JP2020025747A - 制御装置および被検体情報取得装置 - Google Patents

制御装置および被検体情報取得装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光音響撮影を行う際に被検体への光照射に関する安全性を向上させる。【解決手段】パルス光を出射部から出射する光源装置を制御する制御装置であって、光量取得部と、パルス光を、出射部および光量取得部に伝送する光伝送部と、パルス光が出射したタイミングを検出するタイミング検出部と、光量取得部が取得した光量を示す情報およびタイミングの履歴に基づいて、パルス光の発光条件を制御する制御部と、を有する制御装置を用いる。【選択図】図1

Description

本発明は、制御装置および被検体情報取得装置に関する。
従来、医療分野で、光音響効果を利用して被検体内部の形態や機能を画像化する光音響装置が研究されている。このような従来の光音響装置では、使用者の指示を受けると、光音響装置内部のコントローラがレーザ光源の駆動回路に信号を送り、パルス光を発光させる。このパルス光が導光手段を介して被検体に照射されると、光音響波が発生する。この光音響波は、被検体に接触した探触子により受信され、光音響信号と呼ばれる電気信号に変換される。コントローラはこの光音響信号に対して信号処理および画像再構成処理を行い、診断画像を使用者に提示する。
特許文献1では、最適な診断画像を得るためにさまざまな照射条件でパルス光を照射可能な光音響装置が提案されている。特許文献1記載の光音響装置では、使用者がパルス光の光量、繰り返し周波数、波長を選択可能である。
また、光音響装置において、生体に対する安全性の観点から、被検体への照射密度はレーザ安全基準(JIS規格C6802およびIEC60825-1)で定められる最大許容露光量(MPE)を超え
ないようにする必要がある。特許文献2に記載の光音響装置は、生体へ照射される光の照射密度を測定し、照射密度が最大許容露光量を超えないように光源の出射光量を制御する機能を備えている。
米国特許出願公開第2017/0108429号明細書 特開2011−229735号公報
光音響装置において、光源内部の状態変化や誤動作により、パルス光の光量や周波数、波長などのパラメータが撮影中に変動する可能性がある。これらのパラメータの変動の組み合わせにより最大許容露光量に対するマージンの低下につながるおそれがある。しかし、各特許文献に記載の光音響装置においては、光音響撮影中にこのようなパラメータの変動をパルスごとに監視し、許容範囲外であれば速やかに対策することが難しかった。一方、パラメータの変動分をあらかじめ見込んで最大許容露光量に対するマージンを多めに確保すると、被検体への照射可能な光量が少なくなり光音響信号のS/Nが低下する恐れがあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光音響撮影を行う際に被検体への光照射に関する安全性を向上させることである。
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
パルス光を出射部から出射する光源装置を制御する制御装置であって、
光量取得部と、
前記パルス光を、前記出射部および前記光量取得部に伝送する光伝送部と、
前記パルス光が出射したタイミングを検出するタイミング検出部と、
前記光量取得部が取得した光量を示す情報および前記タイミングの履歴に基づいて、前記パルス光の発光条件を制御する制御部と、
を有することを特徴とする制御装置である。
本発明によれば、光音響撮影を行う際に、被検体への光照射に関する安全性を向上させることができる。
本発明の実施例1におけるブロック構成図。 本発明の実施例1における動作フローチャート。 本発明の実施例1におけるレーザ監視ユニットの動作フローチャート。 本発明の実施例1における光量センサ制御方法を示すタイミングチャート。 本発明の実施例1における閾値算出処理の動作フローチャート。 本発明の実施例2における閾値算出処理の動作フローチャート。 本発明の実施例2における閾値算出方法を示す図。 本発明の実施例3におけるレーザ監視ユニットの動作フローチャート。 本発明の実施例3における閾値算出方法を示す図。 本発明のレーザ停止前後の過渡状態を示すタイミングチャート。 本発明のレーザ光量制限前後の過渡状態を示すタイミングチャート。
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。よって、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
本発明は、レーザ装置に関しており、複数波長の光を発振できる波長可変な半導体レーザ装置に関していても良い。本発明は、レーザ装置そのものとして捉えても良いし、レーザ装置を制御するための制御装置、レーザ装置の制御方法、あるいはレーザ装置の製造方法としても捉えられる。本発明のレーザ装置は、被検体にパルス光を出射するための発光装置あるいは光源装置として機能する。
本発明は、また、上記のレーザ装置を用いて被検体に光を照射し、被検体内部から発生した音響波を用いて被検体内部の特性情報を生成し、取得する技術に関する。よって本発明は、光音響装置またはその制御方法、被検体情報取得装置またはその制御方法、あるいは被検体情報取得方法や信号処理方法として捉えられる。本発明はまた、これらの方法をCPUやメモリ等のハードウェア資源を備える情報処理装置に実行させるプログラムや、そのプログラムを格納した、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記憶媒体としても捉えられる。
本発明の被検体情報取得装置には、被検体に光(電磁波)を照射することにより被検体内で発生した音響波を受信して、被検体の特性情報を画像データとして取得する光音響効果を利用した光音響イメージング装置を含む。この場合、特性情報とは、受信された光音響波に由来する受信信号を用いて生成される、被検体内の複数位置のそれぞれに対応する特性値の情報である。
光音響測定により取得される特性情報は、光エネルギーの吸収量や吸収率を反映した値である。例えば、単一の波長の光照射によって生じた音響波の発生源、被検体内の初期音圧、あるいは初期音圧から導かれる光エネルギー吸収密度や吸収係数を含む。また、互い
に異なる複数の波長により得られる特性情報から、組織を構成する物質の濃度を取得できる。物質濃度として酸化ヘモグロビン濃度と還元ヘモグロビン濃度を求めることにより、酸素飽和度分布を算出できる。また、物質濃度としては、グルコース濃度、コラーゲン濃度、メラニン濃度、脂肪や水の体積分率なども求められる。
被検体内の各位置の特性情報に基づいて、二次元または三次元の特性情報分布が得られる。分布データは画像データとして生成され得る。特性情報は、数値データとしてではなく、被検体内の各位置の分布情報として求めてもよい。すなわち、初期音圧分布、エネルギー吸収密度分布、吸収係数分布や酸素飽和度分布などの分布情報である。
本発明でいう音響波とは、典型的には超音波であり、音波、音響波と呼ばれる弾性波を含む。トランスデューサ等により音響波から変換された電気信号を音響信号とも呼ぶ。ただし、本明細書における超音波または音響波という記載は、それらの弾性波の波長を限定する意図ではない。光音響効果により発生した音響波は、光音響波または光超音波と呼ばれる。光音響波に由来する電気信号を光音響信号とも呼ぶ。分布データは、光音響画像データや再構成画像データとも呼ばれる。
本発明の被検体情報取得装置は、人や動物の血管疾患や悪性腫瘍などの診断や化学治療の経過観察に好適である。被検体の例として、被検者の乳房や手のような生体の一部、マウスなどヒト以外の動物、無生物、ファントムなどを挙げられる。以下の各実施例では、被検体情報取得装置として、かかる光音響装置について説明する。
<実施例1>
本実施例は、パルス光源の過去の発光タイミングと光量に基づいて、パルス光源の発光可否を判断するものである。
(装置構成)
図1は本実施例に係るレーザ制御装置を応用した光音響装置を示すブロック構成図である。図1において点線は光の流れ、実線矢印は電気信号の流れを表す。
符号101は被検体102を固定し被検体にパルス光を照射するとともに、被検体からの光音響波を受信し、光音響信号に変換するプローブユニットである。プローブユニット内部には、パルス光を被検体102に向けて出射する投光部123、被検体からの光音響波を受信し、光音響信号と呼ばれる電気信号に変換する音響センサ124を備える。さらに、音響センサ124と被検体102の間を光音響波が効率よく伝搬させるための不図示のマッチング材を備えることが好ましい。プローブユニット内部にはさらに、投光部123と音響センサ124を被検体102表面に沿って2次元に走査させるためのXYステージ125、X軸およびY軸用のモータ126、ステージ位置計測用のX軸用およびY軸用のエンコーダ127を備える。投光部123と音響センサ124を被検体102上の撮影範囲全域にわたり走査させることにより広範囲の診断画像を得ることができる。
符号102は光音響装置の被検体であり、被検者の体の一部である。被検体102内部に存在する光吸収の大きな部位(光吸収部位)にパルス光が照射されると、光音響効果により光音響波が発生する。光吸収部位とは、例えばがんに起因する新生血管などである。光音響波はプローブユニット内部の音響センサ124に受信され、光音響信号と呼ばれる電気信号に変換される。
符号103はパルス光を発生させるための光源であり、YAGレーザ、チタンサファイアレーザなどの固体レーザで構成される。光源103は内部のレーザ媒質を励起するための手段として半導体レーザおよびQスイッチを持ち、外部から電気的に発光タイミングを
制御可能な構成になっている。また、光源103は内部の励起手段への投入エネルギーを設定するためのインタフェースを持ち、外部からパルス光のエネルギーを電気的に制御可能な構成になっている。また、光源103は異なる波長を発光可能な光源である。光源103は波長を変更するためのインタフェースを持ち、外部から波長を設定可能とする。光源103は、2種類の波長の光をそれぞれ異なる光路104、105に出射することができるものとする。波長の切り替えは光源103内部の共振器の光学系切り替えによって行う。光路104の光の波長を532nm、光路105の光の波長を1064nmとする。また、被検
体102の内部情報を解像度よく画像化するために、パルス光のパルス幅は約10nsの短かさとする。
光源103は、光源部に相当する。本発明を光源装置として捉える場合、光源103が光源装置であると考えても良い。また、光源103からなる光源部と、光源103からのパルス光を被検体に出射するための機構、例えば光路を構成する光伝送部(光導波路や光ファイバなど)や投光部123などを合わせて光源装置だと考えても良い。光伝送部は、パルス光を光量取得部に伝送する機能を備えていても良い。さらに、光源103、出射のための機構、および、制御部(例えばレーザ監視ユニット120のような制御装置)を合わせて光源装置だと考えても良い。
本発明を光源装置の制御装置として捉える場合、レーザ監視ユニット120を制御装置だと考えても良い。また、レーザ監視ユニット120からなる制御部と、制御のための情報を取得する機構(例えば光量計やPCなど)を合わせて制御装置だと考えても良い。制御装置または制御部には、レーザ監視ユニット120の他にコントローラ106を含めて考えても良い。
本発明を被検体情報取得装置として捉える場合、光源103および出射のための機構、ならびに光音響波を取得する機構を合わせて被検体情報取得装置だと考えても良い。また、光音響波に基づいて被検体情報を算出するPC、および/または、光源を制御する制御装置をさらに合わせて被検体情報取得装置だと考えても良い。
符号106は使用者からの指示に基づいて光源103を制御するコントローラである。使用者はコントローラ106を用いて、レーザ光の波長、繰り返し周波数、励起手段への投入エネルギーなどの発光条件を設定する。パルス光の繰り返し周波数は、所定の時間内に発振されるパルス光のパルス数を指す。続いて使用者がコントローラ106を用いて光源103の発光開始指示を行うと、光源103は設定された投入エネルギーでレーザダイオードを点灯させ、レーザ媒質に励起エネルギーを蓄積した後にQスイッチをONにする。これにより、ジャイアントパルスと呼ばれる高いエネルギーをもつパルス光が出力される。励起エネルギーの蓄積にかかる時間はレーザによって異なるが、概ね100usから500usの間である。パルス光の繰り返し周波数は、コントローラ106で設定された周波数である。本実施例では10Hzから2kHzの間の周波数を設定可能なものとする。また、光源103は内部のアクチュエータを駆動して光源内部の光路を切り替え、コントローラ106で設定された波長の光を光路104あるいは光路105に出射する。
符号107は光路104に設置され、光源103からの出力光を2方向に分岐するビームスプリッタである。分岐比は99:1とする。分岐したレーザの出射光のうち、99%はシャッタ111に入射する。残りの1%の出射光は光量計109に入射する。
符号108は光路105に設置され、光源103からの出力光を2方向に分岐するビームスプリッタである。分岐比は99:1とする。分岐したレーザの出射光のうち、99%はシャッタ112に入射する。残りの1%の出射光は光量計110に入射する。
符号109および符号110はパルス光のエネルギーを測定するための光量計である。光量計は、フォトダイオード、積分回路、A/D変換器、リセット回路により構成され、レーザ監視ユニット120からの指示に基づき、パルス光のエネルギーに比例したデジタ
ルデータを取得する。光量計のフォトダイオードとしては、レーザビーム全体を受光可能な大面積Siフォトダイオードを用いる。このようにレーザビーム全体を受光可能にすることで、レーザの分布に変動があった場合にもパルス光のエネルギーを安定して取得することができる。パルス光がフォトダイオードに入射すると、パルス光のパワーに比例した電荷がフォトダイオードから出力される。この電荷は積分回路内部のコンデンサに蓄積され、パルス光のエネルギーを反映した電圧が積分回路から出力される。この電圧をレーザ照射と同期したタイミングでA/D変換し、シリアル通信経由でレーザ監視ユニット120へデジタルデータを転送する。リセット回路は積分回路内部のコンデンサを放電するための回路である。レーザ監視ユニット120はA/D変換終了から、次のレーザ照射までの間にリセット回路を駆動し、コンデンサに蓄積された電荷を放電させる。これにより、パルス光のエネルギーを取得することができる。
符号111は光路104に設置されたシャッタである。符号112は光路105に設置されたシャッタである。シャッタ111、シャッタ112は、それぞれ、PC118からの指示に基づき、光源103からの光を被検体102に照射するか否かの制御を行う。
符号113は光路104に設置され、光源103からシャッタ111を介して導光された出力光を2方向に分岐するビームスプリッタである。分岐比は99:1とする。分岐したレーザの出射光のうち、99%は光ファイバを介してプローブユニット101に入射する。残りの1%の出射光は光ファイバを介して光ディテクタ115に入射する。
符号114は光路105に設置され、光源103からシャッタ112を介して導光された出力光を2方向に分岐するビームスプリッタである。分岐比は99:1とする。分岐したレーザの出射光のうち、99%は光ファイバを介してプローブユニット101に入射する。残りの1%の出射光は光ファイバを介して光ディテクタ115に入射する。なお、ビームスプリッタ113、ビームスプリッタ114と光ディテクタ115の間の光ファイバは、2本の光路を1本にまとめる光カプラ機能を有するものとする。
符号115は、ビームスプリッタ113およびビームスプリッタ114で分岐された光を入力し、レーザ発光に同期したデジタルパルス信号に変換し出力する光ディテクタであり、光コネクタ、高速フォトダイオード、パルス整形回路などから構成される。光ディテクタ115からの出力のデジタルパルス信号を光トリガ信号と呼ぶ。
ビームスプリッタ113および114と、光ディテクタ115の間の光ファイバを光ディテクタ115の光コネクタに接続すると、光ファイバが高速フォトダイオードに対向し、パルス光が高速フォトダイオードに入射するように位置決めされる。そして、高速フォトダイオードから生成されたパルス電流は、パルス整形回路により時間幅50us程度の光トリガ信号に変換される。光トリガ信号は受信回路116に入力され、光音響信号のサンプリング開始のトリガとして用いられる。
符号116は音響センサ124から出力された光音響信号に対し、増幅、A/D変換、ノイズ除去などの信号処理を行う受信回路である。受信回路116は光ディテクタ115からの光トリガ信号の立ち上がりに同期して、A/D変換処理および停止タイミングを決定する。そして、一定期間光音響信号をサンプリングし、不図示のメモリに保存する。また、受信回路116は光ディテクタ115からのデジタルパルス信号の立ち上がりに同期して、エンコーダ127からXYステージ125の座標データを算出し、不図示のメモリに保存する。受信回路116は増幅回路、A/D変換回路、信号処理回路やそれらの組み合わせなどで構成できる。
符号117はプローブユニット内部のXYステージのモータ126を駆動する駆動回路であり、モータドライバ回路、モータコントローラ回路で構成される。駆動回路117はPC118からの指示に基づき、プローブユニット101内部の投光部および音響センサ
を二次元ラスター走査させる。なおラスター走査以外にも、スパイラル走査やリニア走査など、任意の走査経路を辿らせることができる。
符号118はPC(Personal Computer)である。PC118は、受信回路116によっ
て不図示のメモリに保存された光音響信号データおよびXYステージ125の座標データを読み出し、内蔵するGPUにて画像再構成処理を行い、被検体102内部の特性情報を表す診断画像データを生成する。また、使用者が装置を走査するためのGUI(Graphical
User Interface)を提供する。使用者がGUIを介して撮影を開始する指示を行うと、PC118は駆動回路117に指示を出し、投光部123および音響センサ124の走査を開始させる。また、PC118はシャッタ111、およびシャッタ112を開き、被検体102へのレーザ照射を開始させる。撮影終了時にはPC118は駆動回路117に指示を出し、投光部123および音響センサ124を所定の位置に退避させるとともに、シャッタ111、シャッタ112を閉じる制御を行う。PC118は例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、メモリ、通信手段などの
資源を備える情報処理装置により構成できる。
符号119は使用者が光音響装置の動作条件の設定や動作開始指示を行うためのユーザインタフェース、すなわち操作部であり、キーボード、マウス、ボタンスイッチなどで構成される。動作条件としては、被検体102の撮影範囲や光音響信号の測定時間などがある。また、動作指示としては被検体102の撮影開始および撮影中断などがある。これらの指示はPC118により受け付けられ、各ユニットへの動作指示が行われる。
符号120は光源103からのパルス光量、発光タイミングをパルスごとに監視し、被検体102への照射可否を判定するレーザ監視ユニットである。レーザ監視ユニット120は、制御用のマイクロプロセッサ、内部メモリおよび周辺回路からなる基板で構成される。レーザ監視ユニット120は光源103の励起タイミング出力信号およびQスイッチ出力信号を監視し、光源がレーザ媒質を励起したタイミングおよび、レーザ光の発振を開始させたタイミングを把握する。励起タイミングに応じて光量計109および光量計110の積分コンデンサのリセットを解除し、光量の測定準備を行う。続いてQスイッチ出力信号が入力された後に光量計109および光量計110のA/D変換器の出力データを読み出す。読み出した光量データおよび発光タイミング情報はパルスごとにレーザ監視ユニット120内部のメモリに保存される。また、レーザ監視ユニット120はQスイッチ制御信号の出力されたタイミングから得られる光源103の発光タイミング情報を内部のメモリに保存する。そしてレーザ監視ユニット120は、内部のメモリに保存した光量計109および光量計110の光量データおよび光源103の発光タイミング情報から、パルス光が被検体102に照射可能か否かを判定する。判定方法は後述する。判定の結果、パルス光が被検体102に照射可能でないと判定された場合にはレーザ監視ユニット120は電源リレー121に指示を出し、レーザ照射を停止させる。また、警告表示灯122のLEDを点灯させ使用者にエラーを通知する。レーザ監視ユニット120の検出した結果に基づいて発光条件を制御する場合、レーザ監視ユニットとコントローラ106間で制御信号を送受信しても良い。
符号121は装置の外部電源と光源103の間に設置され、光源103への電源供給をオンオフするリレーである。通常時はリレー121の接点は短絡しており、光源103への電源供給はオンになっている。ただし、レーザ監視ユニット120においてレーザ光が被検体に照射可能でないと判定された場合には、リレー121の接点を開放し、光源103への電源供給をオフにすることができる。
符号122はレーザ監視ユニット120からの指示に基づいて、光源103の状態を使用者に通知するための警告表示灯である。光源の電源供給の有無、レーザ光の照射状況、
レーザ光の異常有無を通知する。例えば、警告表示灯122は、複数の異なる色のLEDを持ち、その組み合わせからレーザ電源供給の有無、レーザ照射状況、レーザ光の異常の有無を通知する。
符号123は被検体102の測定部位にパルス光を照射するための投光部であり、光路104および光路105に対応するファイバからの出射光をまとめ、所定の倍率で拡大し、照射光の密度および照射領域を調整するための光学系を有している。光源103からのパルス光は投光部123から被検体102に向けて照射される。投光部123は、パルス光を被検体102に所望の形状で照射するために、レンズ、拡散板等の光学系からなる導光手段を備えていてもよい。投光部123は、本発明の出射部に相当する。
符号124は被検体102からの光音響波を受信するための振動子を内部に備えた音響センサである。この振動子はPZTやCMUTなどの、受信素子とも呼ばれる超音波センサ素子である。受信素子は、光音響波を電気信号である光音響信号に変換する。受信素子は単一であってもよいし、複数の受信素子をリニア状やアレイ状に並べて配置していてもよい。複数の受信素子を備えることにより、測定時間の短縮や測定精度の向上、S/N比の向上などが実現できる。
符号125は投光部123および音響センサ124を水平平面上で2次元走査させるXYステージである。XYステージはモータの回転運動を直線運動に変換するボールねじなどのメカ機構を備えている。
符号126は駆動回路117に接続され、XYステージ125を駆動するためのモータである。X軸用とY軸用の2つのステッピングモータあるいはサーボモータで構成される。駆動回路からの指示に基づき投光部123と音響センサ124を被検体102上の撮影範囲全域にわたり走査させることにより広範囲の診断画像を得ることができる。
符号127はXYステージ125に取り付けられ、投光部123および音響センサ124の位置を測定するエンコーダである。エンコーダ127は、X軸用とY軸用の2つのリニアエンコーダで構成される。リニアエンコーダの出力信号は、A相、B相、Z相の3つのパルス信号であり、駆動回路117および受信回路116へ出力される。駆動回路117はエンコーダ127からの情報をステージの状態検知、モータ126の速度制御へのフィードバックに用いる。また、受信回路116は、エンコーダ127からのパルス信号をカウントし、投光部123、音響センサ124の位置を示す座標データを算出する。
(光音響撮影の動作フロー)
図2は使用者からの撮影開始指示があった時の光音響装置の動作フローを示す。予め使用者は被検体102をプローブユニット101の前面に固定し、被検体102と音響センサ123との間を音響マッチング材で満たしているものとする。
ステップS201において、コントローラ106は使用者が指定したレーザの照射パラメータをもとに、レーザの発光を開始させる。照射パラメータとしては、波長、繰り返し周波数、投入エネルギーがある。例えば、使用者が波長1064nm、繰り返し周波数1kHz、投入エネルギー100Aとする。この投入エネルギーは光源103の励起手段であるレーザダイオードへの電流値を表す。コントローラ106は光源103と通信し、照射パラメータに沿ってレーザ発光が開始される。この段階ではシャッタ111、112が閉じているため、レーザ光は被検体102には照射されていない。ただし、ビームスプリッタ107、ビームスプリッタ108および光量計109、光量計110まではレーザ光は届いているため、レーザ監視ユニット120によって、レーザ光量、繰り返し周波数が監視され、被検体102に照射可能か判定される。レーザ監視ユニット120は、被検体102に照射す
る前にパルス光を監視することにより、パラメータの設定ミスや光源103の故障などにより安全なレベルを超えるレーザ光が被検体102に照射されることを防止する。
ステップS202において、PC118内部のCPUは使用者がユーザインタフェース119を介して指定した設定情報を読み込み、内部のメモリへと記録する。設定情報としては、撮影範囲、撮影中心の位置、測定点間のピッチなどがある。測定点間のピッチとは被検体102上の光音響信号を取得する点の間隔であり、数10umから数100umの間で可変
であるものとする。ピッチを大きくすると撮影時間は短縮されるが、診断画像の解像度が劣化する。一方、ピッチを小さくすると撮影時間が長くなるが、診断画像の解像度が向上する。また、撮影範囲においても、大きくすると広範囲の画像が得られるが、撮影時間が長くなる。使用者は診断画像と撮影時間のトレードオフを考慮し、適切な設定情報を指定する。
続いてステップS203において、PC118内部のCPUは駆動回路117に指示を送り、モータ126を駆動する。駆動回路117はプローブユニット101内部の投光部123および音響センサ124をステップS202で指定された撮影中心の位置に移動させる。駆動回路117は、モータ126に指示を出し、S202で指定された撮影範囲をカバーするように投光部123および音響センサ124をラスター走査開始させる。
続いてステップS204において、PC118内部のCPUはシャッタ111およびシャッタ112に指示を送り、シャッタを開く。これによりステップS205において、1発のパルス光が被検体102に照射されるとともに、光ディテクタ115にも入射する。光ディテクタ115は、パルス光の入射を受け、光トリガ信号を受信回路116に出力する。また、被検体102内部から光音響波が発生し、音響センサ124によって受信され光音響信号が出力される。
続いてステップS206において、受信回路116は光ディテクタ115からの光トリガ信号をトリガとし、一定時間待機した後に音響センサ124からの光音響信号を一定時間サンプリングする。この待機時間は、音響センサ124から被検体102までの距離をマッチング材の音速で割った値よりも少なくなるように予め受信回路116内部のメモリに設定しておくものとする。また、サンプリング時間は被検体102の撮影範囲の厚みを音速で割った値以上になるようにする。受信回路116は光音響信号に対し、増幅、A/D変換、ノイズ除去処理、振動子の応答補正処理などの信号処理を行い、内部のメモリの第一の領域に保存する。
続いてステップS207において、受信回路116はエンコーダ127からのA相パルス、B相パルスをカウントし、パルス光を照射したタイミングでのプローブユニット101内部のXYステージ125の座標値を算出し内部メモリに保存する。
続いてステップS208において、レーザ監視ユニット120は光量計109および光量計110からパルス光量を取得する。そしてレーザ監視ユニット120は内部で算出した閾値と比較し、レーザの照射可否を判定する。また取得した光量データのうち、レーザ光が照射されているほうの光量計から読み出された、光量データと、発光タイミングを示す情報をPC118へ転送する。すなわち、光源103が波長532nmのパルス光を照射し
ている時は光量計109から読み出されたデータをPC118へ転送する。光源103が波長1064nmのパルス光を照射しているときは光量計110から読み出されたデータをPC118へ送信する。またパルスごとの照射可否判定結果もPC118へ送信する。PC118では、光量計から読み出された光量データ、発光タイミングを示す情報、パルスごとの照射可否判定結果を光音響信号データと合わせて内部のメモリに記録する。
上記のレーザ監視ユニットの処理において、光量計109および光量計110は、パルス光の光量を示す情報を取得する光量取得部や、パルス光が出射したタイミングを検出するタイミング検出部としての機能を有する。また、光量計と、レーザ監視ユニットの光量計を制御して電圧情報を取得する機能ブロックとを合わせて、光量取得部やタイミング検出部が構成されると考えても良い。
続いてステップS209にてPC118内部のCPUは、受信回路116および駆動回路117と通信し、被検体102の撮影範囲全体の走査が完了したか否かを判定する。完了した場合にはステップS210へ進む。完了していない場合にはステップS205へ戻り、駆動回路117は、投光部123および音響センサ124を次の測定箇所に移動させながら光音響信号の取得を続ける。
続いてステップS210にて、PC118内部のCPUはシャッタ111および112と通信し、シャッタを閉じる。これにより被検体102へのレーザ照射は終了する。また、コントローラ106は光源103に指示を出し、パルス光の発光を停止させる。
続いてステップS211において、PC118内部のGPUはステップS206、ステップS207、ステップS208で取得されたパルスごとの光音響信号データ、XYステージ125の座標データ、光量データから画像再構成処理を行う。これにより、被検体102の初期音圧分布、吸収係数分布が算出される。再構成アルゴリズムには例えばUBP(Universal back projection)法を用いる。光量データはパルス光量補正のために用いる。パルス光量補正処理は、光量のパルスごとのばらつきによる影響を軽減するために、光音響信号データに対し、光量に応じたパルスごとに異なる重みづけをしてからUBP法を行う処
理である。また、ステップS208で記録されたパルスごとの光量データ、発光タイミングを示す情報、照射可否判定結果に応じて再構成処理に使用するデータを選択してもよい。例えば、光量データが許容範囲内にある時の光音響信号データのみを使用して画像再構成処理を行ってもよい。これにより、光源103の出力が不安定な場合にも、十分な光量が被検体102に照射された時の光音響信号データのみを使用して撮影画像を作成するので、撮影画像のノイズを少なくすることができる。
ステップS212においてPC118内部のCPUは、ステップS209で算出した初期音圧分布、吸収係数分布を示す診断画像をユーザインタフェース119のディスプレイに表示させる。
なお、図2では一つの波長(1064nm)で撮影を行う例を示したが、続けて、コントローラ106を用いて波長を変更し、二つ目の波長(532nm)で撮影を行うこともできる。そし
て、第一の波長で得られた光音響信号データと、第二の波長で得られた光音響信号データから被検体102の内部の酸素飽和度分布を算出し、診断画像に重畳表示させることも可能である。また、1パルスごと、あるいは所定の数のパルスごとに互いに異なる波長の光を用いて光音響撮影を行うことも可能である。この場合、各波長の吸収係数分布に基づいて酸素飽和度分布を求めるときに、波長間での位置ずれを少なくすることができる。
(レーザ監視の動作フロー)
図3は光音響撮影において、レーザ監視ユニット120内部のマイクロプロセッサで実行されるレーザ監視動作を説明したフローチャートである。なお、動作開始時点で。レーザ監視ユニット120は電源リレー121の接点を短絡し光源103へ電源供給をオンにしているものとする。この段階で、レーザ監視ユニットは警告表示灯のLEDの一つを点灯し、使用者に光源の電源が供給されていることを通知する。使用者はこの状態でコントローラ106を用いてレーザの波長、周波数、投入エネルギーを設定する。
また、図4はレーザ監視ユニット120、光源103および光量計109、光量計110との間の信号のタイミングを示したタイミングチャートである。光路104に波長532nmのパルス光を発光させた場合の例を示す。以下に図3と図4(a)を参照してレーザ監視ユニット120の動作を説明する。
ステップS301においてレーザ監視ユニット120は光源103からの励起タイミング出力信号の波形から、レーザ媒質が励起されたタイミングを検出する(時刻t401)。励起されたことが検出されたら警告表示灯122のLEDの一つを点灯させ、使用者に光源103が励起中であることを通知する。
続いてステップS302においてレーザ監視ユニット120は光量計109および光量計110のリセット信号を解除し、光量計内部の積分コンデンサの放電をオフにする。これにより、光量計はパルスエネルギに応じた電荷を蓄える準備ができた状態になる。
続いてステップS303においてレーザ監視ユニット120は光源103からのQスイッチタイミング出力信号の波形から、レーザ光が発振されたタイミングを検出する(時刻t402)。発振が検出されたら、発振した時刻を内部メモリに記録する。また、Qスイッチ出力信号が変化したことを示すフラグを1にする。時刻t401から時刻t402の間の時間は100usから400usの間である。積分コンデンサの放電のオフにかかる時間は配線遅延等を含めても数100nsであり、時刻t401から時刻t402までの時間よりも十分に短い。発振から数100ns後に光源103からレーザ光が出射する(時刻t403)。そして警告表示灯122のLEDの一つを点灯させ、使用者にレーザ光が出射していることを通知し、ステップS304に進む。また、ステップS303において、十分な時間が経過してもQスイッチタイミング出力信号が変化しなかった場合にもステップS304に進む。本実施例では500us経過し
た場合には、Qスイッチ出力信号が変化したことを示すフラグを0にし、ステップS304に進む。
ステップS304においてレーザ監視ユニット120は光量計109と通信し、フォトダイオードに入射したパルス光のエネルギーに比例した電圧を取得し、内部メモリに保存する(時刻t404)。データの読み出しにかかる時間は数10usである。
続いてステップS305において、レーザ監視ユニット120は光量計109のリセット信号を立ち上げ、光量計内部の積分コンデンサを放電させる(時刻t405)。これにより光量計109の積分コンデンサに蓄積された電荷は放電され、次のパルス光による電荷を蓄積可能な状態になる。この放電にかかる時間は数10usである。
続いてステップS306において、レーザ監視ユニットは内部メモリに保存されたこれまでの発振タイミングおよび光量の記録から、ステップS304で取得されたパルス光量に対する閾値を算出する。光量計109と光量計110で波長が異なることと、光量計109、110での個体差およびビームスプリッタ107、108の個体差があるため、閾値は光量計109と光量計110では一般的に異なる値になる。また、ステップS303で記録した、Qスイッチ出力信号が変化したことを示すフラグの状態によっても異なる閾値を選択する。この閾値を算出する方法の詳細については後述する。
続いてステップS307において、ステップS306で得られた閾値とステップS304で取得された光量計の出力電圧を比較する。パルス光のエネルギーが閾値を上回った場合にはパルス光が被検体102に照射可能でないと判定し、ステップS308に進む。パルス光のエネルギーが閾値以下の場合にはパルス光は被検体102に照射可能であると判定し、ステップS309に進む。
ステップS308において、レーザ監視ユニット120は警告表示灯122の赤色のL
EDを点灯させ、使用者に異常を通知するとともに、電源リレー121の接点を開放させ、光源103への電源供給をオフする。これによりレーザ照射を強制的に停止させる。また、光源103へのインターロック入力を開放し、レーザ媒質への励起を強制的に停止させる。インターロックを使用するとレーザへの電源供給をオフするよりも短時間でレーザを停止することができる。レーザ監視ユニット120が異常を検知してから、実際に停止手段がレーザ光の被検体102への照射を停止するまでの時間を停止時間と呼ぶ。停止時間が短い場合には次のレーザ光の発光までにレーザ照射を停止できる。しかし、停止時間が長いリレーを用いた場合や、レーザ光の繰り返し周波数が高い場合には、レーザ監視ユニット120が異常を検知し、停止手段が実際に動作する前に、被検体102に数発のレーザ照射が行われる場合がある。その場合には閾値の安全率を大きくし、光源103の故障時も含めた最大光量で停止時間の間照射されても安全なようにする。
ステップS309では全ての光量計について閾値比較を完了したか否かを判定する。本実施例では波長に応じて2つの光路104、105が存在し、光量計も109、110と2つ存在している。それぞれの光路のレーザ光の確認が終了している場合にはステップS201に進み、次のレーザ光の励起タイミングまで待機する。一方、どちらか一方の光路のレーザ光の確認がまだ行われていない場合には、ステップS304に進み、まだ確認されていない光路に対応する光量計のデータ読み出しを行う。本実施例では光量計110のデータ読み出しを行う(時刻t407)。そして、データ読み出し後に光量計110の積分コンデンサのリセットを行う(時刻t408)。
図4の例では光路104に波長532nmの波長でパルス光を出射しており、光路105に1064nmのパルス光を出射していないので、光量計110の積分コンデンサの電荷はほぼゼ
ロである。逆に光路105に1064nmのパルス光を出射した場合には光量計110の積分コンデンサには光量に応じた電荷が蓄積される。本実施例において532nmの波長と1064nmの
波長を取り違えた場合を検出するために、2つの光量計109、110を用いて2つの光路104、105を両方ともパルスごとに監視する。
また、ステップS303でQスイッチタイミング出力信号が変化しない状態で一定時間経過した場合には、レーザ監視ユニット120はステップS304以降の処理を行い、光量計の値をチェックすることも好ましい。光源103には、複数回の励起を行った後に1回のQスイッチングを行う動作モードや、フリーラン発振というQスイッチングを行わずにレーザを発振させる動作モードがある。この場合の波形を図4(b)に示す。図4(b)の時刻t409において、Qスイッチ出力信号は変化していないが、励起タイミング出力信号から500us経過したことをもってレーザ監視ユニットは光量計109のデータ読み出し
を開始している。ステップS306での閾値比較の際には、ステップS303で記録したQスイッチ出力信号が変化したことを示すフラグを参照し、フラグによって異なる値を選択することもできる。
ステップS301からステップS309までのレーザ光の監視処理は、撮影準備段階から、被検体102へのレーザ照射中も含めて常に行われる。また、ステップS301からステップS309までのレーザ光の監視処理はパルスごとに行われる。そのためレーザの繰り返し発光周期以内にステップS301からステップS309までの処理を行う必要がある。例えば、レーザの繰り返し周波数が2kHzの場合には、時刻t401からt408までの処理を500us以内に行う必要がある。処理時間の短縮のために光量計109と光量計110の
データ読み出しを並列化してもよい。これによりレーザの繰り返し周波数をさらに高めることができる。また、t401からt408までの処理が終わる前に次のレーザの励起タイミング出力信号が立ち下がった場合には、レーザ監視ユニット120はエラーと判定し、レーザ照射を停止するとともに使用者にレーザの繰り返し周波数を下げるように通知する。
(閾値算出の前提)
ステップS306においてレーザ監視ユニット120で行う閾値算出処理について図5を用いて説明する。まず、閾値算出の前提について述べる。
被検体102の位置での波長532nmでの照射密度をD1とする。光量計109へ入射する
光量をPとする。このとき、入射光量PとD1の関係は比例関係にある。その比例係数は、ビームスプリッタ107の分岐比、ビームスプリッタ113の分岐比およびプローブユニット101への光ファイバの光伝送効率と、レーザビーム内の光分布によりあらかじめ求められる。本実施例ではPとD1の関係をあらかじめ測定しておく。
同様に、被検体102の位置での波長1064nmでの照射密度をD2とする。光量計110へ入射する光量をQとする。このとき、入射光量QとD2の関係についても、ビームスプリッタ108の分岐比、ビームスプリッタ114の分岐比およびプローブユニット101への光ファイバの光伝送効率とレーザビーム内の光分布によりあらかじめ求められる。本実施例ではQとD2の関係もあらかじめ測定しておく。
入射光量Pに対する光量計109からの出力電圧Vは比例関係にある。その比例係数は、フォトダイオードの波長532nmに対する感度と、積分コンデンサの容量によって決まる。
この比例係数もあらかじめ測定しておく。
同様に、入射光量Qに対する光量計110からの出力電圧Wは比例関係にある。その比例係数は、フォトダイオードの波長1064nmに対する感度と、積分コンデンサの容量によって決まる。この比例係数もあらかじめ測定しておく。
本実施例において、V = F1(D1)、W = F2(D2)とする。F1はあらかじめ測定された、光量計109からの出力電圧Vと被検体102の位置での波長532nmでの照射密度D1の関係を表す関数である。同様に、F2はあらかじめ測定された、光量計110からの出力電圧Wと被
検体102の位置での波長1064nmでの照射密度D2の関係を表す関数である。一般にはF(wavelength)と置いても良い。
ステップS306で取得する、光量計109からの出力電圧Vに対する閾値をTh1、光量計110からの出力電圧Wに対する閾値をTh2とする。一般にはTh(wavelength)と置いても良い。
n番目のパルス光に対する光量計109の出力電圧値を Vn とする。また、光量計10
9で観測されたn番目のパルス光の時刻を tn とする。そして、現在、N-1番目のパルス光まで照射された時点であり、ステップS306における算出の対象は、N番目のパルス光
に対する閾値であるとする。
また、MPE(wavelength)singleは、所定の波長に対する単一のパルスの最大許容露光量
である。MPE(wavelength)trailは、所定の波長に対するパルス列の平均露光に対する最大許容露光量である。
つまり、MPE532singleは、波長532nmに対する単一のパルスの最大許容露光量であり、
MPE532trailは、波長532nmに対するパルス列の平均露光に対する最大許容露光量であり、
MPE1064singleは、波長1064nmに対する単一のパルスの最大許容露光量であり、
MPE1064trailは、波長1064nmに対するパルス列の平均露光に対する最大許容露光量である。
ここで、JIS C 6802によれば、10秒未満の露光時間における最大許容露光量はエネルギー密度(J/m-2)で与えられるが、10秒以上の露光時間における最大許容露光量はパワ
ー密度(W/m-2)で与えられる。本実施例においてはパルス光のパルス幅は10nsであるため
、MPE532singleは200[J/m-2]である。一方、最大許容露光量は波長に依存しており、MPE1064singleは1000[J/m-2]である。また、MPE532trailは露光時間Tが10秒以上の場合には20
00[W/m-2]、MPE1064trail は10000[W/m-2]である。また露光時間Tが10秒未満の場合には
、MPE532trailは 11000T0.25 [J/m-2]である。MPE1064trailは 55000T0.25 [J/m-2]で表
される。
(閾値算出フロー)
ステップS501において、レーザ監視ユニット120内部のCPUは内部のメモリに保存された単一パルスに対する最大許容露光量を読み出す。そして、予め求められている被検体102への照射密度と光量計の出力電圧の関係から、単一パルスに対する光量計の閾値電圧を算出する。波長が532nmの場合の単一パルスに対する閾値電圧をTh532single、波長が1064nmの場合の単一パルスに対する閾値電圧をTh1064singleとすると、それらは以下の式で求められる。なお、Sは安全率であり、レーザ光のばらつきを考慮し0.7-0.9程
度の値が用いられる。つまり各波長における式は以下の通りである。
Th532single = F1(MPE532single) * S
Th1064single = F2(MPE1064single) * S
一般には、以下のように置いても良い。
Th(wavelength)single = F(wavelength)(MPE(wavelength)single) * S
なお、計算時間の短縮のため、Th532singleおよびTh1064singleを事前の校正により求
め内部メモリに保存しておき、ステップS501では内部メモリの値を読み出すだけにしてもよい。
続いてステップS502において、最初のパルスか否かを判定する。最初のパルスである場合にはステップS508に進む。最初のパルスでない場合にはステップS503に進む。なお、直前のパルスと今回のパルスの間に、最大許容露光量を求める上で考慮する必要がないほど十分な時間間隔が空いている場合は、考慮対象のパルスが最初のパルスであると判定しても良い。
ステップS503では、レーザ監視ユニット120内部のCPUは、内部メモリに保存された、一つ前のパルス光の発光時刻を読み出し、現在のパルス光の発光時刻との時間差
tn - tn-1 を求める。
続いてステップS504では、レーザ監視ユニット120内部のCPUは、内部メモリからパルス列の許容総露光量を読み出し、ステップS505に進む。
続いて、ステップS505において、ステップS504で求めたパルス列の総露光量とステップS504で求めた時間差からパルス列を考慮した閾値電圧を算出する。本実施例においては、許容総露光量に時間差との積により閾値を算出する。すなわち、パルス列に対する閾値電圧は以下のようになる。なお、ここでも、Sは安全率であり、レーザ光のばらつきを考慮し0.7-0.9程度の値が用いられる。
Th532trail = F1(MPE532trail * (tn - tn-1) * S
Th1064trail = F2(MPE1064trail * (tn - tn-1) * S
一般には、以下のように置いても良い。
Th(wavelength)trail = F(wavelength)(MPE(wavelength)trail) * S
このように時間差が小さい場合にはパルス列に対する閾値電圧は小さくなる。一方、時間差が大きい場合にはパルス列に対する閾値電圧が大きくなる。つまり、N-1番目のパル
ス光を第1のパルス光、N-1番目のパルス光の次のN番目のパルス光を第2のパルス光とすると、第1のパルス光と第2のパルス光の時間差が大きいほど、パルス列に対する閾値が大きくなる。
続いてステップS506において、単一パルスに対する閾値電圧と、パルス列に対する閾値電圧を比較する。単一パルスに対する閾値電圧のほうがパルス列に対する閾値電圧以上の場合にはステップS507に進む。単一パルスに対する閾値電圧がパルス列に対する
閾値電圧を下回る場合にはステップS508に進む。
ステップS507においては、パルス列に対する閾値電圧をステップS306で用いる閾値として出力し、閾値算出処理を終了する。ステップS508においては単一パルスに対する閾値電圧をステップS306で用いる閾値として出力し、閾値算出処理を終了する。
このように、実測されたパルス発光タイミングの時間差をもとに閾値を算出することで、撮影途中に光源103の状態の変化や使用者の誤操作などにより繰り返し周波数が変動した場合に、レーザ光量の監視用の閾値にその変動をリアルタイムに反映できる。そのため安全性を向上することができる。
図10は、レーザ停止前後の過渡状態の例を示したタイミングチャートである。横軸は時刻であり縦軸は光量である。符号1001はレーザ監視ユニット120が閾値算出処理で算出する閾値である。最大許容露光量に対しては安全率Sをかけた値である。符号1002は光源103が故障した場合の最大出力光量である。時刻t1003において光源103
が故障し、レーザ光が閾値より大きな値になったとする。レーザ監視ユニットがこれを検出し、時刻t1004に光源103を停止させる。時刻t1004と時刻t1003の間の時間1005が、
停止時間であり、レーザ監視ユニット120および電源リレー121の応答時間によるものである。停止時間1005と、最大出力光量1002を考慮して安全率を決める。すなわち、停止時間の間、最大出力光量にて照射が行われても、最大露光許容量を上回ることがないようにする。
なお、本実施例では光源103としてアクティブQスイッチで発振制御するレーザを用いて説明したが、レーザの種類はこれに限らない。例えばパッシブQスイッチレーザのように、外部から発振タイミングを制御できないレーザを用いてもよい。この場合には、レーザ監視ユニットは光源103からのQスイッチ出力信号ではなく、光ディテクタ115あるいは光量計109、110のフォトダイオードの電流を用いて発振タイミングを検出する。パッシブQスイッチレーザでは、発振タイミングのばらつきが大きいので、本実施例による発光タイミングの履歴に応じた光量監視の効果はアクティブQスイッチレーザの場合よりも大きくなる。
また、本実施例ではパルス列に対する閾値電圧を算出する際に、一つ前のパルス光の発光タイミングと現在のパルス光の発光タイミングとの時間差を用いて算出したが、より多くのパルス光の発光タイミングを用いてもよい。例えば3つ以上のパルス光の時間差の平均値を用いてもよい。この場合、3つ以上のパルス光を含むパルス列から隣接するパルスの組をすべて取得し、各組におけるパルス光の間の時間差を取得し、平均値を算出しても良い。これにより、発光タイミングがばらついた場合に閾値のばらつきを小さくすることができる。
また、本実施例では、レーザのコントローラ106とそれ以外を制御するPC118が分かれている光音響装置の例を用いて説明したが、本発明のレーザ制御装置のコントローラの構成はこれに限らない。例えば、PC118がコントローラ106の機能を兼ねていてもよい。
また、本実施例では1つの超音波振動子をもつ音響センサ124と投光部123を被検体102上で二次元走査させる光音響装置の例を用いて説明したが、走査の方法はこれに限らない。例えば音響センサ124として1列分の振動子アレイをもつラインセンサを用い、それを被検体上で一次元走査してもよい。このようにすることで、プローブユニット内部のXYステージ125、モータ126、エンコーダ127の機構を簡略化し、サイズ
を小さくすることができる。
また、本実施例では光量計109および光量計110のリセット信号は、光量データを読み出した後に次のパルスの励起タイミング出力信号が入力されるまではオンされている例を用いて説明した。しかし、光量計109および光量計110のリセット信号は光量データを読み出した後、一定時間後にオフしてもよい。これにより、監視されていない期間を少なくすることができる。
また、本実施例において閾値を上回る光量が観測された場合には、ステップS308において、レーザ監視ユニット120は光源103の電源を停止させるエラー処理を行ったが、エラー処理の内容はこれに限らない。例えば、レーザ監視ユニット120とシャッタ111、シャッタ112を接続し、光源103の電源を停止させる代わりにシャッタ111、112を閉じるようにしてもよい。レーザ監視ユニット120が光源103に指示を出し、励起源への投入エネルギーを制限することでパルス光量を制限し、撮影を継続してもよい。これにより、撮影中止になる可能性を少なくし、可用性の高い光音響装置を実現することができる。
また、本実施例において閾値は上限の閾値のみを用いて説明したが、光量の下限値の閾値も追加で設けてもよい。例えば、ステップS307において光量が上限の閾値と下限の閾値の間にある場合にはステップS309に進み、それ以外の場合にはステップS308に進むようにしてもよい。これにより、光量が設計範囲内にない場合にはエラーとすることができる。下限値の値は、例えば上限閾値の50%とする。
また、本実施例において、レーザ監視ユニット120は光量と発光タイミングの監視行ったが、システムの他のエラーを監視する機能を兼ねてもよい。例えば、レーザ監視ユニット120はエンコーダ127の状態を監視し、XYステージ125が撮影中に異常停止した場合には光源103を停止させてもよい。XYステージ125が異常停止すると、被検体102上の同じ位置に繰り返し、パルス光が照射されるおそれがあるが、レーザ監視ユニットでエンコーダ127の状態を監視することで、そのような状況を防ぎ、安全性を高めることができる。
また、本実施例ではレーザ監視ユニット120がすべてのパルス光を監視する例を用いて説明したが、メンテナンスや校正用にパルス光の監視を無効化するモードを設けてもよい。例えばPC118からメンテナンス担当者がレーザ監視ユニットの監視を無効化すると、レーザ監視ユニット120はステップS307の比較結果によらずステップS309に進むようにする。これにより、メンテナンスや校正時に通常よりも高い光量でパルス光を照射させることもできる。なお、被検体を撮影するときに監視が無効化されないようにする必要がある。例えば、無効化は定められたメンテナンス担当者しかできないようにパスワードで保護することが好ましい。
また、本実施例では、レーザ監視ユニット120において、図4(a)のようにQスイッチ出力信号が観測された場合と図4(b)のようにQスイッチ信号が観測されない場合で同じ閾値を算出する例を用いて説明した。しかし、Qスイッチ出力信号が観測された場合と図4(b)のようにQスイッチ信号が観測されない場合で閾値を変えてもよい。例えば、図4(b)で光が観測されるのは異常と判断し、以上の早期発見のために閾値を図4(a)より低く(例えば1/10程度に)してもよい。
以上説明してきたように本実施例では、光源と独立したレーザ監視ユニットを設け、レーザ監視ユニットはパルス光の発光タイミングおよび光量を監視する。その際に過去の発光タイミングの履歴に応じて光量の閾値を動的に算出する。これにより撮影中に誤動作や
内部状態の変動により想定より繰り返し周波数が短くなった場合にも、安全に装置を停止させることができる。
<実施例2>
続いて本発明の実施例2について説明する。本実施例が実施例1と異なる点は、過去の光量の履歴に基づいて、パルス光源の発光可否を判断するものである。
本実施例におけるブロック構成図および動作フローは、それぞれ、図1、図2、図3で示した実施例1のものと同じであるため、説明を簡略化する。
本実施例においてレーザ監視ユニット120が行う閾値算出処理について、図6を用いて説明する。現在、N-1番目のパルス光まで照射された時点であり、算出の対象は、N番目のパルス光に対する閾値であるとする。
ステップS601、ステップS602、ステップS606からS608は本発明の第一実施例のステップS501、ステップS502、ステップS506からS508と同じであるため説明を省略する。
ステップS603では、レーザ監視ユニット120内部のCPUは、内部メモリに保存された、1発目からn-1発目までの光量計の電圧の総露光量を求める。総露光量は、1発
目からn-1発目までの光量計の出力電圧データの総和で求められる。
ここで取得された、n-1発目までの総露光量はメモリに保存しておき、n発目までの総露光量を求めるときに使用する。すなわち、メモリに保存されたn-1発目までの総露光量にn発目の露光量を加算し、n発目までの露光量を計算する。過去の光量の履歴を保存するメ
モリはリングバッファになっており、メモリがいっぱいになった場合には、最も古いデータから順に上書きされていくものとする。このメモリは少なくとも10秒以上に相当する光量データを保存可能な容量を備えるものとする。
続いて、ステップS604にて露光時間Tの間の許容総露光量を求める。パルス列に対
する皮膚の最大許容露光量はJIS C6802より以下の式を用いる。
波長400nm-700nm、露光時間が10秒以上の場合には、2000[W・m-2]
波長700nm-1400nm、露光時間が10秒以上の場合には、2000C4[W・m-2]
波長400nm-700nm、露光時間が10秒未満の場合には、11000T0.25[J・m-2]
波長700nm-1400nm、露光時間が10秒未満の場合には、11000C4T0.25[J・m-2]
ただし、C4は波長λによって変わる係数であり、 C4=100.002(λ-700) で与えられる。
図7において、横軸は露光時間であり、縦軸は許容総露光量 [J・m-2] である。本実施例において最大許容総露光量に安全率Sを掛け、エネルギー密度で表すと図7の符号701のように表される。符号701を許容露光量と呼ぶ。許容露光量は、露光時間100ns以
下では単パルスの許容露光エネルギーと同じである。一方、露光時間10秒以上では、露光時間に比例して増加する。
総露光量は図7の符号702のようになる。総露光量702は、パルス光が発光するたびに加算されていくグラフになる。本実施例のレーザ監視ユニット120は、総露光量702が、許容総露光量701のグラフを上回らないように、パルス光の光量および発光タイミングを監視する。
ステップS603で求めた1発目からn-1発目までの総露光量は、図7の符号703で表される。また、ステップS604で求めた時刻tnでの許容総露光量は、図7の符号704で表される。続いてステップS605にて時刻tnでの許容総露光量から、1発目からn-1発目までの総露光量を減算し、パルス列の閾値を求める。パルス列の閾値は図7において、704と703の差分値である。
以上説明してきたように、本実施例においては、過去の光量の履歴に基づいて、パルス光源の発光可否を判断する。これにより、パルス光量や発光タイミングのばらつきがある場合に、パルス列全体で許容露光量を上回ったか否かで発光可否を判定することができる。パルス列の中で比較的光量が大きなパルスと、比較的光量の小さなパルスの光量が平均化されるため、閾値に対するマージンを小さくできる。
なお、本実施例では光量の履歴から総露光量を求め、それが許容総露光量以下であるようにレーザ監視ユニット120で監視を行ったが、総露光量を露光時間で割った平均露光量をもとに監視を行ってもよい。その場合は光量の履歴と発光タイミングの履歴から平均露光量を求め、平均露光量が許容平均露光量以下であるように監視する。なお、レーザ監視ユニット内部のメモリに制限がある場合、一定期間の移動平均を平均露光量とする。例えば、レーザ監視ユニット120は内部のリングバッファに10秒間の間の光量の履歴を記録しておき、直近10秒間の平均露光量を閾値比較してもよい。平均露光量を管理することにより、管理する中間データの値を小さくすることができ、レーザ監視ユニット120のプログラム実装を容易にすることができる。
<実施例3>
続いて実施例3について説明する。本実施例が実施例1および2と異なる点は、レーザ監視ユニット内部のCPUは、光量の履歴に応じて、許容露光量に対する余裕度を求め、それに応じて光源の出射光を制限する点である。
本実施例のレーザ監視ユニットは、光量の閾値として、第1の閾値と、第1の閾値より小さい第2の閾値を設け、光量が第1の閾値を上回った場合には、レーザ発光を停止させ、撮影を強制終了させる。一方、光量が第1の閾値以下で、かつ第2の閾値を上回った場合には、レーザ監視ユニットはレーザの光量を制限し、撮影を継続させる。光量が第2の閾値を下回った場合には、そのままの条件で撮影を継続させる。
図9において、横軸は露光時間であり、縦軸は許容総露光量 [J・m-2] である。本実施例において第1の閾値に対応する許容総露光量をエネルギーで表すと、図9の符号901のようになる。露光時間100ns以下では、単パルスの許容露光エネルギーと同じである。
露光時間10秒以上では、露光時間に比例して増加する。第2の閾値に対応する許容露光量をエネルギーで表すと、図9の符号902のようになる。
一方、総露光量は図9の符号903のようになり、パルス光が発光するたびに加算されていくグラフになる。
本実施例のレーザ監視ユニット120は、総露光量903が、許容総露光量901(第1の許容総露光量)のグラフを上回らないように(第1の許容総露光量以下となるように)、パルス光の光量および発光タイミングを監視し、光源103の制御を行う。すなわち、総露光量903が、第2の閾値に対応する許容総露光量902(第2の許容総露光量)を上回ったところで、光源103の励起用レーザダイオードへの電流値を少なくし、総露光量の上昇を抑える(t904)。これは単純に励起手段への投入エネルギーを通常時よりも少ないあらかじめ決められた値に切り替える処理でもよいし、総露光量903から第二の閾値の対応する許容総露光量902の差分を求め、差分値の大きさによって投入エネルギーを制御してもよい。このような制御により総露光量の上昇が緩やかになり、総露光量903が許容総露光量902を下回るようになる。
総露光量903が許容総露光量902を十分下回った場合には投入エネルギーを元に戻す。これにより、光源103の内部の状態変化により、一度パルス光量が増えたのちにパルス光量が減少するような変動が生じた場合にも、必要以上に光量を下げなくて済む。
一方、光源103の内部状態が急変し、総露光量903が第1の閾値に対応する許容総露光量901を上回った場合には、ただちに被検体102へのレーザ照射を停止させる(t
905)。
本実施例におけるブロック構成図および動作フローは、それぞれ、図1、図2で示した実施例1と同じであるため説明を簡略化する。
図8に本実施例のレーザ監視ユニットの動作を示す。ステップS801からステップS806およびステップS808、ステップS809は、図3のステップS301からステップS306、およびステップS308、ステップS309と同じであるため、説明を省略する。ステップS807において、ステップS806で算出された第1の閾値とステップS804で取得された光量計の出力電圧を比較する。光量計の出力電圧が第1の閾値を上回った場合にはパルス光が被検体102に照射可能なレベルを超えていると判断し、ステップS808に進む。パルス光のエネルギーが第1の閾値以下の場合にはパルス光は被検体102に照射可能なレベルであると判断し、ステップS810に進む。
ステップS810において、第1の閾値に安全率S1を掛けた第2の閾値とステップS804で取得された光量計の出力電圧を比較する。S1は本実施例では0.8とする。パルス光のエネルギーが第2の閾値を上回った場合にはパルス光は被検体102に照射可能なレベルであるが、最大許容露光量に対する余裕は少ないと判定し、ステップS811に進む。パルス光のエネルギーが第2の閾値以下の場合には、パルス光は被検体102に照射可能なレベルであり、最大許容露光量に対する余裕が十分あると判定し、ステップS812に進む。
ステップS811において、レーザ監視ユニット120は光源103からの出射光量を制限する。具体的な方法は光源103の種類によるが、一例としては光源103の励起用のレーザダイオードへの電流値を制限する。その際に総露光量の、許容総露光量に対する余裕度に応じて、制限後の電流値を調整することが好ましい。例えば、通常時の電流値が100Aであり、総露光量が第2の閾値に対応する許容露光量の105%である場合には、90Aと
する。総露光量が第2の閾値に対応する許容露光量の110%である場合には、さらに電流値を少なくし、80Aとする。
ステップS812において、許容総露光量に対し、総露光量が十分に小さい場合でかつ、レーザダイオードの電流値が制限されている場合には、レーザ監視ユニット120は光源から103からの出射光量の制限を解除する。すなわち、総露光量が第2の閾値に対応する許容露光量の80%以下になった場合には出射光量の制限を解除し、レーザダイオード
の電流値を100Aに戻し、ステップS809に進む。
図11はレーザ光量制限前後の過渡状態の例を示したタイミングチャートである。横軸は時刻であり縦軸は光量である。符号1101はレーザ監視ユニット120が閾値算出処理で算出する第2の閾値である。符号1102は光源103が故障した場合の最大出力光量である。時刻t1103において光源103が故障し、レーザ光が閾値より大きな値になっ
たとする。レーザ監視ユニットがこれを検出し、時刻t1104に光源103の励起エネルギ
ーを制限する。制限された後の光量の目標値は符号1108である。時刻t1103と時刻t1104の間の時間1105が、励起エネルギーの制限にかかる応答時間であり、レーザ監視ユニット120および光源103内部の電源回路の応答時間によって定まるものである。
応答時間1105と、最大出力光量1102を考慮して安全率を決める。すなわち、応答時間の間、最大出力光量にて照射が行われても、最大露光許容量を上回ることがないようにする。また、目標値1108は応答時間とそれまでの総露光量を考慮して決める。このとき、応答時間経過後に目標値1108にてレーザを照射しても最大露光許容量を上回ることがないようにする。時刻t1106にレーザ監視ユニットは励起エネルギーの制限を解
除し、時刻t1107において、光量が通常時の水準に戻る。
以上説明してきたように、本実施例によれば、総露光量が第1の許容露光量を上回る前に、第2の許容露光量を上回った時点で光源103への投入エネルギーを制限する。これにより、撮影を停止させなければいけない状況を未然に防ぎ、可用性の高い光音響装置を提供することが可能である。
なお、本実施例では、総露光量が第2の許容露光量を上回った場合に励起手段への投入エネルギーを制限する例を用いて説明したが、露光量の制限方法はこれに限らない。例えば、繰り返し周波数を低くする方法や、光路上に光学フィルタ部材を追加し、直接レーザの光量を制限する方法でもよい。また、波長を1064nmに制限し最大許容露光量に対する余裕度を大きくしてもよい。
上記各実施例において、様々な数値条件は一例であり、本発明の適用対象をこれらに限定する趣旨ではない。例えば発光波長、投入エネルギー、時間やタイミング、音響波受信に関する制御条件などは、本発明の制御を実現可能であればどのような値でも採用し得る。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
103:光源,109、110:光量計,115:光ディテクタ,120:レーザ監視ユニット,123:投光部

Claims (13)

  1. パルス光を出射部から出射する光源装置を制御する制御装置であって、
    光量取得部と、
    前記パルス光を、前記出射部および前記光量取得部に伝送する光伝送部と、
    前記パルス光が出射したタイミングを検出するタイミング検出部と、
    前記光量取得部が取得した光量を示す情報および前記タイミングの履歴に基づいて、前記パルス光の発光条件を制御する制御部と、
    を有することを特徴とする制御装置。
  2. 前記制御部は、前記パルス光の光量、波長、および出射のタイミングの少なくともいずれかを前記発光条件として制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記制御部は、前記光量取得部が取得した前記光量を示す情報と閾値との比較に基づいて、前記発光条件を制御する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
  4. 前記制御部は、前記タイミング検出部が取得した前記タイミングと、前記光量取得部が取得した前記光量を示す情報に応じて前記閾値を決定する
    ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
  5. 前記制御部は、前記出射部から第1のパルス光と、前記第1のパルス光の次の第2のパルス光とが出射されるときに、前記第1のパルス光と前記第2のパルス光の時間差が大きいほど前記閾値が大きくなるように、前記閾値を決定する
    ことを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
  6. 前記制御部は、前記出射部から複数のパルス光を含むパルス列が出射されるときに、隣接する前記パルス光の間の時間差の平均値を取得し、前記平均値が大きいほど前記閾値が大きくなるように、前記閾値を決定する
    ことを特徴とする請求項4または5に記載の制御装置。
  7. 前記光源装置は、互いに異なる複数の波長のパルス光を出射できるものであり、
    前記制御部は、前記パルス光の波長ごとに前記閾値を決定する
    ことを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の制御装置。
  8. 前記制御部は、前記光量取得部が取得した前記光量を示す情報が前記閾値を上回る場合、前記閾値を上回る場合のパルス光に引き続いて出射されるパルス光の光量を下げるように制御を行う
    ことを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項に記載の制御装置。
  9. 前記制御部は、前記光量取得部が取得した前記光量を示す情報が前記閾値を上回る場合、前記閾値を上回る場合のパルス光に引き続くパルス光の前記出射部からの出射を停止させる
    ことを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項に記載の制御装置。
  10. 前記制御部は、前記タイミング検出部が取得した前記タイミングの履歴と、それぞれの前記タイミングにおいて前記光量取得部が取得した前記光量を示す情報とに基づいて、前記発光条件を制御する
    ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の制御装置。
  11. 前記制御部は、
    所定の露光時間において前記出射部から複数のパルス光が出射されるときに、前記複数のパルス光のそれぞれに関して前記光量取得部が取得した前記光量を示す情報に基づいて、前記露光時間における光量の総和を取得し、
    前記複数のパルス光が照射される被検体の最大許容露光量に基づいて、前記露光時間における許容総露光量を取得し、
    前記光量の総和が前記許容総露光量以下となるように前記発光条件を制御する
    ことを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
  12. 前記制御部は、
    前記露光時間における前記許容総露光量に関して、第1の許容総露光量と、前記第1の許容総露光量よりも低い第2の許容総露光量を取得し、
    前記露光時間における前記光量の総和が前記第1の許容総露光量を上回る場合は前記パルス光の出射を停止し、前記露光時間における前記光量の総和が前記第1の許容総露光量以下でありかつ前記第2の許容総露光量を上回る場合は前記パルス光の光量を下げるように制御を行う
    ことを特徴とする請求項11に記載の制御装置。
  13. 前記光源装置と、
    前記光源装置から出射したパルス光が被検体に照射されて発生する音響波を受信する音響センサと、
    前記音響波に基づいて前記被検体の情報を取得する情報処理装置と、
    請求項1ないし12のいずれか1項に記載の制御装置と、
    を有することを特徴とする被検体情報取得装置。
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