以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るクレーン10の側面図である。なお、以後、各図には、「上」、「下」、「前」および「後」の方向が示されているが、当該方向は、本発明に係るクレーン10の構造および組立方法を説明するために便宜上示すものであり、クレーン10の移動方向や使用態様などを限定するものではない。
クレーン10は、クレーン本体に相当する旋回体12と、この旋回体12を旋回可能に支持する走行体14と、起伏部材として機能するブーム16と、ブーム起伏用部材であるラチスマスト17(マスト)と、箱マスト21と、を備える。
ブーム16は、旋回体12に回動可能に支持されるブーム基端部16Pと、長手方向においてブーム基端部16Pとは反対側に配置されるブーム先端部16Qと、を備える。なお、図1に示されるブーム16は、いわゆるラチス型であり、基端側部材16A(図5参照)と、一または複数(図例では2個)の中間部材と、先端側部材とから構成される。基端側部材16Aは、旋回体12の前部に起伏方向に回動可能となるように連結される。中間部材は、基端側部材16Aの先端側に着脱可能に継ぎ足される。先端側部材は中間部材の先端側に着脱可能に継ぎ足される。
ただし、本発明ではブームの具体的な構造は限定されない。例えば、当該ブームの中間部材の数は、上記とは異なるものでもよい。また、ブームは、単一の部材で構成されたものでもよい。更に、ブームは伸縮式の形態からなるものでもよい。
ブーム16のブーム基端部16P側には左右一対のバックストップ45が設けられる。これらのバックストップ45は、ブーム16が図1に示される起立姿勢まで到達した時点で旋回体12に当接する。この当接によって、ブーム16が強風等で後方に煽られることが規制される。
ラチスマスト17は、マスト基端部17Pと、マスト先端部17Qと、を備える。マスト基端部17Pは、ブーム16の後側の位置でブーム16の回動軸と平行な回動軸回りに旋回体12に回動可能に支持される。すなわち、ラチスマスト17もブーム16の起伏方向と同方向に回動可能である。マスト先端部17Qは、長手方向においてマスト基端部17Pとは反対側に配置された、ラチスマスト17の先端部である。図1に示すように、ラチスマスト17のマスト先端部17Qには、第1マストシーブ171と、第2マストシーブ172と、が配置されている。第1マストシーブ171および第2マストシーブ172には、後記のブーム起伏用ロープ22が掛けられる。また、マスト先端部17Qは、後記の軸支部17S(図2)を備える。ラチスマスト17は、ブーム16の回動における支柱となる。なお、他の実施形態において、ラチスマスト17によって例示される本発明のマストは、箱型のマストなど他の形態からなるものでもよい。
ラチスマスト17のマスト基端部17P側には左右一対のバックストップ46が設けられる。これらのバックストップ46は、ラチスマスト17が図1に示される起立姿勢まで到達した時点で旋回体12に当接する。この当接によって、ラチスマスト17が強風等で後方に煽られることが規制される。
更に、クレーン10は、マスト側ユニット18(第1シーブユニット)と、上部スプレッダ19(第2シーブユニット)と、ガイライン20と、ブーム起伏用ロープ22と、ブーム起伏用ウインチ38と、を備える。
マスト側ユニット18は、マスト先端部17Qの軸支部17S(図2)回りに回動可能に支持される。マスト側ユニット18は、下部シーブブロック181(第1シーブ)を備える。下部シーブブロック181には、複数のシーブが幅方向(左右方向)に配列されている。更に、マスト側ユニット18は、リンク18Aと、下部スプレッダ18Bと、を備える(図2)。なお、マスト側ユニット18の詳細な構造については、後記で更に説明する。
上部スプレッダ19は、マスト側ユニット18の前方に所定の間隔をおいて配置される。上部スプレッダ19は、ガイライン20を介してブーム先端部16Qに着脱可能に接続される。上部スプレッダ19は、上部シーブブロック191(第2シーブ)を備える。上部シーブブロック191には、複数のシーブが幅方向(左右方向)に配列されている。
ガイライン20は、図1の紙面と直交する左右方向に一対配置されている。ガイライン20の後端部は、上部スプレッダ19に接続され、ガイライン20の前端部は、ブーム先端部16Qに着脱可能に接続される。ガイライン20は、ガイリンク(金属製の板材)、ガイロープ、ガイワイヤ(金属製の線材)などを含む。
ブーム起伏用ロープ22は、ブーム起伏用ウインチ38から引き出され、マスト先端部65Qの第1マストシーブ171、第2マストシーブ172に掛けられた後、下部シーブブロック181と上部シーブブロック191との間で複数回掛け回される。なお、下部シーブブロック181および上部シーブブロック191に掛け回された後のブーム起伏用ロープ22の先端部は、ラチスマスト17のマスト先端部17Qに固定される。
ブーム起伏用ウインチ38は、ラチスマスト17のマスト基端部17P側に配置される。ブーム起伏用ウインチ38は、ブーム起伏用ロープ22の巻き取りおよび繰り出しを行うことでマスト側ユニット18の下部シーブブロック181と上部スプレッダ19の上部シーブブロック191との間の距離を変化させ、ブーム16をラチスマスト17に対して相対的に回動させながらブーム16を起伏させる。
箱マスト21は、基端及び回動端(先端)を有し、ラチスマスト17の後側で旋回体12に回動可能に連結される。箱マスト21は、断面視で矩形形状からなる。箱マスト21の回動軸は、ブーム16の回動軸と平行でかつラチスマスト65の回動軸とほぼ同じ位置に配置されている。すなわち、この箱マスト21もブーム16の起伏方向と同方向に回動可能である。
更に、クレーン10は、ガイライン23と、マスト起伏用ロープ26と、マスト起伏用ウインチ30と、を備える。
ガイライン23は、図1の紙面と直交する左右方向に一対配置されている。ガイライン23は、ラチスマスト17のマスト先端部17Qと箱マスト21の回動端部とを接続する。この接続は、ラチスマスト17の回動と箱マスト21の回動とを連携させる。
マスト起伏用ロープ26は、旋回体12に配置され複数のシーブが幅方向に配列されたたシーブブロック24と、箱マスト21の回動端部に配置され複数のシーブが幅方向に配列されたシーブブロック25との間で複数回掛け回される。
マスト起伏用ウインチ30は、箱マスト21の基端部側に配置される。マスト起伏用ウインチ30は、マスト起伏用ロープ26の巻き取りおよび繰り出しを行う。マスト起伏用ウインチ30の巻き取り、繰り出し動作によって、箱マスト21の先端部のシーブブロック25と旋回体12の後端部のシーブブロック24との間の距離が変化し、旋回体12に対して箱マスト21およびラチスマスト17が一体的に回動しながら、ラチスマスト17が起伏する。なお、ラチスマスト17および箱マスト21の回動は、主にクレーン10の組立分解時に行われ、クレーン10の使用時にはラチスマスト17および箱マスト21の位置(対地角)はほぼ固定されている。
クレーン10には、前述のマスト起伏用ウインチ30およびブーム起伏用ウインチ38以外に、吊り荷の巻上げ及び巻下げを行うための主巻用ウインチ34及び補巻用ウインチ36が搭載される。本実施形態に係るクレーン10では、主巻用ウインチ34、及び補巻用ウインチ36がいずれもブーム16の基端側部材16A(図5参照)に据え付けられる。クレーン10のウインチ34,36は旋回体12に搭載されていてもよい。
主巻用ウインチ34は、主巻ロープ51(図1)による吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。この主巻について、ブーム16のブーム先端部16Qには不図示の主巻用ガイドシーブが回転可能に設けられ、さらに主巻用ガイドシーブに隣接する位置に複数の主巻用ポイントシーブが幅方向に配列された主巻用シーブブロックが設けられている。主巻用シーブブロックから垂下された主巻ロープ51には、吊り荷用の主フック53が連結されている。そして、主巻用ウインチ34から引き出された主巻ロープ51が主巻用ガイドシーブに順に掛けられ、かつ、主巻用シーブブロックのシーブと、主フック53に設けられたシーブブロックのシーブとの間に掛け渡される。従って、主巻用ウインチ34が主巻ロープ51の巻き取りや繰り出しを行うと、主フック53の巻上げ及び巻下げが行われる。
同様にして、補巻用ウインチ36は、補巻ロープ52による吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。この補巻については、上記の主巻と同様の不図示の構造が備えられている。そして、補巻用ウインチ36が補巻ロープ52の巻き取りや繰り出しを行うと、補巻ロープ52の末端に連結された図略の吊荷用の補フックが巻上げられ、または巻下げられる。
また、旋回体12の後部には、クレーン10のバランスを調整するためのカウンタウエイト40が積載されており、旋回体12の後方には、カウンタウエイト41が更に配置されている。カウンタウエイト41は、クレーン10が重量物を吊り上げるために備えられるSHL(Super Heavy Lifting)用ウェイトとして、クレーン10のバランスを保つ機能を有する。カウンタウエイト41は、ウエイトライン42によってラチスマスト17のマスト先端部17Qに接続されている。
図8は、本実施形態と比較される他のクレーン10Zにおいて、ラチスマスト17Zによってブーム16Zが地面Gから吊り上げられ、旋回体12Zに装着される様子を示した側面図である。図9は、クレーン10Zにおいて、ラチスマスト17Zの先端側を拡大した側面図である。なお、図9では、ラチスマスト17Zの側板の一部か切り欠かれて示され、内部のフレーム175Zが露出している。クレーン10Zは、下部スプレッダ18Zと、上部スプレッダ19Zと、ブーム起伏用ロープ22Zと、を備える。ラチスマスト17Zは、旋回体12Zに回動可能に支持されている。なお、図8では、説明のために、ラチスマスト17Zの対地角(長手方向に延びるラチスマスト17Zの中心線と水平線とがなす角度)が第1の対地角に配置された場合(10X)と、ラチスマスト17Zの対地角が第1の対地角よりも小さな第2の対地角に配置された場合(10Y)とが、部分的に重なって示されている。
ブーム起伏用ロープ22Zは、下部スプレッダ18Zのシーブ181Z(図9)および上部スプレッダ19Zに備えられた不図示のシーブ間に掛け回される。クレーン10Zにおいて、ブーム16Zが吊り上げられる場合、図8に示すように、ラチスマスト17Zの先端部から下部スプレッダ18Z、ブーム起伏用ロープ22Zおよび上部スプレッダ19Zが垂下される。ガイライン67Zの先端には吊り具80が備えられ、ブーム16Zに接続される。
このようなクレーン10Zでは、ブーム16Zの重心Wよりも基端側(PX)を吊り上げるためには、ラチスマスト17Zの対地角が大きく設定される必要がある(図8の10X)。この場合、ラチスマスト17Zの先端部に軸支された下部スプレッダ18Zが、ラチスマスト17のフレーム175Zと干渉する(図9)。この結果、クレーン10Zの下部スプレッダ18Zのシーブ181Zやブーム起伏用ロープ22Zなどの周辺部材が損傷する恐れがある。更に、図9のフレーム175Zや当該フレーム175Zと垂直な方向(図9の左右方向)に交差して延びる不図示のパイプなども、ロープが擦れることで損傷する恐れがある。換言すれば、ラチスマスト17Zの先端部の幅方向(左右方向)の強度を向上させるために配置されるパイプなども、下部スプレッダ18Zとの干渉が問題となる可能性がある。このように、クレーン10Zの姿勢によって、ラチスマスト17Zの先端部を構成する周辺部材と下部スプレッダ18Zの周辺部材との干渉、およびこれらの周辺部材の損傷の恐れが問題となりやすい。
一方、上記のような干渉を避けるために、ラチスマスト17Zの対地角を小さく設定した場合(図8の10Y)、ブーム16Zの重心Wよりも先端側(PY)を吊り上げることとなる。この場合、ブーム16Zの基端側が上昇せず、ブーム16Zの先端側が上昇しやすい。このため、ブーム16Zの取付が円滑に実施できない。この場合、ブーム16Zの重心Wの位置を先端側にずらすために、ブーム16Zの先端にアンカーウェイトを配置する必要が生じ、ブーム16Zの取付工程が複雑化してしまう。
上記のような課題を解決するために、本実施形態では、クレーン10がラチスマスト17の構造に特徴を有する。図2は、本実施形態に係るクレーン10のラチスマスト17の先端側(マスト先端部17Q)を拡大した側面図である。図3は、クレーン10のラチスマスト17の先端側を拡大した正面図である。図4は、本実施形態に係るクレーン10において、後記の当接ブラケット60がマスト側ユニット18に当接する様子を示す上面図である。図5は、クレーン10の組立作業時において、ラチスマスト17によってブーム16の基端側部材16A(ブームの一部)を吊り上げる様子を示す側面図である。なお、図2乃至図5では、図1のブーム16は旋回体12に未だ装着されていない。また、ラチスマスト17は、旋回体12から上方に向かって延びる姿勢とされており、ラチスマスト17のマスト先端部17Qからマスト側ユニット18、ブーム起伏用ロープ22および上部スプレッダ19が垂下された状態とされている。
図2および図3を参照して、ラチスマスト17は、その先端に前述の第1マストシーブ171および第2マストシーブ172を回転可能に軸支するシーブ軸部171S、172Sを備える。また、ラチスマスト17は、長手方向と直交する断面で見た場合、矩形形状を備え、複数のパイプ状のフレームによって構成されている。ラチスマスト17は、ラチスマスト17の先端に配置された角材からなるマストトップ17T(図3)と、一対の後フレーム173と、一対の前フレーム174(外側フレーム)と、一対の中フレーム175(内側フレーム)と、4つの横フレーム176と、一対の斜めフレーム177と、支持ブラケット178(図3)と、を備える。
図2に示すようにラチスマスト17が上方に向かって延びる姿勢とされた場合において、一対の後フレーム173は、ラチスマスト17のマスト先端部17Qの後端部に配置される。一対の後フレーム173は、左右方向に間隔をおいて配置され、マスト先端部17Qの角部を画定する。一対の前フレーム174は、後フレーム173の前方で、図2のマスト先端部17Qの前端部に配置される。この一対の前フレーム174は、ラチスマスト17の回動における軸方向において、マスト先端部17Qの両端部に配置され、ラチスマスト17の長手方向に沿って延びている。また、一対の前フレーム174は、マスト先端部17Qの前側の角部を画定する。横フレーム176は、マスト先端部17Qの軸支部17Sから所定の間隔をおいた位置で、一対の後フレーム173および前フレーム174をそれぞれ連結するように、4本配置されている。
なお、図2に示すように、横フレーム176よりもラチスマスト17の先端側には、後フレーム173、前フレーム174および横フレーム176で画定される空間を塞ぐように、左側板17Lが配置されている。図2には現れていないが、マスト先端部17Qの左端部にも、同様に右側板17R(図3)が配置されている。また、図2では、左側板17Lおよび前フレーム174の前側の一部が波線で仮想的に切り欠かれている。この結果、図2には、中フレーム175の一部が現れている。中フレーム175は、一対の前フレーム174よりも軸方向(左右方向)の内側に配置され、ラチスマスト17の長手方向に沿って延びている。図3を参照して、一対の中フレーム175はそれぞれ第1フレーム部175Aと第2フレーム部175Bと、を備える。第1フレーム部175Aは、マスト基端部17P側からマスト先端部17Q側に向かって(図2、図3において下方から上方に向かって)互いの間隔が近づくように傾斜している。また、第2フレーム部175Bは、第1フレーム部175Aの先端側に接続され、前フレーム174に沿って延びている(図3)。本実施形態では、第1フレーム部175Aと第2フレーム部175Bとの境界部分に横フレーム176が配置されている。換言すれば、一対の中フレーム175は、横フレーム176を境に屈曲するように配置されている。斜めフレーム177は、横フレーム176の下方(マスト基端部17P側)において、後フレーム173と前フレーム174とを接続するように傾斜して延びる斜材フレームである。
支持ブラケット178は、マストトップ17Tに左右方向に間隔をおいて一対配置されている。それぞれの支持ブラケット178は所定の間隔をおいて配置された一対の板材からなる。支持ブラケット178は、マスト側ユニット18を回動可能に支持する機能を備えている。このため、一対の板材の間に、前述の軸支部17Sが形成されている。
また、前述のマスト側ユニット18は、ブラケット18Hと、前述の下部シーブブロック181と、を備える。また、ブラケット18Hは、リンク18A(リンク部材)と、下部スプレッダ18B(シーブブラケット)とを備える(図2、図3)。
リンク18Aは、軸支部17Sに接続される板状部材である。リンク18Aは、リンク支点部18Sと、スプレッダ支点部18Tとを備える。リンク支点部18Sは、マスト先端部17Qの軸支部17Sに軸支される。この結果、リンク18Aは、マスト先端部17Qの軸支部17Sに回動可能に支持される。スプレッダ支点部18Tは、リンク支点部18Sとは反対側に配置され、下部スプレッダ18Bを回動可能に軸支する。
下部スプレッダ18Bは、リンク18Aに連結される。下部スプレッダ18Bは、下部シーブブロック181のシーブを回転可能に支持し、リンク18Aのスプレッダ支点部18Tに回動可能に軸支される。なお、図3に示すように、下部スプレッダ18Bは、左右方向(ラチスマスト17の回動軸の軸方向)に沿って延びる長手形状を備えるとともに、その軸方向の中央部において下部シーブブロック181を支持している。また、下部シーブブロック181には、複数のシーブ間に配置された複数(図3では4枚)の支持板182を備えている。なお、本実施形態では、クレーン10の組立段階において、ラチスマスト17の軸支部17Sには予めリンク18Aが連結されている。そして、ラチスマスト17が地上に倒伏された状態で、マスト先端部17Qから突出したリンク18Aに下部スプレッダ18Bが連結される。このため、地上に倒伏されたラチスマスト17の軸支部17Sに、マスト側ユニット18全体を連結する場合と比較して、容易に下部スプレッダ18Bの連結作業を行うことができる。
更に、ラチスマスト17は、当接ブラケット60(突出部)を備える(図2、図3)。当接ブラケット60は、本発明の被当接部として機能する。当接ブラケット60は、軸支部17Sよりもマスト基端部17P側のマスト先端部17Qから突設された突起部材である。本実施形態では、当接ブラケット60は、一対の中フレーム175の第2フレーム部175Bからそれぞれ突設された立方体形状からなり、その先端面は平坦面からなる。なお、図1に示すクレーン10の姿勢では、当接ブラケット60は、マスト先端部17Qからブーム先端部16Q側に向かって突出している。また、当接ブラケット60の先端面は、曲面からなるものでもよい。
図5を参照して、マスト起伏用ウインチ30および不図示の補助クレーンなどによって予めラチスマスト17が旋回体12に装着される。なお、箱マスト21は旋回体12に予め支持され、走行体14によって移動される。そして、上部スプレッダ19から下方に延びるガイライン20の先端が、ブーム16の基端側部材16Aに接続される。図5に示す状態で、ブーム起伏用ウインチ38(図1)がブーム起伏用ロープ22を巻き上げると、マスト側ユニット18と上部スプレッダ19との距離が縮小し、基端側部材16Aを吊り上げることが可能となる。そして、マスト起伏用ウインチ30がマスト起伏用ロープ26を巻き上げることでラチスマスト17が起立し、基端側部材16Aのブームフット16Sが旋回体12のブーム軸支部12Sに位置合わせされる。その後、不図示のピンによってブームフット16Sおよびブーム軸支部12Sが固定される。なお、基端側部材16Aの装着に際して、旋回体12が旋回されてもよい。また、基端側部材16Aが旋回体12に装着された後、ブーム16の中間部材、先端側部材が順に連結される。
このようにクレーン10の組立分解過程で、上部スプレッダ19(ガイライン20)がブーム先端部16Qから脱離され、ラチスマスト17が旋回体12から上方に向かって延びる姿勢とされ、更に、マスト側ユニット18がブーム起伏用ロープ22を介して上部スプレッダ19を支持しながら軸支部17S(図2)から垂下された状態において、当接ブラケット60は、マスト側ユニット18の下部スプレッダ18Bに当接する。この際、下部スプレッダ18Bは、本発明の当接部(図2のCP)として機能する。この結果、図2に示すように、当接ブラケット60は、下部シーブブロック181のシーブとマスト先端部17Qの中フレーム175との間の間隔Hを保持する。したがって、ラチスマスト17の対地角が90度に近づくようにラチスマスト17の姿勢が変化されても(図5)、マスト先端部17Qとマスト側ユニット18のシーブとが接触することが防止される。このため、下部シーブブロック181のシーブおよびブーム起伏用ロープ22などの周辺部材が損傷する恐れが解消される。また、マスト先端部17Qから垂下されたブーム起伏用ロープ22を利用して、ブーム16などの構造体を吊り上げ、組立分解作業を行うことが可能となるため、補助クレーンのみを利用してクレーン10を組み立てる場合と比較して、クレーン10の組立が安全かつ効率的に実現される。
なお、図2では、ラチスマスト17の対地角が70度以上と大きく設定された際、マスト側ユニット18のスプレッダ支点部18Tと下部シーブブロック181の中心とを結ぶ直線が鉛直方向に沿うように、下部スプレッダ18Bがリンク18Aに対して屈曲可能とされている。そして、この下部スプレッダ18Bの当接面18B1(図4)に当接ブラケット60の先端面が面接触する。したがって、当接ブラケット60がマスト側ユニット18に当接する際の衝撃が低減される。
また、マスト先端部17Qとマスト側ユニット18の下部シーブブロック181との干渉を抑止しながら、ラチスマスト17が鉛直方向に沿う姿勢に近づくことができるため、旋回体12に近い位置でブーム16などの構造体を吊り上げることができる。なお、図2では、横フレーム176の前端縁とブーム起伏用ロープ22との間にも好適に隙間が形成されている。このため、ブーム起伏用ロープ22の損傷する恐れが更に解消される。また、本実施形態では、当接ブラケット60によってマスト先端部17Qとマスト側ユニット18の周辺部材とが干渉することが抑止されるため、マスト先端部17Qに複数のフレーム材を追加することが可能とされ、ラチスマスト17の剛性を高めることができる。
また、本実施形態では、マスト側ユニット18がリンク18Aと下部スプレッダ18Bとを備えている。このため、マスト側ユニット18は、スプレッダ支点部18T(図2)を支点として屈曲することが可能となる。この結果、当接ブラケット60がマスト側ユニット18に当接した場合であっても、マスト側ユニット18にかかる負荷が軽減される。また、この場合、図2に示すように、リンク18Aの下方に位置する下部スプレッダ18Bが鉛直方向に沿う姿勢となりやすい。このため、吊り上げ作業時のマスト側ユニット18の振動が低減され、構造体の吊り上げが安定して実現される。したがって、図2において、当接ブラケット60はスプレッダ支点部18Tよりも下方に位置することが望ましい。また、図2に示すように、当接ブラケット60が、マスト側ユニット18のうち下部スプレッダ18B側に当接することで、下部シーブブロック181により近い位置で、マスト側ユニット18のシーブとマスト先端部17Qとの間の間隔Hを保持することができる。このため、ブーム16などの構造体が吊り上げられる際に、マスト側ユニット18の振動がより低減され、構造体の吊り上げが安定して実現される。
更に、本実施形態では、当接ブラケット60がマスト先端部17Qの中フレーム175から突設されている(図2〜図4)。このため、マスト側ユニット18の軸方向の両端側で、下部シーブブロック181とマスト先端部17Qとの間の間隔Hを保持することができる。また、当接ブラケット60が前フレーム174から突設される場合と比較して、マスト側ユニット18の軸方向の長さをラチスマスト17の軸方向の長さ(一対の前フレーム174の間隔)よりも短く設定することができるため(図3)、マスト側ユニット18をコンパクトに設定することができる。また、中フレーム175のうち第2フレーム部175Bから当接ブラケット60が突設されているため、軸方向の間隔が狭く設定された一対の第2フレーム部175Bを利用して、一対の当接ブラケット60を下部スプレッダ18Bに対向するように配置することができる。
なお、本実施形態では、図2に示すように、当接ブラケット60が前フレーム174およびマストトップ17T(図3)よりも前方に突出している。このため、クレーン10の組立分解段階において、ラチスマスト17が地上に倒伏されると、当接ブラケット60が地面に当接することでマスト先端部17Qを支持することが可能となる。このため、当接ブラケット60が、倒伏されたラチスマスト17の受け台としての機能を兼ね備えることができる。
以上、本発明の一実施形態に係るクレーン10について説明した。なお、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明に係るクレーンは、所定のブームおよびマストを備えるものであればよい。更に、本発明では、以下のような変形実施形態が可能である。
(1)上記の実施形態では、クレーン10が当接ブラケット60(図3)を備える態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図6は、本発明の変形実施形態に係るクレーンのラチスマスト17Mの先端側を拡大した正面図である。本変形実施形態では、先の実施形態の当接ブラケット60の代わりに当接ブラケット61(突出部)が備えられている。当接ブラケット61は、左右方向において隣接する前フレーム174と中フレーム175とを接続するように長手形状をもって配置されている。このため、当接ブラケット61によって、マスト先端部17Qの剛性を高めることができる。また、当接ブラケット61がマスト側ユニット18に当接した際に、当接ブラケット61にかかる負荷を低減することができる。
(2)また、上記の実施形態では、当接ブラケット60が、マスト先端部17Qから突設されマスト側ユニット18に当接する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図7は、本発明の変形実施形態に係るクレーンのラチスマスト17Nの先端側を拡大した正面図である。本変形実施形態では、先の実施形態の当接ブラケット60の代わりに、クレーンが当接ブラケット62(突出部)を備えている。当接ブラケット62は、マスト側ユニット18の下部スプレッダ18Bから突設された突起部材である。そして、図7に示すように、マスト側ユニット18がブーム起伏用ロープ22を介して上部スプレッダ19を支持しながら軸支部17Sから垂下された状態において、当接ブラケット62は、マスト先端部17Qの中フレーム175に当接する。この場合、当接ブラケット62が本発明の当接部として機能する。また、中フレーム175が本発明の被当接部として機能する(図7のCQ)。この結果、図7に示すように、当接ブラケット62は、下部シーブブロック181のシーブとマスト先端部17Qの中フレーム175との間の間隔Hを保持する。したがって、ラチスマスト17Nの対地角が90度に近づくようにラチスマスト17Nの姿勢が変化されても、マスト先端部17Qとマスト側ユニット18のシーブなどとが干渉することが抑止される。なお、先の実施形態のように、当接ブラケット60がマスト先端部17Q側に配置された場合(図2)、本変形実施形態と比較して、マスト側ユニット18を軽量化することができる。
(3)また、上記の実施形態では、当接ブラケット60がマスト側ユニット18の下部スプレッダ18Bに当接する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。当接ブラケット60は、マスト側ユニット18のリンク18A側に当接するものでもよい。
(4)また、上記の実施形態では、ブーム16のブーム先端部16Qから主フック53が垂下される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。ブーム16のブーム先端部16Qに回動可能にジブが備えられ、当該ジブの先端部から主フック53が垂下される態様でもよい。