次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、本実施の形態の部品実装システム1の構成を説明する。図1において、部品実装システム1は、部品実装装置2および部品供給部10を含んでいる。部品実装装置2の構成を説明する。基台2aの上面には基板搬送機構3がX方向(基板搬送方向)に配列されている。基板搬送機構3は上流側装置から搬入される作業対象の基板4を搬送して、装着作業位置に位置決めして保持する。部品実装装置2および部品供給部10の上方において、装置カバー2bによって閉囲された作業空間には、以下に説明する部品装着作業を行う装着ヘッド5が、ヘッド移動機構(図示省略)によって移動可能に設けられている。
部品供給部10の構成を説明する。図1において部品供給部10はキャスタによってフロア上で移動自在な台車11を有している。台車11の本体を構成する台車本体部11aの上面には、フィーダベース12が備えられている。フィーダベース12は、複数のテープフィーダ13を並べた状態でセット可能となっている。台車本体部11aには、部品を収納するキャリアテープ16を卷回収納する供給リール15がセットされている。キャリアテープ16には、部品を収納する凹部である部品収納部(図示省略)が長手方向に一列に並んで設けられており、部品収納部の上部はカバーテープ16b(図2、図4(b)参照)によって覆われている。
供給リール15から供給されたキャリアテープ16はテープフィーダ13に取り込まれる。テープフィーダ13は、部品を収納するキャリアテープ16の部品収納部の上部を覆うカバーテープ16bを剥離し、カバーテープ16bが剥離された部品収納部を部品取り出し位置13c(図2参照)まで搬送する。上述の部品実装装置2は、これら複数のテープフィーダ13の部品取り出し位置13cにおいて、部品を装着ヘッド5によって部品収納部から取り出して基板4に装着する作業を行う。部品実装装置2の基台2aには、本体制御部6が内蔵されている。本体制御部6は部品実装装置2による部品装着動作および部品供給部10におけるテープフィーダ13の部品供給動作を制御する。
部品実装装置2は、台車11を着脱自在に保持可能な台車保持部7を有している。部品実装装置2の基台2aにおいて台車本体部11aと対向する部位には、鍵形状の係合部材7aが台車本体部11a側に延出して設けられている。台車本体部11aにおいて係合部材7aに対応する位置には、ピン状の被係合部材7bが係合部材7aに係合可能に設けられている。台車11を基台2aに近接させて係合部材7aを被係合部材7bに係合させることにより、台車11は台車保持部7によって部品実装装置2に着脱自在に保持される。
すなわち部品実装システム1は、台車保持部7に保持された台車11のフィーダベース12にセットされた部品供給装置であるテープフィーダ13の部品取り出し位置13cから部品を取り出して、基板4の所定の位置に装着する部品実装装置を備えた構成となっている。そして本実施の形態における部品供給用の台車11は、前述構成のテープフィーダ13を複数台並べた状態でセットして部品実装装置2の台車保持部7に保持される形態となっている。
次に図2を参照して、台車11の全体構成および機能を説明する。図2において、テープフィーダ13はフィーダベース12の上面に形成されたフィーダスロット(図示省略)に嵌着されるフィーダ前部13aと、フィーダ前部13aから段付き形状で後方(図2において左側)に延出して設けられたフィーダ後部13bとを有している。テープフィーダ13にはフィーダ後部13bからフィーダ前部13aに通じる第1の搬送路30が設けられている。
供給リール15から引き出されたキャリアテープ16は フィーダ後部13bに導入されて第1の搬送路30に沿って搬送される。この搬送により部品取り出し位置13cに到達した装着対象の部品は装着ヘッド5(図1参照)によって取り出される。キャリアテープ16の搬送途中において、キャリアテープ16の部品収納部を覆ったカバーテープ16bが、キャリアテープ16からカバーテープ剥離部34(図4参照)によって剥離される。剥離されたカバーテープ16bは、フィーダ前部13a内に形成された第2の搬送路33に沿って後方に排出される。
本実施の形態では、剥離されたカバーテープ16bの排出を、真空吸引やエアブローなどの流体力によって強制的に回収するようにしている。すなわち、台車11には、第2の搬送路33の出口33a(図4,図5参照)に接離自在に設けられたカバーテープ吸引ノズル21が、それぞれのテープフィーダ13に対応して設けられている。
それぞれのカバーテープ吸引ノズル21はダクト20と連通している。ダクト20を真空吸引することにより、またはダクト20内をエアブローして空気流を発生させることにより、第2の搬送路33内のカバーテープ16bはカバーテープ吸引ノズル21を介してダクト20内に吸引される。ダクト20は両端をダクト保持部14によって保持されており、ダクト保持部14を前後方向に移動させることにより、カバーテープ吸引ノズル21をフィーダ前部13aに接離させることができる。
部品が取り出されて空となったベーステープ16aは、フィーダ前部13aの前端部にて下方に導かれる。さらにベーステープ16aは台車本体部11aに内蔵されたシュート17を介してキャリアテープ切断部18に至り、ここで裁断されて台車本体部11aの下方に配置された回収容器19に回収される。
フィーダ後部13bには、フィーダ制御部13e(制御部)が内蔵されている。テープフィーダ13をフィーダベース12にセットすることにより、フィーダ制御部13eは接続部13dおよびフィーダベース12を介して台車本体部11aに内蔵された通信部11bに接続される。台車11を部品実装装置2に保持させることにより、通信部11bは基台2aに内蔵された本体制御部6(図1参照)に接続される。これにより、本体制御部6によってテープフィーダ13の動作が制御される。すなわちテープフィーダ13のフィーダ制御部13eは外部装置と通信可能となっている。
さらにテープフィーダ13の上面には作業者が入力や操作を行うための操作パネル13fが設けられている。操作パネル13fを介して作業者が入力操作を行うことにより、テープフィーダ13におけるカバーテープ16bの排出のための切断などの所定の作業を、マニュアル操作によって制御することが可能となっている。
次に図3を参照して、台車11に設けられた上述のカバーテープ16bの回収機能について説明する。図3は、図2における台車11の後面を示しており、台車本体部11aにはキャリアテープ16を卷回収納した複数の供給リール15がセットされている。供給リール15の位置はフィーダベース12においてテープフィーダ13がセットされた位置に対応しており、供給リール15から引き出されたキャリアテープ16はテープフィーダ13のフィーダ後部13bに挿入されている。
図3において、ダクト20はフィーダベース12におけるテープフィーダ13の並び方向に延びた形状で、内部に吸引空間20aを有する中空管である。ダクト20の側面であって、フィーダベース12におけるテープフィーダ13に対応する複数の位置には、カバーテープ16bをダクト20へ引き込む複数の吸込み口20bが設けられている。
これらの吸込み口20bのうち、フィーダベース12にセットされた複数のテープフィーダ13に対応する複数の位置には、テープフィーダ13に個別にアクセスしてカバーテープ16bを吸込み口20bへ案内する複数のノズルであるカバーテープ吸引ノズル21が接続されている。なお、吸込み口20bのうち、テープフィーダ13が装着されていない位置に対応する吸込み口20bには、漏れ防止のための盲栓20cが装着されている。
ダクト20の両端部に結合された中空の軸部材22は、ダクト保持部14にベアリング14aを介して水平方向の軸周りの回転が可能に保持されている。ダクト保持部14の下端部は、スライド機構14bを介して台車本体部11aの上面に保持されている。これにより、ダクト20はY方向(図2における前後方向)に進退自在となっている。
一方側のダクト保持部14には、送りねじ機構26aの回転をY方向の直線移動に変換する構成の送り機構26が設けられている。ハンドル部26bによって送りねじ機構26aを正逆回転させる(矢印c)ことにより、ダクト20は両端部を保持するダクト保持部14とともにY方向へ往復移動する。これにより、ダクト20の側面に装着されたカバーテープ吸引ノズル21をテープフィーダ13のフィーダ前部13aに設けられた第2の搬送路33の出口33aに接続させ、また分離させることができる。
一方側(図3において左側)の軸部材22は、垂直姿勢で配置された連結管23と接続されている。連結管23は下方に配置された裁断部24と接続されており、さらに裁断部24は下方に配置された吸引源25と接続されている。吸引源25を作動させることにより、連結管23を介してダクト20の内部の吸引空間20aが吸引される(矢印a)。
これにより、吸引空間20aと連通したカバーテープ吸引ノズル21から真空吸引し、対応するテープフィーダ13の第2の搬送路33を真空吸引することができる。そしてこの真空吸引により、カバーテープ剥離部34(図4参照)によって剥離されて第2の搬送路33に沿って排出されるカバーテープ16bをテープフィーダ13から回収することができる。
吸引空間20aから吸引源25によって吸引されて連結管23に導かれたカバーテープ16bは、吸引源25に至る前に裁断部24によって裁断されてテープ片となる。そしてこれらカバーテープ16bが切断されたテープ片は、排出シュート27によって導かれて台車本体部11aの底部に設けられた回収容器19内に回収される。
なお、剥離されたカバーテープ16bを回収する形態としては、吸引源25を用いた吸引による形態には限定されない。例えば、図3に示すように、連結管23の反対側から吸引空間20a内に空気を吹き込んで空気を移動させるエアブロー(矢印b)を行うブロー装置28を設けるように構成してもよい。この構成により、吸引空間20aから連結管23を介して下方に流動する空気流を発生させることができ、剥離されたカバーテープ16bを同様に回収することができる。すなわちこの構成では、前述のカバーテープ回収部は、流体力としてのエアブローによりカバーテープ16bを移動させて回収するようになっている。
図2、図3に示すように、剥離されたカバーテープ16bを回収する構成において、カバーテープ吸引ノズル21、カバーテープ吸引ノズル21が接続されたダクト20、ダクト20の内部を吸引する吸引源25またはダクト20の内部で空気を移動させるブロー装置28は、複数のテープフィーダ13から剥離されたカバーテープ16bを回収するカバーテープ回収部を構成する。そしてこの構成においては、このカバーテープ回収部は、流体力を利用してテープフィーダ13から剥離されたカバーテープ16bを回収するダクト20を含むようになっている。
上述構成において、流体力を利用する形態としては、吸引源25によりダクト20の内部を吸引することにより、ダクト20でカバーテープ16bを吸引して回収する形態と、ダクト20内を移動するエアー(空気流)を利用してカバーテープ16bを移動させて回収する形態とのいずれを用いてもよい。もちろん、これらを併用することによりさらに良好なカバーテープ16bの回収効果を得ることができる。なお、カバーテープ回収部として流体力を用いることは本発明における必須要件ではなく、テープフィーダ13から剥離されたカバーテープ16bを取り出して回収する機能を有していればよい。
すなわち上述構成において、本実施の形態に示す部品実装システム1(換言すれば 部品実装システム1に備えられた部品供給用の台車11)は、流体力を利用して、テープフィーダ13によって剥離されたカバーテープ16bを回収するダクト20を有する構成となっている。ここで利用される流体力は、流体力発生源である吸引源25またはブロー装置28によって発生される。流体力発生源として吸引源25を用いる構成では、ダクト20はカバーテープ16bを吸引して回収する。流体力発生源としてブロー装置28を用いる構成では、ダクト20はダクト20内を移動するエアーを利用してカバーテープ16bを移動させて回収する。
そして上述の部品実装システム1、台車11は、吸引源25と、ダクト20を介して回収されたカバーテープ16bを収納する回収容器19を有している。本実施の形態においては、この回収容器19は部品が取り出されて空になったキャリアテープ(ベーステープ16a)も回収するようになっている(図2参照)。
次に図4を参照して、テープフィーダ13の詳細構成と機能について説明する。図4(a)に示すように、テープフィーダ13には、キャリアテープ16を案内する第1の搬送路30が設けられている。第1の搬送路30は、フィーダ後部13bの後端面に開口した挿入口30aからフィーダ後部13bの上部に沿ってフィーダ前部13aに至る。ここで上方へ斜行してフィーダ前部13aの上面に沿って部品取り出し位置13cに至り、その後フィーダ前部13aの前端部に沿って下降して下面に開口した排出口30bに至る。
フィーダ後部13bにおいて挿入口30aに近接した位置には、スプロケット31aをローディング駆動部31bによって駆動する構成のローディング部31が配置されている。ローディング部31は、供給リール15から引き出されて第1の搬送路30の挿入口30aに挿入されたキャリアテープ16の先端部を、第1の搬送路30の下流側に引き込む機能を有している。ローディング部31はフィーダ後部13bに拡張ユニットとして装着されている。すなわち、拡張ユニットによって、ローディング機能(キャリアテープ16の先端部を第1の搬送路30の下流側に位置するキャリアテープ搬送部32まで引き込む機能)を持たないテープフィーダに、ローディング機能を追加することができる。
フィーダ前部13aにおいて第1の搬送路30が上方に斜行する位置には、カバーテープ剥離部34が配置されている。カバーテープ剥離部34は、第1の搬送路30を移動するキャリアテープ16からキャリアテープ16に設けられた部品収納部の上部を覆うカバーテープ16bを剥離する機能を有している。
カバーテープ剥離部34はカバーテープ16bを挟み込んで送る1対のローラ34aと、カバーテープ16bをエアブローにより1対のローラ34aの間に導くエアブロー機構34bとを含んで構成されている。1対のローラ34aは第1の搬送路30に近接した上方に配置されている。この構成により、カバーテープ剥離部34は、ローディング部31によって下流側に引き込まれて第1の搬送路30を移動するキャリアテープ16の先端部のカバーテープ16bを剥離する。
すなわちカバーテープ剥離部34に含まれる1対のローラ34aは、第1の搬送路30を移動するキャリアテープ16の先端部のカバーテープ16bを捕捉可能となっている。そしてこれら1対のローラ34aは、エアブロー機構34bによるエアブローによって送り込まれた先端部のカバーテープ16bを挟み込んでキャリアテープ16から離れる方向に送ることにより、キャリアテープ16からカバーテープ16bを剥離する。
フィーダ前部13aにおいてカバーテープ剥離部34の下流側には、2つのスプロケット32a、32bをテープ搬送駆動部32cによって駆動する構成のキャリアテープ搬送部32が配置されている。キャリアテープ搬送部32は、キャリアテープ16を第1の搬送路30に沿って搬送することにより、キャリアテープ16においてカバーテープ16bが剥離された部品収納部を部品取り出し位置13cに停止させる機能を有している。
フィーダ前部13aには、カバーテープ剥離部34によりキャリアテープ16から剥離されたカバーテープ16bを案内する中空状の第2の搬送路33が設けられている。第2の搬送路33は、剥離されたカバーテープ16bを取り込む入口33bと出口33aとを有している。入口33bは、エアブロー機構34bと対向する位置に開口している。1対のローラ34aは入口33bに配置されており、カバーテープ16bを出口33aに向かって送る。また出口33aは、フィーダ前部13aの後端面に開口して設けられており、前述のカバーテープ回収部を構成するカバーテープ吸引ノズル21がアクセス可能な位置に形成されている(図5も参照)。
なお、第2の搬送路33に、1対のローラ34aで送られるカバーテープ16bの移動を流体の流れを利用して補助する補助ブロー機構33cを設けるようにしてもよい。すなわち第2の搬送路33において出口33aに向かう空気流を発生させるように補助ブロー機構33cからエアブローを行う。これにより第2の搬送路33においてカバーテープ16bの移動を補助し、カバーテープ16bの詰まりを生じることなく、確実にカバーテープ16bを出口33aから排出することができる。
フィーダ前部13aにおいて出口33aの近傍には、切断部35(カバーテープ切断部)が設けられている。切断部35は、テープフィーダ13によって剥離されて第2の搬送路33を案内されるカバーテープ16bを切断する機能を有しており、カバーテープ16bを切断する切断刃35aと、切断刃35aを駆動して切断動作を行わせる駆動部35bとを備えている。
駆動部35bはフィーダ制御部13eからの命令によって駆動し、フィーダ制御部13eは前述の操作パネル13fから入力によって駆動部35bを駆動させる。すなわち、操作パネル13fからカバーテープ16bを切断する旨の入力があったら、駆動部35bへ切断のための駆動の命令を出力する。これにより、第2の搬送路33から排出されるカバーテープ16bを所望の長さに切断することができる。
なおフィーダ制御部13eは、図2に示すように部品実装装置2の本体制御部6と接続されており、外部装置(部品実装装置2または部品実装装置2と接続された他設備)と通信可能となっている。これにより、これら外部装置からカバーテープ16bを切断する旨の指令を受信したら、駆動部35bへ切断のための駆動の命令を出力する。
図4(b)は、上述構成のテープフィーダ13におけるキャリアテープ16の搬送、カバーテープ16bの剥離および排出動作を示している。供給リール15から引き出されて第1の搬送路30の挿入口30aに挿入されたキャリアテープ16は、ローディング部31によって下流側へ搬送される。これにより、キャリアテープ16の先端部は第1の搬送路30の下流側へ引き込まれる。次いでキャリアテープ16の先端部がカバーテープ剥離部34の位置に到達すると、エアブロー機構34bからエアブローにより、カバーテープ16bの先端部が1対のローラ34aの間に導かれる。
そして導かれたカバーテープ16bを、1対のローラ34aによって挟み込んでテープ送りすることにより、カバーテープ16bはキャリアテープ16から剥離される。剥離されたカバーテープ16bは、第2の搬送路33によって案内されて出口33aへ向かって搬送される。このとき、補助ブロー機構33cによって補助的エアブローを実行することにより(矢印e)、カバーテープ16bを出口33aからより確実に排出することができる(矢印f)。
キャリアテープ16からカバーテープ16bが剥離された後のベーステープ16aは、部品収納部が露呈された状態で部品取り出し位置13cに到達する。そしてここで部品収納部から部品が装着ヘッド5(図1参照)によって取り出され、空になったベーステープ16aはフィーダ前部13aの前端部に設けられた排出口30bを介して下方に送られる。
図5は、テープフィーダ13のフィーダ前部13aにカバーテープ回収部を構成するカバーテープ吸引ノズル21をアクセスさせた状態を示している。カバーテープ吸引ノズル21は、第2の搬送路33の出口33aに向かって水平方向に延出する延出管21aを備えている。延出管21aの先端部にはパッキン21bが装着されており、中間部にはベローズ21cが介設されている。カバーテープ吸引ノズル21がフィーダ前部13aにアクセスした状態において、ベローズ21cが伸縮することによりパッキン21bを出口33aに確実に押しつける。そしてパッキン21bが出口33aに押しつけられることにより、延出管21aと出口33aとの接続部の気密が確保される。
第2の搬送路33に備えられた切断部35は、カバーテープ剥離部34によってキャリアテープ16から剥離され、第2の搬送路33に沿って搬送されるカバーテープ16bを切断する。これにより、切断位置から先のカバーテープ16bはフリーな状態となり、ダクト20の吸引空間20a内に吸込み口20bを介して吸引される。
なお、本実施の形態では、切断部35をフィーダ前部13a内の出口33aの手前側に配置した例を示しているが、切断部35を設ける位置はここに示す例には限定されない。要はダクト20にカバーテープ16bが到達する前の位置であれば、切断部35を配置する位置として採用することができる。すなわち本実施の形態に示す部品実装システム1における切断部35は、ダクト20に到達する前のカバーテープ16bを切断する位置に位置する構成となっている。
例えば図5において破線で示す切断部35のように、カバーテープ吸引ノズル21においてダクト20との接続位置の近傍に切断部35を配置するようにしてもよい。このような構成により、切断部を持たないテープフィーダを使用することが可能となり、形態を簡素化して設備費の低コスト化を図ることができる。さらに、切断部35に代えて裁断部24を部品供給装置によって剥離されたカバーテープ16bを切断するカバーテープ切断部としてもよい。この場合、テープフィーダ13やカバーテープ吸引ノズル21の切断部35を省略できるので更なる低コスト化が実現可能である。
ただしこの場合、テープフィーダ13を台車11から取外すときにダクト20内に引き込まれているカバーテープ16bを引き出す作業を伴うことになる。よって、テープフィーダ13を取り外す作業を考慮すれば、ダクト20に到達する前のカバーテープ16bを切断できる構造、すなわちテープフィーダ13もしくはカバーテープ吸引ノズル21に切断部35を配置するのが好ましい。
次に図6を参照して、テープフィーダ13にカバーテープ回収部を構成するカバーテープ吸引ノズル21およびダクト20をアクセスさせ、またアクセスを解除する態様について説明する。図6(a)は、ダクト保持部14に保持されたダクト20およびカバーテープ吸引ノズル21を前方にスライドさせて、延出管21aのパッキン21bを出口33aに密着させた状態を示している。この状態では、カバーテープ吸引ノズル21は第2の搬送路33と接続されている。図5に示すダクト20によるカバーテープ16bの回収はこの状態で行われる。すなわち、図6(a)に示すダクト20の位置は、複数のテープフィーダ13からカバーテープ16bを回収可能な第1の位置となっている。
図6(b)は、ダクト保持部14に保持されたダクト20およびカバーテープ吸引ノズル21を後方にスライドさせて、パッキン21bを出口33aから分離させた状態を示している。図3に示す送り機構26を操作することにより、カバーテープ回収部を構成するカバーテープ吸引ノズル21およびダクト20は、ダクト保持部14とともに後方に移動する(矢印g)。
これにより、出口33aとパッキン21bは隙間Sを隔てて分離され、第2の搬送路33やカバーテープ吸引ノズル21の詰まり排除などのメンテナンスが可能となる。すなわち図6(b)に示すダクト20の位置は、複数のテープフィーダ13から離れた第2の位置となっている。このように、本実施の形態においては、ダクト20は上述の第1の位置と第2の位置とに移動可能となっている。
次に図7を参照して、台車本体部11aにテープフィーダ13の装着のために設けられた所定の位置であるフィーダベース12へのテープフィーダ13の着脱動作について説明する。図6に示すように、ダクト20およびカバーテープ吸引ノズル21をフィーダ前部13aにアクセスさせた状態では、カバーテープ吸引ノズル21がフィーダ前部13aと同じ高さレベルに位置することから、テープフィーダ13をフィーダベース12に着脱することができない。このため本実施の形態では、図7(a)に示すように、ダクト20を、その長手方向(図7において紙面垂直方向)に延びた回転軸[AX]を中心に回転自在(矢印h)に構成している。
これにより、ダクト20に接続されたカバーテープ吸引ノズル21の姿勢を、カバーテープ吸引ノズル21が水平方向となって延出管21aの先端部がフィーダ前部13aの高さレベルよりも上方に位置する姿勢に変更することができる。したがって、フィーダ前部13aをフィーダベース12の上面に沿わせて前方にスライドさせる装着動作(矢印i)において、カバーテープ吸引ノズル21とフィーダ前部13aとの干渉が生じることがない。そしてフィーダベース12にテープフィーダ13を装着した後には、ダクト20を回転軸[AX]を中心に回転させることにより、図6(a)に示す装着状態を実現することができる。
また装着状態からテープフィーダ13を取り外す場合には、図7(a)と同様に、カバーテープ吸引ノズル21の姿勢を延出管21aの先端部がフィーダ前部13aの高さレベルよりも上方に位置する姿勢に変更する。そしてこの状態で、図7(b)に示すように、テープフィーダ13を後方にスライドさせる分離動作(矢印j)を行う。この分離動作においても、延出管21aとフィーダ前部13aとの干渉を生じることなく、テープフィーダ13を取り外すことができる。
このように本実施の形態に示す部品実装システム1の部品供給用の台車11は、ダクト20およびカバーテープ吸引ノズル21とフィーダベース12の相対的な位置もしくは姿勢を変更可能な構成となっている。そしてこの構成により、カバーテープ回収部は、所定の位置であるフィーダベース12へのテープフィーダ13の着脱を妨げない姿勢に変更可能となっている。
次に図8を参照して、本実施の形態に示すテープフィーダ13を剥離されたカバーテープ16bを、収納ケース40に収納して回収する構成について説明する。図8(a)に示すテープフィーダ13は、図4,図5に示すテープフィーダ13と同様の構成を有しており、フィーダ前部13aに形成された第2の搬送路33はフィーダ前部13aの後端部の出口33aに開口している。フィーダ前部13aの後端部とフィーダ後部13bの上面部によって形成される区画には、カバーテープ16bを収納するための収納ケース40が着脱自在に装着される(矢印k)。収納ケース40の内部はカバーテープ16bを収納する収納空間40aとなっている。テープフィーダ13への装着状態において出口33aに相当する位置には、導入口40bが設けられている。
図8(b)は、このような構成の収納ケース40をテープフィーダ13に装着し、テープフィーダ13を作動させた状態を示している。すなわち図4(b)に示す例と同様に、第1の搬送路30に導かれたキャリアテープ16は、ローディング部31によって下流側へ搬送される。これにより、キャリアテープ16の先端部は第1の搬送路30の下流側へ引き込まれる。次いでキャリアテープ16の先端部がカバーテープ剥離部34の位置に到達すると、カバーテープ剥離部34によりカバーテープ16bがキャリアテープ16から剥離される。
剥離されたカバーテープ16bは、第2の搬送路33によって案内されて出口33aへ向かって搬送され、導入口40bを介して収納空間40a内に送り込まれる(矢印m)。そして収納空間40a内がカバーテープ16bによって満杯になると、収納ケース40に設けられた取り出し開口(図示省略)を介して収納空間40a内のカバーテープ16bを回収廃棄する。すなわちここに示す例では、出口33aから排出されたカバーテープ16bを収納する着脱自在な収納ケース40を備えた構成となっている。
上記説明したように、本実施の形態に示す部品実装システム1は、部品を収納するキャリアテープ16の部品収納部の上部を覆うカバーテープ16bを剥離し、カバーテープ16bが剥離された部品収納部を部品取り出し位置13cまで搬送する複数のテープフィーダ13と、複数のテープフィーダ13の部品取り出し位置13cにおいて部品を部品収納部から取り出して基板4に装着する部品実装装置2と、テープフィーダ13によって剥離されたカバーテープ16bを切断する切断部35と、複数のテープフィーダ13から剥離されたカバーテープ16bを回収するカバーテープ回収部とを備えた構成となっている。これにより、テープフィーダ13においてキャリアテープ16から剥離されたカバーテープ16bの回収処理を簡便な機構で効率よく自動化することができる。
また本実施の形態に示す部品供給装置(テープフィーダ)は、部品を収納した複数の部品収納部が一列に並んだキャリアテープ16を案内する第1の搬送路30と、第1の搬送路30を移動するキャリアテープ16から部品収納部の上部を覆うカバーテープ16bを剥離するカバーテープ剥離部34と、キャリアテープ16を第1の搬送路30に沿って搬送することによりカバーテープ16bが剥離された部品収納部を部品取り出し位置13cに停止させるキャリアテープ搬送部32と、入口33bと出口33aを有しキャリアテープ16から剥離されたカバーテープ16bを案内する中空状の第2の搬送路33とを備え、出口33aは剥離されたカバーテープ16bを回収するカバーテープ回収部がアクセス可能な位置に形成された構成となっている。この構成により、キャリアテープ16から剥離されたカバーテープ16bの回収処理を簡便な機構で効率よく自動化することができる。
さらに本実施の形態に示す部品実装システムおよび部品供給用の台車は、部品を収納するキャリアテープ16の部品収納部の上部を覆うカバーテープ16bを剥離し、カバーテープ16bが剥離された部品収納部を部品取り出し位置13cまで搬送するテープフィーダ13と、複数のテープフィーダ13を並べた状態でセット可能なフィーダベース12を備えた台車11と、台車11を着脱自在に保持可能な台車保持部7を有し、台車保持部7に保持された台車11のフィーダベース12にセットされたテープフィーダ13の部品取り出し位置13cから部品を取り出して基板4の所定の位置に装着する部品実装装置2とを備えた部品実装システム1において、台車11は流体力を利用してテープフィーダ13によって剥離されたカバーテープを16bを回収するダクト20を有する構成となっている。この構成により、テープフィーダ13においてキャリアテープ16から剥離されたカバーテープ16bの回収処理を簡便な機構で効率よく自動化することができる。
次に、図9、図10を参照して、本実施の形態の変形例について説明する。上述の実施例では、カバーテープ吸引ノズル21を備えたダクト20によってキャリアテープ16から剥離されたカバーテープ16bを回収する構成を用いているが、以下に示す変形例においてはカバーテープ吸引ノズル21を有しないダクト120を用いるようにしている。
図9は、変形例におけるテープフィーダ113の構成および機能を示している。図9において、テープフィーダ113には、図4に示すテープフィーダ13におけるフィーダ前部13a、フィーダ後部13bと同様の機能を有するフィーダ前部113a、フィーダ後部113bが設けられている。フィーダ前部113aは、フィーダ前部13aとは形状が異なっており、その後端部はフィーダ制御部13eを内蔵したフィーダ後部113bの上方まで延出している。すなわちテープフィーダ113の全体形状としては、フィーダ後部113bの後方に装着された拡張ユニットとしてのローディング部31のみが後方に突出した形状となっている。
テープフィーダ113には、テープフィーダ13における第1の搬送路30と同様の第1の搬送路130が設けられている。すなわち第1の搬送路130は第1の搬送路30と同様の経路で、フィーダ後部113bに開口した挿入口130aからフィーダ前部113aに開口した排出口130bに至る。テープフィーダ113には、テープフィーダ13におけるカバーテープ剥離部34と同様の構成および機能を有するカバーテープ剥離部34が設けられている。カバーテープ剥離部34は、第1の搬送路130を移動するキャリアテープ16の先端部のカバーテープ16bを剥離する。
フィーダ前部113aには、カバーテープ剥離部34によりキャリアテープ16から剥離されたカバーテープ16bを案内する第2の搬送路133が設けられている。第2の搬送路133は、剥離されたカバーテープ16bを取り込む入口133bとカバーテープ16bを排出する出口133aとを有している。入口133bはエアブロー機構34bと対向する位置に開口しており、出口133aはフィーダ前部113aの後端部の近傍においてフィーダ前部113aの上面に上方へ向かって開口している。フィーダ前部113aの上面には、出口133aを囲んでシール部材113gが装着されている。さらに第2の搬送路133には、図4に示すテープフィーダ13と同様の補助ブロー機構33c、切断部35および操作パネル13fが設けられている。
図10(a)に示すように、フィーダ前部113aの上面には、出口133aの上方に位置して、ダクト120が配置されている。ダクト120は図5に示すダクト20と同様の機能を有しており、複数のテープフィーダ113の並び方向に延びた中空管である。ダクト120の下側の側面であって複数のテープフィーダ113に対応する複数の位置には、フィーダベース12におけるテープフィーダ113の配列に対応して、カバーテープ16bを引き込む複数の吸込み口120bが設けられている。さらに吸込み口120bの周囲には、シール部材113gと接離可能な凸部120cが下方に突出して設けられている。なおテープフィーダ113が配置されていない位置に対応する吸込み口120bは、盲栓により閉塞される。
ダクト120は両端をダクト保持部14によって保持されており、ダクト保持部14を昇降機構(図示省略)によって昇降駆動することにより、ダクト120はともに昇降して凸部120cがシール部材113gと接離する。図10(a)に示すように、凸部120cをシール部材113gに当接させることにより、第2の搬送路133とダクト120とは吸込み口120bを介して連通する。これにより、第2の搬送路133内のカバーテープ16bをダクト120内に吸引することができる。図10(a)に示すダクト120の位置は、複数のテープフィーダ113からカバーテープ16bを回収可能な第1の位置に相当する。
このように、吸込み口120bと出口133aとを直接接続する構成とすることにより、ダクト120内で発生した負圧を少ない損失で効率よく第2の搬送路133に作用させて、カバーテープ16bを効率よくダクト120内に吸引することができる。吸引されたカバーテープ16bは、吸引源25による吸引もしくはブロー装置28によるエアブローによって、連結管23、排出シュート27を介して回収容器19に回収される(図3参照)。この構成において、吸引源25およびダクト120、もしくはブロー装置28およびダクト120は、流体力を利用してカバーテープ16bを回収するカバーテープ回収部を構成する。
図10(b)は、ダクト保持部14をダクト120とともに上昇させて(矢印n)、凸部120cをシール部材113gから離隔させた状態を示している。この状態では、ダクト120は複数のテープフィーダ113から離れた第2の位置にある。すなわちダクト120は、複数のテープフィーダ113からカバーテープ16bを回収可能な第1の位置と、複数のテープフィーダ113から離れた第2の位置とに移動可能となっている。
また図10(b)に示す状態では、ダクト120はフィーダ前部113aから離れた位置にあって、テープフィーダ113のフィーダベース12の上面における着脱方向の移動を妨げる阻害物は存在しない。すなわち、図10(b)に示すダクト120の位置は、テープフィーダ113を装着する所定の位置であるフィーダベース12へのテープフィーダ113の着脱を妨げない位置(退避位置)であり、上述のカバーテープ回収部は、ダクト120が前述の退避位置に位置するように移動可能となっている。
上述の変形例では、ダクト120を第2の搬送路133に接続または接続解除する構成として、ダクト120を保持するダクト保持部14をテープフィーダ113の着脱の邪魔にならない位置へ移動させる構成を採用している。ここで、ダクト120の吸込み口120bと第2の搬送路133の出口133aとを上下に対向した配置とすることにより、ダクト保持部14を昇降させる簡単な動作によって、ダクト120を第2の搬送路133に接続または接続解除することが可能となっている。なお、ダクト保持部14を昇降させる替わりに、ダクト120自体を昇降させるようにしてもよい。