JP2019212461A - 電極製造方法、及び電極製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極の個片の厚みを適切に検査することができる電極製造方法及び電極製造装置を提供する。【解決手段】電極製造方法は、プレス工程S40でプレスされて搬送される電極20の個片の寸法を測定する寸法測定工程S80を備える。従って、本実施形態に係る電極製造方法では、電極20の何れかの箇所(例えば角部20k付近)において厚みの異常があることによって電極20の個片の寸法が影響を受ける場合、当該寸法に基づいて厚みの異常を把握することができる。これにより、寸法測定工程S80での測定結果を用いることで、電極20の個片の厚みを直接測定しない箇所についての検査を行うことが可能となる。【選択図】図6
Description
本発明は、電極製造方法、及び電極製造装置に関する。
従来、電極を製造する電極製造方法として、特許文献1に記載されたものが知られている。この電極製造方法は、電極の部材となる帯状のシート部材を圧延した後に、当該シート部材の厚みを測定している。
ここで、プレス部にて電極の個片のプレスを行った後、下流側の検査部で電極の個片の検査が行われる場合がある。このように電極の個片に対してプレスを行う場合、プレス部に対する電極の個片の傾きの影響などにより、電極の個片の厚みにばらつきが生じる可能性がある。特許文献1のように対象物の特定箇所だけの厚みを測定する場合、測定箇所以外での厚みのばらつきを検査できないという問題がある。
本発明の目的は、電極の個片の厚みを適切に検査することができる電極製造方法及び電極製造装置を提供することである。
本発明の一態様に係る電極製造方法は、集電体の少なくとも片面に活物質層を有する電極を製造する電極製造方法であって、シート部材を切断することによって電極の個片を形成する切断工程と、電極の個片を、プレスロールを用いてプレスするプレス工程と、プレス工程でプレスされて搬送される電極の個片について、複数の辺の交点を決定し、交点間の距離を測定する距離測定工程と、を備える。
本発明の一態様に係る電極製造方法は、シート部材を切断することによって電極の個片を形成する切断工程と、電極の個片をプレスするプレス工程と、を備える。ここで、電極の個片をプレス工程にてプレスロールを用いてプレスすると、活物質層が薄くなることで電極が薄くなる。このとき、活物質層が薄くなることに伴って、当該活物質層が面方向に広がる。これにより、電極の個片に対して複数の辺の交点を決定した場合、交点間の距離が影響を受ける。このように、プレス後の電極の個片の厚みと交点間の距離との間には相関関係がある。電極の何れかの箇所において厚みの異常があることによって電極の個片の交点間の距離が影響を受ける場合、当該交点間の距離に基づいて厚みの異常を把握することができる。この点を鑑みて、電極製造方法は、プレス工程でプレスされて搬送される電極の個片について、複数の辺の交点を決定し、交点間の距離を測定する距離測定工程を備える。これにより、距離測定工程での測定結果を用いることで、電極の個片の厚みを直接測定しない箇所についての検査を行うことが可能となる。以上により、電極の個片の厚みを適切に検査することができる。
電極製造方法は、プレス工程でプレスされて搬送される電極の個片の厚みを測定する厚み測定工程を更に備えてよい。厚み測定工程で電極の個片の厚みを直接的に測定することで、少なくとも測定箇所については精度良く厚みの検査を行うことができる。また、距離測定工程で測定した寸法に基づくことで、厚み測定工程で直接測定しない箇所についても厚みの検査を行うことができる。これにより、電極の個片の厚みの検査精度を向上することができる。
電極製造方法において、厚み測定工程では、電極の搬送方向と直交する幅方向における電極の個片の中央位置の厚みを少なくとも測定してよい。これにより、厚み測定部に対して電極が幅方向にずれた場合であっても、電極の厚みの測定を行うことができる。
電極製造方法において、厚み測定工程では、非接触で電極の個片の厚みを測定する非接触式の厚み測定部が用いられてよい。非接触で厚みを測定することで、電極に対するダメージを低減できる。
電極製造方法において、厚み測定工程では、電極と接触することで電極の個片の厚みを測定する接触式の厚み測定部が用いられてよい。例えば、電極が上下方向に変位するような場合であっても、厚み測定部が電極と接触することで、厚みを正確に測定することができる。
電極製造方法は、少なくともプレス工程よりも前に、活物質層を形成する活物質ペーストを集電体のベース部材に塗布する際に、活物質ペーストの密度及び膜厚を管理する管理工程を更に備えてよい。管理工程において、プレス前の活物質ペーストの密度及び膜厚が所望の値の範囲内におさまるように管理しておいた場合、正常にプレスがなされれば、電極の個片の交点間の距離及び厚みは、所定の規格値の範囲内におさまる。従って、距離測定工程の測定結果が規格値の範囲内におさまっていれば、厚みも規格値の範囲内におさまっていると判断することができる。このように、活物質ペーストの密度及び膜厚の管理がなされていれば、厚み測定工程だけでも厚みの検査を十分に行うことができるため、厚み測定工程を省略することができる。
本発明の一形態に係る電極製造方法は、集電体の少なくとも片面に活物質層を有する電極を製造する電極製造方法であって、シート部材を切断することによって電極の個片を形成する切断工程と、電極の個片を、プレスロールを用いてプレスするプレス工程と、プレス工程でプレスされて搬送される電極の個片の輪郭形状を検査する検査工程と、を備える。
本発明の一態様に係る電極製造方法は、シート部材を切断することによって電極の個片を形成する切断工程と、電極の個片をプレスするプレス工程と、を備える。ここで、電極の個片をプレス工程にてプレスロールを用いてプレスすると、活物質層が薄くなることで電極が薄くなる。このとき、活物質層が薄くなることに伴って、当該活物質層が面方向に広がる。これにより、電極の個片の輪郭形状が影響を受ける。このように、プレス後の電極の個片の厚みと輪郭形状との間には相関関係がある。電極の何れかの箇所において厚みの異常があることによって電極の個片の輪郭形状が影響を受ける場合、当該輪郭形状に基づいて厚みの異常を把握することができる。この点を鑑みて、電極製造方法は、プレス工程でプレスされて搬送される電極の個片の輪郭形状を検査する検査工程を備える。これにより、検査工程での測定結果を用いることで、電極の個片の厚みを直接測定しない箇所についての検査を行うことが可能となる。以上により、電極の個片の厚みを適切に検査することができる。
本発明の一態様に係る電極製造装置は、集電体の少なくとも片面に活物質層を有する電極を製造する電極製造装置であって、シート部材を切断することによって電極の個片を形成する切断部と、電極の個片を、プレスロールを用いてプレスするプレス部と、プレス部でプレスされて搬送される電極の個片について、複数の辺の交点を決定し、交点間の距離を測定する距離測定部と、プレス部でプレスされて搬送される電極の個片の厚みを測定する厚み測定部と、を備えてよい。
また、本発明の一態様に係る電極製造装置は、集電体の少なくとも片面に活物質層を有する電極を製造する電極製造装置であって、シート部材を切断することによって電極の個片を形成する切断部と、電極の個片を、プレスロールを用いてプレスするプレス部と、プレス部でプレスされて搬送される電極の個片の輪郭形状を検査する検査部と、プレス部でプレスされて搬送される電極の個片の厚みを測定する厚み測定部と、を備える。
電極製造装置によれば、上述の電極製造方法と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
本発明によれば、電極の個片の厚みを適切に検査することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る電極検査装置で製造される蓄電装置の内部を示す断面図である。図2は、図1のII−II線断面図である。図1及び図2において、蓄電装置1は、積層型の電極組立体を有するリチウムイオン二次電池である。
蓄電装置1は、例えば略直方体形状のケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。また、電極組立体3とケース2の内側の側面及び底面との間には絶縁フィルムが配置されており、絶縁フィルムによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。図1では便宜上、電極組立体3の下端とケース2の底面との間には僅かな隙間が設けられているが、実際には電極組立体3の下端が絶縁フィルムを介してケース2の内側の底面に接触している。
電極組立体3は、複数の正極8と複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極11として構成されている。従って、電極組立体3は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。なお、電極組立体3の両端に位置する電極は、負極9である。
正極8は、例えばアルミニウム箔からなる正極集電体である金属箔14と、この金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。金属箔14は、平面視矩形状の箔本体部14aと、この箔本体部14aと一体化されたタブ14bとを有している。タブ14bは、箔本体部14aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。そして、タブ14bは、セパレータ10を突き抜けている。複数の正極8より延びる複数のタブ14bは、集箔された状態で導電部材12に接続(溶接)され、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ14bを省略している。
正極活物質層15は、箔本体部14aの表裏両面に形成されている。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウムまたは硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとが含まれる。
負極9は、例えば銅箔からなる負極集電体である金属箔16と、この金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。金属箔16は、平面視矩形状の箔本体部16aと、この箔本体部16aと一体化されたタブ16bとを有している。タブ16bは、箔本体部16aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。タブ16bは、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ16bを省略している。
負極活物質層17は、箔本体部16aの表裏両面に形成されている。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物またはホウ素添加炭素等が挙げられる。
セパレータ10は、平面視矩形状を呈している。セパレータ10の形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が例示される。
以上のように構成された蓄電装置1を製造する場合は、正極8又は負極9の製作したのち、正極8をセパレータで包装し、セパレータと正極が一体となったセパレータ付き正極11としてアッシー化する。セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層し、セパレータ付き正極11及び負極9を固定することで電極組立体3を得る。そして、セパレータ付き正極11のタブ14bを導電部材12を介して正極端子4に接続すると共に、負極9のタブ16bを導電部材13を介して負極端子5に接続した後、電極組立体3をケース2内に収容する。本実施形態は、この工程前半の正極8又は負極9の製作、及びこれらの検査に関わる。まず、帯状の金属箔に活物質合剤を塗工後乾燥させ、帯状の金属箔の両面に活物質層前駆体を備えたシート部材30を製作する。このシート部材30の切断後、各々をプレスすることで、正極8又は負極9を製作する。また、プレスされた正極8及び負極9を検査する。
次に、図3を参照して、本発明の実施形態に係る電極製造装置100について説明する。図3は、電極製造装置100の構成を示す概略平面図である。電極製造装置100は、金属箔の両面に活物質層を有する電極20を製造する装置である。電極製造装置100は、電極20の材料となる部材を搬送方向へ搬送しながら、電極20を製造する。なお、電極製造装置100が製造する電極20は正極8及び負極9のいずれであってもよい。また、電極20は、切断部21で電極の形状に切断された後、プレス部でプレスされることなどによって形成されるものである。ただし、ここでは説明を容易とするために、プレスされる前の部材であっても、切断部21で電極20の形状に形成されたものは「電極20」と称するものとする。また、所望の形状に形成された状態の電極20は、シート部材30のような帯状の部材と区別するために、「個片」と称される場合がある。電極製造装置100においては、プレス後に、電極検査装置82により検査を行うことで、電極20が完成するものである。
電極製造装置100は、シート部材30を電極形状に切断する切断部21と、切断後の電極20をプレスするプレスローラを備えたプレス部24A,24Bと、第1の向き変更部に相当し、搬送方向に対する電極20の向きを変更する向き変更部76A,76Bと、向き変更後の電極を検査する電極検査装置82とを備える。さらに、本実施形態においては、電極製造装置100は、第2の向き変更部に相当し、切断部21とプレス部24A,24Bとの間での、搬送方向に対する電極20の向きを変更する向き変更部75A,75Bを備える。また、搬送方向を変更するための方向転換部39A,39B,43A,43B、二条取りの為の分岐部22、合流部27などを備える。なお、向き変更部75A,75B,76A,76B、方向転換部39A,39B,43A,43B、又は分岐部22・合流部27などは、本実施形態による切断部21における電極20の同時切断枚数や向き、各装置のレイアウト等の仕様に依存するもので、仕様が異なる場合には、必ずしも必須ではない。完成した電極20は、続けて、電極20を用いて蓄電装置1を組み立てる為に、製造ラインにおける後工程に送られる。以下に、これらの構成について、具体的に詳述する。
本実施形態においては、図3に示すように、電極製造装置100は、搬送方向における上流側から順に、切断部21と、分岐部22と、を備える。また、電極製造装置100は、分岐部22から分岐した一方のラインにおいて、搬送方向における上流側から順に、搬送路23Aと、プレス部24Aと、搬送路26Aと、を備える。電極製造装置100は、分岐部22から分岐した他方のラインにおいて、搬送方向における上流側から順に、搬送路23Bと、プレス部24Bと、搬送路26Bと、を備える。また、電極製造装置100は、搬送路26Aと搬送路26Bとを合流させる合流部27を備える。
切断部21は、シート部材30を切断することによって電極20の個片を形成する。切断部21は、例えば、図5に示すように、一対のローラ21a、21bを備えたロータリーダイカット方式の切断装置として構成されている。帯状のシート部材30は、当該シート部材30の長手方向に、切断部21の一対のローラ21a、21b間を通過するように搬送される。一対のローラ21a、21bの一方は、シート部材30を所望の形状に切断する刃部が形成されたダイロールであり、他方はアンビルロールである。従って、一対のローラ21a、21bは、その刃部でシート部材30を挟み込んで、当該シート部材30を切断する。切断部21は、帯状のシート部材30を切断することで、電極20を形成する。切断部21は、シート部材30を切断し、当該シート部材30の長手方向、すなわちローラ21a、21bの回転軸が延びる方向と直交する送出方向へ送出することで、電極20を形成する。ただし、切断部21は電極20を形成できる限り、ロータリーダイカット方式以外の構造を有していてもよい。
図5に示すように、切断部21で個片に切断された電極20は、短手方向に互いに対向する縁部20a,20bと、長手方向に対向する縁部20c,20dと、を備える矩形状の形状を有する。縁部20a,20bと縁部20c,20dとは互いに直交する。電極20の縁部20a側にはタブ20eが形成される。タブ20eは、縁部20aから突出する。タブ20eは、金属箔が露出する活物質層20gの未塗工部として構成される。活物質層20gは、正極活物質層15又は負極活物質層17である。なお、未塗工部はタブ20eのみならず、縁部20a付近の領域に、長手方向に延びるように形成されてもよい。
図5に示すように、シート部材30は、活物質層20gを形成する活物質ペースト30aの塗工部と、金属箔14のベースとなるベース部材30bと、を備える。シート部材30は、切断部21での切断工程よりも前工程において、帯状のベース部材30bに対し、所定の膜厚にて活物質ペースト30aを塗布して乾燥することによって構成される。シート部材30は、予めロール状に巻かれることでロール体の状態で保管される。切断部21がシート部材30の切断を行うとき、ロール体からシート部材30が切断部21に対して巻き出される。なお、シート部材30は、保管なく、前工程より連続的に供給されてもよい。
図3に示すように、切断部21は、送出方向と直交する方向に配列された電極20A及び電極20Bを形成する。すなわち、切断部21は、帯状のシート部材30から、短手方向に二枚分の電極20を切り出す、いわゆる「二条取り」の切断を行う。切断部21は、帯状のシート部材30を短手方向において電極20の二枚分の大きさ及び形状に切断する。また、切断部21は、帯状のシート部材30を長手方向において電極20の一枚分のピッチ毎に切断する。切断部21は、シート部材30を切断することで、タブ20eが形成される縁部20aが搬送方向に延びる状態の電極20A,20Bを形成する。
なお、水平方向における一の方向に対して「X軸」を設定し、水平方向においてX軸と直交する方向に対して「Y軸」を設定する。シート部材30が送られる方向がX軸方向に対応し、シート部材30の送り方向における上流側がX軸方向の正側に対応する。X軸方向と直交する方向がY軸方向に対応し、当該Y軸方向の一方がY軸方向の正側に対応する。以降の説明においては、「X軸」、「Y軸」を用いて説明を行う場合がある。
切断部21から送出された直後の状態では、電極20Bは、タブ20fがY軸方向の正側へ突出する姿勢である。また、電極20Aは、電極20BのY軸方向の負側に配置されており、且つ、タブ20fがY軸方向の負側へ突出する姿勢である。すなわち、電極20A,20Bは、長手方向に延びる縁部20aが搬送方向に沿って延びる状態である。
分岐部22は、切断部21から送出された電極20A及び電極20Bを搬送路23A及び搬送路23Bへ分岐させる。分岐部22は、下面で電極20A,20Bを吸着した状態で搬送する吸着コンベア31によって構成される。吸着コンベア31は、電極20A,20Bを二列に配列されたままの状態でX軸方向へ搬送するように、X軸方向へ延びる。
吸着コンベア31は、搬送方向における一部において、搬送路23Aと重なっている。すなわち、吸着コンベア31の下方に搬送路23Aの一部が配置される。搬送路23Aは、吸着コンベア31の幅方向(Y軸方向)の縁部のうち、電極20Aが配置される側のY軸方向の負側の縁部31bまで延びている。吸着コンベア31は、切断部21から搬送した電極20Aを搬送路23Aの位置で落下させることで、当該搬送路23Aに電極20Aを移し替える。吸着コンベア31は、搬送方向における一部であって、搬送路23Aと搬送方向において異なる位置において、搬送路23Bと重なっている。すなわち、吸着コンベア31の下方に搬送路23Bの一部が配置される。搬送路23Bは、吸着コンベア31の幅方向(Y軸方向)の縁部のうち、電極20Bが配置される側のY軸方向の正側の縁部31aまで延びている。吸着コンベア31は、切断部21から搬送した電極20Bを搬送路23Bの位置で落下させることで、当該搬送路23Bに電極20Bを移し替える。
搬送路23Aは、分岐部22からプレス部24Aへ電極20Aを搬送する搬送路である。搬送路23Aは、搬送部32Aと、搬送部36Aと、方向転換部39Aと、を備える。搬送部32Aは、分岐部22からY軸方向の正側へ向かって延びる。搬送部36Aは、搬送部32Aの下流側の端部からプレス部24Aへ向かってX軸方向の負側へ向かって延びる。方向転換部39Aは、搬送部32Aと搬送部36Aとの間で電極20Aの方向転換を行う。
搬送部32Aは、搬送方向の上流側から順に、位置決め部33Aと、コンベア34Aと、を備える。分岐部22から電極20Aを受け取る部分には、位置決め部33Aが設けられている。なお、搬送部32Aでは、電極20Aは、Y軸方向の負側へタブ20fが突出した状態で搬送される。すなわち、搬送部32Aは、長手方向に延びる縁部20aが搬送方向と直交する方向に沿って延びる状態にて、電極20Aを搬送する。このように、電極20Aは、分岐部22から搬送部32Aへ移し替えられることで、搬送方向に対する向きが変更される。従って、分岐部22及び搬送部32Aによって、搬送方向に対する電極20Aの向きを変更する向き変更部75Aが構成される。向き変更部75Aは、プレス部24Aに対する電極20Aの向きを維持した状態で、搬送方向を変更することで、搬送方向に対する電極20Aの向きを変更する。向き変更部75Aは、搬送方向を90°変更することで、搬送方向に対する電極20Aの向きを90°変更する。
位置決め部33Aは、搬送方向と直交する方向に対する電極20Aの位置決めを行う。位置決め部33Aは、X軸方向の電極20Aの位置決めを行った後、Y軸方向の正側へ電極20Aを搬送し、位置決め部33Aは、Y軸方向の正側へ電極20Aを搬送し、コンベア34Aへ送る。本実施形態では、位置決め部33Aは、複数の搬送ローラ33aと、規制部33bと、を備える。
複数の搬送ローラ33aは、電極20Aを搬送方向へ搬送するものであり、搬送方向へ並べられている。搬送ローラ33aは、当該搬送ローラ33aを回転させるための駆動部(不図示)に接続されている。複数の搬送ローラ33aの一部は、X軸方向における正側の端部が、搬送方向における上流側へ位置するように、X軸方向に対して傾斜する。上流側に配置された搬送ローラ33aの傾斜が大きく、下流側に配置される搬送ローラ33aほど傾斜が小さくなっている。このような構成により、搬送ローラ33a上の電極20Aは、搬送方向に搬送されながら、X軸方向の正側へ寄せられる。
規制部33bは、搬送ローラ33aに対して、X軸方向における正側に配置され、電極20AのX軸方向における正側への移動を規制する。これにより、搬送ローラ33aによってX軸方向の正側へ寄せられた電極20Aは、規制部33bによってX軸方向への移動を規制される。規制部33bは、搬送ローラ33aから上方へ立ち上がるように設けられる。これにより、電極20Aの縁部が規制部33bに当接し、当該縁部がY軸方向に平行に位置決めされる。なお、規制部33bは、少なくとも搬送ローラ33aがX軸方向に対して傾斜している領域に設けられていればよい。
搬送部36Aは、コンベアによって構成される。なお、搬送部36Aでは、電極20Aは、X軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。すなわち、電極20Aは、長手方向に延びる縁部20aが搬送方向と直交する方向に沿って延びる状態で搬送される。
方向転換部39Aは、搬送方向の方向転換を行うもので、電極20Aの搬送方向をプレス部24Aに向ける。方向転換部39Aは、Y軸方向に搬送される電極20Aの搬送方向を、X軸方向へ転換する。方向転換部39Aは、90°の円弧を描くように湾曲する搬送経路を形成する。方向転換部39Aは、湾曲する搬送経路に対する電極20Aの角度を略一定に保ちながら、電極20Aを搬送する。従って、電極20Aのプレス部24Aの回転軸方向に対する角度は、方向転換部39Aに搬送されるに従って徐々に変化し、方向転換部39Aの前後で約90°変化する。これにより、方向転換部39Aは、当該方向転換部39Aの通過前後において、プレス部24Aに対する電極20Aの向きを変更することができる。方向転換部39Aの構成は特に限定されない。例えば、方向転換部39Aは、90°の円弧を描く軌道を有するカーブコンベアによって構成されていてもよい。
方向転換部39Aは、コンベア34AによりY軸方向の正側へ搬送される電極20Aの搬送方向を、X軸方向の負側へ転換し、搬送部36Aへ受け渡す。電極20Aは、方向転換部39Aの上流側では、タブ20fがY軸方向の負側へ突出する姿勢である。電極20Aは、方向転換部39Aの下流側では、タブ20fがX軸方向の正側へ突出する姿勢である。電極20Aは、方向転換部39Aの上流側及び下流側において、長手方向に延びる縁部20aが搬送方向と直交する方向に沿って延びる状態を維持されて搬送される。
プレス部24Aは、電極20Aの個片をプレスする。プレス部24Aは、一対のプレスローラ61を備える。プレス部24Aは、電極20Aを一対のプレスローラ61でプレスする。一対のプレスローラ61は、互いに平行な状態で上下方向に配置されている。また、一対のプレスローラ61の回転軸は、Y軸方向に平行に延びている。プレス部24Aは、電極20Aの搬送経路とラップする一端側にプレスローラ61が配置され、他端側にプレスローラ61の駆動機構が配置されている。電極20Aは、一対のプレスローラ61間を通過することにより、プレスされる。プレス部24Aは、長手方向に延びる縁部20aが搬送方向と直交する方向に沿って延びる状態で電極20Aをプレスする。プレス部24Aは、タブ20eとは反対側の縁部20b側から電極20Aのプレスを開始する。プレス部24Aは、X軸方向の負側へ電極20Aを送りながらプレスする。
搬送路26Aは、プレス部24Aから合流部27へ電極20Aを搬送する搬送路である。搬送路26Aは、搬送部41Aと、搬送部42Aと、方向転換部43Aと、を備える。搬送部41Aは、プレス部24AからX軸方向の負側へ向かって延びる。搬送部41Aは、コンベア47Aによって構成される。搬送部42Aは、搬送部41Aの下流側の端部から合流部27へ向かってY軸方向の負側へ向かって延びる。搬送部42Aは、コンベア48Aによって構成される。方向転換部43Aは、搬送部41Aと搬送部42Aとの間で電極20Aの方向転換を行う。方向転換部43Aは、搬送方向以外は、前述の方向転換部39Aと同趣旨の構成を有する。なお、搬送部41Aでは、電極20Aは、X軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。搬送部42Aでは、電極20Aは、Y軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。すなわち、電極20Aは、方向転換部43Aの上流側及び下流側において、長手方向に延びる縁部20aが搬送方向と直交する方向に沿って延びる状態が維持されて搬送される。
搬送路23Bは、分岐部22からプレス部24Bへ電極20Bを搬送する搬送路である。搬送路23Bは、搬送部32Bと、搬送部36Bと、方向転換部39Bと、を備える。搬送部32Bは、分岐部22からY軸方向の負側へ向かって延びる。搬送部36Bは、搬送部32Bの下流側の端部からプレス部24Bへ向かってX軸方向の負側へ向かって延びる。方向転換部39Bは、搬送部32Bと搬送部36Bとの間で電極20Bの方向転換を行う。
搬送部32Bは、搬送方向の上流側から順に、位置決め部33Bと、コンベア34Bと、を備える。分岐部22から電極20Bを受け取る部分には、位置決め部33Bが設けられている。位置決め部33Bは、Y軸方向の負側へ電極20Bを搬送し、X軸方向の正側で電極20Bを規制する点を除き、位置決め部33Aと同趣旨の構成を有する。なお、搬送部32Bでは、電極20Bは、Y軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。すなわち、搬送部32Bは、長手方向に延びる縁部20aが搬送方向と直交する方向に沿って延びる状態にて、電極20Bを搬送する。分岐部22では、電極20Bは、長手方向に延びる縁部20aが搬送方向に沿って延びる状態で搬送される。このように、電極20Bは、分岐部22から搬送部32Bへ移し替えられることで、搬送方向に対する向きが変更される。従って、分岐部22及び搬送部32Bによって、搬送方向に対する電極20Bの向きを変更する向き変更部75Bが構成される。向き変更部75Bは、プレス部24Bに対する電極20Bの向きを維持した状態で、搬送方向を変更することで、搬送方向に対する電極20Bの向きを変更する。向き変更部75Bは、搬送方向を90°変更することで、搬送方向に対する電極20Bの向きを90°変更する。
搬送部36Bは、コンベアによって構成される。なお、搬送部36Bでは、電極20Bは、X軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。すなわち、電極20Bは、長手方向に延びる縁部20aが搬送方向と直交する方向に沿って延びる状態で搬送される。
プレス部24Bは、電極20Bの個片をプレスする。プレス部24Bは、一対のプレスローラ61を備える。プレス部24Bは、プレス部24Aと同趣旨の構成を有する。プレス部24Bは、長手方向に延びる縁部20aが搬送方向と直交する方向に沿って延びる状態で電極20Bをプレスする。プレス部24Bは、タブ20eとは反対側の縁部20b側から電極20Bのプレスを開始する。プレス部24Bは、X軸方向の負側へ電極20Aを送りながらプレスする。
搬送路26Bは、プレス部24Bから合流部27へ電極20Bを搬送する経路である。搬送路26Bは、搬送部41Bと、搬送部42Bと、方向転換部43Bと、を備える。搬送部41Bは、プレス部24BからX軸方向の負側へ向かって延びる。搬送部41Bは、コンベア47Bによって構成される。搬送部42Bは、搬送部41Bの下流側の端部から合流部27へ向かってY軸方向の正側へ向かって延びる。搬送部42Bは、コンベア48Bによって構成される。方向転換部43Bは、搬送部41Bと搬送部42Bとの間で電極20Bの方向転換を行う。方向転換部43Bは、搬送方向以外は、前述の方向転換部39Aと同趣旨の構成を有する。なお、搬送部41Bでは、電極20Bは、X軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。搬送部42Bでは、電極20Bは、Y軸方向の負側へタブ20fが突出した状態で搬送される。すなわち、電極20Bは、方向転換部43Bの上流側及び下流側において、長手方向に延びる縁部20aが搬送方向と直交する方向に沿って延びる状態が維持されて搬送される。
合流部27は、搬送路26Aと搬送路26Bとが合流する部分である。合流部27は、搬送路26Aで搬送された電極20A及び搬送路26Bで搬送された電極20Bを合流させる。合流部27は、下面で電極20A,20Bを吸着した状態で搬送する吸着コンベア46によって構成される。吸着コンベア46は、電極20A,20Bを二列に配列した状態でX軸方向の負側へ搬送するように、X軸方向へ延びる。
吸着コンベア46は、X軸方向の正側の端部付近であって、Y軸方向の正側の縁部46aにおいて、搬送路26Aと重なっている。すなわち、吸着コンベア46の下方に搬送路26Aの一部が配置される。吸着コンベア46は、搬送路26A上の電極20Aを下面で吸着することで、吸着コンベア46へ電極20Aを移し替える。吸着コンベア46は、X軸方向の正側の端部付近であって、Y軸方向の負側の縁部46bにおいて、搬送路26Bと重なっている。すなわち、吸着コンベア46の下方に搬送路26Bの一部が配置される。吸着コンベア46は、搬送路26B上の電極20Bを下面で吸着することで、吸着コンベア46へ電極20Bを移し替える。
吸着コンベア46は、吸着した電極20A,20BをX軸方向の負側へ搬送する。電極20Aは、吸着コンベア46のY軸方向の正側の領域にて搬送される。このとき、電極20Aは、タブ20fがY軸方向の正側へ突出する姿勢である。電極20Bは、吸着コンベア46のY軸方向の負側の領域にて搬送される。このとき、電極20Bは、タブ20fがY軸方向の負側へ突出する姿勢である。すなわち、合流部27は、長手方向に延びる縁部20aが搬送方向に沿って延びる状態にて、電極20A,20Bを搬送する。搬送部42A,42Bでは、電極20A,20Bは、長手方向に延びる縁部20aが搬送方向と直交する方向に沿って延びる状態で搬送される。このように、電極20A,20Bは、搬送部42A,42Bから合流部27へ移し替えられることで、搬送方向に対する向きが変更される。従って、搬送部42A,42B及び合流部27によって、搬送方向に対する電極20A,20Bの向きを変更する向き変更部76A,76Bが構成される。向き変更部76A,76Bは、プレス部24A,24Bに対する電極20A,20Bの向きを維持した状態で、搬送方向を変更することで、搬送方向に対する電極20A,20Bの向きを変更する。向き変更部75A,75Bは、搬送方向を90°変更することで、搬送方向に対する電極20A,20Bの向きを90°変更する。
電極製造装置100において、プレス後の工程に関わる設備として、電極20A,20Bを貯めておくバッファ装置81と、電極20A,20Bの検査を行う電極検査装置82と、検査後の電極20A,20Bの後処理を行う処理装置83と、が配置される。本実施形態では、電極検査装置82までが電極製造装置100であり、処理装置83は、製造ラインにおける後工程にあたる。バッファ装置81は、合流部27と電極検査装置82との間に配置される。バッファ装置81は、例えばサーボループ装置などによって構成され、電極20A,20Bを合流部27から受け取ると共に、適切なタイミングで電極20A,20Bを下流側へ送出する。処理装置83は、電極検査装置82の下流側に配置される。処理装置83は、例えば電極20A,20Bが正極である場合、当該正極をセパレータで包み込む包装装置などによって構成されてよい。
次に、図4を用いて、電極検査装置82について詳細に説明する。図4は、電極検査装置82を示す概略側面図である。なお、検査対象となる電極20の長手方向の寸法は100〜200mmであり、短手方向の寸法は100〜200mmであり、厚さは10〜200μmとしてよい。短手方向の寸法には、タブ20eの寸法も含まれる(図5のL1参照)。また、長手方向の寸法は、短手方向の寸法より長くなる。なお、本実施形態においては、タブが箔本体部の短手方向に突出する形状としているが、特にこれに限定されず、タブが長手方向に突出する形状であってもよい。
電極検査装置82は、電極20のカット及びプレス後に、当該電極20の個片を搬送しながら検査を行う装置である。また、電極検査装置82で検査を終えた電極20は、搬送コンベア170で搬送されて、処理装置83へ供給される。搬送コンベア170は、ベルトに所定ピッチで設けられた桟171を備えており、当該桟171で電極20を位置決めした状態で、当該電極20を処理装置83へ搬送する。
電極検査装置82は、搬送コンベア130と、厚み測定部135と、吸着コンベア140と、第1カメラ145と、吸着コンベア150と、第2カメラ155と、吸着コンベア160と、制御部200と、を備える。なお、以降の説明においては、電極検査装置82が電極20を搬送する方向を「搬送方向D1」と称する。
搬送コンベア130は、電極20を上面130aに載置させた状態で搬送方向D1へ搬送する。搬送コンベア130は、厚み測定部135が電極20の厚み測定を行う事ができるように、電極20を水平な状態で支持する。なお、搬送コンベア130は、吸着コンベアであってもよい。また、搬送コンベア130の上流側には搬送方向D1と直交する幅方向において電極20の位置合わせをする整列コンベアが設けられてよい。
厚み測定部135は、プレス部24A,24B(図3参照)でプレスされて搬送される電極20の個片の厚みを測定する。本実施形態では、厚み測定部135は、非接触で電極20の個片の厚みを測定する非接触式の測定装置によって構成される。従って、厚み測定部135は、電極20から上方へ離間した位置に配置される。厚み測定部135として、レーザを用いて電極20の厚みを測定するものを採用してよい。例えば、厚み測定部135として、分光干渉変位タイプの多層膜厚測定器(例えば、株式会社キーエンス社製の「SI−Tシリーズ」の多層膜厚測定器など)を採用してよい。この厚み測定部135は、上方から電極20へレーザを照射し、電極20の活物質層の表面、活物質層と金属箔との境界面などで反射してきた反射光をセンサ部で受信することで、電極20の厚みを測定する。なお、厚み測定部135としてどのような測定方式の測定装置を用いるかは特に限定されず、例えば、X線やβ線を用いた測定装置などを用いてもよい。厚み測定部135は、検査により取得したデータを制御部200に伝送する。
吸着コンベア140は、電極20を上側から吸着し、当該電極20を搬送する。吸着コンベア140は、搬送コンベア130の下流側の端部と対向する位置から搬送方向D1に沿って延びている。吸着コンベア140は、搬送コンベア130で搬送された電極20を下面140aに吸着する。吸着コンベア140は、下面140aの裏側から吸引装置で吸引することにより、下面140aに接触した電極20を吸着することができる。吸着コンベア140は、電極20を下面140aに吸着させた状態で搬送方向D1へ向かって搬送する。
第1カメラ145は、プレス部24A,24B(図3参照)でプレスされて搬送される電極20の個片について、主面の一面を撮像し、画像データを取得する。第1カメラ145は、吸着コンベア140で搬送される電極20を下側から撮像する。第1カメラ145は、吸着コンベア140の下面140aに対して下側で対向する位置に配置されている。
吸着コンベア150は、電極20を下側から上面150aで吸着し、当該電極20を搬送する。吸着コンベア150は、吸着コンベア140の下流側の端部と対向する位置から搬送方向D1に沿って延びている。吸着コンベア150は、吸着コンベア140よりも下側に設けられる。吸着コンベア150の上面150aは、吸着コンベア140の下面140aよりも下側に配置される。吸着コンベア150は、カットされた電極20を上面150aの上に載置させる。また、吸着コンベア150は、上面150aの裏側から吸引装置で吸引することにより、上面150aに接触した電極20を吸着することができる。吸着コンベア150は、電極20を上面150aに吸着させた状態で搬送方向D1へ向かって搬送する。
第2カメラ155は、プレス部24A,24B(図3参照)でプレスされて搬送される電極20の個片の主面の他面を撮像する。第2カメラ155は、吸着コンベア150で搬送される電極20を上側から撮像し、画像データを取得する。第2カメラ155は、吸着コンベア150の上面150aに対して上側で対向する位置に配置されている。
第1カメラ145及び第2カメラ155により得られた電極20の個片の両面の画像は、制御部200に送られる。制御部200は、送られた画像を解析し、電極20の表面の異常の有無の判断、及び、寸法の演算と異常の有無の判断、を行う。表面の異常とは、例えば、電極20の表面への異物の付着、表面の傷、活物質層の透け、などである。電極20の表面の画像より、前述の異常を検出することは、周知技術であるため、これ以上の説明は割愛する。寸法の演算とは、例えば、電極20の4辺を検出し、各辺の延長線上より交点を求め、交点間の距離(寸法)を算出することをいう。ここで、寸法とは、必ずしも4辺に対応するものに限らず、対角線に相当する交点間の距離でもよい。例えば、図7(a)に示すように、電極20には四方の辺が互いに交差する交点P1,P2,P3,P4と、縁部20aに対応する辺とタブ20eが交差する交点P5,P6と、が設定される。制御部200は、第2カメラ155が取得した画像から交点P1〜P6を特定し、交点間の距離を測定する。制御部200は、例えば交点P1,P3間の距離から寸法L3(図5参照)を取得することができ、交点P1,P2間の距離から寸法L2(図5参照)を取得することができ、交点P1,P4間の距離から電極の対角線の長さを所得することができる。従って、本実施形態では、第2カメラ155及び制御部200が、電極20の個片について、複数の辺の交点を決定し、交点間の距離を測定する距離測定部を構成する。なお、本実施形態では、交点間の距離を測定することを通じて、電極20の寸法を取得している。従って、以降の説明において「寸法測定」などと言った場合、当該測定には交点間の距離測定の工程が含まれているものとする。なお、寸法の測定は、第1カメラ145又は第2カメラ155の、どちらかで得られた画像のみで可能であるが、両方で得られた画像について、同様に寸法を測定してもよい。
吸着コンベア160は、電極20を上側から下面160aで吸着し、当該電極20を搬送する。吸着コンベア160は、吸着コンベア150の下流側の端部付近の位置から搬送方向D1に沿って延びている。吸着コンベア160は、吸着コンベア150よりも上側に設けられる。吸着コンベア160の下面160aは、吸着コンベア150の上面150aよりも上側に配置される。吸着コンベア160には、不合格品に係る電極20を落下させる排出機構を備えている。排出機構は、例えば上方からエアを吹き付けることで、電極20を落下させてよい。排出機構は、カメラ145,155の検査結果に基づいて、不合格と判定された電極20を落下させて、回収箱193で回収する。吸着コンベア160は、合格品として振り分けられた電極20を下面160aに吸着する。吸着コンベア160は、下面160aの裏側から吸引装置で吸引することにより、下面160aに接触した電極20を吸着することができる。吸着コンベア160は、電極20を下面160aに吸着させた状態で搬送方向D1へ向かって搬送する。吸着コンベア160は、電極20を搬送コンベア170に受け渡す。
制御部200は、厚み測定部135及びカメラ145,155からの測定結果に基づいて、電極20が合格品であるか不合格品であるかの判定を行う。制御部200は、電極20の姿勢、形状、寸法、厚み、活物質の剥がれ、穴等の不良状態の有無を検査する。
次に、図5を参照して、厚み測定部135による厚み測定及び第2カメラ155による距離測定について詳細に説明する。ただし、図5では電極検査装置82の電極20を真上から見た様子を示しているが、説明の便宜上、電極20Aに対して、厚み測定部135及び第2カメラ155をコンベアの横に配置した状態で記載している。また、第1カメラ145が省略されているが、第2カメラ155と同趣旨の測定を行ってもよい。
厚み測定部135は、コンベア上の測定点DP上の対象物の厚みを測定する。従って、電極20が、測定点DPを通過するように搬送方向D1へ搬送された場合、厚み測定部135は、電極20において測定点DPを通過した部分の厚みを測定できる。電極20の搬送方向D1と直交する幅方向における中心線を中心線CLとする。この場合、電極20の長辺が搬送方向D1と平行となるようにし、電極20の幅方向における中央位置(中心線CLの位置)が測定点DPの位置に合わせられる。この場合、電極20が搬送方向D1へ搬送されるに従い、厚み測定部135は、電極20の厚みを中心線CLに沿って測定することができる。これにより、厚み測定部135は、電極20の搬送方向D1と直交する幅方向における電極20の個片の中央位置の厚みを測定できる。ただし、中心線CLが測定点DPに対して傾斜したり、幅方向にずれる場合があってもよい。
第2カメラ155及び制御部200は、電極20の各部分における寸法を測定する。すなわち、第2カメラ155及び制御部200は、電極20の個片について、複数の辺の交点を決定し、交点間の距離を測定する。第2カメラ155及び制御部200は、交点P1〜P6(図7(a)参照)を用いて、電極20の(タブ20eを含む)短手方向の寸法L1、長手方向の寸法L2、(タブ20eを含まない)短手方向の寸法L3などを測定することができる。また、第2カメラ155及び制御部200は、短手方向に沿った各位置における寸法L2を測定することができる。例えば、第2カメラ155及び制御部200は、縁部20cでの寸法L2、縁部20dでの寸法L2、及び縁部20c,20d間のいずれかの位置の寸法L2などを測定できる。第2カメラ155及び制御部200は、長手方向に沿った各位置における寸法L3を測定することができる。例えば、第2カメラ155及び制御部200は、縁部20aでの寸法L3、縁部20bでの寸法L3、及び縁部20a,20b間のいずれかの位置の寸法L3などを測定できる。
制御部200は、厚み測定部135が測定点DPで測定した箇所における電極20の厚み(中心線CLでの厚みの分布)と、第2カメラ155で測定した電極20の各寸法と、に基づいて、電極20の合格・不合格を判定する。例えば、電極20の厚みが長手方向に沿って全体的に不均一となっているような場合、中心線CLでの厚みの分布が不均一となる。このような場合、制御部200は、電極の厚みの分布が不均一であると判断し、不合格品であると判定する。例えば、制御部200は、予め厚みに対して上限値及び下限値を設定しておき(例えば図7(b)参照)、中心線CLでの各測定部分におけるいずれかの部分において、厚みが上限値及び下限値の範囲から外れた場合には、判定条件を満たさず、不合格であると判定する。また、制御部200は、厚み測定部135による測定結果が合格であった場合でも、第2カメラ155の測定結果が判定条件を満たしていない場合は、不合格であると判定する。制御部200は、寸法に対しても規格値の上限値及び下限値を設定しておき(例えば図7(b)参照)、測定した寸法が上限値及び下限値の範囲から外れた場合には、不合格であると判定する。
図7(b)は縦軸を「厚み」とし横軸を「寸法L2」としたグラフである。複数の電極20について厚み及び寸法(ここでは寸法L2を採用)を測定し、その実測値をグラフに対してプロットしている。このようにプロットされた複数の点に対して、近似曲線(破線で示す曲線)を設定する。これにより、電極20の厚みと寸法L2の関係は、近似曲線によって近似的に表される。近似曲線は、製造時に実験などの結果に基づいて予め設定され、制御部200に記憶されるものであってよい。ここで、厚みに対して合格判定のための上限値及び下限値を設定すると、当該厚みの上限値及び下限値に対応する寸法L2の値は、近似曲線によって一義的に定められる。これにより、厚みの条件を満たすことができる寸法L2の数値条件を設定することができる。一方、寸法L2自体に対しても規格値の上限値及び下限値が設定される。従って、制御部200は、測定した寸法L2の値が、厚みの条件に対応する寸法L2の数値条件を満たし、且つ、寸法L2の規格値の数値条件を満たす場合、合格であると判定できる。図7(b)に示す例では、寸法L2の規格値の下限値は厚みの上限値に対応する寸法L2の値より大きく、厚みの下限値に対応する寸法L2の値は寸法L2の規格値の上限値よりも小さい。従って、合格の判定範囲は、寸法L2の規格値の下限値と厚みの下限値に対応する寸法L2の値との間の範囲となる。
例えば、図5のプレス部24Aにプレスされる直前の電極20は、プレス部24Aのローラの回転軸に対して傾斜した状態で搬送されている。この場合、電極20の角部20kがプレス部24Aに先行してプレスされる。角部20k付近では活物質層が部分的にプレスされることで電極20の厚みに異常が生じる一方、中心線CL付近の厚みには異常が生じない。このような場合、電極20の寸法関係は、略平行四辺形を描くような状態となる。従って、制御部200は、電極20の厚みに異常があると判断し、不合格であると判定する。例えば、図8(a)に示すように、電極20が傾斜することなくプレスされた場合、プレス後の一方の対角線CR1の寸法と他方の対角線CR2の寸法は等しくなる。これに対し、図8(b)に示すように、電極20が傾斜してプレスされることで略平行四辺形の形状となることで、対角線CR1,CR2が互いに異なる寸法となる。このように、制御部200は、当該対角線CR1,CR2を比較することで、合格判定を行うことができる。その他、制御部200は、電極20の寸法L1〜L3の少なくとも何れかが大きくなりすぎている場合、又は小さくなりすぎている場合は、不合格であると判定できる。また、制御部200は、電極20の何れかの箇所における寸法が局所的に大きくなるか、局所的に小さくなる場合は、不合格であると判定できる。
次に、図5及び図6を参照して、本実施形態に係る電極製造方法について説明する。まず、切断部21がシート部材30を切断することによって電極20A,20Bの個片を形成する切断工程を実行する(ステップS10)。このとき、電極20A,20Bは、長手方向に延びる縁部20aが搬送方向に沿って延びる状態で搬送される。例えば、シート部材30は、幅方向における中央位置に活物質ペースト30aの層を有し、幅方向の両側にベース部材30bが露出した未塗工領域を有する。切断部21は、この未塗工領域から各列における電極20のタブ20eを切り取る。
その後、向き変更部75A,75Bは、電極20A,20Bの搬送方向に対する向きを変更する向き変更工程を実行する(ステップS20)。電極20A,20Bは、長手方向に延びる縁部20aが搬送方向と直交する方向に沿って延びる状態に向きが変更される。方向転換部39A,39Bは、搬送方向の方向転換を行って電極20A,20Bのプレス部24A,24Bに対する向きを変更する方向転換工程を実行する(ステップS30)。プレス部24A,24Bが、長手方向に延びる縁部20aが搬送方向と直交する方向に沿って延びる状態で電極20A,20Bをプレスするプレス工程を実行する(ステップS40)。
方向転換部43A,43Bは、搬送方向の方向転換を行って電極20A,20Bのプレス部24A,24Bに対する向きを変更する方向転換工程を実行する(ステップS50)。向き変更部76A,76Bは、電極20A,20Bの搬送方向に対する向きを変更する向き変更工程を実行する(ステップS60)。電極20A,20Bは、長手方向に延びる縁部20aが搬送方向に沿って延びる状態に向きが変更される。
厚み測定部135は、プレス工程S40でプレスされて搬送される電極20A,20Bの個片の厚みを測定する厚み測定工程を実行する(ステップS70)。厚み測定工程S70では、搬送方向D1と直交する幅方向における電極20A,20Bの個片の中央位置の厚み(中心線CLに沿った厚み分布)を測定する。厚み測定工程S70では、非接触で電極20A,20Bの個片の厚みを測定する非接触式の厚み測定部135が用いられる。第2カメラ155及び制御部200は、プレス工程S40でプレスされて搬送される電極20A,20Bの個片の寸法を測定する寸法測定工程を実行する(ステップS80)。なお、寸法測定工程S80には、電極20の個片について、複数の辺の交点を決定し、交点間の距離を測定する距離測定工程が含まれている。
次に、本実施形態に係る電極製造装置100、及び電極製造方法の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る電極製造方法は、シート部材30を切断することによって電極20の個片を形成する切断工程S10と、電極20の個片をプレスするプレス工程S40と、を備える。ここで、電極20の個片をプレス工程S40にてプレスすると、活物質層が薄くなることで電極20が薄くなる。プレス工程S40は、活物質層の密度を上げる為に行われるが、薄くなる分が全て密度増加に寄与するわけではなく、一部は面方向への広がりとなる。特に、プレスロールによるプレスの場合、プレスロールに平行な方向に対し、ロールに直交する方向(搬送方向)の延びが大きくなる。これにより、電極20の個片の寸法が影響を受ける。すなわち、プレス前の電極20の厚みが一定である場合、厚みが薄くなるほど対応する箇所の寸法が大きくなり、厚みが厚くなるほど寸法が小さくなる。また、プレスにより電極20の厚みが不均一となった場合、電極本体の形状が矩形より外れる傾向がある。このように、プレス後の電極20の個片の厚みと寸法との間には相関関係がある。
ここで、比較例として、厚み測定工程S70のみを行うことによって電極20の検査を行う方法について検討する。図5のプレス部24Aの直前に配置されている電極20のように、プレス部24Aに対して傾斜している場合、角部20k付近には厚みの異常が生じるが、中心線CL付近には厚みの異常が生じない。このような場合、比較例に係る電極製造方法では、角部20k付近の厚みを測定しないため、当該異常を把握することができない。これに対して、本実施形態に係る電極製造方法は、プレス工程S40でプレスされて搬送される電極20の個片の寸法を測定する寸法測定工程S80を備える。寸法測定工程S80には、電極20の個片について、複数の辺の交点を決定し、交点間の距離を測定する距離測定工程が含まれる。従って、本実施形態に係る電極製造方法では、電極20の何れかの箇所(例えば角部20k付近)において厚みの異常があることによって電極20の個片の寸法(交点間の距離)が影響を受ける場合、当該寸法に基づいて厚みの異常を把握することができる。これにより、寸法測定工程S80での測定結果を用いることで、電極20の個片の厚みを直接測定しない箇所についての検査を行うことが可能となる。以上により、電極20の個片の厚みを適切に検査することができる。
電極製造方法は、プレス工程S40でプレスされて搬送される電極20の個片の厚みを測定する厚み測定工程S70を更に備える。厚み測定工程S70で電極20の個片の厚みを直接的に測定することで、少なくとも測定箇所については精度良く厚みの検査を行うことができる。また、寸法測定工程S80で測定した寸法に基づくことで、厚み測定工程S70で直接測定しない箇所についても厚みの検査を行うことができる。これにより、電極20の個片の厚みの検査精度を向上することができる。
電極製造方法において、厚み測定工程S70では、電極20の搬送方向D1と直交する幅方向における電極20の個片の中央位置の厚みを少なくとも測定する。これにより、厚み測定部135に対して電極20が幅方向にずれた場合であっても、電極20の厚みの測定を行うことができる。
電極製造方法において、厚み測定工程S70では、非接触で電極20の個片の厚みを測定する非接触式の厚み測定部135が用いられる。非接触で厚みを測定することで、電極20に対するダメージを低減できる。
本実施形態に係る電極製造装置100は、金属箔の少なくとも片面に活物質層を有する電極20を製造する電極製造装置100であって、シート部材30を切断することによって電極20の個片を形成する切断部21と、電極20の個片をプレスするプレス部24A,24Bと、プレス部24A,24Bでプレスされて搬送される電極の個片の寸法を測定する寸法測定部を構成する第2カメラ155及び制御部200と、プレス部24A,24Bでプレスされて搬送される電極20の個片の厚みを測定する厚み測定部135と、を備える。
この電極製造装置100によれば、上述の電極製造方法と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、図9(a)に示すように、電極20は、上下両方向から厚み測定部135によって測定されてよい。例えば、厚み測定部135の測定方式によっては、電極20を一方のみから測定した場合、電極20が上下方向に変位している箇所について、正確に厚みを測定できない可能性がある。これに対し、上下両方向から厚み測定部135で測定を行った場合、電極20が上下方向に変位している場合であっても、正確に厚みを測定することができる。なお、厚み測定部135は、コンベア130Aとコンベア130Bとの間の隙間の位置にて、測定を行う。
また、図9(b)に示すように、厚み測定工程では、電極20と接触することで電極20の個片の厚みを測定する接触式の厚み測定部235が用いられてよい。接触式の厚み測定部235は、上下一対のローラ間に電極20を通過させる。そして、厚み測定部235は、電極20の厚みに従って各ローラを上下方向に変位させる。これにより、厚み測定部235は、当該変位を検出することにより、電極20の厚みを把握する。例えば、電極20が上下方向に変位するような場合であっても、厚み測定部235が電極20と接触することで、厚みを正確に測定することができる。なお、厚み測定部235は、コンベア130Aとコンベア130Bとの間の隙間の位置にて、測定を行う。
また、図10に示すように、厚み測定工程S70を省略してもよい。この場合、電極製造方法は、少なくともプレス工程S40よりも前に、活物質層を形成する活物質ペースト30aを金属箔のベース部材30b(図5参照)に塗布する際に、活物質ペースト30aの密度及び膜厚を管理する管理工程S5を更に備える。
管理工程S5では、ベース部材30bに対して活物質ペースト30aを塗布する際に、当該活物質ペースト30aの密度が規格値の範囲内におさまるように管理がなされる。シート部材30の製造時には、活物質ペースト30aの塗布工程がなされた後、乾燥工程が実行され、その後、圧延工程が実行される。これらの工程における何れかのタイミング(例えば、圧延工程の後や、塗布工程の後など)において、活物質ペースト30aの密度を測定する密度測定工程が実行される。密度測定工程では、例えばX線の放射による測定装置などが用いられる。密度測定工程において密度が規格値の範囲に入っていないと判定された場合は、塗布工程や圧延工程における各装置のパラメータを調整する。
また、管理工程S5では、ベース部材30bに対して活物質ペースト30aを塗布する際に、当該活物質ペースト30aの膜厚が規格値の範囲内におさまるように管理がなされる。シート部材30の製造時の何れかのタイミング(例えば、圧延工程の後や、塗布工程の後など)において、活物質ペースト30aの膜厚を測定する膜厚測定工程が実行される。膜厚測定工程では、例えば前述の厚み測定工程S70と同様の測定装置が用いられる。膜厚測定工程において膜厚が規格値の範囲に入っていないと判定された場合は、塗布工程や圧延工程における各装置のパラメータを調整する。
また、管理工程S5では、前述のような活物質ペースト30aの密度及び膜厚の規格値に対応するように、プレス部24A,24Bでのプレス条件(各ローラの回転軸間の距離など)の管理がなされる。
以上より、管理工程S5において、プレス前の活物質ペースト30aの密度及び膜厚が所望の規格値の範囲内におさまるように管理しておいた場合、正常にプレスがなされれば、電極20の個片の寸法及び厚みは、所定の規格値の範囲内におさまる。従って、寸法測定工程S80の測定結果が規格値の範囲内におさまっていれば、厚みも規格値の範囲内におさまっていると判断することができる。このように、活物質ペースト30aの密度及び膜厚の管理がなされていれば、寸法測定工程S80だけでも厚みの検査を十分に行うことができるため、厚み測定工程S70を省略することができる。
例えば、活物質ペースト30aの密度及び膜厚、及びプレス条件が所望の規格値の範囲内にあるにも関わらず、電極20の厚みが規格値よりも厚くなる場合は、プレス時に活物質ペースト30aを十分に伸ばせていないため、規格値よりも電極20の寸法が小さくなる。電極20の厚みが規格値よりも薄くなる場合は、プレス時に活物質ペースト30aに圧力をかけすぎているため、規格値よりも電極20の寸法が大きくなる。このような関係性を利用することで、制御部200は、予め活物質ペースト30aの密度及び膜厚、及びプレス条件の規格値を把握しておき、それらに対応するような寸法の判定値域を把握しておく。そして、制御部200は、電極20の寸法が判定値域の範囲内であれば、電極20の厚みが規格値の範囲内であると判定する。一方、制御部200は、電極20の寸法が判定値域より小さくなる場合は、電極20の厚みが規格値よりも厚いと判定し、判定値域より大きくなる場合は、電極20の厚みが規格値よりも薄いと判定する。
なお、上述の実施形態では、図5に示すように、厚み測定部135は、幅方向の中央位置で測定を行っていた。これに代えて、厚み測定部135は、幅方向においてCLからずれた位置で測定してもよい。また、複数箇所で測定してもよい。
また、寸法(交点間の距離)に代え、個片の輪郭形状を比較してもよい。すなわち、上述の距離測定工程(寸法測定工程)に代えて、電極20の個片の輪郭形状を検査する検査工程が実行されてよい。第2カメラ155及び制御部200は、電極20の個片の輪郭形状を検査する検査部として構成される。輪郭形状を比較する一例としては、撮像された画像より、色により識別が容易な活物質層を検出し、その面積を比較してもよい。この場合、各辺の長さより、面積を算出してもよいが、より簡単に、画像データの該当箇所のドット数を比較してもよい。
電極製造装置の各構成要素のレイアウトは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更してもよい。例えば、向き変更部や方向転換部などは適宜省略されてもよい。
なお、上述の実施形態及び変形例では、シート部材から短手方向に二枚分の電極を形成する「二条取り」の装置を例示した。これに代えて、電極製造装置が、シート部材から短手方向に一枚の電極を形成してもよく、三枚以上の電極を形成する構成であってもよい。
さらに、上記実施形態では、蓄電装置1がリチウムイオン二次電池であるが、本発明は、特にリチウムイオン二次電池には限られず、例えばニッケル水素電池等の他の二次電池、電気二重層キャパシタまたはリチウムイオンキャパシタ等の蓄電装置における電極の積層にも適用可能である。また、電極は、例えば、金属箔の片面のみに活物質層前駆体を備えたものであってもよく、また、集電体として金属箔に変わり金属繊維などが用いられたものであってもよい。
20,20A,20B…電極、21…切断部、24A、24B…プレス部、30…シート部材、30a…活物質ペースト、30b…ベース部材、100…電極製造装置、135,235…厚み測定部、155…第2カメラ(距離測定部、検査部)、200…制御部(距離測定部、検査部)。
Claims (9)
- 集電体の少なくとも片面に活物質層を有する電極を製造する電極製造方法であって、
シート部材を切断することによって前記電極の個片を形成する切断工程と、
前記電極の個片を、プレスロールを用いてプレスするプレス工程と、
前記プレス工程でプレスされて搬送される前記電極の個片について、複数の辺の交点を決定し、前記交点間の距離を測定する距離測定工程と、を備える、電極製造方法。 - 前記プレス工程でプレスされて搬送される前記電極の個片の厚みを測定する厚み測定工程を更に備える、請求項1に記載の電極製造方法。
- 前記厚み測定工程では、前記電極の搬送方向と直交する幅方向における前記電極の個片の中央位置の厚みを少なくとも測定する、請求項2に記載の電極製造方法。
- 前記厚み測定工程では、非接触で前記電極の個片の厚みを測定する非接触式の厚み測定部が用いられる、請求項2又は3に記載の電極製造方法。
- 前記厚み測定工程では、前記電極と接触することで前記電極の個片の厚みを測定する接触式の厚み測定部が用いられる、請求項2又は3に記載の電極製造方法。
- 少なくとも前記プレス工程よりも前に、前記活物質層を形成する活物質ペーストを前記集電体のベース部材に塗布する際に、前記活物質ペーストの密度及び膜厚を管理する管理工程を更に備える、請求項1に記載の電極製造方法。
- 集電体の少なくとも片面に活物質層を有する電極を製造する電極製造方法であって、
シート部材を切断することによって前記電極の個片を形成する切断工程と、
前記電極の個片を、プレスロールを用いてプレスするプレス工程と、
前記プレス工程でプレスされて搬送される前記電極の個片の輪郭形状を検査する検査工程と、を備える、電極製造方法。 - 集電体の少なくとも片面に活物質層を有する電極を製造する電極製造装置であって、
シート部材を切断することによって前記電極の個片を形成する切断部と、
前記電極の個片を、プレスロールを用いてプレスするプレス部と、
前記プレス部でプレスされて搬送される前記電極の個片について、複数の辺の交点を決定し、前記交点間の距離を測定する距離測定部と、
前記プレス部でプレスされて搬送される前記電極の個片の厚みを測定する厚み測定部と、を備える、電極製造装置。 - 集電体の少なくとも片面に活物質層を有する電極を製造する電極製造装置であって、
シート部材を切断することによって前記電極の個片を形成する切断部と、
前記電極の個片を、プレスロールを用いてプレスするプレス部と、
前記プレス部でプレスされて搬送される前記電極の個片の輪郭形状を検査する検査部と、
前記プレス部でプレスされて搬送される前記電極の個片の厚みを測定する厚み測定部と、を備える、電極製造装置。
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