JP2019207088A - ヒートポンプシステム - Google Patents
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Abstract
Description
一方、季節変動による外気温度の変化に応じて、夏期の昼間のように冬期よりも外気温度が高い場合には、冷媒の体積が増加しやすい。特に、冷媒として二酸化炭素(CO2)を用いた場合には、二酸化炭素は臨界点が低いため(31.1℃)、夏期に気化しやすく、システム内(配管内)の圧力(以下「系内圧力」ともいう。)が過度に高くなりやすい。この対策として、夏期に稼働していないシステムでは冷媒を外部に回収することも考えられるが、冬期前に冷媒を再充填する必要があり、手間がかかる。
したがって、夏期に過度に圧力が高くならない最小な冷媒充填量状態において、様々な熱源体の温度に対応できる流量制御性という、相反する条件の両立がシステムに求められる。
仮に、膨張弁を一つのみ備えたシステム構成では、前述のような条件では膨張弁の容量が足らず、熱源体の温度に合わせて冷媒の流れを調整することが困難となり、冷媒量が不足し、システムを安定して運転することができない可能性がある。このような場合に、冷媒の流れを調整する観点からは、膨張弁を大容量(例えば容量二倍以上)とすることが考えられる。しかし、膨張弁を大容量とすると、制御が複雑化したりコストアップしたりしやすい。
この構成によれば、タンクから膨張弁を通じて蒸発器に向かおうとする冷媒が不足するなる前に、冷媒の一部をバイパスラインに流すことができるため、システムをより安定して運転することができる。加えて、制御部は、膨張弁の開度が開度上限値より大きい時間が時間閾値よりも長いときに電磁弁を開くことで、電磁弁を開くタイミングが制限されるため、システムをより安定して運転することができる。加えて、制御部は、電磁弁を開いた後、膨張弁の開度を目標開度に設定することで、タンクからバイパスラインを通じて蒸発器に向かう冷媒の流れを一定に維持しつつ、膨張弁において目標開度分の冷媒の流れを調整することができるため、システムをより安定して運転することができる。
この構成によれば、タンクから膨張弁を通じて蒸発器に向かおうとする冷媒が過剰になる前に、冷媒がバイパスラインに流れることを即座に遮断することができるため、システムをより安定して運転することができる。
ところで、吸入過熱度が過度に低いときに電磁弁が開いていると、吸入ガスにミスト状の冷媒液が混ざり、圧縮機を安定して運転することができなくなる。これに対し、この構成によれば、吸入過熱度が過度に低いときには電磁弁が閉じるので、吸入ガスにミスト状の冷媒液が混ざることを抑え、圧縮機を安定して運転することができる。
この構成によれば、複数の膨張弁において冷媒の流れを調整することができるため、膨張弁を一つのみ備えた構成と比較して、冷媒の流れの調整に幅が広がるとともに、冷媒の流れを高精度で調整することができる。
この構成によれば、複数の凝縮器を備えた構成において、システムを安定して運転することができる。
この構成によれば、複数の蒸発器を備えた構成において、システムを安定して運転することができる。
この構成によれば、水は空気よりも熱伝達率が高いため、システムCOP(Coefficient Of Performance)を向上させやすい。
この構成によれば、二つの膨張弁、二つの凝縮器および二つの蒸発器を備え、臨界点が低い二酸化炭素を冷媒として用い、空気よりも温度変動しやすい水を熱源体として用いた構成において、制御の複雑化および高コスト化を抑えつつ、広範囲な流量制御性や季節変動による外気温度の変化に対応するとともに、システムを安定して運転することができる。
図1に示すように、ヒートポンプシステム1は、ヒートポンプサイクルを構成するヒートポンプ装置2を備える。図1において、符号3はヒートポンプ装置2に接続された不凍液循環ライン、符号4は不凍液を循環させるポンプをそれぞれ示す。
図2に示すように、ヒートポンプ装置2は、冷媒として二酸化炭素が循環する冷媒循環ライン10と、冷媒循環ライン10に直列に接続された圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13および蒸発器14と、を備える。
タンク15の冷媒充填量は、夏期最高温度時(例えば夏期43℃時)に系内圧力が圧力閾値(例えば7MPa)より小さくなるように設定されている。図4に示すように、タンク15は、鉛直方向に延在する筒状をなしている。タンク15は、冷媒を上部から導入し、下端部から導出する構成とされている。図中符号16は、タンク15内の冷媒収容空間を示す。冷媒をタンク上部(気体部)から入れることで、凝縮器に液が溜まることを防ぐことができる。冷媒の取り出し位置をタンク下部に設けることで、冷媒を液で取り出すことが可能となり、膨張弁容量を抑えることができる。また、冷媒と共に冷凍機油も回収することが可能となる。
図3に示すように、圧縮機11内で圧縮された高圧かつ高温の冷媒は、圧縮機11から吐出される。圧縮機11から吐出された冷媒は、凝縮器12内で凝縮し、不凍液循環ライン3を通る不凍液を加熱する。例えば、凝縮器12で加熱された不凍液は、冷媒と熱交換することによって、循環加温によって0℃程度から27℃程度の温度にまで達する。凝縮器12で加熱された不凍液は、不凍液循環ライン3を循環することによって、路面等に熱が伝わり、融雪に利用される。図中矢印C1は、不凍液循環ライン3における不凍液の流れを示す。
制御部25は、ヒートポンプシステム1(ヒートポンプ装置2)の各要素を制御する。図5は、実施形態に係るヒートポンプシステム1の制御のフローチャートである。以下、実施形態に係るヒートポンプシステム1の制御の一例を説明する。
制御部25は、圧縮機11が運転中であると判定した場合(ステップS1:Yes)、処理をステップS2に進める。
制御部25は、圧縮機11が運転中でないと判定した場合(ステップS1:No)、処理を終了する。
制御部25は、電磁弁22が開いていると判定した場合(ステップS2:Yes)、処理をステップS7に進める。
制御部25は、電磁弁22が開いていない(閉じている)と判定した場合(ステップS2:No)、処理をステップS3に進める。
制御部25は、膨張弁開度が開度上限値を超えていると判定した場合(ステップS3:Yes)、処理をステップS4に進める。
制御部25は、膨張弁開度が開度上限値を超えていない(開度上限値以下)と判定した場合(ステップS3:No)、処理を終了する。
制御部25は、上限値超過時間が時間閾値を超えていると判定した場合(ステップS4:Yes)、処理をステップS5に進める。
制御部25は、上限値超過時間が時間閾値を超えていない(時間閾値以下)と判定した場合(ステップS4:No)、処理を終了する。
制御部25は、膨張弁開度が開度下限値を下回っていると判定した場合(ステップS7:Yes)、処理をステップS9に進める。
制御部25は、膨張弁開度が開度下限値を下回っていない(開度下限値以上)と判定した場合(ステップS7:No)、処理をステップS8に進める。
ここで、吸入過熱度は、制御部25によって算出される。制御部25には、圧力センサ23の検知圧力と、温度センサ24の検知温度(以下「吸入温度」ともいう。)と、が出力される。不図示の記憶部には、蒸気線図のマップデータが記憶されている。制御部25は、圧力センサ23の検知圧力と、記憶部における蒸気線図のマップデータとに基づいて、吸入飽和温度を算出する。制御部25は、吸入飽和温度と、吸入温度とに基づいて、吸入過熱度を算出する。
制御部25は、吸入過熱度が温度閾値以下でない(温度閾値を超えている)と判定した場合(ステップS8:No)、処理を終了する。
この構成によれば、タンク15から膨張弁13を通じて蒸発器14に向かおうとする冷媒が不足する前に、冷媒の一部をバイパスライン20に流すことができるため、システムをより安定して運転することができる。加えて、制御部25は、膨張弁13の開度が開度上限値より大きい時間が時間閾値よりも長いときに電磁弁22を開くことで、電磁弁22を開くタイミングが制限されるため、システムをより安定して運転することができる。加えて、制御部25は、電磁弁22を開いた後、膨張弁13の開度を目標開度に設定することで、タンク15からバイパスライン20を通じて蒸発器14に向かう冷媒の流れを一定に維持しつつ、膨張弁13において目標開度分の冷媒の流れを調整することができるため、システムをより安定して運転することができる。
この構成によれば、タンク15から膨張弁13を通じて蒸発器14に向かおうとする冷媒が過剰になる前に、冷媒がバイパスライン20に流れることを即座に遮断することができるため、システムをより安定して運転することができる。
ところで、吸入過熱度が過度に低いときに電磁弁22が開いていると、吸入ガスにミスト状の冷媒液が混ざり、圧縮機を安定して運転することができなくなる可能性が高い。これに対し、この構成によれば、吸入過熱度が過度に低いときには電磁弁22が閉じるので、吸入ガスにミスト状の冷媒液が混ざることを抑え、圧縮機を安定して運転することができる。
この構成によれば、水は空気よりも熱伝達率が高いため、システムCOP(Coefficient Of Performance)を向上させやすい。
なお、上記実施形態では、ヒートポンプシステム1が一つの膨張弁13のみを備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、膨張弁として、冷媒循環ライン10に並列に接続された複数の膨張弁が設けられていてもよい。
この構成によれば、複数の膨張弁において冷媒の流れを調整することができるため、膨張弁13を一つのみ備えた構成と比較して、冷媒の流れの調整に幅が広がるとともに、冷媒の流れを高精度で調整することができる。
この構成によれば、二つの膨張弁131,132、二つの凝縮器121,122および二つの蒸発器141,142を備え、臨界点が低い二酸化炭素を冷媒として用い、空気よりも温度変動しやすい水を熱源体として用いた構成において、制御の複雑化および高コスト化を抑えつつ、広範囲な流動制御性や季節変動による外気温度の変化に対応するとともに、システムを安定して運転することができる。
図7において、矢印E11は第一膨張弁接続ライン151における冷媒の流れ、符号E12は第二膨張弁接続ライン152における冷媒の流れ、符号C11は第一不凍液循環ライン161における不凍液の流れ、符号C12は第二不凍液循環ライン162における不凍液の流れ、符号D11は第一熱源水供給ライン171における熱源水の流れ、符号D12は第二熱源水供給ライン172における熱源水の流れ、符号D13は第一熱源水排出ライン173における熱源水の流れ、符号D14は第二熱源水排出ライン174における熱源水の流れをそれぞれ示す。
Claims (8)
- 冷媒として二酸化炭素が循環する冷媒循環ラインと、前記冷媒循環ラインに直列に接続された圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器と、を備え、ヒートポンプサイクルを構成するヒートポンプシステムであって、
前記冷媒循環ラインにおいて前記凝縮器と前記膨張弁との間の位置に接続され、冷媒を貯留するタンクと、
前記冷媒循環ラインにおいて前記タンクと前記膨張弁との間の位置から分岐し、前記冷媒循環ラインにおいて前記膨張弁と前記蒸発器との間の位置に合流するバイパスラインと、を備え、
前記タンクの冷媒充填量は、夏期最高温度時に系内圧力が圧力閾値より小さくなるように設定され、
前記タンクは、鉛直方向に延在する筒状をなしていることを特徴とするヒートポンプシステム。 - 前記バイパスラインに接続されたバイパス弁および電磁弁と、
前記膨張弁の開度が開度上限値より大きいときに前記電磁弁を開く制御部と、を更に備え、
前記制御部は、前記膨張弁の開度が開度上限値より大きい時間が時間閾値よりも長いときに前記電磁弁を開き、前記電磁弁を開いた後、前記膨張弁の開度を目標開度に設定することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプシステム。 - 前記冷媒循環ラインにおいて前記蒸発器と前記圧縮機との間の位置に接続された圧力センサと、
前記冷媒循環ラインにおいて前記蒸発器と前記圧縮機との間の位置に接続された温度センサと、を更に備え、
前記制御部は、前記電磁弁を開いた後、前記膨張弁の開度が開度下限値より小さいときに前記電磁弁を閉じるか、
もしくは、前記圧力センサの検知圧力から算出した吸入飽和温度と、前記温度センサの検知温度とに基づいて吸入過熱度を算出し、前記吸入過熱度が温度閾値以下のときに前記電磁弁を閉じることを特徴とする請求項2に記載のヒートポンプシステム。 - 前記膨張弁として、前記冷媒循環ラインに並列に接続された複数の膨張弁が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
- 前記凝縮器として、前記冷媒循環ラインに並列に接続された複数の凝縮器が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
- 前記蒸発器として、前記冷媒循環ラインに並列に接続された複数の蒸発器が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
- 前記蒸発器において前記冷媒に蒸発熱を与える熱源体は、水であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
- 冷媒として二酸化炭素が循環する冷媒循環ラインと、前記冷媒循環ラインに直列に接続された圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器と、を備え、ヒートポンプサイクルを構成するヒートポンプシステムであって、
前記冷媒循環ラインにおいて前記凝縮器と前記膨張弁との間の位置に接続され、前記冷媒を貯留するタンクと、
前記冷媒循環ラインにおいて前記タンクと前記膨張弁との間の位置から分岐し、前記冷媒循環ラインにおいて前記膨張弁と前記蒸発器との間の位置に合流するバイパスラインと、
前記バイパスラインに接続されたバイパス弁および電磁弁と、
前記電磁弁を制御する制御部と、を備え、
前記膨張弁として、前記冷媒循環ラインに並列に接続された二つの膨張弁が設けられ、
前記凝縮器として、前記冷媒循環ラインに並列に接続された二つの凝縮器が設けられ、
前記蒸発器として、前記冷媒循環ラインに並列に接続された二つの蒸発器が設けられ、
前記二つの蒸発器において前記冷媒に蒸発熱を与える熱源体は、水であることを特徴とするヒートポンプシステム。
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