JP2020051611A - 車両用ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、ローターとパッドの間への異物の侵入を防ぐために、ローターをスプラッシュガードで覆うことが行われている。
たとえば、特許文献1の車両用ブレーキ装置では、固定用の孔、ケーブル類を通すための孔を備えたスプラッシュガードが開示されている。
また、特許文献2の車両用ブレーキ装置では、補強のためにエンボス加工が施されたスプラッシュガードが開示されている。
ところが、特許文献1、2のスプラッシュガードには、左右の共用化についての考慮がされていないため、左右別々の形状を呈しており、コスト削減が困難である、という問題を抱えている。
また、本実施形態のディスクブレーキBは、ローターB1、キャリパB2に加え、スプラッシュガード10を備えている(図3参照)。
このような構成のディスクブレーキBでは、車両走行中に、塵埃、小石、泥水等の異物が、車輪(図示せず)の周囲に舞い上がる。このため、舞い上がった異物が、ローターB1に付着したり、キャリパB2とローターB1との間の隙間に侵入したりすることがある。
さらに、ハブベアリングW2が泥水を被水した場合には、泥水に混入している様々な粒子によって、ハブベアリングW2の摩耗が促進されるおそれがある。
なお、図1、図2では、進入した異物が排出される様子を矢印で模している。
また、本実施形態では、対称軸AXが設定されている。
対称軸AXは、スプラッシュガード10の板面10a上に位置しつつ、ローターB1の摺動面B1cに沿って配置された直線で構成されている(図1参照)。
つまり、対称軸AXは、前側の部位が車軸CWよりも上方に、後側の部位が車軸CWよりも下方に位置するように、車両前後方向に対して斜めに設定されている。
ローターB1は、ナックルW1(車体)に対して、後輪(車輪)とともに、ハブベアリングW2を介して転動自在に軸支されている(図3参照)。また、ローターB1は、後輪(車輪)の車軸CWを中心とする略円板形状を備え、後輪(車輪)の回転面と平行に面して配置されている。
なお、ローターB1は、図3において、車両前進時に、スプラッシュガード10に対して、反時計方向に回転する。
ローター支持部B1aは、ローターB1の略円板形状における中心部分を構成している。
また、ローター支持部B1aは、断面略J字形状を備え、摺動部B1bが取付面B1dに対して車幅方向内側にオフセットした状態で、摺動部B1bを支持している(図5参照)。
摺動部B1bは、円環形状を備え、ローターB1の略円板形状における外周部分を構成している。
つまり、摺動部B1bは、ローター支持部B1aの径方向外側に、ローター支持部B1aと中心(車軸CW)を共有しつつ、一体に形成されている。
また、キャリパB2の外形形状は、対称軸AXに対して、線対称に構成、配置されている。
つまり、キャリパB2は、摺動部B1bを板厚方向に跨ぐように配置されている。
そして、乗員のブレーキ操作で、ブレーキパッドは、摺動部B1bに押し付けられ、押し付けられた際に、ブレーキパッドと摺動部B1bとの間に発生する摩擦力が、制動力として作用する。
また、スプラッシュガード10は、対称軸AXに対して、略線対称に構成されている(図4参照)。
そして、スプラッシュガード10は、ガード本体11、固定部12、切欠部13、冷却孔30、オフセット部21を備えている。
固定部12は、スプラッシュガード10をナックルW1に固定するための構成として、ローターB1のローター支持部B1aに面する部位に、3箇所設定されている。
固定部12の1つ目は、ローターB1のローター支持部B1aに対向しつつ、冷却孔30よりも内径側に位置する対称軸AX上に設定されている。
固定部12は、板厚方向に貫通する孔で構成されている。そして、ナックルW1に形成された雌ネジ部(図示せず)に、固定部12を貫通したボルト(図示せず)を螺着して、スプラッシュガード10をナックルW1に固定している。
また、固定部12は、ローター支持部B1aの略J字形状部分に面しているため、ローター支持部B1aとの間に比較的大きな空間B3が形成されており、この空間B3が、異物を排出する排出経路として機能する(図5参照)。
また、スプラッシュガード10は、キャリパB2を切欠部13に収めつつ、摺動部B1bの摺動面B1cに重なるように近接、対向配置されている。
縁壁13aは、ガード本体11となす角Rが鈍角となるように、ガード本体11の板面に対して斜めに立設されている。なお、本実施形態では、角Rが115度に設定されている。
これによって、角R部分における塗料の液溜まりの形成が抑制される。そして、液溜まりの形成が抑制されることで、塗装不良、乾燥不良等を低減することができる。
冷却孔30は、3組中の2組が二連孔31、残りの1組がバーリング孔32に分類される。なお、各分類の詳細については後述する。
また、冷却孔30のそれぞれは、ローター支持部B1aに対向する部位に開口している(図3参照)。
つまり、冷却孔30のそれぞれは、ローターB1の摺動面B1cよりも車軸CW側(径方向内側)に面する部位に開口している
また、冷却孔30の径方向の寸法は、ローターB1の摺動面とスプラッシュガード10の板面との間の間隔よりも狭く設定されている。
これによって、冷却孔30から侵入する異物の粒径は、ローターB1とスプラッシュガード10との間の隙間よりも小さくなるため、侵入した異物を速やかに排出することができる。
つまり、冷却孔30から浸入した泥水が滴下した際に、ハブベアリングW2に滴下した泥水が掛からない位置に、冷却孔30は開口している。
これは、車軸CWよりも下方に位置する冷却孔30から浸入した泥水は、ハブベアリングW2に滴下しないからである。
二連孔31は、車軸CWを中心とする径方向に連続する2つの冷却孔30で構成されている。
なお、径方向に連続する2つの冷却孔30について、径方向内側に位置する冷却孔を内孔31a、径方向外側に位置する冷却孔を外孔31bと称する。
二連孔31は、外孔31bの開口面積が、内孔31aの開口面積よりも大きくなるように、円弧の長さ、および径方向の寸法が設定されている。
また、このような構成によって、個々の冷却孔30の開口面積を狭めつつ、全体での開口面積を拡げることができる。
これによって、冷却孔30からの異物の侵入を抑制しつつ、充分な冷却性能を得ることができる。
これによって、バーリング孔32からの異物の侵入を抑制するとともに、バーリング孔32を設けることによる、スプラッシュガード10の強度低下を低減することができる。
オフセット部21は、スプラッシュガード10における、ローターB1の摺動面B1cとの間隔が拡がる方向へオフセットした部位である。
なお、オフセット部21と、ローターB1との間に形成された空間をオフセット空間25と称する。
そして、オフセット空間25は、スプラッシュガード10とローターB1との間に侵入した異物の排出経路として機能している。
また、オフセット部21は、径方向オフセット部22、周方向オフセット部26に分類される。
また、径方向オフセット部22は、板面10aが摺動部B1bから離れるに従って先細な断面略台形形状の凹部で構成されている(図7、図8参照)。
そして、径方向オフセット部22は、径外側オフセット部23、径内側オフセット部24に分類される。
径外側オフセット部23は、径内側オフセット部24の径方向外側に連続しつつ、摺動部B1bの内周縁から外周縁に亘って、ローターB1の摺動面B1cに面して形成されている。
また、径外側オフセット部23は、そのオフセット量が径内側オフセット部24のオフセット量よりも大きくなるように設定されている。
加えて、冷却孔30の径方向外側に、径方向オフセット部22が設定されている。
これによって、冷却孔30から侵入した異物は、径外側オフセット部23を通じて、外部へ速やかに排出される。
周方向オフセット部26は、切欠部13から径外側オフセット部23に亘って、車軸CWを中心にして、周方向に沿って湾曲する円弧形状に形成されている。
周方向オフセット部26は、そのオフセット量が、径外側オフセット部23のオフセット量よりも小さくなるように設定されている。
なお、周方向オフセット部26を通じて連続する切欠部13と径外側オフセット部23とは、切欠部13が、径外側オフセット部23よりも上方に位置するように配置されている。
このような形態とすることで、切欠部13から侵入した異物が、周方向オフセット部26を通じて、径外側オフセット部23から速やかに排出される。
本実施形態のディスクブレーキBでは、ローターB1、ブレーキパッド、キャリパB2の保護を主な目的に、スプラッシュガード10が設置されている。
そして、本実施形態のスプラッシュガード10は、複数の冷却孔30を具備しつつ、車軸CWと交差する板面10a上の直線を対称軸AXとする線対称形状に形成されている。
つまり、左右のディスクブレーキBに対して、同一形状のスプラッシュガード10を適用することが可能となる。
これによって、部品の共用化が図られ、製造コストを削減することができる。
加えて、対称軸AXは、キャリパB2の中央部と車軸CWとを通るように設定されている。
これによって、スプラッシュガード10に必要以上にオフセット部21を形成する必要が無くなるため、異物の侵入を抑制する機能を維持したまま、左右の共用化を図ることができる。
たとえば、外孔31bと内孔31aとは、車軸CWを中心とした、円弧状の長孔で構成されているとともに、径方向の寸法が等しくなるように設定されている。
また、このような構成によって、個々の冷却孔30の開口面積を狭めつつ、全体として冷却に十分な開口面積が確保されている。
さらに、侵入する異物の粒径をより小さくできるため、外孔31b以外からの排出を速やかに行うことができる。
このような構成とすることによって、冷却孔30から泥水が侵入した場合に、ローターB1の摺動面B1cにかかる泥水を減らすことができる。
これによって、降雨時における制動力低下の抑制、および摺動面B1cの錆び付きを抑制することができる。
また、径方向オフセット部22は、ローターB1の摺動面B1cの径方向内周縁側から径方向外周縁側に亘って、径方向に沿って凹んでいる。
このような構成とすることによって、ローターB1とスプラッシュガード10との間に、異物が侵入した際に、侵入した異物を径方向オフセット部22から速やかに排出することができる。
また、スプラッシュガード10は、切欠部13から径方向オフセット部22に亘って延在し、摺動面B1cとの間隔が拡がる方向へ板面10aがオフセットした溝形状を有する周方向オフセット部26を備えている。
このような構成とすることで、スプラッシュガード10とローターB1との間に侵入した異物を周方向オフセット部26を通じて、径方向オフセット部22から速やかに排出することができる。
また、これに加えて、周方向オフセット部26のオフセット量が、径方向オフセット部22のオフセット量よりも小さくなるように設定されている。
このような構成とすることで、スプラッシュガード10とローターB1との間に侵入した異物が、途中で噛み込むことなく、速やかに排出することができる。
これによって、冷却孔30から間の隙間に侵入した異物が、スプラッシュガード10とローターB1との間で噛み込んで外れなくなるということがなく、速やかに排出される。
たとえば、円形の丸孔を周方向に沿って、連続して円弧状に配置する構成とすることも可能であり、同様の作用効果が得られる。
たとえば、切欠部13側から径方向オフセット部22側に向けて、オフセット量を徐々に大きくすることも可能である。
このような形態とすることで、周方向オフセット部26内での異物の詰まりをさらに抑制し、より速やかに異物を排出することができる。
10a 板面
13 切欠部
22 径方向オフセット部
26 周方向オフセット部
30 冷却孔
31a 径方向内側に位置する冷却孔(内孔)
31b 径方向外側に位置する冷却孔(外孔)
B 車両用ブレーキ装置(ディスクブレーキ)
B1 ローター
B1b摺動部
B2 キャリパ
W1 ナックル
W1aナックルアーム
AX 対称軸
CW 車軸
Claims (7)
- 車軸を回転中心とする円板状のローターの摺動部に面し、且つ近接してナックルに配置されつつ、
板面を貫通する貫通孔からなる複数の冷却孔を具備する板状部材からなり、
該板面上に位置しつつ、該車軸と交差する直線を対称軸とする線対称形状に形成されたスプラッシュガードを備えた
ことを特徴とする車両用ブレーキ装置。 - 請求項1に記載の車両用ブレーキ装置において、
前記対称軸は、
前記ナックルから延在するナックルアームと車幅方向に重なりつつ、
前記ローターの前記摺動部を板厚方向に跨ぐように配置されたキャリパの中央部と車軸とを通るように設定された
ことを特徴とする車両用ブレーキ装置。 - 請求項1、または請求項2に記載の車両用ブレーキ装置において、
前記複数の冷却孔は、
前記車軸を中心とした径方向に対して、径方向外側に位置する冷却孔が、径方向内側に位置する冷却孔よりも開口面積が大きくなるように設定された
ことを特徴とする車両用ブレーキ装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用ブレーキ装置において、
前記冷却孔のそれぞれが、
前記ローターの前記摺動部よりも径方向内側に面するスプラッシュガードの部位に開口している
ことを特徴とする車両用ブレーキ装置。 - 請求項2項に記載の車両用ブレーキ装置において、
前記スプラッシュガードは、
前記ローターの摺動部に面する部位に、
前記摺動部の径方向内周縁側から径方向外周縁側に亘って、
該摺動部との間隔が拡がる方向へ前記板面がオフセットした径方向オフセット部を備えた
ことを特徴とする車両用ブレーキ装置。 - 請求項5に記載の車両用ブレーキ装置において、
前記スプラッシュガードは、
前記キャリパの外形形状をかたどって切欠かれた切欠部と、
該切欠部から前記径方向オフセット部に亘って延在し、該摺動部との間隔が拡がる方向へ板面がオフセットした溝形状を有する周方向オフセット部と、
を備えた
ことを特徴とする車両用ブレーキ装置。 - 請求項6に記載の車両用ブレーキ装置において、
前記周方向オフセット部のオフセット量は、
前記キャリパと前記切欠部との間の寸法よりも大きく、
且つ前記径方向オフセット部のオフセット量よりも小さく設定された
ことを特徴とする車両用ブレーキ装置。
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