以下、本発明を実施するための形態を説明する。
(概要)
施工部材1は、壁材4の下端側で、かつ壁材4の屋内側にある壁下地5に固定される部材である(例えば、図12参照)。このような施工部材1は、壁下地5の上下方向と直交する左右方向に沿って配置される。このため、施工部材1の上下方向Yは、壁下地5の上下方向により規定される。また、施工部材1の左右方向Xは、壁下地5の左右方向により規定される。
また、施工部材1は、金属製の板材を屈曲させるようにして形成され、図1Aのように、固定片2と、固定片2の下端に接続している部材機能部3とを備える。部材機能部3は、図12のような壁構造において所定の機能を有する部位である。施工部材1が壁材設置用のスタータ1aである場合、部材機能部3は、固定片2が壁下地5に固定された状態で、壁下地5に設置される壁材4を下方から支持する機能を有する。また、施工部材1が水切り1bである場合、部材機能部3は、壁材4の屋外側面を伝った雨水等の水滴を、壁材4の屋内側へ入りにくくする機能を有する。
固定片2は、壁下地5に固定される左右方向Xに延びた長尺状のものであり、壁下地5の設置面と接するようにして形成された部位である。また、固定片2は、図1Aのように、仮固定部21を備える。仮固定部21は、壁下地5に固定された仮固定用の固定具61で仮固定されるものであり、図1Aのように、位置調整部212と、導入部211と、を備える。位置調整部212は、壁下地5に対して固定片2を上下方向Yに位置調整可能にする部位である。導入部211は、位置調整部212に対して固定具61を導入可能にする部位である。
固定片2が位置調整部212と、導入部211とを備えることで、施工部材1を施工する際に、特に仮固定部21を仮固定する際に、固定具61を落下させにくくすると共に、固定具61を壁下地5に取り付けた状態で固定片2を上下方向Yに容易に位置調整できる。
また、図4Bのように、仮固定部21は、固定具61に引っ掛け可能な引っ掛け部213を有しうる。引っ掛け部213は仮固定部21の上端にある。この場合、仮固定の際に、引っ掛け部213を固定具61に一旦引っ掛けて、施工部材1の特定の部位(例えば、固定片2の上端)を位置決めするための位置決め用のマーク7(例えば、図3参照)を視認できる。しかも、マーク7を視認しながら固定片2を上下方向Yに沿って位置調整できるため、マーク7に合わせて固定片2が壁下地5に固定されやすくなり、施工部材1の施工性が向上しやすくなる。
以下、施工部材1、及び施工部材1の固定方法を、第1〜第6実施形態で具体的に説明する。
(第1実施形態)
<施工部材>
まず、第1実施形態に係る施工部材1を、図1A〜図1B、及び図12を参照して説明する。
本実施形態に係る施工部材1は、図1Aのようなスタータ1aであって、固定片2と、固定片2の下端に接続している部材機能部3とを備える。
固定片2は、壁下地5に固定される左右方向Xに延びた長尺状のものであり、壁下地5の設置面と接するようにして形成され、施工部材1を壁下地5に設置する部位である。固定片2は、複数の仮固定部21と、複数の本固定部22と、を備える。
仮固定部21は、壁下地5に取り付けられた仮固定用の固定具61で仮固定される部位であり、本実施形態では、上仮固定部24である。
上仮固定部24は、導入部211である上導入部241と、位置調整部212である位置調整部242とを備える。
上導入部241は、位置調整部242に対して固定具61を導入可能な部位であって、固定片2の上端に開口する。上導入部241は、固定具61を位置調整部242の内側に導入する上仮固定部24の入り口である。また、上導入部241は、固定片2の上端に位置し、かつ固定片2の上端が途中で途切れるようにして形成されている。
位置調整部242は、固定片2の上下方向Yに沿って細長く、壁下地5に取り付けられた仮固定用の固定具61に対して固定片2を上下方向Yに位置調整可能にする。位置調整部242は、固定片2を前後方向に貫通し、上導入部241と連続する。このため、固定片2を位置調整する際、固定具61の軸は、施工部材1を正面から見た場合(以下、正面視という)、位置調整部242の内側に配置される。
上仮固定部24の、正面視における形状は、下端が下方に凸となる円弧状となったスリット等で例示される。このスリットは上下方向Yに沿って細長い。また、上仮固定部24は、固定片2の上端を切欠いて下方に延びる切欠きである。
上仮固定部24が上導入部241と位置調整部242とを備えることで、上仮固定部24を仮固定する際に、仮固定用の固定具61を落下させにくくすると共に、固定具61を壁下地5に取り付けた状態で固定片2を上下方向Yに容易に位置調整できる。しかも、上導入部241が固定片2の上端に開口することで、固定片2の上端又は下端を位置決めする位置決め用のマーク7の下方で施工部材1を固定する際に、マーク7を上仮固定部24を通して視認しながら固定片2を上下方向Yに沿って位置調整できる。これにより、マーク7に合わせて固定片2が壁下地5に固定されやすくなり、施工部材1の施工性が向上しやすくなる。
ここで「位置決め用のマーク7に合わせる」とは、固定片2の上端又は下端をマーク7に厳密に合わせることだけでなく、マーク7を基準にして固定片2の上端又は下端の位置を調整することを意味する。
本実施形態では、施工部材1を位置調整する前、固定具61は壁下地5に予め取り付けられている。このとき、固定具61は、その頭部が壁下地5から離れており、ぐらつかないようにして壁下地5に取り付けられている。これにより、固定具61を壁下地5に予め取り付けた状態で、固定具61の軸を、上導入部241を通して位置調整部242に導入することができる。従って、固定具61を壁下地5に取り付ける際に、施工者が片手で施工部材1を支えなくてもよくなり、固定具61を落下させにくくできる。また、固定具61の導入後、固定具61の軸が位置調整部242に導入された状態で、固定片2を上下方向Yに沿って位置調整できる。固定片2の位置調整後、固定具61を壁下地5の厚みに沿って更に打ち込むことで、施工部材1を壁下地5に仮固定することができる。
また、上仮固定部24の幅は、固定具61の頭部の直径よりも小さく、固定具61の軸の直径よりも大きい。
本実施形態の施工部材1では、複数の上仮固定部24が、左右方向Xに沿って間隔を空けて形成されている。このため、固定片2が複数の固定具61で壁下地5に仮固定されるため、位置決め用のマーク7に対して固定片2を固定しやすくなり、固定片2の位置決め精度が向上しやすくなる。
また、施工部材1において、固定片2の左右方向Xの両端部の各々に、上仮固定部24が形成されている。このため、固定片2の両端部で上仮固定部24を固定具61により仮固定できることから、固定片2を壁下地5に固定しやすくなると共に、長尺な固定片2の長手方向両端で上下方向に位置調整可能となり、位置精度を高めることができる。また、上仮固定部24は、固定片2の両端部だけでなく、固定片2の、左右方向Xにおける中央部の上端に更に1個または複数形成されていてもよい。
ここで、「両端部」は、固定片2の両端のみではなく、固定片2の両端と、この両端から左右方向Xにおける固定片2の中央に向かって離れた部分との間に形成される領域である。また、「中央部」は、左右方向Xにおいて両端部の間に形成された領域である。
本固定部22は、本固定用の固定具62により壁下地5に取り付けられる部位である。本固定部22は、上仮固定部24とは異なる位置にある。また、本固定部22は、固定片2の左右方向Xに沿って間隔を空けて設けられ、かつ固定片2の上端と下端との間に設けられている。本固定部22は、貫通孔、及び貫通孔形成予定部等で例示される。貫通孔は、固定片2を前後方向に貫通する。貫通孔形成予定部は、施工現場で貫通孔を形成するための位置を示すものであり、罫書き線で示された部分等で例示される。また、貫通孔形成予定部は、固定片2の厚みよりも薄くてもよく、或いは固定片2の厚みと同じであってもよい。固定片2が本固定部22として貫通孔形成予定部を備える場合、施工現場等で、貫通孔形成予定部の位置で貫通孔を形成する。この貫通孔形成予定部に形成される貫通孔は、本固定用の固定具62での固定前に形成されてもよく、または、この固定具62での固定と同時に形成されてもよい。
施工部材1の工場出荷時に、固定片2が本固定部22を備えない場合、施工現場等で、例えば壁下地5における胴縁の配置位置に合わせた位置に、ドリル等の任意の穴空け工具で貫通孔を固定片2に形成することができる。このようにして固定片2に形成された貫通孔を、本実施形態では、本固定部22とする。
また、本実施形態では、固定具61により上仮固定部24が仮固定された後、本固定部22を固定具62により壁下地5に固定することで、固定片2を壁下地5に本固定することができる。
ここで、「仮固定」とは、施工部材1をマーク7に沿って施工する際に、施工者が片手で施工部材1を支えなくてもよい程度に、壁下地5に取り付けられた固定具61で仮固定部21(例えば、上仮固定部24)が固定されることを意味する。仮固定用の固定具61が例えばネジの場合、ネジの頭部と壁下地5との間にわずかに隙間が形成された状態で、この隙間に仮固定部21の周囲部分が挟まれた状態を意味する。また、「本固定」とは、仮固定後に、固定具62で本固定部22が壁下地5に固定されることを意味する。
また、固定片2は、凸部23を更に備える。凸部23は、固定片2の上端と下端との間にあり、かつ固定片2の上端と下端とから離れた位置にある。また、凸部23は、壁材4の裏面に向かって突出する構造を有する。固定片2が凸部23を備えることで、壁材4が外壁材である場合に、凸部23は、外壁材と壁下地5との間に配置されるため、雨風等による水滴を外壁材と壁下地5との間に入り込ませにくくすることができる。このような凸部23は、左右方向Xに沿う固定片2の全長に連続的に形成されてもよく、或いは左右方向Xにおいて途中で途切れるようにして形成されてもよい。凸部23が途中で途切れる場合、固定片2は、複数の凸部を備える。
また、図1Bの例では、凸部23は、断面横V字状となるように形成されている。しかし、凸部23の形状は、横V字状に限定されない。凸部23の形状の他例として、コ字状、U字状、C字状等の各種断面形状が挙げられる。
また、位置調整部242は、固定片2の上端と凸部23の上端との間に形成されている。位置調整部242は、具体的には、凸部23の上方にある。すなわち、位置調整部242は、凸部23と交差していない。
本固定部22は、固定片2の上端と凸部23の上端との間に設けられている。
本実施形態に係る施工部材1は、上記の通り、スタータ1aである。このため、固定具61を壁下地5に取り付けた状態でスタータ1aを容易に位置調整できることから、位置決め用のマーク7に沿ってスタータ1aを精度よく施工することができる。これにより、スタータ1aで支えられた壁材4で位置ずれが生じにくくなる。
部材機能部3は、固定片2の下端から壁材4側に延出した構造を有する。
部材機能部3は、支持部31を備える。支持部31は、例えば、最下段の壁材4を、その下端側から支えるようにして構成されている(図12参照)。
支持部31は、支持片31aと、掛け止め片31bと、複数の通孔31cとを備える(図1A及び図1B参照)。
支持片31aは、壁材4の下端を支持する部位であって、固定片2の下端から壁材4側に延出した構造を有する。支持片31aにおいて、壁材4側へ延出する長さは、壁材4の厚み、及び壁材4と壁下地5との間の距離に応じて任意に設定できる。
通孔31cは、屋外空間と、壁材4と壁下地5との間の内部空間とが通じるようにして形成された孔である。壁材4が外壁材である場合、支持部31が通孔31cを備えることで、壁材4と壁下地5との間の内部空間に雨風等による水滴が入り込んだとしても、この水滴を通孔31cから排水しやすくすることができる。また、通孔31cは、晴天時に、屋外空間と、壁材4と壁下地5との間の内部空間との通気を可能にするため、この内部空間の湿度を低減しやすくすることもできる。このような通孔31cは、少なくとも支持片31aに設けられる。例えば、通孔31cは、支持片31aと固定片2の下部とにまたがって設けられる。通孔31cは、その目的を達成できれば、任意の形状を採用できる。通孔31cの形状として、例えば、円形、楕円形、正方形、長方形、及び三角形が挙げられる。
掛け止め片31bは、図12に示すように壁材4の下端に形成された凹溝41を掛け止める部位であって、支持片31aの先端から更に壁材4側に延出すると共に、凹溝41に向かって上方へ傾斜する構造を有する。
壁下地5は、壁材4の裏面側にある構造体である。壁下地5は、例えば、胴縁、胴つなぎ、防水シート、土台、柱、及び間柱を含む。
壁材4の一例は、外壁材である。本実施形態では、外壁材に限らず、壁材4は内壁材であってもよい。
本実施形態では、固定具61は、任意に選択されるが、ネジ、釘、及びリベット等で例示される。
本固定用の固定具62は、任意に選択されるが、ネジ、釘、及びリベット等で例示される。固定具62は、仮固定用の固定具61と同じものであってもよい。
また、本実施形態の施工部材1は、上記の通り、長尺の部材であるため、施工現場等で任意の長さに切断されてもよい。但し、仮固定部21(上仮固定部24)は、施工部材1の切断個所を示す部位ではない。
<施工部材の固定方法>
次に本実施形態に係る施工部材1の固定方法を、図2A〜図2C、及び図3を参照して説明する。本固定方法は、壁下地5に施工部材1を固定する方法であるため、施工部材1の具体的な説明を参照することができる。
本固定方法は、準備工程と、取付け工程と、導入工程と、仮固定工程と、本固定工程とを含む(例えば、図2A〜図2C、及び図3)。
準備工程は、施工部材1等を用意する工程である。準備工程の際、施工部材1は、切断工具で任意の長さに切断されてもよい。また、施工部材1が本固定部22として貫通孔を備えない場合、施工現場等で、穴空け工具で固定片2を貫通させた本固定部22を形成してもよい。切断工具として、例えばダイヤモンドカッターが挙げられる。穴空け工具として、例えば錐、及びドリルが挙げられる。
取付け工程は、図2Aのように、壁下地5に仮固定用の固定具61を取り付ける工程である。本実施形態では、取付け工程の前に、固定片2の上端又は下端を位置決めするための位置決め用のマーク(例えば、墨出し線)7を壁下地5に付ける。例えば、マーク7は、壁下地5に対して設計上正しい位置に施工部材1が固定されたときの固定片2の上端に対応する箇所に付けられる。その後、マーク7から離れた位置(例えば、マーク7の下方)で固定具61が壁下地5に取り付けられる。このとき、固定具61は、その頭部が壁下地5から離れており、ぐらつかないようにして壁下地5に取り付けられる。取付け工程後、導入工程が行われる。
導入工程は、図2Bのように、壁下地5に固定された固定具61を導入部211から位置調整部212に導入する工程である。具体的には、壁下地5の上下方向Yのうち、固定具61の下方に施工部材1を配置し、施工部材1の上方から固定具61の軸を上導入部241に通して位置調整部242に導入する。導入工程後、仮固定工程が行われる。
仮固定工程は、固定具61が通された固定片2の上下方向Yのいずれかの端部を、壁下地5に予め付された位置決め用のマーク7に合わせて仮固定部21を仮固定する工程である(図2C参照)。仮固定工程の際、固定具61に位置調整部212の縁を沿わせて固定片2を移動させる。そして、固定片2の端部をマーク7に合わせる。マーク7が施工部材1の上方にある場合、固定片2の上端をマーク7に合わせる。そして、固定片2の上端をマーク7に合わせた後、固定具61を更に打ち込むことで、仮固定部21は固定具61により壁下地5に仮固定される。そして、仮固定工程後、本固定工程が行われる。
本固定工程は、図3のように、本固定用の固定具62で本固定部22を本固定することにより固定片2を壁下地5に固定する工程である。
本実施形態では、施工部材1はスタータ1aであるため、スタータ1aは壁下地5の胴縁5aに固定される。胴縁5aは、長尺の角材であり、主に壁材4の長手方向と交差するようにして配置される。図2A〜図2Cの例では、胴縁5aは縦胴縁である。なお、壁材4の施工方法によっては、胴縁5aは横胴縁であってもよい。
本固定方法では、位置決め用のマーク7は、壁下地5の、胴縁5a、又は防水シート5cに付けられる。
スタータ1aの仮固定に用いられる固定具61は、スタータ仮固定用の固定具61aである。固定具61aは、その目的を達成できれば、具体的に限定されない。固定具61aとして、例えば、ネジ、釘、及びリベットが挙げられる。
スタータ1aの本固定に用いられる固定具62は、スタータ本固定用の固定具62aである。固定具62aは、その目的を達成できれば、具体的に限定されない。固定具62aとして、例えば、ネジ、釘、及びリベットが挙げられる。固定具62aは、スタータ仮固定用の固定具61aと同じものであってもよい。
(第2実施形態)
<施工部材>
次に、第2実施形態に係る施工部材1を、図4A〜図4Cを参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と共通する構成に対し、図面に同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係る施工部材1は、図4Aのように、複数の下仮固定部25を備える。下仮固定部25は、仮固定部21である。
下仮固定部25は、導入部211である下導入部251と、位置調整部212である位置調整部252と、引っ掛け部213である引っ掛け部253とを備える。引っ掛け部253は、下仮固定部25の上端にある。
下導入部251は、位置調整部252に対して固定具61を導入可能な部位であって、固定片2の下端に開口する。下導入部251は、固定具61を位置調整部252の内側に導入する上仮固定部24の入り口である。また、下導入部251は、固定片2の下端に位置し、かつ固定片2の下端が途中で途切れるようにして形成されている。
位置調整部252は、固定片2の上下方向Yに沿って細長く、壁下地5に取り付けられた仮固定用の固定具61に対して固定片2を上下方向Yに位置調整可能にする。位置調整部252は、固定片2を貫通し、下導入部251に接続する。
下仮固定部25の、正面視における形状は、上端が上方に凸となる円弧状となったスリット等で例示される。このスリットは上下方向Yに沿って細長い。また、下仮固定部25は、固定片2の下端を切欠いて上方に延びる切欠きである。
下仮固定部25が下導入部251と位置調整部252とを備えることで、仮固定用の固定具61を壁下地5に予め取り付けた状態で、固定具61の軸を、下導入部251を通して位置調整部252に導入することができる。従って、固定具61を壁下地5に取り付ける際に、施工者が片手で施工部材1を支えなくてもよくなり、固定具61を落下させにくくできる。また、固定具61の導入後、固定具61の軸が位置調整部252に導入された状態で、固定片2を上下方向Yに容易に位置調整できる。
また、下仮固定部25が引っ掛け部253を備えることで、仮固定の際に、引っ掛け部253を固定具61に一旦引っ掛けて、マーク7を視認しながら固定片2を位置調整できる。これにより、マーク7に合わせて固定片2が壁下地5に固定されやすくなり、施工部材1の施工性が向上しやすくなる。
本実施形態において、下導入部251の一例は、大穴である。この大穴は、平面視で、仮固定用の固定具61の頭部よりも大きい。また、位置調整部252の幅は固定具61の頭部の直径よりも小さく、固定具61の軸の直径よりも大きい。このため、固定片2を位置調整する際、下導入部251を通った固定具61の軸は、施工部材1の正面視で、位置調整部252の内側に配置できる。すなわち、壁下地5に取り付けられた固定具61のうち、頭部を下導入部251に通して、軸を位置調整部252に導入することができる。
下導入部251が固定具61の頭部の直径よりも大きいことで、施工部材1の設置後、下導入部251により、屋外空間と、壁材4と壁下地5との間の内部空間とが通じることができる。このため、下導入部251は、通孔31cと同様の機能を有することができる。施工部材1が下導入部251を備える場合、施工部材1は通孔31cを備えなくてもよい。
また、下仮固定部25は、施工部材1の展開図において、例えば、ダルマ穴である。
本実施形態の施工部材1では、複数の下仮固定部25が、固定片2の左右方向Xに沿って間隔を空けて形成されている。これにより、固定片2が複数の固定具61で壁下地5に仮固定されるため、位置決め用のマーク7に対して固定片2を固定しやすくなり、固定片2の位置決め精度が向上しやすくなる。
施工部材1において、固定片2の左右方向Xの両端部の各々に、下仮固定部25が形成されている。このため、固定片2の両端部で下仮固定部25を固定具61により仮固定できることから、固定片2を壁下地5に固定しやすくなる。また、下仮固定部25は、固定片2の両端部だけでなく、固定片2の、左右方向Xにおける中央部の下端に更に1個または複数形成されていてもよい。
本実施形態の施工部材1は、左右方向Xに沿って長尺の部材であるため、施工現場等で任意の長さに切断されてもよい。但し、仮固定部21(下仮固定部25)は、施工部材1の切断個所を示す部位ではない。
施工部材1はスタータ1aである。このため、固定具61を壁下地5に取り付けた状態でスタータ1aを容易に位置調整できることから、位置決め用のマーク7に沿ってスタータ1aを精度よく施工することができる。これにより、スタータ1aで支えられた壁材4で位置ずれが生じにくくなる。
<施工部材の固定方法>
次に本実施形態に係る施工部材1の固定方法を、図5A〜図5Dを参照して説明する。本固定方法において、第1実施形態と共通する構成は、図面に同じ符号を付して説明を省略する。
導入工程では、図5Aのように、壁下地5の上下方向Yのうち、固定具61の上方に施工部材1を配置し、施工部材1の下方から固定具61の頭部及び軸を下導入部251に通して固定具61の軸を位置調整部252に導入する。図5A〜図5Dの例では、導入工程前に、位置決め用のマーク7は、壁下地5に対して設計上正しい位置に施工部材1が固定されたときの固定片2の上端に対応する箇所に付けられる。
仮固定工程では、固定具61に位置調整部252の縁を沿わせて固定片2を上下方向Yに移動させる。そして、固定片2の上端をマーク7に合せる(図5B参照)。その後、固定具61aを更に打ち込むことで下仮固定部25が固定具61aで仮固定される(図5C参照)。下仮固定部25が仮固定される前、引っ掛け部253を固定具61aに一旦引っ掛けてから、固定片2を移動させてもよい。
本固定工程では、図5Dのように、本固定用の固定具62aで本固定部22を本固定することにより固定片2が壁下地5に固定される。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る施工部材1を、図6を参照して説明する。本実施形態では、第1及び第2実施形態と共通する構成に対し、図面に同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係る施工部材1は、複数の仮固定部21を備える。仮固定部21は、上仮固定部24と、下仮固定部25とで構成される。これにより、施工部材1の設置個所に応じて、上仮固定部24及び下仮固定部25のうちから一方を選択できる。しかも、施工部材1が上仮固定部24を備えることで、位置決め用のマーク7の下方に施工部材1を固定する場合に、マーク7を上仮固定部24を通して視認しながら固定片2を上下方向Yに沿って位置調整できる。これにより、マーク7に合わせて固定片2が壁下地5に固定されやすくなり、施工部材1の施工性が向上しやすくなる。また、マーク7の下方で、かつ下仮固定部25を固定具61で仮固定する場合には、引っ掛け部253を固定具61に一旦引っ掛けて、マーク7を上仮固定部24を通して視認しながら固定片2を上下方向Yに沿って位置調整できる。
本実施形態の施工部材1では、固定片2の左右方向Xの両端部の各々に、上仮固定部24と、下仮固定部25とが形成されている。これらの上仮固定部24及び下仮固定部25は、左右方向Xにおいて異なる位置にある。すなわち、上下方向Yに沿う一直線上に、上仮固定部24と、下仮固定部25とが形成されていない。
また、上仮固定部24は、固定片2の両端部だけでなく、固定片2の、左右方向Xにおける中央部の上端に更に1個または複数形成されていてもよい。下仮固定部25は、固定片2の両端部だけでなく、固定片2の、左右方向Xにおける中央部の下端に更に1個または複数形成されていてもよい。この場合であっても、上仮固定部24及び下仮固定部25は、左右方向Xにおいて異なる位置にある。
本実施形態の施工部材1は、左右方向Xに沿って長尺の部材であるため、施工現場等で任意の長さに切断されてもよい。但し、仮固定部21(上仮固定部24及び下仮固定部25)は、施工部材1の切断個所を示す部位ではない。
施工部材1はスタータ1aである。このため、固定具61を壁下地5に取り付けた状態でスタータ1aを容易に位置調整できることから、位置決め用のマーク7に沿ってスタータ1aを精度よく施工することができる。これにより、スタータ1aで支えられた壁材4で位置ずれが生じにくくなる。
また、本実施形態に係る施工部材1を壁下地5に施工するにあたって、導入工程において、壁下地5の上下方向Yのうち、施工部材1の上方から固定具61の軸を位置調整部242に導入するか、或いは施工部材1の下方から固定具61の軸を位置調整部252に導入する。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る施工部材1を、図7を参照して説明する。本実施形態では、第1〜第3実施形態と共通する構成に対し、図面に同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係る施工部材1は、仮固定部21である上仮固定部26を備える。
上仮固定部26は、導入部211である上導入部261と、位置調整部212である位置調整部262と、を備える。
上導入部261は、位置調整部262に対して固定具61を導入可能な部位であって、固定片2の上端に開口する。上導入部261は、固定具61を位置調整部262の内側に導入する上仮固定部26の入り口である。また、上導入部261は、固定片2の上端に位置し、かつ固定片2の上端が途中で途切れるようにして形成されている。
位置調整部262は、固定片2の上下方向Yに沿って細長く、壁下地5に取り付けられた仮固定用の固定具61に対して固定片2を上下方向Yに位置調整可能にする。位置調整部262は、固定片2を貫通し、上導入部261に接続する。このため、固定片2を位置調整する際、固定具61の軸は、施工部材1の正面視で、位置調整部262の内側に配置される。
上仮固定部26が上導入部261を備えることで、位置決め用のマーク7の下方に施工部材1を施工する場合に、マーク7を上仮固定部26を通して視認しながら固定片2を上下方向Yに沿って位置調整できる。これにより、マーク7に合わせて固定片2が壁下地5に固定されやすくなり、施工部材1の施工性が向上しやすくなる。
また、上仮固定部26が上導入部261と、位置調整部262と、を備えることで、仮固定用の固定具61を壁下地5に予め取り付けた状態で、固定具61の軸を、上導入部261を通して位置調整部262に導入することができる。従って、固定具61を壁下地5に取り付ける際に、施工者が片手で施工部材1を支えなくてもよくなり、固定具61を落下させにくくできる。また、固定具61の導入後、固定具61の軸が位置調整部262に導入された状態で、固定片2を上下方向Yに沿って位置調整できる。
位置調整部262は、細隙部265と、接続部214と、空所266とを備える。細隙部265は、上導入部261に接続する。接続部214は、細隙部265と空所266とに接続する。接続部214は、固定片2の上端と下端との間にあり、かつ固定片2の上端と下端とから離れた位置に設けられている。空所266は、固定片2の上端と下端との間にあり、かつ固定片2の上端と下端とから離れた位置に設けられている。細隙部265及び空所266は、それぞれ上下方向Yに沿って細長い部位である。
細隙部265、接続部214、及び空所266は幅を有する。細隙部265、接続部214、及び空所266の各々の幅方向は、固定具61の導入方向と直交する。細隙部265、接続部214、及び空所266の幅は、それぞれ固定具61の頭部の直径よりも小さく、軸の直径よりも大きい。
位置調整部262が細隙部265と空所266と備えることで、仮固定の際、壁下地5に予め取り付けられた仮固定用の固定具61を、細隙部265又は空所266の内側に導入した状態で、固定片2を上下方向Yに位置調整できる。そして、固定片2の位置調整後、細隙部265又は空所266の、左右方向Xにおける両端が固定具61で仮固定される。
位置調整部262の正面視形状は、J字状で例示される(図7参照)。しかし、位置調整部262の正面視形状は、任意に変更でき、H字状、又はクランク状等であってもよい。
上仮固定部26は、引っ掛け部213である引っ掛け部267,268を更に備える。引っ掛け部267は、接続部214の上端に位置する。引っ掛け部268は、空所266の上端に位置する。
上仮固定部26が引っ掛け部267,268を備えることで、仮固定の際に、引っ掛け部267又は引っ掛け部268を固定具61に一旦引っ掛けて、固定片2の上端又は下端を位置決めするための位置決め用のマーク7を視認しながら固定片2を上下方向Yに沿って位置調整できる。これにより、マーク7に合わせて固定片2が壁下地5に固定されやすくなり、施工部材1の施工性が向上しやすくなる。また、位置決め用のマーク7の下方で上仮固定部26が固定具61で仮固定される場合に、引っ掛け部267又は引っ掛け部268を固定具61に一旦引っ掛けながら、マーク7を上仮固定部26を通して視認できる。
本実施形態に係る施工部材1では、第1又は第3実施形態の上仮固定部24の代わりに、上仮固定部26が形成されうる。また、上仮固定部26は、左右方向Xに沿って間隔を空けて複数形成されうる。
施工部材1において、固定片2の左右方向Xの両端部の各々に、上仮固定部26が形成されうる。
また、施工部材1は、左右方向Xに沿って長尺の部材であるため、施工現場等で任意の長さに切断されてもよい。但し、仮固定部21(上仮固定部26)は、施工部材1の切断個所を示す部位ではない。
施工部材1は、スタータ1a、及び水切り1bのうちのいずれかであってもよい。
また、本実施形態に係る施工部材1を壁下地5に施工するにあたって、導入工程において、壁下地5の上下方向Yのうち、施工部材1の上方から固定具61の軸を上導入部261に通して細隙部265に導入する。また、必要に応じて、固定具61の軸を、更に接続部214に導入するか、或いは接続部214を介して空所266に導入する。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る施工部材1を、図8A及び図8Bを参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と共通する構成に対し、図面に同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態の施工部材1では、仮固定部21である孔状仮固定部27を備える。孔状仮固定部27は、導入部211である導入部271と、位置調整部212である位置調整部272と、を備える。
導入部271は、位置調整部272に対して固定具61を導入可能な部位であって、固定片2を前後方向に貫通し、位置調整部272の上端又は下端に開口する。導入部271は、仮固定用の固定具61を位置調整部272の内側に導入する孔状仮固定部27の入り口である。
位置調整部272は、固定片2の上下方向Yに沿って細長く、壁下地5に取り付けられた固定具61に対して固定片2を上下方向Yに位置調整可能にする。位置調整部272は、固定片2を貫通し、導入部271に接続する。このため、固定片2を位置調整する際、固定具61の軸は、施工部材1の正面視において、位置調整部272の内側に配置される。
導入部271の一例は、大穴である。この大穴は、平面視で、仮固定用の固定具61の頭部よりも大きい。このため、仮固定の際、壁下地5に予め取り付けられた固定具61の頭部及び軸を導入部271に通すことができる。
位置調整部272の一例は長穴である。この長穴の幅は、固定具61の軸の直径よりも大きく、頭部の直径よりも小さい。このため、仮固定の際、導入部271を通った固定具61の軸を位置調整部272に導入することができる。
本実施形態では、孔状仮固定部27の正面視形状は、例えばダルマ穴である。
また、図8Aのような孔状仮固定部27の場合、位置調整部272は上下方向Yに沿って細長く、導入部271は位置調整部272の下端に開口している。
図8Bのような孔状仮固定部27の場合、位置調整部272は上下方向Yに沿って細長く、導入部271は位置調整部272の上端に開口している。
孔状仮固定部27が導入部271と位置調整部272とを備えることで、仮固定用の固定具61を壁下地5に予め取り付けた状態で、固定具61の軸を、導入部271を通して位置調整部272に導入することができる。従って、固定具61を壁下地5に取り付ける際に、施工者が片手で施工部材1を支えなくてもよくなり、固定具61を落下させにくくできる。また、固定具61の導入後、固定具61の軸が位置調整部272に導入された状態で、固定片2を上下方向Yに容易に位置調整できる。
孔状仮固定部27は、引っ掛け部213である引っ掛け部273を更に備える。引っ掛け部273は、孔状仮固定部27の上端に位置する。
図8Aのような孔状仮固定部27が引っ掛け部273を備える場合、引っ掛け部273は、位置調整部272の上端に位置する。
図8Bのような孔状仮固定部27が引っ掛け部273を備える場合、引っ掛け部273は導入部271の上端に位置する。
孔状仮固定部27が引っ掛け部273を備えることで、仮固定の際、引っ掛け部273を固定具61に一旦引っ掛けて、固定片2を上下方向Yに沿って位置調整することで、固定片2の上端又は下端を位置決めするための位置決め用のマーク7に合せることができる。これにより、マーク7に合わせて固定片2が壁下地5に固定されやすくなり、施工部材1の施工性が向上しやすくなる。また、マーク7の下方で固定片2を固定具61で仮固定する場合に、引っ掛け部273を固定具61に一旦引っ掛けて、固定片2の上端とマーク7とを視認しながら固定片2を上下方向Yに沿って位置調整できる。これにより、マーク7に合わせて固定片2が壁下地5に固定されやすくなり、施工部材1の施工性が向上しやすくなる。
本実施形態の施工部材1は、スタータ1a、及び水切り1bのうちのいずれかであってもよい。
また、孔状仮固定部27は、固定片2の上端と下端との間に形成されている。施工部材1が上述の凸部23を備えるスタータ1aである場合、孔状仮固定部27は、好ましくは、固定片2の上端と凸部23との間の部分、及び固定片2の下端と凸部23との間の部分のうちの少なくとも一方に形成されている。また、孔状仮固定部27は、固定片2の上端と下端とから離れた位置に形成されている。
施工部材1では、孔状仮固定部27は、固定片2の左右方向Xに沿って間隔を空けて複数形成されていてもよい。この場合、固定片2が複数の固定具61で壁下地5に仮固定されるため、位置決め用のマーク7に対して固定片2を固定しやすくなり、固定片2の位置決め精度が向上しやすくなる。
また、施工部材1において、好ましくは、固定片2の左右方向Xの両端部の各々に、孔状仮固定部27が形成されている。この場合、固定片2の両端部で孔状仮固定部27を仮固定用の固定具61により仮固定できることから、固定片2を壁下地5に固定しやすくなる。
また、本実施形態に係る態様は、施工部材1の目的に応じて、第1〜第4実施形態の態様と組み合わせてれてもよい。例えば、第1〜第4実施形態の固定片2が、本実施形態の孔状仮固定部27を更に備えてもよい。また、本実施形態の孔状仮固定部27は、位置調整部272の代わりに、第4実施形態に係る位置調整部262のような形状を有する位置調整部を備えてもよい。
本実施形態に係る施工部材1を壁下地5に施工するにあたって、導入工程において、固定具61の頭部を導入部271に通して固定具61の軸を位置調整部272に導入する。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態に係る施工部材1を、図9を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と共通する構成に対し、図面に同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係る施工部材1は、水切り1bである。水切り1bは、部材機能部3である水切り機構32を備える。
本実施形態では、壁材4は外壁材であり、水切り機構32は、例えば最下段の外壁材4の下端側に配置されている(図12参照)。
また、水切り機構32は、図9のように、受け片32aと、水切り片32bとを備える。
受け片32aは、その上端が固定片2の下端に接続された部位であって、外壁材4の屋外側に向かって下り傾斜する構造を有する。受け片32aが下り傾斜することで、外壁材4上で流下した水滴は受け片32aで更に屋外側へ流下することができる。また、受け片32aの一部は、外壁材4よりも屋外で露出している(図12参照)。
水切り片32bは、その上端が受け片32aの下端に接続された部位であって、外壁材4よりも屋外で下方へ垂下した構造を有する。これにより、受け片32a上で流下した水滴を、水切り片32bの垂下方向に沿って屋外に排水することができる。
また、水切り機構32は、水切り片32bの下端から屋内側へ曲げられた返し片を更に備えてもよい。これにより、鼠、及び蜂等の小動物を水切り機構32から侵入させにくくできる。
また、水切り1bは、施工現場等で、任意の切断工具で切断されてもよい。但し、仮固定部21(上仮固定部24)は、水切り1bの切断個所を示す部位ではない。
本実施形態において、水切り1bは、例えば壁下地5の土台5bに設置される。土台5bは、建物の基礎5dに沿って設置された長尺の角材である。土台5bは、例えば、木製である。
本実施形態に係る水切り1bを壁下地5に施工するにあたって、取付け工程の前に、位置決め用のマーク7は、壁下地5に対して設計上正しい位置に施工部材1が固定されたときの固定片2の上端に対応する箇所に付けられる。取付け工程では、図10Aのように、上下方向Yのうち、マーク7の下方で、仮固定用の固定具61bが土台5bに取り付けられる。導入工程では、図10Bのように、固定具61bの軸が上導入部241から位置調整部242に導入される。仮固定工程では、図10Cのように、固定片2の上端をマーク7に合わせて上仮固定部24を固定具61bで土台5bに仮固定する。本固定工程では、図11のように、本固定用の固定具62bで本固定部22を本固定することにより固定片2が土台5bに固定される。
また、本実施形態では、取付け工程と導入工程との間の工程において、固定片2と土台5bとの間に介在するようにして防水両面テープを設けてもよい。
水切り1bの仮固定に用いられる固定具61は、水切り仮固定用の固定具61bである。仮固定用の固定具61bは、その目的を達成できれば、具体的に限定されない。固定具61bとして、例えば、ネジ、釘、及びリベットが挙げられる。また、固定具61bは、スタータ仮固定用の固定具61aと同じものであってもよく、又は異なるものであってもよい。
水切り1bの本固定に用いられる固定具62は、水切り本固定用の固定具62bである。本固定用の固定具62bは、その目的を達成できれば、具体的に限定されない。固定具62bとして、例えば、ネジ、釘、及びリベットが挙げられる。固定具62bは、水切り仮固定用の固定具61bと同じものであってもよい。また、固定具62bは、スタータ本固定用の固定具62aと同じものであってもよく、又は異なるものであってもよい。
(まとめ)
上記説明の通り、第1態様は、施工部材(1)であって、壁下地(5)に固定される左右方向(X)に延びた長尺状の固定片(2)を備える。固定片(2)は、壁下地(5)に固定された仮固定用の固定具(61)で仮固定される仮固定部(21)を備える。仮固定部(21)は、壁下地(5)に対して固定片(2)を上下方向(Y)に位置調整可能な位置調整部(212)と、位置調整部(212)に対して仮固定用の固定具(61)を導入可能な導入部(211)と、を有する。
第1態様によれば、施工部材(1)を施工する際に、固定具(61)を落下させにくくすると共に、固定具(61)を壁下地(5)に取り付けた状態で固定片(2)を容易に位置調整できる。
第2態様は、第1態様の施工部材(1)であって、仮固定部(21)は、固定片(2)の上端に開口する上導入部(241)を有する上仮固定部(24)と、固定片(2)の下端に開口する下導入部(251)を有する下仮固定部(25)とを含む。
第2態様によれば、壁下地(5)に予め付された位置決め用のマーク(7)の下方で、かつ下仮固定部(25)を仮固定用の固定具(61)で仮固定する場合には、下仮固定部(25)の一部(例えば、引っ掛け部(253))を固定具(61)に一旦引っ掛けて、位置決め用のマーク(7)を上仮固定部(24)を通して視認しながら固定片(2)を上下方向(Y)に沿って位置調整でき、これにより、マーク(7)に合わせて固定片(2)が壁下地5に固定されやすくなり、施工部材(1)の施工性が向上しやすくなる。
第3態様は、第1態様又は第2態様の施工部材(1)であって、仮固定部(21)は、左右方向(X)に間隔を空けて複数形成されている。
第3態様によれば、固定片(2)が複数の固定具(61)で壁下地(5)に仮固定されるため、壁下地(5)に予め付された位置決め用のマーク(7)に対して固定片(2)を固定しやすくなり、固定片(2)の位置決め精度が向上しやすくなる。
第4態様は、第1〜第3態様のうちのいずれか1つの施工部材(1)であって、仮固定部(21)は、仮固定用の固定具(61)に引っ掛け可能な引っ掛け部(213)を有する。
第4態様によれば、引っ掛け部(213)を固定具(61)に一旦引っ掛けて、位置決め用のマーク(7)を視認しながら固定片(2)を上下方向(Y)に沿って位置調整でき、これにより、施工部材(1)の施工性が向上しやすくなる。
第5態様は、第1〜第4態様のうちのいずれか1つの施工部材(1)であって、施工部材(1)は、固定片(2)が壁下地(5)に固定された状態で、壁下地(5)に設置される壁材(4)を下方から支持する壁材設置用のスタータ(1a)である。
第5態様によれば、仮固定用の固定具(61)を壁下地(5)に取り付けた状態でスタータ(1a)を容易に位置調整でき、壁下地(5)に予め付された位置決め用のマーク(7)に沿ってスタータ(1a)を精度よく施工することができ、これにより、スタータ(1a)で支えられた壁材(4)で位置ずれが生じにくくなる。
第6態様の施工部材の固定方法は、第1〜第5態様のうちのいずれか1つの施工部材(1)を壁下地(5)に固定する方法である。前記固定方法は、壁下地(5)に固定された仮固定用の固定具(61)を導入部(211)から位置調整部(212)に導入する工程と、仮固定用の固定具(61)が通された固定片(2)の上下方向(Y)のいずれかの端部を、壁下地(5)に予め付された位置決め用のマーク(7)に合わせて仮固定部(21)を仮固定する工程と、仮固定された固定片(2)を本固定用の固定具(62)で本固定する工程と、を含む。
第6態様によれば、施工部材(1)を施工する際に、固定具(61)を落下させにくくすると共に、固定具(61)を壁下地(5)に取り付けた状態で固定片(2)を容易に位置調整できる。