JP2020008063A - ダストカバー付きインシュレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】水抜き用の排出路の大きさを、インシュレータの径方向の厚肉化を回避しつつ効率的に確保することが可能になる、新規な構造を備えたダストカバー付きインシュレータを提供する。【解決手段】筒状のダストカバー14が上端部分において環状のインシュレータ16に内挿されて組み付けられたダストカバー付きインシュレータ10において、インシュレータ16の内周部分から下方に突出して設けられた側壁部66とダストカバー14の上端部分の周壁部28との間には周方向に延びる水抜き通路98が形成されていると共に、水抜き通路98内の水をダストカバー14の外周側に向けて排出する排出路74が設けられている。【選択図】図2
Description
本発明は、ダストカバーがインシュレータに組み付けられて構成された、サスペンション機構に装着されるダストカバー付きインシュレータに関するものである。
従来から、自動車のサスペンション機構では、ショックアブソーバのピストンロッドを覆うように外挿装着されるダストカバーが用いられている。また、サスペンション機構の上端のスプリングシートによる支持部位には、アッパインシュレータが用いられている。例えば、本出願人は、特開2014−185657号公報(特許文献1)において、ダストカバーをインシュレータに組み付けたダストカバー組立体を提案している。
ところで、スプリングシートの下面へ重ね合わされたインシュレータの装着部分では、スプリングシートの上面から水を速やかに排出するために、スプリングシートとインシュレータの対応する位置にそれぞれ水抜き孔を設けることが望ましい。例えば、特許文献1に記載の如きアッパインシュレータ(16)では、コイルスプリング(74)の内周側に位置せしめられる筒状部(56)において、上方に向かって径方向及び周方向に広がる水抜孔(62)が上下方向に貫通して形成されている。
ところが、アッパインシュレータ(16)の筒状部(56)に対して十分な大きさの水抜孔(62)を形成するには、筒状部(56)の径方向寸法を大きくしなければならず、特に外周側に装着されるコイルスプリングと内周側に装着されるバンプストッパとの間のスペースが小さい車両などでは、十分な大きさの水抜孔(62)を形成することが難しい場合もあった。
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、水抜き用の排出路の大きさを、インシュレータの径方向の厚肉化を回避しつつ効率的に確保することが可能になる、新規な構造のダストカバー付きインシュレータを提供することにある。
本発明の第一の態様は、筒状のダストカバーが上端部分において環状のインシュレータに内挿されて組み付けられたダストカバー付きインシュレータにおいて、前記インシュレータの内周部分から下方に突出して設けられた側壁部と前記ダストカバーの上端部分の周壁部との間には周方向に延びる水抜き通路が形成されていると共に、該水抜き通路内の水を該ダストカバーの外周側に向けて排出する排出路が設けられていることを特徴とするものである。
本態様に従う構造とされたダストカバー付きインシュレータによれば、インシュレータの内周側に位置するダストカバーの周壁部を巧く利用して水抜き通路を構成することができることから、インシュレータを過剰に厚肉にすることなく水抜き通路が形成され得る。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るダストカバー付きインシュレータにおいて、前記排出路が前記インシュレータの前記側壁部を貫通して形成されているものである。
本態様に従う構造とされたダストカバー付きインシュレータによれば、排出路が、インシュレータの側壁部において側方(斜め下方に傾斜した側方を含む)に貫通して形成されることから、ダストカバーの外周側に向けての排出が効果的に実現可能になる。
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係るダストカバー付きインシュレータであって、前記ダストカバーの上端部分の前記周壁部には、前記インシュレータの前記側壁部から内周側へ離れる方向に膨らんで、前記水抜き通路の上方への開口幅を内周側に広げる拡幅部が設けられているものである。
本態様に従う構造とされたダストカバー付きインシュレータによれば、拡幅部の形成位置において水抜き通路の開口幅が大きくされていることから、拡幅部の形成位置においてスプリングシートの水抜き孔を通じて流入した水をより安定して受けることができる。また、スプリングシートに設けられた水抜き孔が、インシュレータよりも内周側に位置する場合でも、拡幅部を設けることで、スプリングシートの水抜き孔からの水を水抜き通路に導くことが可能になる。
本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れか一つの態様に係るダストカバー付きインシュレータにおいて、前記ダストカバーがブロー成形品とされているものである。
本態様に従う構造とされたダストカバー付きインシュレータによれば、ダストカバーがブロー成形により形成されることから、内周側の成形型が必要とされることがなく、形状の自由度が向上され得る。特に、前記第三の態様と組み合わせて、ダストカバーにおいて内周側に膨らむ拡幅部が設けられる場合でも、ブロー成形により容易に製造することができる。
本発明の第五の態様は、前記第一〜第四の何れか一つの態様に係るダストカバー付きインシュレータにおいて、前記水抜き通路が周方向の全周に亘って連続して延びる環状とされているものである。
本態様に従う構造とされたダストカバー付きインシュレータによれば、水抜き通路が環状とされていることから、例えばスプリングシートを通じて流入する水が、水抜き通路内の何れの部分に流入したとしても、排出路を通じてより確実に排出され得る。
本発明に従う構造とされたダストカバー付きインシュレータによれば、従来構造ではインシュレータを上下に貫通して形成されていた水抜き孔(水抜き通路)をインシュレータとダストカバーとの間に設けたことで、インシュレータの過度の厚肉化を必要とすることなく水抜き通路を設けることが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1には、本発明の一実施形態としてのダストカバー付きインシュレータ10が、自動車のサスペンション機構12に装着された状態で示されている。ダストカバー付きインシュレータ10は、図2に組付状態が、また、図3,4に分解状態が示されているように、ダストカバー14とインシュレータとしてのアッパインシュレータ16とを備えている。なお、以下の説明において、上下方向とは、図1中の上下方向を言う。
より詳細には、ダストカバー14は、全体として薄肉の筒状とされており、合成樹脂やエラストマによって形成されている。ダストカバー14を形成する材質は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、例えば熱可塑性樹脂としてのポリプロピレン(PP)にエチレン・プロピレンゴム(EPDM)を混合して分散化させたものが、耐候性や成形性等に優れることから採用されている。尤も、熱可塑性樹脂で形成する場合には、例えばポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂等といった各種の熱可塑性エラストマが何れも採用され得る。また、本実施形態では、ダストカバー14がブロー成形による一体成形品17として形成されているが、ダストカバー14の成形方法としては、何等限定されるものではなく、例えば射出成形など、従来公知の成形方法が採用可能である。
また、ダストカバー14は、軸方向の中間部分に上下方向に延びる蛇腹筒部18を備えている。蛇腹筒部18は、外周側に凸の略横転V字断面で全周に連続する山部20と、外周側に凹の略横転V字断面で全周に連続する主谷部22とが、軸方向上下で交互に連設されて各複数が設けられた構造とされている。さらに、山部20の外周端部分(頂点部分)には、外周側に開口する副谷部24が形成されている。すなわち、一つの山部20が副谷部24で分断されており、一つの山部20において副谷部24を挟んだ両側に一対の小山部20aが形成されている。副谷部24は、外周側に凹の略横転V字断面で全周に連続しており、主谷部22よりも狭幅且つ浅底とされている。このように、主谷部22と副谷部24とがそれぞれ互いに異なる深さで形成されて、内周端が径方向で互いにずれて位置せしめられていることで、蛇腹筒部18の収縮時にこれら主谷部22および副谷部24の内周端が軸方向で重なり合うのが回避されて、蛇腹筒部18の最収縮状態での軸方向寸法が小さくされている。
また、ダストカバー14における蛇腹筒部18の軸方向上方、即ちダストカバー14の上端部分には、後述するアッパインシュレータ16との組付時においてアッパインシュレータ16に係合する係合用筒部26が設けられている。係合用筒部26は、全体として略ストレートに延びる略円筒形状とされており、周方向に延びる周壁部28を備えている。なお、本実施形態では、蛇腹筒部18の中心軸方向と係合用筒部26の中心軸方向とが相互に異ならされており、上下方向に延びる蛇腹筒部18に対して係合用筒部26が傾斜して延びている。また、係合用筒部26の上端面は、係合用筒部26の軸直角方向に対して傾斜する方向に広がっており、図4に示される縦断面において図4中の左方から右方に向かって、係合用筒部26の高さ寸法(蛇腹筒部18から係合用筒部26の上端面までの寸法)が次第に大きくなるようにされている。
そして、かかる係合用筒部26の下側部分が、実質的にアッパインシュレータ16と係合する係合部分30とされている。この係合部分30は、その外周面が、アッパインシュレータ16の内周面と略対応する形状とされているとともに、その下端部、即ち係合用筒部26の下端部には、外周側に開口する係合溝32が形成されて、蛇腹筒部18の上端に連設されている。本実施形態では、かかる係合溝32が、周方向の全周に亘って連続して延びる環状溝とされている。なお、係合用筒部26の外径寸法は、蛇腹筒部18の外径寸法(即ち、山部20と主谷部22との中間部分における平均的な外径寸法)と略等しくされており、略一定とされたダストカバー14の外径寸法が、係合溝32の形成位置において係合溝32の溝深さ寸法分だけ小さくされている。
一方、係合用筒部26の上側部分は、アッパインシュレータ16に重ね合わされて取り付けられるスプリングシートとしてのアッパスプリングシート34と対応する形状とされた対応部分36とされている。特に、係合用筒部26の上端部(即ち、対応部分36の上端部)は、アッパスプリングシート34との装着状態において、アッパスプリングシート34と突き合わされる突合せ部38とされている。
本実施形態では、突合せ部38において、上方に突出する泥水遮断部40が設けられている。この泥水遮断部40は、周上で部分的に設けられており、本実施形態では、略台形とされて、上方に向かって幅寸法が次第に小さくなるようになっている。特に、本実施形態では、周上で複数の泥水遮断部40が設けられている。このように、上方に突出する泥水遮断部40が設けられることで、アッパスプリングシート34の水抜き孔42を通じて流入した水や後述する水抜き通路98内を流動する水が飛び跳ねて、ダストカバー14内に浸入することが防止され得る。
また、かかる突合せ部38において、泥水遮断部40を周方向で外れた位置には、外周側に開口する(内周側に突出する)内周凹部44が設けられている。すなわち、内周凹部44の形成位置において、係合用筒部26の外径寸法および内径寸法が、他の部分に比べて小さくされている。本実施形態では、内周凹部44の軸方向寸法(係合用筒部26の中心軸方向における寸法)が係合用筒部26の軸方向寸法よりも小さくされており、内周凹部44の底壁面46が、係合用筒部26の外周面から連続して延びている。特に、本実施形態では、内周凹部44の底壁面46が、上方になるにつれて次第に内周側に傾斜する傾斜面とされている。また、内周凹部44の内面を構成する両側面48,48は、底壁面46と係合用筒部26の外周面とを滑らかに接続する湾曲面とされている。本実施形態では、かかる内周凹部44が、周上で複数設けられており、特に本実施形態では、かかる内周凹部44が、泥水遮断部40の周方向一方または両方に隣接して設けられている。
また、本実施形態では、係合用筒部26における泥水遮断部40および内周凹部44を周方向で外れた位置において、内周側に突出して係合用筒部26の中心軸方向に延びる補強部50が設けられている。かかる補強部50は、係合用筒部26において外径寸法と内径寸法を小さくすることで形成されており、略三角断面形状をもって、周上の適切な箇所に複数設けられている。
また、図2〜4に示されるように、蛇腹筒部18の軸方向下方、即ちダストカバー14の下端部分には、嵌合筒部52が形成されている。嵌合筒部52は、略円筒形状とされており、軸方向の中間部分において内周面に開口する周溝54が形成されている。更に、当該周溝54の下方、即ち嵌合筒部52の下端部には、下方に向かって次第に大径となるテーパ筒部56が設けられている。
さらに、嵌合筒部52の周上には、複数の屈曲部58が形成されている。屈曲部58は、外周側へ突出して内周側へ開口する山形断面をもって、軸方向に略直線的に延びており、周上で略均等に設けられた4つの主変形部60,60,60,60と、それら主変形部60の周方向間に周上で略均等に設けられた4つの副変形部62,62,62,62とによって、構成されている。なお、主変形部60は、外周側への突出寸法が副変形部62よりも大きくされていると共に、突出先端部の角度が副変形部62よりも小さくされている。
一方、アッパインシュレータ16は、図1〜4に示すように、環状のゴム弾性体であって、略円環板形状とされたスプリング受部64の内周部分から下方に突出する筒状の側壁部66が一体で形成されている。本実施形態では、スプリング受部64の上面において、径方向中間部分から内周側に延びる水抜き溝68が形成されており、当該水抜き溝68が、スプリング受部64の内周端まで延びて内周側に開放されている。これにより、スプリング受部64の上側の空間と内周側の空間とが、水抜き溝68を通じて相互に連通されている。特に、本実施形態では、図1に示されるように、アッパスプリングシート34に設けられた水抜き孔42と、かかる水抜き溝68とが、上下方向で部分的に重なっており、アッパスプリングシート34の上側の外部空間とスプリング受部64の内周側の空間とが、これら水抜き孔42および水抜き溝68を通じて相互に連通されている。なお、かかる水抜き溝68の個数や形状は何等限定されるものではなく、複数設けられて相互に連通されていてもよいし、直線状や屈曲あるいは湾曲形状であってもよい。
また、本実施形態では、アッパインシュレータ16の側壁部66が、下方になるにつれて次第に小径となるテーパ筒形状とされている。ここで、当該側壁部66の内周面には、略環状の段差面70が設けられており、当該段差面70よりも下方が上方に比して厚肉とされている。また、かかる段差面70は、アッパインシュレータ16の軸直角方向に対して傾斜する方向に広がっており、図4に示される縦断面において、アッパインシュレータ16の下端から段差面70までの高さ寸法が、図4中の左方から右方に向かって次第に大きくなるようにされている。
さらに、アッパインシュレータ16の側壁部66の下端には、図1〜4に示すように、環状部材72が設けられている。環状部材72は、アッパインシュレータ16よりも硬質の材料で形成されており、本実施形態では、金属や硬質の合成樹脂、硬質のゴム等で形成されたリング状の部材によって構成されている。かかる環状部材72は、側壁部66の下端に全周に亘って固着されており、所定の径方向幅寸法を有して、環状部材72の内周面が、側壁部66の内周面よりも内周側に突出している。なお、当該環状部材72の厚さ寸法は、ダストカバー14の係合用筒部26における係合溝32の上下方向寸法(溝幅寸法)と略等しいか僅かに小さくされており、ダストカバー14とアッパインシュレータ16との組付時において、環状部材72が係合溝32に嵌め入れられるようになっている。なお、環状部材は、側壁部とは別体で形成されて、側壁部の成形時にインサートされたり、後固着されることにより一体的に設けられてもよいし、例えば、2色成形などによって予め一体で形成されるようにしてもよい。また、環状部材は、周方向の全周に亘って連続するリング状の他、例えば周方向の全周に亘って断続的に形成されてもよい。
ここにおいて、側壁部66における段差面70よりも下方には、厚さ方向で貫通する貫通孔74が形成されており、本実施形態では、当該貫通孔74が略矩形状断面を有して、周上で部分的に形成されている。特に、本実施形態では、かかる貫通孔74において、側壁部66の外周面から内周面に向かって、開口面積が次第に大きくなるようになっており、貫通孔74の内周側の開口部は、段差面70よりも上方まで至っている。また、本実施形態では、周上で複数の貫通孔74が設けられている。特に、本実施形態では、アッパインシュレータ16の側壁部66における貫通孔74と、ダストカバー14の係合用筒部26における内周凹部44とが、周上の対応する位置に形成されている。
このような構造とされたアッパインシュレータ16に対して、ダストカバー14が内挿されて組み付けられる。すなわち、ダストカバー14における係合用筒部26を弾性変形させつつ、アッパインシュレータ16に設けられた環状部材72をダストカバー14の係合溝32に嵌め入れることにより、図1,2に示されるように、ダストカバー14の上端部分がアッパインシュレータ16の内周側に組み付けられて支持されており、もって、本実施形態のダストカバー付きインシュレータ10が構成されている。
かかる構造とされたダストカバー付きインシュレータ10は、例えば図1に示すように、自動車のサスペンション機構12に取り付けられる。すなわち、ダストカバー14の蛇腹筒部18が、サスペンション機構12を構成するショックアブソーバ76のピストンロッド78を取り囲むように外挿されると共に、アッパインシュレータ16が、ピストンロッド78に取り付けられるアッパスプリングシート34に重ね合わされる。なお、アッパスプリングシート34の内周部分はアッパインシュレータ16の内周側に入り込んで、ダストカバー14上端の突合せ部38に突き合わされている。更に、アッパインシュレータ16のスプリング受部64にはサスペンション機構12を構成するコイルスプリング80の上端部が下方から押し当てられており、コイルスプリング80の上端部にはアッパインシュレータ16が配されていると共に、コイルスプリング80の弾性によってアッパインシュレータ16がアッパスプリングシート34に押し付けられている。なお、コイルスプリング80の下端部は、ショックアブソーバ76のシリンダ82に固設された図示しない下方のスプリングシートによって支持される。
さらに、シリンダ82に設けられた図示しない係止爪が、ダストカバー14の嵌合筒部52に形成された周溝54に対して、嵌合筒部52の開口部から嵌め入れられる。これにより、ダストカバー14は、その上端部がアッパインシュレータ16およびアッパスプリングシート34を介してピストンロッド78に取り付けられるとともに、下端部がシリンダ82に取り付けられるようになっている。なお、かかるピストンロッド78の上部には、バウンドストッパ84が外挿されて固着されているとともに、ピストンロッド78の上端の雄ねじ86がストラットマウント88および車両ボデー90に挿通されて、当該雄ねじ86に対してナット92が締結されている。さらに、車両ボデー90の上方には、リバウンドストッパを構成するストッパプレート94が、雄ねじ86に対してナット96が締結されることで固定されている。
ここにおいて、本実施形態では、ダストカバー14の係合用筒部26における外径寸法が、アッパインシュレータ16の側壁部66において厚肉とされた、段差面70よりも下方の部分の内径寸法と略等しくされている。これにより、アッパインシュレータ16に対してダストカバー14を内挿して組み付けることで、係合用筒部26の外周面と側壁部66における段差面70よりも下側部分の内周面とが径方向で重ね合わされるとともに、アッパインシュレータ16とダストカバー14との間には、段差面70を底面として、且つアッパインシュレータ16の側壁部66を外周側の壁部、ダストカバー14の係合用筒部26における周壁部28を内周側の壁部とする水抜き通路98が形成される。かかる水抜き通路98は、上方に開口して周方向に延びており、本実施形態では、周方向の略全周に亘って連続して延びる略環状の通路とされている。
また、本実施形態では、水抜き通路98の内周側の壁部である係合用筒部26の周壁部28において、外周側の壁部であるアッパインシュレータ16の側壁部66から内周側へ離れる方向に膨らんだ(外径寸法が小さくされた)内周凹部44が設けられていることから、当該内周凹部44により、水抜き通路98の上方への開口幅を内周側に広げる拡幅部が形成されている。
以上の如き構造とされた本実施形態のダストカバー付きインシュレータ10では、アッパスプリングシート34の上方の空間が、水抜き孔42および水抜き溝68を通じてアッパインシュレータ16の内周側の空間に連通されている。ここにおいて、アッパインシュレータ16の内周側には、ダストカバー14の上端部分である係合用筒部26との間において、水抜き通路98が設けられていることから、アッパスプリングシート34上の水は、水抜き孔42および水抜き溝68を通じて水抜き通路98内に流動せしめられる。さらに、当該水抜き通路98の外周側の壁部であるアッパインシュレータ16の側壁部66には貫通孔74が形成されていることから、水抜き通路98内の水が、貫通孔74を通じてダストカバー14の外周側へと排出され得る。したがって、本実施形態では、水抜き通路98内の水を排出する排出路が、貫通孔74により構成されている。
すなわち、アッパインシュレータ16の内周側に位置するダストカバー14の係合用筒部26を巧く利用して水抜き通路98を構成することから、より内周側に水抜き通路を設ける場合でも、従来構造のようにアッパインシュレータのみに水抜孔を設ける場合に比べて、アッパインシュレータ16やダストカバー14の内径寸法が過剰に小さくなること、即ちアッパインシュレータ16が径方向に厚肉とされることが回避されて、ダストカバー付きインシュレータ10の内周側に、例えばバウンドストッパ84などを設けるための空間を十分に確保することも可能となる。
特に、本実施形態では、水抜き通路98が、周方向の全周に亘って連続して延びる環状の通路とされていることから、アッパスプリングシート34における水抜き孔42の周方向位置に拘らず水抜き孔42から流入した水を水抜き通路98で受けることができて、更に当該水抜き通路98内の水を貫通孔74から排出することができる。
さらに、本実施形態では、水抜き通路98の内周側の壁部である係合用筒部26の周壁部28において内周側に膨らむ内周凹部44が設けられて、当該内周凹部44により水抜き通路98の開口幅が広げられた拡幅部が構成されていることから、アッパスプリングシート34を通じて流入せしめられた水を水抜き通路98に、より確実に導くことができる。また、アッパスプリングシート34における水抜き孔42が、より内周側に設けられる場合であっても、拡幅部(内周凹部44)において水抜き通路98の開口幅が広げられていることで、より安定してアッパスプリングシート34上の水を水抜き通路98に導くことができる。
更にまた、本実施形態では、ダストカバー14がブロー成形品とされていることから、内周側に膨らむ内周凹部44を有する形状も、内型の脱型などを考慮することなく容易に設定することができる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものでない。たとえば、前記実施形態では、排出路としての貫通孔74が略矩形断面をもって側壁部66の下方部分に形成されていたが、断面形状や大きさなどは何等限定されるものではなく、略円形(楕円や半円、長円などを含む)や多角形状など各種形状が採用され得るし、周方向における貫通孔74の位置や数なども限定されるものでない。
また、前記実施形態では、水抜き通路98が周方向の全周に亘って連続する環状とされていたが、環状の空間が径方向に広がる仕切壁で仕切られることなどにより、周方向に延びる複数の水抜き通路が形成されてもよい。
さらに、前記実施形態では、排出路として複数の貫通孔74が周上で部分的に形成されていたが、排出路は周方向の全周に亘って連続して延びる環状とされてもよい。かかる場合には、前記実施形態のように排出路を水抜き通路98の外周側の壁部であるアッパインシュレータ16の側壁部66に設けてもよいし、水抜き通路の底壁部に設けてもよい。すなわち、例えば何れも略環状または略筒状とされたダストカバーとインシュレータとを径方向で相互に離隔した状態で配することで、ダストカバーとインシュレータとの間に周方向に延びる水抜き通路を形成して、且つ当該水抜き通路の下方開口部において環状の排出路が形成されるようになっていてもよい。
更にまた、アッパスプリングシートの形状は何等限定されるものではない。また、ダストカバーの係合用筒部に設けられる内周凹部(拡幅部)や泥水遮断部の個数や形状は何等限定されるものではなく、例えばアッパスプリングシートの形状などに応じて適宜設定され得る。なお、前期実施形態では、拡幅部(内周凹部44)が排出路(貫通孔74)と周上の対応する位置に形成されていたが、かかる態様に限定されるものではなく、拡幅部と排出路とは周上の異なる位置に形成されてもよい。さらに、拡幅部が、アッパスプリングシートの水抜き孔と周上の対応する位置に設けられることで、アッパスプリングシートの水抜き孔をより内周側に設けることも可能となるが、かかる態様に限定されるものではなく、拡幅部とアッパスプリングシートの水抜き孔とは周上の異なる位置に設けられてもよい。尤も、これら内周凹部(拡幅部)や泥水遮断部は、本発明において必須なものではないし、例えば内周凹部(拡幅部)と泥水遮断部の何れか一方が周方向の全周に亘って連続して形成されてもよい。
また、前記実施形態では、アッパインシュレータ16の下端に硬質の環状部材72が固着されて、ダストカバー14のアッパインシュレータ16への固定力、ひいては水抜き通路98の底壁部のシール性の向上が図られていたが、かかる環状部材72は本発明において必須ではない。例えば、アッパインシュレータ16とダストカバー14とを後固着することで組み付けることも可能である。
10:ダストカバー付きインシュレータ、14:ダストカバー、16:アッパインシュレータ(インシュレータ)、17:一体成形品、28:周壁部、44:内周凹部(拡幅部)、66:側壁部、74:貫通孔(排出路)、98:水抜き通路
Claims (5)
- 筒状のダストカバーが上端部分において環状のインシュレータに内挿されて組み付けられたダストカバー付きインシュレータにおいて、
前記インシュレータの内周部分から下方に突出して設けられた側壁部と前記ダストカバーの上端部分の周壁部との間には周方向に延びる水抜き通路が形成されていると共に、該水抜き通路内の水を該ダストカバーの外周側に向けて排出する排出路が設けられていることを特徴とするダストカバー付きインシュレータ。 - 前記排出路が前記インシュレータの前記側壁部を貫通して形成されている請求項1に記載のダストカバー付きインシュレータ。
- 前記ダストカバーの上端部分の前記周壁部には、前記インシュレータの前記側壁部から内周側へ離れる方向に膨らんで、前記水抜き通路の上方への開口幅を内周側に広げる拡幅部が設けられている請求項1又は2に記載のダストカバー付きインシュレータ。
- 前記ダストカバーがブロー成形品とされている請求項1〜3の何れか一項に記載のダストカバー付きインシュレータ。
- 前記水抜き通路が周方向の全周に亘って連続して延びる環状とされている請求項1〜4の何れか一項に記載のダストカバー付きインシュレータ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2018128869A JP2020008063A (ja) | 2018-07-06 | 2018-07-06 | ダストカバー付きインシュレータ |
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ID=69151222
Family Applications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111425548A (zh) * | 2020-04-07 | 2020-07-17 | 北京汽车集团越野车有限公司 | 滑柱总成结构及汽车 |
JP2021193000A (ja) * | 2020-06-08 | 2021-12-23 | スズキ株式会社 | 車両用ストラット式サスペンション |
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2018
- 2018-07-06 JP JP2018128869A patent/JP2020008063A/ja active Pending
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CN111425548A (zh) * | 2020-04-07 | 2020-07-17 | 北京汽车集团越野车有限公司 | 滑柱总成结构及汽车 |
JP2021193000A (ja) * | 2020-06-08 | 2021-12-23 | スズキ株式会社 | 車両用ストラット式サスペンション |
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