一般的に言って、より多い数の位置への割り出しが可能な切削インサートは、より少ない数の位置に割り出されるように構成された切削インサートより費用対効果が大きい。それにも拘らず、4つの割り出し可能位置のためにのみ構成され、必要な逃げをもたらすためにおそらく複雑な工具を必要とするが、比較的簡単に製造可能であり、依然としてランピングおよび高送り動作の実施が可能な本出願の主題によるランピング用インサートは、より多数の割り出し可能位置を有する切削インサートまたはより単純な設計を有する工具と競合できると考えられる。
本出願の主題の第1の態様によると、対向する第1および第2のすくい面と、第1および第2のすくい面に接続されたインサート周面と、インサート周面の両側に開口するインサートねじ穴であって、インサートねじ穴軸線を有するインサートねじ穴と、インサート周面と第1および第2のすくい面のうちの対応する一方とが交わる部分に沿って延在する第1および第2の切刃とを備えたランピング用インサートであって、第1および第2の切刃の各々が第1のランピング用副刃と、第1の側方副刃と、第1のランピング用副刃および第1の側方副刃に接続された第1の送り用副刃と、第1の側方副刃に接続された第2のランピング用副刃と、第1のランピング用副刃に接続された第2の側方副刃と、第2のランピング用副刃および第2の側方副刃に接続された第2の送り用副刃とを備え、ランピング用および送り用副刃の各々は側方副刃の各々より長く、各すくい面の最大すくい面長はその第1および第2の側方副刃の間で測定可能であり、ランピング用および送り用副刃の各々は、側方副刃に接近するに伴い収斂し、それぞれがそこに接続される、ランピング用インサートが提供される。
本出願の主題の別の態様によると、ランピング用および送り用副刃を備えたランピング用インサートであって、ランピング用および送り用副刃は側方副刃に接近するに伴い収斂し、そこに接続されるランピング用インサートが提供される。
本出願の主題の更に別の態様によると、その2つの対向するすくい面の各々に、2つのランピング用副刃と、2つの送り用副刃と、2つの側方副刃とを備え、ランピング用および送り用副刃の各々が各側方副刃より長いランピング用インサートが提供される。
本出願の主題の更に別の態様によると、対向する第1および第2のすくい面と、インサート周面と、インサート周面と第1および第2のすくい面の対応する一方とが交わる部分に沿って延在する第1および第2の切刃と、インサート周面の両側に開口するインサートねじ穴とを備えたランピング用インサートであって、インサート周面は第1のランピング用部分面と、第1の側方部分面と、第1のランピング用部分面および第1の側方部分面に接続された第1の送り用部分面と、第1の側方部分面に接続された第2のランピング用部分面と、第1のランピング用部分面に接続された第2の側方部分面と、第2のランピング用部分面および第2の側方部分面に接続された第2の送り用部分面とを備える、ランピング用インサートが提供される。
本出願の主題の別の態様によると、ランピング用副刃と送り用副刃とを備えたランピング用インサートであって、ランピング用副刃は、送り用副刃に近接するその端部に尖ったランピングコーナー部分を備え、送り用副刃は、送り用副刃に近接するその端部に尖った送り用コーナー部分を備える、ランピング用インサートが提供される。
言い換えると、上記態様の何れかによると、ランピング用インサートのランピング用および送り用副刃は、2つの隣接する尖ったコーナー部分を介して接続され得る。
別の態様によると、回転軸線を中心に回転方向に回転するように構成された高送りフライス工具が提供される。この回転軸線は前進および後退方向を規定し、この工具はインサートポケットを備え、インサートポケットはポケット上面を備え、ポケット上面は第1および第2のポケット上面部分面を備え、第1のポケット上面部分面は工具周面に隣接し、そこに接近するに伴い、より前進方向に延在し、第2のポケット上面部分面はポケット側面に隣接し、そこに接近するに伴い、より前進方向に延在する。
別の態様によると、回転軸線を中心に回転方向に回転するように構成された高送りフライス工具が提供される。回転軸線は前進および後退方向を規定し、この工具は、工具端面と、そこから後方に延在する、周方向に延在する工具周面と、工具端面と工具周面とが交わる部分に形成されてそこから後方に延在する溝と、工具端面と工具周面とが交わる部分に形成されたインサートポケットであって、溝に開口するインサートポケットとを備え、インサートポケットは、工具周面から内方に延在するポケット背面であって、回転方向に面するポケット背面と、ポケット背面から溝まで延在するポケット側面であって、外方に面するポケット側面と、工具周面からポケット側面まで内方に延在するポケット上面であって、ポケット背面から溝まで更に延在するポケット上面と、ポケット上面に開口するポケットねじ穴とを備え、ポケット背面は背面当接部分面を備え、ポケット上面は第1および第2のポケット上面部分面を備え、第1のポケット上面部分面は工具周面に隣接し、そこに接近するに伴い、より前進方向に延在し、第2のポケット上面部分面はポケット側面に隣接し、そこに接近するに伴い、より前進方向に延在し、第1および第2のポケット上面部分面は、溝に接近するに伴い、より前進方向に延在する。
更に別の態様によると、第1の態様により得るランピング用インサートと、上記態様により得る工具と、ランピング用インサートを工具のインサートポケットにインサートおよびポケットねじ穴を介して締結するねじとを組み合わせて備えた高送りフライス工具アセンブリが提供される。工具およびランピング用インサートは、インサート周面がポケット側面と第1および第2のポケット上面部分面の各々に当接するように、および第1および第2のすくい面の一方がポケット背面に当接するように、構成される。
別の態様によると、上記の工具態様の何れか1つによる工具と上記の切削インサート態様の何れか1つによる切削インサートとを組み合わせて備える高送りフライス工具アセンブリが提供される。
上記は概要であり、上記態様の何れも以下に記載の特徴の何れでも備え得ることを理解されるであろう。具体的には、以下の特徴は、単独で、または組み合わされて、上記態様の何れにも適用可能であり得る。
A.インサートは、インサート周面と第1および第2のすくい面のうちの対応する一方とが交わる部分に沿って延在する第1および第2の切刃を備え得る。
B.第1および第2の切刃は、第1および第2のすくい面に比べ、中央高さ平面から遠くまで延在し得る。送り用副刃は、少なくとも側方副刃との接続点において、少なくともランピング用副刃と側方副刃との接続点におけるランピング用副刃に比べ、中央高さ平面からより遠くまで延在し得る。各送り用副刃は、中央高さ平面に垂直な単一平面に存在し得る。各ランピング用副刃は、側方副刃との接続点に接近するに伴い中央高さ平面により近付くように、傾斜させられ得る。このような傾斜は、そうでなければそこに形成されることになる相対的に高いすくい角を狭めることによって、側方副刃の強化を助け得る。これにより、側方副刃の機械加工能力を向上させ得る。
C.第1および第2の切刃の各々は、負のランド角α(すなわち、それぞれの切刃からインサートの対応するすくい面までの内方−下方方向への傾斜)を有し得る。負のランドは、少なくとも高送り肩削り動作のために好都合であると考えられる。
D.インサートは、対向する第1および第2のすくい面を備え得る。
E.各すくい面は、すくい当接面を備え得る。各すくい当接面は、中央長手平面の両側にそれぞれ位置する第1および第2のすくい当接部分面を備え得る。各すくい当接部分面は、中央長手平面に接近するに伴い、中央高さ平面からより遠ざかるように、傾斜させられ得る。
F.インサートのすくい面はすべて同じであり得る。
G.第1および第2のすくい面は、突出部分を欠き得る。特に、チップ流を妨げ得る突出部分。第1および第2のすくい面の各々は、平坦であり得る中心すくい面領域を備え得る。
H.インサートは、インサート周面を備え得る。インサート周面は、インサートの第1および第2のすくい面を接続し得る。
I.インサート周面は、第1のランピング用部分面と、第1の側方部分面と、第1のランピング用部分面および第1の側方部分面に接続された第1の送り用部分面と、第1の側方部分面に接続された第2のランピング用部分面と、第1のランピング用部分面に接続された第2の側方部分面と、第2のランピング用部分面および第2の側方部分面に接続された第2の送り用部分面とを備え得る。
J.インサート周面は、第1の切刃から第2の切刃まで平行に延在し得る。傾斜した逃げ面(例えば、特許文献1に開示されている逃げ面「22」など)が無いことによって、インサートのための逃げを設けると、より複雑な工具設計になり得る。それにも拘らず、このような設計は、より簡単なインサート製造工程をもたらし得る。例えば、インサートが最終寸法にプレス加工可能であり得る。これは、公知の諸欠点を相殺すると考えられる。
K.インサート周面は、逃がし部を欠き得る。逃がし部(例えば、特許文献1に開示されている面取り面「35」など)が無いことによって、インサートのための逃げを設けると、より複雑な工具設計になり得る。それにも拘らず、このような設計は、より簡単なインサート製造工程をもたらし得ると考えられる。例えば、インサートを最終寸法にプレス加工可能であり得る。これは、公知の諸欠点を相殺すると考えられる。
L.インサートは、インサート周面の両側に開口するインサートねじ穴を備え得る。インサートねじ穴は、インサート周面の各側において、互いに対して傾斜したインサート周面の部分表面に開口し得る。インサートねじ穴は、インサート周面の各側において、ランピング用および送り用部分面の両方に開口し得る。インサートねじ穴は、第1のランピング用および送り用部分面ならびに第2のランピング用および送り用部分面に開口し得る。インサートねじ穴は、両方の側方部分面から等距離にされ得る。インサートねじ穴は、両方のすくい面から等距離に配置され得る。インサートねじ穴は、インサートねじ穴軸線を有し得る。インサートねじ穴軸線は、中央厚さ平面に沿って存在し得えて(またはその内部に収容され得る)、中央長手平面に垂直であり得る。ねじ穴の厚さは、第1および第2のすくい面の各々に接近するに伴い、増大し得る。
M.各切刃は、第1のランピング用副刃と、第1の側方副刃と、第1のランピング用副刃および第1の側方副刃に接続された第1の送り用副刃と、第1の側方副刃に接続された第2のランピング用副刃と、第1のランピング用副刃に接続された第2の側方副刃と、第2のランピング用副刃および第2の側方副刃に接続された第2の送り用副刃とを備え得る。
N.各ランピング用副刃は、各側方副刃より長くなり得る。ランピング用副刃がインサートの他の副刃より小さいことが論理的であるにしても、ランピング動作が行われる時間は、確かに一次肩削り動作に比べると、総機械加工時間の小さな割合しか占めないので、比較的長いランピング用副刃を設けると、インサートの製造を複雑化する逃げの問題を一部解消できることが判明している。
O.各送り用副刃は、各側方副刃より長くなり得る。これは、送り用副刃を利用する一次フライス加工動作、すなわち肩削り、の効率を向上させ得る。
P.各送り用副刃は、各ランピング用副刃より長くなり得る。これは、送り用副刃を利用する一次フライス加工動作、すなわち肩削り、の効率を向上させ得る。ランピング用副刃の直線部分は、隣接する送り用副刃の直線部分の長さの70%±15%の長さを有し得る。
Q.ランピング用および送り用副刃の各々は、接続される側方副刃に接近するに伴い収斂し得る。
R.すくい面の各ランピング用副刃は、中央長手平面に対して鋭いインサートランピング内角を形成し得る。インサートランピング角k0は、条件(5°≦k0≦30°)を満たし得る。インサートランピング角k0は、条件(15°±5°)を満たすことが好ましい。ランピング用副刃に隣接するインサート周面の部分表面の向きは、ランピング用副刃と同じ角度にされ得る。
S.すくい面の各送り用副刃は、中央長手平面に対して鋭いインサートアプローチ内角k1を形成し得る。インサートアプローチ角k1は、条件(5°≦k1≦30°)を満たし得る。インサートアプローチ角k1は、条件(15°±5°)を満たすことが好ましい。送り用副刃に隣接するインサート周面の部分表面の向きは、送り用副刃と同じ角度にされ得る。
T.インサートランピング角k0とインサートアプローチ角k1とは等しくなり得る。ただし、いくつかの状況においては、例えば、相対的に小さな直径の工具のために構成されたインサートの場合、インサートアプローチ角k1はインサートランピング角k0より大きくなり得る。これは、ランピング機能の効率が落ちるとしても、許容可能な深さ(ひいては送り速度)の実現を可能にし得る。
U.ランピング用インサートは、直線状の延長部分と隣接する第1のランピング用副刃との間に形成された第1の内角R1と、直線状の延長部分と隣接する第1の送り用副刃との間に形成された第2の内角R2とを備え得る。第1の内角R1は、第2の内角R2と不等であり得る。第1の内角R1は第2の内角R2より大きいことが好ましい。
V.各側方副刃は、中央長手平面によって二等分され得る。
W.各側方副刃は、直線部分を備え得る。別様に述べられていない限り、何れの副刃に関しても用語「直線部分」は、すくい面に面するビュー(図2Cに示されているものなど)を指す。直線部分を有する側方副刃は、湾曲した側方副刃に比べ、著しく長い機械加工工具寿命をもたらし得ると考えられる。このような直線部分は、総側方副刃長の45±20%の間であり得る。一般的に言って、副刃の長さに関して使用されている用語「総」は、副刃の両側のコーナー部分(隣接副刃との接続点まで)とその間の副刃の残り部分とを含む。
X.同じすくい面上の側方副刃の直線部分は互いに平行であり得る。第1および第2のすくい面上の側方副刃の直線部分は互いに平行であり得る。すくい面上の側方副刃の直線部分は、同じすくい面上の直線部分にのみ平行であり得る。
Y.側方副刃に隣接するインサート周面の部分表面の向きは、側方副刃と同じ角度にされ得る。側方副刃の直線部分は、中央厚さ平面に平行に、およびインサートねじ穴軸線に平行に、測定可能なインサートの最大厚の15%±5%である長さを有し得る。
Z.側方副刃の直線部分は、ランピング用副刃の全長の13%±5%である長さを有し得る。側方副刃直線部分は、送り用副刃の全長の13%±5%である長さを有し得る。
AA.各側方副刃は、その各端部にコーナー部分を備え得る。
BB.各ランピング用副刃は、直線部分を備え得る。同じすくい面上のランピング用副刃の直線部分は互いに平行であり得る。インサートの全てのランピング用副刃の直線部分は、互いに平行であり得る。直線部分は、ランピング用副刃の全長の85%±5%であり得る。
CC.各ランピング用副刃は、その各端部にコーナー部分を備え得る。
DD.各送り用副刃は、直線部分を備え得る。同じすくい面上の送り用副刃の直線部分は、互いに平行であり得る。インサートの全ての送り用副刃の直線部分は、互いに平行であり得る。直線部分は、送り用副刃の全長の85%±5%であり得る。
EE.各送り用副刃は、その各端部にコーナー部分を備え得る。
FF.ランピング用および送り用副刃の直線部分は、同じ長さを有し得る。
GG.副刃のコーナー部分は、湾曲し得ることが好ましい。湾曲したコーナーが尖った、または面取りされた、コーナーより精度が低くなり得るとしても、このような湾曲部は製造工程の簡素化を可能にし得る。
HH.隣接する刃の間の接続点は、隣接する刃の隣接コーナー部分によって形成されたコーナーの中央に位置し得る。例えば、各ランピング用副刃は、コーナー部分を備えることができ、各送り用副刃は、ランピング用副刃のコーナー部分に隣接するコーナー部分を備えることができ、送り用副刃へのランピング用副刃の接続点は隣接するコーナー部分によって形成されたコーナーの中央に位置する。全般的に、ランピング用および送り用副刃は、隣接コーナー部分によって形成されたコーナーの中央に位置する接続点において接続され得る。同様に、ランピング用および側方副刃は、隣接コーナー部分によって形成されたコーナーの中央に位置する接続点において接続され得る。同様に、送り用および側方副刃は、隣接コーナー部分によって形成されたコーナーの中央に位置する接続点において接続され得る。
II.隣接するランピング用および送り用副刃の接続点は、全て中央厚さ平面上に存在し得る。隣接するランピング用および送り用副刃の接続点は、中央厚さ平面のそれぞれ異なる側に存在し得る。
JJ.隣接するランピング用および送り用副刃の接続点は、全て中央厚さ平面に平行な平面上に位置し得る。
KK.中央厚さ平面は、すくい軸線とインサートねじ穴軸線とを含み得て、第1および第2のすくい面を二等分し得る。
LL.中央長手平面は、第1および第2のすくい面を二等分し得て、中央厚さ平面に垂直に延在する。
MM.中央高さ平面は、第1および第2のすくい面の間の中間に位置し得て、中央厚さ平面および中央長手平面に垂直に延在し得る。
NN.インサートの最大厚は、隣接するランピング用および送り用副刃の接続点の間で測定可能であり得る。
OO.インサートの最大厚は、インサートねじ穴軸線に平行に測定可能であり得る。
PP.各すくい面上の最大すくい面長は、その第1および第2の側方副刃の間で測定可能であり得る。第1および第2の側方副刃の間で中央長手平面に平行に測定可能な長さは、他の副刃間ですくい面に沿って測定可能な他の全ての長さより大きくなり得る。
QQ.各すくい面上の長手方向すくい面長LLRは、中央長手平面に平行に測定可能であり得る。長手方向すくい面長LLRは、中央長手平面に垂直に測定可能な最大厚TMより大きくなり得る。長手方向すくい面長LLRは条件(2.3TM±0.5TM)を満たすことが好ましい。
RR.各すくい面上の長手方向すくい面長LLRは、高さ平面に平行に測定可能な最大高さHMより大きくなり得る。最大長は、条件(1.5HM±0.3HM)を満たすことが好ましい。
SS.すくい軸線は、第1および第2のすくい面の中心を通って延在し得る。
TT.インサートは、すくい軸線に平行に測定可能な最大高さを有し得る。
UU.インサートは、中央厚さ平面に平行に測定可能な最大厚を有し得る。
VV.インサートの最大高さは、その最大厚より大きくなり得る。
WW.インサートは、第1および第2のすくい面の中心を通って延びるすくい軸線を中心に180°回転対称であり得る、および/または中央厚さおよび高さ平面が交わる部分に沿って延在する、すくい軸線に垂直なインサートねじ穴軸線を中心に180°回転対称であり得る。インサートは、中央厚さおよび高さ平面が交わる部分に沿って延在する、すくい軸線に垂直な高さ軸線を中心に180°回転対称であり得る。
XX.各ランピング用副刃は、尖ったランプ用コーナー部分を備え得る。前記尖ったランプ用コーナー部分は、送り用副刃に最も近いランピング用副刃のコーナー部分である。
YY.各送り用副刃は、尖ったランプ用コーナー部分に隣接する尖った送り用コーナー部分を備え得る。
ZZ.直線状の延長部分は、尖ったランプ用および送り用コーナー部分の不連続点の間に画成され得る。直線状の延長部分は、0.5mm〜2.0mmの間の長さを有し得る。直線状の延長部分は、0.75mm未満の長さを有し得ることが好ましい。直線状の延長部分は、送り用副刃の直線部分の長さの4分の1未満の長さを有し得る。直線状の延長部分は、送り用副刃の直線部分の長さの6分の1以下の長さを有することが好ましい。
AAA.第1および第2の切刃の各々は、一平面に位置し得る。これは、第1および第2の切刃の各々がそれぞれ異なる平面に位置することを意味すると理解されるであろう。ただし、これら異なる平面は互いに平行であり得ることが好ましい。
BBB.工具は、前進および後退方向を規定する回転軸線を中心に回転方向に回転するように構成され得る。
CCC.工具は、工具端面とそこから後方に延在する、周方向に延在する工具周面とを備え得る。
DDD.工具端面と工具周面とが交わる部分に溝が形成され得て、溝はそこから後方に延在し得る。
EEE.工具端面と工具周面とが交わる部分にインサートポケットが形成され得る。インサートポケットは、溝に開口し得る。
FFF.インサートポケットは、ポケット側面を備え得る。ポケット側面は、ポケット背面から溝まで延在し得る。ポケット側面は、ポケット上面から溝まで延在し得る。ポケット側面は、外方に面し得る。
GGG.ポケット側面は、側面当接部分面を備え得る。側面当接面は、回転軸線に垂直に延在する工具平面に垂直に延在し得る。
HHH.インサートポケットは、ポケット背面を備え得る。ポケット背面は、工具周面から内方に延在し得る。ポケット背面は、回転方向に面し得る。
III.ポケット背面は、背面当接面を備え得る。背面当接面は、背面当接面を2つの背面当接部分面に分割する背面逃がし凹部を設けて形成され得る。このような分割は切削インサートとの接触面積を減らし得る一方で、より低精度で製造されたインサートを収納でき、ひいてはインサートの製造を簡素化し得る。背面当接面は、インサートのポケットの下半分(すなわち、工具端面に最も近いインサートポケットの半分)に沿って軸線方向に位置し得る。
JJJ.背面当接面または背面当接部分面は、工具端面に接近するに伴い背面当接部分面が回転方向に更に延在するように、ポケットねじ穴軸線に対して傾斜され得る。
KKK.インサートポケットは、ポケット上面を備え得る。ポケット上面は、工具周面からポケット側面まで内方に延在し得る。ポケット上面は、ポケット背面から溝まで延在し得る。
LLL.ポケット上面は、第1および第2のポケット上面部分面を備え得る。
MMM.第1のポケット上面部分面は工具周面に隣接し得て、工具周面に接近するに伴い、より前進方向に延在し得る。
NNN.第2のポケット上面部分面はポケット側面に隣接し得て、ポケット側面に接近するに伴い、より前進方向に延在し得る。
OOO.第1および第2のポケット上面部分面はどちらも、溝に接近するに伴い、より前進方向に延在し得る。このような延在部分は機械加工のためには望ましくないが、より簡単なインサートを製造する可能性によって相殺されると考えられる。
PPP.インサートポケットは、ポケットねじ穴を備え得る。ポケットねじ穴は、ポケット上面に開口し得る。
QQQ.アセンブリは、工具と、ランピング用インサートと、このインサートを工具のインサートポケットに締結するように構成されたねじとを備え得る。
RRR.アセンブリは、複数のランピング用インサートを備え得る。
SSS.工具およびランピング用インサートは、ランピング用インサートのインサート周面が工具のポケット側面と第1および第2のポケット上面部分面とに当接するように、およびランピング用インサートの第1および第2のすくい面の一方が工具のポケット背面に当接するように、構成され得る。ランピング用インサートは、インサート周面の異なる部分が工具のポケット側面と第1および第2のポケット上面部分面とに当接するように、割り出し可能であるように構成され得る。更に、ランピング用インサートは、もう一方のすくい面が工具のポケット背面に接触するように反転されるように(および反転姿勢で割り出し可能であるように)構成され得る。工具および/またはランピング用インサートは、ランピング用インサートを正確に4つの異なる姿勢でインサートポケットに締結するように、構成され得る。
TTT.回転方向とは逆方向の工具のポケット背面の図において、第1のポケット上面部分面は、回転軸線に垂直に延在する工具平面に対して鋭い第1の工具内角k2を形成し得る。第2のポケット上面部分面は、工具平面に対して鋭い第2の工具内角k3を形成し得る。第1および第2の工具角は、条件(6°≦k2、k3≦31°)を満たし得る。15.5°により近いアプローチ角においてより良好な性能が達成され得ると考えられる。したがって、第1および第2の工具角は、条件(15.5°±5°)を満たすことが好ましい。
UUU.第1および第2の工具角k2、k3は等しくされ得る。
VVV.第1および第2のポケット上面部分面は、等しい半径方向距離にわたって延在し得る。用語「半径方向」は、一般的な意味でのみ使用されており、図面から理解されるように、工具の(その回転軸線に垂直な平面において)略内方−外方方向を指し、回転軸線に正確に向けられた方向を必ずしも指しているとは限らない。
WWW.ポケット上面は、第1および第2のポケット上面部分面の間に上面逃がし凹部を設けて形成され得る。第1および第2のポケット上面部分面の間に上面逃がし凹部を有すると、切削インサートとの接触面積を減らし得る一方で、より低精度で製造されたインサートを収納でき、ひいてはインサートの製造を簡素化し得る。
XXX.工具は、いくつか(n)のインサートポケットを備え得る。これらインサートポケットは、工具周面に沿って周方向に等距離に配置され得る。これらインサートポケットは全て同じにされ得る。工具のインサートポケットの数(n)は、ミリメートル単位で測定された工具の切削直径を10で割った結果に最も近い整数に等しくなり得る。
YYY.第1および第2の工具アプローチ角k2、k3の和は、インサートのランピングおよびアプローチ角k0、k1の和より大きくなり得る。これはインサートと工具との間の接触面積を減らすとしても、このような欠点はより簡単なインサート製造工程を可能にすることによって相殺されると考えられる。
ZZZ.工具アセンブリは、条件(1mm≦ap≦2.5mm)を満たす切り込み量apのために構成され得ることが好ましい。1.85mmにより近い切り込み量apにおいてより良好な性能が実現され得ると考えられる。したがって、切り込み量apは条件(1.85mm±0.5mm)を満たすことが好ましい。長さに対するapの好適な比は、条件(1:15〜1:6)を満たす。
上記および以下の仕様において、その後に記号「±」を用いた範囲が続く値は最適値と見做されるものとし、この最適値により近い範囲の値は、そこから遠い値より好適である。
本明細書および特許請求の範囲に言及されている全てのインサートはランピング用インサートであり、簡潔を期すために用語「ランピング」を先行させずに用語「インサート」に言及する場合もあることを理解されるであろう。同様に、用語「高送りフライス工具」は、用語「工具」のみの省略形でも出現し得る。
以下においては、本出願の主題のより深い理解のために、および本出願の主題が実際に如何に実施され得るかを示すために、添付の図面を参照する。
高送りフライス工具アセンブリ10を示す図1A〜図1Dを参照する。アセンブリ10は、工具12と、ランピング用インサート14(14A、14B、14C、14D、14E)と、各インサート14を工具12に締結するためのねじ16とを備え得る。
工具直径DTが50mmの場合、工具12は図示のように5つのインサート14を有し得る。
回転軸線ARが工具12の中心を通って長手方向に延在し得る。回転軸線ARは、前進方向DFおよび後退方向DREを規定し得る。
工具12は、回転軸線ARを中心に回転方向DROに回転するように構成され得る。
図1Cは、回転軸線ARに垂直に延在する工具平面PTLを示す。外向き方向DORは、工具12から外方に工具平面PTLに平行に延びる。内向き方向DIRは、工具12の内方に工具平面PTLに平行に延びる。内向きおよび外向き方向は、回転軸線ARに正確には向けられておらず、工具12の中心に向かって、およびこれから離れる方向に、ほぼ向けられていることを理解されるであろう。
次に図2A〜図2Eを参照して、インサート14Aをより詳細に説明する。図示の各インサートは全て同じであり得るので、記載のインサート14Aに関して以下に言及する全ての特徴を有すると見做され得る。
インサート14Aは、金属機械加工作業用であり、一般に、超硬合金などの極めて硬質の耐摩耗材料製であり得る。インサート14Aは、最終寸法にプレス加工され得ることが好ましい。
インサート14Aは、対向する第1および第2のすくい面18A、18Bと、第1および第2のすくい面18A、18Bを接続するインサート周面20とを備え得る。
インサート14Aは、インサート周面20の対向する側面24A、24B(図2E)に開口するインサートねじ穴22を設けて形成され得る。
第1の切刃26Aがインサート周面20と第1のすくい面18Aとが交わる部分に沿って延在し得る。
第2の切刃26Bがインサート周面20と第2のすくい面18Bとが交わる部分に沿って延在し得る。
第1および第2の切刃26A、26Bは同じであり得るので、どちらも一方に関して以下に言及されている全ての特徴を有すると見做され得る。
また、第1および第2のすくい面18A、18Bは全く同じであり得るので、本願明細書において以下に言及する一方の全ての特徴を有すると見做され得る。
第1の切刃26Aは、第1のランピング用副刃28A1と、第1の側方副刃28B1と、第1のランピング用副刃28A1および第1の側方副刃28B1に接続された第1の送り用副刃28C1と、第1の側方副刃28B1に接続された第2のランピング用副刃28A2と、第1のランピング用副刃28A1に接続された第2の側方副刃28B2と、第2のランピング用副刃28A2および第2の側方副刃28B2に接続された第2の送り用副刃28C2とを備え得る。
第1のすくい面18Aは、第1の切刃26Aから内方に延在するランド30を備え得る。
ランド30の更に内側に、ランド30と中心すくい面領域34との間に延在する傾斜部32が存在し得る。
図2Cに最もよく示されているように、ランピング用および送り用副刃は、側方副刃に接近するに伴い収斂し、どちらもそこに接続される。例えば、第1の送り用副刃28C1は、第1の側方副刃28B1に接近するに伴い、第2のランピング用副刃28A2により近付く。
図2Dを参照すると、インサート14Aは、第1および第2のすくい面18A、18B(図2A)の中心を通って第1および第2のすくい面18A、18Bに垂直に延びるすくい軸線AKを備え得る。
中央長手平面PLが第1および第2のすくい面18A、18Bをその長手寸法に沿って二等分し得る。中央長手平面PLは、側方副刃28B1、28B2、28B3、28B4(図2A、2C)を二等分し得る。
中央厚さ平面ΡTが中央長手平面PLに垂直に延在し得る。中央厚さ平面ΡTはまた第1および第2のすくい面18A、18Bを二等分し得る。
図2Aを参照すると、中央高さ平面PHが中央長さおよび厚さ平面PL、PTに垂直に延在し得る。中央高さ平面PHはまたインサート14Aを二等分し得る。
高さ軸線AHがすくい軸線ΑKに垂直に延在し得る。高さ軸線AHは、中央厚および高平面PT、PHが交わる部分に沿って延在し得る。
インサートねじ穴はインサート14Aの中心に位置し得るので、インサートねじ穴軸線ASが高さ軸線AHと同軸になり得る。
インサート14Aは、2つの割り出し可能位置のために構成され得る。例えば、インサート14Aは、すくい軸線ΑKを中心に180°回転対称になり得る。
インサート14Aは反転されるように構成され得るので、2つの追加の割り出し可能位置が可能になり得る。例えば、インサート14Aは、ねじ穴軸線ASおよび/または高さ軸線AHを中心に180°回転対称になり得る。
図2Cを参照すると、各ランピング用副刃28A1、28A2は、直線部分36S1、36S2を備え得る。各ランピング用副刃28A1、28A2は、直線部分36S1、36S2の各側に接続された一対のコーナー部分36C1、36C2、36C3、36C4を備え得る。
各側方副刃28B1、28B2は、直線部分38S1、38S2を備え得る。各側方副刃28B1、28B2は、直線部分38S1、38S2の各側に接続された一対のコーナー部分38C1、38C2、38C3、38C4を備え得る。
各送り用副刃28C1、28C2は、直線部分40S1、40S2を備え得る。各ランピング用副刃28C1、28C2は、直線部分40S1、40S2の各側に接続された一対のコーナー部分40C1、40C2、40C3、40C4を備え得る。
各直線部分(36S1、36S2、38S1、38S2、40S1、40S2)は、不連続点(42D1、42D2、42D3、42D4、44D1、44D2、44D3、44D4、46D1、46D2、46D3、46D4)、すなわち、切刃が異なる方向に移行する箇所、で終わる。直線部分が略直線状であるが、僅かに弓なりに曲がっている(少なくとも理論上の直線に比べ弓なりであるが、依然としてコーナー部分よりはるかに弓なりではない)場合、これら不連続点は方向または勾配が目に見えて変化し始める点と見做されるものとする。
第1のランピング用副刃28A1の直線部分36S1は長さLS1を有し得る。
第1の側方副刃28B1の直線部分38S1は長さLS2を有し得る。
第1の送り用副刃28C1の直線部分40S1は長さLS3を有し得る。
各副刃は、隣接するコーナー部分によって形成されたコーナーを二等分する接続点において隣接する副刃に移行し得る。例えば、第1の送り用副刃28C1と第1の側方副刃28B1とは、第1の接続点X1において接続され得る。第1の接続点X1は、第1の送り用副刃28C1および第1の側方副刃28B1の直線部分40S1、38S1の始点から等距離であり得る。同様に、第1の側方副刃28B1と第2のランピング用副刃28A2とは、第2の接続点X2において接続され得る。第2のランピング用副刃28A2と第2の送り用副刃28C2とは、第3の接続点X3において接続され得る。第2の送り用副刃28C2と第2の側方副刃28B2とは、第4の接続点X4において接続され得る。第2の側方副刃28B2と第1のランピング用副刃28A1とは、第5の接続点X5において接続され得る。第1のランピング用副刃28A1と第1の送り用副刃28C1とは、第6の接続点X6において接続され得る。
各副刃の全長は、その接続点の間で測定され得る。例えば、第1のランピング用副刃28A1の全長LO1は、その接続点X5、X6の間で測定され得る。第1の側方副刃の全長LO2は、その接続点X1、X2の間で測定され得る。第1の送り用副刃の全長LO3は、その接続点X6、X1の間で測定され得る。
第1のランピング用および送り用副刃36S1、40S1の直線部分は、同じ長さLS1、LS3を有し得る。ランピング用および送り用副刃の全長LO1、LO3も同じ長さになり得る。
第2の副刃28A2、28B2、28C2の長さは、それぞれの第1の副刃28A1、28B1、28C1の長さと同じになり得る。
第1および第2のランピング用副刃28A1、28A2の直線部分は平行であり得る。
第1および第2の側方副刃28B1、28B2の直線部分は平行であり得る。
第1および第2の送り用副刃28C1、28C2の直線部分は平行であり得る。
第3および第6の接続点X3、X6はどちらも中央厚さ平面ΡT上に位置し得る。
インサート14の最大厚TMが図2Bに示されている。最大厚TMは、中央厚さ平面ΡTに平行に測定可能である。例えば、第3および第6の接続点X3、X6の間で測定され得る。
図2Cに戻ると、第1および第2の側方副刃28B1、28B2の直線部分38S1、38S2の直径方向両端(例えば38C2、38C4)の間に最大すくい面長LMRが示されている。
各すくい面上の長手方向すくい面長LLRは、中央長手平面PLに平行に測定可能であり得る。
最大すくい面長LMRは、長手方向すくい面長LLRより僅かに大きくなり得る。長手方向すくい面長LLRも、第1のすくい面18Aの他の何れか2つの副刃の間(すなわち、両側方副刃28B1、28B2の間ではない)より長い長さを有し得る。
インサート14の最大高さHMが図2Bに示されている。最大高さHMは、すくい軸線ΑKに平行に測定可能である。例えば、図2Aに示されている図では、最大高さHMは(この図においては、第1の切刃26Aと中央厚さ平面ΡTとが交わる部分に位置する)点48Aと(この図においては、第2の切刃26Bと中央厚さ平面ΡTとが交わる部分に位置する)点48Bとの間で測定され得る。
成功裏にテストされた1つの設計は、以下の長さを有する。各側方副刃の直線部分の長さLS2は1mmであり得る。各全長LO2は2.35mmであり得る。各ランピング用および送り用副刃の直線部分の長さLS1、LS3は6.5mmであり得る。各全長LO1、LO3は7.8mmであり得る。最大厚TMは6.35mmであり得る。最大すくい面長LMRは15.13mmであり得る。長手方向すくい面長LLRは15.10mmであり得る。最大高さHMは9.5mmであり得る。
本出願の主題によるインサートはさまざまなサイズにされ得ることを理解されるであろう。それにも拘らず、例示されている長さ比に比例した長さ比が同様であり得る。
図2A〜図2Cを参照すると、第1の切刃26Aの複数部分が中央高さ平面PHからそれぞれ異なる距離に延在し得ることを理解されるであろう。参考のために、図2Bには、インサート14Aの上端に沿って中央高さ平面PHに平行に延在する先端平面PEが示されている。
送り用副刃28C1、28C2の直線部分40S1、40S2は、先端平面PEに平行に延在し得る。
ランピング用副刃28A1、28A2が直線部分からコーナー部分に移行する不連続点42D1、42D3において、第1の切刃26Aは中央高さ平面PHに最も接近し得る。第1の切刃26Aの一般経路は、次のようであり得る。第1のランピング用副刃28A1が不連続点42D1から第6の接続点X6まで延在するに伴い、第1の切刃26Aは中央高さ平面PHから離れる方向に延在し得る。第1の送り用副刃28C1は、第6の接続点X6から不連続点46D2まで先端平面PEに平行に延在し得る。第1の送り用副刃28C1がそのコーナー部分40C2において湾曲し始めるに伴い、第1の切刃26Aは、第2のランピング用副刃28A2の低い不連続点42D3に達するまで、中央高さ平面PHに向かって更に延在し得る。第1の切刃26Aは、不連続点42D3から第3の接続点X3(図2C)に達するまで、中央高さ平面PHから離れる方向に再び延在し得る。以降も同様である。
図2Bにおいて、図2Eに最もよく示されているように、ランド30は先端平面PEに対してランド角αを形成し得る。ランド角αは6°±10°であり得る。このような任意使用のランドは、高送り動作のための工具寿命の延長を助けると考えられる。
インサート周面20は、第1のランピング用部分面20A1と、第1の側方部分面20B1と、第1のランピング用部分面20A1および第1の側方部分面20B1に接続された第1の送り用部分面20C1と、第1の側方部分面20B1に接続された第2のランピング用部分面20A2(図2D)と、第1のランピング用部分面20A1に接続された第2の側方部分面20B2と、第2のランピング用部分面20A2(図2D)および第2の側方部分面20B2に接続された第2の送り用部分面20C2とを備え得る。
第1のランピング用部分面20A1は、対向するランピング用副刃と送り用副刃との間に延在し得る。詳しく説明すると、第1のランピング用部分面20A1は、第1の切刃26Aの第1のランピング用副刃28A1と第2の切刃26Bの対向する送り用副刃50C1との間に延在し得る。同様に、第1の送り用部分面20C1は、対向するランピング用および送り用副刃50A1、28C1の間に延在し得る。「送り用部分面」および「ランピング用部分面」という名前は、必ずしも幾何学的な違いを示すものではないことに気付かれるであろう。第2のランピング用および送り用部分面も同様に延在する。
第1の側方部分面20B1は、対向する副刃28B1、28B3の間に延在し得る。第2の側方部分面20B2は、その他の側方副刃28B2、28B4の間に延在し得る。
図2Cを参照すると、第1のランピング用副刃28A1は、中央長手平面PLに対してインサートランピング角k0を形成し得る。インサートランピング角k0は15°であり得る。
第1の送り用副刃28C1は、中央長手平面PLに対してインサートアプローチ角k1を形成し得る。インサートアプローチ角k1は15°であり得る。
図2Cも参照すると、インサートねじ穴22は、第1および第2のランピング用および送り用部分面20A1、20A2、20C1、20C2の各々に部分的に開口し得る。
図2Bの図には、インサートねじ穴22の最小ねじ穴厚TS1が示されている。ねじ穴厚は、第1および第2のすくい面18A、18Bの各々に近づくに伴い、最大ねじ穴厚TS2まで増大し得る。
図2Dに戻ると、インサートねじ穴22は、インサート周面20に接近するに伴い直径が増大する中心狭窄部52を有し得る。傾斜した、より正確には円錐台状の、ねじ当接面54A、54Bが中心狭窄部52とインサート周面20との間に位置し得る。
図2Eを参照すると、各すくい面18A、18Bは、それぞれのすくい当接面56A、56Bを備え得る。各すくい当接面56A、56Bは、中央長手平面PLの両側に位置する第1および第2のすくい当接部分面56A1、56A2、56B1、56B2を備え得る。
各すくい当接部分面は、中央長手平面PLに接近するに伴い、中央高さ平面PHからより離れるように傾斜し得る。例えば、第1のすくい面18A上の第1のすくい当接部分面56A1は、中央長手平面PLに近い第1のランダム位置58Aと中央長手平面PLから遠い第2のランダム位置58Bとを有するものとして示されている。図示のように、第1の位置58Aは、第2の位置58Bに比べ、中央高さ平面PHからより遠い。
図3Bを参照すると、工具12は、工具端面60と、そこから後方に延在する周方向に延在する工具周面62とを備え得る。
工具12は、工具端面60と工具周面62とが交わる部分に形成されてそこから後方に延在する溝64を更に備え得る。
工具12は、工具端面60と工具周面62とが交わる部分に形成されて溝64に開口するインサートポケット66を更に備え得る。
工具12のインサートポケット66は全て同じであり得るので、図3Bに示されているインサートポケット66のどちらかに言及する。これは、複数の異なる観点から同じ特徴を示す。
図3Dも参照すると、インサートポケット66はポケット側面68と、ポケット背面70と、ポケット上面72と、ポケット上面72に開口する雌ねじ付きポケットねじ穴73とを備え得る。
図1Bにおける各方向に注目すると、ポケット背面70は工具周面62から内方に(すなわち、内向き方向DIRに)延在し、回転方向DRO(図1B)に面すること、ポケット側面68はポケット背面70から溝64まで延在し、外方に(すなわち外向き方向DORに)面すること、ポケット上面72は、工具周面62からポケット側面68に内方に(すなわち内向き方向DIRに)延在し、更にはポケット背面70から溝64まで(すなわち回転方向DROに)延在することが理解できる。
ポケット側面68は、側面当接部分面68Aを備え得る。側面当接部分面68Aは、工具平面PTL(図1C)に垂直に延在し得る。
ポケット背面70は、背面当接面70Aを備え得る。
背面当接面70Aは、背面当接面70Aを2つの背面当接部分面70C、70Dに分割する背面逃がし凹部70Bを設けて形成され得る。
図3Cも参照すると、背面当接面70Aは、インサートポケット66の下半分に沿って軸線方向に位置し得る(例えば、ポケットねじ穴軸線ABに垂直に延在し、インサートポケットをその最高点、例えば上面逃がし凹部82、からその最低点、例えば図3Cに71で示されている点、まで二等分する二等分面PBより低い)。
背面当接部分面70A、70Bは、図示のように傾斜し得る。防滑効果をもたらすために、背面当接部分面70A、すなわち、その背面当接部分面70C、70D、をインサート14Aに対して傾斜させ得る。これは、例えば、背面当接部分面70C、70Dをポケットねじ穴軸線ABに対して傾斜させることによって、実現され得る。例示的目的として、ポケットねじ穴軸線ABに対する背面当接面の角度βを示すために、ポケットねじ穴軸線ABに平行な追加の軸線AB1が示されている。背面当接面の角度βは10°であり得る。
ポケット上面72は、第1および第2のポケット上面部分面72A、72Bを備え得る。第1および第2のポケット上面部分面72A、72Bは、ポケットねじ穴73の各側に鏡面対称であり得る(より正確には、ポケットねじ穴73を二等分し、工具平面PTLに垂直に回転方向に沿って延在する平面PS(図3B)に対して鏡面対称であり得る)。第1および第2のポケット上面部分面72A、72Bは、等しい半径方向距離RD(すなわち、工具の基本的に内向きまたは外向きの方向に、すなわち工具の回転軸線に垂直な平面に沿って)延在し得ることが理解されよう。
第1のポケット上面部分面72Aは、工具周面62に隣接して示されており、工具周面62に接近するに伴い、より前進方向DFにより延在する。例えば、第1のポケット上面部分面72A上の第1のランダム位置74Aは、第2のランダム位置74Bに比べ、工具周面62により近い。図示のように、第1の位置74Aは、第2のランダム位置74Bに比べ、より前進方向DFに延在する。
これに対し、第2のポケット上面部分面72B(図3Bに仮想線で図示)はポケット側面68に隣接し得るので、そこに接近するに伴い、より前進方向DFに延在する。
第1および第2のポケット上面部分面72A、72Bは、溝64に接近するに伴い、より前進方向DFに延在し得る。例えば、第1のポケット上面部分面72A上の(且つ工具周面62に直接隣接する)第3のランダム位置76Aは、第4のランダム位置76Bに比べ、溝64により近い(且つ工具周面62に直接隣接する)。図示のように、第3の位置76Aは、第4のランダム位置76Bに比べ、より前進方向DFに延在する。
更に、第1のポケット上面部分面72Aは、回転軸線ARに垂直に延在する平面PCに対して鋭い第1の工具内角k2を形成し得る。第1の工具角k2は15.5°であり得る。
同じ図において、第2のポケット上面部分面72Bは、平面PCに対して鋭い第2の工具内角k3を形成し得る。第2の工具角k3は15.5°であり得る。
第1および第2の工具アプローチ角k2、k3の和(例えば、31°)は、インサートランピングおよびアプローチ角k0、k1の和(例えば、30°)より大きくなり得る。言い換えると、工具外角ε1(図3B)、例えば149°、はインサート内角ε2(図2C)、例えば150°、より小さくなり得る。
その結果、インサート周面20、より正確にはそのランピング用および送り用部分面(例えば、20A1、20C1)は、第1および第2のポケット上面部分面72A、72Bとの限定的接触のためにのみ構成される。詳しく説明すると、インサートに当接するように構成されたインサートポケット66の複数の面域が図3Dに陰付き領域として示されている。特に、第1および第2の理論上の接触線72C、72Dが第1および第2のポケット上面部分面上に存在する。これらの線は、インサート14Aとポケット上面72とが当接するように構成された領域を示す。工具角(すなわち、第1および第2の工具アプローチ角k2、k3)の和はインサート角(すなわち、インサートランピングおよびアプローチ角k0、k1)の和より大きいので、各々の対応する面の間の接触が制限され、第1および第2のポケット上面部分面72A、72Bの全体にわたって延在しないことを理解されるであろう。より大きな接触面積が通常好適であるとしても、さまざまな角度を有することによって、より低い精度がインサート製造のために必要とされる。これは、インサートを最終寸法にプレス加工する場合に有利である。
これに対し、図示のその他の陰付き領域68A、70C、70Dは、インサートポケット66の明白に画定された部分表面である。
ねじ16は、ねじ頭16Aとそこから延びる雄ねじ付き軸部16Bとを備え得る。
図3Cに示されているように、ねじ16がインサート14Aをインサートポケット66に固定すると、軸部16Bはポケットねじ穴73に螺合締結され、ねじ頭16Aはランピング用インサート14Aのねじ当接面54Aのうちの1つに当接する。
インサート14Aおよび工具12は、インサートのインサート周面20のみが工具のポケット側面68と第1および第2のポケット上面部分面72A、72Bとに接触し、ランピング用インサートのすくい面18Bのうちの1つが工具のポケット背面70に当接するように構成される。
より正確には、インサート14Aおよび工具12は、第2の側方部分面20B2が側面当接部分面68Aに、第2のランピング用部分面20A2が第1のポケット上面部分面72Aに、第2の送り用部分面20C2が第2のポケット上面部分面72Bに、第2のすくい面18Bが背面当接面70Aに、のみ接触するように構成される。
より正確には、第2のランピング用部分面20A2は第1のポケット上面部分面72Aの第1の理論上の接触線72Cに接触し得る。第2の送り用部分面20C2は第2のポケット上面部分面72Bの第2の理論上の接触線72Dに接触し得る。
更に、より正確には、すくい当接部分面56B2のうちの正確に1つが背面当接部分面70C、70Dの両方に接触し得る。
所望の部分のみでの接触を保証するために、インサートポケット66は逃がし部を設けて形成され得る。インサートの製造を簡素化するために、アセンブリ10の全ての逃がし部が工具12上に形成され得る。
例えば、ポケット背面70は、上記の背面逃がし部70Bを有し得る。手短に図2Cを参照すると、その結果として、中央厚さ平面PTに沿って存在する第1のすくい面18Aの中心部分78は、(背面逃がし部70Bに隣接することになるので)ポケット背面70に接触しないことが分かる。ただし、中心部分78の両側に位置する第1のすくい面18Aの第1および第2の当接部分80A、80Bは、背面当接部分面70C、70Dのうちの1つにそれぞれ接触することになる。
ポケット上面72は、第1および第2のポケット上面部分面72A、72Bの間に位置する上面逃がし凹部82を設けて形成され得る。
所望の接触を更に実現するために、背面当接面(単数または複数)70の下に下側逃がし領域84が形成され得る。更に、上側逃がし領域86がポケット背面と上面70、72とを分離し得る。同様に、第1の側方逃がし領域88がポケット側面および背面を分離し得る。同様に、第2の側方逃がし領域90がポケット側面および上面68、72を分離し得る。
図4A〜図4Dおよび図2Cに注目すると、アセンブリ10はワーク92に対していくつかの異なる機械加工動作を実施し得ることに気付かれるであろう。
図4Aに示されている肩削り動作は、アセンブリ10を機械加工対象のワーク92の下面92Aに垂直な横方向DS1に移動させることによって実施される。アセンブリ10はワーク92の上方に立ち上がる段部92B、より正確にはその上方に突出する側面92C、から依然として離れているので、インサート14Aの第1の送り用副刃28C1のみがワーク92から材料を除去する。これは、第1の送り用副刃28C1によって除去されて第1のすくい面18Aの上方に流れているチップ94Aによって模式的に示されている。特に、アセンブリ10は、図1Cに示されている切り込み量apまで材料を除去できる。材料の除去は切刃の比較的長い部分で実施され得ることも分かるであろう。より正確には、この動作は、第6の接点X6から第1の送り用副刃28C1の直線部分40S1の端部、すなわち46D2で示されている不連続点、まで延在する第1の切刃26Aの部分によって実施され得る。
図4Bには、肩削りと正面削りとが組み合わされた動作が示されている。この動作も、アセンブリ10を横方向DS1に移動させることによって実施される。アセンブリ10は、隣接段部92B、より正確にはその側面92C、から、ならびにワーク92の下面92Aから、同時に材料を除去し得る。これは、図4Aのチップ94Aとは形状が異なるチップ94Bによって模式的に示されている。チップ94Bは、第1の送り用副刃28C1および第1の側方副刃28B1の両方によって除去されている。材料の除去は切刃の比較的長い部分で行われ得ることも分かるであろう。より正確には、この動作は、第6の接点X6から第1の側方副刃28B1の直線部分38S1の端部、すなわち44D2で示されている不連続点、まで延在する第1の切刃26Aの部分によって行われ得る。
アセンブリ10が横方向DS2および前進方向DFの両方向に同時に移動するランピング動作が図4Cに示されている。言い換えると、アセンブリ10は横−前進方向DSFに移動する。この動きの間、第1のランピング用副刃28A1は、94Cで示されているチップによって模式的に示されている材料をワーク92から除去する。インサート14Aは、その比較的大きなランピング用副刃の故に、ランピング中に比較的大きなチップを除去可能であることが分かるであろう。材料の除去は切刃の比較的長い部分で実施され得ることも分かるであろう。より正確には、この動作は、第6の接点X6から第1のランピング用副刃28A1の直線部分36S1の端部、すなわち42D1で示されている不連続点、まで延在する第1の切刃26Aの部分で実施され得る。
アセンブリ10が前進方向DFに移動するプランジング動作が図4Dに示されている。このような動きの間、第1の側方副刃28B1および第1の送り用副刃28C1、その下に材料がある場合は更に第1のランピング用副刃28A1、の各々がワーク92から材料を除去しうる。比較的大きなインサートランピングおよびアプローチ角k0、k1は表面仕上げを低減し得るが、これはランピングおよび送り動作能力によって相殺され得る。材料の除去は切刃の比較的長い部分で行われ得ることも分かるであろう。より正確には、この動作は、第1の側方副刃28B1の直線部分38S1の端部、すなわち44D2で示されている不連続点、から第1のランピング用副刃28A1の直線部分36S1の端部、すなわち42D1で示されている不連続点、まで延在する第1の切刃26Aの部分で行われ得る。
次に図5A〜図5Cを参照すると、代替インサートの特徴が示されている。
明示的に記載または明確に図示されている場合を除き、例示されているインサート114Aの前記特徴は、上記インサート14Aに相当すると見做されるべきである。
インサート114Aは、対向する第1および第2のすくい面118A、118Bと、第1および第2のすくい面118A、118Bを接続するインサート周面120とを備え得る。
インサート114Aは、インサート周面120の両側面に開口するインサートねじ穴112を設けて形成され得る。
第1の切刃126Aは、インサート周面120と第1のすくい面118Aとが交わる部分に沿って延在し得る。第2の切刃126Bは、インサート周面120と第2のすくい面118Bとが交わる部分に沿って延在し得る。
第1および第2の切刃126A、126Bは同じであり得るので、各々は一方に関して以下に言及されている全ての特徴を有すると見做され得る。
また、第1および第2のすくい面118A、118Bは同じであり得るので、各々は一方に関して以下に言及されている全ての特徴を有すると見做され得る。
第1の切刃126Aは、第1のランピング用副刃128A1と、第1の側方副刃128B1と、第1のランピング用副刃128A1および第1の側方副刃128B1に接続された第1の送り用副刃128C1と、第1の側方副刃128B1に接続された第2のランピング用副刃128A2と、第1のランピング用副刃128A1に接続された第2の側方副刃128B2と、第2のランピング用副刃128A2および第2の側方副刃128B2に接続された第2の送り用副刃128C2とを備え得る。
第1のすくい面118Aは、第1の切刃126Aから内方に延在するランド130を備え得る。
ランド130の更に内側に、ランド130と中心すくい面領域134との間に延在する傾斜部132が存在し得る。上記の第1の実施形態のインサート14Aとの違いの1つは、第2の実施形態のインサート114Aの各中心すくい面領域134が平坦であり得ることである。
図5Cに最もよく示されているように、ランピング用および送り用副刃128A1、128A2、128C1、128C2は、側方副刃128B1、128B2に接近するに伴い収斂し、これらにそれぞれ接続される。例えば、第1の送り用副刃128C1は、第1の側方副刃128B1に接近するに伴い、第2のランピング用副刃128A2により近付く。
インサート114Aは、第1および第2のすくい面118A、118B(図5C)の中心を貫通してこれらに垂直に延びるすくい軸線AKを備え得る。
中央長手平面PL(図5B)は、第1および第2のすくい面118A、118Bをこれらの長手寸法に沿って二等分し得る。
中央厚さ平面PT(図5Aおよび図5C)は、中央長手平面PLに垂直に延在し得て、第1および第2のすくい面118A、118Bを二等分し得る。あるいは、中央厚さ平面PTは、すくい軸線AKを含み得て、第1および第2のすくい面118A、118Bを二等分し得る、と定義される。
図5Aを参照すると、中央高さ平面PHが中央長さおよび厚さ平面PL、PTに垂直に延在し得る。中央高さ平面PHは、第1および第2の側方副刃128B1、128B2から等距離に位置しているときに、インサート114Aを二等分し得る。
高さ軸線AHがすくい軸線AKに垂直に延在し得る。高さ軸線AHは、中央厚さおよび高さ平面PT、PHが交わる部分に沿って延在し得る。
インサートねじ穴122はインサート114Aの中心に配置され得る。この非限定例においては、インサートねじ穴軸線ASが高さ軸線AHと同軸になり得る。
インサート114Aは、第1のすくい面118A上の2つの割り出し可能位置のために構成され得る。詳しく説明すると、インサート114Aを第2の割り出し可能位置に移動させるために、インサート114Aはすくい軸線AKを中心に回転させられ得る。例えば、インサート114Aは、すくい軸線AKを中心に180°回転対称であり得る。
インサート114Aは、代わりに、または好ましくは加えて、反転されるように更に構成され得るので、第2のすくい面118B上に2つの追加の割り出し可能位置が可能になり得る。例えば、インサート114Aは、この例においては高さ軸線AHに対応する、中央高さおよび厚さ平面PH、PTが交わる部分に沿って存在する軸線を中心に180°回転対称になり得る。
図5Cを参照すると、各ランピング用副刃128A1、128A2は、直線部分136S1、136S2を備え得る。各ランピング用副刃128A1、128A2は、直線部分136S1、136S2の各側に接続された一対のコーナー部分136C1、136C2、136C3、136C4も備え得る。
各側方副刃128B1、128B2は、直線部分138S1、138S2を備え得る。各側方副刃128B1、128B2は、直線部分138S1、138S2の各側に接続された一対のコーナー部分138C1、138C2、138C3、138C4を備え得る。
各送り用副刃128C1、128C2は、直線部分140S1、140S2を備え得る。各送り用副刃128C1、128C2は、直線部分140S1、140S2の各側に接続された一対のコーナー部分140C1、140C2、140C3、140C4を備え得る。
各直線部分(136S1、136S2、138S1、138S2、140S1、140S2)は、不連続点(142D1、142D2、142D3、142D4、144D1、144D2、144D3、144D4、146D1、146D2、146D3、146D4)、すなわち切刃がそれぞれ異なる方向に延在し始める点、で終わる。
第2の実施形態のインサート114Aは、ランプ用および送り用刃を接続するコーナー部分が湾曲しない尖ったコーナー部分であることで、上記の第1の実施形態のインサート14Aとは異なる(これに対し、第1の実施形態のインサート14Aは、全てのコーナー部分が湾曲しているインサートを例示している)。
詳しく説明すると、第1のランピング用副刃128A1は尖ったランプ用コーナー部分136C2を備え、第1の送り用副刃128C1は尖った送り用コーナー部分140C1を備える。隣接する尖ったコーナー部分136C2、140C1の間に接続点X6が位置する。
図5Dに注目すると、送り用コーナー部分140C1および隣接するランプ用コーナー部分136C2の一方に関して一例として補足説明すると、両方が尖った形状、言い換えると尖ったコーナー刃、を有することが示されている。これは、直線状の延長部分139をもたらす。言い換えると、直線状の延長部分139は、隣接するランプおよび送り不連続点142D2、146D1の間に延在し得る。直線状の延長部分139は、図示のように、対応付けられたランピング用および送り用刃128A1、128C1の何れよりも短い長さを有する。
このような直線状の延長部分139を備えた(言い換えると、隣接する尖った送り用およびランプ用コーナーを備えた)インサートは、図示のように、直線状の延長部分139が機械加工対象の表面137に平行に、またはほぼ平行に、なるように向けられ得る。直線状の延長部分139と隣接する第1のランピング用副刃128A1とによって形成された内角は(本願の特許請求の範囲の目的のために)計算可能であり得ることを理解されるであろう。このような記述は、直線状の延長部分139および隣接する第1の送り用副刃128C1、ならびにその他の直線状の延長部分にも当てはまる。
詳しく説明すると、直線状の延長部分139と隣接する第1のランピング用副刃128A1との間に形成された第1の内角R1は、直線状の延長部分139と隣接する第1の送り用副刃128C1との間に形成された第2の内角R2とは異なる、すなわち等しくない、ことも分かるであろう。より正確には、第1および第2の内角R1、R2はどちらも180°未満である。第1の内角R1は、この非限定例においては171°である。第2の内角R2は、この非限定例においては163°である。これら角度は変化し得るが、好ましくは直線状の延長部分139が機械加工される表面137に平行になることを理解されるであろう。したがって、このような角度はインサートランピングおよびアプローチ角k0、k1に関連し、これらから計算可能であり得ることも理解されるであろう。直線状の延長部分139は、送り用コーナー部分140C1が、ランプ用コーナー部分136C2に比べ、表面137から僅かに遠ざかるように、向けられ得ることが好ましい(この差がミクロン単位、好ましくは5〜25ミクロンの間、であり、したがってこの拡大率では見えず、したがって、平行またはほぼ平行であると見做され得るとしても)。
インサート114Aが横方向DS1に移動されるに伴い、表面137の仕上げが僅かに向上され得る。
それにも拘らず、このようなインサートおよび工具は高送り動作を目的としており(上記の第1の実施形態のインサートは、代わりに、他の改造を一切必要とせずに、隣接する尖った送り用およびランプ用コーナーが設けられ得ることにも注目)、したがって、非荒削り動作を目的としたインサートおよび工具に比べ、表面仕上げが依然としてはるかに劣り得ることに気付かれるであろう。
鋭い刃を設けると、工具寿命の短縮も予想され得ることも分かるであろう。それにも拘らず、仕上げにおける僅かな向上が工具寿命の如何なる短所も相殺すると考えられる。
最後に、尖ったコーナー部分を利用することによって、送りおよびランプ用副刃が短くされなかったことが分かる。直線状の延長部分139は、0.5mm〜2.0mmの間の長さを有することが好ましい。上記理由により、0.5mmにより近い値が好適である。
図面に示されているように、第1の実施形態のインサート14Aに比べ、現在例示されている第2の実施形態のインサート114Aは、ランピング用刃より長い送り用副刃を有する。これは、切り込み深さの増大を助けるので、例示されている第2の実施形態のインサート114Aがそのために設計されているより小さな工具直径(不図示。特に工具直径32mm、好ましくは更に小さな直径)を相殺する。それにも拘らず、このような設計は、望ましければ、より大きな直径のためにも利用され得る。
コーナー部分の形状と副刃の長さとは相互に依存しないので、上記の第1の実施形態のインサート14Aに似たインサートを改造してその隣接するランプ用および送り用副刃に尖ったコーナー部分を設けことも可能であり、更には等しい長さ、または異なる長さ、のランプ用および送り用副刃を設けることも可能であることを理解されるであろう。
上記の第1の実施形態のインサート14Aと同様に、各副刃の直線部分は平行であり得る。ただし、例えば図5Cに示されているように、送り用およびランプ用副刃は長さが等しくないので、第1および第2の切刃126A、126Bは互いに僅かにずれ得る。同様の結果が図5Aに、周面120のそうでなければ平坦な部分に軽微なねじれ148A、148B、148C、148Dによって示されている。それにも拘らず、このような不等の長さは製造を複雑化し、割ダイ製造設計に至り、切削インサート114Aの周面120に見える、図5Aに示されている分割線150A、150Bをもたらす。
一組の相対寸法の一例は、次のようであり得る。各側方副刃の直線部分の長さは0.45mmであり得る。各ランピング送り用副刃の直線部分の長さは2.5mmであり得る。各送り用副刃の直線部分の長さは3.6mmであり得る。不連続点146D1、142D2間の距離は0.6mmであり得る。側方副刃およびランピング用副刃の直線部分の間のコーナーの半径曲率は0.85mmであり得る。側方副刃および送り用副刃の直線部分の間のコーナーの半径曲率は1.00mmであり得る。
図5Aおよび図5Bに示されている更なる相違点は、例示されている切刃126A、126Bが高さ平面PHからの距離が異なる部分を備えず、それぞれ単一の平面に位置し得ることであり得る。
図5Dを参照すると、インサートの向きがワークに非平行になるので、ワーク表面137に対して以下の角度が形成されることになる。第1のランピング用副刃128A1は、表面137に対するインサートランピング角k0として9°を形成し得る。第1の送り用副刃128C1は、表面137に対するインサートアプローチ角k1として17°を形成し得る。言い換えると、インサートアプローチ角k1は、インサートランピング角k0の角度範囲の約2倍である。インサートアプローチ角k1は、17°±3°の範囲内であることが好ましい。
上記説明は、一例示的実施形態および詳細を含み、例示されていない複数の実施形態および詳細を本出願の特許請求の範囲から排除しない。