JP2019204689A - 絶縁層、電池セルシート、二次電池 - Google Patents

絶縁層、電池セルシート、二次電池 Download PDF

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Etsuko Nishimura
悦子 西村
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Masayuki Hirooka
誠之 廣岡
栄二 關
Eiji Seki
栄二 關
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阿部  誠
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Yusuke Kaga
祐介 加賀
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Abstract

【課題】二次電池の放電容量を向上させる。【解決手段】セパレータおよび自己修復層を有し、セパレータは、易溶解性ポリマを有し、自己修復層は、自己修復層粒子および自己修復層バインダを有し、ハンセン溶解度パラメータから計算される易溶解性ポリマと自己修復層バインダとの相対的エネルギー差が1MPa0.5より小さい絶縁層。望ましくは、自己修復層バインダはポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を有し、易溶解性ポリマと自己修復層バインダとの重量比が、1/19〜1/4または4/1〜19/1である。【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁層、電池セルシート、二次電池に関する。
特許文献1には、耐熱性に優れるセパレータとして以下の内容が開示されている。少なくとも特定の実施形態によれば、新規または改善された水溶性もしくは水性のフッ化ポリビニリデン(PVDF)もしくは二フッ化ポリビニリデン(PVDF)ホモポリマーまたはヘキサフルオロプロピレン(HFPまたは[-CF(CF3)-CF2-])、塩化三フッ化エチレン(CTFE)、フッ化ビニリデン(VF2-HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、および/もしくは同様のものとのPVDFの共重合体、それらのブレンド。
特表2017-536677号公報
特許文献1では、瞬間的かつ局所的に二次電池の中で短絡した部分の温度がセパレータ材料の融点を超えると、セパレータが熱により溶融し、正極と負極が直接接触して、短絡領域が拡大し、二次電池の放電容量が低下する可能性がある。本発明は、二次電池の放電容量を向上させることを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の特徴は、例えば以下の通りである。
セパレータおよび自己修復層を有し、セパレータは、易溶解性ポリマを有し、自己修復層は、自己修復層粒子および自己修復層バインダを有し、ハンセン溶解度パラメータから計算される易溶解性ポリマと自己修復層バインダとの相対的エネルギー差が1MPa0.5より小さい絶縁層。
本発明により二次電池の放電容量を向上できる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
二次電池の断面図。 電極体の断面図。 ハンセン溶解度パラメータより計算した相対的エネルギー差。 実施例および比較例の構成及び結果。
以下、図面などを用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
本明細書に記載される「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的に記載されている上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書に記載される数値範囲の上限値又は下限値は、実施例中に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書では、二次電池としてリチウムイオン二次電池を例にして説明する。リチウムイオン二次電池とは、電解質中における電極へのリチウムイオンの吸蔵・放出により、電気エネルギーを貯蔵または利用可能とする電気化学デバイスである。これは、リチウムイオン電池、非水電解質二次電池、非水電解液二次電池の別の名称で呼ばれており、いずれの電池も本発明の対象である。本発明の技術的思想は、ナトリウムイオン二次電池、マグネシウムイオン二次電池、カルシウムイオン二次電池、亜鉛二次電池、アルミニウムイオン二次電池などに対しても適用できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る二次電池の断面図である。図1は積層型の二次電池であり、二次電池1000は、正極100、負極200、外装体500及び絶縁層300を有する。外装体500は、絶縁層300、正極100、負極200、を収容する。外装体500の材料としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼など、非水電解液に対し耐食性のある材料から選択することができる。本発明は、捲回型の二次電池にも適用できる。
二次電池1000内で正極100、絶縁層300、負極200で構成される電極体400が積層されている。正極100または負極200を電極または二次電池用電極と称する場合がある。正極100、負極200、または絶縁層300を二次電池用シートと称する場合がある。絶縁層300および正極100または負極200が一体構造になっているものを電池セルシートと称する場合がある。
正極100は、正極集電体120及び正極合剤層110を有する。正極集電体120の両面に正極合剤層110が形成されている。負極200は、負極集電体220及び負極合剤層210を有する。負極集電体220の両面に負極合剤層210が形成されている。正極合剤層110または負極合剤層210を電極合剤層、正極集電体120または負極集電体220を電極集電体と称する場合がある。
正極集電体120は正極タブ部130を有する。負極集電体220は負極タブ部230を有する。正極タブ部130または負極タブ部230を電極タブ部と称する場合がある。電極タブ部には電極合剤層が形成されていない。ただし、二次電池1000の性能に悪影響を与えない範囲で電極タブ部に電極合剤層を形成してもよい。正極タブ部130および負極タブ部230は、外装体500の外部に突出しており、突出した複数の正極タブ部130同士、複数の負極タブ部230同士が、例えば超音波接合などで接合されることで、二次電池1000内で並列接続が形成される。本発明は、二次電池1000中で電気的な直列接続を構成させたバイポーラ型の二次電池にも適用できる。
正極合剤層110は、正極活物質、正極導電剤、正極バインダ、を有する。負極合剤層210は、負極活物質、負極導電剤、負極バインダ、を有する。非水電解液正極活物質または負極活物質を電極活物質、正極導電剤または負極導電剤を電極導電剤、正極バインダまたは負極バインダを電極バインダと称する場合がある。
<電極導電剤>
電極導電剤は、電極合剤層の導電性を向上させる。電極導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、黒鉛などが挙げられるが、これに限られない。これらの材料を単独または複数組み合わせて使用してもよい。電極導電剤は、これらの材料のみを有していても良く、さらに他の材料を有していても良い。
<電極バインダ>
電極バインダは、電極中の電極活物質や電極導電剤などを結着させる。電極バインダとして、スチレン-ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロ-ス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(VdF-HFP))などが挙げられるが、これらに限られない。これらの材料を単独または複数組み合わせて使用してもよい。電極バインダは、これらの材料のみを有していても良く、さらに他の材料を有していても良い。
<正極活物質>
貴な電位を示す正極活物質は、充電過程においてリチウムイオンが脱離し、放電過程において負極活物質から脱離したリチウムイオンが挿入される。正極活物質として、遷移金属を有するリチウム複合酸化物が望ましい。正極活物質としては、LiMO2、Li過剰組成のLi[LiM]O2、LiM2O4、LiMPO4、LiMVOx、LiMBO3、Li2MSiO4(ただし、M = Co、Ni、Mn、Fe、Cr、Zn、Ta、Al、Mg、Cu、Cd、Mo、Nb、W、Ruなどを少なくとも1種類以上有する)が挙げられる。また、これら材料における酸素の一部をフッ素など、他の元素に置換してもよい。さらに、硫黄、TiS2、MoS2、Mo6S8、TiSe2などのカルコゲナイドや、V2O5などのバナジウム系酸化物、FeF3などのハライド、ポリアニオンを構成するFe(MoO43、Fe2(SO43、Li3Fe2(PO43など、キノン系有機結晶などが挙げられるが、これらに限られない。元素比は上記定比組成からずれていても良い。正極活物質は、これらの材料のみを有していても良く、さらに他の材料を有していても良い。
<正極集電体120>
正極集電体120として、厚さが1〜100μmのアルミニウム箔、厚さが10〜100μm、孔径0.1〜10mmの孔を有するアルミニウム製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板、ステンレス鋼、チタンなどが挙げられるが、これらに限られない。正極集電体120は、これらの材料のみを有していても良く、さらに他の材料を有していても良い。
<負極活物質>
卑な電位を示す負極活物質は、放電過程においてリチウムイオンが脱離し、充電過程において正極合剤層110中の正極活物質から脱離したリチウムイオンが挿入される。負極活物質として、炭素系材料(黒鉛、易黒鉛化炭素材料、非晶質炭素材料、有機結晶、活性炭など)、導電性高分子材料(ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリアセチレンなど)、リチウム複合酸化物(チタン酸リチウム:Li4Ti5O12やLi2TiO4など)、金属リチウム、リチウムと合金化する金属(アルミニウム、シリコン、スズなどを少なくとも1種類以上有する)やこれらの酸化物などが挙げられるが、これらに限られない。負極活物質は、これらの材料のみを有していても良く、さらに他の材料を有していても良い。
<負極集電体220>
負極集電体220として、厚さが1〜100μmの銅箔、厚さが1〜100μm、孔径0.1〜10mmの銅製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板、ステンレス鋼、チタン、ニッケルなどが挙げられるが、これらに限られない。負極集電体は、これらの材料のみを有していても良く、さらに他の材料を有していても良い。
<電極>
電極活物質、電極導電剤、電極バインダ及び有機溶媒を混合した電極スラリーを、ドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法などの塗工方法によって電極集電体へ付着させることで電極合剤層が作製される。その後、有機溶媒を除去するために電極合剤層を乾燥し、ロールプレスによって電極合剤層を加圧成形することにより電極が作製される。
電極が半固体電解質を有する場合、外装体500の空いている1辺や注液孔から二次電池1000に非水電解液を注入し、電極合剤層の細孔に非水電解液を充填させてもよい。これにより、半固体電解質に含まれる担持粒子を要せず、電極合剤層中の電極活物質や電極導電剤などの粒子が担持粒子として機能して、それらの粒子が非水電解液を保持する。電極合剤層の細孔に非水電解液を充填する別の方法として、非水電解液、電極活物質、電極導電剤、電極バインダを混合したスラリーを調製し、調整したスラリーを電極集電体上に一緒に塗布する方法などがある。
電極合剤層の厚さは、電極活物質の平均粒径以上とすることが望ましい。電極合剤層の厚さが小さいと、隣接する電極活物質間の電子伝導性が悪化する可能性がある。電極活物質粉末中に電極合剤層の厚さ以上の平均粒径を有する粗粒がある場合、ふるい分級、風流分級などにより粗粒を予め除去し、電極合剤層の厚さ以下の粒子とすることが望ましい。
<絶縁層300>
図2は、電極体の断面図である。絶縁層300は、自己修復層310およびセパレータ320を有する。自己修復層310は電極上に作製され、電極と自己修復層310は一体化されている。自己修復層310は、正極100(図2では正極合剤層110)と負極200の間にイオンを伝達させる媒体となる。自己修復層310は電子の絶縁体としても働き、正極100と負極200の短絡を防止する。自己修復層310は、図2(c)のように正極100と負極200の両方の表面に形成されていても良いし、図2(a)または図2(b)のように一方の電極にのみされていても良い。自己修復層310は、セパレータ320の表面に形成され、セパレータ320と自己修復層310が一体化されていても良い。
<自己修復層310>
自己修復層310の厚さは5〜50μm、10〜30μm、15〜25μmであることが望ましい。自己修復層310の厚さが小さすぎると、正極100と負極200との間の電気絶縁性を得にくくなる。自己修復層310の厚さが大きすぎると、リチウムイオンの拡散抵抗が増大し、二次電池1000の性能が悪化する可能性がある。
自己修復層310は、自己修復層バインダおよび自己修復層粒子を有する。自己修復層バインダとして、二次電池1000の熱暴走温度(300℃)以下で溶融する高分子であることが望ましい。自己修復層バインダとしてP(VdF-HFP)が好適である。P(VdF-HFP)は、電解液を保持して、Liイオンを透過させる。P(VdF-HFP)は、二次電池1000の内部で短絡が発生した際の熱によって軟化および溶融し、二次電池1000の短絡部分を被覆し、自己修復層粒子と混合した自己修復層310を再生する。自己修復層310を再生させる機能を自己修復と称している。
自己修復層粒子として酸化物粒子を有することが望ましい。酸化物粒子として、SiO2、Al2O3、AlOOH、ZrO2、CeO、MgO、BaTiO3等を適用できる。これらの材料を単独または複数組み合わせて使用してもよい。自己修復層粒子は、これらの材料のみを有していても良く、さらに他の材料を有していても良い。特に、SiO2、Al2O3、AlOOHは、非水電解液との親和性に優れるため、これらを有する自己修復層310の内部へ非水電解液を速やかに浸透させ、Liイオンの拡散抵抗を減少させる。酸化物粒子の組成は、自己修復層310の質量に対して、10〜98質量%以下であることが望ましい。酸化物粒子の含有量が少ないと、自己修復層310の絶縁性が悪化する可能性がある。酸化物粒子の含有量が多いと、自己修復層バインダの組成が少なくなり、自己修復層310の機械的強度が低下する可能性がある。
自己修復層310には、P(VdF-HFP)の他に易溶解性ポリマを混合または複合化しても良い。易溶解性ポリマは、P(VdF-HFP)との溶解性に優れ、P(VdF-HFP)と混合した際に均一なポリマになることが望ましい。易溶解性ポリマとして、例えば、PVdF、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂を適用できる。易溶解性ポリマは、これらの材料のみを有していても良く、さらに他の材料を有していても良い。図3は、ハンセン溶解度パラメータ(dD、dP、dH)に基づいて計算した相対エネルギー差REDである。REDが1MPa0.5よりも小さいときに、P(VdF-HFP)と溶解性ポリマが溶解しやすいことを示唆する。
図3の結果によると、P(VdF-HFP)を基準としたREDが1より小となる易溶解性ポリマは、セルロース、PMMA、PVDFであった。これらのポリマは、P(VdF-HFP)と均一に混合できる。特に、PMMAを用いると、その分子内の多くの極性官能基(カルボキシル基)にLiイオンが配位し、高分子鎖に沿ってLiイオンが拡散しやすくなるので、二次電池1000の放電容量を増加できる。対して、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレン(PE)等の難溶解性ポリマは、P(VdF-HFP)を基準とするREDが1を超えている。難溶解性ポリマをP(VdF-HFP)と混合しようとしても、P(VdF-HFP)と難溶解性ポリマとが分離し、均質な自己修復層310を作ることが難しい。
<セパレータ320>
セパレータ320は、図3の相対的エネルギー差が1より小になるセルロース繊維やPMMA繊維などの易溶解性ポリマを有することが望ましい。セパレータ320に含まれる易溶解性ポリマと自己修復層310に含まれる自己修復層バインダとの相対的エネルギー差が小さいほど、自己修復層310とセパレータ320との密着性が向上し、界面抵抗の小さな二次電池1000を製造できる。自己修復層310とセパレータ320の間ではポリマ同士の親和性が重要であり、相対的エネルギー差が1より小であることが望ましい。相対的エネルギー差が0.8以下であれば、二種類のポリマ同士が溶解し始める。二種類のポリマを第一ポリマと第二ポリマと表すと、第一ポリマと第二ポリマの重量比が、1/19〜1/4または4/1〜19/1のように、一方のポリマの組成が大きいときに溶解する。また、相対的エネルギー差が0.6以下になると、二種類のポリマは、任意の混合組成で溶解するようになり、さらに好適である。自己修復層310の表面にあるポリマ(P(VdF-HFP)を主に有する)とセパレータ320に含まれるポリマとでミクロレベルでの分子間力が働き、自己修復層310とセパレータ320との密着力が増大することにより、ポリマ同士が混じりやすくなると考えられる。そのため、自己修復層310とセパレータ320との間隙が小さくなり、リチウムイオンの移動が促進され、二次電池1000の性能が向上する。
セパレータ320を正極100または負極200より大面積にすることで、正極100と負極200の短絡を防止できる。セパレータ320がセルロース繊維を有する場合、セルロース繊維の線径は、1nm〜500μm、1nm〜10μmであることが望ましい。セルロース繊維の繊維長は、1〜500μmであることが望ましい。セルロース繊維の繊維長/セルロース繊維の繊維径をアスペクト比と定義すると、アスペクト比は10〜10000、100〜10000であることが望ましい。セルロース繊維の繊維長が大きすぎると、平滑な自己修復層310を作製するのが難しくなる可能性がある。セルロースの材料として、天然パルプ由来の繊維でも良いし、セルロース、セルロースの変成体(カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)など)、酢酸セルロース、エチルセルロースなどを適用できる。これらの材料を単独または複数組み合わせて使用してもよい。セルロースは、これらの材料のみを有していても良く、さらに他の材料を有していても良い。
絶縁層300として自己修復層310およびセパレータ320を用いる場合、外装体500の空いている1辺や注液孔から二次電池1000に非水電解液を注入することで、絶縁層300中に非水電解液が充填される。
<半固体電解質層>
自己修復層310として半固体電解質層を用いてもよい。半固体電解質層は、半固体電解質バインダおよび半固体電解質を有する。半固体電解質は、担持粒子および非水電解液を有する。半固体電解質は、担持粒子の集合体によって形成される細孔を有し、その中に非水電解液が保持されている。半固体電解質中に非水電解液が保持されることによって、半固体電解質はリチウムイオンを透過させる。自己修復層310として半固体電解質層を用い、電極合剤層に非水電解液が充填される場合、二次電池1000への非水電解液の注入は不要になる。絶縁層300がセパレータを有する場合など、外装体500の空いている1辺や注液孔から二次電池1000へ非水電解液を注入してもよい。
半固体電解質層の作製方法として、半固体電解質の粉末を成型ダイスなどでペレット状に圧縮成型する方法や、半固体電解質バインダを半固体電解質の粉末に添加・混合し、シート化する方法、非水電解液と担持粒子を所定比で混合した後、さらに半固体電解質バインダを加えて混合し、プレスしてシートを得る方法などがある。半固体電解質に半固体電解質バインダの粉末を添加・混合することにより、柔軟性の高いシート状の半固体電解質層を作製できる。半固体電解質に、分散溶媒に半固体電解質バインダを溶解させた結着剤の溶液を添加・混合し、分散溶媒を留去することで、半固体電解質層を作製してもよい。半固体電解質層は、電極上に塗布および乾燥することにより作製してもよい。
<担持粒子>
担持粒子としては、自己修復層310に含まれる自己修復層粒子と同様である。担持粒子として固体電解質を用いてもよい。固体電解質としては、例えば、Li-La-Zr-Oなどの酸化物系固体電解質やLi10Ge2PS12などの硫化物系固体電解質などの無機系固体電解質の粒子が挙げられる。
非水電解液の保持量は担持粒子の比表面積に比例すると考えられるため、担持粒子の一次粒子の平均粒径は、1nm〜10μmが好ましい。担持粒子の一次粒子の平均粒径が大きいと、担持粒子が十分な量の非水電解液を適切に保持できず半固体電解質の形成が困難になる可能性がある。また、担持粒子の一次粒子の平均粒径が小さいと、担持粒子間の表面間力が大きくなって担持粒子同士が凝集し易くなって、半固体電解質の形成が困難になる可能性がある。担持粒子の一次粒子の平均粒径は、1〜50nmがより好ましく、1〜10nmが更に好ましい。担持粒子の一次粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定できる。
<非水電解液>
非水電解液は、非水溶媒を有する。非水溶媒は、有機溶媒、イオン液体またはイオン液体に類似の性質を示すエーテル系溶媒および溶媒和電解質塩の混合物(錯体)を有する。非水電解液にイオン液体またはエーテル系溶媒等の難揮発性の溶媒を用いることで、半固体電解質層からの非水電解液の揮発を抑制できる。有機溶媒、イオン液体またはエーテル系溶媒を主溶媒と称する場合がある。イオン液体とは、常温でカチオンとアニオンに解離する化合物であって、液体の状態を保持するものである。イオン液体は、イオン性液体、低融点溶融塩あるいは常温溶融塩と称されることがある。非水溶媒は、大気中での安定性や二次電池内での耐熱性の観点から、低揮発性、具体的には室温における蒸気圧が150Pa以下であるものが望ましいが、これに限られない。
半固体電解質層中の非水電解液の含有量は特には限定されないが、40〜90vol%であることが望ましい。非水電解液の含有量が小さい場合、電極と半固体電解質層との界面抵抗増加する可能性がある。また、非水電解液の含有量が大きい場合、半固体電解質層から非水電解液が漏れ出してしまう可能性がある。半固体電解質層がシート状に形成されている場合、半固体電解質層中の非水電解液の含有量は50〜80vol%、更には60〜80vol%であることが望ましい。半固体電解質と分散溶媒に半固体電解質バインダを溶解させた溶液との混合物を電極上に塗布することにより半固体電解質層を形成する場合、半固体電解質層中の非水電解液の含有量は40〜60vol%であることが望ましい。
非水電解液における主溶媒の重量比率は特には限定されないが、電池安定性および高速充放電の観点から非水電解液中の溶媒の総和に占める主溶媒の重量比率は30〜70wt%、特に40〜60wt%、さらには45〜55wt%であることが望ましい。
<有機溶媒>
有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)などの炭酸エステル、γ-ブチロラクトン(GBL)、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、リン酸トリメチル(TMP)、リン酸トリエチル(TEP)、亜リン酸トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)(TFP)、メチルホスホン酸ジメチル(DMMP)などが挙げられる。これらの非水溶媒を単独または複数組み合わせて使用してもよい。
イオン液体またはイオン液体に類似の性質を示すエーテル系溶媒が低粘度有機溶媒を有することが望ましい場合がある。低粘度有機溶媒は、非水電解液の粘度を下げ、イオン伝導率を向上させる。非水電解液の内部抵抗は大きいため、低粘度有機溶媒を添加して非水電解液のイオン伝導率を上げることにより、非水電解液の内部抵抗を下げることができる。低粘度有機溶媒は、例えばエーテル系溶媒および溶媒和電解質塩の混合物の25℃における粘度140Pa・sより粘度の小さい溶媒であることが望ましいが、これに限られない。低粘度有機溶媒として、PC、EC、TMP、TEP、TFP、GBL、DMMPなどが挙げられるが、これに限られない。これらの低粘度有機溶媒を単独または複数組み合わせて使用してもよい。
<イオン液体>
イオン液体はカチオンおよびアニオンで構成される。イオン液体としては、カチオン種に応じ、イミダゾリウム系、アンモニウム系、ピロリジニウム系、ピペリジニウム系、ピリジニウム系、モルホリニウム系、ホスホニウム系、スルホニウム系などに分類される。イミダゾリウム系イオン液体を構成するカチオンには、例えば、1-butyl-3-methylimidazorium(BMI)などのアルキルイミダゾリウムカチオンなどがある。アンモニウム系イオン液体を構成するカチオンには、例えば、tetraamylammoniumなどのほかに、N,N,N-trimethyl-N-propylammoniumなどのアルキルアンモニウムカチオンがある。ピロリジニウム系イオン液体を構成するカチオンには、例えば、N-methyl-N-propylpyrrolidinium(Py13)や1-butyl-1-methylpyrrolidiniumなどのアルキルピロリジニウムカチオンなどがある。ピペリジニウム系イオン液体を構成するカチオンには、例えば、N-methyl-N-propylpiperidinium(PP13)や1-butyl-1-methylpiperidiniumなどのアルキルピペリジニウムカチオンなどがある。ピリジニウム系イオン液体を構成するカチオンには、例えば、1-butylpyridiniumや1-butyl-4-methylpyridiniumなどのアルキルピリジニウムカチオンなどがある。モルホリニウム系イオン液体を構成するカチオンには、例えば、4-ethyl-4-methylmorpholiniumなどのアルキルモルホリニウムなどがある。ホスホニウム系イオン液体を構成するカチオンには、例えば、tetrabutylphosphoniumやtributylmethylphosphoniumなどのアルキルホスホニウムカチオンなどがある。スルホニウム系イオン液体を構成するカチオンには、例えば、trimethylsulfoniumやtributhylsulfoniumなどのアルキルスルホニウムカチオンなどがある。これらカチオンと対になるアニオンとしては、例えば、bis(trifluoromethanesulfonyl)imide(TFSI)、bis(fluorosulfonyl)imide、tetrafluoroborate(BF4)、hexafluorophosphate(PF6)、bis(pentafluoroethanesulfonyl)imide(BETI)、trifluoromethanesulfonate(トリフラート)、acetate、dimethyl phosphate、dicyanamide、trifluoro(trifluoromethyl)borateなどがある。これらのイオン液体を単独または複数組み合わせて使用してもよい。
<電解質塩>
非水溶媒が有機溶媒またはイオン液体を有する場合、非水電解液は電解質塩を有する。電解質塩として、主溶媒に均一に分散できるものが望ましい。カチオンがリチウム、上記アニオンからなるものがリチウム塩として使用することができ、例えば、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(LiBETI)、リチウムテトラフルオロボレート(LiBF4)、リチウムヘキサフルオロフォスファート(LiPF6)、リチウムトリフラートなどが挙げられるが、これに限られない。これらの材料を単独または複数組み合わせて使用してもよい。
<エーテル系溶媒>
エーテル系溶媒は、溶媒和電解質塩と溶媒和イオン液体を構成する。エーテル系溶媒として、イオン液体に類似の性質を示す公知のグライム(R-O(CH2CH2O)n-R’(R、R’は飽和炭化水素、nは整数)で表される対称グリコールジエーテルの総称)を利用できる。イオン伝導性の観点から、テトラグライム(テトラエチレンジメチルグリコール、G4)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル、G3)、ペンタグライム(ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、G5)、ヘキサグライム(ヘキサエチレングリコールジメチルエーテル、G6)を好ましく用いることができる。また、エーテル系溶媒として、クラウンエーテル((-CH2-CH2-O)n(nは整数)で表わされる大環状エーテルの総称)を利用できる。具体的には、12-クラウン-4、15-クラウン-5、18-クラウン-6、ジベンゾ-18-クラウン-6などを好ましく用いることができるが、これに限らない。これらのエーテル系溶媒を単独または複数組み合わせて使用してもよい。溶媒和電解質塩と錯体構造を形成できる点で、テトラグライム、トリグライムを用いることが好ましい。
溶媒和電解質塩としては、LiFSI、LiTFSI、LiBETI、LiBF4、LiPF6などのリチウム塩を利用できるが、これに限らない。非水溶媒として、エーテル系溶媒および溶媒和電解質塩の混合物を単独または複数組み合わせて使用してもよい。
<負極界面安定化剤>
非水電解液は負極界面安定化剤を有していてもよい。非水電解液が負極界面安定化剤を有することにより、負極活物質表面に安定な被膜(SEI)を形成させ、二次電池のレート特性の向上や電池寿命の向上できる。負極界面安定化剤の添加量は、非水電解液の重量に対して30wt%以下、特に10wt%以下が好ましい。30wt%以上であるとイオン伝導率を阻害、あるいは電極と反応して抵抗が上昇する可能性がある。負極界面安定化剤として、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)などが挙げられるが、これらに限らない。これらの負極界面安定化剤を単独または複数組み合わせて使用してもよい。
<腐食防止剤>
非水電解液は腐食防止剤を有していてもよい。腐食防止剤により、正極集電体120が高い電気化学電位に晒されても金属が溶出しにくい皮膜が形成される。腐食防止剤としては、PF6やBF4といったアニオン種を有すること、および水分を含んだ大気で安定な化合物を形成するための強い化学結合を有するカチオン種を含んだ材料が望ましい。
大気で安定な化合物であることを示す一指標としては、水に対する溶解度や加水分解の有無を挙げることができる。腐食防止剤が固体の場合、水に対する溶解度が1%未満であることが望ましい。また、加水分解の有無は、水と混合後の試料の分子構造解析で評価できる。ここでは、加水分解しない、とは、腐食防止剤が吸湿あるいは水と混和した後、100℃以上で加熱し水分を除去した後の残留物の95%が添加剤と同じ分子構造を示していることを意味する。
腐食防止剤は(M−R)+An-で表される(M−R)+An-のカチオンは、(M−R)+であり、Mは窒素(N)、ホウ素(B)、リン(P)、硫黄(S)のいずれかからなり、Rは炭化水素基から構成される。また、(M−R)+An-のアニオンはAn-であり、BF4−やPF6−が好適に用いられる。腐食防止剤のアニオンをBF4−やPF6−にすることで、正極集電体120の溶出を効率的に抑制できる。これは、BF4−やPF6−のFアニオンが電極集電体のSUSやアルミニウムと反応し、不動態皮膜を形成することが影響すると考えられる。
腐食防止剤の例として、テトラブチルアンモニウム ヘキサフルオロホスフェート(NBu4PF6)、テトラブチルアンモニウム テトラフルオロボレート(NBu4BF4)の4級アンモニウム塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMI−BF4)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート(EMI−PF6)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(BMI−BF4)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート(BMI−PF6)などのイミダゾリウム塩が挙げられる。特に、アニオンがPF6であれば、正極集電体120の溶出を抑制できる。これらの材料を単独または複数組み合わせて使用してもよい。
腐食防止剤の含有量は、非水電解液の総重量に対して、好ましくは0.5〜20wt%、更に好ましくは、1〜10wt%であることが望ましい。腐食防止剤の含有量が少ないと、電極集電体の溶出を抑制する効果が低下し、充放電に伴い電池容量が低下しやすい。また、腐食防止剤の含有量が多いと、リチウムイオン伝導度が低下し、さらに、腐食防止剤を分解させるために多くの蓄電エネルギーが消費されてしまい、結果として電池容量が低下する可能性がある。
<半固体電解質バインダ>
半固体電解質バインダは、自己修復層バインダと同様である。
<半固体電解質>
非水電解液が担持粒子に担持または保持されることにより半固体電解質が構成される。半固体電解質の作製方法として、非水電解液と担持粒子とを特定の体積比率で混合し、メタノールなどの有機溶媒を添加し・混合して、半固体電解質のスラリーを調合した後、スラリーをシャーレに広げ、有機溶媒を留去して半固体電解質の粉末を得る、などが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
<正極100の作製>
正極活物質にはLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、正極導電剤にはカーボンブラック、正極バインダにはフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、を用いた。正極活物質、正極導電剤、正極バインダ、非水電解液の質量%が83、8、9となるように混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させることで、正極スラリーを作製した。作製した正極スラリーを固形分の塗工量が19mg/cm2となるように正極集電体120であるステンレス箔上に塗工し、正極集電体120上に正極合剤層110が形成された正極100を作製した。その後、正極100を100℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥させた。次いで、正極合剤層110にロールプレスを行い、正極合剤層110の密度が2.8g/cm3になるように調整した。
<絶縁層300の作製>
P(VdF-HPF)を20wt%、平均粒径1μmのSiO2粉末80wt%をNMP溶媒に添加し、プラネタリミキサを用いて十分に分散させたスラリーを調製した。これを正極100上に塗布し、100℃で乾燥することによって、自己修復層310を正極100上に作製した。自己修復層310は、正極100の両面に設けた。自己修復層310の厚さは、正極100の両面にそれぞれ15μmになるように、塗布量を制御した。
易溶解性ポリマとしてセルロース繊維とP(VdF-HFP)バインダを有する多孔質シートであり、厚さが25μm、空隙率が65-75%のセパレータ320を用意した。セパレータ320は以下のように作製した。まず、水中のパルプを超音波により、ばらばらの繊維になるまで分解し、さらに余分な水分を気化させて、セルロース繊維を濃縮した懸濁液を調製した。これに、P(VdF-HFP)と1-メチル-2-ピロリドン(NMP)を混合し、PETフィルム上に塗布、乾燥してフィルム状にしたものを、セパレータ320として用いた。
<負極200の作製>
負極活物質には天然黒鉛、負極バインダにはフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、を用いた。負極活物質、負極バインダ、非水電解液の質量%が91、99となるように混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させることで、負極スラリーを作製した。作製した負極スラリーを固形分の塗工量が12mg/cm2となるように負極集電体220である銅箔上に塗工し、負極集電体220上に負極合剤層210が形成された負極200を作製した。その後、負極200を100℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥させた。次いで、負極合剤層210にロールプレスを行い、負極合剤層210の密度が1.6g/cm3になるように調整した。
<二次電池1000の作製>
非水電解液は、LiTFSI/G4(等モル)にPCを混合し、さらにVCとNBu4PF6を添加した液で、これを電池へ添加した。各成分の重量組成は、G4/LiTFSI:PC:VC:NBu4PF6=23:29.7:42.1:2.8:2.4とした。
自己修復層310が一体になった正極100、セパレータ320、負極200を積層し、定格容量3Ahの二次電池1000を製作した。二次電池1000を室温にて初期化した。初期化の条件として、0.1Aで4.2Vに達するまで0.1Aの定電流で充電した後、0.01Aに電流が減衰するまで、4.2Vの一定電圧で充電した。0.1Aの一定電流で電池電圧2.7Vに達するまで通電させ、二次電池1000の放電容量を測定した。このときの放電容量は3Ahであった。
<放電容量の評価>
初期化の条件と充電条件は変更せず、放電電流のみを3Aに変更して、放電容量を測定した。定格容量3Ahに対する放電容量を、図4の1CA容量に示した。
<絶縁抵抗の評価>
絶縁抵抗とは、釘刺し試験を模擬した実験にて、正極100と負極200との間の絶縁抵抗である。絶縁抵抗が1kΩ以上になれば、実際の釘刺し試験でも安全と判断するための簡易試験方法である。釘刺し試験は、以下の手順で実施した。まず、自己修復層310が一体になった正極100、セパレータ320と、負極200を積層する。その積層面の上方から、300℃に加熱したはんだこての先端を突き通し、そのときの抵抗を測定した。測定結果は、図4の絶縁抵抗の欄に記した。絶縁抵抗が1kΩ以上なった場合を合格と判断した。
<実施例2〜17>
自己修復層310中の材料およびセパレータ320の材料等の組合わせを図4のように変更した以外は、実施例1と同様に二次電池1000を作成し、評価した。自己修復層310の厚さは、正極100の両面にそれぞれ15μmになるように、塗布量を制御した。
実施例17で用いたセパレータ320は、溶融紡糸法により作製したPMMA繊維(平均繊維径0.5μm、繊維長50-100μm)をNMP溶媒に懸濁し、それを4フッ化ポリエチレン(以下ではPTFEと記す。)フィルム上に塗布、乾燥してフィルム状にしたものである。
<比較例1〜6>
自己修復層310中の材料およびセパレータ320の材料等の組合わせを図4のように変更した以外は、実施例1と同様に二次電池1000を作成し、評価した。
比較例1〜3で用いたPETセパレータは、溶融紡糸法により作製したPET繊維(平均繊維径0.5μm、繊維長50-100μm)をNMP溶媒に懸濁し、それをPTFEフィルム上に塗布、乾燥してフィルム状にしたものである。
<結果と考察>
実施例および比較例の評価結果を図4に示す。実施例1〜17では、1CA容量が63%以上となった。実施例14〜17のように、P(VdF-HFP)にPMMAやPVDFを混合した方が、1CA容量が増加した。また、実施例2と実施例14〜17の評価結果を比較すると、二種類のポリマを使うほど、絶縁抵抗が増大する傾向があった。実施例1〜3、実施例4〜6、実施例7〜9のそれぞれのグループ内で絶縁抵抗を比較すると、酸化物組成が大きいほど、絶縁抵抗が増大することが明らかになった。
対して、比較例1〜6では、1CA容量が60%以下となった。自己修復層310とセパレータ320との密着性が悪化し、自己修復層310とセパレータ320との界面抵抗が増大したためと考えられる。
100 正極、110 正極合剤層、120 正極集電体、130 正極タブ部
200 負極、210 負極合剤層、220 負極集電体、230 負極タブ部
300 絶縁層、310 自己修復層、320 セパレータ
400 電極体、500 外装体
1000 二次電池

Claims (10)

  1. セパレータおよび自己修復層を有し、
    前記セパレータは、易溶解性ポリマを有し、
    前記自己修復層は、自己修復層粒子および自己修復層バインダを有し、
    ハンセン溶解度パラメータから計算される前記易溶解性ポリマと自己修復層バインダとの相対的エネルギー差が1MPa0.5より小さい絶縁層。
  2. 請求項1の絶縁層であって、
    前記自己修復層バインダはポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を有する絶縁層。
  3. 請求項1の絶縁層であって、
    前記自己修復層の厚さは5〜50μmである絶縁層。
  4. 請求項1の絶縁層であって、
    前記自己修復層は、易溶解性ポリマを有する絶縁層。
  5. 請求項1の絶縁層であって、
    前記易溶解性ポリマと自己修復層バインダとの重量比が、1/19〜1/4または4/1〜19/1である絶縁層。
  6. 請求項1の絶縁層であって、
    前記自己修復層粒子は、SiO2、Al2O3またはAlOOHのいずれか一種以上を有する絶縁層。
  7. 請求項1の絶縁層であって、
    前記自己修復層粒子の添加量は、前記自己修復層の質量に対して10〜98質量%である絶縁層。
  8. 請求項1の絶縁層であって、
    前記易溶解性ポリマは、PMMAを有する絶縁層。
  9. 請求項1の絶縁層および電極を有する電池セルシート。
  10. 請求項1の絶縁層、正極、および負極を有する二次電池。
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