以下に、第1実施形態に係る処理装置1について、図1乃至図3を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る処理装置1の構成を模式的に示す説明図であり、図2は、処理装置1に用いられるボード11のメイン基板21、サブ基板22及び第3コネクタ43の構成を示す斜視図、図3は、ボード11のメイン基板21に設けられた第1コネクタ32及びサブ基板22に設けられた第2コネクタ42の構成を示す説明図である。
処理装置1は、記録装置に用いられる液体吐出ヘッド等のヘッド100の評価やヘッド100の出荷検査の処理を行う装置である。
例えば、記録装置は、インク等の液体を吐出する液体吐出プリンタである。記録装置は、例えば、記録媒体である記録紙を搬送しながら画像形成等の各種処理を行う。記録装置は、例えば、筐体、給紙カセット、排紙トレイ、搬送装置、保持装置、画像形成装置と、クリーニング装置及び制御基板等を備える。
なお、記録装置は、記録媒体である記録紙を搬送しながら画像形成等の各種処理を行う液体吐出プリンタに限られるものではない。例えば、記録装置は、3Dプリンタ、産業用の製造機械、医療用途に用いられるものであってもよい。
図1及び図2に示すように、ヘッド100は、例えば、圧電素子が駆動することでノズル孔から液体を噴射する液体吐出ヘッドである。ヘッド100は、記録装置や処理装置1に接続されるフレキシブルケーブル101を有する。ヘッド100は、製造時や販売時等において、記録装置に装着される前に、処理装置1に接続され、処理装置1によって、評価テストや出荷検査等の処理が行われる。
図2に示すように、フレキシブルケーブル101は、記録装置や処理装置1とヘッド100とを電気的に接続する。フレキシブルケーブル101は、フレキシブル基板(FPC、Flexible printed circuits)である。フレキシブルケーブル101は、端部に、記録装置や処理装置1と接続できる複数の端子がプリントされた端子部101aを有する。
図1に示すように、処理装置1は、ホストコンピュータ10と、ホストコンピュータ10及びヘッド100に接続されるボード(ヘッド用ボード)11と、を備える。また、処理装置1は、ホストコンピュータ10に接続される表示装置及び入力装置を備える。
ホストコンピュータ10は、ボード11を制御する。ホストコンピュータ10は、例えば、ボード11の制御情報を表示部に表示するとともに、入力装置で入力された指令やボード11の制御情報等に基づいてプログラムを制御する。
ボード11は、例えば、ヘッド100の評価や出荷検査を行う、所謂評価ボードである。ボード11は、ヘッド100を駆動するための電源回路やヘッド100を制御する制御信号を生成して供給する回路を有する。例えば、ヘッド100を駆動するための電源回路の電圧は20Vに設定され、そして、制御信号の電圧は3Vに設定される。
また、ボード11は、ヘッド100の駆動状態、例えばヘッド100の圧電素子の駆動状態を検出する回路を有する。ボード11は、メイン基板21と、メイン基板21に接続されたサブ基板22と、を備える。また、ボード11は、検出した圧電素子の駆動状態の情報の表示等を行う機器と接続可能に構成される。
図1示すように、メイン基板21は、ホストコンピュータ10に接続される。図1乃至図3に示すように、メイン基板21は、第1回路部31と、第1コネクタ32と、取付部33と、を有する。メイン基板21は、例えば、矩形状に構成され、全面に渡って第1回路部31が設けられる。メイン基板21は、一辺側の中央に第1コネクタ32及び取付部33が配置される。
第1回路部31は、ヘッド100を駆動する電源回路やヘッド100を駆動する電気信号等を生成するための複数の素子が実装された回路である。第1回路部31は、ホストコンピュータ10に接続される。また、第1回路部31は、第1コネクタ32に接続される。
第1コネクタ32は、第1回路部31をサブ基板22に接続する。
取付部33は、サブ基板22をメイン基板21に機械的に取り付ける。具体例として、取付部33は、メイン基板21上にサブ基板22を所定の間隙を有して支持し、固定する複数のボルト等により構成される。取付部33は、例えば、第1コネクタ32の周囲に設けられる。
図1乃至図3に示すように、サブ基板22は、例えば、第2回路部41と、第2コネクタ42と、第3コネクタ43と、被取付部44と、を備える。サブ基板22は、例えば、メイン基板21よりも小さい矩形状に構成される。サブ基板22は、取付部33に取り付けられる被取付部44を有する。また、サブ基板22は、例えば、検出した圧電素子の駆動状態の情報の表示等を行う機器と接続する拡張コネクタ45を有している。なお、拡張コネクタ45は、メイン基板21に設けられていても良い。
第2回路部41は、第1回路部31とともにヘッド100の制御信号の生成を行う。第2回路部41は、第2コネクタ42及び第3コネクタ43に電気的に接続される。第2回路部41は、第1コネクタ32及び第2コネクタ42を介して、第1回路部31に接続される。第2回路部41は、デバイス41aを有する。
具体例として、デバイス41aは、ヘッド100の制御信号を生成する最終段の複数の素子が実装された集積回路である。また、デバイス41aは、ヘッド100の制御信号用のバッファである。また、デバイス41aは、例えば、サーデス(SERDES、Serializer Deserializer)を行う。このようなデバイス41aは、例えば、FPGA(field programmable gate array)である。このような第2回路部41は、デバイス41aをFPGAとし、評価試験等の処理やヘッド100の種類等に対応した構成に修正可能に構成される。
第2コネクタ42は、機械的及び電気的に第1コネクタ32と接続される。具体例として、図3に示すように、第2コネクタ42は、第1コネクタ32に嵌合することで、第1コネクタ32の所定の位置に配置されるとともに、第1コネクタ32と電気的に接続される。また、例えば、第1コネクタ32及び第2コネクタ42は、位置決め用のボルト等の案内部材を有する。
第3コネクタ43は、フレキシブルケーブル101の端子部101aと接続される。例えば、第3コネクタ43は、フレキシブルケーブル101の端子部101aを保持する台座43aと、台座43aに設けられ、フレキシブルケーブル101の複数の端子部101aと接続する端子部43bと、台座43aにフレキシブルケーブル101を固定する鍔43cと、を有する。台座43aは、例えば、上面に端子部43bが設けられた底壁43a1と、フレキシブルケーブル101の幅と同一の幅で離間する一対の側壁43a2と、を有する。
被取付部44は、取付部33に取り付けられることで、サブ基板22をメイン基板21に固定する。例えば、被取付部44は、取付部33のボルトを挿通し、固定されるサブ基板22に設けられた複数の孔である。
このように構成された処理装置1を用いたヘッド100の評価試験等の処理におけるボード11の使用の一例を説明する。
先ず、処理を行う作業者は、ヘッド100の評価試験等の処理を行う前に、予め第1コネクタ32及び第2コネクタ42を接続し、取付部33に被取付部44を取り付けて、メイン基板21にサブ基板22を固定する。作業者は、メイン基板21及びサブ基板22を一体に組み立てたボード11をホストコンピュータ10に接続し、ホストコンピュータ10を起動し、処理を行う状態とする。
次いで、作業者は、ヘッド100のフレキシブルケーブル101の端子部101aを第3コネクタ43の台座43aに配置し、鍔43cを操作してフレキシブルケーブル101を第3コネクタ43に接続する。これにより、フレキシブルケーブル101の端子部101aが第3コネクタ43の端子部43bに接続される。
次いで、作業者が入力装置に指令を入力すると、ホストコンピュータ10は、ボード11を制御し、ヘッド100の評価試験等を行う。ヘッド100の評価試験終了後、作業者は、鍔43cを操作して、フレキシブルケーブル101の固定を解除し、フレキシブルケーブル101を第3コネクタ43から取り外す。次に、作業者は、評価試験等を行うヘッド100のフレキシブルケーブル101を第3コネクタ43に固定し、同様に評価試験等を行う。このように、作業者は、評価試験等の処理毎に、第3コネクタ43にフレキシブルケーブル101を挿抜し、評価試験等の処理を行うヘッド100を繰り返しボード11に接続する。
このように構成された処理装置1によれば、フレキシブルケーブル101が繰り返し挿抜されるための第3コネクタ43をサブ基板22に設ける構成とした。このため、繰り返しの使用による劣化や故障が第3コネクタ43に生じた場合に、ボード11のうちサブ基板22のみを交換すればよい。
また、ヘッド100の電源回路を流れる電圧は、ヘッド100を駆動制御する制御信号の電圧よりも高く設定されるところ、フレキシブルケーブル101の挿抜時に、フレキシブルケーブル101が第3コネクタ43に斜めに挿入される所謂斜め差しが生じると、制御信号用の回路に高圧が流れてショートする虞がある。特に、評価試験や出荷検査等にボード11を用いる場合には、フレキシブルケーブル101は固定や保持がされておらず、このため、フレキシブルケーブル101の斜め差しが生じる虞がある。
しかしながら、フレキシブルケーブル101を第3コネクタ43に斜めに挿すこと等によって回路のショートが生じたとしても、バッファであるデバイス41aをサブ基板22が有することから、サブ基板22が故障することになる。このため、ショートが生じた場合であっても、ボード11のうちサブ基板22のみを交換すればよい。
さらに、デバイス41aをFPGAにより構成することで、交換するサブ基板22を安価とすることができる。また、ヘッド100の種類や評価試験の処理等の使用に応じてサブ基板22を複数用意し、使用に応じてサブ基板22を交換する構成としても、安価にサブ基板22を交換できる。加えて、デバイス41aをFPGAにより構成することで、第2回路部41を評価試験等の処理やヘッド100の種類等に対応した構成に修正することも可能となる。
これらのように、ボード11は、使用や設計において、高い自由度を有する。また、ボード11は、安価にサブ基板22を製造することができることから、故障しやすいサブ基板22の製造コスト及びランニングコストを抑えることができる。また、サブ基板22の交換作業は、被取付部44を取付部33から取り外して第2コネクタ42を第1コネクタ32から抜き、サブ基板22を新たなサブ基板22に交換するだけでよい。このため、ボード11は、交換作業において高い作業性を有する。
上述したように、第1の実施形態に係るボード11を有する処理装置1は、故障しやすいデバイス41a及びフレキシブルケーブル101に接続される第3コネクタ43をサブ基板22に実装し、サブ基板22をメイン基板21と、コネクタ32、42同士で接続する構成とした。このため、ボード11及び処理装置1は、コストを低減できる。
なお、本実施形態は、上述した例に限定されない。例えば、上述した例では、メイン基板21上に隙間を空けてサブ基板22を配置する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、図4に示す第2の実施形態に係る処理装置1のように、第1コネクタ32をメイン基板21の一辺に設けるとともに、第2コネクタ42をサブ基板22の一辺に設け、メイン基板21及びサブ基板22を隣接して配置する構成としてもよい。即ち、メイン基板21及びサブ基板22の配置は、ボード11を設置するスペースに応じて適宜設定することができる。
また、上述した例では、サブ基板22に第3コネクタ43を一つ設け、一つのヘッド100が接続される例を挙げて説明したがこれに限定されず、例えば、図5に示す第3の実施形態に係る処理装置1のように、サブ基板22に第3コネクタ43を複数設け、一つのサブ基板22に複数のヘッド100を接続できる構成としてもよい。また、例えば、図6に示す第4の実施形態に係る処理装置1のように、複数のサブ基板22をメイン基板21に接続する構成としてもよい。また、ボード11は、複数の第3コネクタ43を有するサブ基板22を複数備える構成としてもよい。なお、ボード11に接続するヘッド100の数は任意に設定可能である。
また、上述した例では、メイン基板21が矩形状であり、そして、サブ基板22がメイン基板21よりも小さい矩形状である構成を説明したがこれに限定されず、メイン基板21及びサブ基板22の形状は適宜設定可能である。但し、故障しやすいサブ基板22のコストを抑えるためには、サブ基板22をメイン基板21よりも小さい形状か、又は、安価な構成とすることが好ましい。
また、上述した例では、処理装置1は、評価試験や出荷検査等の処理を行う装置を一例として説明したが、他の処理を行う装置であってもよい。即ち、処理装置1は、ヘッド100のフレキシブルケーブル101が繰り返し挿抜されるボード11を有する構成であれば適宜設定できる。具体例としては、処理装置1は、吐出する液体に応じてヘッド100が交換される記録装置であってもよい。同様に、ボード11は、ヘッド100の評価や検査を行う評価ボードでなくてもよく、記録装置に設けられるボードであってもよく、他のボードであってもよい。
以上述べた少なくともひとつの実施形態のボード11及び処理装置1によれば、コストを低減することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。