JP2020023795A - アスファルトの再生方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アスファルトの再生方法において、再生添加剤を用いることなくアスファルトの再生を可能とする。【解決手段】アスファルトの再生方法であって、劣化したアスファルトを水Wに浸漬する浸漬工程と、水Wが亜臨界状態となるように設定された目標温度に水Wを加熱してアスファルトを還元処理する加熱工程と、加熱されたアスファルトを冷却する冷却工程とを有する。【選択図】図28

Description

本発明は、アスファルトの再生方法に関するものである。
周知のように、道路等に用いられる舗装用資材にはアスファルトが含有されている。例えば、特許文献1に開示されているように、道路から舗装用資材が剥離されることによって発生したアスファルト舗装発生材(以下、発生材と称する)は、骨材等と分離されて再生利用されている。
ところで舗装用資材に含まれるアスファルトは、長期間の使用等に起因して劣化する。発生材を利活用する場合には、劣化したアスファルトを再生させる必要があり、従来は軽質油等の再生添加剤を用いて劣化したアスファルトを再生している。
特開2009−275466号公報
しかしながら、再生添加剤を用いたアスファルトの再生方法では、再生添加剤を準備する必要があると共に、アスファルトの延性が十分に回復されないことや繰り返し再生に伴ってアスファルトの質が低下することが確認されている。このため、再生添加剤を用いない新たなアスファルトの再生方法の開発が望まれている。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、アスファルトの再生方法において、再生添加剤を用いることなくアスファルトの再生を可能とすることを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
第1の発明は、アスファルトの再生方法であって、劣化したアスファルトを水に浸漬する浸漬工程と、上記水が亜臨界状態となるように設定された目標温度に上記水を加熱して上記アスファルトを還元処理する加熱工程と、加熱された上記アスファルトを冷却する冷却工程とを有するという構成を採用する。
第2の発明は、上記第1の発明において、劣化した上記アスファルトが、粒状体の表面に被膜形成されているという構成を採用する。
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記冷却工程では、上記水が貯留された容器内上部を冷却材によって強制的に冷却するという構成を採用する。
第4の発明は、上記第1または第2の発明において、上記冷却工程では、上記水が貯留された容器を自然冷却により均一に冷却するという構成を採用する。
第5の発明は、上記第1〜第4いずれかの発明において、上記目標温度が200℃以上であるという構成を採用する。
第6の発明は、上記第5の発明において、上記目標温度が300℃よりも高いという構成を採用する。
第7の発明は、上記第1〜第6いずれかの発明において、上記加熱工程にて、上記目標温度での保温期間が15分以下とされているという構成を採用する。
第8の発明は、上記第1〜第7いずれかの発明において、上記加熱工程における上記目標温度が350℃であり、目標温度での保温期間が15分以下であるという構成を採用する。
本発明によれば、劣化したアスファルトが浸漬された水を亜臨界状態となるまで加熱することによってアスファルトを還元処理する。このため、再生添加剤を用いなくてもアスファルトを再生することが可能となる。
本発明の一実施形態におけるアスファルトの再生方法に関する実験の手順を示す図である。 本発明の一実施形態におけるアスファルトの再生方法に関する実験で用いた装置の概要を示す図である。 長期供用した発生材から熱水すりもみ法により分別回収した旧アスファルト含有微粒分の性状を示す図である。 促進劣化の手順を示す図である。 劣化前のアスファルトの性状を示す図である。 ゲル浸透クロマトグラフィー法の測定条件を示す図である。 再生用添加剤の性状を示す図である。 350℃の反応後に自然冷却した旧アスファルトの構成成分比率を示す図である。 350℃の反応後に水冷した旧アスファルトの構成成分比率を示す図である。 反応温度による分子量分布の変化を示す図である。 反応温度によるカルボニル・インデックスを示す図である。 反応温度による構成成分比率の変化を示す図である。 反応温度による物理性状に関する試験結果を示す図である。 250℃での反応時間による分子量分布の変化を示す図である。 350℃での反応時間による分子量分布の変化を示す図である。 250℃での反応時間によるカルボニル・インデックスを示す図である。 350℃での反応時間によるカルボニル・インデックスを示す図である。 250℃での反応時間による構成成分比率の変化を示す図である。 350℃での反応時間による構成成分比率の変化を示す図である。 250℃での反応時間による物理性状に関する試験結果を示す図である。 350℃での反応時間による物理性状に関する試験結果を示す図である。 水熱分解法による回復及び繰り返し劣化後の分子量分布を示す図である。 水熱分解法による回復及び繰り返し劣化後の構成成分比率を示す図である。 水熱分解法による回復及び繰り返し劣化後のコロイダル・インデックスを示す図である。 再生用添加剤による回復及び繰り返し劣化後の分子量分布を示す図である。 再生用添加剤による回復及び繰り返し劣化後の構成成分比率を示す図である。 再生用添加剤による回復及び繰り返し劣化後のコロイダル・インデックスを示す図である。 本発明の一実施形態におけるアスファルトの再生方法を説明するための模式的な説明図である。 本発明の一実施形態におけるアスファルトの再生方法におけるアスファルト含有体の模式的な断面図である。
以下、図面を参照して、本発明に係るアスファルトの再生方法の一実施形態について説明する。
まず、本実施形態のアスファルトの再生方法を説明するために行った実験について説明する。本実験では、高温高圧水の溶媒特性、具体的には、「比誘電率が温度上昇に伴い低下する」こと、「イオン積が温度上昇に伴い増加する」ことに着目し、水を用いたアスファルトの再生を試みた。その結果、水熱分解法によって旧アスファルト(発生材に含まれているアスファルト)が低分子化、さらには酸化還元され、化学性状、物理性状とも概ね素材状態に復元される可能性を確認した。
[実験概要]
(1)高温高圧水の溶媒特性と水熱分解法
水は、温度や圧力に関係した分子間相互作用と運動エネルギーの兼ね合いからのように状態が変化し、気液共存線の終点である臨界点を超えると気液界面のない流体となって常温の水とは全く異なる特性を発揮する。
高温高圧水の溶媒特性は、比誘電率とイオン積を指標として理解することができる。
周知のとおり、常温の水は極性の小さな物質(アスファルトを含む多くの有機物)をほとんど溶解しない、いわゆる「水と油の状態」を示す。ところが、温度上昇とともに比誘電率は徐々に減少し、臨界温度近辺では有機溶媒と匹敵する値となり、アスファルトなど極性の小さな物質を溶解することが可能となる。なお、有機物質と反応後の高温高圧水は、冷却とともに再び貧溶媒化するため相分離して容易に回収される。
一方、イオン積は300℃くらいまで徐々に増加し、臨界温度を境に急激に減少する。それにより、常温では10〜14のイオン積が、亜臨界域内では10〜11程度まで増大し、水自体が強酸・強アルカリの性質を有して、無触媒で加水分解が進行すると考えられる。本実験では、誘電率を極力小さくでき、さらには加水分解が期待できる「臨界点に近い温度の亜臨界状態」を用いている。
また、本実験では、200〜350℃の水熱分解法に関して、冷却方法が反応後の試料に及ぼす影響、反応温度と反応時間が回復効果に及ぼす影響、従来方法と比較した回復効果の特徴を確認した。
(2)冷却方法が反応後の試料に及ぼす影響
水熱分解法の実験手順を図1、装置の概要を図2に示す。いずれも亜臨界水法と同様であるが、抽出試験を目的とした検討では、反応後の試料を厳密に回収する必要がある。そこで、水冷管を用いて容器内上部を急冷(以下、水冷)し、アスファルトを膜状に固化して分離した。ここでは、「冷却方法が性状に影響を及ぼすか否か」に着目し、250℃、350℃で各々15分間反応後、放冷(自然冷却)または水冷による試料を回収し、状態と組成を確認した。
供試体には、分別再材料化技術への応用を考慮して、長期供用した発生材から熱水すりもみ法により分別回収した旧アスファルト含有微粒分(以下、SR1−0)を使用した。
SR1−0の性状を図3に示す。
反応前後の試料から回収(JPI−5S−31−1998)したアスファルトを用いて組成分析を実施、薄膜クロマトグラフ法(以下、TLC/FID法)(JPI−5S−70−2010)により構成成分比率を測定した。
(3)反応温度と反応時間が回復効果に及ぼす影響
高温高圧水の溶媒特性は、主に反応温度に依存する。ここでは、反応温度と反応時間が旧アスファルトの性状回復に及ぼす影響を確認するため、200℃、250℃、300℃、350℃で各々15分間反応後と、250℃、350℃で各々0分間、15分間、45分間反応後の試料で、以下化学性状及び物理性状を試験した。なお、水熱分解法による実験の手順と条件は、図1の通りである。
供試体には、抽出及び回収やフィラー混入による測定結果への影響を避けるため、回転式薄膜加熱試験(RTFOT)、ならびに加圧劣化試験(PAV)により針入度が20となるよう促進劣化したアスファルト(以下、AGI)を使用した。促進劣化の手順を図4に、劣化前のアスファルト(以下、ORG)の性状を図5に示す。
(a)化学性状
反応条件がアスファルトの化学性状に及ぼす影響を分子量分布、赤外吸光度、組成分析より確認した。
分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPC法)により相対的な分布の変化を評価した。GPC法の測定条件を図6に示す。
赤外吸光度は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)を用いた全反射測定法(以下、ATR 法)により測定した。ここでは、酸化劣化に伴う酸素含有官能基(カルボニル基)の増加に着目し、下式(1)からカルボニル・インデックス(以下、CI)を求めて評価した。
Figure 2020023795
ここに、I1、I2は、それぞれ1700cm−1付近と1600cm−1付近におけるピークスペクトルの透過率、Io1、Io2は、それぞれ上記波数に対応するバックグランドの透過率である。
CIは、劣化に影響しない1600cm−1付近(C=C 結合)のピーク高さと、劣化により増加する1700cm−1付近(C=O結合)のピーク高さとの比であり、酸化劣化の度合いを表す指標となる。なお、ピーク高さを算出するベースラインは、吸光度スペクトルの変曲点に設定した。
組成分析は、前述のTLC/FID 法により実施した。
(b)物理性状
反応条件がアスファルトの化学性状に及ぼす影響を針入度、軟化点、PI(針入度指数)、伸度(15℃)より確認した。なお、各試験は、舗装調査・試験法便覧(JIS K2207)に準拠した。また、下式(2)から針入度指数(以下、PI)を算出した。
Figure 2020023795
ここに、Pは針入度、SPは軟化点であり、Aは感温性を表す。
(4)従来方法と比較した回復効果の特徴
水熱分解法による回復効果の特徴を把握するため、前述と同様のAGIを用いて水熱分解法により回復したアスファルト(以下、回復アスファルト)と再生用添加剤により針入度を回復した再生アスファルトの性状を比較した。ここでは、各アスファルトに図4の手順で促進劣化を繰り返し、分子量分布と構成成分比率の変化から耐劣化性を合わせて確認した。なお、水熱分解法は、前述の評価から回復効果が認められた反応条件(350℃、15分間)により図1の手順で実施した。再生用添加剤の性状を図7に示す。AGIに対する再生用添加剤の添加量は、回復アスファルトの針入度と同等となるよう10.03%とした。
分子量分布と構成成分比の測定は、前述と同様であり、ここでは、下式(3)よりコロイダル・インデックス(以下、Ic)を求め、アスファルテンの解膠性と合わせて検討した。
Figure 2020023795
Icは、数値が高いとアスファルテンが凝析しやすい傾向を示す。
[実験結果]
(1)冷却方法が反応後の試料状態に及ぼす影響
350℃の反応後の旧アスファルトの構成成分比率を冷却方法別に図8、図9に示す。以降の凡例は、各反応温度に括弧書きで反応時間を付し、図8、図9には、反応前のSR1−0が含有する旧アスファルトの測定値をSR1−0として併記している。また、ここでは、各条件下における反応の均一性を確認するため、反応後試料を上部と下部に区別して採取及び分析し、上部の試料にU、下部の試料にLを付して結果を示すと共に、上下の平均値を併記した。
水冷による350℃の反応後試料は、旧アスファルトの一部が膜状となり、微粒分から45wt%程度が分離した。このため、膜状のアスファルト(以下、350(15)Film)を回収し、反応後試料の一部として構成成分比率を確認した。なお、その他の温度及び冷却方法による反応後試料に、反応前後での大きな違いは見られなかった。
SR1−0と比較すると、放冷による250(15)は、アスファルテン分が0.6%減少し、芳香族分が4.1%減少し、レジン分が3.6%増加した。350(15)では、アスファルテン分が3.9%減少し、レジン分が5.2%減少し、芳香族分が10.1%増加した。
一方、水冷による250(15)、350(15)は、いずれもアスファルテン分が4.0%程度減少し、レジン分が4.0〜6.7%減少し、芳香族分が8.5〜11.9%増加した。ただし、水冷による350℃の試料に生じた350(15)Film には、劣化した場合と同傾向の組成変化が見られ、高温高圧下の薄膜状体で酸化が進行したと考える。なお、いずれの冷却方法とも上下の試料状態および組成に大きな差異は見られなかった。
水冷では、旧アスファルトの一部が分離かつ膜状となり、劣化が進行することを踏まえると、性状回復の検討では放冷が適当と考えられる。よって、以降の検討では、放冷により実験を行った。
(2)反応温度が回復効果に及ぼす影響
(a)化学性状
反応温度による分子量分布(MWD)の変化を図10に示す。ORGは、20000(MW)をピークとした単分散であり、AGIには、劣化に伴う酸化重合や重縮合が高分子側にショルダーとなって表れている。一方、水熱分解法による反応後は、250℃を除く条件で、AGIとは逆にショルダーが減少し、ピークがやや低分子側に移動した。この傾向は、350℃で大きく、ORGと同様の正規分布に近づいた。
反応温度によるCIを図11に示す。AGIは、ORGに比べてCIが0.44増加し、酸化劣化が進行したことを示している。水熱分解法による反応後は、200〜300℃のCIがAGI に比べて僅かに減少し、350(15)では0.25減少して酸化劣化の度合いが半減している。
反応温度による構成成分比率を図12に示す。ORGと比較して、AGIでは、アスファルテン分及びレジン分が増加し、芳香族分が減少する一般的な劣化傾向が見られる。一方、水熱分解法による反応後には、反応温度の上昇に伴いこれを回復する効果が見られ、特に350(15)では、アスファルテン分が3.3%減少し、レジン分が11.2%減少し、芳香族分が14.3%と大きく増加しており、分子量分布やCIと同様、回復効果が顕著である。
(b)物理性状
反応温度による物理性状に関する試験結果を図13に一覧で示す。針入度は、200〜300℃にかけて緩やかに増加する傾向が見られ、350(15)で大きく増加し、ORGの規格値まで回復した。また、軟化点、PI、伸度に関しても同様の回復効果が認められ、350(15)の軟化点および伸度は、ORGの規格値を満足する。また、PIもORGとほほ同程度となっている。
以上から、水熱分解法の回復効果は、反応温度に影響され、300〜350℃にかけて大きく向上することを確認した。これは、溶媒特性のうち比誘電率の挙動と関連がみられ、アスファルトがより高分散することで反応が促進されたと考える。
(3)反応時間が回復効果に及ぼす影響
(a)化学性状
反応時間による分子量分布の変化を温度別に図14、図15 に示す。AGIと比較して、250(0)、250(15)ではピークよりも低分子側が減少し、ピーク付近が僅かに高くなる。250(45)は、0分と15分よりも低分子側が減少する分、高分子側のショルダーが増大した。この変化は、熱反応性の大きい芳香族分とレジン分が重縮合によりアスファルテンに移行したものと考える。一方、350℃では、350(0)に比べて350(15)のショルダーが小さく、0〜15分にかけて低分子化がさらに進行している。
反応時間によるCIの変化を温度別に図16、図17に示す。250℃では、CIが0〜15分で0.04減少したものの、15分〜45分で0.28の増加に転じている。一方、350℃では、0分で0.19減少し、0〜15分にかけてさらに0.06減少して以降45分には変化が見られない。
反応時間による構成成分比率の変化を温度別に図18、図19に示す。250℃、350℃とも0〜15分にかけてアスファルテン分が3.0〜4.8%減少し、レジン分が4.3〜6.2%減少し、芳香族分は7.2〜9.6%増加した。しかし、15〜45分では、両温度ともアスファルテン分及びレジン分が増加し、芳香族分が大きく減少している。
(b)物理性状
反応時間による物理性状に関する試験結果を温度別に図20、図21に一覧で示す。針入度、軟化点、伸度は、いずれも反応時間が15分による回復効果が大きい。また、15〜45分にかけては、化学性状と同様に劣化が進行する結果となった。
以上から、水熱分解法の回復効果は、反応時間に影響され、0〜15分にかけて大きく向上することを確認した。このことは、特に回復効果が認められた350℃において、0〜15分の水熱分解法によりアスファルトが再生される可能性を示唆している。
(4)従来方法と比較した回復効果の特徴
水熱分解法による回復及び繰り返し劣化後の分子量分布を図22、構成成分比率を図23、Icを図24に、再生用添加剤による回復及び繰り返し劣化後の分子量分布を図25、構成成分比率を図26、Icを図27に示す。ここで、凡例は、再生用添加剤による再生アスファルトをREC、各々繰り返し劣化後をAGI−2としている。
分子量分布は、再生用添加剤によるものと比較して、350(15)では低分子側がやや低く、ピークの位置と高さはORGに類似している。水熱分解法によるAGI−2は、AGI、再生用添加剤によるAGI−2に比べて、ショルダーの高分子側が低く、低分子側が高い。また、水熱分解法による回復と繰り返し劣化後では、低分子側に変化が見られず、主にピークの高分子側とショルダーの低分子側で移行が生じたと考える。
構成成分比率は、再生用添加剤によるものと比較して、350(15)ではアスファルテン分が1.5%小さく、レジン分が8.2%小さく、芳香族分が13.1%多い。水熱分解法によるAGI−2は、再生用添加剤によるAGI−2に比べて、アスファルテン分が4.7%小さく、レジン分が0.4%多く、芳香族分が4.2%多い。また、水熱分解法による回復と繰り返し劣化後には、アスファルテン分と飽和分に大きな変化が見られず、IcはAGIに対して減少する結果となった。
以上から、350℃かつ15分の水熱分解法により回復したアスファルトは、芳香族分が多く、さらに劣化によりアスファルテン分が増加しづらい特徴を確認した。これは、水熱分解法による加水分解や還元反応の作用で、安定した分子が生成された可能性が考えられる。
[まとめ]
本実験では、高温高圧水の溶媒性能に着目し、水熱分解法による旧アスファルトの性状回復効果を検証した。以下に、各検討から得られた知見を取りまとめる。
(a)水熱分解法の性状回復効果は、反応温度と反応時間で変化し、350℃かつ15分による反応後はアスファルテン分が減少し、レジン分が減少し、芳香族分が大きく増加する。
(b)(a)の一因として、劣化(酸化)により生成されたアスファルテン分とレジン分が還元され、劣化により減少した芳香族分に変化したと推察される。
(c)350℃かつ15分による反応後は、針入度、軟化点、伸度が新規アスファルト(60〜80)の規格値を満足し、PIが同程度に復元される。
(d)(c)の一因として、芳香族分が増加したことにより凝集しているアスファルテン分の解膠性が向上し、伸度が大きく回復したと考える。
(e)350℃かつ0〜15分による反応後では、劣化(酸化)により生じたC=O(カルボニル基)が減少しており、還元反応が生じたと推察される。
(f)350℃かつ15分による反応後には、劣化によりアスファルテン分が増加しづらい特徴が見られ、分解に伴って安定した分子が生成された可能性がある。
以上の知見から、水と熱のみを用いた水熱分解法によって旧アスファルトが低分子化、さらには酸化還元され、化学性状、物理性状とも概ね素材状態に復元されることが分かった。
以下に、上述の実験により得られた知見に基づく本実施形態のアスファルトの再生方法について以下に説明する。図28は、本実施形態のアスファルトの再生方法を説明するための模式的な説明図である。図28(a)に示すように、本実施形態のアスファルトの再生方法においては、水Wが貯留された密閉容器1(容器)にアスファルトを含有する粒状のアスファルト含有体Xを浸漬する(浸漬工程)。
図29は、アスファルト含有体Xの模式的な断面図である。この図に示すように、アスファルト含有体Xは、酸化ケイ素等を主成分とする粒状体のコアCの表面に、劣化したアスファルトAが被膜形成された構造とされている。このように、コアCの表面にアスファルトAが被膜形成されることによって、アスファルト単体の粒状体と比較してアスファルトAの表面積が増大する。この結果、アスファルトAと水Wとの接触面積を広く確保することができ、後述する還元反応を促進させ、アスファルトAを効率的に還元処理することが可能となる。
上述のように劣化したアスファルトAを含むアスファルト含有体Xを密閉容器1に貯留された水Wに浸漬して密閉容器1の蓋を閉じた後、図28(b)に示すように、密閉容器1をヒータ2によって加熱する(加熱工程)。ここでは、水Wが亜臨界状態となる温度域に設定された目標温度まで水Wを加熱する。これによって、水Wの比誘電率が減少し、イオン積が増加し、このような水WによってアスファルトAが加水分解されることで、アスファルトAが還元処理される。
なお、水Wの目標温度は、亜臨界状態を脱しないことを前提として、200℃以上が好ましく、さらには300℃よりも高いことがより好ましい。水Wを200℃以上とすることによって、アスファルトAのカルボニル・インデックス(CI)が処理前と比較して減少し、針入度が増加する。つまり、水Wを200℃以上とすることによって、アスファルトAが加水分解により還元処理され、アスファルトAの化学性状及び物理性状が回復する。特に、水Wを300℃よりも高くすることによって、アスファルトAの化学性状及び物理性状が大きく回復する。
また、加熱工程では、目標温度に到達して以降の目標温度での保温期間を15分以下とする。なお、保温期間は0分であっても良い。保温期間が0分とは、水Wが目標温度に到達した直後に冷却を開始することを意味する。保温期間が15分を超えると、0分から15分の間に回復したアスファルトAの劣化が再び進行する傾向がみられることから、保温期間を15分以下とすることが好ましい。
なお、加熱工程において、本実施形態のアスファルトAの再生方法では、目標温度を350℃かつ保温期間を15分以下とすることによって、アスファルトAを化学性状及び物理性状を大きく回復させることが可能である。
続いて、図28(c)に示すように、密閉容器1を冷却することによって、加熱された水WすなわちアスファルトAを冷却する(冷却工程)。例えば、冷却水(冷却材)を用いて密閉容器1の上部を強制的に冷却する。このように強制的にアスファルトAを急速冷却することによって、一部のアスファルトAがアスファルト含有体Xから分離して膜状に固化する。また、密閉容器1を強制的に冷却することなく自然冷却しても良い。この場合には、アスファルトAがアスファルト含有体Xから分離して膜状に固化しない。したがって、例えば、再生したアスファルトAをアスファルト含有体Xから分離して得たい場合には、密閉容器1を冷却材によって強制的に冷却し、アスファルト含有体Xから分離したアスファルトAを必要としない場合には密閉容器1を自然冷却する。
なお、加熱されたアスファルトAを強制的に冷却して得られた膜状のアスファルトAは、アスファルト含有体Xから分離していないアスファルトAと比較すると、回復効果が低い。このため、アスファルトAの回復効果をより高めるためには、冷却工程において、密閉容器1を自然冷却することが好ましい。
以上のような本実施形態のアスファルトの再生方法によれば、劣化したアスファルトAを水に浸漬する浸漬工程と、水Wが亜臨界状態となるように設定された目標温度に水Wを加熱してアスファルトAを還元処理する加熱工程と、加熱されたアスファルトAを冷却する冷却工程とを行うことで、アスファルトAを回復して再生させることができる。したがって、本実施形態のアスファルトの再生方法によれば、再生添加剤を用いることなくアスファルトを再生することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、アスファルトAがコアCに被膜形成された構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、アスファルトAが単体の粒状体となっている場合であっても再生が可能である。
また、上記実施形態におけるアスファルトAは、アスファルト舗装発生材から得られるものに限られない。舗装用以外の用途で用いられて劣化したアスファルトを再生するために本発明を適用することが可能である。
1……密閉容器
2……ヒータ
A……アスファルト
C……コア
W……水
X……アスファルト含有体

Claims (8)

  1. アスファルトの再生方法であって、
    劣化したアスファルトを水に浸漬する浸漬工程と、
    前記水が亜臨界状態となるように設定された目標温度に前記水を加熱して前記アスファルトを還元処理する加熱工程と、
    加熱された前記アスファルトを冷却する冷却工程と
    を有することを特徴とするアスファルトの再生方法。
  2. 劣化した前記アスファルトは、粒状体の表面に被膜形成されていることを特徴とする請求項1記載のアスファルトの再生方法。
  3. 前記冷却工程では、前記水が貯留された容器内上部を冷却材によって強制的に冷却することを特徴とする請求項1または2記載のアスファルトの再生方法。
  4. 前記冷却工程では、前記水が貯留された容器を自然冷却により均一に冷却することを特徴とする請求項1または2記載のアスファルトの再生方法。
  5. 前記目標温度が200℃以上であることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載のアスファルトの再生方法。
  6. 前記目標温度が300℃よりも高いことを特徴とする請求項5記載のアスファルトの再生方法。
  7. 前記加熱工程にて、前記目標温度での保温期間が15分以下とされていることを特徴とする請求項1〜6いずれか一項に記載のアスファルトの再生方法。
  8. 前記加熱工程における前記目標温度が350℃であり、目標温度での保温期間が15分以下であることを特徴とする請求項1〜7いずれか一項に記載のアスファルトの再生方法。
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