以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また矢印でX方向、Y方向、及びZ方向を示す図面があるが、各図面において共通の方向を示すものとする。
実施形態の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷等はいずれも同義語とする。
[第1の実施形態]
第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置100全体の主要部の構成の一例を示すブロック図である。
画像形成装置100は、制御基板101と、操作入力装置102と、記憶装置103と、印刷制御ユニット104と、画像読取制御ユニット105と、表示制御ユニット106と、制御マイコン200と、PSU(Power Supply Unit)107と、蓄電デバイス108とを有する。また画像形成装置100は、外部記憶装置109と、外部メディア入出力装置110と、印刷装置111と、画像読取装置112と、表示装置113とを有する。
制御基板101は、CPU(Central Processing Unit)121と、メモリユニット122と、制御ASIC(Application Specific Integrated Circuit)130と、画像処理制御ユニット114とを有する。
一点鎖線で示されている制御ASIC130は、入出力デバイス制御ユニット131と、記憶装置制御ユニット132と、FAX(Facsimile)制御部133と、LAN(Local Area Network)制御部134と、入力制御ユニット135とを有する。
これらはシステムバス140を介して相互に接続されている。
CPU121は、画像形成装置100の全体の動作を統括的に制御する。CPU121は、メモリユニット122に格納されたプログラムを実行し、画像形成装置100の動作を制御する。またCPU121は、記憶装置103に格納され、必要に応じてメモリユニット122に展開されるプログラムに従って、入出力デバイス制御ユニット131と、記憶装置制御ユニット132と、FAX制御部133と、LAN制御部134と、入力制御ユニット135と、画像処理制御ユニット114と、印刷制御ユニット104と、画像読取制御ユニット105と、表示制御ユニット106を制御する。
メモリユニット122は、ROM、RAM等を有する。
入出力デバイス制御ユニット131は、外部記憶装置109と、外部メディア入出力装置110を制御し、記憶装置制御ユニット132は、記憶装置103を制御する。
画像処理制御ユニット114は、印刷制御ユニット104と、画像読取制御ユニット105と、表示制御ユニット106との間で信号及び画像データ等の入出力を行う。印刷制御ユニット104は印刷装置111を、画像読取制御ユニット105は画像読取装置112を、表示制御ユニット106は表示装置113をそれぞれ制御する。
制御マイコン200は、CPU231と、ROM(ReadnOnly Memory)232と、RAM(Random Access Memory)233とを有する。CPU231は、PSU107と、蓄電デバイス108の動作を統括的に制御する。CPU231は、RAM233をワークエリア(作業領域)としてROM232等に格納されたプログラムを実行することで、PSU107と、蓄電デバイス108の動作を制御し、後述する各種機能を実現する。尚、制御マイコン200の有する機能の一部、又は全部をCPU121により実現させてもよいし、ワイヤードロジックによるハードウェアにより実現させてもよい。制御マイコン200の機能、PSU107及び蓄電デバイス108の動作等は、図2の説明以降で詳述する。
操作入力装置102は、タッチパネルやキーボタンで構成され、ユーザはタッチパネルやキーボタンを押すことにより操作を入力することができる。
印刷装置111は、レーザープリンタのプロッタ、定着ユニット等を有する。
表示装置113は、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶等で構成されている。
外部メディア入出力装置から入出力できるメディアは、マルチメディアカード、スマートメディア、メモリスティック、SDメモリカード、CD−ROM(Compact Disc Read only memory)、フレキシブルディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ等である。
FAX制御部133は、FAX回線137に接続しており、相手方のファクシミリ装置と相互通信するための制御を行う。LAN制御部134は、インターネット136及び通信制御ユニット138を介してPC(Personal Computer)139及びサーバー141と通信制御を実行する。
本実施形態に係る画像形成装置100は、熱源の発熱を利用して発電した電力を蓄電し、蓄電した電力を被給電対象に供給する。
また本実施形態に係る画像形成装置100は、動作モードとして電源オンモードと、電源オフモードと、省電力モードとを有する。電源オンモードは、画像形成装置100の有する全部の機能が実現可能な電力供給状態を示す。電源オフモードは、画像形成装置100への電力供給が遮断されている状態を示す。省電力モードは、画像形成装置100の所定の機能の動作が制限された電力供給状態を示す。例えば省電力モードは、動作の制限により、画像形成装置100に供給される電力が低減されることで、省電力化されている状態である。尚、省電力モードで制限される動作は、操作入力装置102等を介して任意に選択し、設定することができる。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置100の発電及び蓄電のためのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2において、太実線の矢印は電力の伝達を示す電力ラインを表し、破線の矢印は熱の伝達を示す伝熱ラインを表す。また細実線の矢印は、制御マイコン200に入出力する電気信号を表す。尚、蓄電デバイス108は、電力を蓄電する蓄電モードと、電力を供給する給電モードとを有する。
画像形成装置100は、画像処理制御ユニット114と、CPU121と、メモリユニット122と、制御ASIC130とを有する。これらは駆動時に発熱し、本実施形態では、熱源として利用される。例えば、CPU121は、駆動中は60〜80℃の熱を発する。但し、熱源はこれらに限定されることはない。定着ユニットの定着ヒータ等、駆動時に発熱するものであれば何れも熱源として利用可能である。画像処理制御ユニット114、CPU121、メモリユニット122、及び制御ASIC130は、それぞれ「熱源」の一例である。
また画像形成装置100は、熱電変換回路300と、ヒートシンク213と、DC/DC(Direct Current/Direct Current)コンバータ214と、制御マイコン200と、切替回路220と、蓄電デバイス108とを有する。熱電変換回路300は、ヒートパイプ210a〜210dと、伝熱スイッチ250a〜250dと、高熱伝導シート211と、ゼーベック素子212と、を有する。
ヒートパイプ210aは画像処理制御ユニット114に1対1で熱的に接続する。尚、「熱的に接続する」とは、例えばヒートパイプ210aと画像処理制御ユニット114とが接触し、画像処理制御ユニット114の熱がヒートパイプ210aにより伝熱されることが可能な状態をいう。以下では、説明を簡略にするため、「熱的に接続する」を単に「接続する」と示す場合がある。
伝熱スイッチ250aは、制御マイコン200からの制御信号に基づき、ヒートパイプ210aと高熱伝導シート211とが接続する状態と、接続しない状態とを切り替える。これによりヒートパイプ210aが画像処理制御ユニット114の発する熱を高熱伝導シート211に伝熱できる状態と、伝熱できない状態とを切り替える。ヒートパイプ210aと高熱伝導シート211とが接続する状態では、ヒートパイプ210aは、画像処理制御ユニット114の発する熱を高熱伝導シート211に伝熱できる。
ヒートパイプ210bはCPU121に1対1で熱的に接続する。伝熱スイッチ250bは、制御マイコン200からの制御信号に基づき、ヒートパイプ210bと高熱伝導シート211とが接続する状態と、接続しない状態とを切り替える。これによりヒートパイプ210bがCPU121の発する熱を高熱伝導シート211に伝熱できる状態と、伝熱できない状態とを切り替える。ヒートパイプ210bと高熱伝導シート211とが接続する状態では、ヒートパイプ210bは、CPU121の発する熱を高熱伝導シート211に伝熱できる。
ヒートパイプ210cはメモリユニット122に1対1で熱的に接続する。伝熱スイッチ250cは、制御マイコン200からの制御信号に基づき、メモリユニット122と高熱伝導シート211とが接続する状態と、接続しない状態とを切り替える。これによりヒートパイプ210cがメモリユニット122の発する熱を高熱伝導シート211に伝熱できる状態と、伝熱できない状態とを切り替える。ヒートパイプ210cと高熱伝導シート211とが接続する状態では、ヒートパイプ210cは、メモリユニット122の発する熱を高熱伝導シート211に伝熱できる。
ヒートパイプ210dは制御ASIC130に1対1で熱的に接続する。伝熱スイッチ250dは、制御マイコン200からの制御信号に基づき、制御ASIC130と高熱伝導シート211とが接続する状態と、接続しない状態とを切り替える。これによりヒートパイプ210dが制御ASIC130の発する熱を高熱伝導シート211に伝熱できる状態と、伝熱できない状態とを切り替える。ヒートパイプ210dと高熱伝導シート211とが接続する状態では、ヒートパイプ210dは、制御ASIC130の発する熱を高熱伝導シート211に伝熱できる。
ヒートパイプ210a〜210dは狭小なスペースにレイアウトできるため、例えばゼーベック素子212から離れた位置に配置された熱源の熱を伝熱する場合等に、レイアウトが容易になる。尚、伝熱スイッチ250a〜250dの構成、作用については、別途図4〜5を用いて説明する。
ヒートパイプ210a〜210dは、それぞれ「伝熱路」の一例であり、伝熱スイッチ250a〜250dは、それぞれ「切替部」の一例である。
高熱伝導シート211は、熱伝導率の高い素材を用いたシート状部材である。熱伝導率の高い素材には、例えばシリコーン系の樹脂、非シリコーン系の樹脂、或いはセラミック等を用いることができる。
高熱伝導シート211は、ヒートパイプ210a〜210dのそれぞれに接続可能に設けられる。高熱伝導シート211は、伝熱スイッチ250aによりヒートパイプ210aと接続した場合に、ヒートパイプ210aが伝熱した熱を集熱し、伝熱スイッチ250bによりヒートパイプ210bと接続した場合に、ヒートパイプ210bが伝熱した熱を集熱する。また高熱伝導シート211は、伝熱スイッチ250cによりヒートパイプ210cと接続した場合に、ヒートパイプ210cが伝熱した熱を集熱し、伝熱スイッチ250dによりヒートパイプ210dと接続した場合に、ヒートパイプ210dが伝熱した熱を集熱する。
ヒートパイプ210a〜210dで伝熱された熱は、高熱伝導シート211により集熱されることで、ゼーベック素子212と接触する箇所において熱分布(熱のムラ)が抑制される。これにより熱分布によるゼーベック素子212の熱電変換効率の低下を抑制することができる。尚、高熱伝導シート211は「集熱部」の一例である。
ゼーベック素子212は、ゼーベック効果を利用して熱と電力を変換する素子である。尚、ゼーベック効果とは、2種類の異なる金属または半導体を接合して、両端に温度差を生じさせると起電力が生じる現象をいう。
本実施形態では、ゼーベック素子212は、高熱伝導シート211とヒートシンク213との温度差から起電力を生じさせ、発電する。ゼーベック素子212は、例えば50℃の温度差で約2〜3Vの電位差を発生させ、また60℃の温度差で約5Vの電位差を発生させることができる。約5Vの電位差の場合、出力電流は約1〜2Aである。複数のゼーベック素子212を直列に繋ぐことで、さらに高い電位差を発生させることも可能である。尚、ゼーベック素子212は、「熱電変換部」の一例である。
ヒートシンク213は、ゼーベック素子212による熱電変換のための温度差の基準となる。ヒートシンク213は、画像形成装置100の外装に接続され、放熱を行う。ゼーベック素子212の一つの面にヒートシンク213を接触させることで、接触面の温度を約20℃にすることができる。ゼーベック素子212は、一つの面を高熱伝導シート211に接触させ、他の面をヒートシンク213にそれぞれ接触させることで、両者の温度差に応じた起電力を生じさせる。ヒートシンク213は「放熱部」の一例である。
DC/DCコンバータ214は、ゼーベック素子212が発生する電力を入力し、昇圧、又は降圧した一定の電圧を出力する。
尚、以下では、CPU121等の複数の熱源と、伝熱スイッチ250a〜250dと、ヒートパイプ210a〜210dと、ゼーベック素子212と、ヒートシンク213と、DC/DCコンバータ214とを総称して、「発電部」と称する場合がある。
制御マイコン200は、伝熱スイッチ250a〜250dに制御信号を出力し、ヒートパイプ210a〜210dのうち、所定の熱源に対応するヒートパイプと高熱伝導シート211とが接続する状態にする。また所定の熱源に対応するヒートパイプ以外のヒートパイプと高熱伝導シート211とが接続しない状態にする。尚、制御マイコン200は、「制御部」の一例である。
また制御マイコン200は、CPU121が発信する省電力モードへの移行の通知信号を受信し、電力を被給電対象に給電する給電モードに切り替えるための電気信号を切替回路220に出力する。CPU121は、一定期間、操作信号が入力されない等の所定の条件下で画像形成装置100が省電力モードに移行した場合に、省電力モードへの移行の通知信号を制御マイコン200に送信する。
切替回路220は、制御マイコン200からの入力信号に応じて、蓄電デバイス108のモードを切り替える。切替回路220は、発電部から蓄電デバイス108への電力ラインを切断する電気回路等で給電モードに切り替え、接続する電気回路等で蓄電モードに切り替える。
蓄電デバイス108は、電源オンモードにおいて、発電部による電力を蓄電する。また蓄電デバイス108は、省電力モードにおいて、蓄電した電力を被給電対象に給電する。蓄電デバイス108は、例えばリチウムイオン電池等の蓄電池やキャパシタである。キャパシタは所謂コンデンサであり、活性炭とチタン酸バリウム等を主原料とした蓄電器である。蓄電デバイス108は、「蓄電部」の一例である。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置100の給電のためのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3において、黒色の太実線の矢印は電力の伝達を示す電力ラインを表し、黒色の細実線の矢印は省電力モードへの移行を通知する電気信号を表す。また黒色の一点鎖線の矢印は、蓄電デバイス108のモードを切り替える電気信号を表し、黒色の二点鎖線の矢印は、被給電対象への給電元を切り替える電気信号を表す。尚、被給電対象への給電元には、蓄電デバイス108とPSU107が含まれる。点線の矢印は電源オンモードへの移行を通知する電気信号を表し、破線の矢印は蓄電デバイス108の蓄電量を示す電気信号を表す。
画像形成装置100は、圧板検知センサ215と、給紙センサ216と、主電源スイッチ217と、CPU121と、メモリユニット122とを有する。これらは、省電力モード時に電力の供給を受ける被給電対象の一例である。また圧板検知センサ215と、給紙センサ216と、主電源スイッチ217は、省電力モードから電源オンモードへの移行を通知する電気信号を制御マイコン200に送信する。圧板検知センサ215は、画像形成装置100における画像読取装置112の所謂フタが操作されたことを検知し、省電力モードから電源オンモードへの移行を通知する電気信号を制御マイコン200に送信する。給紙センサ216は、画像形成装置100における印刷装置111に用紙が給紙されたことを検知し、省電力モードから電源オンモードへの移行を通知する電気信号を制御マイコン200に送信する。主電源スイッチ217は、主電源スイッチ217に対する操作がなされたことを検知し、省電力モードから電源オンモードへの移行を通知する電気信号を制御マイコン200に送信する。
また画像形成装置100は、PSU107を有する。制御マイコン200は、CPU121が発信する省電力モードへの移行の通知信号を受信し、蓄電デバイス108を給電モードに切り替えるための電気信号を切替回路220に出力する。併せて被給電対象への給電元を蓄電デバイス108からPSU107に切り替えるための電気信号を切替回路220に出力する。
制御マイコン200は、圧板検知センサ215、給紙センサ216、又は主電源スイッチ217から電源オンモードへの移行の通知信号を受信し、被給電対象への給電元を蓄電デバイス108からPSU107に切り替えるための電気信号を切替回路220に出力する。併せて制御マイコン200は、蓄電デバイス108を蓄電モードに切り替えるための電気信号を切替回路220に出力する。
さらに制御マイコン200は、蓄電デバイス108の蓄電量を表示する電気信号を受信し、被給電対象への給電元を、蓄電デバイス108とするか、PSU107とするかを切り替えるための電気信号を切替回路220に出力する。
切替回路220は、省電力モード移行通知信号に基づく制御マイコン200からの入力信号に応じ、蓄電デバイス108を給電モードに切り替え、また被給電対象への給電元をPSU107から蓄電デバイス108に切り替える。
また切替回路220は、電源オンモードへの移行の通知信号に基づく制御マイコン200からの入力信号に応じ、被給電対象への給電元を蓄電デバイス108からPSU107に切り替え、蓄電デバイス108を蓄電モードに切り替える。
さらに切替回路220は、蓄電デバイス108の蓄電量を表示する電気信号に基づく制御マイコン200からの入力信号に応じ、被給電対象への給電元をPSU107、又は蓄電デバイス108に切り替える。
切替回路220は、上述のように、発電部から蓄電デバイス108への電力ラインを切断する電気回路等で給電モードに切り替え、接続する電気回路等で蓄電モードに切り替える。また蓄電デバイス108からの電力ラインとPSU107からの電力ラインを切り替える電気回路等により、給電元をPSU107、又は蓄電デバイス108に切り替える。
蓄電デバイス108の蓄電量は、蓄電デバイス108の有する残量ゲージからの出力を制御マイコン200が監視することで検知される。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置100の発電、蓄電、及び給電の配置の一例を説明する図である。画像処理制御ユニット114と、CPU121と、メモリユニット122と、制御ASIC130は、制御基板101上に配置されている。
ヒートパイプ210aの一端は、画像処理制御ユニット114と接触して熱的に接続し、他端は伝熱スイッチ250aにより高熱伝導シート211と熱的に接続可能である。同様に、ヒートパイプ210bの一端は、CPU121と接触して熱的に接続し、他端は伝熱スイッチ250bにより高熱伝導シート211と熱的に接続可能である。ヒートパイプ210cの一端は、メモリユニット122と接触して熱的に接続し、他端は伝熱スイッチ250cにより高熱伝導シート211と熱的に接続可能である。ヒートパイプ210dの一端は、制御ASIC130と接触して熱的に接続し、他端は伝熱スイッチ250dにより高熱伝導シート211と熱的に接続可能である。
ヒートパイプ210a〜210dにより伝熱された熱は、伝熱スイッチ250a〜250dを介して高熱伝導シート211により集熱され、ゼーベック素子212の一方の面に伝熱される。図4の例では、ゼーベック素子212の下方の面が高熱伝導シート211と接触して伝熱される。ゼーベック素子212の上方の面は、図示を省略するヒートシンク213に接触し、両者の温度差により熱電変換が行われる。
ここで、本実施形態では、伝熱スイッチ250a〜250dは、4つの熱源のうち、最も高熱を発する熱源に接続するヒートパイプのみを高熱伝導シート211と接続する状態にし、他のヒートパイプは高熱伝導シート211と接続しない状態にする。
例えば、画像処理制御ユニット114が最も高温の熱を発する場合、伝熱スイッチ250aはヒートパイプ210aを高熱伝導シート211に接続させる。一方、伝熱スイッチ250bはヒートパイプ210bを高熱伝導シート211に接続させない。同様に伝熱スイッチ250cはヒートパイプ210cを高熱伝導シート211に接続させず、伝熱スイッチ250dはヒートパイプ210dを高熱伝導シート211に接続させない。
尚、画像処理制御ユニット114が最も高温の熱を発する場合、画像処理制御ユニット114は、「所定の熱源」の一例であり、CPU121、メモリユニット122、及び制御ASIC130は、「所定の熱源以外の熱源」の一例である。
このようにすることで、最も高熱を発する熱源が発する熱が、相対的に低い熱源に伝熱されて高熱伝導シート211の温度が低下することを防ぐことができる。高熱伝導シート211の温度低下を防ぐことで、ゼーベック素子212による熱電変換効率を向上させることができる。
次に、図5は、伝熱スイッチの動作の一例を説明する図である。図5は、図4における伝熱スイッチ250aを正のX方向から負のY方向に向けて視た側面図である。
伝熱スイッチ250aは、X方向と平行な回動軸251a回りに回動可能なモータと、このモータのモータ軸に取り付けられ、図5に示されているようにX方向と直交する断面形状が平行四辺形である回動部材とを備える。伝熱スイッチ250aの回動部材は、回動軸251aを軸にして、図の矢印の方向に回動可能である。モータとしてDCモータ、ACモータ、又はステッピングモータ等を用いることができる。
また図5(a)に示されているように、ヒートパイプ210a、及び高熱伝導シート211のそれぞれには、伝熱スイッチ250aの斜面と接触可能な斜面部が設けられている。
図5(a)では、伝熱スイッチ250aの一方の斜面部はヒートパイプ210aの斜面部に接触し、伝熱スイッチ250aの他方の斜面部は高熱伝導シート211の斜面部に接触している。この状態は、ヒートパイプ210aから高熱伝導シート211への伝熱ができる状態である。
一方、図5(b)では、伝熱スイッチ250aは図の矢印方向に回動し、伝熱スイッチ250aの両方の斜面部は、ヒートパイプ210aの斜面部、及び高熱伝導シート211の斜面部の何れにも接触していない。この状態では、ヒートパイプ210aの熱は、高熱伝導シート211に伝熱されず、伝熱ができない状態である。
このように伝熱スイッチ250aは、回動部材の回動により、ヒートパイプ210aから高熱伝導シート211への伝熱ができる状態と、できない状態を切り替えることができる。
また、伝熱スイッチ250aは、回動軸方向(X方向)と直交する断面形状が平行四辺形である回動部材を備えることで、伝熱できる状態の時に、ヒートパイプ210a、及び高熱伝導シート211とを確実に接触させて接触不良を防ぐことができ、また接触面積を増やすことができる。これにより、伝熱スイッチ250aとヒートパイプ210a、及び高熱伝導シート211との接触不良や接触面積が小さいことによる伝熱効率の低下を抑制することができる。
また上記では、伝熱スイッチ250aがモータと回動部材とを備える例を示したが、これには限定されない。例えば静電式、圧電式、電磁式等の駆動方式のMEMS(Micro Electro Mechanical System)デバイスを回動させることで、ヒートパイプ210aから高熱伝導シート211への伝熱の可否を切り替えてもよい。MEMSデバイスにより、伝熱スイッチ250aをより小型化することができる。
尚、上記では、伝熱スイッチ250aを例に説明したが、伝熱スイッチ250b〜250dも同様である。
次に、図6は、本実施形態に係る画像形成装置100の動作に伴う各熱源(画像処理制御ユニット114、CPU121、メモリユニット122、及び制御ASIC130)の表面温度の時間変化の一例を説明する図である。横軸は経過時間を示し、縦軸は、各熱源の表面温度を示している。
図6において、実線で示されているグラフ61は画像処理制御ユニット114の表面温度を示し、破線で示されているグラフ62はCPU121の表面温度を示している。一点鎖線で示されているグラフ63はメモリユニット122の表面温度を示し、点線で示されているグラフ64は制御ASIC130の表面温度を示している。
図6(a)は、例えば画像形成装置100の画像読取装置112が用紙等に印刷された画像を読み取り、読み取った画像データに基づき、画像形成装置100の印刷装置111が印刷を行う動作を示している。このような動作は、例えばコピー動作である。図6(b)は、例えば画像形成装置100が外部装置であるPC139から画像データを受信し、受信した画像データに基づいて、印刷データを生成する動作を示している。このような動作は、例えば印刷データ生成動作である。
図6(a)において、時刻t1aは、画像形成装置100の主電源スイッチがONされた時刻である。時刻t2aは、画像読取装置112が用紙等に印刷された画像の読み取りを開始した時刻であり、時刻t3aは、画像読取装置112が用紙等に印刷された画像の読み取りを終了した時刻である。時刻t4aは、印刷装置111が印刷を開始した時刻であり、時刻t5aは、印刷装置111が印刷を終了した時刻である。
時刻t1a〜t2aの期間は、CPU121が画像形成装置100の初期化動作等を実行し、CPU121の表面温度が最も高くなっている。従ってこの期間には、伝熱スイッチ250bは、CPU121に対応するヒートパイプ210bが高熱伝導シート211に接続する状態にする。伝熱スイッチ250a、250c、及び250dは、ヒートパイプが高熱伝導シート211に接続しない状態にする。
時刻t2a〜t3aの期間は、画像読取装置112が読み取った画像データがメモリユニット122に記憶され、メモリユニット122の表面温度が最も高くなっている。従ってこの期間には、伝熱スイッチ250cは、メモリユニット122に対応するヒートパイプ210cが高熱伝導シート211に接続する状態にする。伝熱スイッチ250a、250b、及び250dは、ヒートパイプが高熱伝導シート211に接続しない状態にする。
時刻t3a〜t4aの期間は、CPU121が読み取った画像データを印刷装置111に転送する処理等を実行し、CPU121の表面温度が最も高くなっている。従ってこの期間には、伝熱スイッチ250bは、CPU121に対応するヒートパイプ210bが高熱伝導シート211に接続する状態にする。伝熱スイッチ250a、250c、及び250dは、ヒートパイプが高熱伝導シート211に接続しない状態にする。
時刻t4a〜t5aの期間は、画像処理制御ユニット114が読み取った画像データから印刷データを生成する処理等を実行し、画像処理制御ユニット114の表面温度が最も高くなっている。従ってこの期間には、伝熱スイッチ250aは、画像処理制御ユニット114に対応するヒートパイプ210aが高熱伝導シート211に接続する状態にする。伝熱スイッチ250b、250c、及び250dは、ヒートパイプが高熱伝導シート211に接続しない状態にする。
一方、図6(b)において、時刻t1bは、画像形成装置100の主電源スイッチがONされた時刻である。時刻t2bは、画像形成装置100が画像データを受信し、CPU121が制御ASIC130を制御し、印刷データの生成を開始した時刻である。時刻t3bは、印刷データの生成が終了した時刻である。
時刻t1b〜t2bの期間は、CPU121が画像形成装置100の初期化動作等を実行し、CPU121の表面温度が最も高くなっている。従ってこの期間には、伝熱スイッチ250bは、CPU121に対応するヒートパイプ210bが高熱伝導シート211に接続する状態にする。伝熱スイッチ250a、250c、及び250dは、ヒートパイプが高熱伝導シート211に接続しない状態にする。
時刻t2b〜t3bの期間は、制御ASIC130が印刷データの生成のために駆動されるため、制御ASIC130の表面温度が最も高くなっている。従ってこの期間には、
伝熱スイッチ250dは、制御ASIC130に対応するヒートパイプ210dが高熱伝導シート211に接続する状態にする。伝熱スイッチ250a、250b、及び250cは、ヒートパイプを高熱伝導シート211に接続しない状態にする。
上記のように、各熱源の発熱量は時間変化し、時間変化は画像形成装置100の行う動作により異なる。図6に示されているような動作に伴う各熱源の温度の時間変化は、温度プロファイルとして、メモリユニット122等に記憶されている。伝熱スイッチ250a〜250dによる接続する状態と、接続しない状態の切り替えは、このような温度プロファイルに基づき、制御され、実施される。
図7は、本実施形態に係る制御マイコン200の構成要素を機能ブロックで示す図である。図7において、太実線の矢印は電力の伝達を示す電力ラインを表し、細実線の矢印は制御マイコン200に入出力する電気信号を表す。
尚、図7に示される制御マイコン200の機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部又は一部を、任意の単位で機能的又は物理的に分散・結合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、制御マイコン200の有するCPU231にて実行されるプログラムにて実現され、或いはワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
図7において、制御マイコン200は、動作モード検知部201と、蓄電量判定部202と、蓄電制御部203と、給電制御部204と、動作検知部205と、記憶部206と、時刻取得部207と、切替制御部208とを有する。
動作モード検知部201は、CPU121から省電力モード移行通知信号を受信して画像形成装置100の省電力モードへの移行を検知する。また動作モード検知部201は、圧板検知センサ215、給紙センサ216、又は主電源スイッチ217から電源オンモード移行通知信号を受信して電源オンモードへの移行を検知する。さらに動作モード検知部201は、主電源スイッチ217から電源オフモード移行通知信号を受信し、電源オフモードへの移行を検知する。動作モード検知部201は、検知結果を蓄電制御部203、又は給電制御部204に出力する。
蓄電量判定部202は、省電力モード時において、蓄電デバイス108の蓄電量を検知して被給電対象への給電元を、PSU107にするか、蓄電デバイス108にするかを判定し、結果を給電制御部204に出力する。
蓄電制御部203は、省電力モードへの移行が検知された場合に、蓄電デバイス108を給電モードにするための電気信号を切替回路220に出力する。また蓄電制御部203は、電源オンモードへの移行が検知された場合に、蓄電デバイス108を蓄電モードにするための電気信号を切替回路220に出力する。
給電制御部204は、省電力モードへの移行が検知された場合に、給電元を蓄電デバイス108にするための電気信号を切替回路220に出力する。また給電制御部204は、電源オンモードへの移行が検知された場合に、給電元をPSU107にするための電気信号を切替回路220に出力する。さらに給電制御部204は、省電力モードへの移行が検知された場合において、蓄電デバイス108の蓄電量が規定値以下の場合に、給電元をPSU107にするための電気信号を切替回路220に出力する。
動作検知部205は、画像形成装置100の動作を検知する。画像形成装置100の動作は、例えば、図6に示したようなコピー動作、印刷データ生成動作等である。動作検知部205は、操作入力装置102に対するユーザの操作や、外部装置からの画像データの受信を検知すること等により、画像形成装置100の実施する動作を検知し、検知結果を切替制御部208に出力する。
記憶部206は、画像形成装置100の動作毎の各熱源の温度の時間変化を、温度プロファイルとして記憶する。記憶部206は、例えばメモリユニット122等により実現される。温度プロファイルは、伝熱スイッチ250a〜250dそれぞれによる、ヒートパイプと高熱伝導シート211とが「接続する状態」と「接続しない状態」の切り替えを、切替制御部208が制御する際に用いられる。
時刻取得部207は、時刻データを取得する。時刻取得部207は、画像形成装置100が備えるタイマー等により実現される。
切替制御部208は、伝熱スイッチ250a〜250dのそれぞれによる、ヒートパイプと高熱伝導シート211とが「接続する状態」と「接続しない状態」の切り替えを制御する。切替制御部208は、動作検知部205が検知した画像形成装置100の実施する動作に基づき、記憶部206を参照して温度プロファイルを取得する。切替制御部208は、時刻取得部207が取得する時刻と、温度プロファイルに従って、伝熱スイッチ250a〜250dそれぞれによる、ヒートパイプと高熱伝導シート211とが「接続する状態」と「接続しない状態」の切り替えを制御する。
例えば図6(a)の例において、切替制御部208は、時刻t1a〜t2aの期間には、伝熱スイッチ250bを「接続する状態」に切り替えさせ、伝熱スイッチ250a、250c、及び250dをそれぞれ「接続しない状態」に切り替えさせる。時刻t2a〜t3aの期間には、伝熱スイッチ250cを「接続する状態」に切り替えさせ、伝熱スイッチ250a、250b、及び250dをそれぞれ「接続しない状態」に切り替えさせる。時刻t3a〜t4aの期間には、伝熱スイッチ250bを「接続する状態」に切り替えさせ、伝熱スイッチ250a、250c、及び250dをそれぞれ「接続しない状態」に切り替えさせる。時刻t4a〜t5aの期間には、伝熱スイッチ250aを「接続する状態」に切り替えさせ、伝熱スイッチ250b、250c、及び250dをそれぞれ「接続しない状態」に切り替えさせる。
尚、図7に示されている制御マイコン200の有する機能は、画像形成装置100の備えるCPUやワイヤードロジックによるハードウェアにより実現されてもよい。
図8は、本実施形態に係る画像形成装置100による発電及び蓄電動作の一例を示すフローチャートである。
先ず、画像形成装置100は、主電源スイッチがオンされる等の要因により、電源オンモードに移行し、動作モード検知部201は、電源オンモードへの移行を検知する(ステップS801)。
次に、蓄電制御部203は、蓄電デバイス108を蓄電モードにするための電気信号を切替回路220に出力する。切替回路220は、発電部による電力を蓄電デバイス108に蓄電する蓄電モードに切り替える(ステップS803)。
次に、動作検知部205は、操作入力装置102に対するユーザの操作や、外部装置からの画像データの受信を検知すること等に基づき、画像形成装置100の実施する動作を検知し、検知結果を切替制御部208に出力する(ステップS805)。
次に、切替制御部208は、動作検知部205の検知結果に基づき、記憶部206を参照して温度プロファイルを取得する(ステップS807)。
時刻取得部207は、時刻データを取得する(ステップS809)。時刻取得部207は、例えば画像形成装置100の備えるタイマーから現在時刻を取得する。また時刻取得部207は、予めメモリユニット122に記憶しておいた主電源スイッチ217がオンされた時刻を、メモリユニット122を参照して取得する。時刻取得部207は、両者の差分から、主電源スイッチ217がオンされた時刻からの経過時間を取得することができる。
切替制御部208は、温度プロファイルに基づき、経過時間毎で、表面温度が最も高温になる熱源の伝熱スイッチを「接続する状態」に切り替えさせ、それ以外の熱源の伝熱スイッチを「接続しない状態」に切り替えさせる(ステップS811)。
画像形成装置100の動作に応じて熱源が駆動され、駆動に伴い熱源が発熱する(ステップS813)。
次に、ゼーベック素子212は、ヒートパイプ210a〜210d、及び高熱伝導シート211により集熱された熱源の熱を熱電変換し、電力を生じさせる(ステップS815)。尚、この場合、ヒートパイプ210a〜210dのうち、伝熱するのは、伝熱スイッチにより伝熱可にされたヒートパイプである。
次に、DC/DCコンバータ214は、ゼーベック素子212が生じさせた電力を一定電圧に昇圧する。尚、昇圧する電圧は予め規定されており、DC/DCコンバータ214は、制御マイコン200による制御の下、一定電圧に昇圧する(ステップS817)。
次に、蓄電デバイス108は、DC/DCコンバータ214の出力を蓄電する(ステップS819)。
次に、動作モード検知部201は、画像形成装置100の動作モードが省電力モードに移行したかを検知する(ステップS821)。
省電力モードに移行された場合(ステップS821、Yes)、発電及び蓄電動作は終了する。一方、省電力モードに移行しない場合は(ステップS821、No)、ステップS805に戻り、各動作が継続される。
以上のように発電及び蓄電動作が行われることで、熱源の発する熱が熱電変換され、発電された電力が蓄電デバイス108に蓄電される。
続いて図9は、本実施形態に係る画像形成装置100による給電動作の一例を示すフローチャートである。
先ず、画像形成装置100が一定期間、操作がされない等の要因により、省電力モードに移行する(ステップS901)。
次に動作モード検知部201が省電力モードへの移行を検知する(ステップS903)。
次に、蓄電制御部203は、蓄電デバイス108を給電モードにするための電気信号を切替回路220に出力する。切替回路220は、蓄電制御部203からの電気信号に応じて、蓄電デバイス108を給電モードに切り替える(ステップS905)。
次に、蓄電量判定部202は、蓄電デバイス108の蓄電量が規定値以上かを検知する(ステップS907)。
蓄電デバイス108の蓄電量が規定値以上の場合(ステップS907、Yes)、蓄電量判定部202は、給電元を蓄電デバイス108と判定し、判定結果を給電制御部204に出力する。給電制御部204は、判定結果に応じ、被給電対象への給電元を蓄電デバイス108に切り替えるための電気信号を切替回路220に出力する。切替回路220は、給電制御部204からの電気信号に応じて給電元を蓄電デバイス108に切り替える(ステップS909)。
次に、蓄電デバイス108は、給電を行う(ステップS911)。
次に、動作モード検知部201は、画像形成装置100の動作モードが電源オンモードに移行するかを検知する(ステップS913)。
電源オンモードに移行する場合(ステップS913、Yes)、給電制御部204は、給電元をPSU107に切り替えるための電気信号を切替回路220に出力する。切替回路220は、給電制御部204からの電気信号に応じて給電元をPSU107に切り替える(ステップS915)。一方、電源オンモードに移行しない場合(ステップS913、No)、ステップS907に戻る。
次に、蓄電制御部203は、蓄電デバイス108を蓄電モードにするための電気信号を切替回路220に出力する。切替回路220は、蓄電制御部203からの電気信号に応じて、蓄電デバイス108を蓄電モードに切り替える(ステップS917)。
次に、画像形成装置100は、電源オンモードに移行する(ステップS919)。
ステップS807に戻り、蓄電デバイス108の蓄電量が規定値より小さい場合(ステップS907、No)、蓄電量判定部202は、給電元をPSU107と判定し、判定結果を給電制御部204に出力する。給電制御部204は、判定結果に応じ、被給電対象への給電元をPSU107に切り替えるための電気信号を切替回路220に出力する。切替回路220は、給電制御部204からの電気信号に応じて給電元をPSU107に切り替える(ステップS921)。
次に、PSU107は、給電を行う(ステップS923)。
次に、動作モード検知部201は、画像形成装置100の動作モードが電源オンモードに移行するかを検知する(ステップS925)。
電源オンモードに移行する場合(ステップS925、Yes)、ステップS917に移る。一方、電源オンモードに移行しない場合(ステップS925、No)、ステップS823に戻り、PSU107による給電が継続される。
以上のように給電動作が行われることで、蓄電デバイス108、又はPSU107から被給電対象に給電される。
以上説明してきたように、本実施形態では、複数の熱源の熱を、ヒートパイプ210a〜210dで伝熱して高熱伝導シート211で集熱し、集熱した熱から1つの熱電変換部により電力を生じさせる。複数の熱源に対し、熱電変換部を1対1で配設せず、1つに集熱してから熱電変換するため、複数の熱電変換部による電力を組み合わせたり、配分したりする必要がない。また蓄電デバイス周りに、熱電変換部に応じた複数の回路を設ける必要もない。従って、このような追加の機能や構成による電力の消費を抑制することができ、発電及び蓄電の効率を向上させることができる。
また、本実施形態では、画像形成装置100の実施する動作に応じて、切替制御部208は、最も高温に発熱する熱源の伝熱スイッチを、ヒートパイプと高熱伝導シート211とが「接続する状態」に切り替えさせ、最も高温に発熱する熱源以外の熱源の伝熱スイッチを「接続しない状態」に切り替えさせる。これにより、最も高熱を発する熱源が発する熱が、相対的に低い熱源に伝熱されて高熱伝導シート211の温度が低下することを防ぐことができる。高熱伝導シート211の温度低下を防ぐことで、ゼーベック素子212による熱電変換効率(発電効率)を向上させることができる。
本実施形態では、画像形成装置100が電源オンモードの場合に、複数の熱源の発熱を利用して蓄電デバイス108に蓄電し、画像形成装置100が省電力モードの場合に、蓄電デバイス108から被給電対象に給電する。これにより廃熱を利用して省電力化を図ることができる。
本実施形態では、画像形成装置100が省電力モードの場合において、蓄電デバイス108に規定値以上の蓄電量がある場合に、蓄電デバイス108から被給電対象に給電する。蓄電デバイス108に規定値以上の蓄電量がない場合には、PSU107から被給電対象に給電する。これにより省電力モード時に、被給電対象への供給電力が不足することを防止することができる。
本実施形態では、複数の熱源による発熱を、高熱伝導シート211で集熱することにより、ゼーベック素子212との接触する箇所の熱分布を抑制し、熱分布による熱電変換効率の低下を抑制することができる。
本実施形態では、複数の熱源による発熱を、ヒートパイプ210a〜210dにより伝熱する。ヒートパイプ210a〜210dは狭小なスペースにレイアウトできるため、例えば熱電変換部から離れた位置に配置された熱源の熱を伝熱する場合等に、伝熱及び集熱のための構成のレイアウトが容易になる。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る画像形成装置の一例を説明する。尚、第1の実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部分についての説明は省略する場合がある。
図10は、本実施形態に係る画像形成装置100aの発電及び蓄電のためのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置100aは、熱電変換回路300aを有し、熱電変換回路300aは、電流センサ252a〜252dを有する。電流センサ252aは、画像処理制御ユニット114に流れる負荷電流を検出し、検出値を示す信号を制御マイコン200aに出力する。同様に、電流センサ252bは、CPU121に流れる負荷電流を検出し、検出値を示す信号を制御マイコン200aに出力する。電流センサ252cは、メモリユニット122に流れる負荷電流を検出し、検出値を示す信号を制御マイコン200aに出力する。電流センサ252dは、制御ASIC130に流れる負荷電流を検出し、検出値を示す信号を制御マイコン200aに出力する。
図11は、本実施形態に係る画像形成装置100aの有する制御マイコン200aの構成要素を機能ブロックで示す図である。制御マイコン200aは、記憶部206aと、高温熱源特定部209を有する。
記憶部206aは、伝熱スイッチ250a〜250dによる切替を判定するための、各熱源を流れる電流量の閾値を記憶する。
高温熱源特定部209は、電流センサ252a〜252dから各熱源を流れる負荷電流量を示す信号を入力する。また高温熱源特定部209は、記憶部206aを参照し、電流量の閾値を取得する。高温熱源特定部209は、電流センサ252a〜252dからの入力信号と閾値を比較することで、閾値以上の電流量が流れる熱源を特定することができる。
高温熱源特定部209は、閾値以上の電流量が流れる熱源を示す信号を切替制御部208に出力し、切替制御部208は入力信号の示す熱源の伝熱スイッチを、ヒートパイプと高熱伝導シート211とが「接続する状態」に切り替えさせる。また切替制御部208は入力信号の示す熱源以外の熱源の伝熱スイッチを「接続しない状態」に切り替えさせる。尚、閾値は、「所定値」の一例である。
このように本実施形態では、熱源を流れる負荷電流量が閾値以上かを判定することで、表面温度が高い熱源を特定し、表面温度が高い熱源の伝熱スイッチを、ヒートパイプと高熱伝導シート211とが「接続する状態」にし、それ以外の熱源の伝熱スイッチを「接続しない状態」にする。これにより、高熱を発する熱源を正確に特定し、高熱を発する熱源の発する熱が、相対的に低い熱源に伝熱されて高熱伝導シート211の温度が低下することを防ぐことができる。高熱伝導シート211の温度低下を防ぐことで、ゼーベック素子212による熱電変換効率を向上させることができる。
尚、これ以外の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
尚、図11に示されている制御マイコン200aの有する機能は、画像形成装置100aの備えるCPUやワイヤードロジックによるハードウェアにより実現されてもよい。
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態に係る画像形成装置の一例を説明する。尚、第1〜2の実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部分についての説明は省略する場合がある。
本実施形態に係る伝熱スイッチは、サーモスタットを含んでいる。ここでサーモスタットとは、所定の温度に達した場合に、接点が自動的に開閉する機器である。より詳しくは、例えば、熱膨張係数の異なる2種類以上の金属または合金が接着されて板状に仕上げられ、温度変化に応じて湾曲することで、接点を温度により自動的に開閉するバイメタルサーモスタットである。
本実施形態において、バイメタルサーモスタット等のサーモスタットは、所定の温度に達した場合に、ヒートパイプと高熱伝導シートとが接続する状態と接続しない状態に切り替える。
図12は、本実施形態に係る伝熱スイッチの動作の一例を説明する図である。図12は、図4における伝熱スイッチ250aを正のX方向から負のY方向に向けて視た側面図である。図12では、伝熱スイッチ250aに代えて伝熱スイッチ253aが示されている。伝熱スイッチ253aはバイメタルサーモスタットを含んでいる。
図12(a)では、伝熱スイッチ253aは温度により湾曲しており、一方の端部はヒートパイプ210aに接触し、他方の端部は高熱伝導シート211に接触している。この状態は、ヒートパイプ210aと高熱伝導シート211とが接続し、ヒートパイプ210aから高熱伝導シート211への伝熱ができる状態である。
一方、図5(b)では、伝熱スイッチ253aは湾曲せず、一方の端部はヒートパイプ210aに接触しているが、他方の端部は高熱伝導シート211に接触していない。この状態は、ヒートパイプ210aと高熱伝導シート211とが接続せず、ヒートパイプ210aの熱は、高熱伝導シート211に伝熱できない状態である。
伝熱スイッチ253aが伝熱できる状態と伝熱できない状態を切り替える所定の温度は、バイメタルサーモスタットによる接点温度として実験等で予め求められている。接点温度に到達した場合に、伝熱スイッチが伝熱できる状態になるように、伝熱スイッチ253a〜253dと、ヒートパイプ210a〜210dと、高熱伝導シート211の配置が設定される。尚、接点温度は、「所定の温度」の一例である。
このように、本実施形態では、伝熱スイッチがバイメタルサーモスタット等のサーモスタットを含み、所定の温度に達した場合に、サーモスタットが湾曲等の動作をして、ヒートパイプと高熱伝導シートとが接続する状態と、接続しない状態とを切り替える。これにより、切替制御部を構成に含まなくても、伝熱スイッチにより伝熱できる状態と伝熱できない状態とを切り替えることができ、装置構成を簡略化することができる。
尚、これ以外の効果は、第1〜2の実施形態で説明したものと同様である。
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態に係る画像形成装置の一例を説明する。尚、第1〜3の実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部分についての説明は省略する場合がある。
本実施形態に係る画像形成装置は、熱電変換回路300bを有する。図13は、熱電変換回路300bの構成の一例を説明する図である。図13に示されているように、熱電変換回路300bは、プリント基板260と、伝熱用ビア261とを有する。
プリント基板260は4層構造であり、伝熱用ビア261は各層を貫通して4層を跨ぐようにして設けられる。ここでビアは、多層のプリント基板で層間を接続するメッキ穴であり、伝熱用ビアは、部品が発生する熱を効率よく基板に放熱するために使われるビアである。尚、プリント基板260は、「基板」の一例である。
プリント基板260の一方の面(図13では下側の面)に実装された画像処理制御ユニット114は、ヒートパイプ210aを介して伝熱用ビア261に熱的に接続している。プリント基板260の他方の面(図13では上側の面)には、ヒートパイプ210aと、伝熱スイッチ250aと、高熱伝導シート211が設けられる。ヒートパイプ210aは伝熱用ビア261と伝熱スイッチ250aに、伝熱スイッチ250aはヒートパイプ210aと高熱伝導シート211に、それぞれ熱的に接続している。
画像処理制御ユニット114の発する熱は、伝熱用ビア261を介して、一方の面から他方の面に伝熱され、ヒートパイプ210aと伝熱スイッチ250aを介して、高熱伝導シート211に伝熱され、高熱伝導シート211より集熱される。
このように本実施形態では、伝熱用ビア261を介して伝熱することで、プリント基板260の各面への伝熱を可能にする。従ってプリント基板260の両面に実装されている熱源を1箇所に集熱することができる。プリント基板260の面を有効活用した熱源の実装ができるとともに、実装された熱源の発する熱を発電に有効活用することができる。
上記では、複数の熱源のうち、画像処理制御ユニット114の発熱の伝熱を例に説明したが、他の熱源においても同様である。
尚、これ以外の効果は、第1〜3の実施形態で説明したものと同様である。
[第5の実施形態]
次に、第5の実施形態に係る画像形成装置の一例を説明する。尚、第1〜4の実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部分についての説明は省略する場合がある。
本実施形態に係る画像形成装置は、熱電変換回路300cを有する。図14は、熱電変換回路300cの構成の一例を説明する図である。熱電変換回路300cは、プリント基板270を有する。
プリント基板270は、5層構造であり、うち内部にある1層は耐熱層271である。プリント基板270の表面には、画像処理制御ユニット114が実装されている。ヒートパイプ210aは、一端がプリント基板270の表面において画像処理制御ユニット114に熱的に接続し、他端はプリント基板270の表面で伝熱スイッチ250aに熱的に接続する。ヒートパイプ210aは、一部がプリント基板270の内部に埋め込まれ、プリント基板270の内部において、ヒートパイプ210aの周囲は耐熱層271に包囲されている。伝熱スイッチ250aは、ヒートパイプ210aと高熱伝導シート211に熱的に接続する。
尚、プリント基板270は、「基板」の一例であり、プリント基板270の内部に埋め込まれたヒートパイプ210aの一部は、「伝熱部」の一例である。
例えば、ヒートパイプ210aがプリント基板270の表面に設けられると、ヒートパイプ210aで伝熱される熱が、プリント基板270にも伝熱されてしまい、熱損失が生じる場合がある。またヒートパイプ210aからプリント基板270に伝熱された熱が、プリント基板270に設けられた信号線の温度を上昇させ、ノイズを発生させる場合がある。
本実施形態では、ヒートパイプ210aの一部を、プリント基板270の内部に埋め込み、これを耐熱層で包囲することで、ヒートパイプ210aからプリント基板270への伝熱を抑制する。これにより熱損失を防ぐとともに、プリント基板270に設けられた信号線の温度上昇を防ぐことができる。そして熱電変換効率を向上させ、またプリント基板の信号ノイズを抑制することができる。
尚、これ以外の効果は、第1〜4の実施形態で説明したものと同様である。
また上記では、プリント基板270が、耐熱層271を1層含む5層構造である例を示したが、これには限定されない。5層より多くてもよいし、少なくてもよい。また耐熱層が1層より多くてもよい。また耐熱層の位置は、図14に示されているような、熱源が実装されている側の表面から2層目に限定されることなく、任意の層であってよい。
[第6の実施形態]
次に、第6の実施形態に係る画像形成装置の一例を説明する。尚、第1〜5の実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部分についての説明は省略する場合がある。
本実施形態に係る画像形成装置は、熱電変換回路300dを有する。図15は、熱電変換回路300dの構成の一例を説明する図である。熱電変換回路300dは、プリント基板281〜282と、伝熱用コネクタ291〜292と、伝熱用ハーネス290とを有する。
伝熱用コネクタ291はプリント基板281に設けられ、伝熱用コネクタ292はプリント基板282に設けられている。伝熱用ハーネス290の一端は伝熱用コネクタ291に接続し、他端は伝熱用コネクタ292に接続し、伝熱用コネクタ291と伝熱用コネクタ292は伝熱用ハーネス290を介して熱的に接続されている。
伝熱用コネクタ291〜292は、例えば、熱伝導率の高い素材で作製されたコネクタである。伝熱用コネクタ291〜292は、プリント基板281、又は282に実装された熱源の発する熱を、伝熱用ハーネス290に伝熱し、或いは伝熱用ハーネス290から伝熱される。
伝熱用ハーネス290も同様に、熱伝導率の高い素材で作製されたハーネスである。プリント基板281、又は282の一方の発する熱を、伝熱用ハーネス290を介して他方のプリント基板に伝熱することができる。
熱伝導率の高い素材は、例えばシリコーン系の樹脂、非シリコーン系の樹脂、セラミック、或いはアルミニウム等である。
尚、プリント基板281〜282は、「複数の基板」の一例である。伝熱用ハーネス290は、「伝熱用配線」の一例であり、伝熱用コネクタ291〜292は、「伝熱用接続部材」の一例である。
例えば、電源基板におけるアナログ回路基板と、制御用のデジタル回路基板のように、1つの画像形成装置に、複数のプリント基板が設けられる場合がある。本実施形態では、各プリント基板に設けられた伝熱用コネクタを介して、伝熱用ハーネスにより複数の基板を熱的に接続する。これにより、複数の基板に設けられた各熱源の発熱を1箇所に集熱し、熱電変換することができる。そして複数の基板に設けられた各熱源による多くの発熱を熱電変換し、発電量を増やすことができる。
尚、これ以外の効果は、第1〜4の実施形態で説明したものと同様である。
また上記では、2つのプリント基板に適用する例を示したが、これには限定されず、複数の伝熱用ハーネスを用いて、さらに多くのプリント基板に本実施形態を適用してもよい。
以上、実施形態に係る画像形成装置、及び画像形成方法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。