JP2020006398A - 連続鋳造の圧下方法 - Google Patents

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【課題】連続鋳造において、鋳片の中心偏析を抜本的に低減することのできる、連続鋳造の圧下方法を提供する。【解決手段】連続鋳造中において鋳片を圧下する方法であって、中心固相率が0.8から凝固完了までの高固相率領域31において、直径が350mm以上の圧下ロール対1を連続で2対以上配置して鋳片の圧下を行い、各圧下ロール対1による圧下勾配を5.5mm/min以上とする。好ましくは圧下ロール対1を連続で3対以上配置する。さらに好ましくは、中心固相率が0.3から0.75までの低固相率領域において、圧下勾配が0.8〜1.2mm/minの圧下を行う。これにより、鋳片の中心偏析を抜本的に低減することができる。【選択図】図3

Description

本発明は、連続鋳造における圧下方法であって、連続鋳造プロセスにおける中心偏析の抜本的な低減を目的とする、連続鋳造の圧下方法に関する。
連続鋳造方法によってスラブやブルームなどの鋳片を鋳造する場合に、鋳片の中心部にリンやマンガン等の成分が偏析する、いわゆる中心偏析が発生することがある。
連続鋳造中の凝固末期において、溶鋼の凝固収縮に伴って未凝固溶鋼が最終凝固部の凝固完了点に向かって流動する。溶鋼流動に際して、固液界面の不純物濃化溶鋼が最終凝固部に集積する。これが中心偏析の原因となる。中心偏析を軽減するためには、最終凝固部付近において、溶鋼の凝固収縮量に見合った分だけ凝固シェルを圧下することにより、最終凝固部付近の溶鋼流動を抑えることが有効となる。このような考え方に基づき、連続鋳造末期の凝固完了前においてサポートロールによって鋳片を圧下する軽圧下技術が用いられている。
連続鋳造においては、上記のように凝固収縮を補償する適切な圧下を付与することにより、中心偏析を低減することが可能である。実機では、中心固相率0.8以下の低固相率領域において0.8〜1.2mm/min程度の適正圧下を加える、軽圧下技術が広く適用されている。
特許文献1には、複数本の圧下ロールが組み込まれた、少なくとも1基以上のロールセグメントから構成される軽圧下帯を用いて、凝固末期の鋳片を凝固収縮量相当の圧下量で圧下するにあたり、ロールセグメントの上流側部位と下流側部位との二箇所でロールセグメントの圧下方向の変位を測定し、上流側部位と下流側部位の変位量とが同等になるように、鋳造速度または二次冷却水量を調整する連続鋳造における鋳片の軽圧下方法が提案されている。このように凝固収縮量相当の圧下量で圧下する軽圧下については従来から知られている。
特許文献2には、圧下の割合を0.36〜0.72mm/minとして、中心固相率が流動限界固相率以上の部位まで該圧下を行うことを特徴とするスラブの連続鋳造方法が紹介されている。流動限界固相率以上の部位(中心固相率が0.8以上)においても圧下勾配を変化させていない。
特許文献3は、高炭素鋼ビレットやブルームの連続鋳造において、中心偏析の軽減を目的としたものである。等ピッチで配列された多段圧下ロールを用いて連続鋳造するに際し、最終段圧下ロールによる未凝固溶鋼部断面積の減面率を10〜20%/m、最終段以外2〜4%/mで圧下する技術が紹介されている。最終段圧下ロールは、それより下流の全ての未凝固部溶鋼の凝固収縮量に相当する量の圧下が必要であることから、他の圧下ロールに比較して減面率が大きくなっている。
特許文献4は、少なくとも1対の対向するロール間で圧下しつつ鋼スラブ連続鋳造片を引抜く連続鋳造方法において、該鋳片中心部の固相率が0.1〜0.4となる位置から0.8〜0.9の範囲内となる任意位置に至る領域では、全凝固収縮量を補償するように鋳片を圧下し、上記任意位置以降凝固が完了するまでの高固相率の領域は、鋳片の引抜方向長さ(単位:m)当たりの鋳片厚みに対する圧下量の割合(%)を示す圧下勾配(%/m)が、鋼のC濃度による式で規定される範囲を満足するように圧下する連続鋳造方法が提案されている。しかし、高固相率での圧下勾配が割れ発生のために十分大きく取られていない。
特許文献5には、極厚鋼板を熱間圧延により製造するための素材として用いる鋳片を連続鋳造する方法であって、直径が450mm以上の2対の大圧下ロールを用いるものである。2対の大圧下ロールのロール間隔が3m以上7mまでの範囲で離散配置され、その間にサポートロールが配置されており、1段目の圧下ロールで、鋳片の厚さ中心部の固相率が0.8以上1未満の鋳片を3〜15mm圧下し、さらに、2段目の圧下ロールで、完全凝固後の鋳片を圧下する。
特開2012−11460号公報 特開平06−297125号公報 特開平07−185760号公報 特開平11−77269号公報 国際公開WO2014/203902号
連続鋳造においては、前述のとおり、凝固収縮を補償する適切な圧下を付与することで中心偏析を低減可能であることから、軽圧下技術が広く適用されている。しかし、偏析の抜本的な低減には至っていない。
本発明は、連続鋳造において、鋳片の中心偏析を抜本的に低減することのできる、連続鋳造の圧下方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)連続鋳造中において鋳片を圧下する方法であって、
中心固相率が0.8から凝固完了までの領域(以下「高固相率領域」という。)において、直径が350mm以上の圧下ロール対を連続で2対以上配置して鋳片の圧下を行い、各圧下ロール対による圧下勾配が5.5mm/min以上であることを特徴とする連続鋳造方法。
(2)前記圧下ロール対を連続で3対以上配置して鋳片の圧下を行うことを特徴とする上記(1)に記載の連続鋳造方法。
(3)中心固相率が0.3から0.75までの領域(以下「低固相率領域」という。)において、圧下勾配が0.8〜1.2mm/minの圧下を行い、前記低固相率領域と高固相率領域の間の領域では圧下勾配が0.8mm/min以上の圧下を行うことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の連続鋳造方法。
本発明は連続鋳造を行うに際し、中心固相率が0.8から凝固完了までの高固相率領域において、所定の直径を有する圧下ロール対を用い、所定の圧下勾配で圧下を行うことにより、鋳片の中心偏析を抜本的に低減することができる。
鋳片中心部の体積変化速度に及ぼす、圧下勾配と凝固収縮それぞれの影響について、中心固相率を横軸として描いた図である。 中心固相率0.8以上での圧下勾配と鋳片中心部最大Mn偏析度の関係を示す図である。 高固相率領域における圧下ロール対の配置を示す図であり、(A)は2対、(B)(C)は3対の圧下ロール対を有する場合である。 高固相率領域での圧下ロール対を用いた圧下に加え、低固相率領域で軽圧下を行う状況を示す図である。
連続鋳造中における鋳片の中心固相率の変化について説明する。鋳片の上面側と下面側の液相線が鋳片厚み中心部で接した地点(凝固開始位置)から中心固相率が0より大きくなり、下流側に行くに従って中心固相率が増大する。凝固開始位置より上流側では中心固相率が0である。そして、鋳片の上面側と下面側の固相線が鋳片厚み中心部で接した地点で凝固が完了し、中心固相率が1.0となる。この点を「凝固完了位置」ともいう。凝固完了位置の下流側では、中心固相率は1.0のままである。以下便宜的に、凝固完了位置を「中心固相率が1.0の位置」ということがある。また、中心固相率をfsと表示することがある。
鋳造中の鋳造方向各位置における中心固相率については、連続鋳造中の鋳片厚み方向中心部の温度TCを1次元の伝熱凝固計算によって求めた上で、液相線温度TL、固相線温度TSを用いて下記(1)式で算出することができる。伝熱・凝固計算にあたってはエンタルピー法や等価比熱法などを用いることができる。TC>TLでは中心固相率=0、TS>TCでは中心固相率=1.0となる。
中心固相率=(TL−TC)/(TL−TS) (1)
前述のように、連続鋳造においては、凝固収縮を補償する適切な圧下を付与することにより、中心偏析を低減することが行われている。実機では、中心固相率0.8以下の低い固相率領域において軽圧下を行っており、そのような中心固相率の範囲では、凝固収縮を補償するための軽圧下量は、0.8〜1.2mm/min程度とされている。
本発明においては、中心固相率が0.8以上1.0以下の高固相率領域においても、適正な圧下を行えば、鋳片の中心偏析をより改善できるのではないかと着想した。そして、厚み中心部に未凝固部を有する鋳片の変形解析を行い、高固相率において、凝固収縮を補償する適正な軽圧下量の検討を行った。
圧下効率の評価には、計算対象とする鋳片の厚み中心部の任意の検査体積をとり、圧下前後でのその体積の単位時間あたりの体積変化を表す「中心部の体積変化速度(%/min)」で評価した。
第1に、軽圧下の圧下勾配(mm/min)と中心部の体積変化速度(%/min)との関係について、軽圧下を行う際の中心固相率が及ぼす影響について計算を行った。凝固が進行するにつれて、鋳片中心部と表面の間の温度勾配が小さくなり、表面に同じ圧下量を与えても、鋳片中心部に伝播する歪み量が小さくなり、圧下効率が低下する可能性がある。この点を、本発明者らは、3次元変形解析モデルによって解析した。まず、厚さ200mm×幅400mmの鋳片を鋳造速度0.9m/minでラボ鋳造し、その際の鋳造中温度分布を実測した。そしてその実績温度分布もとに作成した3次元変形解析モデル(解析条件:メッシュサイズ各辺5mm)を用い、圧下ロールのロール直径を450mmとし、圧下勾配を1.6、3.1、4.0、5.5、6.0mm/minの5水準で、鋳片の中心固相率が0.5〜1.0の範囲で圧下効率がどのように変化するかを検討した。
結果を図1に実線の折れ線で示す。図1において、横軸が中心固相率、縦軸が中心部の体積変化速度(%/min)であり、同一の圧下勾配(mm/min)における結果を折れ線で結んでいる。解析の結果、上記5水準の圧下勾配いずれも、凝固が進行して中心固相率が0.5から1.0に増大するに従い、圧下勾配が同一であるにもかかわらず中心部の体積変化速度(%/min)は低下している。すなわち、中心固相率が高くなるにつれて圧下効率が低下していき、最終的に中心固相率1.0では中心固相率0.5のときに比べて圧下効率が約2割低下することが分かった。
第2に、凝固収縮に伴う鋳片中心部の体積変化速度(%/min)について、中心固相率が及ぼす影響について計算を行った。凝固が進行すると凝固潜熱の放出が漸減するため、中心固相率が1.0に近づくにつれ温度下降速度が加速する。この傾向は連続鋳造中の二次冷却の大小によらない。そこで、鋳片中心部の凝固収縮による体積変化速度について、中心固相率が及ぼす影響を算出した。その結果を図1の二重線の折れ線で示す。図1の二重線から明らかなように、凝固が進行して中心固相率が0.5から1.0に増大するに従い、凝固収縮による体積変化速度は固相率0.8を境に勾配が変わり増加する傾向に転じ、固相率1.0の場合、固相率0.5の約3倍となることがわかった。
以上のように、連続鋳造の凝固末期において、中心固相率ごとに軽圧下の圧下勾配と鋳片中心部の体積変化速度との関係が明らかとなり、一方で中心固相率ごとに凝固収縮に伴い鋳片中心部の体積変化速度が明らかとなった。このことから、中心固相率が0.8から1.0の高固相率においては、凝固収縮を補償するための最適な軽圧下の圧下勾配が増大することが明らかとなった。以下、中心固相率が0.8から1.0までの領域を「高固相率領域」と呼ぶ。
そこで次に、これらの知見を踏まえ、凝固末期における最適圧下勾配の検討を以下のように行った。上記第1の圧下による中心部の体積変化速度と、第2の凝固収縮による体積変化速度が一致するように、各中心固相率における圧下勾配を選択していれば適正圧下となる。図1では、中心固相率0.8程度までは、凝固収縮による体積変化速度は圧下勾配が1.6mm/min程度で一致し適正勾配であることが分かる。一方で、中心固相率0.8〜1.0の高固相率領域においては、圧下勾配が4.5mm/min未満では圧下不足となっている可能性がある。
したがって、中心固相率0.8〜1.0の高固相率領域においても、圧下不足とならない圧下勾配は本発明者らの確認結果からは4.5、5.5、6.0mm/min程度の高圧下勾配が適当であることが予想された。
上記知見をもとにラボ連続鋳造装置を用いた実験により確認を行った。実験装置は実機のセグメントによるロール多段圧下を模擬可能な機構を備え、凝固中の鋳片内部温度を直接測温しながら、任意の勾配によるロール圧下を、中心固相率0.3〜凝固完了まで継続して加えることができるものである。鋳片中心固相率が0.8から1.0までの区間の高固相率領域において鋳片の圧下を行い、圧下に際して圧下勾配を種々変化させ、鋳片厚み中心部の最大Mn偏析度に及ぼす影響の評価を行った。Mn偏析評価に当たっては、圧下定常部のセンター部・鋳造方向断面サンプルを対象に、EPMAによるビーム径50μmでMn濃度マッピング分析を実施した。マッピングデータのうち、偏析最悪部を含む2mm幅のラインを設定し、濃度のピーク値Cを測定視野内平均濃度C0で除した値を、最大Mn偏析度C/C0とした。
ラボ連続鋳造装置を用いた評価結果を図2に示す。鋳片中心固相率が0.8から1.0までの区間の高固相率領域において圧下を行い、圧下における圧下勾配を増加させると、鋳片厚み中心部の最大Mn偏析度は減少していくことがわかる。そして、鋳片中心固相率が0.8から1.0の区間における圧下勾配が、鋳片中心固相率が1.0のときの体積変化速度と補償する圧下勾配である4.5mm/minとなったときの最大Mn偏析度は1.15となった。また当該区間での圧下勾配が5.5mm/minで最大Mn偏析度は1.10、さらに、圧下勾配が6.0mm/minでは最大Mn偏析度は1.08まで大きく低減可能であることがわかった。そこで本発明では、中心固相率0.8−1.0の固相率領域(高固相率領域)において、5.5mm/min以上の圧下勾配で圧下を加えることと規定した。
次に、実機連続鋳造装置を用いて、C含有量:0.17質量%の中炭素鋼を用い、鋳造実験を行った。一般的な軽圧下機能を持つ連続鋳造装置に該当する。
連続鋳造装置のロール配置については、図4に示すように、上流側22の固相率が低い側においては通常のサポートロール4によって鋳片を支持しており、サポートロールのロール間隔を順次狭めることによって軽圧下を行うことができる。また、下流側23の固相率が0.8−1.0の領域(高固相率領域31)では、圧下ロール2と圧下ロール3を用いた圧下ロール対1を配置し、圧下を行っている。図3に高固相率領域での圧下ロール対の配置について図示している。図3(A)は圧下ロール対1が2対、(B)(C)は圧下ロール対1が3対配置されている。圧下ロール対1が3対の場合、図3(B)(C)に示すように、上流側22から、第1圧下ロール対11、第2圧下ロール対12、第3圧下ロール対13が配置される。最下流の圧下ロール対の配置位置については、図3(A)(B)は凝固完了位置(中心固相率(fs)=1.0の位置)に配置され、図3(C)は中心固相率が1.0の位置よりも下流側に配置されている。中心固相率が0.3から0.8までの領域と、中心固相率が0.8から1.0までの領域について、それぞれ圧下条件を設定して圧下を行った。
中心固相率が0.8までの領域では、軽圧下条件として、通常用いられている軽圧下勾配の0.8〜1.2mm/minを採用した。図1から明らかなように、この中心固相率領域では、0.8〜1.2mm/minを採用することにより、凝固収縮を補償することができる。この領域での軽圧下は、前述のように通常用いられているサポートロール4を用いており、ロール直径は280mmである。
中心固相率0.8以上1.0以下までの領域(高固相率領域31)の圧下条件については、圧下勾配を種々変更するとともに、圧下ロール(2、3)のロール径についてはφ280mm、φ350mm、φ450mmの3水順とした。圧下ロール対1の数については、2対の場合と3対の場合の2水準で調査を行った。圧下勾配については圧下ロール対1それぞれで定める。n対の圧下ロール対を用いる場合、i番目(i=1〜n)の圧下ロール対1iの圧下勾配Giは、当該ロール対と直前のロール対とのロール間隔差hi(mm)、ロールピッチpi(mm)、鋳造速度V(mm/min)に基づいて、
Gi=(hi/pi)×V (2)
で表される(図3参照)。
また、圧下ロール対の数が2対の場合、3対の場合のいずれも、最も上流側の第1圧下ロール対11の直前のサポートロール4Uは鋳片中心固相率が0.8以下、最も上流側の第1圧下ロール対11は鋳片中心固相率が0.8以上1.0以下、最も下流側の第n圧下ロール対1n(nは圧下ロール対1の数)は凝固完了位置(鋳片中心固相率が1.0)又はそれより下流側の位置に配置されている。圧下ロール対とその上流側直前のロール対との配置を以上のように定めることにより、中心固相率0.8以上1.0以下までの高固相率領域31のいずれの箇所でも、所定の圧下勾配で圧下が実現されることとなる。
鋳片品質については、鋳片厚み中心部の最大Mn偏析度と、内部割れの評価とを行った。最大Mn偏析度評価方法は、前記ラボ連続鋳造装置による試験と同様である。内部割れについては、圧下定常部のセンター部・鋳造方向断面のエッチング面の観察により、目視可能な割れの有無を基準として評価を行った。目視可能な内部割れの全長が5mm以上であれば内部割れ「有り」とし、目視可能な内部割れの全長が5mm以下であれば内部割れ「若干有り」とし、それ以外を「無」とした。
表1にその実施例結果を示す。高固相率領域31において、圧下ロール対1による圧下勾配は、各実施例ごとに、いずれの圧下ロール対においても表1に示す圧下勾配の値を実現している。
Figure 2020006398
中心固相率が0.8から1.0までの高固相率領域の圧下勾配に関しては、本発明で規定する5.5mm/min以上の条件(No.5〜8、13〜24)では、最大Mn偏析度がいずれも1.10以下であって良好な結果を得ることができた。
中心固相率が0.8から1.0までの高固相率領域の圧下ロール(2、3)の直径の影響について、同領域での圧下勾配が5.5mm/min以上の水準(No.5〜8、13〜16、21〜24)に関して対比を行う。圧下ロール直径がφ280mm(No.5〜8)では、最大Mn偏析は1.10以下とはなったが、内部割れが発生した。圧下ロール直径をφ350mm(No.13〜16)とすると、内部割れは改善したが若干有りのものが発生した。圧下ロール直径をφ450mm(No.21〜24)とすると、最大Mn偏析は1.10以下で、かつ、内部割れ皆無で両立することができた。圧下勾配が5.5mm/min以上と大きな圧下勾配を採用していることから、通常の圧下ロール直径では鋳片の内部割れ発生を防止することができないが、圧下ロール直径を350mm以上とすることにより、内部割れの発生を抑えることが可能となった。圧下ロール直径が450mm以上であるとより良好な品質を得ることができる。以上の結果に基づき、圧下ロール直径を350mm以上と規定することとした。表1において、圧下ロール直径と圧下勾配が本発明範囲から外れる数値に下線を付している。
中心固相率が0.8から1.0までの高固相率領域31で圧下を行う圧下ロール対1の数については、最低でも2対とする。圧下ロール対1が1対のみでは本発明の効果を発揮することが難しい。当該領域での圧下ロール対1の数は3対以上であるとより好ましい。
中心固相率が0.8から1.0までの領域で行う圧下の圧下勾配は、10mm/min以下とすると好ましい。10mm/min以下であれば、割れが発生しないことを実験装置で確認しているためである。
中心固相率が0.8以下の固相率が低い領域における好ましい鋳片の圧下条件について説明する。従来から知られているように、固相率が低い領域において、凝固収縮にみあった鋳片の圧下を行うことにより、鋳片の中心偏析が低減することが知られている。固相率が低い領域における中心固相率の範囲では、凝固収縮を補償するための軽圧下量は、0.8〜1.2mm/min程度とされている。本発明においても、中心固相率が0.3から0.75までの領域(低固相率領域32)において、圧下勾配が0.8〜1.2mm/minの圧下を行うことにより、鋳片の中心偏析を低位に保つことが可能となる。中心固相率の下限については、軽圧下が有効となる固相率範囲の一般的な下限であることから定めた。一方、中心固相率が0.75を超えると、圧下勾配の上限が緩和されることから、低固相率領域の上限中心固相率を0.75と定めた。低固相率領域における圧下勾配の範囲については、凝固収縮見合いとされる、一般的な軽圧下適正勾配に準ずるものである。
前記低固相率領域32と高固相率領域31の間の領域(中心固相率が0.75〜0.8の間の領域、以下「遷移固相率領域33」という。)では圧下勾配が0.8mm/min以上の圧下を行えばよい。遷移固相率領域33の圧下勾配の上限は、高固相率領域31と同様、10mm/min以下とすると好ましい。即ち、遷移固相率領域33においては、低固相率領域32と同じ圧下勾配としてもよく、あるいは高固相率領域31と同じ圧下勾配としてもよく、低固相率領域32での圧下勾配(軽圧下)から高固相率領域31での圧下勾配(高圧下)に順次移行する遷移領域としてもかまわない。
1 圧下ロール対
2 圧下ロール
3 圧下ロール
4 サポートロール
5 鋳片
11 第1圧下ロール対
12 第2圧下ロール対
13 第3圧下ロール対
21 鋳造方向
22 上流側
23 下流側
31 高固相率領域
32 低固相率領域
33 遷移固相率領域

Claims (3)

  1. 連続鋳造中において鋳片を圧下する方法であって、
    中心固相率が0.8から凝固完了までの領域(以下「高固相率領域」という。)において、直径が350mm以上の圧下ロール対を連続で2対以上配置して鋳片の圧下を行い、各圧下ロール対による圧下勾配が5.5mm/min以上であることを特徴とする連続鋳造方法。
  2. 前記圧下ロール対を連続で3対以上配置して鋳片の圧下を行うことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造方法。
  3. 中心固相率が0.3から0.75までの領域(以下「低固相率領域」という。)において、圧下勾配が0.8〜1.2mm/minの圧下を行い、前記低固相率領域と高固相率領域の間の領域では圧下勾配が0.8mm/min以上の圧下を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の連続鋳造方法。
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