の飼育装置。
[7]前記生物処理装置が、微生物を担持する担体を備える
上記[1]〜[6]のいずれかに記載の飼育装置。
[8]前記第1ろ過装置の分離膜よりも孔径の小さな分離膜によって、前記第1ろ過装置で得られた透過水をろ過することで濃縮水と透過水とを得る第2ろ過装置を備え、
前記生物処理装置は、前記第1ろ過装置で得られ、かつ前記第2ろ過装置でろ過される前の透過水に含まれる物質を処理するか、または第2ろ過装置で得られた透過水に含まれる物質を処理する
上記[1]〜[7]のいずれかに記載の飼育装置。
[9]前記第1ろ過装置が分離膜として限外ろ過膜を有し、
前記第2ろ過装置が分離膜として逆浸透膜またはナノろ過膜を有することを特徴とする
上記[8]に記載の飼育装置。
[10]水中で水中生物を飼育する飼育工程、
分離膜を有する第1ろ過装置で前記飼育に用いられた水をろ過することで濃縮水と透過水とを得る第1ろ過工程、
ろ過された前記水中に含まれる物質を生物処理する生物処理工程、
ろ過および生物処理を経た水を水中生物の飼育に再利用する再利用工程、
を備える水中生物の生産方法。
[11]前記第1ろ過工程の分離膜が限外ろ過膜である
上記[12]に記載の生産方法。
[12]前記飼育工程は、前記水中生物に餌を与える給餌工程を含み、
前記給餌工程の前60分以内に前記第1ろ過装置の濃縮水を排出する第1給餌前排出工程をさらに含む、
上記[10]または[11]に記載の生産方法。
[13]前記飼育工程は、前記水中生物に餌を与える給餌工程を含み、
所定時間毎に前記第1ろ過装置の濃縮水を排出する第1定期排出工程と、
前記給餌工程後に前記第1ろ過工程を行った場合は、前記給餌工程直前の濃縮液の排出から前記所定時間が経過する前に、前記濃縮水の排出を行う第1給餌後排出工程と、
をさらに含む
上記[10]〜[12]のいずれかに記載の生産方法。
[14]前記第1ろ過工程における分離膜よりも孔径の小さな分離膜を有する第2ろ過装置によって、前記第1ろ過工程の透過水をろ過することで濃縮水と透過水とを得る第2ろ過工程をさらに備え、
前記生物処理工程は、前記第1ろ過工程で得られ、かつ前記第2ろ過工程でろ過される前の透過水に含まれる物質を処理するか、または前記第2ろ過工程で得られた透過水に含まれる物質を処理する
上記[10]〜[13]のいずれかに記載の生産方法。
[15]前記飼育工程は、前記水中生物に餌を与える給餌工程を含み、
前記給餌工程の前60分以内に前記第2ろ過装置の濃縮水を排出する第2給餌前排出工程をさらに含む
上記[14]に記載の生産方法。
[16]前記第1ろ過工程の分離膜が限外ろ過膜であり、
前記第2ろ過工程の分離膜が逆浸透膜またはナノろ過膜であることを特徴とする生産方法。
上記[14]または[15]に記載の生産方法。
[17]飼育槽への餌の投与後4時間は、第1のろ過工程で処理される水の量を、餌の投与前の3倍〜20倍とする
上記[10]〜[16]のいずれかに記載の生産方法。
本発明によって、循環式陸上養殖における水中生物の飼育密度を向上させることが可能となる。
本発明の飼育装置の一例を示す概略図である。 本発明の飼育装置の他の例を示す概略図である。 本発明の飼育装置のさらに他の例を示す概略図である。
1.飼育装置
飼育装置の一例について、図1〜図3を参照して説明する。図1〜図3は、本実施形態の飼育装置の概略側面図である。
図1〜図3に示すように、飼育装置100〜102は、飼育槽1、ろ過装置(第1ろ過装置2、第2ろ過装置4)、生物処理装置3、飼育槽1と第1ろ過装置2とを接続する配管11、第1ろ過装置2または第2ろ過装置4の透過側と生物処理装置3とを接続する配管21、生物処理装置3の処理水を飼育槽1に返送する配管31等を備える。
1−1.飼育槽飼育
飼育槽1は、その内部にて水中生物の飼育が行える水槽である。角形、円筒形、多角筒形
など様々な形状が適用可能である。水中生物については後述する。
飼育槽には飼育水の溶存酸素を観測するDOセンサー70と、酸素を含む気体を供給する飼育槽気体供給装置71を備える。気体供給装置は、飼育槽のみならず、分離膜への配管や、生物処理槽3に備えられても良い。飼育槽気体供給装置71は、DOセンサー70で観測された値にしたがって、供給量、頻度を変更し、溶存酸素濃度が4mg/L以上になるように調整する。
1−2.ろ過装置
ろ過装置は、飼育水をろ過することで濃縮水と透過水とを得ることができればよく、容器と、その容器に収納された分離膜を備える。分離膜は中空糸膜でも平膜でもよい。飼育水は、配管11を介して、飼育槽1からろ過装置に、ポンプ12や水頭差を駆動力として送液される。
図1に示す形態では、飼育装置100は、ろ過装置として、1種類の分離膜を備えた第1ろ過装置2を有する。
第1ろ過装置2が備える分離膜は、有機膜、無機膜のいずれであってもよい。分離膜は、例えば、分離膜として、ポリフッ化ビニリデン製、ポリスルホン製、ポリエーテルスルフォン製、ポリテトラフルオロエチレン製、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、ポリアミド製、酢酸セルロース製、セラミックス製の膜が挙げられる。特に、飼育水による汚れが発生しにくく、かつ洗浄がしやすく、さらに気体による洗浄に対する耐久性に優れているポリフッ化ビニリデン製の分離膜が好ましい。
第1ろ過装置が有する分離膜の孔径としては、飼育水中の沈降性、浮遊性懸濁物質や溶解性の有機物であるタンパク質、多糖類、ペプチド、オリゴ糖、低分子化合物を分離することが出来るものであれば良く、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜のいずれでも良いが、後段の生物処理の負担を減らすためには、懸濁物質と、溶解性有機物の両方を除去することができる限外ろ過膜が好ましい。
限外ろ過膜は、飼育水の中の懸濁性物質、タンパク質、多糖類等を効果的に分離すると同時に、飼育水中成分による目詰まりでろ過を継続できなくなることを避けるには、分画分子量が20000Da以上、500000Da以下の多孔性膜であることが好ましい。また、分離膜の形状は、平膜、中空糸膜などいずれの形状のものも採用することができるが、ろ過装置容積に比べ膜面積が広い中空糸膜が好ましい。膜の平均孔径は、ASTM:F316−86記載の方法(別称:ハーフドライ法)にしたがって決定される。なお、このハーフドライ法によって決定されるのは、膜の最小孔径層の平均孔径である。
なお、ハーフドライ法による平均孔径の測定の標準測定条件は、以下のとおりである。
使用液体:エタノール
測定温度:25℃、
昇圧速度:1kPa/秒
平均孔径[μm]は、下記式より求まる。
平均孔径[μm]=(2860×表面張力[mN/m])/ハーフドライ空気圧力[Pa]
エタノールの25℃における表面張力は21.97mN/mである(日本化学会編、化学便覧基礎編改訂3版、II-82頁、丸善(株)、1984年)ので、本発明における標準測定条件の場合は、
平均孔径[μm]=62834.2/(ハーフドライ空気圧力[Pa])
にて求めることができる。
また、第1ろ過装置および後述の第2ろ過装置において、膜の形状は中空糸膜、平膜、モノリス膜のいずれでも良い。特に第1ろ過装置の膜は、中空糸膜であることで、単位体積あたりの膜面積を大きくとることができる。
中空糸膜のろ過方式としては、中空糸膜の外側から内側に向かってろ過を行う外圧式と、内側から外側に向かってろ過を行う内圧式のいずれでも良い。
外圧式中空糸膜の外径は、0.5mm以上3mm以下であることが望ましい。外径が0.5mm以上であることで、中空糸膜中に流れるろ過液の抵抗を比較的小さく抑えられる。また、外径が3mm以下であることで、飼育水または気体による外圧により中空糸膜がつぶれることを抑制できる。
内圧式中空糸膜の内径は、0.5mm以上3mm以下が望ましい。内径が0.5mm以上であることで、中空糸膜中に流れる飼育水の抵抗を比較的小さく抑えることができる。また、内径が3mm以下であることで、膜表面積を確保することができるので、ろ過装置の増大を抑制することができる。
本実施形態の分離膜は、原水に接触する膜表面(原水側表面)の水の接触角が103℃以下、かつ、原水側表面の接触角とろ過水に接触する膜表面(ろ過水側表面)の接触角の差が11°以上30°以下である。ろ過水側表面の接触角が原水側表面より大きいということは、ろ過水側表面の方がより疎水性であることを示す。
原水(飼育水)にはタンパク質や糖など多数の有機物が含まれており、多量の固形分による膜の閉塞を防ぐためには、膜は親水性であることが望ましい。しかし、後段の生物処理槽の負荷を下げるためには、膜の細孔を通過する有機成分も捕捉する必要がある。そこで、膜の原水側表面の接触角が103度以下、また、膜の原水側表面とろ過水側表面の接触角の差を11度以上30度以下とすることで、固形分による閉塞を抑制しながら、タンパク質等の低分子成分を捕捉することができる。 ろ過装置の容器は、耐圧性に優れる材質で作られており、円筒型、多角筒型など、飼育水を膜の1次側へ供給することができる形状であれば良い。液の流れやハンドリング性を考慮すると、容器は円筒型であることが好ましい。また、特に第1ろ過装置は、飼育槽内に浸漬することで用いられる浸漬型の膜分離装置であっても良い。
第1ろ過装置2にはさらに配管13、14が接続される。配管13からは、第1ろ過装置2の分離膜を透過しなかった濃縮水が排出される。配管14は一次側で水を循環させるように設けられる。配管14にはポンプ15が設けられる。
第1ろ過装置2の透過側に配管53を接続し、洗浄バルブ51、洗浄ポンプ52を設けても良い。差圧制御部9により検出した膜間差圧により膜の閉塞状態を観測し、必要に応じてポンプ12を停止してろ過を止め、洗浄バルブ51を開け、洗浄ポンプ52を起動し、膜の2次側から1次側に向かって水や薬液を送り、逆圧洗浄を行うことができる。1次側に透過した逆圧洗浄に用いた液体は、配管13から排出する。配管53、洗浄バルブ51、洗浄ポンプ52と同様の公正を、第2ろ過装置4の透過側に備えてもよい。 図2に示す飼育装置101は、第1ろ過装置に備えられた分離膜よりも孔径の小さい分離膜を備えた第2ろ過装置4を有する。第1ろ過装置2が限外ろ過膜を備える場合には、第2ろ過装置4はナノろ過膜または逆浸透膜を備える。第1ろ過装置2の透過水は、ポンプ23によって、配管41を介して第2ろ過装置4に送液され、第2ろ過装置4によってろ過される。これにより、生物処理の負荷を更に低減することが可能である。図2の例では、第1ろ過装置2の透過水は全て第2ろ過装置4に送られる。
また、本発明で用いるナノろ過膜、逆浸透膜の素材には、酢酸セルロースなどのセルロースエステル系ポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分子素材を使用することができるが、前記のうち1種類の素材で構成される膜に限定されず、複数の素材を含む膜であってもよい。また、その膜構造は、膜の少なくとも片面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて大きな孔径の細孔を有する非対称膜や、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い機能層を有する複合膜のどちらでもよい。複合膜としては、例えば特開昭62−201606号公報に記載のポリスルホンを膜素材とする支持膜にポリアミドの機能層からなるナノフィルターを構成させた複合膜を用いることができる。
ナノろ過膜または逆浸透膜を有する第2ろ過装置4において、膜は平膜であることが好ましく、形状はスパイラル型であることが好ましい。
第2ろ過装置4のろ過膜を透過しなかった濃縮液は、配管42を介して排出される。
図3に示す飼育装置102は、図2に示す飼育装置101に加えて、図1の配管14およびポンプ15を備える。
1−3.生物処理装置
第1または第2ろ過装置の透過水は、ポンプ22によって配管21を介して生物処理装置3に送られる。生物処理装置3は、第1ろ過装置または第2ろ過装置の透過水を生物処理するための槽である。生物処理の方法としては、生物膜法または好気性ろ床法が好適である。
生物膜法は、多種の微生物の膜を利用する方法であり、例えば接触曝気法が多用される。該接触曝気法は、例えばプラスチックの接触材に微生物の膜を付着させ、その微生物によって有機物等を摂取、分解させる、担体保持型の生物膜にて処理する方法である。
好気性ろ床法は、内部にろ材を充填した生物膜ろ過方式の好気性ろ床を用いる方法であり、移動床式方法と固定床式方法とがある。ろ材としては、例えば多孔質セラミック等があげられ、該ろ材表面の好気性微生物により有機物を分解させ、BODを低減、また、アンモニアを硝化細菌により硝酸に変換するものである。本発明では、特に、固定床方式による生物膜法を好適に用いることができる。
なお生物処理に用いることができる微生物として、通常、例えば従属栄養細菌、硝化菌、大腸菌、原生動物、ワムシ類、貧毛類、線虫類等があげられるが、第2ろ過装置4を設けない図1の例では、微生物としてはろ過装置から送られてきた透過水の水質に適したものが自然に順養されていく場合が多い。
生物処理装置を透過した水は、アンモニア等の魚の飼育に有害物質が十分に低減され、配管31を介してポンプ32によって飼育槽1に返送され再利用される。
2.水中生物の生産方法
本実施形態の生産方法は、以下の工程(a)〜(e)を備える:
(a)水中で水中生物を飼育する工程と、
(b)前記飼育に用いられた水を分離膜でろ過するろ過工程と、
(c)ろ過された前記水中に含まれる物質を生物処理する工程と、
(d)ろ過および生物処理を経た水を魚介類の飼育に再利用する工程
各工程について、図1〜図3の飼育装置を例にとって、以下に説明する。
2−1.水中で水中生物を飼育する工程
本発明において、水中生物とは、海水、淡水中において生育する魚介類、動物性プランクトンを指す。飼育対象とする水中生物に応じて、飼育水温度、餌料の種類、塩分濃度を選択すれば良い。
飼育中の蒸発や、飼育水をろ過装置および生物処理装置で処理する際に排出されて不足する水分については、適宜補給する。
また、電気伝導度法などにより飼育水中の塩分濃度をモニターし、不足分を適宜補給する。特に、飼育装置が有するろ過装置の種類によっては、塩分がろ過膜によって除去される場合がある。
飼育においては溶存酸素濃度を一定以上に維持することも重要なため、DOセンサーにより溶存酸素濃度をモニターし、コンプレッサー、ブロワー等によるエア噴霧により水中の溶存酸素濃度を調整する。エア噴霧は、飼育槽に直接行われても良いし、生物処理装置において行われてもよい。
2−2.飼育に用いられた水を分離膜でろ過する工程
飼育水の一部は、断続的または連続的に槽外に引き抜かれ、ろ過される。ろ過によって、水中懸濁成分または溶解成分が除去される。
具体的には、図1〜図3においては、ポンプ12によって、飼育水が飼育槽から引き抜かれ、配管11を通ってろ過装置2に供給される。ろ過装置2では、飼育水はろ過により濃縮水と透過水とに分離される。
後述の通り、膜ろ過方法としてはクロスフローろ過、全量ろ過のいずれが採用されてもよい。また、いずれの方式においてもスクラビングを組み合わせることによって、より高い洗浄効率を実現することができる。スクラビングに用いられる気体としては、ガスボンベ、ブロアー、コンプレッサー、あるいは配管によって供給される圧縮ガスなどを使用することができる。これにより、魚の飼育、生物処理に必要な酸素供給を、より効果的に行うこともできる。
スクラビングの実行条件、すなわちスクラビング実行のタイミング、頻度、1回のスクラビング当たりの時間等は、具体的に限定されるものではない。スクラビングの実行条件は、膜間差圧、膜間差圧の変化、供給する気体の種類、等の様々な条件に応じて変更可能である。例えば、スクラビングは、連続して行っても良いし、前回のスクラビング終了から所定時間が経過する毎に行われてもよいし、ろ過装置2への飼育水の供給量、つまりろ過量または膜間差圧が所定の値に達する毎に行われてもよい。
ろ過の駆動力は、飼育槽1とろ過装置2との液位差(水頭差)にを利用するサイホンによって得られてもよいし、ポンプにより発生する膜間差圧によって得られてもよい。また、ろ過の駆動力として、ろ過装置2のろ液側に吸引ポンプが設置されてもよい。吸引ポンプの圧力により膜間差圧を制御することができる。さらに、ろ過装置2の一次側に導入する気体または液体の圧力によっても膜間差圧を制御することができる。ろ過装置2の一次側の圧力とろ液側の圧力との差を膜間差圧として検出し、この膜間差圧に基づいて、ポンプの制御等を行うことができる。
また、ろ過装置には、分離膜を逆圧洗浄する工程をさらに備えてもよい。図1の構成では、ろ過装置2の2次側に洗浄用配管が接続されているので、洗浄ポンプ41を用いてろ過装置2に洗浄液を投入することができる。
逆圧洗浄実行時には、一時的に飼育水槽からろ過装置、生物処理装置への循環を停止する。すなわち、ろ過バルブが閉じ、かつポンプ11が停止する。この状態で、洗浄バルブ51が開き、洗浄ポンプ41が稼働することで、逆圧洗浄が行われる。
逆圧洗浄に使用される洗浄液としては、水、海水、飼育水の一部、または、塩酸、硫酸、硝酸、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液またはそれらの混合液体などが挙げられる。
図1〜図3の構成では、ポンプ12によって、飼育槽1からろ過装置2へ培養液が供給される。また、差圧制御部9によって検知された膜の1次側と2次側の圧力差である膜間差圧に応じて、ポンプ12の動作が制御されることで、ろ過装置2に供給される飼育水の量が適切に調整される。
ろ過は連続的に行うこともできるし、間欠的に行うこともできる。間欠的に行う場合は、ろ過は、予め定められた時間をおいて行われてもよいし、飼育槽中の水の濁度、特定の成分の濃度、または他のパラメータが所定値に到達した段階で行われてもよい。予め定められたタイミングで行う場合は、例えばろ過を5〜120分間継続して実行する毎に、所定の時間(例えば0.1〜10分間)ろ過を停止することができる。より好ましくは、ろ過を5〜60分間継続するごとに、0.25〜3分間ろ過を停止する。スクラビングは、ろ過停止中に行っても良いし、ろ過中に行っても良い。
また、図2、図3のように第1ろ過装置2の透過水を第2ろ過装置に供給する場合も、同様にポンプによりろ過の駆動力が得られる。
第1ろ過装置、第2ろ過装置の分離膜でのろ過は、前の装置から供給される水の全量をろ過する全量ろ過方式で行われても良いし、供給される水を膜面に対して平行に流し、供給水中の物質が膜面に堆積することを抑制するクロスフローろ過方式で行っても良い。
全量ろ過方式では、5〜60分間ろ過を行った後、膜の一次側に溜まった阻止成分を含む水をろ過装置の下部から排出することで、膜の閉塞を抑制することが出来る。
クロスフローろ過方式において、ろ過装置の一次側を通過した水は、飼育槽に戻してもよいし、戻さずに排出してもよい。例えば、図1,図3に示す配管14のようにろ過装置の一次側に繋がれた流路と、配管14上のポンプ15によって、一次側で水を循環させてもよい。この循環によって、分離膜で阻止された成分を濃縮することができる。こうして得られた濃縮液は最終的には膜の閉塞を招くため、閉鎖循環式によける水の再利用を損なわない程度に、定期的に排出する。
これら濃縮水の排出および洗浄は、膜の閉塞状態に合わせて適宜行えばよいが、特に、餌の投与後は、残餌の溶解拡散や、水中生物の排泄物および分泌物が増加し、飼育水質が悪化するため、餌投与の直前に、濃縮水を排出しておくことが好ましい。
排出された濃縮水には、残餌や水中生物の分泌物や排泄物など、多量の有機成分を含むので、これらを微生物など、水中生物の餌となる生物の飼育に活用しても良い。
飼育槽から第1ろ過装置およびまたは第2ろ過装置、生物処理装置への循環水量としては、1日あたり飼育槽中の飼育水量の1/10量〜40倍量を循環させることが望ましく、特に、1〜10倍量を循環させることが望ましい。1/10以下だと飼育水中の魚の成育阻害物質を十分に分解することができない。また、40倍以上だと、循環にかかる電力費コストが大きくなる。
また、餌の投与後は残餌の溶解拡散や、水中生物の排泄物・分泌物が増加し、飼育水質が悪化するため、餌の投与後から4〜10時間は、循環水量を平常時の3〜20倍に変更することが好ましい。
2−3.ろ過された前記水中に含まれる物質を生物処理する工程
ろ過装置の透過水は、用いた分離膜の種類に応じて、飼育水成分のタンパク質、多糖類、ペプチド、糖等が除去されている。この透過水を、ポンプ22を用いて生物処理装置に供給する。生物処理装置では、微生物群集で構成された生物膜形成担体に接触することで、担持微生物による代謝反応を受けて、飼育水中に残留していたアンモニアは硝酸に、その他成分についても分解され、透過水中には少量の硝酸のみが残った状態になる。
生物処理装置3における透過水の生物処理の条件は、十分な処理効果が得られる限り特に限定がなく、透過水の水質や水温等に応じて適宜変更することができるが、例えば生物処理時間(滞留時間)は5〜600分間程度、さらには7〜60分間程度であることが好ましい。また、生物処理装置において微生物の増殖による目詰まりを防止するため、生物担体の槽外洗浄や、水の透過する方向とは逆向きに水を通す逆圧洗浄を定期的に行っても良い。
こうして、ろ過装置、生物処理装置を経た飼育水は、残餌や水中生物の排泄物などは全て分解、浄化された状態になる。
2−4.ろ過および生物処理を経た水を水中生物の飼育に再利用する工程
生物処理装置の処理水は配管31を通じてポンプ32により飼育槽に返送され、水中生物の飼育水として再利用される。
以下、実施例を示して本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されない。以下の実施例で用いた飼育装置の概略構成は、図1、2、3に示すとおりである。
(中空糸膜の接触角の測定方法)
中空糸膜の外表面の接触角の測定を行う場合は、膜を押しつぶして平らにし、スライドガラスの上にエポキシ樹脂で固定した。膜表面に水滴を滴下し、接触角測定器を使用してθ/2法によって接触角を求めた。θ/2法とは、水滴の左もしくは右の端点と頂点を結ぶ直線の、膜表面に対する角度(θ/2)から接触角θを得る方法である。5回ずつ測定を行い、その平均値を求めた。内表面の接触角の測定時は中空糸膜を長さ方向に切断して内表面側を露出させ、同様に樹脂で固定し、接触角を測定した。
(ろ過水のタンパク質濃度の測定方法)
飼育装置の分離膜2の透過水を採取し、プロテインアッセイCBB 溶液(5 倍濃縮)と反応させ、595 nmの吸光を測定した。牛血清アルブミンを標準液として得られた検量線から、透過水中のタンパク質濃度を算出した。
(実施例1)
本実施例においては、図1の構成の装置を用いた。まず、養殖槽1に水道水30Lを取水した。次に水道水を、ポンプ12により加圧して、養殖槽1から分離膜2(ポリフッ化ビニリデン製中空糸限外ろ過膜、分子量150000、東レ製HFU膜を切り出して0.2m2のテスト用膜モジュールに加工)に供給し、全量ろ過を行った。続いて、透過水を、ポンプ21により生物処理槽3に供給した。生物処理槽3は、PP製リング状ろ材15mm×15mmに予め別水槽にてバクテリア定着させたものを充填した10Lの固定床とした。限外ろ過膜、生物処理槽への循環流量は、95L/dとなるように調整した。
続いて、養殖槽あたり鯉6匹(総量600g)を投入し、飼育を開始した。給餌は1日1回、鯉用養魚飼料を、飼育魚の重量の2−4%添加した。水温は25℃、また、エアーポンプを飼育槽1および生物処理槽に接続して、飼育槽内の溶存酸素量が4mg/L以上になるようにエアを供給した。飼育を開始後、限外ろ過膜、生物処理槽への送液を60分に1度停止し、限外ろ過膜の一次側の水を排出した。また、給餌の直前にも同様の排出操作を行った。この排出操作によって減った装置内飼育水と同量の水道水を養殖槽に追加した。
本方法により飼育を1ヶ月継続したが、斃死は1匹でその他は問題なく飼育を継続した。また、本分離膜の接触角は原水側表面では91°、ろ過水側表面では118°であり、透過水中のタンパク質濃度は0.5mg/Lであった。
(比較例1)
実施例1における分離膜2を設けず、養殖水槽1から直接生物処理槽3に供給した。それ以外の飼育方法については、実施例1と同様の操作を行ったところ、飼育開始から1ヶ月内に、魚の半数が斃死した。生物処理槽の透過水を測定したところ、アンモニア濃度が2ppmを超えていることが判明した。
(実施例2)
実施例1において、分離膜2を分画分子量20000のポリフッ化ビニリデン製中空糸限外ろ過膜を用いた以外は、同じ操作を行った。その結果、飼育1ヶ月を継続したが、斃死はなくその他は問題なく飼育を継続した。また、本分離膜の接触角は原水側表面では89°、ろ過水側表面伝説は118°であり、透過水中のタンパク質濃度は0.5mg/Lであった。
(実施例3)
実施例1において、分離膜2を分画分子量50000のポリフッ化ビニリデン製中空糸限外ろ過膜を用いた以外は、同じ操作を行った。その結果、飼育1ヶ月を継続したが、斃死はなくその他は問題なく飼育を継続した。また、本分離膜の接触角は原水側表面では89°であり、ろ過水側表面では118°でであり、透過水中のタンパク質濃度は0.5mg/Lであった。
(実施例4)
実施例1において、分離膜2として分画分子量200000のポリフッ化ビニリデン製中空糸精密ろ過膜を用いた以外は、同じ操作を行った。その結果、飼育1ヶ月を継続したが、弊死は1匹でのみで、その他は問題なく飼育を継続した。また、本分離膜の接触角は原水側表面では103°であり、ろ過水側表面では114°であり、透過水中のタンパク質濃度は0.5mg/Lであった。
(実施例5)
実施例1において、分離膜2として孔径0.1μmのポリフッ化ビニリデン製中空糸精密ろ過膜を用いた以外は、同じ操作を行った。その結果、飼育1ヶ月を継続したが、弊死は1匹でのみで、その他は問題なく飼育を継続した。
(実施例6)
実施例1において、分離膜2を分画分子量50000のポリエーテルスルフォン製中空糸限外ろ過膜を用いた以外は、同じ操作を行った。その結果、飼育1ヶ月を継続したが、斃死はなくその他は問題なく飼育を継続した。
(実施例7)
本実施例においては、図2の構成の装置を用いた。まず、養殖槽1に水道水30Lを取水した。次に水道水を、ポンプ12により加圧して、養殖槽1から分離膜2(ポリフッ化ビニリデン製中空糸限外ろ過膜、分子量150000、東レ製HFM膜を切り出して0.2m2のテスト用膜モジュールに加工)に供給し、全量ろ過を行った。続いて、限外ろ過膜の透過水をポンプ41により加圧して分離膜4(TCK社製ナノろ過膜NE70)に供給し、ろ過を行った。続いて、ナノろ過膜の透過水を、ポンプ21により生物処理槽3に供給した。生物処理槽3は、PP製リング状ろ材15mm×15mmに予め別水槽にてバクテリア定着させたものを充填した10Lの固定床とした。限外ろ過膜、生物処理槽への循環流量は、95L/dとなるように調整した。
続いて、養殖槽あたり鯉10匹(総量1000g)を投入し、飼育を開始した。給餌は1日1回、鯉用養魚飼料を、飼育魚の重量の2−4%添加した。水温は25℃、また、エアーポンプを飼育槽1および生物処理槽に接続して、飼育槽内の溶存酸素量が4mg/L以上になるようにエアを供給した。飼育を開始後、限外ろ過膜、生物処理槽への送液を60分に1度停止し、限外ろ過膜の一次側の水を排出した。また、ナノろ過膜の濃縮液については飼育装置外に排水した。これらの排出操作によって減った装置内飼育水と同量の水道水を養殖槽に追加した。
本方法により飼育を1ヶ月継続したが、斃死は1匹でその他は問題なく飼育を継続した。
(実施例8)
実施例7において、分離膜4に逆浸透膜(東レ(株)製逆浸透膜TM810C)を用いた以外は、同じ操作を行った。その結果、飼育1ヶ月を継続したが、斃死はなくその他は問題なく飼育を継続した。
(実施例9)
本実施例においては、図2の構成の装置を用いた。まず、養殖槽1に水道水30Lを取水した。次に水道水を、ポンプ12により加圧して、養殖槽1から分離膜2(ポリフッ化ビニリデン製中空糸精密ろ過膜、孔径0.1μm、0.2m2)に供給し、全量ろ過を行った。続いて、精密ろ過膜の透過水をポンプ41により加圧して分離膜4(ポリフッ化ビニリデン製中空糸限外ろ過膜、分画分子量150000、0.2m2)に供給し、ろ過を行った。続いて、限外ろ過膜の透過水を、ポンプ21により生物処理槽3に供給した。生物処理槽3は、PP製リング状ろ材15mm×15mmに予め別水槽にてバクテリア定着させたものを充填した10Lの固定床とした。限外ろ過膜、生物処理槽への循環流量は、95L/dとなるように調整した。
続いて、養殖槽あたり鯉6匹(総量600g)を投入し、飼育を開始した。給餌は1日1回、鯉用養魚飼料を、飼育魚の重量の2−4%添加した。水温は25℃、また、エアーポンプを飼育槽1および生物処理槽に接続して、飼育槽内の溶存酸素量が4mg/L以上になるようにエアを供給した。飼育を開始後、精密ろ過膜、限外ろ過膜、生物処理槽への送液を60分に1度停止し、精密ろ過膜と限外ろ過膜の一次側の水をそれぞれ排出した。これらの排出操作によって減った装置内飼育水と同量の水道水を養殖槽に追加した。
本方法により飼育を1ヶ月継続したが、斃死は1匹でその他は問題なく飼育を継続した。
(実施例10)
本実施例においては、図1の構成の装置を用いた。まず、養殖槽1に水道水30Lを取水した。次に水道水を、ポンプ12により加圧して、養殖槽1から分離膜2(ポリフッ化ビニリデン製中空糸限外ろ過膜、分子量150000、東レ製HFU膜を切り出して0.2m2のテスト用膜モジュールに加工)に供給し、全量ろ過を行った。続いて、透過水を、ポンプ21により生物処理槽3に供給した。生物処理槽3は、PP製リング状ろ材15mm×15mmに予め別水槽にてバクテリア定着させたものを充填した10Lの固定床とした。限外ろ過膜、生物処理槽への循環流量は、95L/dとなるように調整した。
続いて、養殖槽あたり鯉6匹(総量600g)を投入し、飼育を開始した。給餌は1日1回、鯉用養魚飼料を、飼育魚の重量の2−4%添加した。水温は25℃、また、エアーポンプを飼育槽1および生物処理槽に接続して、飼育槽内の溶存酸素量が4mg/L以上になるようにエアを供給した。飼育を開始後、限外ろ過膜、生物処理槽への送液を60分に1度停止し、限外ろ過膜の一次側の水を排出した。この排出操作によって減った装置内飼育水と同量の水道水を養殖槽に追加した。なお、給餌の直前の排出操作は行わなかった。
本方法により飼育を1ヶ月継続したが、斃死は1匹でその他は問題なく飼育を継続した。しかしながら、限外ろ過膜の閉塞が早く、飼育1ヶ月時点で膜間差圧が200kPaに達したため、薬液洗浄を行う必要が生じた。
(実施例11)
本実施例においては、図3の構成の装置を用いた。まず、養殖槽1に水道水30Lを取水した。次に水道水を、ポンプ12により加圧して、養殖槽1から分離膜2(ポリフッ化ビニリデン製中空糸限外ろ過膜、分子量150000、東レ製HFU膜を切り出して0.2m2のテスト用膜モジュールに加工)に供給し、1次側循環流路のエア抜きを行った後、ポンプ15を始動させた。ポンプ15で1次側を循環させながら、ポンプ12で透過量と同量を循環流路に供給することで、クロスフローろ過を行った。続いて、透過水を、ポンプ21により生物処理槽3に供給した。生物処理槽3は、PP製リング状ろ材15mm×15mmに予め別水槽にてバクテリア定着させたものを充填した10Lの固定床とした。限外ろ過膜、生物処理槽への循環流量は、95L/dとなるように調整した。
続いて、養殖槽あたり鯉6匹(総量600g)を投入し、飼育を開始した。給餌は1日1回、鯉用養魚飼料を、飼育魚の重量の2−4%添加した。水温は25℃、また、エアーポンプを飼育槽1および生物処理槽に接続して、飼育槽内の溶存酸素量が4mg/L以上になるようにエアを供給した。飼育を開始後、限外ろ過膜、生物処理槽への送液を60分に1度停止し、限外ろ過膜の一次側循環路の水を排出した。また、給餌の直前にも同様の排出操作を行った。この排出操作によって減った装置内飼育水と同量の水道水を養殖槽に追加した。
本方法により飼育を1ヶ月継続したが、斃死は1匹でその他は問題なく飼育を継続した。また、限外ろ過膜の膜間差圧はほとんど上昇しなかった。
(実施例12)
実施例1において、分離膜2、生物処理槽への循環流量を3倍の285L/dとし、鯉を10匹(総量1000g)を投入した以外は、同じ操作を行った。その結果、飼育1ヶ月を継続したが、斃死はなくその他は問題なく飼育を継続した。
(実施例13)
実施例1において、分離膜2、生物処理槽への循環流量を10倍の950L/dとし、鯉を10匹(総量1000g)を投入した以外は、同じ操作を行った。その結果、飼育1ヶ月を継続したが、斃死はなくその他は問題なく飼育を継続した。
(比較例2)
実施例8において、分離膜2を逆浸透膜、分離膜4を限外ろ過膜と逆にして飼育を行った。その結果、逆浸透膜の閉塞が著しく、運転開始から1週間で飼育の継続が困難となった。
(比較例3)
実施例1において、分離膜2に、分画分子量200000のポリフッ化ビニリデン製中空糸限外ろ過膜を0.05%ポリビニルアルコール水溶液に浸漬して放射線照射した膜を用いた以外は、同じ操作を行った。その結果、飼育1ヶ月を継続したが、斃死は1匹であった。一方、本分離膜の接触角は原水側表面、ろ過水側表面はともに89°で、透過水中のタンパク質濃度は0.8mg/Lで、ろ過水に有機成分が多く、生物処理槽の負荷が高かった。
本発明は、分離膜運転の長期安定性と飼育成績の向上を同時に実現させることができるため、広く微生物飼育用途において利用され、生産物である化学品を低コストで安定に生産することが可能となる。
1 飼育槽
2 第1ろ過装置
3 生物処理装置
11 配管
21 配管
31 配管
4 第2ろ過装置
41 配管
5 温度制御部
6 差圧制御部
12 ポンプ
22 ポンプ
32 ポンプ
51 洗浄バルブ
52 洗浄ポンプ
53 配管
70 DOセンサー
71 飼育槽気体供給装置
13 第1ろ過装置2の分離膜を透過しなかった濃縮水を排出する配管
14 第1ろ過装置2の分離膜の1次側を循環する配管
15 第1ろ過装置2の分離膜の1次側を循環するポンプ
42 第2ろ過装置4の分離膜を透過しなかった濃縮水を排出する配管
100 飼育装置

Claims (17)

  1. 水および水中生物を収容する飼育槽と、
    分離膜を有し、前記飼育槽から抜き出された水を分離膜でろ過することで濃縮水と透過水を得る第1ろ過装置と、
    前記第1ろ過装置で得られた透過水に含まれる物質を生物処理する生物処理装置と、
    前記生物処理装置で処理された水を前記飼育槽に戻す還流部と
    を備える水中生物の飼育装置。
  2. 前記第1ろ過装置の分離膜が限外ろ過膜であることを特徴とする
    請求項1に記載の飼育装置。
  3. 限外ろ過膜の分画分子量が20,000Da〜500,000Daである
    請求項2または3に記載の飼育装置。
  4. 限外ろ過膜がポリフッ化ビニリデン製の中空糸膜である
    請求項2または3に記載の飼育装置。
  5. 前記限外ろ過膜の原水側表面の水の接触角が103°以下であり、かつ原水側表面とろ過水側表面の接触角の差が11°以上30°以下である
    請求項2〜4のいずれかに記載の飼育装置。
  6. 第1ろ過装置の1次側を循環する循環流路を有する
    請求項2〜5のいずれかに記載の飼育装置。
  7. 前記生物処理装置が、微生物を担持する担体を備える
    請求項1〜6のいずれかに記載の飼育装置。
  8. 前記第1ろ過装置の分離膜よりも孔径の小さな分離膜によって、前記第1ろ過装置で得られた透過水をろ過することで濃縮水と透過水とを得る第2ろ過装置を備え、
    前記生物処理装置は、前記第1ろ過装置で得られ、かつ前記第2ろ過装置でろ過される前の透過水に含まれる物質を処理するか、または第2ろ過装置で得られた透過水に含まれる物質を処理する
    請求項1〜7のいずれかに記載の飼育装置。
  9. 前記第1ろ過装置が分離膜として限外ろ過膜を有し、
    前記第2ろ過装置が分離膜として逆浸透膜またはナノろ過膜を有することを特徴とする
    請求項8に記載の飼育装置。
  10. 水中で水中生物を飼育する飼育工程、
    分離膜を有する第1ろ過装置で前記飼育に用いられた水をろ過することで濃縮水と透過水とを得る第1ろ過工程、
    ろ過された前記水中に含まれる物質を生物処理する生物処理工程、
    ろ過および生物処理を経た水を水中生物の飼育に再利用する再利用工程、
    を備える水中生物の生産方法。
  11. 前記第1ろ過工程の分離膜が限外ろ過膜である
    請求項12に記載の生産方法。
  12. 前記飼育工程は、前記水中生物に餌を与える給餌工程を含み、
    前記給餌工程の前60分以内に前記第1ろ過装置の濃縮水を排出する第1給餌前排出工程をさらに含む、
    請求項10または11に記載の生産方法。
  13. 前記飼育工程は、前記水中生物に餌を与える給餌工程を含み、
    所定時間毎に前記第1ろ過装置の濃縮水を排出する第1定期排出工程と、
    前記給餌工程後に前記第1ろ過工程を行った場合は、前記給餌工程直前の濃縮液の排出から前記所定時間が経過する前に、前記濃縮水の排出を行う第1給餌後排出工程と、
    をさらに含む
    請求項10〜12のいずれかに記載の生産方法。
  14. 前記第1ろ過工程における分離膜よりも孔径の小さな分離膜を有する第2ろ過装置によって、前記第1ろ過工程の透過水をろ過することで濃縮水と透過水とを得る第2ろ過工程をさらに備え、
    前記生物処理工程は、前記第1ろ過工程で得られ、かつ前記第2ろ過工程でろ過される前の透過水に含まれる物質を処理するか、または前記第2ろ過工程で得られた透過水に含まれる物質を処理する
    請求項10〜13のいずれかに記載の生産方法。
  15. 前記飼育工程は、前記水中生物に餌を与える給餌工程を含み、
    前記給餌工程の前60分以内に前記第2ろ過装置の濃縮水を排出する第2給餌前排出工程をさらに含む
    請求項14に記載の生産方法。
  16. 前記第1ろ過工程の分離膜が限外ろ過膜であり、
    前記第2ろ過工程の分離膜が逆浸透膜またはナノろ過膜であることを特徴とする生産方法。
    請求項14または15に記載の生産方法。
  17. 飼育槽への餌の投与後4時間は、第1のろ過工程で処理される水の量を、餌の投与前の3倍〜20倍とする
    請求項10〜16のいずれかに記載の生産方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113200598A (zh) * 2021-04-13 2021-08-03 中国科学院海洋研究所 用于循环水养殖的自清洗固定床生物滤器装置及使用方法
FR3114249A1 (fr) * 2020-09-22 2022-03-25 Pure Salmon Limited Procédé de traitement de l’eau pour élevage aquacole, et installation pour la mise en œuvre de ce procédé
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