以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。なお、以下で説明する図4〜図11は、収容空間部内の詳細な構成、形状等を省略、簡略化し、主に電池、モータ、アンテナの位置関係を図示している。
[実施形態1]
図1、図2に示す本実施形態の電波時計1は、衛星電波等の時刻情報を含む電波を受信し、取得された時刻情報に基づいて自機の時計内部時刻を補正する機能を有する電子時計である。本実施形態の電波時計1は、典型的には、GPS(GLOBAL POSITIONING SYSTEM)衛星から出力されるGPS電波を受信する。なお、GPS電波は、GPS時刻情報を含む電波であり、例えば、1.5GHz帯(1575.42MHz)と、1.2GHz帯(1227.60MHz)との2種類が使用される。ここでは、電波時計1は、物理的な指針6によって時刻を表示するアナログ式電子時計である。以下、各図を参照して電波時計1の各構成について詳細に説明する。
なお、以下の説明では、電波時計1の時計中心軸線X1に沿った方向を「軸線方向X」といい、時計中心軸線X1と直交する方向を「径方向Y」といい、時計中心軸線X1を中心とする円周方向を「周り方向Z」という。軸線方向Xは、電波時計1の上下方向に相当し、一方側を「前面側」といい、他方側を「背面側」という。径方向Yは、時計中心軸線X1に近い側を「内側」といい、時計中心軸線X1から遠い側を「外側」という。ここでは、上記時計中心軸線X1とは、電波時計1に対して予め設定される基準となる軸線であり、電波時計1の主たる構成の中心軸線に相当する。時計中心軸線X1は、典型的には、ムーブメントMMや外装ケース2の中心軸線に相当する。時計中心軸線X1は、ムーブメントMM、外装ケース2の形状の幾何学的な重心位置を通る軸線に相当し、例えば、ムーブメントMMの外形形状、外装ケース2の内形形状が円筒形状である場合には当該円筒形状の中心軸線に相当する。また、上記時計中心軸線X1は、典型的には、主たる指針(図1においては、後述の秒針61、分針62、時針63)の回転軸線と一致する。
具体的には、電波時計1は、外装ケース2と、風防3と、文字板4と、見返しリング5と、指針6と、操作部7と、ムーブメントMMとを備える。電波時計1は、外装ケース2の内部に形成された収容空間部24にムーブメントMMが収容されると共に文字板4、見返しリング5、指針6が組み付けられ、風防3によってこれら文字板4、見返しリング5、指針6等が保護される。
外装ケース2は、電波時計1の最外郭を構成するものである。外装ケース2は、例えば、チタンやチタン合金等の導電性材料によって形成される。また、外装ケース2は、セラミックスやガラス、樹脂などの非導電性材料によって形成されてもよい。外装ケース2は、本体部21、裏蓋22、及び、かん23を含んで構成される。本実施形態では、本体部21は、ベゼル部と胴部の組合せのように2部材による分割構造とされており、当該2部材が組み合わさることで時計中心軸線X1を中心とした略円筒形状に構成される。本体部21は、軸線方向Xの両端部が開口している。裏蓋22は、本体部21の軸線方向Xの背面側の開口を閉塞する部材である。裏蓋22は、本体部21とは別体で構成され、時計中心軸線X1を中心とした略円板形状に形成される。かん23は、本体部21の外周面から突出して形成される。かん23は、本体部21と一体で形成される。かん23は、複数設けられる。かん23は、ベルト25が連結される。ベルト25は、腕等に巻き回されて装着される部材である。
風防3は、本体部21に組み付けられ、本体部21の軸線方向Xの前面側の開口を閉塞する部材である。風防3は、光を透過する光透過性部材料、より詳細には、ガラス等の透明な材料によって形成される。風防3は、時計中心軸線X1を中心とした略円板形状に形成される。これにより、風防3は、本体部21(外装ケース2)の内部を視認させることができると共に、内部に配置される部品を保護することができる。
ここで、収容空間部24は、上述の外装ケース2(本体部21及び裏蓋22)と当該外装ケース2に組み付けられた風防3によって、外装ケース2の内部に形成される閉空間である。本実施形態においては、収容空間部24は、本体部21の内部に時計中心軸線X1を中心とした略円柱形状の空間部として形成される。収容空間部24は、軸線方向Xに沿って背面側(裏蓋22側)から前面側(風防3側)に向かって、各構成要素がムーブメントMM、文字板4、見返しリング5、指針6の順で配置される。
文字板4は、軸線方向Xに対してムーブメントMMの前面側で、かつ、風防3越しに視認できるように風防3と対向する位置に配置される。文字板4の形状は、本体部21の内周形状と同形状または相似形状であり、本実施形態においては、時計中心軸線X1を中心とした略円板形状に形成される。文字板4は、所定の透過率で光を透過する光透過性部材料によって形成される。また、文字板4は、合成樹脂等の絶縁性材料によって形成される。文字板4は、インデックス41、及び、日窓42を含んで構成される。インデックス41は、時刻を表し、指針6によって指し示される目盛りである。インデックス41は、文字板4の軸線方向Xの前面側の面に周り方向Zに沿って等間隔で複数配置される。各インデックス41は、突状部材でもよいし、文字板4に印刷されてもよい。日窓42は、後述する日車12上の文字の一部を視認可能にするための開口部である。日窓42は、文字板4を軸線方向Xに沿って貫通して形成される。
見返しリング5は、文字板4の周縁部を押え、当該文字板4を所定の位置で保持する部材である。見返しリング5は、時計中心軸線X1を中心とした略円環形状に形成される。見返しリング5は、文字板4の軸線方向Xの前面側に設けられ、ムーブメントMMとの間に文字板4を保持する。
指針6は、文字板4のインデックス41を指し示すことで時刻等の情報を表示する表示部材であり、時計動作部を構成する。指針6は、針状に形成され、文字板4の軸線方向Xの前面側に複数設けられる。複数の指針6は、秒針61、分針62、時針63、及び、小針64を含んで構成される。秒針61、分針62、時針63は、外装ケース2に主針回転軸線X2を回転中心として回転可能に設けられる主指針を構成する。主針回転軸線X2は、時計中心軸線X1と一致する。秒針61、分針62、時針63は、同軸上に配置されている。秒針61、分針62、時針63は、主針回転軸線X2を回転中心として円形状の回転軌跡で回転する。一方、小針64は、外装ケース2に副針回転軸線X3を回転中心として回転可能に設けられる副指針を構成する。副針回転軸線X3は、主針回転軸線X2とは異なる軸線であり、時計中心軸線X1と平行でかつ当該時計中心軸線X1からずれて位置する。ここでは、小針64は、複数設けられており、2つが共通の副針回転軸線X3を回転中心として回転可能に設けられ、残りがそれぞれ異なる副針回転軸線X3を回転中心として回転可能に設けられる。またここでは、各小針64は、各副針回転軸線X3を回転中心として円形状の回転軌跡で回転する。
操作部7は、外部操作を受け付ける部分である。操作部7は、外装ケース2の本体部21から外側に露出するようにして設けられる。本実施形態の操作部7は、リューズ71、プッシュボタン72、73等を含んで構成される。操作部7は、リューズ71に対する引き出し・回転操作やプッシュボタン72、73に対する押下操作に応じてムーブメントMM内の機構と連動して種々の操作を受け付ける。
ムーブメントMMは、収容空間部24に収容され、電波時計1を駆動させる動力機構である。ムーブメントMMは、電池8、ソーラーセル9、モータ10、輪列11、日車12、基板13、アンテナ14、前面側耐磁板15、及び、背面側耐磁板16を含んで構成され、これらが種々の部材を介して相互に組み付けられることで1つの構造的なモジュールを構成する。ムーブメントMMは、収容空間部24において、軸線方向Xに沿って背面側(裏蓋22側)から前面側(文字板4側)に向かって、背面側耐磁板16、基板13、前面側耐磁板15、日車12、ソーラーセル9の順で配置される。そして、ムーブメントMMは、裏蓋22の軸線方向Xの前面側に隣接して電池8が配置される。また、ムーブメントMMは、基板13の軸線方向Xの前面側の実装面にモータ10、アンテナ14が実装される。さらに、ムーブメントMMは、モータ10と指針6との間に輪列11が介在し、当該輪列11を介してこれらが連結される。
電池8は、電波時計1の電力源であり、収容空間部24に設けられる。電池8は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池であり、後述するソーラーセル9が発電した電力によって充電される。本実施例においては、電池8は、電池中心軸線X4(図4等も参照)を中心とした略円板形状(ボタン形状)に形成され、裏蓋22の軸線方向Xの前面側の面に隣接する位置関係となるように配置される。ここでは、電池8は、電池中心軸線X4が時計中心軸線X1と平行でかつ当該時計中心軸線X1からずれて位置するように配置される。電池8は、ソーラーセル9が発電した電力によって基板13(または図示しない他の基板)を介して充電される。電池8は、モータ10を含む電波時計1の各部に蓄電した電力を供給する。
ソーラーセル9は、電波時計1の発電源であり、光エネルギを電気エネルギに変換する。ソーラーセル9は、収容空間部24において軸線方向Xに対して文字板4の背面側、ここでは、文字板4とアンテナ14との間に設けられる。より詳細には、ソーラーセル9は、ムーブメントMMにおいて軸線方向Xの最前面側に位置し、軸線方向Xに対して文字板4と日車12との間に設けられる。ソーラーセル9は、時計中心軸線X1を中心とした略円板形状に形成された発電本体部91を有し、当該発電本体部91が光エネルギを電気エネルギに変換する。ソーラーセル9によって発電した電力は、電波時計1の各部に直接供給してもよいし、電池8に供給し当該電池8を充電してもよい。なお、ソーラーセル9は、発電本体部91において、軸線方向Xに沿って文字板4の日窓42と対向する位置に、発電本体部91を軸線方向Xに沿って貫通する日窓が設けられている。後述する日車12は、当該ソーラーセル9の日窓、及び、文字板4の日窓42を介して文字板4の前面側に一部が露出する。
モータ10は、電波時計1の動力発生源であり、各部を動作させるための動力を発生させる。モータ10は、収容空間部24において軸線方向Xに対して文字板4の背面側に設けられる。ここでは、モータ10は、基板13の軸線方向Xの前面側に配置される。モータ10は、例えば、ステッピングモータを用いることができ、電池8やソーラーセル9から供給された電力に応じてコイル部10a(図4も参照)が発生させた磁界によって、ステータ10b(図4も参照)に対してロータ10c(図4参照)を回転させることで回転動力を発生させ、指針6、日車12等を回転駆動する。モータ10は、複数の指針6、日車12に対して個別に設けられてもよいし、いくつかの指針6、日車12で兼用されてもよい。
輪列11は、モータ10が発生させた回転動力を回転駆動対象物に伝達する機構である。輪列11による回転駆動対象物は、典型的には、指針6であるが日車12を含んでいてもよい。輪列11は、収容空間部24において軸線方向Xに対して文字板4の背面側に設けられる。輪列11は、モータ10と指針6との間に介在しこれらを連結するようにして設けられる。輪列11は、ギヤ、回転軸等の動力伝達部材を含んで構成され、最終的な出力回転軸11aが軸線方向Xに沿って文字板4を貫通し指針6が設けられる。輪列11は、モータ10が発生させた回転動力を減速して指針6に伝達し回転させることで、当該指針6を運針する。輪列11は、複数の指針6に対して個別に設けられてもよいし、いくつかの指針6で兼用されてもよい。
日車12は、日付を表示する表示部材であり、時計動作部を構成する。日車12は、収容空間部24に時計中心軸線X1と平行な日車回転軸線X5を回転中心として回転可能に設けられる。日車12は、収容空間部24において軸線方向Xに対して文字板4の背面側に設けられる。より詳細には、日車12は、収容空間部24において軸線方向Xに対してソーラーセル9と前面側耐磁板15との間に設けられる。ここでは、日車12は、軸線方向Xに対して少なくとも一部がアンテナ14の範囲内に位置し、少なくとも一部が当該アンテナ14と略同層で配置される。日車12は、略円環板形状に形成される。日車12は、合成樹脂等の絶縁性材料によって形成される。日車12は、暦を識別する一連の文字群の複数の文字が周方向に等間隔でそれぞれ形成されている。日車12は、モータ10によって日車回転軸線X5を回転中心として回転駆動され日窓42から露出する位置が遷移することで日付を表示する。
基板13は、表面または内部に導電性部材による配線パターンを含み、電波時計1の各部を統括的に制御する電子回路、発振回路、モータ10、アンテナ14、受信回路(図3で後述する受信回路RX)等の各部品が配置される。ここでは、基板13は、時計中心軸線X1を中心とした略円板形状に形成され、電池8が配置される領域に対応した切欠き部を有する。基板13は、収容空間部24において軸線方向Xに対して文字板4の背面側に設けられる。より詳細には、基板13は、収容空間部24において軸線方向Xに対して前面側耐磁板15と背面側耐磁板16との間に設けられる。ここで、電子回路や受信回路は、基板13の前面又は背面のどちらに実装されてもよいが、モータ10及びアンテナ14は、前面側に配置されることが好ましい。電子回路は、時刻(時計内部時刻)を計時し、計時した時刻に基づいてモータ10を制御し、指針6、日車12を回転させ運針するための種々の回路を含んで構成され、計時された時刻を、現在時刻として指針6、日車12に表示させる。
アンテナ14は、外装ケース2の外部からの電波を受信するものである。アンテナ14は、空間の電磁波(電波)を受信する通信アンテナを構成する。アンテナ14は、収容空間部24において軸線方向Xに対して文字板4の背面側で基板13の前面側の実装面に実装される。ここでは、アンテナ14は、径方向Yに対して日車12の外側に配置される。本実施形態のアンテナ14は、一例として、平面モノポールアンテナであるものとして説明する。
具体的には、本実施形態のアンテナ14は、図3に例示するように、一例として、誘電体14a、放射電極14b、短絡部14c、及び、給電部14dを含んで構成される。本実施形態のアンテナ14は、平面モノポールアンテナを構成する。
誘電体14aは、アンテナ14の基部を構成する部分である。誘電体14aは、立体形状、ここでは、略直方体形状に形成される。誘電体14aは、導電性より誘電性が優位な物質、例えば、非導電性のセラミック等によって形成される。誘電体14aは、ジルコニアや酸化チタンなどの誘電率が高い材料を含んで構成されており、波長短縮効果を奏する。誘電体14aは、放射電極14bが受信する電波の実質的な波長λ’をGPS電波の周波数に応じた波長λよりも小さくすることができる。また、誘電体14aは、基板13と放射電極14bとの電気的な距離を離間させる効果がある。
放射電極14bは、電波を受信する部分である。放射電極14bは、誘電体14aの前面側の面(前面)である電極配置面14eに設けられる。放射電極14bは、金属等の導電性材料によって形成された略矩形平板形状の構成部である。放射電極14bは、電極配置面14eの大部分の領域を覆い、かつ、電極配置面14eの縁部をコの字形状に露出させるように当該電極配置面14eに配置される。より具体的には、放射電極14bは、電極配置面14eにおける径方向Yの一端側の領域、及び、幅方向Wの両端の領域を露出させるような位置関係で電極配置面14eに設けられる。ここで、アンテナ14における幅方向Wとは、軸線方向X、及び、径方向Yと直交する方向である。本実施形態の誘電体14aは、径方向Yが短辺に沿った方向、幅方向Wが長辺に沿った方向となるような略直方体形状に形成されている。放射電極14bの各辺は、電極配置面14eの各辺と平行である。なお、放射電極14bは、電極配置面14eが露出しないように、すなわち、電極配置面14eの全体を覆うように設けられてもよい。放射電極14bの各辺は、電極配置面14eの各辺と平行ではなく、所定の傾きをもっていてもよい。放射電極14bの各辺は、直線ではなく、メアンダ形状でもよい。
放射電極14bは、一対の第1の放射辺14f、及び、第2の放射辺14gを有する。放射辺14fは、アンテナ14の放射電極14bにおいて電流密度が集中するエッジ部分である。一対の放射辺14fは、それぞれ放射電極14bにおける径方向Yに沿った辺である。一対の放射辺14fは、相互に平行、又は、実質的に平行である。放射辺14gは、放射電極14bにおける放射辺14fと実質的に直交する辺、言い換えると幅方向Wに沿った辺である。放射電極14bの実質的なアンテナ長は、短絡部14cとの接続部14hから放射辺14gまでの辺の長さ、言い換えれば、放射辺14fの長さに相当する。放射電極14bは、例えば、アンテナ長が短縮後の実質的な波長λ’の1/4の長さとなるように形成されている。
短絡部14cは、放射電極14bの端部と基板13の前面側に設けられたグランド層GNDとを電気的に接続する部分である。ここで、グランド層GNDは、外装ケース2と直接的に接触もしくは容量結合により電気的に接続されている。グランド層GNDは、軸線方向Xに沿って放射電極14bと対向する位置に形成される。短絡部14cは、誘電体14aにおける径方向Yの一方側の側面14iに設けられる。当該側面14iは、アンテナ14が基板13に実装された状態で、誘電体14aにおいて径方向Yの内側を向く面である。短絡部14cは、金属等の導電性材料によって形成された略矩形平板形状の構成部である。本実施形態の短絡部14cは、側面14iにおいて幅方向Wの両端部を露出させるように一対で設けられる。一対の短絡部14cは、側面14iにおいて幅方向Wに沿って間隔をあけて設けられる。各短絡部14cは、軸線方向Xに沿って側面14iの上端(前面側の端)から下端(背面側の端)まで延在している。各短絡部14cは、上端が接続部14hを介して放射電極14bにつながっており、放射電極14bと電気的に接続されている。各短絡部14cは、下端がグランド層GNDに電気的に接続されている。
給電部14dは、放射電極14bに給電する部分であり、放射電極14bの端部と受信回路RXとを電気的に接続する部分である。本実施形態の給電部14dは、直接給電によって放射電極14bに給電する直接給電部を構成する。給電部14dは、誘電体14aにおいて各短絡部14cが設けられた面と同じ面、すなわち、側面14iに設けられる。給電部14dは、金属等の導電性材料によって形成された略矩形平板形状の構成部である。本実施形態の給電部14dは、幅方向Wに対して一対の短絡部14cの間に設けられる。つまり、上述の一対の短絡部14cは、側面14iにおいて幅方向Wに対して給電部14dを挟んで当該給電部14dの両側に並んで配置されている。給電部14dは、各短絡部14cと同様に、軸線方向Xに沿って側面14iの上端(前面側の端)から下端(背面側の端)まで延在している。一対の短絡部14c、及び、給電部14dは、仮想の平面S1に沿って延在している。仮想の平面S1は、外装ケース2の時計中心軸線X1と平行な平面である。給電部14dは、各短絡部14cと同様に、上端が接続部14hを介して放射電極14bにつながっており、放射電極14bと電気的に接続されている。ここでは、一対の短絡部14c、及び、給電部14dは、放射電極14b側の端部、すなわち、接続部14h側の端部において互いに接続されている。そして、給電部14dは、下端が受信回路RXに電気的に接続されている。給電部14dは、給電部14dと一対の短絡部14cによってそれぞれ形成されるスリットSLの深さ(図3の軸線方向Xに沿った長さ)と幅(図3の幅方向Wに沿った長さ)等が調整されることでインピーダンスのマッチングが図られている。また、アンテナ14と受信回路RXとの間には、マッチング回路を設けてもよい。特に給電部14dと受信回路RXとの接続に関しては、マイクロストリップラインで構成することが望ましい。
上記のように構成されるアンテナ14は、短絡部14c、給電部14dが径方向Yの内側を向き、かつ、誘電体14aの放射電極14b側とは反対側の面が基板13のグランド層GNDに接触するような位置関係で基板13に実装される。このとき、アンテナ14は、各短絡部14cとグランド層GNDとが導通する一方、給電部14dとグランド層GNDとが導通せず受信回路RXと接続されるように設けられる。この状態で、放射電極14bは、一対の短絡部14c、及び、給電部14dから径方向Yの外側に向けて延在している。言い換えると、放射電極14bは、一対の短絡部14c、及び、給電部14dから外装ケース2の内壁面に向けて径方向Yに沿って延在している。本実施形態の給電部14dと放射電極14bとは、上述の通り物理的に接続されている。つまり、本実施形態のアンテナ14は、放射電極14bに対して給電部14dを介して直接給電により給電がなされる。ここでは、放射辺14gの幅方向Wの中央部は、放射辺14fと近接する幅方向Wの端部と比較して電位の変動が小さい箇所であるため、当該幅方向Wの端部と比較して放射電極14bの受信感度に与える影響が相対的に小さい傾向にある。そしてここでは、アンテナ14は、放射電極14bの受信感度に与える影響が相対的に大きい傾向にある各放射辺14fが径方向Yに沿い、外装ケース2の内壁面に対して垂直に近い角度で交差するような位置関係で収容空間部24内に配置される(図4も参照)。この構成により、アンテナ14は、外装ケース2との容量結合を抑制することができ、受信感度の低下を抑制することができる。なお、グランド層GNDは、アンテナ14よりも径方向Yの内側まで延在している。言い換えれば、グランド層GNDは、径方向Yに対して短絡部14cを挟んで放射電極14b側とは反対側まで延在している。電波時計1は、上記のように構成されることでアンテナ14よりも径方向の内側がいわゆるイメージアンテナの領域となる。イメージアンテナは、仮想のアンテナであり、平面モノポールアンテナであるアンテナ14と対をなす。イメージアンテナは、各短絡部14cを挟んで放射電極14b側とは反対側に生成されると考えられている。イメージアンテナは、各短絡部14cに関してアンテナ14と対称な位置に対称な形状で生成される。電波時計1は、当該イメージアンテナによってアンテナ14の受信感度を向上させることができる。
上述の説明において、グランド層GNDは、基板13の前面側において放射電極14bと対向する位置に配置するとしたが、放射電極14bと対向する位置にグランド層GNDを設けなくてもよい。放射電極14bとグランド層GNDとを離間させることでアンテナ14の受信感度を向上させることができる。ただし、短絡部14cとグランド層GNDとの電気的接続のため、もしくは、アンテナ14を基板13に実装する上での実装強度を向上させるために、基板13において、放射電極14bに対向する位置であって短絡部14cが配置される近傍にはグランド層GNDを設けても良い。また、それ以外の箇所においてアンテナ14の実装エリアとしてグランド層GNDを設けてもよい。
図2に戻って、前面側耐磁板15、及び、背面側耐磁板16は、外装ケースの外部からの外部磁場を遮蔽しモータ10のコイル部等が磁束の影響を受けることを防止するための遮蔽板(シールド)である。前面側耐磁板15、背面側耐磁板16は、金属等の導電性材料によって板形状に形成される。前面側耐磁板15は、収容空間部24において軸線方向Xに対して日車12の背面側で、かつ、モータ10の前面側に設けられた第1の耐磁板を構成する。前面側耐磁板15は、軸線方向Xに対してアンテナ14の電極配置面14eより背面側に位置する。前面側耐磁板15は、軸線方向Xに沿って視て(以下、「軸線方向視」という場合があり、言い換えれば、「平面視」に相当する。)、アンテナ14と重ならない部分に設けられている。ここでは、前面側耐磁板15は、軸線方向Xに対して全体がアンテナ14の範囲内に位置し、当該アンテナ14と略同層で配置される。一方、背面側耐磁板16は、収容空間部24において軸線方向Xに対して裏蓋22の前面側に当該裏蓋22と隣接して設けられた第2の耐磁板を構成する。背面側耐磁板16は、軸線方向Xに対してアンテナ14の背面側に位置する。背面側耐磁板16は、軸線方向視にて、電池8と重ならない部分に設けられている。背面側耐磁板16は、軸線方向Xに対して全体が電池8の範囲内に位置し、当該電池8と略同層で配置される。前面側耐磁板15と背面側耐磁板16とは、軸線方向Xに対して、モータ10、基板13を挟んで対向して位置する。これらの構成により、電波時計1は、モータ10のコイル部等に対する外部磁場の影響を適正に抑制しつつ、薄型化が図られている。なお、前面側耐磁板15、及び、背面側耐磁板16は、上記の配置に限られない。例えば、背面側耐磁板16は、軸線方向視にて、電池8と重なる部分にも設けられ、電池8の軸線方向Xの背面側の全体を覆うように配置されてもよい。
上記のように構成される電波時計1は、発振回路及び電子回路によって時刻(時計内部時刻)が計時され、これに基づいてモータ10が制御されることで指針6、日車12の回転が制御される。この結果、電波時計1は、文字板4に対する指針6、日車12の相対的な位置関係に応じて時刻、日付等を表示することができる。また、電波時計1は、アンテナ14を介して衛星電波等の時刻情報を含む電波を受信し、受信回路及び電子回路によって当該受信した電波に基づいて時計内部時刻を補正することができる。
そして、本実施形態の電波時計1は、図4に示すように、ムーブメントMMの内部に第1モータ非配置領域T1を有することで、大型化を抑制しつつ適正なアンテナ感度の確保を図っている。
具体的には、第1モータ非配置領域T1は、電池8とアンテナ14との間に設定される領域である。第1モータ非配置領域T1は、モータ10を配置可能な大きさでかつ少なくとも当該モータ10のコイル部10aが配置されない領域である。つまり、第1モータ非配置領域T1は、電池8とアンテナ14との間にモータ10を配置可能な大きさが確保されていた上で、あえてモータ10のコイル部10aを配置しない領域である。言い換えれば、電池8とアンテナ14とは、モータ10を配置可能な大きさの第1モータ非配置領域T1を確保できるように間隔をあけて配置されている。ここでは、電池8とアンテナ14とは、典型的には、電波時計1で使用される最小のモータ10の短手方向の長さW1以上に間隔をあけて配置されることで、第1モータ非配置領域T1を確保している。電波時計1は、電池8とアンテナ14との間に第1モータ非配置領域T1が設定されることで、アンテナ14とモータ10のコイル部10a等の金属との間に十分な距離を確保することができるため、アンテナ14の受信感度の低下を抑制することができる。第1モータ非配置領域T1は、少なくともモータ10のコイル部10aが配置されない領域であるが、モータ10の全体が配置されない領域とされることが好ましい。ここでは、電波時計1は、大小4つのモータ10を備えているが、そのいずれもが第1モータ非配置領域T1外に配置されている。
図5は、より詳細な第1モータ非配置領域T1の設定例を表す模式図である。なお、以下では、図5で示す第1モータ非配置領域T1を便宜的に「第1モータ非配置領域T11」と記載する場合がある。この例では、第1モータ非配置領域T11は、第1基準点P11と、第2基準点P12と、第3基準点P13と、第4基準点P14とを結んだ矩形状に応じた領域として設定される。第1基準点P11は、軸線方向視にて、アンテナ14の誘電体14aの電池8側の辺L1の一端に位置する点である。第2基準点P12は、軸線方向視にて、アンテナ14の誘電体14aの電池8側の辺L1の他端に位置する点である。第3基準点P13は、軸線方向視にて、電池8の外周面上の点であり第1基準点P11との距離が最短となる点である。第4基準点P14は、軸線方向視にて、電池8の外周面上の点であり第2基準点P12との距離が最短となる点である。そしてこの場合、電波時計1は、電池8とアンテナ14との間に、第1基準点P11、第2基準点P12、第3基準点P13、及び、第4基準点P14に応じて矩形状に設定された第1モータ非配置領域T11に少なくともモータ10のコイル部10aが配置されない構成とされる。
また、図6は、第1モータ非配置領域T1の他の設定例を表す模式図である。なお、以下では、図6で示す第1モータ非配置領域T1を便宜的に「第1モータ非配置領域T12」と記載する場合がある。この例では、第1モータ非配置領域T12は、第1基準点P21と、第2基準点P22と、第3基準点P23とを結んだ三角形状に応じた領域として設定される。第1基準点P21は、軸線方向視にて、アンテナ14の誘電体14aの電池8側の辺L1の一端に位置する点である。第2基準点P22は、軸線方向視にて、アンテナ14の誘電体14aの電池8側の辺L1の他端に位置する点である。第3基準点P23は、軸線方向視にて、電池8の外周面上の点でありアンテナ14の放射電極14bの電池8側の辺L1との距離が最短となる点である。そしてこの場合、電波時計1は、電池8とアンテナ14との間に、第1基準点P21、第2基準点P22、及び、第3基準点P23に応じて三角形状に設定された第1モータ非配置領域T12に少なくともモータ10のコイル部10aが配置されない構成とされる。
以上で説明した電波時計1は、外装ケース2の内部に設けられた電池8の電力によってモータ10が動作することができる。また、電波時計1は、外装ケース2の内部に設けられたアンテナ14によって外部からの電波を受信することができる。この構成にあって、電波時計1は、ムーブメントMMの内部に、電池8とアンテナ14との間の領域であってモータ10を配置可能な大きさでかつ少なくとも当該モータ10のコイル部10aが配置されない第1モータ非配置領域T1(T11、T12)を有する。この構成により、電波時計1は、アンテナ14とモータ10のコイル部10a等の金属との間に十分な距離を確保することができるので、モータ10がアンテナ14の受信感度に対して与える影響を抑制することができ、受信感度の低下を抑制することができる。この結果、電波時計1は、軸線方向視にて、電池8、モータ10、及び、アンテナ14がそれぞれ重ならない配置とされ薄型化された上で、適正なアンテナ感度を確保することができる。
ここでは一例として、以上で説明した電波時計1は、第1モータ非配置領域T1(T11)が第1基準点P11と、第2基準点P12と、第3基準点P13と、第4基準点P14とを結んだ矩形状に応じた領域として設定されてもよい。この場合、電波時計1は、アンテナ14の受信感度に対してモータ10が影響を与えないための領域として第1モータ非配置領域T1を適正に設定することができる。よってこの場合、電波時計1は、小型化と適正なアンテナ感度の確保とをバランスよく両立することができる。またこの場合、電波時計1は、誘電体14aの角部に位置する第1基準点P11、第2基準点P12を基準として第1モータ非配置領域T11が設定されるので、放射電極14bの受信感度の確保に加え、誘電体14aの波長短縮効果も確実に確保することができる。
また他の一例として、以上で説明した電波時計1は、第1モータ非配置領域T1(T12)が第1基準点P21と、第2基準点P22と、第3基準点P23とを結んだ三角形状に応じた領域として設定されてもよい。この場合、電波時計1は、第1モータ非配置領域T1を、アンテナ14の受信感度に対してモータ10が影響を与えないための領域とした上で、当該、第1モータ非配置領域T1をよりコンパクトな領域として設定することができる。よってこの場合、電波時計1は、適正なアンテナ感度を確保した上で、更なる小型化を図ることができる。またこの場合も、電波時計1は、上記の第1モータ非配置領域T11と同様に、誘電体14aの角部に位置する第1基準点P21、第2基準点P22を基準として第1モータ非配置領域T12が設定されるので、放射電極14bの受信感度の確保に加え、誘電体14aの波長短縮効果も確実に確保することができる。
ここでは、以上で説明した電波時計1は、平面モノポールアンテナを構成するアンテナ14において上記のように良好なアンテナ感度を確保することができる。
以上で説明した第1モータ非配置領域T1は、上記で説明した第1モータ非配置領域T11、T12に限らず、例えば、図7に示すように第1モータ非配置領域T11を変形させた第1モータ非配置領域T11Aであってもよいし、図8に示すように第1モータ非配置領域T12を変形させた第1モータ非配置領域T12Aであってもよい。
図7に示す第1モータ非配置領域T11Aは、第1基準点P11Aと、第2基準点P12Aと、第3基準点P13Aと、第4基準点P14Aとを結んだ矩形状に応じた領域として設定される。第1基準点P11Aは、軸線方向視にて、アンテナ14の誘電体14aではなく、放射電極14bの電池8側の辺L1(ここでは、接続部14hを構成する辺)の一端に位置する点である。第2基準点P12Aは、軸線方向視にて、アンテナ14の放射電極14bの電池8側の辺L1の他端に位置する点である。第3基準点P13Aは、軸線方向視にて、電池8の外周面上の点であり第1基準点P11Aとの距離が最短となる点である。第4基準点P14Aは、軸線方向視にて、電池8の外周面上の点であり第2基準点P12Aとの距離が最短となる点である。同様に、図8に示す第1モータ非配置領域T12Aは、第1基準点P21Aと、第2基準点P22Aと、第3基準点P23Aとを結んだ三角形状に応じた領域として設定される。第1基準点P21Aは、軸線方向視にて、アンテナ14の誘電体14aではなく、放射電極14bの電池8側の辺L1の一端に位置する点である。第2基準点P22Aは、軸線方向視にて、アンテナ14の放射電極14bの電池8側の辺L1の他端に位置する点である。第3基準点P23Aは、軸線方向視にて、電池8の外周面上の点でありアンテナ14の放射電極14bの電池8側の辺L1との距離が最短となる点である。電波時計1は、第1モータ非配置領域T1として、上述のような第1モータ非配置領域T11Aや第1モータ非配置領域T12Aが適用された場合、放射電極14bの角部に位置する第1基準点P11A、P21A、第2基準点P12A、P22Aを基準として第1モータ非配置領域T11A、T12Aが設定されるので、第1モータ非配置領域T1をよりコンパクトな領域として設定した上で少なくとも放射電極14bの最低限の受信感度を確保することができる。この結果、電波時計1は、例えば、アンテナ14が誘電体14aを有さない場合、放射電極14bが電極配置面14eの全面に形成されている場合、設計上モータ10の配置が困難な場合等であっても、第1モータ非配置領域T1を適正に設定することができる。
[実施形態2]
実施形態2に係る電波時計は、第2モータ非配置領域を有する点で実施形態1とは異なる。以下では、上述した実施形態と同様の構成要素には共通の符号が付されるとともに、共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する。
図9に示す本実施形態に係る電波時計201は、第1モータ非配置領域T1に加えて、さらに、ムーブメントMMの内部に第2モータ非配置領域T2を有する点で上述の電波時計1と異なる。電波時計201のその他の構成は、当該電波時計1と略同様の構成である。
具体的には、第2モータ非配置領域T2は、アンテナ14の周りに設定される領域である。第2モータ非配置領域T2は、アンテナ14の端面であって放射電極14bによって規定される放射辺14f側の端面14jに隣接した領域であり、少なくともモータ10のコイル部10aが配置されない領域である。ここで、アンテナ14の端面14jは、当該アンテナ14において、放射電極14bの受信感度に与える影響が相対的に大きい傾向にある放射辺14f側に位置する端面である。ここでは、端面14jは、アンテナ14の誘電体14aにおいて径方向Yに沿って延在し、周り方向Zに沿って互いに対向する一対の端面である。第2モータ非配置領域T2は、例えば、軸線方向視にて、アンテナ14の放射電極14bの電池8側の辺L1を含む境界線L2を境界として電池8側とは反対側に位置する領域として設定される。言い換えれば、第2モータ非配置領域T2は、境界線L2と外装ケース2の内壁面とによって囲われた弓形状の領域であり、端面14jに隣接した領域を含む。ここでは、電波時計201は、第1モータ非配置領域T1と同様に大小4つのモータ10のいずれもが第2モータ非配置領域T2外に配置されている。電波時計1は、端面14jに隣接して第2モータ非配置領域T2が設定されることで、アンテナ14において特に受信感度に与える影響が大きい傾向にある各放射辺14f近傍にモータ10のコイル部10a等の金属が近接することを抑制することができる。
なお、第2モータ非配置領域T2は、図10、図11に示すように、第1モータ非配置領域T1との兼ね合いで設定されてもよい。なお、以下では、図10で示す第2モータ非配置領域T2を便宜的に「第2モータ非配置領域T21」と記載する場合がある。同様に、図11で示す第2モータ非配置領域T2を便宜的に「第2モータ非配置領域T22」と記載する場合がある。
図10に示す第2モータ非配置領域T21は、第1モータ非配置領域T11を区画する境界線から延長される延長線L3、L4によって区画される。ここでは、延長線L3は、軸線方向視にて、第1モータ非配置領域T11を規定する第1基準点P11、及び、第3基準点P13を通る直線上に位置し、かつ、第1基準点P11から外装ケース2の内壁面に至る直線である。延長線L4は、軸線方向視にて、第1モータ非配置領域T11を規定する第2基準点P12、及び、第4基準点P14を通る直線上に位置し、かつ、第2基準点P12から外装ケース2の内壁面に至る直線である。第2モータ非配置領域T21は、軸線方向視にて、辺L1と延長線L3と延長線L4と外装ケース2の内壁面とによって囲われた領域であり、端面14jに隣接した領域を含む。そして、電波時計201は、上記のように設定された第2モータ非配置領域T21に少なくともモータ10のコイル部10aが配置されない構成とされる。
図11に示す第2モータ非配置領域T22は、第1モータ非配置領域T12を区画する境界線から延長される延長線L5、L6によって区画される。ここでは、延長線L5は、軸線方向視にて、第1モータ非配置領域T12を規定する第1基準点P21、及び、第3基準点P23を通る直線上に位置し、かつ、第1基準点P21から外装ケース2の内壁面に至る直線である。延長線L6は、軸線方向視にて、第1モータ非配置領域T12を規定する第2基準点P22、及び、第3基準点P23を通る直線上に位置し、かつ、第2基準点P22から外装ケース2の内壁面に至る直線である。第2モータ非配置領域T22は、軸線方向視にて、辺L1と延長線L5と延長線L6と外装ケース2の内壁面とによって囲われた領域であり、端面14jに隣接した領域を含む。そして、電波時計201は、上記のように設定された第2モータ非配置領域T22に少なくともモータ10のコイル部10aが配置されない構成とされる。
以上で説明した電波時計201は、電波時計1と同様に、ムーブメントMMの内部に第1モータ非配置領域T1を有するので、適正なアンテナ感度を確保することができる。
さらに、以上で説明した電波時計201は、ムーブメントMMの内部に、アンテナ14の端面14jに隣接して第2モータ非配置領域T2(T21、T22)を有するので、アンテナ14において特に受信感度に与える影響が大きい傾向にある各放射辺14f近傍にモータ10のコイル部10a等の金属が近接することを抑制することができる。この結果、電波時計201は、アンテナ14の受信感度の低下をより確実に抑制することができる。
ここでは、以上で説明した電波時計201は、第2モータ非配置領域T2(T21、T22)が第1モータ非配置領域T1(T11、T12)を区画する境界線から延長される延長線(L3、L4、L5、L6)によって区画されてもよい。この場合、電波時計201は、第1モータ非配置領域T1と第2モータ非配置領域T2とがシームレスにつながった一連の分かり易い領域とすることができ、その上でアンテナ14の受信感度の低下をより確実に抑制することができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る電波時計は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係る電波時計は、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
以上で説明した第2モータ非配置領域T2は、アンテナ14の端面であって放射電極14bによって規定される放射辺14f側の端面14jに隣接した領域であれば、上記の図9、図10、図11で説明した形状に限られない。例えば、第2モータ非配置領域T2は、軸線方向視にて、第1基準点P11と、第2基準点P12と、第3基準点P13と、第4基準点P14とを結んだ矩形状に応じた第1モータ非配置領域T11(図10参照)の対角線から延長される延長線によって区画される領域であってもよい。つまりこの場合、第2モータ非配置領域T2は、例えば、軸線方向視にて、第1基準点P11と第4基準点P14とを通る直線上に位置しかつ第1基準点P11から外装ケース2の内壁面に至る延長線、第2基準点P12と第3基準点P13とを通る直線上に位置しかつ第2基準点P12から外装ケース2の内壁面に至る延長線、辺L1、及び、外装ケース2の内壁面によって囲われた領域であってもよい。また、第1モータ非配置領域T1と第2モータ非配置領域T2との組み合わせは、上記組み合わせに限らない。例えば、図5の第1モータ非配置領域T11と図9の第2モータ非配置領域T2とを組み合わせてもよいし、図6の第1モータ非配置領域T12と図9の第2モータ非配置領域T2とを組み合わせてもよい。同様に、図7の第1モータ非配置領域T11A、図8の第1モータ非配置領域T12Aのいずれかと、図9の第2モータ非配置領域T2、図10の第2モータ非配置領域T21、図11の第2モータ非配置領域T22のいずれかとを組み合わせてもよい。
以上で説明した第1モータ非配置領域T1や第2モータ非配置領域T2には、プラスチック材料で形成された歯車や日車等の非導電性の部品や基板を配置することができる。ここで、基板とは、アンテナ14が実装される基板13でもよいし、それ以外の電子回路や配線などが配置された基板の少なくとも一部が配置されていてもよい。特に、アンテナ14が実装される基板13が軸線方向視において第1モータ非配置領域T1や第2モータ非配置領域T2と重なる部分の少なくとも一部には、アンテナ14のグランド層GNDが配置されていてもよく、また、受信回路RXが配置されてもよい。ここで、アンテナ14と受信回路RXとを接続する配線は、配線長が長くなることによって受信感度が劣化するおそれがあり、また、周囲に配置される導電性部品によっても感度劣化に影響をもたらすおそれがある。これに対して、電波時計1、201は、受信回路RXを、アンテナ14の近傍で、かつ、導電性部品であるモータ10が配置されない第1モータ非配置領域T1や第2モータ非配置領域T2に実装することにより、感度劣化を抑制することができる。
以上の説明では、アンテナ14は、平面モノポールアンテナを構成するものとして説明したがこれに限らない。アンテナ14は、平面モノポールアンテナの形状として例示した以外の様々な形状が採用可能である。以上の説明では、給電部14dは、直接給電によって放射電極14bに給電する直接給電部を構成するものとして説明したがこれに限らない。例えば、アンテナ14は、いわゆる電磁結合型の平面モノポールアンテナを構成するものであってもよい。この場合、給電部14dは、電磁結合によって放射電極14bに給電する電磁給電部を構成する。つまり、アンテナ14は、給電部14dと放射電極14bとが物理的に接触しておらず、離間しており、給電部14dと放射電極14bとが電磁結合することで、放射電極14bに非接触方式の給電がなされる。
また、以上の説明では、給電部14dは、誘電体14aにおいて各短絡部14cが設けられた側面14iに設けられるものとして説明したがこれに限らない。給電部14dは、各短絡部14cが設けられた側面14iとは異なる面に設けられていてもよく、例えば、誘電体14aの側面14iと対向する面、すなわち、径方向Yの外側の側面に設けられていてもよい。また、短絡部14cと給電部14dとは、配置関係がこの逆でもよい。また、以上の説明では、誘電体14aは、略直方体形状に形成されるものとして説明したがこれに限らない。また、以上で説明した放射電極14bは、誘電体14aにおける電極配置面14e以外の面まで延在していてもよい。また、アンテナ14は、いわゆるパッチアンテナ(平面アンテナ)や逆F型アンテナ、コイルアンテナであってもよい。
また、以上の説明では、アンテナ14の受信対象は、GPS電波であるものとして説明したがこれに限らない。アンテナ14の受信対象は、GPS衛星以外の衛星から出力される電波であってもよいし、Bluetooth(登録商標)やWi−Fi(登録商標)やNFCを利用した電波であってもよい。また、アンテナ14の受信対象は、地上の基地局等から出力される電波であってもよい。
また、以上の説明では、日車12は、時計中心軸線X1と平行な日車回転軸線X5を回転中心となるように配置すると説明したがこれに限らない。日車回転軸線は、時計中心軸線X1と同一としてもよい。また、軸線方向視において、アンテナ14と日車12の一部が重なるように配置されていてもよい。
以上の説明では、外装ケース2の本体部21は、時計中心軸線X1を中心とした略円筒形状に形成されるものとして説明したがこれに限らない。本体部21は、例えば、略矩形筒形状、略樽型筒形状等であってもよい。この場合、時計中心軸線X1は、上述したように軸線方向視にてムーブメントMM、外装ケース2の形状の幾何学的な重心位置を通る軸線として設定される。
以上の説明では、電波時計1、201は、物理的な指針6によって時刻を表示するアナログ式電子時計であるものと説明したがこれに限らない。電波時計1、201は、例えば、液晶表示部等によって時刻を表示するデジタル式電子時計であってもよい。また、電波時計1、201は、ベルト25を介して腕に装着される腕時計であるものとして説明したがこれに限らない。電波時計1、201は、例えば、置き時計、掛け時計、懐中時計等であってもよい。また、電波時計1、201は、例えば、各種カメラ、ゲーム機器、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型パーソナルコンピュータ等の携帯可能な情報端末装置、家庭電化製品や自動車を含む電子機器に適用されるものであってもよい。